半導体4%安、NYでは原油も急落。リスクの色が変わる朝
きのう日経平均は4%近く下げ、半導体株がとくに傷みました。夜のNYではダウが買われた一方、半導体SOXはさらに4%超の下落。同時に原油が5%急落し、市場の警戒材料が地政学リスクから景気減速へすり替わっています。
28日の東京市場は、半導体銘柄への売りが止まらず日経平均が一時3000円以上下落。キオクシアHDが18%安、SUMCOが16%安と、まるでAIブームに冷や水を浴びせたかのようでした。この流れはNYへ飛び火し、SOX指数はさらに4.5%下げて引けています。
その一方で、ダウ平均は537ドル高。決算の良かったボーイングなどが買われ、投資家の関心が「成長」から「割安・内需」へシフトしている様子が透けます。さらに原油が5%も下がり、イランとの緊張緩和への期待が広がったようです。半導体と原油、二つの「熱」が同時に冷めつつあります。
トヨタ、福岡3工場で稼働停止。地震で安全確認を優先
トヨタ自動車は28日、福岡県の地震を受け同県内の3工場を停止したと発表しました。従業員の安全と設備点検のためで、部品メーカーの被害も確認中です。現時点では29日から再開予定ですが、状況次第で変わる可能性があります。
九州は「シリコンアイランド」と呼ばれる半導体の集積地。トヨタの工場停止は、サプライチェーン全体の脆弱さを改めて意識させる出来事です。今後の稼働状況が自動車生産の足元を左右します。
JR博多―熊本の新幹線、終日運転見合わせ。物流にも影響か
28日の地震で九州新幹線は博多―熊本間で終日運転を見合わせました。在来線も一部区間で運休が続き、貨物輸送に遅れが出ています。JR九州は復旧のめどを明らかにしておらず、29日以降も計画運休の可能性を探っています。
九州の交通網寸断は、半導体や自動車部品の物流に直接響きます。復旧が長引けば生産計画の見直しを迫られる企業が出てくるかもしれません。水曜日の動きに注意が必要です。
値上げラッシュ、ディズニーも1万2000円超え。家計の体力勝負に
東京ディズニーランドとディズニーシーの1日券が、10月から最も混む時期に初めて1万2000円を超えます。全国のテーマパークも相次ぎ値上げに動いており、家族連れのレジャー費は上昇の一途です。
賃上げが進んでも、娯楽の値上げがそれを追い越せば、消費の実感はなかなか改善しません。夏のレジャー需要を前に、家計の防衛意識が一段と強まりそうです。
スマホアプリ市場に風穴か、グーグルとアップルが手数料引き下げ報告
昨年施行されたスマホ法に基づき、グーグルとアップルが公正取引委員会に提出した報告書が公表されました。両社はアプリ事業者の手数料引き下げや、自由なプロモーションを認める方針を明示しています。
巨大プラットフォームが自ら一部を譲歩する形は、アプリ経済のルールが変わる序章です。手数料負担が減れば、小規模な開発会社にも新しい挑戦の機会が生まれます。
AI・半導体離れが鮮明に、ダウは買われSOXは4.5%急落
28日のNY市場で、ダウ平均は537ドル高と続伸した一方、半導体SOX指数は4.5%下落。ASMLが中国による国産化報道で急落するなど、前日の東京に続き売りが加速しました。投資家の目線が景気敏感株や内需株へ移りつつあります。
「AIがあれば大丈夫」という楽観が急速にしぼみ、リスクの取り方が変わってきた証拠です。半導体の急落は過熱感の修正ですが、売られすぎの反動が出やすい局面とも言えます。
原油が5%安、イランとの緊張緩和の思惑で急落
28日の原油相場は前日比5%超の下落。米国とイランの緊張緩和に向けた協議再開の報道が材料視されました。WTI原油は1バレル70ドル台前半に下げ、ガソリン先物も連れ安となりました。
中東リスクによるエネルギー高への懸念が一服すれば、企業のコスト負担や消費者の生活防衛意識が和らぐかもしれません。ただし、協議が進展しなければ油断は禁物です。
英バークレイズ、AI関連取引が好調で純利益36%増
英バークレイズ銀行が発表した4~6月期決算は、純利益が前年同期比36%増と大幅な伸びを示しました。AI関連企業の資金調達やM&Aのアドバイザリー業務が活発で、株取引の手数料収入も拡大しました。
AIブームの果実は、開発企業だけでなく金融の仲介ビジネスにも届いています。ハイテクの売買が減っても、資金の流れを手助けする銀行はむしろ潤う。そんな「シャベル売り」の構図です。
米FOMC直前、利上げリスクは市場の「過大評価」か
28日から始まるFOMCを前に、ドルは強含みながらも小幅にとどまりました。TD証券は「市場が利上げ確率を過大に織り込んでいる」と指摘。仮に据え置きならドル安が進む可能性があるとしています。
金利を決める会合を前に「上がるかも」と怯えるのは、台風の前の備えのようなもの。実際に来なければ、警戒しすぎた分だけ相場が戻る力学が働きます。結果は金曜未明に判明します。
半導体売りが映すリスクの色替え
東京市場で日経平均が4%近く下げ、半導体株がとくに傷んだ翌日の28日、米国ではダウが買われる一方、半導体SOX指数がさらに4.5%下落した。同じ日に原油は5%超の急落である。市場の警戒材料が地政学リスクから景気減速へすり替わった朝だった。
先週まで市場を覆っていたのは、イラン情勢の緊迫やフーシ派によるタンカー攻撃を起点とする中東リスクだった。7月17日には「イラン緊迫と半導体売り、162円台で交錯する朝」と報じられ、21日には「NY原油が1か月ぶり高値、ホルムズ懸念で」と書かれた。エネルギー高が企業のコストを押し上げ、消費を冷やすという連想が、半導体をはじめとするハイテク株売りを誘っていたのである。
ところが28日、米国とイランの緊張緩和に向けた協議再開が報じられると、原油は一転して急落した。WTIは1バレル70ドル台前半に下がり、ガソリン先物も連れ安となった。中東リスクがひとまず後退したのに、半導体は売られ続けた。ダウが買われたのは、投資家の目線が景気敏感株や内需株へ移ったためだ。リスクの色が明らかに変わった。
「AIがあれば大丈夫」という楽観が急速にしぼみ、市場は景気の実力を測り直し始めている。今月半ばにはTSMCが過去最高益をたたき出し、エヌビディアCEOが「今回は違う」と半導体バブル崩壊を否定した。それでも株は売られた。期待だけが先走り、実需との間に開きが出ていたところへ、エネルギー高と金利上昇が重なり、投資家の我慢の緒が切れた格好だ。
景気減速懸念が主役に躍り出るなら、これから動くのは中央銀行である。28日から始まった米FOMCでは、市場が利上げを過大に織り込んでいるとの指摘も出ている。実際に据え置かれれば、警戒しすぎた分だけ相場が戻る力学が働く。一方、日本では日銀が政策金利を維持する構えだ。原油高が一服したとしても、生活者の9割が「1年後物価高」と答える状況で、金融政策のかじ取りは難しい。半導体の売りは、世界経済の体温を測る一本の体温計なのである。