半導体に一服感、日米で金利見極めの週に
週明け27日の東京市場は小幅続伸。イラン情勢への懸念和らぎが支えでした。一方、夜のNYでは半導体株が売られ、AIブームの勢いに一服感も。きょうから日銀会合、あすはFOMC。金利の方向感を巡る1週間が始まります。
週明けの東京株は、前週末に急落した半導体関連の一角に買い戻しが入り、日経平均は320円高。イランとの緊張緩和期待から原油価格が下がり、企業のコスト負担が和らぐとの見方が広がりました。ただ、値上がり率上位にはフィーチャやカバーといったAIテーマ株が名を連ねる一方、昭和HDが上場廃止決定で4割安と、明暗はくっきり。市場の体温はまだら模様です。
夜のNYは方向感に欠けました。ダウは260ドル高で取引時間中の最高値を更新したものの、ハイテク株比率の高いナスダックは小幅安。半導体SOX指数が2.2%下落し、エヌビディアは時価総額首位の座をAppleに明け渡しました。AI投資の拡大期待は根強いものの「今の株価は先行しすぎでは」との冷静な目線も出始めたようです。
きょうからは日銀の金融政策決定会合。市場は政策金利の据え置きを織り込みつつ、会合後の声明で「いつ利上げに動くのか」を探ります。あす未明のFOMC(米連邦公開市場委員会)も据え置き予想ながら、年内の利上げ観測はくすぶり中。日米の中銀が相次いで「金利のある世界」の現在地を示す、夏の節目の週です。
日銀は政策金利を維持へ、利上げ路線は守る構え
日銀は30日までの金融政策決定会合で、短期金利の誘導目標を据え置く方向で検討しています。2%の物価目標はなお遠く、賃上げの広がりを慎重に見極める必要があると判断。ただ、原油高などによる物価上振れリスクもあり「利上げ路線」そのものは維持する方針です。
「いつ動くか」より「動くつもりはある」というメッセージをどう出すかが焦点。円安が進むと輸入物価を押し上げるため、市場との対話が難しくなっています。
東京の賃貸、単身マンション家賃が25カ月連続で過去最高
6月の東京23区の分譲タイプ単身向け賃貸マンションの平均募集家賃は11万4000円超と、2年以上にわたり過去最高を更新し続けています。物価高や建築コスト上昇を受け、需要が落ち着く時期でも大家が家賃を引き下げない傾向が鮮明です。
引っ越しシーズンを過ぎても家賃が下がらないのは、都心回帰の流れと、新築物件の供給が追いついていない構造の表れ。家計のやりくりには頭の痛い話ですが、不動産市場の底堅さのサインでもあります。
キヤノンが通期利益を上方修正、円安と関税還付が追い風
キヤノンは2026年12月期の連結業績予想を上方修正しました。想定より円安が進んだことに加え、米国の関税還付による特別利益の計上も寄与。カメラや半導体製造装置の需要が堅調なことも下支えしています。
輸出企業にとって円安は利益を押し上げる魔法の杖。ただ、為替頼みの構図が続けば、ドル円が逆方向に振れた時のダメージも大きい。本業の競争力強化がどこまで進んだか、決算の細部に注目です。
昭和ホールディングス株が4割安、上場廃止決定で整理銘柄に
7月27日、昭和HDは上場廃止が決まり、整理銘柄に指定されました。これを受け、株価は前営業日比41%安と急落。市場では投げ売りが広がり、わずか時価総額8億円のまま取引が進みました。
上場企業でも、事業の先行きが厳しいと見切られれば市場から退場を迫られます。「安いから」と飛びつくのは危険な局面。投資家にとっては、整理銘柄の値動きは宝くじより怖いものです。
Appleが時価総額首位に返り咲き、エヌビディアと交代
27日のNY市場でAppleの時価総額が1年3カ月ぶりに世界首位となりました。半導体SOX指数の下落でエヌビディア株が売られた一方、Appleは底堅く推移。AIブームの先陣を切ってきた半導体株に、一服感が広がっています。
AIの成長物語はいまやAppleのような「使う側」にも広がり始めました。次の主役は誰か。時価総額の交代は、投資家の期待が半導体からAIサービス全体へ分散し始めたことを示します。
原油価格が急落、米国がイラン攻撃を一時停止
イランとの緊張が高まっていた中東情勢で、米国が攻撃を一時停止したとの報道を受け、原油先物価格が急落しました。戦闘拡大による供給不安が後退し、投資家のリスク警戒が和らいだ格好です。
原油高はガソリン代や電気代を押し上げ、消費者の財布を直撃します。今回の下落は、世界経済にとっては一息つけるニュース。ただ、和平交渉の行方は予断を許さず、再び価格が跳ねるリスクは残ります。
エヌビディア、AIインフラに2500億ドル投資か
半導体大手のエヌビディアが、OpenAIのデータセンター建設計画に2500億ドル規模の資金供給を検討していると報じられました。次世代AIの開発には膨大な計算力が必要で、その心臓部を自社製品で固める狙いとみられます。
エヌビディアが「道具」を売るだけでなく「場所」の提供に踏み込むとすれば、AIビジネスの主導権争いは新たな段階へ。巨額投資が現実になれば、関連する電力や建設の需要も跳ね上がります。
米FOMC、利上げ警戒とハイテク決算待ちで様子見
27日のNY市場は方向感なく引けました。28日から開かれるFOMCでは政策金利の据え置きが確実視される一方、声明で年内の追加利上げに含みを持たせるかが焦点。Microsoftなど主力ハイテク企業の決算発表も今週に控え、投資家は積極的に動けません。
「利上げは終わった」とはまだ言い切れないFRBの姿勢が、株高の勢いをそいでいます。金利が上がれば企業の借入コストが増え、特に高成長を前提としたハイテク株の割高感が意識されやすくなるためです。
安い家賃が遠のく構造
東京23区の単身向け賃貸マンションの平均募集家賃が、25カ月連続で過去最高を更新した。6月は11万4000円を超えたという。引っ越し需要が落ち着く時期にもかかわらず、である。
この数字だけを見ると「物価高に負けず都心の人気が続いている」という景気の良さそうな話に聞こえる。だが、先週から続く「生活者が感じる痛み」の記事と並べると、景色は違って見える。
たとえば23日には輸入肉の価格が過去最高を記録し、19日にはiPhoneが約10%の値上げとなった。いずれも円安による輸入物価の上昇が主因だ。そして17日の世論調査では、生活者の9割が「1年後に物価はさらに上がる」と答えている。家賃の高止まりは、この流れの住宅版と位置づけられる。建築資材や光熱費の高騰が新築物件の供給を絞り、既存の物件も値下げしにくい構図が定着した。
一方で、日銀はきょうから金融政策決定会合を開いている。政策金利は据え置きが確実視されるが、「利上げ路線は守る」構えという。賃上げの広がりを見極めたい日銀と、輸入物価に押される生活者のあいだには、まだ距離がある。金融政策が住宅費を直接抑える手段でない以上、家計のやりくりは当分、綱渡りが続くとみる。
この線が続くなら、これまで「巣ごもり需要」の受け皿だった賃貸市場は、広さや立地で妥協する層をさらに増やすだろう。家賃を下げられない構造は、金利が上がればローン負担が増す持ち家と、同じ根っこでつながっている。生活の土台をどう守るかという議論が、政策の真ん中に来る日は近いのではないか。