ホルムズ海峡再開に道、NYダウ最高値で今週へ
イラン情勢の緊張緩和が米国株を押し上げ、S&P500とNYダウはそろって最高値を更新しました。週明けの東京市場は、半導体の強さと円安の落ち着きをどう評価するかが焦点です。
先週金曜の日本株は、半導体株への買い戻しが支えとなり小動き。週末にかけて、米国からはホルムズ海峡封鎖の解除に向けた協議が進んでいるとの明るいニュースが届きました。この知らせを受けて、NYダウやS&P500は金曜の取引で最高値を更新。ドル円も一時158円台まで戻す場面がありました。
北朝鮮のミサイルや中東の緊張が後退するにつれ、市場の目は再び企業業績とAI需要に向かっています。もっとも、牛肉の輸入価格が急落するなど生活に身近な領域では、為替や国際商品の波がじわりと静かに広がっています。
今週は、日本の4〜6月期GDP速報値が水曜に発表されます。高い伸びなら株高に弾みがつき、逆に鈍ければ為替が再び円高に振れる可能性があります。1ドル157円台が当面の分かれ目です。
半導体株が戻り買い、SOX指数が2.5%上昇
先週末の東京市場では、半導体関連株が買い戻されました。全体の指数であるSOXは前日比2.56%高の12356.79。米国のAI投資が続くとの見方や、前週の下落で割安感が出ていたことが支えとなりました。日経平均は小動きでしたが、物色の矛先がはっきり半導体に向かっています。
AIブームで膨らんだ半導体需要への期待は根強いようです。ただ、週末の米半導体材料への追加関税の話題もあり、息の長い上昇になるかはまだわかりません。
コマツが業績を上方修正、「建設のAI化」に期待
建機大手のコマツが、慎重だった今年度の業績見通しを上方修正しました。中東リスクや米国の関税を考慮しつつも、資源高やインフラ需要が利益を押し上げた形です。市場では、コマツが工事現場の動きをAIで最適化する「建設のデジタル化」分野で存在感を増してきた点が改めて評価されています。
建機は景気に敏感ですが、コマツの強さは「データで稼ぐ」事業にあります。AI関連として見直す流れが強まれば、他の重工メーカーの株にも波及しそうです。
GPIFに政治介入の波紋、運用自主性に懸念
公的年金を運用するGPIFの改革を担った人物が、政治からの介入を予期していたとの報道がありました。運用資産が300兆円と巨額なだけに、特定の産業を支援する目的で資金を向けさせる動きが強まらないかとの懸念が背景にあります。現状、直接の乱れはないものの、運用の独立性が少しずつほころびかねない兆候です。
私たちの年金の行方を左右する大事な話です。政治の都合で運用方針が変われば、無理な投資で目減りするリスクを負うことになりかねません。注視が必要なテーマです。
バルミューダ、スマホ撤退からの再起は「入眠時計」
高級トースターで知られるバルミューダが、3年前に失敗したスマートフォン事業から一新し、約6万円の「入眠時計」を発売しました。寝付きを良くする機能を売りに、生活家電の新しい柱として復活を狙います。デザインと独自技術で、成熟市場に風穴を開けられるか、注目が集まります。
撤退の傷が深い分、ここでヒットが出なければ厳しいです。ただ、睡眠に悩む人は多く、高くても価値ある製品なら支持される土壌はあります。「モノを売る会社」から「体験を売る会社」への脱皮です。
NYダウ、最高値。ホルムズ海峡再開の期待
7日の米国株式市場で、NYダウは前日比151ドル高の54036ドルと3日ぶりに最高値を更新しました。S&P500も0.6%高の7757、ナスダックは1.3%高。米政府がイランとの間でホルムズ海峡の通航再開交渉に進展があったとの見方を示したことで、原油高への警戒が和らぎ、買いが広がりました。
海峡封鎖による世界経済の萎縮シナリオが遠のき、安心感が広がっています。ただ、実際の安全航行の再開まではまだ時間がかかる可能性があり、一喜一憂は禁物です。
アップルが中国メモリー採用を検討、半導体地図に変化
米アップルが、中国の半導体大手CXMTのメモリー半導体をiPhoneに採用する試験を始めたと報じられました。米中の半導体摩擦が続くなか、アップルがコスト削減と供給元の多様化を狙った動きです。実現すれば、中国製メモリーの世界進出が一気に加速します。
韓国サムスンやSKハイニックスへの依存を減らす意味でも大きな一歩です。技術力で追う中国が価格破壊を起こせば、メモリー市況は再び変動が激しくなるかもしれません。
ベッセント米財務長官、長期金利上昇をけん制
ベッセント米財務長官が、米国の長期金利の上昇を抑え込もうと動き始めました。長期債の発行を減らす案や、急激なドル安を招きかねない為替介入の可能性も示唆されています。トランプ氏が求める低金利環境を、市場との対話で整えようとする布石です。
財政規律を無視した金利抑制は将来のインフレを招く危険がありますが、短期的には株高・債券高につながりやすいです。為替も円高に振れやすくなるので、日本株にはやや逆風です。
米国の食料品価格、インフレ鈍化でも高止まり
米ホワイトハウスは、全体の物価上昇が落ち着いても、食料品と燃料の価格が高止まりしている現状への懸念を示しました。関税や輸送費の上昇が、生活必需品の値段を押し上げているとの見方です。利下げ期待が高まっても、庶民の実感とは乖離が生じています。
株高の裏で家計の余裕がなくなりつつある、というサインです。消費の減速が企業業績に跳ね返るまで、マーケットはこのギャップを無視しがちですが、やがて気づくテーマです。
海峡の「細るリスク」が生んだ最高値
ホルムズ海峡の通航再開交渉に進展があった。7日のNYダウは151ドル高の54036ドルと最高値を更新し、S&P500も0.6%高の7757。原油高への警戒が和らいだ安心感が、一気に買いを呼び込んだ格好だ。
振り返れば、先週の半ばまではイラン情勢の緊張が高まり、原油価格が乱高下するたびに市場は揺れた。7月30日にはFRBの利上げ据え置きも手伝って、NYダウが1153ドル安。翌日にはAI不信の後退で急反発し、8月4日には和平期待がダウを最高値に押し上げていた。地政学の火種がくすぶるたびに売られ、期待が膨らめば買われる。この2週間、相場はその繰り返しだった。
ここにきて、市場は「リスクが細る」展開を値踏みし始めたのだろう。8月8日には中国の7月輸出が23%増と伝わり、半導体とEVがけん引した。翌9日には、S&P500が雇用統計の弱さを利上げ観測後退と読み替えて最高値をつけている。原油高という重石が外れれば、好材料はずいぶん軽く感じられる。
さらに、足元ではベッセント米財務長官が長期金利の上昇をけん制し始めた。長期債の発行減らしや為替介入の可能性も示唆されている。金利が上がりすぎるのを抑えようとする政策は、短期的には株高・債券高につながりやすい。地政学リスクの後退と財政の緩みが、ともに相場を支える構図だ。
ただし、筆者はこの先、米国発の「生活実感とのズレ」に着目したい。8月4日に伝えられた米ホワイトハウスの懸念は、全体の物価上昇が落ち着いても食料品と燃料の価格が高止まりしている点だった。株高の裏で家計の余裕がなくなりつつあるのなら、消費の減速はやがて企業業績に跳ね返る。海峡の緊張が和らいだ先に、身近な商品の値段が下がるとは限らない。それが、記録的な株価の向こう側にある現実だとみる。