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日経平均64,325.64-1,890NYダウ52,980.73+214ドル円158.84-1NASDAQ26,208.82+109S&P 5007,666.58+35SOX 指数11,332.81+449/2終値

日経平均が800円安でも7割の株は上がる——今日のモヤモヤを解剖する

7月6日、日経平均は824円安。なのに値上がり銘柄が値下がりを上回り、TOPIXはプラス。この「真逆の風景」の正体は、指数計算のカラクリにあった。値がさ株の下落に引きずられただけで、相場の実態は悪くなかった——そんな日の仕組みを、ソフトバンクGを主役に解き明かす。

超!企業DB 編集部·2026-07-06·12
目次5
  1. 01同じ市場で「真逆の風景」が起きた7月6日
  2. 02日経平均は「クラスの身長平均」、TOPIXは「クラス全員の体重計」
  3. 03「値がさ株」の罪と罰——ソフトバンクGで実演してみる
  4. 04なぜ海外投資家が日経平均先物を売ると、あなたの小型株が下がるのか
  5. 05結局、どっちを見ればいいのか——正しい指数の使い分け

月曜朝の東京市場、日経平均が一時800円超の下げ。でも、画面の隅で値上がり銘柄数が値下がりを上回っている。あなたがもし「結局、日本株って今いいの? 悪いの?」と混乱したなら、その感覚は正しい。今日は、数字の裏で何が起きていたかを順番にたどってみる。

同じ市場で「真逆の風景」が起きた7月6日

Google Newsnews.google.com· 2026-07-06
日経平均6日前引け=反落、824円安の6万8919円 - 株探

7月6日前引け、日経平均は前週末比824円安の6万8919円。ところが東証株価指数(TOPIX)は前週末比プラスで推移し、市場全体では値上がり銘柄が値下がりを上回った。同じ東京市場を見ているのに、まるで別の世界の数字だ。日経平均が1%以上の下落を記録した日でも、値上がり銘柄が7割を超えるという「ねじれ」が生じたのである。

ニュースの見出しは「半導体関連に売り」「利益確定売り」と伝えている。たしかに値がさの半導体株やソフトバンクグループが下げた。でもそれって、あくまで「一部の銘柄」の話。ほとんどの銘柄はむしろ買われていた。日経平均だけを見ていると、この景色は見えない。なぜなら、日経平均というレンズは、ごく一部の「背の高い」銘柄にピントが合いすぎるからだ。

この不思議なねじれの正体は、日経平均とTOPIXという二つの指数の「計算ルールの違い」にある。両者は同じ東証の株を測っているのに、まるで違う体重計を使っている。片方は身長の高い子を重く見る体重計、もう片方は実際の質量を測る体重計だ。今日はその仕組みをひもときながら、なぜ投資家は指数に振り回されてしまうのかを考えてみたい。

実は、こうした「ねじれ」は今日が初めてではない。2021年2月、日経平均が3万円を回復したときも、TOPIXは前回3万円時(1990年)の半分以下の水準だった。当時は値がさハイテク株の独歩高で、多くの銘柄は置き去りだった。指数の歪みは強気相場でも弱気相場でも顔を出す。今日の現象は、その最新バージョンにすぎない。

日経平均は「クラスの身長平均」、TOPIXは「クラス全員の体重計」

まず、株式指数とは「市場全体の値動きを一つの数字にしたもの」だ。コレステロール値のような健康診断の数字に近い。血液を全部調べるのは大変だから、代表的な項目だけ測る。日経平均もTOPIXも、日本株の健康状態を測る代表項目だが、測り方がまるで違う。つまり、同じ「日本株」という体を見ていても、測る場所が違えば出てくる数字は真逆になりうる。

日経平均は「株価平均型」。ざっくり言うと、225銘柄の株価を足して銘柄数で割る。ただし単純な平均ではない(株式分割などの影響を調整する「除数」という仕組みがある)。本質は「各銘柄の株価の高さ」が指数を動かすということ。つまり、1株1000円のA社より、1株6000円のソフトバンクGの方が、はるかに大きな声で日経平均に叫ぶ。これは「クラスの身長平均」に似ている。背の高い子が1人いると、平均身長はぐっと引き上げられる。その子がかがんだだけで、平均は大きく下がる。一方、150cmの子が10人かがんでも、平均への影響はごくわずかだ。

一方、TOPIXは「時価総額加重型」。上場全銘柄の時価総額(株価×発行済み株式数)の合計を、基準時点と比較したものだ。声の大きさは「会社の大きさ」で決まる。小型株の株価が2倍になっても、時価総額が小さければTOPIXへの影響は微差。逆にトヨタのような巨大企業が少し動けば、TOPIXを大きく揺らす。これは「クラス全員の体重計」だ。体重計に乗る人数が多ければ多いほど、一人ひとりの変動は薄まる。そして、体重100kgの子が1人減っただけでは、全体の体重はほとんど変わらないのに対し、身長平均ではその子がいなくなるだけで平均ががくんと下がる。

つまり、日経平均は「株価が高い超大型株の一言一句」に敏感で、TOPIXは「時価総額という市場全体の質量」を映す。今日のねじれは、まさにこの差から生まれた。身長190cmの子(ソフトバンクG)が少しかがんだだけで、クラスの平均身長(日経平均)は急降下したが、クラス全員の体重(TOPIX)は、他の子たちがしっかり食べて体重を増やしていたため、むしろ微増した——そんな構図である。

このメタファーをさらに推し進めると、日経平均の「除数」はクラスの人数調整に似ている。転校生が来たり(銘柄入れ替え)、ある子が急に背が伸びたり(株式分割)すると、そのままでは連続性が失われる。そこで、見えない「補正係数」をかけて、前日と同じ土俵で比べられるようにしている。しかし、根本的に「身長の高い子」の発言力が強い構造は変わらない。これが、今日のような「背の高い子のちょっとした動きで指数が大きく揺れる」現象を生むのだ。

流れはこう
1
値がさ株(ソフトバンクG・半導体)が下落
利益確定売りや米SOX安の連想
2
日経平均が大きく下落
株価平均型のため値がさ株の下落が指数を直撃
3
大半の中小型株は上昇
国内景気や業績への期待から買われる
4
TOPIXはプラス圏を維持
時価総額加重型のため値がさ株の下落を他銘柄の上昇が相殺

「値がさ株」の罪と罰——ソフトバンクGで実演してみる

NHKwww3.nhk.or.jp· 2026-07-06
株価 小幅に値下がり AI・半導体関連に売り注文

この日の主役は、間違いなくソフトバンクグループだ。前週末比で約3%下落し、株価は5979円程度(7月6日時点)。日経平均への寄与度はマイナス120円ほどと試算される。たった1銘柄が、日経平均824円安の15%近くをひとりで引き起こした計算だ。これが株価平均型の恐ろしいところ。もしソフトバンクGが10%下落していたら、日経平均はさらに300円以上押し下げられていたかもしれない。

ソフトバンクグループ
9984
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売上
7.80兆円
時価総額
28.1兆円

たとえば、日経平均構成銘柄の平均株価が3000円だとして、ソフトバンクGの株価は約6000円。この2倍の差が、指数への影響力の差になる。平均的な銘柄が10%下落しても指数への影響は限定的だが、ソフトバンクGが10%下落すると、その2倍の力で指数を押し下げる。なぜ2倍か——それは単純に、価格が2倍だからだ。日経平均の計算式では、各銘柄の株価を合計してから調整する。つまり、6000円の銘柄が600円下がるのと、3000円の銘柄が300円下がるのでは、合計額へのインパクトが2倍違う。

これが「値がさ株効果」だ。株価が高い銘柄ほど、たった1社の値動きが日経平均全体を動かしてしまう。しかも、日経平均は構成銘柄の入れ替えを定期的にするが、一度組み込まれた値がさ株が分割でもしない限り、この構造は変わらない。ソフトバンクG以外にも、ファーストリテイリングや東京エレクトロンなど、値がさ株はほかにも存在する。今日は半導体関連の値がさ株も同時に売られたため、相乗効果で日経平均の下げ幅が拡大した。

一方、TOPIXでソフトバンクGを見ると、時価総額は約10兆円。東証全体の時価総額に対する割合で考えれば、もちろん影響力はあるが、日経平均ほどの「主人公感」はない。時価総額で見れば、トヨタ自動車の30兆円超には遠く及ばず、全体に占める比重は数%程度。今日のように半導体・AI関連の一部が売られても、他の2000以上の銘柄が買われていれば、指数は踏みとどまれる。まさに「体重計」の強みだ。

ここで、実際の数字を翻訳してみよう。ソフトバンクGの120円の寄与度は、日経平均824円安の約14.6%にあたる。もしこの1銘柄が引けにかけて下げ渋り、下落率が1%に縮小すれば、日経平均の下げ幅は80円ほど縮まる計算だ。逆に、さらに売られて5%下落すれば、寄与度は200円近くに膨らむ。たった1銘柄の値動きが、指数を100円単位で動かす——これが値がさ株のリアルな威力である。

なぜ海外投資家が日経平均先物を売ると、あなたの小型株が下がるのか

ここでもう一歩踏み込む。今日の日経平均急落は、海外投資家の先物売りが引き金とみられる。米SOX指数が前週末に5.44%の急落。半導体比率の高い日経平均先物を、リスク回避のために売るのは合理的な行動だ。実際、前週末のシカゴ日経平均先物は大阪比で大きく下落しており、東京市場が開く前から「今日は下げる」という地合いは出来上がっていた。

問題は、その「先物の売り」が現物株全体に波及するメカニズムだ。裁定取引という仕組みで、先物が売られて先物価格が下がると、割安になった先物を買って割高な現物を売るという取引が機械的に発生する。なぜ機械的かといえば、この取引には理論価格からの乖離を瞬時に計算するプログラムが使われるからだ。人間の判断を介さず、コンマ1秒の世界で現物株に売り注文が飛ぶ。

この現物売りが、本来は無関係な内需株などにも及ぶ。なぜなら、裁定取引は日経平均先物の対象である「日経平均採用銘柄」全体をバスケットとして売買するからだ。ついでに、TOPIX先物にも裁定売りが波及し、時価総額の大きい銘柄にも売りが広がる。しかし、今日のTOPIXはプラスだった。つまり、裁定売りの圧力よりも、現物を買いたいという実需の力が上回ったと考えられる。

今日の東京市場で起きたのは、まさにこの「巻き添え」だろう。でも、冷静に材料を見れば、半導体以外の銘柄には特段の悪材料はない。むしろ国内景気や企業業績は堅調だ。実際、5月の機械受注や6月の景気ウォッチャー調査は市場予想を上回っている。だからこそ、TOPIXはプラスを維持し、値上がり銘柄が多かった。日経平均の下げに慌てて売る必要はなかった、というのが事後的な解釈だ。

ここで、過去の似た事例を思い出そう。2020年11月、コロナワクチン開発期待で日経平均が急騰したときも、実はTOPIXの上昇率は半分以下だった。値がさハイテク株だけが買われ、多くの内需株は置き去りだった。さらに遡れば、2013年のアベノミクス相場でも、円安メリットの輸出関連株が日経平均を押し上げる一方、内需株は出遅れた。指数の歪みは、強気相場でも弱気相場でも顔を出す。今日のねじれは、その歴史の一コマにすぎない。

結局、どっちを見ればいいのか——正しい指数の使い分け

答えは「両方」だ。片方だけ見ると、市場の半分しか見えていない。今日のような日は、日経平均を見て「日本株は全面安」と早合点した人が一番損をした。売らなくていい株を売ってしまうからだ。実際、日経平均が800円超の下落を記録したのを見て、小型株まで投げ売りした個人投資家は少なくないだろう。

実践的なチェックポイントはこうだ。日経平均が大きく動いたら、すぐにTOPIXの騰落状況、値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の差を見る。具体的には、東証の「騰落レシオ」や「値上がり銘柄数」をリアルタイムで確認する習慣をつけるといい。これらが日経平均と同じ方向なら、ほんとうに市場全体が動いている。逆なら、値がさ株の独り相場だ。今日はまさに後者で、値上がり銘柄数が7割を超えていた。

日経平均 今回の下落幅
824円
約1.2%の下落
TOPIXの動き
プラス圏
前週末比上昇
値上がり銘柄数
値下がりを上回る
市場全体の約7割が上昇

もう一つ、自分の持ち株が日経平均やTOPIXのどこに位置するかを意識する。もし小型バリュー株中心なら、日経平均よりTOPIX(特に小型株指数)の方が実態に近い。逆に、値がさグロース株を多く持つなら、日経平均の動きから目が離せない。具体的には、自分のポートフォリオを「値がさ株比率」と「時価総額分布」で分類し、どちらの指数に感応的かを把握しておくと、無駄な狼狽売りを防げる。

最後に、指数の歪みはチャンスでもある。今日のように、実態よりも指数が下げすぎたとき、内需株などに割安感が出る。逆に、指数だけが上がって自分の持ち株が動かないときは、物色の偏りを感じ取れる。たとえば、2021年のハイテクラリーでは、日経平均の上昇に乗り遅れたバリュー株がその後大きく見直された。要するに、指数と個別株の「ずれ」こそが、次の投資のヒントだ。

今日の東京市場は、まさに「指数リテラシー」を試す日だった。日経平均という体温計が熱を出していても、体全体(TOPIX)は平熱だったのだ。次にこのねじれが起きたとき、あなたはきっと、画面の前でほくそ笑めるはずだ。「ああ、今日は値がさ株がかがんだだけだな」と。

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