半導体に中東リスクが重なった一週間
AIバブルへの懐疑とイラン情勢の緊迫が、週末の市場を襲った。日経平均は週間で過去最大の下落幅を記録し、原油は急騰。ハイテク株の重しとなったのは「戦争リスク」だ。
今週は、半導体株を中心にした売りが世界の市場を覆いました。中国の廉価AIモデルの衝撃が再燃し、ハイテク投資の「費用対効果」への疑念が広がった形です。ただ、週後半の下落幅を大きくしたのは、イラン情勢の緊迫化。ホルムズ海峡の船舶航行が滞り、原油価格が跳ね上がると、企業のコスト増を警戒するムードが広がりました。
そんな中、普段は地味なエネルギー株が逆行高。半導体と石油、まるでシーソーのような一週間でした。日経平均の下げ幅は一時4100円超と、歴史に残る荒れ模様。もっとも、これは「上がりすぎた相場の調整」とも言え、月末の決算発表や中東の停戦協議の行方が、来週の潮目を決めそうです。
日経平均、週間で過去最大の下げ幅に
17日の日経平均は前日比2694円安の6万4141円。取引時間中の下落幅は一時4100円を超え、過去3番目の大きさだった。半導体関連株への売りが集中し、キオクシアホールディングスは16%安でストップ安。先月60兆円あった同社の時価総額は28兆円に縮んだ。
「AI特需」の期待で買われた銘柄ほど、疑念が生じたときの反動は大きい、という相場の原則通りの動きです。
冷凍食品のニチレイ、サイバー攻撃で出荷に遅れ
冷凍食品大手のニチレイでサイバー攻撃によるシステム障害が発生し、倉庫からの出庫に支障が出た。17日から順次再開したが、完全な正常化は来週中を目指す。外食チェーンやスーパーへの影響も一部で出ている。
在庫を極力持たない日本のサプライチェーンにおいて、大手物流の停止が即座に店頭に響く脆弱さが改めて浮き彫りになりました。
キオクシア、米で約371億円の賠償を命じられる
半導体メモリー大手のキオクシアは、製品の一部が特許を侵害したとして米国で約371億円の賠償を命じる陪審評決を受けた。同社は「到底容認できない」と控訴する方針を発表。訴訟は5年前に申し立てられていた。
メモリー市況の波に加え、巨額の訴訟リスクが浮上。AI向け需要の追い風で脚光を浴びたキオクシアにとって、新たな逆風です。
コメ価格が3週連続で下落、5キロ3403円に
全国のスーパーで7月12日までの1週間に売られたコメの平均価格は、5キロあたり税込み3403円と、前週比55円安だった。下落は3週連続で、約1年9か月ぶりの低水準となる。
猛暑や高温障害のニュースがありつつも、流通量が増えて価格は落ち着き始めました。家計にはようやく一息つける材料です。
AI投資への疑念で米ハイテク株が続落、ナスダック1.4%安
17日の米国株市場は続落。ナスダック総合指数は1.4%下落し、ダウも406ドル安で引けた。ネットフリックスが7%安となるなどハイテク株が総じて売られた。中国発の廉価AI技術が、巨額投資の採算性に対する不安を再燃させた格好だ。
「AIにお金を使いすぎではないか」という疑問が市場を支配し始めています。来週の企業決算で、投資家を納得させる答えが出せるかが焦点です。
戦争リスクで原油高、エネルギー株だけが逆行高
イラン情勢の緊迫化を受け、ホルムズ海峡の船舶通行量が激減。原油価格の上昇が続き、米国のガソリン価格も急騰している。この流れを受け、S&P500の業種別ではエネルギー株が唯一の上昇となった。
中東の地政学リスクが、インフレの沈静化を願う市場にとって新たな大きな変数として浮上しています。石油高は企業業績の幅広い重しになるため、警戒が必要です。
アップル、時価総額でエヌビディアを一時逆転
AI半導体の雄エヌビディアの株価が軟調となる中、17日の市場でアップルが一時的に企業価値世界一の座を奪還した。AIへの投資が過熱する一方で、収益への貢献がいまだ不透明なことへの市場の懐疑が表れた。
「AIの未来」より「足元の現金収入」を市場が選んだ瞬間です。技術の主役が、いつの間にか交代している可能性も示唆します。
米国株の取引時間が23時間に拡大へ、12月から
インターコンチネンタル取引所が、S&P500構成銘柄など優良株を対象に、ほぼ24時間の取引枠を12月から設けると発表した。東京市場が休んでいる時間帯にも米国株の売買が可能になり、日本株への資金流入が細る可能性がある。
世界中の投資マネーが「いつでも米国株」に流れる環境が整うことは、日本市場にとって静かな脅威です。
AIバブルの揺らぎと戦争リスク
日経平均が1週間で過去最大の下げ幅を記録した。
17日の終値は6万4141円。前日比2694円安である。
とりわけ半導体関連の下げがきつく、キオクシアは16%安でストップ安。先月60兆円あった時価総額は28兆円に縮んだ。
この急落、前兆はあった。
先週12日の紙面には「復活の半導体、日経は6万8557円」の文字。だが13日には「AIレースが生んだ歪み」と題し、米国ではエヌビディア包囲網の動きを報じている。
16日には「半導体に一服の冷や水」としてSOX指数の下落を伝え、米国ではIBMが24%急落した。
つまり今週の暴落は、AI投資への熱狂が徐々に冷める流れの延長線上にある。
そこへ中東リスクである。
ホルムズ海峡の航行量激減で原油高が進み、物価と金利の重しがハイテク株にのしかかった。
「戦争リスク」と「AIバブルへの懐疑」が重なった一週間だった。
市場は今、技術の未来より足元の現金を選び始めている。
17日の米国市場では、アップルがエヌビディアの時価総額を一時逆転したのもその表れだ。
来週以降、企業がAI投資の成果を数字で示せなければ、資金の引き揚げは加速するとみる。
半導体銘柄を多く含む日本株にとって、しばらくは神経質な相場が続くだろう。