半導体の夏が来た、NYでSOX指数5%高
東京市場で日経平均が3.3%高となった流れは、ニューヨークへも伝わりました。半導体関連株が買われ、SOX指数は5%超の上昇。ただ、為替は163円台と約39年半ぶりの円安水準に沈み、物語は単純なご祝相場ではなさそうです。
東京で「半導体の雪崩はいったん止まった」と映った火曜日。その熱はニューヨークへ飛び火し、SOX指数が5.2%高。マイクロンは12%も跳ねました。市場は「メモリー冬の時代」を早くも過去形にしたがっていますが、浮かれすぎは禁物です。この上昇は「下げすぎたから買い戻した」という実体で、需要が爆発したわけではありません。
一方、ドル円は163円台へ。イラン情勢の緊迫を理由に「有事のドル買い」が進み、約39年半ぶりの円安水準です。輸出企業には追い風でも、ガソリンや食料品の値上がりを通じて家計に届く向かい風は強まるばかり。政府が発表した「骨太の方針」も、円安・金利高という現実の前に、早くも修正を迫られる場面がありました。
きょうの東京市場は、このNY高と円安の二つの材料で始まります。朝方のシカゴ日経平均先物は6万7270円と、すでに高値警戒感すら漂う水準。半導体株の買いが一巡した後、為替の追い風を受ける自動車や機械株に広がるかどうかが焦点です。また、国内ではニチレイへのランサムウェア攻撃の影響が広がっており、サプライチェーンの混乱にも注意が必要です。
「骨太の方針」決定も、市場は円安と金利高で洗礼
政府は21日、高市政権として初の「骨太の方針」を決定しました。17分野で2040年度までに官民投資370兆円超を目指す成長戦略です。しかし、焦点となった日銀の独立性に関する記述が二転三転。市場では長期金利の上昇と円安が進み、「骨太ショック」との批判が出ていました。最終的に「政府・日銀の連携」と「日銀の独立性」を両記する形で決着しました。
成長戦略の内容より、政府の「市場との対話力」が問われた一日でした。金利ある世界では、政策のぶれがすぐに為替や株価に跳ね返ります。高市政権の真価は、この対話を続けられるかどうかです。
首都圏の新築マンション、ついに平均1億円超え
不動産経済研究所の調査で、2026年上半期の首都圏新築マンション平均価格が1億135万円となり、上半期として初めて1億円を超えました。都心の高額物件がけん引し、前年同期比でも上昇。建築費の高騰や円安による建材費の上昇が背景にあります。
「マンションはもはや普通の会社員には手が届かない」という現実を数字が裏付けました。こうした資産価格と実体経済の乖離は、金利上昇局面でいつ修正されてもおかしくありません。
エアコン特需の裏に「2027年問題」、駆け込み需要が本格化
6月までの半年間のエアコン国内出荷額が前年同期比21%増となりました。いわゆる「エアコン2027年問題」、つまり冷媒の規制強化により現在の製品が生産できなくなる前の駆け込み需要が本格化しています。家電量販店では高機能機種を中心に動きが活発です。
買い替えを急ぐ動きは、家計に「今のうちに」という心理が広がっている証拠。来年以降の反動減に加え、値上げ疲れで耐久消費財全体にブレーキがかかる可能性も視野に入ります。
ケンタッキーが通常営業再開、ニチレイへのサイバー攻撃に犯行声明
ニチレイのシステム障害で営業時間短縮を強いられていたケンタッキーフライドチキンが、22日から全店舗で通常営業を再開しました。一方、ニチレイへの攻撃をめぐっては、身代金要求型ウイルス「ランサムウェア」を使うハッカー集団が犯行声明を出したことが明らかになっています。冷凍食品や外食チェーンのサプライチェーンに波及した今回の事案は、食品業界のサイバーセキュリティの弱点を浮き彫りにしました。
「冷凍庫が止まったらハンバーガーが焼けない」という現代の脆弱性です。工場のIT化が進むほど、サイバー攻撃は経営リスクの主役になります。対策コストの増加は、企業の値上げ圧力を強める一因になるでしょう。
NY市場が反発、半導体株に買い戻しの波
21日の米国株式市場では、NYダウが385ドル高、S&P500は0.9%高と反発。特に半導体株の上昇が目立ち、SOX指数は5.2%高。下げ止まり感から買い戻しが入った格好ですが、決算を控えたエヌビディアなど主力銘柄への期待も背景にあります。マイクロンは12%高で時価総額1兆ドル台に復帰。市場では「AI需要はまだ健在」との見方が広がっています。
半導体の急回復は、先行きへの期待よりも「下がりすぎた反動」と割り切るのが賢明です。今週はテック大手の決算が本格化します。ここで数字が伴わなければ、再び冷や水を浴びせられる展開も十分にありえます。
円安が止まらない、一時163円台で約39年半ぶり
ニューヨーク外国為替市場で円相場が一時1ドル=163円台に下落し、約39年半ぶりの円安水準を更新しました。イランの情勢緊迫を背景に、安全資産と見なされるドルを買う動きが加速。日米の金利差は依然大きく、円の戻りを阻んでいます。政府・日銀の「骨太方針」決定後も、市場は円安・金利高の流れを変えていません。
この円安、輸出企業には利益を押し上げる「果実」ですが、輸入物価を通じて生活必需品の値段をじわじわ上げます。金融政策だけで止められない為替変動に、政府の「成長戦略」がどう立ち向かうのかが問われそうです。
イラン情勢が原油高を招く、ガソリン価格もじわじわ
イランをめぐる地政学リスクの高まりで、ホルムズ海峡の通航に支障が出るのではとの懸念がくすぶっています。これが原油先物の上昇要因となり、米国内のガソリン平均価格は再び1ガロン4ドルに近づく地域も出てきました。ウィスコンシン州ではすでに4ドルを突破。夏のドライブシーズンに逆風です。
原油高は、単にガソリン代がかさむ以上の影響を世界にもたらします。輸送コストが上がり、あらゆる商品の価格を底上げする「静かな増税」です。FRBが利下げを急げなくなる理由の一つにもなります。
テキサスが「米国チップ首都」を目指す理由
米国テキサス州が、半導体製造の一大拠点を目指して大規模な投資を呼び込んでいます。既にサムスン電子やテキサス・インスツルメンツが巨額の工場建設を進めており、州政府は税制優遇などで支援。背景には、米国本土でのチップ供給網の重要性が高まっていることがあります。
シリコンバレーからテキサスへ。半導体地図の書き換えが進めば、土地や水、電力といった資源をめぐるせめぎ合いが激しくなります。これは「国土強靭化」の名の下に国内回帰を進める日本にとっても対岸の火事ではありません。
円安が映す、金融政策だけでは動かせぬ為替
為替市場で、円が一時1ドル=163円台をつけた。約39年半ぶりの安値だ。
先週から円は一貫して弱い。背景の一つは、日本の長期金利上昇ですら円買いを誘わなかったこと。今月は「骨太の方針」策定の過程で政府と日銀の関係が揺らぎ、かえって円が売られた。金融政策の正常化だけでは為替は動かない。
もう一つの要因はイラン情勢だ。ホルムズ海峡への懸念が原油高を呼び、ドル買いを促している。ドルは「有事の安全資産」として買われる。円にも安全資産の顔はあるが、今回は日米の金利差という重力に勝てなかった。
つまり、現在の円安は「日本の弱さ」というより、「ドルの強さ」を映している面が強い。イランリスクが和らげば、円が買い戻される展開も考えられる。だが、その戻りは限定的だろう。
なぜなら、米国ではインフレの鈍化が確認されても、FRBがすぐに利下げへ転じるとは限らない。原油高が再び物価を押し上げる可能性があるからだ。日銀も動きにくい。ここに「金利ある世界」の難しさがある。
結局、為替は二つの国の金利差だけでなく、地政学と物価の相互作用で決まる。企業の決算には追い風でも、輸入品を通じて家計をじわじわと締め上げる円安。この歪みがどこまで許容されるかは、高市政権の対話力次第だと筆者はみる。