半導体急落の翌朝、NYは反発。円は158円台
東京市場で半導体株が大きく売られた翌朝、ニューヨーク市場は米財務省の国債買い入れ拡大を背景に反発しました。景気の心配と金利の綱引きが、今朝の円相場158円台にも映っています。
昨日の東京市場は、半導体株を中心に大きく売られました。日経平均は3.16%安の6万5326円。下落幅は2134円に達しました。ところがニューヨーク市場は一転、ダウ平均が119ドル高と反発しました。米財務省が国債の買い入れを増やすと発表し、長期金利が下がったことが支えです。金利が下がると、お金を借りやすくなり、景気を支える力が働きます。半導体関連のSOX指数はなお2%安でしたが、市場全体の雰囲気は和らぎました。
今日の焦点は、東京の半導体株がニューヨークの流れを引き継げるかです。円は158円台まで強含みました。輸出企業には追い風ですが、半導体のような値がさ株の動きは金利の動向に左右されがちです。
ご当地企業の上場廃止、狙いは再出場
ボードルアが、投資会社ビーシーピーイー ネオン ケイマン エルピーによるMBOを発表しました。MBOとは、経営陣が自社株を買い取って非公開化することです。ボードルアの時価総額は約976億円。株主には株式の売却を推奨しています。
非公開化して経営の自由度を高め、数年後に再上場を狙う動きが増えています。上場企業のままだと難しい大胆な改革が、非公開ならしやすくなるためです。
日立が投資先売却で得た特別利益
日立は、個別決算で投資有価証券の売却益を特別利益として計上すると発表しました。金額は明らかにしていませんが、時価総額23兆円を超える大企業の資金繰りは、より楽になります。
日立は、本業以外の資産を売って資金を得ることがあります。こうした特別利益は一時的なものですが、今後の設備投資や株主還元に使われる可能性があります。
キヤノン、自分の株を市場で買い戻す
キヤノンは、立会外取引で自己株式を買い付けると発表しました。市場が開いている時間外に、特定の株主から自社株を買い取る仕組みです。発行済み株式の数を減らして、1株あたりの価値を高める効果があります。
キヤノンの時価総額は約6兆円。潤沢な手元資金を株主に還元する姿勢の表れです。こうした自社株買いは、東証が進める企業統治改革の流れに沿った動きでもあります。
eMAXIS Slimが投信最大の8000億円に
日本株に投資する投資信託「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」の純資産額が8000億円を超えました。個人投資家の資金が、この投信に集中しています。
NISAの普及で、コストが低いインデックス投信にお金が集まる流れが続いています。個人が「安くてシンプルな投資先」を選ぶ時代の象徴です。
アメリカの借金、ついに40兆ドル突破
アメリカ政府の借金が40兆ドル、日本円でおよそ6000兆円を超えました。10年前と比べると倍増です。トランプ政権とバイデン政権の下で、財政出動が相次いだ結果です。
借金が増えると、国債を買う人に高い金利を払わなければならなくなり、市場の金利全体を押し上げます。アメリカの金利上昇は、日本の株や為替にも影響します。
米財務省、国債買い入れで金利抑制へ
アメリカの財務省は、国債の買い入れを今秋から倍増すると発表しました。市場で売られている国債を政府が買い戻すことで、価格を下支えし、金利の上昇を抑える狙いです。
政府が国債を買い戻すのは、投資家の不安を和らげる一手です。長期金利の上昇が企業の借り入れコストを増やし、株価の重荷になるのを防ぎたい事情があります。
米金融当局、利上げ支持がじわり拡大
アメリカの中央銀行にあたるFRBの議事要旨で、物価上昇が続くなら利上げが必要だという意見が増えたことが分かりました。お金を借りる際の金利を引き上げ、景気を少し冷まそうという考えです。
利上げは日本株にも影響します。アメリカの金利が上がると、ドルが買われやすくなり、円安につながります。一方で、金利上昇は企業の資金調達コストを増やします。
FOMC会合、年8回から年6回へ?
FRBのウォーシュ議長が、金融政策を決める会合の回数を年8回から6回に減らす案に言及しました。会合の回数を減らすことで、政策を深く検討する時間を増やせるとしています。
会合の回数が変わると、市場の反応パターンも変わるかもしれません。重要な発表のタイミングが減れば、投資家の注目がより集中することになります。
米国債市場、静かなターニングポイント
東京市場で半導体株が大きく売られた翌朝、ニューヨーク市場は反発した。米財務省が国債買い入れの倍増を発表したことが材料視された。しかし半導体の急落とNYの反発の陰で、もっと地味で、しかしかつてない規模の数字が動いている。アメリカ政府の借金が40兆ドルを超えた。
40兆ドルは日本円でおよそ6000兆円。10年前と比べると倍増である。ここ2週間の紙面を追うと、この数字は一晩で現れたものではないことが分かる。8月12日には「米国債の買い手に異変、利回りが数十年ぶり高水準に」という見出しが並び、17日には「米国の『静かなデフォルト』論が浮上」と報じられた。国の借金が増え続けるとき、誰がその借金を引き受けるのか、という問いが市場の底流に流れている。
財務省の買い入れ倍増は、市場の不安を和らげるための対症療法である。政府が自らの借金を買い戻すことで、金利の上昇を抑えようとしている。だが、その借金を支える資金がどこから来るのかといえば、最終的には投資家の国債離れを引き起こしかねない。8月13日の紙面には「米国債の買い手に異変」とあった。買い手が細る相場で政府が買い支える構図は、需要の弱さを裏返しに示している。
その影響は、円相場158円台という数字にまで及ぶ。アメリカの金利が上がれば、ドルが買われやすくなり、円安につながる。円安は輸入物価を押し上げ、ガソリンや食品の値段をさらに膨らませる。8月13日の紙面は「米ガソリン価格、記録的な高さに」と報じた。アメリカは原油高と金利高の両方に直面している。
市場がこの線をどう読むか。筆者は、国債買い入れの倍増は短期的な鎮静剤だとみる。金利上昇の根本である借金の膨張と買い手不足を解消しない限り、長期金利は再び上がり始めるだろう。そしてその波は、日本の住宅ローンや企業の設備投資の金利にも、時間差で及ぶ。読者の家計が最初に気づくのは、変動金利の上昇という形かもしれない。静かな数字の変化は、いずれ毎朝の生活を少しずつ変えていく。