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日経平均64,325.64-1,890NYダウ52,965.38+199ドル円158.86-1NASDAQ26,205.58+106S&P 5007,665.62+34SOX 指数11,344.26+569/2終値

中外製薬

CHUGAI PHARMACEUTICAL CO., LTD.4519 · Prime · 医薬品

中外製薬は、スイスのエフ・ホフマン・ラ・ロシュと緊密な関係を持つ日本発の医薬品企業。研究開発型のスペシャリティファーマとして、がん領域を中心に革新的な医薬品を国内外へ供給している。

概要

中外製薬は、1925年に創業した医薬品の輸入販売業を起源とする大手製薬企業である。2002年にスイスのエフ・ホフマン・ラ・ロシュと戦略的アライアンスを結び、同社の傘下に入った。がん領域を中心に抗体医薬品を多数保有し、2025年12月期の売上収益は1兆2,579億円、営業利益は5,988億円、従業員数は7,872人に達する。国内販売に加え、ロシュ向け輸出を含む海外売上が6,054億円と全体の約半分を占める。

オンコロジーとスペシャリティの2本柱で構成される事業

中外製薬の事業は、連結財務諸表上、単一セグメント「医薬品事業」として報告されるが、国内製商品売上高はオンコロジー領域(抗がん剤)とスペシャリティ領域(主に免疫・眼科・血友病など)に二分される。2025年12月期の国内製商品売上高4,724億円のうち、オンコロジー領域が2,465億円(前年比0.5%減)、スペシャリティ領域が2,258億円(同5.8%増)であった。主力品のうち、抗VEGF抗体「アバスチン」は後発品浸透と薬価改定で減少したが、眼科用二重特異性抗体「バビースモ」、抗IL-6受容体抗体「エンスプリング」、抗血液凝固因子抗体「ヘムライブラ」は伸長した。新製品の抗補体C5抗体「ピアスカイ」や抗HER2配合皮下注「フェスゴ」も売上に寄与している。

親会社ロシュへの輸出が海外売上の大半を占める

海外製商品売上高は6,054億円(前年比12.8%増)で、全体の56%を占める。そのほとんどがスイスの親会社エフ・ホフマン・ラ・ロシュへの輸出であり、主力品「ヘムライブラ」と「アクテムラ」が伸長した。欧州では中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッドが販売統轄会社として機能し、英国、フランス、ドイツに販売子会社を持つ。台湾では台湾中外製薬股份有限公司、中国では日健中外製薬有限公司が販売・学術情報提供を行い、泰州日健中外製薬工業有限公司が生産を担う。また、米国には開発・申請業務を行う中外ファーマ・ユー・エス・エー、シンガポールには研究拠点である中外ファーマボディ・リサーチが置かれている。

研究開発費1,801億円を投じる創薬体制

中外製薬の2025年12月期の研究開発費は1,801億円で、売上収益比14.3%に相当する。研究開発は日本国内の富士御殿場研究所(静岡県)を中心に、海外子会社と連携して行われる。創薬の方向性は、抗体工学を中核とし、二重特異性抗体やpH依存性結合技術などの独自技術を活用する。開発プロジェクトの進展に伴い、費用は前年比1.8%増加した。また、ロシュとのアライアンスにより、ロシュの充実したパイプラインを日本市場に導入する一方、自社創製品の後期開発や販売ではロシュのグローバルプラットフォームを利用するビジネスモデルを採っている。これにより、研究開発の生産性向上を図っている。

グループ全体で15社の子会社を擁する企業集団

中外製薬を中心とする企業集団は、連結子会社15社と親会社の子会社2社で構成される。国内では、製造を担う中外製薬工業、研究業務委託先の中外医科学研究所、臨床開発業務委託先の中外臨床研究センター、事務処理業務を請け負う中外製薬ビジネスソリューションが主要子会社である。海外では、欧州に販売統轄会社と各国販売会社、米国に開発・投資機能を持つ中外ファーマ・ユー・エス・エー、シンガポールに研究会社、台湾と中国に販売会社を有する。さらに、中外ベンチャー・ファンド・エルエルシー等を通じてスタートアップへの投資活動も行っている。2025年11月にはレナリスファーマ株式会社を取得し、同年12月に吸収合併した。

業界の中での役割は医薬品業界における研究開発型メーカー。ロシュグループの一員として、グローバルな開発・製造・販売ネットワークを活用する。にあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

売上高
1.3兆円
営業利益
5,988億円
営業利益率
47.6%
純利益
4,340億円
2025/12 通期の連結業績。決算の内訳は最新の決算以降にあります。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2026/3期)より

01がん・免疫領域主力

国内外のがん患者や医療機関向けに、抗体医薬品を中心とした高額な革新的医薬品を提供。ロシュの子会社であるジェネンテックとの連携により、世界水準の開発力を活かし、日本国内では特約店を通じて販売。欧州や米国ではロシュのネットワークを活用し、世界的な販売網を構築している。

主要顧客医療機関、特約店

主な製品・サービス1
抗体医薬品(リツキサン、ハーセプチン、アバスチン、タルセバ等)
がん治療における重要な選択肢となるバイオ後続品や抗体医薬品。特定のがん細胞を標的とし、副作用を抑えながら効果を発揮する。特に、乳がんや大腸がん、悪性リンパ腫などで高い治療効果が期待される。

02希少疾患・難病領域準主力

患者数の少ない難病や希少疾患向けに、開発済みまたは開発中の革新的医薬品を提供。特に、血友病や遺伝性疾患などで、遺伝子治療や抗体医薬品などの新たな治療選択肢を届けている。

主な製品・サービス1
遺伝子治療薬(ゾルゲンスマ等)
遺伝子の異常を修復することで根本的な治療を目指す薬剤。高い治療効果を持つ一方、患者ごとに個別化が必要で、専門性の高い医療機関で投与される。

03海外市場(欧州・米国・アジア)準主力

ロシュグループのネットワークを活用し、日本で開発した医薬品を欧州、米国、アジア各国で販売。特に、欧州では販売統轄会社を通じ、米国ではロシュの子会社であるジェネンテックと共同販売を行っている。

04ライフサイエンス・研究支援その他

医薬品開発を支援するため、関連会社に研究業務や事務処理業務を委託。中外医科学研究所では研究業務の一部を、中外臨床研究センターでは臨床開発業務の一部を委託しており、グループ全体の効率的な研究開発を支える。

製品と技術

アクテムラとアバスチンが牽引する大型抗体医薬品

中外製薬の収益を長年にわたり支えてきたのは、ヒト化抗IL-6受容体モノクローナル抗体「アクテムラ(一般名:トシリズマブ)」と、抗VEGFヒト化モノクローナル抗体「アバスチン(一般名:ベバシズマブ)」である。アクテムラは関節リウマチ、全身性若年性特発性関節炎、COVID-19関連肺炎などに適応を持ち、ロシュを通じてグローバルに販売されている。アバスチンは大腸癌、肺癌、乳癌など複数のがん種で承認され、国内では後発品浸透により売上は減少傾向にあるが、依然として主力製品の一つである。両製品ともにロシュとの協業により開発・販売が行われ、中外製薬の抗体医薬品プラットフォームの基盤を形成した。

二重特異性抗体技術を応用したヘムライブラとバビースモ

中外製薬は二重特異性抗体技術において独自の強みを持つ。血液凝固第VIII因子機能代替製剤「ヘムライブラ(一般名:エミシズマブ)」は、抗血液凝固第IXa因子と第X因子に同時に結合する二重特異性抗体で、血友病A患者の出血発作を予防する。2025年12月期の海外売上高を大きく伸ばし、ロシュ向け輸出の主力となっている。眼科領域では、抗VEGFと抗Ang-2の二重特異性抗体「バビースモ(一般名:ファリシマブ)」が加齢黄斑変性症などに用いられ、国内スペシャリティ領域の成長を牽引する。これらの製品は、抗体工学による分子設計の革新が実用化につながった例である。

pH依存性結合技術を活用したエンスプリングとピアスカイ

中外製薬は独自のpH依存性結合技術(リサイクリング抗体技術)を複数の製品に応用している。抗IL-6受容体抗体「エンスプリング(一般名:サトラリズマブ)」は、pH依存的に抗原に結合することで、従来の抗体より長時間にわたりIL-6シグナルを抑制し、投与間隔の延長を可能にした。関節リウマチや全身性強皮症などに適応を持つ。同じ技術を応用した抗補体C5抗体「ピアスカイ(一般名:クロバリマブ)」は発作性 nocturnal ヘモグロビン尿症および全身性重症筋無力症を適応とし、2025年3月に発売され好調に市場浸透している。これらの製品は、薬物動態の改善により患者負担軽減を実現している。

配合皮下注剤フェスゴと新規二重特異性抗体ルンスミオ

2025年3月に発売された「フェスゴ」は、抗HER2抗体パージェタ(一般名:ペルツズマブ)とトラスツズマブにヒアルロン酸分解酵素を配合した皮下注製剤で、乳癌治療における投与時間短縮を実現した。パージェタの静脈注射からの置き換えが進み、売上を大幅に伸ばしている。また、同月に発売された「ルンスミオ(一般名:モスネツズマブ)」は、抗CD20と抗CD3の二重特異性抗体で、再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を適応とする。T細胞をリクルートして腫瘍細胞を攻撃する機構を持ち、新たながん免疫療法の選択肢として市場浸透が進んでいる。これらの新製品は、中外製薬の研究開発パイプラインの豊富さを示している。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

医薬品のなかでの位置

スイス系製薬で国内首位、がん領域に強みを持つ高収益体質

当社は国内有数の研究開発型製薬会社で、特にがん領域に強みを持つ。親会社であるロシュの支援を受け、売上高は約1.2兆円、営業利益率は46%と非常に高い収益性を誇る。同業他社ではジーエヌアイグループなどが挙げられるが、規模と利益率では圧倒的な差がある。当社の強みはパイプラインの豊富さと、抗体医薬などの先端技術。しかし、がん領域への依存度が高く、新薬の開発成功が業績を大きく左右する。また、国内特許切れによる後発品の影響や、海外市場での競争激化が課題。

強み

  • 営業利益率40%超と製薬業界でもトップクラス。効率的な研究開発と販売体制を構築。
  • 抗悪性腫瘍剤で国内シェア首位。多数の画期的新薬を保有し、成長を牽引。
  • 親会社ロシュの研究開発資源を活用可能。グローバルな治験ネットワークを持つ。
  • 抗体医薬品の研究開発で世界有数の技術。次世代の治療薬を多数開発中。

課題

  • 売上の約7割ががん。他領域の育成が急務で、ポートフォリオの多様化が必要。
  • 主要製品の特許切れにより、後発品との競争が激化。新薬の開発スピードが重要。
  • 海外売上比率は低く、グローバル市場でのシェア拡大が課題。規制や現地適合が難しい。

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

医薬品の時価総額近傍。太字が中外製薬

時価総額で並べると、掲載6社のなかで1番目にあたる。

#企業時価総額PER
14519中外製薬11.5兆円23.9倍
24502武田薬品工業9.3兆円
34578大塚ホールディングス6.6兆円15.9倍
44568第一三共5.5兆円20.6倍
54503アステラス製薬4.3兆円14.7倍
64507塩野義製薬2.7兆円12.4倍

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は東証33業種の分類に従っています。

会社の歴史

沿革 35件

輸入販売業から医薬品製造へ転換した創業期

中外製薬の起源は、1925年3月に上野十蔵が創業した中外新薬商会にある。当初は医薬品の輸入販売を主業務としていたが、2年後の1927年に自社での医薬品製造に着手し、メーカーへの道を歩み始めた。1943年3月には株式会社に組織変更し、商号を中外製薬株式会社(本社・東京都)と定めた。翌1944年4月には松永製薬所を吸収合併し、広島県に松永工場を開設。戦後間もない1946年9月には福島県に鏡石工場を建設し、生産能力の拡大を図った。これらの動きは、輸入商社から総合医薬品メーカーへの転換点となった。

工場建設と検査薬分野進出で事業基盤を固めた高度成長期

1956年3月の東京証券取引所上場を機に、中外製薬は本格的な拡大路線に入る。1957年4月に東京都に浮間工場、1960年9月に総合研究所(高田研究所)を建設し、研究開発体制を整えた。1971年2月には血液分析器及び試薬を発売し、臨床検査薬機器分野へ進出。同年3月には静岡県に藤枝工場を建設した。1987年6月には静岡県に富士御殿場研究所を開設し、研究拠点を強化した。この時期の設備投資と事業多角化により、売上高は拡大し、業界での地位を固めた。1960年代から1970年代にかけての一連の工場建設は、国内自給体制の確立に寄与した。

海外M&Aと合弁事業でグローバル化を推進した1980〜1990年代

中外製薬は1988年9月に台湾に中惠薬品(現・台湾中外製薬)を設立し、アジア展開を開始した。1989年12月には米国の遺伝子診断企業ジェン・プローブを買収し、診断分野への参入と米国拠点の獲得を実現。1990年6月にはフランスのローヌ・プーラン(現サノフィ)との合弁で中外ローヌ・プーランを設立、欧州での販売網を構築した。1993年から1995年にかけて英国と米国に現地法人を設立し、欧米での開発・販売機能を強化。1997年には中外診断科学を設立し、診断事業を国内でも展開したが、2002年に同事業を富士レビオに譲渡している。この時期の海外展開は、後のロシュとの統合への布石となった。

ロシュとの戦略的アライアンスによる経営統合(2001〜2002年)

2001年4月に筑波研究所を開設し研究機能を強化する一方、2002年10月に経営の転機を迎える。スイス・ロシュ・ホールディングとの戦略的アライアンスに基づき、中外製薬は日本ロシュを吸収合併し、ロシュ・ホールディング・リミテッドが議決権の過半数を握る親会社となった。これにより中外製薬はロシュグループの一員となり、ロシュのグローバルパイプラインへのアクセスを得る一方、自社創薬資源を集中投資する体制へ移行した。同年9月にはジェン・プローブをスピンオフし、診断事業から撤退。この統合は、その後の高収益体質への転換の起点となった。

非中核事業の売却と研究開発への集中(2003〜2006年)

ロシュ傘下入り後、中外製薬は事業ポートフォリオの見直しを加速した。2003年12月に高田研究所と松永工場を閉鎖し、2004年12月には一般用医薬品事業をライオンに譲渡、殺虫剤製造事業もライオンパッケージングに売却した。2005年3月には筑波研究所を閉鎖、同年6月には鏡石工場と東北中外製薬をニプロに譲渡。2006年5月には浮間、藤枝、宇都宮、鎌倉の4工場における製造事業を子会社の中外製薬工業に会社分割により承継させ、自社の製造機能を切り離した。これらの選択と集中により、研究開発とマーケティングに経営資源を集中できる体制が整った。2010年12月には鎌倉工場も閉鎖している。

抗体医薬品の成功で売上高1兆円を突破した2010年代

2012年以降、中外製薬は主力抗体医薬品の成長により業績を急拡大させた。関節リウマチ治療薬「アクテムラ」、抗がん剤「アバスチン」、血友病A治療薬「ヘムライブラ」などの売上が大きく伸び、2014年12月期の売上収益4,611億円から、2022年12月期には1兆2,597億円と約2.7倍に増加した。当期利益も510億円から3,744億円へと7倍超の伸びを示した。この間、研究開発投資も継続的に増やし、2015年には海外子会社組織を統合・再編して効率化を図った。2014年には中国に日健中外製薬を設立し、新興国市場への足がかりを築いた。

年表35件を開く

1920年代

  • 1925年3月創業上野十蔵、中外新薬商会を創業、医薬品の輸入販売を開始
  • 1927年医薬品製造に着手

1940年代

  • 1943年3月商号変更株式会社に組織変更、商号を中外製薬株式会社(本社・東京都)に変更
  • 1944年4月M&A㈱松永製薬所を吸収合併、松永工場開設(広島県)
  • 1946年9月鏡石工場建設(福島県)

1950年代

  • 1956年3月上場株式を東京証券取引所(現在 ㈱東京証券取引所)に上場
  • 1957年4月浮間工場建設(東京都)

1960年代

  • 1960年9月綜合研究所建設(東京都・高田研究所)

1970年代

  • 1971年2月血液分析器及び試薬を発売、臨床検査薬機器分野へ進出
  • 1971年3月藤枝工場建設(静岡県)

1980年代

  • 1987年6月富士御殿場研究所建設(静岡県)
  • 1988年9月創業中惠薬品股份有限公司設立(台湾)
  • 1989年12月M&Aジェン・プローブ・インコーポレーテッド買収(米国)

1990年代

  • 1990年6月商号変更ローヌ・プーラン社(フランス、現在 サノフィ)との合弁企業として、中外ローヌ・プーラン設立(フランス、後 中外サノフィ-アベンティス・エスエヌシーへ社名変更)
  • 1990年7月宇都宮工場建設(栃木県)
  • 1993年5月創業中外ファーマ・ユーケー・リミテッド設立(英国)
  • 1994年1月創業ロンドン駐在事務所(1986年3月開設)を現地法人化し、中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッド設立(英国)
  • 1995年7月創業中外バイオファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド設立(米国)
  • 1997年3月中外診断科学㈱設立(東京都)
  • 1997年12月創業中外ファーマ・マーケティング・リミテッド設立(英国、現在 中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッド)

2000年代

  • 2001年4月創業筑波研究所開設(茨城県)中外ファーマ・フランス・エスエーエス設立(フランス)
  • 2002年3月創業持株会社中外ユー・エス・エー・インコーポレーテッド設立(米国、現在 中外ファーマ・ユー・エス・エー・インコーポレーテッド)
  • 2002年9月中外診断科学㈱の全株式を富士レビオ㈱に譲渡
  • 2002年9月ジェン・プローブ・インコーポレーテッドをスピンオフ
  • 2002年10月M&Aエフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドとの戦略的アライアンスに基づき、中外製薬㈱と日本ロシュ㈱が合併し、ロシュ・ホールディング・リミテッドが親会社となる
  • 2003年12月高田研究所と松永工場を閉鎖
  • 2004年12月一般用医薬品事業をライオン㈱に譲渡、永光化成㈱の殺虫剤製造事業をライオンパッケージング㈱に譲渡
  • 2005年3月筑波研究所を閉鎖
  • 2005年6月鏡石工場及び東北中外製薬㈱(福島県)をニプロ㈱に譲渡
  • 2006年5月浮間工場、藤枝工場、宇都宮工場及び鎌倉工場(神奈川県)における医薬品等の製造に関する事業を、会社分割により、子会社である中外製薬工業㈱(東京都)に承継

2010年代

  • 2010年12月中外製薬工業㈱ 鎌倉工場を閉鎖
  • 2012年1月創業中外ファーマボディ・リサーチ・ピーティーイー・リミテッド設立(シンガポール)
  • 2014年3月創業日健中外製薬有限公司設立(中国)
  • 2015年M&A海外子会社組織を統合・再編
  • 2015年7月M&A欧州:開発機能と販売機能を統合(再編後名称:中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッド)

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2025/12期の経営方針より

会社は4つの方針を掲げている。そのうち2項目には、達成する数字が明記されている。

会社が掲げている数値目標
  • R&Dアウトプット2030年まで2倍
  • 自社グローバル品上市数毎年1品

有価証券報告書の原文に書かれた目標だけを載せています。達成度の評価や推計は加えていません。

  1. 01

    世界最高水準の創薬の実現

    独自のサイエンス力と技術力を駆使し、低分子・抗体に加え中分子など新たなモダリティにも挑戦。R&Dアウトプットを2030年までの10年間で2倍に拡大し、革新的な自社開発グローバル品を毎年上市できる体制を構築する。外部の技術や標的を積極的に探索し、自社の強みと融合させることで創薬機会を拡大する。

  2. 02

    先進的事業モデルの構築

    デジタルを活用したプロセスや価値創出モデルの抜本的な再構築により、バリューチェーン全体の生産性を飛躍的に向上させ、患者一人ひとりにとっての価値・製品価値を拡大する。リアル・リモート・デジタルを組み合わせたマルチチャネル戦略で顧客エンゲージメントを最適化する。

  3. 03

    5つの改革の推進

    「創薬改革」「開発改革」「製薬改革」「Value Delivery改革」「成長基盤改革」を柱に、各バリューチェーンと全社基盤を強化。開発改革では臨床開発力とヒト予測力の融合による迅速なGo/No-Go判断、製薬改革では世界水準の製薬技術と頑健な供給体制の構築に取り組む。

  4. 04

    重要課題(マテリアリティ)への対応

    2024年に重要課題を総合的に見直し、重点的に取り組むべき16項目を特定。財務マテリアリティとインパクトマテリアリティの両面から精査し、ESGやSDGsに代表される社会課題解決をリードする世界のロールモデルを目指す。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 10期分

グループ全体で7,872人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は1,351万円で、9期前と比べて+32.8%平均年齢は42.0歳、平均勤続年数は15.0年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数一人当たり営業利益万円
2016年12月7,245
2017年12月7,372
2018年12月7,432
2019年12月1,01743.016.07,394
2020年12月1,10043.016.07,555
2021年12月1,15643.016.07,664
2022年12月1,21443.016.07,771
2023年12月1,19842.015.07,604
2024年12月1,20742.015.07,7786,968
2025年12月1,35142.015.07,8727,607

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

多様性の開示2025年12月期・提出会社(単体)
女性管理職比率21.2%
縦線は目安の30%
男性育休取得率93.4%
縦線は目安の85%
女性の賃金(男性=100)81.4%
100なら男女で差がない状態

拠点とグループ

設備と関係会社

関係会社16(国内 6 / 海外 10、うち連結子会社 14) を有報から抽出しています。

主要な設備 (帳簿価額 上位7)
中外ライフサイエンスパーク横浜 — 神奈川県 横浜市1,632億円
藤枝工場 — 静岡県 藤枝市730億円
浮間地区 — 東京都 北区496億円
宇都宮工場 — 栃木県 宇都宮市380億円
浮間工場 — 東京都 北区344億円
藤枝地区 — 静岡県 藤枝市179億円
宇都宮地区 — 栃木県 宇都宮市3,013百万円
ほか3件の開示あり
主な関係会社
  • 国内
    ロシュ・ホールディング・リミテッド
    スイス バーゼル市
    議決権61.1%
  • 国内
    株式会社 中外医科学研究所
    神奈川県 横浜市 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 国内
    株式会社 中外臨床研究センター
    東京都 中央区 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 海外
    中外ファーマ・ユー・エス・エー・インコーポレーテッド
    米国 ニュー ジャージー 州 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 海外
    中外ベンチャー・ファンド・エルエルシー
    米国 マサチュー セッツ州 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 国内
    中外ベンチャー・ファンド・エルピー(注)3
    バミューダ ハミルトン市 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 海外
    中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッド
    英国 ロンドン市 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 海外
    中外ファーマ・ユー・ケー・リミテッド
    英国 ロンドン市 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 海外
    中外ファーマ・フランス・エスエーエス
    フランス ピュトー市 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 海外
    中外ファーマ・ジャーマニー・ジーエムビーエイチ
    ドイツ フランク フルト市 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 海外
    台湾中外製薬股份 有限公司
    台湾 台北市 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 海外
    日健中外製薬有限公司
    中国 江蘇省 · 連結子会社
    議決権100.0%
残りのグループ会社4社を開く
  • 泰州日健中外製薬工業有限公司中国 江蘇省100%
  • 中外ファーマボディ・リサーチ・ピーティーイー・リミテッドシンガポール100%
  • 中外製薬ビジネスソリューション 株式会社東京都 北区100%
  • 中外製薬工業 株式会社(注)3東京都 北区100%
公共調達・補助金 (gBizINFO)
  • 補助金
    令和3年度(令和2年度からの繰越分)新型コロナウイルス感染症治療薬の実用化のための支援事業費国庫補助金
    厚生労働省 · 2021-11-19
    4.6億円
  • 補助金
    令和3年度(令和2年度からの繰越分)新型コロナウイルス感染症治療薬の実用化のための支援事業費国庫補助金
    厚生労働省 · 2021-11-19
    2.5億円

出典: gBizINFO (経済産業省)

業績のいま

有価証券報告書・決算短信より

2025年12月期の売上高は1.3兆円営業利益5,988億円前期と比べると増収増益で、売上が+7.5%、利益が+10.5%。

売上高
+7.5%
1.3兆円
営業利益
+10.5%
5,988億円
純利益
+12.1%
4,340億円
営業利益率
47.6%
前期比 +1.3%pt

四半期の推移

10期分

直近は2026年2Qで、売上は6,633億円、営業利益は3,196億円。前年の2025年2Qと比べると、売上は+14.7%、営業利益は+16.9%。

対象期間売上高億円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2023年1Q3,12298331.5735
2023年2Q2,6751,12642.1832
2023年3Q2,5791,06741.4776
2023年4Q2,738912
2024年1Q2,36999942.2744
2024年2Q3,1601,58350.11,119
2024年4Q6,1772,83845.92,010
2025年2Q5,7852,73347.21,944
2025年4Q6,7943,25547.92,396
2026年2Q6,6333,19648.22,317

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。

業績の推移

有価証券報告書 14期分

2012年12月期からの14期で、売上は3,866億円から1.3兆円へ3.3倍に増えた。直近期の営業利益率は47.6%。売上は2期、純利益は2期の連続増加。

決算期売上高兆円営業利益億円税引前利益億円営業利益率%純利益億円
中外ファーマボディ・リサーチ・ピーティーイー・リミテッド設立(シンガポール)
2012年12月0.39727461
2013年12月0.42769509
日健中外製薬有限公司設立(中国)
2014年12月0.46762510
海外子会社組織を統合・再編
2015年12月0.50873611
2016年12月0.49744536
2017年12月0.53970727
2018年12月0.581,214925
2019年12月0.692,0791,576
2020年12月0.792,9822,147
2021年12月1.004,1943,030
2022年12月1.265,3123,744
2023年12月1.114,4383,255
2024年12月1.175,4205,43046.33,873
2025年12月1.265,9885,97847.64,340

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。空欄の期は有価証券報告書からその項目の数値が取れていません(0ではありません)。

利益の構造

2025年12月期

売上高1.3兆円のうち、営業利益として残るのは5,988億円47.6%。営業外の損益と税金を反映した純利益は4,340億円、売上の34.5%にあたる。営業利益率は業種中央値2.9%を上回る水準。

売上高を100としたときの内訳
  • 売上原価作る・仕入れるのにかかったお金28.9%3,636億円
  • 販売費及び一般管理費売る・管理するのにかかったお金9.3%1,165億円
  • その他の費用持分法損益などの調整14.2%1,790億円
  • 営業利益費用を引いたあとに残った本業の利益47.6%5,988億円

有価証券報告書の損益計算書から、当期の金額をそのまま割り振っています。

粗利率
71.1%
売上から原価を引いて残る割合
営業利益率業種比+44.7pt
47.6%
本業の利益として残る割合
純利益率業種比+31.8pt
34.5%
税金まで払って最後に残る割合
ROE業種比+16.2pt
22.1%
株主のお金がどれだけ利益を生んだか
ROA
17.6%
資産全体がどれだけ利益を生んだか
ROIC
20.5%
事業に使うお金がどれだけ利益を生んだか

ROICは有利子負債の開示がないため、営業利益×0.7÷(総資産−現金)の簡易式で算出しています。

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 14期分

2025年12月期は営業CFが3,863億円、投資CFが−2,013億円で、差し引きのフリーCFは1,850億円この組み合わせは成熟・還元型にあたる。本業で稼ぎ、投資に回し、それでも余る現金を借金返済や株主還元に充てている。最も健全とされる型期末の手元現金は4,266億円で、売上の4.1ヶ月分にあたる

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2012年12月775−549−228226954
2013年12月535−132−2324031,151
2014年12月370−144−2442261,140
2015年12月629−453−2851761,017
2016年12月388−101−334287954
2017年12月1,076−367−2967091,391
2018年12月1,191−741−3504501,469
2019年12月2,066−817−6691,2492,039
2020年12月2,050−983−9951,0672,123
2021年12月2,796−1,189−1,0741,6072,678
2022年12月2,436−1,455−1,4569812,222
2023年12月4,099−373−1,3933,7264,587
2024年12月4,476−2,274−1,4102,2025,402
2025年12月3,863−2,013−3,0791,8504,266

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 14期分

2025年12月期の総資産は2.5兆円。このうち返さなくてよい自己資本がで、自己資本比率は82.1%(業種中央値69.9%より厚い)

決算期総資産兆円自己資本億円負債億円自己資本比率%
2012年12月0.654,9011,55281.8
2013年12月0.705,3291,64382.0
2014年12月0.7480.6
2015年12月0.7979.5
2016年12月0.8180.1
2017年12月0.8581.2
2018年12月0.9282.2
2019年12月1.0680.6
2020年12月1.2479.3
2021年12月1.5477.2
2022年12月1.8776.2
2023年12月1.9384.1
2024年12月2.213,06986.1
2025年12月2.474,42982.1

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2025年12月期の内訳
現金及び預金
4,266億円
すぐ使えるお金
負債合計
4,429億円
いつか返す必要があるお金
財務の健全性
100
/ 100
安定性自己資本比率40 / 40
収益力営業利益率30 / 30
現金創出営業CFの黒字継続30 / 30

有価証券報告書の数値から機械的に配点した参考値です。自己資本比率60%で満点、営業利益率15%で満点、直近3期の営業CFが黒字だった割合の3つを足しています。業態によって出ない要素があります。

業界内での比較

医薬品 79社との比較

同じ医薬品の企業と並べると、いちばん上に来るのは営業利益率79社中1位あたり、逆に低いのは配当利回り79社中66位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE上位株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
22.1%/中央値 5.9%
P25 2.0%P75 11.0%
営業利益率上位売上のうち本業の利益として残る割合
47.6%/中央値 2.9%
P25 -162.5%P75 11.5%
自己資本比率総資産のうち返済のいらないお金の割合
82.1%/中央値 69.9%
P25 53.4%P75 84.5%
売上成長率前期からの売上の伸び
7.5%/中央値 2.8%
P25 -1.3%P75 12.0%
配当利回り下位株価に対して1年で受け取る配当の割合
1.9%/中央値 2.9%
P25 2.3%P75 3.5%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月2日の終値

直近の終値は¥6,832で、1年前と比べて+7.8%過去52週の値幅のなかでは13%の位置にある。

¥6,832-1.5%1ヶ月+2.3%1年+7.8%時価総額11.5兆円
過去52週の値幅
安値¥6,250高値¥10,700

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標
PER (実績)23.9倍
PBR5.54倍
配当利回り1.93%

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

直近1週間で株価は6911円から7011円と小幅に反発し、8月21日時点で25日移動平均線(7024円)をほぼ横ばいで推移。52週高値10700円からは約34%下の水準で、52週安値6002円からは約17%高い位置にある。7月27日に6848円まで急落後、8月10日に7112円まで戻す場面も見られ、ボラティリティは高い。出来高は8月14日に461万株と膨らんだが、その後は190万株前後に減少し、買い一巡後の様子見姿勢がうかがえる。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

AIの評価

AI評価

株価水準の解釈です。売買の推奨ではありません

現在の株価水準をやや割高と判定しています(スコア 42/100)

PER 24.5倍は業界平均35.25倍を下回り割安感がある一方、PBR 5.69倍は平均4.11倍を上回り、ROE 22.1%の高収益性を考慮しても株価はやや高め。配当利回り1.88%は平均1.43%より高いが、配当性向111.5%と配当が利益を上回る状態で、持続可能性に懸念。売上・利益は増加傾向で成長性はあるが、バリュエーションは割高圏内と判断。

指標この会社業種平均
PER (実績)23.9倍36.0倍
PBR5.54倍3.53倍
ROE22.1%6.5%

業種平均は同じ東証33業種に属する銘柄の単純平均です。銘柄数が少ない業種では平均が振れます。

AI評価判定とスコアは公開データをもとにした解釈で、将来の株価を示すものではありません。算出の考え方は編集方針に記載しています。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

投資論点は、大型製品の特許切れや競合品の登場による売上減少を、新薬パイプラインがどこまで補えるかにある。強気派は、高い収益性と豊富な研究開発投資による持続的成長を評価し、特にがん領域での新薬候補に期待を寄せる。一方、弱気派は、既存大型品の特許切れによる収益減少と、研究開発の不確実性を懸念する。また、ロシュ.グループ内での役割変化にも注目が集まる。

プラスに働く材料7
  • 高収益体質

    営業利益率46%超と製薬業界でも極めて高い水準。

  • 研究開発力

    抗体医薬品で世界トップレベルの技術と実績。

  • ロシュ連携

    グローバル販売網を活用した市場展開の強み。

  • 営業利益率が46.3%から47.6%へ改善し最高益通年影響

    2025年12月期の営業利益5,988億円、純利益4,340億円。前期比で収益性が向上し、増益トレンドが鮮明。

  • 純利益が3期連続で増加し4300億円台へ拡大通年影響

    純利益は2023年3,255億円、2024年3,873億円、2025年4,340億円。ROE22.1%の高資本効率を維持。

  • 売上高が1兆2,579億円へ過去最高を更新通年影響

    2025年12月期売上高は前期比7.5%増の1兆2,579億円。増収が営業利益率の高位安定を支える。

  • 外国人保有比率77.9%で需給が締まる継続影響

    外国人株主比率77.89%と極めて高く、海外マネーの継続的な株式需要が下値を支えやすい。

マイナスに働く材料7
  • 特許切れ

    アクテムラやアバスチンの特許失効で売上減少の懸念。

  • 競争激化

    バイオシミラーや競合新薬の登場でシェア低下。

  • パイプライン不確実

    新薬開発は成功率が低く、投資回収が不透明。

  • 実績PER23.92倍とPBR5.56倍は割高水準不定影響

    PER23.92倍、PBR5.56倍と市場平均より高く、業績が足踏みすれば修正が入る余地。

  • 営業利益率47.6%は改善余地が限定的通年影響

    営業利益率47.6%は前期比1.3pt改善も、売上高が伸びない局面では増益率は小さくなる。

  • 配当利回り1.93%は低位で投資妙味限定的継続影響

    株価6,857円、配当利回り1.93%。増配が無ければ利回り買いは入りにくい。

  • 1年で株価13.96%上昇、短期的な過熱感不定影響

    過去1年の上昇率13.96%。高PERとの組み合わせで、外部環境悪化時に利益確定売りが出やすい。

次の決算で確かめる点
新薬売上比率
既存大型品の特許切れを新薬が補えているか確認するため。
研究開発費
将来の成長の源泉となる投資が維持されているか。
ロイヤリティ収入
ロシュへの導出収入の動向が利益に大きく影響するため。

配当

株主還元

直近の年間配当は1株あたり132で、前期から+177.6%いまの株価に対する利回りは1.93%。増配か配当維持が9年続いている。

年間配当
¥132
1株あたり
配当利回り
1.93%
いまの株価に対して
配当性向
111.5%
利益のうち配当に回した割合
連続増配等
9年
増配か維持が続いた年数
決算期1株あたり配当前期比%配当性向%
2016年12月1755.8
2017年12月2119.348.6
2018年12月2938.754.4
2019年12月4762.849.3
2020年12月507.143.5
2021年12月7652.042.4
2022年12月782.635.0
2023年12月802.640.5
2024年12月9822.541.7
2025年12月272177.6111.5

過去の配当は株式分割にあわせて調整した金額です。配当性向は有価証券報告書に記載された各期の値で、利益のうち配当に回した割合を示します。

次の配当スケジュール
  • 権利付き最終日
  • 権利確定日
  • 支払開始日
  • 今期の会社予想年間予想¥132

株主

有価証券報告書より

2025年12月期末の株主数は延べ58,967人。区分でいちばん多いのは外国法人77.9%。グループ会社や銀行などの安定株主が14.4%を占め、残る85.6%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2020年12月%2021年12月%2022年12月%2023年12月%2024年12月%2025年12月%
外国法人77.475.574.877.578.477.9
金融機関15.314.715.014.414.013.9
個人・その他5.66.56.35.55.15.2
証券会社0.92.63.32.12.02.6
自己株式2.12.12.02.02.02.0
事業法人0.80.70.50.50.50.5

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01ROCHE HOLDING LTD(常任代理人 西村あさひ法律事務所)59.89
02日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)8.45
03株式会社日本カストディ銀行(信託口)3.47
04STATE STREET BANK AND TRUSTCOMPANY 505001(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)1.37
05THE CHASE MANHATTAN BANK, N.A. LONDON SECS LENDING OMNIBUS ACCOUNT(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)1.31
06JP MORGAN CHASE BANK 385864(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)0.73
07SMBC日興証券株式会社0.67
08JP MORGAN CHASE BANK 385781(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)0.56
09住友生命保険相互会社(常任代理人 株式会社日本カストディ銀行)0.54
10HSBC HONG KONG-TREASURY SERVICES A/C ASIAN EQUITIES DERIVATIVES(常任代理人 香港上海銀行東京支店)0.45

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 14期分

1株利益は14期で+212%、1株純資産は14期で+27%。直近期のROEは22.1%で、日本株の目安とされる8%を上回る。

決算期EPSBPSROE%PER配当性向%
2012年12月859709.019.547.6
2013年12月931,0499.324.953.4
2014年12月941,0938.731.751.2
2015年12月1121,14610.037.956.3
2016年12月333948.434.255.8
2017年12月4442210.943.448.6
2018年12月5646012.837.754.4
2019年12月9652019.635.049.3
2020年12月13159623.442.143.5
2021年12月18472328.020.342.4
2022年12月22886628.714.835.0
2023年12月19898821.327.040.5
2024年12月2351,15622.029.741.7
2025年12月2641,23122.131.3111.5

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安
ROE自己資本利益率
株主のお金でどれだけ稼いだか。日本株では8%が一つの目安
PER期末実績
株価が1年分の利益の何倍か。低いほど割安とは限らず、期待の低さのこともある
配当性向利益からの還元率
利益のうち配当に回した割合。高すぎる場合は無理をしている可能性もある

経営陣

15名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は15名。2025/12期の役員報酬は総額1,570百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約7倍にあたる。

氏名役職年齢保有株数
奥田修代表取締役社長63223,000
谷口岩昭取締役 上席執行役員5910,000
飯倉仁取締役 上席執行役員568,000
桃井眞里子取締役78
立石文雄取締役77
寺本秀雄取締役66
トーマス・シネッカー取締役51
テレッサ・エイ・グラハム取締役52
ボリス・エル・ザイトラ取締役54
山田茂裕常勤監査役621,000
樋口雅義常勤監査役576,000
増田健一監査役63
残りの役員3名を開く
氏名役職年齢
早稲田祐美子監査役66
柚木真美監査役63
三谷絹子取締役67

役員報酬の内訳2025/12

役員の区分人数賞与百万円株式報酬百万円その他百万円合計百万円1人あたり百万円
取締役(社内)744920565493
取締役(社内)4179201585146
監査役613113122
監査役3787826
社外取締役3696923
社外監査役3535318

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2025/12期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容1,160字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3【事業の内容】 当企業集団は、連結財務諸表提出会社(以下、「当社」という。)、子会社15社及び親会社の子会社2社により構成されており、主な事業内容と企業集団を構成する各会社の当該事業に係る位置づけの概要は次のとおりであります。 医薬品事業18社 国内事業:当社が製造した医薬品を、全国の特約店を通じて販売しております。製造については、一部医薬品の原材料をエフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッド[本社:スイス]から購入しております。また、中外製薬工業㈱及びジェネンテック・インコーポレーテッド[本社:米国]に医薬品の製造を委託しております。研究業務については、㈱中外医科学研究所に医薬品の研究業務の一部を委託しており、また同社に研究用施設等の管理業務を委託しております。 開発業務については、㈱中外臨床研究センターに臨床開発業務の一部を委託しております。 また、中外製薬ビジネスソリューション㈱は当社の事務処理業務を請け負っております。 海外事業:欧州では、中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッドが販売統轄会社として位置づけられております。 エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドが当社一部製品を輸入し販売しております。 欧州において、中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッド及び中外ファーマ・ユー・ケー・リミテッドが英国における販売活動を、中外ファーマ・フランス・エスエーエスが欧州における輸入販売及びフランスにおける販売活動を、中外ファーマ・ジャーマニー・ジーエムビーエイチがドイツにおける販売活動を行っております。 台湾において、台湾中外製薬股份有限公司が医薬品の販売を行っております。中国においては、日健中外製薬有限公司が医薬品の販売を行い、医薬品学術情報を提供しております。また、泰州日健中外製薬工業有限公司が医薬品の生産を行っております。 海外での研究開発活動は、中外ファーマ・ユー・エス・エー・インコーポレーテッド(米国)、中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッド(英国)、日健中外製薬有限公司(中国)及び台湾中外製薬股份有限公司(台湾)が医薬品の開発・申請業務を、中外ファーマボディ・リサーチ・ピーティーイー・リミテッド(シンガポール)が医薬品の研究を行っております。 また、中外ベンチャー・ファンド・エルエルシー(米国)及び中外ベンチャー・ファンド・エルピー(バミューダ)がスタートアップへの投資活動を行っております。 企業集団の関係概要図は次のとおりであります。 2025年12月31日現在 ・子会社のうち、上場している会社はありません。 ・当社は、2025年11月にレナリスファーマ株式会社を取得し、同年12月に当社を存続会社とし、レナリスファーマ株式会社を消滅会社とする吸収合併を実施しております。
経営方針・対処すべき課題7,084字を開く

経営陣が考える方向性と課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営の基本方針 当社グループは、世界有数の製薬企業であるロシュとの戦略的アライアンスのもと、「革新的な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献する」ことをMission(存在意義)とし、「患者中心の高度で持続可能な医療を実現する、ヘルスケア産業のトップイノベーター」となることをEnvisioned Future(目指す姿)に掲げています。事業活動は、当社グループのCore Values(価値観)である「患者中心」、「フロンティア精神」、「誠実」に沿って推進しています。 経営の基本方針は、社会との共有価値を創造し、社会とともに発展することです。この方針に基づき、患者中心の高度で持続可能な医療の実現に向けた価値創造モデルを策定し、2024年には重要課題(マテリアリティ)を総合的に見直しました。この結果、重点的に取り組むべき16項目を特定し、評価にあたっては、「環境や社会が企業に与える影響(財務マテリアリティ)」と、「企業活動が環境や社会に与える影響(インパクトマテリアリティ)」の両面から精査しています。 ロシュとの戦略的アライアンスに加え、独自のサイエンス力と技術力を生かし、革新的創薬を柱とするイノベーションに集中することで、ESGやSDGsに代表される社会課題解決をリードする、世界のロールモデルを目指しています。これらの取り組みは、社会全体の持続性向上に寄与するとともに、当社グループの長期的な発展を支える基盤になると確信しています。 (2)目標とする経営指標 当社グループはイノベーションの創出による企業価値の向上を重視し、革新的な新薬の創出に優先的に経営資源の配分を行っています。長期にわたる投資効率の指標としてCore ROICを重点的に管理するとともに、短中期的にも安定的な利益成長を達成できるよう、機動的で柔軟な事業運営に努めています。また、株主が提供した自己資本に対する収益性を測るROEも重要な指標であると考え、Core ROICを基盤としつつ、ROEも重視することで、事業価値及び株主価値の最大化をともに追求していく方針です。個別の開発テーマ等の投資判断におきましては、資本コストを踏まえた投資価値評価を行い、収益性と効率性を重視した意思決定を行っています。 当社は、2021年に成長戦略「TOP I 2030」(後述)を策定し、「R&Dアウトプット倍増」「自社グローバル品毎年上市」という目標の達成を目指して取り組んでいます。「TOP I 2030」の推進にあたり、中期(3年)経営計画を廃止し、長期目標からバックキャストして現状とのギャップを埋めるための中間(3~5年後)目標を中期マイルストンとして設定・管理しています。これにより、計画の進捗や環境変化に応じてアジャイルかつ柔軟に軌道修正を図りながら、長期的な目標達成を目指しています。中期マイルストンの進捗や研究開発パイプラインの見通しの説明を通じて中長期的な事業活動の進捗の状況を開示し、その達成に向けた道筋を示すとともに、引き続き、単年度業績予想の公表や各説明会等の場で経営状況を説明し、当社の掲げる経営戦略の進捗を適時報告してまいります。 (3)環境認識と対処すべき課題 世界には、未だ治療法のない疾患が数多くあります。加えて、世界人口の増加と各国における高齢化進展に伴い、医薬品への期待・ニーズは一層高まっています。また、ライフサイエンスや生成AI等のデジタル技術の飛躍的な進歩によって、異業種も含めた医療課題解決に向けたイノベーション創出機会が拡大しています。一方、各国において医療費等の社会保障費増加により財政が逼迫し、薬剤費を含む医療費の抑制政策はますます厳しくなり、持続可能な医療の実現が世界共通の課題となっています。限られた資源のもとで高度かつ持続可能な医療を実現するため、「真に価値あるソリューションだけが選ばれる」VBHC(Value Based Healthcare)の流れは着実に加速しています。また、デジタルをはじめとする多様なプレーヤーがヘルスケア領域に参入することで、既存業界の枠を超えた競争もこれまで以上に熾烈化してきています。加えて、国際政情不安による地政学リスクの増加、エネルギー価格、インフレ等による事業運営の不確実性の高まりとともに、地球環境保全や情報セキュリティ対策、AI(人工汎用知能)等の加速度的な技術革新への対応等、事業運営にあたり取り組むべき課題自体も広範になっております。 そのような中、革新的な医薬品の提供を使命とする私たちの最重要課題は、「イノベーションの追求」であると考えています。患者さん一人ひとりにとって最適な医療の実現に向けて、新たな治療ターゲットの探索や創薬技術のさらなる革新により、アンメットメディカルニーズに応える新薬の創出が求められます。さらに、ビッグデータやAIなどのデジタル技術の進化を柔軟に取り入れ、従来の創薬力にとどまらない能力を獲得・強化することが競争優位性を確保する鍵となります。また、グローバル規模での財政圧力の増加によって製薬企業の経営環境が厳しさを増す中、限られた資源をイノベーションに集中投資できる体制への変革が一層求められています。 当社グループは、独自のサイエンス力と技術力、ロシュとの戦略的アライアンスを基盤として、国内トップクラスの成長を実現してまいりました。ロシュの充実したパイプラインにより日本市場における安定した収益基盤を確保しながら、自社創製品の後期開発や販売ではロシュのグローバル・プラットフォームを活用する、高い生産性を実現するビジネスモデルにより、自社創薬に資源を集中し、革新的な研究開発プロジェクトを連続的に創出しています。その結果、これまで6品目/9つのプロジェクトで当社創製医薬品(アクテムラ、アレセンサ、ヘムライブラ、エンスプリング、ネモリズマブなど)が米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)から「画期的治療薬(Breakthrough Therapy)*」に指定されるなど、当社グループの創薬力は世界的に高い評価を受けています。 今後も、革新的新薬をいち早く創出・患者さんにお届けすることで、当社の企業価値向上と社会課題解決を目指してまいります。 * 画期的治療薬(Breakthrough Therapy):重篤または致命的な疾患や症状に対し、既存治療を上回る改善が期待される治療薬候補 (4)2030年に向けた成長戦略「TOP I 2030」 当社グループは、ミッションステートメントに掲げたEnvisioned Future(目指す姿)の実現を目指し、2030年に到達すべきトップイノベーター像を具現化するとともに、その実現に向けた成長戦略「TOP I 2030」を策定し、2021年から展開しています。2024年7月にはこれまでの進捗と成果について振り返り、戦略を精緻化しました。 2030年トップイノベーター像 1)「世界の患者さんが期待する」 世界最高水準の創薬力を有し、世界中の患者さんが「中外なら必ず新たな治療法を生み出してくれる」と期待する会社 2)「世界の人財とプレーヤーを惹きつける」 世界中の情熱ある人財を惹きつけ、ヘルスケアにかかわる世界中のプレーヤーが「中外と組めば新しい何かを生み出せる」と想起する会社 3)「世界のロールモデル」 サステナビリティを事業活動の中心に据え、社会課題解決をリードする企業として世界のロールモデルである会社 「TOP I 2030」の二つの柱は、「世界最高水準の創薬の実現」と「先進的事業モデルの構築」です。 独自のサイエンス力と技術力を駆使して数々の革新的新薬を生み出してきた当社は、今後さらに創薬力を大きく向上させ、世界のアンメットメディカルニーズに応えるソリューションを継続的に世に送り出せる体制構築・強化を目指します。具体的には、R&Dアウトプットを2030年までの10年間で2倍に拡大し、革新的な自社開発グローバル品を毎年上市できる会社を目指します。 そして、環境変化や技術進化を踏まえた先進的事業モデルの構築にも取り組んでまいります。特にデジタルを活用したプロセスや価値創出モデルの抜本的な再構築によって、バリューチェーン全体にわたる生産性の飛躍的向上と、一人ひとりの患者さんにとっての価値・製品価値の拡大を目指してまいります。 「TOP I 2030」では、戦略の二本柱を実現するための具体策として、「創薬」「開発」「製薬」「Value Delivery」の各バリューチェーンとそれを支える「成長基盤」を合わせた「5つの改革」を掲げています。 ①創薬改革 創薬においてはR&Dプリンシプルに基づき、低分子・抗体など既存技術の革新に加え、中分子など新たなモダリティへの挑戦を通じて、従来は困難とされてきた標的へのアプローチや、現状の技術では対応困難な作用機序の実現を目指しています。また、有効性・安全性・DMPK*1・物性などあらゆる面で妥協のない高品質な開発候補分子の創出に取り組むことで、臨床開発における高い成功確率の実現に繋げてまいります。 私たちには国内アカデミアとのコラボレーションによって多くの医薬品を創製してきた歴史があり、現在は国内外のアカデミアやスタートアップとの連携にも積極的に取り組んでいます。2024年1月からは米国を拠点とするコーポレートベンチャーキャピタルとして中外ベンチャー・ファンド・エルエルシーも活動を開始し、自社単独での創薬にこだわるのではなく、外部の技術や標的をより積極的に探索し、自社の強みと融合させることで、創薬機会の拡大を目指します。未解決の医療ニーズに応え、治癒・早期介入・予防につながる革新的な創薬を追求し、患者さんのQOL向上に引き続き貢献してまいります。 *1:生体内における薬剤の挙動のこと(薬物代謝/薬物動態) ②開発改革 「TOP I 2030」の取り組みが進むにつれ、臨床へ移行するプロジェクトが増加していきます。臨床開発力とヒト予測力*2の融合による適切・迅速なGo/No-Go判断を行い、医薬品として実用化できる可能性が高いと判断された時点で、複数の適応症で同時開発を進め、プロジェクト全体の価値の早期最大化を目指します。また、より早期の段階からTrue endpoint*3の実証に取り組み、後期開発に繋げることで患者さんへの提供価値を最大化します。 後期開発においてはデジタル技術やリアルワールドデータ(RWD)を活用し、臨床試験のあり方そのものを見つめ直すことで、業界をリードする新規価値の創出と更なるオペレーションモデルの変革を図っています。さらにはロシュとの協働を通じて、開発戦略や試験計画への提言を行うことで成功確率の向上に寄与し、グローバルでの製品価値最大化にも貢献していきます。 これらの取り組みにより、プロジェクトの価値最大化と生産性向上を追求してまいります。 *2:ヒトの身体の中での薬の動態や生体反応をモデリング&シミュレーションすること *3:患者さんのQOL向上に寄与する真の価値 ③製薬改革 「R&Dアウトプット倍増」の目標に合わせて、中分子を始めとする新たな創薬アイディアを医薬品として患者さんへ届けるために、世界水準の製薬技術を追求します。創薬・早期開発~製薬の機能間連携を今まで以上に強化し、高活性かつ薬剤化することの難易度が極めて高い化合物の原薬・製造・分析技術を確立することで、生産体制を整えていきます。抗体分野においてもさらなる技術振興に取り組むことで、臨床開発品の選定から治験申請までの期間を短縮し、開発のスピードアップを実現します。 生産においては、デジタルやロボティクス活用を含めた生産技術力の強化によって効率化を図ると同時に、災害や地政学リスクに備え、頑健で競争力のある供給体制の構築に注力しています。スマートファクトリーの実現に向けた各種取り組みと、上市後CMO*4など外部パートナーとの協働を通じたデュアルサイト戦略を基本とし、必要な設備投資にも積極的に取り組むことで、安定供給とグローバル水準の品質実現を目指してまいります。 *4:医薬品製造受託機関(Contract Manufacturing Organization:CMO) ④Value Delivery改革 Value Delivery機能においては、これまで以上に「患者さん中心の最適な治療選択に貢献する迅速なエビデンス創出」と「革新的な顧客エンゲージメントモデル確立による高度な価値提供」を追求します。具体的には、ロシュやアカデミアとの協働を通じて質の高い臨床研究と製造販売後調査を実施し、市販後早期に価値の高いエビデンスを提供することを目指しています。また、非臨床・トランスレーショナルリサーチの知見を活用し、副作用リスクの予測や重篤化回避に取り組むなど、個々の患者さんに寄り添った適正使用の取り組みを推進しています。 新たな顧客エンゲージメントモデルの確立においては、顧客との接点に劇的な変化が起こっている環境を踏まえ、リアル・リモート・デジタルを組み合わせたマルチチャネル戦略を展開しています。今後さらに多様化する顧客のニーズに合わせ、柔軟なアプローチを選択できる体制を構築し、価値提供の最適化を図ってまいります。 組織の効率化に向けては、優先的に資源投入すべき業務の洗い出しと、成長・新規領域への資源シフトを進めており、それを実現するために、成熟品を中心とした第三者への譲渡など、スリム化も継続して検討していきます。また、デジタル活用やアウトソーシング・業務集約など、これまでの慣習・プロセスに捉われない抜本的な変革を進めてまいります。 ⑤成長基盤改革 各バリューチェーンにおける改革と並行して、イノベーションの創出と成長戦略の実現を支える「全社基盤」として、特に下記5つの領域を重点分野として継続強化に取り組んでまいります。 「人・組織」: 経営戦略に基づいた人財マネジメント方針の徹底を通じて、人的資本の強化を進めていきます。年齢・属性に拘わらずチャレンジを後押しする人事制度の運用を徹底するとともに、社員一人ひとりのキャリア開発を含めた自律的な学び/成長の支援、デジタル人財やサイエンス人財など、戦略遂行上の要となる高度専門人財の獲得や育成に注力します。また、イノベーションを生み出す組織風土構築に向けたDE&Iの推進や、全従業員の健康を促進する施策などについてもより高いレベルを目指していきます。 「デジタル」: CHUGAI DIGITAL VISION2030で掲げた「デジタル技術によって中外製薬のビジネスを革新し、社会を変えるヘルスケアソリューションを提供するトップイノベーターになる」に、継続して取り組みます。具体的には、デジタルを活用した革新的な新薬創出と全てのバリューチェーンの生産性向上に向け、各機能における最重要課題の解決に向けた共創の取り組みを開始しています。 また、デジタル人財育成の強化及びビジネス価値向上に繋がるIT基盤の強化などを継続して推進し、イノベーション創出を支える全社基盤の構築を目指してまいります。 「サステナビリティ・環境」: サステナビリティを事業活動の中心に据えた上で、高い目標である中期環境目標2030の達成を目指して努力を継続する事により、社会への環境負荷軽減を目指します。具体的には、CO2排出量やエネルギー消費量、フロン類使用量などの削減による「気候変動対策」、廃棄物排出量や水消費量の削減による「循環型資源利用」、有害廃棄物排出量の削減を通じた「生物多様性保全」などに継続して取り組んでいきます。また、環境に加えて、ガバナンス向上やそのための情報開示の充実なども進めてまいります。 「クオリティ」: 製品、情報、プロセスの質とそれを実現する人財により世界をリードし、中外クオリティを社外に対しても訴求・浸透させていきます。そのために、患者さんの期待に応える製品・サービスを確実に提供するとともに、質と効率を両立する先進的手法の獲得、パートナーとの協働を推し進めます。また、それら全てのベースとなる「クオリティカルチャー」を全てのバリューチェーンにおいて浸透させていきます。 「PHCソリュ―ション*5」: 患者さんのニーズは多様かつ高度化しており、革新的医薬品の創出と提供においては、その価値証明や治療効果を最大化するために、病態や治療効果を精緻に診断・測定することで、個々の患者さんに最適な治療を可能とする試みが今後ますます重要となっていきます。 *5:病態や治療効果を精緻に診断・測定することで、個々の患者さんに最適な治療を可能とするSaMD(Software as a Medical Device)/バイオマーカー等の製品・サービス
事業等のリスク11,512字を開く

会社が自認するリスクの一覧

3 【事業等のリスク】 1.当社グループにおけるリスクマネジメント (1)ERM導入によるリスク管理の高度化 当社グループでは、企業価値の最大化を図るため、事業活動に係るあらゆるリスクを可視化し、統合的に管理を行うERM(Enterprise Risk Management=全社的リスクマネジメント)のフレームワークを導入しています。具体的には、リスク選好に係る方針を「リスクアペタイト ステートメント」として明示し、全社的に対処すべきリスクを「戦略リスク(=戦略の意思決定に内在するリスクや戦略の遂行を阻害するリスク)」と「オペレーショナルリスク(=事業の円滑な運営を阻害するリスク)」に分け、一元的に把握・整理・可視化することで、効果的・効率的な運用によるリスク管理の高度化を図っています。また、適切な情報開示により、社外のステークホルダーへの説明責任を強化していきます。 (2)ITシステム活用によるリスク管理の効率化 全社的なリスク情報の把握・分析・フィードバックを効率的に推進するため、独自のリスクマネジメントシステムを開発し、グローバルで運用しています。このシステムには、各部門がリスクマップや年間リスク対応計画、インシデント報告、BCPマニュアル等を登録し、データベース化して一元管理することで、グループ全体のリスク分析や各部門での対策の状況をモニタリングしています。 2.中外製薬リスクアペタイト ステートメント 当社グループでは、社会との共有価値を創造し、企業価値を高める企業活動の根幹となるミッションステートメント(=企業理念)を基点とした事業経営において、経営目標の達成や戦略遂行に影響を与える事象を「リスク」と捉えています。 戦略の意思決定や事業の円滑な運営を適切に行うために、リスクへの対応方針である「リスクアペタイト ステートメント」を定め、健全なリスクカルチャーの醸成を図るとともに、従業員の一人ひとりがこれに基づいて判断・行動することを徹底します。 ●イノベーションの追求に伴うリスク・私たちの存在価値と成長の源泉は「イノベーションの追求」です。最先端のサイエンスと技術、デジタルによる革新を追求することで世界のアンメットメディカルニーズに対する新たなソリューションを生み出し、高度で持続可能な医療の実現を通じて社会との共有価値を創造する「ヘルスケア産業のトップイノベーター」を目指します。そのために、自社を取り巻く経営環境や自社の強み、患者ニーズやサイエンス・技術の見通し等を分析し、社会の期待や要請を適時・適切に捉えるとともに、経営戦略や各々のプロジェクトに潜在するリスクを特定し、経営資源の選択と集中、外部パートナーとの協働・連携の強化、デジタル技術の活用など然るべき対策を講じながら、リスクをとって積極果敢にイノベーション創出の機会を追求します。・また、イノベーション創出には、従業員の多様性や人権を尊重することで、すべての従業員の能力が最大限発揮できる働きやすい環境の実現と、戦略目標達成・イノベーションを牽引するリーダー人財・高度専門人財の早期発掘・育成・獲得及び活躍促進が不可欠です。そのため、私たちは、挑戦を奨励する組織文化・制度設計・意思決定を大切にしながら、高度かつ多様な人財が活躍し、イノベーションが創出されることを妨げるあらゆるリスクを低減することに努めます。 ●製品の有効性・安全性/品質保証/安定供給を阻害するリスク・私たちが患者さんに価値を安定的にお届けするにあたっては、何よりも製品の有効性や安全性、そしてそれらを担保する品質が重要であると考えます。・そのため、私たちの製品やイノベーションの追求には、予期せぬ副作用が生じるリスクが潜んでいることを意識しながら、有効性と安全性を十分に検証し、経済性も考慮のうえで高い品質を保証しなければなりません。・私たちは、デジタル技術を活用しながら、自社のビジネスプロセス(研究、開発、製薬、マーケティング、メディカルアフェアーズ、医薬安全性、知的財産・信頼性保証)における適正な分業・協業や、グローバルサプライチェーンマネジメントの強化、グローバル品質システムの維持・向上を図るとともに、生産性向上や在庫管理の最適化など、経済性の側面での対策も進めながら、有効性・安全性が確保され、品質が保証された製品の安定供給を阻害するリスクを回避・低減することに努めます。 ●コンプライアンスに反するリスク・私たちは、「企業倫理は業績に優先する」という考えのもと、法規制の遵守にとどまらず、社会的価値観や倫理観、公正さに基づく判断・行動を徹底します。そのために、ミッションステートメント(=企業理念)やグループ コード・オブ・コンダクト、その他社内規程/ガイドラインを制定しており、これに反する判断・行動を認めず、コンプライアンスに反するリスクは一切受け入れません。また、サプライチェーン全体におけるコンプライアンスを徹底するため、自グループ内のみならず、ビジネスパートナーに対しても、高い倫理観に基づく誠実な活動を求めます。 ●企業市民としての社会的責任に関するリスク・私たち企業は、地球環境や社会システムのうえで成り立っており、これらを維持・発展させることは、企業市民としての私たちの責任であると考えます。・私たちは、地域社会や国際社会が抱える課題に向き合い、中外製薬としてどのように貢献すべきかを考え、様々なステークホルダーと連携・協働しながら、事業活動のあらゆる場面において、環境保全や人権の尊重に努めることで、地球環境問題や社会的な差別・人権侵害の解消に貢献するとともに、医療・福祉を中心とした社会貢献活動に積極的に取り組むことで、企業市民としての役割・責任を果たせず、社会からの信頼を損なうリスクを低減することに努めます。 3.主要なリスク 当社グループの業績は、今後起こりうる様々な要因により重大な影響を受ける可能性があります。以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性がある主な事項を記載しています。 当社グループはこれらリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の予防及び発生した場合の対応に努める方針です。 なお、これらは当社グループにかかるあらゆるリスクを網羅したものではなく、記載以外のリスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。また、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)経営戦略に関連する潜在リスク(戦略リスク) ① 技術・イノベーションについて 当社グループは、ロシュとの戦略的アライアンスのもと、自社の強みである独自のサイエンス力と技術力をさらに強化することで、革新的な医薬品の創出に努めています。そして、成長戦略「TOP I 2030」においては、RED機能(研究・早期開発)への経営資源の集中を推進しています。特にこれまでの低分子・抗体医薬では解決できなかったアンメットメディカルニーズ(有効な治療方法が見つかっていない疾病に対する治療薬への要望)を満たすことが期待される中分子技術の開発に注力するとともに、生成AIを含むデジタル技術を活用し研究開発プロセスの効率化に積極的に取り組んでいます。 しかしながら、医薬品の研究開発には、常に不確実性(自社創薬・技術開発の遅れや失敗)が存在します。このため、当社が目指す価値の創出や戦略の実行が遅延する影響が想定されます。さらにサイエンス、医薬品開発、デジタルという日進月歩の分野では、破壊的な新技術・ソリューションや競争優位性の高い革新的な製品などの出現により、自社技術・プロジェクトの価値低下や開発計画の見直しが生じるリスクがあります。また、当社グループは業務活動において、当社グループ所有、あるいは適法に使用許諾を受けたものであるとの認識の下で様々な知的財産権を使用していますが、当社グループの認識の範囲外で第三者による侵害や第三者の知的財産権を侵害する可能性があり、当社技術・製品の価値や競争力の低下、さらには特許係争や特許権侵害訴訟に至るケースも考えられ、他社特許による技術の実施不能、製造・販売の差し止めや高額な損害賠償金の請求や実施料の支払いの発生など戦略遂行に重大な影響を与える可能性があり、他企業への委託・共同研究、他者との共創等の増加に伴い知的財産にかかわる情報の流出や漏洩が生じるリスクもあります。こうしたリスクに対しては、最先端のサイエンス・技術の探求を怠らず、経営資源の選択と集中により自社技術の優位性を高めるとともに、マルチモダリティ戦略の追求や中外ベンチャー・ファンド・エルエルシーによる投資を含む外部連携の強化により多様性を高めることに努めています。中分子医薬の開発にあたっては関連する社内組織(創薬・開発・製薬)の連携強化、知的財産権については、外部の専門家やライセンス先との連携強化を含む、万一の特許訴訟に備えた知財戦略のさらなる強化、関連法規等の動向の継続的な注視、分析や、ノウハウを含めた営業秘密にかかわる情報管理の強化を行うことで、影響を最小化する積極的な知財対応を図ってまいります。 当社グループはリスクアペタイトに基づき、リスクをとって積極果敢にイノベーション創出を追求するとともに、職場環境や組織文化、人財育成などの面からもイノベーションを奨励する仕組みを強化し、イノベーション創出を妨げるリスクの低減に努めます。 ② 制度・規制・政策 ⅰ.医療制度・薬事規制・政策の変化 国内外において高齢化の進展や医療費高騰などによる財政逼迫を背景とした薬剤費引き下げ政策の強化が進められています。加えて、米国による医薬品関税や医薬品最恵国価格等の政策変更は、業界全体でサプライチェーンの大幅な見直しや米国と主要国との相対的な医薬品価格差の縮小につながりうる動きであり、日本におけるドラッグラグ・ドラッグロスの悪化をもたらすことが危惧されます。 社会保障関係費については、高齢化による自然増に加え足元の経済・物価動向等を踏まえた増加分を反映する方針が示され、医療費抑制の取り組みが一層強化されることが予想されます。日本においては昨今の安全保障政策やこども・子育て政策の強化に伴う費用増大が進む一方、減税や社会保険料負担の軽減の議論も生じる環境において、社会保障財政への影響も一層大きくなることが懸念されます。2026年度薬価制度改革では、新薬の薬価算定方法や薬価維持制度等は先送りとなり、2021年度に導入された中間年改定も含めて毎年薬価改定が実施される中、薬価引き下げ政策やバイオシミラー(バイオ後続品)等の振興政策が拡大すると、これまで以上に収益の低下等を招き、研究開発への投資を妨げるリスクがあります。さらに、度重なる薬価制度や運用の変更は市場の予見性を低下させ、企業の経営計画に大きな影響を与えるリスクがあります。また、海外においても、医療制度・薬事規制改革の内容や環境動向を適時適切に把握し、開発・薬事計画などの対応を進めているものの、規制対応等についての国内外の複雑な調整により、計画の修正や開発が遅延することが懸念されます。 一方、こうした政策により今後ますます「Value Based Healthcare(価値に基づく医療)」が進展し、真に価値のあるソリューションだけが選ばれる傾向がより一層強まると考えられます。当社グループは、引き続き患者さんを含むビジネスパートナーへの高い価値の証明に注力し、継続的な次世代品の開発・知財対応、製品ポートフォリオ管理の強化、導出先とのグローバルな価格戦略や市場展開戦略の整合性確保を図ります。そして、日本のみならずグローバルインテリジェンス機能の強化等に取り組んでまいります。 ⅱ.環境規制の更なる厳格化 環境保全活動はすべての事業活動を支える重要な基盤であり、長期的視点で環境リスクを低減するだけでなく将来コストの低減、イノベーションを生み出す施設・設備体制構築にもつながるため、企業価値向上に大きく影響するものと考えています。一方で、企業を取り巻く環境規制の更なる厳格化により、規制対応のために設備投資計画の見直し・遅延や、追加的な費用計上など環境投資の増大やサプライチェーンの見直しが生じる可能性があります。規制動向のタイムリーな把握に加え、最新技術の動向把握と的確な取り入れを行っていくとともに、世界的な環境コンセンサスを踏まえた挑戦的な「中期環境目標2030」を掲げ、ロシュや外部パートナーとの連携による革新的な地球環境保全活動とエビデンスに基づく能動的な情報開示により、環境課題の解決をリードする世界のロールモデルを目指していきます。 ③ 市場・顧客について ⅰ.市場・顧客の価値変化 近年、競合品やバイオシミラー(バイオ後続品)の浸透加速による競争激化に加え、再生医療、細胞/遺伝子治療、核酸医薬など新たな治療手段(モダリティ)の進展や、予防・診断・治療・予後まで一貫した価値提供が求められるようになり、「治療」の価値が変化してきています。さらに、近年、製薬企業における医薬品の情報提供体制、すなわち顧客タッチポイントのあり方も大きく変容しています。 このような状況において、市場での地位や製品競争力が低下し収益が悪化するリスク、あるいは顧客が期待するニーズやそれに伴う顧客タッチポイントの急速な変化等により、医薬品の情報提供体制の抜本的な見直しを迫られる可能性があります。 こうしたリスクに対応するべく、当社グループでは連続的な新薬の創出と製品ラインアップの多様化に努めるとともに、営業資源を適切に配分し、顧客が必要とするデータや情報提供を加速し、顧客エンゲージメントを強化してまいります。そのためにもDXの推進による効率化と環境変化に迅速に対応できるフレキシブルな組織体制の構築を目指します。 ⅱ.経済安全保障・地政学リスクの高まりによる事業制限 各国間の緊張の高まりによる先端技術、機微データ、戦略物資、人権への規制強化をはじめとした各国の経済安全保障政策の変化や、国際紛争等による物流への影響など、近年、経済安全保障・地政学リスクの高まりに端を発した企業活動への影響が高まっています。 これら国際情勢の急激な変化や武力衝突の発生によって、関連地域における事業制限・撤退(生産・R&D・販売拠点の喪失、利益減少、将来の機会損失)、関連地域におけるサプライチェーン停滞・供給遅延、経済安全保障規制の強化による研究開発活動や調達への制約などのリスクが生じる可能性があります。 これらの経済安全保障・地政学リスクに対して、当社グループでは、各国法制や政策の動向など外部情報をタイムリーに入手し、事業影響分析を行う社内体制の強化に取り組んでいます。有事に備えた従業員安全管理体制の再整備、事業継続計画(BCP)の策定、研究開発活動への影響の分析やサプライチェーン全体の可視化に努めるとともに、安全在庫の確保や供給バックアップ体制(デュアルサイト化)の強化などを行っています。 ④ 事業基盤について ⅰ.ロシュとの戦略的提携 当社グループはロシュとの戦略的提携により、日本市場におけるロシュ・グループの唯一の医薬品事業会社となり、また日本以外の世界市場(韓国・台湾除く)ではロシュに当社製品の第一選択権を付与し、多数の製品及びプロジェクトを同社との間で導入・導出しています。独自のビジネスモデルによって安定的な収益基盤を確立し、飛躍的な成長を遂げてまいりました。 これまでの戦略的提携における合意内容が変更となった場合、業績に重大な影響を与える可能性があります。また、ロシュの創薬・グローバルネットワークが不調に陥り、ロシュからの導入品による安定的な収益源が低下するリスクやロシュに導出した自社品のグローバル市場浸透の遅延や収益低下などのリスクがあります。 当社グループとしてはイノベーションを追求し、革新的な医薬品を連続的に創出するとともに、ロシュとの連携によりグローバル開発・マーケティング計画の策定及び実行の支援を強化するとともに、ロシュ・グループ全体の価値最大化に資する導出戦略の実行と、ロシュ戦略を踏まえた最適な導入戦略の実行と第三者からの導入の探索に努めてまいります。 ⅱ.人財獲得の遅れ、人財のミスマッチや不足・余剰、イノベーションの創出阻害 当社は2025年に新たな人事制度を導入し、ジョブ型人事制度の全社展開により、適所適材に基づく人財配置の加速、タレントマネジメントの高度化を進めています。本制度では、会社主導による異動から手挙げによる異動(ジョブポスティング)へのシフトにより、社員が年齢や属性に関係なく自らのキャリアをデザインし、その実現に向けて成長する人財を適切に処遇し、「挑戦・成長」を推奨する組織文化の醸成を図っています。また、サイエンス人財やデジタル人財など戦略遂行上の要となる高度専門ポジションを大幅に拡充し獲得・定着・育成に注力しています。 一方、人財獲得ニーズの競合等による獲得の遅れや社内育成に要する時間、環境変化により求められる業務・質の変化による人財のミスマッチや不足、余剰等が発生するリスク、あるいは期待される組織文化が醸成されず、イノベーションの創出が阻害されるリスクなどが想定されます。 こうしたリスクに対応するべく、戦略遂行上の要となる人財要件を明確に定義・更新し、社外にも積極的に開示することで、計画的に獲得を目指す一方、社内では人財育成・スキル獲得に向けて、人財ポートフォリオの可視化やスキルマネジメントの強化などに努めています。今後も、組織・人財への投資を強化し、環境動向を見極めた組織体制と戦略的な採用計画を実施するとともに、イノベーション創出を促進する人事戦略・組織風土改革の実行に努めてまいります。 ⅲ.デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進阻害 すべてのバリューチェーンで生産性の飛躍的向上を図るべくデジタル投資を加速する一方、デジタル技術の導入や社内進展が遅れ、戦略実行が遅延するリスク、社内のデジタルケイパビリティ不足、デジタル活用に伴うリスクの理解不足等によりDXの停滞やトラブルが発生するリスクがあります。例えば、生成AIの活用が遅れることによる競争力低下のリスクや生成AIのアウトプットの過信リスクが想定されます。技術動向把握のアンテナ機能を拡充するとともに、専門部署強化と外部専門人財の積極活用によるケイパビリティの強化、生成AIの全社的活用推進とコンプライアンスリスク評価体制の強化に取り組みます。 (2)事業遂行におけるリスク(オペレーショナルリスク) ① 品質・副作用について ⅰ.製品品質に関するリスク 当社グループは、患者さんに価値の高い製品・サービスを安定的に提供することを重要課題と認識しております。この目標を達成するため、製品や情報の質、業務プロセスの質、そしてそれらを支える人財の質を通じて事業の信頼性確保に努めております。また、社外パートナー企業との定期的な品質・風土に関する議論の場を設けるなど、サプライチェーン全体での品質向上に取り組んでおります。しかしながら、何らかの理由により製品品質に懸念が生じた場合には、患者さんへの影響はもちろんのこと、販売中止・製品回収、訴訟や損害賠償、社会的信頼の低下などを招く可能性があり、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす恐れがあります。このリスクに対処するため、パートナー企業のリスク評価及び連携を含めた品質保証活動の一層の強化・徹底を図ってまいります。 ⅱ.副作用に関するリスク 医薬品・医療機器は各国規制当局の厳しい審査を受けて承認されます。当社グループでは、承認後も医薬品の安全性監視活動を継続的に強化・徹底しております。具体的には、「調査・副作用・治験データベースツール」を活用した患者さんの特性に応じた迅速な情報提供や、「治療支援アプリ」の運用、医療関係者向けの安全性コンサルテーション・ネットワーク体制の構築など、適正使用に向けた安全性情報提供活動の拡充に努めております。しかしながら、万全の安全対策を講じたとしても、副作用等の健康被害を完全に防止することは困難です。特に新たな重篤な副作用が発現した場合、「使用上の注意」への記載、販売中止、製品回収等の措置を講じる可能性があり、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす恐れがあります。当社グループは、これらのリスクに対して継続的に監視・評価を行い、適切な対策を講じることで、リスクの最小化と患者さんの安全確保に最大限努めてまいります。 ② ITセキュリティ及び情報管理について 業務上、各種ITシステムの利用において、従業員・アウトソーシング企業の不注意または故意による行為や、サイバー攻撃等の外部要因によりシステム障害や社外提供サービスの停止、提供情報の改ざん等が生じた場合、事業活動の停止・遅延・計画の見直しや、突発的な対応・対策費用などが発生する可能性があります。また、万が一、研究開発等にかかる営業秘密や個人情報等が社外に流出した場合、競争優位性の喪失、社会的信頼の喪失、損害賠償などにより、業績に重大な影響を与える可能性があります。 当社グループはこれらのリスクに備え、情報管理及びサイバーセキュリティに関する社内ルールの策定、従業員への教育・訓練、システムの堅牢性・可用性の強化、サイバー攻撃・マルウェア感染などの監視(SOC)及びインシデントレスポンス(CSIRT)体制の構築、インシデントの早期対応策の策定(サイバーBCPの策定)を実施しています。特に機密情報管理では、ITシステム面からも強化を図り、業務ファイルごとのアクセス管理、不注意または故意による情報流出の阻止及び流出後の拡散防止などの機能の運用を開始しております。個人情報管理においては、ますます活発になる越境データ移転に対応するために、グローバルプライバシーガバナンス体制の構築を進めています。「中外製薬グループプライバシー宣言」を定め、グローバル基準での適法対応を推進するとともに、データの利活用をコンプライアンス面からも支援しています。また、これらの対策状況をグループ横断的に評価し強化するためのセキュリティガバナンス体制を構築し、継続的なリスクの低減に努めています。 ③ 大規模災害等による影響について 地震、台風、洪水等の自然災害、火災等の事故により、当社グループの事業所・営業所及び取引先の建物・設備等が深刻な被害を受けた場合、医薬品の供給停止や設備修復などの費用計上の発生、事業活動の制限による収益の低下など、業績に重大な影響を与える可能性があります。 当社グループは、これらのリスクに備え、事業継続計画(BCP)の策定・訓練実施、安全在庫確保、耐震対策など、従業員の安全と医薬品の安定供給のための体制を整備し、リスクの低減に努めています。 ④ 人権について 企業活動における人権侵害の発生は、企業イメージの低下、不買運動、訴訟提起や損害賠償の支払、人財の流出などに繋がり得るもので、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、職場におけるハラスメント等により、従業員の健康やメンタルヘルス、人財力の低下を招くリスクが高まります。 当社グループでは、「人権」を経営に重要な影響を及ぼすリスクの一つとして捉え、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権尊重のグループガバナンス体制を構築するとともに、重要な人権課題の特定、リスク評価と改善計画の策定・実行、ステークホルダーへの情報開示を含むデューデリジェンスの強化に取り組んでいます。また、健康経営の推進、社内研修の継続実施、相談窓口の設置など職場環境の改善にも努めています。 ⑤ サプライチェーンについて 自然災害、事故、上記(1)③(ii)の経済安全保障・地政学リスクの発生等により当社の原材料調達先や外部製造委託先などのサプライヤーに被害や事業活動の制限が生じた場合、また、サプライチェーンにおけるコンプライアンス違反や環境問題などへの対応が遅延した場合、原材料の確保や生産の継続が困難となる可能性があり、社会的信頼の喪失や売上・シェアの低下により業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、これらサプライチェーンに係るリスクに備え、上記(1)③(ii)に記載の対策など、医薬品の安定供給のための体制を整備しています。 また、サプライヤーのみならず、重要なサードパーティ(取引先)を対象に包括的なリスク評価システムを導入し、リスクの一元的管理に取り組んでいます。取引先におけるコンプライアンスや環境問題など当社グループだけでは解決できない課題に関し、連携・情報共有体制を構築し、取引先と協力して課題解決に努める方針です。 ⑥ 地球環境問題について 中長期の環境分析からマテリアリティとして特定した気候変動・エネルギー対策、資源の循環促進・適切な水管理、生物多様性保全に基づき、気候変動対策、循環型資源利用、生物多様性保全の3つの課題を重点分野として定め、2030年を最終年とした中期環境目標を推進しています。 環境関連法規等の遵守はもとより、さらに高い自主基準を設定してその達成に向けて努めていますが、万が一、有害物質による予期せぬ汚染やそれに伴う危害が顕在化した場合、対策費用や損害賠償責任を負うなどにより、業績に重大な影響を与える可能性があります。また、将来における環境関連法規制の強化により、対策費用の増加や当社グループの研究、開発、製造、その他の事業活動が制限される可能性があります。 気候関連リスクについては、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言」のフレームワークに基づき、気候変動が当社へもたらすリスクと機会を織り込んだ定性評価及びシナリオ分析を実施し、全社リスクマネジメントの中で管理しています。現時点では、長期的に大規模な事業転換を必要とする重大な気候関連リスクは特定されていません。加えて、2021年には、弊社の温室効果ガス削減目標に対してScience Based Target(SBT)事務局よりSBT認定を取得しています。自然関連リスクについては、「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)提言」のフレームワークに基づき、当社の事業活動における自然への依存と影響の分析を行うとともに、分析結果を踏まえたリスク・機会の特定と対応策を整理し、全社リスクマネジメントの中で管理を開始しました。引き続き、バリューチェーンの上流および下流の分析を実施していきます。TCFD・TNFD提言に基づく分析結果は下記ページで開示しています。今後も継続的に分析・評価を行い、プロアクティブな環境課題の解決に取り組んでいきます。 なお、当社グループは、透明性・信頼性の高い環境情報を開示するため、毎年、環境パフォーマンスデータの第三者保証を取得しております。2024年度のデータの詳細は、当社ホームページの「サステナビリティに関するデータ集」を参照下さい。2025年度の実績は、下記ページにて2026年5月頃公開を予定しています。 ・TCFD提言に基づく情報開示 https://www.chugai-pharm.co.jp/sustainability/environment/tcfd.html ・TNFD提言に基づく情報開示 https://www.chugai-pharm.co.jp/sustainability/environment/biodiversity/docs/TNFD_disclosures_report.pdf ・サステナビリティに関するデータ集 https://www.chugai-pharm.co.jp/sustainability/data/policy.html
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業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況 (単位:億円) 2025年 12月期実績   2024年 12月期実績   前年同期比 連結損益(Core実績) 売上収益   12,579   11,706   +7.5   % 製商品売上高   10,778   9,979   +8.0   % その他の売上収益   1,801   1,727   +4.3   % 売上原価   △3,515   △3,381   +4.0   % 売上総利益   9,065   8,325   +8.9   % 研究開発費   △1,801   △1,769   +1.8   % 販売費及び一般管理費   △1,032   △1,022   +1.0   % その他の営業収益(費用)   0   27   - 営業利益   6,232   5,561   +12.1   % 当期利益   4,510   3,971   +13.6   % 連結損益(IFRS実績) 売上収益   12,579   11,706   +7.5   % 営業利益   5,988   5,420   +10.5   % 当期利益   4,340   3,873   +12.1   % Core EPS(円)   274.02   241.31   +13.6   % Core 配当性向(%)   99.3   40.6       - <連結損益の概要(IFRSベース)> 当連結会計年度の売上収益は1兆2,579億円(前年同期比7.5%増)、営業利益は5,988億円(同10.5%増)、当期利益は4,340億円(同12.1%増)となりました。これらには当社が管理する経常的業績(Coreベース)では除外している無形資産の償却費14億円、無形資産の減損損失17億円、事業再構築費用133億円、経営判断による自社開発一括中止費用等164億円、及び事業所閉鎖に伴う固定資産売却益を含む事業所再編費用84億円(収益)が含まれています。 <連結損益の概要(Coreベース)> 当連結会計年度の売上収益は、製商品売上高が増加し、1兆2,579億円(前年同期比7.5%増)となりました。売上収益のうち、製商品売上高は1兆778億円(同8.0%増)となりました。国内製商品売上高は、後発品浸透や薬価改定等の影響を受けたものの、新製品のフェスゴ、ピアスカイ、主力品のバビースモ、エンスプリング、ヘムライブラが伸長し、前年同期を上回りました。海外製商品売上高は、ロシュ向けのヘムライブラ及びアクテムラ輸出が増加したため、前年同期を上回りました。その他の売上収益は、一時金収入が減少したものの、ヘムライブラに関する収入の増加等により1,801億円(同4.3%増)となりました。製商品原価率は、為替影響及び製品別売上構成比の変化等により32.6%と前年同期比で1.3ポイント改善しました。結果、売上総利益は9,065億円(同8.9%増)となりました。 研究開発費は創薬・早期開発への投資や開発プロジェクトの進展に伴う費用の増加等により1,801億円(同1.8%増)、販売費及び一般管理費は諸経費等の増加により1,032億円(同1.0%増)となりました。その他の営業収益(費用)は0億円(前年同期は27億円の収益)となりました。以上から、Core営業利益は6,232億円(同12.1%増)、Core当期利益は9期連続の増益を達成し、4,510億円(同13.6%増)となりました。 ※Core実績について 当社はIFRS移行を機に2013年よりCore実績を開示しております。Core実績とは、IFRS実績に当社が非経常事項と捉える事項の調整を行ったものであります。なお、当社が非経常事項と捉える事項は、事業規模や範囲などの違いによりロシュと判断が異なる場合があります。当社ではCore実績を、社内の業績管理、社内外への経常的な収益性の推移の説明、並びに株主還元をはじめとする成果配分を行う際の指標として使用しております。 株主還元を行う際の指標には、Core EPS及びCore配当性向を指標として使用しております。Core EPSは、Core実績をもとに算出された、当社株主に帰属する希薄化後1株当たり当期利益であり、Core配当性向は、Core EPS対比の配当性向です。 <製商品売上高の内訳> (単位:億円) 2025年 12月期実績   2024年 12月期実績   前年同期比 製商品売上高   10,778   9,979   +8.0   % 国内製商品売上高   4,724   4,611   +2.5   % オンコロジー領域   2,465   2,477   △0.5   % スペシャリティ領域   2,258   2,134   +5.8   % 海外製商品売上高   6,054   5,368   +12.8   % [国内製商品売上高] 国内製商品売上高は、後発品浸透及び薬価改定等の影響を受けたものの、新製品及び主力品が伸長し、4,724億円(前年同期比2.5%増)となりました。 オンコロジー領域の売上高は、2,465億円(同0.5%減)となりました。後発品浸透及び薬価改定の影響により、主力品の抗悪性腫瘍剤/抗VEGFヒト化モノクローナル抗体「アバスチン」の売上が減少しました。また、抗悪性腫瘍剤/抗HER2ヒト化モノクローナル抗体「パージェタ」は、本剤を含む配合皮下注製剤である新製品の抗悪性腫瘍剤/抗HER2ヒト化モノクローナル抗体・ヒアルロン酸分解酵素配合剤「フェスゴ」への置き換えが進んだことを主因に売上が大幅に減少しました。一方、「フェスゴ」の売上が大幅に増加したことに加え、2025年3月に発売した抗悪性腫瘍剤/抗CD20/CD3ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「ルンスミオ」が順調に市場浸透したほか、主力品の抗悪性腫瘍剤/微小管阻害薬結合抗CD79bモノクローナル抗体「ポライビー」が堅調に推移しました。 スペシャリティ領域の売上高は、2,258億円(同5.8%増)となりました。後発品浸透及び薬価改定の影響を受けたものの、主力品の眼科用VEGF/Ang-2阻害剤/抗VEGF/抗Ang-2ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「バビースモ」、pH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体「エンスプリング」、血液凝固第Ⅷ因子機能代替製剤/抗血液凝固第Ⅸa/Ⅹ因子ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「ヘムライブラ」の売上が堅調に推移したことに加え、新製品のpH依存的結合性ヒト化抗補体(C5)モノクローナル抗体「ピアスカイ」が好調に市場浸透しました。 [海外製商品売上高] 海外製商品売上高は6,054億円(前年同期比12.8%増)となりました。ロシュ向け輸出については、「ヘムライブラ」、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体「アクテムラ」が前年同期比で伸長しました。 ② 財政状態の状況 (単位:億円) 2025年 期末実績   2024年 期末実績   前期末比 純営業資産(NOA)及び純資産 純運転資本   5,270   4,487   783 長期純営業資産   5,833   4,989   844 純営業資産(NOA)   11,103   9,476   1,627 ネット現金   9,797   9,963   △166 その他の営業外純資産   △643   △425   △218 純資産合計   20,257   19,015   1,242 連結財政状態計算書(IFRS実績) 資産合計   24,686   22,084   2,602 負債合計   △4,429   △3,069   △1,360 純資産合計   20,257   19,015   1,242 当連結会計年度末における純営業資産(NOA)は前連結会計年度末に比べ1,627億円増加し、1兆1,103億円となりました。うち、純運転資本は営業債務が増加した一方で、営業債権の増加及び未収入金の増加等により前連結会計年度末に比べ783億円増加し、5,270億円となりました。また、長期純営業資産は宇都宮工場におけるバイオ原薬製造棟(UT3)や注射剤棟(UTA)への投資、無形資産の増加等により前連結会計年度末から844億円増加し、5,833億円となりました。 次項「③ キャッシュ・フローの状況」で示すとおり、有価証券や有利子負債を含むネット現金は前連結会計年度末に比べ166億円減少し、9,797億円となりました。その他の営業外純資産は主にリース負債の増加により前連結会計年度末から218億円減少し、△643億円となりました。 これらの結果、純資産合計は前連結会計年度末に比べ1,242億円増加し、2兆257億円となりました。 ※純営業資産(NOA)及び純資産について 連結財政状態計算書は国際会計基準第1号「財務諸表の表示」に基づいて作成しております。一方で、純営業資産(NOA)及び純資産は、連結財政状態計算書を内部管理の指標として再構成したものであり、ロシュも同様の指標を開示しております。なお、純営業資産(NOA)及び純資産にはCore実績のような除外事項はありません。 ※純営業資産(NOA)について 純営業資産(NOA:Net Operating Assets)は金融取引や税務上の取引とは独立に当社グループの業績を評価することを可能としております。純営業資産は純運転資本及び有形固定資産、使用権資産、無形資産等を含む長期純営業資産から引当金を控除することで計算しております。 ③ キャッシュ・フローの状況 (単位:億円) 2025年 12月期実績   2024年 12月期実績   前年同期比 フリー・キャッシュ・フロー 営業利益   5,988   5,420   +10.5   % 調整後営業利益   6,515   5,848   +11.4   % 営業フリー・キャッシュ・フロー   4,521   4,934   △8.4   % フリー・キャッシュ・フロー   2,733   3,868   △29.3   % ネット現金の純増減   △166   2,573   -   % 連結キャッシュ・フロー計算書(IFRS実績) 営業活動によるキャッシュ・フロー   3,863   4,476   △13.7   % 投資活動によるキャッシュ・フロー   △2,013   △2,274   △11.5   % 財務活動によるキャッシュ・フロー   △3,079   △1,410   +118.4   % 現金及び現金同等物の増減額   △1,136   815   -   % 現金及び現金同等物の期末残高   4,266   5,402   △21.0   % 営業利益から、営業利益に含まれる減価償却費などのすべての非現金損益項目及び純営業資産に係るすべての非損益現金流出入を調整した調整後営業利益は、6,515億円(前年同期比11.4%増)となりました。 調整後営業利益から純運転資本等の増加797億円や有形固定資産の取得による支出763億円等により、営業フリー・キャッシュ・フローは4,521億円(同8.4%減)の収入となりました。純運転資本等の増加要因は前項「② 財政状態の状況」に記載したとおりです。 営業フリー・キャッシュ・フローから法人所得税1,911億円を支払ったこと等により、フリー・キャッシュ・フローは2,733億円(同29.3%減)の収入となりました。 フリー・キャッシュ・フローから配当金の支払2,994億円等を調整したネット現金の純増減は166億円の減少となりました。 また、有価証券及び有利子負債の増減を除いた現金及び現金同等物は1,136億円減少し、当連結会計年度末残高は4,266億円となりました。 ※フリー・キャッシュ・フロー(FCF)について 連結キャッシュ・フロー計算書は国際会計基準第7号「キャッシュ・フロー計算書」に基づいて作成しております。一方で、FCFは、連結キャッシュ・フロー計算書を内部管理の指標として再構成したものであり、ロシュも同様の指標を開示しております。なお、FCFにはCore実績のような除外事項はありません。 ④ 生産、受注及び販売の実績 a. 生産の状況 当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。 セグメントの名称   金額(百万円)   前年同期比(%) 医薬品事業   1,193,060   △7.2 合計   1,193,060   △7.2 (注)IFRSに基づく金額を記載しております。また、金額は売価換算(仕切単価ベース)であり、百万円未満を四捨五入して記載しております。 b. 商品仕入実績 当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の商品仕入実績は次のとおりであります。 セグメントの名称   金額(百万円)   前年同期比(%) 医薬品事業   1,727   △29.4 合計   1,727   △29.4 (注)IFRSに基づく金額を記載しております。また、金額は実際仕入高であり、百万円未満を四捨五入して記載しております。 c. 受注の状況 当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。 d. 販売の状況 当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。 セグメントの名称   金額(百万円)   前年同期比(%) 医薬品事業   1,257,941   +7.5 合計   1,257,941   +7.5 (注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。 相手先   当連結会計年度   前連結会計年度 販売高 (百万円)   割合 (%)   販売高 (百万円)   割合 (%) エフ・ホフマン・ラ・ ロシュ・リミテッド   724,053   57.6   652,725   55.8 アルフレッサ ホールディングス株式会社及びそのグループ会社   152,292   12.1   141,981   12.1 2.IFRSに基づく金額を記載しております。また、金額は百万円未満を四捨五入して記載しております。 3.販売高は売上収益(製商品売上高とその他の売上収益)であります。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4. 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況 及び ② 財政状態の状況」に記載しております。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 a. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容 キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4. 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。 b. 資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当社グループは、これまで、運転資金並びに設備投資及び研究開発活動を自己資金で充当しております。2021年度に始動しましたTOP I 2030 は「R&Dアウトプットの持続的な創出」に代表されるイノベーションへの継続的な経営資源の配分を掲げています。引き続き資金流動性の確保と事業活動から創出されるキャッシュ・インフローの最大化に努めるとともに、継続的なイノベーション投資に必要な財務健全性を維持していく方針です。また、計画外の急な資金需要が生じた場合の財源につきましては、金融機関からの借入や短期社債等を利用するなどの体制を整えており、既存の手許資金も含めて十分な流動性を確保しております。 今後についても資本財源は事業活動を通じて獲得した資金を基盤とする方針であり、継続的なイノベーションへの投資を通じ、持続的な企業価値の向上を目指す方針です。なお、資本配分としての配当につきましては、戦略的な投資資金需要や業績見通しを勘案した上で、Core EPS対比平均して45%の配当性向を目処に、株主の皆様へ安定的な配当を行うことを目標としております。 ③ 経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当連結会計年度のCore売上収益は、ロシュ向け輸出の増加及び国内の新製品及び主力品の伸長により1兆2,579億円(前年同期比7.5%増)となり、4年連続で1兆円を超えました。製商品原価率は、製品別売上構成比の変化等により32.6%(同1.3%ポイント改善)、研究開発費・販売費及び一般管理費・その他の営業収益(費用)の合計は2,833億円(同2.4%増)となりました。この結果、Core営業利益は6,232億円(同12.1%増)となりました。また、長期にわたる投資効率の指標として重点的に管理しているCore ROIC*の実績は、税引後営業利益の増加により43.9%(前年比1.0%ポイント増)となりました。 2021年に開始した成長戦略「TOP I 2030」の5年目となる2025年は、創薬、開発、製薬、Value Delivery、成長基盤という5つの改革分野において、概ね順調な進展が見られました。 創薬においては、R&Dアウトプット倍増という非常にチャレンジングな目標達成に向け、様々な取り組みを進めております。抗体、低分子に続く第3のモダリティである中分子は、今期新たに2プロジェクトが前臨床開発段階に進み、ポートフォリオの拡充は順調に進展しています。また、強みとする抗体医薬品においても、次世代抗体技術の開発とプロジェクトの創出が進んでおります。このような自社での創薬研究を加速すべく、ロボティクスによるラボオートメーション化や、AI等のデジタル基盤活用など、創薬力を最大限に発揮する体制を整備しました。加えて、オープンイノベーションにも注力しており世界のアカデミア・バイオテック企業との提携を通じてイノベーション機会を追求しています。2024年に活動を開始した中外ベンチャー・ファンド・エルエルシーは、既に7件の投資を実行しました。組織強化の面では、米国のアカデミアやベンチャー企業とのネットワークをさらに強化するために米国サウスサンフランシスコにパートナリングオフィスを開設しました。このように進捗は見られますが、先に述べたチャレンジングな目標達成のためには更なる強化の余地があると考えており、取り組みを加速していきます。 開発については、2025年は合計6プロジェクトが承認され、新薬・適応拡大を含め5プロジェクトが承認申請に移行しました。また、第三者から第Ⅲ相臨床試験実施中の製品を導入したほか、ロシュ品・自社品含めて計6プロジェクトの第Ⅲ相国際共同治験、及び4プロジェクトの第Ⅰ相臨床試験を開始しました。なお、2025年は早期臨床開発段階にある自社品パイプラインのうち5プロジェクトの自社開発一括中止を決定しました。早期開発プロジェクトの優先順位を見直し機動的かつ戦略的な開発加速を図るためです。非臨床段階から最適な開発ルートを見定め、精度の高いGo/No-Go判断の実行と効果的な開発計画の策定によって開発を加速させることで、毎年上市の達成に向けて取り組んでいきます。 製薬では、R&Dアウトプット倍増に対応する頑健かつ競争力のある開発供給体制の実現を目指しています。中分子プラットフォーム技術の構築において着実な進展がありました。開発した独自技術を複数のプロジェクトに適用し、短期間で高難度・高活性の治験薬の製造供給を完遂するなど、技術確立が進みました。また、低・中分子及びバイオ医薬品の製法開発機能の強化及び環境対策推進を目的として、浮間事業所(東京都北区)における新たな研究棟UKXの建設を決定しました。開発プロジェクトが増える中で、同時に速やかな臨床試験入りや開発加速を実現するためには、製法開発機能の強化・拡充が喫緊の課題です。 Value Deliveryにおいては、多様化する顧客ニーズに対応し、患者さんや医療関係者が求める情報を的確かつ迅速に提供すべく、人・デジタルを融合したエンゲージメントモデルの進化と組織体制の変革が進んでおり、顧客満足度調査においても昨年に続き高い評価をいただいております。また、個別化医療に資する独自エビデンスの創出、患者さんや医療現場に価値をもたらすエビデンスの創出を目指し、社内外データの統合的な活用にも継続して取り組んでいます。今後も効率化を進めることで、高い生産性を維持していきます。 成長基盤の「人・組織」については、2025年から運用が開始された新人事制度では、ジョブ型人事制度の全社展開、ジョブポスティング制度の導入、雇用上限年齢の撤廃を行いました。新人事制度により適所適財を加速するとともに、社員の挑戦と自律的なキャリア形成を後押ししていきます。創薬力の高度化や全バリューチェーン効率化の柱である「デジタル」についても積極的な取り組みを行っております。AIについては、全社基盤Chugai AI Platformを構築しアクティブユーザーが6割を超えるなど社員のAI活用が進展しているほか、創薬領域におけるAI活用も拡大し、臨床開発領域におけるSoftbank社とのAI-agent開発を始めました。今後も生産性向上・新規価値創出に向けた全社的な取り組みを推進していきます。世界水準でのサステナブル基盤としての「環境」については、気候変動対策、循環型資源利用、生物多用性保全を重点分野として定め、2030年をゴールとした挑戦的な環境目標を設定し、積極的に取り組んでいます。概ね順調に進捗しておりますが、フロン類及び廃棄物の削減目標については達成に向けた課題があり、検討を継続しています。なお、国際的な非営利団体であるCDP(Carbon Disclosure Project)により、気候変動及び水セキュリティの透明性とパフォーマンスにおけるリーダーシップが認められ、CDP2025のAリスト企業に選定されました。継続的な取り組みと情報開示の結果、気候変動分野では4年連続、水セキュリティ分野では3回目のAリスト選定であり、気候変動・水セキュリティ分野でのダブルAリスト選定は3回目となります。その他、当社では初となる遺伝子治療製品や有形医療機器の取り扱いに向けた法規制対応等を進め、クオリティマネジメント強化に向けた取り組みを行いました。「PHCソリューション**」では、2024年4月に新設されたPHCソリューションユニットにてソリューション開発から事業化までの戦略立案を推進しています。社会が求めるヘルスケアの提供価値への期待が高度化・多様化する中、医薬品と患者さんの間を繋ぎ、個別に最適化された提供価値を最大化することで、ヘルスケアシステム全体における創出価値の最大化へ貢献していきます。 *ROICについて 投下資本利益率(ROIC:Return On Invested Capital)は事業活動のために投じた資金(投下資本)を使って、企業がどれだけ効率的に利益に結びつけているかを知ることができます。 **PHCソリューションについて 医薬品以外のソリューション(製品・サービス)(プログラム医療機器、体外診断用医薬品、コンパニオン診断、デジタルバイオマーカーなど) ④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループはIFRSに準拠して連結財務諸表を作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 1.重要な会計方針等 (2)重要な会計上の判断、見積り及び前提」に記載のとおりです。

EDINET提出の有価証券報告書から自動抽出。表は文字起こしのため崩れることがあります。

開示資料

出典

このページの財務・役員・株主等のデータは、金融庁EDINETに提出された開示書類から自動抽出しています。会計基準は IFRS

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