本文へスキップ
超!企業DB
日経平均64,325.64-1,890NYダウ52,980.73+214ドル円158.84-1NASDAQ26,208.82+109S&P 5007,666.58+35SOX 指数11,332.81+449/2終値

Delta-Fly Pharma

Delta-Fly Pharma, Inc.4598 · Growth · 医薬品

既存の抗がん剤を「モジュール」として組み立てる独自の創薬手法で、難治性がんに挑むバイオベンチャー。

概要

Delta-Fly Pharmaは、徳島県徳島市に本社を置く創薬ベンチャーである。2010年の設立以来、独自の「モジュール創薬」手法に基づき、抗がん剤の研究開発に特化してきた。従業員は12名で、2018年10月に東証マザーズ(現グロース)に上場。現時点では製品化に至っておらず、ライセンス契約によるマイルストーン収入が主な収益源である。2026年3月期の営業損失は17億円にのぼる。

既存薬を組み立てる「モジュール創薬」

同社の創薬手法は、既存の抗がん活性物質や医薬品を「モジュール」(構成単位)として利用し、用法用量や結合様式に創意工夫を加えて「アセンブリ」(組み立て)することで、新規抗がん剤を創製するものである。一般的な創薬では基礎探索研究に2〜3年を要するが、モジュール創薬では着手から1〜2年で臨床試験を開始できるとされる。また、特許切れの医薬品を組み合わせても新規性を主張できるため、効率的な特許取得が可能だとしている。

6つのパイプラインが臨床段階に

同社の開発パイプラインは、急性骨髄性白血病(AML)を対象とするDFP-10917、肺がんを対象とするDFP-14323、胆道がんなどを対象とするDFP-11207、膵がんなどを対象とするDFP-14927とDFP-17729、腹膜播種転移がんならを対象とするDFP-10825の6つが臨床試験段階にある。このうちDFP-10917は米国で第3相試験が完了したが、中間解析で優越性が検証されず中止。一方、ベネトクラクスとの併用試験では有効性が示唆され、今後の開発が検討されている。

ライセンス主体のビジネスモデル

同社は自社で製造・販売を行わず、開発した抗がん剤候補化合物の権利を製薬企業にライセンス供与することで収益を得るビジネスモデルを採用する。日本国内では、日本新薬とDFP-10917、日本ケミファとDFP-14323およびDFP-17729の独占的ライセンス契約を締結している。グローバルでの提携先は未定であり、米欧・アジアのパートナー開拓が課題となっている。過去にはヤクルト本社や三洋化成工業との共同研究契約も結んでいる。

無収益と研究開発費の拡大が続く財務

同社は製品売上を計上したことがなく、収益は契約一時金やマイルストーンに依存する。2026年3月期の事業収益はゼロ、研究開発費13億円を含む事業費用16億円を計上し、営業損失は17億円となった。手元資金は1.5億円と少なく、新株予約権の行使による株式発行で資金を調達している。純資産は0.3億円と極めて薄く、継続的な資金調達が不可欠な状況にある。

少数精鋭の研究開発体制

従業員は12名と小規模であり、臨床試験の多くを外部の医療機関やCRO(医薬品開発業務受託機関)に委託している。本社機能は徳島県徳島市に置き、東京事務所を東京都中央区に設置。経営陣は代表取締役を含む少人数で構成され、研究開発戦略の立案とパートナー交渉に経営資源を集中させている。

業界の中での役割はバイオ医薬品研究開発企業(抗がん剤開発に特化)にあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2026/3期)より

01製薬業界(提携先)主力

自社開発した抗がん剤候補を製薬会社にライセンス供与し、契約一時金、マイルストーン、開発協力金、上市後のロイヤリティを得るビジネスモデル。現在は日本新薬、日本ケミファと提携中のパイプラインを持つ。

主要顧客日本新薬、日本ケミファ

主な製品・サービス3
DFP-10917
再発・難治性急性骨髄性白血病を対象とする核酸誘導体。低用量・長期持続点滴投与によりDNA鎖を切断してがん細胞死を誘導する。日本では日本新薬とライセンス契約。
DFP-14323
肺がんを対象に開発中のウベニメクス適応追加。免疫機能調整作用により抗腫瘍効果を発揮。日本ケミファとライセンス契約。
DFP-17729
膵がんなど固形がんを対象とした腫瘍微小環境改善剤。Na+/H+交換輸送体阻害によりがん細胞の増殖を抑える。日本ケミファとライセンス契約。

製品と技術

既存モジュールを組み合わせる創薬技術

同社の核となる技術は「モジュール創薬」である。これは、すでに医薬品として承認されている抗がん剤の活性物質や、臨床で安全性が確認された化合物を「モジュール」として抽出し、新たな結合様式や用法用量の工夫を加えて組み立てることで、有効性と安全性のバランスを向上させた新規抗がん剤を生み出す手法である。一般的な新薬開発では基礎探索研究に2〜3年かかるのに対し、モジュール創薬では着手から1〜2年で臨床試験に入れるとされる。特許切れの医薬品を材料にしても組み合わせや用途で新規性を主張できるため、効率的な知的財産戦略が可能となる。

DFP-10917:低用量長時間点滴でAMLに挑む

DFP-10917は、核酸誘導体であるシタラビンの投与方法を改良した抗がん剤候補である。従来の核酸代謝拮抗剤とは異なり、低用量で7〜14日間持続点滴することにより、DNA鎖に取り込まれて自己切断を誘発し、細胞周期G2/M期で停止させアポトーシスを引き起こす。再発・難治性急性骨髄性白血病(AML)を対象に、米国M.D. Anderson Cancer Centerで臨床試験が進められた。第2相試験では48%の奏効率を示したが、第3相試験では中間解析で優越性が確認されず中止。一方、ベネトクラクスとの併用第1/2相試験では目標奏効率を達成し、FDAとの協議が進められている。

DFP-14323:免疫機能を活性化する肺がん治療薬

DFP-14323は、既承認薬ウベニメクスの適応追加を目指す開発品である。ウベニメクスは元々「成人急性非リンパ性白血病に対する完全寛解導入後の維持強化化学療法剤との併用」で承認されており、抗腫瘍免疫能の活性化作用と癌幹細胞抑制効果が知られている。DFP-14323では、低用量で単剤または他剤併用により、末期・高齢の肺がん患者の免疫機能を改善することを狙う。日本国内の基幹病院9施設で実施した第2相試験では、無増悪生存期間の中央値23.1ヶ月という結果が得られ、現在は第3相試験の症例登録が進められている。日本ケミファが国内の独占的販売権を保有する。

DFP-11207:5-FU系経口抗がん剤の最適化

DFP-11207は、5-フルオロウラシル(5-FU)の効果と毒性のバランスを改善した経口抗がん剤候補である。3つのモジュール(5-FU徐放プロドラッグのEMFU、5-FU分解酵素阻害剤のギメラシル、消化管障害抑制剤のシトラジン酸)を1分子に結合させており、経口投与後、体内で各成分に分かれて作用する。血中の5-FU濃度を低く長く維持することで、従来の5-FU系薬剤で問題となる血小板減少などの血液毒性を軽減しつつ、抗腫瘍効果を発揮する。現在、胆道がんを対象に一般社団法人日本肝胆膵オンコロジーネットワークとの共同で医師主導治験(第1/2相)が進行中である。

DFP-14927:高分子デリバリーで固形がんに挑む

DFP-14927は、抗がん剤を高分子に結合させて体内動態を制御するドラッグデリバリーシステム(DDS)を応用した静注用抗がん剤候補である。固形がん、特に膵がんを対象として、米国で拡大第1相試験が継続されている。高分子化により薬剤の血中半減期を延ばし、腫瘍組織への選択的な集積を高めることで、有効性の向上と副作用の低減を目指す。同化合物は三洋化成工業との共同研究契約に基づいて開発が進められており、モジュール創薬にDDS技術を組み合わせた例として注目される。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

医薬品のなかでの位置

創薬ベンチャー、パイプラインの進捗がカギ

Delta-Fly Pharmaは、がん領域に特化した創薬ベンチャー。業界内では、Veritas In SilicoやChordia Therapeuticsなど同様のバイオベンチャーと競合。現時点で売上はなく、開発ステージにあるため業績は未公表。パイプラインの臨床試験結果が企業価値を左右する。資金調達や提携戦略が重要で、競合と比較して独自の作用機序を持つ化合物の開発が差別化要因となる。

強み

  • 未満治療ニーズの高いがん領域に集中、アンメットメディカルニーズに対応
  • ユニークな作用機序の化合物を開発、既存薬と差別化
  • 大手製薬企業との提携や外部資金調達で開発を加速する可能性
  • スリムな組織で意思決定が速く、研究開発に集中できる

課題

  • 売上ゼロ、承認まで長期間を要し、資金調達リスクが常に存在
  • 治験失敗リスクや競合の進展により、パイプライン価値が変動
  • 同分野には多くのバイオベンチャーがひしめき、差別化が困難

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

医薬品の時価総額近傍。太字がDelta-Fly Pharma

時価総額で並べると、掲載6社のなかで6番目にあたる。

#企業時価総額PER
14883モダリス29億円
2130AVeritas In Silico28億円
34882ペルセウスプロテオミクス24億円
44558中京医薬品24億円25.8倍
54881ファンペップ20億円
64598Delta-Fly Pharma16億円

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は東証33業種の分類に従っています。

会社の歴史

沿革 13件

「安心して家族に勧められる治療法」を掲げて創業

2010年12月、徳島県徳島市にDelta-Fly Pharmaが設立された。創業の目的は「安心して家族のがん患者に勧められる治療法の提供」であり、既存の抗がん剤の課題を解決する新たな創薬アプローチを追求する方針が打ち出された。当初から抗がん剤の研究開発を中核事業と位置づけ、少人数ながら専門性の高い組織としてスタートした。

米国で初の臨床試験を開始

2012年10月、抗がん剤候補化合物DFP-10917の米国での第1相試験を再発・難治性急性骨髄性白血病患者を対象に開始した。これは同社にとって初の臨床試験であり、モジュール創薬の実証試験として位置づけられた。続いて2014年7月には固形がんを対象とするDFP-11207の第1相試験を米国で開始し、パイプラインの拡充が進められた。

ヤクルト本社とのオプション契約で初のライセンス

2013年4月、同社はヤクルト本社と、自社保有の抗がん剤候補化合物の日本国内における開発商業化権に関するオプション権付与契約を締結した。これが同社にとって初のライセンス契約となり、開発パイプラインの事業化に向けた一歩となった。ただし、後にこのオプションが行使されたかどうかは開示されていない。

日本新薬との独占的ライセンス契約締結

2017年3月、同社は日本新薬と、DFP-10917の日本における独占的ライセンス契約を締結した。これにより日本国内の開発・販売権を日本新薬に供与し、契約一時金とマイルストーン収入を得る体制が整った。同契約は、再発・難治性急性骨髄性白血病を適応症としており、日本での臨床開発が日本新薬主導で進められることになった。

東証マザーズ上場と三洋化成との共同研究

2018年10月、同社は東京証券取引所マザーズに株式を上場した。上場により資金調達の手段が広がると同時に、創薬ベンチャーとしての認知度が向上した。同年3月には三洋化成工業との間で、ドラッグデリバリーシステム(DDS)を用いた新規抗がん剤の共同研究開発契約を締結。DDS技術の取り込みによりパイプラインの多様化が図られた。

日本ケミファとの連続提携で複数パイプラインをライセンス

2020年3月、同社は日本ケミファとDFP-17729の日本における独占的ライセンス契約を締結。続いて2022年3月には同じく日本ケミファとDFP-14323の日本における独占的ライセンス契約を結んだ。これにより日本ケミファは同社の3つのパイプライン(DFP-14323、DFP-17729、および後述のDFP-14323)の開発権を保有することとなり、国内での提携関係が強化された。

グロース市場移行と臨床試験の進捗・中止

2022年4月、東証の市場区分見直しに伴い、マザーズからグロース市場へ移行した。その後、DFP-10917の米国第3相試験は中間解析で有効性条件を満たさず中止となったが、特定サブグループでの有効性が示唆された。並行してベネトクラクスとの併用試験では良好な奏効率が得られ、条件付き承認や次相試験の可能性が検討されている。他のパイプラインでも第2相・第3相試験が進行中である。

年表13件を開く

2010年代

  • 2010年12月「安心して家族のがん患者に勧められる治療法の提供」を目的として、徳島県徳島市に Delta-Fly Pharma㈱を設立
  • 2012年4月東京都千代田区に東京事務所を開設
  • 2012年10月抗がん剤候補化合物DFP-10917の米国での第1相試験(対象:再発・難治性急性骨髄性白血病)を開始
  • 2013年4月㈱ヤクルト本社に対し、当社が保有する抗がん剤候補化合物の日本国内における開発商業化権に関するオプション権付与契約を締結
  • 2014年7月抗がん剤候補化合物DFP-11207の米国での第1相試験(対象:固形がん)を開始
  • 2015年2月DFP-10917の米国での第2相試験(対象:再発・難治性急性骨髄性白血病)を開始
  • 2016年5月東京都中央区に東京事務所を移転
  • 2017年3月日本新薬㈱との間で、抗がん剤候補化合物DFP-10917の日本における独占的ライセンス契約を締結
  • 2018年3月三洋化成工業㈱との間で、ドラッグデリバリーシステムを用いた新規抗がん剤における共同研究開発契約を締結
  • 2018年10月上場東京証券取引所マザーズに株式を上場

2020年代

  • 2020年3月日本ケミファ㈱との間で、抗がん剤候補化合物DFP-17729の日本における独占的ライセンス契約を締結
  • 2022年3月日本ケミファ㈱との間で、抗がん剤候補化合物DFP-14323の日本における独占的ライセンス契約を締結
  • 2022年4月東京証券取引所の市場区分の見直しによりマザーズ市場から グロース 市場へ移行

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2026/3期の経営方針より

会社は5つの方針を掲げている。有価証券報告書には具体的な数値目標の記載がない。

  1. 01

    抗がん剤パイプラインの推進

    DFP-10917、DFP-14323、DFP-17729など複数の抗がん剤候補について、臨床試験を計画通り推進し、承認取得を目指す。特にDFP-10917については、米国FDAと協議し次の臨床第3相試験を準備する。

  2. 02

    ライセンス契約による提携強化

    日本国内だけでなく、欧米やアジアの製薬会社とのライセンス契約を積極的に締結し、契約一時金やマイルストーン収入を確保するとともに、各地域での承認取得を目指す。

  3. 03

    探索研究によるパイプライン充実

    「モジュール創薬」の手法を用いて新規抗がん剤候補化合物の探索研究を継続的に実施し、開発パイプラインを拡充する。

  4. 04

    財務体質の強化と資金調達

    ライセンス収入に加え、公募増資や新株予約権の行使など株式市場からの資金調達を活用し、研究開発資金を確保するとともに財務体質の強化を図る。

  5. 05

    開発体制の強化と人材確保

    研究開発のマネジメントに特化した小規模組織を維持しつつ、開発品増加に対応するため外部人材紹介も活用して適切な人材を確保する。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 8期分

グループ全体で12人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は595万円で、7期前と比べて+7.3%平均年齢は51.9歳、平均勤続年数は9.6年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数一人当たり営業利益万円
2019年3月55446.24.811
2020年3月67948.94.413
2021年3月60851.05.711
2022年3月60654.06.012
2023年3月66353.27.311
2024年3月62751.07.113
2025年3月57652.08.113−13,077
2026年3月59551.99.612−13,333

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

拠点とグループ

設備と関係会社

主要な設備 (帳簿価額 上位2)
本社 — 徳島県徳島市35百万円
東京事務所 — 東京都中央区1百万円

四半期の推移

8期分

直近は2022年4Qで、売上は2億円。前年の2021年4Qと比べると、売上は+0.0%。

対象期間売上高億円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2020年4Q1−4
2021年2Q1−2−200.0−2
2021年3Q0−3−3
2021年4Q2−1
2022年1Q1−3−300.0−3
2022年2Q0−3−3
2022年3Q0−2−2
2022年4Q2−2

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。

業績の推移

有価証券報告書 12期分

直近12期の通期業績。

決算期売上高億円営業利益億円経常利益億円営業利益率%純利益億円
2015年3月4−3−3
2016年3月1−6−6
2017年3月933
東京証券取引所マザーズに株式を上場
2018年3月2−2−2
2019年3月−7−7
2020年3月1−16−16
2021年3月3−9−9
2022年3月3−10−10
2023年3月−13−13
2024年3月−14−14
2025年3月−17−17−17
2026年3月−16−16−16

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。空欄の期は有価証券報告書からその項目の数値が取れていません(0ではありません)。

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 10期分

2026年3月期は営業CFが−16億円、投資CFが期末の手元現金は1億円

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2017年3月−300−34
2018年3月138
2019年3月−6033−635
2020年3月−1601−1619
2021年3月−709−721
2022年3月−9113
2023年3月−1309−138
2024年3月−13019−1314
2025年3月−1808−183
2026年3月−16141

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 12期分

2026年3月期の総資産は2億円。このうち返さなくてよい自己資本が0億円で、自己資本比率は12.6%(業種中央値69.9%より薄い)

決算期総資産億円自己資本億円負債億円自己資本比率%
2015年3月86274.6
2016年3月75265.4
2017年3月108279.4
2018年3月98195.2
2019年3月3635198.2
2020年3月2221195.1
2021年3月2221196.1
2022年3月1312193.1
2023年3月98187.0
2024年3月1512383.6
2025年3月43263.5
2026年3月20212.6

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2026年3月期の内訳単体ベース
現金及び預金
1億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
-116億円
過去の利益の積み上がり
負債合計
2億円
いつか返す必要があるお金

株価

9月2日の終値

直近の終値は¥122で、1年前と比べて-79.5%過去52週の値幅のなかでは5%の位置にある。

¥122-20.8%1ヶ月+13.0%1年-79.5%時価総額16億円
過去52週の値幅
安値¥92高値¥700

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

直近1日で+5.15%と反発しましたが、1ヶ月では-22.1%と大幅安。1年では-85.4%と壊滅的な状況が続いています。52週高値722円からは-85.9%下落し、現在は52週安値圏(92円)に接近。RSIは24.6と売られ過ぎ圏で、出来高は7月23日に80万株超と急増し、投げ売りが観測されました。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

AIの評価

AI評価

株価水準の解釈です。売買の推奨ではありません

現在の株価水準を割高と判定しています(スコア 5/100)

PBR 39.36倍は業界平均3.06倍を大幅に上回り極端な割高。ROEは49.5%と高いが、無収益・赤字継続でPERは算出不能。配当もなし。業績悪化が続く中、バリュエーションは現実離れしており、注意が必要。

指標この会社業種平均
PBR-8.71倍3.53倍
ROE49.5%6.5%

業種平均は同じ東証33業種に属する銘柄の単純平均です。銘柄数が少ない業種では平均が振れます。

AI評価判定とスコアは公開データをもとにした解釈で、将来の株価を示すものではありません。算出の考え方は編集方針に記載しています。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

無収入の創薬ベンチャーであり、パイプラインの進捗のみがバリュエーションを決める。強気派は、画期的なメカニズムの抗体医薬が将来大きな市場を獲得できる可能性を評価。また、少額資金で効率的に研究を進めている点を強調。弱気派は、売上ゼロで赤字が続き、2026年3月期も16億円の赤字見通しである点や、キャッシュ・ランウェイの制約、競合技術の存在を指摘。時価総額14億円ながら簿価は0.4億円とPBR39倍と極めて割高。

プラスに働く材料7
  • 画期的な技術シーズ

    独自の抗体技術で既存治療が困難な難病への応用可能性。

  • 少額資金での効率的運営

    小規模組織で研究開発費を抑制。資金効率は良好。

  • アンメットメディカルニーズ

    対象疾患の治療薬が少なく、承認されれば爆発的な需要が見込める。

  • 抗がん剤パイプラインの臨床試験進展条件付き(治験結果次第)影響

    現在収益ゼロだが、パイプライン成功で売上可能性、時価総額14億円と小さく感応度大

  • 大手製薬企業との提携発表不定影響

    導出契約によるマイルストン収入で財務改善、赤字継続だが期待

  • 株価急落後の反発期待短期影響

    1年間で-85%下落、投機的な買い戻し可能性

  • 新たな資金調達による研究加速次回株主総会後影響

    第三者割当増資などで資金調達し、開発資金確保

マイナスに働く材料7
  • 無収入・赤字継続

    直近3期とも売上ゼロ、赤字。2026年3月期も16億円の赤字予想。

  • キャッシュ・ランウェイ懸念

    現金及び預金は限定的。資金調達リスク(増資希薄化)が常に付随。

  • 極めて割高なバリュエーション

    PBR39倍、時価総額14億円に対し純資産は0.4億円。実質価値は低い。

  • 継続的な赤字と資金枯渇リスク継続影響

    2026年3月期も営業損失16億円、現金残高次第で資金調達不能リスク

  • パイプラインの臨床試験失敗リスク条件付き(治験結果次第)影響

    主要候補の失敗で株価大幅下落、既に-85%でも更なる下落余地

  • 上場廃止基準抵触リスク不定影響

    純資産が減少し、上場維持基準(純資産額など)を下回る可能性

  • 希薄化リスク(増資による)不定影響

    資金調達のための増資で1株当たり価値希薄化

次の決算で確かめる点
研究開発費の推移
パイプライン進捗の規模感を示す。
現金及び預金
資金の残高と消費ペースから追加調達の必要性が読める。
パイプラインの進捗状況
臨床試験の開始/完了が株価のトリガー。治験許可等の開示に注目。

株主

有価証券報告書より

2026年3月期末の株主数は延べ7,144人。区分でいちばん多いのは個人・その他78.4%。グループ会社や銀行などの安定株主が5.5%を占め、残る94.5%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2021年3月%2022年3月%2023年3月%2024年3月%2025年3月%2026年3月%
個人・その他65.666.668.875.183.078.4
外国法人9.616.16.31.62.18.4
証券会社11.88.017.411.36.07.1
事業法人10.36.82.910.58.34.7
金融機関2.72.54.61.40.40.9
外国人個人0.00.00.00.10.20.5

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01江島 淸6.31
02BNYM SA/NV FOR BNYM FOR BNY GCM CLIENT ACCOUNTS M LSCB RD(常任代理人 株式会社三菱UFJ銀行)3.46
03日本ケミファ株式会社3.27
04宮崎 大輝2.72
05楽天証券株式会社共有口2.09
06宮崎 羅貴1.97
07モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社1.63
08MACQUARIE BANK LIMITED DBU AC(常任代理人 シティバンク、エヌ・エイ東京支店)1.33
09白川 貴教1.25
10三洋化成工業株式会社1.14

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

大量保有報告の動き
5%超の保有者の提出ベース 直近13
  • 2026-08-28
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    41.97%
    -1.23pt
  • 2026-08-17
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    43.20%
  • 2026-08-17
    マッコーリー バンク リミテッド
    新規の大量保有報告
    0.00%
    -9.69pt
  • 2026-08-06
    モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社
    新規の大量保有報告
    3.90%
    -1.54pt
  • 2026-07-31
    江島 淸
    変更報告
    6.18%
    -1.08pt
  • 2026-07-31
    マッコーリー バンク リミテッド
    新規の大量保有報告
    9.69%
    -1.78pt
  • 2026-07-30
    江島 淸
    新規の大量保有報告
    6.18%
    -2.88pt
  • 2026-06-19
    モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社
    新規の大量保有報告
    5.44%
  • 2026-06-03
    マッコーリー バンク リミテッド
    新規の大量保有報告
    11.47%
    -1.16pt
  • 2026-04-24
    マッコーリー バンク リミテッド
    新規の大量保有報告
    12.63%
    -1.04pt
  • 2026-04-23
    マッコーリー バンク リミテッド
    新規の大量保有報告
    13.67%
    -3.30pt
  • 2026-04-20
    マッコーリー バンク リミテッド
    新規の大量保有報告
    16.97%
    -0.88pt
  • 2026-04-07
    マッコーリー バンク リミテッド
    新規の大量保有報告
    17.85%
    +0.64pt

提出があった時点の記録です。その後5%を割った保有者が一覧に残ることがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 12期分

1株利益は12期で−10%、1株純資産は11期で−86%。直近期のROEは49.5%で、日本株の目安とされる8%を上回る。

決算期EPSBPS
2015年3月−128209
2016年3月−186134
2017年3月88223
2018年3月−71228
2019年3月−170802
2020年3月−348456
2021年3月−187391
2022年3月−179227
2023年3月−235124
2024年3月−199150
2025年3月−19628
2026年3月−140

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安

経営陣

11名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は11名。2026/3期の役員報酬は総額74百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約3倍にあたる。

氏名役職年齢保有株数
江島淸代表取締役社長77832,000
飯塚健蔵取締役 研究開発部門担当6385,000
黒滝健一取締役 管理部門担当61
岸井幸生取締役47
小南欽一郎取締役59
谷口明史取締役49
前田真明常勤監査役69
木村正弥監査役7015,000
山本昇平監査役46
小林克行43
橋本道成監査役48

役員報酬の内訳2026/3

役員の区分人数固定報酬百万円合計百万円1人あたり百万円
取締役(社内)3545418
社外取締役311114
社外監査役2553
監査役1444

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2026/3期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容11,552字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3 【事業の内容】 (1) 企業理念 当社の企業理念は、“「がん」だけを見ることなく、「がん患者」の全体を診ることにより、安心して家族のがん患者に勧められる治療法を提供すること”です。 (2) 創薬方法の特徴 1) 医薬品の研究開発プロセス 一般的な医薬品の研究開発プロセスには、新しい開発化合物を探索する「基礎研究」、実験動物等を用い開発化合物の有効性及び安全性を確認する「前臨床試験」、患者への投与により有効性及び安全性を確認する「臨床試験」の段階があります。また、開発の進捗にあわせた製造規模と品質確保のため、原薬・製剤にかかる製造法開発も随時行う必要があります。医薬品の販売承認を取得するには、これらの品質、有効性及び安全性にかかる膨大な試験データに基づき、各国の規制当局に対し承認申請を行い、審査を受ける必要があります。 この結果、一つの医薬品を開発するためには、約10~15年に亘る長い期間と数十億円~数百億円に至る大規模な資金が必要になります。それにも拘らず、医薬品開発は、承認に至るまでの各段階において、試験データや事業環境の変化等から開発中止に至るリスクが大きく、世界の製薬会社や創薬ベンチャー企業にとっては、研究開発プロセスの効率化と開発リスク低減が大きな課題となっております。 <一般的な医薬品の開発プロセス> プロセス   期間   主な内容(一般的な抗がん剤開発の場合) 基礎研究   2~3年   新薬候補化合物の探索(合成及び絞込み等)研究 前臨床試験   3~5年   実験動物等を用い、有効性及び安全性等を確認する試験 臨床試験   3~7年   第1相   少数の健康な人(ただし、抗がん剤の場合は患者)を対象に、安全性等を確認する試験 第2相   少数の患者を対象に、有効性及び安全性を探索的に確認する試験 第3相   多数の患者を対象に、有効性と安全性を検証的に確認する試験 申請・承認   1~2年   各国の規制当局による審査 2) 当社創薬方法「モジュール創薬」-患者にやさしい抗がん剤を世界に向けて開発- 当社の創薬方法は、既存の抗がん活性物質等を「モジュール」(構成単位)として利用し、創意工夫(用法用量・結合様式等)を加えて「アセンブリ」(組み立て)することで臨床上の有効性と安全性のバランスを向上させた新規抗がん剤を創製する「モジュール創薬」です。 一般的な抗がん剤の創薬は、基礎の探索研究からがんに特異的な部分に作用する化合物をスクリーニングし、可能性のある化合物を抗がん剤候補とする方法ですが、その場合は臨床段階で作用を確認し、臨床試験で有効性と安全性を実証する必要があり、長い期間を要します。それに対して、抗がん剤のモジュール創薬は、医薬品になっている抗がん剤の活性物質を利用して組み合わせる方法ですので、基礎の探索研究がほとんど不要であり、臨床での有効性と安全性の予測が可能となることから、着手して1~2年後には臨床試験を開始できていることなど、一般的な抗がん剤よりも研究開発の効率が高く、その期間も短く、臨床試験で失敗する等の開発リスクが低減されています。また、特許切れの医薬品を、がん患者の治療で問題になっている点に注目して、抗がん剤の知識とノウハウを駆使して組み合わせれば、新規の抗がん剤としての特許化が可能であり、抗がん剤の問題点を解決しようとする限り、新規の抗がん剤を生み出せることから、新たな創薬手法の大きなイノベーションになり得ると確信しております。 (3) 当社の開発品 当社の開発パイプラインは以下のとおりです。 開発品 (投与方法)   作用機序   対象疾患   開発段階 (開発地域)   提携会社 DFP-10917 (持続静注)   がん細胞周期調節作用 (細胞周期G2/M期*1停止)   再発・難治性 急性骨髄性白血病   第3相試験終了(米国)   ― ベネトクラクスとの併用療法第1/2相試験中(米国)    ― 第1相試験中 (日本)   日本新薬㈱ DFP-14323 (経口)   がん免疫機能調整作用 (抗腫瘍免疫能活性化)   肺がん等   第3相試験中 (日本)   日本ケミファ㈱ DFP-11207 (経口)   がん細胞代謝調整作用 (チミジル酸シンターゼ*2阻害)   固形がん (胆道がん)   医師主導治験第1/2相試験中 (日本)   ― DFP-14927 (静注)   抗がん剤高分子デリバリー   固形がん (膵がん他)   拡大第1相試験中 (米国)   ― DFP-17729 (経口)   がん微小環境改善剤 (Na+/H+交換輸送体阻害)   固形がん (膵がん他)   第2/3相試験中 (日本)   日本ケミファ㈱ DFP-10825 (腹腔内)   核酸医薬デリバリー (チミジル酸シンターゼ産生阻害)   腹膜播種転移がん (胃がん・卵巣がん)   第1相試験準備 (-)   ― 1) 抗がん剤候補化合物DFP-10917 ① 特徴 抗がん剤候補化合物DFP-10917は、今までの化学療法で用いられてきた投与を見直し(モジュールの改良)、低用量で長時間持続点滴投与することにより、従来使用されてきている核酸誘導体(シタラビンやゲムシタビンなど)とは異なる作用を引き起こし、既存の化学療法が無効な患者に対しても、薬効を期待できることが特徴です。それにより、標準療法が無効な再発・難治性の急性骨髄性白血病のがん患者に対しても、効果が期待されます。 ② 作用機序 従来の核酸誘導体は、核酸の生合成阻害に基づく細胞毒性の抗がん剤であり、核酸代謝拮抗剤とも呼ばれ、核酸代謝酵素等の標的分子に結合することにより、その酵素反応を阻害したり、DNAあるいはRNA合成酵素の基質となり、DNA鎖やRNA鎖に取り込まれた後にDNA鎖やRNA鎖の伸長を阻害したりして、抗がん活性を発揮します。 DFP-10917は、低用量で長時間持続点滴投与をすると、DNA鎖に取り込まれ、β脱離反応*3によってDNA鎖を自己切断して細胞周期調節作用(G2/M期停止)を引き起こし、アポトーシス*4(がん細胞死)を誘導することにより、抗がん活性を発現します。 作用機序を図示すると、次のとおりとなります。 ③ 開発状況 DFP-10917は、2012年10月から再発・難治性の急性骨髄性白血病の患者を対象に臨床第1/2相試験を米国治験施設であるM. D. Anderson Cancer Centerにおいて実施しました。この試験の第1相部分では、7日間持続点滴投与から開始し、その後14日間持続点滴投与に移行して、安全性の確認と至適投与量の決定を行い、その際に14日間持続点滴の低用量投与で70%(7/10例)の患者で奏効する臨床効果が認められ、基礎及び動物の試験で示されていた低用量・長期間持続点滴の投与方法の有用性が、ヒトを対象とする臨床試験でも確認されました。また、第2相部分においても再発・難治性の急性骨髄性白血病患者を対象に低用量・長期間点滴投与によるDFP-10917の有効性及び安全性の確認を行い、48%(14/29例)の患者で奏効している結果が得られ、高い有用性が示唆されました。当事業年度末現在、米国の主要ながんセンターにおいて、第3相試験の中間解析のためのデータクリーニング処理およびデータカットオフが完了し、中間解析資料を安全性独立委員会(DSMB)へ提出を行い、DSMBより治験実施計画書で設定した優越性は検証されなかったことから、本試験を中止する旨の報告を受け取りました。しかし、DSMBから安全性による問題はなく、患者の多様性を考慮した場合、特定のサブグループにおいて有効性の差異を検証する価値がある旨の見解を示されました。したがって、条件付きNDA(新薬承認申請)に向けて、米国FDA(食品医薬品局)との協議の準備を進めております。 2024年9月より開始しておりますベネトクラクス治療前歴のある急性骨髄性白血病の患者を対象に、米国においてDFP-10917とベネトクラクスの併用療法による臨床第1/2相試験は、第1相部分(容量設定)の全6症例の忍容性が確認されました。当事業年度において、2025年2月より実施している有効性を確認する第2相部分の全17症例の登録が完了し、データモニタリング委員会(DMC)からの評価結果として、安全かつ忍容性が高いとの判断が出され、今後の試験においてレジメン(具体的な治療方法・計画)と投与量を推奨する旨の報告を受けました。二次治療の急性骨髄性白血病患者を対象とした臨床第3相試験の実施に向けて、米国FDAとの臨床第2相試験終了時相談を進めております。 ④ 対象疾患 急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)は、骨髄で造血幹細胞から白血球などの血液細胞に成熟する過程で「がん化」する疾患の一つで、幼若な血液細胞である芽球が異常に増殖して、正常な血液細胞が極端に少なくなり、感染や貧血などを引き起したり、体内に広がったりして、早期に死に至る疾患です。治療法としては、抗がん剤などを用いてがん細胞を殺すか、または細胞分裂を停止させてがん細胞の増殖を抑える化学療法と、正常の造血幹細胞を注入して置き換える造血幹細胞移植などがあります。初回治療の標準的な化学療法では8割以上の患者に効果を示しますが、治癒に至るケースは3割程度に留まっており、それ以外は再発・難治性となり、二次または三次治療の化学療法が実施されてもほとんど効果を示しません。DFP-10917はこの二次または三次治療の化学療法が対象となる急性骨髄性白血病の患者に絞って開発を進めております。 ⑤ ライセンスの状況 2017年3月に、再発・難治性の急性骨髄性白血病患者を適応として、日本新薬㈱との間で日本における独占的ライセンス契約を締結しました。一方、グローバルでのライセンスの提携先は決まっていません。当事業年度末現在、米欧並びにアジアの提携パートナーと協議を開始し、日本以外のライセンス先の確保に向けて活動を続けている状況です。 2) 抗がん剤候補化合物DFP-14323 ① 特徴 DFP-14323は、医薬品として承認・販売されているウベニメクスの適応追加を目的とした開発品で、ウベニメクスの抗腫瘍免疫能の活性化作用と癌幹細胞の抑制作用に着目し、常量よりも低い用量で単剤または抗がん剤及び分子標的治療薬*5などとの併用により、がん患者の免疫機能を改善し、末期または高齢の肺がん等患者の治療が期待できることが特徴です。 ② 作用機序 DFP-14323は、宿主の免疫担当細胞に作用し、がん患者の免疫機能を高めることにより、抗腫瘍効果を発揮するものと考えられています。 ③ 開発状況 ウベニメクスは「成人急性非リンパ性白血病に対する完全寛解導入後の維持強化化学療法剤との併用による生存期間の延長」の効能・効果で承認済みであり、がん患者に対する安全性や免疫機能を改善することが明らかになっていることを踏まえ、DFP-14323では新規の効能・効果として、固形がんの一つである肺がんに対する臨床第2相試験を、2018年1月から日本国内で開始しました。関西地区の主要基幹病院9施設において臨床第2相試験の予定症例登録を2020年3月に完了し、無増悪生存期間と全生存期間を明らかにするための経過観察を2022年1月に終了しました。DFP-14323の有効性及び安全性の確認を行い、無増悪生存期間の中央値で23.1ヶ月の結果が得られ、高い有用性が示唆されました。当事業年度末現在、臨床第3相試験の症例登録を進めております。 ④ 対象疾患 末期または高齢のがん患者は免疫機能が低下傾向にあり、標準的な化学療法による治療効果は不十分であることから、効果と安全性のバランスに優れた治療薬の開発が望まれています。DFP-14323はがん患者の免疫機能を高めて抗腫瘍効果を発揮することから、末期または高齢の肺がん患者を対象として、国内での臨床第2相試験が完了し、次試験である臨床第3相試験を開始しております。 ⑤ ライセンスの状況 2022年3月に、日本ケミファ㈱との間で日本における独占的ライセンス契約を締結しました。一方、グローバルでのライセンスの提携先は決まっていません。当事業年度末現在、米欧並びにアジアの提携パートナーと協議を開始し、日本以外のライセンス先の確保に向けて活動を続けている状況です。 3) 抗がん剤候補化合物DFP-11207 ① 特徴 抗がん剤候補化合物DFP-11207は、抗がん作用を有する5-フルオロウラシル(5-FU)を徐放・阻害・失活させて薬物動態をコントロールする3つのモジュール化された活性物質(モジュールⅠ、Ⅱ、Ⅲ)をアセンブリ(結合)した化合物であり、既存の5-FU系抗がん剤と比較して、有効性と安全性のバランスを改善していることが特徴です。それにより、がん患者の生存期間の延長やQOL(Quality Of Life:生活の質)の改善に寄与することが期待されます。 ② 作用機序 DFP-11207は、5-FUを徐放するプロドラックのエトキシメチルフルオロウラシル(EMFU:モジュールⅠ)と、5-FUを分解する酵素ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(DPD)を阻害するギメラシル(CDHP:モジュールⅡ)と、5-FUによる消化管障害を局所で阻害するシトラジン酸(CTA:モジュールⅢ)の3つの成分を結合して、抗がん作用を有する5-FUの効果と毒性のバランスを最適化した化合物です。DFP-11207は体内で速やかに各成分に分かれて効果を発揮しますが、3つの成分を配合するよりも結合することにより、血中の5-FU濃度が低く長く維持され、従来の5-FU系抗がん剤で発現していた血小板減少を含む血液毒性も回避することができ、継続して治療することが可能となります。 ③ 開発状況 DFP-11207は、2014年7月から固形がん(膵がん等)を対象に米国の治験施設であるM. D. Anderson Cancer Centerで臨床第1相用量漸増試験(用量を順次上げながら、新薬候補化合物の安全性を確認する試験)を進めました。その結果、推奨用量が決定され、抗がん活性成分の5-FUが血中で低い濃度を長く維持していることを確認するとともに、従来の5-FU系抗がん剤で発現していた血小板減少の副作用がないことを確認しました。また、すでに標準的治療が終了したがん患者にもかかわらず、3例に腫瘍増殖の抑制(RECIST判定*6でStable disease:安定)が認められ、その内の1例は1年近く増悪することなく投与が継続されるなど、薬理効果が相応に確認されました。当事業年度末現在、日本及び米国を実施候補国として臨床第2相試験に向けた検討を継続しております。 また、2026年1月より一般社団法人 日本肝胆膵オンコロジーネットワーク(代表理事・理事長:古瀬 純司、以下「JON-HBP」)と共同でDFP-11207について、胆道がんに対する医師主導治験(臨床第1/2相試験)を開始しました。胆道がんは胆道(胆管、胆のう、十二指腸乳頭)にできるがんの総称であり、日本のがんによる死亡原因の第6位に位置する難治性がんの代表的疾患の一つとされており、当事業年度末現在、日本国内において臨床第1/2相試験の症例登録を進めております。 ④ 対象疾患 対象とする疾患は、膵がん、胃がん、大腸がんなどの消化器がんです。特に膵がんは、その臓器が体の深部に位置し、早い段階では特徴的な症状もなく、内外分泌の異常などから膵がんと分かったときにはすでに進行していることが多く、罹患数と死亡数がほぼ等しい疾患です。再発膵がんの治療は、5-FU系抗がん剤またはゲムシタビンが汎用されていますが、単剤や併用療法で骨髄毒性や下痢等の消化管毒性が発現しやすく、特に血小板減少の毒性は、投薬を中止し、血小板輸血を複数回繰り返す過程で出血して、死亡に至るケースが少なくありません。こうした膵がん治療の現状から、血小板減少のないDFP-11207が患者から待ち望まれていると考え、開発を進めております。 ⑤ ライセンスの状況 当事業年度末現在、日本及びグローバルでのライセンスの提携先は決まっていませんが、日米欧並びにアジアにおける提携パートナーの確保に向けて、活動を続けている状況です。 4) 抗がん剤候補化合物DFP-14927 ① 特徴 抗がん剤候補物質DFP-14927は、DFP-10917の高分子デリバリーに係る物質であり、がん組織へ選択的に集まり、がん細胞内で効果的にDFP-10917を放出することを可能としたことが特徴です。動物を用いた薬効試験では、膵がん等の固形がんに対して、1週間に1回だけの投与で、有効性と安全性が示されていることから、DFP-14927の固形がん患者への治療に貢献することが期待されます。 ② 作用機序 DFP-14927は、DFP-10917に4本鎖のポリエチレングリコール(4-arm-PEG、分子量4万の高分子)を結合させた物質であり、血中分解と腎排泄を受け難くしてがん組織へ選択的に送達し、がん細胞内でDFP-10917を徐放して作用を発揮します。それにより、血中での影響が少なくなり、固形がんに対してもDFP-10917と同様にDNA鎖に取り込まれ、β脱離反応によってDNA鎖を自己切断して細胞周期調節作用(G2/M期停止)を引き起こし、アポトーシス(がん細胞死)を誘導することにより、抗がん活性を発現します。 ③ 開発状況 DFP-14927は、前臨床試験のデータから、週1回投与で血液中濃度が長時間安定であることを確認しており、固形がんに対する抗腫瘍効果を認めています。2018年3月に三洋化成工業㈱と共同開発契約を締結し、当事業年度末現在、米国での臨床第1相試験を完了しております。米国の治験施設で前期第2相試験に相当する臨床第1相試験の拡大試験の症例登録を進めております。 ④ 対象疾患 DFP-14927はDFP-10917で効果が認められたAMLの前がん病変である骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes :MDS)、また、MDS以外で前臨床試験において効果が認められた固形がんを対象とし、特に膵がんを対象に臨床第1相拡大試験を進めております。 ⑤ ライセンスの状況 当事業年度末現在、日本及びグローバルでのライセンスの提携先は決まっていません。現在、ライセンス先の確保に向けて活動を続けている状況です。 5) 抗がん剤候補化合物DFP-17729 ① 特徴 正常細胞では細胞内と比べて細胞外でアルカリ性となっていますが、がん細胞の細胞外は酸性となっています。これは、がん細胞の増殖により解糖系が亢進し、乳酸や水素イオンが産生され、それを積極的に細胞外へ排出しているからです。DFP-17729は、がん細胞の細胞外をアルカリ化することにより、がんの増殖を抑えるのが特徴の薬剤です。 ② 作用機序 DFP-17729は、がんの増殖に関与するNa+/H+交換輸送体を阻害する作用があり、腫瘍微細小環境(TME:Tumor microenvironment)をアルカリ化することにより制御し、がん細胞の増殖を抑えます。また、免疫チェックポイント阻害薬にDFP-17729を併用させると、TMEがアルカリ化し、免疫チェックポイント阻害薬単独療法に比べて効果を増強することが動物実験で確認されています。 ③ 開発状況 DFP-17729は、医薬品として承認・販売されている尿アルカリ化剤を腫瘍の微小環境改善剤として、固形がんの一つである末期の膵臓がんに対する新薬での臨床第1/2相試験を2020年7月から日本国内で開始し、関東地区の主要基幹病院6施設において臨床第2相部分の症例登録を完了しております。その結果に基づいて効果と安全性を評価し、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と次試験に向けた相談を約9か月に亘り行ってまいりました。当事業年度末現在、日本における独占的販売のライセンス契約を締結している日本ケミファ㈱からの協力等を得て、2025年8月より全国主要基幹病院16施設において臨床第2/3相試験を開始し、第2相部分の症例登録を進めております。 ④ 対象疾患 DFP-17729は、抗がん剤や免疫チェックポイント阻害剤との併用により、膵がんなどの固形がんを対象に国内で適応追加の開発を進めております。 ⑤ ライセンスの状況 当事業年度末現在、日本ケミファ㈱と日本における独占的ライセンス契約を締結し、国内での臨床第2/3相試験を進めております。 6) 抗がん剤候補化合物DFP-10825 ① 特徴 抗がん剤候補物質DFP-10825は、RNA干渉*7を利用した核酸医薬であり、がんの増殖に多大な影響を与える因子をRNA干渉で特異的に阻害させるために、腹腔内投与で効果を発揮できるように工夫していることが特徴です。卵巣がんや胃がん等の患者は、終末期になると胸水や腹水などの体液貯留(腹膜播種転移)が認められ、つらい状態になりますが、腹腔内に直接注入して効果を発揮することにより、腹水をコントロールして苦しさを和らげ、延命につながることが期待されます。 ② 作用機序 DFP-10825は、がんの増殖に多大な影響を与えるチミジル酸合成酵素(TS)をコードしているDNAに対して、RNA干渉によりブロックするショートへアピンRNA(TS-shRNAi)を、リン脂質から成る微粒子の表面に付着させてがん細胞に取り込ませ、TSの産生を阻害して、がんの増殖を抑制します。 ③ 開発状況 DFP-10825は、治験用原薬の製造を完了し、当事業年度末現在、臨床第1相試験開始に向けた準備を検討しております。 ④ 対象疾患 DFP-10825は、腹水などの体液貯留をコントロールして延命につなげることを考えており、特に腹水が多く認められる卵巣がん、胃がんの腹膜播種転移のがん患者を対象に開発を進める予定です。 ⑤ ライセンスの状況 当事業年度末現在、日本及びグローバルでのライセンスの提携パートナーの確保に向けて、活動を続けている状況です。 (4) 当社の事業戦略 1) 事業領域 ① 抗がん剤開発への特化 がんは全世界において主要な死因の一つであり、患者や家族、社会にとって大きな問題となっています。新しい治療法や新規抗がん剤により、生存予後が改善する傾向がみられており、がん患者であっても社会生活を営むことができるようになってきております。その一方で、がんが進行した状態では、抗がん剤の治療効果は限定的であり、また、その抗がん剤の多くは様々な副作用を伴い、がん患者のQOLに十分寄与しているとは言い難い状況です。 当社は、その現状を少しでも打破したいと考えた抗がん剤開発の経験豊富なメンバーによって設立されました。過去の経験とノウハウから、医薬品になっている抗がん剤の問題点に着目すると、種々の工夫や組み合わせで副作用を少なくして、治療効果を改善できる可能性が極めて高い領域と考えられたためです。このがん領域は、まさに当社が得意とする「モジュール創薬」の宝庫であり、当社が強みを発揮し、安心して家族のがん患者にも勧められる治療法を提供する企業として、事業領域を抗がん剤開発に特化しております。 ② 外部資源の有効活用 当社は、組織の効率的運営のため、外部機関と積極的な連携を図りながら、研究開発を進めております。 当社は、研究開発のマネジメント業務に集中し、具体的な業務については、外部の研究開発受託会社や製造受託会社に委託する形で研究開発を進めております。 ③ 製薬会社等との提携 当社は、独自のモジュール創薬により新規抗がん剤候補物質を探索し、前臨床試験及び臨床試験を実施し、製薬会社に対し、医薬品の開発権及び販売権等を許諾して提携関係を構築し、事業を推進する方針です。 <当社の事業領域と役割> 2) 収入形態(ビジネスモデル) 当社が得る収入は、当面の間は、提携製薬会社からの収入です。一般的に、研究開発の段階においては、「契約一時金」、「マイルストーン」及び「開発協力金」を受け取ります。さらに、将来、提携対象の製品が上市に至った場合には、売上高に応じた「ロイヤリティ」の収入を受けるビジネスモデルです。 今後、開発が順調に進み、申請・承認されれば、マイルストーンやロイヤリティの収入を受け取ることになります。 <提携製薬会社からの受け取る主な収入> <主な収入の内容> 収益名   内容 契約一時金   契約締結時に一時金として受け取る収入 マイルストーン   研究開発の進捗に応じて、契約上定められたマイルストーンを達成した際に受け取る収入 開発協力金   研究開発費用に応じ、提携会社が負担する分の収入 ロイヤリティ   医薬品販売後に売上高に応じて受け取る収入 [用語解説] *1 細胞周期G2/M期 細胞周期は一つの細胞が二つの細胞に分裂する一連の現象で、細胞が分裂する「M期」とその次のM期の間の間期に分けられます。間期は、DNA合成の準備の「G1期」、DNA複製の「S期」、細胞成長の「G2期」に分けられます。G2期では細胞分裂に必要なタンパク質合成が行われ、M期に進めるかどうかを判断しています。この過程がG2/M期となります。 *2 チミジル酸シンターゼ がん細胞は増殖するために活発なDNA合成を行っていますが、このDNA合成に必要な材料としては核酸(プリン塩基、ピリミジン塩基)や葉酸などがあります。チミジル酸は核酸の構造を持つ有機化合物の一種で、DNAの部分構造となっており、それを合成するための酵素の一つがチミジル酸シンターゼです。チミジル酸シンターゼを阻害するとチミジル酸の合成が止まってしまい、最終的にはがん細胞死となります。 *3 β脱離反応 化学反応の一種で、炭素-炭素の結合が二重結合を生成する過程で、炭素(α)に結合している水素が離れる際に、その隣の炭素(β)に結合している分子が電子を持ち去りながら離脱する反応で、種々の条件下で起こる反応機構です。 *4 アポトーシス 細胞の死に方の一形態で、生物の発生や恒常性の維持に必要不可欠な機能です。ヒトの細胞が生体内で死ぬ場合、ほとんどがアポトーシスであり、個体維持の過程で積極的に引き起こされるプログラムされた細胞死です。細胞の内容物を周囲に漏らすことなく、最終的にマクロファージなどの食細胞が除去するので、痕跡は残りません。 *5 分子標的治療薬 分子標的治療薬は、がん細胞などの病気の細胞の表面にあるたんぱく質や遺伝子を標的として、効率よく攻撃する薬の総称です。がん細胞の増殖や転移を起こす特定の分子だけを狙い撃ちにするので、従来の抗がん剤よりも正常な細胞へのダメージが少ないはずですが、今までになかったタイプの副作用が現れるケースも増えています。 *6 RECIST判定 固形がんの治療効果判定のためのガイドライン(response evaluation criteria in solid tumours)のことで、抗がん剤の有効性を判定する基準です。完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、安定(SD)、進行(PD)、評価不能(NE)の5段階で評価されます。 *7 RNA干渉 RNA干渉(RNA interference;RNAi)は、標的遺伝子と同じ配列を持つ2本鎖のRNAを導入すると、mRNAが分解され、遺伝子の発現が抑制される現象です。標的mRNAを分解させることができるため,がんやエイズ、遺伝病の治療など、医学分野への応用が期待されております。
経営方針・対処すべき課題3,510字を開く

経営陣が考える方向性と課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針 当社は、“「がん」だけを見ることなく、「がん患者」の全体を診ることにより、安心して家族のがん患者に勧められる治療法を提供すること”を企業理念としております。 この企業理念の実現のため、当社は、独自の「モジュール創薬」に基づく、抗がん剤の研究開発を行います。モジュール創薬は、既存の抗がん剤等を「モジュール」(構成単位)として利用し、創意工夫(用法用量・結合様式等)を加えて「アセンブリ」(組み立て)することで臨床上の有効性と安全性のバランスを向上させた新規抗がん剤を創製する方法です。 当社は、「モジュール創薬」に基づき創製した新規抗がん剤の上市により、がん患者のQOL(Quality Of Life)向上に寄与することを目指しております。 (2) 目標とする経営指標 当社は、新規抗がん剤の上市を目指して研究開発を先行して行う創薬ベンチャー企業であり、現時点における主な収入はライセンス契約締結による契約一時金やマイルストーンによるものであり、製品売上により利益を安定的に計上するステージにはありません。 当面の経営管理上の課題は、抗がん剤の早期上市に向けて、開発パイプラインを計画どおり推進すること、新規開発化合物の探索により開発パイプラインを充実すること、そして保有する各パイプラインについて提携パートナーを開拓してライセンス契約を締結することです。 従いまして、当社は、ROAやROEといった経営指標を目標とはせず、開発パイプラインの進捗に応じた収入に目標をおいて事業活動を推進しております。 (3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社の中長期における最重要課題は、新規抗がん剤の研究開発を着実に推進すると共に、提携パートナーを開拓してライセンス契約を締結し、承認を取得して製品販売による安定的な収益源を確保することです。 当社の開発パイプラインは、DFP-10917、DFP-10917+ベネトクラクス、DFP-14323、DFP-17729、DFP-14927及びDFP-11207が臨床試験段階にあり、また、DFP-10825も臨床試験に向けた準備の検討を進めておりますので、日本国内やアジア、欧米などの各地域での提携パートナーとライセンス契約を締結し、それぞれの地域において承認を取得していく予定です。世界的な情勢不安や地政学的リスクの長期化など、日米で進行及び計画中の臨床試験に影響が及ぶ場合は、日米における治験施設の状況を踏まえ、実行可能性の高い地域での臨床試験を検討して対応してまいります。また、開発パイプラインの充実に向けた探索研究も継続的に実施してまいります。創薬ベンチャーである当社にとっては、これらの研究開発を並行して行っていくために、研究開発体制の強化と研究開発資金の調達が不可欠であります。 従いまして、当社は、日本の提携先に留まらず、グローバルの製薬会社等とのライセンス契約締結による契約一時金及びマイルストーンによる収入とともに、必要に応じて、株式市場等からの資金調達を行いながら、研究開発を推進していく方針です。 (4) 会社の対処すべき課題 当社は、「モジュール創薬」により、安心して家族のがん患者に勧められる治療法を提供することを目指しています。このような背景の下で、当社は、次の対処すべき課題に取り組んでまいります。 ① DFP-10917の開発推進 再発・難治性急性骨髄性白血病治療剤(AML)のDFP-10917単剤は、米国における臨床第3相比較試験は、中間解析のためのデータクリーニング処理が完了し、安全性独立委員会(DSMB)へ中間解析データを提出いたしました。中間解析の結果に基づき、DSMBで議論が行われ、その結果、本委員会から治験実施計画書で設定されていた有効性の条件を達成できなかったことから本試験を中止する旨の報告を受け取りました。一方、DSMBからは安全性に問題はなく、患者の多様性を考慮し、特定のサブグループで有効性の差異を検証する価値があるとの見解も示され、従来の療法では効かない予後不良のAMLの一部の患者集団に対して、DFP-10917は優れた効果を示すことができ、今後、条件付きのNDA承認について、米国の食品医薬品局(FDA)と協議を進めてまいります。 ベネトクラクス治療前歴のある急性骨髄性白血病の患者を対象に、米国においてDFP-10917とベネトクラクスの併用療法による臨床第1/2相試験は、有効性を確認する第2相部分の症例登録が完了し、データモニタリング委員会(DMC)より評価結果が示されました。評価としては、患者のほとんどがベネトクラクスの一次または二次治療として投与されている再発・難治性の患者であるにもかかわらず、目標としていた全奏効率を達成することができ、DMCは標的療法やその他の治療選択肢がない本試験の患者において得られたこの奏効率は、今後の試験を推奨するのに十分であると判断され、今後、米国の食品医薬品局(FDA)と協議を進めることと、次の臨床第3相試験の準備を進めてまいります。また、米欧並びにアジアにおける提携パートナーの確保を目指してまいります。 日本におけるライセンスパートナーの日本新薬㈱が国内の臨床第1相試験の症例登録を進めております。 ② DFP-14323の開発推進 がん免疫機能調整剤のDFP-14323は、日本国内において臨床第3相試験(大規模比較試験)の症例登録を進めるとともに、日本における独占的販売のライセンス契約を締結している日本ケミファ㈱やDFP-14323に高い関心を示している海外の製薬企業の協力を得て、臨床第3相試験の加速を目指してまいります。 ③ DFP-17729の開発推進 がん微小環境改善剤のDFP-17729は、国内における臨床第2/3相試験を開始いたしました。また、日本における独占的販売のライセンス契約を締結している日本ケミファ㈱からの協力等を得て、第2相部分の症例登録を推進し、速やかに臨床第3相試験に移行のための準備を進めてまいります。 ④ その他の開発推進 当社は、DFP-11207、DFP-14927及びDFP-10825などの複数の開発品を保有しています。 がん細胞代謝調節剤のDFP-11207については、一般社団法人 日本肝胆膵オンコロジーネットワーク(代表理事・理事長:古瀬 純司)と共同で胆道がんに対する医師主導治験による臨床第1/2相試験を開始しました。また、日米欧並びにアジアにおける提携パートナーの確保を目指してまいります。 抗がん剤高分子デリバリーのDFP-14927については、米国において前期第2相試験に相当する拡大臨床第1相試験への移行を進めてまいりました。 核酸医薬デリバリーのDFP-10825については、臨床第1相試験の開始に向けた治験薬の準備及び国内外の会社から支援を受けながら、さらに開発を進めてまいります。 これら複数の開発品を世界の主要国において承認を取得するためには、臨床試験を実施するための開発体制の強化と開発資金の確保が課題となります。このため、当社は提携パートナーの獲得を目指しながら、公募増資や新株予約権の行使で調達した資金を計画的に投入して開発の推進を図ってまいります。 ⑤ 開発パイプラインの充実 当社は、「モジュール創薬」により新しい抗がん剤候補化合物の探索研究を行っており、これらの候補化合物を開発パイプライン段階まで推進するためには、開発資金の確保が課題となります。 ⑥ 財務体質の強化 当社は、多額の研究開発費用が先行して必要となるため、継続的な営業損失が発生するとともに営業キャッシュ・フローもマイナスとなる傾向があり、そのため、財務体質の強化が課題となります。今後は、ライセンス契約の締結を始めとした国内外のパートナーとの提携、研究開発活動の適切なコントロールに加え、株式市場や金融機関からの資金調達等により、更なる財務体質の強化に努める方針です。 ⑦ 人材の獲得 当社は、研究開発のマネジメント業務に特化し、外部の人材紹介企業を有効活用することにより、小規模な組織で効率的な運営を行っております。しかしながら、上記のとおり、今後開発品の増加が見込まれるため、適切な人材確保を図っていく方針です。
事業等のリスク9,056字を開く

会社が自認するリスクの一覧

3 【事業等のリスク】 事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 当社はこれらのリスクの発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事項及び本項以外の記載も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、これらは投資判断のためのリスクを全て網羅したものではなく、更にこれら以外にも様々なリスクを伴っていることにご留意頂く必要があると考えます。 当社は、医薬品等の開発を行っていますが、医薬品等の開発には長い期間と多額の研究開発費を要し、全ての開発が成功するとは限りません。特に販売開始前の研究開発段階のパイプラインを有する製造開発型バイオベンチャー企業は、事業のステージや状況によっては、一般投資者の投資対象として供するには相対的にリスクが高いと考えられており、当社への投資はこれに該当します。 なお、文中の将来に関する記載は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。 Ⅰ.医薬品の研究開発、医薬品業界に関するリスク (1) 新薬開発の不確実性 医療用医薬品の開発には多額の研究開発投資と長い期間を要し、臨床試験で有用な効果を確認できないこと等により研究開発が予定どおりに進行しないため、開発の延長や中止の判断を行うことなど、以下のような不確実性を認識しています。 ① 世界の主要国において新薬を製造及び販売するためには、各国の薬事関連法規等の法的規制の下、各国別に厳格な審査を受ける必要があります。この審査に耐えうる有効性、安全性、及び品質等に関する十分なデータが得られない場合は追加試験等が必要となり、予定していた時期に上市ができず延期になる、または上市を断念する可能性があります。 ② 当社が権利を保有する新薬候補化合物の開発が遅れた場合や追加試験が必要となる場合は、計画外の追加資金が必要となります。そのような場合には、追加資金確保のために新たな資金調達が必要となる可能性があります。 ③ 提携パートナーとのライセンス契約には、契約の存続期間が特許権の有効期間が終了するまでの期間とされているため、ライセンス契約中にマイルストーンが達成できずに、当初想定した投資回収額を回収できない可能性があります。 ④ 新薬の承認申請が世界の主要国規制当局から承認されなかった場合には、当初想定していた投資回収額を回収できなくなり、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (2) 副作用発現、製造物責任 医薬品には、臨床試験段階から更には上市後以降において、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。当社は、こうした事態に備えて、製造物責任を含めた各種賠償責任に対応するための適切な保険に加入しておりますが、最終的に当社が負担する賠償額の全てに相当する保険金が支払われる保証はありません。また、当社に対する損害賠償の請求が認められなかったとしても、製造物責任の請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、当社及び当社の製品に対する信頼に悪影響が生じる可能性があります。この結果、当社の業績及び財政状態に重大な影響が及ぶ可能性があります。 (3) 競合 医薬品の研究開発は、国内外の製薬会社や創薬ベンチャー企業により、激しい競争環境の下で行われており、以下のような不確実性を認識しております。 ① 当社開発品と同じ疾患領域において、競合他社が早期に医薬品を市場導入したり、当社開発品と同じ疾患領域で優位性を持つ医薬品の開発に成功したりした場合には、当社の事業の優位性は低下する可能性があります。 ② 新規の競合品の登場により、当社開発品の臨床試験が被験者登録の遅延や目標被験者数の未達となる可能性があり、その場合には当初の計画以上の開発資金が必要になったり、または開発中止に追い込まれたりして、当社の事業計画や経営等に甚大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 新規の競合品の開発が先行、または上市した場合は、ライセンスを提携している製薬企業が、事業を毀損すると判断してライセンス契約を解消する可能性があります。 ④ 当社開発品が上市に至った場合でも、他社が当社の製品よりも有意差のある有効性と安全性の製品を販売すると、想定したロイヤリティが得られない等により、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (4) ライセンス活動の不確実性 当社はパイプラインの開発段階に応じて、国内外の製薬会社とライセンス契約を締結して「契約一時金」、「マイルストーン」及び「開発協力金」を受け取りますが、ライセンス契約の締結には、相手先の抗がん剤候補化合物に対する評価や経営判断などを伴うことから、当社が想定するタイミングで提携できない可能性があり、ライセンス契約の締結に至らない場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (5) 薬事関連法規、医療保険制度による規制 当社は研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の薬事関連法規、医療保険制度及びその他関係法令等により、様々な規制を受けております。 医薬品の開発には、多大な開発コストと長い年月を必要としますが、規制当局が当社開発品の有用性を認めない場合には、承認を計画どおり取得できずに上市が困難になる可能性があります。 また、当社が臨床試験を実施している米国において、2010年3月に改定された医療保険改革法案等による先発医薬品への価格引下げ圧力のほか、低価格の後発医薬品の使用促進が進められています。また、日本国内においても、政府は医療費抑制のため定期的に薬価引き下げや後発医薬品の使用促進策の導入、更に高額な新薬に対しては市場拡大再算定による特例的な薬価引き下げが実施されております。今後の薬事関連法規、医療保険制度及びその他関係法令等の動向が、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 Ⅱ.事業遂行上のリスク (1) 特定の提携契約への依存及び収益の不確実性 当社は、DFP-10917に関して日本新薬㈱との間で、DFP-17729及びDFP-14323に関しては日本ケミファ㈱との間で、日本国内の独占的ライセンス契約を締結しております。これらの提携契約に基づく収益のマイルストーンは、開発の進捗に依存したものであり、開発の遅延が生じた場合や、提携先の経営方針の変更など当社が制御し得ない要因により開発を中断あるいは中止した場合、または提携先が契約条件の履行や各種規制等の遵守をできない場合は、提携契約の解除・終了や契約条件の変更等が生じ、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 また、当社では今後、国内外の製薬企業との新しいライセンス契約により、現状の提携契約に基づく収益への依存度を低減していく方針ですが、ライセンス契約の締結には、提携パートナー候補の抗がん剤候補化合物に対する評価や経営判断などを伴うことから、当社が想定するタイミングで提携できない可能性があり、ライセンス契約の締結に至らない場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 更に、当社ではパイプラインの増加を図り、特定の提携パートナーへの依存度を低減させていく方針ですが、新たなライセンス契約を締結するまでには長期間を要するため、当面の事業収益が特定の提携先に大きく依存する状況にあり、また、新たな提携パートナーとのライセンス契約を締結できる保証もない状況にあります。 (2) 知的財産権 当社では研究開発をはじめとする事業展開において様々な知的財産権を使用しており、これらは当社所有の権利であるか、あるいは適法に使用許諾を受けた権利であるものと認識しております。 下表に臨床試験段階にある当社の抗がん剤候補化合物に関する重要な特許の状況について記載します。 <開発パイプライン(臨床試験段階)に関連する主な特許の状況> 2026年3月31日現在 開発コード   発明の名称   出願番号   登録状況   権利者・出願人   権利許諾の状況 DFP-10917   デオキシシチジン誘導体を含有する抗腫瘍剤を投与する方法   PCT/JP2009/058725   日本、米国、欧州主要国、豪州で成立   当社   日本新薬㈱に対し、日本における独占的開発・商業化権の許諾 1-(2’-シアノ‐2’-デオキシ‐β-D-アラビノフラノシル)シトシン・一塩酸塩の新規安定形結晶   PCT/JP2010/003261   日本(Ⅰ型、Ⅱ型結晶)。米国、欧州主要国、中国、韓国、ロシアで成立(Ⅱ型結晶)   当社 DFP-14323   高齢または末期の癌患者を治療または寛解するための医薬組成物   PCT/JP2014/255403   日本、米国、欧州主要国、豪州、ロシア、韓国、台湾、シンガポールで成立   当社   日本ケミファ㈱に対し、日本における独占的販売権の許諾 DFP-11207   新規5-フルオロウラシル誘導体   PCT/JP2010/068895   日本、米国、欧州主要国、中国、豪州、韓国、ロシア、台湾、香港等で成立   当社   未許諾 DFP-14927   新規PEG誘導体   PCT/JP2015/084068   日本、米国、欧州主要国、中国、豪州、ロシア、韓国、香港で成立   当社   未承諾 DFP-17729   がん細胞の代謝の特異性に基づく新規抗悪性腫瘍剤   PCT/JP2017/026372   日本、韓国、台湾で成立。その他の国に対して出願中   当社   日本ケミファ㈱に対し、日本における独占的販売・製造権の許諾 DFP-10825   局所投与用リポソーム及びその用途並びに局所投与用リポプレックスの新規製造方法及び該リポプレックスを使用する抗腫瘍剤   PCT/JP2013/080367PCT/JP2015/080316   日本、米国、欧州主要国、中国、豪州、韓国、ロシア、台湾、香港で成立   当社   未承諾 なお、当社が保有している現在出願中の特許が全て成立する保証はありません。また、特許が成立した場合でも、当社の研究開発を超える優れた研究開発により、当社の特許に含まれる技術が淘汰される可能性は常に存在しています。当社の特許権の権利範囲に含まれない優れた技術が開発された場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 一方、特許の出願は、特許の内容、対象国などについて費用対効果を考慮して行っていますが、出願費用や維持費用等の経費を回収できない可能性があります。 また、当社では他社の特許権の侵害を未然に防止するため特許の調査を実施しており、これまでに、当社の開発パイプラインに関する特許権等の知的財産権について第三者との間で訴訟が発生した事実はありません。しかし、当社のような研究開発型企業にとって知的財産権侵害の問題を完全に回避することは困難です。また、当社が譲り受けた特許に係る関連化合物及び製剤の開発等に関し、第三者が権利主張や異議を述べてくる可能性も否定できません。これらに関し、第三者との間で知的財産権に関する紛争が生じた場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 更に、職務発明について、役員や従業員等の発明者から特許等を譲り受ける場合、当社は特許法に基づき相当の対価を支払わなければなりません。当社では社内ルールを設けておりますが、これまで発明者との間で問題は生じておりません。しかしながら、将来、発明者との間で対価の支払請求等について問題が起こらない保証はなく、紛争が生じた場合には、当社の業績及び財務状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (3) パイプライン 各開発品は、前述の「医薬品の研究開発、医薬品業界に関するリスク」を伴いますが、ここでは各開発品に特異な業務遂行上のリスク要因を挙げます。 ① DFP-10917 DFP-10917は日本新薬㈱に対して日本のテリトリーをライセンスアウトしており、日本国内における臨床試験は同社により行われ、現在、臨床第1相試験が実施されておりますが、日本新薬㈱の経営方針の変更等により、臨床試験が中止される可能性があります。 一方で、研究開発が先行している米国において臨床第3相比較試験及びベネトクラクスとの併用療法による臨床第1/2相試験を実施しております。グローバルの提携先確保のためにライセンス活動を推進しており、臨床第3相比較試験の米国FDA(食品医薬品局)との報告・協議並びにベネトクラクスとの併用療法による臨床第1/2相試験については、新株予約権の権利行使資金で開発を進める方針です。現状、グローバルのライセンスの提携先は未確定であり、ライセンス契約の締結には、相手先の抗がん剤候補化合物に対する評価や経営判断などが伴うことから、当社が想定するタイミングで提携できない可能性があり、ライセンス契約の締結に至らない場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 また、臨床第3相比較試験及びベネトクラクスとの併用療法による臨床第1/2相試験において、競合する新薬の臨床試験により被験者が獲得できない場合、DFP-10917の安全性等に起因して規制当局から試験の中断や中止命令が出された場合は、臨床試験が計画どおりに進められない可能性があります。臨床試験の遅延は想定以上の研究開発費を必要とするため、開発資金が不足すると判断した場合には、一時的に臨床試験を中断するなどの対応を迫られる可能性があり、この場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② DFP-14323 DFP-14323は日本国内の臨床第3相比較試験は日本で開始する予定であり、この費用は新株予約権の権利行使で確保した自己資金や日本国内においては日本ケミファ㈱とのライセンス契約に基づくことから、ライセンス契約の締結可否や契約締結後の不履行などにより資金が確保できなくなることもあり、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 また、次の臨床試験は医療機関が未確定であり、臨床試験への取り組み方に医療機関または医師個人で違いがあるなど、計画どおりに進まない可能性があります。 ③ DFP-11207 DFP-11207は臨床第2相試験準備の検討を進めるとともに、国内外で提携先確保のためにライセンス活動を推進しておりますが、次の臨床第2相試験及びその次の臨床第3相比較試験については、提携先とのライセンス契約を前提に開始する方針です。また、一般社団法人 日本肝胆膵オンコロジーネットワーク(代表理事・理事長:古瀬 純司)と共同で胆道がんに対する医師主導治験による臨床第1/2相試験を開始しました。現状、ライセンスの提携先は未確定であり、ライセンス契約の締結には、相手先の抗がん剤候補化合物に対する評価や経営判断などが伴うことから、当社が想定するタイミングで提携できない可能性があり、ライセンス契約の締結に至らない場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ④ DFP-14927 DFP-14927については、三洋化成工業㈱との共同開発契約に基づき、米国で臨床第1相試験を完了し、臨床第1相試験の拡大試験を開始しましたが、その結果に基づき、新たな提携先確保のためにライセンス活動を進める予定です。現状、ライセンスの提携先は未確定であり、次の臨床試験の開始前までに提携できない場合は、開発が計画どおりに進まない可能性があります。 ⑤ DFP-17729 DFP-17729については、日本ケミファ㈱とのライセンス契約に基づき、日本における独占的販売のライセンス契約を締結している日本ケミファ㈱からの協力等を得て、臨床第2/3相試験を開始いたしました。この費用は新株予約権の権利行使で確保した自己資金や日本ケミファ㈱とのライセンス契約による契約一時金及びマイルストーンによる収入で進める方針ですが、ライセンス契約の不履行などにより資金が確保できなくなることもあり、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ DFP-10825 DFP-10825は臨床試験に向けた前臨床を完了しておりますが、現状、ライセンスの提携パートナーは未確定であり、次の臨床試験の開始前までに提携できない場合は、開発が計画どおりに進まない可能性があります。 (4) 外部委託先との連携について 当社は、経営の機動性・効率性の観点、経費の低減や高い専門性の分野における協業などの観点から、全ての開発品を以下の業務の一部を専門機関に委託しております。 ・原薬・製剤(治験薬)の製造・評価試験 ・薬理効果試験・毒性試験等の前臨床試験 ・臨床試験のモニタリング・データマネジメント・統計解析 その中でも、特に治験に関する業務の委託は重要性が高いものとなっております。当社は、治験等の業務委託先の選定及び業務委託先との関係の構築について慎重に対応しておりますが、不測の理由により、治験等の重要な業務の委託先との契約が終了したり、業務委託先での業務の遂行に支障が生じたりした場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 上記の委託先及び上記以外の業務に関する委託において、当社にとって不利な契約改定が行われた場合、または予期せぬ事情により契約が終了した場合は、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 委託先とは、今後も継続して委託をしていきますが、委託先における地震、水害等の自然災害・治安不安などの不測の事態等により、設備・インフラ・従業員などに支障をきたし、稼働できない状況などが一時的に発生し、または長期間業務が停止し、適時なサービス業務を受けられなくなる可能性がないとは言えません。この場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 また、外部委託先は、国内外の企業・医療機関に委託しておりますが、今後も国内外を問わず、開発に対して最善の企業・医療機関等に業務の委託を行う予定です。 (5) 経営上の重要な契約等 当社の経営上の重要な契約等は、「第2 事業の状況 5 重要な契約等」に記載のとおりです。事業環境の変化、契約の相手方の方針の変更その他、不測の理由で契約が終了したり、契約の履行に支障が生じたりした場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (6) 人材の採用、育成 当社は常に優秀な人材の確保と育成に努めておりますが、人材確保及び育成が順調に進まない場合、並びに人材の流出が生じた場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 Ⅲ.業績等に関するリスク (1) 資金繰り 当社は、研究開発費の負担により長期に亘って先行投資の期間が続きます。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローもマイナスとなる傾向があります。 このため、当社製品が上市され、安定的な収益源が確保されるまでの期間においては、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務基盤の強化を図る方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合は、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。 (2) 収益が大きく変動する傾向 当社の事業収益は、開発品に対するライセンス契約等に基づく契約一時金、開発進捗に伴うマイルストーン及び開発協力金に依存しているため、過年度の事業収益、当期純利益(損失)は不安定に推移しています。また、当社は、医薬品の研究開発を行う創薬系バイオベンチャー企業です。医薬品の研究開発には多額の先行投資を要し、その投資回収にかかる期間も他産業と比較して相対的に長期に及ぶため、創薬系バイオベンチャー企業が当該事業に取り組む場合は、一般的に期間損益のマイナスが先行する傾向にあります。この傾向は、当社の開発品が上市され安定的な収益基盤が確立するまで続くと見込まれます。 (3) 新株発行による資金調達 当社は医薬品の研究開発型企業であり、将来の研究開発活動の拡大に伴い、増資等の新株発行を伴う資金調達を機動的に実施していく可能性があります。その場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。 (4) 配当政策 医薬品の研究開発には多額の先行投資が必要であり、その投資回収までの期間も長期に及ぶ傾向にあり、創業以来、繰越利益剰余金がマイナスとなっています。このような状況下においては、積極的な開発推進によって企業価値を高めることこそが、株主利益の最大化に繋がると考えています。 当事業年度においては、会社法の規定上、配当可能な財政状態にはありませんが、株主への利益還元については重要な経営課題と認識しており、将来、現在開発中の新薬が上市され、その販売によって当期純利益が計上される時期においては、経営成績及び財政状態を勘案しながら、配当による利益還元の実施を検討したいと考えております。 (5) 為替変動リスク 医薬品の研究開発においては海外の委託先を使用しており、外貨建の取引を行っていること等、当社の取引には、為替変動リスクに晒されているものが存在します。そのため、当社の想定以上に為替相場の変動が生じた場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
経営成績の分析 (MD&A)3,973字を開く

業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 経営成績等の状況の概要 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。 ① 経営成績の状況 当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果等により緩やかに回復している一方で、継続するエネルギー価格の高止まり、原材料費・人件費の高騰に伴う食料品等の値上げに伴う物価上昇や人手不足の発生、また、米国の関税政策等による景気への影響が懸念され、さらには中東情勢によるエネルギー問題や日中関係の不安定化などによる影響の懸念等もあり、世界的に景気の先行きは依然として不透明な状況にあります。 当社では、がん患者の高齢化による治療への懸念や新薬の高額化による費用負担増加への不安が進む中、経済的にも安心して家族のがん患者にも勧められる治療法を提供することを目指して、「モジュール創薬」に基づく研究開発に取り組み、各パイプラインの臨床開発を前進させました。 抗がん剤候補化合物DFP-10917単剤の米国における臨床第3相比較試験は、中間解析のためのデータクリーニング処理が完了し、安全性独立委員会(DSMB)へ中間解析データを提出いたしました。中間解析の結果に基づき、DSMBで議論が行われ、その結果、本委員会から治験実施計画書で設定されていた優越性が検証されなかったことから本試験を中止する旨の報告を受け取りました。一方、DSMBからは安全性に問題はなく、患者の多様性を考慮し、特定のサブグループで有効性の差異を検証する価値があるとの見解も示されました。 また、ベネトクラクス治療前歴のある急性骨髄性白血病の患者を対象に、米国においてDFP-10917とベネトクラクスの併用療法による臨床第1/2相試験は、有効性を確認する第2相部分の症例登録が完了し、データモニタリング委員会(DMC)より評価結果が示されました。評価としては、患者のほとんどがベネトクラクスの一次または二次治療として投与されている再発・難治性の患者であるにもかかわらず、目標としていた全奏効率を達成することができ、DMCは標的療法やその他の治療選択肢がない本試験の患者において得られたこの奏効率は、今後の試験を推奨するのに十分であると判断されました。 日本におけるライセンスパートナーの日本新薬㈱が国内の臨床第1相試験の症例登録を進めております。 抗がん剤候補化合物DFP-14323は国内における主要基幹病院約30施設で臨床第3相試験の症例登録を継続しております。抗がん剤候補化合物DFP-17729は国内における臨床第2/3相試験の第2相部分の症例登録を継続しております。抗がん剤候補化合物DFP-11207は治験薬の製造を行い、一般社団法人 日本肝胆膵オンコロジーネットワーク(東京都中央区、代表理事・理事長:古瀬 純司)と共同で DFP-11207(経口剤)について、胆道がんに対する医師主導治験による臨床第1/2相試験を開始しました。抗がん剤候補化合物DFP-14927は、米国において臨床第1相拡大試験を継続しております。また、抗がん剤候補化合物DFP-10825は前臨床試験を完了し、臨床第1相試験の開始に向けた検討・準備をしております。 以上の結果、当事業年度におけるマイルストーン収入等はなく、事業収益はありませんでした(前事業年度比-%)。事業費用につきましては、開発パイプラインの臨床試験における医療機関並びに症例数の増加、次試験に向けた治験薬となる原薬や製剤の製造などを進めたことなどに伴い、1,605百万円(前事業年度比6.0%減)となりました。この結果、営業損失は1,605百万円(前事業年度は1,708百万円の損失)、経常損失は1,623百万円(前事業年度は1,718百万円の損失)、当期純損失は1,625百万円(前事業年度は1,721百万円の損失)となりました。 なお、当社は医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の経営成績を記載しておりません。 ② キャッシュ・フローの状況 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、新株予約権の行使による株式の発行による収入等により、前事業年度末比193百万円減少し、145百万円となりました。 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度において営業活動に使用した資金は1,557百万円(前事業年度は1,834百万円の支出)となりました。これは主に、税引前当期純損失1,623百万円の計上によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度において投資活動に使用した資金はありませんでした(前事業年度は0百万円の支出)。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度において財務活動の結果得られた資金は1,363百万円(前事業年度は756百万円の収入)となりました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入1,360百万円によるものであります。 ③ 生産、受注及び販売の実績 a.生産実績 該当事項はありません。 b.受注実績 該当事項はありません。 c.販売実績 該当事項はありません。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 当社の財政状態は、以下のとおりであります。 a.資産 当事業年度末の資産合計は、前事業年度末比187百万円減少し、246百万円となりました。これは主に、現金及び預金が193百万円減少したことによるものであります。 b.負債 当事業年度末の負債合計は、前事業年度末比56百万円増加し、212百万円となりました。これは主に、未払金が51百万円増加したことによるものであります。 c.純資産 当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末比243百万円減少し、33百万円となりました。これは主に、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ690百万円増加したものの、当期純損失の計上により利益剰余金が1,625百万円減少したことによるものであります。 当社の経営成績は、以下のとおりであります。 a.事業収益 当事業年度におけるマイルストーン収入等はなく、事業収益はありませんでした(前事業年度比-%)。 b.事業費用、営業損益 当事業年度における事業費用は1,605百万円(前事業年度比6.0%減)となりました。これは主に、開発パイプラインの臨床試験における医療機関並びに症例数の増加、次試験に向けた治験薬となる原薬や製剤の製造などを進めたことなどに伴い、研究開発費が1,329百万円(前事業年度比7.5%減)となったことによるものであります。 この結果、営業損失は1,605百万円(前事業年度は営業損失1,708百万円)となりました。 c.経常損益 主に株式交付費18百万円を計上したことにより、当事業年度における経常損失は1,623百万円(前事業年度は経常損失1,718百万円)となりました。 d.当期純損益 当事業年度における当期純損失は1,625百万円(前事業年度は当期純損失1,721百万円)となりました。 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。 当事業年度末における現金及び現金同等物は145百万円であり、当社の運転資金については、主に自己資金及び新株予約権の発行による資金調達により充当しています。 ③ 経営戦略の現状と見通し 当社の中長期における最重要課題は、新規抗がん剤の研究開発を着実に推進すると共に、新たな提携パートナーを開拓してライセンス契約を締結し、承認を取得して製品販売による安定的な収益源を確保することです。当事業年度では、DFP-10917、DFP-10917+ベネトクラクス、DFP-14323、DFP-17729、DFP-11207及びDFP-14927の臨床試験が概ね順調に進んでおります。DFP-10825も臨床試験の開始に向けた準備を進めてまいります。今後も開発パイプラインを着実に進捗させ、抗がん剤の早期上市を実現できるよう、当社は提携パートナーの製薬会社との連携を模索しながら、経営資源を結集して開発に取り組んでまいります。 ④ 経営者の問題意識と今後の方針 経営者の問題意識と今後の方針は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。 ⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

EDINET提出の有価証券報告書から自動抽出。表は文字起こしのため崩れることがあります。

開示資料

出典

このページの財務・役員・株主等のデータは、金融庁EDINETに提出された開示書類から自動抽出しています。会計基準は JapanGAAP

リンク先はEDINET (金融庁) の書類閲覧ページです。

IR資料の開示履歴 (TDnet)

TDnetのPDFは掲載後約1ヶ月で削除されるため、古い開示はタイトルのみの記録です。

関連する企業

関連企業

本ページは公的開示と市場データに、群青で示した解釈を重ねて構成しています。財務・株価の数値は開示・市場データをそのまま表示し、AIには生成させていません。 AI評価 (割安判定・スコア) は解釈です — 詳しくは編集方針をご覧ください。