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超!企業DB
日経平均64,325.64-1,890NYダウ53,020.8+254ドル円158.87-1NASDAQ26,203.91+104S&P 5007,667.95+36SOX 指数11,316.82+289/2終値

ペルセウスプロテオミクス

Perseus Proteomics Inc.4882 · Growth · 医薬品

東京大学発の抗体創薬ベンチャー。独自の抗体作製技術で、がん治療薬の研究開発と導出を手掛ける。

概要

ペルセウスプロテオミクスは、東京大学発の創薬ベンチャーであり、独自のプロテオミクス技術と抗体作製技術を基盤に、がん領域を中心とした抗体医薬品の研究開発を行う。2021年6月に東証マザーズ(現グロース)に上場。従業員35名と小規模ながら、複数のパイプラインを前臨床段階まで進めており、直近2026年3月期の売上高は1億円、営業赤字7億円と開発優先のフェーズにある。収益は主に製薬企業への導出契約一時金やマイルストーン収入を目指すが、現状は共同研究や抗体・試薬販売による限定的な収入に留まる。

抗体創薬に特化した単一事業セグメント

ペルセウスプロテオミクスは、医薬品事業のみの単一セグメントで構成される。事業の柱は、①創薬(自社開発した抗体医薬品候補の導出による契約一時金・マイルストーン・ロイヤリティ収入)、②抗体研究支援(アカデミアや製薬企業向けの抗体作製・配列解析・受託研究)、③抗体・試薬販売(核内受容体抗体全48種類やPTX3 ELISAキットなどの研究用試薬販売)の3分野である。2026年3月期の売上高1億円のうち、抗体研究支援が約40百万円を占め、6期連続で増加した。創薬からの導出収入は未だ発生しておらず、全額が研究支援と試薬販売によるものである。

収益構造は導出前の赤字フェーズ

同社の収益モデルは、創薬パイプラインを製薬企業に導出した際の契約一時金、開発マイルストーン、販売ロイヤリティが主要な収益源となる設計である。しかし、2026年3月期時点で導出契約は存在せず、売上高は1億円と小規模ながら、研究開発費が先行し営業損失は7億円、純損失も7億円となっている。経営指標としてROAやROEは用いず、パイプラインの進捗と売上高を重視する方針である。資金調達は、国内外パートナーとの提携や資本市場からの調達に加え、AMEDなどの公的助成金も活用している(例:PPMX-T003に対するAMED採択)。

外部依存から自社開発へ転換したパイプライン戦略

創業以来、中外製薬や富士フイルムへの導出実績があったが、2022年3月に富士フイルムからPPMX-T002およびPPMX-T004の実施権が返還され、自社開発に方針転換した。現在は3つのパイプライン(PPMX-T002、PPMX-T003、PPMX-T004)を全て自社で開発している。特にPPMX-T003は、自社で第I相試験を完了し、真性多血症(PV)に対する効果を示唆するデータを得ており、またアグレッシブNK細胞白血病(ANKL)を対象とした医師主導治験も進行中である。導出活動は継続中だが、非臨床段階での導出が難しくなっている市場環境を踏まえ、臨床試験を自社で実施し価値を高めてから導出する戦略を取る。

東京大学発のネットワークと小規模組織

同社は東京大学先端科学技術研究センター・システム生物医学ラボラトリー(LSBM)で開発された技術を基に2001年に設立された。LSBMの油谷浩幸教授が構築したトランスクリプトームデータベースを活用した標的探索技術を強みとする。従業員は35名と小規模だが、名古屋ラボ(2019年開設)と本社(東京都中央区)で研究開発を行う。アカデミアとの連携を重視し、複数の大学研究機関との共同研究により次期パイプラインの探索も進めている。また、富士フイルムとの資本関係は2009年に親会社となった後、2018年にその他の関係会社、2022年には関連会社でなくなるなど変遷した。

業界の中での役割は抗体医薬品の研究開発に特化した創薬ベンチャー。にあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

売上高
1億円
営業利益
-7億円
営業利益率
-700.0%
純利益
-7億円
2026/3 通期の連結業績。決算の内訳は最新の決算以降にあります。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2026/3期)より

01製薬(創薬)主力

がんなどの治療用抗体医薬品の研究開発を行い、国内外の製薬企業に導出。契約一時金、マイルストーン、ロイヤリティ収入を得る。

主な製品・サービス3
PPMX-T002
CDH3を標的とし、放射性同位体を標識した抗がん剤候補。RI標識抗体で、がん細胞に放射線を照射して攻撃する。
PPMX-T003
トランスフェリン受容体1を標的とする完全ヒト抗体。鉄の取り込みを阻害し、がん細胞を死滅させる。
PPMX-T004
CDH3を標的とする抗体薬物複合体(ADC)。薬物を連結した抗体でがん細胞を攻撃する。

02アカデミア・製薬(研究支援)準主力

抗体作製、配列解析、薬効試験受託などの抗体研究支援を提供。アカデミアや製薬企業向けに、抗体関連の技術サービスを提供する。

03研究試薬(販売)副次

核内受容体抗体やPTX3 ELISAキットなど研究用試薬を販売。世界の研究者向けに提供。

主な製品・サービス1
核内受容体抗体
ヒトの核内受容体全48種類に対する抗体。研究用試薬として販売。

製品と技術

がん細胞表面のカドヘリン3を標的にした放射性医薬品PPMX-T002

PPMX-T002は、多くのがん細胞で過剰発現するカドヘリン3(CDH3)を標的とする抗体に、放射性同位体を結合させた治療薬である。元々は富士フイルムに導出されたが、2022年に権利が返還され、現在は抗腫瘍効果を高めるため放射性同位体をイットリウム90からアクチニウム225に変更し、動物実験で効果を確認している。第I相試験(米国)で標的への集積は確認済み。現在、放射性医薬品開発企業を中心に導出先を探索中である。

完全ヒト抗体PPMX-T003:鉄代謝を標的に多彩ながんを狙う

PPMX-T003は、ファージディスプレイ法と独自のICOSスクリーニング技術で取得した完全ヒト抗体で、標的はトランスフェリン受容体1(TfR1)。TfR1は増殖盛んながん細胞に高発現し、鉄の取り込みを担う。本抗体が結合すると鉄取り込みが阻害され、がん細胞の増殖が抑制される。真性多血症(PV)を対象に国内第I相試験を実施し、2024年6月に終了。全米血液学会で6例中5例が12週間の瀉血不要を達成したと報告。さらに超希少疾患アグレッシブNK細胞白血病(ANKL)に対し医師主導治験を進行中で、全国10医療機関が参加し、目標7例中5例が登録済み(2025年時点)。

抗体薬物複合体PPMX-T004:UBEとの協業でADC開発を加速

PPMX-T004は、CDH3を標的とする抗体に強力な抗がん剤を結合させた抗体薬物複合体(ADC)である。抗体はがん細胞に結合後、細胞内に取り込まれ、薬物が細胞を殺傷する。同社の抗体はCDH3に高親和性で、効率的な細胞内取り込みを実現。リンカーとペイロード(薬物)はUBE株式会社から提供を受け、動物実験で高い抗腫瘍効果を確認。2024年10月にUBEとADCに関する共同研究契約を締結し、PPMX-T004以外にも複数のがん抗原に対するADCの探索を進めている。予備毒性試験を実施中で、2026年9月までに薬効と毒性のバランスを見極める予定である。

研究試薬と抗体研究支援による収益の多角化

創薬パイプライン以外に、同社は研究用試薬と抗体研究支援サービスも提供する。核内受容体抗体はヒトの全48種類を網羅し、世界の研究者に販売。その他、PTX3 ELISAキット(血管炎症マーカー測定)、ADC研究用の抗DM-1抗体、抗MMAE抗体、抗Exatecan抗体なども販売する。抗体研究支援では、抗体作製(数十mgレベルのフレキシブルな生産)、配列解析(独自の遺伝子増幅用配列を利用)、受託研究(薬効試験代行・コンサルティング)を提供。2025年5月からはラクダ由来VHH抗体ライブラリを用いたスクリーニング・作製サービスも開始し、新たな収益源を開拓している。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

医薬品のなかでの位置

創薬ベンチャー、深い赤字継続

当社は抗体医薬品開発企業で、売上は1億円程度と微少。営業利益率は-800%と大幅赤字。同業のジーエヌアイグループやChordia Therapeuticsも同様だが、当社は特に赤字幅が大きい。研究開発費が売上を大きく上回り、資金調達が急務。技術の実証と提携による収益化が課題。

強み

  • 独自の抗体エンジニアリング技術で差別化
  • 臨床段階のパイプラインを複数保有
  • 強固な特許網で競合を排除
  • 高い研究開発能力で新規標的に取り組む

課題

  • 営業赤字が継続し、財務体質が脆弱
  • 事業継続に追加資金が必要
  • 上市時期が不透明で投資回収見通せず

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

医薬品の時価総額近傍。太字がペルセウスプロテオミクス

時価総額で並べると、掲載9社のなかで6番目にあたる。

#企業時価総額PER
14885室町ケミカル37億円22.6倍
24586メドレックス36億円
34884クリングルファーマ31億円
44883モダリス29億円
5130AVeritas In Silico28億円
64882ペルセウスプロテオミクス24億円
74558中京医薬品24億円25.8倍
84881ファンペップ20億円
94598Delta-Fly Pharma16億円

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は東証33業種の分類に従っています。

会社の歴史

沿革 28件

東京大学の技術を基に設立された2001年

2001年2月、東京都文京区においてペルセウスプロテオミクスが設立される。設立の基盤となったのは、東京大学先端科学技術研究センター・システム生物医学ラボラトリー(LSBM)が開発した蛋白質発現・抗体作製技術である。この技術により、従来は作製困難だった標的蛋白質の免疫が可能となり、高親和性抗体の効率的な取得が実現した。創業直後の2002年10月には研究用試薬としての抗体販売を開始し、抗体ビジネスの第一歩を踏み出す。

抗体販売で収益基盤を築き、大手との導出契約を締結

2004年8月、R&D Systems Inc.と研究用試薬の販売代理店契約を世界規模で締結し、抗体販売を拡大。2006年9月には中外製薬とグリピカン3抗体(PPMX-T001)に関する権利譲渡契約を結び、初の導出を達成する。同年までに核内受容体全48種類の抗体販売も開始し、研究試薬事業の基盤を固めた。2008年11月にはPPMX-T001の第I相試験が米国で開始され、創薬パイプラインが臨床段階に進む。

富士フイルムの傘下で資本関係が変化した2009〜2018年

2009年1月、富士フイルムが第三者割当増資により発行株式の76.68%を取得し、親会社となる。これにより資金調達と開発加速が期待された。2011年1月には放射性同位体標識カドヘリン3抗体(PPMX-T002)を富士フイルムに導出。その後、2015年9月には薬物結合カドヘリン3抗体(PPMX-T004)も導出する。しかし、2018年3月には富士フイルムの保有割合が48.62%に低下し、その他の関係会社に変更。資本関係が薄れ始める。

自社治験開始と名古屋ラボ開設で開発体制を強化

2019年1月、愛知県名古屋市に名古屋ラボを開設し、ファージディスプレイ技術の維持発展と抗体医薬品研究開発を促進。同年11月、自社初の治験となるトランスフェリン受容体抗体(PPMX-T003)の真性多血症を対象とした第I相試験を日本で開始する。2020年4月にはPPMX-T002の第I相試験も日本で開始。自社で臨床試験を実施する体制へと移行した。

上場、富士フイルムとの関係解消、パイプライン再編

2021年6月、東京証券取引所マザーズ市場に上場(2022年4月にグロース市場へ移行)。しかし2022年3月、PPMX-T002およびPPMX-T004の富士フイルムとの実施許諾契約を解除し、両パイプラインが自社に戻る。同年9月には富士フイルムがその他の関係会社でなくなり、資本関係が完全に解消。2023年3月には難治性血液がんPPMX-T003の医師主導治験を承認され、希少疾患への適応拡大を進める。

AMED採択とADC共同研究で次世代を展望

2022年3月と2025年2月の2度にわたり、PPMX-T003(ANKL対象)がAMEDの創薬支援推進事業に採択され、資金支援を受ける。2024年10月にはUBE株式会社とADCに関する共同研究契約を締結し、PPMX-T004のみならず複数のがん抗原に対するADC探索を開始。2025年5月にはVHH抗体ライブラリを用いた抗体スクリーニング・作製サービスの提供を新たに開始し、抗体研究支援メニューを拡充した。

年表28件を開く

2000年代

  • 2001年2月創業東京都文京区において当社設立
  • 2002年10月研究用試薬としての抗体販売を開始
  • 2003年4月国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「タンパク質相互作用解析ナノバイオチッププロジェクト」に参加
  • 2003年7月本社を東京都渋谷区に移転
  • 2004年8月R&D Systems Inc.と研究用試薬の販売に関する販売代理店契約を締結し、全世界で販売開始
  • 2004年9月本社を東京都目黒区に移転
  • 2005年9月核内受容体全48種類に対する抗体の販売を開始
  • 2006年9月中外製薬株式会社とグリピカン3抗体の特許を受ける権利等の譲渡に関する権利譲渡契約を締結(PPMX-T001)
  • 2008年9月研究用試薬「PTX3 ELISAキット」の販売を開始
  • 2008年11月グリピカン3抗体の第Ⅰ相試験が米国で開始(PPMX-T001)
  • 2009年1月富士フイルム株式会社が、第三者割当増資により、当社株式の76.68%を保有し当社の親会社となる

2010年代

  • 2011年1月放射性同位体(注2)標識カドヘリン3抗体を富士フイルム株式会社に導出(PPMX-T002)
  • 2014年12月トランスフェリン受容体抗体が、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の研究成果最適展開支援プログラム実用化挑戦タイプ(創薬開発)の課題として採択される(PPMX-T003)
  • 2015年9月薬物結合カドヘリン3抗体を富士フイルム株式会社に導出(PPMX-T004)
  • 2016年1月放射性同位体標識カドヘリン3抗体の第Ⅰ相試験が米国で開始(PPMX-T002)
  • 2018年3月富士フイルム株式会社は、第三者割当増資により、当社株式の保有割合が48.62%となり、当社のその他の関係会社となる
  • 2019年1月ファージディスプレイ技術の維持発展と抗体医薬品の研究開発促進を目的として愛知県名古屋市千種区に名古屋ラボを開設
  • 2019年11月当社初の自社治験となるトランスフェリン受容体抗体の真性多血症を対象とした第Ⅰ相試験が日本で開始(PPMX-T003)

2020年代

  • 2020年4月放射性同位体標識カドヘリン3抗体医薬の抗がん剤の第Ⅰ相試験が日本で開始(PPMX-T002)
  • 2021年6月上場東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場
  • 2022年3月アグレッシブNK細胞白血病(ANKL)を対象とした研究開発が令和4年度の国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の創薬支援推進事業・希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業プログラムの課題として採択される(PPMX-T003)
  • 2022年3月PPMX-T002及びPPMX-T004の富士フイルム株式会社との実施許諾契約を解除
  • 2022年4月東京証券取引所の市場区分の見直しによりマザーズ市場からグロース市場に移行
  • 2022年9月富士フイルム株式会社が、当社のその他の関係会社でなくなる
  • 2023年3月ANKLを対象とした医師主導第I/II相試験の治験計画届を提出し承認される(PPMX-T003)
  • 2023年7月本社を東京都中央区に移転
  • 2025年2月ANKLを対象とした研究開発が令和7年度のAMEDの創薬支援推進事業・希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業プログラムの課題として採択される(PPMX-T003)
  • 2025年5月抗体研究支援「VHH抗体ライブラリを用いた抗体スクリーニング・作製」の提供を開始

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2026/3期の経営方針より

会社は5つの方針を掲げている。有価証券報告書には具体的な数値目標の記載がない。

  1. 01

    既存パイプラインの開発と導出

    3つのパイプライン(PPMX-T002、T003、T004)の開発を着実に進め、導出することで収益を改善し、企業価値向上を図る。

  2. 02

    次期パイプラインの探索研究

    複数の大学との共同研究で候補標的の評価データを収集し、新技術導入により新規抗体医薬シーズの探索研究を推進する。

  3. 03

    抗体研究支援・販売の拡大

    顧客ニーズに応じた支援メニュー拡充や、論文・企業での使用例をホームページで訴求し、抗体研究支援と抗体・試薬販売の売上増を図る。

  4. 04

    新サービス提供(ADC等)

    抗体薬物複合体や放射性同位体標識抗体などのArmed抗体分野で、自社の抗体ライブラリ・技術を活用した新サービスを提供する。

  5. 05

    研究開発資金の調達

    ライセンス契約やパートナー提携、資本市場からの資金調達により、先行する研究開発費用を確保する。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 5期分

グループ全体で35人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は778万円で、4期前と比べて+22.3%平均年齢は48.6歳、平均勤続年数は7.6年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数一人当たり営業利益万円
2022年3月63647.58.621
2023年3月64945.58.224
2024年3月73046.28.425
2025年3月75447.97.332−2,500
2026年3月77848.67.635−2,000

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

拠点とグループ

設備と関係会社

主要な設備 (帳簿価額 上位2)
本社 — 東京都中央区0百万円
名古屋ラボ — 愛知県名古屋市千種区0百万円

業績のいま

有価証券報告書・決算短信より

2026年3月期の売上高は1億円営業利益-7億円前期と比べると増収で、売上が+0.0%。

売上高
+0.0%
1億円
営業利益
-7億円
純利益
-7億円
営業利益率
-700.0%
前期比 +100.0%pt

四半期の推移

10期分

直近は2027年1Qで、売上は0億円、営業利益は−2億円。

対象期間売上高億円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2023年4Q0−2
2024年1Q0−2−4
2024年2Q1−2−200.0−2
2024年3Q0−3−3
2024年4Q0−2
2025年2Q1−4−400.0−5
2025年4Q0−4−4
2026年2Q1−4−400.0−4
2026年4Q0−3−3
2027年1Q0−2−2

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。

業績の推移

有価証券報告書 9期分

2018年3月期からの9期で、売上は3億円から1億円へ33%に減った。直近期の営業利益率は-700.0%。純利益は2期連続で増加。

決算期売上高億円営業利益億円経常利益億円営業利益率%純利益億円
2018年3月3−2−2
ファージディスプレイ技術の維持発展と抗体医薬品の研究開発促進を目的として愛知県名古屋市千種区に名古屋ラボを開設
2019年3月3−1−2
2020年3月1−8−8
東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場
2021年3月1−4−4
2022年3月1−5−6
2023年3月1−7−8
2024年3月1−9−11
2025年3月1−8−8−800.0−9
2026年3月1−7−7−700.0−7

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。空欄の期は有価証券報告書からその項目の数値が取れていません(0ではありません)。

利益の構造

2026年3月期

売上高1億円のうち、営業利益として残るのは-7億円-700.0%。営業外の損益と税金を反映した純利益は-7億円、売上の-700.0%にあたる。営業利益率は業種中央値2.9%を下回る水準。

売上高を100としたときの内訳
  • 費用事業を回すためにかかったお金800.0%8億円
  • 営業利益費用を引いたあとに残った本業の利益-700.0%-7億円

有価証券報告書の損益計算書から、当期の金額をそのまま割り振っています。売上原価と販管費は単体ベースの数値です。

粗利率
100.0%
売上から原価を引いて残る割合
営業利益率業種比702.9pt
-700.0%
本業の利益として残る割合
純利益率業種比702.7pt
-700.0%
税金まで払って最後に残る割合
ROA
-43.8%
資産全体がどれだけ利益を生んだか

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 9期分

2026年3月期は営業CFが−7億円、投資CFが0億円で、差し引きのフリーCFは−7億円この組み合わせは立て直し型にあたる。本業の赤字を資産売却と資金調達で補っている。事業転換の途上期末の手元現金は15億円で、売上の180.0ヶ月分にあたる

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2018年3月−1014−114
2019年3月−30−311
2020年3月−60−65
2021年3月−4010−411
2022年3月−5026−532
2023年3月−6−20−824
2024年3月−8−21−1015
2025年3月−7−19−817
2026年3月−705−715

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 9期分

2026年3月期の総資産は16億円。このうち返さなくてよい自己資本が12億円で、自己資本比率は70.1%(業種中央値69.9%より厚い)

決算期総資産億円自己資本億円負債億円自己資本比率%
2018年3月1515098.4
2019年3月1413197.6
2020年3月55088.7
2021年3月1111096.6
2022年3月3332195.5
2023年3月2624292.2
2024年3月1714378.2
2025年3月1814474.4
2026年3月1612470.1

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2026年3月期の内訳単体ベース
現金及び預金
15億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
-7億円
過去の利益の積み上がり
負債合計
4億円
いつか返す必要があるお金
財務の健全性
40
/ 100
安定性自己資本比率40 / 40
収益力営業利益率0 / 30
現金創出営業CFの黒字継続0 / 30

有価証券報告書の数値から機械的に配点した参考値です。自己資本比率60%で満点、営業利益率15%で満点、直近3期の営業CFが黒字だった割合の3つを足しています。業態によって出ない要素があります。

業界内での比較

医薬品 79社との比較

同じ医薬品の企業と並べると、いちばん上に来るのは自己資本比率79社中39位あたり、逆に低いのは営業利益率79社中75位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
/中央値 5.9%
P25 2.0%P75 11.0%
営業利益率下位売上のうち本業の利益として残る割合
-700.0%/中央値 2.9%
P25 -162.5%P75 11.5%
自己資本比率総資産のうち返済のいらないお金の割合
70.1%/中央値 69.9%
P25 53.4%P75 84.5%
売上成長率前期からの売上の伸び
0.0%/中央値 2.8%
P25 -1.3%P75 12.0%
配当利回り株価に対して1年で受け取る配当の割合
/中央値 2.9%
P25 2.3%P75 3.5%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月2日の終値

直近の終値は¥142で、1年前と比べて-60.3%過去52週の値幅のなかでは4%の位置にある。

¥142-1.4%1ヶ月+0.0%1年-60.3%時価総額24億円
過去52週の値幅
安値¥134高値¥361

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標
PBR2.14倍

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

株価は145円で、1カ月では-2.68%と小幅な下落、1年では-60.7%と大幅安。25日線(146.48円)を下回り、75日線(159.61円)・200日線(218.83円)も大きく下回る弱い展開です。52週高値373円からは約61%下落し、52週安値134円近辺で推移。RSIは50と中立圏ですが、トレンドは明確な下降。出来高はやや低調で、底打ち確認には時間がかかりそうです。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

AIの評価

AI評価

株価水準の解釈です。売買の推奨ではありません

現在の株価水準を割高と判定しています(スコア 15/100)

PBR2.03倍は業界平均3.34倍を下回るが、PERが算出不能で、直近3期連続の赤字が続く。配当利回りは0%で、収益性の指標(ROE)もマイナス。売上高は1億円程度で、営業利益率は-700%と大幅な赤字。割高とは言えないが、収益化の目処が立たず、投資判断は難しい。業績の好転が確認できるまでは割高と評価する。

指標この会社業種平均
PBR2.14倍3.53倍

業種平均は同じ東証33業種に属する銘柄の単純平均です。銘柄数が少ない業種では平均が振れます。

AI評価判定とスコアは公開データをもとにした解釈で、将来の株価を示すものではありません。算出の考え方は編集方針に記載しています。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

投資論点は、創薬パイプラインの進捗と事業化の可能性を巡る対立。強気派は、プロテオミクス技術の独自性と将来の医薬品市場へのインパクトを期待する。研究開発の進展により、ライセンス収入や事業提携の可能性があるとみる。一方、弱気派は、売上高が極めて小さく、赤字が続く中で資金調達リスクを懸念。臨床試験の失敗リスクや競合の多さを指摘し、実用化までの道のりは長いとみる。

プラスに働く材料7
  • 技術の独自性

    プロテオミクス技術は差別化につながる可能性がある。

  • 提携の可能性

    大手製薬との提携で収益化の道が開けることもある。

  • 損失の縮小傾向

    純損失が8億円から7億円へと改善している。

  • 純損失7億円へ2年連続で赤字幅縮小決算発表後影響

    純損失は2025年3月期9億円から7億円へ改善

  • PBR2.03倍で純資産が下支え継続影響

    時価総額25億円÷PBR2.03倍、純資産は約12億円

  • 株価が1年で60.7%下落し反発余地不定影響

    下落率60.7%、PBR2.03倍

  • 外国人保有比率2.49%と低く売り圧力限定継続影響

    外国人保有2.49%

マイナスに働く材料7
  • 売上の極小規模

    売上高1億円で、事業として未確立。

  • 赤字の継続

    営業損失率がマイナス800%と、収益化には程遠い。

  • 資金調達リスク

    研究開発には多額の資金が必要で、調達難の可能性。

  • 営業損失7億円と赤字が継続通年影響

    売上高1億円、営業利益率-700%

  • 売上高は3期連続1億円で停滞決算発表後影響

    2024年3月期から2026年3月期まで売上高1億円

  • 純損失7億円が純資産の約6割を消費通年影響

    純資産約12億円に対し純損失7億円で58%相当

  • 無配当で株主還元が皆無継続影響

    配当利回り0%

次の決算で確かめる点
研究開発費
研究開発への投資額が将来の成果につながる。
パイプライン進捗
臨床試験の進捗状況が事業化の鍵。
現金残高
赤字続きで、資金の持続可能性が重要。

株主

有価証券報告書より

2026年3月期末の株主数は延べ11,607人。区分でいちばん多いのは個人・その他80.5%。グループ会社や銀行などの安定株主が6.1%を占め、残る93.9%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2022年3月%2023年3月%2024年3月%2025年3月%2026年3月%
個人・その他51.764.071.878.480.5
証券会社4.313.16.48.610.9
事業法人35.316.415.87.96.0
外国法人7.84.64.33.92.2
外国人個人0.10.10.10.10.3
金融機関0.91.71.61.10.1

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01大和証券株式会社2.93
02株式会社SBI証券2.42
03三菱UFJキャピタル株式会社1.68
04富士フイルム株式会社1.39
05楽天証券株式会社共有口1.32
06松井証券株式会社1.28
07野村證券株式会社0.96
08株式会社キースジャパン0.89
09山口 晴輝0.83
10山田 敏行0.59

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

大量保有報告の動き
5%超の保有者の提出ベース 直近2
  • 2026-07-03
    マッコーリー バンク リミテッド(Macquarie Bank Limited)
    新規の大量保有報告
    0.63%
    -7.52pt
  • 2026-04-21
    野村證券株式会社
    新規の大量保有報告
    0.00%
    -7.24pt

提出があった時点の記録です。その後5%を割った保有者が一覧に残ることがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 9期分

1株利益は9期で+98%、1株純資産は9期で−99%。期末時点の株価にもとづく指標の推移。

決算期EPSBPS
2018年3月−2,0727,276
2019年3月−27216
2020年3月−13779
2021年3月−59129
2022年3月−54268
2023年3月−67201
2024年3月−94111
2025年3月−6392
2026年3月−4867

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安

経営陣

11名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は11名。2026/3期の役員報酬は総額73百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約2倍にあたる。

氏名役職年齢保有株数
横川拓哉代表取締役社長 執行役員6560,600
鈴川信一取締役 執行役員 管理部長7023,000
萩原真二取締役 執行役員 研究開発部長61
小南欽一郎取締役5960,000
花井陳雄取締役73
長清達矢取締役(監査等委員)69
堀内正取締役(監査等委員)79
大野貴史取締役(監査等委員)56
棚橋進取締役 執行役員 管理部長 事業開発部長63
松本尚取締役(監査等委員)63
西垣扶佐子取締役(監査等委員)66

役員報酬の内訳2026/3

役員の区分人数固定報酬百万円合計百万円1人あたり百万円
取締役(社内)3545418
社外取締役519194

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2026/3期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容17,178字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3【事業の内容】 当社は東京大学先端科学技術研究センター・システム生物医学ラボラトリー(LSBM)で開発された蛋白質発現・抗体(※1)作製技術を基盤として、診断・創薬標的に対する抗体の医療への活用を目指して設立されました。創業以来、医薬品シーズ(※2)抗体を創生することで、がん及びその他疾患の治療用医薬品の研究開発、及び関連業務を行っております。LSBMで開発された蛋白質発現技術により、従来は作製することが困難だった標的蛋白質も免疫することが可能となり、そのような標的蛋白質に対する抗体の取得がより容易になりました。これをハイブリドーマ法(動物免疫法)(※3)と組み合わせることで、親和性(※4)の高い抗体の効率的な取得を可能にしています。さらに、当社は多様性に富むファージ抗体ライブラリ(※5)と当社独自の抗体スクリーニング(※6)技術を保有しており、対象とする疾患の細胞に適用することで、創薬標的を探索するとともに、従来のハイブリドーマ法で得られるものとは異なる特徴を持つ高機能シーズ抗体を取得することを可能にしています。また、新たな抗体取得技術として、シングルBセルスクリーニング法(※7)の活用も開始しました。当社の技術は、これらの抗体技術とシーズ探索技術を融合し、医療ニーズにマッチした医薬品シーズ抗体を取得することを特長としております。また、当社は東京大学発であることを起点として、さらにそのネットワークを広げ、多くのアカデミアとの連携により「最先端の抗体技術で世界の医療に貢献する」ことを企業理念としております。 <当社の抗体取得技術> 当社は以下のアプローチにより、シーズ探索を行っております。第一は、動物に免疫して取得する一般的なハイブリドーマ法です。グリピカン3やカドヘリン3(CDH3)に対する抗体はこの手法で取得しました。第二は、動物を用いずに抗体を取得するファージディスプレイ法(※8)をがん細胞に適用することで、トランスフェリン受容体1(TfR1)に対する抗体を取得しております。第三のシングルBセルスクリーニング法では、特定の抗原に対してのみ反応する抗体を生産するB細胞を単離し、モノクローナル抗体を取得します。ハイブリドーマの作製が難しい動物種やヒトのモノクローナル抗体も取得することが可能です。 世界におけるバイオ医薬品市場の推移を見ると、年々バイオ医薬品の売上高は増加しており、2026年には約5,489億ドルに達するとも予測されています(出典:Evaluate®)。 また、2025年度の世界の医薬品の売上高上位10品目のうち、抗体医薬品(※13)は4品目を占めております。 (出典:日経BP社 「日経バイオテクONLINE」2026年5月7日掲載https://pharma.all.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/011900001/26/04/26/00459/?ST=pb) このような事業環境の中で、当社は機能性の高い抗体を当社独自の技術で作製し治療薬として開発しているほか、抗体に放射性同位体や抗がん剤等を化学的に結合させ、がん細胞への攻撃力を高めた治療薬の研究開発も行っております。 (1)当社の事業モデル 当社の事業セグメントは、医薬品事業のみの単一セグメントでありますが、以下の各分野において製品化に向けた研究開発、ライセンス、製造方法の確立に取り組んでおります。 ① 創薬 当社は、長年の経験に基づいたハイブリドーマ法、独自のスクリーニング技術を取り入れたファージディスプレイ法、及びシングルBセルスクリーニング法により、高機能抗体を取得し、必要に応じて抗体に遺伝子工学的な改変あるいは化学的な修飾を施し、抗体医薬品候補として研究開発を進めております。 創薬の収益モデルは、国内外の製薬企業に対して、当社が開発した医薬品候補を導出(特定の医薬品を開発、販売するために必要な知的財産権の使用を許可すること)することによる契約一時金収入、開発の進捗に応じて支払われるマイルストーン収入、上市(※14)後に売上高の一定割合が支払われるロイヤリティ収入等を獲得することであります。 収入の形態   内容 契約一時金収入   契約締結時に一時金として受け取る対価。 マイルストーン収入   製薬企業等提携先が当社と契約締結後、当社又は提携先における研究開発が進捗し、契約上規定された特定の開発目標を達成した時の対価である開発マイルストーンと、医薬品販売後に、事前に設定した年間販売額を達成した時に受け取る収益である販売マイルストーンがあります。 ロイヤリティ収入   上市後に当該製品売上高に対して契約に設定された一定割合を受け取る収入。 当社は、これまでに創出したがん治療用抗体のうち、肝臓がんを標的とする抗体及び固形がんを標的とする放射性同位体標識抗体を、それぞれ製薬企業である中外製薬株式会社及び富士フイルム株式会社に導出しております。このうち富士フイルム株式会社に導出した2つの抗体(PPMX-T002及びPPMX-T004)は、同社の子会社の放射性医薬品事業の他社への譲渡により、2022年3月に実施権が返還されました。現在、有効性を高めた新たな抗体医薬品としての開発をそれぞれ進めております。また、難治性血液がんを標的とした抗体(PPMX-T003)は、2014年に国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)に採択された後、開発を進め、2018年より企業主体の開発に切り替えました。その後、自社で実施した治験結果に基づいて導出活動を進めております。この抗体については、導出活動中の対象疾患とは別の疾患においても開発を進めております。 なお、当社における抗体創薬の特長は、医薬品として高い薬理効果が期待できる新規抗体を効率的に取得することです。この抗体の物質特許が事業のベースになり、その抗体を医薬品として患者さんに届けるべく非臨床試験、臨床試験及び薬事承認を得るまでいかに早く進めるかが課題となります。導出は、一般的に、特許取得後すぐに大手製薬企業に導出するケース、自社で非臨床試験を完了してから導出するケース、自社単独であるいはパートナー企業と共同で臨床試験を実施し、パイプラインの価値を高めてから製薬企業に導出するケース等があります。この導出の形態は、薬剤の特性、薬剤ごとに異なる臨床試験の計画、適応疾患及び開発費用等を勘案して決定いたします。 近年、抗体医薬品の認知度が高まる中、多数の抗体医薬品が上市され、抗体医薬品ビジネスの競争も激化しつつあります。これに伴い、非臨床段階では有利な経済条件で導出することが難しくなりつつあります。当社は、抗体医薬品を早期に患者さんに届けるため、自社でも臨床試験を実施し、製薬企業への導出を推進してまいります。 なお、各開発品の詳細については、後述「(3)当社の開発品」をご参照ください。 ② 抗体研究支援 当社は、これまでにがん等を対象とした抗体医薬品や研究用試薬の創出を通じて培ってきた技術や経験を活かして、抗体に関連した研究支援を実施しております。特にアカデミアや製薬企業に対する抗体研究支援は、当社の創薬活動におけるネットワークを広げる等のシナジー効果があります。 a.抗体作製 動物細胞を利用した組換え蛋白質の生産系を利用して、薬効を確認する試験に使用することが可能な抗体の作製を行います。一般にマウスなどを対象とした動物試験で使用する抗体の必要量は数十mg程度ですが、一般の試薬会社では100㎍単位で販売されるのに対し、組換え蛋白質として抗体の生産を委託会社に依頼した場合、数g単位のような過剰量であることも多く費用が高額になりがちです。それに対し、当社は生産量にフレキシブルに対応することが可能です。 b.配列解析 抗体産生細胞(ハイブリドーマ、一般に一種類の抗体を産生する)から、抗体の遺伝子配列(※15)を決定します。抗体の遺伝子配列は様々な標的との結合が可能となるように多様な組み合わせの配列を生成するという特有の特殊性を持つため、通常の配列決定法では一意に遺伝子配列を決めることが困難ですが、当社は独自に設計した遺伝子増幅用配列を用いることで、その抗体配列情報を解析することが可能です。そして、この解析を行うことでこの結果をもとにした特許出願を行ったり、前述した組換え蛋白質として抗体作製に用いたりすることが可能となります。 c.その他の研究受託 抗体は物理的な安定性や薬理的な効果など様々な観点での試験が行われ、その用途に応じて、最適な抗体が選択される必要があります。当社ではこれまでに培った抗体解析・評価ノウハウをもとに、ある標的に対して得られる多数の抗体群の中から、診断・治療に適した抗体を選別・提供するような研究受託を行います。また前述した抗体作製技術によって作製した抗体などを利用して薬効試験を代行・コンサルティングするなど、当社の抗体開発経験をもとにした各種サービスを提供することで、アカデミアの研究を支援いたします。 ③ 抗体・試薬販売 当社では、がんや生活習慣病等、各種疾患のバイオマーカー(※16)となる核内受容体抗体を全48種類取り揃えており、世界の研究者に向けて研究用試薬として販売しております。また、核内受容体抗体以外のその他の研究用試薬として、PTX3 ELISAキット(※17)、抗体薬物複合体(ADC)研究用の抗体試薬等も販売しております。 a.核内受容体抗体  核内受容体とは細胞内でホルモンなどと結合することで遺伝子の発現調節を行う蛋白質で、ヒトでは48種類存在します。核内受容体は生命維持の根幹に関わる遺伝子調節機能を担っており、創薬標的としても注目されている蛋白質群です。当社は、この核内受容体に対する抗体を全種類開発し、研究用抗体として世界の研究者に販売提供しております。 b.その他の研究用試薬  PTX3 ELISAキットは、血管炎症の程度を反映する指標と考えられている血液中のPTX3を高感度に測定できる研究用測定キットです。炎症の程度を鋭敏に捉えるPTX3の特徴を活かし、血管炎症を伴う各種疾患の重症化を予測するためのPTX3迅速計測キットの開発も別途進めております。また、ADC研究用抗体としては、ADCの血中薬物濃度測定等に用いることができる抗DM-1抗体、抗MMAE抗体、抗Exatecan抗体を販売し、ADCの研究開発に携わる研究者に提供しております。 <事業系統図> (2)当社の技術 治療用抗体を取得するために、当社では①標的探索、②抗体探索、③抗体工学、④機能性蛋白質発現技術の各技術を保有しております。 ① 標的探索 a.トランスクリプトーム(※20)解析 抗体医薬品の新薬開発において最も重要なことの1つが、その疾患の治療標的となる細胞表面に存在する蛋白質が何であるかを効率的に絞り込んでいくことです。当社では、油谷浩幸教授(LSBM)が構築したLSBMトランスクリプトームデータベースから得られた情報に基づき、治療標的となり得る有用な蛋白質を発掘し、がんの診断・治療に役立つ抗体を作製し、抗体医薬品候補として研究開発を行っております。 b.リバーストランスクリプトーム(※21)解析 疾患に関連した細胞(例えばがん細胞)の表面には、正常な細胞とは異なり、その疾患に特有の構造を持つ蛋白質が往々にして存在します。これらの蛋白質は抗体の標的分子となるため、当社は、その疾患に特異的な蛋白質の構造を正確にとらえた抗体を多数取得し、ライブラリ化しております。このようにして得られた抗体ライブラリには、診断や治療に有用な抗体が多数含まれていることが期待され、ここから様々な治療効果を示す抗体を選別し、その抗体が標的としている蛋白質の調査を進めていきます。このようにして得られた有用な抗体群は、治療薬候補の抗体として研究開発が進められます。 ② 抗体探索 抗体を取得する方法として、当社ではファージディスプレイ法、ハイブリドーマ法及びシングルBセルスクリーニング法を実施しております。また、ファージディスプレイ法によって取得した抗体を効率的にスクリーニングする技術として、当社独自の手法であるICOS法(Isolation of antigen/antibody Complexes through Organic Solvent method)を開発し、活用しております。 a.ファージディスプレイ法 動物を用いない抗体取得方法として、以下の2つの抗体ライブラリから特定の標的分子と結合する抗体配列を選別します。当社は、保有する抗体ライブラリと独自のスクリーニング技術を組み合わせることで、薬剤となりうる抗体を取得しています。優れた抗体は、狙った標的分子のみに強く結合する性質を持ち、これを特異性(※22)、高親和性と呼びます。またその性質により、標的分子の機能を制御する場合は機能性抗体と呼ばれ、抗体医薬品においては重要な性能となります。 (a)ヒト抗体ライブラリ 当社は多種類のヒト抗体配列を揃えたヒトナイーブ抗体ライブラリ(※23)を保有しています。抗体は、それぞれ2本のH鎖(重鎖:分子量が大きい)とL鎖(軽鎖:分子量が小さい)によって構成されています。抗体の抗原認識に対する寄与度は、L鎖よりもH鎖の方がより大きいことが知られています。そこで、当社は保有するヒト抗体ライブラリのH鎖の多様性を増やして、多彩な抗原を認識できる抗体の存在比率を大幅に高めることにより、標的分子に対して多数の抗体群を取得することを可能としました。これにより、標的抗原に対して親和性の高い抗体を取得する可能性を向上させております。また、標的抗原に対して多数のエピトープ(※24)を認識する抗体群を取得することで、機能性抗体を取得する確率も高めております。 ナイーブレパートリーと呼ばれる、体内の抗体の中でも特に未熟な抗体は、一般的に、免疫寛容(※25)を受けておらず、さまざまな標的に対する反応性を持っています。当社ではそのような素材からライブラリに格納する抗体集団を構築する手法により、様々な標的分子に対して最適な抗体を作出することを可能にしております。 (b)VHH抗体ライブラリ VHH抗体(Variable domain of Heavy chain of Heavy chain antibody ※26)とは、ラクダ科の動物(ラクダ、ラマ、アルパカなど)の血液に含まれる重鎖のみから構成される特殊な抗体の抗原結合部分の分子を指します。VHH抗体は、ヒトの抗体と比べて分子量が小さく、熱に強いという特性があり、用途に応じて複数のVHHを繋げたり、新しい機能をもたせたりと加工しやすい抗体として近年注目を集めています。このため、医薬品だけでなく、研究用試薬や工業製品等の分野において幅広い用途への活用が期待されます。 特に、ラクダ科の中でもヒトコブラクダはアルパカやラマと比べてVHHの割合が高いという特長を有しており、当社はこうした優れた特性を持つヒトコブラクダの抗体配列を多種類揃えたナイーブ抗体ライブラリを保有しております。 (c)抗体スクリーニング技術  抗体医薬品の標的分子となる蛋白質は、細胞膜上に発現しますが、その蛋白質は折り畳まれて複雑な立体構造を作り出しています。抗体は抗原認識の際に標的分子の持つ立体的な構造に大きく影響されますので、スクリーニングの際には細胞を用いることが効果的です。  しかしながら生きた細胞をそのままスクリーニングに使うと、標的に特異的でない多数の抗体も含まれてしまうという問題が生じます。そのため、通常は精製された抗原がスクリーニングに使われますが、当該手法では、精製の過程で蛋白質の立体構造が失われてしまうため、標的蛋白質に対する最適な抗体を取得することは困難でした。これを解決した方法が、当社が独自に開発したICOS法です。ICOS法は有機溶剤を利用して、細胞が有機層に入る過程で、非特異的に吸着した抗体を細胞表面から除去する手法です。これにより、細胞上に存在する蛋白質の立体構造を反映した、親和性の高い抗体のみを効率的に取得することが可能となりました。  また細胞膜上の蛋白質に限らず、通常免疫法では取得が困難な標的に対しても最適なスクリーニング技術を開発しており、蛋白質はもちろん、低分子等様々な標的に対する抗体を取得することができます。 b.ハイブリドーマ法  抗体作製技術の一つで、当社の抗体作製技術の出発点となっている基本的な重要技術です。蛋白質等の標的分子をマウス等の動物に免疫することで、抗体を産生する細胞(ハイブリドーマ)を作出する、古典的ですが信頼性の高い手法です。現在市販されている抗体医薬品の多くがこの手法で作られています。  抗体医薬品の主な標的である膜蛋白質の多くは、ヒト以外の動物でも同じ形で存在することが知られています。この様な標的の場合、通常の免疫方法では免疫が自分自身を攻撃するのを防ぐ機構を持つために、ヒトを形作るのと同じ構造を持つ蛋白質に対する機能性抗体の取得は難しいことが知られています(この現象を免疫寛容といいます)。しかし当社では、東京大学との多くの共同研究を通じて得た最先端の知識と、アジュバント(※27)と呼ばれる免疫増強剤の使用・投与方法の工夫といったノウハウを組み合わせることで、高い結合力で的確に標的に結合する抗体を効率的に取得しています。 c.シングルBセルスクリーニング法 シングルBセルスクリーニング法は、特定の抗原に対して反応する抗体を生産するB細胞を単離し、モノクローナル抗体を取得する方法です。 この方法は極めてまれな抗体産生細胞を高精度かつ高効率で特定することができるため、高い特異性と親和性を持つ抗体が取得できます。また、得られた多数のB細胞から抗体遺伝子を取得することで効率よく多様な抗体を得ることが可能です。得られた抗体遺伝子を使って抗体産生細胞を作ることができるため、ハイブリドーマの作製が難しい動物種のモノクローナル抗体でも生産することが可能です。 ③ 抗体工学 a.抗体配列解析  抗体配列を100%正確に解析することは、後述する抗体デザインを行う上で極めて重要な操作となります。  抗体産生細胞が生産する抗体のアミノ酸の並びを解読するためには、細胞から抗体の遺伝子を取り出し、その遺伝子配列を決定する必要があります。しかし抗体の遺伝子配列は、様々な標的との結合が可能となるように、多様な組み合わせの配列を生成するという特有の性質を持つため、通常の配列決定法では一意に遺伝子配列を決めることは困難です。そこで当社では独自に設計した遺伝子増幅用配列(プライマー(※28))を用いて、その抗体配列情報を解析しています。即ち、抗体産生細胞から抗体に翻訳される遺伝子領域を取り出し、その部分を独自に設計したプライマーを用いて増幅することで遺伝子配列を解析します。これにより当社では非常に多様な抗体の配列情報を正確に決定します。 b.抗体医薬品設計  動物を免疫することによって得られた抗体は、そのままではヒトへの投与時に免疫原性などの問題が生じる可能性があるため、安全性を高める目的で、抗体のヒト化を実施します。一方、ヒト抗体ライブラリを使ってファージディスプレイ法で得られた抗体はヒト抗体ですので、ヒト化の工程は不要です。  こうしたヒト化抗体またはヒト抗体を、そのままの形で薬として利用する場合もありますが、必要に応じて放射性同位元素(RI)や強力な抗がん剤を抗体と連結したり、複数の抗体を結合させたBispecific抗体を作製したりすることで、がん細胞など標的への攻撃効果をさらに高めることができます。このように、ヒト抗体ライブラリや動物免疫により取得した抗体を様々に加工・設計することで、抗体を高度に進化させ、最新の治療手法に応用します。 ④ 機能性蛋白質発現技術(BV:Budded Virus) 高い結合力で的確に目標と結合する抗体を作製するには、標的となる蛋白質の細胞上での構造と機能を維持した状態で作製することが極めて重要です。当社はこの課題を克服する手段の一つとして、LSBMにて浜窪隆雄教授を中心に開発したBV(Budded Virus)技術を活用しています。この技術を用いると、標的蛋白質が構造と機能を保ったまま生産されるように遺伝子組換えを施したウイルスを昆虫細胞に感染させ、そこから放出されるウイルスを免疫源として直接利用することが可能です。これにより従来は作製することが困難だった標的蛋白質も免疫することが可能となり、これまで作製困難だった標的に対する抗体の取得が、さらに容易になりました。 (3)当社の開発品 当社のパイプラインの進捗状況は以下のとおりです。 * RI:90Y ** RI:225Ac 1)ANKL:アグレッシブNK細胞白血病 2)RIT:放射性同位体標識抗体 3)ADC:抗体薬物複合体 ① PPMX-T002 PPMX-T002は、導出先の富士フイルム株式会社の事業方針の変更により、2022年3月に実施権が返還され、新たな医薬品候補として開発を進めております。 a.特徴 がん細胞で多数発現しているCDH3を標的とする抗体に、イットリウム90(90Y)という放射性同位体(RI)を標識した抗がん剤候補です。がん細胞上の標的に抗体が集積し、90Yが放射線を照射してがん細胞を殺傷する仕組みです。 PPMX-T002は、放射性同位体を標識した抗体(Armed抗体(※29))を用いた抗がん剤で、通常の抗体医薬品とは異なる作用メカニズムを持ちます。一般的な抗体医薬品は、抗体ががん細胞表面に発現する特定の蛋白質に結合し、生体が持つ免疫機能を誘引することで標的細胞を攻撃しますが、免疫機能が低下した患者さんに対しては効果が弱くなります。一方PPMX-T002は、遺伝子改変した抗体に放射性同位体を標識したもので、抗原抗体反応によってがん細胞に集積させ、放射線で直接 がん細胞を攻撃することができます。 このため、患者さんの免疫機能の状態に関わらず、高い効果が期待できます。また、PPMX-T002は、固形がんの細胞表面に多数発現しているCDH3を標的とし、肺がん、膵臓がん、大腸がん、卵巣がん等の細胞に高い集積性を有する抗体を用いています。 b.開発状況 富士フイルム株式会社による米国における進行性固形がん患者さんでの第Ⅰ相試験において、PPMX-T002の抗体が、投与された患者さんのがん組織に集積すること及び安全性が確認された用量で一部症例において腫瘍の縮小が確認されました。ステージ4の患者さんを対象にした臨床試験で、15例中11例でSD(病勢安定)又はCR(完全寛解)という好成績が得られています。また、CRの症例では投与後、次第に腫瘍が小さくなり26か月後には卵巣がんが消失した症例がありました。 その後、当社では抗腫瘍効果をさらに高める目的でRIを90Yからアクチニウム225(225Ac)へ変更し、動物実験で効果を検証しました。これをもとに放射性医薬品開発会社を中心に導出を目指しております。 (出典 Subbiah et al. (2017) AACR Annual Meeting, Chicago, USA DOI: 10.1158/1538-7445.AM2017-CT097) 当社は、同社から米国における第Ⅰ相試験の治験データを含むすべての成果物を譲り受け、さらに有効性の高い放射性同位体標識抗体として開発を進めております。 c.対象疾患 CDH3陽性難治性固形がん(卵巣がん、胆道がん、頭頸部扁平上皮がん) d.ライセンスの状況 2011年1月に、当社及び富士フイルムRIファーマ株式会社(現 富士フイルム富山化学株式会社)のPPMX-T002に関する権利(「研究・開発」及び「製造・販売」等)を富士フイルム株式会社に実施許諾する契約を締結しましたが、同社の子会社である富士フイルム富山化学株式会社の放射性医薬品事業の他社への譲渡に伴い、2022年3月に当該契約を解除しました。当該事業の承継先であるPDRファーマ株式会社と協議した結果、当社が今後の開発及び導出活動を主導することが決定しました。 ② PPMX-T003 a.特徴 PPMX-T003は、ファージディスプレイ法により取得された抗体で、トランスフェリン受容体1(TfR1)を標的とします。TfR1は、鉄と結合したトランスフェリンを細胞内に取り込むために、細胞膜上に発現しています。細胞の生存には細胞内への鉄の取り込みが必須ですが、中でも赤血球になる前の細胞である赤芽球と、増殖が盛んな全てのがん細胞は極めて多くの鉄を必要とするため、TfR1が高発現していることが広く知られています。このため、鉄の取り込みを阻害することで細胞内の鉄を枯渇させ、がん細胞を死滅させるという試みが、古くから行われてきました。これまでに数多の研究者が抗TfR1抗体の研究開発に取り組んできましたが、臨床で使用可能な抗体はいまだ見出されておりません。こうした中、当社は、独自のスクリーニング技術であるICOS法を取り入れたファージディスプレイ法により、極めて高い鉄取り込み阻害能を示す完全ヒト抗体を取得しました。現在、幅広い血液疾患を対象とした治療薬の開発を計画しており、まずは真性多血症(PV:Polycythemia Vera)に対する治療薬開発を目指して、第Ⅰ相試験を国内で実施し、2024年6月に終了しました。 下の中央図は、PPMX-T003が、ブロッキング抗体としてTfR1からの鉄結合蛋白質の取り込みを阻害する様子を表しています。右のグラフは、TfR1に対する結合阻害率を評価した競合アッセイデータです。横軸は濃度で左に行くほど結合が強く(低濃度で阻害する)、下に行くほど結合阻害率が高いことを示します。体内にあるトランスフェリンと比較して、PPMX-T003は、100倍以上結合が強いこと、また、完全に結合阻害していることがわかります。A24は従来の抗体で、結合力も弱く阻害率が半分にも到達していません。 <がん細胞の鉄の取込みを阻害すると細胞死・増殖抑制するイメージ図、及びPPMX-T003の結合活性を従来の抗体と比較したデータ> PPMX-T003は、TfR1に結合することでがん細胞への鉄の取り込みを阻害し、強力な抗腫瘍効果を示しています。これにより、化学療法剤で生じるような患者さんの大幅なQOL(※30)低下を伴わない治療効果が期待されます。 また、東海大学との共同研究においては、PPMX-T003の優れた鉄取り込み阻害能が、アグレッシブNK細胞白血病(ANKL)という超希少疾患にも有効である可能性が示されました。患者由来腫瘍細胞を移植したマウスモデルによるPPMX-T003の投与実験で、極めて高いがん細胞増殖抑制効果及び生存期間の延長が確認されております。 以下のデータ(表)は様々な血液がん細胞に対する増殖抑制効果のデータです。一番下の正常細胞(臍帯由来細胞)に対して、最下段以外の全てが種々のがん細胞で、そのEC50(細胞増殖を50%抑制するために必要な薬剤濃度)は2桁以上少なく、がん細胞が正常細胞に比較してPPMX-T003に敏感で、強く増殖抑制されることが示されています。 <正常細胞に対してがん細胞に強く作用するPPMX-T003の細胞増殖抑制の比較データ(表)> (注) 細胞株とは、がん組織から採取し、安定的に増殖・培養できるようにした実験用細胞のこと 以下のデータは担癌マウスを用いた動物実験データです。急性骨髄性白血病(AML)や悪性リンパ腫で薬剤の用量依存的にがん細胞の増殖が抑制されていることが示されています。いずれも横軸は日数、縦軸は腫瘍の大きさで、矢印は薬剤の投与を表しています。二つのグラフはいずれも、薬剤無し(Control)で日数と共に急速に腫瘍体積が大きくなっています。これに対してPPMX-T003を投与すると、投与量が増えるとともに腫瘍体積の増大が抑制されています。特に30日目以降は、その後薬剤の投与が行われていないのに腫瘍体積は増えていません。つまり、PPMX-T003は用量依存的に腫瘍体積の増加を抑制し、投与量が多い場合はがんを消失していることが確認できました。 (出典 Zhang et al.(2017) AACR Annual Meeting, Chicago, USA DOI: 10.1158/1538-7445.AM2017-5586) b.開発状況 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)研究成果最適展開支援プログラムの採択後、2018年にサルを用いた非臨床毒性試験(GLP毒性試験)を完了し、2015年に終了した予備試験と同様の結果を得ております。また、本非臨床毒性試験完了をもって研究成果最適展開支援プログラムは終了し、2018年より企業主体の開発に切り替えました。その後、自社で実施した治験結果に基づいて導出活動を進めております。この抗体については、導出活動中の対象疾患とは別の疾患においても、新たな医薬品候補となる可能性が認められ開発を進めております。 PPMX-T003は種々の血液がんで治療効果が期待されますが、最初に真性多血症治療薬の開発に取り組んでいます。真性多血症(PV)は赤血球が通常より多い疾患で血栓生成が問題です。現在の治療法は、瀉血(しゃけつ)又は抗がん剤等の薬物療法です。瀉血は体内の鉄分が不足するため、貧血や脱力感、うつ病、手足むずむず病等の精神症状を伴い、QOLが悪いという課題があります。また、抗がん剤等の既存の薬物療法は骨髄抑制や2次がん発症リスク等の問題があります。これに対して、PPMX-T003は、既存の治療法で問題となる副作用の大幅な低減が期待されます。 以下に真性多血症の標準的治療法と課題について図に示します。 <真性多血症と治療> 以下のデータは、順天堂大学における真性多血症の患者さんの瀉血検体を用いた内因性赤芽球コロニーの増殖試験の結果です。PPMX-T003を加えた細胞培養の実験で、赤芽球コロニーの形成が阻害されていることがわかります。これは、PPMX-T003の真性多血症治療薬としての可能性が、ヒトの検体を用いて検証された、重要な事例です。 (出典:第81回日本血液学会学術集会「抗TfR1抗体による真性多血症内因性赤芽球コロニーの形成阻害」) 2019年11月より健常人を対象とした第Ⅰ相試験を開始しました。 2021年3月に治験総括報告書が完成した健常人の第Ⅰ相試験では、日本人健康成人男性へのPPMX-T003の投与量0.25mg/kgまでの単回持続静脈内投与において、安全性が確認されたと考えております。 次に、PVを対象疾患と定めて第I相試験を国内で実施し、2024年6月に終了しました。 なお、この第I相試験の結果につきましては、2024年12月に行われた第66回全米血液学会(ASH)年次総会で、被験者都合により中止となった1例を除く5例において12週間の瀉血不要期間が達成されたことや、全6例においてヘマトクリット、ヘモグロビン等の赤血球パラメータで薬効が示唆されたことを報告しました。 また、「a.特徴」に記載のとおり、ANKLという超希少疾患の治療薬となる可能性も示され、2023年4月より医師主導治験の第Ⅰ/Ⅱ相試験(以下「本治験」)が実施されております。本治験の実施に際しては、2022年3月及び2025年2月の二度にわたり、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「創薬支援推進事業・希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業」に採択され、支援を受けております。本書提出日現在、全国10カ所の基幹病院に参加いただき治験実施体制を整備しております。被験者の登録は治験開始時の目標症例数7例に対して、2023年に2例、2024年に1例、2025年に2例あり、現在5例となっております。なお、治験期間は、対象疾患が超希少疾患であることから被験者リクルートに時間を要しており、これまでに二度の延長を経て、2027年3月末までとなっております。引き続き、ANKLの有効な治療薬の開発に向けて治験を推進してまいります。 c.対象疾患 血液がん d.ライセンスの状況 本書提出日現在、グローバルでのライセンス活動を進めております。 ③ PPMX-T004 PPMX-T004は、導出先である富士フイルム株式会社の事業方針の変更により、2022年3月に実施権が返還されており、新たな医薬品候補として開発を進めております。 a.特徴 PPMX-T004は、PPMX-T002と同じく、がん細胞表面に存在するカドヘリン3(CDH3)を標的としています。CDH3は、細胞間接着蛋白質として機能すると考えられています。PPMX-T004は、遺伝子改変した抗体に薬物を結合した抗体薬物複合体(ADC)(※31)で、結合した薬物によって、本抗体と結合したがん細胞を殺傷することができるため、患者さんの免疫機能の状態に関わらず、高い効果が期待できます。PPMX-T004では、固形がんの細胞表面に多く発現しているCDH3を標的とし、がん細胞に対し高い内在性を有する抗体を用いています。 b.開発状況 当社において、新たな医薬品候補として開発を進めております。より有効性の高い薬剤と、薬剤と抗体とを結合させるためのリンカー(※32)の最適な組み合わせを見出し、マウスによる実験でも高い抗腫瘍効果を認めました。これを受けて、現在は予備毒性試験を進めております。 c.対象疾患 CDH3を発現する固形がん d.ライセンスの状況 2015年9月に、PPMX-T004に関する権利(「研究・開発」及び「製造・販売」等)を富士フイルム株式会社に実施許諾する契約を締結しましたが、富士フイルム株式会社の事業方針の変更により、2022年3月に当該契約を解除しました。より高い有効性が期待される薬剤やリンカーに変更した新たな医薬品候補として開発を進めており、本書提出日現在、導出先は決まっておりません。 ④ その他 当社は患者組織を利用することで取得した疾患特異的な標的候補を多数保有しております。これら標的群に対する抗体取得を順次進めており、Naked抗体(※33)、Armed抗体等、多様なプラットフォームを用いた自社開発プログラムを推進中です。 <用語集> 用語   説明 ※1   抗体   抗原(免疫反応を引き起こす物質)の構造に応じて1対1の関係で特異的に結合する蛋白質。この特異的な結合力を利用して、がんや感染症、疾患を診断・治療する医薬品(分子標的薬)に応用されます。 ※2   シーズ   医薬品の初期の候補となる物質。 ※3   ハイブリドーマ法   抗体を産生する細胞と不死化細胞を融合して、1種類の抗体を多量に産生する技術。免疫方法や細胞の調整といった手法が確立され、ファージディスプレイ法と比較して安価で簡便であることから、広く一般的に行われています。親和性の高い抗体が取得可能ですが、取得した抗体がヒト以外の動物由来のものであるため、医薬品として使用するためには抗体をヒト化する必要があります。また、ファージディスプレイ法と比較して複雑な構造の標的分子に対する抗体の作成が困難です。 ※4   親和性   ある物質が特定の物質と選択的に結合しようとする性質、傾向。 ※5   ファージ   細菌に感染するウイルスの総称。ファージに様々な遺伝子を組み込むことで細菌に人為的に特定の蛋白質を作らせることができます。 抗体ライブラリ   ある特定の手段あるいは目的をもって構成された抗体あるいは抗体遺伝子の集合。 ※6   スクリーニング   様々な指標で目的とする物質を選択する操作。 ※7   シングルBセルスクリーニング法   特定の抗原に対してのみ反応する抗体を生産するB細胞を単離し、モノクローナル抗体を取得する方法。 ※8   ファージディスプレイ法   細菌に感染するウイルスであるファージに抗体分子を表出する技術。標的分子と反応させることで、特異的に結合する抗体クローンを見つけ出すことができます。ハイブリドーマ法と比較してヒト抗体ライブラリから直接ヒト抗体を取得できる利点がある一方、コストが高く、抗体ライブラリ作製に熟練が必要であることに加え、一般的には親和性の高い抗体の取得が困難です。 ※9   マウス抗体   マウスに免疫して得られた抗体。 ※10   キメラ抗体   遺伝子工学的手法によりマウス抗体の可変領域とヒト抗体の定常領域を連結したもの。 ※11   ヒト化抗体   遺伝子工学を用いてマウスで作成した抗体の抗原結合部位をヒト由来の抗体分子に移植して作製された抗体分子で、配列的にキメラ抗体より、ヒト抗体に近いものです。 ※12   完全ヒト抗体   蛋白質配列が全てヒト遺伝子に由来する抗体。他の生物種由来の配列を含まないため、より安全性が高いと考えられています。 ※13   抗体医薬品   抗体の様々な機能を利用した医薬品。抗体はその構造の同一性から、製造技術の確立が進み、バイオ医薬品としての開発が盛んに行われています。 ※14   上市   医薬品として承認され、実際に市販されること。 ※15   抗体の遺伝子配列   抗体は蛋白質の一種であり、そのアミノ酸配列を決定するDNA(デオキシリボ核酸)の塩基の並びのこと。 ※16   バイオマーカー   生体内の生物学的変化を定量的に把握するため、血中蛋白質量等の生体情報を数値化・定量化した指標。疾患の有無や進行度合いの指標になります。 用語   説明 ※17   PTX3   Pentraxin3の略。体内の炎症により産生される炎症性蛋白質の一つ。 ELISA   Enzyme-Linked Immunosorbent Assay(酵素免疫測定法)の略。試料溶液中に含まれる目的物(一般的には蛋白質)を、これに特異的に結合する抗体で捕捉し、酵素反応に基づく発光、発色をシグナルとして検出することで目的物の濃度を計測する方法。 ※18   CRO   Contract Research Organization(医薬品開発業務受託機関)の略。製薬企業、医療機関、行政機関等の依頼により、医薬品、医療機器、食品(特定保健用健康食品)、化粧品等の臨床開発及び臨床試験(治験)に関わる業務を、受託、又は労働者派遣等で支援する機関のこと。 ※19   CMO   Contract Manufacturing Organization(医薬品製造受託機関)の略。製薬企業から医薬品(治験薬・市販薬を含む)の製造を受託します。 ※20   トランスクリプトーム   特定の状況下において細胞中に存在するmRNAの総体。 mRNA:Messenger RNA(伝令RNA)の略。蛋白質に翻訳される遺伝子情報を持つRNA(遺伝子の情報を伝える物質)のこと。 ※21   リバーストランスクリプトーム   特定の状況下での発現産物の総体から発現産物を同定するトランスクリプトームから逆の過程を経ることから想起した造語。 ※22   特異性   抗体が特定の抗原にのみ結合して他とは結合しない性質。 ※23   ヒトナイーブ抗体ライブラリ   人のリンパ球由来抗体遺伝子をもとに構築された抗体配列の集合体。ナイーブとはいまだ特性の抗原に対して刺激を受けていない状態。刺激をうけると特定の抗原に対して特異性と親和性を向上させていきます。 ※24   エピトープ   抗体が標的とする物質の結合領域。 ※25   免疫寛容   体の中で作られる抗体が自分の細胞を攻撃しないように自己抗原に対する抗体をあらかじめ排除する機構。抗体が作られる初期の段階で選別が行われます。 ※26   VHH抗体   ラクダ科動物が持つ特殊な抗体分子(重鎖抗体)の可変領域(Variable domain of Heavy chain of Heavy chain antibody)の略称。 ※27   アジュバント   抗原と一緒に投与して、その効果を高めるために使用する物質。 ※28   プライマー   遺伝子を増幅する際の起点として使用されるDNA断片。 ※29   Armed抗体   放射性同位体や細胞傷害剤等を連結した抗体。連結した物質の種類により、例えばがん細胞への攻撃力を高めるなどが期待できます。 ※30   QOL   Quality of Lifeの略。日本語では「生活の質」「生命の質」と訳されます。患者さんが、人間らしく満足行く生活が送れているのかという尺度として捉えられます。 ※31   ADC   Antibody Drug Conjugate(抗体薬物複合体)の略。強力な細胞傷害活性を持つ薬物が連結されている抗体。ADCは標的を介して細胞内部に取り込まれ、連結している薬物の効果で細胞を殺傷します。 ※32   リンカー   ADCの構成物の一つで、抗体と薬物とを結合するものです。薬物をいつ、どのように切断するかの制御も行います。 ※33   Naked抗体   何の修飾も施していない抗体。
経営方針・対処すべき課題2,258字を開く

経営陣が考える方向性と課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。 (1)経営の基本方針 当社は、LSBMで開発された蛋白質発現技術、及びファージ抗体ライブラリを用いた抗体スクリーニング技術、並びにシーズ探索技術を駆使して、がん及びその他の疾患の治療用抗体医薬品の研究開発を進めることで、世界の医療に貢献していくことを基本方針としております。 (2)目標とする経営指標 当社における導出時の契約一時金とその後の継続的なマイルストーン等の収入は、当社又は導出先における研究開発の進捗に大きく左右されます。 そのため、当社では、ROA(総資産利益率)やROE(自己資本利益率)といった数値的な目標となる経営指標は用いておりませんが、経営指標として、将来の売上に繋がるパイプラインの開発の進捗、パイプラインの拡充及び売上高を重要な目標と考え、事業活動を推進しております。 (3)中長期的な経営戦略 当社の中長期における重要課題は、継続的に新規抗体を創出することであり、そのために開発パイプライン充実に向けた探索研究を継続的に実施するとともに臨床開発を進めてまいります。 創薬ベンチャーである当社は、これらの研究開発を継続して行っていくために、研究開発体制の強化と研究開発資金の調達が不可欠であります。そのために、新規提携先の確保、研究開発助成金の獲得とともに、必要に応じて、ライセンス契約の締結を始めとした国内外のパートナーとの提携や、資本市場からの資金調達を行いながら研究開発を推進してまいります。 (4)経営環境 当社の事業である抗体医薬はバイオ医薬品に属します。世界におけるバイオ医薬品市場の推移を見ると、年々バイオ医薬品の売上高は増加しており、2026年には約5,489億ドルに達するとも予測されています(出典:Evaluate®)。また、2025年度の世界の医薬品の売上高上位10品目のうち、抗体医薬品は4品目を占めております(出典:日経BP社 「日経バイオテクONLINE」2026年5月7日掲載https://pharma.all.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/011900001/26/04/26/00459/?ST=pb )。このように当社の事業環境は成長基調にあり、その中にあって、当社は医療ニーズの高い抗体医薬品を継続的に開発することにより、事業の成長が見込まれると考えています。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社は、「最先端の抗体技術で世界の医療に貢献する」ことを使命として、がん及びその他の疾患の治療用抗体医薬品の研究開発を進めております。この使命のもとで、当社は、次の対処すべき課題に取り組んでまいります。 ① 既存のパイプラインの開発と拡充 当社は現在、抗体医薬品候補として、PPMX-T002、PPMX-T003、PPMX-T004という3つのパイプラインの開発を進めております。研究開発先行型のビジネスモデルであるため、既存のパイプラインの開発を着実に進め、導出することで収益を改善し、新たな医薬品候補を継続的に創出することが、企業価値向上には必須であると認識しております。 なお、それぞれのパイプラインの詳細及び具体的な進捗につきましては、「第1 企業の概況 3.事業の内容 (3)当社の開発品」及び「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。 ② 次期パイプラインの探索研究 複数の大学研究機関との継続的な共同研究によって、次期パイプラインの創出に向けた、候補標的の評価データの収集を行っております。また、標的に対する最適な抗体を獲得するための新技術導入も積極的に行っており、新たな抗体医薬品シーズの探索研究をさらに進めてまいります。 ③ 抗体研究支援及び抗体・試薬販売の拡大 抗体研究支援は、大学や研究機関との共同研究などを通じて得られた新たな顧客ニーズの発掘による支援メニューの拡充や、創薬企業ならではの細やかな研究支援により売上増を図ってまいります。また、抗体・試薬販売は、新製品の継続的な投入を行うとともに、当社抗体の論文での使用例や、企業での使用例を具体的にホームページ等で訴求し、研究者や企業からの支持を拡大することで受注増を目指してまいります。 ④ 新しいサービスの提供 抗体医薬品業界においては、抗体薬物複合体(ADC)や放射性同位体標識抗体等のArmed抗体の研究開発も盛んとなっております。当社の優れた抗体ライブラリや抗体技術を活用し、業界動向に沿った新たなサービスの提供を行ってまいります。 ⑤ 研究開発資金の調達 当社のビジネスモデルは、多額の研究開発費用が先行して必要となるため、ライセンス契約の締結を始めとした国内外のパートナーとの提携や資本市場からの資金調達により、研究開発資金の調達に努めてまいります。 ⑥ 企業基盤の強化 当社は優秀な人材を積極的に採用し、新たな抗体医薬品の開発をさらに積極的に進めてまいります。また、ジェンダーや国籍を問わず、働きやすく、やりがいのある職場づくりに継続的に取り組み、社員の成長を促すことで企業基盤の強化に努めてまいります。
事業等のリスク10,982字を開く

会社が自認するリスクの一覧

3【事業等のリスク】 当社の事業運営及び展開等について、リスク要因として考えられる主な事項を以下に記載しております。投資判断上、もしくは当社の事業活動を十分に理解する上で重要と考えられる事項については、ステークホルダーに対する積極的な情報開示の観点からリスク要因として挙げております。 当社はこれらのリスクの発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針であり、当社におけるリスク管理の体制として、問題があると認められる行為等については、コンプライアンス責任者から取締役会に適宜報告される体制としています。他方で、当社株式に関する投資判断は、以下の事項及び本項以外の記載もあわせて、慎重に検討した上で行っていただく必要があると考えます。また、以下では投資判断のためのリスクを全て網羅したものではなく、さらにこれら以外にも様々なリスクを伴っていることにご留意いただく必要があると考えます。 当社は、医薬品等の開発を行っていますが、医薬品等の開発には長い年月と多額の研究費用を要し、各パイプラインの開発が必ずしも成功するとは限りません。特に研究開発段階のパイプラインを有する製品開発型バイオベンチャー企業は、事業のステージや状況によっては、一般投資者が投資対象とするにあたり相対的にリスクが高い対象と考えられており、当社への投資はこれに該当します。 なお、文中の将来に関する記載は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。 (1)医薬品の研究開発、医薬品業界に関するリスク ① 新薬開発の不確実性 当社は、抗体医薬品開発を行っておりますが、一般に医薬品開発の成功確率は、他産業と比較して極めて低いものとされています。また、医薬品開発は多額の研究開発投資と基礎研究段階から承認取得に至るまで長期間を要すると考えられています。 そのため、基礎研究及び非臨床試験において高い効果が期待される新規抗体医薬品候補が見つかったとしても、その後の臨床試験において、期待した効果が得られなかった場合、重篤な副作用が生じた場合、当局の審査において承認が得られなかった場合などには、研究開発に遅れを生じたり、研究開発計画が延期あるいは中止されたりする可能性があります。当社では、そのようなリスクを低減するために、当社で治験を実施する場合は、医師等の専門家の指導を受けて治験デザインの策定等を行っておりますが、医薬品の研究開発には多くの不確実性が伴い、当社の現在及び将来の開発品についても以上と同様の不確実性のリスクが内在しております。研究開発が遅れた場合や追加試験が必要となった場合には、計画外の追加資金が必要となり、追加資金確保のために新たな資金調達が必要となる可能性があり、その資金調達の実現自体にも不確実性があります。また仮に開発に成功し、ライセンス契約の締結に至っても、その存続期間を特許権の有効期間が終了するまでの期間とするものもあり、ライセンス契約中にマイルストーンを達成できずに、当初想定した投資回収額を回収できないリスクもあります。このようなリスクが顕在化した場合には、当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ② 法的規制及び医療保険制度について 医薬品業界は、各国において薬事法をはじめとする事業規制法、医療保険制度及びその他関係法令等により様々な規制を受けております。当社においては、現行の医薬品に関する日本をはじめとした先進国での承認基準や薬事規制を前提として事業計画を策定しておりますが、これらの基準及び規制は、技術の発展や市場の動向等に応じて適宜改定がなされることがあります。 上述したとおり医薬品開発においては開発に長期間を要し、その期間内にこれらの基準及び規制、制度等が改定・変更される可能性があります。当社では、法令や制度等の変更に係る情報を収集し、適切に対応する方針ですが、それら制度等の改定・変更により既存の研究開発の体制(組織的な体制、製造方法、開発手法、臨床試験の進め方、追加試験を行う必要性の発生等)の変更が必要となり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 抗体医薬品市場について 当社は、主に抗体医薬品の開発を行っております。当社は、医薬品業界動向を示すデータや予測などから抗体医薬品市場が安定的に成長すると見込んでおりますが、抗体医薬品と競合する低分子医薬品、中分子医薬品、核酸医薬品及び再生・細胞医療の開発・発展等により想定どおりに抗体医薬品市場が拡大しなかった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 技術革新について 当社が属する医薬品業界は、技術革新が著しく速いため、当社も創薬基盤技術を継続的に向上させるべく、研究開発を積極的に実施しております。 しかしながら、急激な技術革新等により新技術への対応に遅れが生じ、当社が保有する技術・ノウハウが陳腐化した場合、また、必要な技術進歩の常なる追求に伴い、想定を超える費用と時間を要した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 競合について 当社が携わる研究開発領域は、急激な市場規模の拡大が見込まれており、欧米を中心にベンチャー企業を含む多くの企業が参入しております。 当社では、特許の取得等によって競争優位性の確保に努めておりますが、競合他社の有する医薬品候補物質の研究開発が、当社の有する医薬品候補物質と同じ疾患領域で先行した場合、当社の事業の優位性は低下し、 当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 副作用について 当社が研究開発を実施した治験薬及び上市後の医薬品で、臨床試験段階から製品上市後にかけて、予期せぬ重篤な副作用が発現する可能性があります。万が一重篤な副作用が発現した場合、製造物責任等を追及されることに伴い損害賠償リスクが発生する可能性があることから、保険の加入等により財政的な影響を回避又は最小限にしていくよう対応しております。 しかしながら、保険金の支払が、最終的に当社が負担すべきとされた損害賠償額の全額に満たない、又は保険金が支払われない可能性もあります。その場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これ以外にも、最終的に当社への損害賠償が認められなかった場合であっても、また、損害賠償額の全額が保険で補てんされた場合であっても、損害賠償請求がなされたという事実により、当社に対してネガティブなイメージをステークホルダーが持ち、その結果、研究開発中の医薬品候補物質及び上市後の医薬品に対する信頼性が損なわれるようなことがあれば、その後の当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑦ 研究開発施設等における事故等の発生について 当社は、東京本社と名古屋ラボに研究開発施設を有しております。当社では、実験室安全委員会を設け、研究開発施設における危険物の管理、教育訓練等を実施し、事故防止のための対応を徹底しておりますが、不可抗力を含めた何らかの原因により火災や環境汚染事故、感染等が発生した場合、研究開発活動の中断、停止、又は、損害賠償や風評被害等重大な損失を招く可能性があり、その場合には当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、以下の⑧に記載のとおり、当社は、当社の研究開発業務の一部を専門機関である外部委託先(CRO-医薬品開発業務受託機関、治験実施施設、原薬・製剤の製造業者等)に委託しており、これら外部委託先において不可抗力を含めた何らかの原因により火災や環境汚染事故等が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社及び外部委託先において地震、水害等の自然災害・その他の避けることの困難な事態の発生により、設備・インフラが支障をきたし稼働できない状況、従業員等が出社できない状況等、一時的又は長期にわたり業務が停止し、臨床開発を一時的又は長期にわたり休止せざるを得ない状況が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 外部委託先との連携について 当社は、経営の機動性・効率性の観点、コスト低減や専門性の高い分野における協業等の観点から主に以下の業務の一部を専門機関に委託しております。 ・原薬・製剤(治験薬)の製造・保管・評価試験 ・薬理効果試験・毒性試験等の非臨床試験 ・臨床試験のモニタリング・データマネジメント・統計解析 ・治験実施施設における臨床試験 現在、委託先との関係は良好であり、今後も取引を継続してまいりますが、委託先における自然災害及び重大な感染症の流行等の不測の事態等により、原薬の安定供給に支障が生じる、適時なサービス業務を受けられなくなる、治験を含む研究開発活動が遅れる等の可能性があります。この場合には当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 上述した委託及びそれ以外の業務に関する委託について、予期せぬ契約の終了や契約内容の変更が行われないよう、委託先の経営状況の把握と、良好な関係の維持に努めておりますが、当社にとって不利な内容で契約の改定が行われた場合又は予期せぬ事情により契約が終了した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、外部委託先は日本国内のみならず海外の企業にも及んでおります。今後も国内外を問わず、研究開発において最善かつ最適な企業・医療機関等を選択して業務の委託を行う予定であります。 海外の企業に業務を委託するに際して、国内外のコンサルタントを利用し、コミュニケーションを密にして情報収集に努めるなどトラブルを回避するための措置を講じておりますが、当該国における法令等及びその解釈等に伴い問題を生じる可能性、商取引慣行や買収等により現地の委託先と問題を生じる可能性、国際税務上の問題又は戦争・紛争等に伴う治安不安等により事業運営に制約を受ける可能性があります。この場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (2)事業遂行上のリスク ① 重要な契約等について 当社の重要な契約の概要は、「第2 事業の状況 5 重要な契約等」に記載しております。現在、これら重要な契約の継続に支障はなく、当社としては予期せぬ契約の終了や契約内容の変更が行われないよう、契約先との良好な関係の維持に努めておりますが、当該契約が期間満了、又は契約の相手方の経営状態の悪化や経営方針の変更に基づく契約解除その他の理由による終了、もしくは当社にとって不利な内容で改定が行われた場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ② 会社組織について 当社は、本書提出日現在、従業員が40名に満たない小規模な組織であり、研究開発及び社内管理体制は当該規模に応じたものであります。今後の事業拡大に応じ、内部管理体制の充実を図る方針であり、また、研究開発推進のため、必要な研究開発要員の確保に努めてまいります。しかし、必要な人員を確保できない場合、当社の今後の組織的な事業展開に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 人材育成・確保について 当社が成長を続けていくために不可欠な要素の一つが、優秀な人材の確保育成であります。今後も、特に研究開発分野における専門的な知識・技能をもった優秀な人材の確保育成を進めていく方針ですが、当社の想定する人材の確保に支障が生じた場合、又は重要な人材が社外に流出した場合には、当社の事業、業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 特許について 当社は、様々な知的財産権を有しており、これらは当社の保有する権利であるか、又は権利者から適法に使用許諾を受けた権利であると認識しております。また、これらの知的財産権については登録済みとなっているものと出願・審査中のものがあります。 本書提出日現在、当社としては権利化されることを念頭に出願しておりますが、出願済みの発明について、その全てにつき特許が成立するとは限らないだけでなく、出願中の特許全てが権利化に至らない可能性があります。また、優れた技術が出現した場合には、当社が実施する特許権に包含される技術が陳腐化する可能性があります。これらの結果、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 なお、特許の出願は、発明の内容、対象国等について費用対効果を考慮して行いますので、研究開発で得られたすべての発明につき出願するものではありません。また、出願費用・維持費用等のコストを回収できない可能性があります。 他社において優れた特許発明がなされ、権利化される可能性は常に存在していることから、当社の特許が成立しても、他社の特許発明により、当社の特許が無力化される可能性は潜在的に存在します。天然物に関連する特許については、日本・米国・欧州の特許庁において共通したガイドライン等が合意され、運用されておりますが、これとは別のガイドライン等に基づき運用している国があり、国によって法令・ガイドラインが異なり複雑な状況となる場合があります。また国によってその法令・ガイダンス等が同一でも解釈や事実認定の方法・解釈が異なる場合があり、他国において当社が出願した特許が事前の想定どおりに取得・登録されない可能性があります。日本を含め他国においても、解釈等の違いに基づいて、第三者が当社に通知・補償・支払いをすることなく当社の特許及びそれに関連すると考えられている技術を利用し、研究開発、医薬品・薬剤の製造販売をする可能性があります。 なお、現在、当社のパイプラインにおいて、その実施に支障となる、又は支障をきたす可能性のある特許権等は、調査した限りにおいて確認されておりません。 また、当社が実施許諾を受けた権利の契約が期間満了、又は契約の相手方の経営状態の悪化や経営方針の変更に伴い契約解除その他の理由による終了、もしくは当社にとって不利な内容での改定が行われる可能性があり、それらは当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 訴訟及び請求について 当社は、その事業が第三者の特許権等に抵触することを未然に防止するため、特許事務所と連携の上、特許調査を適時実施しております。また、本書提出日現在において、当社の事業に関する特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟係属を含め、何らかの請求・主張を受けている事実はありません。 しかしながら、万が一、第三者との法的紛争が生じた場合には、この解決に時間及び多大な費用を要する可能性があります。特に第三者の特許権等に抵触する形で事業を行っていた場合、当該第三者からの差止請求や損害賠償請求、高額な実施料の請求等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、製造物関連、環境関連、労務関連その他に関する訴訟が提起された場合には、その結果、当社の社会的信用が失墜を招き、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 職務発明について 当社における職務発明の取扱いに関しては、発明・考案に関する規程を制定・運用し、当該規程に従い発明者に対して相当の対価を支払うこととしております。また、本書提出日現在、当社において職務発明の対価の請求・主張を受けている事実はありません。 しかしながら、発明者との間で職務発明の対価の相当性についての係争やトラブル等が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑦ 災害、感染症等の発生に関する不確実性について 当社が事業活動を行っている地域において、自然災害や火災等の事故災害等が発生した場合、当社の設備等が大きな被害を受け、その一部又は全部の稼働が中断し、研究開発が遅延する可能性があり、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、重大な感染症の流行等が発生した場合や、研究開発部門の一時閉鎖等の不測の事態が発生した場合には、研究開発が遅延する可能性があり、その遅延の結果、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行拡大に対しては、『緊急コロナウイルス対策方針』を定めて、当該リスクの発生防止に努めてまいりました。今後も同様の感染症の流行が発生した場合には、当該方針をベースとした対策を適宜講じてまいりますが、従業員又は従業員の家族等に感染者が発生し、当社全体に及んだ場合、研究開発や試薬販売等、事業の推進が困難になり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 武力紛争等による研究・開発遅延リスクについて 特定の地域における武力紛争や戦争の発生により、研究・開発活動に必要な実験用消耗品等(試薬、培地、実験器具等)の調達が困難となる場合があります。こうした物品の製造に必要な原材料の多くは特定の国や地域からの輸入に依存しており、紛争による物流の停滞、輸出規制、製造設備の損壊等が生じた場合には、安定的な調達が困難となり、研究・開発スケジュールの遅延を招く可能性があります。当社は地政学的リスクや国際情勢を継続的に監視し、調達リスクの早期検知及び対応策の迅速な実施が可能となるよう体制を整備しておりますが、こうしたリスクが顕在化した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑨ ITセキュリティ及び情報管理について 当社は、ITセキュリティ及び情報管理について、情報セキュリティ管理規程、個人情報保護方針に沿って運用を行っておりますが、役職員、外部委託先の不注意又は故意の行為、又は第三者による意図的な攻撃(サイバーアタック)などにより、当社のシステムの停止、中断などセキュリティ上の問題や、秘密情報や個人情報の漏洩が発生する可能性があります。当社は、研究開発を事業目的の中心に据えていることから、こうした問題点に対応し、できる限りリスクを低減するべく規程や手続を整備するとともに、内部監査、監査や必要に応じた外部専門家の活用により、セキュリティの強化に努めておりますが、システムの停止やセキュリティ上の問題が発生した場合、当社の研究開発への悪影響、個人情報や知的財産等にかかる重大な機密情報の流出・漏洩が、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑩ コンプライアンスについて 当社の事業遂行にあたっては、薬機法の規制、製造物責任、環境に関する規制など、各種の法令の規制の適用下にあります。当社は、内部統制評価基本方針、コンプライアンス管理規程等に基づき、全社において事業活動が法令及び内規を遵守して実施されるよう、コンプライアンス責任者の活動、内部監査、会計監査等を通じて検証しておりますが、当社の役職員、外部委託先等の第三者が、これらの法令等に違反した場合や、仮に法令違反に該当しなくとも社会的に不適切とみなされる行為に及んだ場合には、法令による処分、処罰などの制裁、訴訟の提起を受ける可能性があり、当社の社会的信頼・名誉が毀損するだけでなく、金銭的損害を被ることにより、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑪ 新株予約権について 当社はストック・オプション制度を設けており、優秀な人材の確保や、当社事業及び研究開発活動へのモチベーションの維持・向上を目的として、役員及び従業員に新株予約権を付与しており、今後も上述した目的のため新たに新株予約権を付与していく予定であります。また、新株予約権を活用した資金調達を実施する可能性もあります。これらの新株予約権が行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。 なお、当事業年度末現在、当社が発行した新株予約権にかかる潜在株式の数は2,145,900株であり、発行済株式総数16,999,600株に対する潜在株式数の割合は12.6%であります。新株予約権の状況及び内容につきましては、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」をご参照ください。 (3)パイプラインに関するリスク 当社の開発パイプラインには、開発パイプラインと開発の前段階の探索パイプラインがあります。上市までに数多くの開発課題を解決していく必要があります。各パイプラインが抱えるリスクは以下のとおりです。 ① PPMX-T002について 当社及び富士フイルムRIファーマ株式会社(現 富士フイルム富山化学株式会社)は、PPMX-T002に関する権利を富士フイルム株式会社に使用許諾し、富士フイルム株式会社が使用許諾後の研究開発費を負担しておりましたが、2022年3月に同社の事業方針の変更により、当該権利が返還されました。 富士フイルム株式会社が実施している米国での拡大第Ⅰ相試験は終了しました。現在、より高い有効性が期待される放射性同位体(アクチニウム225)へ変更し、放射性医薬品開発会社を中心に導出を目指しておりますが、以下に記載する理由により、開発が遅延又は中止となる可能性があります。 ・放射性医薬品の開発協業先を選定できない可能性 ・臨床試験実施中に疾患領域において競合する新薬が上市されるなどの理由により、必要となる被験者数を適時に獲得できなかった場合 ・主に安全性等に起因する理由に基づく規制当局による当該試験の中断又は中止命令が出た場合 ・医薬品候補物質の有効性及び安全性が認められる臨床試験成績が得られなかったと判断した場合 ・外部環境の変化 この場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、追加の資金調達の必要性が生じる可能性があります。 ② PPMX-T003について PPMX-T003は、当社が研究開発費を負担し、日本で実施した真性多血症治療薬としての第Ⅰ相試験は2024年6月に終了し、導出に向けて活動を実施しております。 今後、以下に記載する理由により、開発が遅延又は中止となる可能性があります。 ・臨床試験実施中に疾患領域において競合する新薬が上市されるなどの理由により、必要となる被験者数を適時に獲得できない場合 ・主に安全性等に起因する理由に基づき、規制当局による当該試験の中断又は中止命令が出た場合 ・臨床試験において期待する有効性及び安全性を示すデータが得られなかった場合 ・研究開発の後期を担う導出先が見つかるまでに想定を大幅に越える時間がかかった場合、又は見つからなかった場合 ・外部環境の変化 この場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、追加の資金調達の必要性が生じる可能性があります。 ③ 探索パイプラインについて 複数の大学、研究機関及び企業等の継続的な共同研究によって、PPMX-T004をはじめとした探索パイプラインの評価データの収集を行っております。また、AIの活用を含めた新技術導入も積極的に行っており、新たな抗体医薬品シーズの探索研究を進めてまいります。しかしながら、何らかの理由でこれらの研究に支障が生じた場合には、当社の事業戦略や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 複数の大学・研究機関・企業等との継続的な共同研究を通じて、PPMX-T004をはじめとする探索パイプラインのデータ収集を進めております。また、AIの活用を含む新技術の積極的な導入により、新たな抗体医薬品シーズの探索研究を推進しております。リスク管理の観点から、特定の共同研究先への依存度を低減すべく複数の研究パートナーとの関係構築に努めるとともに、特定の研究テーマへの過度な集中を回避する方針としております。さらに、研究の進捗状況を定期的に管理・評価し、支障が生じた場合には代替手段を迅速に検討・実行できる体制を整備しております。しかしながら、何らかの事由によりこれらの研究に支障が生じた場合には、当社の事業戦略および経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 (4)業績等に関するリスク ① 収益の変動及びその不確実性について 当社の収益構造は、主に抗体研究支援及び抗体・試薬販売に伴う比較的安定した収入と、導出する抗体の医薬開発に向けた製薬企業等との契約に基づく契約一時金等の収入の2つに分かれております。製薬企業からの収入は、研究や開発の進捗に大きく左右されることから、当社又は導出先における研究開発の進捗に遅れが生じた場合や、導出先の研究開発方針に変更等が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社の期間損益は、製薬企業への導出契約に基づく契約一時金及び研究開発の進捗に伴うマイルストーン等により大きく変動する可能性があります。 ② 資金繰りについて 当社のような研究開発型の企業においては、開発期間において継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社においても営業キャッシュ・フローのマイナスが続いているため、現在進めている導出活動による提携先からの一時金やマイルストーンの形などで資金の確保に努めるほか、必要に応じて適切な時期に新株発行による資金調達を実施する方針でありますが、何らかの理由によりこうした資金の確保が進まなかった場合においては、今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 為替レートの変動について 当社は、抗体・試薬の海外への販売及び治験薬の製造等の海外への委託を実施しており、海外の取引先との間で外貨建取引を行っております。当社の今後の事業規模の拡大に伴い、外貨建取引の規模が大きくなった場合や支払サイトの長い外貨建取引を行う場合には、為替レートの変動により当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ グロース市場の上場維持基準に関するリスクについて 当社はグロース市場に上場しており、東京証券取引所は2030年以降、上場後5年を経過した銘柄について、時価総額100億円以上を上場維持基準として適用する予定です。本書提出日現在、当社の株式時価総額が当該基準を下回っており、当社は上場維持基準の充足に向けた経営に取り組んでおりますが、仮に当該基準に適合できない場合には、上場廃止となる可能性があります。 なお、上述したリスクは、当社が事業を行う上で予想される主たるリスクであり、既に述べましたとおり、リスクがこれらに限定されるものではありません。
経営成績の分析 (MD&A)8,123字を開く

業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要、及び経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 当事業年度における世界経済は緩やかな回復を示したものの、中国経済の先行き懸念、ウクライナや中東地域の情勢等から、不透明な状況が継続しました。国内経済は、一部に足踏みが残るものの緩やかに回復しましたが、物価上昇や米国の今後の政策動向、中東地域をめぐる情勢等の影響に注意が必要な状況が続きました。 当社が属する医薬品業界におきましては、がんや認知症等、世界的に患者数が増えている疾患の治療法の確立が継続的な重要課題になっております。当社におきましては、創薬領域を中心に、積極的な事業展開を図りました。 各領域における成果は次のとおりです。 a.創薬 当社の効率的な抗体取得プラットフォームを活用し、主にがん領域で抗体開発を進めております。カドヘリン3(CDH3)を標的とするPPMX-T002及びPPMX-T004、トランスフェリン受容体1(TfR1)を標的とするPPMX-T003という3つの抗体の開発を進めているほか、これらに続く候補抗体の評価・検討を進めております。 当事業年度には、PPMX-T002及びPPMX-T003の導出を目指しておりましたが、達成できませんでした。できる限り早期の導出に向けて活動を継続いたします。 次世代の創薬につきましては、効率的な抗体取得技術の整備を進めており、当事業年度には当社ファージライブラリを改良したPPMX抗体ライブラリ2の作製に成功いたしました。これを用いて当社のデータベースを整備し、当社が独自に開発を進めているAI創薬により、取得が難しい高難度抗原に対する抗体取得を進めてまいります。 当社のパイプラインの開発状況は次のとおりです。 (a)PPMX-T002 PPMX-T002は、がん細胞で多数発現しているCDH3を標的とする抗体に、イットリウム90(90Y)という放射性同位体(RI)を標識した抗がん剤候補です。がん細胞上の標的に抗体が集積し、90Yが放射線を照射してがん細胞を殺傷する仕組みです。導出先の富士フイルム株式会社(以下「富士フイルム社」)の事業方針の変更により、2022年3月に実施権が返還され、新たな医薬品候補として開発を進めております。富士フイルム社の子会社が米国で行った第I相試験においては、本抗体が標的のがん細胞へ集積することが確認されております。当社は、抗腫瘍効果をさらに高める目的でRIを90Yからアクチニウム225(225Ac)へ変更し、動物実験で効果が検証されました。これをもとに放射性医薬品開発会社を中心に導出に向けて活動を継続しております。 (b)PPMX-T003 PPMX-T003は、当社のファージライブラリの中から、ICOS法という独自のスクリーニング技術を活用して取得したユニークな完全ヒト抗体です。標的は、細胞内への鉄の取り込みに関与し、増殖が盛んながん細胞に極めて多く発現するTfR1です。本抗体がTfR1に結合すると、がん細胞内では鉄の取り込みが阻害され、それによってがん細胞は増殖が抑制され抗腫瘍効果が得られます。PPMX-T003は、その増殖抑制効果から様々ながんに対する治療効果が期待できると考えられ、鋭意研究開発を進めております。 TfR1は、がん細胞のほかに、赤芽球細胞(赤血球になる前の細胞)にも極めて多く発現しています。このため、まずは赤血球が異常に増える疾患である真性多血症(PV)を対象疾患と定めて第I相試験を国内で実施し、2024年6月に終了しました。 なお、この第I相試験の結果につきましては、2024年12月に行われた第66回全米血液学会(ASH)年次総会で、被験者都合により中止となった1例を除く5例において12週間の瀉血不要期間が達成されたことや、全6例においてヘマトクリット、ヘモグロビン等の赤血球パラメータで薬効が示唆されたことを報告しました。 本抗体はまた、アグレッシブNK細胞白血病(ANKL)という超希少疾患に対する有効な治療薬となる可能性が非臨床試験から見出されております。この非臨床試験での結果を受けて、医師主導治験の第Ⅰ/Ⅱ相試験(以下「本治験」)が実施されております。本治験の実施においては、2022年3月及び2025年2月の二度にわたり、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「創薬支援推進事業・希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業」に採択され、支援を受けております。本書提出日現在、全国の10医療機関に実施施設として参加いただき治験実施体制を整備しております。被験者の登録は、治験開始時の目標症例数7例に対して、2023年に2例、2024年に1例、2025年に2例あり、現在5例となっております。なお、治験期間は、対象疾患が超希少疾患であることから被験者リクルートに時間を要しており、これまで2度の延長を経て2027年3月末までとなっております。 当社は、PPMX-T003の価値最大化に向けて研究開発を進めると共に、導出に向けて活動を継続してまいります。 (c)PPMX-T004 PPMX-T004は、CDH3を標的とする抗体に薬物を結合した抗体薬物複合体(ADC)です。ADCは、たとえばがんを対象疾患とした場合、抗体ががん細胞上の標的に結合することにより、薬物をがん細胞まで届け、薬物ががん細胞を殺傷する仕組みです。抗体の安全性と薬物のがん殺傷性の高さを併せ持つ分子標的薬として、現在世界各国で開発が進められており、今後の成長が予測されております。 PPMX-T004で使用する当社の抗体は、多くの固形がんに発現しているCDH3に強く結合するだけでなく、結合した後にはがん細胞内に効率よく取り込まれるように設計されております。また、抗体に結合させるリンカー及びペイロード(薬物)は、独自の技術を有するUBE株式会社から提供を受けて開発を進めております。当社の有する抗体とUBE株式会社のリンカー及びペイロードを組み合わせることで、動物実験で高い抗腫瘍効果が認められました。これを受けて、現在は予備毒性試験を進めており、2026 年9月までに薬効と毒性のバランスを見極める見込みです。 なお、当社は2024年10月にUBE株式会社とADCに関する共同研究契約を締結し、PPMX-T004のみならず、様々ながん抗原に対するADCの探索研究を進めております。 b.抗体研究支援 抗体研究支援の売上高は、規模の大きい案件の受注や案件数の増加、また、創薬企業ならではの知見を活かしたサービスの提供等により、40,270千円(前事業年度比65.4%増)となり、6期連続で増加しました。なお、新たな抗体研究支援サービスとして、ラクダ由来のVHH抗体ライブラリを用いた抗体スクリーニング・作製サービスの提供を、2025年5月に開始しております。 c.抗体・試薬販売 抗体・試薬販売の売上高は95,237千円(前事業年度比0.8%減)となり、ほぼ前年並みでした。2025年4月に、ADC研究用抗体として抗Exatecan抗体及び疾患研究用抗体として抗GPR87抗体を発売しております。さらに10月には疾患及び代謝研究に利用可能な抗S1PR3抗体の販売も開始しております。 また、湧永製薬株式会社と共同で開発しているPTX3迅速計測キットについては、心血管疾患の一種(非公開)を対象とした体外診断用医薬品としての臨床性能試験が完了し、現在製造販売承認へ向けた準備を進めております。PTX3は、血管炎だけでなく、種々の炎症によっても血中濃度が上がることが知られており、今後多様な炎症性疾患の予後を予測する体外診断用医薬品としての研究開発を進めてまいります。 以上の結果、当事業年度の売上高は135,507千円(前事業年度比12.6%増)となりました。一方、研究開発費573,593千円を含む、販売費及び一般管理費は861,120千円(前事業年度比7.5%減)となりました。その結果、営業損失は744,955千円(前事業年度は営業損失826,430千円)となり、損失額は前事業年度に比べ81,474千円減少しました。受取利息5,044千円、助成金収入53,311千円及び為替差益等14,077千円による営業外収益を72,432千円計上しました。また、新株予約権発行費等による営業外費用を6,398千円計上したことにより、経常損失は678,921千円(前事業年度は経常損失829,829千円)となり、損失額は前事業年度に比べ150,908千円減少しました。さらに、当社が保有する固定資産につきまして「固定資産の減損に係る会計基準」に基づく減損損失として37,260千円を特別損失に計上したこと等により、当期純損失は718,108千円(前事業年度は当期純損失904,800千円)と前事業年度に比べ186,691千円減少しました。 なお、当社は医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 財政状態については、次のとおりであります。 (資産) 当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ195,295千円減少し、1,623,541千円となりました。主に、現金及び預金が新株予約権の行使による株式の発行による収入があった一方、販売費及び一般管理費の支払いがあったことで、152,574千円減少したことによるものであります。 (負債) 当事業年度末の負債は、前事業年度末に比べ19,340千円増加し、405,771千円となりました。主に、AMEDの「創薬支援推進事業・希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業」への採択により交付された助成金である長期預り金が78,765千円増加したことによるものであります。 (純資産) 当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べ214,636千円減少し、1,217,770千円となりました。主に、新株予約権の行使による株式の発行等により資本金と資本準備金がそれぞれ251,161千円増加した一方、当期純損失718,108千円の計上により利益剰余金が減少したことによるものであります。 経営成績については、次のとおりであります。 (売上高) 当事業年度の売上高は135,507千円(前事業年度120,375千円、前事業年度比12.6%増)で、前事業年度に比べ15,131千円増加しました。抗体研究支援、抗体・試薬販売の売上はそれぞれ前事業年度比65.4%増、0.8%減となりました。 (売上原価、売上総利益) 当事業年度の売上原価は、19,343千円(前事業年度16,324千円、前事業年度比18.5%増)となりました。 この結果、当事業年度の売上総利益は116,164千円(前事業年度104,051千円、前事業年度比11.6%増)となり、利益額は前事業年度に比べ12,112千円増加しました。 (販売費及び一般管理費、営業損失) 当事業年度の販売費及び一般管理費は、861,120千円(前事業年度930,481千円、前事業年度比7.5%減)となりました。 うち研究開発費は573,593千円(前事業年度594,547千円、前事業年度比3.5%減)となりました。 この結果、営業損失は744,955千円(前事業年度826,430千円)となり、損失額は前事業年度に比べ81,474千円減少しました。 (営業外収益、営業外費用、経常損失) 当事業年度の営業外収益は、72,432千円(前事業年度3,727千円、前事業年度比1843.1%増)となりました。主なものは、受取利息5,044千円、助成金収入53,311千円及び為替差益13,835千円であります。 当事業年度の営業外費用は6,398千円(前事業年度7,126千円、前事業年度比10.2%減)となりました。主なものは、新株予約権発行費6,040千円と株式交付費357千円であります。 この結果、経常損失は678,921千円(前事業年度829,829千円)となり、損失額は前事業年度に比べ150,908千円減少しました。 (特別利益、特別損失、当期純損失) 当事業年度の特別損失は、当社が保有する固定資産につきまして「固定資産の減損に係る会計基準」に基づく減損損失を計上したため、37,260千円(前事業年度72,510千円、前事業年度比48.6%減)となりました。 これらの結果を受け、当事業年度の当期純損失は718,108千円(前事業年度904,800千円)となり、損失額は前事業年度に比べ186,691千円減少しました。 (パイプライン) パイプラインの状況については、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3)当社の開発品」をご参照ください。 ② キャッシュ・フローの状況 当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ152,574千円減少し、1,515,346千円となりました。 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは、653,334千円の支出となりました。主に、AMEDからの助成金である長期預り金等による増加があった一方、税引前当期純損失716,181千円の計上等による減少があったことによるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは、10,062千円の支出となりました。研究開発用の有形固定資産の取得による支出9,494千円による減少があったことによるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは、497,333千円の収入となりました。主に新株予約権の行使による株式の発行による収入500,500千円等によるものであります。 ③ 生産、受注及び販売の実績 a.生産実績 当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。 b.受注実績 当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。 c.販売実績 当社は医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。当事業年度における販売実績は次のとおりであります。 セグメントの名称   金額(千円)   前事業年度比(%) 医薬品事業   135,507   112.6 合計   135,507   112.6 (注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。 相手先   前事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)   当事業年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) 金額(千円)   割合(%)   金額(千円)   割合(%) R&D Systems, Inc.   40,324   33.5   26,456   19.5 Life Technologies Corporation (旧社名:Pierce Biotechnology, Inc.)   28,490   23.7   35,190   26.0 Abcam Limited   10,700   8.9   22,631   16.7 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ① 重要な会計方針及び見積り 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。また、財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。 特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。 (固定資産の減損処理) 当社は、固定資産のうち営業活動から生ずる損益が継続してマイナスになっている資産について、回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。 (繰延税金資産) 繰延税金資産の回収可能性の判断については、将来の課税所得を合理的に見積り、将来の税金負担を軽減する効果を有すると考えられる範囲内で繰延税金資産を計上することになります。当社は、税務上の欠損金が継続しており、繰延税金資産の回収可能性を合理的に見積もることは困難と判断し、繰延税金資産を計上していません。 ② 財政状態及び経営成績の分析 財政状態及び経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。 ③ キャッシュ・フローの分析 キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。 ④ 経営成績に重要な影響を与える要因について 「3 事業等のリスク」に記載したとおり、外部環境、事業内容、組織体制等の様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に業界の動向を注視しつつ、優秀な人材の確保と適切な教育を実施するとともに、内部管理体制の強化と整備を進めることで、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に適切な対応を図ってまいります。 ⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析 当社の主な資金需要は、PPMX-T003の開発及び創薬研究に係る研究開発費、並びに事業運営費等であります。これらの費用は、当期は自己資金で賄い、その残金は、すべて銀行預金とし、資金の流動性を確保しております。キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。 ⑥ 経営者の問題意識と課題について 当社は、「最先端の抗体技術で世界の医療に貢献する」ことを企業理念としております。この企業理念実現のために、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の課題に対して取り組んでまいります。 ⑦ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおり、ROA(総資産利益率)やROE(自己資本利益率)といった数値的な目標となる経営指標は用いておりませんが、経営指標として、将来の売上に繋がるパイプラインの開発の進捗、パイプラインの拡充及び売上高を重要な目標と考え、事業活動を推進しております。なお、パイプラインの開発の進捗については、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3)当社の開発品」に記載しております。

EDINET提出の有価証券報告書から自動抽出。表は文字起こしのため崩れることがあります。

開示資料

出典

このページの財務・役員・株主等のデータは、金融庁EDINETに提出された開示書類から自動抽出しています。会計基準は JapanGAAP

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