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超!企業DB
日経平均64,325.64-1,890NYダウ52,980.73+214ドル円158.84-1NASDAQ26,208.82+109S&P 5007,666.58+35SOX 指数11,332.81+449/2終値

モダリス

Modalis Therapeutics Corporation4883 · Growth · 医薬品

概要

モダリスは2016年に設立された東京都中央区に本社を置く遺伝子治療薬開発企業である。独自のプラットフォーム技術「CRISPR-GNDM®」(切らないCRISPR)を用いて、主に希少遺伝子疾患を対象とした治療薬を開発する。2020年8月に東京証券取引所マザーズに上場し、現在はグロース市場に所属。従業員数は17名(提出日現在)。売上高は現時点でライセンス収入等に限られ、2025年12月期の営業損失は約22億円にのぼるなど、研究開発段階にある。

「CRISPR-GNDM®」を中核とする遺伝子治療薬開発

モダリスの事業は、遺伝子の切断を伴わないエピゲノム編集技術「CRISPR-GNDM®」を用いた遺伝子治療薬の研究開発に集中している。この技術は、CRISPR/Cas9の切断活性を不活化し、転写を制御するスイッチング分子を連結することで、目的遺伝子の発現をオンまたはオフにする仕組みである。従来のゲノム編集と異なりDNA切断を起こさないため、安全性が高いと期待される。同社はこのプラットフォームを基に、単一遺伝子疾患を中心に複数のパイプラインを展開する。

大手製薬企業との連携とライセンス契約

モダリスはアステラス製薬、エーザイ、JCRファーマなどと共同研究・ライセンス契約を締結してきた。2017年からアステラス製薬との共同研究を開始し、2019年には遺伝子治療薬のライセンス契約に発展。その後2例目の契約も結んだが、2023年にはこれらの契約を再取得している。2020年にはCRISPR特許でEditas Medicineとライセンス契約を結び、2024年にはGinkgo Bioworksとパートナーシップを締結。外部技術の取り込みと提携による開発加速を図っている。

財務と経営指標:売上は断続的、研究開発投資が先行

モダリスの売上高はライセンス契約の一時金やマイルストン収入に依存し、年度により大きく変動する。2019年12月期には6億円の売上を計上したが、2021年以降は0億円またはnullとなっている。利益面では2023年12月期に24億円の当期純損失、2025年12月期には22億円の営業損失を計上。研究開発費が先行する典型的なバイオテック企業の財務構造である。同社は経営指標として年間IND申請件数やパートナー契約条件を重視しており、財務指標での評価には馴染まないとしている。

日米二極の拠点体制

モダリスは東京と米国マサチューセッツ州に拠点を持つ。米国子会社Modalis Therapeutics Inc.は2016年にケンブリッジで設立後、2019年、2021年と移転・拡張を繰り返し、現在はウォルサム市に所在。日本での臨床試験環境はカルタヘナ法の規制や保守的な受容性など課題があるとし、開発国の選択を含めた戦略を採る。米国では遺伝子治療の承認・規制環境が整備されており、同社のリードプログラムMDL-101は米国でRPDDとODDを取得している。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

製品と技術

MDL-101:先天性筋ジストロフィー1a型(LAMA2-CMD)

MDL-101はモダリスのリードプログラムであり、LAMA2遺伝子の変異によりラミニン-α2鎖が欠損する先天性筋ジストロフィー1a型を対象とする。CRISPR-GNDM®技術により、相同のラミニン-α1鎖遺伝子を活性化し、機能を代替するアプローチを採用。疾患モデルマウスで生存期間延長効果が確認され、2024年には米国でRPDDとODDを取得した。同社は治験申請時期を見直しているものの、安全性上の懸念はなく、臨床移行準備を進めている。

MDL-201:デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)

MDL-201はDMDを対象とした治療薬候補で、ユートロフィン遺伝子を活性化することでジストロフィン欠損を補う新規メカニズムを有する。病態モデルマウス試験において、ミニジストロフィンを用いた既存薬と比較して良好な改善効果を示し、専門家からも新規性の高いアプローチと評価された。この結果はMDL-101で検証されたプラットフォーム技術の汎用性を裏付けるものであり、今後の開発検討を進める基盤となっている。

MDL-103:顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)

MDL-103はFSHDを対象とし、Dux4遺伝子の発現を抑制することで治療効果を狙う。XPrize財団およびSolve FSHD財団からの助成を受け、病態モデル動物で局所投与および全身投与の検証を実施。全身投与においてもDux4下流遺伝子群の発現抑制が確認され、筋肉組織への分布が示唆された。この結果はCRISPR-GNDM®技術の全身投与への応用可能性を示す重要なデータである。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

医薬品のなかでの位置

創薬プラットフォーム開発中、売上未発生

モダリスは独自の抗体創薬技術「ADLib」を有するバイオベンチャー。売上は未計上であり、研究開発段階。同業のジーエヌアイグループやVeritas In Silicoも創薬初期段階だが、モダリスは協業契約によるマイルストン収入を目指す。現状は資金調達に依存し、事業化の見通しは不透明。大手製薬との提携実績はあるが、収益化時期は未定。

強み

  • 抗体ライブラリ作製技術を用いた高効率な抗体創薬プラットフォーム。
  • 複数の大手製薬企業との提携により技術の信頼性を示す。
  • 抗体医薬品や診断薬など幅広い分野への応用が可能。
  • 強固な特許ポートフォリオにより競合を排除。

課題

  • 売上未計上で事業化の時期や規模が不透明。
  • 研究開発に多額の資金が必要で、調達が困難になれば事業継続に支障。
  • 同様の創薬プラットフォーム技術を持つ競合が多く存在。

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

医薬品の時価総額近傍。太字がモダリス

時価総額で並べると、掲載11社のなかで6番目にあたる。

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は東証33業種の分類に従っています。

会社の歴史

沿革 19件

2016年創業と米国子会社設立

モダリスは2016年1月、東京都中央区にエディジーン株式会社として設立された。同年4月には米国マサチューセッツ州ケンブリッジに子会社EdiGENE Inc.を設立し、日米二拠点体制の基礎を築いた。創業時の技術基盤はCRISPRを用いたエピゲノム編集にあり、後の事業の中核となる「CRISPR-GNDM®」技術の開発がスタートした。

2017~2019年:アステラス製薬との協力拡大と商号変更

2017年4月、モダリスはアステラス製薬とCRISPR-GNDM®を用いた共同研究契約を締結。同年12月には拡大共同研究へと発展し、2019年3月には遺伝子治療薬開発のライセンス契約を結んだ。同年9月には2例目のライセンス契約も追加。この間、2019年8月に商号を株式会社モダリス(Modalis Therapeutics)に変更し、米国子会社も同様に改名した。同年11月にはエーザイとの共同研究契約も開始し、提携の幅を広げた。

2020年:東証マザーズ上場と特許ライセンス取得

2020年8月、モダリスは東京証券取引所マザーズ市場に上場。上場に先立ち、同年4月にはCRISPR/Cas9特許についてEditas Medicineから非独占的実施許諾を得るライセンス契約を締結し、知的財産面での基盤を強化した。上場後、同年9月に本社を東京都中央区内で移転している。

2021~2023年:米国拠点拡張と市場区分変更、ライセンス再取得

2021年10月、米国子会社をウォルサム市内へ移転・拡張し、研究開発能力を強化。2022年4月の東京証券取引所の市場区分再編に伴い、マザーズからグロース市場へ移行した。2023年8月には、アステラス製薬とのライセンス契約および2例目の契約を再取得する異例の決断を行い、自社パイプラインの権利を回収した。同年12月にはJCRファーマとの共同研究を開始し、新たな提携も進めた。

2024年:Ginkgo Bioworks提携と希少疾患指定の取得

2024年4月、モダリスは合成生物学企業のGinkgo Bioworksとパートナーシップ契約を締結し、技術スケールの拡大を図った。同年9月、リードプログラムMDL-101(先天性筋ジストロフィー1a型治療薬)が米国で希少小児疾患指定(RPDD)を取得。続いて10月には希少疾病用医薬品指定(ODD)も受領し、開発加速のための規制上の優遇措置を得た。

年表19件を開く

2010年代

  • 2016年1月創業東京都中央区にエディジーン株式会社(現 株式会社モダリス)を設立
  • 2016年4月米国マサチューセッツ州ケンブリッジ市に連結子会社EdiGENE Inc. (現 Modalis Therapeutics Inc.)を設立
  • 2017年4月アステラス製薬株式会社との間で「CRISPR-GNDM ®」を用いた共同研究契約を締結
  • 2017年12月アステラス製薬株式会社との間で拡大共同研究契約を締結
  • 2019年3月アステラス製薬株式会社との間で遺伝子治療薬開発のライセンス契約を締結
  • 2019年3月米国子会社を米国マサチューセッツ州ケンブリッジ市内で移転・拡張
  • 2019年8月商号を株式会社モダリス(英語表記:Modalis Therapeutics Corporation)へ変更 同時に米国子会社EdiGENE Inc.の社名をModalis Therapeutics Inc.へ変更
  • 2019年9月アステラス製薬株式会社との間で遺伝子治療薬開発の2例目となるライセンス契約を締結
  • 2019年11月エーザイ株式会社との間で「CRISPR-GNDM ®」を用いた共同研究契約を締結

2020年代

  • 2020年4月Editas Medicine,Inc.との間でCRISPR/Cas9特許の非独占的実施の許諾を受ける ライセンス契約を締結
  • 2020年8月上場東京証券取引所マザーズ市場へ株式を上場
  • 2020年9月当社を東京都中央区内で移転
  • 2021年10月米国子会社を米国マサチューセッツ州ウォルサム市内へ移転・拡張
  • 2022年4月東京証券取引所の市場区分再編に伴い、マザーズ市場からグロース市場へ移行
  • 2023年8月アステラス製薬株式会社との遺伝子治療薬開発のライセンス契約及び2例目となる ライセンス契約の再取得
  • 2023年12月JCRファーマ株式会社との間で「CRISPR-GNDM ®」を用いた共同研究契約を締結
  • 2024年4月Ginkgo Bioworks社とのパートナーシップ契約締結
  • 2024年9月先天性筋ジストロフィー1a型(LAMA2-CMD)治療薬候補「MDL-101」に対して、米国における希少小児疾患指定(Rare Pediatric Disease Designation: RPDD)受領
  • 2024年10月MDL-101に対して米国における希少疾病用医薬品指定(Orphan Drug Designation: ODD)受領

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2025/12期の経営方針より

会社は5つの方針を掲げている。そのうち4項目には、達成する数字が明記されている。

会社が掲げている数値目標
  • 年間IND申請件数記載なし(KPIとして挙げられているが具体的数値の記載なし)
  • 年間IND申請のうち臨床段階への移行数記載なし
  • パートナーとの契約条件記載なし
  • 自社パイプライン比率記載なし

有価証券報告書の原文に書かれた目標だけを載せています。達成度の評価や推計は加えていません。

  1. 01

    CRISPR-GNDM®技術の強化と創薬拡大

    独自のゲノム編集プラットフォームCRISPR-GNDM®技術を核とし、遺伝子治療薬の研究開発を推進。技術の優位性を維持するため、国内外の製薬企業や研究機関との共同研究、知財ポジション強化、研究体制の拡充に取り組む。

  2. 02

    戦略的提携によるバリューチェーンの補完

    パイプラインの拡大と製品化の実現に向け、国内外の製薬企業や販売パートナーとの連携を強化。共同研究開発契約やライセンス契約を通じて、技術の応用範囲を広げ、開発から販売までの一貫した体制を構築する。

  3. 03

    コーポレート・ガバナンスの強化

    研究開発の適正な意思決定と運営管理により経営の健全性・透明性を高め、長期的・安定的に治療薬を生み出す体制を整備。患者、医療従事者、株主など全てのステークホルダーから信頼を得られる企業運営を目指す。

  4. 04

    資金調達の多様化と安定確保

    研究開発資金を安定的に確保するため、提携による資金獲得、株式市場での調達、銀行融資、補助金など多様な手段を活用。資本効率を高めながら、創薬活動に必要な資金を継続的に充当する。

  5. 05

    グローバル研究人材の獲得と活用

    米国ボストンエリアの研究拠点を中心に、世界中から博士研究者を採用し、プラットフォーム技術の強化と創薬研究開発の高度化を実現。コア機能に集中し、非中核業務は外部委託することで資本効率を最適化する。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 6期分

グループ全体で17人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は614万円で、5期前と比べて43.8%平均年齢は37.0歳、平均勤続年数は1.4年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数一人当たり営業利益万円
2020年12月1,09145.01.920
2021年12月1,14546.02.926
2022年12月1,34147.03.936
2023年12月1,38546.72.037
2024年12月89041.51.114−9,286
2025年12月61437.01.417−12,941

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

拠点とグループ

設備と関係会社

関係会社1(国内 1 / 海外 0、うち連結子会社 1) を有報から抽出しています。

主な関係会社
  • 国内
    Modalis Therapeutics Inc.
    アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 · 連結子会社
    議決権100.0%

四半期の推移

5期分

直近は2022年4Qで、売上は0億円。

対象期間売上高億円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2020年2Q300.00
2020年3Q0−2−2
2020年4Q0−2
2021年4Q0−5
2022年4Q0−14

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。

業績の推移

有価証券報告書 10期分

直近10期の通期業績。

決算期売上高億円営業利益億円経常利益億円営業利益率%純利益億円
東京都中央区にエディジーン株式会社(現 株式会社モダリス)を設立
2016年12月00
2017年12月0−1−1
2018年12月1−2−2
2019年12月611
東京証券取引所マザーズ市場へ株式を上場
2020年12月3−4−4
2021年12月0−12−7
2022年12月0−20−27
2023年12月−24−24
2024年12月−13−13−13
2025年12月−22−21−22

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。空欄の期は有価証券報告書からその項目の数値が取れていません(0ではありません)。

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 8期分

2025年12月期は営業CFが−21億円、投資CFが0億円で、差し引きのフリーCFは−21億円この組み合わせは立て直し型にあたる。本業の赤字を資産売却と資金調達で補っている。事業転換の途上期末の手元現金は28億円

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2018年12月−200−212
2019年12月2−125139
2020年12月−4−828−1254
2021年12月−721−549
2022年12月−19−21−2129
2023年12月−23012−2319
2024年12月−14030−1436
2025年12月−21014−2128

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 10期分

2025年12月期の総資産は30億円。このうち返さなくてよい自己資本が28億円で、自己資本比率は93.0%(業種中央値69.9%より厚い)

決算期総資産億円自己資本億円負債億円自己資本比率%
2016年12月11094.4
2017年12月1414099.1
2018年12月1212098.2
2019年12月3938197.6
2020年12月6362198.9
2021年12月6155691.4
2022年12月3129293.4
2023年12月2014666.8
2024年12月3735195.5
2025年12月3028293.0

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2025年12月期の内訳
現金及び預金
28億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
-20億円
過去の利益の積み上がり
負債合計
2億円
いつか返す必要があるお金

業界内での比較

医薬品 79社との比較

同じ医薬品の企業と並べると、いちばん上に来るのは自己資本比率79社中7位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
/中央値 5.9%
P25 2.0%P75 11.0%
営業利益率売上のうち本業の利益として残る割合
/中央値 2.9%
P25 -162.5%P75 11.5%
自己資本比率上位総資産のうち返済のいらないお金の割合
93.0%/中央値 69.9%
P25 53.4%P75 84.5%
売上成長率前期からの売上の伸び
/中央値 2.8%
P25 -1.3%P75 12.0%
配当利回り株価に対して1年で受け取る配当の割合
/中央値 2.9%
P25 2.3%P75 3.5%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月2日の終値

直近の終値は¥34で、1年前と比べて-63.8%過去52週の値幅のなかでは7%の位置にある。

¥34-2.9%1ヶ月+9.7%1年-63.8%時価総額29億円
過去52週の値幅
安値¥29高値¥97

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標
PBR1.34倍

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

株価は33円で、直近1日で6.45%上昇。ただし1ヶ月では2.94%下落、1年では62.92%下落と長期の下落基調が続く。25日移動平均線(32.32円)は上回るが、75日線(41.72円)や200日線(54円)は大きく下回る。52週高値97円からは約66%下落、安値29円からは13.8%上昇の位置。出来高は直近で増加傾向にあり、売買が活発化している。RSIは53.85と中立圏。テクニカルには弱気のトレンドが続く中、短期の反発局面にある。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

AIの評価

AI評価

株価水準の解釈です。売買の推奨ではありません

現在の株価水準を割安と判定しています(スコア 70/100)

PERが算出できない(赤字継続)が、PBR1.09倍は業界平均3.13倍を大きく下回る。無配当だが、ROE5.6%は赤字にもかかわらず黒字企業並み。売上高が計上されておらず、業績悪化リスクが高いものの、資産価値から見れば割安。

指標この会社業種平均
PBR1.34倍3.53倍
ROE5.6%6.5%

業種平均は同じ東証33業種に属する銘柄の単純平均です。銘柄数が少ない業種では平均が振れます。

AI評価判定とスコアは公開データをもとにした解釈で、将来の株価を示すものではありません。算出の考え方は編集方針に記載しています。

株主

有価証券報告書より

2025年12月期末の株主数は延べ21,450人。区分でいちばん多いのは個人・その他74.3%。グループ会社や銀行などの安定株主が5.1%を占め、残る94.9%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2020年12月%2021年12月%2022年12月%2023年12月%2024年12月%2025年12月%
個人・その他38.236.054.667.180.674.3
証券会社3.96.94.45.57.611.3
外国法人6.216.010.49.84.88.4
事業法人36.630.219.412.05.54.4
外国人個人0.50.81.31.41.00.8
金融機関14.710.29.94.20.60.6

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01株式会社LSIM3.27
02楽天証券株式会社共有口3.07
03株式会社SBI証券2.86
04BNP PARIBAS LONDON BRANCH FOR PRIME BROKERAGE CLEARANCE ACC FOR THIRD PARTY (常任代理人 香港上海銀行 東京支店)2.70
05近藤 誠聡2.08
06濡木 理1.82
07STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY (常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)1.15
08マネックス証券株式会社0.83
09松井証券株式会社0.75
10株式会社証券ジャパン0.71

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

大量保有報告の動き
5%超の保有者の提出ベース 直近12
  • 2026-08-18
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    15.16%
    -1.04pt
  • 2026-07-30
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    16.20%
    -1.26pt
  • 2026-07-21
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    17.46%
    -1.61pt
  • 2026-07-13
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    19.07%
    -1.12pt
  • 2026-07-10
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    20.19%
    -1.30pt
  • 2026-07-06
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    21.49%
    -1.20pt
  • 2026-06-19
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    22.69%
  • 2026-05-27
    森田 晴彦
    新規の大量保有報告
    0.38%
    -0.01pt
  • 2026-05-01
    森田 晴彦
    新規の大量保有報告
    0.39%
    -0.08pt
  • 2026-05-01
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    4.00%
    -1.07pt
  • 2026-04-24
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    5.07%
    -1.00pt
  • 2026-04-15
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    6.07%
    -1.34pt

提出があった時点の記録です。その後5%を割った保有者が一覧に残ることがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 10期分

1株利益は10期で+92%、1株純資産は8期で−94%。直近期のROEは5.6%で、日本株の目安とされる8%を下回る。

決算期EPSBPS
2016年12月−367507
2017年12月−1,029
2018年12月−11
2019年12月6153
2020年12月−17218
2021年12月−26192
2022年12月−93100
2023年12月−7741
2024年12月−2951
2025年12月−2832

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安

経営陣

7名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は7名。2025/12期の役員報酬は総額96百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約2倍にあたる。

氏名役職年齢保有株数
森田晴彦代表取締役 CEO573,195,700
竹田英樹社外取締役67196,000
ジョセフ・マクラッケン社外取締役732,700
嶋根みゆき社外取締役(監査等委員)725,000
田島照久社外取締役(監査等委員)55110,000
古田利雄社外取締役(監査等委員)6428,000
中村栄作社外取締役(監査等委員)65200

役員報酬の内訳2025/12

役員の区分人数固定報酬百万円ストックオプション百万円合計百万円1人あたり百万円
取締役(社内)33864415
社外取締役5146204
監査等委員312124
社外取締役312124
社外取締役22684

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2025/12期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容12,239字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3 【事業の内容】 当社グループ(以下、当社及び連結子会社Modalis Therapeutics Inc. (米国マサチューセッツ州ウォルサム市)の2社を指します。)は、コアとなるプラットフォーム技術である『切らないCRISPR技術※1(CRISPR-GNDM®技術)』を用いた創薬によって、その多くが希少疾患に属する遺伝子疾患に対して治療薬を次々と生み出し、企業理念である「Every life deserves attention (すべての命に、光を)」のとおりに、病気のために希望を失わなくてすむ社会の実現に貢献してまいります。 当社グループのターゲットとしている遺伝子疾患とは、10,000(1)と言われるヒトの疾患の中で、約7,000(2)が患者数の少ない希少疾患(疾患のロングテール)と言われ、ほとんどはこの希少疾患に属します。これらの患者数は、一つ一つの疾患は細分化されていても、合わせると世界中で4億人(3)もいるとされています。希少疾患領域のための治療薬開発は、開発コストと開発期間が膨大にかかる従来型の創薬では効率が悪いためこれまで敬遠されており、95%(3) (5)の希少疾患にはまだ治療薬がありません。当社グループの技術力でこの問題解決に挑みます。 なお、当社のセグメントは遺伝子治療薬開発事業のみの単一セグメントであります。 (1) 当社の事業領域 当社は、遺伝子コード※2やエピジェネティクス※3のエラーによって生じる遺伝子疾患に対して、独自のプラットフォーム技術であるCRISPR-GNDM®(Guide Nucleotide-Directed Modulation)技術を用いた遺伝子治療薬※4の開発を主たる事業としております。 ① CRISPR-GNDM®技術 CRISPR-GNDM®技術とは、ゲノム編集技術であるCRISPR/Cas9※5のコア分子であるCas9というCRISPR酵素※6を基に、当社グループが開発した独自の創薬プラットフォームシステムです。 この技術は、Cas9タンパク質※7を詳細に解析して有効な改変を行い、また独自に開発した周辺技術と組み合わせ、目的遺伝子の発現(細胞内での出現量)をオン・オフすることを可能にしたものであり、いわば「遺伝子スイッチ」として機能するユニークかつパワフルな創薬技術(モダリティ)です。より具体的には、CRISPR酵素の切断活性※8を不活化し、これに遺伝子の転写※9を上げる、または下げるスイッチング分子※10を連結することにより、ガイド核酸※11で誘導された特定の箇所の近傍にある遺伝子を選択的にオン、またはオフにすることが可能になります。つまり、通常のゲノム編集とは異なり、遺伝子の切断を行わず効果を発現させる技術です。このCRISPR-GNDM®技術によって、6,000を数えると言われる遺伝子疾患の原因遺伝子に対してエピジェネティクスを直接制御して治療法を生み出すことが可能になります。 <CRISPR-GNDM®技術のイメージ図> ② CRISPR-GNDM®技術の特徴 a.  CRISPR-GNDM®技術による成功確率の優位性 医薬品開発の主要な4つのハードルとして、薬物動態※12、メカニズム(Proof-of-Mechanism(PoM))※13、概念実証(Proof-of-Principal(PoP))※14、コンセプト実証(Proof-of-Concept(PoC))※15があります。 一般的な創薬技術(モダリティ)は、低分子医薬、抗体医薬、核酸医薬等があり、旧来の創薬である低分子医薬は、多くの候補の低分子化合物から目的の機能の評価試験法を用いて絞り込みをして開発候補物質を決め、開発のステージを進めていきますが、候補選択の評価試験法には限りがあり、着目している機能以外に毒性など不明なことが多いままに臨床試験を行うことになりますので、各開発ステージにおいて予期せぬ毒性などが露見することでドロップアウトし、極めて少数のプロダクトが上市に辿り着くのが常でした。また近年は、病態や疾患の原因となるターゲット分子の同定※16が進んだことにもより、タンパク質や遺伝子のような標的に対して合理的にデザインされた分子によって治療を行おうとする、抗体医薬、核酸医薬等のように分子標的薬アプローチ※17が取られるようになりました。しかしながら、このようなアプローチをしても標的分子の種差によって候補物質の作用の仕方が動物とヒトの間に差がある場合があり、実際に実験してみるまでは薬効や毒性の程度の差はわからないという状況に変わりはありません。つまり、一般的な創薬技術においては、常にドロップアウトのリスクと隣り合わせであり、長期にわたり多額の研究開発投資を投入しても成功の予測が困難な状態が開発の最終段階までつきまといます。したがって、一般的な創薬技術であれば、第Ⅱ相臨床試験※18の終了まではその薬が効果を見せるかどうか、あるいは毒性があるかどうかは試験を実施するまで予見することが困難です。 一方で、遺伝子治療薬開発においては、他のモダリティよりも開発の成功確率がより高い(“The clinical landscape for AAV gene therapies”, Kuzmin et.al. Nature Review Drug Discovery 2021)とされています。これは当社のCRISPR-GNDM®技術をはじめとして単因子遺伝子疾患※19を対象とする遺伝子治療ではターゲットとする単因子遺伝子疾患においては原因が単一の遺伝子に起因しているため、PoP及びヒトPoC※20における予見可能性が高いことと、ターゲットに合わせてプロダクトのラショナル(合理的)デザインができることに因ると考えております。ただ、マウスでの試験結果からサルへの結果がそのままトランスレートされないケースが生じていることもあり、近年の新規モダリティーにおけるパートナリング傾向として、サル試験における良好な結果が求められるようになりました。遺伝子治療薬においてもその傾向は顕著であり、パートナリングのためのハードルは上がってきたと意識をしています。 <医療品開発の主要なハードル> b.  CRISPR-GNDM®技術の移転可能性 一般的な創薬技術の場合は、ある一つの薬が臨床試験に成功して上市されたとしても、その開発ノウハウを別の薬に移転できる部分はあまり大きくありません。これは薬毎に性質が異なり、薬毎の利点も問題点も異なるからです。一般的な治療薬の開発は、数千〜数百万の化合物のライブラリーの中から薬効や薬物動態、毒性などを指標に適切な化合物の絞り込みを行い、さらに最適化を続けて開発に資する化合物へと何段階ものスクリーニングをしなければなりません。ターゲットの疾患毎にこうした作業はゼロから行うことになり、したがってある治療薬の開発経験やノウハウは他の治療薬へそのまま転用することが難しいと考えられます。 一方で、一般的な遺伝子治療薬開発においては必要な細胞への導入方法や製造方法の多くは、ターゲットの遺伝子が変わっても共通の部分が非常に多いと考えられているため、成功のノウハウと失敗の学びを他のターゲット遺伝子に対する遺伝子治療薬に転用することが一般的な創薬技術に比べて容易となると考えております。 CRISPR-GNDM®技術においては、特に可変部分がガイド核酸(下記図中①)という非常に小さい部品に限られており、またその他の構成成分である切断不活型CRISPR酵素(下記図中②)とスイッチング分子(下記図中③)は共通のパーツとして既にあるため、標的疾患毎に対応したわずか約20塩基ほどのガイド核酸のみを個別にデザインをするだけで、効率よく遺伝子治療薬を開発することができると考えております。この技術的な特徴により、多くの遺伝子疾患にCRISPR-GNDM®技術による創薬の方法論を拡張して遺伝子治療薬を生み出すことができると考えております。 <CRISPR-GNDM®技術のコンセプト> c.  CRISPR-GNDM®技術の収益の将来性 米国における最初の遺伝子治療薬の承認は2017年でしたが、それ以降の承認は2018年の1剤を最後にしばらく途絶えていました。ところが、2022年末から2023年に掛けて立て続けに5剤が承認を受け、また2024年も1剤の条件付き承認の本承認化を含む3剤が承認され、技術としての成熟度が上がった事を背景に、各社の開発に向けての取り組みが結実してきたと言えます。 また、この中にはCRISPR技術を培ったゲノム編集治療薬であるCasgevyが含まれ、CRISPR技術を用いた治療薬として世界で初めての承認を受けることとなりました。これらの中で全身投与を行う遺伝子治療薬は約3M米ドル(4.5億円)の薬価が付いており、希少患者であってもその売上げ規模としては収益性が期待できる規模になると考えられます。 なお、近年、遺伝子治療を含む先端医療の発展に伴い、患者ごと又は極めて少数の患者集団に最適化された治療(いわゆる「individualized therapies」又は「bespoke therapies」)に対する規制枠組みの整備が進んでおります。特に希少遺伝性疾患の分野では、従来型の大規模ランダム化比較試験を実施することが困難な場合が多く、規制当局は開発の実情に応じた柔軟な承認アプローチを検討しています。 米国食品医薬品局(FDA)は、細胞・遺伝子治療(Cell and Gene Therapy, CGT)の開発促進を目的として複数のガイダンスを公表しており、遺伝子治療製品の開発に関しては、臨床試験設計、非臨床評価、並びに化学・製造・品質管理(CMC)に関する要件についての指針を提示しています。例えば、FDAの「Chemistry, Manufacturing, and Control (CMC) Information for Human Gene Therapy IND Applications」ガイダンスでは、遺伝子治療製品の安全性、品質及び一貫性を担保するために必要なCMC情報の提出について詳細な推奨事項が示されています。 また、近年のゲノム編集やRNA医薬の進展を踏まえ、FDAは2026年に、特定の遺伝的原因が明確な疾患を対象とする個別化治療の開発を加速するための新たな枠組み(いわゆる「Plausible Mechanism Framework」)に関するドラフトガイダンスを公表しました。この枠組みでは、疾患の分子機序に対して合理的な作用機序(biological plausibility)が示され、初期患者において有効性のシグナルが確認される場合には、従来より小規模な臨床データを基に開発を進めることを許容する可能性が示されています。 このような規制の進展は、特定の遺伝子変異や患者集団に最適化された治療法の開発を促進することを目的としており、場合によっては少数患者での臨床試験や自然歴データ、リアルワールドデータ等を補完的に活用した評価が行われる可能性があります。一方で、このようなアプローチにおいても、安全性、品質及び有効性を担保するための科学的根拠や製造品質管理に関する要件は引き続き厳格に求められるとされています。 当社が開発する遺伝子治療製品についても、対象疾患の希少性や分子病態の特異性等を踏まえ、規制当局と協議のうえ、適切な臨床開発戦略及び規制経路を検討することになります。しかしながら、これらの規制枠組みは現在も議論・整備が進められている段階であり、当社の開発品が将来これらの柔軟な承認経路の対象となるか、またその適用条件や審査基準がどのように解釈されるかについては不確実性が存在します。そのため、当社の遺伝子治療製品の開発、承認取得及び商業化の時期や可能性は、規制環境の変化により影響を受ける可能性があります。 <USで承認された遺伝子治療薬(2025年末時点)> 出典: National Organization for Rare Disorder、#2 Fierce Biotech #3各社ウェブサイト #4Grand view research社 #5 Fortune Business Insight *1: Spinal muscular atrophy(脊髄性筋萎縮症)   *2: dystrophic epidermolysis bullosa *3: Duchenne muscular dystrophy *4 DelveInsight #1 : 患者数を500人として推定#2 : 患者数を5000人として推定 エビゲノム編集技術の領域では、当社が事業を始めた2016年には、前世代のゲノム編集技術であるZFNを用いた先行事例はあったものの、CRISPRを用いて治療薬開発を行なっているのは当社のみでした。その後、この技術の利用価値や将来性を見込んで、複数の会社が追随するようになりました。各社それぞれ技術的な要素が異なり、結果的に制約条件も異なることから、対象疾患領域などが異なっていて、特に遺伝子活性化に注力している当社の場合には、現状では当社と直接競合が生じている状況ではありませんが、将来的には競争が生じる可能性があると考えます。 <遺伝子治療薬のキャッシュフローモデル> d.  CRISPR-GNDM®技術の安全性 遺伝子治療の1つとしてゲノム編集治療があります。ゲノム編集は、染色体上の特定の場所にある遺伝子配列を部位特異的※21なヌクレアーゼ※22(切断酵素)を利用して、思い通りに改変する技術です。代表的な技術に第一世代のZFN(ジンクフィンガーヌクレアーゼ)※23、第二世代のTALEN(タレン)※24といった旧来からの技術に対して、第三世代となるCRISPRが新たに登場しました。CRISPRは旧来からの技術に対して、より簡便かつ高速にターゲットの遺伝子を改変することができると考えられています。これらの技術を用いたゲノム編集治療は、ヌクレアーゼを細胞内にウィルスベクター※25などを用いて送り込み、疾患の原因となった遺伝子コードやエピジェネティクスのエラーを書き換えて治療を試みるものです。 ターゲット遺伝子のカット&ペーストを行う通常のゲノム編集は、遺伝子コードのエラーによって生じる疾患に対して半/永続的に効果をもたらす有効な治療法ですが、遺伝子の二重鎖切断※26を伴うと、遺伝子を切断することでガン化リスクが高まることが報告されており、またそもそも狙った遺伝子ではなく他の遺伝子を切断するリスク等を伴う治療法であります。またその後、塩基編集やプライム編集などの方法により、二重鎖切断を伴わずに塩基に生じたエラーを修正する方法が開発されましたが、DNAの書き換えが起こる点では変わりなく、それがオフターゲット位置で生じるリスクはCRISPRのシステミックなリスクといえます。 一方で、遺伝子のエピジェネティクスの修復にフォーカスしたCRISPR-GNDM®技術は、切断を含む遺伝子の配列の改変を行うことなく「遺伝子スイッチ」のオン・オフのみを制御するものであります。つまり、ターゲット遺伝子において異常な機能をもたらしている遺伝子の発現レベルを遺伝子によってはほぼゼロまで落とすことができ、あるいは発現量が足りないことによって疾患が生じている場合には発現量を高めて治療することができるという、遺伝子の切断を行う一般的なゲノム編集と比較して、遺伝子の切断を行わないCRISPR-GNDM®技術はよりクリーンな方法で治療を行うことができると考えられています。 (2) 当社のビジネスモデル ① 当社のビジネスモデルの概要 創薬事業は、一般的に多額の研究開発費用と長い時間を要します。したがって、当社のように開発の初期段階を担う企業は、開発から上市までの収益の谷間を投資家からの資金と製薬企業等のパートナーからの契約金で賄っていく必要があります。 当社のビジネスモデルは、パートナーに技術プラットフォームであるCRISPR-GNDM®技術を開放し、パートナーの選定したターゲットに対してパートナーの資金で治療薬の開発を行う「協業モデルパイプライン」と自社でCRISPR-GNDM®技術を用いてターゲットの選定から行い、自己資金でCRISPR-GNDM®技術を用いて治療薬の開発を行う「自社モデルパイプライン」の2種類があります。 当社は、協業モデルパイプラインと自社モデルパイプラインを組み合わせることによって、協業モデルの利点である早期の収益獲得と自社モデルの利点である将来の大きなアップサイドである上市後の収益獲得の両者の特徴を組み合わせた、「ハイブリッドモデル」を目指しております。将来利益と短期収益をスワップすることにより、上市まで収益機会を待たないでも早期に収益機会を得ることが可能で、こうした収益機会に下支えされた資金を効果的に活用することで事業計画の選択肢が増え、その選択肢を最適化することで経営基盤の安定と成長領域への投資の双方を両立することを当社がコントロールできることにあります。 ② 協業モデルパイプライン 当社の協業モデルパイプラインでは、製薬企業等のパートナーの意中のターゲットあるいは当社との間で合意したターゲットに対してCRISPR-GNDM®技術を用いた候補品を作成することに対し共同研究開発契約を締結し、共同研究開発の契約一時金(A)を受領します。共同研究開発契約後は、開発の進捗に応じて共同研究開発のマイルストン収入(B)を受領します。プロトタイプ分子※27の作成、システムの最適化、動物モデルでの検証を経て、通常は前臨床試験の前の段階で将来の製造販売権の全てあるいは一部を譲渡するライセンス契約を締結し、ライセンスの契約一時金(C)を受領します。ライセンス契約締結後は、パートナーまたは共同で開発を行い、その開発の進捗に応じて当社はライセンスの開発マイルストン収入(D)を受領します。また、上市後は売上の一部からライセンスのロイヤルティ収入(E)及び一定の売上条件を達成した場合にライセンスのセールスマイルストン収入(F)を受領する予定です。ライセンス契約締結後のパイプラインの開発及び販売はパートナーに委ねられており、したがって、(D)、(E)及び(F)について当社でのコントロール及び売上予測は困難になるという特徴があります。 ③ 自社モデルパイプライン 当社の自社モデルパイプラインでは、まずCRISPR-GNDM®技術でターゲットにする疾患及び遺伝子の決定から始まります。これは、メカニズムに基づいて妥当と思われる遺伝子を絞り込み、その中でアンメットメディカルニーズ※28があるものを当社と各疾患領域の専門家との綿密なディスカッションを通じて検証を行います。その後に当社技術を用いて、ターゲットに対して有効なプロトタイプ分子の作成を行います。さらにシステムの最適化を行いながら、疾患細胞、動物モデルなどを用いて実際に有効であるかどうかの検証を行います。この後に前臨床試験などによって毒性及び有効量の見積りを行い、GMP※29に準拠した原体の製造を行い、GLP※30準拠の前臨床試験を行うこととなります。 一般的には、当社が一定の開発段階まで開発を進めた後に、パートナーとのライセンス契約を行い、ライセンスの契約一時金(C)を受領する予定です。パートナーは、それ以降の開発及び販売を引き継ぐことになり、その開発の進捗に応じて当社はライセンスの開発マイルストン収入(D)、上市後は売上の一部からライセンスのロイヤルティ収入(E)及び一定の売上条件を達成した場合にライセンスのセールスマイルストン収入(F)を受領する予定です。 <当社のビジネスモデル> <当社の一般的な収入形態> 収入形態   内容 A   共同研究開発の契約一時金   共同研究開発を契約するにあたり、パートナーから得られる収入。 B   共同研究開発のマイルストン収入   共同研究開発契約を行ったパイプラインの開発進捗に応じて設定したいくつかの目標を達成する毎に一時金として得られる収入。 C   ライセンスの契約一時金   パイプラインあるいは共同研究開発の成果に対する独占的な権利をパートナーに付与する対価として得られる収入。 D   ライセンスの開発マイルストン収入   ライセンス契約を行ったパイプラインの開発進捗に応じて設定したいくつかの目標を達成する毎に一時金として得られる収入。 E   ライセンスのロイヤルティ収入*   製品が上市後に、その売上からあらかじめ定められた一定割合をパートナー企業から受領する収入。 F   ライセンスのセールスマイルストン収入*   上市後に一定の売上条件となる重要な節目、目標に応じて受領する収入。 *:現時点での実績はないが、将来計画している収益。 2025年12月末現在において、8品目の自社モデルパイプラインを有しており、進捗状況は下記のとおりとなっております。 <当社の開発パイプライン(2025年12月末現在)> *1: LAMA2-related congenital muscular dystrophy = 先天性筋ジストロフィー1A型*2: Myotonic Dystrophy Type 1 =筋強直性ジストロフィー1型*3: Duchene Muscular Dystrophy (デュシェンヌ型筋ジストロフィー)   *4: facioscapulohumeral muscular dystrophy =顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー*5: Dilated Cardiomyopathy 拡張型心筋症 自社で開発する自社モデルパイプラインについては一定の段階でパートナーとライセンス契約を締結すべく取り組んでおります。 <用語解説> ※1   CRISPR技術   CRISPR(クリスパー)とは、Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeatsの略。ターゲット遺伝子を切断する通常のゲノム編集技術。 ※2   遺伝子コード   核酸の塩基配列からタンパク質のアミノ酸の配列に変換するための暗号。A、G、C、Tの4つの塩基のうち3塩基の組み合わせで26のアミノ酸に対応する。 ※3   エピジェネティクス   生まれた時に既にもっている遺伝子そのものは変わらないが、生後、年齢や環境によって遺伝子発現に変化が起こり、表現型(外見や生理的機能)に影響を与えること。 ※4   遺伝子治療薬   遺伝子コードあるいはエピジェネティクスのエラーを補完や修復、あるいは抑制する機能をもった遺伝子を外部から細胞内に導入することにより、病気の原因であるこれらのエラーを直接治し、治療を行う医薬品。 ※5   CRISPR/Cas9   第三世代のゲノム編集技術。CRISPR/Cas9 は、元々はバクテリアのシステムで、バクテリアがウィルスなどに由来する外来遺伝子の一部を切り取って自分の中に保存し、次に感染を受けたときの防御のために用いる免疫のように働くシステムのこと。このシステムの過程で、外来遺伝子を切断して自身のDNAのなかに挿入していることから、遺伝子の編集目的に利用できる可能性が着目されたことにより、メカニズムの解明競争が起こり、その結果、2012年に米国カリフォルニア大学バークレー校(以下、「UCB」という。)のジェニファー・ダウドナ博士及び共同研究者のエマニュエル・シャルパンティエ博士によって、バクテリアでゲノム編集を再構築できることが証明され、またブロード研究所(米国マサチューセッツ州)(以下、「ブロード研」という。)のフェン・チャン博士によりヒトなどを含む動物の細胞においてもゲノム編集技術として利用できることが見いだされた新しい技術。これにより、DNAをゲノム上の特定の場所で切断することが可能になり、遺伝子疾患などをターゲットとした医薬品のみならず、品種改良など幅広い領域で利用可能となった。 ※6   CRISPR酵素   CRISPR/Casシステムで用いられるCas酵素群。guide RNAと協働して二本鎖DNAを切断するハサミの役目を果たす。 ※7   Cas9タンパク質   CRISPR酵素の一種であるCas9を構成するタンパク質。 ※8   切断活性   切断酵素タンパク質が実際にDNAやRNA等の対象を切断するハサミとしての機能、及びその強さ。 ※9   遺伝子の転写   DNAの遺伝子情報をRNAへと写しとる過程。 ※10   スイッチング分子   標的の遺伝子発現を活性化もしくは抑制する調節を担う機能分子、転写因子等。 ※11   ガイド核酸   guide RNA。CRISPR/Casシステムで遺伝子配列特異性を与えるために使用される数十塩基のRNA。 ※12   薬物動態   薬物が体内でどの様に分布し、ターゲット臓器に到達するかの過程。 ※13   メカニズム(Proof-of-Mechanism(PoM))   薬物が仮説通りに標的に作用するかを証明すること。 ※14   概念実証(Proof-of-Principal(PoP))   薬物が仮説通りに病態に薬理的な作用を有するかを証明すること。 ※15   コンセプト実証(Proof-of-Concept(PoC))   新薬候補物質の有用性・効果が臨床試験で得られ、仮説が証明されること。 ※16   同定   同一であると見きわめること。単離した化学物質が何であるかを決定すること。 ※17   分子標的薬アプローチ   ある特定の分子を標的として、その機能を制御することにより治療する方法。 ※18   第Ⅱ相臨床試験   臨床試験第2番目の段階で、第Ⅰ相試験で安全性が確認された用量の範囲内で、同意を得た比較的少数の患者を対象とし、主に治験薬の安全性及び有効性・用法・用量を調べるための試験。臨床試験とは、ヒトを対象として薬や医療機器など、病気の予防・診断・治療に関わるいろいろな医療手段について、その有効性や安全性などを確認するために行われる試験のことで、以下が臨床試験の3つのステップである。第Ⅰ相:少人数の健常人を対象に候補薬剤の投与量を少しずつ増やしていき安全性や代謝を調べ、投与法の基礎情報を得る。第Ⅱ相:少人数の患者を対象に候補薬剤の投与量や投与タイミングを副作用や有効性を指標に試験する。第Ⅲ相:多数の患者を対象に安全性・有効性及び投与法を確認する。その際、既存薬もしくはプラセボ(偽薬を投与)を比較対象に用いる。 ※19   単因子遺伝子疾患   一つの遺伝子の変異が原因となって病態が生じる遺伝子疾患。 ※20   ヒトPoC   新薬候補物質の有用性・効果が、ヒトに投与することによって認められること。 ※21   部位特異的   ここでは塩基の特定の配列、パターンにのみ作用すること。 ※22   ヌクレアーゼ   核酸(DNA、RNA)を分解切断するハサミである核酸分解酵素の総称。 ※23   ZFN(ジンクフィンガーヌクレアーゼ)   第一世代のゲノム編集技術。遺伝子疾患毎に全てをデザイン、作製する必要がある。ただし切断部位選定には一定の条件があり限定的である。 ※24   TALEN(タレン)   第二世代のゲノム編集技術。転写因子様TAL Effector(TALE)を持つ。遺伝子疾患毎にすべてをデザイン、作製する必要がある。切断部位はすべての遺伝子の塩基配列に対して任意に選定可能で、標的としていないDNA配列を誤って切断してしまうことが少ない。 ※25   ウィルスベクター   ウィルスの強い感染力を利用し、体内あるいは細胞内に遺伝子を導入する運搬体のこと。ウィルスが遺伝子の運び屋になるので、ウィルスベクターと呼ばれる。医療品用として用いられる場合は、感染能力以外の問題となる機能は改変され、安全化されている。 ※26   遺伝子の二重鎖切断   二本鎖DNAである遺伝子をある部位で二本とも切断すること。 ※27   プロトタイプ分子   薬剤の原型となる分子。 ※28   アンメットメディカルニーズ   いまだ有効な治療法がない疾患に対する医療ニーズのこと。生活習慣病や癌など患者数が多く治療薬を必要とするもの、患者数は少ないが治療薬の必要性が高いもので希少疾患(難病)が挙げられる。 ※29   GMP(Good Manufacturing Practice)   施設場所の設備・機器、組織・職員、検査・手順・結果等が、安全かつ適切であることを保証する医薬品の製造品質管理基準。 ※30   GLP(Good Laboratory Practice)   医薬品の非臨床試験の安全性に関する信頼性を確保するための基準。 ※31   IND   Investigational New Drugの略。米国における新薬候補臨床試験の開始届で、承認を得ること。新薬候補に関する前臨床試験の情報パッケージを当局(FDA:アメリカ食品医療品局、Food and Drug Administrationの略)に提出・申請し、この申請が承認されなければ臨床試験(ヒトでの安全性や薬効などの試験)は実施できず、医薬品開発の非常に重要なステップ。
経営方針・対処すべき課題4,120字を開く

経営陣が考える方向性と課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針 ゲノム編集治療薬の研究開発及び製造を営む当社グループは、そのコアとなるプラットフォームである『切らないCRISPR技術(CRISPR-GNDM®技術)』を用いた創薬によって、その多くが希少疾患に属する遺伝子疾患に対して治療薬を次々と生み出し、企業理念である「Every life deserves attention (すべての命に、光を)」のとおりに、病気で希望を失わなくてすむ社会の実現に貢献してまいります。 (2) 経営戦略 当社グループでは、独自の創薬プラットフォームシステムCRISPR-GNDM®技術を活用し、遺伝子治療薬を生み出すことにより、数千あるといわれる遺伝子疾患で苦しむ方々に貢献することを目的とし、新しい創薬技術(モダリティ)である「遺伝子治療」あるいは「エピゲノム編集治療」市場の創成に寄与し、世界の医療の進歩に貢献してまいります。 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 遺伝子治療薬は、世界的にもまだ本格的な普及段階には至っていない最先端のものであり、当社グループを取り巻く環境の今後の動向は不確実性が高くあります。また、医薬品の開発においては、研究開発段階から上市に至るまでの研究期間が長期間にわたるため、一般的なROAやROE等の財務指標を目標とすることは適さないと考えております。 そのため、当社グループは、1)年間IND申請件数(うち臨床段階への移行数)、2)パートナーとの契約条件、3)自社パイプライン比率などを経営上の目標の達成状況を判断するための指標としております。これらの指標と財務のバランスを取りながら経営を行うことが、企業価値を高めることになると認識しています。 (4) 経営環境 2017年にLuxtrnaが遺伝性疾患に対する最初の遺伝子治療薬としてアメリカ食品医薬品局(FDA: Food and Drug Administration)で製造販売承認を受けたことを皮切りに、複数の遺伝子治療薬が毎年承認される状況になっております。現在遺伝子治療は世界で3,000本のアクティブ治験が行われている状況で、またゲノム編集においては、クリスパーセラピューティックス社の血液疾患治療薬が、バーテックス社と共同で製造販売承認を2024年にFDAから受けております。 各国の当局機関は遺伝子治療に対して引き続き前向きな姿勢を維持しており、ガイドラインの制定、治験のための環境整備を通じ、遺伝子治療に係る承認制度の整備や新薬承認のスピードアップが継続的に図られていくことが予想されます。日本でも2014年11月に施行された「再生医療安全性確保法」及び「薬機法」において、再生医療とともに遺伝子治療も産業振興が進む中、2015年9月には、新制度の早期承認制度下で初めてとなる国内の再生医療等製品(遺伝子治療を含む)に対しての条件・期限付き販売の承認がされるなど、遺伝子治療推進への意識は見られています。しかしながら、現実的には欧米や中国に比べても臨床試験の本数は圧倒的に少ない状況となっています。これはカルタヘナ法対応など米国等に比べてよりハードルの高い規制対応があることも原因ですが、根本的には先端医療に対する保守的なパブリック・アクセプタンスや、医療側の経験がまだ十分でないことにより大きな原因があり、ファースト・イン・ヒューマン試験(世界で最初に開発薬を投与する試験)を日本で行うには引き続き障害が大きいと考えています。当社としては、こうした日本の遺伝子治療がさらに水をあけられかねない状況を危惧しつつも、各国の規制などの状況を鑑みて、最適、最速の開発が実現するために、開発国の選択を含めた開発戦略を構築してまいります。 また、遺伝子治療の対象領域は、その裾野が初期の眼科領域などの局所投与による治療から、肝臓疾患や筋肉疾患領域などの全身投与を必要とする疾患へとターゲットが広がりつつあります。また全身投与による治療においては、ターゲット組織への組織選択性が課題となることから、組織特異的な送達を行うことができるような改変型送達方法が開発されるようになり、組織特異的ウィルスベクターなどの新しいデリバリー技術が登場し、これらを提携やライセンス契約を通じて当社も取り込んでおります。こうしたことを含めて、遺伝子治療の進歩は他分野の技術との融合によってさらに加速し、実用化ステージから、拡大収穫期へと進んだと当社は考えています。 遺伝子治療が対象とする疾患の多くは希少疾患で、患者数が少ない疾患に対する治療薬開発に対して、各国政府は税制優遇などのインセンティブを導入しております。世界で先行する地域の1つである米国においては、Rare Pediatric Disease Priority Review Voucher(RPD PRV)と呼ばれるFDA優先審査権(priority review)を付与するバウチャープログラムも導入されております。このプログラムは2012年に創設された後に、2024年12月に一旦失効しましたが、2026年の包括歳出法(Consolidated Appropriations Act)で復活しております。このことからも、希少疾患治療薬を開発することの社会的意義は重要であると認められており、当社もその一企業としてこれに積極的に取り組んで参ります。 一方で当社を取り巻く経済的な環境は、米国を震源地とする政治経済的な混乱の中で、当局の方針や人事の混乱、また関税などの制度の変更もあり、厳しい資金環境であると考えられております。結果として、引き続き多くのレイオフが米国のバイオテック・製薬会社で見られ、パイプラインの絞り込みや閉業などが多くアナウンスされています。また当社の場合、円安の進行などもあり、人件費をはじめとした費用高騰の形で支出サイドにインパクトを与えております。今後、事業遂行上で様々な制約を受ける可能性が否めず、また受ける制約は広範かつ予測が困難であるために、慎重に注視し、対策を講じていく必要があると考えております。 (5) 事業上及び財務上の対処すべき課題 当社グループでは、当社が継続企業として成長し続けるために対処しなければならない課題を以下のように考えております。 ① 研究開発活動における課題 当社グループは、創薬プラットフォームシステム:CRISPR-GNDM®技術を保有・活用しており、既存のモダリティでは実現しえなかったターゲットに対する創薬を実現できるという大きな技術的優位性があると考えております。また、CRISPR-GNDM®技術により創出される遺伝子治療の活用はこれまで困難であった希少疾患への医薬品開発への大きな可能性を秘めております。現在、当社ではCRISPR-GNDM®技術の更なる強化とそれを用いた自社・提携プログラムの開発を進めております。当社グループは、自社技術の優位性を確保し続けるため、国内外の製薬企業及び研究機関等との共同研究を推進しつつ、今後も自社内における研究開発、その体制の強化及び知財ポジションの強化を進める所存であります。 ② 営業活動における課題 当社グループのCRISPR-GNDM®技術を利用した治療薬をより多くの疾患に対して提供するためには、「幅のある開発」と「バリューチェーンの補完」を実現しなければなりません。そのためには、パートナーとより多くのターゲットに対する共同研究開発を実現する連携体制を構築し、また成果物の販売までの道筋をつくっていく必要があります。国内外の製薬企業あるいは製造・販売を業とするパートナーと戦略的かつ補完的な相互関係をさらに広げ、研究開発体制の進捗と連動した戦略的な営業活動が重要だと考えております。 ③ 内部管理・統制における課題 当社グループの創薬によって患者や医療システムを通じて社会に貢献するため、また事業活動を円滑に行っていくために、コーポレート・ガバナンスの強化が重要な課題の一つであると認識しております。研究開発の適正な意思決定と運営管理を行い、経営の健全性、透明性を高め、長期的、安定的かつ継続的に治療薬を生み出すことが、ひいては企業価値を向上させることに繋がると考えております。患者、医療従事者、株主をはじめ、全てのステークホルダーから信頼をいただけるよう、社会に対して説明可能な意思決定及び事業の遂行をしていくことが重要だと考えております。 ④ 資金調達における課題 当社グループは、CRISPR-GNDM®技術による創薬を拡大し、また今後の自社開発を実現するために、研究開発で必要とする資金を充当していく必要があります。そのため、提携などを通じた研究開発資金の獲得の他、資金調達手段の確保・拡充に向けて、株式市場からの必要な資金の獲得や銀行からの融資、補助金等を通して、開発に必要な資金調達の多様化を図ってまいります。 ⑤ 人材の獲得における課題 当社グループは、世界中の製薬会社・バイオベンチャーが研究拠点を置く米国マサチューセッツ州ケンブリッジ市を中心とするボストンエリアのウォルサム市に100%出資の研究開発拠点となる現地法人 Modalis Therapeutics Inc.を置き、Ph.D.(博士)研究者を中心に世界中から集まる研究人材へのアクセスを高めております。これによりコア・コンピタンスとなるプラットフォーム技術の強化及び創薬研究開発を高いレベルで維持し、国際的な競争力を実現しております。また、治験薬製造などコア以外の機能は外部協力事業者を活用し、資本効率を高められるようなリソース配分を行っております。今後、開発の加速、適応疾患の拡大、パイプラインの進捗等に応じて、必要に応じて適切かつ十分な人材確保に努めてまいります。
事業等のリスク22,773字を開く

会社が自認するリスクの一覧

3 【事業等のリスク】 当社グループの事業運営及び展開等について、リスク要因として考えられる主な事項を以下に記載しております。中には当社グループとして必ずしも重要なリスクとは考えていない事項も含まれておりますが、投資判断上、もしくは当社グループの事業活動を十分に理解する上で重要と考えられる事項については、投資家や株主に対する積極的な情報開示の観点からリスク要因として挙げております。 当社グループはこれらのリスクの発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、これらは投資判断のためのリスクを全て網羅したものではなく、さらにこれら以外にも様々なリスクを伴っていることにご留意いただく必要があると考えます。当社グループは、医薬品等の開発を行っていますが、医薬品等の開発には長い年月と多額の研究費用を要し、すべての開発が成功するとは限りません。特に販売開始前の研究開発段階のパイプラインを有する製品開発型バイオベンチャー企業は、事業のステージや状況によっては、一般投資者の投資対象として供するには相対的にリスクが高いと考えられており、当社への投資はこれに該当します。 なお、文中の将来に関する記載は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1)  遺伝子治療薬の研究開発に関するリスク ① 遺伝子治療薬について 当社グループは、遺伝子治療薬の研究開発を主な事業活動の領域としております。遺伝子治療は国内外において治験のための環境整備や新薬承認のスピードアップが図られ、将来的な拡大が想定される事業領域でありますが、遺伝子治療の領域は新規領域であるため、研究開発の動向や規制の強化、競合技術の台頭、資金調達等において当社の想定通りに事業が進展しなかった場合には、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を与える可能性があります。対策としては、常に最先端の科学技術や関連企業の動向をモニタリングし、適切な対応を取っていく所存です。 ② 先端医療に関する事業であることに由来するリスクについて 遺伝子治療薬の開発は、遺伝子治療薬の基盤となる学問や技術が急速な進歩を遂げている中で、遺伝子治療薬そのものに関する研究開発も非常に速いスピードで進んでおり、日々新しい研究開発成果や安全性・有効性に関する知見が生まれている状況にあります。当社グループの基盤技術であるCRISPR-GNDM®については、現時点で先進的技術であり、また学術的に見ても一部の遺伝子疾患に対して安全性・有効性・応用可能性ともに他の遺伝子治療・ゲノム編集薬よりも優位性を持つ分野があると考えております。しかしながら、当社グループの技術が常に急激な技術革新の波に追い越される可能性があります。 また、世界的な遺伝子治療薬の開発状況は、欧州、米国等の一部の国や地域で医薬品として当局より製造承認を受けて実用化され始めている段階です。これまでに網膜疾患や脊髄性筋萎縮症(SMA)、サラセミア病、血友病や筋ジストロフィーなどに対する治療薬が承認を受けていますが、今後より広範な対象疾患に対する治療薬が承認をうけることが期待されています。日本国内においても、提出日現在で遺伝性疾患に対する遺伝子治療薬(ガン治療を目的としたものを除く)として当局から製造承認を受けたものはまだ限られた数にとどまっており、主に特定の医療機関や研究機関が用いる高度な医療技術として比較的限定された範囲での臨床研究・臨床試験を中心として行われている段階です。 一方で、筋ジストロフィーなど全身性疾患へと適用が広げられつつある結果、いくつかのハードルも明らかになりつつあり、2021年9月初旬に米国FDAにおいて細胞・組織・遺伝子治療諮問委員会(Cellular, Tissue, and Gene Therapies Advisory Committee)が開催され、開発が活発化している遺伝子治療等の安全性に関しての情報共有と議論がなされ、最新の知見に基づきモニタリングすべき事項が示されました。2022年3月に米国FDAよりゲノム編集医療に対するドラフトガイダンスが発行され、ゲノム編集治療薬はすでに臨床試験中のものも複数ある中で、開発、特に治験申請に対するフレームワーキングの動きが出てくるに至っています。こうしたことを含め、まだ発展途上にある遺伝子治療薬の開発実績が他の医薬品開発と比較して豊富でないことから、想定していない副作用が出る可能性があります。こうしたリスクの発生により、当社グループの事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 対策としては、遺伝子治療に対する対応と同様に、常に最先端の科学技術や関連企業をモニタリングし、適切な判断、アクションをとっていく所存です。 ③ 法規制改正・政府推進政策等の変化に由来するリスクについて 遺伝子治療薬に関連する本邦内外の法規制については、最新の技術革新の状況に対応すべく常時変更や見直しがなされる可能性があります。例えば、法律・ガイドライン等の追加・改正により、これまで認められてきた開発方針が認められなくなるリスクや当社グループの想定通りの開発契約や申請内容で薬事承認が下りない、または薬事承認の取得に想定以上の時間を要するといったリスクも否定できません。たとえ当社の製品候補が薬事承認を得られたとしても、承認後の法律・ガイドライン等の追加・改正により新たな規制に服する可能性もあります。このような事象が顕在化した場合には、当社グループの事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 また現在、米国や日本をはじめとする医療先進国においては先端医療に係る各種の推進政策が実施されております。これらの推進政策は、当社が推進する遺伝子治療薬に大きな影響を与える可能性がありますが、その影響の内容・大きさは現時点で定かではないことから、当社が予見しえない推進政策が採られた場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 対策としては、法規制の流れをモニタリングしていくと同時に、必要な場合には独自あるいは業界団体を通じてしかるべき働きかけを行い、当局の合理的な政策形成に関与していくことも必要であると考えています。 ④ ヒトまたは動物由来等の原材料の使用に関するリスクについて 一般的に遺伝子治療薬は、ヒト細胞・組織を利用したものであり、利用するヒト細胞・組織に由来する感染の危険性を完全に排除し得ないことなどから、原材料の安全性に関するリスクが存在するとされています。また遺伝子治療薬は、原材料や製造工程で使用する培地に動物由来原料を使用しており、この動物由来原料の使用によって未知のウィルスによる被害等が発生することが否定できないため、これらのリスクが当社グループの事業戦略及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。対策としては、技術的にこうしたリスクを生じる原料の使用を回避する手段を模索すると同時に、現行の方法でも必要なリスク低減措置を行なっていく所存です。 ⑤ ゲノム編集技術における競合リスクについて CRISPR/Cas9は、2012年にUCB及びブロード研などで発見された新たなゲノム編集技術ですが、以前から研究されてきたジンクフィンガー(ZFN)、メガヌクレアーゼ(Meganuclease)、タレン(TALEN)及びその派生型といった別のゲノム編集技術もあります。さらにCRISPR技術においてもCas9の他にCas12a、Cas12f、Cas13、Cas14、CasX、CasΦといった別のCasファミリーが見つかっており、CRISPR/Cas9の代替手段となり得る可能性があります。ゲノム編集は、国際的な巨大企業を含む国内外の数多くの企業や研究機関等による激しい競争状態にあり、その技術革新は急速に進んでいる状況であります。 CRISPR-GNDM®技術は、遺伝子を切らない方法による安全性への訴求及び酵素の小型化による細胞内部への到達性の高さから、ゲノム編集や一般の遺伝子治療と棲み分けができる分野が多数ある一方で、一部の対象疾患においては他のモダリティによる開発品と競合するものがあります。また、CRISPR-GNDM®技術と同じようにエピジェネティクスの操作により遺伝子制御をする技術として、Sangamo社(Sangamo Therapeutics Inc. 米国カリフォルニア州、ティッカーシンボル「SGMO」)が開発を行うZFP-TFのように他のDNA結合モチーフを用いることにより遺伝子制御を実現することも可能です。Chroma Medicine(Chroma Medicine, Inc. 米国マサチューセッツ州)あるいはTune Therapeutics (Tune Therapeutics, Inc. 米国ノースカロライナ州)といったエピジェネティクスの直接制御を標榜する会社がここ数年で複数設立されています。さらにはウィルスベクターやナノカプセル(LNP)などの技術革新により、より大きいサイズの分子を遺伝子導入するような技術も模索されております。これらは小型化を必要としないことにつながり、当社技術を迂回してCRISPRに基づく遺伝子制御を行なうことを可能にします。これらの競合相手や今後開発されてくる可能性のある新技術との競争において必ずしも当社グループが優位性をもって継続できるとは限らず、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動における競争の結果により、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 対策としては、各要素技術のさらなるバージョンアップを行っていくと同時に、最新の技術の動向をモニタリングしながら必要な技術については導入などを検討していくことで、当社技術の保護・強化にむけて努力を続けてまいります。また、当社グループの技術等の優位性を確保できるパイプラインを優先しながら研究開発を進めて、仮に競合優位性を保てないと判断したものについては、中止等の判断を含むポートフォリオの見直しを随時行なっていきます。 ⑥ 遺伝子治療及びゲノム編集に対する社会的意識形成のリスクについて 遺伝子治療やゲノム編集は、病気の原因となっているヒトの遺伝子を操作する治療方法です。一方で、遺伝子操作に対する社会の理解は、食品や植物などに使われている遺伝子組み換え技術などの様々な遺伝子関連技術と混同されて正しい理解が進んでいない状況にあります。また、2018年末に中国の研究者がヒト受精卵のゲノム編集を行い、操作された受精卵から実際に子供が産まれたと報告し、ゲノム編集に対する倫理面での課題を提起させるきっかけとなりました。こうした当社グループ以外の他グループによる社会倫理または生命倫理から逸脱した行為が発生した場合、遺伝子治療やゲノム編集に係る自由な研究活動に対する規制の強化や社会的信頼の失墜を通じて、当社グループの事業展開にも重大な影響を及ぼす可能性があります。対策としては、当社グループは遺伝子治療やゲノム編集に対する正しい理解とその中で当社技術の安全面における優位性の理解を浸透させるべく、各種シンポジウムなどに参加するなど情報発信を行い、啓蒙によってこれらのリスクを低減する努力をしてまいります。 ⑦ 遺伝子治療薬に係る将来的な治験の実施について 当社グループは、将来的にパートナーあるいは当社グループにより開発されたCRISPR-GNDM®に基づく遺伝子治療薬の治験を計画しております。治験計画は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA:Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)やFDAなどの当局と事前に相談し、綿密な計画を立てていくことになりますが、いまだ遺伝子治療薬の治験実施例は多くはないことなどから、治験の準備、治験実施施設における各種手続きが計画通り進行しないこと、治験に必要とされる患者を適切に確保できないこと等の様々な要因によって遅延する可能性があります。さらに、安全性に関する許容できない問題が生じた場合や、期待した有効性を確認できない場合には、開発を中止するリスクがあります。このような場合、当社グループの事業戦略及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。対策としては、規制動向のモニタリングと同時に患者団体などとの連携を図ることで、適切な患者リクルートのアセスメントと実行を実現できる方法を模索してまいります。 (2) 医薬品業界に関するリスク ① 新薬開発の不確実性について 医薬品の開発には多額の研究開発投資と長い時間を要しますが、臨床試験や前臨床試験で有用な効果を発見できないこと等により研究開発が予定通りに進行せず、開発の延長や中止の判断を行うことは稀ではありません。また、日本国内はもとより、海外市場への展開においては、各国の薬事関連法規等の法的規制を受けており、新薬の製造及び販売には各国別に厳格な審査に基づく承認を取得しなければならないため、有効性、安全性、品質等に関する十分なデータが得られず、予定していた時期に上市ができず延期になる、または上市を断念する可能性があります。上市時期の延期となった場合には、当社グループのパイプラインにおいて追加の資金投入が必要になるほか、特許権の存続期間までの期間が短くなり、投資した資金の回収に影響を及ぼす可能性があります。また、上市を断念した場合には、投じた研究開発資金が回収できなくなります。こうした事象は当社グループのパイプラインを他社にライセンスアウトする協業モデルパイプラインでも同様であり、想定したマイルストン収入やライセンス収入が得られなくなるなどの影響が生じます。こうした事態が発生した場合には、当社グループの業績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。対策としては、パートナー企業との連携やパイプラインのポートフォリオ化を行うことでリスクの分散を行うとともに、適切なポートフォリオの入れ替えを含む見直しを随時行うことで不確実性を可能な限りヘッジしていく予定です。 ② 副作用発現及び製造物責任について 医薬品は、臨床試験段階から上市後において、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。当社グループは、こうした事態に備えて、前臨床段階から多面的な安全性の検討や可能な限りのリスクを低減する努力を行い、然るべき研究開発段階において製造物責任を含めた各種賠償責任に対応するため適切な保険に加入する予定でおりますが、最終的に当社グループが負担する賠償額の全てに相当する保険金が支払われる保証はありません。また、当社グループに対する損害賠償の請求が認められなかったとしても、製造物責任請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、当社グループ及び当社グループの製品に対する信頼に悪影響が生じる可能性があります。これら予期せぬ副作用が発現した場合、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響が及ぶ可能性があるとともに、社会的信頼の失墜を通じて当社グループの事業戦略及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 国内外の薬事法その他の薬事および研究開発に関する規制について 医薬品業界は、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の薬事法(我が国においては「薬機法」)及びその他の関連法規等により、様々な規制を受けております。 現在のところ、当社グループのパイプラインは研究開発段階にあり、我が国の厚生労働省、FDA、欧州医薬品庁(EMA)等から上市のための認可は受けておりませんが、今後、各国の薬事法等の諸規制に基づいて医薬品の製造販売承認申請を行い、承認を取得することを目指しております。 当社グループのパイプラインについても、上記の規制をクリアするための体制整備が求められることになります。また、各国の薬事法及びその他の関連法規等は随時改定がなされるものであり、さらなる体制の整備・変更を求められることが考えられます。こうした規制への対応を適切に行えなかった場合、また規制対応に多額のコストを要すことにより、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 なお、当社グループでは米国マサチューセッツ州ウォルサム市に研究開発拠点を有しており、州及び市当局の各種規制等に準拠して研究開発活動を行っております。 ④ 国内外における医療費抑制策について 当社グループの遺伝子治療薬の最重要ターゲットである米国において、2010年3月に改定された医療保険改革法案等による先発医薬品への価格引下げ圧力及び低価格のジェネリック医薬品の使用促進が進んでいます。また米国でも医療費抑制政策を発表しており、保健医療制度に大きなインパクトがある可能性があります。日本国内においても、政府は増え続ける医療費に歯止めをかけるため、医療費の伸びを抑制していく方針を示しており、定期的な薬価引き下げ及びジェネリック医薬品の使用促進等が進んでいます。当社グループ、またはパートナーにライセンスした医薬品候補が上市された場合には、各国政府の医療費抑制に基づく薬価政策の影響を直接、若しくは間接に受け、当社グループの収益、若しくはパートナーからのロイヤルティ収入に影響を及ぼすことになり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (3) 事業遂行上のリスク ① 主要な事業活動の前提となる事項について 当社グループは、国立大学法人東京大学(以下、「東京大学」という。)との間において特許権について共同保有するなどしております。同大学との間では、改変Cas9にかかる同大学との共有特許について、独占的実施権の許諾を受け、その対価として、契約一時金及びかかる特許権を第三者に実施許諾した場合の収入(契約一時金、マイルストン収入、ロイヤルティ収入)の一定料率に相当する金額を同大学に支払うこと等を定めた下記の契約を締結しており、事業に関わる重要な契約であると認識しております。 またEditas Medicine, Inc.(米国マサチューセッツ州、ティッカーシンボル「EDIT」。以下、「エディタス社」という。)との間においては、特許のライセンス契約を締結しております。同社との間では、同社がライセンス権を有するCRISPR/Cas9特許について、非独占的実施権の許諾を受け、その対価として、契約一時金を支払っております。これに加え、事業の進捗に伴うマイルストン、サブライセンス収入及び上市後のロイヤルティ等を同社に支払うことを定めた下記の契約を締結しており、事業の根幹に関わる重要な契約であると認識しております。 さらに2025年にブロード研との間で、筋肉指向性キャプシドに関する特許のライセンス契約を締結しております。同機関との間では、同機関が特許権を有するMyoAAV特許について、MDL-101の開発領域に係る非独占的実施権の許諾を受け、その対価として、契約一時金を支払っております。これに加え、事業の進捗に伴うマイルストン、サブライセンス収入及び上市後のロイヤルティ等を同機関に支払うことを定めた下記の契約を締結しており、事業の根幹に関わる重要な契約であると認識しております。 現時点では、東京大学、エディタス社およびブロード研との取引については良好な関係を維持しつつも、当社グループまたは株主の利益を害することのないよう法規制を遵守するとともに、取締役会の監視等を通じて十分留意しております。下記契約の継続に支障をきたす要因は発生しておりませんが、今後、当該契約の継続に支障をきたす要因が発生した場合、あるいは当社にとって不利な契約改定が行われた場合及び契約期間満了後に契約が継続されない場合は、当社グループの利益及び社会的評価を損ねる可能性があり、その結果として当社グループの事業、業績や財務状況等に重大な影響を及ぼす可能性があります。 いずれの契約においても当該条項に該当する事案が発生する可能性は低いと考えておりますが、何らかの理由により当該条項に抵触した結果、契約が解除された場合に当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 契約書名   契約会社名(契約締結日)   契約内容 発明の特許共同出願に関する契約   国立大学法人東京大学、株式会社東京大学TLO(2018年10月15日)   後述の「5 重要な契約等 (1)基盤技術に関する独占ライセンス契約」をご参照ください。 Non-Exclusive License Agreement   Editas Medicine, Inc.(2020年4月1日)   後述の「5 重要な契約等 (2)当社が実施許諾を受けているライセンス契約」をご参照ください。 Non-Exclusive Patent License Agreement   The Broad Institute, Inc.(2025年7月3日)   後述の「5 重要な契約等 (2)当社が実施許諾を受けているライセンス契約」をご参照ください。 ② 特定の技術への依存について 当社の協業モデルパイプライン及び自社モデルパイプラインは、いずれも当社の創薬開発プラットフォームシステム(CRISPR-GNDM®)により創製される遺伝子治療薬で構成されています。CRISPR-GNDM®技術は新規性・進歩性を有するオリジナリティの高いものであり、容易に代替技術が生まれて当社の存在価値が危ぶまれるような事態になることは現時点では可能性として高くないと認識しておりますが、CRISPR-GNDM®技術に対する製薬企業の評価が変化した場合や当社のCRISPR-GNDM®技術がパートナーの医薬品開発に貢献できない事態が生じた場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 協業モデルパイプラインについて 当社グループは、開発中の遺伝子治療薬候補品に関し、パートナーである製薬会社と共同研究開発契約及びライセンス契約を締結する場合があり、これらの契約によるパートナーと締結する共同研究開発契約による開発協力金並びに現在開発中のパイプラインのライセンスアウト時の契約一時金、開発進捗に伴うマイルストン収入及びロイヤルティ収入等による収入を元にした事業収益計画を有しています。 しかしながら、このような提携契約には、パートナーによる解除が可能である旨の条項が含まれていることがあるため、パートナーの経営方針の変更や経営環境の極端な悪化等の当社がコントロールし得ない何らかの事情により、期間満了前に終了する可能性があります。現時点では現在のパイプラインに対してこれらの契約が終了となる状況は発生していませんが、本契約が期間満了前に終了した場合は、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 また、当社がパートナーにライセンスアウトした医薬品候補は、パートナーが主体となって臨床試験及び承認申請を行うことになりますが、その進捗と結果が当社の事業戦略及び経営成績に大きな影響を及ぼします。当社は、ライセンスアウト後もパートナーをサポートしますが、臨床試験及び承認申請はパートナーが行うものであり、当社でコントロールすることはできません。したがって、臨床試験及び承認申請の進捗が当社の予期しない事由により遅滞が発生すること、臨床試験及び承認申請が断念されることによりマイルストン収入やロイヤルティが得られず、当社の事業計画や経営成績、財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 なお、当社グループでは今後、こうした開発中のパイプラインの中断や中止による経営成績や財政状態への影響を避けるため、パイプラインの複線化を行うとともに、早期より共同開発パートナーとの提携やライセンスアウトすることによって将来収益の一部を提供することと引き換えにリスクの低減を行います。また、技術的問題が要因で開発の中断が発生した際には、成功確率がより高いターゲットへ研究資源の再配分を実施します。一方でパートナーの戦略的判断による場合で当社グループが開発継続に合理性があると判断する場合は、自社または別のパートナーとの協業によって開発を継続することを検討いたします。 さらに、製造販売承認後の販売計画はパートナーに依存しており、パートナーの経営方針や販売計画の変更、経営環境の悪化等により販売計画を達成できない等の可能性があります。 そのほか、医薬品の研究開発には多額の資金が必要となることから、当業界においては組織再編やM&Aが盛んであり、パートナーの組織再編、競合他社による買収(競合他社から買収される)など、業界における競争の構図が短期間に塗り替えられる可能性があります。こうした大規模な企業組織再編が当社のパートナーに生じた場合、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 対策としては、パートナー企業との連携やパイプラインのポートフォリオ化を行うことでリスクの分散を行うとともに、適切なポートフォリオの入れ替えを含む見直しを随時行うことで不確実性を可能な限りヘッジしていく予定です。 ④ 共同研究開発間のコンフリクトについて 提出日現在、当社の協業先としてのパートナーがあります。パートナーまたはパートナー候補の製薬会社は、独自戦略に基づきターゲット遺伝子を絞り込んでおります。遺伝子疾患のターゲットとなる遺伝子は数千ありますが、パートナーまたはパートナー候補の間で意中のターゲット遺伝子が競合してしまう可能性があります。当社はターゲット毎に排他的契約を結んでいることから、後から既にパートナーと契約を締結済みのターゲットを希望する製薬会社が現れた場合には、当社は新たな共同研究開発契約や新たなターゲットが獲得できないなど、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 自社モデルパイプラインについて 当社グループでは、協業モデルパイプラインの他に自社モデルパイプラインの研究開発を進めております。これらのプログラムは非臨床試験において、GMPに準拠した原体の製造を行い、GLP準拠の前臨床試験を行う計画です。自社モデルパイプラインについては、研究開発が順調に進展し、臨床試験まで当社の負担で実施する段階になると、多額の開発費用を要する状態になる可能性があります。また、自社モデルパイプラインの研究開発が自社の理由あるいは外注先などの理由によって順調に進展しない場合には、将来の事業化のタイミングが遅れることによって収益化のタイミングが遅延したり、あるいは競合企業の事業化に遅れをとることで事業化の可能性を失ったりする可能性があります。さらに開発の各段階で、技術上の理由あるいは戦略上の理由でパイプラインの開発を中断することがあり、その場合にはそれまでに投資した研究開発費を回収できない可能性があり、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。対策としては、適切なプロジェクト管理を行うことによって遅延のリスクを低減するとともに、複数の委託先候補との協議を並行して行い、必要なプロセスについては複線化を検討することによってバックアップが可能な体制を構築することでタイムラインに遅延が生じないようなスロットの確保を目指してまいります。 ⑥ 情報管理について 当社グループの事業は、パートナーである製薬会社からターゲットの情報を預かる立場にあります。そのため、当社グループは、従業員との間において顧客情報を含む会社の情報の保護に係る誓約書を徴求し、会社情報の漏洩の未然防止に努めております。また当社グループの固有の技術、パイプライン、それらの開発の進捗状況などは重要な情報であり、これらにアクセスが可能な役員、従業員、共同研究先、アドバイザーなどから漏洩する可能性があります。当社グループは漏洩防止のためのセキュリティー対策を行っておりますが、万一顧客の情報を含む会社の情報が外部に漏洩した場合は、当社グループの信用低下を招き、事業戦略に影響を及ぼす可能性があります。 ⑦ 投資に関するリスク 当社グループでは、常に最先端の技術開発に取り組み、周辺領域を含め当事業に参入している企業や潜在的な競争相手に先んじるため、関連する技術や特許を保有する企業に対して投資という形で提携を進める可能性があります。投資先の選定やその投資価額の妥当性等においては、第三者機関の評価を得たうえで慎重に進めてまいりますが、投資先において予期せぬ問題が生じた場合や、予想通りに研究開発が進まない場合には、投資したものの価値が毀損し、当社グループの事業戦略及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 他社との戦略的提携・企業買収等の成否について 当社グループは、競争力の強化及び事業分野の拡大等のため、他社の事業部門の譲受け、他社の買収、他社との業務提携、合弁会社の設立、他社への投資等の戦略的提携など(以下、「戦略的提携等」という。)を行うことがあります。こうした戦略的提携等については、提携先企業との思惑に相違が生じて提携・統合が円滑に進まない可能性や当初期待していた効果が得られない可能性、投資した金額の全部または一部が回収できない可能性があります。また、提携先企業が当社グループの利益に反する決定を行う可能性があり、提携先企業が事業戦略を変更した場合など、当社は戦略的提携等の関係を維持することが困難になる可能性があり、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (4) 知的財産権に関するリスク ① 自社特許等の取得・出願状況等について 当社グループは事業において様々な発明及び特許の出願をしておりますが、これらは単独、あるいはパートナーと共同で出願したものを含みます。さらには大学などが単独で出願し、ライセンス契約により当社グループに独占的あるいは非独占的な実施権が許諾されているものが存在します。 これらの特許の一部は審査中の段階にありますが、出願中の発明すべてについて特許査定がなされるとは限らず、特許権が設定登録された場合でも特許異議申立制度により特許の全部または一部の請求項が無効化される可能性があります。また、特許権侵害訴訟の提起や特許無効審判が請求されるなど特許権の有効性、帰属などに係る法的な紛争が生じ、当社グループが実施する権利に何らかの悪影響が生じる可能性があります。さらに、当社グループが実施する特許権を上回る優れた技術の出現により、当社グループが有する特許権に含まれる技術が陳腐化する可能性があります。こうした事態が生じた場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 そのほか、大学などが出願人である発明または特許権に関して、当社グループは契約により第三者サブライセンス権付き独占実施・許諾権を獲得しておりますが、当該契約の内容が変更されることや、期間満了及び解除等により契約が終了した場合において、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ② 職務発明に対する社内対応について 当社グループが職務発明の発明者である役職員等から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社グループは日本の特許法が適用されるときには、同法に定める「相当の利益」を支払うことになります。職務発明の取扱いにつき、相当の利益の支払請求等の問題が生じた場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。対策としては、その取扱いについて社内規則等でルールを定めると同時に職務発明に関しては研究員との間でPatent Assignment Agreement(特許譲渡契約)を締結しており、これまでに発明者との間で問題が生じたことはありません。 ③ 第三者知的財産権について 当社グループは、その事業を遂行していく中で、自社で特許権または特許権にかかる独占的な実施権など一定の排他的権利を確保した上で事業を行っておりますが、その他にも第三者が有する知的財産権を使用することがあります。CRISPRによるゲノム編集領域では現在知的財産権が複雑に入り組んでおり、当社グループでその事業に必要な知的財産であると特定している知的財産権以外のグループの知的財産に抵触している可能性があります。当社では適法な手続きのもとに知的財産権を使用することとしており、必要な知的財産権は製造販売に至るまでにライセンス契約などにより順次取得していく計画にしておりますが、第三者の知的財産権に関連して係争が生じる可能性もあります。当社では、第三者の知的財産権に抵触することを回避するため、調査、検討及び評価等を随時実施し、必要に応じて遅滞なく実施許諾契約(ライセンス契約)を締結しておりますが、今後、事業の拡大とともにこのようなリスクは増大するものと思われます。またライセンス契約などにより利用許諾をうけた実施権についても期間満了や解除等により権利が失われる可能性があります。当社グループは、知的財産権に関する管理体制をより強化していく方針でありますが、訴訟等が提起された場合、当社の事業戦略及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループが有する知的財産権が第三者により侵害される可能性もあります。当社グループとしては、このような場合には知的財産権保護のために必要な法的措置を検討していく方針ですが、費用対効果や第三者から特許無効審判等を提起される可能性なども勘案し、あえて法的措置に踏み切らない可能性も否定できません。その場合、当該第三者が当社グループと競合する事業を行う可能性も否定できないことから、当社グループの事業戦略及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが有する特許出願、ライセンスされた特許及びその他の知的財産は、優先権紛争または発明者紛争及び同様の手続きの対象となる場合があります。当社グループまたは当社グループのライセンサーが、これらの手続きのいずれかで失敗した場合、第三者からライセンスを取得することが必要となる場合がありますが、これらの場合にライセンスを商業的に合理的な条件で利用できない、または全く利用できないことにより、当社グループの事業戦略に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ④ CRISPR領域に係る知的財産権について 当社の事業領域にしているCRISPR領域は、基本特許が紛争中の状況下で新しい特許が次々に生み出されている状況にあり、関連領域の知的財産権の全体像は引き続き混沌としたままであることが予想されています。 また、これまでにCRISPRの有力な基本特許を有するブロード研の知的財産を元にエディタス社、もう一方の有力な基本特許を有するUCB=オーストリアVienna大学特許を元にインテリアセラピューティックス社(Intellia Therapeutics Inc. 米国マサチューセッツ州、ティッカーシンボル「NTLA」)及びクリスパーセラピューティックス社(CRISPR Therapeutics AG スイスバーゼル市、ティッカーシンボル「CRSP」)が設立されています。 現在、CRISPR領域においては、知的財産権の帰属や範囲が複雑であり、必要な権利の整理は引き続き進行中の状況にあります。これは、医薬品開発において、承認申請にかかるあらゆる情報の作成と合理的に関連する特許発明の使用は、ボーラー条項の免責範囲(セーフハーバー)に当たるとの判決にしたがっています。当社グループを含めていずれの会社も必要な知的財産権が明確になり、かつ開発段階が進んで上市が近づいたところではライセンスを取得していくことになると考えられています。しかしながら、当社グループまたは当社グループのライセンサーがこれらのライセンスの取得手続きのいずれかで失敗した場合、ライセンスを商業的に合理的な条件で利用できない、または全く利用できないことにより当社グループの事業戦略に重大な影響を及ぼす可能性があります。 対策としては、自社特許を含めて各プロダクトに係るその他の特許の保護を図る一方で、必要な特許の導入も並行して検討していきます。 ⑤ CRISPR/Cas9 に係る特許のライセンスについて 当社グループは、CRISPR/Cas9の基本特許に関して、米国ハーバード大学(以下、「Harvard」という。)、ブロード研(本項には、ブロード研-米国マサチューセッツ工科大学(以下、「MIT」という。)、ブロード研-Harvard-MIT及びブロード研-Harvard-MIT-米国ロックフェラー大学で共同保有する特許も含む)(総称して以下、「ボストンライセンスパーティ」という。)、米国マサチューセッツ総合病院及び米国デューク大学がそれぞれ保有する特許などについてライセンスを受けているエディタス社とライセンス契約を締結しています。エディタス社がライセンス権を有する「ボストンライセンスパーティ」特許は、現在、カリフォルニア大学、ウィーン大学、及びエマニュエル・シャルパンティエ氏(総称して以下、「カリフォルニア大グループ」という。)が共同で所有する米国特許出願とインターフェアランス※32(インターフェアランス番号106,048号)という先発明者を争う紛争下にありましたが、2018年9月10日に連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)は、米国特許商標庁審判部(以下、「PTAB」という。)が出した「事実上の干渉はない」との決定を是認する判決を下しました。 また、2019年6月24日にPTABは、当社グループがライセンス権を有するボストンライセンスパーティが共同所有している13の米国特許と1つの米国特許出願※33と、カリフォルニア大グループが出願する10件の米国特許出願※34との間で、ボストンライセンスパーティがシニアパーティ(senior party:最先の出願日を有する出願人、または特許権者)、カリフォルニア大グループをジュニアパーティ(junior party:自己が先に発明した事実の立証責任を負います)としてインターフェアランス(インターフェアランス番号106,115号)の手続きに入ったと宣言を行い、その後、PTABは、2019年8月26日、ジュニアパーティの4件の特許出願をインターフェアランスの対象に追加しました。そしてPTABは、2022年2月28日に本件インターフェアランスについても「事実上の干渉はない」とするボストンライセンスパーティの権利を認める判決を下しました。 上記2件の米国のインターフェアランスの結果はボストンライセンスパーティの権利について、当事者に有利に解決されることとなり、従って当社がエディタス社を通じて受けるCRISPR基本特許が有効であることが示されたことになります。しかしながらこれはカリフォルニア大グループの特許を否定するものではなく、将来的に製造販売の段階においてカリフォルニア大グループの特許が引き続き必要となった場合において、商業的に合理的な条件でライセンスを取得することができない、または必要なライセンスを取得する交渉に時間が掛かる場合には製造販売ができない、あるいは遅延する可能性があります。また基本特許が非独占的でライセンスされる場合で、かつ当社がコントロールする他の特許によって他者排除ができなかった場合には、競合他社や他の第三者が当該基本特許にアクセスをすることによって類似したあるいは同等の効果を与える技術によって当社製品と競合する製品が上市される可能性があります。このような場合で、かつ当社技術による製品がそれらの他技術による競合製品に開発時期、性能などの面で劣後する場合には、製品候補について商品化できない、または商品化の取り組みが大幅に遅れる可能性があり、その結果として当社事業や経営成績に重大な影響を与える可能性があります。 上記のリスクを最小にするため、当社グループではカリフォルニア大グループの特許に関してもライセンスの取得などに向けて適切な行動をとっております。 (5) 業績・財政状態等に関するリスク ① マイナスの繰越利益剰余金の計上 当社グループは、遺伝子治療薬の研究開発を行う創薬ベンチャー企業であります。一般的に医薬品の研究開発には多額の初期投資を要し、その投資資金回収も他産業と比較して相対的に長期に及ぶため、ベンチャー企業が当該事業に取り組む場合は、期間損益のマイナスが先行する傾向にあります。当社グループも、提携締結や開発の進捗に応じて契約一時金や開発マイルストンなど一時的に収益が計上されることがあるものの、開発中の新薬の販売が開始されるまでは事業収益、当期純利益(損失)は不安定に推移する可能性があります。また、開発の進捗や結果によっては、将来において計画通りに当期純利益を計上できない可能性があります。さらに、当社事業が計画通りに進展せず当期純利益を獲得できない場合には、一時的に繰越利益剰余金がマイナスとなる可能性があります。対策としては、自社モデル及び協業モデルの2種類のパイプラインを組み合わせたハイブリッドモデルにより、安定的な将来の利益拡大を目指しております。 ② 収益計上が大きく変動する傾向 当社グループの事業収益は、現在開発中のパイプラインのライセンスアウト時の契約一時金、開発進捗に伴うマイルストン収入及びロイヤルティ収入に大きく影響されるため、その計上時期や金額によっては事業収益、当期純利益(損失)は不安定に推移する可能性があります。対策としては、自社モデル及び協業モデルの2種類のパイプラインを組み合わせたハイブリッドモデルにより、パイプラインの更なる重層化及びポートフォリオ化を図ることで、安定的な将来の利益拡大を目指しております。 ③ 為替変動について 当社グループの主たる事業である研究開発は、現在、米国子会社を中心として活動しております。米国子会社の取引通貨は米ドルであり財務諸表も当該通貨で作成されます。したがって、連結財務諸表を作成する過程において、当該財務諸表は、外貨建取引等会計処理基準に沿って日本円に換算されるため、大幅な為替相場の変動があった場合には、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ④ 資金繰りについて 当社グループが属する研究開発型企業は、一般的に多額の研究開発資金を必要とし、また研究開発費用の負担により長期にわたって先行投資の期間が続きます。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社も営業活動によるキャッシュ・フローのマイナス計上期間が長く、かつ現状では安定的な収益源を十分には有しておりません。このため、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合には、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。対策としては、安定的な収益源を確保するまでの期間においては、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務基盤の強化を図る方針であります。 ⑤ 調達資金使途について 当社グループが上場時の公募増資により調達した資金は、医薬品の研究開発を中心とした事業費用に充当しております。ただし、新薬開発に関わる研究開発活動の成果が収益に結びつくには長期間を要する一方で、研究開発投資から期待した成果が得られる保証はなく、その結果、調達した資金が期待される利益に結びつかない可能性があります。対策としては、調達した資金が期待される利益に結びつくように自社モデル及び協業モデルの2種類のパイプラインを組み合わせたハイブリッドモデルにより、安定的な将来の利益拡大を目指しております。 ⑥ 新株発行による資金調達について 当社グループは将来の研究開発活動の拡大に伴い、増資を中心とした資金調達を機動的に実施していく可能性があります。その場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。対策としては、新株発行による資金調達した資金が期待される利益に結びつくように安定的な将来の利益拡大をさせることで、希薄化を少なくする方針であります。 ⑦ 新株予約権について 当社は、長期的な企業価値向上へのインセンティブや優秀な人材の確保等を目的に、ストック・オプション制度を採用しています。会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき、株主総会の承認を受け、当社取締役、従業員、子会社従業員及び外部協力者に対して新株予約権の発行と付与を行っています。今後も優秀な人材の確保のため、同様のインセンティブ・プランを継続する可能性があります。提出日の前月末現在、これら新株予約権による潜在株式数は8,752,500株であり、当社の発行済株式総数89,554,098株の9.8%に相当しています。 また当社は、2025年8月7日取締役会決議に基づき、2025年8月25日にEVO FUNDを割当先とする第三者割当による第17回新株予約権(行使価額修正条項付)及び第1回無担保社債(私募債)を発行しました。提出日の前月末現在、これら新株予約権による潜在株式数は6,580,000株であり、当社の発行済株式総数89,554,098株の7.3%に相当しています。当該新株予約権の詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 1株式等の状況 (2)新株予約権等の状況 ③その他の新株予約権等の状況 及び (3) 行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等」をご参照ください。 これら新株予約権の権利が行使された場合は、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。 対策としては、新株予約権の発行により期待される利益に結びつくように安定的な将来の利益拡大をさせることで、希薄化を少なくする方針であります。 ⑧ 配当政策について 当社は創業以来、株主に対する剰余金の分配を実施しておりません。現時点においては、繰越利益剰余金がマイナスであるため当分の間は配当を実施せず、研究開発資金の確保を優先し、研究開発活動の継続的な実施に経営資源を投入して医薬品の承認取得・上市することが、企業価値向上、ひいては株主利益の最大化に繋がるものと考えております。対策としては、株主への利益還元について重要な経営課題と認識しており、将来的には経営成績及び財政状態を勘案しつつ剰余金の分配を検討する方針であります。 ⑨ 国際税務について 当社グループは、日本法人である当社、米国法人であるModalis Therapeutics Inc.より構成される資本関係となっております。このため、親子間の資本関係や取引関係から生ずる課税上の取扱いについては、国際税務、具体的には日米両国の税法及び日米租税条約の適用を受けることとなります。その中で、当社グループに不利となる税務事象の発生及び将来的に当社グループに不利となる国際税務関連の税制改正が行われる可能性を否定できません。その場合は、将来の税負担額が増加し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。対策として、日米双方の税務につき、税理士等の専門家と顧問契約を締結し、当社グループに適用される税法に関して情報を収集し税務リスクの確認及び排除に努めております。 ⑩ 継続企業の前提に関する重要事象等 当社グループは、遺伝子治療薬の研究開発を行う創薬ベンチャー企業です。協業モデルパイプラインと自社モデルパイプラインを組み合わせた、「ハイブリッドモデル」のビジネスモデルで研究開発を進めることで収益機会の幅を広げ、事業の選択肢を最適化することで経営基盤の安定化を図る計画を有しておりますが、医薬品の研究開発には多額の資金を要し、その投資資金回収も他産業と比較して相対的に長期に及ぶため、継続的な営業損失の発生及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上している状況にあり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。 当社は10期にわたるCRISPRを用いた遺伝子制御治療薬の開発の知見を踏まえて、11期目以降もMDL-101を軸に研究開発を行っております。MDL-101については開発計画の最適化を進めながら研究開発を継続しており、人的リソースを含めた開発体制としては臨床に向けた取り組みが継続できる体制にあり、1日でも早く患者様の治療ができるよう開発を進めていく計画です。また、従来通り開発と並行してパートナリングの交渉も継続していきます。併せて、後続のパイプラインに関しても早期のパートナリング獲得を目指しながら、引き続き研究開発体制の適正化を図り効率化によるコストの低減に取り組んでいきます。 資金面においては、当連結会計年度末現在で、現金及び預金2,812,367千円を有しており、上記の取り組みにより、翌連結会計年度の事業活動を展開するための資金は十分に確保していると判断しております。 以上のことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性はないと認識しております。 (6) 会社組織に関するリスク ① 社歴が浅いことについて 当社は、2016年1月に設立されており、設立後の経過期間は10年程度と社歴の浅い会社であります。当社の過年度の経営成績は期間業績比較を行うための十分な材料とはならず、過年度の実績のみでは今後の業績を判断する情報としては不十分である可能性があります。その対策として、当社は今後もIR活動などを通じて経営状態を積極的に開示に努めております。 ② 小規模組織及び少数の事業推進者への依存について 当社グループは提出日の前月末現在、取締役6名(非常勤取締役4名を含む。)及び従業員3名、子会社従業員14名の小規模組織であり、現在の内部管理体制はこのような組織規模に応じたものとなっています。その対策として、今後業容拡大に応じて内部管理体制の拡充を図る方針であります。 また、当社グループの事業活動は、当社グループの創業者である代表取締役CEO森田晴彦をはじめとする現在の経営陣、事業を推進する各部門の責任者及び少数の研究開発人員に強く依存するところがあります。そのため、常に優秀な人材の確保と育成に努めていますが、人材確保及び育成が順調に進まない場合、並びに人材の流出が生じた場合には、当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。対策として、多様な人材が活躍できる人事制度や風土、従業員が働きやすい環境の整備等を通じて優秀な人材の確保に努めております。 ③ 人材の継続的な獲得について 当社グループは、創薬基盤技術の深化、創薬研究開発の進展を図るには、研究開発分野における専門的な知識・技能をもった優秀な人材の確保が必要であると考えております。当社グループの想定した人材の確保に支障が生じた場合、または優秀な人材の社外流出が生じた場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。対策として、多様な人材が活躍できる人事制度や風土、従業員が働きやすい環境の整備等を通じて優秀な人材の確保に努めるとともに、新株予約権プランや事後交付型株式報酬制度の導入を含めた競争力のある条件での採用に努めております。 ④ 自然災害等の発生 当社グループは、東京都中央区に当社、米国マサチューセッツ州ウォルサム市に研究部門である子会社を設置しております。このため、現所在地の周辺地域において、地震、噴火、水害、雪害等の自然災害、大規模な事故、感染症の蔓延、テロ等が発生し、当社設備の損壊、各種インフラの供給制限等の不測の事態が発生した場合、また取引先からの試薬品等の供給不足や仕入価格の高騰、欠品による機会損失の発生により、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。対策として、新規調達先の開拓・育成、最適な調達先の選定、調達先の分散化等により、サプライチェーンの強化に努めております。 ⑤ 犯罪行為のターゲットとなる可能性 インターネット犯罪を含む様々な形態の犯罪行為が内外に存在しておりますが、当社の事業、情報、金融を含む財産がハッキングやランサムウェア等によって破壊、妨害、搾取を受けたり、または当社の役員や従業員が犯罪組織のターゲットとなり、身代金目的などで誘拐されたり、あるいは傷害、殺害されたりする可能性があります。その結果として当社の事業が遅延したり、中止を余儀なくされたり、あるいは財政状態に影響を及ぼす可能性があります。対策として、こうした保険の設定やセキュリティー対策を含めて犯罪行為に対する防御、対応策を十分に講じていく一方で、問題が生じた際には当局等と連携して適切に対応していくように努めております。 ⑥ 風説・風評の発生 当社グループや当社グループの関係者、当社グループの取引先等に対する否定的な風説や風評が、マスコミ報道、アナリストレポートやインターネット上の書き込み等により発生・流布した場合、それが正確な事実に基づいたものであるか否かにかかわらず、当社グループの社会的信用に影響を与える可能性があります。当社グループや当社グループの関係者及び取引先等に対して否定的な風説・風評が流布した場合には、そのネガティブなイメージにより、当社グループに対する信頼性に悪影響が生じ、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。対策として、不当な風説・風評には厳正に対処していく一方で、常に公平公正かつタイムリーな開示を通じて当社の姿勢を堅持することに努めております。 <用語解説> ※32   インターフェアランス   先発明主義の下で、異なる出願人によって提出された特許出願において、クレームされた発明の先発明を決定するための米国特許商標庁内の手続き。 ※33   ボストンライセンスパーティが共同所有している13の米国特許と1つの米国特許出願   米国特許番号8,697,359、8,771,945、8,795,965、8,865,406、8,871,445、8,889,356、8,895,308、8,906,616、8,932,814、8,945,839、8,993,233、8,999,641;及び9,840,713、米国シリアル番号14 / 704,551 ※34   カリフォルニア大グループが出願する10件の米国特許出願   米国シリアル番号15 / 947,680、15 / 947,700、15 / 947,718、15 / 981,807、15 / 981,808、15 / 981,809、16 / 136,159、16 / 136,165、16 / 136,168及び16 / 136,175
経営成績の分析 (MD&A)4,864字を開く

業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)  経営成績等の状況の概要 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況 文中の将来に関する事項は、特に記載が無い限り当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。 当連結会計年度(2025年1月1日〜2025年12月31日)における我が国経済は、米国における通商・産業政策の方向性や追加関税措置の動向に加え、国内では政権運営や財政運営を巡る議論の活発化などを背景に、先行き不透明感を伴いながら推移しました。金融市場全体としては一定の底堅さを維持したものの、生成AIや半導体関連分野への投資資金の集中が一段と進み、バイオ・創薬分野を含むその他のセクターは相対的に慎重な投資姿勢を余儀なくされました。加えて、東欧および中東地域における紛争の長期化や新たな地政学的緊張の顕在化により、資源価格や為替市場の変動が続くなど、世界経済を取り巻く環境は依然として不安定な状況にあります。こうした情勢は、日本および米国を中心とする製薬・バイオテック業界にも影響を及ぼしており、米国政府の医療・薬価政策の見直しや、予算編成を巡る混乱に起因する行政手続の停滞等が、研究開発活動や承認プロセスに一定の影響を与えています。このように、当社を取り巻く事業環境は引き続き変化が大きく、慎重な事業運営が求められる状況が継続しております。 当社のリードプログラムである先天性筋ジストロフィー1A型(LAMA2-CMD)を対象とした「MDL-101」は、エピゲノム編集技術の特性を最も活かすことが可能な、長鎖タンパク質の欠損に起因する疾患を対象とした遺伝子治療プログラムです。本疾患は、現時点において他のモダリティによる治療が困難とされており、当社はCRISPRを用いたエピゲノム編集による遺伝子活性化という新たなアプローチにより、その治療法の確立を目指しています。 IND申請に向けて実施してきた疾患モデルマウスを用いたIND enabling試験においては、対照群と比較して明確な生存期間延長効果が確認されており、本治療コンセプトに基づく薬理学的有効性は一貫して支持されています。これらの結果は、本プログラムの生物学的妥当性および作用機序に対する当社の確信を引き続き裏付けるものです。現在、臨床段階への移行に向けた開発の進展の一環として、臨床開発における確実性をさらに高めることを目的とした追加的な解析および開発条件の精緻化を進めております。これに伴い、当初2026年中頃を目標としていた治験申請時期については、臨床開発への最適な移行準備を確保する観点から、現在見直しを行っております。なお、現時点において新たな安全性上の懸念は確認されておらず、治験実施医療機関の選定および調整についても、患者様および治験実施施設からの高い関心を背景に継続して進展しております。申請後の迅速な臨床試験開始に向けた体制構築を引き続き進めています。当社は、あらかじめ設定されたスケジュールの遵守よりも、生物学的および臨床的な準備状態の最適化を優先する開発方針を採っており、データに基づいた規律ある意思決定を行うことが、長期的な臨床成功確率の向上およびプログラム価値の最大化につながるものと考えています。 一方で、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を対象とした治療薬候補「MDL-201」については、病態モデルマウスを用いた試験において、ミニジストロフィンを用いた既存のベンチマーク薬剤と比較して、良好な改善効果が確認されました。さらに、当該結果について領域の専門家とのディスカッションを行った結果、本薬剤はユートロフィンを選択的に上昇させることで治療効果を示した点において、現時点で確認されている限り新規性の高いアプローチであるとの評価を得ています。本アプローチは、ミニジストロフィンとは異なる作用機序および指向性を有するものであり、加えて有意な有効性が示されたことは、MDL-101で検証された当社エピゲノム編集プラットフォーム技術の汎用性および実用性を裏付ける結果であり、今後の開発検討を後押しする重要な成果であると認識しています。 さらに、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD:Facioscapulohumeral Muscular Dystrophy)を対象とした「MDL-103」については、XPrize財団およびSolve FSHD財団からの助成を受け、病態モデル動物を用いた検証試験を実施しました。その結果、局所投与に続き、全身投与においてもFSHD患者由来筋肉細胞におけるDux4下流遺伝子群の発現抑制が確認され、抑制効果は局所投与時と比較して同等またはそれ以上であることが示されました。これらの結果は、CRISPR-GNDM®技術によるDux4発現抑制に加え、全身投与後においても適切な体内動態を経て筋肉組織へ分布していることを示唆するものであり、今後の開発に向けた重要な基盤データであると考えています。 このように、臨床試験移行に向けた開発検証を進めているMDL-101によって深められた技術的知見により、同じく筋疾患領域を対象とするMDL-201およびMDL-103といったパイプラインが個別に病態モデルでの検証を完了したことにより、複数の開発パイプラインも継続的に価値を創出し、臨床開発段階への移行を着実に進められる準備が整ったと当社は考えています。またJCRファーマ社との共同研究を含めた複数の共同研究を通じ、新たな要素技術へのアクセスを拡大し、更新され続ける最先端の技術によって患者様へ最適な治療薬を届けるパイプラインの整備を強化しております。 以上の結果、事業収益は-千円(前期は事業収益-千円)、営業損失は2,211,801千円(前期は営業損失1,337,650千円)、経常損失は2,148,599千円(前期は経常損失1,303,099千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は2,152,710千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失1,317,894千円)となりました。 なお、当社グループは、遺伝子治療薬開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。 (流動資産) 当連結会計期間末の流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べて724,807千円減少し、2,892,272千円となりました。これは主に、現金及び預金が762,909千円減少したためであります。 (固定資産) 当連結会計年度末の固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べて2,493千円減少し、71,976千円となりました。これは、投資その他の資産が2,493千円減少したためであります。 (流動負債) 当連結会計年度末の流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べて17,480千円増加し、134,802千円となりました。これは主に、未払金が15,064千円増加したためであります。 (固定負債) 当連結会計年度末の固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べて9,993千円増加し、36,142千円となりました。これは主に、その他が14,294千円増加したためであります。 (純資産) 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて754,774千円減少し、2,793,303千円となりました。これは主に、資本金が30,890千円、資本剰余金が30,890千円、及び利益剰余金が711,627千円減少したためであります。 ② キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて762,909千円減少し、当連結会計年度末には2,812,367千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果、使用した資金は2,118,409千円(前連結会計年度使用した資金は1,432,005千円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失2,151,170千円によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果、使用した資金は2,571千円(前連結会計年度使用した資金は188千円)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出2,571千円によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果、獲得した資金は1,351,037千円(前連結会計年度獲得した資金は3,044,985千円)となりました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入1,364,154千円によるものであります。 ③ 生産、受注及び販売の実績 a.生産実績 当社グループは生産を行っておりませんので、記載を省略しております。 b.受注実績 当社グループの事業による共同研究は受注形態をとっておりませんので、記載を省略しております。 c.販売実績 当連結会計年度の販売実績がないため、記載を省略しております。 (2)  経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。 ① 重要な会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とする箇所があります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。 当社グループの連結財務諸表の作成における重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 及び (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 経営成績及び財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 ③ 経営成績に重要な影響を与える要因について 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 ④ 資本の財源及び資金の流動性 当社グループの資金の状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社グループは、事業上必要な資金を手許資金で賄う方針でありますが、事業収益から得られる資金だけでなく、株式市場からの必要な資金の獲得や銀行からの融資、補助金等を通して、安定的に開発に必要な資金調達の多様化を図ってまいります。資金の流動性については、資産効率を考慮しながら、現金及び現金同等物において確保を図っております。資金需要としては、継続して企業価値を増加させるために、主に継続した研究開発や必要な設備投資資金となります。

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開示資料

出典

このページの財務・役員・株主等のデータは、金融庁EDINETに提出された開示書類から自動抽出しています。会計基準は JapanGAAP

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