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超!企業DB
日経平均64,325.64-1,890NYダウ52,980.73+214ドル円158.84-1NASDAQ26,208.82+109S&P 5007,666.58+35SOX 指数11,332.81+449/2終値

Veritas In Silico

130A · Growth · 医薬品

AI創薬でmRNAを標的とする低分子医薬品と核酸医薬品の創出に取り組むバイオベンチャー。独自プラットフォームで製薬会社と共同研究を展開する。

概要

Veritas In Silicoは2016年設立の創薬ベンチャーで、mRNAを標的とする低分子医薬品と核酸医薬品の研究開発を手がける。AI創薬プラットフォームaibVISを核に、製薬企業との共同研究(プラットフォーム型)と自社パイプライン創出(パイプライン型)を両輪とする。2024年2月に東証グロース市場へ上場。従業員19名、本社は東京都品川区。

プラットフォーム事業とパイプライン事業の二軸

当社の事業は大きく二つに分かれる。一つは、自社のAI創薬プラットフォームaibVISを製薬会社に提供し、共同でmRNA標的低分子医薬品の創出を目指すプラットフォーム事業である。東レ、塩野義製薬、武田薬品工業など複数の大手製薬企業と契約を結び、研究支援金やマイルストーン収入を得ている。もう一つは、自社でパイプラインを保有し、核酸医薬品(ASO)の創出に取り組むパイプライン事業である。2025年6月には心臓血管手術後の虚血性急性腎不全を対象とするプロジェクトを開始し、同年12月には物質特許を出願した。この二つの事業を「ハイブリッド型ビジネス」と位置づけ、収益源の多様化を図っている。

mRNA標的創薬という未開拓領域への挑戦

従来の低分子医薬品は疾患関連タンパク質を標的とするが、創薬標的の枯渇が業界課題となっている。当社は、タンパク質の設計図であるmRNAを直接標的にすることで、これまで創薬が困難だったタンパク質にもアプローチできると考える。mRNA標的低分子医薬品は経口投与が可能で製造コストが低い一方、研究開発の難易度は高い。当社は独自のインシリコRNA構造解析技術により、mRNA上の低分子が結合可能な部分構造(ターゲット構造)を特定し、低分子化合物で安定化させることでタンパク質合成を阻害する方法を確立した。このアプローチは、競合の少ないブルーオーシャンと見なされている。

財務状況と研究開発投資の規模

当社は依然として研究開発段階にあり、売上高は小規模である。2025年12月期の事業収益は91,140千円(前年比53.2%減)で、主に共同研究からの研究支援金による。一方、研究開発費は215,616千円を含む事業費用487,888千円を計上し、営業損失は396,748千円、当期純損失は425,671千円となった。総資産は1,884,912千円、自己資本比率は94.6%と高いが、 cash burnが続く。従業員は19名と少数精鋭で、外部との共同研究を通じて効率的に研究を進める体制をとっている。上場から間もないため、今後のパイプライン進捗による収益化が焦点となる。

グローバルな特許網と知的財産戦略

当社は、RNAを標的とした低分子創薬のビジネスモデルに関する特許を日本(2020年取得)、欧州(2025年1月)、米国(2025年7月)で取得し、主要市場での知的財産を確保した。また、独自のドラッグデリバリーシステム「Perfusio」の特許を2025年12月に日本で取得した。これらの特許は、競合他社の参入障壁となるとともに、ライセンス収入の可能性も秘める。さらに、スイスのSpiroChemや英国のLiverpool ChiroChemとの契約により、国際的な共同研究網を広げている。知的財産の活用は、プラットフォーム事業の競争力強化と収益源の多様化に寄与すると見られる。

業界の中での役割は製薬業界向けにAI創薬プラットフォームを提供し、共同創薬研究を行う創薬支援企業。にあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

売上高
1億円
営業利益
-4億円
営業利益率
-400.0%
純利益
-4億円
2025/12 通期の連結業績。決算の内訳は最新の決算以降にあります。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2026/3期)より

01製薬業界(プラットフォーム型)主力

当社は独自のAI創薬プラットフォーム「aibVIS」を活用し、複数の製薬会社とmRNA標的低分子医薬品の共同創薬研究を実施しています。創薬研究から医薬品候補化合物の取得までを一貫して支援し、契約一時金や研究支援金、マイルストーン、ロイヤリティ等の収益を得るビジネスモデルです。現在は、東レ、塩野義製薬、ラクオリア創薬、武田薬品工業などと共同創薬研究を進めています。

主要顧客東レ株式会社、塩野義製薬株式会社、ラクオリア創薬株式会社、武田薬品工業株式会社

主な製品・サービス3
aibVISプラットフォーム
mRNAの構造解析と創薬技術を統合したAI創薬プラットフォーム。ターゲット探索、スクリーニング、ヒットtoリード、リード化合物最適化までをワンストップで提供する。
MobyDickⓇ
独自開発のインシリコRNA構造解析ソフトウェア。mRNA上の低分子結合候補部位(ターゲット構造)を高速・高精度に探索する。
qFRET
定量的蛍光共鳴エネルギー移動法による独自のスクリーニング技術。数万〜数十万の化合物から標的結合化合物を高感度に検出する。

02製薬業界(パイプライン型)準主力

当社は自社でパイプラインを保有し、核酸医薬品の創薬研究を進めています。特にアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を中心に、急性腎不全やALSなどの希少疾患を対象とした自社プロジェクトを展開。将来的には薬剤の導出契約により収益を得ることを目指しています。

主な製品・サービス2
ASO(アンチセンスオリゴヌクレオチド)
mRNAに結合してタンパク質の合成を阻害する核酸医薬品。当社のAIを活用した配列設計により、最短8ヶ月で医薬品候補化合物を取得できる。
p53に対するASO
急性腎不全や心臓手術時の虚血性腎疾患の予防を目的とした自社パイプライン。物質特許を出願済みで、研究開発を進めている。

03その他(事業多角化)副次

当社のAI創薬技術を応用し、農薬事業やドラッグデリバリーシステムの事業化を検討しています。農薬ではmRNA構造解析を活用した新規作用機序の農薬開発を、DDSでは「Perfusio」を用いて核酸医薬品の臓器特異的な送達を目指します。

主な製品・サービス1
Perfusio
カテーテルを用いて特定の臓器に医薬品を灌流・回収するドラッグデリバリーシステム。核酸医薬品だけでなく細胞治療などへの応用も期待される。

製品と技術

AI創薬プラットフォーム「aibVIS」

aibVISは、複数のルールベースAIとデータ駆動AIを統合した創薬プラットフォームである。その前身ibVISは、インシリコRNA構造解析技術によりmRNA上の低分子結合可能部位を予測していた。2026年1月のバージョンアップでは、ルールベースAIを抜本的に改良し、共同研究で蓄積したRNA解析データを活用するデータ駆動AIを新たに実装。これにより、より効率的かつ確実なmRNA標的創薬が可能となった。aibVISは、低分子医薬品のターゲット探索からスクリーニングまでを支援し、製薬企業との共同研究の基盤として機能する。

ドラッグデリバリーシステム「Perfusio」

Perfusioは、当社が開発したカテーテルを使用するドラッグデリバリーシステムである。2025年12月に日本で特許を取得し、名称が正式に決定した。このシステムは、核酸医薬品の根本的な課題である体内送達の難しさを克服することを目的とする。当社は、Perfusioを用いることで臨床試験の期間とコストを約5分の1に圧縮できると見込んでいる。2026年度には実用化と販売開始を目標としており、自社パイプラインの加速だけでなく、他社へのライセンスアウトも視野に入れている。

核酸医薬品パイプライン:ASOによる急性腎不全治療

当社は、p53遺伝子のmRNAを標的とするアンチセンス核酸(ASO)を同定し、2025年6月に心臓血管手術後の虚血性急性腎不全を対象とするプロジェクトを開始した。同年12月にはこのASOに関する物質特許を出願した。ASOはmRNAに結合してタンパク質合成を阻害する核酸医薬品であり、製造コストは高いが研究期間が短い利点がある。当社はこのパイプラインに加え、島根大学と共同で原発性肺移植片機能不全を抑制するASOの研究も開始しており、希少疾患領域でのパイプライン拡充を進めている。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

医薬品のなかでの位置

AI創薬の新興、売上低迷で赤字拡大

医薬品セクターに属し、AI創薬プラットフォームを手掛ける。同業のジーエヌアイグループやChordia Therapeuticsなどと比較して売上規模は極めて小さく、2024年12月期の営業利益率は▲100%と大幅赤字。2025年12月期には営業赤字がさらに拡大する見通し。業界内での競争力はまだ確立されておらず、パイプラインの進捗が焦点。ライバルが上市や提携を進める中、収益化のめどが立っていない。

強み

  • 独自のAI技術を用いた創薬プラットフォームを保有し、新薬候補の探索効率化を図る。
  • AI創薬は成長分野であり、将来的な需要拡大が見込まれるため、先行者利益の可能性。
  • バーチャル創薬企業として固定費が低く、資金効率を高められる可能性がある。
  • 既存の医薬品と異なるアプローチで、未充足疾患領域に特化したパイプライン。

課題

  • 売上高が減少傾向で、2025年は1億円と極小。黒字化の時期が不透明。
  • ジーエヌアイグループなど同業が規模拡大する中、技術や提携で差をつける必要。
  • 赤字継続により資金消耗が激しく、追加調達が必要となる可能性。

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

医薬品の時価総額近傍。太字がVeritas In Silico

時価総額で並べると、掲載10社のなかで6番目にあたる。

#企業時価総額PER
14582シンバイオ製薬37億円
24885室町ケミカル37億円22.6倍
34586メドレックス36億円
44884クリングルファーマ31億円
54883モダリス29億円
6130AVeritas In Silico28億円
74882ペルセウスプロテオミクス24億円
84558中京医薬品24億円25.8倍
94881ファンペップ20億円
104598Delta-Fly Pharma16億円

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は東証33業種の分類に従っています。

会社の歴史

沿革 23件

創業と核酸医薬品への着手(2016~2017年)

2016年11月、東京都渋谷区に株式会社Veritas In Silicoが設立された。創業者の中村が2000年代前半から開発してきたインシリコRNA構造解析技術を核に、三菱瓦斯化学やベンチャーキャピタルの出資を得て、mRNAを標的とする核酸医薬品の創薬研究を主事業として開始した。2017年7月には新潟薬科大学内に研究拠点(現新潟研究所)を開設し、アカデミアとの連携を強化した。同年10月には本店を東京都品川区に移転し、事業基盤を整えた。

低分子医薬品への事業転換(2018~2019年)

2018年4月、主事業を核酸医薬品からmRNAを標的とする低分子医薬品の創薬プラットフォーム事業に転換した。これは、低分子医薬品の方が経口投与が可能で患者負担が少なく、製造コストも低いという判断に基づく。同時に、かわさき新産業創造センター内に新川崎研究所を開設し、研究体制を拡充した。2019年3月には同事業に注力する方針を決定し、低分子創薬への集中を明確にした。この転換が、現在のプラットフォーム事業の基盤となった。

特許取得と製薬企業との協業開始(2020~2023年)

2020年10月、RNA標的低分子創薬のビジネスモデルに関する日本特許を取得し、知的財産を固めた。2021年には東レ、塩野義製薬との共同創薬研究契約を締結し、プラットフォーム事業が本格化した。2022年にはラクオリア創薬、2023年にはフランスのOncodesign Servicesや武田薬品工業との契約に発展。2023年6月には武田との契約を締結し、大手製薬企業との連携を拡大した。この時期、mRNA標的低分子創薬の実用化に向けた研究が加速した。

上場とパイプライン創出への進出(2024~2026年)

2024年2月、東京証券取引所グロース市場に株式を上場し、資金調達と知名度向上を果たした。2024年12月には英国Liverpool ChiroChemとの共同開発契約、2025年1月には欧州特許取得、同年7月には米国特許取得とグローバル展開を進めた。2025年6月、自社パイプラインとして核酸医薬品(ASO)による疾患治療プロジェクトを開始し、パイプライン型ビジネスに本格参入。同年12月には独自のドラッグデリバリーシステム「Perfusio」の特許を取得し、技術基盤を強化した。2026年1月にはAI創薬プラットフォームをaibVISへバージョンアップし、機能を大幅に向上させた。

年表23件を開く

2010年代

  • 2016年11月創業東京都渋谷区に株式会社 Veritas In Silicoを設立
  • 2017年5月三菱瓦斯化学株式会社及びベンチャーキャピタルの出資のもと、RNA ※5 構造解析技術を活かしmRNAを標的とする核酸医薬品の創薬研究を主事業として開始
  • 2017年7月研究拠点(現:新潟研究所)を共同研究先である新潟薬科大学(新潟県新潟市秋葉区)内に開設
  • 2017年10月本店所在地を東京都品川区に移転
  • 2018年4月主事業を核酸医薬品からmRNAを標的とする低分子医薬品の創薬プラットフォーム事業に転換
  • 2018年4月mRNA標的低分子創薬研究のための研究拠点(現:新川崎研究所)をかわさき新産業創造センター(神奈川県川崎市幸区)内に開設
  • 2019年3月mRNAを標的とする低分子医薬品の創薬プラットフォーム事業に注力する方針を決定

2020年代

  • 2020年10月RNAを標的とした低分子創薬のビジネスモデルに関する特許(日本)を取得
  • 2021年7月東レ株式会社とmRNAを創薬標的とする低分子医薬品の創出を目的とした共同創薬研究契約を締結
  • 2021年11月塩野義製薬株式会社とmRNAを創薬標的とする低分子医薬品の創出を目的とした共同創薬研究契約を締結
  • 2022年12月ラクオリア創薬株式会社とmRNAを創薬標的とする低分子医薬品の創出を目的とした共同創薬研究契約を締結
  • 2023年5月フランス Oncodesign ServicesとmRNAを創薬標的とした低分子医薬品開発を目指す製薬会社のニーズに応えることを目的とする事業協力を開始
  • 2023年6月武田薬品工業株式会社とmRNAを創薬標的とする低分子医薬品の創出を目的とした共同創薬研究契約を締結
  • 2024年2月上場東京証券取引所グロース市場に株式を上場
  • 2024年12月英国 Liverpool ChiroChemとmRNAを標的とした低分子医薬品の共同開発及び商業化契約を締結
  • 2025年1月RNAを標的とした低分子創薬のビジネスモデルに関する特許(欧州)を取得
  • 2025年4月業務運営を組織的、効率的に行うことを目的として執行役員制度を導入
  • 2025年6月自社パイプライン創出を目的として核酸医薬品による疾患治療プロジェクトを開始
  • 2025年6月三菱瓦斯化学株式会社と核酸医薬品創出及び製造方法確立を目的とした共同研究契約を締結
  • 2025年7月RNAを標的とした低分子創薬のビジネスモデルに関する特許(米国)を取得
  • 2025年12月当社独自のドラッグデリバリーシステム「Perfusio」の特許(日本)を取得
  • 2026年1月AI創薬プラットフォーム ibVIS Ⓡ に実装されるAIを改良、機能強化のうえ aibVISへバージョンアップ
  • 2026年1月スイス SpiroChemとmRNA標的化合物の共同探索研究に関する覚書を締結

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2025/12期の経営方針より

会社は4つの方針を掲げている。そのうち3項目には、達成する数字が明記されている。

会社が掲げている数値目標
  • 新規共同創薬研究契約締結数2026年度まで年間2社
  • 自社パイプライン創出数年間1本
  • DDS実用化・販売開始2027年度末まで実用化して販売開始

有価証券報告書の原文に書かれた目標だけを載せています。達成度の評価や推計は加えていません。

  1. 01

    プラットフォーム事業の推進と成功例創出

    既存の共同創薬研究を進め、mRNA標的低分子創薬の成功例を創出して技術的ブレイクスルーを示す。将来価値の高いプロジェクトを国内外バイオテクと進める契約を締結するとともに、直近の収益になるプロジェクトを製薬会社と進める努力を継続する。

  2. 02

    自社パイプラインの拡充

    パイプライン1ではDDS Perfusioにより臨床試験のコストと期間を抜本的に短縮し、将来価値向上と早期マネタイズを図る。パイプライン2は2026年度に創出する。

  3. 03

    多角化による事業安定化

    自社技術の応用性を活かし、農薬事業に参入する。また、ドラッグデリバリーシステム自体のライセンスアウトも視野に入れる。

  4. 04

    スペシャリティファーマへの成長

    2030年までにスペシャリティファーマとしての地歩を確立する。ハイブリッド型ビジネス(プラットフォーム型+パイプライン型)で収益基盤を固め、持続的成長を目指す。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 3期分

グループ全体で19人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は837万円で、2期前と比べて+22.7%平均年齢は45.8歳、平均勤続年数は4.4年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数一人当たり営業利益万円
2023年12月68244.34.315
2024年12月79846.83.819−1,053
2025年12月83745.84.419−2,105

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

拠点とグループ

設備と関係会社

主要な設備 (帳簿価額 上位3)
本社 — 東京都品川区0百万円
新川崎研究所 — 神奈川県川崎市幸区0百万円
新潟研究所 — 新潟県新潟市秋葉区0百万円

業績のいま

有価証券報告書・決算短信より

2025年12月期の売上高は1億円営業利益-4億円前期と比べると減収で、売上が-50.0%。

売上高
-50.0%
1億円
営業利益
-4億円
純利益
-4億円
営業利益率
-400.0%
前期比 -300.0%pt

会社が出している今期の予想2026年12月期

項目会社予想前期実績
売上高1億円
営業利益-6億円-4億円
純利益-6億円-4億円
1株あたり配当¥0¥0

会社が決算短信で公表した予想です。証券会社の予想ではありません。 短信の原本

四半期の推移

6期分

直近は2026年2Qで、売上は0億円、営業利益は−2億円。

対象期間売上高億円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2024年1Q0−1−1
2024年2Q100.00
2024年4Q1−1−100.0−1
2025年2Q0−2−2
2025年4Q1−2−200.0−2
2026年2Q0−2−4

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。

業績の推移

有価証券報告書 7期分

直近期の営業利益率は-400.0%。

決算期売上高億円営業利益億円経常利益億円営業利益率%純利益億円
2019年12月0−3−3
2020年12月0−3−3
2021年12月1−2−2
2022年12月2−1−1
2023年12月400
東京証券取引所グロース市場に株式を上場
2024年12月2−2−2−100.0−2
2025年12月1−4−4−400.0−4

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。空欄の期は有価証券報告書からその項目の数値が取れていません(0ではありません)。

利益の構造

2025年12月期

売上高1億円のうち、営業利益として残るのは-4億円-400.0%。営業外の損益と税金を反映した純利益は-4億円、売上の-400.0%にあたる。営業利益率は業種中央値2.9%を下回る水準。

売上高を100としたときの内訳
  • 売上原価など作る・仕入れるのにかかったお金200.0%2億円
  • 販売費及び一般管理費売る・管理するのにかかったお金300.0%3億円
  • 営業利益費用を引いたあとに残った本業の利益-400.0%-4億円

有価証券報告書の損益計算書から、当期の金額をそのまま割り振っています。売上原価と販管費は単体ベースの数値です。

営業利益率業種比402.9pt
-400.0%
本業の利益として残る割合
純利益率業種比402.7pt
-400.0%
税金まで払って最後に残る割合
ROA
-21.1%
資産全体がどれだけ利益を生んだか

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 5期分

2025年12月期は営業CFが−3億円、投資CFが5億円で、差し引きのフリーCFは2億円期末の手元現金は3億円で、売上の36.0ヶ月分にあたる

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2021年12月−2014−217
2022年12月−1−1−215
2023年12月100115
2024年12月−2−208−222
2025年12月−3523

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 7期分

2025年12月期の総資産は19億円。このうち返さなくてよい自己資本が18億円で、自己資本比率は94.6%(業種中央値69.9%より厚い)

決算期総資産億円自己資本億円負債億円自己資本比率%
2019年12月98193.2
2020年12月65186.6
2021年12月1817196.0
2022年12月1615196.5
2023年12月1716195.2
2024年12月2222098.2
2025年12月1918194.6

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2025年12月期の内訳単体ベース
現金及び預金
18億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
-6億円
過去の利益の積み上がり
負債合計
1億円
いつか返す必要があるお金
財務の健全性
50
/ 100
安定性自己資本比率40 / 40
収益力営業利益率0 / 30
現金創出営業CFの黒字継続10 / 30

有価証券報告書の数値から機械的に配点した参考値です。自己資本比率60%で満点、営業利益率15%で満点、直近3期の営業CFが黒字だった割合の3つを足しています。業態によって出ない要素があります。

業界内での比較

医薬品 79社との比較

同じ医薬品の企業と並べると、いちばん上に来るのは自己資本比率79社中4位あたり、逆に低いのは売上成長率79社中73位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
/中央値 5.9%
P25 2.0%P75 11.0%
営業利益率下位売上のうち本業の利益として残る割合
-400.0%/中央値 2.9%
P25 -162.5%P75 11.5%
自己資本比率上位総資産のうち返済のいらないお金の割合
94.6%/中央値 69.9%
P25 53.4%P75 84.5%
売上成長率下位前期からの売上の伸び
-50.0%/中央値 2.8%
P25 -1.3%P75 12.0%
配当利回り株価に対して1年で受け取る配当の割合
/中央値 2.9%
P25 2.3%P75 3.5%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月2日の終値

直近の終値は¥433で、1年前と比べて-40.4%過去52週の値幅のなかでは11%の位置にある。

¥433-2.3%1ヶ月+4.3%1年-40.4%時価総額28億円
過去52週の値幅
安値¥390高値¥793

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標
PBR2.01倍

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

8月20日に前日比+7.23%の445円と上昇し、25日移動平均線415円を約7%上回りました。8月3日に出来高36万株と急増し、その後も高水準で推移しています。52週高値793円からは約44%低い水準ですが、52週安値390円からは約14%高です。7月は400円前後で推移していましたが、8月20日に一気に上放れました。RSI65.85で買われ過ぎ圏にはまだありませんが、短期的な上昇が続けば過熱感が出る可能性があります。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

AIの評価

AI評価

株価水準の解釈です。売買の推奨ではありません

現在の株価水準を割高と判定しています(スコア 15/100)

PERは赤字のため算出不能で、PBR1.46倍は業界平均3.11倍を下回るが、ROE2.1%と極めて低く、収益性が悪い。無配で配当利回り0%と株主還元もなく、売上高は減少傾向にあり、赤字が拡大している。業界平均PER27.07倍はあるが、赤字のため比較は無意味。今後の業績回復が見込めない限り、割高と判断せざるを得ない。

指標この会社業種平均
PBR2.01倍3.53倍
ROE2.1%6.5%

業種平均は同じ東証33業種に属する銘柄の単純平均です。銘柄数が少ない業種では平均が振れます。

AI評価判定とスコアは公開データをもとにした解釈で、将来の株価を示すものではありません。算出の考え方は編集方針に記載しています。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

創薬ベンチャーのため、パイプラインの進捗が最大の投資論点。強気派は、特定領域への特化と研究開発能力により、将来的な大型導出契約の可能性を評価する。一方、弱気派は、現時点での収益基盤が極めて脆弱で、研究開発費の増加により赤字が拡大している点を問題視する。さらに、競合の多い創薬業界での差別化や臨床試験の成功確率の不確実性も懸念される。時価総額が小さく、特定のニュースで株価が大きく変動するリスクも指摘される。

プラスに働く材料7
  • 特化型パイプライン

    ニッチな治療領域に集中し、競合が少ない分野での成功可能性に期待

  • 製薬企業との提携

    提携先からのマイルストーン収入が売上の柱で、追加契約の可能性が焦点

  • 株価調整の反転

    過去1年で株価が大幅下落し、成長期待を織り込んだ反転余地がある

  • 創薬AIの導出契約締結でマイルストン収入不定影響

    2025年12月期の売上高1億円・営業赤字4億円。導出契約一時金で一気に黒字化する可能性

  • 2026年12月期の営業赤字半減なら反発2026年Q2影響

    2025年12月期の営業赤字4億円。半減すれば赤字縮小が確認され、株価反応

  • PBR1.46倍の資産価値が下支え継続影響

    PBR1.46倍から自己資本約18億円。時価総額26億円と資産価値に接近

  • 1年で54%下落し売られ過ぎ継続影響

    1年間で53.95%下落。売り一巡で戻りを試す

マイナスに働く材料7
  • 収益基盤の脆弱さ

    売上高が減少傾向にあり、営業赤字が拡大。安定的な収益源が乏しい

  • 研究開発リスク

    臨床試験の失敗リスクや規制当局の承認不確実性が高く、長期的な資金調達が必要

  • 資金繰り懸念

    営業キャッシュフローがマイナスで、増資や借入による希薄化リスクがある

  • 売上高が1億円まで半減し収益基盤が脆弱決算発表後影響

    売上高4→2→1億円と毎年半減。営業赤字も2→4億円に倍増

  • 最終赤字4億円が自己資本の22%を侵食通年影響

    自己資本約18億円に対し最終赤字4億円(約22%)を毎年計上

  • 営業赤字が売上高の4倍に拡大通年影響

    売上高1億円に対し営業赤字4億円(赤字率-400%)と事業規模超過

  • 無配当と赤字継続で株主還元ゼロ継続影響

    配当利回り0%。赤字継続で配当捻出は困難

次の決算で確かめる点
パイプライン進捗
開発ステージの進展は企業価値に直結し、ステージアップの発表が株価に影響
提携・契約数
新規契約やマイルストーン達成が今後の売上・資金調達の目安となる
研究開発費
費用増加は赤字拡大につながり、資金調達が必要になるため

株主

有価証券報告書より

2025年12月期末の株主数は延べ3,284人。区分でいちばん多いのは個人・その他79.1%。グループ会社や銀行などの安定株主が12.9%を占め、残る87.1%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2023年12月%2024年12月%2025年12月%
個人・その他79.882.779.1
事業法人20.212.012.8
証券会社2.24.6
外国法人2.93.1
外国人個人0.10.2
金融機関0.10.2

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01中村 慎吾21.58
02三菱瓦斯化学株式会社11.27
03New Life Science1号投資事業有限責任組合8.58
04三菱UFJライフサイエンス1号投資事業有限責任組合7.90
05IEファスト&エクセレント投資事業有限責任組合5.11
06梨本 正之4.60
07楽天証券株式会社2.03
08Nomura PB Nominees Limited Omnibus-Margin (CashPB)(常任代理人 野村證券株式会社)1.80
09みずほライフサイエンス第1号投資事業有限責任組合1.16
10株式会社SBI証券0.95

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 7期分

1株利益は7期で+74%、1株純資産は5期で−10%。直近期のROEは2.1%で、日本株の目安とされる8%を下回る。

決算期EPSBPS
2019年12月−253
2020年12月−271
2021年12月−52306
2022年12月−26280
2023年12月6286
2024年12月−37341
2025年12月−66275

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安

経営陣

10名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は10名。2025/12期の役員報酬は総額80百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約2倍にあたる。

氏名役職年齢保有株数
中村慎吾代表取締役社長541,400,000
萩原宏昭取締役執行役員 管理部長57400
甲田伊佐男取締役執行役員 事業開発部長691,400
小南欽一郎取締役591,610
鈴木貞雄常勤監査役73900
廣岡穣監査役55400
若林美奈子監査役54
合田潤53
佐藤知子取締役71
濵野英二常勤監査役68

役員報酬の内訳2025/12

役員の区分人数固定報酬百万円合計百万円1人あたり百万円
取締役(社内)3535318
社外取締役427277

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2025/12期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容28,683字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3 【事業の内容】 当社は「どんな疾患の患者さまも治療法がないと諦めたり、最適な治療が受けられないと嘆いたりすることのない、そんな希望に満ちたあたたかい社会」を実現し発展させるため、AI創薬によってメッセンジャーRNA(mRNA)を標的とする各種医薬品の創出に取り組んでいます。 当社はこれまで、インフォマティクスと実験技術を融合させmRNAへの創薬を可能とする独自の創薬プラットフォームibVISⓇを用いておりましたが、その基礎となる複数のルールベースAIを抜本的に改良し、あわせて新たにデータ駆動AIも複数実装することによりバージョンアップを図ったaibVIS(エイアイビス:以下「aibVISプラットフォーム」と表記)として、より効率的かつ確実なmRNA標的創薬を可能としております。 mRNAを標的とする低分子創薬は、医薬品市場において最大のセグメントを形成する低分子医薬品をもって、従来のタンパク質を標的とする創薬技術では狙うことが難しかった様々な疾患にも対応可能な新しい創薬アプローチで、アンメット・メディカル・ニーズ(有効な治療薬や治療法がなく未だ満たされない医療ニーズ)の充足に貢献することが期待されます。当社は、mRNA標的低分子創薬により、より多くの医薬品を患者さまにお届けするため、当社独自のaibVISプラットフォームを活用し、複数の製薬会社と共同でmRNA標的低分子医薬の創薬研究を進める「プラットフォーム型」のビジネスを展開しております。 加えて当社は、自社でパイプラインを保有する「パイプライン型」のビジネスを展開しており、現在、核酸医薬品の自社創薬研究に取り組んでおります。核酸医薬品は、医薬品市場において最も成長率が高いセグメントと見なされています。aibVISプラットフォームの応用により迅速な創出が可能であり、主に希少疾患のアンメット・メディカル・ニーズの充足につながることが期待されます。 なお、当社の事業セグメントは創薬プラットフォーム事業のみの単一セグメントであります。 (1) 事業の背景 現在の医薬品市場は、主に疾患の原因となるタンパク質(以下「疾患関連タンパク質」という)に直接結合し、その機能を制御することで異常な働きを止める医薬品(低分子医薬品、抗体医薬品※6など)が主流です(図1)。しかし、これらの医薬品が創薬標的として狙うことのできる疾患関連タンパク質の数はもともと限られており、長年にわたる医薬品の研究開発※7の結果、新薬開発が求められている医療ニーズの高い疾患に対して新たに医薬品を創出することが難しくなっています。このように、創薬標的となりうる疾患関連タンパク質が限られてきている現状、すなわち「創薬標的の枯渇」が、製薬業界共通の課題となっています。 mRNAは、DNA※8から個々のタンパク質の遺伝情報を書き写した個々のタンパク質の設計図です。疾患関連タンパク質の設計図であるmRNAを制御することができれば、疾患関連タンパク質の機能を医薬品で直接制御する場合と同様に、その疾患を治療することが可能になり、これまで創薬標的とできなかったタンパク質を標的にできることから、「創薬標的の枯渇」の解消につながることが期待されます(図1)。 mRNAを標的とする医薬品は、核酸医薬品によって実現されています。核酸医薬品は研究開発期間を短くできる可能性があり、患者数が少ない希少疾患の治療に適しています。しかし、経口投与が難しく、製造コストが高いため、多くの患者さまに広く治療を提供するには適していないと考えられます。当社は、低分子医薬品のように経口投与が可能で患者さまの負担が少なく、開発・製造技術が確立している安価で供給に問題がない医薬品でmRNA標的創薬を実現することが製薬業界の真のニーズであり、そのためmRNA標的低分子医薬品は今後の大きな市場になる可能性があると考えております。それにもかかわらず、mRNA標的低分子医薬品はこれまでほとんど創出されておりませんでした。低分子創薬では、創薬標的全体の構造を精密に解析し、創薬標的上に低分子医薬品が結合して薬効を示すことが期待できる構造を最初に特定すること(このプロセスを、以下「ターゲット探索」という)が重要です。しかしながら、mRNAは1つの決まった構造をとらず、創薬研究を始める際に精密な構造の解析を行うことが困難であるため、mRNAを創薬標的にして低分子創薬を実施することは難しいという業界の認識がありました。このような状況において、当社の創業者である中村が2000年代前半より技術開発してきたインシリコ※9RNA構造解析技術により、mRNAを創薬標的としたターゲット探索が可能になり(詳細は「(2) 当社の事業領域 ③ aibVISプラットフォーム」を参照)、ターゲット探索の結果を活用した実用的な低分子化合物のスクリーニング※10法と合わせて、当社の創薬プラットフォームの基礎となっていました。そして現在、ibVISⓇの根幹をなす複数のルールベースAIを抜本的に改良しつつ、起業後に実施した社内研究および製薬会社等との共同研究によりRNAに関する独自の解析データを蓄積し、そのデータを利用するデータ駆動AIを装備することにより、AIと生物学を組み合わせた創薬プラットフォームaibVISに発展させています。 図1. 現在の主な医薬品市場(タンパク質標的医薬品)と当社が取り組む今後の成長市場(mRNA標的医薬品) (注) mRNA標的低分子医薬品の研究開発は世界的に見てもほとんどが研究段階であり、 本創薬で上市された低分子医薬品はありません(2025年12月末現在)。 mRNAを標的とした創薬(低分子医薬品及び核酸医薬品)は、タンパク質を標的とした従来の創薬手法では医薬品の研究開発が不可能もしくは困難であった様々な疾患に適用できる潜在性を秘めています。そして疾患関連タンパク質において大きな割合を占めるブルーオーシャン(競争相手のいない又は競争相手の少ない未開拓な市場)を開拓できる創薬アプローチであると考えております(図2)。特に、mRNA標的低分子創薬は、患者さま、製薬業界及び医療経済的な観点からも社会に望まれる低分子医薬品の創出に取り組めることから、次世代創薬の本命の一つとして期待されています(詳細は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営環境」を参照)。 図2. mRNA標的創薬によるブルーオーシャン開拓の可能性 出典:The Human Protein Atlas, DrugBank, KS analysis, 2018 をもとに当社にて作成 現在の医薬品市場の中心の一つであるタンパク質標的低分子医薬品とその創薬標的であるタンパク質の関係は、ちょうど「鍵」と「鍵穴」の関係に例えられ、低分子創薬とは、創薬標的上に「鍵穴」を探索し、様々な工程(「鍵候補」を見つけるスクリーニングなど)を経て「鍵穴」にピタリとはまる「鍵」を創出する一連のプロセスであると言えます(図3)。 当社は、独自のインシリコRNA構造解析により、多くのmRNA上には局所的に低分子医薬品(「鍵」)が結合できる構造(「鍵穴」)があること(当社では、mRNA上に局所的に存在する構造を「部分構造」、そのうち標的として定める構造を「ターゲット構造」と呼んでおり、「鍵穴」は「ターゲット構造」に該当します)、しかも多くの場合、複数の「鍵穴」が存在することを見いだしました。また、これらの「鍵穴」に対して「鍵候補」を見つけるために当社が独自改良したスクリーニング法の確立等により、従来のタンパク質標的低分子創薬と同様に、新しい創薬アプローチであるmRNA標的低分子創薬の実施が可能になっています(図3)。 図3. 低分子創薬のターゲット探索(鍵穴の探索)とスクリーニング(鍵候補を見つけるプロセス) (注1) 様々な化合物の中から一定の基準を満たす化合物を選択するためのプロセス(鍵穴に対して鍵候補を見つけるプロセス) (注2) スクリーニングで一定の基準を満たした化合物(鍵候補) (2) 当社の事業領域 当社は、インシリコRNA構造解析技術をはじめとした複数のルールベースAIと創薬技術(biology)を統合したaibVISプラットフォームを活用したmRNA標的創薬を主事業としており、製薬会社との共同創薬研究等を通じて、mRNA標的低分子医薬品の創出に取り組むとともに自社による核酸医薬創薬にも取り組んでいます。 その他、将来の事業の多角化のため、インシリコRNA構造解析技術を応用した農薬事業への取り組みや、オンリーワンとなる核酸医薬品の創出の際に核酸医薬品の根本的な課題克服を目指したドラッグデリバリーシステムの事業化についても進めています(図4)。 図4. Veritas In Silicoの事業領域 私たちの体は、各部位の機能に応じて、その機能を発揮するために必要なタンパク質で構成されています。各部位の細胞内では、細胞の核の中にあるDNAがもつ全ての遺伝情報から必要なタンパク質の遺伝情報のみがmRNAに書き写されます(転写)。mRNAは核内から外に運び出された後、リボソーム※11というタンパク質合成機構によってタンパク質の合成の設計図として用いられます(翻訳)。翻訳の際、まずリボソームが一本のひも状であるmRNAの一方の端(5'末端)に取り付き、このリボソームがもう一方の端(3'末端)に向かって進行しながらmRNAの遺伝情報を読み取り、遺伝情報に対応するアミノ酸(タンパク質の構成要素)をつなげていくことでタンパク質が合成されます(図5)。このように、mRNAは私たちの体に必要なタンパク質の設計図として体内に存在しています。 当社は、そうした設計図であるmRNAに対する創薬として、低分子医薬品創薬と核酸医薬品創薬を行っています。低分子医薬品は、製造コスト(変動費)が低い一方、医薬品候補化合物を取得するまでの研究期間と費用(固定費)は高くなる傾向があります。核酸医薬品は、製造コストが高い一方、医薬品候補化合物を取得するまでの研究期間と費用は低減される傾向があります。すなわち、低分子医薬品が患者数の多い慢性疾患や一般疾患に治療を提供することに適しているのに対して、核酸医薬品は患者数の少ない希少疾患に治療を提供することに適しています。 ① mRNA標的低分子創薬 a mRNA標的低分子医薬品の作用メカニズム 当社のmRNA標的低分子創薬では、当社独自のAIにより、ある程度安定で存在確率の高い(低分子化合物が結合しうる)部分構造をmRNA上に見いだしてターゲットとし、そのターゲット構造に結合し安定化する低分子医薬品を見出します。そしてその低分子医薬品がより強固でほどけにくい構造体をmRNA上に構築することで、リボソームによる(そのmRNAという設計図に対応した)タンパク質の翻訳を阻害もしくは制御することを狙っています。これにより、疾患の原因となる疾患関連タンパク質の生成を抑えられれば、従来の低分子医薬品や抗体医薬品等で直接疾患原因タンパク質の機能を阻害もしくは制御する場合と同等の効果が得られると考えています。(図5) 図5. mRNA標的低分子医薬品の作用メカニズム (注) 通常、ある程度安定なmRNA構造があっても、リボソームは構造をほどいてタンパク質を合成する。ある程度安定なmRNA構造が低分子医薬品によってより安定で強固になると、リボソームは構造をほどけずタンパク質の合成がストップする。 b 当社のmRNA標的低分子創薬の特徴 ― 研究開発 ― 一般的に医薬品の研究開発は、創薬標的を決定した後、医薬品候補化合物※12を創出するまでの創薬研究(研究段階)、非臨床試験、臨床試験、承認取得(開発段階)を経て、完了までに長い年月を要します(表1)。当社が製薬会社と実施しているmRNA標的低分子創薬では、従来のタンパク質標的低分子創薬と標的は異なりますが、最終目的物は同じ化学的特性をもつ低分子化合物であることから、表1に示す創薬研究以外の非臨床試験、臨床試験、承認審査、さらには承認後の製造・販売で必要となる技術及びインフラは従来の低分子創薬と共通しています。mRNA標的低分子創薬で臨床試験以降の開発に進んでいる例は世界的にみてもまだ限られておりますが、化学的特性が従来の低分子創薬の医薬品候補化合物と同等であることを鑑みると、開発以降のリスクや成功確率は概ね従来の低分子創薬の医薬品候補化合物と同程度であると考えられます。また、低分子医薬品の場合には開発ガイドラインも確立されているため、開発段階以降の障壁は他の新規創薬技術と比較して小さいと考えられます。 以上のことから、mRNA標的低分子創薬で重要なことは、医薬品として十分な効果・安全性等を示す医薬品候補化合物を創出するまでの創薬研究であると言えます。 表1. 一般的な医薬品の研究開発プロセス プロセス   期間   主な内容 研究(注1)   創薬研究   2~4年   創薬標的を決定した後、医薬品候補化合物創出までの創薬研究 開発(注2)   非臨床試験   3~5年   ヒトに用いる臨床試験を前提に、実験動物等を用いて有効性及び安全性等を国際的な基準のもとで最終確認する試験 臨床試験   3~7年   第I相   少数の健康な方を対象に安全性等を確認する試験 第II相   少数の患者さまを対象に有効性及び安全性を探索的に確認する試験 第III相   多数の患者さまを対象に有効性と安全性を検証的に確認する試験 承認審査   1~2年   各国の規制当局による審査 (注1) 研究は、医薬品として十分な効果・安全性等を示す医薬品候補化合物を創出するまでの段階 (注2) 開発は、創薬研究で取得した医薬品候補化合物の効果・安全性等を規制当局に証明していく段階 c 当社のmRNA標的低分子創薬の特徴 ― 薬物動態・安全性 ― 医薬品の創薬研究では、疾患関連タンパク質の機能を抑制する効果など、医薬品の主作用(薬効)だけではなく、医薬品が投与されてから血中へ吸収されるか、血中から目的とする組織・細胞へ移行するかといった点や(分布)、医薬品が体内で代謝や排泄される過程、さらには安全性を確保するための毒性の低減、といった様々な課題について検討し、最適化する必要があります(医薬品を投与してから「吸収」「分布」「代謝」「排泄」される過程を「薬物動態」という)。 mRNA標的低分子創薬の創薬研究においても同様に薬物動態や安全性等の検討・最適化が必要ですが、従来のタンパク質標的低分子創薬と比べてmRNA標的低分子創薬の研究過程に特有の検討課題は、細胞内で標的とするmRNAに作用して疾患関連タンパク質を減少させられるかという「細胞内での効果」の工程のみであり、それ以外は従来の低分子創薬と共通しています。つまり、創薬研究段階におけるmRNA標的低分子創薬の新規創薬技術として特有のリスクは、概ね「細胞内での効果」が得られるか、という点になります。もちろん他の工程にもリスクはありますが、そのリスクは従来の低分子創薬と同様であると考えられ、この点については、長年の創薬研究を通じて各製薬会社には技術やノウハウが豊富に蓄積されています。逆に言うと、「細胞内での効果」は十分にあっても、従来の低分子創薬と同じ薬物動態や安全性の課題により、創薬研究が中断するリスクがあります。そのため、mRNA標的低分子創薬により患者さまに医薬品を届けるためには、従来の低分子創薬を通じて蓄積された各製薬会社の技術やノウハウが重要です。当社では、mRNA標的低分子創薬により患者さまに医薬品を届けるためには、より多くの製薬会社と共同創薬研究を実施することが重要であると考え、「プラットフォーム型」のビジネスに注力しています(詳細は「(3) ビジネスモデルの特徴」を参照)。 aibVISプラットフォームを活用した当社と製薬会社との共同創薬研究において、当社が担当するのは表1の創薬研究の中でも標的とする「細胞内での効果」に関するものであり、「ターゲットの探索」「スクリーニング」「ヒットtoリード」「リード化合物最適化」で構成されます。それ以外の薬物動態や安全性研究、動物を用いた化合物の効果を検証するための実験、非臨床試験以降の開発段階については、従来の低分子創薬での経験や知見が豊富な提携先の製薬会社にて実施されます(製薬会社との役割分担の詳細は、「③ aibVISプラットフォーム b ワンストップで医薬品候補化合物まで取得」を参照)。 ② mRNA標的核酸医薬創薬 当社のAI創薬は、mRNAの構造を詳細に解析できるという一般性から、核酸医薬品の創出への応用が可能です。当社は、自社でパイプラインを保有するハイブリッド型ビジネスにビジネスモデルを転換しており、mRNA標的低分子創薬に続く事業として、当社単独で実施可能な核酸医薬品の創出に向けた取り組みを進めています。 当社では、これまで理論的な配列設計が困難とされてきた核酸医薬品の一種であるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)※13の配列設計にインシリコRNA構造解析を応用します。当社のインシリコRNA構造解析により、短期間で医薬品候補化合物となるASOを取得でき(当社では最短8カ月で取得)、その結果研究開発費を抑えることが可能になると考えております。加えて、後述する当社独自のドラッグデリバリーシステム 「Perfusio (パーフュージオ)」を用いて、抜本的な臨床試験期間の短縮とコストの削減を目指します。自社パイプラインの対象疾患については、当社の株主価値の向上につながるかどうかを基準に、オンリーワンとなる医薬品の創出のために具体的な検討を開始しています(詳細は「d パイプライン創出と開発の方針」参照)。 a 核酸医薬品の作用メカニズム 当社のmRNA標的核酸医薬創薬では、mRNA上に核酸医薬品が効果的に結合しうる部分構造を当社独自のAIにより見いだしてターゲットとし、そのターゲットに対応するASOを創出します。ASOがmRNA上のターゲットに結合すると、それを異物であると認識するRNase HがmRNAを切断します。これにより、疾患の原因となる疾患関連タンパク質の生成を抑えられれば、従来の低分子医薬品や抗体医薬品等で直接疾患原因タンパク質の機能を阻害もしくは制御する場合と同等の効果が得られると考えています(図6)。 図6. mRNA標的核酸医薬品の作用メカニズム (注) mRNAに対してASOが結合すると、それを異物とみなすRNase Hによって認識されてmRNAが切断される。mRNAの切断によって、疾患関連タンパク質の生成は終了させられる。 b 核酸医薬品創薬の特徴 ― 研究開発における三つの課題と当社独自の解決策 ― 核酸医薬品が臨床試験を終え、承認申請を経て実際に販売に至った例はこれまでのところ限定的です。当社では「 第II相試験終了後、 第III相試験を開始・終了し、申請等を終えて市場に出る」までの確率は、低分子医薬品がおおむね40-50%程度であるのに対し、核酸医薬品は8-10%程度にすぎないと分析しています。つまり、核酸医薬品における最大の課題の一つは、第III相試験で初めて明らかになる毒性(「毒性」)です。具体的には、タンパク質への予測不可能な結合による毒性や、ヒトにおいては重篤になってしまう核酸医薬品に施された各種化学修飾による化学毒性が挙げられます。加えて、第III相試験を始められないことも上記の確率を下げています。すなわち、第III相臨床試験という商業レベルと同じ大きさで始まる製造によってようやくわかってくる商業生産時の製造コスト(「製造」)、および第III相臨床試験前に行われることの多いバイオテクが持つ核酸医薬品の製薬会社へのライセンスアウトの不調(核酸医薬の事業領域の「魅力))だと考えております。核酸医薬品を市場に出すためには、臨床後期に判明するこれらの三つの課題を回避ないし解決することが最も重要というのが当社の考え方です。 これら「毒性」「製造」「魅力」の三つの課題に対し、当社はこれまでシンプルなASOを創出することで毒性と製造コストを抑え、その結果として競合品があっても価格競争力の面で魅力を持たせる方針でした。日本の規制当局との議論を通じて、この方針の有効性を確信しております。加えて2025年には、この考え方をさらに一歩進めることとしました。すなわち、シンプルなままで薬効等をさらに向上させるECM型核酸医薬品という新たな方法論を創出しました。さらに、QbD(Quality by Design)の考え方を採り入れ、医薬品を創出する時点から製造に難点がないかを検討して品質向上や製造コストダウンを図るとともに、三菱ガス化学株式会社と核酸医薬の製造検討を初期段階から行うことにより臨床試験に入る確度とスピードを上げる方針としました。そして、今まで医薬品を特異的に届けることが難しかった臓器に効率的に医薬品を届け、また回収できるドラッグデリバリーシステムとしてPerfusioの実用化に取り組んでおり、これをもってアンメット・メディカル・ニーズを抱える疾患に対して核酸医薬品を創出することで、核酸医薬品の事業領域の魅力を高めようと考えております。これら三つの施策は、どれ一つ矛盾することなく、核酸医薬品が直面する三つの課題を解決するものと考えています(図7)。 図7.核酸医薬品の創薬研究で検討が必要な課題 c 当社の核酸医薬品創薬の特徴 ― 開発期間の短縮による株主価値向上へ ― 当社が主として自社で実施している核酸医薬品創薬では、当社独自のAI創薬によって医薬品そのものを直接設計できます。そのことによって研究期間を大幅に短縮することができます。開発期間においては、少ないながらも核酸医薬品に関する許認可が進んでいることから、開発ガイドラインも確立されつつあるため、開発段階以降の障壁は他の新規創薬技術と比較して小さいと考えられます。また、希少疾患に対する開発期間は一般的に短くなる傾向があります。 また、当社では、主として核酸医薬品のドラッグデリバリーに用いることができるPerfusioの実用化に取り組んでいます。これは、血管用のカテーテルを用いて特定の疾患臓器に動脈側と静脈側の双方からアクセスし、患者さまの体内において対象の臓器を独立させ、医薬品を灌流するというシステムです。このシステムを使う事で、通常のドラッグデリバリーと異なり、医薬品を対象の臓器に直接届け、そしてそれらを対象の臓器から回収することができます。これは、これまで先進医療として行われていた閉鎖循環療法でもみられる発想で、非常に治療効果が高いだけでなく副作用を軽減できることが知られています。この対象臓器を的確に選び、さらに最後に本治療を終了した際に全身への漏出を極限まで抑えることにより全身への医薬品の暴露をほとんどなくすことができれば、医薬品の開発期間を大幅に短縮することが期待できます。当社では2026年1月に専属部署として新規事業開発室を設置し、このPerfusioの実用化と開発期間の短縮の試みに取り組んでいます。 このPerfusio実用化により、当社が取り組む核酸医薬品のパイプラインの研究開発期間とそのコストを削減し、当社の株主価値の向上につなげることを目指します。 d パイプライン創出と開発の方針 自社パイプラインの対象疾患については、特に市場性を重視することで、現在の株主価値に資する現在価値の高いものを選定する方針です。すなわち、(i)将来価値の総額が大きく、(ii)販売開始までの期間が短く、そして(iii)直近のコストを低減させる施策を採れるものです。これら三つの観点は、将来の医薬品の価値を販売開始までの期間や成功確率からディスカウントキャッシュフロー(DCF)法により現在の価値に換算する際、高い現在価値を形成するために重要です。 市場性を基準に自社パイプラインを選定することは、製薬会社にとって事業性の高い魅力あるパイプラインを創出することにもつながります。これにより、将来的に行うパイプライン導出の成功確率も高まることが期待できます。 さらに、Perfusioを利用することで、これまでに核酸医薬品を適用できると考えられていなかった疾患臓器に対する核酸医薬品を創出することができれば、アンメット・メディカル・ニーズに応えるだけでなく高い事業性を持つパイプラインが創出でき、製薬会社への円滑なライセンスアウトが期待されます。今後は、当社が創出するパイプラインの現在価値が当社の株主価値に織り込まれるように、パイプラインの創出と開発に関する情報は適時適切な開示等に努めます。 当社においては、三菱ガス化学株式会社と当社で権利を共同保有する自社パイプラインにおいて、三菱ガス化学株式会社に共同研究費の一部を負担いただいております。これは、これまで研究初期段階ではあまり注目されてこなかった、核酸医薬品の商業生産時の製造権を、共同研究開始時点より三菱ガス化学株式会社が保有することを確約することによりマネタイズを図ったものとなります。 以上の方針にもとづき、製造コストを低減しつつ、毒性リスクを第III相試験に持ち越さず、さらに隠された市場性の問題にも対応することで、アンメット・メディカル・ニーズにお悩みの患者さまにまで医薬品として届く可能性の高いパイプラインの創出に取り組みます。 ③ aibVISプラットフォーム a 多種多様な疾患に適応可能 当社は、これまで国内外の多くの製薬会社に、当社のibVISⓇプラットフォームの創薬技術及びデジタル技術を紹介してきました。これらの製薬会社より、ibVISⓇプラットフォームでmRNA標的低分子創薬を実施したいと開示をうけた創薬対象遺伝子の数は既に100を超え、そこから推定される疾患領域は、がん領域、中枢神経、各種希少疾患の順に多く、その他は循環器疾患、免疫疾患、感染症など多種多様です(図8)。これは、製薬会社という創薬の専門家から見て、ibVISⓇプラットフォームが様々な疾患に適応可能と理解されていることを示唆するものと当社では分析しております。中でも市場の大きいがん領域の割合が突出しており、医薬品が血液脳関門(神経細胞に影響のある物質をブロックする保護システム。Blood Brain Barrier;BBB)を通過する必要のある中枢神経疾患の割合ががん領域に続いております。これらは、製造コストが低く巨大な市場にも供給可能であり、BBBを通過できる低分子医薬品の強みを活かせる疾患領域であると考えられます。この特徴は、AI創薬をより推進したaibVISプラットフォームにおいても変わりません。 図8. 創薬対象遺伝子からわかるmRNA標的低分子創薬の適用疾患領域 (注) 2025年9月末現在において製薬会社から開示された創薬対象遺伝子に基づき当社にて作成 b ワンストップで医薬品候補化合物まで取得 当社のaibVISプラットフォームは、mRNA上に存在する低分子医薬品の「鍵穴」の候補となる部分構造を網羅的に解析し、その中から標的に適した「鍵穴」すなわちターゲット構造を定める「ターゲット探索」から、数多くの低分子化合物の中からターゲット構造に対して結合が認められる化合物を実験的に選択する「スクリーニング」、スクリーニングで取得したヒット化合物※14とターゲット構造の結合の強度や結合の特徴を詳細に検証する「ヒットtoリード」、ヒットtoリードにより取得したリード化合物※15を医薬品レベルにまで効果を高める「リード化合物最適化」により、最終的に非臨床試験以降に進める医薬品候補化合物を取得するまで、mRNA標的低分子創薬に必要な全ての創薬技術とデジタル技術を備えていると当社は考えております(図9、表2)。さらに、それらの創薬技術とデジタル技術が単に個々の技術としてではなく、一つの創薬システムとして統合されており、各製薬会社はaibVISプラットフォームを活用することで、mRNA標的低分子創薬で直面する多くの課題をワンストップで解決することが可能になると当社は考えております。 特に当社の「ターゲット探索」は、当社が独自開発したルールベースAIを活用したインシリコRNA構造解析ソフトウェアMobyDickⓇにより、製薬会社が任意に選択したmRNAから高速かつ正確に複数のターゲット構造を探索することが可能であり、当社の競争優位性の一つとなっています。この優位性は、数多くの製薬会社と共同研究あるいは共同創薬研究を行ってきた当社において、製薬会社の真のニーズに応える挑戦を通じてさらに強化されています。 図9. 創薬技術とAIを備えたワンストップAI創薬プラットフォーム (注)共同創薬研究において製薬会社は、当社が技術供与したスクリーニング法を使ったスクリーニングの実施及び細胞実験を主に担当します。加えて製薬会社側では、化合物の合成展開※16、薬物動態及び安全性研究、化合物の効果を検証する動物実験などが実施されます。 表2. aibVISプラットフォームの創薬技術とAI 創薬研究プロセス   内 容 ターゲット探索   ・NCBIデータベースよりmRNA配列データ取得創薬対象とするmRNAを定め、NCBI※17(National Center for Biotechnology Information;国立バイオテクノロジー情報センター)の遺伝子データベースよりmRNA配列データを取得します。・コンピュータによるmRNA構造解析独自のRNA構造解析ソフトウェア「MobyDickⓇ」により、創薬対象に定めたmRNA上の部分構造を網羅的に解析します。・コンピュータによるターゲット構造の評価「MobyDickⓇ」に含まれる熱力学のエネルギー計算により、存在確率及び安定性の高い部分構造の中からターゲット構造候補を探索します。・NMRによるターゲット構造の確認ターゲット構造候補の妥当性を主としてNMR※18 (Nuclear Magnetic Resonance;核磁気共鳴)により実験的に確認し、ターゲット構造と定めます。・実験的スクリーニング系の確立次のプロセスのスクリーニングで、各種低分子化合物とターゲット構造の結合を検出するため、蛍光性のある物質を目印として付けたターゲット構造を合成し、そのターゲット構造がmRNA構造解析どおりの構造を実際に取っているか、スクリーニングで正常に動作するか等を実験的に確認します。 [製薬会社との役割分担]当社協力のもと製薬会社が創薬対象とするmRNAを定めた後の工程は、全て当社で担当します。 創薬研究プロセス   内 容 スクリーニング   ・化合物ライブラリーの設計・準備製薬会社が保有する莫大な数の化合物を収める化合物ライブラリーからスクリーニングにかける化合物を選定します(フォーカストライブラリー)。・スクリーニングFRET※19(Fluorescence Energy Transfer;蛍光共鳴エネルギー移動法)による一般的なスクリーニング法を定量的解析ができるように改良した、当社独自のqFRET※20(Quantitative Fluorescence Energy Transfer;定量的蛍光共鳴エネルギー移動法)により、数万から数十万の低分子化合物の中から、陽性を示す(ターゲット構造への結合が検出された)化合物(ヒット化合物)を取得します。・統計解析高精度かつ定量的なスクリーニング及びスクリーニングの結果得られるデータの統計解析を可能とするために、複数の自社製作ソフトウェアとルールベースAIであるplot2tm、Guppy および Viper を利用します。 [製薬会社との役割分担]当社協力のもと製薬会社が化合物ライブラリーの設計と準備をします。スクリーニングは製薬会社もしくは当社、あるいは両者で実施します。 ヒットtoリード   ・細胞実験による効果の測定スクリーニングで取得したヒット化合物の妥当性を検証するため、細胞レベルでの効果の確認を行います。・BLI/ITCによる結合の強度測定/NMRによる結合の特徴測定細胞実験にくわえて、BLI※21(Bio-Layer Interferometry;バイオレイヤー干渉法)、ITC※22(Isothermal Titration Calorimetry;等温滴定熱測定)などの熱力学的測定法※23、NMRなどの分光学的手法※24により、ターゲット構造に対するヒット化合物の結合の強度や特徴を解析します。・NMRによる結合の特徴測定NNMRなどの分光学的手法により、ターゲット構造と低分子化合物の結合の強度について確認するとともに、その結合の特徴を解析します。さらに、それぞれの低分子化合物の結合の特徴から、低分子化合物のグループ分けを行います。これについても、当社のルールベースAI Snowpeaks が支援します。・量子化学※25計算上記の結果をもとに、ヒット化合物から次段階の化合物(リード化合物)を設計するために必要な量子化学計算を行います。・リード化合物取得上記の結果をもとに、ヒット化合物から次段階の化合物(リード化合物)を獲得するための基礎となる化合物を複数選択します。これらを出発化合物として化合物の合成展開及び本プロセスの検証を繰り返し、低分子医薬品として好ましい特性を持つリード化合物を獲得します。 [製薬会社との役割分担]細胞実験による「細胞内での効果」の測定は、製薬会社によって行われる事が多いものの、当社で実施する場合もあります。その他の解析については、基本的に全て当社が担当します。また、本段階の進展に伴い必要となる化合物合成(合成展開)は、主として製薬会社が担当します。 創薬研究プロセス   内 容 リード化合物最適化   ・RNA-低分子の三次元構造決定ターゲット構造と化合物の複合体の三次元構造を、NMRやX線結晶構造解析※26により実測します。・量子化学計算による化合物最適化(医薬品候補化合物の取得)複合体の構造情報をもとにした量子化学計算を用いて医薬品を設計する手法等による化合物の最適化研究を行います。これにより、低分子医薬品としてリード化合物よりもさらに好ましい活性と物性を示す医薬品候補化合物の理論的創製が可能になります。・コンピュータによる副作用予測自社製作ルールベースAI search4loop を使ったインシリコ副作用予測により、ヒット化合物の副作用を規制当局への説明に使用可能なレベルで評価します。 [製薬会社との役割分担]複合体の構造解析と量子化学計算による化合物の最適化研究は、当社が担当します。最適化研究に伴い必要となる化合物合成は、製薬会社が担当します。 c mRNA標的低分子創薬を可能にするRNA構造解析ルールベースAI mRNAは分子内で相互作用して立体構造をとる巨大分子であり、細胞内の環境下では1つの決まった立体構造をとらず、様々なパターンの構造をとってそれらが混在するという性質があります。よって、一般的に一定の構造をとるタンパク質を標的とする従来の創薬と同様の理論では、mRNA標的低分子創薬を実現することはできませんでした。 当社の中村は、約20年にわたる創薬研究の経験に基づき、1つの決まった状態をとらない事象を取り扱う統計力学※27理論及び熱力学※28理論がmRNAの性質を解析する上で有用な方法であることを見出しました。具体的には、統計力学理論によりmRNA上に局所的に存在する部分構造の存在確率を計算し、熱力学理論により各部分構造のエネルギー状態の計算から安定性・不安定性を評価します。このように、既存創薬の研究領域(化学~生物学)に統計力学理論及び熱力学理論を適切に応用することにより、mRNA上の各部分構造を存在確率や安定性・不安定などの各指標にもとづき定量的に評価する方法論を確立し、その結果、mRNA上にはいつも同じ構造を取ろうとする安定な部分構造が存在することを明らかにしました(図10)。 図10. mRNA標的低分子創薬実現への突破口 当社は、こうした理論を実装することに加えて、製薬会社との共同研究等で得ることができた様々な知見等を組み込んだルールベースAI MobyDickⓇを構築し利用しています。MobyDickⓇにより、任意のmRNAから高速で網羅的に部分構造を発見し、低分子医薬品の標的に適したターゲット構造(一般的に、存在確率が高く安定であり、低分子化合物の結合が期待される部分構造)を定量的な評価にもとづき特定できるという強みを持っています。このターゲット探索の強みを活かして、製薬会社の幅広い創薬ニーズに応えるmRNA標的低分子創薬を可能にしています。 d 高い達成率を誇るターゲット探索とスクリーニング 当社のaibVISプラットフォームは、ターゲット探索とスクリーニングにおいて高い達成率を誇っています。製薬会社との共同創薬プロジェクトでは、これまでに製薬会社が選定したがん、中枢神経疾患、感染症等に関連するmRNAに対してターゲット探索を実施し、ターゲット探索で得られたターゲット構造に対して数万から数十万の化合物ライブラリーを使用した高速・高感度スクリーニング(qFRET)を実施しました。その結果、ターゲット探索の達成率は約98%、スクリーニングの達成率は約96%であり、結果的に創薬対象とするmRNAの選定から約94%の成功率でヒット化合物を取得しています(2025年12月末現在)。この手法は、当社で新たに開発したデータ駆動AIであるAISLARを用いることによって、数倍の効率化が期待できます(図11)。 図11. 高い達成率を誇るibVISⓇプラットフォームのターゲット探索とスクリーニング e ヒット化合物検証(細胞実験等) ヒット化合物を得た後は、化合物の「細胞内での効果」を確認するため、細胞実験にてヒット化合物が対象となる疾患関連タンパク質の発現量に与える影響を確かめます。これまでの製薬会社との共同研究では、様々なヒット化合物が細胞実験により対象となる疾患関連タンパク質を減少させている、すなわち「細胞内での効果」を示す結果が得られています(図12)。この効果を示す化合物の濃度は、この後の医薬品候補化合物の取得を目指した合成展開を開始するのに十分であると当社は考えております。また、こうしたヒット化合物の特性は、aibVISプラットフォームの創薬技術に含まれるBLI/ITCによる結合の強度等の測定やNMRによる結合の特徴測定によっても確認されます。 図12.スクリーニングにより取得したヒット化合物の細胞内での効果検証(細胞実験結果) f 合成展開への支援 低分子創薬においては、スクリーニングで得られたヒット化合物を参考に、より高い細胞活性やより低い毒性を期待できる化合物を設計し合成する作業が、主としてパートナー企業で行われます(合成展開)。この合成展開によって得られた化合物を、ヒットtoリードのステップで使用した技術によってその特性を逐一確認して合成展開の方向性を定めます。またこの段階では、化合物の化学構造と細胞活性の関係性を意識することで、より効率的に合成展開を行うことになるため、構造活性相関を基礎としたコンピュータ支援ドラッグデザイン(SBDD)の使用が期待されます。 当社は、このSBDDがRNAに対する創薬であっても実行可能であることを、NMRによる低分子化合物とRNAの作る複合体の三次元構造を取得することから始まり、量子化学計算を行って結合のエネルギーを明らかにするという先行例として示し、論文発表を行っております。今般、この先行例をさらに発展させてより効果のある化合物群を創出することについて、学会発表も行っています。当社では、NMRに加えて、X線を用いて複合体の三次元構造を実測するX線結晶構造解析についても可能としております。 また、社内研究によってRNAと低分子化合物の結合において、特に重要となる要素を把握しております。したがって、三次元構造を実測する以前から低分子化合物側の特徴だけを用いた量子化学計算によって合成展開に有用な情報を得る試みも可能としています。 ④ その他 当社のAI創薬は、mRNAの構造を詳細に解析できるという一般性から、様々な応用が可能であると考えております。当社は、主事業のmRNA標的低分子創薬とこれに引き続く核酸医薬創薬にとどまらない、mRNA関連創薬への多角化についても視野に入れています。より具体的には、農薬への応用をすでに検討しています。 同様に、当社パイプラインの開発段階での課題を解決するために作り出した Perfusio については、その応用範囲は核酸医薬品や当社内にとどまることなく、一般的に製薬会社が開発を目指す細胞治療等の高価な治療にも及ぶと考えられます。したがって、Perfusio についても実用化と事業化の機会を狙ってまいります。 このように、当社は本業を中心とした多角化の機会を逃さない体制でおります。 (3) ビジネスモデルの特徴 当社は、これまでのプラットフォーム型ビジネスから、自社パイプラインも創出しつつプラットフォーム事業も営むハイブリッド型ビジネスに転換しています。自社パイプラインについては、今後具体化する際にパイプラインごとに個別具体的なビジネスモデルをご説明しますので、ここではプラットフォーム型のビジネスモデルについてご説明します。 ① ビジネスモデルの概要 当社は、より多くのmRNA標的低分子医薬品を迅速に社会に届けるため、製薬会社の幅広いニーズに応える汎用性の高いaibVISプラットフォームを武器として、複数の製薬会社と多数の共同創薬プロジェクトを同時に進行させる「プラットフォーム型」のビジネスを展開しています(図13)。製薬会社との契約では、契約一時金、研究支援金にとどまらず、マイルストーン、ロイヤリティ等の対価を定めることにより、契約締結直後から長期的かつ継続した事業収益の確保を目指します。 当社は2025年度末時点において、プラットフォーム型ビジネスのもと、主な事業収益の源泉となる製薬会社との共同創薬プロジェクトを効率的に進めるため、アカデミアとの共同研究をはじめ、各種機関・企業と提携関係にあります(図14)。 図13. 創薬系バイオテク企業のビジネスモデル 図14. Veritas In Silicoの事業系統図 (注) 製薬会社から当社への対価の詳細は「②契約形式」をご参照ください。 ② 契約形式 プラットフォーム事業 プラットフォーム事業では、製薬会社と医薬品候補化合物を取得するまでの創薬研究を共同で実施する共同創薬研究契約を締結することを基本としています(図15)。共同創薬研究契約では、製薬会社から創薬対象とする標的遺伝子の情報を受領後、その標的遺伝子ごとにプロジェクトを設定し、各プロジェクトの進捗状況に応じて一連の継続的な事業収益が得られるように規定しています(図15、表3)。 当社と製薬会社の共同創薬研究契約に基づくパートナーシップ(以下、当社と共同創薬研究契約等に基づき、共同で創薬研究を実施する製薬会社を「パートナー」という)は、当社技術を用いて当社とパートナーが共同で医薬品候補化合物を創出する創薬研究段階と、医薬品候補化合物の創製における当社貢献部分をパートナーに譲渡し、パートナーが医薬品候補化合物の開発・販売を行うことで当社に事業収益が発生する開発・販売段階で構成されます(図15)。各段階において当社が計上する主な事業収益は以下の通りです。 図15. Veritas In Silicoの収益構造 表3. 主な事業収益の内容 事業収益名   内容 契約一時金   契約締結時に一時金として受け取る事業収益 研究支援金   研究実施等に対する対価として創薬標的ごとに受け取る事業収益 マイルストーン   研究・開発・売上の進捗に応じて、事前に設定したイベントを達成した際に受け取る事業収益 ロイヤリティ   医薬品販売開始後に年間の売上高に応じて受け取る事業収益 a 創薬研究 当社の共同創薬研究契約では、通常締結時にaibVISプラットフォームの使用に対する技術アクセスフィー等として「契約一時金」をパートナーより受領します。研究開始後、研究実施に対する費用支援・対価等として標的遺伝子ごとに設定された「研究支援金」を研究期間中毎年受領します。また、創薬研究中に追加的な研究が必要となる場合には、追加の「研究支援金」を標的遺伝子ごとに受領します。さらに、パートナーと事前にいくつかの研究達成目標、すなわちマイルストーンを設定し、当該マイルストーンを達成した場合には、パートナーより「研究マイルストーン」を受領します。 b 開発・販売 当社の共同創薬研究契約では、基本的に、創薬研究における成果の当社貢献度に基づき、当社が開発・販売において受領する「開発マイルストーン」、「ロイヤリティ」、「売上マイルストーン」等の経済条件についても以下のとおり規定しています。 創薬研究で医薬品候補化合物を取得し、パートナーにより非臨床試験に進む判断がされた場合には、当社はこの段階で、最初の「開発マイルストーン」を受領します。その後、医薬品候補化合物の開発はパートナーに委ねられますが、パートナーによる開発が進み、臨床試験に移行した場合には、臨床試験の段階ごとに追加的に「開発マイルストーン」を受領します。さらに、最終的に医薬品として上市された場合には、売上金額に一定の料率を乗じて得られる金額を「ロイヤリティ」として受領します。加えて、上市された医薬品の年間の売上高が所定の売上額に達した場合には、「売上マイルストーン」を受領します。 なお、2025年12月末現在において、当社とパートナーとの共同創薬研究は全て創薬研究段階であり、パートナーが単独で実施する開発・製造・販売にまで進んだ実績はありません。 ③ 契約形式 パイプライン事業 パイプライン事業では、医薬品候補化合物を取得するまでの創薬研究を自社で実施することを基本としています。社内でのアンメット・メディカル・ニーズのリストアップから始まる基礎検討によって、創薬対象とする標的遺伝子の情報を確定し、その標的遺伝子ごとに自社パイプラインプロジェクトを設定します(図15、表3)。 当社技術を用いて当社が独自に行う医薬品候補化合物を創出する創薬研究段階においては、基本的には収益は発生しません。しかしながら、医薬品候補化合物が創製されたのちにその権利を製薬会社に譲渡する時点で導出契約を結ぶことになります。その導出契約においては、契約時に比較的大きな契約一時金が得られ、導入した製薬会社が医薬品候補化合物の開発・販売を行うことで当社に事業収益が発生します(図15)。各段階において当社が計上する主な事業収益は以下の通りです。 a 創薬研究および開発研究初期 パイプライン事業では、医薬品候補化合物を取得するまでの創薬研究を自社で実施することを基本としています。したがって、この時点では基本的に収入はありません。当社では早期の導出契約の締結を目指しますが、それを待たず研究開発段階を進めることとしています。これは、当社で研究開発を停止するとそこまで進んでいる医薬品候補化合物の価値は特許残存期間の減少と言う形で価値が減じてしまいますが、社内の研究開発を進めることで医薬品候補化合物の完成度をより高める事ができ、その結果将来の導出時により価値が増すことになるからです。当社では、未だ開発段階に進んだ自社パイプラインはありませんが、すでにご説明したPerfusioの使用などによって開発期間の抜本的な短縮と開発コストの圧縮の実現に向けて取り組み始めています。 b 開発・販売 導出契約は、医薬品業界では一般的な取引です。当社が今後行う導出契約においても、契約一時金に加え、当社が開発・販売において受領する「開発マイルストーン」、「ロイヤリティ」、「売上マイルストーン」等の経済条件について規定されることになります。 当社で創出した医薬品候補化合物を導出する際には、その権利全般を製薬会社に委譲します。当社はこの時点で、契約一時金を受領します。その後、医薬品候補化合物の開発は導出先製薬企業に委ねられますが、導出先製薬企業による開発が進み、非臨床試験から臨床試験に移行した場合には、臨床試験の段階ごとに追加的に「開発マイルストーン」を受領します。さらに、最終的に医薬品として上市された場合には、売上金額に一定の料率を乗じて得られる金額を「ロイヤリティ」として受領します。加えて、上市された医薬品の年間の売上高が所定の売上額に達した場合には、「売上マイルストーン」を受領します。 なお、2025年12月末現在において、当社と導出先製薬企業との導出契約を締結した実績はありません。 ④ 知的財産戦略(特許及びソフトウェア著作権) 当社は、aibVISプラットフォームの「ターゲット探索」と「スクリーニング」の特許による権利化と、自社製作の各種AIで構成されるデジタル技術の秘匿化により、プラットフォーム全体の独占性を二重に担保しております。 a 独占性 当社保有の特許「RNAの機能を制御する化合物のスクリーニング方法」により権利化した技術は、デジタル技術の「MobyDick2D」と創薬技術の「qFRET」です。主に、これらの技術を利用するibVISⓇプラットフォームの「ターゲット探索」と「スクリーニング」では、権利化した特許によって他社の利用を排除しつつ、当社の優位技術として製薬会社に活用いただいています。2025年7月に米国において特許が付与され、これにより日本、欧州、米国の世界主要地域における権利が確保され、当社事業の独占性が一層担保されています。(図16) b 秘匿性 創薬研究の各プロセスは、当社が独自開発し継続的にアップデートしている大量のデータ解析や実験のサポートをする自社ソフトウェアと自社AIを使用することにより、はじめて実施可能となります。また、各プロセスに導入しているこれらデジタル技術により、並列処理による効率化と精度の高い創薬の実現にくわえ、製薬会社のニーズに応じた技術移転を容易とすることで、拡張性のある創薬が可能になっています。これらの技術には複数のルールベースAIが含まれておりますが、その定期的なアップデートに加えてすでにデータ駆動AIの創出も始まっており、当社のAI創薬部分はより頑健性を高めております。 c 今後の特許戦略 当社は、2027年度までの中期経営計画期間中を「技術開発における第二の創業期」と位置づけ、積極的な技術開発を進めております。その成果として特許により防御すべき、さまざまな技術が創出されています。これらについては、積極的に特許出願するとともにその際に知財の範囲やビジネスの範囲を改めて検討することにより、収益の機会を逃さないようにしています。(図16) 図16. 2024~2025年の特許出願・取得状況 (4) プロジェクトの進捗状況 ① mRNA標的低分子創薬のプロジェクト(共同創薬研究) mRNA標的低分子創薬のプラットフォーム型ビジネスを展開する当社は、多額の開発費を投入して少数の自社パイプラインを育てる代わりに、共同創薬研究のパートナー数を増やすとともに、各パートナーとのプロジェクトを進捗させることで、相乗的な事業拡大を図っています。当社はこれまでに、プラットフォーム型ビジネスの特徴を活かしたパートナーとの共同研究を通じてibVISⓇプラットフォームの技術力向上を達成し、より高収益の共同創薬研究契約の締結が可能になりました。現在、共同創薬研究のパートナー4社(東レ株式会社、塩野義製薬株式会社、ラクオリア創薬株式会社、武田薬品工業株式会社)とのプロジェクトが進捗しています。 4社とのプロジェクトで最も進んでいるプロジェクトは、現在「ヒットtoリード」の後半「リード化合物創出」段階を実施中です(図17)。 図17. 共同創薬研究中の製薬会社のプロジェクト進捗状況 (注) 東レとの共同創薬研究では、医薬品候補化合物の権利は東レと当社で共有し、当社は化合物の持分に応じた収益を受領します。 当社は、共同研究及び共同創薬研究の契約にもとづき、これまでに合計9.2億円の事業収益を獲得しています(2025年12月末現在)。今後は、共同創薬研究中のパートナー4社等との契約にもとづき、短期的(創薬研究期間中)には19.4億円(このうち9.2億円は取得済)の研究支援金又は研究マイルストーン、中期的(開発期間中)には80.5億円の開発マイルストーンを事業収益として獲得する可能性があります(図18)。さらに、医薬品が上市した場合には、長期的(販売期間中)に、販売額に対して数パーセント程度のロイヤリティ及び販売額に応じたマイルストーン収入(最大1,050億円)が見込まれます(図18)。なお、東レとの共同創薬研究においては、医薬品候補化合物の権利を東レと当社で共有することになっており、当社は化合物の持分に応じた収益を受領することを取り決めております。 研究・開発・売上マイルストーンの金額については、いずれも既存のプロジェクトが全て成功した場合の最大値を示しています。創薬の成功確率は相対的に高いとはいえず、現実的に全てのプロジェクトが成功するわけではなく、一部又は全部のプロジェクトが成功に至らない場合や、成功に至った場合であっても当初想定した売上が達成できない場合等には研究・開発・売上のマイルストーンが減少する可能性がある点に十分ご留意ください。 図18. 既存の共同創薬研究契約から得られる事業収益ポテンシャル(2025年12月末現在) (注) 取得済総額は、共同研究により取得した収益を含みます。マイルストーンは、いずれも既存のプロジェクトが全て成功した場合の最大値を示しています。創薬の成功確率は相対的に高くはなく、現実的に全てのプロジェクトが成功するわけではない点に十分留意が必要です。 ② mRNA標的低分子創薬のプロジェクト(自社研究) mRNA標的低分子創薬は様々な疾患への応用展開が可能なことから、共同創薬研究開始後、パートナーあたりのプロジェクト数が積み上がる場合がある一方、パートナー側の社内優先順位等の関係で、一部のプロジェクトが中止される場合もあります。当社は、パートナーとの契約締結の際に開発・製造・販売ライセンスに関する取り決めを盛り込む場合を除き、中止されたプロジェクトの成果の当社への譲渡について契約書に規定することにより、自社プロジェクトへ転用することを可能にしています。実際に、中止されたプロジェクトのうち有望なプロジェクトについては自社プロジェクトに転用しており、事業開発や創薬プラットフォームの技術開発のために活用しています。 当社のmRNA標的低分子創薬のプロジェクトは、医療ニーズの高いがん領域が中心であり、当社のビジネスモデルをハイブリッド型に移行していくにあたり、これらのプロジェクトが自社パイプラインの有力な候補になると考えております。現時点においては、一部のプロジェクトについて、事業開発や創薬プラットフォームの技術開発を目的とした社内研究を実施するにとどめており、具体的に自社パイプライン候補として進捗しているプロジェクトはありません(2025年12月末現在)。 ③ 核酸医薬品及びその他プロジェクト(自社研究) 当社は、希少疾患を対象とするものを中心に、自社パイプラインとしてASOの創薬プロジェクトを複数進めております。 核酸医薬品のプロジェクトは、急性腎不全を対象疾患とした遺伝子p53に対するASO、及び東京慈恵会医科大学の岡野ジェイムス洋尚教授との共同研究により創出された、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患を対象疾患としたASOであり、両プロジェクトともに医薬品候補化合物を取得して物質特許を出願し、p53のASOについては日本で特許が権利化されました(図19)。当社では核酸医薬品の自社単独での創出が可能であること、医薬品候補化合物を最短8か月で取得できることから、急性腎不全やALSにこだわらず、市場性を考慮したうえで、新規プロジェクトを選定し、自社パイプラインとして進める予定です。 現在最も先行させているプロジェクトは、p53に対するASOです(図20)。すでに特許が権利化されている物質よりもさらに高活性な物質を得ることができたため、2025年12月に新たに特許申請も行ったうえで当社の最初のパイプラインとしました。このパイプラインは、対象疾患を心臓疾患手術時の虚血性腎疾患の予防と定め、現在も研究開発を進めています。この医薬品は、承認されて販売に至った場合には国内年間売り上げが150億円程度と当社では推定しており、その研究進展によって当社の株主価値に織り込まれるように努めます(図21)。 図19. 核酸医薬品自社プロジェクト進捗状況 図20. 自社パイプライン1:p53に対するASO概要 図21. 自社パイプラインによる事業収益ポテンシャル(2025年12月末現在) <用語解説> 用語   解説 ※1   mRNA(メッセンジャーRNA)   遺伝情報であるDNA※8配列を写しとって、タンパク質合成のために情報を伝達するRNA。mRNAは、細胞内でタンパク質が合成される際の設計図であり、各タンパク質に対応してそれぞれ個別のmRNAが存在する。 ※2   核酸医薬品   DNAやRNAといった遺伝情報を司る物質「核酸」そのものを利用した医薬品であり、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)※13などがある。従来のタンパク質を標的とする低分子医薬品※3や抗体医薬品では狙えないmRNA等を創薬標的とすることができる。分子量は低分子医薬品と抗体医薬品※6の中間にあたり、中分子医薬品とも呼ばれる。商業製造法が確立途中であるため、製造コストは、高額と言われる抗体医薬品よりもさらに高額となる。また抗体医薬と同様に、主に注射により投与される。 ※3   低分子医薬品   一般的に分子量が500以下の医薬品。飲み薬や貼付薬など様々な投与方法に展開することが可能である。また製造は化学合成によるため、品質の管理が容易であり、また商業製造法が確立されているため、抗体医薬や核酸医薬品等と比べて極めて安価である。そのため最も一般的に流通し、医薬品市場の約半分を占めている。出典:内閣官房 健康・医療戦略室委託事業「令和二年度 医薬品・再生医療・細胞治療・遺伝子治療関連の産業化に向けた課題及び課題解決に必要な取組みに関する調査報告書」 ※4   パイプライン   非臨床試験・臨床試験など開発段階にある医薬品候補化合物(新薬候補)を当社ではパイプラインと呼び、非臨床前の創薬研究段階のプロジェクトと区別している。 ※5   RNA   核酸(塩基と糖、リン酸からなるヌクレオチドが多数重合した生体高分子。DNA※8も核酸の一種)のうち、糖の部分がリボースからなる物質であり、リボ核酸とも呼ばれる。生体内において、遺伝情報の伝達など多くの生命現象にかかわっている。遺伝情報を伝達するメッセンジャーRNA(mRNA)※1、タンパク質の原料であるアミノ酸を運ぶ機能を担う転移RNA(tRNA)、リボソーム※11を構成するリボソームRNAなどに分類される。 ※6   抗体医薬品   体内に「抗体」を投与することで治療効果を得ようとする医薬品の総称。創薬標的にピンポイントで作用させることができるため、高い治療効果と副作用の軽減が期待できる。一方、抗体医薬品は製造工程が複雑で品質の管理が難しいため、製造コストが高く、薬価が高額となる。また核酸医薬品と同様に、現在は注射によってのみ投与されている。 ※7   研究開発   医薬品の研究開発とは、新しい医薬品を市場に投入するまでの一連のプロセスをいう。そのうち、研究(創薬研究、基礎研究)は、当社がibVISⓇプラットフォームにより技術提供が可能な「ターゲット探索」「スクリーニング」「ヒットtoリード」「リード化合物最適化」に至る医薬品候補化合物※12を取得するまでのプロセスであり、開発は、医薬品候補化合物取得後の非臨床試験、臨床試験に加え、承認申請及び規制当局の承認を含む非臨床試験以降の全てのプロセスである。 ※8   DNA   核酸(塩基と糖、リン酸からなるヌクレオチドが多数重合した生体高分子)のうち、糖の部分がデオキシリボースからなる物質であり、デオキシリボ核酸とも呼ばれる。地球上のほぼ全ての生物において遺伝情報の継承を担う生体高分子である。 ※9   インシリコ   インシリコ(in silico)は、生物学でいうin vivo(生体内)やin vitro(試験管内)とのアナロジーであり、「コンピュータを用いて」を意味する。すなわち、コンピュータを使った計算により、ゲノムをはじめとした生体分子の構造などを数値化し、生理的な条件を踏まえて研究することを指す。 ※10   スクリーニング   多数の化合物群(一般的に、数万種類以上の化合物からなるライブラリー)から、特定の条件を満たす化合物を選択するための実験方法のこと。 ※11   リボソーム   数本のRNA分子と50種類ほどのタンパク質で構成される巨大なRNAとタンパク質の複合体。大小2つの部分に分かれており、それぞれ 50Sサブユニット、30Sサブユニットと呼ばれる。あらゆる生物の細胞内に存在し、mRNAに転写された遺伝情報を読み取ってタンパク質を合成(翻訳)する機構として機能する。 用語   解説 ※12   医薬品候補化合物   医薬品候補化合物は、リード化合物を化学合成によりさらに改善したものであり、当社の創薬研究ステップの最終成果物である。医薬品候補化合物は、動物等を用いた非臨床試験にて、その有効性と安全性を国際的な基準の下で確認した後、最終的に、ヒトを対象とした試験(臨床試験)に用いられる。臨床試験の結果を規制当局に申請後、審査を経て承認されると医薬品となる。 ※13   アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)   核酸医薬品のカテゴリーの一つ。一本鎖のDNAやRNAからなり、mRNAに結合して主にタンパク質の合成(翻訳)を制御する働きを持つ。ASOに安定性や機能などを追加することを目的として様々な化学的な修飾を導入することができる。 ※14   ヒット化合物   創薬で用いられる用語。本書においては、ヒット化合物は、創薬の初期のスクリーニングで発見された活性化合物のことを示す。 ※15   リード化合物   創薬で用いられる用語。本書においては、リード化合物は、ヒット化合物の次の段階の化合物であり、ヒット化合物を基礎に化学合成により手が加えられ、その活性が動物などで確認される等、ヒット化合物より良好な特性を示す化合物のこと。さらに、活性、溶解度などの物性、毒性、飲み薬にした場合に化合物が吸収されるかなど(薬物動態)の点を化学合成によりさらに改善する基礎になる化合物。ただし、その基準は各製薬会社でさまざまである。 ※16   合成展開   低分子医薬品の創出を目的として、低分子化合物を多数合成していくことをいう。具体的には、スクリーニングで取得したヒット化合物等を基点に、目的(活性の向上、薬物動態の改善、毒性の低減等)に合うように新たに構造が類似した低分子化合物を多数設計し、有機化学的に合成して用意する。この新たに用意された低分子化合物に対し各種の試験を行い、より目的にかなう低分子化合物を選択し、その化合物を基点として合成展開は続けられる。このサイクルは、低分子医薬として充分なプロファイルを持つ化合物が得られるまで続けられる。 ※17   NCBI   NCBI(National Center for Biotechnology Information;国立バイオテクノロジー情報センター)。米国国立衛生研究所の下の国立医学図書館の一部門として設立された公的機関。最も信用のおける遺伝子情報等のデータが蓄積されているため、当社では、使用するmRNAの塩基配列情報を主としてNCBIデータベースより取得している。 ※18   NMR   核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance)。分光学的測定法の一つ。磁場を与えられた状態の原子核に外部から電磁波を照射し、特定の電磁波を吸収する現象(共鳴現象)を観測することで、物質の構造的情報などを取得する方法。当社では、RNAの二次構造情報の取得に加え、ヒット化合物等の低分子化合物がRNAに結合する様子や、RNAの三次元構造の解析にも使用している。 ※19   FRET   FRET(Fluorescence Energy Transfer;蛍光共鳴エネルギー移動法)。物質間の距離の変化に応じて蛍光強度が変化する現象を利用した物質の形状変化をリアルタイムに測定する研究手法。生命科学研究において不可欠な技術となっている。 ※20   qFRET   qFRET(Quantitative Fluorescence Energy Transfer;定量的蛍光共鳴エネルギー移動法)。当社独自の実験プロトコル、実験機器、データ解析手法を統合することにより、蛍光共鳴エネルギー移動法に定量性を持たせた研究手法。 ※21   BLI   BLI(Bio-Layer Interferometry;バイオレイヤー干渉法)。熱力学的測定法の一つ。核磁気共鳴センサーチップ上に固定した生体分子と、溶液中の分子の相互作用を測定する装置。当社では、構造をとったRNAをセンサーチップ上に固定し、スクリーニングで取得したヒット化合物等の低分子化合物を流して、両者間の相互作用を測定することに使用している。高速に測定できるほか、ごく微量でも測定可能であることが特徴。 ※22   ITC   ITC(Isothermal Titration Calorimetry;等温滴定型熱量測定)。熱力学的測定法の一つ。分子同士が結合する時に発生する微小な熱量変化を計測し、相互作用解析に用いる装置。当社では、RNAとスクリーニングで取得したヒット化合物等の低分子化合物との相互作用を測定することに使用している。一般的に、得られる相互作用の数値は他の手法よりも正確だといわれるが、測定に時間がかかり、多くの試料を要するというデメリットがある。 ※23   熱力学的測定法   熱力学的測定法は、等温滴定型熱量測定 (Isothermal Titration Calorimetry;ITC)等により、結合分子を創薬標的に滴下した際に起こる化学反応もしくは結合反応を観測する測定法。物質同士が結合する際には熱の発生もしくは吸収が起こるため、熱量変化を観測することにより、物質同士の結合を定量的に解析することができる。 用語   解説 ※24   分光学的手法   物理的観測量の強度を周波数、エネルギー、時間などの関数として示すスペクトル(測定結果の成分を、量の大小によって並べて、解析しやすくしたもの)を得ることで、対象物の定量あるいは物性を調べる研究手法である。日本語では「光」という漢字を使うが、必ずしも光を用いる測定法のみが分光学的手法ではない。 ※25   量子化学   理論化学(物理化学)の一分野。主として分子や原子、あるいはそれを構成する電子などの振る舞いを、シュレーディンガー方程式といった根源的な理論にもとづく数値計算によって解くことにより、分子構造や物性あるいは反応性を理論的に探究する学問分野である。 ※26   X線結晶構造解析   タンパク質やRNAなどが三次元的に規則正しく並んだ結晶をつくり、その結晶にX線を照射することでそれらの三次元構造を解析する手法。X線結晶構造解析技術は、タンパク質やRNA単体はもちろんのこと、タンパク質-化合物複合体やRNA-化合物複合体の三次元構造情報を得るための手段の1つとして用いることができる。 ※27   統計力学   統計物理学ともいう。物質を構成する多数の粒子の運動に力学法則及び電磁法則と確率論とを適用し、物質の巨視的な性質を統計平均的な法則によって論じる物理学の分野。当社は、RNAの構造解析にこれら統計力学の理論を適用できることを見出し、創薬に応用している。 ※28    熱力学   熱力学とは、巨視的な立場から物質の熱的性質を研究する物理学の一分野であり、系全体のマクロな性質を扱う理論である。複雑な系である生物学には当てはまらないとされることが多い。当社は、RNAの構造解析にこれら熱力学の理論を適用できることを見出し、創薬に応用している。
経営方針・対処すべき課題8,684字を開く

経営陣が考える方向性と課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。 (1) 経営の基本方針 当社は、mRNAを標的とした低分子創薬のプラットフォーム型ビジネス(独自の基盤技術を、共同創薬研究等を通じて複数の製薬会社へ提供)に加え、自社での医薬品の創出を行うパイプライン型ビジネスによって、「どんな疾患の患者さまも治療法がないと諦めたり、最適な治療が受けられないと嘆いたりすることのない、そんな希望に満ちたあたたかい社会を実現し発展させる」ことを経営理念としています(図22)。当社は、創薬のブレイクスルーを実現しスペシャリティファーマとなり、より多くのmRNAを標的とする医薬品を迅速かつ継続的に社会に届けていく方針です。 図22. Veritas In Silicoの経営理念 一方、製薬業界では米国の大手製薬会社が自社による創薬を手控え、より他社によって創出された医薬品候補(アセット)の導入を求めるようになっており、その潮流と比較的距離を置いていた日欧の製薬会社も急速にその潮流に追従しつつあります。つまり製薬会社の創薬を支援する契約そのものが世界的に減少傾向にあり、当社のプラットフォーム技術の秀劣にかかわらず、製薬会社をパートナーとして共同創薬研究を行うプラットフォーム型ビジネスにとってアゲインストの状況にあります。 そのような中、当社は以下の取り組みを進めております。 図23. 創薬研究トレンドと Veritas In Silicoの戦略方針 1. プラットフォーム事業については、この潮流を理解しつつチャンスを広げる ● 既存の共同創薬研究を進捗させ、mRNA標的低分子創薬の成功例を作る。これにより技術的なブレイクスルーを示して、業界の潮流を変化させる ● 将来価値の高いプロジェクトを、創薬の意欲が旺盛な国内外バイオテクと進める契約を締結する ● 直近の収益になるプロジェクトを製薬会社と進める契約を締結する努力を怠らない 2. 自社パイプラインの拡充: 製薬会社が求める将来のアセットの創出 ● パイプライン1については、ドラッグデリバリーシステムPerfusioによる臨床試験のコストと期間を抜本的に短縮し、将来価値の向上と早期マネタイズを意識する ● パイプライン2については、2026年度に創出する 3. 多角化を通じた事業の安定化 ● 当社技術の応用性を活かし、農薬事業に参入する ● ドラッグデリバリーシステム自体のライセンスアウトを視野に入れる 当社では、既存のプラットフォーム事業はおおむね順調に推移しており、これは当社の技術力が向上し、実際の創薬に適用できる技術となっていることを示しているものと認識しております。現在進めている共同創薬研究のなかには、中期経営期間中に非臨床試験入りすることが期待できるものも含まれており、対象疾患や創出される医薬品の将来価値等の情報を適時適切に開示することによって株主価値の向上につなげたいと考えています。 また、そうしたイベントは「mRNA創薬によって(理想的な)低分子医薬品が作れる」という明白な証明になりますので、製薬各社は現在の潮流にあってもより真剣に当社との契約を必要とするようになると考えております。 加えて2026年度は、特に当社にとって新たな事業分野であるドラッグデリバリーシステム(DDS)について形を定めていきます。このDDSは、2027年度までの中期経営計画期間中に実用化して販売開始まで進めることが目標です。そして最も順調に進捗した場合には、このDDSによって当社のパイプラインの臨床試験期間とコストを約5分の1程度にまで圧縮することを目指します。 (2) 経営戦略 当社は今後の中長期的な目標として、2030年を目途に「スペシャリティファーマとしての地歩を確立すること」を目指します(図24)。 図24. プラットフォーム型ビジネスからスペシャリティファーマに至るまでの成長曲線のイメージ図 (注) あくまで当社が目標とする成長のイメージであり、実際の時価総額の推移を示唆するものではありません。 スペシャリティファーマを目指す道のりの第一段階として、当社はこれまで、創薬プラットフォームibVISⓇを活用したプラットフォーム型ビジネスに注力し、収益基盤を固めました。複数の国内製薬会社とmRNA標的低分子創薬の共同創薬研究を実施し、その過程で得られた知見と実績が、プラットフォーム技術の向上と競合他社との差別化、ひいては収益の確保につながりました。 スペシャリティファーマへの道のりの第二段階として、AI創薬プラットフォームをaibVISに発展させてmRNA標的低分子医薬品のプラットフォーム型ビジネスを拡大させつつ、さらに2025年より核酸医薬品を中心として自社独自のパイプラインも創出するパイプライン型ビジネスを本格化させて収益源を複数有する「ハイブリッド型ビジネス」に移行しています。ハイブリッド型ビジネスにより、製薬会社と進めている共同創薬研究から収益を確保するとともに、自社独自のパイプラインを保有することにより、その現在価値が織り込まれるよう情報開示を進め、株主価値の向上を目指します(図25)。 図25. ハイブリッド型ビジネスによる成長コンセプト スペシャリティファーマは、日本だけでなくアメリカにおいても非常によく見られる事業形態で、ニューヨーク証券取引所やNASDAQに上場しているヘルスケア関連企業の中で、上場後10年以上にわたり成長を維持している中堅企業の大半が、この事業形態を採っています。 スペシャリティファーマへの道のりの最終段階として、プラットフォーム事業及びパイプライン創出とあわせて、製薬会社として必要な組織、機能、人材等を確保し、持続的な成長が期待できるスペシャリティファーマとしての態勢を整えます。 これらスペシャリティファーマを目指すプロセスを通じて、当社が中長期的に安定的かつ持続的な成長を実現することにより、株主価値を高めていきます。合わせて、当社の技術で創出された医薬品を社会に責任をもって届ける態勢を確保することにより、当社が掲げる理念の実現につながるものと考えております。 2030年度にスペシャリティファーマとしての地歩を確立するため、当社は2025年度から2027年度にかけての中期経営計画期間中、当社の株主価値に寄与する以下の施策を実施し(図26)、ハイブリッド型ビジネスのバイオテク企業として収益基盤の確立を図ります。 図26. 2030年のVISのビジョンに向けた中期経営計画期間(2025~2027年)中の各年度目標 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標 当社は、2030年度にスペシャリティファーマとしての地歩を確保することを経営目標としております。その経営目標を達成する過程ではハイブリッド型ビジネスとして、プラットフォーム型ビジネスからは事業収益を、パイプライン型ビジネスからは自社パイプラインが創出されます。 プラットフォーム型ビジネスにおいては、製薬会社とのプロジェクトは全て研究段階であり、当社が開発・売上マイルストーン及びロイヤリティ収入を獲得可能となるのは早くても数年後となるため、現時点においては、ROAやROEといった経営指標ではなく、製薬会社との新規共同創薬研究契約の締結数(年間2社)を、目標達成の判断基準(KPI)として掲げています。 パイプライン型ビジネスにおいては、年間1本の自社パイプライン創出をKPIとして設定しております。これらKPIは取締役会等に報告されており、目標達成に向けた組織のパフォーマンスの動向を把握できるようにしております。 ハイブリッド型ビジネスとして、2つのビジネスのバランスを取ることが重要と認識しており、それは明確な数字を指標とするより、契約一時金、研究支援金及び製薬会社とのプロジェクト進捗に応じて得られる研究マイルストーンに基づく事業収益全体と、社内技術の拡充および社内パイプラインの研究開発費といった事業支出全体をお示ししてご説明を差し上げることで代えることといたします。 ところで、新規共同創薬研究契約数の目標を達成するための施策として、当社はこれまでに、製薬会社と秘密保持契約書(CDA)の締結からはじまる事業開発活動の実績を統計的に解析しています(図27)。その結果、全CDA締結数のうち本契約まで至った確率はおおよそ42%、CDA締結から本契約に至るまでの期間(中央値)は約14か月となっています(2025年12月末現在)。一方で、CDA下での交渉を行う際に、直近で収益が得られる性質の交渉と、自社パイプラインの共同創出を求める性質の二者に分類されることが分かってまいりました。そこで当社としては、直近で収益が得られる契約も取りこぼさないよう、十二分に注意します。このように事業開発の重点を定め、2026年も2社と契約を締結するという目標のもと、その数に見合うCDA締結数を獲得するなど事業開発活動を実施しています。 図27. 契約締結の実績にもとづく事業開発の展開 (4) 経営環境 内閣官房の健康・医療戦略室委託事業が2021年3月に発表した『令和二年度 医薬品・再生医療・細胞治療・遺伝子治療関連の産業化に向けた課題及び課題解決に必要な取組みに関する調査報告書』によると、世界の医療用医薬品市場は、2020年の約75兆円から、2030年には約103兆円に成長すると予測されています(図28)。 近年、抗体医薬品やペプチド医薬品などの中分子・高分子医薬品が一定規模の市場を形成しており、今後も成長期市場として存在感を示すと考えられます。低分子医薬品は、既に成熟期に差し掛かっている市場であり、市場成長率は微増であるものの、2030年においても医薬品市場の約半分を占めると予測されています。低分子医薬品は、グローバル市場において、日本企業が占有率を高く保っている領域です。今後日本では、占有率の維持に向けて、低分子医薬品の創薬標的やターゲット構造の拡大、適応疾患の拡大、及び研究開発の効率化による低コスト化が重要視されると考えられます。 図28. 世界の医療用医薬品の市場予測 当社の属するmRNA標的低分子創薬の領域は、現在世界的に見ても研究段階であるため、2030年時点で市場が大きく形成されている可能性は低いと考えられます。しかしながら、従来のタンパク質標的低分子医薬品と競合することなく、全く新規の創薬標的に対して低分子医薬品の創出に取り組めるうえに、低分子医薬品は経口投与が可能で、製造コストが低く、規制体制及び商材としてのバリューチェーンも確立されているため、将来的には、mRNA標的低分子医薬品単独で新たな市場が形成されると考えられます。その市場規模は、将来のある時点において、既存のタンパク質標的低分子医薬品の市場と同等規模になると、当社は推定しています(図29)。 図29. mRNA標的低分子医薬品の将来市場の見通し(当社推定) 2010年代後半、米国を中心としてmRNAを標的とした低分子医薬品の創出を目指すバイオテク企業が相次いで立ち上がり、2017年11月には、科学系学術団体としては世界最大のアメリカ化学会の学会誌であるChemical & Engineering Newsに「The RNA hunters」として取り上げられました。さらに、近年の科学技術の発展に伴って低分子医薬品でアプロ―チ可能な創薬標的が拡大したことにより、2023年10月の同学会誌には「Is this a golden age of small-molecule drug discovery?」と特集されるなど、再度低分子医薬品の創出に対する注目が高まっています。その中で、mRNA標的低分子創薬についても同学会誌に取り上げられており、創薬の専門家のコメントとして「個人的な見解ではあるものの次の大本命はRNA標的であり創薬の主流になりつつある」と記載されております。 このような流れを受けて、低分子医薬品の研究開発能力を持つ製薬会社はmRNA標的低分子創薬を検討しはじめ、mRNA標的低分子創薬に取り組むバイオテク企業間の競争は今後より一層激しくなると予想されます。その一方で、各社独自のビジネス展開により棲み分けが進んでいくものと考えられます。 当社の知る限り、国内外の大手製薬会社20社以上がmRNA標的低分子創薬関連のバイオテク企業と提携済みであり(2025年12月末現在)、本創薬への流れは既に始まっていると考えております。当社では、mRNA標的低分子創薬関連に取り組むバイオテク企業の中で、以下に示す当社基準にもとづき、Arrakis Therapeutics、Ribometrix、及びAnima Biotechの3社を当社の主要な競合会社と考えております。 [競合他社の選定基準] ・当社同様の作用機序に基づくmRNA標的低分子創薬を目指している企業 ・全てのmRNA標的低分子創薬に関する技術を保有していると考えられる企業 ・大型提携の実績をもつ企業 そのうえで、当社がもっとも注目している点は、公開情報等から競合他社が主に既知のターゲット構造を創薬対象としていると考えられるのに対して、当社は多種多様なターゲット構造を同定し、創薬対象とできることです(当社のターゲット構造を同定する技術の詳細は、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (2) 当社の事業領域 ③ aibVISプラットフォーム」を参照)。当社の「ターゲット探索」は、各製薬会社の新薬開発ニーズに対して、多種多様なターゲット構造を創薬対象とすることで応えられるため、創薬標的の枯渇という製薬業界の課題に対する抜本的な解決につながると考えております。したがって、当社のプラットフォーム技術は、競合他社に比べて「ターゲット探索」において優位性があると考えます。 近年、抗体医薬、遺伝子治療、細胞治療等と並び、核酸医薬品は次世代モダリティの一角として国際的な注目を集めております。当社が自社パイプラインの創出と言う形で取り組む核酸医薬品は、図28において、特に希少疾患向けとしての切り札と考えられているため、主要な医薬品の中にあって最も成長率の高いセグメントであると認知されています。核酸医薬品は、従来の低分子医薬品や抗体医薬では標的化が困難であった遺伝子発現制御を可能とし、極めて高い治療的潜在力を有します。 主要な核酸医薬品であるASO医薬品およびsiRNA医薬品につきましては、2025年度中も家族性高カイロミクロン血症治療薬であるsiRNA医薬品Redemploや遺伝性血管性浮腫治療薬であるASO Dawnzeraなどが米国などで承認されるなど、臨床的有用性を示しております。これらの実績の蓄積を背景に、我が国におきましても核酸医薬品の品質・非臨床安全性・臨床評価に関する規制上の考え方が整理されつつあり、当局による各種ガイドラインの整備も進展しております。このような規制環境の明確化は、開発リスクの低減および投資判断の合理化に資するものであり、核酸医薬品分野の持続的発展に向けた重要な基盤形成と位置付けられるものです。 一般に、医薬品産業は高度な知識集約型産業であると同時に、厳格な品質管理の下で大量生産を行う製造業としての側面を有しております。いかに優れた創薬コンセプトでありましても、再現性・安定性・経済合理性を備えた製造法が確立されて初めて、社会に広く普及させることが可能となります。この観点から、核酸医薬品におきましても、原薬合成技術、精製技術、製剤化技術等の高度化およびスケールアップ体制の構築が、現在まさに業界横断的な重要課題として位置付けられております。日本においても、日東電工株式会社や味の素株式会社、株式会社日本触媒などの化学・素材メーカーが、積極的に研究開発や設備投資を進め、強力な原薬製造能力を保有しグローバルに供給しようとしている状況にあります。 さらに、核酸医薬品の実用化においては、標的臓器・標的細胞へ有効成分を効率的に送達するDDSが不可欠の基盤技術と認識されております。しかしながら、DDSに用いられるリポソームや高分子ミセルについては、安全性に関する知見がなお限定的であり、それらに由来する毒性が懸念されるとともに、複雑な製造工程や品質管理の難易度の高さが事業化上の制約要因となり得ます。他方で、DDSの導入は、これまで治療介入が困難であった臓器・組織への薬剤送達を可能とし、製品の市場的魅力および医療的価値を飛躍的に高める可能性を有しております。 したがいまして、現在求められておりますDDSは、単に送達効率を向上させるのみならず、安全性において予見可能性を備え、かつ商業生産に適した製造合理性を確保し得る技術です。すなわち、「魅力」を高めつつ「毒性」や「製造」に関する課題を同時に克服する統合的ソリューションの確立が、核酸医薬品分野における競争優位の鍵を握るものと考えられます(図7)。 当社は、前述の通り、核酸医薬品の課題を、毒性、製造コスト、医薬品自体のビジネス的魅力、の三つととらえており、毒性や製造コストと矛盾なく核酸医薬品のビジネス的魅力を高めるDDSが重要だと考えております。その点、カテーテルを用いて対象臓器にだけ医薬品を送達および回収できるPerfusioは毒性をさらに下げることが期待でき、また既存のカテーテルを利用することが可能であるためにPerfusio自体の製造コストは軽微であり、むしろ使用薬剤量を低減できることで全体のコストは低減されます。つまり、応用範囲が広くデメリットの少ない当社独自のPerfusioを利用し、これまで核酸医薬品を適用することがそもそも想起されてこなかった臓器への核酸医薬品を作ることで、競合のいないオンリーワンとなり当然にファーストインクラスとなることを達成しようと考えています。Perfusioは当社のAI創薬による核酸医薬創薬の加速と合わせて、当社の優位性に資すると考えております。 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 経営方針及び経営戦略を実行していくうえで、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりです。 ● プラットフォーム事業の拡大と収益の獲得 当社のmRNA標的低分子創薬事業(プラットフォーム事業)は、共同創薬研究契約の相手方である製薬会社が抱えるニーズや課題を的確に把握し、適切に対応を進め、創薬研究を着実に前進させることにより、研究支援金や研究成果に応じたマイルストーン収入等の収益を獲得します。また新たな共同創薬研究契約の締結のため、欧州での事業開発活動に注力するなど戦略的かつ計画的に取り組みます。当社はこれまでに引き続き、現在進行中の共同創薬研究をそれぞれ進捗させること、また新規契約を着実に締結してゆくことを通じて、持続的・安定的な事業の拡大と収益の獲得を目指します。 ● 自社パイプラインの創出 当社は、これまでのプラットフォーム事業にとどまらず、自社パイプライン事業を進めております。具体的には、当社単独で創出が可能な核酸医薬品に加えて、低分子医薬品も候補とします。その際、創出する医薬品の将来価値総額の大きさ、製品として市場に出るまでの期間の短縮、直近のコストの低減に特に留意します。これにより、当社の株主価値の持続的な拡大につなげてまいります。 ● 技術競争力の強化と独占性の確保 当社は、これまでに実施した製薬会社との共同創薬研究や、自社独自の研究を通じて蓄積した経験と知見を、当社のプラットフォーム技術に反映させるとともに、大学等との共同研究を通じて新たな技術を積極的に吸収し、技術競争力の強化を図ります。引き続き、専門分野の弁理士等と連携しながら、積極的な特許出願・国際展開、当社独自のソフトウェアとデータベースの構築及び秘匿化などにより、当社の技術について独占性の確保・維持と将来の事業展開への素地を作ります。 ● 株主価値の向上を目指す経営の実践 当社は、株主価値を高めることにより株主に報いる経営に取り組みます。具体的には、将来の株主価値を高める事業に経営資源を振り向け、事業を計画的に実行してまいります。また健全性と透明性の高い経営を実践しつつ、適時的確で積極的な情報開示や株主との対話等を通じて、適正な株主価値の構築とその向上に努めます。 ● 優秀な人材の確保・育成 当社の事業を持続的かつ安定的に発展させるために、RNA研究に関する高い専門性や豊富な創薬研究経験を有する人材、事業の拡大に資する人材の確保を進めます。当社は、従業員が働きやすく、業務を通じて成長できる環境を整備することにより、当社への帰属意識や従業員満足度を高めます。こうしたサステナビリティ経営を通じて、当社の事業基盤を盤石にいたします。
事業等のリスク3,687字を開く

会社が自認するリスクの一覧

3 【事業等のリスク】 当社の事業内容、経営成績及び財政状態等に関するリスク要因について、投資者の判断に重要な影響を与える可能性のある事項を以下に記載しております。 なお、本項目の記載はすべてのリスク要因を網羅したものではなく、業績等に影響を与えうるリスク要因は下記の項目に限定されるものではありません。また、本項における将来に関する記載は、本書提出日現在において入手可能な情報に基づき、当社において合理的であると判断したものです。 ● 事業活動にかかるリスクに関する事項 (1) 収益の変動性について 当社の主な収益には、共同研究等の相手方より定期的に受け取る研究支援金のほか、新規契約時に受け取る契約一時金、研究活動の目標達成時に受け取るマイルストーン収入の臨時的収入があります。当社が締結する共同創薬研究等は、相手先ごと、プロジェクトごとに契約内容を個別に取り決めているため、契約にもとづく収益の発生時期や金額は契約案件ごとに異なります。また新規契約の交渉においては、相手方における経営環境の変化や経営方針の変更など、当社の裁量が及ばない要因によって契約締結時期が計画より遅延する可能性もあります。 当社では定期的に受け取る収入の割合を高め、収益の安定化、平準化に努めるとともに、提携候補先の数を増やし、また提携候補先の所在する地域を多様性することにより、収益変動リスクの分散や軽減を図ろうとしております。さらに、自社の裁量によりコントロール可能な自社パイプラインを創出し、その事業化を進捗させることにより収益変動リスクの回避に努める方針です。しかしながら、新規契約を計画通りに締結できない可能性や、新規契約を計画通りに締結できた場合であっても提携先との研究方針の不一致等の要因により予定していた収益が想定通りに得られない可能性があり、将来の時点における当社の事業、財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (2) 創薬研究の不確実性について 医薬品の研究は、初期の創薬研究から開発に至るまでに時間を要するとともに、投資が必要となります。また、有用な化合物を見いだせない場合や副作用など安全性への懸念が生じた場合には、研究の延長や中止の判断が行われるなど、創薬研究には不確実性が存在します。一般に医薬品の創薬研究の成功の可能性は、他の産業と比較して低いものとされています。 このような一般的な状況に加えて、当社のプラットフォーム型ビジネスにおいては、創薬研究の進行が自社の裁量のみではコントロールできず、提携先の方針や判断等によって左右される等の不確定要因があります。 当社では、自社の裁量によりコントロール可能な自社パイプラインの創出に加えて、複数の製薬会社と複数の創薬研究プロジェクトを進めることにより、これらリスク要因の分散や軽減に努めております。しかしながら、かかるリスクが顕在化した場合には、研究活動の長期化や中止等につながる可能性があり、結果として将来の時点における当社の事業、財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (3) 自社パイプライン事業の不確実性について 当社が取り組むパイプライン事業においては、ライセンスアウト用のデーターセットの作成や開発プロセスを実施した実績がありません。そのため現時点では、当社が想定している収益化に至る過程には不確実性があります。当社では、パイプライン導出先の候補となる企業との間で、あらかじめ希望遺伝子のリサーチを行い、かかる不確実性の低減を図っております。また現時点で策定している中期経営計画(2025~2027年度分の計画)にはパイプライン導出による収益は織り込まず、当該リスクが顕在化した場合においても、直ちに当社の財政状態や経営成績に関する想定について変更を余儀なくされる事態には至らないものと想定しております。導出先候補会社の意向が変更された場合ないし、何らかの事由によりパイプライン導出が想定より大きく遅延する事態に至った場合には、将来の時点における当社の事業、財政状態及び経営成績に重要な影響が生じる可能性があります。 (4) 当社技術の優位性について 当社の創薬プラットフォームは、mRNA標的創薬に必要な技術群をワンストップで提供します。特に、製薬会社のニーズの高い任意の遺伝子に対してmRNA上に創薬に適した部分構造を発見し、ターゲット構造を定めることが可能である点に特徴があり、日本、米国、欧州での特許を取得しております。この点が当社の競争優位性の源泉であり、同時に他社との有力な差別化要因でもあります。当社は引き続き、新たな技術の開発等を通じて創薬プラットフォームの技術力を強化するとともに、外部環境の変化による影響を受けにくい自社パイプラインの創出も進め、競争優位を維持する方針です。しかしながら、同業他社による新たな技術の実用化により当社技術の相対的な優位性が失われる場合や、他社が運営する創薬プラットフォームとの競争が激化する等の外部環境の変化が生じた場合には、将来の時点における当社の事業、財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (5) 知的財産権の確保について 当社は、今後創出する自社パイプラインの物質特許を含め、事業運営上必要となる特許権等の知的財産権の出願・取得を積極的に進めます。しかしながら、一般的に知的財産権には第三者に先願される可能性があり、また現在当社が出願中の知的財産権が、当社の希望通りに付与される保証はありません。また、権利化の後においても異議申立てや無効審判請求等により、権利の一部又は全てが無効化される可能性があります。当社は当該分野の知財状況をモニターし、この分野で高い専門性を有する弁理士・弁護士と連携するなどの方法により不確実性の軽減に努めております。しかしながら、当社の事業運営に必要な特許権等が取得できない事態や、権利の一部又は全てが無効化される事態が生じた場合には、将来の時点における当社の事業、財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (6) 研究活動における情報セキュリティについて 当社では、社内の秘密情報、顧客の秘密情報、自社及び顧客との共同研究を通じて得られる実験データなどの研究情報など、さまざまな秘匿すべき情報があります。これら情報の取り扱いにおいては、一般的に故意または過失による漏洩、外部からの侵入等による漏出などの情報セキュリティリスクがあります。 当社では、秘匿すべき情報にアクセスできる社員を限定するとともに、役員及び社員の全員を対象とする情報セキュリティ教育を随時実施し、情報漏洩リスクに対する意識を高めるとともに、過失による情報漏洩を防ぐソフトウェアの活用や外部からの侵入を防ぐ各種の情報セキュリティ対策を講じることにより、かかるリスクの低減に努めております。これらの施策にもかかわらず、万一、情報漏洩等が発生した場合には、その対応等に要する労力や時間、費用の発生等により、将来の時点における当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ● 組織及び人材にかかるリスクに関する事項 (7) 小規模組織であることについて 当社は、医薬品等の研究を行う企業としては小規模な組織であり、役員及び社員が各々担当する業務及び責任範囲は相対的に広範となります。当社では事業の拡大に伴い、今後必要な人員補強を図ってゆく方針であり、計画的に人材の採用及び社内教育を進めていく予定です。しかしながら、計画通りに人材の採用ができなかった場合や、多くの人材流出等があった場合には、今後の事業運営が滞る等の影響が生じ、将来の時点における当社の事業、財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (8) 特定人物への依存について 当社では、過度に特定の人物に依存しない組織的な経営体制の強化を進めております。しかしながら、何らかの理由により、当社代表取締役社長中村慎吾をはじめとする特定の人物が、当社の業務を継続することが困難になった場合には、将来の時点における当社の事業、財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ● サステナビリティリスクに関する事項 (9) 自然災害等への対応について 当社では、自然災害等の発生に備えて「防災マニュアル」を拠点ごとに整備し、役員及び社員の安全を最優先に行動することに努めております。また、事業継続が危ぶまれる事態を想定して「事業継続計画(BCP)」を策定し、定期的な訓練を実施しております。しかしながら、当社の役員または社員への人的被害や、建物や施設に対する物理的被害が発生した場合には、その回復にかかる費用や時間等の発生、事業の再開継続に支障が生ずる等の要因により、将来の時点における当社の事業、財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
経営成績の分析 (MD&A)5,408字を開く

業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 経営成績等の状況 ① 経営成績 当事業年度(2025年1月1日~2025年12月31日)における世界経済は、米国政府による関税政策や世界各地での地政学リスクの高まりが不安材料となりつつも、生成AIの普及や今後の需要拡大期待からデータセンターなどAI関連投資の拡大が後押しする形となり、全体として拡大基調をたどりました。 米国では、AI関連投資が旺盛となり、底堅い個人消費と相まって拡大基調で推移しました。欧州では、主要国の政治不安や、ウクライナや中東地域をめぐる地政学的リスクがありながらも、雇用所得環境が堅調に推移し、消費者物価の安定と相まって堅調に推移しました。中国では、過剰生産解消に伴う投資抑制、政府による景気刺激策の効果一巡から、今後の先行きに不透明感が強まりました。 日本では、米国政府による関税政策による下押しがありつつも、原油などエネルギー価格の落ち着きにより企業収益が拡大基調となりました。また名目賃金の伸びが続くなか消費者物価の上昇が緩やかになり、実質賃金が前年比プラスに転じたことにより個人消費も旺盛となり、総じて堅調に推移しました。 当社の強みである独自のAI創薬プラットフォームibVISⓇの基盤となる技術については、7月に米国で特許の効力が発生し、日本、欧州、米国の世界主要地域にて知的財産権を確保しました。またibVISⓇに実装している複数の「ルールベースAI」に大幅な改良を加えるなど、より応用範囲が広く効果的なaibVISへのバージョンアップを図りました。 プラットフォーム事業においては、機能強化を図った創薬プラットフォームibVISⓇを活用し、医薬品市場で最大のセグメントである低分子医薬品の創出を東レ株式会社、塩野義製薬株式会社、ラクオリア創薬株式会社、武田薬品工業株式会社と共同創薬研究を各々進めるとともに、英国のLCC Therapeutics Ltd.と締結した共同開発及び商業化契約にもとづく共同研究を進めました。さらに新たな契約の締結に向け、mRNA標的低分子医薬品およびmRNA標的核酸医薬品の創薬に関心を持つ国内外の製薬会社等に、当社のプラットフォーム技術の紹介等のアプローチを進めた結果、6月には三菱ガス化学株式会社と核酸医薬品の創出を目的とした共同研究契約を締結、12月にはスイスのSpiroChem AGとmRNA標的化合物の共同探索研究を実施することで合意に至りました。これらにより、複数の医薬品がなるべく早く市場に現れることが期待できます。 自社で独自に進めている、mRNAを標的とする新たな医薬品創出(パイプライン創出)の取り組みでは、当社は既にp53遺伝子のmRNAの量を低下させ,タンパク質の発現を抑制する核酸医薬品の一種であるASOを同定し、日本国内での特許取得とともに、さらに効率よく活性の高いASOを取得するための当社独自の研究活動も進めています。6月には最初の自社パイプラインとなる創薬研究の対象疾患を心臓血管手術後に惹起される虚血性の急性腎不全と定め、ASOによる疾患治療のプロジェクトを開始しました。このプロジェクトは順調に進捗し、12月にはその研究成果として得られたASOについて物質特許を出願しました。加えて、このプロジェクトに続く新たなASO創出を目的として、11月には国立大学法人島根大学と原発性肺移植片機能不全を抑制する核酸医薬品の研究開発を目的とした共同研究を開始しました。これらにより、治療方法のない疾患に対する医薬品の実現が期待できます。 当社では、ASOの自社創薬とあわせて、ASOが抱える課題の解決に向けて取り組みを進めました。11月にはデクセリアルズ株式会社と高速かつ正確性の高い分光学的RNA構造測定法の確立と社会実装を目的とする共同技術開発の実施について合意しました。12月には、当社が発案し研究を進めていたカテーテルを使用するドラッグデリバリーシステムについて、特許の効力が発生し、このシステムの名称を「Perfusio(パーフュージオ)」といたしました。これにより、主作用が強く副作用のない医療の実現が期待できます。 これらの結果、当事業年度における経営目標の主要な指標であるKPIの達成状況は、新規契約締結数については年間目標4社に対し3社と締結、自社パイプライン創出は特許出願1件で目標達成、事業収益は未達成の結果となりました。 当事業年度における事業収益等の経営指標は、共同創薬研究契約に基づき定期的に受け取る研究支援金や、スポット的に発生するマイルストーン収入等により事業収益は91,140千円(前事業年度比53.2%減)を計上しました。事業費用には研究開発費215,616千円を含む487,888千円を計上し、営業損失は396,748千円(前事業年度は212,851千円の営業損失)となりました。営業外損益においては、定期預金等による受取利息5,729千円など営業外収益6,120千円が発生し、経常損失は390,628千円(前事業年度は233,562千円の経常損失)、特別損失においては、減損損失31,318千円を特別損失に計上し、当期純損失は425,671千円(前事業年度は236,442千円の当期純損失)となりました。 ② 財政状態 (資産) 当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べて364,045千円(16.2%)減少し、1,884,912千円となりました。流動資産は主に現金及び預金の減少348,145千円により366,701千円(16.4%)減少し、1,865,371千円となりました。固定資産は、減損損失の計上及び減価償却による有形固定資産の減少14,115千円があったものの、差入保証金の増加が17,637千円があり、2,656千円(15.7%)増加し、19,541千円となりました。 (負債) 当事業年度末の負債は、前事業年度末に比べて61,625千円(156.4%)増加し、101,035千円となりました。これは主に流動負債の前受金の増加55,000千円等があったことによるものです。 (純資産) 当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べて425,671千円(19.3%)減少し、1,783,876千円となりました。これは2025年5月に実施した減資による資本金の減少67,175千円、その他資本剰余金の増加67,175千円並びに、利益剰余金の減少425,671千円があったことによるものです。 これらの結果、自己資本比率は、前事業年度末の98.2%から3.6ポイント下落し、94.6%となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」と表記)の残高は、前事業年度末より151,854千円増加し325,213千円となりました。当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況は、以下の通りです。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度の営業活動により支出した資金は299,265千円となりました。これは主に税引前当期純損失421,946千円、前受金の増加55,000千円、減損損失31,318千円等によるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度の投資活動により獲得した資金は451,119千円となりました。これは定期預金の払戻による収入2,000,000千円、定期預金の預入による支出1,500,000千円、有形固定資産の取得による支出25,663千円等によるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度は財務活動によるキャッシュ・フローはありませんでした。 ④ 生産、受注及び販売の実績 a.生産実績 当社の行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載はしておりません。 b.受注実績 当社の行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載はしておりません。 c.販売実績 当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。 第10期事業年度(自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) セグメントの名称   販売高(千円)   前年同期比(%) 創薬プラットフォーム事業   91,140   △53.2 (注)1.当社は創薬プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、事業セグメント別の記載を省略しております。 2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、下表のとおりです。 相手先   第9期事業年度(自 2024年1月1日至 2024年12月31日)   第10期事業年度(自 2025年1月1日至 2025年12月31日) 販売高(千円)   割合(%)   販売高(千円)   割合(%) 武田薬品工業㈱   123,691   63.6   22,140   24.3 ラクオリア創薬㈱   30,000   15.4   30,000   32.9 塩野義製薬㈱   30,000   15.4   10,000   11.0 三菱ガス化学㈱   ―   ―   25,000   27.4 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 当事業年度の事業収益は91,140千円(前事業年度は194,643千円:前期比53.2%の減少)となりました。事業収益は、2024年度より期ずれとなっていた新規案件の交渉において、契約条件等の妥結点を見いだせず、当該案件の成約を前提として予算化していた契約一時金等の発生の目途が見込めなくなったため減収となりました。 当事業年度の事業費用は487,888千円(前事業年度は407,494千円:前期比19.7%の増加)となりました。これは主として研究活動の進捗に応じた研究開発費の増加43,141千円、各費目の支出増加による販売費及び一般管理費の増加37,253千円によるものです。これらの結果、当事業年度の当期純損失は425,671千円(前事業年度は当期純損失236,442千円)となりました。 なお、財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況 ② 財政状態」に含めて記載しております。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社における主な資金需要は、人件費にかかる支出及び研究開発にかかる支出です。この資金需要に対しては、原則として自己資金を充当することを基本としております。 なお、当事業年度末において、金融機関等からの借入金はありません。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、当事業年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要とされております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。しかしながら実績の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。 当社の財務諸表を作成するに当たって採用した重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載のとおりであります。 また、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しておりますが、重要な会計上の見積りを要する項目はないと判断しております。 ④ 経営成績に重要な影響を与える要因について 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。 ⑤ 経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標」に記載しております。

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出典

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