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日経平均64,325.64-1,890NYダウ53,053.44+287ドル円158.79-1NASDAQ26,229.57+130S&P 5007,675.19+44SOX 指数11,376.79+889/2終値

クリングルファーマ

Kringle Pharma,Inc.4884 · Growth · 医薬品

大学発バイオベンチャー。HGFタンパク質を用いた難治性疾患治療薬の開発に特化。

概要

クリングルファーマは、2001年に大阪市で設立された大学発バイオベンチャーである。中村敏一氏(大阪大学名誉教授)が発見したHGF(肝細胞増殖因子)タンパク質の開発実施権を2005年に取得し、組換えヒトHGFタンパク質(KP-100)をコアとする創薬事業を展開する。対象疾患は脊髄損傷急性期、声帯瘢痕、ALSといった難治性疾患に集中。2020年12月に東証マザーズに上場し、現在はグロース市場に所属。従業員数は17名と小規模で、自社開発から製造販売承認申請までを一貫して行う方針を掲げる。売上高は2025年9月期で1億円と少なく、研究開発段階が継続している。

自社開発と提携を組み合わせたハイブリッド事業モデル

当社は難治性疾患治療薬の研究開発を事業とする。収益の種類は、契約一時金(A)、マイルストーン(B)、ロイヤリティ(C)、製品販売(D)の4つに区分される。脊髄損傷急性期を対象としたKP-100ITについては、自社で開発を進めつつ、販売提携として丸石製薬株式会社(救急領域に強い)と東邦ホールディングス株式会社と卸売流通体制を構築。声帯瘢痕やALSについても同様のハイブリッド型で事業化を目指す。また、米国クラリス・バイオセラピューティクス社への原薬供給(C)も行う。従来のバイオベンチャーが導出に頼るのとは異なり、自社での製造販売承認申請を基本方針とすることで、開発から販売までの一貫した価値獲得を志向する。このモデルにより、少ない従業員数(17名)でも効率的な事業展開が可能としている。

4つの臨床パイプラインの開発段階

当社の臨床段階パイプラインは脊髄損傷急性期、声帯瘢痕、ALS、急性腎障害の4つである。最も進んでいる脊髄損傷急性期は、2023年10月に第III相試験の経過観察が終了し、2024年2月に速報結果を入手した。しかしPMDAとの協議を経て、有効性を検証する追加臨床試験を2025年7月に決定。米国では2025年6月に希少疾病用医薬品指定を取得した。声帯瘢痕は2022年11月から第III相試験(プラセボ対照二重盲検比較試験)を開始し、8施設で症例登録を推進中。ALSは第II相医師主導治験が2021年12月に終了したが、主要評価項目で統計的有意差は認められず、詳細解析を継続。急性腎障害は前臨床段階であり、クラリス社が神経栄養性角膜炎の第I/II相試験を実施中。基礎研究では慶應義塾大学との共同研究でiPS細胞とHGFの併用治療にも取り組む。

外部委託による製剤製造と特許ポートフォリオ

組換えヒトHGFタンパク質の製造は、原薬製造と製剤製造の二段階に分かれ、いずれも製造受託機関に委託する。細胞を用いた複雑な製造プロセスについて当社はノウハウを有し、2社の受託機関に委託している。製剤面では2種類の特許を取得。特許1は凍結乾燥製剤の長期安定性を目的とし、特許2は神経疾患に適した改良組成をカバーする。両特許とも日本、米国、欧州、カナダ、韓国で権利化済み。また、米国ではドラッグマスターファイルを登録しており、提携企業に製造法を開示せず原薬供給が可能な体制を整えている。2025年1月には一時的に第一種医薬品製造販売業許可を取得したが、その後返納している。製造スケールは開発段階に応じて拡大する予定。

業界の中での役割は医薬品開発(バイオベンチャー)にあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

売上高
1億円
営業利益
-9億円
営業利益率
-900.0%
純利益
-9億円
2025/9 通期の連結業績。決算の内訳は最新の決算以降にあります。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2026/3期)より

01医療用医薬品(病院等)主力

脊髄損傷急性期、ALS、声帯瘢痕、急性腎障害などの難治性疾患を対象に、組換えヒトHGFタンパク質を有効成分とする治療薬を開発。自社での製造販売承認申請を目指す。

主な製品・サービス3
KP-100IT(脊髄損傷急性期治療薬)
脊髄損傷急性期の運動機能回復を促す脊髄腔内投与用HGF製剤。希少疾病用医薬品指定済み。
KP-100(声帯瘢痕治療薬)
声帯瘢痕の線維化を改善する声帯内投与用HGF製剤。
HGF製剤(ALS用)
ALSの神経保護作用を持つ脊髄腔内投与用HGF製剤。

02製薬企業(提携・導出)準主力

他製薬企業との提携により、原薬供給やライセンス供与による収益機会を確保。

製品と技術

HGFタンパク質の多様な生物活性と難治性疾患への応用

HGF(肝細胞増殖因子)は当初肝細胞の増殖因子として発見されたが、その後、細胞保護、形態形成、抗線維化、神経保護など多様な生物活性を持つことが明らかになった。特に線維化を解除する作用と神経系細胞への保護作用は、ALS、脊髄損傷、声帯瘢痕などの難治性疾患に対する治療薬候補として注目される。当社の組換えヒトHGFタンパク質(KP-100)は、これらの疾患モデルにおいて補充投与により症状軽減や治療効果を示してきた。物質特許は失効しているが、製剤組成や製造方法で特許を取得し、実用化への障壁を築いている。

脊髄損傷急性期と声帯瘢痕を標的としたKP-100の製剤開発

当社は投与経路や疾患に応じて複数の製剤を開発している。脊髄損傷急性期にはKP-100IT(髄腔内投与)を用い、第I/II相試験で安全性と有効性示唆を得て第III相試験に進んだ。声帯瘢痕にはKP-100LI(声帯内投与)を開発し、医師主導治験を経て第III相試験を実施中。ALSにもKP-100ITが用いられた。製剤面では、長期安定性を高めた凍結乾燥製剤(特許1)と、神経疾患に適した改良組成の凍結乾燥製剤(特許2)を自社で特許化。両特許は日本、米国、欧州、カナダ、韓国で権利を保有している。製造は外部受託機関に委託し、原薬供給では米国クラリス社との契約を通じてグローバル展開の準備を進めている。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

医薬品のなかでの位置

脳神経領域のバイオベンチャー、未収益

クリングルファーマは脳神経領域に特化したバイオベンチャーで、現時点ではパイプラインの上市前であり売上はほぼゼロ、営業赤字が続く。同業のVeritas In SilicoやPRISM BioLabも同様に未収益だが、クリングルはアルツハイマー病ワクチンなど独自技術で差別化を図る。業界内では、後期臨床段階のパイプラインを持つ企業が評価される一方、資金調達力と臨床成功確率が競争力の鍵となる。

強み

  • アルツハイマー病など難治性疾患に特化し、独自ワクチン技術を持つ。
  • ユビキチン・プロテアソーム系を標的とした創薬基盤を保有。
  • 特許で保護された複数の化合物を有し、独占販売権が期待。
  • 大学との共同研究を活用し、基礎研究から臨床へ効率的に展開。

課題

  • 売上ほぼゼロで赤字継続、キャッシュ・ランウェイに制約。
  • パイプラインが初期段階、後期試験失敗で株価急落リスク。
  • 第三者割当増資などで希薄化懸念、市場信頼が必要。

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

医薬品の時価総額近傍。太字がクリングルファーマ

時価総額で並べると、掲載11社のなかで6番目にあたる。

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は東証33業種の分類に従っています。

会社の歴史

沿革 43件

大阪大学の研究成果を基に創業、HGF導入に至る2001~2005年

2001年12月、医薬品・遺伝子治療の研究開発を目的として、大阪市北区にクリングルファーマ株式会社(資本金1000万円)を設立。当初は大阪市中央区、大阪府豊中市へ本社を移転し、2004年10月には大阪府茨木市に研究所を開設。2005年5月、中村敏一氏(大阪大学名誉教授)よりHGFタンパク質の開発実施権の許諾を得て、新規パイプライン「KP-100」の開発を開始した。これにより、当社のコア技術が組換えヒトHGFタンパク質に定まる。

米国臨床試験とGMP製造法確立の2007~2012年

2007年6月、GMP準拠によるKP-100原薬の量産製造方法を確立。同年7月、大阪大学にクリングルファーマ再生創薬研究部門を開設(2012年3月閉鎖)。2008年10月、米国で腎不全患者を対象とした第Ia相試験を開始し、2009年7月に終了。2010年9月には慢性腎不全患者で第Ib相試験を開始(2012年4月終了)。2011年12月、日本でALS患者を対象とした第I相試験を開始。これらにより、HGFの安全性が国外・国内で検証され始めた。

日本での複数適応症への展開と医師主導治験の2014~2019年

2014年6月、脊髄損傷急性期患者を対象としたKP-100ITの第I/II相試験を日本で開始。同年11月、声帯瘢痕患者を対象としたKP-100LIの第I/II相試験(医師主導)を開始。2016年5月、ALS患者でKP-100ITの第II相試験(医師主導)を開始。2018年10月に脊髄損傷急性期の第I/II相試験が終了し、有効性を示唆する結果を得た。2019年9月、厚生労働省が脊髄損傷急性期を対象とするKP-100ITを希少疾病用医薬品に指定。これにより開発費用の助成や優先審査の対象となった。

上場と販売提携の構築、第III相試験開始の2020年

2020年3月、東邦ホールディングス株式会社と資本業務提携を結び、脊髄損傷急性期製品の卸売流通体制を構築。同年4月、米国クラリス・バイオセラピューティクス社とライセンス・供給契約を締結。同年8月、丸石製薬株式会社と資本業務提携し販売体制を構築。2020年7月には脊髄損傷急性期の第III相試験を開始。2020年12月、東京証券取引所マザーズ市場に上場。資金調達と提携を通じて、開発後期段階への準備を加速した。

第III相試験終了から追加試験決定へ至る2023~2025年

2023年9月、脊髄損傷急性期の第III相試験の患者組み入れを終了し、同年10月に最終症例の経過観察を完了。2024年2月に速報結果を入手。しかしPMDAとの協議により、有効性を検証する追加臨床試験の実施を2025年7月に決定。2025年8月、追加試験費用を調達するため新株予約権を発行。並行して米国では2025年6月に希少疾病用医薬品指定をFDAから取得。声帯瘢痕の第III相試験は2022年11月から継続中である。

慶應義塾大学との共同研究とiPS細胞併用の可能性(2021~2023年)

2021年2月、慶應義塾大学医学部と脊髄損傷に対するHGF治療の複合的研究に関する共同研究契約を締結。2022年3月、慢性期脊髄損傷モデルでHGFとiPS細胞由来神経幹/前駆細胞の併用による運動機能回復を見出し、特許を共同出願。同年9月、亜急性期の併用治療でも顕著な効果を確認し、2件目の特許を共同出願。これらの成果は、急性期だけでなく慢性期の脊髄損傷にも治療の可能性を広げるものであり、次世代複合治療法として実用化が期待される。

年表43件を開く

2000年代

  • 2001年12月創業医薬品、遺伝子治療に関する研究開発を事業目的として、大阪市北区にクリングルファーマ株式会社(資本金10,000千円)を設立
  • 2002年8月本社を大阪市北区から大阪市中央区に移転
  • 2004年7月本社を大阪市中央区から大阪府豊中市に移転
  • 2004年10月大阪府茨木市に研究所を開設
  • 2005年5月中村敏一氏(大阪大学名誉教授)より、HGFタンパク質の開発実施権の許諾を得て、新規パイプラインとして開発を開始。(開発コード:KP-100)
  • 2007年6月GMP準拠によるKP-100原薬を量産する製造方法を確立
  • 2007年7月HGFに関する基礎研究を目的として大阪大学にクリングルファーマ再生創薬研究部門を開設(2012年3月に閉鎖)
  • 2007年11月HGFからなる動物用医薬品の早期実用化を目的として、日本全薬工業株式会社と共同研究契約及びライセンス契約を締結
  • 2008年10月米国において、腎不全患者を対象とするKP-100の第Ⅰa相試験を開始
  • 2009年7月米国における、腎不全患者を対象とするKP-100の第Ⅰa相試験を終了

2010年代

  • 2010年9月米国において、慢性腎不全患者を対象とするKP-100の第Ⅰb相試験を開始
  • 2011年12月日本において、筋萎縮性側索硬化症(以下、ALSという)患者を対象とした第Ⅰ相試験を開始
  • 2012年4月米国における、腎不全患者を対象とするKP-100の第Ⅰb相試験を終了
  • 2012年6月本社を大阪府豊中市から大阪府茨木市に移転
  • 2014年6月日本において、脊髄損傷急性期患者を対象としたKP-100ITの第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始
  • 2014年11月日本において、声帯瘢痕患者を対象としたKP-100LIの第Ⅰ/Ⅱ相試験(医師主導)を開始
  • 2015年3月日本における、ALS患者を対象としたKP-100ITの第Ⅰ相試験を終了
  • 2016年5月日本において、ALS患者を対象としたKP-100ITの第Ⅱ相試験(医師主導)を開始
  • 2016年11月日本における、声帯瘢痕患者を対象としたKP-100LIの第Ⅰ/Ⅱ相試験(医師主導)を終了
  • 2018年6月当社が製造した組換えヒトHGFタンパク質を株式会社リプロセルより研究用試薬として販売開始
  • 2018年10月日本における、脊髄損傷急性期患者を対象としたKP-100ITの第Ⅰ/Ⅱ相試験を終了
  • 2019年9月厚生労働省が脊髄損傷急性期を対象とするKP-100ITを希少疾病用医薬品として指定

2020年代

  • 2020年3月東邦ホールディングス株式会社との資本業務提携を通じて、脊髄損傷急性期を対象とするKP-100IT医薬品の卸売流通体制を構築
  • 2020年4月米国クラリス・バイオセラピューティクス社とライセンス及び供給契約を締結
  • 2020年7月日本において、脊髄損傷急性期患者を対象としたKP-100ITの第Ⅲ相試験を開始
  • 2020年8月丸石製薬株式会社との資本業務提携を通じて、脊髄損傷急性期を対象とするKP-100IT医薬品の販売体制を構築
  • 2020年12月上場東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場
  • 2021年2月慶應義塾大学医学部との脊髄損傷に対するHGF(肝細胞増殖因子)治療を応用した複合的研究に関する共同研究契約締結
  • 2021年8月米国クラリス・バイオセラピューティクス社による神経栄養性角膜炎を対象とする第Ⅰ/Ⅱ相試験の開始
  • 2021年9月組換えヒトHGFタンパク質(KP-100)の国際一般名称が「Oremepermin Alfa」(オレメペルミン アルファ)に決定
  • 2021年12月日本における、ALS患者を対象としたKP-100ITの第Ⅱ相試験(医師主導)を終了
  • 2022年3月慶應義塾大学医学部岡野栄之教授が科学アドバイザーに就任
  • 2022年3月慶應義塾大学医学部と慢性期脊髄損傷に対する治療に関する特許を共同出願
  • 2022年4月東京証券取引所グロースに市場区分を変更
  • 2022年9月慶應義塾大学医学部と脊髄損傷に対するHGFとiPS細胞併用治療に関する特許を共同出願
  • 2022年11月組換えヒトHGFタンパク質の新たな製造方法に関する特許を出願
  • 2022年11月日本において、声帯瘢痕患者を対象としたKP-100LIの第Ⅲ相試験を開始
  • 2023年9月米国において、組換えヒトHGFタンパク質製造の効率・拡大化に向けてクラリス・バイオセラピューティクス社との協業開始
  • 2023年9月日本における、脊髄損傷急性期患者を対象としたKP-100ITの第Ⅲ相試験を終了
  • 2024年2月日本における、脊髄損傷急性期患者を対象としたKP-100ITの第Ⅲ相試験の速報結果を入手
  • 2024年5月組換えヒトHGFタンパク質(KP-100)の日本医薬品一般名称が「オレメペルミン アルファ(遺伝子組換え)」に決定
  • 2025年4月大阪市北区に「Nakanoshima Qross オフィス」を開設
  • 2025年6月米国において、脊髄損傷急性期を対象とする組換えヒトHGFタンパク質(KP-100IT)を希少疾病用医薬品として指定

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2025/9期の経営方針より

会社は4つの方針を掲げている。有価証券報告書には具体的な数値目標の記載がない。

  1. 01

    進行中のパイプラインの開発促進

    脊髄損傷急性期、声帯瘢痕、ALSの3つの国内臨床パイプラインについて、追加臨床試験や承認申請を推進する。脊髄損傷急性期は追加試験を立案し承認申請を目指し、声帯瘢痕は第III相試験の症例登録を継続、ALSはバイオマーカー解析で次相試験デザインを検討する。

  2. 02

    新たなパイプラインの開発

    既存パイプラインに加え、HGFの多様な生物活性を活かした新規治療薬の開発を立ち上げる。また、HGFの知見を基にした新たなバイオ医薬品の開発など、難治性疾患のQOL向上を目指す。

  3. 03

    原薬の量産・供給体制の確立

    HGF原薬の量産体制を強化し、提携先への供給契約も踏まえ、グローバルでの必要量増大に対応した安定供給を目指す。2023年9月から製造法効率化に着手している。

  4. 04

    財務体質の強化

    研究開発費を賄う収益が得られるまで長期を要するため、増資やHGF原薬供給・事業提携による収益計上により、財務基盤を強化する。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 6期分

グループ全体で17人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は645万円で、5期前と比べて+39.0%平均年齢は49.9歳、平均勤続年数は2.1年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数一人当たり営業利益万円
2020年9月46444.53.39
2021年9月55544.53.411
2022年9月59645.43.812
2023年9月50847.62.313
2024年9月50451.31.815−5,333
2025年9月64549.92.117−5,294

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

多様性の開示2025年9月期・提出会社(単体)
女性管理職比率25.0%
縦線は目安の30%
男性育休取得率0.0%
縦線は目安の85%
女性の賃金(男性=100)91.5%
100なら男女で差がない状態

拠点とグループ

設備と関係会社

業績のいま

有価証券報告書・決算短信より

2025年9月期の売上高は1億円営業利益-9億円前期と比べると増収で、売上が+0.0%。

売上高
+0.0%
1億円
営業利益
-9億円
純利益
-9億円
営業利益率
-900.0%
前期比 -100.0%pt

会社が出している今期の予想2026年9月期

項目会社予想前期実績
売上高3億円1億円
営業利益-10億円-9億円
純利益-10億円-9億円
1株あたり配当¥0¥0

会社が決算短信で公表した予想です。証券会社の予想ではありません。 短信の原本

四半期の推移

10期分

直近は2026年3Qで、売上は3億円、営業利益は−1億円。前年の2023年3Qと比べると、売上は+200.0%。

対象期間売上高億円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2023年2Q0−1−1
2023年3Q1−3−300.0−3
2023年4Q0−3
2024年1Q0−2−2
2024年2Q0−2−2
2024年4Q1−4−400.0−4
2025年2Q0−5−5
2025年4Q1−4−400.0−4
2026年2Q0−5−5
2026年3Q3−1−33.3−1

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。

業績の推移

有価証券報告書 10期分

直近期の営業利益率は-900.0%。

決算期売上高億円営業利益億円経常利益億円営業利益率%純利益億円
2016年9月11
2017年9月−1−1
2018年9月−1−1
2019年9月−3−3
東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場
2020年9月5−1−1
2021年9月3−3−3
2022年9月4−3−3
2023年9月1−9−9
2024年9月1−8−8−800.0−8
大阪市北区に「Nakanoshima Qross オフィス」を開設
2025年9月1−9−9−900.0−9

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。空欄の期は有価証券報告書からその項目の数値が取れていません(0ではありません)。

利益の構造

2025年9月期

売上高1億円のうち、営業利益として残るのは-9億円-900.0%。営業外の損益と税金を反映した純利益は-9億円、売上の-900.0%にあたる。営業利益率は業種中央値2.9%を下回る水準。

売上高を100としたときの内訳
  • 費用事業を回すためにかかったお金1000.0%10億円
  • 営業利益費用を引いたあとに残った本業の利益-900.0%-9億円

有価証券報告書の損益計算書から、当期の金額をそのまま割り振っています。売上原価と販管費は単体ベースの数値です。

粗利率
100.0%
売上から原価を引いて残る割合
営業利益率業種比902.9pt
-900.0%
本業の利益として残る割合
純利益率業種比902.7pt
-900.0%
税金まで払って最後に残る割合
ROA
-42.9%
資産全体がどれだけ利益を生んだか
ROIC
-126.0%
事業に使うお金がどれだけ利益を生んだか

ROICは有利子負債の開示がないため、営業利益×0.7÷(総資産−現金)の簡易式で算出しています。

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 8期分

2025年9月期は営業CFが−8億円、投資CFが−2億円で、差し引きのフリーCFは−10億円この組み合わせは先行投資型にあたる。本業がまだ現金を生まない中、調達した資金で投資を続けている。スタートアップ・再建初期の型期末の手元現金は10億円で、売上の120.0ヶ月分にあたる

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2018年9月−202−25
2019年9月−32
2020年9月−12121
2021年9月−6621
2022年9月0−36−325
2023年9月−7−11−818
2024年9月−7−18−818
2025年9月−8−21−1010

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 10期分

2025年9月期の総資産は21億円。このうち返さなくてよい自己資本が13億円で、自己資本比率は61.5%(業種中央値69.9%より薄い)

決算期総資産億円自己資本億円負債億円自己資本比率%
2016年9月1−12
2017年9月54171.9
2018年9月65191.4
2019年9月32185.9
2020年9月2422293.1
2021年9月2625195.1
2022年9月3228486.8
2023年9月2620676.6
2024年9月2821675.8
2025年9月2113861.5

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2025年9月期の内訳単体ベース
現金及び預金
16億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
-17億円
過去の利益の積み上がり
負債合計
8億円
いつか返す必要があるお金
財務の健全性
40
/ 100
安定性自己資本比率40 / 40
収益力営業利益率0 / 30
現金創出営業CFの黒字継続0 / 30

有価証券報告書の数値から機械的に配点した参考値です。自己資本比率60%で満点、営業利益率15%で満点、直近3期の営業CFが黒字だった割合の3つを足しています。業態によって出ない要素があります。

業界内での比較

医薬品 79社との比較

同じ医薬品の企業と並べると、いちばん上に来るのは自己資本比率79社中53位あたり、逆に低いのは営業利益率79社中78位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
/中央値 5.9%
P25 2.0%P75 11.0%
営業利益率下位売上のうち本業の利益として残る割合
-900.0%/中央値 2.9%
P25 -162.5%P75 11.5%
自己資本比率総資産のうち返済のいらないお金の割合
61.5%/中央値 69.9%
P25 53.4%P75 84.5%
売上成長率前期からの売上の伸び
0.0%/中央値 2.8%
P25 -1.3%P75 12.0%
配当利回り株価に対して1年で受け取る配当の割合
/中央値 2.9%
P25 2.3%P75 3.5%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月2日の終値

直近の終値は¥439で、1年前と比べて-12.0%過去52週の値幅のなかでは48%の位置にある。

¥439+0.0%1ヶ月+34.3%1年-12.0%時価総額31億円
過去52週の値幅
安値¥287高値¥601

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標
PBR2.94倍

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

8月12日に前日比+13.54%と急騰し、株価は411円まで上昇しました。7月中旬は320円前後で推移していましたが、8月に入り徐々に上昇し、10日には362円、12日には411円と急上昇しています。8月12日の出来高は109万株と急増しており、買いが集中しました。25日移動平均線331円を大幅に上回り、52週高値601円に向けて上昇余地があります。ただし、年初来では-15.95%と下落しており、RSIは88.52と過熱感が強い状況です。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

AIの評価

AI評価

株価水準の解釈です。売買の推奨ではありません

現在の株価水準をやや割高と判定しています(スコア 30/100)

PBR 2.52倍は業界平均3.12倍を下回るものの、赤字が続きPERが算出不可、ROEもマイナス。無配で株主還元なし。売上高1億円と極小で、創薬企業特有の先行投資段階だが、業界平均PER26.8倍を考慮すると、割高感が強い。

指標この会社業種平均
PBR2.94倍3.53倍

業種平均は同じ東証33業種に属する銘柄の単純平均です。銘柄数が少ない業種では平均が振れます。

AI評価判定とスコアは公開データをもとにした解釈で、将来の株価を示すものではありません。算出の考え方は編集方針に記載しています。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

収益化前のバイオ創薬ベンチャー。株価は1年で52%下落。投資家の最大関心はパイプラインの進捗と資金調達の持続可能性。強気派は承認取得による急成長を期待し、弱気派は先行きの不透明感と資金枯渇リスクを懸念。

プラスに働く材料7
  • パイプライン価値

    開発中の医薬品が承認されれば巨大な収益源に。

  • 提携による資金確保

    大手製薬との提携で資金調達の可能性。

  • 業界の成長性

    バイオ医薬品市場は拡大基調。

  • 売上高1億円維持、事業継続性継続影響

    全年度売上高1億円、赤字だが事業停止リスク低い

  • PBR2.5倍、純資産が株価を下支え不定影響

    PBR2.52倍、純資産約9億円、解散価値相当

  • 外国人保有率7.8%、買い進み余地不定影響

    外国人保有率7.8%、医薬品セクター平均比低位

  • 純損失9億円で安定、大幅悪化なし2025年通年影響

    FY2025純損失9億円、過去3期±1億円で推移

マイナスに働く材料7
  • 開発リスク

    臨床試験失敗で株価が急落する可能性。

  • 資金不足リスク

    赤字継続で追加資金調達が必要、希薄化懸念。

  • 情報開示不足

    パイプラインの詳細が不透明。

  • 営業損失拡大、利益率-900%2025年通年影響

    FY2025営業損失9億円、売上高1億円、営業利益率-900%

  • 売上高成長ゼロ、事業停滞継続影響

    3期連続売上高1億円、新規収益源なし

  • 自己資本減少リスク、債務超過懸念継続影響

    純損失続き、純資産約9億円、年間9億円損失で1年後に消滅リスク

  • 無配継続、株主還元なし継続影響

    配当利回り0%、利益無く配当不可能

次の決算で確かめる点
研究開発費
開発投資の規模と効率を測る。
現金及び預金
資金の残高と燃焼率を確認。
臨床試験進捗
パイプラインの進捗状況。

株主

有価証券報告書より

2025年9月期末の株主数は延べ4,550人。区分でいちばん多いのは個人・その他65.6%。グループ会社や銀行などの安定株主が20.7%を占め、残る79.3%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2020年9月%2021年9月%2022年9月%2023年9月%2024年9月%2025年9月%
個人・その他56.157.361.159.665.165.6
事業法人41.834.127.628.221.820.2
外国法人1.82.43.43.82.47.5
証券会社0.15.87.28.010.15.9
金融機関0.20.40.70.40.50.5
外国人個人0.00.00.00.10.3
自己株式0.00.0

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01日本全薬工業株式会社7.14
02STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 510643 (常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)3.52
03CYBERDYNE株式会社2.85
04山田 哲夫2.52
05野村證券株式会社1.74
06高山 二郎1.71
07上田八木短資株式会社1.59
08丸石製薬株式会社1.42
09株式会社リプロセル1.42
10安達 喜一1.33

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

大量保有報告の動き
5%超の保有者の提出ベース 直近8
  • 2026-08-27
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    4.79%
    -1.22pt
  • 2026-06-05
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    6.01%
    -0.16pt
  • 2026-05-29
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    6.17%
    -1.22pt
  • 2026-05-25
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    7.39%
    -1.06pt
  • 2026-05-25
    エボ ファンド(Evo Fund)
    変更報告
    8.45%
    -1.11pt
  • 2026-05-20
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    8.45%
    -1.11pt
  • 2026-04-09
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    9.56%
    -3.64pt
  • 2026-04-08
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    13.20%
    -4.35pt

提出があった時点の記録です。その後5%を割った保有者が一覧に残ることがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 10期分

1株利益は10期で−107%、1株純資産は6期で−70%。期末時点の株価にもとづく指標の推移。

決算期EPSBPS
2016年9月1,925
2017年9月−1,961
2018年9月−62
2019年9月−290
2020年9月−107600
2021年9月−73578
2022年9月−68518
2023年9月−158363
2024年9月−118307
2025年9月−134182

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安

経営陣

10名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は10名。2025/9期の役員報酬は総額103百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約3倍にあたる。

氏名役職年齢保有株数
安達喜一代表取締役社長5993,400
村上浩一取締役 経営管理部長665,000
早田大真取締役 医薬開発部長 兼薬事部長517,000
茅野善行取締役 信頼性保証部長465,000
友保昌拓取締役562,500
吉野公一郎取締役77
福井真人取締役49
土井直巳常勤監査役67
本川雅啓監査役52
山口要介監査役47

役員報酬の内訳2025/9

役員の区分人数固定報酬百万円その他百万円合計百万円1人あたり百万円
取締役(社内)566178317
社外取締役620203

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2025/9期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容16,307字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3【事業の内容】 (1)概要(背景) 当社は、難治性疾患、すなわち「症例数が少なく、原因不明で、治療法が確立しておらず、生活面への長期にわたる支障がある疾患」に対する治療薬の研究開発を目指す大学発バイオベンチャーとして設立されました。 設立後、中村敏一氏(当時:大阪大学大学院医学系研究科教授)の発見したHGF(Hepatocyte Growth Factor:肝細胞増殖因子)タンパク質を開発パイプライン*として導入し、組換えDNA技術*を応用したタンパク質(以下、「組換えタンパク質」という。)の製造法の確立、非臨床試験*の実施を経て、欧米及び日本における臨床試験*を複数実施いたしました。 その結果、組換えヒトHGFタンパク質の医薬品としての安全性を確認し、脊髄損傷急性期を対象とする臨床試験においては有効性を示唆する結果、すなわちPOC*(Proof Of Concept)を得ることができました。  従来の創薬バイオベンチャーの戦略としては、ここまでの研究成果を導出して製薬企業に開発・製造販売を委ねるのが常ですが、当社は組換えヒトHGFタンパク質を医薬品として確実に社会に提供することを第一の使命と考え、自社で開発を続け、医薬品の製造販売承認を得る方針で事業を進めております。     <図1 当社の企業理念> (2)事業モデル 当社が想定している事業モデルを図2に示します。当社は対象疾患や提携先に応じてA、B、Cを組み合わせたハイブリッド型の事業モデルを志向しております。その中でも、臨床試験の成果をより確実に医薬品として社会実装するため、自社での医薬品製造販売承認申請を行うことを基本方針とします。当社の臨床段階のパイプラインについては、脊髄損傷急性期と声帯瘢痕はAとBのハイブリッド(自社開発と販売提携)、ALSと急性腎障害はBによる事業化を目指しております。また、クラリス・バイオセラピューティクス社への原薬供給はCに該当します。 <図2:当社の事業モデル> また、開発については一般的な新薬開発プロセスに従って実施する必要がありますが、難治性疾患に対する治療薬の開発を実現するために以下に示すようなプロセスを実施しております。 ① 基礎研究* 医薬品の候補となるシーズ*探索は長期の研究期間が必要である上に、この段階で候補が見つかっても医薬品として成功する確率は非常に低いことがわかっております。当社では、基礎研究として、組換えヒトHGFタンパク質の新規適応症の探索及び新規候補品の探索を行っておりますが、大学との共同研究において専門的な知識を活用することにより、成功確率を高めるよう基礎研究を進めております。 ② 非臨床試験・製造 非臨床試験や製造については、開発業務受託機関、製造受託機関等の専門技術を活用することにより、迅速に進めております。また、この開発段階では膨大な支出に対する収入が得られないため、公的資金(助成金、補助金)を活用することにより、自社負担を減らし、経済的なリスクを低減させております。 ③ 臨床試験(第Ⅰ相試験*、第Ⅱ相試験*、第Ⅲ相試験*) 患者数の少ない難治性疾患では、疾患の原因も病態も明らかでないことがあり、臨床試験の評価項目の設定や症例の選定等が難しいとされております。当社では、大学との連携により、難治性疾患に対する専門的な知見を集積し、小規模で成功確度が高い評価項目を策定し臨床試験を実施しております。臨床試験の一部の業務については、開発業務受託機関に委託して品質・開発速度を確保するとともに、臨床評価や解析については、専門病院及び大学病院の医師と連携して科学的な質を高めております。また、大学病院等が公的資金を確保し、臨床試験(医師主導治験)の実施を希望する場合には、治験薬及び科学的な情報・知識を提供して治験推進に協力し、成果の独占的な利用許諾を得ます。 ④ 承認申請・許可 臨床試験の成果をより確実に医薬品として社会実装するため、自社での医薬品製造販売承認申請を行うことを基本方針とします。難治性疾患を対象として開発しているため、POCが得られた後には厚生労働省の「希少疾病用医薬品指定」を受け、開発費用の助成、優先審査の活用などにより申請までの業務を加速することが可能です。また、「条件付き早期承認制度」「先駆的医薬品指定制度(旧 先駆け審査指定制度)」等の制度を活用することにより申請・審査に係る時間を短縮し、早期承認を目指します。 ⑤ 販売 難治性疾患は高度医療機関において治療が行われるため、開発した医薬品の取り扱い施設の数が限定されます。したがいまして、通常の医薬品のような大規模な流通販売網の構築が不要となります。また、競合する医薬品が少ないことから営業活動に大きな費用をかける必要がありません。当社が医薬品製造販売業の許可を取得し、医薬品卸売販売業者と提携することで、必要な場所に必要な医薬品を届けるサプライチェーンの構築が可能です。その結果、販売に係るコストが削減され、売上総利益を高い割合で継続的に得られるメリットを享受することができます。 なお、脊髄損傷急性期を対象とした製品のサプライチェーンについては、現時点で当社内に営業販売体制がないことから、下図に示すように丸石製薬株式会社と東邦ホールディングス株式会社との提携により構築されております。丸石製薬株式会社は救急領域のスペシャリティファーマ*として国内の救急病院をカバーする営業体制を有しているため、当該製品の販売及びプロモーションの提携をすることで、サプライチェーンを構築することが可能であると考えております。 <図3:脊髄損傷急性期を対象とした製品のサプライチェーン> ⑥ 適応拡大 個々の難治性疾患は患者数が限られますが、複数パイプラインの開発を進めること、海外へ販売を拡大すること、他領域の疾患についても開発を進めることにより、市場の拡大が可能であると考えております(図4)。例えば、脊髄損傷急性期及びALSにおいてHGFの神経保護作用が示された場合には、脳神経領域の疾患に対しても神経保護作用を示し、治療薬として開発される可能性が考えられます。また、声帯瘢痕においてHGFの抗線維化作用が示されると、声帯以外の線維化が原因となる疾患への応用が考えられます。さらに、急性腎障害において静脈内投与でのHGFの効果が確認された場合には、腎臓以外の臓器における難治性疾患への応用の可能性が考えられます。HGFは様々な作用を持っていることから、一つの作用についての効果が確認されると、他領域への応用の可能性があると考えております。将来的には、当社において適応拡大による市場の拡大を行いながら他の製薬企業から他領域での開発を希望する提案を受けた場合には、原薬を供給することにより、継続的な収益を得ることも可能であると想定しております。 <図4:適応拡大の可能性> なお、当社の事業セグメントは、医薬品開発事業の単一セグメントであり、事業系統図(図5)及び収益の種類(表1)は以下のとおりであります。 (事業系統図) <図5:事業系統図> <表1:収益の種類> 収益の種類   内容 A   契約一時金   製品販売に関する卸業者との契約時に得られる一時金 販売促進活動協力を目的として契約時に得られる一時金 原薬供給に関する契約時に得られる一時金 B   マイルストーン   研究開発の進捗により受取る収益 C   ロイヤリティ   製品販売後に販売額の一定比率を受取る収益 D   製品販売   医薬品製造販売(製品販売)に対する売上 原薬供給による売上 (3)創薬シーズ 現在、当社の保有する創薬シーズは組換えヒトHGFタンパク質であり、組換えヒトHGFタンパク質を有効成分とした複数の製剤を用いて、各種臨床試験を実施しております。HGFは当初、肝細胞の増殖を促進する増殖因子として日本で発見されました。増殖因子は細胞の表面に存在する受容体*と結合することにより、細胞の核(遺伝子)にシグナルを伝達し、細胞の増殖開始のスイッチをオンにする物質です(図6)。もともと体の中で働く物質であることから組換えタンパク質として製造が可能になれば、高い安全性と効果を併せ持つ医薬品になる可能性があります。     <図6:増殖因子の作用機序*> HGFはその後の研究によって、細胞増殖以外にも細胞保護、形態形成等の生物活性*を併せ持つことが明らかになり、対象となる細胞も肝細胞だけでなく、腎臓、肺、皮膚等の細胞に対して効果があることが示されました(図7)。特に、線維成分の蓄積により細胞の機能が低下する「線維化」や「硬化」を解除する作用(以下、「抗線維化」という。)及び神経細胞・グリア細胞*等の神経系細胞に対する生物活性が明らかになると、複数の難治性疾患に対する治療薬の候補として様々な研究成果が報告されました。 <図7:HGFの生物活性> 実験動物を用いて疾患モデルを作製すると、体内のHGFタンパク質量が上昇し、疾患が治癒することが示され、HGFと組織修復の関係が明らかになってきました。そこで、組換えヒトHGFタンパク質を疾患モデルに補充的に投与すると症状の軽減や治療効果が示されました。組換えヒトHGFタンパク質を用いた研究は現在でも多くの疾患領域について行われておりますが、臨床応用の可能性がある代表的な疾患は下表のようになります。 <表2:組換えヒトHGFタンパク質の臨床応用の可能性がある疾患> 疾患臓器   疾患名   生物活性 腎臓   急性腎障害・慢性腎不全・腎移植・糖尿病性腎症   腎上皮細胞の保護・増殖、 尿細管細胞の保護・増殖、形態形成誘導 筋線維芽細胞の増殖抑制、線維化成分の抑制 肝臓   急性肝炎・劇症肝炎・肝硬変・胆道閉鎖症・脂肪肝・肝移植   肝細胞、肝芽細胞の保護・増殖 心臓・血管   血管障害(閉塞性動脈硬化症・血管再狭窄防止等)・心筋梗塞・拡張型心筋症   心筋細胞の増殖 血管内皮細胞の保護・増殖、形態形成誘導 神経系   ALS・脊髄損傷急性期・脳梗塞・パーキンソン病・ハンチントン病・認知症   神経細胞の保護、軸索*形成誘導 グリア細胞の保護 肺・気管支   慢性閉塞性肺疾患(COPD)・肺線維症・気管支喘息   肺上皮細胞の保護・増殖 気管支上皮細胞の保護・増殖 その他   皮膚潰瘍・声帯瘢痕・炎症性腸疾患・角膜損傷・特発性大腿骨頭壊死症・ペロニー病   各種細胞の保護・増殖、形態形成誘導 筋線維芽細胞の増殖抑制、線維化成分の抑制 ※太字は当社が現在医薬品の開発をしている疾患 当社は、HGFの発見者である中村敏一氏(当時:大阪大学大学院医学系研究科教授)より2005年に組換えヒトHGFタンパク質の開発実施権の許諾を受け、難治性疾患を対象としたパイプラインとして開発を開始いたしました。 (4)製造体制 組換えヒトHGFタンパク質を医薬品として製造するためには、①原薬製造及び②製剤製造の大きく2種類に分けられる製造を行うことが必要です。この2種類の製造についてはいずれも当社が実施権を保有しており、製造受託機関に委託して原薬及び製剤の製造を行っております。医薬品の製造については、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、「薬機法」という。)及び「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」(GMP*省令)に基づき、厳格な品質管理の下で製造を行う必要があります。 また、組換えタンパク質を医薬品として製造する場合には細胞を用いた製造法になるため、複雑で特別な技術が多数必要となります(図8)。当社は、組換えヒトHGFタンパク質の製造方法(原薬製造及び製剤製造)のノウハウを有しており、2社の製造受託機関に原薬製造及び製剤製造を各々委託することにより、原薬及び製剤の供給を行っております。 <図8 製造工程の概略> 開発段階では、製品販売による収入が得られず、定期的な製造計画も決められないため、自社で製造設備を有して人材を確保・管理するよりも外部の受託機関を活用する方が経済的なリスクが低く、効率的と考えております。また、難治性疾患を対象としているため、必要となる製品量も少ないことが想定されます。したがいまして、開発から販売初期までは現在の製造体制を持続いたしますが、適応症の追加や拡大等、開発状況に応じてスケールアップ検討を進める予定です。さらに、現在米国においてドラッグマスターファイル*の登録を完了しており、提携会社が米国において組換えヒトHGFタンパク質の開発を行う場合には、当社の製造法を提携会社に開示することなく当社が提携会社に原薬販売することが可能となる体制を構築しております。 (5)製剤開発 HGFは発見から長い年月が経過しているため、物質特許はすでに失効しておりますが、当社は医薬品の製剤として設計・開発する過程で2種類の製剤組成について特許を取得しております。1つは長期的な安定性を目的とした凍結乾燥製剤(特許1)、もう1つは長期的な安定性に加え、神経疾患の治療に適用できるよう組成を改良した凍結乾燥製剤(特許2)です。なお、凍結乾燥製剤(特許2)に関しては、神経疾患に限らず当社の声帯瘢痕パイプラインでも使用しております。 <表3:製剤組成に関する特許> (2025年9月30日現在) 特許の名称   出願人   最新状況 特許1   HGF製剤   当社   日本、米国、欧州、カナダ、韓国にて特許取得済 特許2   神経疾患の治療に適したHGF製剤   当社   日本、米国、欧州、カナダ、韓国にて特許取得済 (6)開発の状況 開発の状況を図9に示します。臨床試験までステージが進んでいるパイプラインは4件(脊髄損傷急性期、ALS、声帯瘢痕、急性腎障害)、動物疾患モデルにおいて有効性が認められ、提携パートナーにより臨床試験が進められているパイプラインが1件(クラリス・バイオセラピューティクス社による眼科疾患)、基礎研究のステージにあるパイプラインが複数あります。現在は最も開発ステージの進んでいる脊髄損傷急性期を対象とした医薬品開発に注力し、製造販売承認を得ることにリソースを集約しております。一方、基礎研究については大学等との共同研究を継続し、新規適応症の開拓、新規シーズの探索を行っております。 <図9:パイプラインの開発状況> (2025年9月30日現在) ① 脊髄損傷急性期を対象とした開発 脊髄とは脳と体をつなぐ神経が集積している組織であり、脊椎と呼ばれる骨の中に保護されております。脊髄損傷とは、事故や転倒により脊髄に強い外力が加わり、組織が損傷を受けた結果、運動神経や感覚神経の機能が失われ、運動障害や感覚障害を発症する疾患です。国内では年間約6千人の新規患者が発生すると報告されております(Miyakoshi N et al. Spinal Cord 2021 Jun;59(6):626-634.)。しかしながらこれまでのところ、損傷した脊髄に対する有効な治療法はなく、脊髄を囲む脊椎の骨折や脱臼を治療するための手術や、リハビリテーションによる残存神経機能の有効利用と日常生活動作の獲得など、対症療法のみとなっております。 <図10:脊髄損傷の発症メカニズムとHGFによる治療効果> HGFは神経細胞に対し保護作用を示すこと、軸索伸展*の促進作用があることから、脊髄損傷の治療薬として開発される可能性があると考えられます。脊髄損傷は外力によって引き起こされる組織の損傷(一次損傷という。)に続いて周辺組織に損傷が広がる二次損傷が起こります(図10)。脊髄損傷の急性期においては、この二次損傷を抑えることが治療につながると考えられております。当社では慶應義塾大学医学部整形外科との共同研究により、脊髄損傷モデル動物を用いて組換えヒトHGFタンパク質の薬理効果を確認する試験を実施したところ、運動機能評価において有効性が確認されました。そこで、医薬品の開発に必要な非臨床試験(安全性試験、薬物動態*試験など)を実施して、臨床試験に開発ステージを進めました。脊髄損傷急性期患者を対象とした第Ⅰ/Ⅱ相試験結果の概要を表4に示します。 <表4:脊髄損傷急性期患者を対象とした第Ⅰ/Ⅱ相試験結果の概要> デザイン   多施設、無作為化、二重盲検*、並行群間*、プラセボ*対照比較試験* 患者母集団   18歳以上、75歳以下の頚髄損傷患者 受傷後66-78時間の時点で改良Frankel分類*A/B1/B2に該当する患者 用法用量   0.6㎎/回、1回/週、計5回、脊髄腔内投与 (HGF群:28例、プラセボ群:17例) 主要評価項目   評価基準   安全性、抗体産生の確認 ASIA motor score*の24週時におけるベースライン*からの変化量 結果   安全性及び忍容性*はいずれも良好であった。 ASIA motor scoreの24週時におけるベースラインからの変化量について有意な差がみられなかった。 副次評価項目   評価基準   神経学的評価項目の推移 結果   ASIA motor scoreの20週時におけるベースラインからの変化量について有意差を認めた。 主要評価項目のうち、安全性に関する項目については問題ないことが確認できましたが、有効性の指標としたASIA motor scoreの24週時(168日目)におけるベースラインからの変化量では有意な差が得られませんでした(図11)。しかしながら、経時的な推移ではプラセボ群に比較してHGF投与群において機能回復の傾向が一貫しており、副次評価項目であるASIA motor scoreの20週時(140日目)におけるベースラインからの変化量について有意差が認められたことから、HGFが神経細胞を保護して、運動機能を回復させる効果についてPOCが得られたと考えております。   <図11:ベースラインからの変化量 (公表論文より)> 本試験の結果を踏まえて、HGF(脊髄腔内投与用製剤:KP-100IT)は2019年9月に厚生労働省により脊髄損傷急性期を対象とした希少疾病用医薬品指定を受けました。また、本試験の結果は、国際医学雑誌Journal of Neurotraumaにも論文発表されております(オンライン公開:2020年5月22日、DOI: 10.1089/neu.2019.6854)。この試験で得られたPOCを検証する目的で次の第Ⅲ相試験の計画を策定し、下表に示す概要で2020年7月より第Ⅲ相試験を開始しました。 <表5:脊髄損傷急性期患者を対象とした第Ⅲ相試験計画の概要(終了)> デザイン   非ランダム化、単群*、多施設共同試験 患者母集団   18歳以上、89歳以下の頚髄損傷患者 受傷後66-78時間の時点でAIS* Aに該当する患者 目標症例数:25症例 用法用量   0.6㎎/回、1回/週、計5回、脊髄腔内投与 主要評価項目   評価基準   投与後6ヶ月のAISがC以上に改善した症例割合 副次評価項目   評価基準   神経学的評価項目の推移 有害事象の発生 第Ⅲ相試験は2023年4月に症例組入れを完了し、2023年10月に最終症例の最終観察日を終了しました。2024年2月に第Ⅲ相試験の速報結果を得ており、国内での医薬品製造販売の承認申請に向けて本試験の結果をもとに、PMDA*と協議を進めてまいりましたが、2025年7月に追加臨床試験の実施を行うこととなりました。これまでに実施した第Ⅰ/Ⅱ相試験及び第Ⅲ相試験から得られた知見を基に成功確度の高い臨床試験を立案し、有効性の追加データを取得した上で、医薬品としての製造販売承認申請を目指してまいります。 ② 声帯瘢痕 声帯瘢痕とは、声帯の物性が固く変化(線維化、瘢痕化)して動きが悪くなるため、声が出しにくくなる音声障害を生じる疾患です。発症原因は明らかになっていませんが、声帯の外傷や炎症、声帯の手術後などに起こりやすいことが知られております。患者数については、小規模の疫学調査結果(平成21年度厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)「声帯溝症の診断治療の確立と、標準化に向けたガイドラインの作成に関する研究」)から、国内に3,000~12,000人の患者がいると推定されております。これまでのところ、声帯瘢痕に対する有効な治療法はなく、音声訓練等のリハビリテーション及び声帯の位置を移動する手術といった対症療法が中心となっております。 HGFの生物活性として線維化を抑制する抗線維化作用があるため、声帯瘢痕の治療にも活用できる可能性があると考えられます。当社では、京都大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科及び公益財団法人先端医療振興財団(現 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構)との共同研究により、声帯瘢痕モデル動物の声帯内に組換えヒトHGFタンパク質を投与したところ、声帯機能の改善を認めました。そこで、医薬品の開発に必要な非臨床試験(声帯内投与における試験)を追加で実施し、臨床試験に開発ステージを進めました。声帯瘢痕患者を対象とした第Ⅰ/Ⅱ相試験結果の概要を下表に示します。 <表6:声帯瘢痕患者を対象とした第Ⅰ/Ⅱ相試験結果の概要> デザイン   オープンラベル、用量漸増試験(医師主導) 患者母集団   20歳以上65歳以下の声帯瘢痕患者 用法用量   1、3、10µg/片側声帯/回(各群6例) 1回/週、計4回、両側声帯粘膜内局所投与 主要評価項目   評価基準   安全性の確認 結果   声帯の充血が認められたが、軽度で回復しており、安全性上大きな問題は生じないと考えられた。 副次評価項目   評価基準   有効性評価指標及び評価時期の探索 結果   有効性評価指標として測定した5種類の評価項目のうち、3種類の評価項目について改善の傾向がみられた。 当該試験の主要評価項目である安全性の確認について、重篤な副作用は認められず、忍容性も良好であることが示されました。また、副次評価項目において、改善傾向の見られる評価項目、評価時期についての知見が得られました。 この試験で得られたPOCを検証する目的で次の第Ⅲ相試験の計画を策定し、下表に示す概要で2022年11月より京都府立医科大学附属病院において第Ⅲ相試験を開始しました。2023年5月には、久留米大学医学部附属病院、東北大学病院、川崎医科大学附属病院、日本大学病院を治験実施医療機関として加え、2024年5月には、新たに山王メディカルセンターを追加し、2025年1月には、更に藤田医科大学病院、福岡山王病院を追加し、現在合計8施設で症例登録を推進しております。 声帯瘢痕においてHGFのPOCが確認された場合には、HGFの抗線維化作用に基づく創薬コンセプトそのものが示されることになり、声帯瘢痕のみならず他の線維化が原因となる慢性疾患(慢性腎不全、肝硬変、肺線維症等)への適応拡大の可能性が示されると考えております。 <表7:声帯瘢痕患者を対象とした第Ⅲ相試験の概要> デザイン   多施設共同ランダム化試験 患者母集団   18歳以上75歳以下の声帯瘢痕又は声帯溝症患者 用法用量   二重盲検期:20㎍のHGF又はプラセボの声帯粘膜内投与 (週1回×4回)、観察24週間 継続期:希望者にHGF20㎍を投与(週1回×4回)、継続観察24週間 主要評価項目   評価基準   二重盲検期の観察期間24週目におけるVHI-10スコア*改善 副次評価項目   評価基準   期間経過におけるVHI-10*スコアの改善率や変化量等 なお、本試験は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE、研究開発課題:組換えHGFタンパク質を用いた難治性線維症治療薬の開発)の支援を受け実施しております。 ③ ALS ALSは「難病の患者に対する医療等に関する法律」において難病指定を受けている難治性神経疾患の1つで、運動神経細胞が選択的に障害を受けるため、筋力の低下、筋肉の萎縮が引き起こされる疾患です。その結果、歩行困難、言語障害、嚥下障害及び呼吸障害等の症状が進行的に現れ、発症後3~5年で約80%の患者が死亡すると言われております。国内患者数は約1万人(令和3年度特定医療費(指定難病)受給者証所持者数、難病情報センター)と報告されております。国内ではすでに承認された医薬品が2剤ありますが、いずれも効果は限定的であり、より効果の高い新規治療薬の開発が強く望まれています。実際の医療現場では、リハビリテーションによる生活動作の維持・獲得、鎮痛剤を用いた痛みの抑制などの対症療法が既存治療法となっております。 <図12:ALSの発症メカニズムとHGFの治療効果> ALSの発症要因は遺伝によるもの、グルタミン酸毒性によるもの、原因不明のものと様々ですが、運動神経細胞が障害を受け脱落することにより筋肉の萎縮が起こることが共通する現象であるため、運動神経細胞を保護することが治療効果につながると考えられます。従って、前項の脊髄損傷同様に、HGFの神経細胞に対する保護作用、軸索伸展の促進作用はALSの治療につながる可能性があると考えられます(図12)。当社では、東北大学医学部脳神経内科との共同研究により、ALSモデル動物を用いて組換えヒトHGFタンパク質の薬理効果を確認する試験を実施したところ、運動機能の回復、発症の遅延、生存期間の延長といった効果が確認されました。そこで、医薬品の開発に必要な非臨床試験(安全性試験及び薬物動態試験など)を実施して、臨床試験に開発ステージを進めました。ALS患者を対象とした第Ⅰ相試験結果の概要を下表に示します。 <表8:ALS患者を対象とした第Ⅰ相試験結果の概要> デザイン   オープンラベル*、用量漸増試験*、単回投与3群、反復投与2群(各群3例) 患者母集団   20歳以上、65歳未満のALS患者 発症後3年以内のALS患者であってALS重症度分類*が1若しくは2の患者 用法用量   脊髄腔内に治験機器を埋込、皮下ポートを通じて治験薬を脊髄腔内に投与した。 単回投与は0.2mg、0.6mg、2.0mgで実施した。 反復投与(1週ごとに5回投与)は、0.6mg、2.0㎎の2用量で実施した。 主要評価項目   評価基準   安全性及び忍容性 結果   安全性及び忍容性はいずれも良好であった。 副次評価項目   評価基準   ・薬物動態の解析 ・抗体の産生の有無 結果   ・薬物動態学的特性を検討した結果、半減期は1.2-1.4日であり、反復投与による蓄積性はないものと考えられた。単回投与、反復投与時ともに血中への移行はほとんどなかった。 ・抗体の産生は認められなかった。 当該試験の主要評価項目である安全性及び忍容性の確認について、重篤な副作用は認められず、良好であることが示されました。また、副次評価項目として、適切な投与量を策定するために薬物動態を検討した結果、有効性を検討するために必要な投与量についての知見が得られました。この試験で得られた結果を基に、POCの確認を目的とした第Ⅱ相試験を実施しております。ALS患者を対象とした第Ⅱ相試験の概要は下表のとおりです。 <表9:ALS第Ⅱ相試験計画の概要> デザイン   プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験(非盲検*非対照継続投与期を含む)(医師主導) 患者母集団   20歳以上、70歳以下のALS患者 12週間の前観察期のALSFRS-Rスコア*の変化量が-1~-3の範囲にある患者 目標症例数48例(HGF群32例、プラセボ群16例) 用法用量   脊髄腔内にカテーテルを挿入し、皮下ポートを通じて治験薬を脊髄腔内に投与する。 2.0㎎/回、1回/2週、24週(二重盲検期)希望者へのHGF投与24週(継続投与期) 主要評価項目   評価基準   二重盲検期24週のALSFRS-Rスコア変化量の群間差 副次評価項目   評価基準   長期投与における有効性及び安全性を確認する。 当該試験は、東北大学による医師主導治験として行われ、投与観察期24週時点でのALSFRS-Rスコアの変化量を主要評価項目として評価しましたが、HGF投与群とプラセボ群の間で統計的な有意差は認められませんでした。また、事前に定めた副次評価項目においても両群間で統計的な有意差は認められませんでした。一方、HGF投与群において進行の遅い症例もあり、本試験結果の解釈には、さらに詳細な解析が必要となります。なお、安全性に関しては、HGF投与群とプラセボ群で有害事象の発現率は同程度であり、忍容性が確認されました。2024年4月には、東北大学と、本第Ⅱ相臨床試験の追加解析として、検体試料のバイオマーカー解析に関する共同研究契約を締結しました。本共同研究によって、効果の検出しやすい患者集団の特定など、次相試験のデザイン策定に重要な情報が得られることが期待されます。 ④ 急性腎障害 急性腎障害とは、腎臓の損傷、腎臓への血液供給不足、尿路の閉塞等により、数時間~数日という短い期間に急激に腎機能が低下する状態で、その結果、尿を介した老廃物の排泄ができなくなり、体内の水分や塩分量などを調節することができなくなる疾患です。重篤な場合には救急医療が必要になり、死亡に至る場合もあります。発症要因が多数あるため、原因を特定できない場合が多く、有効な治療法は確立されていません。HGFは腎臓の細胞に対して保護効果や増殖作用を示すことから、急性腎障害の治療薬となる可能性があると考えられます。当社は、米国の腎臓専門クリニック(Rogosin Institute)の協力を得て米国において臨床試験を行いました。ただし、第Ⅰ相試験においては、組換えヒトHGFタンパク質の安全性を確認することが目的であるため、容態の不安定な急性腎障害患者を対象とすることは不適切であると判断し、比較的容態が安定している慢性腎不全患者を対象として試験を実施いたしました。当該試験は、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:以下「FDA*」という。)により、必要性の高い新薬の審査を優先的に行う制度であるFast Track*の認定を受けて実施しております。試験結果の概要を下表に示します。 <表10:慢性腎不全患者を対象とした第Ⅰ相試験結果の概要> デザイン   第Ⅰa相:オープンラベル、用量漸増試験(全9例) 第Ⅰb相:プラセボ対照二重盲検試験(全15例) 患者母集団   18歳以上85歳以下の慢性腎不全患者 用法用量   第Ia相:3用量、静脈内単回投与 第Ib相:2用量、1回/日、5回、静脈内反復投与 主要評価項目   評価基準   安全性及び忍容性 結果   重篤な副作用及び死亡例はなかった。 副次評価項目   評価基準   薬物動態の解析 結果   単回投与で投与後速やかに消失し、反復投与で蓄積性はみられなかった。 当該試験において得られた情報を基に、次相試験として急性腎障害患者を対象とした臨床試験の計画を策定しております。また、国内での臨床試験実施を想定した第I相試験の追加試験(日本人での最大耐用量を確認する小規模試験)についても同時に策定しております。具体的には、急性腎障害を対象とした治験実施計画書の作成のため、医学専門家へのヒアリング、他社治験例の検討、バイオマーカー*調査等の検討を継続しております。しかしながら、次相試験は比較的大規模なプラセボ対照二重盲検比較試験になることが想定されており、現状では当社単独で神経系の治験と並行しての開発継続は難しいと判断し、製薬企業等と提携し、開発資金を確保した上で開発を進める方針としております。また現在、欧米において急性腎障害を対象とする競合品が第Ⅲ相試験の開発段階にあることから、その動向を注視しつつ、HGFの優位性を示すための開発を進めてまいります。 なお、静脈内投与は最も全身性に被験薬が到達するため、安全性の問題も発生しやすい投与経路になります。当該試験において安全性が確認されたことで、他の投与経路の開発を進める上で重要な知見が得られたと考えております。静脈内投与は様々な疾患に適応拡大しやすい投与経路であることから、急性腎障害に限らず、安全性及び有効性が効果的に確認できる疾患を策定しながら開発を進める方針です。 ⑤ その他のパイプライン 当社は、国内外の大学や企業との共同研究において基礎研究を行い、新規パイプラインの強化を進めております。当社からは原薬あるいは治験薬の提供を行い、共同研究先にて有望なデータが得られた場合には成果を共有し、開発ステージを進める予定です。 <用語解説> 用語   意味・内容 開発パイプライン   医薬品になる可能性のある候補物質。 組換えDNA技術   複数種のDNAを結合する技術。 POC (Proof Of Concept)   新薬候補物質の有用性・効果が、患者を対象とする臨床試験によって確認され、治療薬になり得るという仮説(コンセプト)が実証されること。 シーズ   開発パイプラインの基となる物質。 スペシャリティファーマ   得意分野において一定の評価を得る開発力を有する製薬企業。 上市   新しい製品として市場に出すこと。 ライセンスイン   他社が持つ開発権や販売権などの権利を自社に導入すること。 ライセンスアウト   自社の開発権や販売権などの権利を他社に使用許諾すること。 生物活性   生体の特定の機能に作用する性質。 遊走   細胞などが別の場所に移動する作用。 受容体   特定の生物活性を有する物質と結合し、情報を伝える分子。 作用機序   薬がその効果を発揮するための生化学的な反応の流れ。 軸索   神経細胞から伸びた突起状の構造。 グリア細胞   神経細胞を取り囲む神経細胞ではない細胞。 基礎研究   新規物質の創製と候補物質の絞り込みをするための研究。 非臨床試験   被験薬の有効性や安全性を確認するため臨床試験以外の動物などを用いた試験。ヒトを対象としない生物学的試験研究。 臨床試験   ヒト(患者又は健常者)を対象として行う試験で、被験薬の効果・安全性・動態を確認することを目的とする。 第Ⅰ相試験   少数の健常者を対象に、安全性(人体に副作用は無いか)・薬物動態(被験薬が体にどのように吸収・分布・代謝・排泄されていくか)を確認する試験。希少疾病においては、患者を対象に第Ⅰ相試験と第Ⅱ相試験をあわせて第Ⅰ/Ⅱ相試験として行うこともある。 第Ⅱ相試験   比較的少数の患者に対して第Ⅰ相試験で安全性が確認された用量の範囲で被験薬が投与され、安全性、有効性、用法、用量を探索する試験。 第Ⅲ相試験   多数の患者に対して被験薬を投与し、第Ⅱ相試験の結果で得られた有効性、用法、用量を確認する試験。 GMP   Good Manufacturing Practiceの略で、適正製造規範と訳される。原料の入庫から製造、出荷にいたる全ての過程において、製品が「安全」に作られ、「一定の品質」が保たれるように定められた規則とシステムであり、医薬品の製造に関しては、義務として課せられている。 用語   意味・内容 巻締   容器であるガラスバイアルをゴム栓及びアルミキャップで閉塞する工程。 ドラッグマスターファイル   医薬品の原料、材料、あるいは原薬の製造関連情報をあらかじめ審査当局に登録しておく制度。最終製品を製造するメーカーに原料・材料の詳細情報を開示することなく治験申請や新薬承認申請を行うことができる。 プラセボ   色、重さ、味及び匂いなど物理的特性を可能な限り被験薬(治験実施の目的となる、開発中の未承認有効成分を含む製剤)に似せ、かつ薬効成分を含まない「偽薬」のこと。 プラセボ群とは、それらを投与される試験群のこと。 軸索伸展   神経細胞の軸索が伸びる作用。 二重盲検(比較試験)   医師及び患者の両者がプラセボか被験薬かがわからない状態で行う試験。試験終了後に開鍵(盲検化されていた情報を開示)し、被験薬投与群とプラセボ群の間で有効性や安全性を比較する。 並行群間(比較試験)   複数の試験群が設定され、試験参加者がいずれかひとつの群に参加する試験。 プラセボ対照比較試験   効果を調べたい被験薬の対照としてプラセボを使用し、薬効成分の有無により効果の違いを比較する試験。 改良Frankel分類   四肢麻痺の機能障害を5段階に分類したFrankel分類を、さらに予後の違いから細分化したもの。完全麻痺のAから正常のEまで11段階に分類される。 ASIA motor score   米国脊髄障害学会による運動機能を評価する指標で、上肢(50点)と下肢(50点)の運動機能スコアの合計(100点)で構成される。脊髄の各部位に関連した主要筋肉が動くかどうかを点数化したもの。実施が容易で再現性が高いこと等を理由に広く普及している脊髄損傷急性期の評価項目。 ベースライン   評価の際、基準となるもの。脊髄損傷急性期を対象とした治験では、治験薬投与前のスコアがベースライン。 忍容性   薬を被験者に投与した際に現れる副作用の程度。副作用が発生したとしても被験者が十分に耐えられる程度であれば「忍容性が高い薬」とされる。 単群(試験)   単一の試験群を設定して実施する試験。 AIS   ASIA impairment scale、米国脊髄障害学会が定めた脊髄損傷の機能障害尺度。最も重度のA(完全麻痺)から正常のEまで5段階に分類される。 オープンラベル   医師及び患者の両方がどのような治療を受けているかがわかっている状態で行う試験。 用量漸増試験   被験薬の用量を段階的に増やして投与する試験。 ALS重症度分類   厚生労働省「特定疾患調査研究」において定められたALSの重症度。軽度の1から重度の5まで5段階に分類される。 薬物動態   薬物が体内に投与されてから排泄されるまでの過程。 非盲検   投与された被験薬が盲検化されない試験。 ALSFRS-Rスコア   ALS患者の日常生活活動を見るもので、12項目の動作について各々0~4の5段階で点数化するもの。 VHI-10スコア   10項目の質問から、自分の声をハンディキャップと感じている程度を患者本人がスコア化する。各質問は、0(障害なし)から4(最大障害)までの回答が設定されており、症状が悪化するほど高値となる。 FDA   米国食品医薬品局。食品や医薬品などについて、その許可や違反品の取締りなどの行政機関。 Fast Track   重篤な疾患あるいは生命にかかわる疾患における治療開発の必要性がある疾患に対して、高い治療効果が期待できそうな新薬をFDAが優先的に審査する制度。 PMDA   独立行政法人医薬品医療機器総合機構のこと。健康被害救済、医薬品や医療機器などの承認審査、市販後における安全対策を業務としている。 バイオマーカー   病気の進行や薬の効果などを体内の分子によって定量的に評価するための指標。
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経営陣が考える方向性と課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針 当社は、「難治性疾患治療薬の研究開発を行い、難病に苦しむ患者さんに対して画期的な治療手段を提供し社会に貢献すること」を企業理念とし、組換えヒトHGFタンパク質の研究開発によって創薬イノベーションを起こすことが事業機会の創出・獲得につながると考え、組換えヒトHGFタンパク質プロジェクトに経営資源を集中し、事業展開をしております。希少疾患を主な対象疾患とし、臨床試験の成果をより確実に医薬品として社会実装するため、自社開発により自社で医薬品製造販売承認を取得することを基本方針としております。 (2)会社を取り巻く経営環境 製薬業界におきましては、高齢化に伴う医療費の増大に対応してジェネリック医薬品による代替が進むとともに、薬価改定期間が短縮され、高額医薬品の薬価が著しく低下しております。また、臨床試験の大規模化等に起因する新薬開発のためのコスト増大により、国内外での製薬企業の合従連衡が進みM&Aによる企業規模が拡大するとともに、自社創薬開発において重点領域の絞込みが行われており、社外から開発品目を導入する動きも活発化しております。 一方、新薬開発については、対象患者が多く、将来安定した多額の収益が得られるいわゆるブロックバスター医薬品から、特定の患者群に効果的な治療が行える医薬品の開発に移行しており、経営資源が特定分野に集中し、短期に意思決定が行われる創薬ベンチャーがその中心的役割を担うと言われております。これに対応すべく、政府は、厚生労働省や経済産業省の中央省庁を中心に、日本発の創薬を積極的に支援するため、特に、創薬ベンチャー支援の取り組みとして、医療系ベンチャー・トータルサポート事業(MEDISO)の開始や「伊藤レポート2.0 バイオメディカル産業版」の作成がなされております。また、日本国内での創薬を促進するため、医薬品の条件付き早期承認制度や先駆的医薬品指定制度が法制化されました。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社は創薬バイオベンチャーとして当社開発品の実用化に向けて、研究開発を促進しておりますが、継続的な売上を計上する段階には至っておりません。従って経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の設定はしておりません。 しかしながら、開発の進捗を経営目標とし、その達成状況を今後の利益計上に至るまでの会社経営の指標と考えております。 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社は、創薬バイオベンチャーとして、難治性疾患を対象とした組換えヒトHGFタンパク質の研究開発を行い、医薬品として実用化すべく事業を推進しております。 一方で医薬品としての事業化は、製品化までに多額の資金と長い時間を要する等の特性があり、当社は継続的な営業損失を計上している状況にあり、すべての開発投資を補うに足る収益は生じておりません。 このような事業環境下、当社は、以下の点を対処すべき課題として取り組んでおります。 ① 進行パイプラインの開発の促進 当社は、国内臨床パイプラインとして難治性神経疾患である脊髄損傷(SCI)急性期、線維化疾患である声帯瘢痕(VFS)及び筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療薬の開発を行っております。 脊髄損傷急性期については、第Ⅲ相試験の患者組入れは2023年4月に完了し、最終症例の経過観察は2023年10月に終了しました。その後、データ固定・解析を経て2024年2月に速報結果を得ており、承認申請に向けて医薬品医療機器総合機構(PMDA)との協議を進めてまいりましたが、追加臨床試験の実施を行うこととなりました。これまでに実施した第Ⅰ/Ⅱ相試験及び第Ⅲ相試験から得られた知見を基に成功確度の高い臨床試験を立案し、有効性の追加データを取得した上で、医薬品としての製造販売承認申請を目指してまいります。当該追加臨床試験を行うための治験費用に一部充当することを目的に、2025年8月に第16回新株予約権の発行を行いました。なお、脊髄損傷急性期を対象とする米国での臨床開発及び製造開発(組換えヒトHGFタンパク質の製造法効率化)を資金調達の主たる目的とし、2023年9月に第13回新株予約権の発行を行い、2024年5月に全ての行使が完了しました。 声帯瘢痕については、第Ⅲ相試験(プラセボ対照二重盲検比較試験)の治験計画届書をPMDAに提出し受理され、2022年11月に京都府立医科大学附属病院において治験を開始しました。2023年5月には、久留米大学医学部附属病院、東北大学病院、川崎医科大学附属病院、日本大学病院を治験実施医療機関として加え、2024年5月には、山王メディカルセンターを追加し、2025年1月には、更に藤田医科大学病院、福岡山王病院を追加し、現在 合計8施設で症例登録を推進しております。なお、治験の実施費用並びに治験薬の製造及び商用製剤の開発費用の調達を目的として、第10回新株予約権の発行を行い、2022年7月に全ての行使が完了しました。さらに、本プロジェクトは国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による「医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)」課題として採択され、公的資金の活用も進めております。また、声帯瘢痕を対象とする市販用製剤開発費用の一部を資金調達することを目的に、2025年8月に第16回新株予約権の発行を行いました。 ALSについては第Ⅱ相試験(医師主導治験)の患者組入れを終了し、2021年12月に最終症例の最終観察日が終了しております。その後、データ解析が進められた結果、主要及び副次評価項目に関して実薬群とプラセボ群の間で統計的な有意差は認められませんでした。一方、実薬群において進行が遅い症例もあり、本試験結果の解釈には、さらに詳細な解析が必要と考えております。2024年4月には、東北大学と、本第Ⅱ相臨床試験の追加解析として、検体試料のバイオマーカー解析に関する共同研究契約を締結しました。本共同研究によって、効果の検出しやすい患者集団の特定など、次相試験のデザイン策定に重要な情報が得られることが期待されます。 ② 新たなパイプラインの開発 当社は前述の3件のパイプラインのほか、米国において急性腎障害の第Ⅰa、Ⅰb相の臨床試験を終了しております。現在、資金的観点から当該疾患に対する開発を一旦中止しておりますが、資金的余裕が出た段階で再開する計画であります。また、多様な生物活性を持つHGFではその他多くの治療の論文が公表されており、今後の企業価値最大化の観点から、これらに対する医薬品を開発するパイプラインを新たに立ち上げる必要があります。 また、組換えヒトHGFタンパク質の臨床試験を複数実施した当社のこれまでの知見をもとに、新たなバイオ医薬品の開発等、難治性疾患のQOL(Quality of Life:生活の質)の向上のためのパイプライン開発を行ってまいります。 ③ 原薬の量産・供給体制の確立 当社は現在、前述の4件の臨床パイプラインを開発中でありますが、これらのすべてが治療薬として実用化された場合、HGF原薬の量産体制を強化する必要があります。また、当社の提携先(クラリス・バイオセラピューティクス社)において組換えヒトHGFタンパク質を用いた眼科領域での治療薬の開発が行われており、同社にHGF原薬を供給する契約を締結しております。当社は2023年9月に同社と業務提携し、組換えヒトHGFタンパク質の製造法効率化に着手いたしました。今後のグローバルでの必要量増大に対応し、全世界での安定供給を目指すことを目的としております。 ④ 財務体質の強化 当社は創薬バイオベンチャーであるため、研究開発費を補うための十分な収益を得るまでに長期の時間を要します。そのため、資金的余裕を生じさせることが困難であります。 しかしながら、研究開発の促進を図るためには十分な資金を研究開発に投入する必要があることから、今後も引き続き、増資はもとより、HGF原薬供給や事業提携(共同開発等)による収益計上により、財務体質の強化を図ってまいります。
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会社が自認するリスクの一覧

3【事業等のリスク】 当社の事業運営及び展開等について、リスク要因として考えられる主な事項を以下に記載しております。中には当社として必ずしも重要なリスクとは考えていない事項も含まれておりますが、投資判断上、若しくは当社の事業活動を十分に理解する上で重要と考えられる事項については、投資家や株主に対する積極的な情報開示の観点からリスク要因として挙げております。 当社はこれらのリスクの発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事項及び本項以外の記載もあわせて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、これらは投資判断のためのリスクを全て網羅したものではなく、さらにこれら以外にも様々なリスクを伴っていることにご留意いただく必要があると考えます。 また、当社は、医薬品等の開発を行っていますが、医薬品等の開発には長い年月と多額の研究費用を要し、各パイプラインの開発が必ずしも成功するとは限りません。特に研究開発段階のパイプラインを有する製品開発型バイオベンチャー企業は、事業のステージや状況によっては、一般投資家の投資対象として供するには相対的にリスクが高いと考えられており、当社への投資はこれに該当します。 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)医薬品開発に係るリスク ① 開発中パイプラインの不確実性について 当社は主要なパイプラインとして難治性神経疾患である脊髄損傷急性期、ALS及び声帯瘢痕の治療薬の開発を行っております。脊髄損傷急性期については、第Ⅲ相試験の患者組入れは2023年4月に完了し、最終症例の経過観察は2023年10月に完了しております。2024年2月に第Ⅲ相試験の速報結果を得ており、国内での医薬品製造販売の承認申請に向けて本試験の結果をもとに、PMDAと協議を進めてまいりましたが、2025年7月に追加臨床試験の実施を行うこととなりました。これまでに実施した第Ⅰ/Ⅱ相試験及び第Ⅲ相試験から得られた知見を基に成功確度の高い臨床試験を立案し、有効性の追加データを取得した上で、医薬品としての製造販売承認申請を目指してまいります。声帯瘢痕については、第Ⅲ相試験(プラセボ対照二重盲検比較試験)の治験計画届書をPMDAに提出し受理され、2022年11月に治験を開始し、現在合計8施設で症例登録を推進しております。ALSについては、第Ⅱ相試験を終了しておりますが、追加解析として検体試料のバイオマーカー解析を東北大学と共同で進めております。 しかしながら、臨床試験で期待どおりの結果を得ることは不確実であり、PMDAとの協議において当該開発品が有効性を示していないと判断される可能性があります。また、臨床試験中に重篤な副作用が発生した場合、安全性に疑義が生じ臨床試験を中断する可能性があります。 このような場合は、パイプラインの開発が遅延又は中止となり、その結果収益自体が計上できる状況に至らない可能性があります。 ② 開発の遅延について ①に示したように、当社は複数パイプラインで研究開発を行っておりますが、それぞれの開発段階で予想できない結果等(有効性や安全性の評価項目の未達、重篤な副作用発生、新型コロナウイルス感染症等の流行による症例組入れ停止等)が発生し、その後の開発について遅延が生じる可能性があります。当該開発の遅延により、当初の予算を上回る資金需要やスケジュールの遅延が生じる可能性があります。 ③ 将来収益の不確実性について 当社は、多く有用な情報から最も確度の高い価格、市場規模、市場占有率等を考慮して将来の収益の計画を策定しております。しかしながら、当社は、難治性疾患の治療薬を開発しており、類似製品の選定が困難な場合、及び類似製品からの価格の推定が困難な場合があり、将来の収益の計画が大きく変更する可能性があります。また、製品の販売を開始するまでの時期については、収益が発生する場合の主な内容が契約一時金収入やマイルストーン収入であることから、収益の発生時期及び金額は開発の進捗により大きく変動する可能性があります。 ④ 潜在競合品について 当社が開発しているパイプラインについては、競合品の開発状況を注視しております。当社開発製品の将来収益予想に影響を及ぼす可能性のある競合品は少ないと判断しておりますが、今後の競合品の開発状況の変化により、将来の収益性に大きな影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 知的財産侵害について 当社は事業展開において種々の知的財産権を使用しており、これらは当社所有若しくは適正に使用許諾を受けた権利であると認識しており、今後も第三者の知的財産権を使用することもあります。当社では、第三者の知的財産権に抵触することを回避するため、調査、検討及び評価等を随時実施しておりますが、第三者の知的財産権に関連して係争が生じる可能性もあります。 今後、事業の進捗により、このようなリスクは増大するものと思われます。 また、当社は他社による特許権等知的財産権の侵害を未然に防止するため、当社として必要と考える調査を実施しております。これまでに、当社の知的財産権について第三者との間で訴訟が発生した事実はありませんが、研究開発型企業である当社は、知的財産権侵害の問題を完全に回避することは困難であり、第三者との間で知的財産権に関する紛争が生じた場合は、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社は株式会社ニューロゲン(代表取締役:米田喜子氏)より、組換えヒトHGFタンパク質を製造するためのマスターセルバンクの使用許諾を受けております(「第2 事業の状況 5 重要な契約等 (1)技術受入契約」をご参照ください)。株式会社ニューロゲンは、HGFのインデューサー(中国の生薬等に含まれ、摂取することにより体内のHGF産生を上昇させる活性を持つ物質)の研究開発を行うとともに、HGF関連資産を保有しております。マスターセルバンクは組換えヒトHGFタンパク質の製造における起点となる細胞株であるため、当該使用許諾は主要な事業活動の前提となる事項でありますが、株式会社ニューロゲンとは長年にわたり良好な関係を維持しており、現時点でマスターセルバンクの継続的な使用に支障をきたす要因は発生しておりません。マスターセルバンクは、当該使用許諾契約に基づき、当社がGMP準拠により適切に保管しております。今後、当社がマスターセルバンクを使用できなくなる可能性は極めて低いと考えておりますが、何らかの理由により当該使用許諾契約が解除された場合には、当社の医薬品開発事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。 なお、以下に主要なパイプラインに関する当社所有の特許を記載しております。 対象   表題   出願国(地域)   登録(出願)の状況 脊髄損傷急性期   脊髄損傷治療薬剤   日本   権利化 欧州   14カ国(英国、フランス、ドイツ、スイスほか)で権利化 米国   権利化 カナダ   権利化 中国   権利化 韓国   権利化 香港   権利化 脊髄損傷急性期 ALS 声帯瘢痕   神経疾患の治療に適したHGF製剤   日本   権利化 欧州   権利化 米国   権利化 カナダ   権利化 韓国   権利化 ⑥ 医薬品に関する規制等について 当社は、医薬品を販売するにあたり「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、「薬機法」という)に基づき第1種医薬品製造販売業の許可を得た後に、組換えヒトHGFタンパク質による製品の製造販売承認を取得できるよう、薬機法に準拠した体制整備と医薬品開発の推進に努めております。また、製造販売承認を得るため、申請書類に必要なデータ(品質、有効性、安全性)の取得、及び信頼性保証体制の整備に努めております。 しかしながら、製造販売業の許可については、薬機法に違反した事実が認められたり、薬機法の改正に対応することができない場合は、取り消される可能性があります。また、組換えヒトHGFタンパク質による製品の品質、有効性及び安全性が認められない場合は、当該製品の製造販売承認が得られない可能性があります。 医薬品については前述の薬機法以外にもいくつかの法令によって規制されており、これらの規制に抵触することにより、販売の規制などの行政処分が執行される可能性があります。 ⑦ 医療制度改革について 我が国の医療制度は国民皆保険制度を基盤として、すべての国民が十分な医療行為を受けられる体制が敷かれております。しかしながら、高齢化社会による昨今の医療費の増大を踏まえ、当該制度を維持すべく薬価改定を中心とした医療制度改革が実施されており、当社が予定している製品の販売価格に大きく影響する可能性があります。 ⑧ 損害賠償責任について 医薬品の臨床試験の実施に際しては、治験薬による重篤な副作用が発生する可能性があります。当社は、当該リスクに対して損害賠償保険に加入しておりますが、当該保険の範囲外での賠償義務が生じる可能性があります。また、医薬品として販売の承認を受けた後も、同様の重篤な副作用の発生の可能性を否定することは困難であり、これに対しても損害賠償保険に加入する予定にしておりますが、当該保険の範囲外での賠償義務が生じる可能性があります。 (2)製造に関するリスク ① 原材料等の不足 当社は、製造受託機関に委託して、臨床試験の治験薬製造を行っており、また、今後の医薬品の製造を行う予定であります。今後の医薬品製造に当たっては、汎用的ではない特殊な原材料等があるため、原材料等の不足が生じないように一定の原材料等の確保及び事前の原材料の確認、発注等一定の手当を行っておりますが、当該原材料が不足した場合、医薬品の安定的な供給に問題が生じる可能性があり、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 少数サプライヤーへの依存 当社は前述のように特殊な原材料、消耗品等を使用しているため、少数のサプライヤーに依存して製造を行っております。このため、サプライヤーサイドの事情により原材料等の供給が滞る可能性があります。当社はセカンドサプライヤーの検討や一定程度の在庫量の確保等を進めておりますが、前述のとおり、原材料や消耗品等の供給に不足が生じた場合、将来製品の製造に遅延が生じ、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 製造の外部委託について 当社は原薬及び製剤の製造を外部委託することにより、製造に係る人件費や固定資産の減価償却費等、固定費を削減するとともに現預金残高を増加させ財務基盤を安定化させております。また、製造を外部委託することにより、機動的な製造も可能となると考えております。製造委託先との緊密な連絡体制や契約により当社製品の製造に支障が生じないようリスク管理を十分に行っておりますが、何らかの事情により委託先が当社が製造委託した原薬又は製剤を製造できなくなる可能性があります。また、当社及び委託先それぞれにおいて品質管理体制を構築して、一定の品質を確保した原薬及び製剤の製造を実行しておりますが、管理の不備により品質上問題のある原薬又は製剤が使用された場合には、当社の信頼性が担保されず、事業推進に支障が生じる可能性があります。 ④ 技術・ノウハウの流出 組換えヒトHGFタンパク質を有効成分とする医薬品の製造に関しては、原薬の製造と凍結乾燥製剤の製造に分けることができますが、いずれも製造方法を特許として出願せず、ノウハウとして公表しない戦略をとっております。 当社役職員や製造委託先については、秘密保持契約等の締結によりこれらの製造に関する技術・ノウハウが流出しないような措置はとられているものの、何らかの理由により製造に関する技術・ノウハウが流出した場合、製造に関する優位性が失われ、他社により製造される可能性があります。 (3)事業開発に係るリスク ① 提携先企業について ア 製薬企業との提携について 丸石製薬株式会社とは、当社が開発中である脊髄損傷急性期を対象とした製品が製造販売承認を得た際に独占的販売権を許諾する契約を締結しております。この提携により同製品の販売網が構築されておりますが、何らかの事象(相手先企業の経営環境の悪化や経営方針の変更等)により、同社への販売が実現されない場合、同製品の売上が計画を下回る可能性があります。当社は、販売数の低下を回避するためのバックアップ体制の構築を想定しておりますが、一時的な売上低下を回避することは難しいと考えております。 イ 医薬品卸企業との提携について 東邦ホールディングス株式会社とは、当社が開発中である脊髄損傷急性期を対象とした製品が製造販売承認を得た際に独占的卸売販売を行う契約を締結しております。この提携により同製品を市場に供給するためのサプライチェーンが構築されております。しかしながら、何らかの事象(相手先企業の経営環境の悪化や経営方針の変更等)により、提携先である同社による市場供給が困難になった場合、一時的に同製品の市場供給が難しくなる可能性があります。当社は、市場供給の停止を回避するためのバックアップ体制を構築しておりますが、一時的な供給停止を回避することは難しいと考えております。 ウ クラリス・バイオセラピューティクス社との提携について 当社は米国のクラリス・バイオセラピューティクス社とHGF原薬の供給契約を締結しております。しかしながら、何らかの事象(相手先企業の経営環境の悪化や経営方針の変更等)により同社が行っている医薬品開発が進捗しなかった場合、当社製品であるHGF原薬の供給がなくなり、売上が減少する可能性があります。 ② 国内外への事業展開について ア 国内での事業展開について 前述のとおり、開発が成功した場合の脊髄損傷急性期治療薬についての国内における独占的販売に関する契約については丸石製薬株式会社と、独占的卸売販売に関する契約については東邦ホールディングス株式会社と締結しており、今後の製品供給に関するサプライチェーンが構築されております。しかしながら、現時点においては開発が成功した場合のVFS治験薬及びALS治療薬についての販売に関する提携がなされておらず、今後の事業開発の状況によっては、有効なサプライチェーンの構築が困難になることも考えられます。 イ 海外での事業展開について 前述のとおり、国内市場において、脊髄損傷急性期治療薬についてのサプライチェーンの構築を含め、製造販売承認がなされた後の市場供給過程が設定されておりますが、海外においては、製薬会社等との提携により、臨床試験の設定から構築する必要が生じます。しかしながら、海外製薬会社等との提携が適時適切に行われない場合は、海外での事業展開が遅延する可能性が生じます。 (4)会社組織に係るリスク ① 小規模組織について 当社組織は、取締役7名(非常勤取締役3名を含む。)、監査役3名(非常勤監査役2名を含む。)及び従業員17名から構成されております。これは、当社が社外組織や個人を活用することにより固定費を低減し、収益を獲得するまでの期間における費用を低く抑える経営戦略に沿った組織体制を構築したことによるものであります。 当社の研究開発を行う医薬開発部及び信頼性保証部は取締役2名と従業員13名で構成されております。今後の積極的な事業展開を踏まえて、人員の拡充を計画しておりますが、計画どおりの人材採用が行われない場合は、研究開発活動が遅延する可能性があります。 また、管理及び経営戦略業務を行う経営管理部及び経営戦略室は取締役1名と従業員4名で構成されております。今後は、事業拡大に応じた内部管理体制の充実を考慮し、人員の拡充を計画しておりますが、計画どおりの人材採用が行われない場合は、内部管理体制が十分に構築できない可能性があります。 ② 資本構成について 新株予約権による希薄化 当社は、ストック・オプション制度を採用しており、取締役、従業員等に対して新株予約権を付与しており、今後も優秀な人材確保及び取締役、従業員等の企業価値向上への貢献意識を高めることを目的として、新株予約権を発行する可能性があります。 ストック・オプションを含めた新株予約権による潜在株式数は当事業年度末現在で340,000株となり、発行済株式総数と潜在株式数を合計した株式数に対して4.6%を占めております。 新株予約権の行使が進んだ場合、発行済株式総数が増加し、当社株式の市場価格が低下する可能性があります。 ③ 特定人物への依存 代表取締役社長の安達喜一は経営方針の決定及び当社の事業活動全般に重要な役割を果たしております。また、研究開発については専門的な知識が必要となるため特定の従業員に強く依存するところがあります。当社では特定人物への依存が強くなり過ぎないよう業務内容を複数で共有するとともに人材の確保及び育成に努めておりますが、人材の拡充が進まない、人材が流出する等の事態が生じた場合には、当社の事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (5)業績に係るリスク ① 経営成績について 当社は研究開発型の創薬バイオベンチャー企業であり、多額の研究開発費を先行投資するビジネスモデルであるため、継続して当期純損失を計上しております。計画どおりに開発を進め、当社製品が医薬品として承認されることにより早期に利益を計上することを目指しておりますが、研究開発の遅延により利益の計上が遅れる可能性があります。 ② 配当政策について 当社は、当事業年度末現在において、会社法上の配当可能利益がなく、創業以来、配当を実施しておりません。早期に利益を計上したのち、財務体質の強化及び研究開発への投資とともに株主への利益還元を行うべく利益配当を考えております。 しかしながら、研究開発の遅延や収益見込が下回る等により利益配当が十分になされない可能性があります。 ③ 資金繰り及び資金調達について 当社のような創薬バイオベンチャー企業は、研究開発が先行して行われるため、研究開発期間中においては継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローは通常マイナスとなります。現在、開発中であるKP-100ITが実用化され販売が本格的に開始されるまでの間、研究開発資金を含む事業資金は過去における増資資金、株式公開における調達資金で賄う予定でありますが、研究開発等、本格的な販売開始の遅延により資金がひっ迫する可能性があります。 この場合、新たな増資等によって追加の資金調達を行う必要が生じますが、適切なタイミングで資金調達ができなかった場合には、当社の事業継続に重要な懸念が生じる可能性があります。また、新たな増資を行った場合、発行済株式総数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。 ④ 多額の研究開発費の発生について 当社の第23期事業年度における研究開発費の総額は、643,266千円(販売費及び一般管理費の71.6%)、第24期事業年度においては、681,359千円(販売費及び一般管理費の69.4%)であります。 一般に、新薬の開発には、長期に渡る年月と多額の費用が必要になります。当社では現在、難治性神経疾患である脊髄損傷急性期及び声帯瘢痕を対象疾患とした臨床試験を実施中ですが、これら研究開発が当初計画よりも遅延する場合、又は当初期待していた結果が得られない場合、研究開発費が当初計画よりも増大し、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 継続企業の前提に関する重要事象等について 当社は、創薬バイオベンチャーであり、医薬品として製品化し、収益を得るまでに多額の研究開発費と長い時 間を要する等の特性があります。HGF医薬品の実用化を目指して、複数パイプラインの開発を進めておりますが、現在、収益を得るまでには至っておりません。 主要パイプラインである脊髄損傷(SCI)急性期に関しましては、第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験及び第Ⅲ相臨床試験を終 了し、承認申請に向けてPMDAとの協議を進めてまいりました。しかし、2025年7月に追加臨床試験を実施したうえで承認申請することを決定いたしました。 この結果、継続的な営業損失の発生及び営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスを計上していることに 加え、当初の計画より承認申請時期が延期となった影響等により、資金繰りの余裕度が低下してきました。この 状況により当社には、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると判断しておりま す。 このような状況を解消するため、当社は2025年7月16日開催の取締役会において第三者割当の方法による第16 回新株予約権の発行を決議し、2025年8月1日に第三者への割当を行いました。当該新株予約権の行使による資 金調達を進めるとともに、必要に応じてパイプラインの見直しによる研究開発費や一般経費等のコスト削減を行 うことにより、事業を継続していくための資金を確保できるため、現時点において、継続企業の前提に関する重 要な不確実性はないものと判断しております。 また、これに加えて、以下の医薬開発活動や事業開発活動等を継続することにより、事業基盤及び財務基盤の 強化を図り、当該状況の解消、改善に努めてまいります。 ア.継続的な収益源の確保 原薬供給や技術アクセスフィーによるクラリス・バイオセラピューティクス社からの売上収益に加え、HGF医薬品に関する共同研究や共同開発を推進し、その成果としての原薬販売による収益の獲得にも取り組んでおります。 イ.既存パイプラインにおける提携先の開拓 当社のパイプラインである国内における脊髄損傷(SCI)急性期については、製薬会社との独占的販売権及び独占的卸売販売の契約がすでに締結されておりますが、声帯瘢痕(VFS)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)及び国外における脊髄損傷(SCI)急性期については、現時点で製薬企業等との提携は確定しておりません。 国内における声帯瘢痕(VFS)については、脊髄損傷(SCI)急性期の国内と同様に自社開発により薬事承認を取得し販売提携先を得るモデル、国外における脊髄損傷(SCI)急性期及び声帯瘢痕(VFS)、グローバルにおける筋萎縮性側索硬化症(ALS)については、導出・共同開発モデルでの事業化を目指しております。各パイプラインについて速やかに製薬会社等との提携交渉を進めることにより、開発リスク、財務リスクの低減に取り組んでおります。 ウ.資金調達 補助金等の活用による資金調達に取り組んでおります。
経営成績の分析 (MD&A)10,112字を開く

業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況 製薬業界の概況としましては、高齢化に伴う医療費の増大に対応してジェネリック医薬品による代替が進むとともに、薬価改定期間が短縮され、高額医薬品の薬価が著しく低下しております。また、臨床試験の大規模化等に起因する新薬開発のためのコスト増大により、国内外での製薬企業の合従連衡が進みM&Aにより企業規模が拡大するとともに、自社創薬開発において重点領域の絞込みが行われており、社外から開発品目を導入する動きも活発化しております。 一方、新薬開発については、対象患者が多く将来安定した多額の収益が得られる、いわゆるブロックバスター医薬品から、特定の患者群に効果的な治療が行える医薬品の開発に移行しており、経営資源が特定分野に集中し短期に意思決定が行われる創薬ベンチャーが、その中心的役割を担うと言われております。これに対応すべく、政府は、厚生労働省や経済産業省の中央省庁を中心に、日本発の創薬を積極的に支援するため、特に、創薬ベンチャー支援の取り組みとして、医療系ベンチャー・トータルサポート事業(MEDISO)の開始や「伊藤レポート2.0バイオメディカル産業版」が作成されております。日本国内での創薬を促進するため、医薬品の条件付き早期承認制度や先駆的医薬品指定制度も法制化されました。 このような事業環境下、当社は、組換えヒトHGFタンパク質(開発コード:KP-100)の研究開発によって創薬イノベーションを起こすことが事業機会の創出・獲得につながると考え、組換えヒトHGFタンパク質プロジェクトに経営資源を集中して、以下の各事業活動を展開しました。 1.医薬開発活動について (ア)脊髄損傷(SCI)急性期 慶應義塾大学整形外科中村雅也教授を治験調整医師とする治験実施体制のもとで、脊髄損傷急性期患者を対象として第Ⅰ/Ⅱ相試験を実施し、安全性を確認するとともに有効性を示唆する結果を得ました。第Ⅰ/Ⅱ相試験で得られたPOC(プルーフ・オブ・コンセプト:研究開発中である新薬候補物質の有用性・効果が、ヒトに投与することによって認められること)を検証する目的で第Ⅲ相試験の計画を策定し、2020年6月9日付で医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)に治験計画届書を提出しました。 2020年7月より第Ⅲ相試験を総合せき損センター、北海道せき損センター及び村山医療センターの3施設で開始しました。2021年3月より神戸赤十字病院及び愛仁会リハビリテーション病院を加えた合計5施設を治験実施医療機関としており、2023年4月に患者組入れを終了し、2023年10月に最終症例の最終観察日が終了しました。2024年2月に第Ⅲ相試験の速報結果を得ており、国内での医薬品製造販売の承認申請に向けて本試験の結果をもとに、PMDAと協議を進めてまいりました。これまでの協議で得られましたPMDAの知見を踏まえ、当社は2025年7月に本剤の有効性を検証する臨床試験を追加実施することを決定しました。当社は、これまで実施した第Ⅰ/Ⅱ相試験及び第Ⅲ相試験から得られた知見を基に成功確度の高い臨床試験を立案し、有効性の追加データを取得した上で、承認申請を行う予定です。なお、当社は2025年8月に新株予約権を発行しており、当該追加臨床試験を行うための治験費用に一部充当することが決定しております。 一方、米国での臨床開発の準備として、2023年9月に米国食品医薬品局(FDA)との事前相談を開始し、2023年11月にFDAよりpre-INDミーティングにかかる回答を受領しました。その後、北米のKOL(キー・オピニオン・リーダー)との連携体制を構築し、IND申請*に向けた準備を進めております。なお、2025年6月にはFDAより、希少疾病用医薬品指定(Orphan Drug Designation)を取得しました。 *米国食品医薬品局(FDA)に対する新薬治験開始申請 脊髄損傷急性期治療薬としての製造販売承認取得に向けて、組換えヒトHGFタンパク質の製造プロセスに関する各種試験も進めております。原薬製造につきましては、承認申請に必要とされる実製造と同様のプロセスで行う試験製造(プロセスバリデーション)を2022年9月期に終了しました。製剤製造のプロセスバリデーションも2023年9月期に終了しました。2024年11月には、製造販売承認申請に必要となる「第一種医薬品製造販売業」の業許可を大阪府に申請し、2025年1月7日付で許可を受けておりましたが、一旦返納することにいたしました。今後も引き続き、脊髄損傷急性期の開発を推進し、製造販売承認申請の目途が立ち次第、 改めて大阪府に当該業許可の申請を行います。 また、脊髄損傷を対象に、組換えヒトHGFタンパク質製剤のより効果的な投与方法や投与のタイミングを検討するために、2021年2月より慶應義塾大学医学部と共同研究を開始しております。本共同研究において、慢性期完全脊髄損傷モデル動物に対して、慶應義塾大学が保有するiPS細胞由来神経幹/前駆細胞と当社が開発するHGF及びスキャフォールド(足場基材)を併用することにより運動機能の回復が得られることを見出し、2022年3月に同大学と当社は共同で特許出願を行い、2023年3月には当該特許出願に基づく優先権主張出願を行っております。さらに、重度の脊髄損傷モデル動物に対して、急性期にHGFを投与することに加え、亜急性期にiPS細胞由来神経幹/前駆細胞を移植したところ、各単独投与群に比べ顕著な運動機能の回復がみられたことから、2022年9月に本共同研究に基づく2件目の特許共同出願を行い、2023年9月には当該特許出願に基づく優先権主張出願を行いました。HGF及びiPS細胞由来神経幹/前駆細胞の単独治療は既にヒトでの臨床段階に進んでいることから、両者の併用治療は、急性期及び亜急性期の脊髄損傷に対する次世代複合治療法として早期の実用化が期待されます。 2021年12月には、「神経疾患の治療に適したHGF製剤」の特許が欧州で登録されました。本製剤は脊髄損傷急性期のみならず、筋萎縮性側索硬化症及び声帯瘢痕に対する臨床試験においても治験薬として使用されており、HGF製剤の適応拡大の基盤となるものです。既に権利化されている日本、米国、カナダ、韓国に、欧州が加わることで、HGF医薬品のグローバルでの事業展開に有利な知財環境が構築できました。 (イ)声帯瘢痕(VFS) 声帯粘膜が硬く変性(線維化)する疾患であるVFSを対象とした医師主導による第Ⅰ/Ⅱ相試験によって、KP-100製剤の声帯内投与の安全性が確認され、声帯の機能回復を示す症例も確認されました(J Tissue Eng Regen Med. 2018. 12:1031-1038.)。その後、2019年7月に実施したPMDAとの事前面談を踏まえ、次相試験について京都府立医科大学と協議を重ね、2022年10月に第Ⅲ相試験(プラセボ対照二重盲検比較試験)の治験計画届書をPMDAに提出し受理されました。その後、京都府立医科大学附属病院において治験を開始し、2023年1月には第1例目の被験者が症例登録されました。2023年5月には、久留米大学医学部附属病院、東北大学病院、川崎医科大学附属病院、日本大学病院を治験実施医療機関として加え、2024年5月には、山王メディカルセンターを追加し、2025年1月には、更に藤田医科大学病院、福岡山王病院を追加し、現在合計8施設で症例登録を推進しております。 なお、治験の実施費用並びに治験薬の製造及び市販製剤の開発費用の調達を目的として、2021年11月に新株予約権の発行を行っており、2022年7月には全ての行使が完了しました。さらに、本プロジェクトは国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による「医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)」課題として採択され、2022年4月より公的資金の活用も進めております。また、声帯瘢痕を対象とする市販用製剤開発費用の一部を調達することを目的に、2025年8月に新株予約権の発行を行っております。 (ウ)筋萎縮性側索硬化症(ALS) 2016年5月より東北大学神経内科青木正志教授による医師主導治験として、東北大学病院及び大阪大学医学部附属病院において第Ⅱ相試験(プラセボ対照二重盲検比較試験)が実施されました。2020年11月には患者組入れを終了し、2021年12月に最終症例の最終観察日が終了しております。その後、東北大学においてデータ解析が進められた結果、主要及び副次評価項目に関して実薬群とプラセボ群の間で統計的な有意差は認められませんでした。一方、実薬群において進行が遅い症例もあり、本試験結果の解釈には、さらに詳細な解析が必要となります。なお、安全性に関しては、実薬群とプラセボ群で有害事象の発現率は同程度であり、忍容性が確認されました。2024年4月には、東北大学と、本第Ⅱ相臨床試験の追加解析として、検体試料のバイオマーカー解析に関する共同研究契約を締結しました。本共同研究によって、効果の検出しやすい患者集団の特定など、次相試験のデザイン策定に重要な情報が得られることが期待されます。 (エ)クラリス・バイオセラピューティクス社への原薬供給 当社は、2020年4月に米国のクラリス・バイオセラピューティクス社とLicense and Supply Agreementを締結し、同社が米国において眼科疾患を対象に臨床開発を進めるためのHGF原薬の供給を行っております。 当事業年度においては、同社に対するHGF原薬の供給はありませんでした。当社が提供した各種情報をもとに、同社は神経栄養性角膜炎を対象とする第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始するためのIND申請を2021年5月に実施しており、同年8月には1例目の投与が開始されております。当社はこれを起点として、毎年定額の技術アクセスフィー(ロイヤリティ収入)を受領し、該当期間分を売上高に計上しております。同社はカナダにおいても本試験を開始するべく、2022年7月に、Health Canada(カナダ保健省)に治験申請を行い承認されました。米国とカナダの両国における本試験は、症例組入れが完了し、現在解析が進められております。これと並行して、同社は角膜上皮幹細胞疲弊症及び角膜瘢痕を対象とする第Ⅰ相試験を実施中であります。 また、当社は2023年9月に同社と業務提携し、組換えヒトHGFタンパク質の製造法効率化に着手いたしました。今後のグローバルでの必要量増大に対応し、全世界での安定供給を目指すことを目的としております。 (オ)その他の共同研究 2022年7月には、京都大学と、HGFの再生医療への応用研究に関する共同研究契約を締結しました。バイオマテリアル技術を応用し、対象疾患に最適で効果的な次世代治療法の探索研究を行い、KP-100を他の難治性疾患に適応拡大することを目的としています。 2024年4月には、岐阜大学と、HGFの特発性大腿骨頭壊死症への応用研究に関する共同研究契約を締結しました。HGFは血管新生作用と骨再生作用を併せ持ち、既存薬のない特発性大腿骨頭壊死症の新たな治療薬になる可能性があります。 2024年6月には、金沢大学と、HGFの特発性肺線維症への応用研究に関する共同研究契約を締結しました。当社は現在、線維化疾患のひとつである声帯瘢痕を対象に国内で第Ⅲ相臨床試験を実施しており、声帯瘢痕においてHGFタンパク質の医薬品開発に成功すれば、声帯瘢痕のみならず他の線維化が原因となる慢性疾患への適応拡大の可能性につながると考えております。当社は、本共同研究の成果を活用し、線維化疾患の次のターゲットとして肺線維症への適応拡大を積極的に検討してまいります。 2024年11月には、慶應義塾大学と、脊髄損傷後の自然回復を予測する新たな急性期バイオマーカーの探索に関する共同研究契約を締結しました。当社は現在、組換えヒトHGFタンパク質製剤を脊髄損傷急性期の治療薬として製造販売承認申請に進める準備を行っております。本共同研究により見出されたバイオマーカーが脊髄損傷急性期において、治療効果判定や自然回復の程度の予測等に利用できるようになれば、より適切な治療につながるものと期待されます。 2025年6月には、神戸大学と、HGFのペロニー病(陰茎硬化症)への応用研究に関する共同研究契約を締結しました。当社は現在、線維化疾患の一つである声帯瘢痕を対象に第Ⅲ相臨床試験を進めており、線維化疾患への更なる適応拡大を目指し、ペロニー病モデル動物を用いた薬効薬理試験を行うこととなりました。ペロニー病については、線維化組織を直接治療する薬剤が求められており、抗線維化作用を持つHGFが新たな治療薬になる可能性があります。 2025年8月には、慶應義塾大学と、HGFを用いた末梢神経障害に対する新規再生治療法開発に関する共同研究契約を締結しました。HGFに関しては、末梢神経の再生を促進する多面的な作用が報告されています。また、マウス神経因性疼痛モデルに対して、HGFが神経因性疼痛を軽減する効果が示唆されています。末梢神経再生における外科的手術の課題克服に向け、HGFを用いた有効性の検証と実用化に適した投与方法を検討することで、新たな治療戦略の早期実用化を目指します。 2.事業開発活動について 当事業年度においては、脊髄損傷急性期での海外展開を見据えて、海外製薬企業等との事業提携協議を中心に、事業開発活動を行いました。2024年6月には、米国での脊髄損傷に関するシンポジウム「2nd Annual Spinal Cord Injury Investor Symposium」にて講演を行い、関係者とのネットワーキングを行いました。また、脊髄損傷急性期を対象とする米国での臨床開発及び製造開発(組換えヒトHGFタンパク質の製造法効率化)の費用の一部を調達することを目的に、2023年9月に新株予約権を発行しておりましたが、2024年5月に全ての行使が完了しました。これにより最大の医薬品市場である米国での開発戦略を明確化し、事業提携の協議を加速することを期待しております。 2021年9月には、当社パイプラインの主成分である組換えヒトHGFタンパク質(5アミノ酸欠損・糖鎖付加型、開発コード:KP-100)の国際一般名が、「Oremepermin Alfa」(オレメペルミン アルファ)に決定されました。また、2024年5月には、日本医薬品一般的名称が、「オレメペルミン アルファ(遺伝子組換え)」に決定され、今後、国内での製造販売承認申請書類等、公式な場で本名称を使用することが可能になりました。 以上の結果、当事業年度の業績は以下のとおりとなりました。 当事業年度における売上高は72,215千円(前事業年度比9.8%の減少)となり、営業損失は909,452千円(前事業年度は、817,882千円の営業損失)、経常損失は914,755千円(前事業年度は、754,961千円の経常損失)、当期純損失は916,255千円(前事業年度は、756,453千円の当期純損失)となりました。 なお、当社は医薬品開発事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 ② 財政状態の状況 (資産) 当事業年度末における流動資産は、前事業年度末に比べて700,496千円減少(前事業年度末比25.4%減)し、2,055,494千円となりました。これは主として、研究開発費の支払い等により現金及び預金が694,387千円減少したことによるものであります。固定資産は、前事業年度末に比べて22,746千円増加(前事業年度末は1,122千円)し、23,869千円となりました。これは、「Nakanoshima Qross オフィス」開設に伴う敷金の増加等により、差入保証金が22,746千円増加したことによるものであります。 この結果、資産合計は、前事業年度末に比べて677,750千円減少(前事業年度末比24.6%減)し、2,079,363千円となりました。 (負債) 当事業年度末における流動負債は、前事業年度末に比べ18,825千円減少(前事業年度末比14.7%減)し、109,347千円となりました。これは主として、未払金が16,127千円減少したことによるものであります。固定負債は、前事業年度末に比べて140,011千円増加(前事業年度末比26.9%増)し、660,760千円となりました。これは、長期未払金が8,880千円、長期預り金が131,260千円それぞれ増加したことによるものであります。 この結果、負債合計は、前事業年度末に比べて121,186千円増加(前事業年度末比18.7%増)し、770,107千円となりました。 (純資産) 当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べ798,936千円減少(前事業年度末比37.9%減)し、1,309,255千円となりました。これは主として、新株予約権行使に伴う増資により、資本金及び資本準備金がそれぞれ52,876千円増加した一方、当期純損失を916,255千円計上したことによるものであります。 この結果、資本金64,176千円、資本剰余金2,888,081千円、利益剰余金△1,672,709千円となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、991,296千円となり、前事業年度末と比較して825,647千円減少しました。 当事業年度のキャッシュ・フローの概況は以下のとおりです。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは、755,782千円の支出(前事業年度は661,166千円の支出)となりました。これは主として、棚卸資産の減少額44,172千円の資金増加はあるものの、税引前当期純損失914,755千円及び前渡金の増加額34,485千円の資金減少によるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは154,006千円の支出(前事業年度は121,363千円の支出)となりました。これは主として、定期預金の預入による支出131,260千円によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは84,141千円の収入(前事業年度は838,233千円の収入)となりました。これは主として、新株予約権の行使による株式の発行による収入83,179千円によるものであります。 ④ 生産、受注及び販売の実績 a.生産実績 該当事項はありません。 b.受注実績 当社は受注生産を行っていませんので、受注実績の記載はしておりません。 c.販売実績 当社は医薬品開発事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの情報は記載しておりません。当事業年度の販売実績は以下のとおりです。 セグメントの名称   当事業年度 (自 2024年10月1日 至 2025年9月30日)   前年度比(%) 医薬品開発事業(千円)   72,215   △9.8 合計(千円)   72,215   △9.8 (注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりです。 相手先   前事業年度 (自 2023年10月1日 至 2024年9月30日)   当事業年度 (自 2024年10月1日 至 2025年9月30日) 金額(千円)   割合(%)   金額(千円)   割合(%) クラリス・バイオセラピューティクス社   80,038   100.0   72,215   100.0 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。 ① 重要な会計方針及び見積り 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。また、財務諸表の作成に当たっては、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性のある見積りや予測を行っており、見積りの不確実性による実績との差異が生じる場合があります。 当社の財務諸表の作成に係る重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。 ② 経営成績の分析 当事業年度におきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、売上高72,215千円(前事業年度比9.8%減少)、売上原価は発生なし(前事業年度は発生なし)、販売費及び一般管理費981,667千円(前事業年度比9.3%増加)、営業外収益1,585千円(前事業年度比97.5%減少)、営業外費用6,888千円(前事業年度は発生なし)となりました。 この結果、当事業年度の営業損失は909,452千円(前事業年度は営業損失817,882千円)、経常損失は914,755千円(前事業年度は経常損失754,961千円)、当期純損失は916,255千円(前事業年度は当期純損失756,453千円)となりました。 (売上高) 当事業年度の売上高は、クラリス・バイオセラピューティクス社からのLicense and Supply Agreementに基づく技術アクセスフィー収入による売上であります。 (販売費及び一般管理費) 当事業年度の販売費及び一般管理費は、主に脊髄損傷の承認申請準備費用、米国開発に関する準備費用増加等により、研究開発費が増加しております。 (営業外収益) 当事業年度の営業外収益は、主に試薬販売収入が発生したことによるものです。 (営業外費用) 当事業年度の営業外費用は、主に新株予約権発行費が発生したことによるものです。 ③ 財政状態の分析 当事業年度におきましては、当社は、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、資産合計は、2,079,363千円となり、前事業年度末と比較して677,750千円減少し、負債合計は、770,107千円となり、前事業年度末と比較して121,186千円増加するとともに、純資産の残高は、1,309,255千円となり、前事業年度末と比較して798,936千円減少しました。 ④ キャッシュ・フローの状況の分析 当事業年度におきましては、当社は、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、営業活動によるキャッシュ・フローは755,782千円の支出、投資活動によるキャッシュ・フローは154,006千円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは84,141千円の収入となっております。 ⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について 経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。 ⑥ 資本の財源及び資金の流動性についての分析 当社は、複数のパイプラインの開発を行っておりますが、POCが確認されている脊髄損傷急性期の開発に優先的に資金を充当しております。当事業年度において、脊髄損傷パイプライン関連の研究開発費は、その製品化に必要な製造関連研究開発費を含めて、164,953千円を計上しております。また、新たに第Ⅲ相試験を開始した声帯瘢痕に188,870千円を計上しております。 当社は、事業上必要な資金については、手元資金で賄う方針としており、売上高や営業外収益による収入が現時点では限定的であるため、第三者割当増資並びに補助金等により調達を行っております。手元資金については、資金需要に迅速かつ確実に対応するため、流動性の高い銀行預金により確保しております。 今後も、売上高、営業外収益による収入及び、補助金等による収入が生じることによる一定の財源は確保できる予定ですが、研究開発費の全額を賄うことは困難であるため、主要なパイプラインである神経疾患を中心に資金配分を行い、事業の黒字化を早急に達成するよう開発を進捗させる計画であります。

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出典

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