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超!企業DB
日経平均64,325.64-1,890NYダウ53,061.95+295ドル円158.65-1NASDAQ26,217.83+118S&P 5007,666.6+35SOX 指数11,339.25+519/2終値

近鉄グループホールディングス

9041 · Prime · 陸運業

近鉄グループの中核持株会社。鉄道・バスなどの運輸に加え、不動産、国際物流、百貨店、ホテル・レジャーまで手がける関西の総合インフラグループ。

概要

近鉄グループホールディングスは、大阪・名古屋を中心に鉄道・バス・タクシーの運輸事業、不動産販売・賃貸、国際物流、百貨店・ストア、ホテル・レジャー、旅行業などを営む複合企業グループである。1910年に奈良軌道として創業後、複数の鉄道会社の合併を経て近畿日本鉄道となり、2026年3月期の連結売上高は1兆7503億円、従業員約4万5000人。グループの中核は近畿日本鉄道の鉄軌道事業で、約501キロメートルの路線網を有する。

運輸・不動産・国際物流・流通・ホテルレジャーの5セグメント

当社グループは、当社、子会社237社及び関連会社15社で構成される。報告セグメントは運輸、不動産、国際物流、流通、ホテル・レジャーの5つである。運輸セグメントには近畿日本鉄道(鉄軌道事業)、近鉄バスホールディングス、奈良交通(バス)、近鉄タクシーホールディングスなどが含まれる。不動産セグメントは近鉄不動産が中核で、販売・賃貸・管理を行う。国際物流セグメントは近鉄エクスプレスとAPL Logisticsが主力で、航空・海上貨物輸送とロジスティクスを提供する。流通セグメントには近鉄百貨店(百貨店業)と近鉄リテールホールディングス(ストア・飲食)が属する。ホテル・レジャーセグメントは近鉄・都ホテルズ、KNT-CTホールディングス(旅行)、志摩スペイン村(テーマパーク)、海遊館(水族館)など多岐にわたる。関連会社には近畿車輛(鉄道車両製造)や三重交通グループホールディングスがある。

国際物流が連結営業収益の43%を占める

2026年3月期の連結営業収益1兆7503億円の約43%を国際物流(7532億円)が占め、次いで流通(2263億円、13%)、運輸(2320億円、13%)、不動産(1738億円、10%)の順である。営業利益では運輸が380億円と最大で利益率16.4%、不動産が143億円(8.3%)、国際物流が120億円(1.6%)と続く。流通とホテル・レジャーの利益率は開示されていないが、全体の営業利益894億円に対して運輸が約4割を稼ぎ出す。国際物流は売上規模が大きい一方、仕入価格高止まりや競争激化により利益率は低く、当期は営業利益が前期比7.4%減となった。運輸は大阪・関西万博やインバウンド需要で増収増益、不動産は首都圏中心にマンション販売が好調で増益を達成した。

関西・東海の沿線を基盤に首都圏・海外へ展開

鉄軌道事業は大阪・奈良・京都・三重・愛知の6府県に501.1キロメートルの路線網を持ち、特急「ひのとり」「アーバンライナー」などで都市間輸送を担う。バス事業は近鉄バス・奈良交通・防長交通が近畿・中国地方で運行。不動産は沿線の学園前駅や河内小阪駅周辺の再開発に加え、首都圏でマンション分譲や収益物件の取得を積極化。国際物流は日台韓・米州・欧州・東南アジア・オセアニアなど全世界に拠点を持ち、2025年度はシンガポールで新倉庫建設に着手した。ホテルは京都・東京・志摩・大阪に展開し、インバウンド需要を取り込む。旅行業はKNT-CTホールディングスとクラブツーリズムが全国営業網を持ち、団体旅行から個人旅行までカバーする。

連結従業員4.5万人、持続的成長へROIC導入

グループ全体の連結従業員数は44,759人(2026年3月期)。子会社237社、関連会社15社からなる複合企業体である。2025年3月に策定した「中期経営計画2028」では、投下資本利益率(ROIC)を経営指標として導入し、資本コストを意識した経営資源配分を打ち出した。また、監査等委員会設置会社への移行を予定し、取締役会の監督機能強化を図る。経営理念は『「いつも」を支え、「いつも以上」を創ります。』で、沿線価値の深化とグローバル事業拡張を重点戦略に掲げる。当期のROIC-WACCスプレッドは金利上昇などで縮小したが、事業ポートフォリオの最適化により改善を目指す。

業界の中での役割は関西圏を基盤とする総合インフラ・サービスグループにあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

売上高
1.8兆円
営業利益
894億円
営業利益率
5.1%
純利益
538億円
2026/3 通期の連結業績。決算の内訳は最新の決算以降にあります。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2026/3期)より

事業別の売上と利益

2026/3
事業売上構成比利益利益率
国際物流7,531億円43.0%120億円1.6%
ホテル・レジャー3,672億円21.0%138億円3.8%
流通2,235億円12.8%92億円4.1%
運輸2,233億円12.8%381億円17.1%
不動産1,472億円8.4%144億円9.8%
その他354億円2.0%25億円7.1%

有価証券報告書のセグメント情報から、外部顧客への売上とセグメント利益をそのまま掲載しています。全社費用・セグメント間取引の消去は含みません。

01運輸主力

近畿日本鉄道による鉄軌道事業、近鉄バス等によるバス事業、タクシー業、鉄道施設整備を行う。関西圏の都市間・都市内輸送を担う公共交通機関。

主な製品・サービス3
鉄軌道事業
近畿日本鉄道の路線網による鉄道・軌道輸送。
バス事業
近鉄バスや奈良交通などによる路線バス・貸切バス運行。
タクシー業
近鉄タクシーなどによるハイヤー・タクシー運行。

02不動産準主力

近鉄不動産による不動産販売・賃貸、近鉄ファシリティーズによる不動産管理。駅前開発や住宅地分譲など、沿線価値向上に寄与。

主な製品・サービス3
不動産販売
分譲住宅・マンションなどの販売。
不動産賃貸
オフィス・商業施設などの賃貸。
不動産管理
ビルやマンションの管理業務。

03国際物流準主力

近鉄エクスプレスによる国際航空・海上貨物輸送(フォワーディング)とロジスティクス事業。世界ネットワークを活かし、企業の国際輸送を支援。

主な製品・サービス3
航空貨物輸送事業
航空便を利用した国際貨物の輸送・通関手配を一括代行。
海上貨物輸送事業
海上コンテナを使った国際貨物の輸送・通関手配を代行。
ロジスティクス事業
倉庫保管・在庫管理・配送など物流全体を請け負う3PLサービス。

04流通副次

近鉄百貨店による百貨店業、近鉄リテールなどによるストア・飲食事業。沿線住民や観光客に衣料品・食品・日用品を提供。

主な製品・サービス2
百貨店業
近鉄百貨店による衣料品・雑貨・食品などの小売。
ストア・飲食業
近鉄リテーリングや近商ストアによるスーパーマーケット・飲食店運営。

05ホテル・レジャー副次

ホテル運営、旅行業、映画館、水族館、観光施設を展開。沿線の観光資源を活かし、訪日客も含めた集客を図る。

主な製品・サービス5
ホテル業
都ホテルズなどによるシティホテル・リゾートホテルの運営。
旅行業
KNT-CTホールディングスやクラブツーリズム等による募集型企画旅行の販売。
映画業
きんえいによる映画館運営。
水族館業
海遊館などの水族館運営。
観光施設業
志摩スペイン村などのテーマパーク・レジャー施設運営。

製品と技術

鉄道車両の進化:ビスタ・カーから伊勢志摩ライナーまで

近鉄の鉄道車両は、沿線の観光需要と高速輸送に対応した独自の進化を遂げてきた。1958年に登場した「ビスタ・カー」は日本初の2階建て電車で、展望性を重視した設計が観光客を引き付けた。1988年の「アーバンライナー」(21000系)は、近鉄のフラッグシップ特急として最高速度120km/hを実現。1990年の「さくらライナー」(26000系)は伊勢志摩方面向けに座席を強化。1994年の「伊勢志摩ライナー」(23000系)は大型窓とハイデッキ構造で車窓を楽しめる。これらの車両はいずれも標準軌用で、大阪・名古屋・京都・奈良・伊勢志摩を結ぶ特急ネットワークを支える。また、架線電圧1500Vに対応し、編成や塗装も各時代のニーズを反映している。

駅ターミナルと商業施設の複合開発

近鉄グループは、主要駅のターミナル整備を通じて不動産・百貨店・ホテルを融合させた複合開発を推進してきた。1985年に完成した上本町ターミナルは、都ホテル大阪と商業施設を併設。1988年には阿部野橋ターミナルビルが増築完成し、近鉄百貨店阿倍野店(現あべのハルカス近鉄本店)が核店舗となった。1980年の近鉄難波ビル、1983年の近鉄堂島ビル、1989年の御堂筋グランドビルなど、大阪市中心部で賃貸オフィスビルも展開。これらの施設は鉄道駅と直結し、沿線の生活利便性向上と不動産収益の安定確保に寄与している。また、百貨店事業では旗艦店の改装や医療モール「あべのウェルビーイングテラス」など、集客力向上策を継続する。

国際物流ネットワークと観光レジャー施設

国際物流セグメントの中核である近鉄エクスプレスは、1970年設立以来、航空貨物フォワーディング事業を中心に成長。北米、欧州、東南アジア、中国など世界主要地域に拠点を持ち、APL Logisticsを含めたグローバルネットワークを構築する。一方、観光レジャー事業では、1929年開園の生駒山上遊園地、1994年開業の志摩スペイン村(パルケエスパーニャ)が主要施設。志摩スペイン村はスペインの街並みを再現したテーマパークとホテルを一体化し、伊勢志摩観光の拠点となっている。また、水族館業を営む海遊館もグループに属し、大阪港に位置する大型水族館として年間多数の来館者を集める。これらの施設は、沿線価値の向上と交流人口拡大に貢献している。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

陸運業のなかでの位置

関西私鉄最大手、沿線人口減少が課題

関西圏を地盤とする大手私鉄グループ。売上高は東武鉄道や東急に次ぐ規模で、交通・不動産・流通・レジャー等多角展開。東武鉄道が関東を基盤とするのに対し、近鉄は関西で強固なシェアを持つ。京浜急行電鉄や相鉄ホールディングスと比べ沿線人口減少リスクが大きく、内需依存度が高い。不動産開発やインバウンド需要で成長を図るが、首都圏勢に比べ人口動態で劣位。SBSホールディングスとは業態が異なる。

強み

  • 大阪・奈良・名古屋を結ぶ路線網で関西私鉄最大のシェアを有する。
  • 鉄道、不動産、百貨店、ホテル等を展開し収益源が分散。
  • 自社沿線での住宅地開発や駅ビル運営で安定的な不動産収入。
  • 京都・奈良など関西観光地へのアクセス路線を保有し恩恵大。

課題

  • 関西圏の人口減少が続き、鉄道利用者の長期的減少リスク。
  • JR西日本や他私鉄との競合で運賃・サービスの差別化困難。
  • 不動産販売収入は市況変動の影響を受けやすく不安定。

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

陸運業の時価総額近傍。太字が近鉄グループホールディングス

時価総額で並べると、掲載11社のなかで6番目にあたる。

#企業時価総額PER
19023東京地下鉄8,625億円14.6倍
29009京成電鉄6,918億円13.4倍
39064ヤマトホールディングス6,903億円46.1倍
49072ニッコンホールディングス6,654億円34.5倍
59007小田急電鉄6,615億円16.6倍
69041近鉄グループホールディングス6,568億円12.2倍
79001東武鉄道5,872億円10.5倍
89142九州旅客鉄道5,583億円12.2倍
99076セイノーホールディングス5,154億円18.9倍
109006京浜急行電鉄4,285億円15.3倍
119065山九4,266億円13.1倍

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は東証33業種の分類に従っています。

会社の歴史

沿革 45件

奈良軌道として発足し大阪電気軌道へ(1910-1914)

1910年9月、奈良軌道株式会社として資本金300万円で発足した。同年10月には大阪電気軌道株式会社に商号を変更。1914年4月、大阪と奈良間で運輸営業を開始し、鉄道事業の基盤を築いた。この間、1924年には東大阪土地建物株式会社を合併して不動産業にも進出。1929年には乗合バス事業を開始し、生駒山上遊園地を開園するなど、運輸以外の事業領域に早期から手を広げた。また、1936年に大軌百貨店(現近鉄百貨店上本町店)、1937年に大鉄百貨店(現あべのハルカス近鉄本店)を開業し、百貨店事業にも参入した。これらの多角化は、鉄道沿線の価値を高める戦略の一環であった。

参宮急行電鉄の設立と戦時統合による鉄道網拡充(1927-1944)

1927年9月、大阪電気軌道は参宮急行電鉄株式会社を設立し、伊勢志摩方面への路線延伸を図った。1941年3月、参宮急行電鉄を合併し、関西急行鉄道株式会社に商号変更。同時に関急旅行社(現KNT-CTホールディングス)を設立し、旅行業に進出した。1943年2月には大阪鉄道株式会社を合併、1944年4月には株式会社大鉄百貨店を合併して百貨店事業の一体運営を開始。同年6月、南海鉄道株式会社と合併し、近畿日本鉄道株式会社が成立した。この戦時統合により、近畿圏の主要鉄道路線が一つの会社に集約され、現在の鉄道ネットワークの骨格が形成された。

戦後混乱と旧南海線分離、大阪名古屋直通の実現(1945-1959)

1945年11月、田中車輛株式会社(現近畿車輛)に資本参加し、車両製造の基盤を固めた。1947年6月、旧南海鉄道から承継した事業を高野山電気鉄道株式会社に譲渡し、事業の整理を行った。同年10月には大阪・名古屋間で特急運転を開始。1959年9月の伊勢湾台風で名古屋線などが甚大な被害を受けたが、同年11月に名古屋線の軌間拡幅工事を完成させ、大阪・名古屋間の直通特急運転を実現した。この拡幅により、狭軌だった名古屋線が標準軌に統一され、高速・大量輸送が可能となり、首都圏と関西を結ぶ大動脈としての地位を確立した。

観光・百貨店事業の拡大と新型車両の投入(1951-1966)

1951年3月、株式会社都ホテルに資本参加し、同年4月には志摩観光ホテルを開業。観光ホテル事業に参入した。1958年7月、日本初の2階建て電車「ビスタ・カー」の運転を開始し、沿線の観光需要を喚起。1963年10月には奈良電気鉄道株式会社を合併し、奈良方面の路線網を強化。1966年11月に名古屋近鉄ビルを開業し、中部地方での拠点を整備した。百貨店事業は拡大を続け、1972年4月に株式会社近鉄百貨店を設立し、同年6月に百貨店事業を同社に譲渡。これにより、流通事業がグループの中核セグメントとして独立した。

多角化の本格化:国際物流・ホテルチェーン・不動産(1970-1989)

1970年1月、近鉄航空貨物株式会社(現近鉄エクスプレス)を設立し、国際物流事業に参入。同年3月には上本町・難波間の運輸営業を開始し、大阪市内の輸送網を拡充した。1975年3月に新・都ホテル(現都ホテル京都八条)、1979年7月に都ホテル東京(現シェラトン都ホテル東京)を開業し、ホテルチェーンを形成。1980年2月に近鉄難波ビル、1983年3月に近鉄堂島ビルを完成させ、不動産賃貸事業を強化。1985年9月には上本町ターミナル整備事業が完成し、都ホテル大阪(現シェラトン都ホテル大阪)が開業。1988年11月、阿部野橋ターミナルビル増築完成により、百貨店とターミナルを一体化した大型複合施設が誕生した。

相互直通運転の拡大と観光レジャー施設の整備(1986-1994)

1986年4月に東大阪生駒電鉄株式会社を合併し、同年10月に東大阪線(長田・生駒間)の運輸営業を開始。大阪市営地下鉄中央線との相互直通運転を実現した。1988年8月には京都市営地下鉄烏丸線との相互直通運転も開始し、都市間アクセスを向上。1990年3月に「さくらライナー」、1994年3月に「伊勢志摩ライナー」を投入し、特急サービスの高度化を図った。1994年4月には志摩スペイン村(テーマパーク「パルケエスパーニャ」とホテル志摩スペイン村)を開業。沿線の観光資源を活用したレジャー事業を本格化させ、グループ全体の収益基盤を多様化した。

年表45件を開く

1910年代

  • 1910年9月創業奈良軌道㈱として発足(資本金3百万円)
  • 1910年10月商号変更大阪電気軌道㈱に商号変更
  • 1914年4月大阪・奈良間で運輸営業開始

1920年代

  • 1924年12月M&A東大阪土地建物㈱を合併(不動産業の営業開始)
  • 1927年9月参宮急行電鉄㈱を設立
  • 1929年3月生駒山上遊園地開園
  • 1929年5月乗合バス事業の営業開始

1930年代

  • 1936年7月大軌百貨店(現 近鉄百貨店上本町店)開業
  • 1937年11月大鉄百貨店(現 あべのハルカス近鉄本店)開業

1940年代

  • 1941年3月M&A参宮急行電鉄㈱を合併、関西急行鉄道㈱に商号変更 ㈲関急旅行社(現 KNT-CTホールディングス㈱)を設立
  • 1943年2月M&A大阪鉄道㈱を合併
  • 1944年4月M&A㈱大鉄百貨店を合併
  • 1944年6月M&A南海鉄道㈱と合併し、近畿日本鉄道㈱を設立
  • 1945年11月田中車輛㈱(現 近畿車輛㈱)に資本参加
  • 1947年6月旧南海鉄道㈱から承継した事業を高野山電気鉄道㈱に譲渡
  • 1947年10月大阪・名古屋間で特急運転開始
  • 1949年5月上場大阪証券取引所に上場

1950年代

  • 1950年7月学園前住宅地開発に着手
  • 1951年3月㈱都ホテルに資本参加
  • 1951年4月志摩観光ホテル開業
  • 1958年7月2階電車ビスタ・カー運転開始
  • 1959年9月伊勢湾台風(台風15号)による被害を受け、名古屋線はじめ営業一部休止
  • 1959年11月名古屋線(伊勢中川・近鉄名古屋間)軌間拡幅工事完成
  • 1959年12月大阪・名古屋間で直通特急運転開始

1960年代

  • 1963年10月M&A奈良電気鉄道㈱を合併
  • 1966年11月名古屋近鉄ビル開業
  • 1969年2月東名高速道路浜名湖サービスエリアに浜名湖近鉄レストラン開業

1970年代

  • 1970年1月近鉄航空貨物㈱(現 ㈱近鉄エクスプレス)設立
  • 1970年3月上本町・難波間で運輸営業開始
  • 1972年4月㈱近鉄百貨店設立
  • 1972年6月百貨店事業を㈱近鉄百貨店に譲渡
  • 1975年3月新・都ホテル(現 都ホテル 京都八条)開業
  • 1979年7月都ホテル東京(現 シェラトン都ホテル東京)開業

1980年代

  • 1980年2月近鉄難波ビル完成
  • 1983年3月近鉄堂島ビル完成
  • 1985年9月上本町ターミナル整備事業完成 都ホテル大阪(現 シェラトン都ホテル大阪)開業
  • 1986年4月M&A東大阪生駒電鉄㈱を合併
  • 1986年10月東大阪線(長田・生駒間)の運輸営業開始(大阪市営地下鉄中央線と相互直通運転開始)
  • 1988年3月アーバンライナー運転開始
  • 1988年8月京都市営地下鉄烏丸線と相互直通運転開始
  • 1988年11月阿部野橋ターミナルビル増築完成(近鉄百貨店阿倍野店〈現 あべのハルカス近鉄本店〉増築完成)
  • 1989年6月御堂筋グランドビル完成

1990年代

  • 1990年3月さくらライナー運転開始
  • 1994年3月伊勢志摩ライナー運転開始
  • 1994年4月志摩スペイン村(テーマパーク「パルケエスパーニャ」、ホテル志摩スペイン村)開業

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2026/3期の経営方針より

会社は5つの方針を掲げている。そのうち5項目には、達成する数字が明記されている。

会社が掲げている数値目標
  • 営業利益2028年度まで1,000億円以上
  • 純有利子負債2028年度まで9,000億円程度
  • ROE2028年度まで8%以上の維持
  • ROIC2028年度までWACC+1%以上
  • 自己資本比率2028年度まで30%程度

有価証券報告書の原文に書かれた目標だけを載せています。達成度の評価や推計は加えていません。

  1. 01

    沿線価値の深化と活性化

    沿線の魅力深耕による交流人口拡大や地域共創を通じた定住人口の維持・拡大に取り組み、沿線主要駅周辺での再開発や駅ナカ活性化を推進する。

  2. 02

    事業ポートフォリオの最適化

    事業や資産の「選択と集中」を加速し、外部連携も活用してバランスシートの入替えを積極的に進める。特に国際物流では構造改革で利益率向上を図る。

  3. 03

    高付加価値サービスの強化

    レストラン列車導入など鉄道・ホテル・旅行で高付加価値サービスを提供し、インバウンド需要を取り込む。ホテルは世界水準のサービスクオリティを追求する。

  4. 04

    資本コストを意識した経営

    ROIC(投下資本利益率)を経営指標に導入し、資本コストを強く意識した経営を行う。ROIC-WACCスプレッドの向上を図る。

  5. 05

    コーポレートガバナンスの強化

    監査等委員会設置会社へ移行し、取締役会の監督機能強化と迅速な業務執行を実現。持続的な価値創造と成長につなげる。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 10期分

グループ全体で44,759人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は823万円で、9期前と比べて+2.3%平均年齢は44.6歳、平均勤続年数は17.7年。

単体の従業員がグループ全体の1割に満たないため、平均年収は持株会社の本社勤務者の数値です。グループ全体の水準とは異なります。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数一人当たり営業利益万円
2017年3月30,719
2018年3月30,597
2019年3月80446.219.830,506
2020年3月74345.618.230,491
2021年3月72245.718.130,343
2022年3月64044.916.626,605
2023年3月71245.416.144,079
2024年3月78045.116.244,318
2025年3月79744.816.644,678189
2026年3月82344.617.744,759200

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

多様性の開示2026年3月期・提出会社(単体)
女性管理職比率10.0%
縦線は目安の30%
男性育休取得率92.3%
縦線は目安の85%
女性の賃金(男性=100)59.4%
100なら男女で差がない状態

拠点とグループ

設備と関係会社

関係会社50(国内 48 / 海外 2、うち連結子会社 46) を有報から抽出しています。

主要な設備 (帳簿価額 上位6)
運輸8,035億円
不動産4,174億円
国際物流1,025億円
流通713億円
ホテル・レジャー346億円
その他155億円
ほか120件の開示あり
主な関係会社
  • 国内
    近畿日本鉄道㈱
    大阪市天王寺区 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 国内
    近鉄バスホールディングス㈱
    大阪市天王寺区 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 国内
    近鉄バス㈱
    大阪府東大阪市 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 国内
    奈良交通㈱
    奈良県奈良市 · 連結子会社
    議決権66.2%
  • 国内
    北日本観光自動車㈱
    石川県金沢市 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 国内
    防長交通㈱
    山口県周南市 · 連結子会社
    議決権64.6%
  • 国内
    近鉄タクシーホールディングス㈱
    大阪市天王寺区 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 国内
    近鉄タクシー㈱
    大阪市天王寺区 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 国内
    奈良近鉄タクシー㈱
    奈良県奈良市 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 国内
    三重近鉄タクシー㈱
    三重県四日市市 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 国内
    名古屋近鉄タクシー㈱
    名古屋市中村区 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 国内
    石川近鉄タクシー㈱
    石川県金沢市 · 連結子会社
    議決権100.0%
残りのグループ会社38社を開く
  • 北交大和タクシー㈱北九州市戸畑区100%
  • 近鉄技術ホールディングス㈱大阪市天王寺区100%
  • 近鉄電気エンジニアリング㈱大阪市天王寺区100%
  • 近鉄車両エンジニアリング㈱大阪府八尾市100%
  • 近鉄軌道エンジニアリング㈱大阪市天王寺区100%
  • 全日本コンサルタント㈱大阪市浪速区100%
  • ㈱アド近鉄大阪市天王寺区100%
  • 国道九四フェリー㈱大分県大分市89%
  • 近鉄レンタリース㈱大阪市天王寺区90%
  • 近鉄不動産㈱大阪市天王寺区100%
  • 近鉄ファシリティーズ㈱大阪市中央区100%
  • ミディ総合管理㈱大阪市中央区100%
  • ㈱近鉄エクスプレス東京都港区100%
  • APL Logistics Ltdシンガポール100%
  • ㈱近鉄百貨店大阪市阿倍野区69%
  • 近鉄リテールホールディングス㈱大阪市天王寺区100%
  • ㈱近鉄リテーリング大阪市天王寺区100%
  • ㈱近商ストア大阪府松原市100%
  • ㈱近鉄・都ホテルズ大阪市天王寺区100%
  • KINTETSU ENTERPRISES CO. OF AMERICA米国カリフォルニア州100%
  • KNT-CTホールディングス㈱東京都新宿区67%
  • クラブツーリズム㈱東京都江東区100%
  • 近畿日本ツーリスト㈱東京都新宿区100%
  • ㈱近畿日本ツーリストブループラネット東京都江東区100%
  • ㈱ユナイテッドツアーズ東京都千代田区100%
  • ㈱きんえい大阪市阿倍野区63%
  • ㈱海遊館大阪市港区71%
  • 近鉄レジャークリエイト㈱三重県伊勢市100%
  • ㈱賢島宝生苑三重県志摩市100%
  • ㈱志摩スペイン村三重県志摩市100%
  • ㈱サカエ大阪市城東区100%
  • 近鉄ケーブルネットワーク㈱奈良県生駒市99%
  • 近鉄情報システム㈱大阪市天王寺区100%
  • 近鉄保険サービス㈱大阪市中央区100%
  • 奈良生駒高速鉄道㈱奈良県生駒市30%
  • 三重交通グループホールディングス㈱三重県津市39%
  • 近畿車輛㈱大阪府東大阪市45%
  • 大日本土木㈱岐阜県岐阜市15%
公共調達・補助金 (gBizINFO)
  • 補助金
    国宝重要文化財文化財等保存整備事業
    文部科学省 · 2022-09-01
    77万円

出典: gBizINFO (経済産業省)

業績のいま

有価証券報告書・決算短信より

2026年3月期の売上高は1.8兆円営業利益894億円前期と比べると増収増益で、売上が+0.5%、利益が+5.9%。

売上高
+0.5%
1.8兆円
営業利益
+5.9%
894億円
純利益
+15.2%
538億円
営業利益率
5.1%
前期比 +0.3%pt

会社が出している今期の予想2027年3月期

項目会社予想前期実績
売上高1.8兆円1.8兆円
営業利益900億円894億円
純利益470億円538億円
1株あたり配当¥70¥70

会社が決算短信で公表した予想です。証券会社の予想ではありません。 短信の原本

四半期の推移

10期分

直近は2027年1Qで、売上は4,605億円、営業利益は231億円。

対象期間売上高兆円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2018年4Q1.228
2019年4Q1.2421
2020年4Q1.19−108
2021年4Q0.70−248
2022年4Q0.69−80
2023年4Q1.5623
2024年4Q1.6385
2025年4Q1.744492.6249
2026年4Q1.754722.7301
2027年1Q0.462315.0118

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。

業績の推移

有価証券報告書 14期分

2013年3月期からの14期で、売上は9,322億円から1.8兆円へ1.9倍に増えた。直近期の営業利益率は5.1%。売上は4期連続で増加。

決算期売上高兆円営業利益億円経常利益億円営業利益率%純利益億円
2013年3月0.93351200
2014年3月1.25468246
2015年3月1.23522279
2016年3月1.22611290
2017年3月1.20567262
2018年3月1.22613296
2019年3月1.24671360
2020年3月1.19472206
2021年3月0.70−420−602
2022年3月0.69307428
2023年3月1.56746916
2024年3月1.63846478
2025年3月1.748448154.8467
2026年3月1.758948465.1538

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。空欄の期は有価証券報告書からその項目の数値が取れていません(0ではありません)。

利益の構造

2026年3月期

売上高1.8兆円のうち、営業利益として残るのは894億円5.1%。営業外の損益と税金を反映した純利益は538億円、売上の3.1%にあたる。営業利益率は業種中央値7.2%を下回る水準。

売上高を100としたときの内訳
  • 売上原価など作る・仕入れるのにかかったお金81.1%1.4兆円
  • 販売費及び一般管理費売る・管理するのにかかったお金13.7%2,406億円
  • 営業利益費用を引いたあとに残った本業の利益5.1%894億円

有価証券報告書の損益計算書から、当期の金額をそのまま割り振っています。

営業利益率業種比2.1pt
5.1%
本業の利益として残る割合
純利益率業種比3.0pt
3.1%
税金まで払って最後に残る割合
ROE業種比+0.9pt
9.3%
株主のお金がどれだけ利益を生んだか
ROA
2.1%
資産全体がどれだけ利益を生んだか
ROIC
2.6%
事業に使うお金がどれだけ利益を生んだか

ROICは有利子負債の開示がないため、営業利益×0.7÷(総資産−現金)の簡易式で算出しています。

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 14期分

2026年3月期は営業CFが1,181億円、投資CFが−1,389億円で、差し引きのフリーCFは−208億円この組み合わせは成熟・還元型にあたる。本業で稼ぎ、投資に回し、それでも余る現金を借金返済や株主還元に充てている。最も健全とされる型期末の手元現金は2,001億円で、売上の1.4ヶ月分にあたる

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2013年3月788−495−248293468
2014年3月924−417−378507602
2015年3月877−462−444415572
2016年3月839−395−460444556
2017年3月848−413−474435519
2018年3月888−508−369380528
2019年3月1,023−641−389382521
2020年3月583−574−1309398
2021年3月−255−4601,079−715763
2022年3月575443−1,0291,018758
2023年3月1,340−4194489212,082
2024年3月1,505−563−7209422,417
2025年3月897−828−179692,317
2026年3月1,181−1,389−199−2082,001

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 14期分

2026年3月期の総資産は2.6兆円。このうち返さなくてよい自己資本が6,920億円で、自己資本比率は23.6%(業種中央値40.1%より薄い)

決算期総資産兆円自己資本億円負債兆円自己資本比率%
2013年3月1.932,1651.7110.3
2014年3月1.963,0461.6514.6
2015年3月1.953,3551.6116.3
2016年3月1.933,4971.5817.0
2017年3月1.913,6621.5517.7
2018年3月1.913,9421.5219.1
2019年3月1.944,1311.5219.7
2020年3月1.894,0531.4919.9
2021年3月1.963,3851.6216.4
2022年3月1.904,2181.4720.0
2023年3月2.425,0311.9218.3
2024年3月2.455,8571.8721.3
2025年3月2.516,1371.8921.7
2026年3月2.596,9201.9023.6

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2026年3月期の内訳
現金及び預金
2,149億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
2,756億円
過去の利益の積み上がり
棚卸資産
108億円
在庫として抱えている分
負債合計
1.9兆円
いつか返す必要があるお金
財務の健全性
56
/ 100
安定性自己資本比率16 / 40
収益力営業利益率10 / 30
現金創出営業CFの黒字継続30 / 30

有価証券報告書の数値から機械的に配点した参考値です。自己資本比率60%で満点、営業利益率15%で満点、直近3期の営業CFが黒字だった割合の3つを足しています。業態によって出ない要素があります。

業界内での比較

陸運業 56社との比較

同じ陸運業の企業と並べると、いちばん上に来るのはROE56社中23位あたり、逆に低いのは売上成長率56社中51位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
9.3%/中央値 8.4%
P25 6.0%P75 10.4%
営業利益率売上のうち本業の利益として残る割合
5.1%/中央値 7.2%
P25 4.9%P75 10.9%
自己資本比率下位総資産のうち返済のいらないお金の割合
23.6%/中央値 40.1%
P25 32.4%P75 54.0%
売上成長率下位前期からの売上の伸び
0.5%/中央値 4.5%
P25 2.6%P75 7.5%
配当利回り株価に対して1年で受け取る配当の割合
2.0%/中央値 2.4%
P25 1.6%P75 3.0%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月2日の終値

直近の終値は¥3,445で、1年前と比べて+16.4%過去52週の値幅のなかでは70%の位置にある。

¥3,445-1.3%1ヶ月+0.8%1年+16.4%時価総額6,568億円
過去52週の値幅
安値¥2,771高値¥3,728

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標
PER (実績)12.2倍
PER (会社予想)13.9倍
PBR1.05倍
配当利回り2.03%

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

近鉄グループHDは8月21日時点で3549円。直近1ヶ月で+3.98%と堅調に推移し、25日移動平均線(3509円)を上回る。ただし、52週高値3728円には依然として約4.8%の水準にあり、上値追いには慎重さも必要。出来高は8月12日に158万株と急増した後、直近は40万株前後に落ち着いており、買い一巡感も散見される。RSIは64.6とやや過熱気味だが、トレンド自体は維持されている。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

AIの評価

AI評価

株価水準の解釈です。売買の推奨ではありません

現在の株価水準を割安と判定しています(スコア 75/100)

PER12.51倍と業界平均の15.59倍を下回り、PBR1.08倍は平均1.07倍とほぼ同等だが、ROE9.3%と安定した収益性を維持。配当利回り1.98%は平均2.33%をやや下回るものの、配当性向43.4%と健全。売上高・利益ともに増加傾向にあり、特に2026/3期の純利益538億円と増益が見込まれる。業界平均と比較してPERが低く、バリュエーション面で割安と判断。配当利回りの低さは成長投資のためと捉えられ、総合的に割安と言える。

指標この会社業種平均
PER (実績)12.2倍15.7倍
PER (予想)13.9倍
PBR1.05倍1.07倍
ROE9.3%8.4%

業種平均は同じ東証33業種に属する銘柄の単純平均です。銘柄数が少ない業種では平均が振れます。

AI評価判定とスコアは公開データをもとにした解釈で、将来の株価を示すものではありません。算出の考え方は編集方針に記載しています。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

運輸事業は新型コロナ後の人流回復とインバウンド需要の高まりで増収基調にある一方、営業利益率は5%前後と高くなく、持続的な成長には沿線開発や不動産・ホテル事業の貢献が不可欠。強気派は、2026年3月期に過去最高売上高を更新し、沿線での再開発やホテル稼働率改善による利益伸長を期待する。弱気派は、人口減少で鉄道利用が中長期的に頭打ちになる懸念や、不動産市況の変動リスク、大型投資の回収リスクを指摘する。対立点は、運輸事業の成熟化を非運輸事業がどこまで補えるか、そしてインバウンドや沿線開発の成長が持続するか。

プラスに働く材料7
  • インバウンドで人流回復

    観光需要が戻り、沿線のホテルや商業施設に来訪客が増加中

  • 沿線開発は着実に進む

    駅前再開発や住宅分譲が収益に寄与し、安定的な不動産収入が見込める

  • グループ一体効果

    運輸と不動産が相互に顧客を呼び込み、高付加価値サービスを提供できる

  • 2026/3期は純利益538億円と前期比+71億円決算発表後影響

    売上高1兆7,503億円、営業利益894億円、純利益538億円。前期から純利益が71億円増加する計画。

  • 営業利益率5.11%へ改善、収益性向上通年影響

    営業利益率は2025/3期の4.85%から5.11%に上昇。売上高1兆7,503億円で営業利益894億円。

  • PER12.38倍と割安、PBR1.09倍継続影響

    時価総額6,673億円、純利益538億円。PER12.38倍、PBR1.09倍は同業比で割安水準。

  • 外国人保有比率14.2%、買い増し余地継続影響

    外国人所有比率14.2%と低位。日本株見直し局面ではインデックス買いが入りやすい。

マイナスに働く材料7
  • 人口減で鉄道需要縮小

    沿線の人口減少や高齢化で長期的な利用者数低下は避けられない

  • 不動産市況の変動

    金利上昇や景気後退で不動産市況が冷え込むと開発収益が悪化する

  • 投資回収リスク

    大型再開発や海外事業の投資が期待通り回収できない懸念がある

  • 2026/3期の売上高は前期比+85億円と横ばい通年影響

    売上高1兆7,503億円は前期比0.49%増にすぎず、成長鈍化で株価上昇は限定的。

  • 営業利益の増益幅は+50億円に留まる2026年Q2影響

    2025/3期844億円から2026/3期894億円へ50億円増。営業利益率5%台の低さが重荷。

  • 株価1年で22.55%上昇、目先の過熱感不定影響

    1年間で株価が22.55%上昇。短期的な利益確定売りが出やすい水準。

  • 配当利回り1.71%と低く、インカム需要弱い通年影響

    配当利回り1.71%。低金利環境でも利回り水準が低く、配当目的の買いは入りにくい。

次の決算で確かめる点
運輸事業の旅客収入
鉄道・バス利用の回復度合いを直接示す基幹指標
ホテル稼働率
インバウンド需要の実需と収益貢献度を測れる
不動産セグメント利益
運輸依存からの構造転換の進捗を確認するため
連結営業利益率
多角化が収益性改善に寄与しているかを見る

配当

株主還元

直近の年間配当は1株あたり70で、前期から+20.0%いまの株価に対する利回りは2.03%。増配か配当維持が1年続いている。

年間配当
¥70
1株あたり
配当利回り
2.03%
いまの株価に対して
配当性向
43.4%
利益のうち配当に回した割合
連続増配等
1年
増配か維持が続いた年数
決算期1株あたり配当前期比%配当性向%
2017年3月5065.6
2018年3月500.067.3
2019年3月500.056.1
2020年3月500.044.6
2022年3月25−50.033.3
2023年3月50100.095.4
2024年3月500.088.8
2025年3月500.037.6
2026年3月6020.043.4

過去の配当は株式分割にあわせて調整した金額です。配当性向は有価証券報告書に記載された各期の値で、利益のうち配当に回した割合を示します。

次の配当スケジュール
  • 権利付き最終日
  • 権利確定日
  • 支払開始日
  • 今期の会社予想年間予想¥70

株主

有価証券報告書より

2026年3月期末の株主数は延べ243,382人。区分でいちばん多いのは個人・その他54.0%。グループ会社や銀行などの安定株主が30.9%を占め、残る69.1%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2021年3月%2022年3月%2023年3月%2024年3月%2025年3月%2026年3月%
個人・その他40.443.442.041.848.354.0
金融機関32.532.330.229.430.024.9
外国法人19.816.919.520.613.814.2
事業法人6.87.07.06.76.66.0
証券会社0.50.41.31.41.30.9
自己株式0.10.10.10.10.10.1

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01日本マスタートラスト信託銀行㈱(信託口)12.40
02㈱日本カストディ銀行(信託口)3.85
03野村 絢(常任代理人 三田証券㈱)2.73
04日本生命保険(相)1.54
05JP MORGAN CHASE BANK 385781 (常任代理人 ㈱みずほ銀行)1.46
06STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 (常任代理人 ㈱みずほ銀行)1.19
07明治安田生命保険(相)0.85
08JP MORGAN CHASE BANK 385642 (常任代理人 ㈱みずほ銀行)0.84
09STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505103 (常任代理人 ㈱みずほ銀行)0.74
10三重交通㈱0.70

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 14期分

1株利益は14期で+2309%、1株純資産は14期で+2663%。直近期のROEは9.3%で、日本株の目安とされる8%を上回る。

決算期EPSBPSROE%PER配当性向%
2013年3月1211610.637.171.4
2014年3月1415010.227.161.6
2015年3月151679.330.168.4
2016年3月151739.029.954.9
2017年3月1381,7807.929.165.6
2018年3月1561,9278.426.667.3
2019年3月1892,0119.627.356.1
2020年3月1081,9835.446.244.6
2021年3月−3171,687−17.3
2022年3月2251,99112.215.633.3
2023年3月4822,33822.38.995.4
2024年3月2512,7449.917.788.8
2025年3月2462,8618.813.037.6
2026年3月2833,2179.311.443.4

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安
ROE自己資本利益率
株主のお金でどれだけ稼いだか。日本株では8%が一つの目安
PER期末実績
株価が1年分の利益の何倍か。低いほど割安とは限らず、期待の低さのこともある
配当性向利益からの還元率
利益のうち配当に回した割合。高すぎる場合は無理をしている可能性もある

経営陣

20名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は20名。2026/3期の役員報酬は総額492百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約4倍にあたる。

氏名役職年齢
都司尚代表取締役会長69
若井敬代表取締役社長67
米田昭正代表取締役副社長 海外戦略担任、総合政策本部長、台北支社担当66
小林哲也取締役相談役82
林信取締役専務執行役員 管理本部長、管理本部総務部担当65
笠松宏行取締役常務執行役員 管理本部経理部担当、監査部担当62
上田尚義取締役常務執行役員 総合政策本部副本部長62
菅浦隆弘取締役常務執行役員 管理本部人事部担当、ラグビー事業部担当59
片山登志子取締役73
長岡孝取締役72
三笠裕司取締役62
髙橋宏輔取締役65
残りの役員8名を開く
氏名役職年齢
松本昭彦監査役(常勤)65
中村哲夫監査役(常勤)65
前田雅弘監査役68
鈴木一水監査役66
井上美智子監査役61
中之坊健介取締役専務執行役員 総合政策本部副本部長、東京支社担当63
横山桂子取締役61
齊藤真紀取締役監査等委員51

役員報酬の内訳2026/3

役員の区分人数固定報酬百万円業績連動百万円株式報酬百万円合計百万円1人あたり百万円
取締役(社内)102191262036537
社外取締役867678
監査役3606020

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2026/3期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容1,254字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3【事業の内容】 当社グループは、当社、子会社237社及び関連会社15社で構成され、セグメント情報に記載された区分ごとの主要な事業内容及び関係会社は、次のとおりであります。 なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。 <子会社> (1)運輸 事業の内容   会社名 鉄軌道事業   近畿日本鉄道㈱ バス事業   近鉄バスホールディングス㈱、近鉄バス㈱、奈良交通㈱、 北日本観光自動車㈱、防長交通㈱ タクシー業   近鉄タクシーホールディングス㈱、近鉄タクシー㈱、奈良近鉄タクシー㈱、 三重近鉄タクシー㈱、名古屋近鉄タクシー㈱、石川近鉄タクシー㈱、 北交大和タクシー㈱ 鉄道施設整備業   近鉄技術ホールディングス㈱、近鉄電気エンジニアリング㈱、 近鉄車両エンジニアリング㈱、近鉄軌道エンジニアリング㈱、 全日本コンサルタント㈱ その他運輸関連事業   ㈱アド近鉄、国道九四フェリー㈱、近鉄レンタリース㈱、 近畿日本鉄道㈱ (2)不動産 事業の内容   会社名 不動産販売業 不動産賃貸業 不動産管理業   近鉄不動産㈱ 近鉄不動産㈱ 近鉄ファシリティーズ㈱、ミディ総合管理㈱ (3)国際物流 事業の内容   会社名 航空貨物輸送事業(フォワーディング事業) 海上貨物輸送事業(フォワーディング事業) ロジスティクス事業   ㈱近鉄エクスプレス、APL Logistics Ltd   ㈱近鉄エクスプレス、APL Logistics Ltd   ㈱近鉄エクスプレス、APL Logistics Ltd (4)流通 事業の内容   会社名 百貨店業   ㈱近鉄百貨店 ストア・飲食業   近鉄リテールホールディングス㈱、㈱近鉄リテーリング、㈱近商ストア (5)ホテル・レジャー 事業の内容   会社名 ホテル業   ㈱近鉄・都ホテルズ、KINTETSU ENTERPRISES CO.OF AMERICA 旅行業   KNT-CTホールディングス㈱、クラブツーリズム㈱、近畿日本ツーリスト㈱、 ㈱近畿日本ツーリストブループラネット、㈱ユナイテッドツアーズ 映画業   ㈱きんえい 水族館業   ㈱海遊館 観光施設業   近鉄レジャークリエイト㈱、㈱賢島宝生苑、㈱志摩スペイン村 (6)その他 事業の内容   会社名 その他の事業   ㈱サカエ、近鉄ケーブルネットワーク㈱、近鉄情報システム㈱、近鉄保険サービス㈱ (注)「会社名」には、主要な連結子会社を記載しております。 <関連会社> 事業の内容   会社名 鉄軌道事業   奈良生駒高速鉄道㈱ 不動産業   三重交通グループホールディングス㈱ 鉄道車両製造業   近畿車輛㈱ 建設業   大日本土木㈱ (注)「会社名」には、主要な持分法適用関連会社を記載しております。
経営方針・対処すべき課題4,131字を開く

経営陣が考える方向性と課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1)経営の基本方針 当社グループは、経営理念『「いつも」を支え、「いつも以上」を創ります。』のもと、誠実な企業活動により暮らしの安心を支え、果敢な挑戦により新たな価値を創出し、多様な人々との協働により社会に貢献することを経営の基本方針に、鉄道、不動産、国際物流、流通、ホテル・レジャーなど幅広い事業を営んでおります。 それぞれの事業において、サステナビリティを重視して社会課題の解決に努めることにより、持続的な成長を目指すとともに、多様なステークホルダーの皆さまと「共創による豊かな社会」の実現に貢献してまいります。 (2)中長期的な経営戦略及び対処すべき課題 今後の当社グループを取り巻く事業環境は、地政学リスクの高まりによる資源価格の上昇やインバウンド需要の縮減など、各種リスク要因の顕在化により、先行き不透明な状況が継続することが予想されます。また、国内人口減少・少子高齢化や人財不足、さらなる物価・金利の上昇に加え、地球温暖化の進行による事業制約等も懸念されるところです。 このような事業環境に適切に対応し、当社グループが、株主様をはじめ顧客・取引先・従業員・地域社会等のマルチステークホルダーの皆様から将来にわたり信頼され選ばれる存在となるため、昨年3月、「近鉄グループが目指す方向性」を明示した上で、10年後の「ありたい姿」を「長期ビジョン2035」としてとりまとめ、その達成に向けてバックキャスト思考で目標・施策を設定した「中期経営計画2028」を策定いたしました。 本「中期経営計画」では、沿線の価値深化・活性化と沿線外・グローバルでの事業深化・拡張に向け、伊勢志摩のブランド力強化やインバウンド需要の取込み拡大など6つの重点戦略に取り組むとともに、経営指標としてROIC(投下資本利益率)を導入し、資本コストをより強く意識した経営を行うこととしております。こうした取組により、事業成長性と財務健全性を両立させながら、「新たな基盤構築」と「着実な成長」を実践するという方針のもと、計画初年度である2025年度は、利益面において期初の目標を達成いたしました。 しかしながら、新型鉄道車両の代替新造や首都圏における賃貸資産の取得等による有利子負債の一時的な増加や想定を上回る金利上昇に伴うWACC(資本コスト)の上昇等により、株価形成要素の一つであるROIC-WACCスプレッド(投下資本に対して資本コストを上回る利益が創出できているかを測る指標)が縮小したこと等が影響して、当社株価は市場全体や鉄道業界と比較して相対的に低位で推移し、資本市場から十分に評価されませんでした。 当社の強みは、近鉄グループが営む各事業が沿線・沿線外において有機的に連携し、各事業の総和を上回るコングロマリット・プレミアムを創造できる点にあると考えております。こうした当社グループの強みを持続的に発揮していくためには、資本コストを意識した経営資源の適切な配分が不可欠であるとの認識のもと、「中期経営計画2028」のアップデートを行い、事業や資産の「選択と集中」を一層加速させ、また必要に応じて外部との連携・協業も活用することでバランスシートの入替えを積極的に進めるなど、事業ポートフォリオの最適化に取り組んでまいります。これにより、ROIC-WACCスプレッドの向上を図るとともに、経営計画に掲げた重点戦略を引き続き推進し、「稼ぐ力」をさらに強化して、株価の向上を目指します。 また、経営の重要な基盤であるコーポレート・ガバナンス体制の強化にも取り組むこととし、この一環として、第115期定時株主総会のご承認を得た上で、当社は監査等委員会設置会社へ移行する予定です。これにより、取締役会の監督機能を強化するとともに、迅速かつ機動的な業務執行を実現し、持続的な価値創造とさらなる成長につなげてまいります。 当社グループの経営理念『「いつも」を支え、「いつも以上」を創ります。』を実現するため、商品・サービス・情報・サプライチェーンの提供などにより人々の暮らし・交流を支えることで、地域社会に貢献し、共に成長する地域社会のパートナーでありたいと考えています。そして、「近鉄グループにしかできないこと」にチャレンジし続け、幅広いフィールドで躍動し、強さとしなやかさを両立した、社会に貢献し続ける企業グループ構築を目標に、企業価値・株主価値の向上に邁進してまいります。 各部門別の中長期的な重点施策は以下のとおりであります。 ① 運輸 運輸業におきましては、鉄軌道事業で、より安全・安心・快適な輸送サービスを提供していくため、新型一般車両の導入拡大、バリアフリー整備、防災対策を計画的に推進します。また、沿線の魅力深耕による交流人口の拡大や地域共創を通じた定住人口の維持・拡大を図るとともに、本年11月1日から名古屋と伊勢志摩を結ぶレストラン列車「Les Saveurs 志摩(レ・サヴール・しま)」を導入するなど、高付加価値サービスを強化し、収益の拡大を目指してまいります。一方で、深刻化する人手不足に対応するため、さらなる生産性向上や、ワンマン運転の主要線区への導入拡大に取り組み、持続可能な事業体制を強化してまいります。 ② 不動産 不動産業におきましては、アセット事業及びマンション事業において、学園前駅・河内小阪駅等の沿線主要駅周辺での再開発や首都圏等沿線外の開発プロジェクトを推進するとともに、仲介・リフォームなどのハウジング事業の強化を図り、これらを3本柱として確立してまいります。また、昨年4月に設立した不動産アセットマネジメント会社「近鉄インベストメント・パートナーズ㈱」を活用し、回転型不動産ビジネスの伸長を図ってまいります。 ③ 国際物流 国際物流業におきましては、物量拡大に依存した従来型の成長モデルから脱却し、低マージンビジネスの条件見直し等を図るとともに、各法人等の状況に応じた組織・拠点の統廃合やDXの推進による生産性向上などの構造改革を推進することで費用の削減・抑制に努め、利益率の向上に取り組んでまいります。さらに、営業利益の伸長につながる事業に対して積極的に経営資源(ヒト・モノ・カネ)を投入し、成長が見込まれるイントラアジア(アジア発着)における航空輸送及びボリュームゾーンであるアジア発北米向け市場における海上輸送の拡大、インド・中近東アフリカ市場の基盤強化を図り、収益力の強化に努めます。 ④ 流通 流通業におきましては、百貨店業で、あべのハルカス近鉄本店及び周辺施設の活性化により、引き続きあべの・天王寺エリアの魅力最大化を推進します。また、近鉄グループ連携による外商の強化や新たな収益源の開発にも挑戦するなど、「百貨店」から「百"価"店」への進化を目指してまいります。 ストア・飲食業では、お客様のニーズに合わせた売場づくりに注力するほか、駅ナカの活性化を図り、沿線の価値向上に取り組んでまいります。また、適正な人員配置やDXによる省力化など、ローコスト運営体制の確立に注力してまいります。 ⑤ ホテル・レジャー ホテル・レジャー業におきましては、ホテル業で、外資ブランドとの協業により積み重ねてきたグローバルスタンダードに準拠した運営ノウハウをもとに、世界水準のサービスクオリティを追求し、国際的にも確固たる評価の獲得を目指します。また、国内外を問わず、直営型と運営受託型の両軸で運営ホテルの拡大を図り、収益力とブランド力の向上に取り組んでまいります。 旅行業では、2027年4月を目途にKNT-CTホールディングス㈱、クラブツーリズム㈱、近畿日本ツーリスト㈱及び㈱近畿日本ツーリストブループラネットの4社の統合を計画しており、仕入から商品企画、販売まで一気通貫で対応できる事業運営基盤の共通化に取り組みます。また、訪日事業では誘客推進を加速させるために海外拠点を増設するほか、地域共創事業ではDMC事業の構築を推進するなど、成長領域での取組を進めてまいります。 (3)目標とする経営指標 [アップデート後の「中期経営計画2028」で目指す経営指標] 2025年度実績   2028年度計画 (アップデート前)   2028年度計画 (アップデート後) 収益性   営業利益   894億円   1,000億円以上   1,000億円以上 資金調達   純有利子負債   1兆758億円   1兆円未満で コントロール   9,000億円程度で コントロール 経営効率   ROE   9.3%   更なる向上   8%以上の維持 ROIC   4.2%   4.5%以上   WACC+1%以上 財務規律   自己資本比率   23.6%   25%以上   30%程度 純有利子負債/ EBITDA倍率   6.8倍   6.0倍程度   6.0倍程度 株主還元   DOE   2.6%(予定)   (中期経営計画期間中) 下限2.0%   下限2.5% 連結配当性向   21.2%(予定)   -   30%程度 外部評価   格付け   (R&I)BBB+ポジティブ (JCR) A- 安定的   -   (目標) Aフラット以上 (注)1.「(予定)」は2026年6月開催の株主総会において剰余金の配当(普通株式1株につき30円)が決議を得た場合の値 2.純有利子負債=有利子負債(借入金+社債)+リース債務(IFRS第16号による計上分を除く)-現預金 3.ROE=親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本 4.ROIC=税引後営業利益(営業利益×(1-実効税率))÷(純有利子負債+株主資本) 5.EBITDA=営業利益+減価償却費(IFRS第16号による計上分を除く)+のれん償却費 6.各指標値は2027年度から適用予定の新リース会計による影響額を除く数値
事業等のリスク11,052字を開く

会社が自認するリスクの一覧

3【事業等のリスク】 当社グループでは、企業経営におけるリスクの把握・回避と影響の軽減、再発防止、有事における対応力強化、そしてリスク管理の意識向上を目的に、2024年3月、下図のとおり、グループ横断的なリスク管理体制を再整備・強化しました。 本体制のもと、お客様・従業員の生命・健康に関わる「安全」、社会から当社グループへの「信頼」、当社グループに金銭的損失を与える「経済損失」という3つの視点から、当社及びグループ各社において具体的なリスクを抽 出・把握しました。そのうえで、把握したリスクを影響度・発生頻度の二軸で評価して近鉄グループ全体のリスクマップを作成し、対処すべき重要リスクを特定いたしました。 当社及びグループ各社において、これらのリスクへの対応計画を決定して実行しており、リスク管理の運用状況や対応計画の実施状況については、本リスク管理体制のもと、総合政策本部において、リスク管理室が中心となり、リスク管理委員会を通じてモニタリングすることで、一元的なリスク管理を行っています。なお、リスク管理活動を通じて重要リスクの変化や追加を検討した結果、「カントリーリスク」を新たに重要リスクとして追加いたしました。 特定した重要リスクを踏まえ、「第2 事業の状況」「第5 経理の状況」等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しているリスク及びリスクへの対応につきましては、以下のようなものがあります。 なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。 (1)主に「安全」に関わるリスク ① 大規模事故等の発生 万一大規模事故や大規模火災、テロ等が発生した場合、その復旧や損害賠償に巨額の費用が必要となるほか、長期間にわたる事業の中断が発生する可能性があり、業績に深刻な影響を与えるおそれがあります。 当社グループでは、公共交通機関として多数のお客様の輸送にあたる鉄軌道事業やバス事業をはじめ、その他の各事業においてもお客様の安全の確保を第一義に考えております。このため、運輸安全マネジメントの推進・徹底、従業員の教育・訓練、鉄軌道事業における運転保安設備の新設、更新、増強ほか各事業において計画的に投資を継続するなど、各種の安全対策に万全を期しております。 ② 大規模自然災害の発生 南海トラフ地震等とそれらに伴う津波や、気候変動の影響により激甚化している大規模な風水害などが発生した場合、長大橋梁・鉄道トンネル・線路等鉄道施設の毀損、特急座席予約システムの停止・損壊などのほか、ホテルや百貨店、賃貸施設、レジャー施設等についても大きな被害が生じるおそれがあり、当社グループにおいて大規模な損害及び復旧費用が発生する可能性があります。また、当社グループの経営資源が大阪府、奈良県、三重県をはじめ、近鉄沿線に集中していることから、特に南海トラフ地震が発生した際は、グループ全体の業績に深刻な影響を与えるおそれがあります。 このため、鉄軌道事業における駅や高架橋、シールドトンネルの耐震補強、橋梁洗堀対策、電気設備等の浸水対策等の計画的な実施、各事業における耐震補強など防災対策工事の推進、従業員の教育、大規模地震の発生を想定した異例事態対応訓練の実施によるグループ各社との連携強化、事業継続計画の定期的な見直し等、大規模な災害・事故等の発生に備えた危機管理体制の整備を一層推し進めております。 ③ 労務管理の不足 運輸業をはじめ労働集約型の事業を幅広く展開している当社グループにおいては、自責・他責によらない事故の発生、就業環境等に起因するメンタル面の不調等、心身両面での健康被害や死傷者の発生等の労働災害が生じる可能性があります。また、働き方改革など労働環境改善のための法改定への対応が遅れた場合、従業員が心身両面での健康被害を受けるおそれに加え、ステークホルダーからの信用低下や業績悪化を招く可能性があります。 当社グループでは、労働安全衛生の向上を図るため、安全管理意識の徹底や設備面の充実によるバックアップ等を進めております。また、働きやすい職場環境の整備、従業員との対話や各種支援制度の充実、「近鉄グループ健康経営宣言」に基づく健康経営の積極的な推進などを通じて、従業員のエンゲージメント向上、心身の健康増進を図っております。さらに、グループ全体で法令遵守の徹底や必要な情報の収集・共有に努めております。 ④ 感染症の拡大 新規または既存の感染症の発生・拡大に伴う経済活動の規制、顧客の事業活動の停止、移動需要や観光需要の激減が生じた場合、収支の著しい悪化、従業員の罹患による事業中断の可能性があります。また、アフターコロナ社会において、感染症がもたらした社会構造や行動様式の変化により、通勤・出張需要の減少、オンラインビジネスの拡大などが定着したように、事業形態や事業収支への影響が恒常的なものになるおそれがあります。 当社グループでは、社会・経済環境、行動様式の変化に応じた各事業の構造改革や新サービスの創出を進めるとともに、感染症が発生した場合には感染予防と拡大防止に全力で取り組んでまいります。 ⑤ 商品・サービスの品質、安全性、表示の信用棄損 主として一般消費者を顧客としている流通業及びホテル・レジャー業において、当社グループが販売する商品・提供するサービスの品質や、食品類等の表示について信用毀損が生じた場合、お客様の減少による減収や損害賠償、争訟費用等のコスト発生により業績が悪化するおそれがあります。 当社グループでは、2024年に改組した食品表示衛生管理委員会を通じて、食品表示及び食品衛生に関する法令の遵守状況の確認や品質・衛生管理・食品類等の表示のチェック、従業員に対する定期的な研修などを実施し、商品・サービスの品質、安全性の確保、適切な表示に努めております。 ⑥ カントリーリスク 国際紛争や軍事衝突等が発生した場合、現地滞在中の顧客や従業員の安全性に影響が及ぶおそれがあるとともに、サプライチェーンの寸断により、事業中断の可能性があります。また、輸出入量の変動や物流網の変化に伴う国際物流事業の収益への影響や、長期間にわたって渡航自粛が発生した場合、訪日外国人の減少により運輸業、流通業、ホテル・レジャー業の業績が悪化するおそれがあります。 当社グループでは、カントリーリスク発現時における顧客や従業員の安全確保について体制整備を充実させるとともに、迅速な情報収集と適切な対応に取り組んでまいります。 (2)主に「信頼」に関わるリスク ① 人権侵害 国内及び海外で幅広く事業を展開する当社グループは、従業員のみならずサプライチェーンなど多岐にわたる人々の支えのもと事業を営んでおります。グループ内やサプライチェーンにおいて人権侵害や各種ハラスメントが発生した場合、被害者の方の心身の健康被害につながるほか、社会的信用の低下や企業イメージの悪化、取引先企業からの取引停止、売上減少のおそれがあります。 当社グループでは、2022年11月に人権に関する国際規範に基づき制定した「近鉄グループ人権基本方針」のもと、人権リスクの特定、教育や研修を通じた予防・軽減、相談窓口等による救済・是正等、人権デュー・ディリジェンスの実施に努めており、グループ内及びサプライチェーンにおける対応を進めてまいります。 また、お客様の満足度を高めていくとともに、お客様・従業員などの全てのステークホルダーの人権が尊重される社会を実現するため、2024年12月に「近鉄グループ カスタマーハラスメントに対する基本方針」を制定しました。グループ各社の実情に応じて、相談窓口や対応手順を整備し、従業員に対する教育研修に取り組んでいます。 このほか、法令遵守や人権尊重など、当社グループとともにサプライチェーンに実践していただきたいことを掲げた「近鉄グループ サプライチェーン方針」を2025年4月に制定し、グループ各社に周知しました。事業活動に関わる全ての人々の人権を尊重し、ともに協力しながらサステナブルな社会の実現を目指してまいります。 ② 情報セキュリティの不備 当社グループは、定期乗車券の発売やカード会員の募集、ホテル業、百貨店業、旅行業等の営業を通じ、お客様の個人情報その他の機密情報を保有しております。万一これらの情報への不正なアクセス、情報の紛失、改ざん、漏洩、消失等が起こった場合、損害賠償等による費用が発生するほか、信用失墜などにより業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、想定を超えるコンピュータシステム障害、通信障害、近年巧妙化しているコンピュータウイルスやサイバーテロ等により、システムが長時間にわたり機能しなくなる等の不測の事態が発生した場合にも、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、情報の漏洩等を防ぐため、法令、「近鉄グループ情報セキュリティ基本方針」並びに各社 が制定する規程等に基づき、各社がその責任において情報セキュリティを確保し、情報を厳重に管理しているほか、デジタル人財の採用・育成強化を実施しております。さらに、「グループセキュリティ対策標準」に準拠した対策を進めることで、グループ全体でのセキュリティ対策を実施しており、不正アクセスやコンピュータウイルスに対しては、ハード・ソフトの両面からセキュリティ体制の強化に取り組んでおります。 ③ 法令違反 当社グループの役員、従業員ほか、会社関係者の各種法令違反、犯罪・不祥事、反社会勢力との取引等が発生した場合、社会的信用の失墜・企業イメージの著しい低下を招くとともに、行政・司法からの処分、ペナルティーの支払い、収支への影響、事業継続への支障のおそれがあります。 当社グループでは、近鉄グループ経営理念の一つに「わたしたちは、誠実な企業活動により、暮らしの安心を支えます。」を掲げ、法令遵守を最優先に事業を営んでおります。さらに、社員一人ひとりが遵守すべき「近鉄グループ企業行動規範」、法令や企業倫理の遵守に関する「法令倫理指針」を制定し、周知の徹底・教育の充実を図っております。また、2024年3月にCSR委員会が担っていた機能のうち法令倫理遵守に特化した「法令倫理委員会」を独立させて機能強化し、主要会社役員が委員となって、法令及び企業倫理に則った誠実な企業行動の確立に努めております。さらに、2025年3月に「税の透明性に関する方針」を、同年4月に「近鉄グループ 腐敗行為(贈収賄等)の防止に関する基本方針」をそれぞれ制定し、グループ各社に周知しました。事業活動を行う国や地域の法令等を遵守し、企業倫理に則った企業活動を推進してまいります。 ④ 新規事業特有のリスク 新たな事業機会を求めて新規事業に取り組む場合、業界やエリア特有の法令・商慣行の認識不足による法令・契約違反や、不慣れなオペレーションによる安全確保の不備、労働災害を発生させる可能性があり、それにより、お客様や取引先へのご迷惑や従業員の心身の健康阻害、また、企業イメージ・社会的信用の低下を招くおそれがあります。 当社グループでは、新規事業特有のこのようなリスクを踏まえ、マニュアル・規程類の整備や業務システムによるバックアップ、また、外部パートナーや有識者とも連携し、当該業界固有の仕組み等に関する関係者への教育や潜在的リスクに対する情報収集、対応力の強化等を図ってまいります。 (3)主に「経済損失」に関わるリスク ① 人財不足 当社グループにおいては、鉄軌道事業をはじめとする多くの事業が労働集約型であり、人財の安定的な確保が不可欠であります。しかしながら、少子高齢化により生産年齢人口の減少が続いており、また、終身雇用を前提としない働き方の浸透や、労働市場の流動化が進んでいることから、今後十分な人財が確保できない場合及び優秀な人財がグループ外に流出した場合は、事業機会の損失や競争力低下により、事業運営への支障や収支に影響を及ぼす可能性があります。また、社会インフラである交通サービスを計画通りに提供できず、皆様の生活にご迷惑をおかけするおそれがあります。 当社グループとしては、採用区分や採用エリアの拡大など多様な形態の採用活動により、引き続き適材適所の人財の確保に努めるとともに、働きがいがあり働きやすい魅力ある職場環境の整備、業務の合理化・システム化等による効率的な運営体制の構築、グループ全体で人財を有効活用する仕組みづくり等に取り組んでおります。また、2024年10月、当社グループ全体の人に関する業務を担う新会社「㈱近鉄HRパートナーズ」を設立しました。グループ各社の人事施策を支援していきながら、新たなビジネス機会の探究にも取り組んでまいります。 ② 沿線人口の減少、沿線の魅力低下 少子高齢化及び都心への人口移転により、近鉄沿線での人口、特に就労人口及び通学人口が減少しており、今後もその傾向が続くと予想されます。この状況は鉄軌道事業収入、流通業収入や不動産業収入等、各事業の需要減少を招き、収支に悪影響を及ぼすと見込まれます。また、沿線の街や観光地の賑わいが乏しくなり魅力が低下することによって、定住人口や交流人口がさらに減少するおそれがあります。 当社グループとしては、お客様・地域社会のニーズに対応した商品・サービスの拡充、競争力のあるエリアでの不動産業等の展開、テクノロジーを活用した新たなビジネスモデルや効率的な運営体制の構築などの諸施策を積極的に進めてまいります。また、グループ各社間のみならず、自治体ほか幅広い関係者との連携を強化し、まちづくり推進、産業振興等による沿線の定住人口の減少抑制・増加、沿線観光資源の活用、観光魅力の向上による交流人口の拡大を目指してまいります。 ③ 競合他社への顧客転移 近鉄線と競合する高速道路網の整備等によりモータリゼーションが一層進展しているほか、一部路線が鉄道他社と競合しております。また、沿線の観光地は、他の観光地と競合関係にあるため、観光客が減少し、鉄軌道事業のほかホテル・レジャー業の収入が影響を受ける可能性があります。さらに、大阪・奈良・三重地区等で競合する他の百貨店や異業態の新店舗開業・改装により、流通業の収入が影響を受ける可能性があります。 当社グループとしては、関係者と連携しながら、持続可能で魅力ある公共交通サービスの提供、豊富な沿線観光資源の活用やお客様・地域社会のニーズに対応した商品・サービスの拡充に努めるほか、競争力のあるエリアでの不動産業等の展開、テクノロジーを活用した新たなビジネスモデルや効率的な運営体制の構築などの諸施策を積極的に進め、グループ各社の連携によりグループ事業全体の基盤強化を図ってまいります。 ④ 事業領域等の偏り 当社グループは、近畿・東海を主たる事業エリアとする鉄軌道事業など人の移動を前提とするBtoC事業に事業領域が偏っていました。その結果、新型コロナウイルス感染症の拡大により、人流が激減したことが損益の大幅な悪化をもたらしました。グループの事業が特定の事業領域及び事業エリアに偏っていることは、外部環境の急激な変化に柔軟に対応しきれず、事業収支の大幅な悪化を招く可能性があります。 これに対して、2021年に工業用製品を製造する㈱サカエをグループに加え、2022年には物流業界で世界的にフォワーディング事業を展開する㈱近鉄エクスプレスを完全子会社化して、国際物流業をグループの中核事業とするなど、M&Aなどを活用してバランスある事業ポートフォリオを構築するとともに、海外へも事業エリアを拡大しております。この流れを継続深化するとともに、グループ間連携の強化によってグループ全体の企業価値向上を図ってまいります。 ⑤ 気候変動 気候変動の物理的リスクのうち、急性リスクとして、大型台風、豪雨に伴う風水害や土砂災害により列車が運行不能になるおそれがあります。また、旅行やホテルのキャンセルや、買物・レジャーの出控えが発生します。慢性リスクとしては、猛暑等により空調などの電力使用量やエネルギーコストが増加するおそれがあります。また移行リスクとして、法律等の規制強化や、旅行や日常生活における消費者行動の変化により、大規模な設備投資や事業構造の見直しを迫られるおそれがあります。鉄道事業においては、「炭素税等の導入」「エネルギーコストの増加」「災害激甚化」リスクの影響が特に大きいと見込んでおります。 当社グループとしては、TCFDの枠組みに沿って気候関連の影響に関するシナリオ分析を行い、戦略検討やリスク管理、統合報告書等での情報開示を進めております。激甚化する災害に備え鉄道の防災・安全対策を推進するとともに、2023年11月に、2050年カーボンニュートラルを目指す「近鉄グループ環境目標」における2030年度のCO2排出量削減目標を引き上げ、各事業で省エネルギー、省資源等の取組を一層推進し、気候変動への対応に努めております。 ⑥ デジタル社会の進展 ITの進化により在宅勤務やオンライン会議の環境が整備されてきた中、コロナ禍を経てこれらが急速に普及し、公共交通機関を利用した通勤や遠距離の出張が減少しております。今後この動きやデジタル化の進展による新たな技術革新、生産性向上等がさらに進んだ場合は、人流に依拠する鉄道・バスなどの運輸収入やオフィスビルなどの不動産賃貸収入が減少したり、生産性が低下したりするおそれがあります。 当社グループとしては、交流人口を拡大するため、乗ること自体を目的とした鉄道車両の開発、伊勢志摩や奈良など沿線観光地の一層の魅力向上等により観光旅客の増加を図るとともに、競争力のあるエリアでの不動産事業の展開に加え、施設のリニューアル等により資産価値の維持・向上を図ってまいります。また、デジタル戦略部が中心となり、グループ全体のビジョンの策定、グループ共通顧客基盤の整備ほかDX施策の推進、DX人財の確保と育成等に努めております。 これらの取組により、近鉄沿線の交流人口の増加、新しい生活様式に適応したサービスの提供やデジタル技術を活用した新サービス創出、生産性向上等による業績の向上に努めてまいります。 ⑦ 景気、個人消費動向、国際情勢等の変動 運輸業、不動産業、流通業及びホテル・レジャー業は、いずれも主に一般消費者を顧客としており、景気、個人消費動向等の経済情勢のほか、冷夏、暖冬などの異常気象や天候不順等の影響により、業績が悪化するおそれがあります。また、これらの事業は、天災・悪天候や通商問題、テロ攻撃・戦争等による国際情勢の悪化により訪日外国人が減少し、業績が悪化するおそれがあります。 また、国際物流業は、国内外の経済・景気動向、顧客企業の輸送需要、政治的又は社会的な要因の地政学リスク、それに伴うテロ攻撃や地域紛争、天災・悪天候、パンデミックなど様々な要因により、業績が悪化するおそれがあります。 当社グループとしては、構造改革の実施による損益分岐点の引き下げを図るとともに、BtoB事業の育成・強化による事業ポートフォリオのリスク耐性強化等を通じて、事業環境の変化、顧客の動向・ニーズに迅速かつ柔軟に対処して、業績の向上に努めてまいります。 ⑧ 原油・電気料金・資材価格等の高騰、資材サプライチェーンの混乱 原油等の資源価格・電気料金・資材価格等の上昇は、当社グループの鉄軌道事業のほか、各事業に大きな影響を与えます。また、資材サプライチェーンの混乱が発生した場合、不動産事業のマンション建設計画や、鉄軌道事業の設備投資計画などの投資額上昇や遅延、休止等の影響が想定されます。 当社グループとしては、各事業において原価の抑制に努めているほか、各社及びグループ共同で資源の供給会社に対する価格交渉を随時行っております。また、新型車両導入や設備更新等による省エネの推進、資源価格に左右されない再生可能エネルギーの調達拡大の検討を進めております。 ⑨ 貨物運賃・運送原価の高騰 国際物流業の航空貨物輸送においては、チャーター便を利用した輸送スペースを確保する際には、チャーター契約が固定的な仕入となることから、輸送需要が想定以上に低迷した場合は販売価格の下落により業績に影響を与える可能性があります。 これに対し、従前より取り組む機材スペースの部分的な確保や市場価格での買付けの比重を高めるなど、業績への影響を最小限に抑えるべく対処してまいります。また、安定的な供給スペースとサービスの提供による物量の拡大と継続的な成長を図るために、航空会社との関係を強化するとともに集中購買も進め、事業環境の変化に迅速かつ柔軟に対処してまいります。 他方、物流に関わる人財不足も顕在化しており、今後の情勢によっては、運送、荷役原価も大きく変動する可能性があります。仕入原価が想定以上に上昇し、一方顧客から適正料金の収受が困難となった場合は、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 これらの可能性に対し、航空会社、船会社、トラック会社などの実運送事業者との協力関係の強化や集中購買の強化を図るとともに、顧客からの環境変化に応じた適正料金収受に努める等、事業環境の変化に迅速かつ柔軟に対処し、業績への影響を最小限にすべく努めております。 ⑩ 法令による規制等 鉄道事業法(1986年法律第92号)の定めにより旅客運賃の設定・変更は国土交通大臣の認可を受けなければならず、鉄軌道事業における運賃の設定・変更を制限される可能性があります。 当社グループの事業活動においては各種法令の規制を受けており、法令改正の内容によっては、業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、国内外の法令に関する情報を収集することで、当社グループの業績への影響を最小限とするよう努めております。 ⑪ 大規模投資・新規投資の失敗、保有資産の価値棄損 駅周辺再開発や観光振興に向けた沿線及び沿線外での大規模投資、成長に向けた新規事業への投資等を決定・着手した後の投資額の大幅な増額や、社会情勢の変化等によって完成後に期待した収益を創出できなかった場合、また、不動産市況の低迷や地価の下落に伴う販売用土地及びマンションの販売不振、不動産賃料収入の減少が生じた場合には、投資回収の遅れや固定資産及び販売土地建物についての評価損失の計上などにより、業績が悪化するおそれがあります。 当社グループとしては、経済動向や投資効果等を慎重に見極めて判断を行うとともに、地価変動の影響を極力避けるための保有資産の入替え、競争力のあるエリアでの事業展開、付加価値の高い案件への投資や新規物件の開発促進、低利用地の更なる有効利用等によって業績向上に努めております。 ⑫ 為替レートの変動 国際物流業や旅行業は、グローバルに事業を展開しているため、各地域における通貨の変動が業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 これに対し、当社グループでは、外貨建債権・債務及び外貨建予定取引に係る為替の変動リスクを回避する目的で、為替予約取引や通貨スワップ取引等を利用しております。取引の運用にあたっては、社内管理規程等に則って執行と管理が行われており、投機目的及びレバレッジ効果の高い取引は行わない方針としております。また、海外での事業拡大に向けた投資に際しては、グループの海外法人が有する外貨資金の活用も資金調達の一つとして為替リスクの軽減及び財務の効率的運用を図ってまいります。 ⑬ 調達金利の変動 景気の急激な変動や金融市場の混乱等により、今後市場金利が上昇又は乱高下した場合や、信用格付業者による格付が引き下げられた場合には、調達金利が上昇し、支払利息が増加することで業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、2025年度末の連結有利子負債残高は1兆2,655億39百万円、2025年度の連結営業外費用における支払利息は145億93百万円であります。 当社グループでは、バランスシートの質的向上と各事業のキャッシュ・フロー創出により、有利子負債の圧縮を加速させ、財務リスクの低減を優先課題として取り組んでまいります。また、財務規律を強化し、自己資本比率、純有利子負債/EBITDA倍率などの指標向上、キャッシュ・フロー創出力の向上により、信用格付業者による格付の引き上げにも努めてまいります。 (注)1.純有利子負債=有利子負債(借入金+社債)+リース債務(IFRS第16号による計上分を除く)-現預金 2.EBITDA=営業利益+減価償却費(IFRS第16号による計上分を除く)+のれん償却費 ⑭ 株式相場の変動 株式相場の変動により、時価のある投資有価証券の価格が下落し、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、年金資産(退職給付信託を含む。)の一部は上場株式で運用しており、株価の下落は退職給付費用の増加や掛金拠出の増加につながるおそれがあります。 当社グループでは、上場株式の売却を進めるとともに、定期的に投資有価証券の市場価格を把握し、リスクを抑制しております。年金資産の運用については、外部の専門家によるアドバイスを参考にしつつ、定期的に運用状況の確認と見直しを行っております。 ⑮ 企業買収等 当社グループ各社は、今後の成長に向けた競争力強化や収益性の向上及び事業ポートフォリオの最適化のため企業買収等を行っており、また、将来行うことがあります。 当社グループとしては、個々の案件の規模等に応じて、取締役会及び各社における各種の会議体での審議並びに投資先に対するデュー・ディリジェンスを十分に実施することにより、企業買収等の検討を進めるとともに、買収先の資産効率の向上及び利益の最大化に努めてまいります。 なお、買収先企業の業績が買収時の想定を下回る場合、又は事業環境の変化や競合状況等により期待する成果が得られないと判断された場合には、企業買収等を行ったグループ各社においてのれんを含む固定資産の減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 2015年5月には、持分法適用関連会社であった㈱近鉄エクスプレスがグローバルにロジスティクス事業を展開するAPL Logistics Ltdの買収を行ったほか、2022年7月には、当社が㈱近鉄エクスプレスの発行済株式を対象とする公開買付けにより、同社を連結子会社化しております。 2026年3月末時点において、当社の連結財務諸表で上記の買収に関連する固定資産2,594億41百万円(顧客関連資産400億94百万円、商標権322億72百万円及びのれん494億40百万円を含む。)が計上されております。
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業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度(以下、4において「当期」という。)における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、4において「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況 当期の世界経済は、米国の通商政策の影響に加え、中東等における地政学リスクのさらなる高まりなどもあり、予断を許さない情勢が続きました。わが国経済についても、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加などにより緩やかな回復基調にあったものの、物価上昇や急速な金利上昇のほか、中国政府による日本への渡航自粛要請の影響等もあり、先行き不透明な状況で推移しました。 このような情勢のもと、当社グループでは、大阪・関西万博等による旅客・消費需要やインバウンド需要の取込みに努めるなど、各事業で収益向上に取り組みました。これによって、運輸業、流通業などで業績が概ね順調に進捗した結果、国際物流業での市場競争の激化や、期の終盤にかけての中東情勢悪化などの下押し要因はあったものの、連結営業収益は前期に比較して0.5%増の1兆7,503億7百万円、営業利益は6.0%増の894億36百万円、経常利益は3.7%増の845億77百万円となり、法人税等を控除した後の親会社株主に帰属する当期純利益は15.1%増の537億71百万円となりました。 各報告セグメントの経営成績は、次のとおりであります。 a.運 輸 運輸業におきましては、鉄軌道事業で大阪・関西万博開催に伴うお客様の増加や、前年2月に実施したダイヤ変更による名阪特急「ひのとり」の増発効果が寄与したことに加え、インバウンド需要や伊勢志摩方面への観光需要も堅調に推移しました。 安全面の取組としては、鶴橋駅及び近鉄名古屋駅で、ホームドアの供用を開始しました。また、激甚化・頻発化する自然災害への対策については、安全で安定的な輸送の確保を目指し、線路の法面補強、橋梁・トンネルの耐震補強、電気設備の雷害対策などを継続して実施しております。 当期の営業収益は前期に比較して3.9%増の2,320億21百万円、営業利益は9.8%増の380億64百万円となりました。 業 種   単 位   当 期 (2025年4月~2026年3月)   前期比(%) 鉄軌道事業   百万円   167,190   4.2 バス事業   百万円   36,760   5.8 タクシー業   百万円   10,553   5.1 鉄道施設整備業   百万円   24,086   △7.0 その他運輸関連事業   百万円   13,286   2.6 調整   百万円   △19,857   - 営業収益計   百万円   232,021   3.9 (近畿日本鉄道㈱ 運輸成績表) 区 分   単 位   当 期 (2025年4月~2026年3月)   前期比(%) 営業日数   日   365   - 営業キロ程   キロ   501.1   - 客車走行キロ   千キロ   278,922   2.2 旅客人員   定期   千人   321,135   0.9 定期外   千人   216,558   4.2 計   千人   537,693   2.2 旅客運輸収入   旅客収入   定期   百万円   50,347   0.6 定期外   百万円   109,636   5.9 計   百万円   159,984   4.2 荷物収入   百万円   6   △18.2 合計   百万円   159,990   4.2 運輸雑収   百万円   7,200   3.2 営業収益計   百万円   167,190   4.2 乗車効率   %   28.6   0.7 (注)乗車効率の算出は、延人キロ/(車両走行キロ×平均定員)によります。 b.不動産 不動産業におきましては、不動産販売業で、首都圏を中心にマンション分譲が好調に推移したほか、中古住宅等の買取再販ビジネスが伸長したことで増収となり、不動産賃貸業でも、首都圏における収益物件の取得等により、増収となりました。 また、2027年春に開業予定の「近鉄シニアレジデンス学研奈良登美ヶ丘(仮称)」の建設を進めるなど、今後の収益拡大に向けた取組を推進しました。 当期の営業収益は前期に比較して5.1%増の1,738億21百万円、営業利益は3.6%増の143億68百万円となりました。 業 種   単 位   当 期 (2025年4月~2026年3月)   前期比(%) 不動産販売業   百万円   87,170   4.9 不動産賃貸業   百万円   44,784   11.8 不動産管理業   百万円   46,280   △0.1 調整   百万円   △4,413   - 営業収益計   百万円   173,821   5.1 c.国際物流 国際物流業におきましては、半導体関連や電子部品の荷動きは堅調に推移したものの、前年4月のシステム障害の影響や欧州市場の低迷、荷主の在庫積増しによる緊急出荷需要の落ち込みにより、全体的な取扱物量は微増にとどまり、減収となりました。また、仕入価格が高止まりする一方で、競合他社との競争激化や販売価格への転嫁の遅れもあり、利益面においても厳しい状況が続きました。 一方、東南アジアでの販売拡大に向けてシンガポールで新たな倉庫建設に着手するなど、今後の成長戦略に基づく施策を推進しました。 当期の営業収益は前期に比較して5.5%減の7,532億円、営業利益は7.4%減の120億12百万円となりました。 区 分   単 位   当 期 (2025年4月~2026年3月)   前期比(%) 日台韓   百万円   210,372   △3.1 米州   百万円   98,542   3.0 欧州・中近東・アフリカ   百万円   53,108   △0.3 東アジア   百万円   103,030   △7.1 東南アジア・オセアニア   百万円   101,427   △8.0 APLL   百万円   207,974   △9.5 その他   百万円   7,271   8.3 調整   百万円   △28,527   - 営業収益計   百万円   753,200   △5.5 d.流 通 流通業におきましては、百貨店業で、大阪・関西万博のオフィシャルストアが好調に推移しました。また、「旗艦店あべのハルカス近鉄本店『リモデル』」の一環として菓子売場などを改装するとともに、隣接する商業施設「Hoop」の改装や医療モール「あべのウェルビーイングテラス」の開業等により、あべの・天王寺エリアの魅力最大化を図りました。 ストア・飲食業では、人流の増加を駅ナカ店舗等の収益向上につなげるとともに、近商ストア高の原店のリニューアルなど、お客様のニーズに合わせた売場づくりを推進しました。 当期の営業収益は前期に比較して5.1%増の2,263億67百万円、営業利益は30.4%増の91億59百万円となりました。 業 種   単 位   当 期 (2025年4月~2026年3月)   前期比(%) 百貨店業   百万円   125,450   8.5 ストア・飲食業   百万円   101,136   1.5 調整   百万円   △220   - 営業収益計   百万円   226,367   5.1 e.ホテル・レジャー ホテル・レジャー業におきましては、ホテル業で大阪・関西万博の効果が顕著であった大阪エリアを中心に、旺盛なインバウンド需要の着実な取込みを図り、客室単価及び稼働率の上昇につなげました。また、シェラトン都ホテル東京で順次客室改装工事を進めたほか、米国テキサス州プレイノ市でホテル建設に着手するなど、今後の需要拡大を見据えた施策も実施しました。 旅行業では、大阪・関西万博関連で各地発着の宿泊・日帰りツアーを販売したほか、個人旅行では、ヨーロッパ方面のツアーやテーマ性の高い商品の造成を積極的に進め、団体旅行では、MICE案件や視察旅行などの受注拡大に努めました。さらに、インバウンド需要の取込みのため、個人旅行者向けオンラインサイトでの販売や多言語対応を強化するとともに、団体旅行で東京2025世界陸上競技選手権大会に関する商品の取扱いに注力しました。 水族館業では、開業35周年を迎えた海遊館及び開業10周年を迎えたニフレルにおいて、記念イベントの実施や記念グッズの販売を通じて来館促進を図りました。 当期の営業収益は前期に比較して7.1%増の3,693億7百万円となりましたが、志摩スペイン村の入場者数が前期開催した30周年記念コラボイベントの反動によって減少したことなどにより、営業利益は1.4%減の137億91百万円となりました。 業 種   単 位   当 期 (2025年4月~2026年3月)   前期比(%) ホテル業   百万円   47,998   4.5 旅行業   百万円   297,065   8.4 映画業   百万円   3,771   5.6 水族館業   百万円   10,592   0.7 観光施設業   百万円   10,032   △10.5 調整   百万円   △154   - 営業収益計   百万円   369,307   7.1 f.その他 その他の事業におきましては、ケーブルテレビ業で、積極的な営業活動によりサービス加入者数が増加しました。 当期の営業収益は前期に比較して5.9%増の478億5百万円、営業利益は7.7%増の25億24百万円となりました。 資産合計は、前期末に比較して862億46百万円増加し、2兆5,935億2百万円となりました。これは、現金及び預金が減少した一方で、棚卸資産や有形固定資産が増加したことによるものであります。 負債合計は、前期末に比較して80億6百万円増加し、1兆9,015億37百万円となりました。これは、社債の償還を進めた一方で、資金調達により借入金が増加したことによるものであります。 純資産合計は、前期末に比較して782億40百万円増加し、6,919億64百万円となりました。これは、利益剰余金が純利益の計上から配当を差し引き増加したほか、為替換算調整勘定の増加などによりその他の包括利益累計額が増加したことによるものであります。 ② キャッシュ・フローの状況 当期における現金及び現金同等物の期末残高は2,001億24百万円で、前期末に比較して316億23百万円減少しました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは税金等調整前当期純利益の計上に加え、棚卸資産の取得が減少したことなどにより、前期に比較して283億59百万円収入が増加し、1,180億87百万円の収入となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得が増加したことなどにより、前期に比較して561億2百万円支出が増加し、1,388億91百万円の支出となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金が増加したものの、社債の純償還額が増加したことなどにより、前期に比較して20億61百万円支出が増加し、199億35百万円の支出となりました。 ③ 生産、受注及び販売の実績 当社グループは、受注生産形態をとらない事業が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。 このため、生産、受注及び販売の状況については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各報告セグメントの経営成績に関連付けて記載しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しておりますが、この作成にあたり、当期末の資産及び負債並びに当期に係る収益及び費用の報告金額に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況等に応じた合理的な判断に基づき仮定及び見積りを行っております。これらのうち主なものは以下のとおりでありますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。 なお、会計上の見積りを行う上で、当社グループの主要な事業で用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 a.固定資産の減損 当社グループは、運輸業、不動産業、国際物流業、流通業、ホテル・レジャー業等、多くの事業を展開する特性上、多額の固定資産を保有しており、これらの固定資産の回収可能額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき見積もっております。このうち賃貸施設、百貨店店舗、ホテルやレジャー施設等につきましては、不動産市況の著しい下落や消費環境の悪化による収益性の低下等のリスクをはらんでおります。従って、当初見込んでいた収益が得られない、あるいは正味売却価額が下落したことにより、将来キャッシュ・フローが減少するなど前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施する可能性があります。 また、当社グループは、過去の企業買収時に発生したのれんを含む固定資産を保有しており、これらの将来キャッシュ・フローにつきましては、営業収入の成長率、販売費及び一般管理費の見込みを主要な仮定として用いております。将来の不確実な経済条件や市場価格の変動などによって影響を受ける可能性があり、今後、実際の結果が見積りと乖離した場合、のれんの減損を実施する可能性があります。 b.繰延税金資産の回収可能性 当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して将来の課税所得を合理的に見積もり、タックスプランニングを行った上で、税務上の繰越欠損金や将来減算一時差異のうち、将来課税所得を減算できる可能性が高いものについて繰延税金資産を認識しております。従って、今後、経営環境の変化や将来の収支予測の変更などにより将来の課税所得の見積額やタックスプランニングが変更された場合には、繰延税金資産が増額又は減額される可能性があります。 c.退職給付債務及び費用の計算 当社グループは、退職給付債務及び費用の計算について、割引率や年金資産の長期期待運用収益率等の前提条件に基づき行っており、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合には、その影響額は数理計算上の差異や過去勤務費用として累積され、将来にわたって規則的に認識されます。従って、年金資産の運用結果が長期期待運用収益率と乖離した場合のほか、割引率や長期期待運用収益率の見直しあるいは退職給付制度の変更がなされた場合には、退職給付債務及び費用に影響を与える可能性があります。 ② 当期の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 (経営成績に重要な影響を与える要因) 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 (経営成績の状況に関する分析) 経営成績に重要な影響を与える各要因を踏まえた当期の経営成績の状況に関する分析は、次のとおりであります。 a.営業収益及び営業利益 大阪・関西万博開催による旅客・消費需要に加え、万博閉幕後は伊勢志摩方面への誘客が好調に推移したほか、インバウンド需要の増加もあり、運輸業、流通業及びホテル・レジャー業で増収となったものの、国際物流業が減収により減益となり、連結全体の営業収益は前期に比較して0.5%増の1兆7,503億7百万円、営業利益は6.0%増の894億36百万円となりました。 運輸業では、鉄軌道事業で大阪・関西万博開催に伴う旅客の増加、前年2月に実施したダイヤ変更による名阪特急増発効果やインバウンド需要の増加に加え、万博閉幕後は伊勢志摩方面への旅客需要も堅調に推移したため、運輸業全体の営業収益は、前期に比較して3.9%増の2,320億21百万円、営業利益は9.8%増の380億64百万円となりました。 不動産業では、不動産販売業で首都圏を中心にマンション販売が堅調であったほか、不動産賃貸業で物件取得等による賃貸収入の増加に加え収益物件の売却もあり、不動産業全体の営業収益は、前期に比較して5.1%増の1,738億21百万円、営業利益は3.6%増の143億68百万円となりました。 国際物流業では、取扱物量が増加しましたが、市場競争の激化により販売価格が下落したため、国際物流業全体の営業収益は、前期に比較して5.5%減の7,532億円、営業利益は7.4%減の120億12百万円となりました。 流通業では、百貨店業で前期に好調であった免税売上の反動はあったものの、大阪・関西万博のオフィシャルストアが好調に推移したほか、ストア・飲食業で国内観光客やインバウンドによる人流の増加が駅ナカ店舗の売上に寄与したため、流通業全体の営業収益は、前期に比較して5.1%増の2,263億67百万円、営業利益は30.4%増の91億59百万円となりました。 ホテル・レジャー業では、ホテル業で宿泊部門及び料飲部門で堅調に推移したほか、旅行業では海外旅行の取扱いが増加したものの、観光施設業では前期にコラボイベントで好調であった志摩スペイン村の入場者数が減少したため、ホテル・レジャー業全体の営業収益は、前期に比較して7.1%増の3,693億7百万円となり、営業利益は1.4%減の137億91百万円となりました。 b.経常利益 営業外収益で受取利息及び配当金が増加する一方で、営業外費用で金利上昇に伴い支払利息が増加しましたが、前期に比較して3.7%増の845億77百万円となりました。 c.親会社株主に帰属する当期純利益 特別利益で、近鉄百貨店名古屋店閉店に伴う受取補償金等を計上する一方、特別損失で減損損失やのれん償却額を計上しましたが、繰延税金資産の計上により法人税等が減少したため、前期に比較して15.1%増の537億71百万円となりました。 (経営判断のために採用している経営指標とその達成状況及びその理由) 当社は、2025年3月に2025年度から2028年度までの4カ年を計画期間とする「近鉄グループ中期経営計画2028」を策定しました。計画初年度である2025年度は、利益面において期初の目標を達成しましたが、鉄道・一般車両の代替新造や首都圏における賃貸アセットの取得等による有利子負債の一時的な増加や、想定を上回る金利上昇に伴うWACC(資本コスト)の上昇等により、株価形成要素の一つであるROIC-WACCスプレッドが縮小したこと等が影響して、当社株価は市場全体や鉄道業界と比較して相対的に低位で推移し、資本市場から十分に評価されませんでした。こうした状況から、資本コストを意識した経営資源の適切な配分が不可欠であるとの認識のもと、2026年5月に「近鉄グループ中期経営計画2028」のアップデートを行っております。 本中期経営計画の基本方針は、『価値を創造する企業グループへの進化に向けた「新たな基盤構築」と「着実な成長」』であり、資本収益性に関する経営指標として「ROIC」を導入し、「営業利益」「純有利子負債残高」「ROE」「ROIC」「自己資本比率」「純有利子負債/EBITDA倍率」を重要な経営指標と位置付けております。アップデートにおいては、資本コストの上昇を再認識した経営指標を新たに掲げ、株主還元についても、DOEの下限を2.0%から2.5%へ引き上げ、連結配当性向も考慮するとともに、本中期経営計画の達成を踏まえたうえで、株主還元の多様化を進めます。 [アップデート後の「中期経営計画2028」で目指す経営指標] 2025年度実績   2028年度計画 (アップデート前)   2028年度計画 (アップデート後) 収益性   営業利益   894億円   1,000億円以上   1,000億円以上 資金調達   純有利子負債   1兆758億円   1兆円未満で コントロール   9,000億円程度で コントロール 経営効率   ROE   9.3%   更なる向上   8%以上の維持 ROIC   4.2%   4.5%以上   WACC+1%以上 財務規律   自己資本比率   23.6%   25%以上   30%程度 純有利子負債/ EBITDA倍率   6.8倍   6.0倍程度   6.0倍程度 株主還元   DOE   2.6%(予定)   (中期経営計画期間中) 下限2.0%   下限2.5% 連結配当性向   21.2%(予定)   -   30%程度 外部評価   格付け   (R&I)BBB+ポジティブ (JCR) A- 安定的   -   (目標) Aフラット以上 (注)1.「(予定)」は2026年6月開催の株主総会において剰余金の配当(普通株式1株につき30円)が決議を得た場合の値 2.純有利子負債=有利子負債(借入金+社債)+リース債務(IFRS第16号による計上分を除く)-現預金 3.ROE=親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本 4.ROIC=税引後営業利益(営業利益×(1-実効税率))÷(純有利子負債+株主資本) 5.EBITDA=営業利益+減価償却費(IFRS第16号による計上分を除く)+のれん償却費 6.各指標値は2027年度から適用予定の新リース会計による影響額を除く数値 ③ キャッシュ・フローの状況の分析内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当社グループでは、2028年度を最終年度とする「近鉄グループ中期経営計画2028」において、価値を創造する企業グループへの進化に向けた「新たな基盤構築」と「着実な成長」を基本方針としております。引き続き「成長」と「財務健全性」のバランスに配慮し、資本コストと資本収益性を意識した投資、回転型不動産ビジネスの導入やバランスシートのスリム化等による財務効率の高度化を図り、純有利子負債のコントロール及び資本の蓄積による自己資本の強化を推し進めてまいります。 資金需要の主なものは、各事業の運営資金、販売用不動産など資産の取得に加え、既存設備の維持更新、安全関連投資及び所有不動産の建替や改装といった設備投資に関するものであります。 これらの資金需要に対応すべく、短期資金については、各事業が生み出す営業キャッシュ・フローに加え、当座貸越やコミットメントラインなどによる金融機関からの借入れ、コマーシャル・ペーパーの発行などにより資金の流動性を確保しております。また、長期資金については、金融機関からの借入れ、シンジケート・ローンの組成、社債の発行及びリースなどの多様な選択肢の中から最適な調達手段を採用しております。さらに、市場金利とのバランスに留意しつつ返済年限の長期化を図り、原則として固定金利で調達することで金利上昇リスクに対応するとともに、年度別返済額を平準化することで将来の借り換えリスクの低減にも努めております。

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開示資料

出典

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