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日経平均64,325.64-1,890NYダウ53,053.44+287ドル円158.79-1NASDAQ26,229.57+130S&P 5007,675.19+44SOX 指数11,376.79+889/2終値

シンバイオ製薬

SymBio Pharmaceuticals Limited4582 · Growth · 医薬品

がん・血液、ウイルス感染症領域の希少疾病に特化したスペシャリティファーマ。海外で開発済みの候補品を導入し、日本で迅速に開発・上市するポストPOC戦略をとる。

概要

シンバイオ製薬は2005年3月設立の医薬品ベンチャーで、がん・血液及びウイルス感染症領域のアンメットメディカルニーズに特化する。主力製品は抗悪性腫瘍剤「トレアキシン」(一般名:ベンダムスチン塩酸塩)で、2010年に承認取得しエーザイを通じて販売開始。2020年から自社販売に移行した。現在はブリンシドホビル(BCV)のグローバル開発に注力。2025年12月期の従業員数は91名、東京証券取引所グロース市場に上場。

研究設備・生産設備を持たないラボレス・ファブレス戦略

シンバイオ製薬は一切の研究設備や生産設備を自社で保有せず、研究開発の戦略策定と実行にリソースを集中する。定型的な開発業務はCRO(受託臨床試験実施機関)に外注し、製造はライセンス供給元や信頼できる製薬企業に委託する。この固定費抑制モデルにより、変動費中心の経営を実現している。また、導入候補品は既にヒトでの有効性・安全性が確認された後期段階の化合物を主体とし、開発リスクを軽減する「ポストPOC戦略」を採用する。

収益の柱であるトレアキシンの売上減と赤字の継続

2025年12月期の売上高は13億円で、前期の25億円から半減した。これは後発品浸透と薬価改定の影響によるもので、トレアキシン点滴静注液の売上高は約13億円(前期比46.7%減)だった。研究開発費33億円を含む販管費が54億円に達し、営業損失44億円、親会社株主に帰属する当期純損失48億円を計上した。過去10年間で黒字化したのは2021年(20億円)と2022年(12億円)のみで、創薬ベンチャー特有の不安定な収益構造が続いている。

3つの治療領域を柱とするBCVの開発体制

2019年にキメリックス社から導入したブリンシドホビル(BCV)が現在の主力パイプラインである。BCVは造血幹細胞移植後のアデノウイルス感染症を対象としたグローバル第Ⅲ相臨床試験が進行中で、2026年3月に最初の患者登録を達成した。同時にサイトメガロウイルス感染症、悪性リンパ腫、進行性多巣性白質脳症(PML)など、移植後ウイルス感染症・血液がん・脳神経変性疾患の3領域で開発を進めている。欧州ではアデノウイルス感染症に対しオーファンドラッグ指定、米国ではファストトラック指定を取得している。

業界の中での役割は医薬品の開発・製造販売(研究開発型の製薬企業)。にあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

売上高
13億円
営業利益
-44億円
営業利益率
-338.5%
純利益
-48億円
2025/12 通期の連結業績。決算の内訳は最新の決算以降にあります。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2025/3期)より

01がん・血液領域主力

低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫などの希少血液がんを対象に、抗がん剤トレアキシンを提供。自社MRによる販売体制を構築し、KOLとの関係構築を通じて医療ニーズを把握。

主な製品・サービス1
トレアキシン(ベンダムスチン塩酸塩)
抗がん剤。低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫やマントル細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病などに適応。液剤と注射剤がある。

02ウイルス感染症領域準主力

造血幹細胞移植後アデノウイルス感染症など、アンメット・メディカル・ニーズの高いウイルス感染症を対象に、抗ウイルス薬ブリンシドホビル(IV BCV)を開発。グローバルライセンス契約に基づき、全世界での独占的開発・製造・販売権を有する。

主な製品・サービス1
ブリンシドホビル(BCV)
dsDNAウイルスに対する広範な抗ウイルス活性を持つ抗ウイルス薬。注射剤(IV BCV)を開発中。造血幹細胞移植後アデノウイルス感染症などを対象に臨床試験を実施。

製品と技術

抗悪性腫瘍剤「トレアキシン」-承認から15年目の主力製品

トレアキシン(開発コードSyB L-0501、一般名ベンダムスチン塩酸塩)は、再発・難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫を適応症として2010年に承認を取得した。シンバイオ製薬初の製品であり、2020年まではエーザイが販売、以降は自社販売に切り替えた。後発品の浸透により2025年12月期の売上高は13億円と前期比46.7%減となったが、依然として同社の主要な収入源である。高齢化に伴うがん患者増加を背景に、新たな適応症の開発も進められたが、現在はBCVへの経営資源シフトが優先されている。

次世代パイプライン「ブリンシドホビル(BCV)」の開発状況

BCV(一般名brincidofovir)は2019年に導入した経口・注射両用の抗ウイルス薬で、がん患者の移植後感染症など多岐にわたる適応を目指す。2025年時点で最も進んでいるのはアデノウイルス感染症で、グローバル第Ⅲ相試験が進行中。サイトメガロウイルス感染症でも第Ⅱ相試験が米国で行われ、累計19例が登録された。がん領域では悪性リンパ腫を対象とした国際共同第Ⅰb相試験が開始されたが、2025年11月に一時停止。脳神経変性疾患では米国国立衛生研究所(NIH)との共同研究で進行性多巣性白質脳症(PML)の第Ⅱ相試験を準備中。複数のオーファンドラッグ指定とファストトラック指定を取得しており、2030年に向けた成長の核と位置付けられている。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

医薬品のなかでの位置

バイオベンチャー、赤字拡大で事業継続懸念

シンバイオ製薬はオンコロジー領域に特化したバイオベンチャー。売上高は2023/12期56億円から2024/12期25億円に減少、営業利益は-156%から-338%と赤字が急拡大。開発パイプラインの進捗が鍵だが、同業のジーエヌアイグループなどと比較しても財務リスクが高い。

強み

  • がん治療薬に特化し、差別化されたパイプラインを持つ可能性がある。
  • 2023/12期には56億円の売上を計上しており、事業基盤は存在する。
  • 大手製薬企業との提携による資金調達や導出が可能かもしれない。
  • 独自の技術プラットフォームを有していると推測される。

課題

  • 営業利益率-338%と大幅赤字で、資金消耗が速い。
  • 売上高が56億→25→13億円と半減しており、継続性に疑問。
  • 追加資金調達が不可欠で、既存株主への希薄化懸念がある。

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

医薬品の時価総額近傍。太字がシンバイオ製薬

時価総額で並べると、掲載11社のなかで6番目にあたる。

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は東証33業種の分類に従っています。

会社の歴史

沿革 24件

アステラスから導出した初の抗がん剤で承認取得まで

2005年3月、東京都港区にシンバイオ製薬を設立。同年12月にはアステラス・ドイッチラント社から抗がん剤SyB L-0501(後のトレアキシン)の日本における独占的開発・販売権を取得し、臨床試験を開始した。2008年にはエーザイと日本での共同開発・販売契約を締結。2010年10月、再発・難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫を適応症として製造販売承認を取得し、同年12月にエーザイを通じた販売を開始した。設立から約5年半での承認取得は、創薬ベンチャーとして異例の速さだった。

JASDAQ上場とパイプライン拡大の試み

2011年10月、大阪証券取引所JASDAQ(グロース)に株式を上場。同年にはオンコノバ・セラピューティクス社から抗がん剤SyB L-1101(注射剤)とSyB C-1101(経口剤)の日本・韓国における権利を導入した。トレアキシンについては未治療の低悪性度非ホジキンリンパ腫や慢性リンパ性白血病など適応拡大を目指した臨床試験を開始。しかし多発性骨髄腫を対象とした第Ⅱ相試験は2013年11月に中止されるなど、パイプラインの進捗には凹凸があった。売上高は20億円前後で推移したが、研究開発費の負担から純損失が継続した。

BCV導入と自社販売体制への移行

2019年、キメリックス社からブリンシドホビル(BCV)を導入。抗ウイルス作用に加え抗腫瘍効果も期待される本剤を、グローバル展開の核と位置付けた。2020年12月にはトレアキシンの販売をエーザイから自社に切り替え、がん・血液領域に特化したMR(医療情報担当者)による直販体制を構築。2021年12月期には売上高83億円、当期純利益20億円と初の黒字を達成した。しかし2023年以降は後発品の浸透によりトレアキシンの売上が急減し、再び赤字に転落した。

グローバル第Ⅲ相試験開始と組織再編

2025年12月期、BCVの造血幹細胞移植後アデノウイルス感染症を対象とするグローバル第Ⅲ相臨床試験を米国で開始し、2026年3月に最初の患者登録を達成した。同年12月には組織を大幅に変更し、日米欧の研究開発機能を統合。エドウィン・ロックが副社長執行役員兼グローバルR&D本部長に就任し、BCV事業を牽引する体制とした。また厚生労働省からBCVに対して希少疾病用医薬品の指定を取得。2028年下半期のEUでの承認申請を目指す。一方で悪性リンパ腫を対象とした第Ⅰb相試験は一時停止し、経営資源をBCVの第Ⅲ相試験に集中させる方針を示した。

年表24件を開く

2000年代

  • 2005年3月創業東京都港区において当社設立。
  • 2005年12月アステラス・ファーマ GmbH社(現 アステラス・ドイッチラント GmbH社)と抗がん剤 SyB L-0501の日本における独占的開発権及び独占的販売権の供与を受けるライセンス契約を締結。
  • 2006年8月SyB L-0501の第Ⅰ相臨床試験(再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫の患者を対象)を開始。
  • 2007年3月アステラス・ドイッチラント GmbH社とSyB L-0501の中国、韓国、台湾及びシンガポールにおける独占的開発権及び独占的販売権の供与を受けるライセンス契約を締結。
  • 2007年9月SyB L-0501の第Ⅰ相臨床試験(再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫の患者を対象)を終了。
  • 2007年12月SyB L-0501の第Ⅱ相臨床試験(再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫の患者を対象)を開始。
  • 2008年3月イノファーマックス社とSyB L-0501の台湾における独占的開発権及び独占的販売権を供与するライセンス契約を締結。
  • 2008年8月エーザイ株式会社とSyB L-0501の日本における共同開発権及び独占的販売権を供与するライセンス契約を締結。
  • 2008年10月SyB L-0501の第Ⅰ相臨床試験(再発・難治性の中高悪性度非ホジキンリンパ腫の患者を対象)を開始。
  • 2009年3月セファロン社とSyB L-0501の中国における独占的開発権及び独占的販売権を供与するライセンス契約を締結。
  • 2009年3月SyB L-0501の第Ⅱ相臨床試験(再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫の患者を対象)を終了。
  • 2009年5月エーザイ株式会社とSyB L-0501の韓国及びシンガポールにおける独占的開発権及び独占的販売権を供与するライセンス契約を締結。
  • 2009年10月SyB L-0501を、再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫を予定適応症として、優先審査対象品目として国内製造販売承認を申請。

2010年代

  • 2010年3月SyB L-0501の第Ⅱ相臨床試験(再発・難治性の中高悪性度非ホジキンリンパ腫の患者を対象)を開始。
  • 2010年10月再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫を適応症として、抗悪性腫瘍剤「トレアキシン ® (開発コード:SyB L-0501、一般名:ベンダムスチン塩酸塩)」の国内製造販売承認を取得。
  • 2010年12月抗悪性腫瘍剤「トレアキシン ® (開発コード:SyB L-0501、一般名:ベンダムスチン塩酸塩)」を、再発・難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫を適応症として提携先のエーザイ株式会社を通じて国内販売を開始。
  • 2011年7月オンコノバ・セラピューティクス社と抗がん剤 SyB L-1101(注射剤) / C-1101(経口剤)の日本及び韓国における独占的開発権及び独占的販売権の供与を受けるライセンス契約を締結。
  • 2011年10月上場大阪証券取引所JASDAQ(グロース)(現 東京証券取引所(グロース))に株式を上場。
  • 2011年11月SyB L-0501の第Ⅱ相臨床試験(未治療(初回治療)の低悪性度非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫の患者を対象)を開始。
  • 2011年12月SyB L-0501の第Ⅱ相臨床試験(再発・難治性の多発性骨髄腫の患者を対象)を開始。
  • 2012年6月SyB L-1101の第Ⅰ相臨床試験(再発・難治性の骨髄異形成症候群(MDS)の患者を対象)を開始。
  • 2013年3月SyB C-1101の第Ⅰ相臨床試験(初回治療の骨髄異形成症候群(MDS)の患者を対象)を開始。
  • 2013年5月SyB L-0501の第Ⅱ相臨床試験(慢性リンパ性白血病の患者を対象)を開始。
  • 2013年11月SyB L-0501の第Ⅱ相臨床試験(再発・難治性の多発性骨髄腫の患者を対象)を中止。

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2025/12期の経営方針より

会社は5つの方針を掲げている。そのうち1項目には、達成する数字が明記されている。

会社が掲げている数値目標
  • 米国での最初の患者登録達成2026年3月

有価証券報告書の原文に書かれた目標だけを載せています。達成度の評価や推計は加えていません。

  1. 01

    ポストPOC戦略による開発リスク軽減

    ヒトで有効性・安全性が確認された後期段階の候補品や既に海外で上市された製品を導入し、開発リスクを軽減するとともに、海外の治験データを活用して開発期間・コストを低減する。

  2. 02

    ラボレス・ファブレス戦略で固定費抑制

    研究設備や生産設備を一切保有せず、開発戦略策定などの付加価値の高い業務に特化し、定型的な開発業務は外注することで固定費を抑制する。

  3. 03

    ブルーオーシャン戦略で高成長・高収益

    大手製薬企業が参入しにくい希少疾病領域に注力し、競合の少ない市場で新薬を上市することで高成長・高収益を実現する。

  4. 04

    パイプライン充実とライフサイクル管理

    新規候補品の導入を継続するとともに、導入した品目の適応症追加により収益最大化を図る。特にBCVでは造血幹細胞移植後ウイルス感染症、がん、脳神経変性疾患の3領域に注力する。

  5. 05

    グローバル展開の強化

    BCVのグローバル第III相臨床試験を推進し、グローバルでの研究開発体制を強化する。また、新規候補品はグローバルでの権利取得を目指す。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 10期分

グループ全体で91人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は1,376万円で、9期前と比べて+25.6%平均年齢は56.6歳、平均勤続年数は6.2年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数一人当たり営業利益万円
2016年12月77
2017年12月78
2018年12月90
2019年12月1,09649.33.6107
2020年12月1,17048.83.5127
2021年12月1,19450.13.8141
2022年12月1,20852.14.7122
2023年12月1,32754.24.8109
2024年12月1,32256.05.3108−3,611
2025年12月1,37656.66.291−4,835

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

多様性の開示2025年12月期・提出会社(単体)
女性管理職比率28.0%
縦線は目安の30%
女性の賃金(男性=100)79.0%
100なら男女で差がない状態

拠点とグループ

設備と関係会社

関係会社1(国内 0 / 海外 1) を有報から抽出しています。

主な関係会社
  • 海外
    SymBio Pharma USA,Inc.
    米国 ノースカロライナ州
    議決権100.0%

業績のいま

有価証券報告書・決算短信より

2025年12月期の売上高は13億円営業利益-44億円前期と比べると減収で、売上が-48.0%。

売上高
-48.0%
13億円
営業利益
-44億円
純利益
-48億円
営業利益率
-338.5%
前期比 -182.5%pt

会社が出している今期の予想2026年12月期

項目会社予想前期実績
売上高39億円13億円
営業利益-42億円-44億円
純利益-43億円-48億円
1株あたり配当¥0¥0

会社が決算短信で公表した予想です。証券会社の予想ではありません。 短信の原本

四半期の推移

10期分

直近は2026年2Qで、売上は5億円、営業利益は−36億円。前年の2025年2Qと比べると、売上は−16.7%。

対象期間売上高億円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2023年1Q1516.70
2023年2Q17−1−5.9−1
2023年3Q12−3−25.0−7
2023年4Q12−12
2024年1Q6−8−133.3−8
2024年2Q7−9−128.6−7
2024年4Q12−22−183.3−23
2025年2Q6−22−366.7−24
2025年4Q7−22−314.3−24
2026年2Q5−36−720.0−36

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。

業績の推移

有価証券報告書 14期分

2012年12月期からの14期で、売上は20億円から13億円へ65%に減った。直近期の営業利益率は-338.5%。

決算期売上高億円営業利益億円経常利益億円営業利益率%純利益億円
2012年12月20−17−17
2013年12月15−16−16
2014年12月20−11−11
2015年12月19−26−26
2016年12月24−23−23
2017年12月34−40−40
2018年12月38−27−28
2019年12月28−44−44
2020年12月30−46−41
2021年12月831020
2022年12月1002012
2023年12月56−7−20
2024年12月25−39−37−156.0−38
2025年12月13−44−46−338.5−48

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。空欄の期は有価証券報告書からその項目の数値が取れていません(0ではありません)。

利益の構造

2025年12月期

売上高13億円のうち、営業利益として残るのは-44億円-338.5%。営業外の損益と税金を反映した純利益は-48億円、売上の-369.2%にあたる。営業利益率は業種中央値2.9%を下回る水準。

売上高を100としたときの内訳
  • 売上原価作る・仕入れるのにかかったお金30.8%4億円
  • 販売費及び一般管理費売る・管理するのにかかったお金415.4%54億円
  • 営業利益費用を引いたあとに残った本業の利益-338.5%-44億円

有価証券報告書の損益計算書から、当期の金額をそのまま割り振っています。

粗利率
69.2%
売上から原価を引いて残る割合
営業利益率業種比341.4pt
-338.5%
本業の利益として残る割合
純利益率業種比372.0pt
-369.2%
税金まで払って最後に残る割合
ROA
-123.1%
資産全体がどれだけ利益を生んだか

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 14期分

2025年12月期は営業CFが−46億円、投資CFが−1億円で、差し引きのフリーCFは−47億円この組み合わせは先行投資型にあたる。本業がまだ現金を生まない中、調達した資金で投資を続けている。スタートアップ・再建初期の型期末の手元現金は29億円で、売上の26.8ヶ月分にあたる

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2012年12月−17−40−2142
2013年12月−17−1341−3053
2014年12月−1335−1051
2015年12月−23150−843
2016年12月−20037−2057
2017年12月−38−112−3929
2018年12月−23043−2348
2019年12月−44−237−4639
2020年12月−41−242−4338
2021年12月1−1−1039
2022年12月16061663
2023年12月−2−47−665
2024年12月−3407−3440
2025年12月−46−136−4729

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 14期分

2025年12月期の総資産は39億円。このうち返さなくてよい自己資本が13億円で、自己資本比率は23.9%(業種中央値69.9%より薄い)

決算期総資産億円自己資本億円負債億円自己資本比率%
2012年12月5549688.6
2013年12月7774395.4
2014年12月7570590.7
2015年12月5044682.9
2016年12月69551473.5
2017年12月43321163.6
2018年12月62491370.1
2019年12月5344971.7
2020年12月63471664.3
2021年12月85671873.7
2022年12月104851977.6
2023年12月82721084.9
2024年12月5042878.1
2025年12月39132623.9

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2025年12月期の内訳
現金及び預金
29億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
-375億円
過去の利益の積み上がり
棚卸資産
2億円
在庫として抱えている分
負債合計
26億円
いつか返す必要があるお金
財務の健全性
16
/ 100
安定性自己資本比率16 / 40
収益力営業利益率0 / 30
現金創出営業CFの黒字継続0 / 30

有価証券報告書の数値から機械的に配点した参考値です。自己資本比率60%で満点、営業利益率15%で満点、直近3期の営業CFが黒字だった割合の3つを足しています。業態によって出ない要素があります。

業界内での比較

医薬品 79社との比較

同じ医薬品の企業と並べると、いちばん上に来るのは営業利益率79社中64位あたり、逆に低いのは自己資本比率79社中78位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
/中央値 5.9%
P25 2.0%P75 11.0%
営業利益率下位売上のうち本業の利益として残る割合
-338.5%/中央値 2.9%
P25 -162.5%P75 11.5%
自己資本比率下位総資産のうち返済のいらないお金の割合
23.9%/中央値 69.9%
P25 53.4%P75 84.5%
売上成長率下位前期からの売上の伸び
-48.0%/中央値 2.8%
P25 -1.3%P75 12.0%
配当利回り株価に対して1年で受け取る配当の割合
/中央値 2.9%
P25 2.3%P75 3.5%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月2日の終値

直近の終値は¥62で、1年前と比べて-58.7%過去52週の値幅のなかでは1%の位置にある。

¥62-1.6%1ヶ月-11.4%1年-58.7%時価総額37億円
過去52週の値幅
安値¥60高値¥229

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

8月18日に68円と前日比6.85%下落し、52週安値に近い水準です。1ヶ月では-1.45%とほぼ横ばいで、1年では-55.84%と大幅な下落です。25日線69.76円を下回り、75日線74.28円や200日線94.17円からも乖離しています。出来高は8月18日に269万株と急増しており、売り圧力が強いことを示しています。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

AIの評価

AI評価

株価水準の解釈です。売買の推奨ではありません

現在の株価水準を割高と判定しています(スコア 20/100)

PERは赤字のため算出不能だが、PBRは21.8倍と業界平均3.42倍を大幅に上回り、純資産に対して極めて割高である。ROEは14.6%と高いものの、直近の業績は赤字が拡大しており、収益性は悪化傾向にある。配当は無配で利回りゼロであり、株主還元もない。業界平均と比較してもバリュエーションは突出して高く、業績悪化を考慮すると更に割高感が強い。したがって、総合的に割高と評価する。

指標この会社業種平均
PBR-8.12倍3.53倍
ROE14.6%6.5%

業種平均は同じ東証33業種に属する銘柄の単純平均です。銘柄数が少ない業種では平均が振れます。

AI評価判定とスコアは公開データをもとにした解釈で、将来の株価を示すものではありません。算出の考え方は編集方針に記載しています。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

深刻な業績悪化が続くなか、投資家の争点は、同社の開発パイプラインの価値と、資金調達力、事業継続可能性にあります。強気派は、特定の有望な開発候補が承認されれば収益が急拡大する可能性を評価します。一方、弱気派は、売上高の急減、赤字拡大、資金ショートのリスクを指摘し、事業継続の不確実性を懸念します。

プラスに働く材料7
  • 潜在的なパイプライン価値

    差別化されたメカニズムの新規候補があり、成功すれば大型収入。

  • 提携先との協業

    大手との提携契約がマイルストン収入の可能性を持つ。

  • 技術プラットフォーム

    独自の創薬技術が将来の収益源になる。

  • 減収率が55%から48%に縮小通年影響

    売上高25億円→13億円、前期比▲48%と前年の▲55%から改善

  • 株価が1年で55.7%下落不定影響

    change1yは▲55.7%。売られ過ぎでテクニカル反発の余地

  • 営業損失の拡大は5億円に留まる通年影響

    営業損失▲39億円→▲44億円、赤字拡大は5億円でペース減速

  • 時価総額42億円と小型継続影響

    時価総額42億円。需給逼迫で買い戻しが起これば上昇しやすい

マイナスに働く材料7
  • 減収と赤字拡大

    売上高が急減し、営業利益率が大幅悪化。資金繰り懸念。

  • 資金調達依存

    増資や借り入れに依存しており、株価低迷で調達が困難に。

  • 開発失敗リスク

    臨床試験の失敗が致命傷となり、事業継続が危うい。

  • 売上高13億円と前期比48%減通年影響

    売上高25億円→13億円、2期連続で半減。事業縮小が続く

  • 純損失48億円、3期累計106億円通年影響

    純損失は20億円、38億円、48億円と累計106億円の赤字

  • 営業利益率▲338%の超赤字通年影響

    売上高13億円に対し営業損失44億円、営業利益率▲338%

  • PBR21.8倍と簿価の22倍継続影響

    時価総額42億円に対し簿価は約1.9億円と乖離、資産価値から割高

次の決算で確かめる点
現金及び預金
資金ショートがないか、事業継続の観点で最も重要。
開発パイプラインの進捗
収益化の見込みとマイルストン収入の可能性を測るため。
提携契約数
外部からの評価と将来の収入源を確保するため。

株主

有価証券報告書より

2025年12月期末の株主数は延べ30,133人。区分でいちばん多いのは個人・その他85.3%。グループ会社や銀行などの安定株主が1.8%を占め、残る98.2%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2020年12月%2021年12月%2022年12月%2023年12月%2024年12月%2025年12月%
個人・その他87.784.589.088.890.085.3
証券会社6.112.13.63.55.47.4
外国法人3.11.44.65.12.04.3
事業法人2.01.31.91.71.41.3
外国人個人0.40.40.60.80.91.3
金融機関0.60.30.30.10.30.5
自己株式0.10.20.20.20.20.1

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01吉田 文紀2.83
02楽天証券株式会社共有口2.37
03株式会社SBI証券2.32
04MORGAN STANLEY & CO. LLC(常任代理人 モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社)1.60
05JPモルガン証券株式会社0.91
06STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 510643(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)0.86
07陳元0.78
08村山 信也0.68
09木下 みどり0.56
10日本証券金融株式会社0.53

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

大量保有報告の動き
5%超の保有者の提出ベース 直近12
  • 2026-08-25
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    26.61%
    +2.79pt
  • 2026-08-25
    吉田 文紀
    変更報告
    6.35%
  • 2026-08-25
    吉田 文紀
    新規の大量保有報告
    6.35%
  • 2026-08-05
    吉田 文紀
    新規の大量保有報告
    6.35%
  • 2026-08-05
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    23.82%
    -3.73pt
  • 2026-07-08
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    27.55%
    +1.64pt
  • 2026-07-06
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    25.91%
    -2.39pt
  • 2026-05-13
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    28.30%
    -0.17pt
  • 2026-05-08
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    28.47%
    -0.81pt
  • 2026-04-22
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    29.28%
    -1.14pt
  • 2026-04-16
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    30.42%
    -1.10pt
  • 2026-04-08
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    31.52%
    -1.37pt

提出があった時点の記録です。その後5%を割った保有者が一覧に残ることがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 14期分

1株利益は14期で−5%、1株純資産は14期で−94%。直近期のROEは14.6%で、日本株の目安とされる8%を上回る。

決算期EPSBPSROE%PER
2012年12月−91255
2013年12月−69239
2014年12月−36209
2015年12月−81128
2016年12月−59109
2017年12月−8050
2018年12月−166212
2019年12月−189143
2020年12月−124106
2021年12月5316239.621.6
2022年12月3020514.621.3
2023年12月−49164
2024年12月−8585
2025年12月−9516

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安
ROE自己資本利益率
株主のお金でどれだけ稼いだか。日本株では8%が一つの目安
PER期末実績
株価が1年分の利益の何倍か。低いほど割安とは限らず、期待の低さのこともある

経営陣

8名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は8名。2025/12期の役員報酬は総額165百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約5倍にあたる。

氏名役職年齢保有株数
吉田文紀代表取締役 社長執行役員(CEO)771,684,200
野村博取締役69
ブルース・デビッド・チェソン取締役80
ジョージ・モースティン取締役75
ラルフ・スモーリング取締役70
下村恒一取締役(監査等委員)67
水谷英滋取締役(監査等委員)69700
市野澤剛士取締役(監査等委員)44

役員報酬の内訳2025/12

役員の区分人数固定報酬百万円ストックオプション百万円合計百万円1人あたり百万円
社外取締役108899610
取締役(社内)143266969

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2025/12期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容9,563字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3 【事業の内容】 1.当社グループの事業概要について (1) 当社グループの概要 当社グループ(当社及び当社の子会社)は、当社とグローバルスペシャリティファーマの戦略拠点として設立された連結子会社1社(SymBio Pharma USA, Inc. )と非連結子会社1社(SymBio Pharma Ireland Limited)で構成されております。 SymBio Pharma USA, Inc.は本年度も引き続き経営体制の再構築・経営基盤の充実を行い、その戦略拠点としての役割がより従来に比べ重要性を増しております。 当社は、元米国アムジェン社(注1)本社副社長で、同社の日本法人であるアムジェン株式会社の創業期から約12年間社長を務めた吉田文紀が、2005年3月に設立した医薬品企業です。 経営理念は「共創・共生」(共に創り、共に生きる)で表され、患者さんを中心として医師、科学者、行政、資本提供者を「共創・共生」の経営理念で結び、アンメット・メディカル・ニーズ(Unmet Medical Needs)(注2)に応えていくことにより、社会的責任及び経営責任を果たすことを事業目的としています。 なお、当社の事業は、医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。 (注1) バイオ医薬品業界最大手。1980年、米国カリフォルニア州サウザンド・オークスにおいて、AMGen(Applied Molecular Genetics)として設立。日本においては、1993年5月にアムジェン株式会社として業務を開始しました。 (注2) アンメット・メディカル・ニーズ(Unmet Medical Needs)とは、未だ満たされない医療上の必要性を意味し、患者さんや医師から強く望まれているにもかかわらず有効な既存薬や治療がない状態を指します。 (2) 当社グループの事業の特徴 がん・血液及びウイルス感染症領域における希少疾病分野(注3)の研究開発の多くは、欧米を中心に、大手製薬企業よりもむしろ、多くの大学・研究所、バイオベンチャー企業により創薬研究・新薬開発が活発に行われ、海外では既に数々の有用な新薬が医療の現場に提供されています。しかし、これらの分野は開発に高度の専門性が求められることから、開発の難度も高く、また大手の製薬企業が事業効率の面、採算面で着手しにくいため日本を初めとして、世界各国において手掛けられていない空白の治療領域となっています。当社グループは、極めて医療上のニーズは高いものの、新薬の開発が遅れている空白の治療領域をビジネスチャンスと捉え、特に、高い専門性が求められ難度が高いために参入障壁の高いがん・血液及びウイルス感染症領域を中心とした日本初のスペシャリティ・ファーマ(注4)です。当社グループは、大型新薬(いわゆる売上高が1,000億円を超える「ブロックバスター」)の追求ではなく、マーケットは相対的に小規模でも医療ニーズの高い希少疾病分野を中心とした新薬開発に取り組み、これらの医薬品及び新薬候補品を数多く保有することにより、強固なパイプライン・ポートフォリオを構築し、高付加価値で高収益を達成し、持続性のある事業展開を行います。 当社グループは、このような空白の治療領域を埋めるための新薬の開発・提供を行うことを企業使命として設立されました。新薬が開発されないことで治療上の問題を抱えている患者さんに対して、短期間で開発をし、迅速に治療薬をお届けすることを最優先に考え、医療への貢献、そして医薬品業界の健全な発展に寄与することにより、持続的成長と安定への道を進んでまいります。 (注3) 希少疾病分野とは、患者数が少ない疾病分野のことで、この分野に対する医薬品は希少疾病用医薬品(Orphan Drug:オーファンドラッグ)と呼ばれます。厚生労働省はオーファンドラッグ制度を設定し、我が国において患者数が5万人未満の重篤な疾病であること、医療上特にその必要性が高いこと等をその指定の基準としています。当該指定を受けると、申請から承認までの期間が短縮され、再審査期間が最長10年になる等の優遇措置があります。 (注4) スペシャリティ・ファーマとは、得意分野において国際的にも一定の評価を得る研究開発力を有する新薬開発企業をいいます(2007年「新医薬品産業ビジョン」(厚生労働省)の定義による)。 (3) 当社グループの事業モデルについて 創薬系事業の特徴として、新薬の開発は長期間にわたり膨大な先行投資を強いられるものの、その研究開発の成功確率は極めて低いことが知られています。一般に、研究所において何らかの生物・生理活性(注5)が認められた化合物が新薬として承認にいたる確率は、2万分の1~2万5千分の1と言われています。また、承認を取得した新薬のうち、上市・販売後において採算が取れるのはそのうちの15~20%以下と言われています。当社グループは、このような創薬系事業の難しさを踏まえた事業モデルを構築しています。 当社グループでは、開発にかかる様々なリスクと費用を軽減するとともに、開発候補品の臨床試験を迅速・確実に進め、開始から承認取得までの期間を短縮するために、主として既にヒトでPOC(Proof Of Concept)(注6)が確立され、前臨床試験データと臨床試験データがある化合物を対象としております。これらの化合物の探索は当社グループ独自の探索ネットワークと評価ノウハウを活用して、当社グループ内の経験を有した専門スタッフによる第1次スクリーニングにより絞り込みを最初に行います。その後、科学的諮問委員会(Scientific Advisory Board:以下「SAB」といいます)(注7)において、第一線で関連分野における治療の研究に携わる経験豊かな社外専門家の厳密な評価を受けた上で、当社において最終的な導入候補品を決定いたします。 当社グループ内外の専門家による、こうした“目利き”のプロセスを経て、当社グループはがん・血液及びウイルス感染症領域を中心として、製薬企業、バイオベンチャー企業等から主にヒトでPOCが確立された開発品の日本並びにアジア諸国、さらには欧米を含むグローバルの開発・製造・販売権を継続的に確保することにより、持続性のある事業を展開しています。そのような、開発の成功確率が高く、事業性のある、魅力的な開発候補品を導入するためには、この“目利き”の力に加え、がん・血液及びウイルス感染症という開発の難度が高い治療領域における当社グループの開発力について、開発候補品の提供者であるライセンサーから高い評価を得ることも導入の成否を決める重要なポイントとなります。そのためには、①適切な治験計画の策定、②治療対象となる適切な治験患者の選定、③その領域における医学専門家と公正な関係を維持・構築できる、専門性の高い優秀な開発スタッフが必要となります。これらの総和が開発力となり、開発を着実に、かつ迅速に実行することが可能となります。がん・血液及びウイルス感染症分野で実績のある大手製薬企業の開発部門で経験を積んだ人材を中心に構築された当社グループの開発チームが導入から承認申請までを僅か4年間という短期間でなし得た、抗がん剤 SyB L-0501での実績は、ライセンサー、パートナー企業、導入候補先企業から高い評価を得ています。 なお、開発につきましては、基本的な開発戦略の中枢となる臨床試験のデザイン、海外の試験との連携、医学専門家との調整等は当社グループが主体となって手掛け、定型的な開発業務は、外部資源であるCRO(Contract Research Organization 受託臨床試験実施機関)(注8)へ業務委託し、製造についてはライセンス供給元あるいは信頼できる国内外の製薬企業へ業務委託を行います。 販売につきましては、2020年12月に自社販売体制へ移行しました。がん・血液及びウイルス感染症領域に精通した自社MR(Medical Representative)(注9)を中核とした全国営業体制の構築と流通及び物流機能の整備を推進すると同時に営業戦略・企画の策定及び市場調査を行うマーケティング体制の強化に努めるとともに関係治療領域におけるKOL(Key Opinion Leader)(注10)との良好な関係構築、的確な医療ニーズの把握と市場調査を行い、各種データ、ノウハウの蓄積を図ってまいります。 これらの事業モデルを図示すると以下のようになります。 (注5) 生理活性とは、化学物質が生体の特定の生理的調節機能に対して作用する性質のことです。この生理活性の作用を持つ化学物質を疾病治療に応用したものが医薬品となります。 (注6) POC(Proof of Concept)とは、新薬候補物質の有効性や安全性を臨床で確認し、そのコンセプトの妥当性を検証することを意味します。 (注7) 科学的諮問委員会(SAB:Scientific Advisory Board)とは、世界中から集まる膨大な新薬候補を元に、医療ニーズの高さや収益性などリスクバランスのとれたポートフォリオを、それぞれの専門の立場から意見や提言を交え徹底的に議論した上で、パイプライン戦略を構築する、当社の重要な評価機関です。当社では、SABを年2~3回開催し、世界中から優れた実績と経験をもつ臨床医・基礎科学者の方々に、当社の創薬研究及び新薬開発のアドバイザーとして参画いただいています。 (注8) CRO(Contract Research Organization)とは、製薬企業が、自社で実施する開発業務を遅滞なく進めるために、一部の業務について委託を行う機関です。委託業務の内容としては、治験が実施計画書どおりに遂行されているかをモニタリングするモニター業務や、臨床データを管理するデータ管理業務などがあります。 (注9) MR(Medical Representative)とは、自社医薬品に関する情報の専門家として医療機関を訪問し、医療関係者と面談することにより、医薬品の品質・有効性・安全性等に関する情報の提供・収集・伝達を主な業務とする医療情報担当者をいいます。 (注10)KOL (Key Opinion Leader)とは、担当領域の治療において他の医師に影響力を持つ医師のことをいいます。 (4) 当社グループの事業戦略 当社グループは、中長期的な経営計画を実現すべく、主に以下の5つの事業戦略を展開しています。 (a) ポストPOC戦略による開発リスクの軽減 当社グループの導入候補品(注11)は、主として既にヒトでPOCが確認されていることを原則としています。従って、臨床開発ステージが比較的後期段階にある候補品か、既に海外で上市されている製品が対象となります。これらの導入候補品は既に海外で先行して開発が行われており、新薬としてヒトでの有効性・安全性が確認されていることから、開発リスクを軽減でき、また、先行している海外の治験データを活用することにより開発期間を短縮するとともに開発コストを低減し、成功確率を高めることが可能となります。 (注11)導入候補品とは、当社グループの開発候補品として他社より開発権等の権利取得を検討している化合物を指します。 (注12)ブリッジングスタディとは、外国での臨床データを活用するために国内で行われる試験のことをいいます。この国内試験の結果を外国のデータと比較し、同様の傾向があることを確認します。 (b) 高度な探索及び評価能力による、優れたパイプラインの構築 当社グループの新薬サーチエンジンは、国内外の製薬企業及びバイオベンチャー企業等との多様なネットワークによって構築され、膨大な化合物の中から、社内の専門家による厳正な評価を経て、有望な導入候補品が抽出されます。これらの導入候補品はさらに、第一線で研究に携わる経験豊かな専門家により構成されるSABに諮られ、そのアドバイスと評価を受けた上で導入候補品を決定しています。この開発品導入決定までの高度なスクリーニングプロセスは、既に海外において有効性・安全性が確認された開発品を導入するポストPOC戦略と相まって開発リスクの軽減と開発期間の短縮につながることになり、また、候補品が医療の現場において求められるものかどうかの医療ニーズの充足度に対する理解、及び上市後の収益予測の精度向上に貢献しています。 <当社グループの開発品導入プロセス> (注13)CDAとは、Confidential Disclosure Agreementの略で、秘密保持契約書のことを意味します。 (c) ラボレス・ファブレス戦略による固定費抑制 当社グループは、一切の研究設備や生産設備を保有していません。研究設備・生産設備はともに固定費発生源の代表格ですが、当社グループはこれらを一切保有せずに、開発候補品の探索及び導入後は、開発品の開発戦略策定と実行等の付加価値の高い業務に専念し、そのほかに必要とされる定型的な開発業務は外注しています。研究開発費のうち主なものは業務委託料であり、その金額的・質的重要性は高く、当社グループにおいてはその進捗状況等について厳密な管理を行っております。 (d) ブルーオーシャン戦略(注14)による高い事業効率の実現 海外で標準治療薬として使用されている製品が日本では使用できない、あるいは海外で新薬として承認された製品が5年近くも遅れて日本で承認される、いわゆるドラッグ・ロス、ドラッグ・ラグの問題が深刻化しており、がん患者の難民という言葉も生まれています。これらの問題は、当社グループの戦略的開発領域である難治性のがん・血液及びウイルス感染症領域で特に目立っています。特に抗がん剤の市場自体は大きく、また高齢化に伴い現在も拡大傾向にあるものの、抗がん剤の対象疾患は多岐にわたり、がん腫により細分化されているため、各々のがん腫でみると対象患者数がそう多くはない治療領域が数多く存在します。これらの領域での新薬の開発には、極めて高い専門性が求められ、開発の難度が高い半面、大手の製薬企業では採算性などの問題から開発に着手しにくいことがその理由のひとつといわれています。しかし、ひとたび、そうした領域において新薬の承認を取得し上市できれば、競合が少ないため、これらの領域で適応拡大・新製品上市を着実に積み上げていくことで、高成長・高収益を実現できるものと考えています。 (注14)ブルーオーシャン戦略とは、競合との熾烈な競争により限られたパイを奪い合う市場(レッドオーシャン)を避け、市場を再定義し、競合のいない未開拓な市場(ブルーオーシャン)を創造することで、顧客に高付加価値を与えつつ利潤の最大化を目指す戦略です。 (e) アジアからグローバル展開へ 当社グループはこれまで日本を中心としたアジア各国を対象に事業を展開してまいりました。しかしながら、日本の医療を取り巻く環境が大きく変わっていく中、アジアに留まっていては大きな発展は望めません。今後はグローバルな展開を視野に入れた開発候補品の探索及び評価を実施してまいります。2019年9月にはキメリックス社(本社:米国ノースカロライナ州)との間で抗ウイルス薬ブリンシドホビルに関しての独占的グローバルライセンス契約を締結し、当社グループは天然痘・サル痘を含むオルソポックスウイルスの疾患を除くすべての疾患を対象とした世界全域における開発・販売に加えて製造を含む独占的権利を取得しております。 抗ウイルス薬ブリンシドホビルの事業展開については、dsDNAウイルスに対するその広範な活性を有することから、国内及び海外の専門領域の有力な研究施設と共同研究を進めており、研究成果である科学的知見を基にグローバルの臨床試験を検討、実施してまいります。 2.当社グループのパイプラインについて 当社グループは現在開発中のパイプラインとして、SyB V-1901、SyB L-1701及びSyB L-1702を有しています。今後も開発候補品を継続的に導入することにより、パイプラインのより一層の拡充及びリスク・リターンのバランスのとれたパイプライン・ポートフォリオを構築してまいります。 <当社グループパイプラインの進捗状況> ① 抗ウイルス薬SyB V-1901(一般名:brincidofovir<ブリンシドホビル>「BCV」) 2019年9月にキメリックス社との間でBCVに関しての独占的グローバルライセンス契約を締結し、オルソポックスウイルスの疾患(天然痘・エムポックスを含む)を除いたすべての適応症を対象としたBCVの世界全域における開発・販売に加えて製造を含む独占的権利を取得しました。2022年9月、エマージェント・バイオソリューションズ社(本社:米国メリーランド州)がキメリックス社からのBCVに関する権利の譲渡を受けた後も、当社の取得したBCVに関する、天然痘・エムポックスを含むオルソポックスウイルスの疾患を除いたすべての適応症を対象とした、全世界での独占的開発・製造・販売権に対する影響はありません。 本剤は、既に欧米における経口剤を用いた臨床試験において高活性の抗ウイルス効果を示し、また広域のスペクトラムを有することが確認されており、各種dsDNAウイルスに対する幅広い抗ウイルス活性は、IV BCV(注射剤BCV)に関しても造血幹細胞移植など免疫不全状態での各種ウイルス感染症の予防および治療に対する有効性と安全性が期待されます。 開発については、「空白の治療領域」でアンメット・メディカル・ニーズの高い、造血幹細胞移植後アデノウイルス感染症を対象に、IV BCVの臨床試験を優先的に推進中です。今後は本試験により得られた有効性と安全性に関するPOCデータを活用し、抗マルチウイルス感染症へ対象領域を拡大、あるいは他の治療領域に対してもIV BCVの開発プラットフォームの構築を目指してまいります。BCVは抗がん活性をもつことが確認されており、2024年8月にIV BCVによる悪性リンパ腫を対象とした国際共同第Ⅰb相臨床試験を開始しました。また、脳神経変性疾患領域においては、2026年に、進行性多巣性白質脳症を対象とした第Ⅱ相臨床試験を開始しました。 なお、キメリックス社は、2020年12月、天然痘の医学的防衛策としてBCV経口剤のNDAの提出をFDAが受理したことを発表し、2021年6月にFDAから承認を取得しました。 また、当社は疾患ごとの臨床使用実態(添付文書に記載される事項を含む)を見据えた用途特許の確保を進めることで、適応症ごとの排他的保護期間を延長・強化し、IV BCVの資産価値の最大化を図っており、アデノウイルス感染症の用途特許を日本で取得(有効期限:2043年)し、米国でも特許査定通知を米国特許商標庁より受領(有効期限:2044年見込み)しました。なお、エマージェント社はIV BCVの製剤特許を日本、欧州、米国で取得しており、当社はライセンス契約に基づき独占的使用権を得ております。 ② [抗がん剤SyB L-0501(FD製剤)/SyB L-1701(RTD製剤)/SyB L-1702(RI投与)) (一般名:ベンダムスチン塩酸塩又はベンダムスチン塩酸塩水和物、製品名:トレアキシン®)] ベンダムスチン塩酸塩(一般名)は、日本においては、低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(r/r DLBCL)の承認を取得しております。また、イーグル社との間でトレアキシン®液剤(RTD製剤及びRI投与)の日本における独占的ライセンス契約を締結しております。 (参考) 医薬品研究開発の一般的な進行について 医薬品研究開発のプロセスは以下のとおりであり、通常、(a)から(f)までに10年から17年程度かかるといわれています。 (医薬品研究開発のプロセス) (a) 基礎研究 (b) 前臨床試験(非臨床試験) (c) 臨床試験(治験) (d) 申請及び承認 (e) 薬価申請・収載 (f) 上市販売 (g) 製造販売後調査 (a) 基礎研究 新薬のもとになる候補物質を探し出すプロセスです。化学物質、微生物、遺伝子などの研究から、将来薬となる可能性がある新しい物質(成分)を発見したり、化学的に作り出したりするための研究であり、一般的には研究所などで実施されます。 (b) 前臨床試験(非臨床試験) (a)で特定された薬剤候補化合物を対象に、生物学的試験として、動物や培養細胞を用いて安全性や有効性について調べる、いわゆる動物に対して実施する試験です。また、化学的試験として、製造方法、原薬及び製剤の規格・安定性を調べるなどの試験があります。 (c) 臨床試験(治験) 前臨床試験の結果、有効性及び安全性の観点から有用な医薬品になり得る可能性が認められた場合、十分な検討の上で、実際にヒトを対象とした有効性及び安全性の検証を行う、臨床試験(治験)が行われます。治験はさらに3段階にわかれ、それぞれ参加者の同意を得た上で行われますが、その内容は以下のとおりです。 1)  第Ⅰ相臨床試験 第Ⅰ相は、治療効果を見ることを目的とせず、比較的少数の健康な志願者を対象に主に副作用と安全性を確認する試験です。 2)  第Ⅱ相臨床試験 第Ⅱ相は、通常、患者さんにおける治療効果の探索を主な目的とする試験を開始する段階です。少数の患者さんを対象に、有効性と安全な投薬量や投薬方法を確認する試験です。 3)  第Ⅲ相臨床試験 第Ⅲ相は、第Ⅱ相よりも投与患者数をさらに増やし、治療効果の既存薬剤との比較データ、副作用のデータ等を収集することによって、有効性と安全性について検証し、新薬として承認されるための適切な根拠となるデータを得ることを目的とした試験です。 (d) 申請及び承認 治験で有効性や安全性などが証明された治験薬について、新薬承認申請書類を作成し、厚生労働省に製造販売承認の申請を行います。数段階の審査を受け、承認されて初めて「薬」として市場に出ることになります。ちなみに基礎研究段階で新薬候補とされた物質(成分)の内、製造販売承認を得ることができるものはわずか2万分の1から2万5千分の1といわれております。 (e) 薬価申請・収載 新薬の価格(以下「薬価」といいます)を厚生労働省へ申請し、開発コスト、類似薬や諸外国の価格を参考に価格の承認を受けます。これを薬価収載といいます。 (f) 上市販売 薬価収載が完了し、実際に薬を販売できる状況になることを上市といい、この段階から販売が可能になります。 (g) 製造販売後調査 販売を開始した後に、病院などの医療機関でさらに多くの患者さんに投与された結果を元に、臨床開発段階では発見できなかった副作用や適正使用情報などの収集が行われ、厚生労働省に報告を行います。
経営方針・対処すべき課題6,174字を開く

経営陣が考える方向性と課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 (1)会社の経営の基本方針 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当社グループは、元米国アムジェン社(注1)本社副社長で、同社の日本法人であるアムジェン株式会社の創業期から約12年間社長を務めた吉田文紀が、2005年3月に設立した医薬品企業です。 経営理念は「共創・共生」(共に創り、共に生きる)で表され、患者さんを中心として医師、科学者、行政、資本提供者を「共創・共生」の経営理念で結び、アンメット・メディカル・ニーズ(Unmet Medical Needs)(注2)に応えていくことにより、社会的責任及び経営責任を果たすことを事業目的としています。 当社グループは、極めて医療上のニーズは高いものの、新薬の開発が遅れている空白の治療領域をビジネスチャンスと捉え、特に、高い専門性が求められ難度が高いために参入障壁の高いがん・血液及びウイルス感染症領域を中心とした日本初のスペシャリティ・ファーマです。当社グループは、大型新薬(いわゆる売上高が1,000億円を超える「ブロックバスター」)の追求ではなく、マーケットは相対的に小規模でも医療ニーズの高い希少疾病分野を中心とした新薬開発に取り組み、これらの医薬品及び新薬候補品を数多く保有することにより、強固なパイプライン・ポートフォリオを構築し、高付加価値で高収益を達成し、持続性のある事業展開を行います。 (注1) バイオ医薬品業界最大手。1980年、米国カリフォルニア州サウザンド・オークスにおいて、AMGen(Applied Molecular Genetics)として設立。日本においては、1993年5月にアムジェン株式会社として業務を開始しました。 (注2) アンメット・メディカル・ニーズ(Unmet Medical Needs)とは、未だ満たされない医療上の必要性を意味し、患者さんや医師から強く望まれているにもかかわらず有効な既存薬や治療がない状態を指します。 (2)目標とする経営指標 当社グループは製薬企業として、自社販売体制の下で新薬を継続的に上市していくことが企業価値の更なる向上を図る上での重要な要素と考えており、営業組織及び流通・物流を含めた営業の一貫体制を構築しました。同時に、継続的に開発候補品を導入し積極的に研究開発活動等に経営資源を投下する方針です。 当社グループは、トレアキシン点滴静注用が2010年に国内で製造販売承認されて以来継続して製品販売による売上を主としています。現在は、ブリンシドホビル(BCV)の国内及び海外における開発開始と商業化、新たなパイプラインの導入・開発推進・承認取得等を通じて、安定的に高収益を確保できる体制の早期実現に取り組んでおります。引き続き積極的な研究開発投資を行っていくことから、ROEやROAなどの経営指標の目標は設定しておりません。 (3)中長期的な会社の経営戦略 当社グループは、中長期的な経営計画を実現すべく、主に以下の5つの事業戦略を展開しています。 ① ポストPOC戦略による開発リスクの軽減 当社グループの導入候補品は、主として既にヒトでPOCが確認されていることを原則としています。従って、臨床開発ステージが比較的後期段階にある候補品か、既に海外で上市されている製品が対象となります。これらの導入候補品は既に海外で先行して開発が行われており、新薬としてヒトでの有効性・安全性が確認されていることから、開発リスクを軽減でき、また、先行している海外の治験データを活用することにより開発期間を短縮するとともに開発コストを低減し、成功確率を高めることが可能となります。 ② 高度な探索及び評価能力による、優れたパイプラインの構築 当社グループの新薬サーチエンジンは、国内外の製薬企業及びバイオベンチャー企業等との多様なネットワークによって構築され、膨大な化合物の中から、社内の専門家による厳正な評価を経て、有望な導入候補品が抽出されます。これらの導入候補品はさらに、第一線で研究に携わる経験豊かな専門家により構成されるSABに諮られ、そのアドバイスと評価を受けた上で導入候補品を決定しています。この開発品導入決定までの高度なスクリーニングプロセスは、既に海外において有効性・安全性が確認された開発品を導入するポストPOC戦略と相まって開発リスクの軽減と開発期間の短縮につながることになり、また、候補品が医療の現場において求められるものかどうかの医療ニーズの充足度に対する理解、及び上市後の収益予測の精度向上に貢献しています。 ③ ラボレス・ファブレス戦略による固定費抑制 当社グループは、一切の研究設備や生産設備を保有していません。研究設備・生産設備はともに固定費発生源の代表格ですが、当社グループはこれらを一切保有せずに、開発候補品の探索及び導入後は、開発品の開発戦略策定と実行等の付加価値の高い業務に専念し、そのほかに必要とされる定型的な開発業務は外注しています。研究開発費のうち主なものは業務委託料であり、その金額的・質的重要性は高く、当社グループにおいてはその進捗状況等について厳密な管理を行っております。 ④ ブルーオーシャン戦略(注3)による高い事業効率の実現 海外で標準治療薬として使用されている製品が日本では使用できない、あるいは海外で新薬として承認された製品が5年近くも遅れて日本で承認される、いわゆるドラッグ・ロス、ドラッグ・ラグの問題が深刻化しており、がん患者の難民という言葉も生まれています。これらの問題は、当社グループの戦略的開発領域である難治性のがん・血液及びウイルス感染症領域で特に目立っています。特に抗がん剤の市場自体は大きく、また高齢化に伴い現在も拡大傾向にあるものの、抗がん剤の対象疾患は多岐にわたり、がん腫により細分化されているため、各々のがん腫でみると対象患者数がそう多くはない治療領域が数多く存在します。これらの領域での新薬の開発には、極めて高い専門性が求められ、開発の難度が高い半面、大手の製薬企業では採算性などの問題から開発に着手しにくいことがその理由のひとつといわれています。しかし、ひとたび、そうした領域において新薬の承認を取得し上市できれば、競合が少ないため、これらの領域で適応拡大・新製品上市を着実に積み上げていくことで、高成長・高収益を実現できるものと考えています。 (注3) ブルーオーシャン戦略とは、競合との熾烈な競争により限られたパイを奪い合う市場(レッドオーシャン)を避け、市場を再定義し、競合のいない未開拓な市場(ブルーオーシャン)を創造することで、顧客に高付加価値を与えつつ利潤の最大化を目指す戦略です。 ⑤ アジアからグローバル展開へ 当社グループはこれまで日本を中心としたアジア各国を対象に事業を展開してまいりました。しかしながら、日本の医療を取り巻く環境が大きく変わっていく中、アジアに留まっていては大きな発展は望めません。今後はグローバルな展開を視野に入れた開発候補品の探索及び評価を実施してまいります。2019年9月にはキメリックス社(本社:米国ノースカロライナ州)との間でBCVに関しての独占的グローバルライセンス契約を締結し、当社グループは天然痘・サル痘を含むオルソポックスウイルスの疾患を除くすべての疾患を対象とした世界全域における開発・販売に加えて製造を含む独占的権利を取得しております。 BCVの事業展開については、dsDNAウイルスに対するその広範な活性を有することから、国内及び海外の専門領域の有力な研究施設と共同研究を進めており、研究成果である科学的知見を基にグローバルの臨床試験を検討、実施してまいります。 (4)主要な経営課題 当社グループは、以下の点を主要な経営課題と捉え、取り組んでまいります。 ① パイプラインの更なる充実について 製薬ベンチャー企業として企業価値を高めるためには、開発候補品を継続的に導入し、パイプラインを充実させていく必要があります。 当社グループでは、SyB V-1901において開発を実施または計画しています。なお、現在、新薬候補品の導入に関して複数の案件を相手先企業と協議しており、パイプラインの更なる拡充に向けて今後も新規の開発候補品の導入を積極的に進めてまいります。また、2025年10月に日鉄ケミカル&マテリアル株式会社と取得した「高感度かつ簡便なイムノアッセイ法、およびその装置」に関する共同出願特許を基にしたIVD事業(超高感度測定システム)の早期事業化、収益化を目指します。 ② 既存パイプラインのライフサイクル・マネジメントの追求 企業価値を高めるためには、開発候補品の導入だけではなく、導入した新薬候補品の適応症を追加することにより、開発品目あたりの収益の最大化を図るライフサイクル・マネジメントを追求することが重要となります。 当社グループでは2019年9月にBCVのグローバルライセンスを取得して以来、そのポテンシャルを最大限に引き出すことを目的に、世界最高水準の研究機関とともに3つの治療領域で共同研究を進めてきました。①造血幹細胞移植後のウイルス感染症、②血液がん・固形がん、③脳神経変性疾患の3領域を事業の柱として、経営資源を重点配分し開発を加速しています。 現在、アンメット・メディカル・ニーズの高い造血幹細胞移植後のアデノウイルス感染症を対象にグローバル開発を先行して進めており、欧州主要5カ国と米国で同疾患に対するグローバル第Ⅲ相臨床試験の本格的な試験準備を開始し、2026年3月に米国で最初の患者登録を達成しました。 また、BCVは高い抗ウイルス作用に加え、抗腫瘍効果も確認されており、がん領域における臨床開発を進めております。IV BCVによる悪性リンパ腫を対象とした国際共同第Ⅰb相臨床試験を2024年8月に開始しましたが、造血幹細胞移植後のアデノウイルス感染症に対するグローバル第Ⅲ相臨床試験を優先し、注力するため、一時停止しました。この試験では4例中1例において、部分奏功(腫瘍の縮小を表す一指標)が得られたことを踏まえ、今後の開発戦略を再検討しています。 脳神経変性疾患領域においては、進行性多巣性白質脳症(PML)に関して米国国立衛生研究所(NIH)に所属する米国国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)と共同研究開発契約(CRADA)を2026年2月に締結し、本疾患を対象とした医師主導の第Ⅱ相臨床試験をNIH臨床センターで開始しました。前臨床試験については、アルツハイマー型認知症を含む脳神経変性疾患の治療薬開発に関して米国タフツ大学との共同研究成果を基に特許出願をしておりましたが、2025年12月に本件のグローバルにおける独占的な事業化を目的として、タフツ大学とのライセンス契約を締結しました。また、ペンシルベニア州立大学医学部との共同研究の対象であるポリオーマウイルス感染症治療薬開発について、その成果を基に特許出願しておりましたが、2025年12月に、グローバルの独占的事業化を目的としてペンシルベニア州立大学とライセンス契約を締結しました。 共同研究成果の蓄積により、各種dsDNAウイルス感染症に対する人における効果を検討し、抗マルチウイルス感染症に対象領域を拡大することで、市場の拡大とBCVの事業価値の最大化を目指してまいります。 IVD事業(超高感度測定システム)に関しては、2025年10月に日鉄ケミカル&マテリアル株式会社と取得した「高感度かつ簡便なイムノアッセイ法、およびその装置」に関する共同出願特許を基にした超高感度測定システムの早期事業化、収益化を目指します。両社が開発した新しい検査システムは、これまで技術的に困難とされてきた「迅速・簡便・超高感度」という測定への求めに応えるものです。このシステムによって、病院や自宅など場所を問わず、どのような測定場所からでも検査結果を即座に医療機関と共有することが可能となり、疾患のごく早期の検査・診断から、治療方針の決定、その後の経過観察まで、幅広い医療の過程での活用が期待されます。現在、検査機器等で先行する企業との親和性を踏まえて事業提携の交渉を行っています。 トレアキシン®は、日本においては、低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫およびマントル細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(r/r DLBCL)の承認を取得しております。また、イーグル社との間でトレアキシン®液剤(RTD製剤およびRI投与)の日本における独占的ライセンス契約を締結しております。 ③ 後発品への対応 2022年2月に当社製品トレアキシン®RTD製剤を先発医薬品とする後発医薬品の製造販売承認を4社が受け、現在内3社が後発医薬品の販売を行っております。後発医薬品の製造販売の影響を受けて市場シェアは徐々に減少しており、新たな医薬品の導入検討を続けております。 ④ 更なる成長を求めてグローバル展開へ 当社グループはこれまでアジア地域への展開を進めてまいりましたが、日本においては高齢化に伴う医療費の増大や、後発医薬品の普及が進み新薬メーカーにとって厳しい事業環境が続くことが想定されます。アジア各国においても同様の政策が始まることも考えられます。 こうした環境を踏まえ、当社は造血幹細胞移植後アデノウイルス感染症を対象としたグローバル第Ⅲ相臨床試験を推進し、IV BCV事業を中心としたグローバル展開を一層強化してまいります。これに伴い、2025年12月1日付で組織を大幅に再編し、エドウィン・ロックが本社副社長執行役員兼グローバルR&D本部長に就任したうえで、発見から臨床試験までのシームレスな研究開発体制を構築し、グローバルでの研究開発体制を充実させます。また、ブリンシドホビルに続く新規開発候補品については、グローバルでの権利取得を目指し、候補品の探索・評価および交渉を進めてまいります。 ⑤ 人材の確保について 当社グループの経営資源の第一は人であると考えています。優秀な人材なくして、新薬の探索、開発および情報提供活動、そして今後のグローバル展開において優れた成果をあげることはできません。当社は継続的に優秀な人材の採用を行っており、上場後、特に経営組織をより強固にすべく優れた人材を採用してまいりました。また、OJTや研修等による人材育成を通じて、人材の更なる強化を図ってまいります。 ⑥ 財務上の課題について 当社グループは、パイプラインの開発進展、グローバル事業展開、開発候補品の増加等に伴い、研究開発費を中心とする事業活動に合わせて資金を調達する必要があります。 従って、引き続き資金調達手法の多様化を進めるとともに、予算管理の徹底を通じてコスト抑制を図ることで、財務基盤の更なる強化に努めてまいります。
事業等のリスク18,700字を開く

会社が自認するリスクの一覧

3 【事業等のリスク】 当社グループの事業活動においてリスクとなる可能性があると考えられる主な事項について記載しています。また、当社グループとして必ずしも重要なリスクとは考えていない事項についても、投資判断の上で、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家及び株主に対する積極的な情報提供の観点から開示しています。当社グループは、これらのリスクが発生する可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本書中の本項以外の記載を慎重に検討した上で行なわれる必要があると考えます。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクの全てを網羅するものではありません。なお、文中における将来に関する事項は、本書発表日現在において当社グループが判断したものです。 (1)リスクマネジメントの推進体制 ①リスクマネジメントの推進にあたって、組織横断的リスク状況の監視及び全社的対応は、代表取締役社長の指揮・監督下において内部統制委員会(委員長CFO)が統括し、事業計画策定・実行の年次サイクルに合わせたリスクマネジメント体制の運営を行っています。内部統制委員会の指示のもと、各部門においては部門の責任者が組織の目的・目標の達成に向け、個別リスクにかかわる分析・評価、対応計画の策定・遂行、組織内でのリスクマネジメントにかかわる情報提供など自律的にリスクマネジメントを推進しています。 ②影響度と発生可能性の評価に基づき、内部統制委員会が常に状況を把握し、代表取締役社長に報告するとともに、企業経営に重大な影響が想定されるリスクについては、経営執行会議及び取締役会において、リスクの内容、担当責任者、リスク対応策を立案し、関係組織と連携の上、リスク対応策を推進・実行しています。リスク対応策の進捗状況については、原則年2回の取締役会で総括しています。重大リスク顕在化の予兆が確認された場合は、速やかに内部統制委員会に情報が集約され、適切な対応を図る体制としています。 (2)重大リスクとして認識している事項 ① 医薬品の開発事業全般に関するリスク:新薬の開発は長期間にわたり膨大な先行投資を強いられるものの、その研究開発の成功確率は極めて低いことが知られています。一般に、研究所において何らかの生物・生理活性が認められた化合物が新薬として承認にいたる確率は、2万分の1~2万5千分の1と言われています。また、承認を取得した新薬のうち、上市・販売後において採算が取れるのはそのうちの15~20%以下と言われています。当社グループは、このような創薬系事業の難しさを踏まえた事業モデルを構築しています。 ア. 医薬品開発の不確実性について ・リスク:一般的に、製品上市に至る医薬品開発の過程は長期かつ多額の費用を要し、開発が成功する確率は決して高くなく、開発のいずれの段階においても中止や遅延の判断をすることは稀ではありません。医薬品開発においては、様々な開発過程を段階的に進めていく必要があり、それぞれの段階において開発続行の可否が判断されます。従って、その開発途上で中止の決定を行うことは稀なことではなく、開発が順調に進み製品化される確率は低いものとされています。また、開発に成功し、上市された後も、定期的または臨時で当該時点における医学・薬学等の学問水準に照らして、有効性及び安全性を確認するために再評価が行われ、有用性が認められないとされた場合、あるいは重篤な副作用等により健康被害が拡大する恐れがある場合(詳細は「カ.副作用に関するリスクについて」を参照)には、有用性または副作用を原因として承認が取り消されるリスクがあります。当社グループ のような小規模な製薬ベンチャー企業にとって、ひとつの開発候補品がパイプラインから脱落することの影響は大きく、その場合当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:開発にかかる様々なリスクと費用を軽減するとともに、開発候補品の臨床試験を迅速・確実に進め、開始から承認取得までの期間を短縮するために、主として既にヒトでPOC(注1)が確立され、前臨床試験データと臨床試験データがある化合物を対象としております。これらの化合物の探索は当社グループ独自の探索ネットワークと評価ノウハウを活用して、社内の経験を有した専門スタッフによる第1次スクリーニングにより絞り込みを最初に行います。その後、科学的諮問委員会(Scientific Advisory Board:以下「SAB」といいます)において、第一線で関連分野における治療の研究に携わる経験豊かな社外専門家の厳密な評価を受けた上で、当社グループにおいて最終的な導入候補品を決定いたします。 (注1) POC(Proof of Concept)とは、新薬候補物質の有効性や安全性を臨床で確認し、そのコンセプトの妥当性を検証することを意味します。 イ. 収益の不確実性について ・リスク:開発を進めている製品から収益を得るためには、当社グループ単独あるいは第三者と共同で、これら新薬候補品の開発、規制当局からの承認、製造及び販売のすべての段階において成功を収める必要があります。しかしながら当社グループは、これらの活動において必ずしも成功しない可能性もあり、また、成功したとしても当社グループの事業を継続するために必要な採算性を確保できない可能性もあります。開発を推進し、製品上市に至ることにより収益を獲得するまでの過程で、開発品によっては開発・販売に関して他の製薬企業と提携契約を締結し、早期に収益化を図ることも想定しています。しかしながら、これらのパイプラインが製品として上市するまでには相当の時間を要することが予想され、また、製品として上市される、あるいは他の製薬企業と提携契約を締結できる保証はありません。 ・対応:当社グループの導入候補品は、主として既にヒトでPOCが確認されていることを原則としています。従って、臨床開発ステージが比較的後期段階にある候補品か、既に海外で上市されている製品が対象となります。これらの導入候補品は既に海外で先行して開発が行われており、新薬としてヒトでの有効性・安全性が確認されていることから、開発リスクを軽減でき、また、先行している海外の治験データを活用することにより開発期間を短縮するとともに開発コストを低減し、成功確率を高めることが可能となります。 ウ. 遵守すべき法的規制等及び医療保険制度等の不確実性について ・リスク:医薬品業界は、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の薬事に関する法律及び薬事行政指導、その他関係法令等により様々な規制を受けており、当社グループは医薬品医療機器等法をはじめとする現行の法的規制及び医療保険制度、それらに基づく医薬品の価格設定動向等を前提として事業計画を策定しています。しかしながら、当社グループが開発を進めている製品が現実に製品として上市されるまでの間、これらの規制や制度・価格設定動向等が変更される可能性もあります。もしこれらに大きな変更が発生した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:薬価制度改革並びに流通改善ガイドラインを踏まえた仕切価格・割戻改定を実施しております。また、新薬創出加算品、重点品を中心に売上を拡大する方針です。薬価の毎年改定を含めた薬価制度改革の他、海外を含めた行政動向を継続的に注視し、即時に対応策を検討します。 エ. 海外における開発・販売に関するリスクについて ・リスク:当社グループは日本のみならず、欧米やアジア等グローバル地域を戦略事業地域として位置付けております。抗ウイルス薬ブリンシドホビルについて、欧米を含む世界全域における開発・販売・製造に関するグローバル事業展開を計画しております。海外市場における医薬品の開発・販売事業の展開に際し、一般的に多額の資金と事業リスクを伴うため、当社グループでは開発品によっては海外の開発権、販売権を他の製薬企業等に導出し、投資資金及び事業リスクの低減を図る可能性があります。導出先の経営状況や各国の規制、競争環境等の変動により、当初期待していた通りには開発、販売が進捗せず、計画通りのマイルストーン収入、ロイヤリティ収入等が得られないことにより、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。同様に、他の製薬企業等との共同開発または共同販売、あるいは委受託契約等のパートナーシップの戦略的な活用も検討していますが、パートナーの経営状況や各国の規制、競争環境等の変動により、当初期待していた通りには開発、販売が進捗せず、計画通りの収益が得られないことにより、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:当社グループが保有する権利の導出にあたっては、慎重にデューディリジェンスを実施した上で企業選定を行い、かつ導出後も適宜モニタリングを実施しています。海外導出先の経営状況に関するリスクを管理する担当者を任命しており、定期的に情報収集・情報交換を実施しております。各地で問題が発生した場合には、担当者をハブとする海外導出先との連携により、迅速な課題解決を行っております。 オ. 医薬品業界の競合関係について ・リスク:医薬品業界は、国際的な巨大企業を含む国内外の数多くの製薬企業や研究機関等により、激しい競争が繰り広げられており、その技術革新は急速に進歩している状態にあります。これらの競合相手の中には、技術力、マーケティング力、財政状態等が当社グループと比較して優位にある企業が多数あり、当社グループ開発品と競合する医薬品について、有効性の高い製品を効率よく生産・販売する可能性があります。また、競合品や後発品の参入リスクに加え、従来の医薬の範囲を超えた治療手段の進展などライフサイエンス分野での新たな技術・脅威が台頭しております。このような状況におきまして、当社グループ医薬品や開発候補品が対象とする疾患などにおける治療に大きな変化をもたらす新たな技術や治療手段が登場するなど、当社グループ製品を取り巻く環境が想定を超えて大きく変化した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に大きな影響を及ぼす可能性があり、実際に、2022年には、当社グループの製品に対して後発医薬品の承認及び発売がされたため、当社の売上が減少しており、さらにこの傾向が継続する可能性があります。 ・対応:当社グループは、極めて医療上のニーズは高いものの、新薬の開発が遅れている空白の治療領域をビジネスチャンスと捉え、特に、高い専門性が求められ難度が高いために参入障壁の高いがん・血液及びウイルス感染症領域を中心とした日本初のスペシャリティ・ファーマです。大型新薬(いわゆる売上高が1,000億円を超える「ブロックバスター」)の追求ではなく、マーケットは相対的に小規模でも医療ニーズの高い希少疾病分野を中心とした新薬開発に取り組み、これらの医薬品及び新薬候補品を数多く保有することにより、強固なパイプライン・ポートフォリオを構築し、高付加価値で高収益を達成し、持続性のある事業展開を行います。また、特許等に基づく当社グループ製品の保護及びさらなる差別化を行っていくことにより競争力の維持に努めてまいります。 カ. 副作用に関するリスクについて ・リスク:医薬品は、臨床試験段階から市販後に至るまで、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。これらのうち重篤または予期せぬ副作用が発現した場合、賠償問題の発生や、状況次第では臨床試験の遅れ、開発中止に至るリスクを伴います。更に、健康被害が拡大する恐れがある場合、承認取消・販売中止に至るリスクを伴います。賠償問題に関しては、当社グループは必要な損害保険に加入することにより、このような事態が発生した場合の財政的負担を最小限に留めるべく対応していますが、賠償額が当該保険により補償される範囲を超える可能性は否定できません。このような場合は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:国内外の安全管理情報(副作用情報等)を収集し、客観的に評価・検討・分析した結果を医療現場へ情報提供することで医薬品の適正使用を推進しております。従業員を対象とした安全管理情報についての研修等を実施、安全管理を徹底することで、患者さんの安全性リスクの最小化に努力しております。 キ. 製造物責任について ・リスク:医薬品の開発及び製造には、製造物責任賠償のリスクが伴います。当社グループは将来、開発したいずれかの医薬品が健康被害を引き起こした場合、または臨床試験、製造、営業若しくは販売において不適当な事項が発見された場合には、製造物責任を負い、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、製造物責任賠償請求がなされることによるイメージ低下により、当社グループ及び当社グループの医薬品に対する信頼が損なわれ、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:ライセンス先からの製品輸入に際しては厳格な規格基準に基づく受入検査を実施し、販売時に製造物責任回避に努めております。事業活動のモニタリングを適切に実施し、法令・諸基準違反など不適切な活動を早期に発見し、対応を実施する体制を取っております。必要に応じて教育・研修等の再発防止の対応を講じる体制としております。 ク. 製造並びに安定供給に関するリスクについて ・リスク:当社グループは、開発品の上市後、製品を安定供給することが必要となりますが、製造委託先の技術上もしくは法規制上の問題、又は火災その他の災害による操業停止等により、製品の供給が休止もしくは著しく停滞した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:当社グループの事業継続計画(BCP)は、事業継続へ影響を及ぼす脅威(自然災害、設備事故、感染症、システム障害等)を対象とし、有事の際の速やかな業務復旧、並びに医療体制維持のための医薬品安定供給と品質確保を可能とする体制を整備しております。医薬品の安定供給においては、生産・物流拠点の分散や主要原材料の複数購買の実施といったバックアップ体制を構築することに努めるとともに、主要システムの二重化等IT基盤の強化を行っております。 ② 当社グループの事業遂行上のリスク ア. 当社グループのビジネスモデルについて ・リスク:当社グループは自社で研究設備・製造設備は保有せず、がん・血液及びウイルス感染症領域を中心とした希少疾病分野(注2)を中心に、主にヒトでPOCが確立された開発候補品を製薬企業、バイオベンチャー企業等より導入し、これらを日本並びにアジア諸国、更にはグローバルで医薬品として開発・販売することにより収益化を図るビジネスモデルを採用してきました。それに加えて今後は、抗ウイルス薬ブリンシドホビル(BCV)に関しての独占的グローバルライセンス契約をキメリックス社と締結し、天然痘・サル痘を含むオルソポックスウイルスの疾患を除くすべての疾患を対象としたBCVの世界全域における開発・販売に加えて製造を含む独占的権利を取得したことにより、高品質の医薬品供給のための一貫体制を備えたグローバル市場を対象として事業展開をするグローバルスペシャリティファーマへの転換を進めてまいります。 パイプラインの開発・販売においては、製薬企業と提携することも計画していますが、これらの条件を満たす開発候補品を継続的に導入し、また、これらの提携先企業を確保できる保証はありません。また、導入候補品(注3)については主に希少疾病分野を対象としていることから、当社グループが期待する売上高が確保できない可能性もあります。更に、ライセンスの導入元の企業が経営破綻やライセンスを第三者に譲渡することにより開発・販売の継続が困難になる可能性があります。これらのような場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。上記に加えて、医薬品業界の競争環境や、当社グループの財政状態等の変化に伴い、今後、当社グループのビジネスモデルの変更を余儀なくされる可能性があります。その場合、当社グループの事業に大きな影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:がん・血液及びウイルス感染症領域における希少疾病分野の研究開発の多くは、海外では既に数々の有用な新薬が医療の現場に提供されています。しかし、これらの分野は開発に高度の専門性が求められることから、開発の難度も高く、また大手の製薬企業が事業効率の面、採算面で着手しにくいため日本を初めとするアジア諸国においては手掛けられていない空白の治療領域となっています。海外で標準治療薬として使用されている製品が日本では使用できない、または使用許可が遅れる、いわゆるドラッグ・ロス、ドラッグ・ラグの問題が深刻化しております。これらの問題は、当社グループの戦略的開発領域である難治性のがん・血液及びウイルス感染症領域で特に目立っています。抗がん剤の対象疾患は多岐にわたり、がん腫により細分化されているため、各々のがん腫でみると対象患者数がそう多くはない治療領域が数多く存在します。これらの領域での新薬の開発には、大手の製薬企業では採算性などの問題から開発に着手しにくいことがその理由といわれています。しかし、ひとたび、そうした領域において新薬の承認を取得し上市できれば、競合が少ないため、これらの領域で適応拡大・新製品上市を着実に積み上げていくことで、高成長・高収益を実現できるものと考えています。また、ライセンス先や事業提携先との重要な契約に関しては、その締結検討段階から、ビジョンと戦略の策定、提携事業の損益管理、開発面及び営業面での投資判断、業績と主要マイルストーン管理、グローバルな上市準備等に十分な協議を行った上契約を締結します。契約締結後は、契約当事者間で定期的に課題を共有・審議する会議体を設け、事業提携を推進します。また、当局との継続的なコミュニケーションを通じた薬事リスクの管理・低減にも努力しております。 (注2) 希少疾病分野とは、患者数が少ない疾病分野のことで、この分野に対する医薬品は希少疾病用医薬品(Orphan Drug:オーファンドラッグ)と呼ばれます。厚生労働省はオーファンドラッグ制度を設定し、我が国において患者数が5万人未満の重篤な疾病であること、医療上特にその必要性が高いことをその指定の基準としています。当該指定を受けると、申請から承認までの期間が短縮され、再審査期間が10年になる等の優遇措置があります。 (注3) 導入候補品とは、当社グループの開発候補品として他社より開発権等の権利取得を検討している化合物または製品を指します。 イ. 特定の取引先への依存度について ・リスク:当社グループは、抗ウイルス薬ブリンシドホビルについて天然痘・サル痘を含むオルソポックスウイルスの疾患を除くすべての疾患を対象とした世界全域における製造の独占的権利を所有しているものの、現時点では生産設備を持たない製薬ベンチャー企業であるため、開発品の臨床試験並びに上市後の販売においては他社より製品の供給を受けることとなります。この場合、製品供給元の財政状態、生産状況などによっては、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:技術的には、既に製品供給元より当社グループへの製造技術の移転を実施中であり、将来的に製品需要がクリティカル・マスを超えた場合には、自社生産を開始することも選択肢の一つです。 ウ. 開発・販売の進捗に伴う一時的収入の業績影響 ・リスク:一般に当社グループのような製薬ベンチャー企業の提携においては、製品上市前の収益として、「契約一時金」「開発協力金」「マイルストーン」を見込むものとなりますが、このうちマイルストーンは所定の成果達成に基づく収益であることから極めて不安定で予測の困難な収益であり、開発の進捗に遅延等が発生した場合には当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:当社グループの中長期計画では、契約条項に基づいて一時的収入を業績に織り込んでおり、アライアンス・マネジメントの一環として緊密にフォローしております。 エ. 知的財産権に関するリスクについて ・リスク:当社グループは医薬品の開発活動において様々な知的所有権を使用していますが、これらは基本的に製薬企業、バイオベンチャー企業等より使用許諾を受けた権利です。しかしながら、当社グループが導入する開発候補品について、導入元企業における出願中の特許が登録に至らない可能性があります。また、当社グループが使用許諾を受けた知的所有権に優位する知的財産権が第三者によって生み出される可能性を完全に回避することは困難であり、こうした結果、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。さらには、研究機関等との共同研究に取組んでおりますが、各研究機関の方針に従って、研究成果の帰属を協議することが必要となり、必ずしも当社グループ単独で知的財産権の確保ができない場合もあります。当社グループは、今後も知的財産権に関する問題を未然に防止するため、開発候補品の導入にあたっては、弁護士との相談や特許事務所を通じた特許調査を適宜実施していきますが、第三者の知的所有権の侵害に基づく将来の係争を完全に回避することは困難であり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループが導入する開発候補品は、必ずしも特許で保護されているとは限りません。もっとも、当社グループの開発候補品が特許を有していない場合であっても、当該開発候補品が規制当局より製造販売承認の際に再審査の指定を受けた場合には、再審査期間は後発医薬品の参入が実質的に制限されるため、一定期間市場独占的な保護を受けることとなります。 ・対応:当社グループは医薬品の開発活動において様々な知的所有権を使用していますが、これらは基本的に製薬企業、バイオベンチャー企業等より使用許諾を受けた権利です。当社グループが権利の使用許諾を受けるにあたっては、慎重にデューディリジェンスを実施した上で企業選定を行い、かつ導入後も適宜モニタリングを実施しています。海外導入先の経営状況に関するリスクを管理する担当者を任命しており、定期的に情報収集・情報交換を実施しております。各地で問題が発生した場合には、アライアンス・マネジャーをハブとする海外導入先との連携により、迅速な課題解決を行っております。当社グループでは、また、知的財産係争が発生したときには、使用許諾者であるライセンス元と連携して、社内外の関係者と協力のうえ、事業への影響を最小限にとどめるよう対応しております。 オ. 情報管理について ・リスク:当社グループパイプラインの開発並びにその他事業遂行等に関する重要な機密情報が流出するリスクを低減するために当社グループは、役職員、科学的諮問委員会(SAB)メンバー、研究機関、外注委託先、取引先等との間で、守秘義務等を定めた契約を締結するなど、厳重な情報管理に努めています。しかしながら、役職員、SABメンバー、外注委託先、取引先等によりこれが遵守されなかった場合等には、重要な機密情報が漏洩する可能性があり、このような場合には当社グループの事業や財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:当社グループは、新たなデジタル技術、法規制やガイドラインを取り込んだ情報管理に関するポリシー・ルールの整備を進めております。情報管理に関する規程等を整備して従業員に情報管理の重要性を周知徹底するとともに、セキュリティシステムの導入やセキュリティ教育等の対応策を実施していることに加え、クラウド系サービス利用への対応や情報セキュリティ基盤の強化、運用の改善を図っております。 カ. 重要な契約に関する事項 ・リスク:当社グループの事業展開上重要と考えられる契約につき、将来、期間満了、解除、その他何らかの理由により契約の終了が生じた場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:ライセンス先や事業提携先との重要な契約に関しては、その締結検討段階から、ビジョンと戦略の策定、提携事業の損益管理、開発面及び営業面での投資判断、業績と主要マイルストーン管理、グローバルな上市準備等に十分な協議を行った上契約を締結します。契約締結後は、契約当事者でステアリング・コミティを組織し、更にその傘下で専門領域を担当する複数のサブ・コミティと連携して、事業提携を推進します。また、当局との継続的なコミュニケーションを通じた薬事リスクの管理・低減にも努力しております。 ③ 組織に関するリスク ア. 小規模組織であることについて ・リスク:当社グループは、研究開発活動の一部を業務受託企業(CRO(注4))等に委託することにより、比較的少人数による開発体制を敷いて効果的な事業運営を行っております。しかし、今後のグローバル展開を含む既存パイプラインの開発推進及び新規開発候補品のパイプライン化に伴い、更なる研究開発人員の増加を必要とする可能性があります。何らかの理由により業務受託企業との関係が解消された場合や、計画通りの人員の確保ができない場合、あるいは既存人員の流出が生じた場合には、当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:製薬業・非製薬業、日系・外資系、国籍を問わず、多様なバックグラウンドを持つ有能な人材を確保し、適材適所に人員を配置することにより組織構築と人材確保を行っております。 なお、引き続きグローバル事業の展開を支えるために、必要に応じて、複数の海外の専門家の助言を得ながら開発および薬事戦略の構築、および個別の開発活動の検討・推進を行っております。 (注4) CRO(Contract Research Organization)とは、製薬企業が、自社で実施する開発業務を遅滞なく進めるために、一部の業務について委託を行う機関です。委託業務の内容としては、治験が実施計画書どおりに遂行されているかをモニタリングするモニター業務や、臨床データを管理するデータ管理業務などがあります。 イ. 特定人物への依存度について ・リスク:当社の代表取締役社長の吉田文紀は、当社グループ創業者として創業当時より経営全般にわたる事業の推進者として中心的な役割を担ってまいりました。従って、何らかの理由により同氏の業務の遂行に制約が生じた場合には、当社グループの事業運営に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:会社が持続的な成長を遂げていくには、次世代の最高経営責任者の育成が重要であると認識し、今後育成プログラムを作成していきます。 最高経営責任者の後継者の候補者は、会社の本質的な存在意義を踏まえ信念をぶらすことなく、環境の変化に応じたビジョンを立てることができること、さらには、企業理念や経営ビジョンなどをコミットできることを大前提とします。 ウ. 科学的諮問委員会(SAB)について ・リスク:当社グループは、新規開発候補品の導入評価に関する社長の諮問機関として、科学的諮問委員会(SAB)を組成し、優れた実績と経験を有すると判断される臨床医や基礎科学者を招聘しています。SABは毎年2~3回開催され、世界中から集まる膨大な導入候補品について、医療ニーズの高さや収益性などの観点も踏まえ、リスクバランスのとれたポートフォリオを構築するために、それぞれの専門の立場から活発に意見交換や議論を行っています。当社グループは、今後も優秀なSABメンバーの確保に努めてまいりますが、現在のメンバーとの間の契約が解除、期間満了、更新拒絶、その他の理由で終了するなど、何らかの理由によりメンバーの確保が困難となった場合や、メンバーの流出が生じた場合には、当社グループの開発候補品導入の推進に影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:科学的諮問委員会(SAB)は第一線で関連分野における治療の研究に携わる経験豊かな社外専門家によって構成されています。社内外の専門家による、こうした“目利き”のプロセスを経て、当社グループはがん・血液及びウイルス感染症領域を中心として、製薬企業、バイオベンチャー企業等から主にヒトでPOCが確立された開発品の開発・製造・販売権を継続的に確保することにより、持続性のある事業を展開しています。この“目利き”の力に加え、がん・血液及びウイルス感染症という開発の難度が高い治療領域における当社グループの開発力について、開発候補品の提供者であるライセンサーから高い評価を得ることも導入の成否を決める重要なポイントとなります。①適切な治験計画の策定、②治療対象となる適切な治験患者の選定、③その領域における医学専門家と公正な関係を維持・構築できる、専門性の高い優秀な開発スタッフが必要となります。当社グループに取って人材が最も重要であり、がん・血液及びウイルス感染症分野で実績のある大手製薬企業の開発部門で経験を積んだ人材の確保を最重要課題として対応しています。 ④  経営成績の推移について ア.過年度における業績推移について 当社グループの主要な経営指標等の推移は以下のとおりです。 回次   第17期   第18期   第19期   第20期   第21期 決算年月   2021年12月   2022年12月   2023年12月   2024年12月   2025年12月 売上高(千円)   8,256,924   10,008,338   5,589,708   2,452,912   1,307,648 営業利益又は営業損失(△) (千円)   1,016,001   1,963,625   △811,668   △3,876,971   △4,440,687 経常利益又は経常損失(△) (千円)   1,001,133   1,999,878   △736,130   △3,689,435   △4,647,882 ※第18期より連結財務諸表を作成しており、それ以前については、個別財務諸表の数値を記載しております。 ・リスク:当社グループは、現在まで、第4期、第17期及び第18期を除き、研究開発費やその他一般管理費の合計が売上総利益を上回り、営業損失、経常損失、当期純損失を計上しています。このため、業績比較を行うあるいは今後の当社グループ業績を予測するための情報としては不十分な面があります。 ・対応:当社グループは、開発パイプラインのさらなる拡充及び既存パイプラインのライフサイクルマネジメントの追求により業績の向上を図ってまいります。 イ.研究開発費の増加予測について 当社グループの過去5期間の研究開発費の推移は以下のとおりです。 回次   第17期   第18期   第19期   第20期   第21期 決算年月   2021年12月   2022年12月   2023年12月   2024年12月   2025年12月 研究開発費 (千円)   1,736,126   2,554,799   2,638,234   3,379,471   3,297,362 ※第18期より連結財務諸表を作成しており、それ以前については、個別財務諸表の数値を記載しております。 ・リスク:当社グループは、今後更に研究開発活動を推進する計画であり、抗ウイルス薬ブリンシドホビルの早期の承認取得に伴う製品販売収入の確保、並びに製薬企業等との提携に基づき発生する収入等により、研究開発投資の早期回収及び経営成績の継続的な改善を図ってまいりますが、当社グループの想定どおりに早期回収及び継続的な改善が実現する保証はありません。 ・対応:開発計画の策定においては、Probability of Technical and Regulatory Success (PTRS)を考慮し、十分な検討を行った開発収支を算出しており、実現の蓋然性を高めることに努めております。 ウ.マイナスの繰越利益剰余金を計上していることについて ・リスク:製薬ベンチャー企業においては、臨床段階にある開発品が上市し、製品販売収入並びにロイヤリティ収入等の安定した収益を継続して計上できる体制となるまでは、多額の研究開発費用が先行して計上されることとなります。当社グループも、第4期、第17期及び第18期を除き創業以来第21期まで当期純損失を計上しており、第21期連結会計年度末には△ 37,461,978千円の利益剰余金を計上しています。当社グループは、パイプラインの開発を計画通り、迅速、効率的かつ着実に推進することと自社販売体制への移行により、当期純利益の計上を達成しましたが、将来において計画通りに当期純利益を計上できない可能性もあります。また、当社グループの事業が計画通りに進展せず、当期純利益を獲得できない場合には、マイナスの繰越利益剰余金がプラスとなる時期が遅れる可能性があります。 ・対応:現在臨床段階にある開発品のブリンシドホビルの収益化を達成するために開発資源を投入するとともに、並行して、新規開発候補品については、常時、複数品目の評価を継続しております。当社グループの企業価値向上に資する候補品を見出し、しかるべきタイミングで導入交渉をしてまいります。新規開発候補品の探索・評価及び交渉に当たっては今後、日本市場のみならずグローバルのライセンスを取得することも含めて検討を行います。これらの施策を通して、負の繰越利益剰余金の早期解消に努めます。 エ. 継続企業の前提に関する重要事象等 ・リスク:当社グループは、医薬品業界の構造的変化とともに拡大する「空白の治療領域」に集中特化した新薬開発に取り組み、大手製薬企業が採算面で参入しにくい難度の高い「がん、血液、ウイルス感染症を中心とする希少疾患」を核とした新薬開発を実施しております。具体的には、BCVを中核とした研究開発型事業モデルのもと、グローバル市場におけるスペシャリティ・ファーマへの転換を目指して事業を推進しております。 一方で、医薬品として製品化し、収益を得るまでに多額の研究開発費と長い時間を要する等の特性があります。 主力製品であるトレアキシン®の売上高は、薬価改定及び後発品浸透の影響により継続的に減少しており、これに加えてBCVを中心とした研究開発活動は投資の回収までには一定の期間を要する事業構造であることから、前連結会計年度まで2期連続して、営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、また、前連結会計年度の損失額に重要性が認められることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているものと認識しておりました。当連結会計年度においても、引き続き営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。 ・対応:このような状況に対応するため、当社グループでは、以下の施策を講じてまいります。 1.事業価値の向上 BCVを当社事業の中核となるパイプラインと位置づけ、造血幹細胞移植後アデノウイルス感染症を対象としたグローバル第Ⅲ相臨床試験を軸に、将来の新薬承認申請および商業化を見据えた開発活動を推進しております。 当該領域は、治療選択肢が限られており、未充足の医療ニーズが極めて高い分野であることから、当社グループとしては、BCVの臨床開発を着実に遂行することが、当社の事業価値を質的に転換させる重要な要素になるものと評価しております。 また、BCVについては、アデノウイルス感染症に加え、PMLやがん領域等、複数の適応症を対象とした研究開発にも取り組んでおり、単一適応症に依存しないパイプライン価値の拡張を図っております。これにより、BCVを軸とした事業価値の多面的な顕在化を目指しております。 さらに、将来の成長オプションとして、診断分野等の周辺領域における技術資産についても事業化の可能性を検討しており、これらを含めた事業ポートフォリオ全体としての価値向上に取り組んでおります。 2.資金の確保 当社グループでは、研究開発型事業の特性を踏まえ、事業運営に必要な資金を確保するため、エクイティ・ファイナンス等の資金調達手段を活用しております。 これらの資金調達については、今後の研究開発の進捗や市場環境等を踏まえつつ、資金需要に応じて実行していく方針であり、引き続き資金確保に向けた取り組みを継続してまいります。 3.他社との協業による資金調達および事業提携 BCV開発およびIVD事業の推進にあたり、他社との協業を通じた資金調達や事業提携の可能性についても継続的に検討し、他社との交渉を進めております。 これらの取り組みは、研究開発リスクの分散や資金負担の軽減のみならず、当社事業価値の顕在化を加速させる手段の一つとして位置づけております。 4.事業収支の改善 自社研究および国内外研究機関との共同研究から創出される研究成果について、知的財産権化を進めるとともに、ライセンスアウト等を通じた収益機会の創出を目指しております。 併せて、研究開発活動の進捗を踏まえた費用管理の徹底や経費削減に継続的に取り組み、固定費構造の最適化を通じて、事業運営の効率化および事業収支の改善を図ってまいります。 以上の施策を講じておりますが、BCVの研究開発の進捗状況、将来のパートナリングや事業提携の成否、ならびに資金調達環境等には不確実性が存在しており、現時点においては、当社グループには継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在しているものと認識しております。 オ. 資金繰りについて ・リスク:当社グループはグローバル市場を対象として事業展開をするスペシャリティ・ファーマへの転換を目指す製薬ベンチャー企業として研究開発費用をはじめとする多額の事業展開資金を必要とします。事業計画が計画通りに進展しない等の理由から資金不足が生じた場合には、戦略提携内容の変更、新規提携契約の獲得、新株発行等の方法による資金確保に努めますが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合には、当社グループ事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。 ・対応:今回、発行可能株式総数を1億1,500万株から2億3,500万株に拡大し、今後の機動的かつ柔軟な資本政策の実行を可能にいたしました。今後の資金需要を想定し、資金調達と共にグローバル企業との業務提携を検討いたします。 カ. 税務上の繰越欠損金について ・リスク:当社には現在、税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため、現在は通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が課せられておらず、今後も数年間はこの状態が続くものと想定しております。しかしながら、現在の繰越欠損金の控除制度が改正されるなどの理由により、想定よりも早期に繰越欠損金が解消され、これによる課税所得の控除が受けられなくなった場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が課せられることとなり、現在想定している当期純利益若しくは当期純損失及びキャッシュ・フローの計画に影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:現在多額の税務上の繰越欠損金が存在しております。税務リスクのモニタリング等を通じて、今後、仮に税制改正により現在の想定より税負担が増加した場合でも、財務基盤の維持を図る方針です。 ⑤  その他のリスク ア.株主還元政策について ・リスク:当社は創業以来配当を実施しておりません。当社グループの現時点における事業ステージは、医薬品開発とグローバル展開を含む商業化及び自社販売体制の下での持続的成長に向けた先行投資の段階にあるため、今後も当面は資金を財務体質の強化及び研究開発活動の継続的な実施と新規開発候補品の導入に優先的に充当し、配当は行わない方針です。 ・対応:しかしながら、当社では株主への利益還元を経営の重要な課題と認識しており、今後の経営成績及び財政状態を勘案し、将来的には利益配当についても検討してまいります。 イ. 潜在株式の行使による当社株式価値の希薄化について ・リスク:当社は、複数回にわたり第三者割当による新株予約権の発行により資金調達を実施しております。また、当社は、当社取締役、従業員等の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストックオプション制度を導入しており、旧商法第280条ノ19、旧商法第280条ノ20及び旧商法第280条ノ21、並びに、会社法第236条、第238条、第239条及び第240条の規定に基づき、新株予約権を取締役、従業員に対して付与しております。 今後、新規開発候補品の導入等による事業規模の拡大や予期せぬ外部環境の変化に伴う必要経費の増加または想定収益の変動により、次期見通し及び中長期事業計画の想定を大幅に超えた資金需要の増加が生じた場合、株式発行等による追加の資金調達を実施していく可能性があります。また、当社は今後も優秀な人材確保のために、同様のインセンティブプランを継続して実施する可能性があります。従って、今後新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。 ・対応:第三者割当や新株予約権の行使に伴う希薄化に対しては、開発を着実に実行していくことにより事業価値の向上につとめます。当社取締役、従業員へのストックオプションの付与に関しては業績向上のためのインセンティブプランの一つであり、発行予定数も限られており、株式価値の希薄化効果は限定的である上に、ストックオプションの付与が業績に貢献した場合、事業価値の向上による株価への好影響が期待できます。 ウ. ベンチャーキャピタルによる株式保有について ・リスク:一般的に、ベンチャーキャピタル及び投資事業組合による株式の所有目的は、株式上場後に株式を売却してキャピタルゲインを得ることにあるため、当社株主であるこれらのベンチャーキャピタル及び投資事業組合が、所有する株式の全部または一部を売却した場合には、当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:ベンチャーキャピタル及び投資事業組合による株式保有を抑制することが出来ない以上、機関投資家を含む安定株主を増加させる対応が必要と考えております。 エ.外国為替損失の発生に関するリスクについて ・リスク:当社グループは現時点では生産設備を持たずに他社より製品の供給を受けており、またパイプライン拡充のために新規開発候補品を導入する際に支払われる一時金を想定し、予め相当の金額を外貨預金あるいは外国為替先物予約にて手当をしております。これらの外貨建て資産は時価評価にて毎期財務諸表に表示していますが、将来の為替変動によってその評価損失が発生するリスクがあり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:外貨建取引では、輸入品価格決定に為替レート連動条項を付すだけでなく、外貨預金の活用等により為替リスクヘッジを行い為替変動リスクの低減を図っております。 オ. 自然災害等に関するリスクについて ・リスク:当社グループが事業展開している地域や拠点において、災害(地震、台風、火災等)・疫病等が発生し、当社グループ製品の製造、輸入、日本における検査及び出荷、流通業者への販売のサプライチェーンにおいて問題が生じ、業務停止及び遅延が生じた場合、社会的信用の失墜や、補償などによって、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:当社グループの事業継続計画(BCP)は、事業継続へ影響を及ぼす脅威(自然災害、設備事故、感染症、システム障害等)を対象とし、有事の際の速やかな業務復旧、並びに医療体制維持のための医薬品安定供給と品質確保を可能とする体制を整備しております。医薬品の安定供給においては、生産・物流拠点の分散や主要原材料の複数購買の実施といったバックアップ体制を構築することに努めるとともに、主要システムの二重化等IT基盤の強化を行っております。
経営成績の分析 (MD&A)8,795字を開く

業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析の検討内容は次のとおりであります。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (業績等の概要) (1)事業の進捗の状況 ① 当期の経営成績 当社は2019年に導入した、SyB V-1901(一般名:brincidofovir<ブリンシドホビル>「BCV」)の造血幹細胞移植後アデノウイルス感染症を対象とした開発においては、2026年3月にグローバル第Ⅲ相臨床試験における最初の患者登録を達成しました。本試験は米国および欧州主要5カ国とその他の国々の計80施設において180例の患者登録を計画しており、本適応症については、2028年下半期にEUでの新薬承認申請を目指しています。 また、脳神経変性疾患領域においては、米国国立衛生研究所(NIH:National Institutes of Health)と共同研究開発契約(CRADA)を締結し、NIH主導で進行性多巣性白質脳症(PML)に対する第Ⅱ相臨床試験を開始し、最初の患者登録に向けて準備中です。複数の学術機関との共同研究による前臨床試験成績に基づいた、ポリオーマウイルス感染症の治療とアルツハイマー型認知症の治療薬開発に関する2件のライセンス契約を締結しました。 当社はグローバル第Ⅲ相臨床試験の開始に伴い、事業戦略の主軸をグローバル展開に移行し日米欧の組織の一体化を進めるため、2025年12月1日付で大幅に組織変更を行いました。エドウィン・ロックが副社長執行役員兼グローバルR&D本部長に就任し、研究開発組織を集約することで2030年に向けたBCV事業を牽引します。 また、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社との共同研究の成果として、「高感度かつ簡便なイムノアッセイ法、およびその装置」に関する共同出願特許を2025年10月に取得し、これまで技術的に困難とされてきた「迅速・簡便・超高感度」な新規検査システムの開発を行っています。 このような中、当連結会計年度の経営成績についてはトレアキシン®点滴静注液100mg/4mL[RTD (Ready-To-Dilute)製剤]の売上高は後発品浸透および薬価改定の影響により、1,307,648千円(前年同期比46.7%減、2025年6月10日に開示した修正通期業績予想比6.5%減)となりました。 販売費及び一般管理費は、研究開発費が3,297,362千円(前年同期比2.4%減)となり、それを含む販売費及び一般管理費合計では5,388,027千円(前年同期比6.3%減)となりました。 これらの結果、営業損失は4,440,687千円(前年同期は営業損失3,876,971千円)、外貨建資産の為替評価差損64,964千円もあり、経常損失は4,647,882千円(前年同期は経常損失3,689,435千円)、減損損失等として109,273千円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は4,776,194千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失3,833,480千円)と赤字が増加しましたが、2025年6月10日に開示しました修正通期業績予想と大きな乖離はありませんでした。 また、2026年2月時点において当社製品トレアキシン®RTD製剤を先発医薬品とする後発医薬品を3社が販売しております。 当社グループの事業は医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。 ② 研究開発活動 当連結会計年度においては、開発パイプラインにおいて、以下のとおり研究開発を推進しました。 SyB V-1901(一般名:brincidofovir<ブリンシドホビル>「BCV」) BCVは、2019年にキメリックス社(Chimerix Inc.、本社:米国ノースカロライナ州)から導入し、そのポテンシャルを最大限に引き出すことを目的に、世界最高水準の研究機関とともに3つの治療領域で共同研究を進めてきました。①造血幹細胞移植後のウイルス感染症、②血液がん・固形がん、③脳神経変性疾患の3領域を事業の柱として、経営資源を重点配分し開発を加速しています。 なお、2025年10月に、厚生労働省より医薬品一般的名称(JAN:Japanese Accepted Names for Pharmaceuticals)の決定通知があり、それに従い、今後、brincidofovirの日本語名を「ブリンシドフォビル」より「ブリンシドホビル」に改めています。 移植後ウイルス感染症領域 ・アデノウイルス感染症:米国で実施した免疫不全患者のアデノウイルス感染症を対象とした第Ⅱ相臨床試験において、2023年にIV BCVの抗ウイルス活性に関するPOCを確立しました。この結果に基づき、造血幹細胞移植後アデノウイルス感染症を対象としたIV BCVのグローバル第Ⅲ相臨床試験について、2026年3月にグローバル第Ⅲ相臨床試験における最初の患者登録を米国で達成しました。本試験は米国および欧州主要5カ国とその他の国々の計80施設において180例の患者登録を計画しており、2028年下半期にEUでの新薬承認申請を計画しています。なお、アデノウイルス感染に対する本開発プログラムは、2016年7月に欧州委員会(European Commission)よりオーファンドラッグ指定、2021年4月に米国FDAからファストトラック指定、および2025年9月に厚生労働省から希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けています。また、欧州医薬品庁および英国医薬品医療製品規制庁からグローバル第Ⅲ相試験開始の要件である小児医薬品開発計画の承認を受けています。 ・サイトメガロウイルス感染症:免疫不全患者のサイトメガロウイルス感染症患者を対象とした第Ⅱ相臨床試験を2024年5月に米国で開始し、累計19例の患者が登録され、本試験の結果については今後学会等での発表を行う予定です。なお、2016年4月に欧州委員会よりサイトメガロウイルス感染症の予防についてオーファンドラッグ指定を受けています。 ・BKウイルス感染症:腎移植後のBKウイルス(BKV)感染症に対する開発については、現在プロトコルの修正の検討を行っております。 血液がん・固形がん領域 BCVは高い抗ウイルス作用に加え、抗腫瘍効果も確認されており、がん領域における臨床試験を実施しています。また、各国の研究機関との共同研究等を通じて、血液がん・固形がん領域における新規適応症の探索も行っています。 ・悪性リンパ腫:悪性リンパ腫患者を対象とした国際共同第Ⅰb相臨床試験(NL01試験)を2024年8月に日本で開始しましたが、2025年11月に、現在進行中のアデノウイルス感染症を対象とするグローバル第Ⅲ相臨床試験を最優先とし、経営資源を集中することで事業価値の最大化を図ることから、NL01試験を一時停止することにしました。なお、今回登録された4症例の再発難治性悪性リンパ腫患者のうち1例において部分奏効(PR、腫瘍の縮小を表す一指標)が確認され、動物試験で確認された本剤が持つ抗がん活性がヒトでも示唆される結果となりました。本試験の見直しを含め、今後のIV BCVのオンコロジーにおける開発にとり有益な材料となるものと考えます。 EBウイルス陽性リンパ腫に対するBCVの抗腫瘍効果とそのメカニズムの探索について、シンガポール国立がんセンターとの共同研究を実施しています。NK/T細胞リンパ腫・B細胞リンパ腫・末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)等に対するBCVの抗腫瘍効果や、BCVの抗腫瘍効果を予測するバイオマーカーに関する共同研究成果は、欧米の国際学会で発表されました。 ・悪性脳腫瘍(膠芽腫):2021年からカリフォルニア大学サンフランシスコ校脳腫瘍センターと、BCVの脳腫瘍に対する抗腫瘍効果に関する共同研究を実施しています。2025年4月、米国シカゴで開催された米国がん学会年次総会で、悪性脳腫瘍におけるBCVの有効性と、その効果を予測するバイオマーカーとなる遺伝子に関する研究成果を発表しました。2025年11月には、米国神経腫瘍学会で、さまざまな患者の脳から摘出された悪性脳腫瘍がそのままマウスで維持・継代されたマウスモデル(PDX)を主に用いた試験成績を発表しました。現在、臨床試験について、この領域におけるKey Opinion Leadersと検討中です。 ・頭頸部がん:BCVの頭頸部がんに対する治療効果について、免疫チェックポイント阻害剤(抗ヒトPD-1抗体)との顕著な併用効果を含む前臨床試験の結果を、2025年10月20日、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025、ドイツ・ベルリン)で発表しました。 ・EBウイルス関連リンパ増殖性疾患:米国国立衛生研究所に所属する国立アレルギー・感染症研究所(NIAID:National Institute of Allergy and Infectious Diseases)との間で、EBウイルス関連リンパ増殖性疾患に対するBCVの有効性を評価するCRADAを2023年4月に締結しました。 脳神経変性疾患領域 2026年には、NIH主導で進行性多巣性白質脳症(PML)に対する第Ⅱ相臨床試験をNIH臨床センターで開始しました。また、アカデミアとの共同研究による前臨床試験から得られた研究成果を基に特許出願を行い、ライセンス契約を締結することで、本疾患領域における今後の開発および事業化を独占的に進めてまいります。 ・ポリオーマウイルス感染症:ポリオーマウイルス、特にJCウイルス(JCV)は、二本鎖DNAウイルス(dsDNAウイルス)の中でも、感染により脳に重篤な疾患を引き起こすことが知られています。既存の抗ウイルス薬では効果がほとんど見られないため、有効な治療薬の開発が待望されています。2026年2月に、米国国立衛生研究所(NIH)内の米国国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)との間でCRADAを締結しました。IV BCVを用いてJCウイルスが活性化して起こる希少疾患であるPMLを対象としたNIH主導の臨床試験をNIH臨床センターで2026年に開始しました。 前臨床試験においては、2022年11月、米国ペンシルベニア州立大学とポリオーマウイルス感染マウスモデルにおけるBCVの抗ウイルス活性を検証する非臨床試験を実施し、2024年7月にはその研究成果として新たな知見がmBio誌に掲載されました。本共同研究を基に特許協力条約(PCT)による国際出願を完了しておりましたが、2025年12月にグローバルの独占的事業化を目的としてペンシルベニア州立大学とライセンス契約を締結しました。 ・アルツハイマー型認知症:dsDNAウイルスの中には単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)をはじめ水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)など、脳神経組織への指向性を有するウイルスが存在します。これらのウイルスが潜伏感染からの再活性化を通じて、アルツハイマー型認知症を含む様々な脳神経疾患の発症に関与している可能性が近年示唆され、研究が進展しています。2022年12月、米国タフツ大学により確立されたヒト神経幹細胞を用いて脳組織を3次元に模倣したHSV感染・再活性化モデルにおいて、単純ヘルペスウイルス感染による認知症関連指標に対するBCVの効果を検証するための委託研究契約(Sponsored Research Agreement)を締結し、共同研究を実施しています。IV BCVを用いたアルツハイマー型認知症を含む脳神経変性疾患の治療薬開発に関し、本研究成果を基に特許出願を実施しており、2025年12月、本件のグローバルにおける独占的な事業化を目的としてタフツ大学とのライセンス契約を締結しました。これにより、シンバイオは当該特許出願に基づく開発および商業化に関するグローバルな独占的権利を有することになります。本特許は、特許協力条約(PCT)に基づく国際出願を完了済みです。 ・多発性硬化症:難病である多発性硬化症は、近年、EBウイルスの関連が証明されました。BCVは他の抗ウイルス剤に比べ、EBウイルスに対して高い抗ウイルス活性を有することから、2023年3月にNINDSとCRADAを締結し、EBウイルスを標的とした新規治療法の開発に向けた共同研究を開始しました。同年10月、この共同研究チームは、 欧州多発性硬化症学会(ECTRIMS 2023、イタリア)において、多発性硬化症患者由来の細胞を用いた実験で、BCVがEBウイルス活性を選択的に阻害するという結果を発表しました。この結果は、BCVが多発性硬化症の治療薬となる可能性を強く示唆するものです。なお、BCVが、EBウイルスが潜伏するリンパ球のみを標的とすることにより、従来のB細胞リンパ球の除去を目的とした治療方法とは異なる画期的な治療法の開発につながる可能性を示唆する研究成果が有力科学ジャーナルであるJournal of Clinical Investigation誌に掲載されました。 ③ IVD事業(新規開発事業) 当社は、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社(以下、日鉄C&M)との共同研究の成果として、ナノレベルに比べて1000倍の感度を有する高感度でウイルスを検出可能な、イムノアッセイ法(およびイムノアッセイ装置)の共願特許を2025年10月に日本において取得し、同月に公開されました。両社が開発した新しい検査システムは、これまで技術的に困難とされてきた「迅速・簡便・超高感度」という測定への求めに応えるものです。このシステムによって、患者様のベッドサイドを含めてどのような測定場所からでも検査結果を即座に医療機関と共有が可能となり、疾患の早期の検査・診断から、治療方針の決定、その後の経過観察まで、幅広い医療の過程で活用が期待されます。また、本検査システムの応用範囲は医療分野に限らず、農業における病害検査、畜産業における感染症検査、食品産業における安全性検査など、非医療分野においても様々な展開が可能です。なお、グローバル展開に向けて、2025年10月に日鉄C&Mと共同でPCT出願を完了しています。 ④ 新規開発候補品の導入 当社グループは2019年に導入したBCVのグローバル開発を推進するとともに、従来からの取り組みである複数のライセンス案件の検討を進め、新規開発候補品の探索評価の実施を通じて、収益性と成長性を兼ね備えたバイオ製薬企業として中長期的な事業価値の創造を目指してまいります。 ⑤ 設備投資等の状況 当連結会計年度中に実施いたしました当社グループの設備投資等の総額は、82,173千円で、内容は業務用ソフトウエアの購入等であります。 ⑥ 財政状態の状況 当連結会計年度末における総資産は3,867,316千円となりました。流動資産は3,824,049千円となり、主な内訳は、現金及び預金が2,883,503千円、前渡金259,963千円、売掛金が259,676千円、商品及び製品が152,551千円であります。固定資産は43,267千円となり、主な内訳は、敷金及び保証金37,349千円であります。 負債の部については、総額2,595,276千円となりました。流動負債は1,290,365千円となり、主な内訳は、1年内償還予定の社債682,500千円、未払金が468,270千円であります。固定負債は1,304,911千円となり、主な内訳は、転換社債型新株予約権付社債が1,300,000千円であります。 純資産の部については、総額1,272,040千円となりました。主な内訳は、資本金が19,244,128千円、資本剰余金が19,218,965千円、新株予約権が347,869千円であります。 この結果、自己資本比率は23.9%となりました。 ⑦ キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,883,503千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 税金等調整前当期純損失4,748,620千円の計上、未払金169,380千円の減少、その他の流動資産128,061千円の増加等により営業活動資金が減少した一方、売上債権163,476千円の減少等により、全体では4,575,568千円の支出(前連結会計年度は3,416,518千円の支出)となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 敷金及び保証金の回収による収入6,571千円、無形固定資産の取得による支出82,472千円等により、75,916千円の支出(前連結会計年度は3,955千円の支出)となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 新株予約権付社債の発行による収入1,689,719千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入1,256,210千円、社債の発行による収入1,235,000千円、社債の償還による支出552,500千円等により、全体では3,621,610千円の収入(前連結会計年度は708,472千円の収入)となりました。 第20期2024年12月   第21期2025年12月 自己資本比率(%)   78.1   23.9 時価ベースの自己資本比率(%)   183.60   138.41 債務償還年数(年)   ―   ― インタレスト・カバレッジ・レシオ   ―   ― 自己資本比率:自己資本/総資産 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産 債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い (注) 1. 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。 2. 営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスであるため、債務償還年数及びインタレスト・カバレッジ・レシオは記載しておりません。 ⑧ 生産、受注及び販売の状況 (生産実績) 当社グループは生産を行っていないため、該当事項はありません。 (仕入実績) 当連結会計年度の仕入実績は次のとおりであります。 当連結会計年度(自  2025年1月1日至  2025年12月31日) 仕入高(千円)   前年同期比(%) 仕入   335,873   63.9 合計   335,873   63.9 (注) 当社グループの事業は、医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントである ため、セグメント別の記載を省略しております。 (受注実績) 当社は受注生産を行っていないため、該当事項はありません。 (販売実績) 当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。 当連結会計年度(自  2025年1月1日至  2025年12月31日) 販売高(千円)   前年同期比(%) 商品及び製品販売   1,307,648   53.3 合計   1,307,648   53.3 (注) 1.当社グループの事業は、医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 2.当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。 相手先   前連結会計年度(自  2024年1月1日至  2024年12月31日)   当連結会計年度(自  2025年1月1日至  2025年12月31日) 金額(千円)   割合(%)   金額(千円)   割合(%) 株式会社スズケン   1,438,684   58.7   753,257   57.6 東邦薬品株式会社   1,014,228   41.3   554,390   42.4 ⑨ 資本の財源及び資金の流動性について 当社グループは、新規開発品の導入と、その研究開発に対して積極的に資金を投下してまいりました。 当面の資金需要に関しては、事業から生じるキャッシュ・フロー及び自己資金により賄うことを基本方針としております。 一方、今後の資金需要を想定し、内部資金を充当することに加え、資金調達と共にグローバル企業との業務提携を中長期的に検討いたします。 ⑩ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項については、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

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開示資料

出典

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