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超!企業DB
日経平均64,325.64-1,890NYダウ53,085.45+319ドル円158.62-2NASDAQ26,241.86+142S&P 5007,680.46+49SOX 指数11,350.08+619/2終値

協和キリン

Kyowa Kirin Co.,Ltd.4151 · Prime · 医薬品

医療用医薬品の製造販売に特化したスペシャリティファーマ。世界初のバイオ医薬品を生み出してきた研究開発型企業。

概要

協和キリンはキリンホールディングス傘下の大手スペシャリティファーマ。抗体医薬やバイオ医薬品に強みを持ち、腎臓病・がん・アレルギー・骨ミネラル領域に注力する。1949年に協和醱酵工業として創業し、2008年にキリンファーマと統合。2025年12月期の売上収益は4,968億円、コア営業利益1,031億円で過去最高を更新した。

三つの注力領域と自社創薬

同社は「Story for Vision 2030」のもと、骨・ミネラル、血液がん・難治性血液疾患、免疫・アレルギーの3領域を自社注力領域に定めている。2025年12月期の売上収益4,968億円のうち、CrysvitaやPoteligeoなどの成長製品が牽引した。コア営業利益は1,031億円で過去最高。研究開発費は売上高対比で高水準を維持し、ziftomenibなど新薬の上市を進めている。

北米とEMEAを軸とするグローバル展開

米国子会社Kyowa Kirin, Inc.、英国子会社Kyowa Kirin International plcなどを通じ、北米・欧州で販売網を構築している。2024年には英国Orchard Therapeuticsを完全子会社化し、遺伝子治療分野に進出した。一方、APACリージョンでは事業再編を進め、2024年に協和麒麟(中国)製薬の全株式を譲渡した。連結子会社は44社にのぼる。

強固な財務基盤と80%超の自己資本比率

2025年12月末の総資産は11,079億円、自己資本比率は80.6%と極めて高い。過去13年間で売上収益は3,332億円(2012年)から4,968億円(2025年)へと1.5倍に成長し、当期利益も242億円から670億円へ増加した。無借金に近い財務体質で、研究開発への積極投資やM&Aが可能な基盤を持つ。

業界の中での役割は医療用医薬品メーカーにあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

売上高
4,968億円
税引前利益
872億円
利益率
17.6%
純利益
670億円
2025/12 通期の連結業績。決算の内訳は最新の決算以降にあります。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2025/3期)より

事業別の売上と利益

2016/12
事業売上構成比利益利益率
医薬2,625億円76.5%263億円10.0%
バイオ ケミカル805億円23.5%53億円6.6%

有価証券報告書のセグメント情報から、外部顧客への売上とセグメント利益をそのまま掲載しています。全社費用・セグメント間取引の消去は含みません。

01医療用医薬品主力

医療用医薬品の研究開発、製造、販売を行っています。腎不全、がん、アレルギー領域に強みを持ち、世界初のバイオ医薬品を多数輩出しています。キリングループの一員として、グローバルに事業を展開しています。

主な製品・サービス3
ネスプ(ダルベポエチン アルファ)
腎性貧血治療薬。遺伝子組換え赤血球造血刺激因子製剤で、週1回または月1回投与が可能。
ジーラスタ(ペグフィルグラスチム)
がん化学療法による好中球減少症治療薬。持続型G-CSF製剤で、投与回数の削減を実現。
ポテリジオ(モガムリズマブ)
成人T細胞白血病リンパ腫治療薬。世界初のCCR4抗体医薬。

製品と技術

骨ミネラル領域の旗艦Crysvita

Crysvitaは、X染色体連鎖性低リン血症(XLH)および腫瘍性骨軟化症の治療薬。2018年に米国で発売後、上市国・地域を拡大し2025年12月期の売上を牽引した。日本と欧州では在宅自己注射用の皮下注シリンジを販売開始し、患者の利便性を向上。イタリアでは腫瘍性骨軟化症に対して保険償還を獲得した。同領域では軟骨無形成症を対象とするinfigratinibの開発も進行中である。

血液がん治療薬Poteligeoとziftomenib

Poteligeo(一般名:モガムリズマブ)は、成人T細胞白血病リンパ腫などの血液がんに用いる抗CCR4抗体。上市国の拡大と市場浸透により着実に成長している。ziftomenibは、NPM1変異陽性の再発・難治性急性骨髄性白血病(AML)に対し、経口投与可能なメニン阻害薬として世界初の承認を獲得。未治療AMLを対象とした第III相試験も開始されている。

遺伝子治療Libmeldyとロカチンリマブの開発

Libmeldy(欧州製品名)は、早期発症型異染性白質ジストロフィーに対する造血幹細胞遺伝子治療薬。スペインで保険償還を獲得し、日本では希少疾病用再生医療等製品指定を受けた。免疫・アレルギー領域では、抗OX40抗体ロカチンリマブ(KHK4083)をAmgenと共同開発。アトピー性皮膚炎の第III相試験で良好な中間結果を示し、結節性痒疹の第III相試験も患者登録を完了した。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

医薬品のなかでの位置

医療用医薬品で中堅、収益性は未公開

医薬品業界では、売上高約5,000億円で中堅クラスに属します。同業他社にはジーエヌアイグループやタウンズなどがありますが、規模では協和キリンが先行しています。しかし、営業利益率が開示されておらず、収益性の評価が難しい状態です。主力は医療用医薬品で、再生医療やバイオ医薬品にも注力していますが、研究開発費の負担が重く、利益率は業界平均並みと推定されます。特許切れや後発品の競争が課題で、新薬の創出が重要です。業界内で独自のポジションを築くには、研究開発の効率化や海外展開が必要です。

強み

  • 売上高約5,000億円で、医薬品業界で一定の規模を持つ
  • バイオ医薬品や再生医療などに注力している
  • 医療用医薬品に集中し、専門性を発揮している
  • 直近3期で売上高が4,400億から5,000億円で推移

課題

  • 営業利益率が非開示で、財務健全性の評価が難しい
  • 主力製品の特許切れで、後発品にシェアを奪われる可能性
  • 研究開発費が高く、利益を圧迫する恐れ

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

医薬品の時価総額近傍。太字が協和キリン

時価総額で並べると、掲載11社のなかで6番目にあたる。

#企業時価総額PER
14578大塚ホールディングス6.6兆円15.9倍
24568第一三共5.5兆円20.6倍
34503アステラス製薬4.3兆円14.7倍
44507塩野義製薬2.7兆円12.4倍
54523エーザイ1.4兆円34.5倍
64151協和キリン1.3兆円15.4倍
74528小野薬品工業1.2兆円16.6倍
84527ロート製薬7,177億円20.9倍
94506住友ファーマ6,500億円6.1倍
104536参天製薬6,019億円16.4倍
114540ツムラ2,901億円10.0倍

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は東証33業種の分類に従っています。

会社の歴史

沿革 25件

発酵技術から医薬品メーカーへ:1949年の創業

1949年7月、企業再建整備法に基づき協和産業を解散し、第二会社として協和醱酵工業を資本金5,000万円で設立。同年8月に東京証券取引所に上場した。当初は発酵技術を中核とし、1951年には米国メルク社からストレプトマイシンの製造技術を導入。1956年には発酵法によるグルタミン酸ソーダの製造法を企業化し、医薬品だけでなく食品・化学品へも事業を広げた。

抗がん剤マイトマイシンと多角化の時代

1959年、抗悪性腫瘍剤マイトマイシンを発売し、がん領域に参入。その後1981年に協和メデックスを設立するなど、診断薬分野にも進出した。1992年には米国にKyowa Pharmaceutical, Inc.を設立し、海外事業を本格化。2002年には酒類事業をアサヒビールに譲渡し、医薬品・化学品・食品の3本柱へと事業を絞り込んだ。

キリンファーマとの統合とキリングループ入り

2008年4月、株式交換によりキリンファーマが完全子会社となり、キリンホールディングスが発行済株式の50.10%を保有する親会社となった。同年10月、キリンファーマを吸収合併し、商号を協和発酵キリンに変更。これにより、バイオ医薬品分野での研究開発力が強化され、抗体医薬のパイプラインが拡充された。

非中核事業の売却と欧州買収で構造転換

2011年にキリン協和フーズの全株式をキリンホールディングスに譲渡し、協和発酵ケミカルも売却。食品・化学品事業から完全に撤退した。同年、英国ProStrakan Groupを完全子会社化し、欧州での販売基盤を獲得。2014年には英Archimedes Pharmaも買収し、欧州事業を拡大。2012年には富士フイルムとの合弁で協和キリン富士フイルムバイオロジクスを設立し、バイオシミラー事業に参入した。

Crysvita上市と協和キリンへの社名変更

2018年4月、X染色体連鎖性低リン血症治療剤Crysvitaを米国で発売。これが骨ミネラル領域の柱となる。2019年7月、商号を協和発酵キリンから協和キリンに変更し、ブランドを統一。同年、協和発酵バイオの株式の95%をキリンホールディングスに譲渡し、バイオケミカル事業からも撤退。医薬品専業のスペシャリティファーマとしての体制を確立した。

遺伝子治療企業Orchardの買収と中国撤退

2024年1月、英国の遺伝子治療企業Orchard Therapeuticsを完全子会社化。同社が持つLibmeldy(異染性白質ジストロフィー治療薬)などを獲得し、再生医療・遺伝子治療領域に本格参入した。同年9月には、協和麒麟(中国)製薬の全株式をHong Kong WinHealth Pharmaに譲渡し、中国事業から撤退。APACリージョンの再編を完了させた。

年表25件を開く

1940年代

  • 1949年7月創業企業再建整備法に基づき、協和産業(株)を解散し、その第二会社協和醱酵工業(株)(資本金5,000万円)を設立
  • 1949年8月上場当社株式を東京証券取引所に上場

1950年代

  • 1951年4月米国のメルク社から「ストレプトマイシン」の製造技術を導入
  • 1956年9月発酵法によるグルタミン酸ソーダ製造法の発明とその企業化を公表
  • 1959年9月抗悪性腫瘍剤「マイトマイシン」を発売

1980年代

  • 1981年4月創業協和メデックス(株)を設立

1990年代

  • 1992年10月創業米国にKyowa Pharmaceutical, Inc.(現 Kyowa Kirin, Inc.)を設立

2000年代

  • 2002年9月酒類事業をアサヒビール(株)に譲渡
  • 2003年2月創業米国にBioWa, Inc.を設立
  • 2004年4月商号変更化学品事業を協和油化(株)に分割承継し、協和油化(株)は商号を協和発酵ケミカル(株)に変更
  • 2005年4月創業食品事業を新設分割し、協和発酵フーズ(株)(後のキリン協和フーズ(株))を設立
  • 2008年4月M&A株式交換によりキリンファーマ(株)が当社の完全子会社となり、キリンホールディングス(株)が当社の発行済株式総数の50.10%を保有する親会社となる また、キリンファーマ(株)の子会社である麒麟鯤鵬(中国)生物薬業有限公司(後の協和麒麟(中国)製薬有限公司)、第一・キリン薬品(株)(現 韓国協和キリン(株))、麒麟薬品股份有限公司(現 台灣協和麒麟股份有限公司)他が当社の連結子会社となる
  • 2008年10月創業バイオケミカル事業を新設分割し、協和発酵バイオ(株)を設立 キリンファーマ(株)を吸収合併し、商号を協和醱酵工業(株)から協和発酵キリン(株)に変更

2010年代

  • 2011年1月キリン協和フーズ(株)の全株式をキリンホールディングス(株)に譲渡
  • 2011年3月協和発酵ケミカル(株)の全株式をケイジェイホールディングス(株)に譲渡
  • 2011年4月M&A英国のProStrakan Group plc(現 Kyowa Kirin International plc)の全株式を取得し完全子会社化
  • 2012年3月富士フイルム(株)との合弁会社協和キリン富士フイルムバイオロジクス(株)(バイオシミラー医薬品の開発・製造・販売)を設立
  • 2014年8月M&A英国のArchimedes Pharma Limitedの全株式を取得し完全子会社化
  • 2018年1月協和メデックス(株)の株式の66.6%を日立化成(株)に譲渡(2021年4月に全残余持分を譲渡)
  • 2018年4月X染色体連鎖性低リン血症治療剤「Crysvita」を米国で発売
  • 2019年4月協和発酵バイオ(株)の株式の95%をキリンホールディングス(株)に譲渡(2023年1月に全残余持分を譲渡)
  • 2019年7月商号変更商号を協和発酵キリン(株)から協和キリン(株)に変更

2020年代

  • 2022年4月東京証券取引所の市場区分見直しに伴い東京証券取引所市場第一部からプライム市場に移行
  • 2024年1月M&A英国のOrchard Therapeutics plc(現 Orchard Therapeutics Limited)の全株式を取得し完全子会社化
  • 2024年9月協和麒麟(中国)製薬有限公司の全株式をHong Kong WinHealth Pharma社に譲渡

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2025/12期の経営方針より

会社は5つの方針を掲げている。有価証券報告書には具体的な数値目標の記載がない。

  1. 01

    革新的な価値創出の加速

    先進的抗体技術と造血幹細胞遺伝子治療の強みを活かし研究開発を加速。戦略的投資により新たなパイプラインや収益機会を獲得する。

  2. 02

    患者への価値提供基盤強化

    実績のあるグローバルコマーシャル基盤をさらに強化し、患者団体との密接なエンゲージメントを継続して、Life-changingな価値を提供する。

  3. 03

    Super Teamによる業務卓越性追求

    戦略実行力のあるチームへ進化させ、AI/DXによる業務モデル転換、プロセスの単純化とリソース集中によりアジャイルに行動する。

  4. 04

    注力領域とモダリティの明確化

    骨・ミネラル、血液がん・難治性血液疾患、希少疾患(造血幹細胞遺伝子治療)の3領域に自社注力。低分子やバイスペシフィック抗体など複数モダリティを活用。

  5. 05

    戦略的パートナリングの強化

    適切なパートナーとの最善のビジネスモデルを構築し、価値最大化と患者への迅速な提供を実現する。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 10期分

グループ全体で5,161人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は987万円で、9期前と比べて+14.6%平均年齢は42.4歳、平均勤続年数は15.5年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数
2016年12月7,465
2017年12月7,532
2018年12月7,242
2019年12月86142.417.75,267
2020年12月87842.617.45,423
2021年12月88542.717.15,752
2022年12月90242.816.75,982
2023年12月94543.016.55,974
2024年12月99443.216.55,669
2025年12月98742.415.55,161

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

多様性の開示2025年12月期・提出会社(単体)
女性管理職比率17.1%
縦線は目安の30%
男性育休取得率129.4%
縦線は目安の85%
女性の賃金(男性=100)78.3%
100なら男女で差がない状態

拠点とグループ

設備と関係会社

関係会社12(国内 3 / 海外 9) を有報から抽出しています。

主要な設備 (帳簿価額 上位8)
高崎工場 — 群馬県高崎市405億円
医薬
宇部工場 — 山口県宇部市103億円
医薬
本社 — 東京都千代田区8,509百万円
医薬
ラホヤ研究施設 — 米国カリフォルニア州8,293百万円
医薬
東京リサーチパーク — 東京都町田市7,145百万円
医薬
富士リサーチパーク — 静岡県駿東郡長泉町5,128百万円
医薬
バイオ生産技術研究所 — 群馬県高崎市4,269百万円
医薬
CMC研究センター — 静岡県駿東郡長泉町3,335百万円
医薬
主な関係会社
  • 国内
    協和キリンプラス(株)
    東京都千代田区
    議決権100.0%
  • 海外
    Kyowa Kirin Canada, Inc.
    カナダ ブリティッシュコロンビア州
    議決権2.0%
  • 海外
    BioWa, Inc.
    米国 ニュージャージー州
    議決権2.0%
  • 海外
    Kyowa Kirin North America North Carolina, LLC
    米国 ノースカロライナ州
    議決権2.0%
  • 海外
    Kyowa Kirin Reinsurance, Inc.
    米国 ハワイ州
    議決権100.0%
  • 海外
    Kyowa Kirin International plc
    英国 ガラシールズ
    議決権100.0%
  • 海外
    Kyowa Kirin Australia Pty. Ltd.
    オーストラリア
    議決権100.0%
  • 海外
    韓国協和キリン(株)
    韓国 ソウル市
    議決権100.0%
  • 海外
    台灣協和麒麟股份有限公司
    台湾 台北市
    議決権2.0%
  • 海外
    KKI Grunenthal UK HoldCo Ltd
    英国 メイデンヘッド
    議決権49.0%
  • 国内
    キリンバイオマテリアル(株)
    東京都中野区
    議決権40.0%
  • 国内
    Cowellnex(株)
    東京都中野区
    議決権50.0%

業績のいま

有価証券報告書・決算短信より

2025年12月期の売上高は4,968億円税引前利益872億円前期と比べると増収増益で、売上が+0.2%、利益が+4.4%。

売上高
+0.2%
4,968億円
税引前利益
+4.4%
872億円
純利益
+11.9%
670億円
利益率
17.6%
前期比 +0.7%pt

会社が出している今期の予想2026年12月期

項目会社予想前期実績
売上高5,200億円4,968億円
純利益750億円670億円
1株あたり配当¥70¥70

会社が決算短信で公表した予想です。証券会社の予想ではありません。 短信の原本

四半期の推移

10期分

直近は2026年2Qで、売上は2,636億円。前年の2025年2Qと比べると、売上は+14.3%。

対象期間売上高億円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2023年1Q935128
2023年2Q1,05788
2023年3Q1,069320
2023年4Q1,361276
2024年1Q1,056146
2024年2Q1,274232
2024年4Q2,626221
2025年2Q2,307163
2025年4Q2,661507
2026年2Q2,636306

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。

業績の推移

有価証券報告書 14期分

2012年12月期からの14期で、売上は3,332億円から4,968億円へ1.5倍に増えた。税引前利益率は14.7%から17.6%になった。売上は7期連続で増加。

決算期売上高億円税引前利益億円税引前利益率%純利益億円
富士フイルム(株)との合弁会社協和キリン富士フイルムバイオロジクス(株)(バイオシミラー医薬品の開発・製造・販売)を設立
2012年12月3,33249014.7242
この期から会計基準が日本基準からIFRSに変わりました。前後の数値は単純に比較できません
2013年12月3,40649514.5301
英国のArchimedes Pharma Limitedの全株式を取得し完全子会社化
2014年12月3,3342958.8159
2015年12月3,64339210.8298
2016年12月3,48042912.3305
2017年12月3,53455815.8429
2018年12月2,71566824.6544
商号を協和発酵キリン(株)から協和キリン(株)に変更
2019年12月3,05844514.6671
2020年12月3,18452316.4470
2021年12月3,52260117.1523
2022年12月3,98467617.0536
2023年12月4,42297222.0812
英国のOrchard Therapeutics plc(現 Orchard Therapeutics Limited)の全株式を取得し完全子会社化
2024年12月4,95683516.8599
2025年12月4,96887217.6670

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。この会社の連結損益計算書には営業利益の段がないため、税引前利益を利益として並べています。

利益の構造

2025年12月期

売上高4,968億円のうち、税引前利益として残るのは872億円17.6%。営業外の損益と税金を反映した純利益は670億円、売上の13.5%にあたる。税引前利益率は業種中央値2.9%を上回る水準。

売上高を100としたときの内訳
  • 売上原価作る・仕入れるのにかかったお金25.7%1,279億円
  • 販売費及び一般管理費売る・管理するのにかかったお金33.3%1,654億円
  • その他の費用持分法損益などの調整23.4%1,163億円
  • 税引前利益費用を引いたあとに残った本業の利益17.6%872億円

有価証券報告書の損益計算書から、当期の金額をそのまま割り振っています。

粗利率
74.3%
売上から原価を引いて残る割合
税引前利益率業種比+14.6pt
17.6%
本業の利益として残る割合
純利益率業種比+10.8pt
13.5%
税金まで払って最後に残る割合
ROE業種比+1.8pt
7.7%
株主のお金がどれだけ利益を生んだか
ROA
6.0%
資産全体がどれだけ利益を生んだか

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 14期分

2025年12月期は営業CFが966億円、投資CFが−892億円で、差し引きのフリーCFは74億円この組み合わせは成熟・還元型にあたる。本業で稼ぎ、投資に回し、それでも余る現金を借金返済や株主還元に充てている。最も健全とされる型期末の手元現金は2,188億円で、売上の5.3ヶ月分にあたる

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2012年12月591−988−192−397503
2013年12月569−772−126−203192
2014年12月194168−372362170
2015年12月665−577−14188128
2016年12月669−498−139171131
2017年12月649−453−183196147
2018年12月562−399−165163159
2019年12月537−9−474528208
2020年12月3952,526−2602,9212,870
2021年12月865−114−2847513,351
2022年12月487−172−2903153,392
2023年12月1,156−204−3259524,031
2024年12月679−1,424−847−7452,447
2025年12月966−892−369742,188

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 14期分

2025年12月期の総資産は1.1兆円。このうち返さなくてよい自己資本が8,933億円で、自己資本比率は80.6%(業種中央値69.9%より厚い)

決算期総資産兆円自己資本億円負債億円自己資本比率%
2012年12月0.685,5591,23481.7
2013年12月0.725,9541,23982.6
2014年12月0.726,0541,13784.1
2015年12月0.695,7781,15683.3
2016年12月0.685,7701,06884.4
2017年12月0.716,16092387.0
2018年12月0.746,49692487.6
2019年12月0.786,7831,06286.5
2020年12月0.806,9841,02987.2
2021年12月0.927,3721,84780.0
2022年12月0.947,6281,77181.2
2023年12月1.038,3641,89581.5
2024年12月1.078,5082,16679.7
2025年12月1.118,9332,14580.6

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2025年12月期の内訳
現金及び預金
2,188億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
4,063億円
過去の利益の積み上がり
負債合計
2,145億円
いつか返す必要があるお金

業界内での比較

医薬品 79社との比較

同じ医薬品の企業と並べると、いちばん上に来るのは自己資本比率79社中28位あたり、逆に低いのは売上成長率79社中46位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
7.7%/中央値 5.9%
P25 2.0%P75 11.0%
営業利益率売上のうち本業の利益として残る割合
/中央値 2.9%
P25 -162.5%P75 11.5%
自己資本比率総資産のうち返済のいらないお金の割合
80.6%/中央値 69.9%
P25 53.4%P75 84.5%
売上成長率前期からの売上の伸び
0.2%/中央値 2.8%
P25 -1.3%P75 12.0%
配当利回り株価に対して1年で受け取る配当の割合
2.9%/中央値 2.9%
P25 2.3%P75 3.5%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月2日の終値

直近の終値は¥2,390で、1年前と比べて-6.8%過去52週の値幅のなかでは35%の位置にある。

¥2,390-11.1%1ヶ月-2.5%1年-6.8%時価総額1.3兆円
過去52週の値幅
安値¥2,109高値¥2,912

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標
PER (実績)15.4倍
PER (会社予想)16.7倍
PBR1.37倍
配当利回り2.93%

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

直近1カ月で-0.67%とほぼ横ばいで、25日移動平均線(2,589円)を0.5%下回る。75日線(2,494円)を3.3%上回り、200日線(2,475円)も上回っており、中期的な上昇トレンドは維持。RSIは52.36と中立圏で、過熱感はない。52週高値2,912円からは-11%の水準で、レンジ内の動き。7月29日に162万株の出来高を記録し、上昇の勢いを見せたが、その後は調整。8月4日には132万株の売りが膨らみ、下げ圧力も見られた。年間では+0.24%とほぼ横ばいで、株価は25日線を挟んだもみ合いが続く。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

AIの評価

AI評価

株価水準の解釈です。売買の推奨ではありません

現在の株価水準を割安と判定しています(スコア 72/100)

PERは16.58倍で業界平均35.25倍を大きく下回り、PBRも1.47倍で平均4.11倍の3分の1以下と割安。ROEは7.7%と平均水準を下回るが、利益は安定。配当利回り2.72%は平均1.43%の約2倍で高く、株主還元は手厚いものの、配当性向100%と利益の全額を配当に回すため、成長投資余地の乏しさが懸念。直近の売上も横ばいで、割安と成長性のバランスが重要。

指標この会社業種平均
PER (実績)15.4倍36.0倍
PER (予想)16.7倍
PBR1.37倍3.53倍
ROE7.7%6.5%

業種平均は同じ東証33業種に属する銘柄の単純平均です。銘柄数が少ない業種では平均が振れます。

AI評価判定とスコアは公開データをもとにした解釈で、将来の株価を示すものではありません。算出の考え方は編集方針に記載しています。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

投資論点は、主力製品の特許切れや競争激化が進む中、新製品の開発とバイオシミラー事業で成長を維持できるか。強気派は、独自の抗体エンジニアリング技術や遺伝子治療などへの投資が将来の成長につながると期待する。また、キリングループの安定した経営基盤や財務状況も評価しており、研究開発費を一定程度維持しながら増収を達成している点を評価する。一方、弱気派は、売上高の伸びが鈍化しており、競争の激しい市場でのシェア拡大が難しいと懸念する。さらに、開発リスクが高く、将来の収益に不確実性がある。株価は1年でほぼ横ばいで、市場の期待は限定的。

プラスに働く材料7
  • 独自の技術力

    抗体医薬の開発実績があり、新技術への投資も進む。

  • グループの支援

    キリンHDの資源を活用でき、財務基盤が安定。

  • 安定した増収

    売上高は22年から24年にかけて増加傾向が続く。

  • 売上高4968億円と2期連続増収通年影響

    売上高4422億→4956億→4968億と拡大、事業成長が続く。

  • 純利益670億円へ前期比11.9%増益通年影響

    純利益599億円→670億円、増益率11.9%で収益が回復。

  • PBR1.46倍とROE7.7%の収益性継続影響

    PBR1.46倍、ROE7.7%と業績に対して株価は割安水準。

  • 配当利回り2.75%の安定配当継続影響

    配当利回り2.75%を確保しており株主還元が下支え。

マイナスに働く材料7
  • 成長の鈍化

    売上高の伸びは横ばいで、市場の拡大が見込めない。

  • 特許切れリスク

    主要製品の特許が切れると、ジェネリックに侵食される。

  • 開発の不確実性

    新薬開発は失敗の可能性が高く、投資が回収できないリスク。

  • 純利益が2023/12期から142億円減通年影響

    純利益812億円→670億円へ約17.5%減少し高水準からの反動。

  • 直近売上高はほぼ横ばいで減速通年影響

    売上高4956億→4968億、増収率0.2%と成長が鈍化。

  • 営業利益非開示で分析が困難継続影響

    直近3期間とも営業利益が未開示で収益構造の検証ができない。

  • 予想PER17.8倍が示す減益前提決算発表後影響

    予想PER17.8倍は現行16.39倍を上回り市場は純利益減を想定。

次の決算で確かめる点
主力製品の売上高
特許切れの影響や市場シェアの維持を確認するため。
研究開発費
将来の成長のための投資規模と効率を見るため。
バイオシミラー売上高
新たな成長戦略の進捗を測るため。

配当

株主還元

直近の年間配当は1株あたり70で、前期から+6.9%いまの株価に対する利回りは2.93%。増配か配当維持が9年続いている。

年間配当
¥70
1株あたり
配当利回り
2.93%
いまの株価に対して
配当性向
100.0%
利益のうち配当に回した割合
連続増配等
9年
増配か維持が続いた年数
決算期1株あたり配当前期比%配当性向%
2016年12月25112.3
2017年12月278.034.3
2018年12月3529.640.0
2019年12月4220.024.7
2020年12月444.875.6
2021年12月464.537.2
2022年12月5110.988.3
2023年12月569.859.8
2024年12月583.650.6
2025年12月626.9100.0

過去の配当は株式分割にあわせて調整した金額です。配当性向は有価証券報告書に記載された各期の値で、利益のうち配当に回した割合を示します。

次の配当スケジュール
  • 権利付き最終日
  • 権利確定日
  • 支払開始日
  • 今期の会社予想年間予想¥70

株主

有価証券報告書より

2025年12月期末の株主数は延べ30,109人。区分でいちばん多いのは事業法人56.0%。グループ会社や銀行などの安定株主が71.3%を占め、残る28.7%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2020年12月%2021年12月%2022年12月%2023年12月%2024年12月%2025年12月%
事業法人54.854.754.754.756.056.0
外国法人15.117.817.316.716.618.6
金融機関20.518.219.118.117.215.3
個人・その他7.26.96.87.37.06.7
証券会社2.42.32.23.13.23.5
自己株式0.50.50.50.40.40.4
外国人個人0.00.00.00.00.00.0

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01キリンホールディングス(株)54.95
02日本マスタートラスト信託銀行(株)(信託口)9.54
03(株)日本カストディ銀行(信託口)3.75
04UBS AG LONDON A/C IPB SEGREGATED CLIENT ACCOUNT (常任代理人 シティバンク、エヌ・エイ東京支店)1.87
05BNYMSANV RE GCLB RE JP RD LMGC (常任代理人 シティバンク、エヌ・エイ東京支店)1.83
06バンク オブ ニユーヨーク ジーシーエム クライアント アカウント ジエイピーアールデイ アイエスジー エフイー-エイシー(常任代理人(株)三菱UFJ銀行)0.95
07エムエスアイピ-クライアントセキユリテイ-ズ(常任代理人 モルガン・スタンレーMUFG証券(株))0.94
08SMBC日興証券(株)0.76
09ジェーピー モルガン チェース バンク 385781(常任代理人(株)みずほ銀行決済営業部)0.67
10JPモルガン証券(株)0.60

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 14期分

1株利益は14期で+190%、1株純資産は14期で+68%。直近期のROEは7.7%で、日本株の目安とされる8%を下回る。

決算期EPSBPSROE%PER配当性向%
2012年12月441,0144.419.225.9
2013年12月551,0855.221.134.5
2014年12月291,1052.739.143.4
2015年12月541,0564.935.234.0
2016年12月561,0545.329.0112.3
2017年12月781,1267.227.834.3
2018年12月991,1878.620.940.0
2019年12月1251,26310.120.724.7
2020年12月881,3006.832.175.6
2021年12月971,3727.332.237.2
2022年12月1001,4197.129.488.3
2023年12月1511,55610.215.759.8
2024年12月1131,6267.121.050.6
2025年12月1281,7077.719.7100.0

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安
ROE自己資本利益率
株主のお金でどれだけ稼いだか。日本株では8%が一つの目安
PER期末実績
株価が1年分の利益の何倍か。低いほど割安とは限らず、期待の低さのこともある
配当性向利益からの還元率
利益のうち配当に回した割合。高すぎる場合は無理をしている可能性もある

経営陣

16名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は16名。2025/12期の役員報酬は総額789百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約15倍にあたる。

氏名役職年齢
宮本昌志代表取締役会長 Chief Executive Officer(CEO)67
アブドゥル・マリック代表取締役社長 Chief Operating Officer(COO)59
山下武美取締役副社長 Chief Scientific Officer (CSciO)64
藤原大介取締役55
小山田隆取締役70
鈴木善久取締役71
中田るみ子取締役70
菅野寛取締役67
伊藤由希子取締役47
小松浩常勤監査役63
小林肇常勤監査役61
田村真由美監査役66
残りの役員4名を開く
氏名役職年齢
石倉徹監査役62
和智洋子監査役66
柴田健志取締役 常勤監査等委員59
觀恒平取締役 監査等委員66

役員報酬の内訳2025/12

役員の区分人数固定報酬百万円賞与百万円株式報酬百万円その他百万円合計百万円1人あたり百万円
取締役(社内)421113270107593148
社外取締役7969614
社外監査役4686817
監査役1323232

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2025/12期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容373字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3【事業の内容】 当社及び当社の関係会社は、当社、子会社44社、持分法適用会社14社及び親会社1社(キリンホールディングス株式会社)により構成されており、医薬に関係する事業を行っています。その主要な事業の内容及び当該事業における当社と主要な関係会社の位置付け等は、次のとおりです。 <主要な事業の内容> 当社は、医療用医薬品の製造及び販売を行っています。関係会社については、「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」に記載のとおりです。 (注)本報告書において「当社グループ」という場合、特に断りのない限り、当社及び連結子会社(44社)を指すものとしています。 <事業系統図> (注)Orchard Therapeutics Limitedにつきましては、2025年7月11日に解散及び清算を決定し、2026年1月20日に清算結了しました。
経営方針・対処すべき課題4,668字を開く

経営陣が考える方向性と課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年12月31日現在)において当社グループが判断したものです。 (1)経営の基本方針 「協和キリングループは、ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。」を経営理念としています。 この経営理念に謳う「新しい価値」を社会と共有できる価値(CSV:Creating Shared Value)と捉え、社会課題への取組みによる「社会的価値の創造」と「経済的価値の創造」の両立により、企業価値向上を実現するCSV経営を実践しています。 また、協和キリングループで働く全ての人々が、行動の拠り所となる考え方や姿勢を示す中心概念の“Commitment to Life”と3つのキーワード「Innovation(イノベーション)」「Integrity(インテグリティ)」「Teamwork/Wa(チームワーク/和・輪)」で構成される価値観を、全員で共有、実践することで、社会から信頼される企業であり続けることを目指しています。 (2)ビジョン 当社グループは、2030年に向けたビジョン「協和キリンは、イノベーションへの情熱と多様な個性が輝くチームの力で、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして病気と向き合う人々に笑顔をもたらすLife-changingな価値の継続的な創出を実現します。」を掲げています*1。 *1 マテリアリティの見直しを踏まえ、「医薬品にとどまらない」という記載を、「病気と向き合う人々のニーズを基点とした新たな価値を共創することで」という包括的な表現に更新しました。 (3)Vision 2030 and Beyond:中長期構想 大きな環境変化の中で、Vision 2030の達成後の継続したさらなる成長を見据え、“革新的なLife-changingな価値の創出”、“患者さんへのLife-changingな価値の提供”、“Super Teamによるオペレーショナルエクセレンスの追求”という3つの柱からなる中長期構想を策定しました。 中長期構想は、2030年を超えて達成したいゴールと、そこに対する成長の道筋を示すものであり、未来の不確実性に備えるための羅針盤でもあります。患者さん中心の価値創出を基盤に、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして、世界中の病気と向き合う人々に笑顔をもたらす挑戦を続けます。 革新的なLife-changingな価値の創出 ・先進的抗体技術と造血幹細胞遺伝子治療の強みを活かし、研究開発を加速する ・戦略的投資による新たなパイプライン、収益機会の獲得を狙う 患者さんへのLife-changingな価値の提供 ・実績のあるグローバルにおけるコマーシャル基盤をさらに強化していく ・患者さん及び患者団体との密接なエンゲージメントを継続 Super Teamによるオペレーショナルエクセレンスの追求 ・戦略を力強く実行するケイパビリティを備えたSupur Teamへさらなる進化 ・AI/DXによるオペレーションモデルの転換 ・プロセスのシンプル化とリソースの集中を進め、アジャイルに動き続ける (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ビジョンを達成するためには、戦略そのものと、その戦略を実行できるTeamをつくることが重要であるというのが当社グループの考え方です。 戦略として“Story for Vision 2030”を、Teamづくりとして“KABEGOE Principles”を掲げ、これらを両輪としVision 2030実現を目指します。戦略を推進していく人・組織に期待する行動を具体的に示す“KABEGOE Principles”は、製薬企業で働くことに対する社員の思いを紡いでまとめた”私たちの志”と”Story for Vision 2030”をベースに、徹底的に議論して作り上げたものです。私たちの価値観に紐づけて全11のPrinciplesを掲げています。 1.Story for Vision 2030 2021年より、Vision 2030の実現に向けて活動を推進してきましたが、世界中での医療費抑制圧力の強まり、新薬開発難度の高まりといった製薬業界にとって厳しい大きな環境変化がある中、Vision 2030の実現をより確かにするための戦略として打ち出したのが“Story for Vision 2030”です。これは、当社グループがVision 2030に掲げているLife-changingな価値を継続して創出・提供するための戦略です。自社で注力する疾患領域とモダリティ*1をより明確に設定しました。これに加え、オープンイノベーションやパートナー連携、ベンチャーキャピタル/コーポレートベンチャーキャピタルファンド活動などの強化も推し進めます。 これらの活動により生み出される“Life-changingな価値”の最大化、という観点では、ビジネスモデルを適切に選択する必要があります。自社で注力する疾患領域のアセットでは当社グループが開発から販売までをグローバルで行い、生み出された価値を患者さんに届けつつ、患者さんの声を研究開発に反映することでその領域での自分たちの強みを増幅していくことも重要となります。戦略的パートナリングアセットでは、価値最大化に社外の力を活用します。適切なパートナーとの最善のビジネスモデルを築くことにより、患者さんに最速でお届けすることも含めてその価値最大化が実現できると期待しています。 このように、適切なビジネスモデルを選択することで、当社グループは、創出した価値を一日でも早く多くの病気と向き合う人々に届けていくことに注力しています。 *1 モダリティ:構想した治療コンセプトを実現するための創薬技術(方法・手段)の分類 自社で注力する疾患領域のアセット: 当社グループは、下記に定めた3つの疾患領域を自社で注力する疾患領域として価値の創出と提供に取組んでいきます。各疾患領域では、上市国・地域の拡大、疾患啓発活動や患者支援プログラムの実施などを通し市場浸透に継続して取組んでいきます。 骨・ミネラル Crysvita(日本製品名:クリースビータ)では、在宅自己注射をより簡便で安全に行うことができる剤型として、患者さん及び医療関係者から期待されていた皮下注シリンジの日本・欧州での販売を開始しました。イタリアではCrysvitaが腫瘍性骨軟化症に対して保険償還の対象となりました。KK8123*2、KK8398*2の開発も着実に進行中です。 血液がん・難治性血液疾患 Ziftomenib(米国製品名:KOMZIFTI)は、NPM1変異を有する再発・難治性の成人急性骨髄性白血病(AML)に対する1日1回経口投与可能なメニン阻害薬として世界で初めて米国で承認されました。今後もKura Oncology社との連携を推進し、急性白血病に対する新たな治療選択肢(併用療法や早期の治療ライン)の提供を目指していきます。 Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)は、機械学習・AI技術を活用し、患者さんの治療アクセス向上を推進しています。 加えて自社初の抗体薬物複合体(ADC)であるKK2845等*2の開発も着実に進めていきます。 希少疾患(造血幹細胞遺伝子治療) OTL-200(欧州製品名:Libmeldy、米国製品名:Lenmeldy)は、米国・欧州における異染性白質ジストロフィーを対象とした新生児スクリーニングの拡大を患者団体等のコミュニティーと共同し推進しています。この活動の結果、スペインでは保険償還の対象となりました。米国保険福祉省長官から米国連邦政府として新生児スクリーニングの対象とすることが推奨されたため、今後各州に展開されるように活動を続けます。日本では早期発症型異染性白質ジストロフィーに対して希少疾病用再生医療等製品指定を取得、サウジアラビアにおいても希少疾病用医薬品指定と優先審査指定を受けました。さらにOTL-203*2及びOTL-201*2についても着実に開発を進めていきます。 〔戦略的パートナリングアセット〕 当社グループは、適切なパートナーとの最善のビジネスモデルを築くことにより、患者さんに最速でお届けすることも含めてその価値最大化の実現を目指しています。 低分子であるKHK4951*2(一般名:tivozanib)、当社独自のバイスペシフィック抗体技術REGULGENTを搭載したKK2260*2及びKK2269*2、並びにPOTELLIGENT抗体であるKK4277*2、本態性高血圧症を対象疾患として2025年第Ⅰ相試験を開始したKK3910*2については、今後パートナーとの連携も含め、価値の最大化を図っていきます。なお、Amgen社と連携し、複数の臨床試験を継続して推進してきましたKHK4083*2(一般名:ロカチンリマブ)は、2026年1月にはAmgen社の戦略的ポートフォリオ見直しを背景として、同社との開発・商業化に関する提携契約を終了し、当社は規制当局対応及び将来の商業化を含む、ロカチンリマブのグローバルプログラムの全権利を再取得しましたが、2026年3月3日に、最新の安全性情報及び総合的なリスク・ベネフィット評価を踏まえ、ロカチンリマブに関する現在実施中の全ての臨床試験を中止することを決定しました。 また、自己免疫疾患に対する、ファースト・イン・クラス低分子治療薬候補の開発を目的とした、前臨床開発プログラムに関するライセンスをBoehringer Ingelheim社に提供しました。 *2 開発パイプラインの詳細は、「第2 事業の状況 6 研究開発活動」をご参照ください。 2.KABEGOE Principles Vision 2030ビジョンの実現に向けての戦略を実行するために必要なTeamのあり方について策定したのが、“KABEGOE Principles”です。当社グループが立ち返ったのは、私たちの志でした。私たちの志は、2008年に協和キリンが誕生した直後に、約1,000人もの社員が製薬企業で働くことに対する思いを言葉に表したものです。この私たちの志とStory for Vision 2030をベースに、CxOを中心に徹底的に議論し、作り上げたのがこのPrinciplesです。その筆頭にあるのが患者さん中心、Patient Centricという考え方です。当社グループ従業員がLife-changingな価値を創出し、提供するために、いつも大切にしていく考え方です。さらに、当社グループの価値観に紐付けて、全11のPrinciplesを掲げています。このPrinciplesの浸透に関しては、CxOはもちろん、人事総務部、経営企画部、及びコーポレートコミュニケーション部が核となり、各部署から自発的に参加したグローバルのメンバーによる取組みなどを含め、全社で進めています。当社グループにおいて、日々の業務を進めることで、KABEGOE Principlesに沿った行動になるような様々な施策を開始しています。
事業等のリスク9,414字を開く

会社が自認するリスクの一覧

3【事業等のリスク】 1.リスクマネジメント(RM)体制と重要リスク特定のプロセス 協和キリングループにおけるリスクとは、経営目標及び戦略目標の達成に影響を与える不確実性を指し、事業活動の遂行において企業価値の毀損につながる脅威(ネガティブな影響)に加え、適切に対応することで企業価値の創出や成長につながる機会(ポジティブな影響)の双方を含むものと定義しています。当社グループは、Enterprise Risk Management(ERM)の枠組みのもと、リスクを単なる回避対象としてではなく、機会の最大化及び企業価値の創出・保全につなげるべき経営上の重要事項として位置付けています。 当社グループは、日本を含むJAPAC、北米、EMEAを中心とした地域(リージョン)軸、地域を跨いだ機能(ファンクション)軸と製品(フランチャイズ)軸を組み合わせたグローバルマネジメント体制「One Kyowa Kirin」で事業活動を推進しています。3つの地域にそれぞれリージョナルリスクマネジメント委員会を設置し、各地域の重要リスクを議論しています。また、CxOが中心として参加するグローバルな位置付けのグループリスクマネジメント委員会を年2回開催し、グループ全体のリスクマネジメントに関する戦略や活動方針を審議していきます。 重要リスク特定のプロセスについては、四半期に1回、業務執行部門が実務担当者会議において社内外の環境変化を踏まえてリスクを洗い出し、経営に与える影響度と発生頻度(発生する可能性)を分析します。グループリスクマネジメント委員会事務局は社内外の環境変化やリスクトレンドについて業務執行部門と対話しながら分析結果を調整した後、リスクをカテゴリー毎に整理し、重要リスクを特定します。グループリスクマネジメント委員会では重要リスクの特定が適切かを確認するとともに、その低減策について全社的な観点で議論しています。重要リスクの低減に向けた進捗確認は、アクションプランのモニタリングと合わせて行い、グローバル経営戦略会議にて進捗確認と環境変化を踏まえたリスクの重要度の変化をモニタリングしていきます。グループリスクマネジメント委員会では、その評価結果を基にリスクマップを策定しており、これらの委員会で議論された重要リスクの低減策やモニタリングの結果は取締役会に報告されています。 当社グループのリスクマネジメント(RM)体制(2025年10月より) 2.デジタル活用によるリスクマネジメントのグローバル一元管理 当社グループでは、グループ全体のリスクをデータベースで一元管理するためのシステムを導入し、デジタル化を進めています。業務執行部門がリスク台帳やインシデント情報をデータベースに登録した後、ワークフローを通してリスクを専門的かつ全社的な立場で支援・助言・モニタリングする部門に情報を共有したり、リスクマップにて重要リスクの見える化を実施したりするなど、リスクの状況を効果的かつ効率的にモニタリングする体制の整備を進めています。 3.クライシスマネジメント体制とBCP演習の強化について 当社グループでは、クライシス発生時に、平時業務の延長から早期にクライシス対応を開始できるFunction対策本部と、クライシスの地理的影響範囲に応じて設置されるGlobal・Regional・Local対策本部が連携し、2025年11月11日改訂版グループクライシスマネジメント規程に基づき、迅速かつ組織的なクライシスマネジメントを遂行しています。 今回の改訂では、各階層(Global・Regional・Local・Function)の役割と権限、設置基準、指揮命令系統、エスカレーション原則(Bad News Fast)が明確化され、平時・有事双方における情報報告・共有方法、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の発動・解除手順、対策本部の設置判断基準が具体的に定められました。これにより、クライシスの予防、発生への準備、予兆の早期発見、緊急時対応までを一貫して運用するレジリエントな体制が整備されました。また、重要リスクを中心にクロスリージョン・クロスファンクションにクライシス・BCP演習の実施を通じて、最悪の事態を想定したクライシス対応や事業継続体制の強化を図っています。改訂規程では、各対策本部単位で原則年1回の教育訓練実施が義務付けられ、演習後には振り返りと再発防止策の策定、改善アクションプラン化、平時における継続的改善が求められています。 演習を通じて対応力向上を図るとともに、リスク評価や低減策を見直し、リスクの予兆発見のためのモニタリングにつなげるなど、急激な環境変化の中、全社的な課題に対して、平時のリスクマネジメントと有事のクライシスマネジメントを一貫して取組むことで、困難な状況にもしなやかに適応するレジリエントな組織を目指しています。 当社グループのクライシスマネジメント体制(2025年11月より) 4.事業等のリスク 当連結会計年度末(2025年12月31日現在)において当社グループが特定した重要リスクを以下に記載していますが、社内外の環境変化により想定していないリスクが発生する可能性や、ここで記載していないリスクが当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 サイバーセキュリティ(Cybersecurity) リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響 当社グループは、研究開発、製造、販売等に関わる重要情報システムやネットワークを、グローバルに多拠点で運用しています。これらは患者さん情報、研究開発データ、製造ノウハウ、契約や経営情報など、極めて機密性の高いデータを含みます。近年、ランサムウェアや標的型攻撃などのサイバー攻撃は高度化・巧妙化し、ライフサイエンス分野は高い攻撃対象となっています。セキュリティ対策(アクセス制御、暗号化、脆弱性管理、監視、バックアップ等)が不十分な場合、システム停止や障害発生、情報漏えいなどが起き、事業継続が不可能になる事態が生じ得ます。 これにより、法令違反や制裁金、訴訟、重大な経済的損失、社会的信用の低下、競争力の喪失などの影響を受けます。また、地域ごとのセキュリティ標準や対応方針の差異、統一的なガバナンス不在、保険補償の限界なども被害拡大の要因となります。 主な対策 現在、全地域で常勤スタッフによる監視体制を整えており、サポートを提供しています。北米・EMEA・日本ではランサムウェア防御技術を導入し、また内部脆弱性管理を継続的に実施に加え、年1回の外部ペネトレーションテストも実施しています。さらに、各地域でMSSP(マネージドセキュリティサービスプロバイダー)による監視を行い、資産管理ツールを用いた資産発見・管理、TPRM(サードパーティリスクマネジメント)評価、年次のグローバル・地域別サイバー演習、フィッシング対策訓練も実施しています。 今後はMSSPサービスの統合化と単一テナント運用による迅速な対応、グローバルセキュリティオペレーションモデルの構築、TPRM標準化、製造部門のオペレーションテクノロジー(OT)セキュリティ強化を予定しています。また、ERMプログラムを導入し、全地域のリスクをモニタリングしていきます。 安定供給及び品質(Supply & Quality) リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響 当社グループは、バイオ医薬品を含む多様なモダリティの製品・治験薬を製造し、国内外に供給しています。製造・品質に関するトラブルや原材料調達不安、急激な需要変動、委託先の不具合、自然災害、地政学リスク、システム障害などは、供給に重大な影響を及ぼす恐れがあります。 特に重要品目で供給不足や出荷制限が発生すると、患者さんへの治療継続が困難となり、社会的信用失墜、受注減、売上減少、罰則、訴訟など経済的損失が生じます。さらに、新しいモダリティやデバイスへの対応力不足、生産拠点の一極集中や老朽化、設備投資の戦略整合性欠如も中長期的な供給安定性を損なう恐れがあります。 主な対策 適正在庫の確保、自社生産体制の整備・拡充(高崎工場HB7棟・サンフォード工場)、重要製品のデュアルソーシング体制構築、CDMO管理強化、災害時における影響の早期把握、原材料・資材の安定確保やサプライヤーマネジメント改善、逸脱・変更管理プロセス改善、新技術の開発・活用促進などに取組んでいます。 今後はサプライチェーン全体のリスク特定と対応シナリオ策定、長期的な戦略に基づく供給体制構築、製造・品質リスクの早期把握のためのモニタリング強化、DX活用によるオペレーション改革などを計画しています。今後、インシデント数、査察時の重大指摘数、計画達成度などをモニタリングしていきます。 ビジネスパートナー(Business partner) リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響 当社グループは原材料・委託製造・流通等、重要な事業プロセスを多数のビジネスパートナーに依存しています。これらのビジネスパートナーに起因する人権・環境問題(強制労働・児童労働、温室効果ガス排出等)、贈収賄や腐敗行為、情報セキュリティ侵害、規制違反などのリスクは、管理体制が不十分であると顕在化しやすくなります。 特に責任部署やモニタリングプロセスが曖昧な場合、デュー・デリジェンス(DD)の実施漏れや契約・監査未整備が生じ、高リスクパートナーに対して適切な評価・対応ができないまま取引を継続する事態が発生します。インシデントが発生すれば、事業の継続困難、罰金・制裁金の賦課、社会的信用の失墜、金銭的損失等の影響に加え、膨大な人的・物的リソースを突発対応に投入せざるを得なくなります。 主な対策 既存の各リージョンでのDD、人権DDにおけるインタビューとテーマ検討等の活動に加え、現状では、グループ全体のビジネスパートナーに係る基本方針・規程の策定による管理概要の明文化、安定供給に関わるパートナーの優先的なDD対象選定、グローバルでの運用プロセスの明文化に向けた各リージョンの管理体制現状確認を行っています。また、PSCI(Pharmaceutical Supply Chain Initiative)への加盟等を通じ、他社のDD状況・業界トレンドを踏まえた組織改善も進めています。 今後はDD対象選定基準や優先リスク評価基準の策定、SAQ(自己評価質問表)実施、リスク評価指針・対応手引き作成、高リスクパートナーへのモニタリング徹底、外部開示にも対応可能な監査体制の設計・実施を進めます。契約時・契約後のモニタリング網羅性向上、サプライヤー情報のグローバル一元管理も計画し、優先パートナーに対するアセスメント完了率や低減対策実施率などをモニタリングしていきます。 プロダクトポートフォリオ(Product Portfolio) リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響 研究開発から上市までの開発品・製品ポートフォリオは当社の持続的成長の基盤です。疾患領域別の投資方針(自社単独での価値創造・提供と他社との戦略的パートナリングによる価値最大化)を設定していますが、後期開発品への投資拡大、初期パイプライン偏在、パートナリング交渉難航等により、将来の売上・利益の均衡が崩れる恐れがあります。 短・中・長期視点での不十分な議論や財務観点との整合性欠如は、投資判断誤りや開発停滞を招き、株価下落、中長期的収益性悪化、機会損失につながります。 主な対策 現状、グローバル経営戦略会議等においてポートフォリオ分析(売上・利益予測、感度分析、シナリオ別成長予測、重大な影響要因=スイングファクター分析)を定期的に実施し、CxOレベルで現状と将来シナリオを共有しています。 今後は四半期ごとのプロダクトポートフォリオマネジメント会議を設置し、財務視点を含むシナリオ分析に基づく戦略方向性の認識一致を図ります。また、議論内容を開発実務に迅速反映し、スイングファクターに関連したワーストケースシナリオへの事前対応策などをモニタリングしていきます。 企業文化及び人材ポートフォリオ(Corporate Culture and Talent Portfolio) リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響 当社グループは、急速に環境変化する製薬業界において、持続的な成長と競争優位性を実現するため、高度な専門性、多様性、機動性を備えた組織と人材の確保が必須です。しかし、必要なケイパビリティが現状と乖離しているにもかかわらず、そのギャップを正しく認識し、計画的に是正する取組みが遅れると、イノベーションの創出が停滞し競争力が低下する恐れがあります。加えて、企業文化(KABEGOE Culture)の醸成が不十分である場合、優秀な人材の採用・定着が困難になり、エンゲージメントや生産性低下を招き、グローバル戦略遂行やビジョン達成の障害となります。 具体的には、グローバル×ローカルの一貫した人材戦略の欠如、People Leader(管理者層)の役割定義・期待値の不明確さ、Total Reward(報酬政策)やキャリア機会の競争力不足などが長期的な人材流出につながるほか、人材育成が場当たり的になり戦略人材のパイプライン構築が進まないという影響も顕著です。 主な対策 当社は、こうしたケイパビリティギャップの是正に向けて、人材マネジメント基盤の強化に着手しています。人事組織内にVirtual Global Sub-functionを設け、機能横断・地域横断の戦略推進体制を整備するとともに、グローバルな後継者計画(Global Succession Planning)を導入し、各ファンクションにおける次世代リーダー候補とその育成方針を明確化しています。さらに、研究開発領域には、価値創造型人材像の定義と人材育成施策を導入しました。 企業文化面では、Vision 2030の達成に向けてKABEGOE Principlesを継続的に社内へ浸透させ、Global HR Operation Model等の整備を通じた、国や部門を越えたタレントマネジメントの基盤構築を進めています。今後は、People Leaderへの期待役割を明確化し、その実現を支援する育成施策や、Total Reward Policyの明確化・報酬制度の再設計、加えて認証プログラムの強化に注力していきます。また、オペレーティングモデル変革を支えるため、社内表彰制度の刷新や部門横断の価値創出活動を拡充し、社員一人ひとりが変化を実感できる企業文化の発展を図っていきます。 バリューベース・ヘルスケアの進化と市場アクセス(The Advancement of Value-Based Healthcare and Market Access) リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響 医療費の高騰、薬価抑制圧力、費用対効果評価(HTA)の重視などにより、医薬品の保険償還や価格設定は厳格化しています。患者、Payer(保険者)、当局のニーズを十分に反映しない開発戦略や、経済的価値の検証プロセス不足により、製品へのアクセスが遅延・制限されるリスクがあります。 開発初期から市場アクセスや経済価値戦略を組み込む仕組み、具体的には、欧州HTA基準を満たす試験設計、費用対効果評価に対応しうる体制・人材、国ごとの価格ルール・交渉文化の違いへの柔軟対応力が必要です。これらが不足すると、上市後の価格・アクセス条件が不利となり、収益性や成長性が著しく低下します。 主な対策 当社は、開発初期段階からアクセス及び価値最大化戦略を製品戦略書やTarget Product Profile(TPP)に組み込み、研究開発委員会で戦略の整合性を確認しています。先行開発品や類似領域で得た知見を疾患領域チームのCross-functionalレビューにより共有し、欧州HTA基準を満たすPhaseⅢ試験設計の推進、費用対効果評価に対応可能な価格設定システムの改訂を行っています。さらに、主要製品では欧州共同臨床評価(JCA)への計画的対応を進め、米国及び欧州市場での交渉力強化に取組んでいます。併せて、国内の費用対効果評価への継続対応を可能とする体制・人材育成を行い、政府渉外部門、医療経済、Pharmacy Benefit Management(PBM)、ペイヤー対応部門等と連携しながら、各国事情に適合した価値最大化施策の標準化を目指しています。 日本市場における持続的成長(Sustainable growth of Japan Market) リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響 日本事業の中核を担う長期収載品に関する製品ライフサイクル戦略の実効が遅延した場合、ポートフォリオの改善が困難となり、高コスト構造が固定化する可能性があります。さらに、新製品の自社開発や国内導入が計画どおり進まない場合、日本市場における競争力が低下し、グループ全体の収益に影響を及ぼす恐れがあります。また、新薬の上市計画が遅延した場合、目標利益を大きく下回る可能性があり、持続的成長モデルへの転換が急務となります。 主な対策 当社は、製品ライフサイクル戦略の実行に向け、早期段階からパートナー企業やCDMOとの情報共有を進め、承継活動における透明性の向上と意思決定の迅速化を図っています。承継契約に関しては、法務デュー・デリジェンス及び関連契約の精査を実施し、組織間の連携を強化することで、円滑なプロジェクト遂行を支援しています。新薬の上市準備においては、日本市場向けのプレローンチチーム(JP Pre-launch Team)を設置し、これを支援する機能横断型タスクフォースを編成することで、各機能間の連携を強化し、円滑な上市準備を推進しています。今後は、プロジェクト管理機能のさらなる強化、デュー・デリジェンス情報の事前整理、タスクフォースによる支援体制の明確化、並びにマイルストン進捗のモニタリング精度向上を図ります。さらに、経営レベルでの議論を継続し、医療制度や市場環境の変化に対応した持続的成長モデルへの転換を目指します。 デジタル戦略の推進及びオペレーショナルエクセレンスの実現(The Advancement of Digital Strategy and Operational Excellence) リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響 当社グループでは2021年に「デジタルビジョン2030」を作成しDXを推進しています。各部門・リージョンで様々な取組みを行ってきていますが、全体最適化の視点ではさらなる強化の余地があり、本来期待されている全社レベルでのOperational Transformation効果(生産性向上、迅速意思決定、パイプライン加速等)、Life-changingな価値創出に向けた取組みが十分に発揮されない恐れがあります。 主な対策 当社は2025年4月にChief Digital Transformation Officer(CDXO)を設置するとともに、全社軸でのDXを推進するODX(Operational and Digital Transformation)を新設し、DXを軸とした業務改革を加速するとともに、DXやAI等に関する専門人材や変革型リーダーの強化・育成、併せてIT/デジタル投資のガバナンス体制の整備を進めています。今後も会社戦略に沿った投資優先順位の設定や戦略テーマの定期見直しを通じて、全社的なDX効果の最大化を目指します。 遺伝子細胞治療ビジネスの持続的成長(Sustainable Growth of Gene & Cell Therapy Business) リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響 当社は、2024年に造血幹細胞遺伝子治療プラットフォームを有するOrchard Therapeutics社を買収し、本プラットフォームを活用した有望な治療法の開発、並びに当社が培ってきた創薬技術との融合による新規治療法の研究開発を、“Vision 2030 and Beyond:中長期構想”の中核に位置付けています。しかし、事業統合後の事業戦略の策定や組織ガバナンス体制の構築が計画どおりに進まない場合、期待していたグループシナジーを十分に発揮できない可能性があります。また、遺伝子細胞治療(Gene & Cell Therapy)領域において、事業環境の変化や各国の規制変更等への対応が不十分となる場合、上市済み製品の販売促進による成長や革新的開発品の創出が停滞し、“Vision 2030 and Beyond:中長期構想”の達成に影響を及ぼすおそれがあります。 主な対策 当社は、Orchard Therapeutics社の造血幹細胞遺伝子治療プラットフォームを活用し、OTL-200(欧州製品名:Libmeldy、米国製品名:Lenmeldy)の地域拡大、及びOTL-203、OTL-201などの開発推進に取組んでいます。これにより、Gene & Cell Therapy領域における事業基盤を強化し、収益の安定化を図ります。さらに、両社共同による研究開発戦略策定、投資判断等を行うガバナンス会議を整備し、Gene & Cell Therapy領域固有の課題や事業環境の変化に対して、迅速かつ的確な意思決定を可能とする体制を構築します。加えて、グループ全拠点の特性やケイパビリティを最大限活用した研究開発体制の整備、並びに専門人材の育成を推進します。 米国政策(US Politics) リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響 米国政権の政策変更(関税、薬価規制等)は当社グループに直接的影響を及ぼします。薬価最恵国待遇(MFN Drug Pricing)政策が法制化されれば、米国での価格引下げや戦略変更が避けられず、他国薬価設定にも波及します。医薬品への高関税導入は、米国向け製造戦略に大きな損害を与えるほか、価格転嫁は政治的リスクを伴います。 主な対策 当社は、関税影響に備えて米国関税タスクフォースを設置し、生産・SCM、財務経理、法務、渉外、市場アクセス、薬事等の機能横断連携を強化し、また製造拠点移転を含む供給体制再構築を計画しています。さらに、米国及び日本での活動を通じて政策関与を強化するとともに、米国の子会社がPhRMAに加盟し、政治的影響力の向上を図っています。今後も米国議会の動向監視を継続し、供給キャパシティの確保と契約再構築を進めることで政治的リスクの低減を目指します。
経営成績の分析 (MD&A)11,835字を開く

業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 <事業の概況> 世界中で医療費抑制の圧力が強まり、また、各国の医療政策の内容がより強く相互に影響を及ぼす等、元来、新薬開発の難度が高い製薬業界にとって、事業環境がより厳しくなる環境変化が続いています。そのような状況の中、当社は「Story for Vision 2030」により事業戦略の解像度を高め、Vision 2030の実現に向けてより焦点を明確化した取組みを推進しました。アンメットメディカルニーズを満たす医薬品の提供のため、生産・品質保証・物流の強化を継続するとともに、新たなLife-changingな価値を創出すべく研究開発活動を行ってきました。 Crysvita(日本製品名:クリースビータ)*1、Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)*2では、上市国・地域の拡大や市場浸透に取組み、着実な成長を推進しました。Crysvitaにおいては、患者さん及び医療関係者から期待されていた在宅自己注射をより簡便で安全に行うことができる剤型として、皮下注シリンジを日本・欧州で販売開始しました。また、イタリアではCrysvitaが腫瘍性骨軟化症に対して保険償還の対象となりました。 OTL-200(欧州製品名:Libmeldy、米国製品名:Lenmeldy)は、スペインで保険償還の対象となり、日本においては早期発症型の異染性白質ジストロフィー(MLD)に対して希少疾病用再生医療等製品指定を、サウジアラビアにおいては希少疾病用医薬品指定と優先審査指定を取得しました。 骨・ミネラル領域では、Crysvitaに加え、KK8123及びKK8398(一般名:infigratinib)の開発も進行中です。日本においては、軟骨無形成症を対象としたinfigratinibの国内第Ⅲ相試験を開始しました。 血液がん・難治性血液疾患領域のziftomenib(米国製品名:KOMZIFTI)は米国においてNPM1変異を有する再発・難治性の成人急性骨髄性白血病(AML)に対する、1日1回経口投与可能なメニン阻害薬として世界で初めて承認されました。さらに、未治療AML患者を対象とした第Ⅲ相試験を開始しています。 免疫・アレルギー疾患領域のKHK4083(一般名:ロカチンリマブ)の開発ではAmgen社と連携しながら複数の臨床試験を推進しました。ロカチンリマブのアトピー性皮膚炎を対象とした長期的な安全性と有効性を評価する第Ⅲ相臨床試験ROCKET-Ascendの中間結果を公表し、米国での承認申請・販売開始に向けた取組みを推進しました。また、結節性痒疹を適応とした第Ⅲ相試験の患者さん登録を完了しました。 自己免疫疾患に関して、ファースト・イン・クラス低分子治療薬候補の開発を目的とした、前臨床開発プログラムに関するライセンスをBoehringer Ingelheim社に提供しました。 「Story for Vision 2030」に基づき、日本事業では、長期収載品の製品ライフサイクルマネジメントを進めています。協和キリンが長年にわたって価値を創り届け、患者さんへの継続的な供給が求められる製品を、他社に引き継ぎ、継続して患者さんに届けるための重要な取組みであり、「デパケン錠、R錠、細粒、シロップ」及び「アレロック顆粒」の製造販売承認を承継しました。 上記に加えて、バイオ医薬品開発のさらなる加速化に向け建設中であったHB7棟の竣工を迎えました。また、上記冒頭で記載した環境変化の中、Vision 2030に向けて日本における事業基盤をより持続可能な 姿へと大胆に転換し、組織能力の一層の強化を図るとともに、社員のキャリア開発の選択肢を広げることを目的に特別希望退職制度を実施しました。 *1:主に遺伝的な原因で骨の成長・代謝に障害をきたす希少な疾患の治療薬。 *2:特定の血液がんの治療薬。 (1)当期の財政状態の概況 (単位:億円) 前連結会計年度末   当連結会計年度末   増減 資産   10,674   11,079   405 非流動資産 流動資産   5,633 5,040   6,145 4,933   512 △107 負債   2,166   2,145   △20 資本   8,508   8,933   425 親会社所有者帰属持分比率(%)   79.7%   80.6%   0.9% ◎ 資産は、前連結会計年度末に比べ405億円増加し、11,079億円となりました。 ・非流動資産は、繰延税金資産や関係会社社債等は減少しましたが、有形固定資産及び無形資産の増加により、前連結会計年度末に比べ512億円増加し、6,145億円となりました。 ・流動資産は、営業債権及びその他の債権は増加しましたが、現金及び現金同等物や棚卸資産等の減少により、前連結会計年度末に比べ107億円減少し、4,933億円となりました。 ◎ 負債は、未払法人所得税は増加しましたが、持分法適用に伴う負債の減少等により、前連結会計年度末に比べ20億円減少し、2,145億円となりました。 ◎ 資本は、配当金の支払いによる減少がありましたが、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上に加え、為替影響による在外営業活動体の換算差額の増加等により、前連結会計年度末に比べ425億円増加し、8,933億円となりました。この結果、当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べ0.9ポイント増加し、80.6%となりました。 (2)当期の経営成績の概況 ① 業績の概況 当社グループは、グローバルに事業を展開していることから、国際会計基準(以下「IFRS」という。)を適用していますが、事業活動による経常的な収益性を示す段階利益として「コア営業利益」を採用しています。当該「コア営業利益」は、「売上総利益」から「販売費及び一般管理費」及び「研究開発費」を控除し、「持分法による投資損益」を加えて算出しています。 (単位:億円) 前連結会計年度   当連結会計年度   増減   増減率 % 売上収益   4,956   4,968   13   0.3% コア営業利益   954   1,031   77   8.0% 税引前利益   835   872   38   4.5% 親会社の所有者に帰属する当期利益   599   670   72   12.0% <期中平均為替レート> 通貨   前連結会計年度   当連結会計年度   増減 米ドル(USD/円)   151円   150円   △1円 英ポンド(GBP/円)   193円   197円   4円 ユーロ(EUR/円)   164円   168円   4円 当連結会計年度の売上収益は4,968億円(前連結会計年度比0.3%増)、コア営業利益は1,031億円(同8.0%増)となり、いずれも過去最高を更新しました。また、親会社の所有者に帰属する当期利益は670億円(同12.0%増)となりました。 ◎ 売上収益は、APACリージョンの事業再編による影響や日本における薬価基準引下げの影響があったものの、北米及びEMEAを中心としたグローバル戦略品の伸長に加え、技術収入の増加により、増収となりました。なお、売上収益に係る為替の減収影響は4億円となりました。 ◎ コア営業利益は、海外売上収益や技術収入の増加に伴う売上総利益の増加に加え、販売費及び一般管理費、研究開発費が減少したことにより、増益となりました。なお、コア営業利益に係る為替の減益影響は7億円となりました。 ◎ 親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に中国子会社株式売却益を計上していたことから、その他の収益が減少したものの、コア営業利益の増加などにより、増益となりました。 ② 地域統括会社別の売上収益 (単位:億円) 前連結会計年度   当連結会計年度   増減   増減率 % 日本   1,347   1,225   △121   △9.0% 北米   1,744   1,925   181   10.4% EMEA   849   837   △13   △1.5% その他   1,015   981   △34   △3.4% 売上収益合計   4,956   4,968   13   0.3% (注)1.One Kyowa Kirin 体制(地域(リージョン)軸、機能(ファンクション)軸と製品(フランチャイズ)軸を組み合わせたグローバルマネジメント体制)における地域統括会社(連結)の製商品の売上収益を基礎として区分しています。 2.EMEAは、ヨーロッパ、中東及びアフリカ等です。 3.その他は、技術収入、造血幹細胞遺伝子治療(Orchard Therapeutics社の売上収益)及び受託製造等です。 4.前連結会計年度において区分掲記していた「アジア/オセアニア」の売上収益(416億円)は、2024年のAPACリージョンの事業再編に伴い、当連結会計年度より「その他」に含めて表示しています。 <日本リージョンの売上収益> (単位:億円) 前連結会計年度   当連結会計年度   増減   増減率 % クリースビータ   117   136   19   16.0% ダルベポエチン アルファ注シリンジ「KKF」   116   104   △11   △9.8% ダーブロック   127   155   28   21.6% フォゼベル   47   82   36   76.7% ジーラスタ   205   182   △24   △11.5% ドボベット   79   -   △79   - ◎ 日本の売上収益は、高リン血症治療剤フォゼベル等が伸長したものの、尋常性乾癬治療剤ドボベットの販売提携契約終了や、2024年4月及び2025年4月に実施された薬価基準引下げの影響等を受け、前連結会計年度を下回りました。 ・FGF23関連疾患治療剤クリースビータは、2019年の発売以来、順調に売上収益を伸ばしています。また、2025年11月には、在宅自己注射をより簡便に行えるシリンジ型製剤「クリースビータ皮下注シリンジ」を発売しました。 ・腎性貧血治療剤ダルベポエチン アルファ注シリンジ「KKF」は、薬価基準引下げ及び競合品浸透の影響を受け、売上収益が減少しました。 ・腎性貧血治療剤ダーブロックは、2020年の発売以来、順調に売上収益を伸ばしています。 ・高リン血症治療剤フォゼベルは、2024年2月の販売開始以降、順調に売上収益を伸ばしています。 ・発熱性好中球減少症発症抑制剤ジーラスタは、バイオ後続品の影響や薬価基準引下げの影響を受け、売上収益が減少しました。 ・尋常性乾癬治療剤ドボベットは、レオ ファーマ株式会社との販売提携契約が2024年12月31日で終了したため、売上収益が減少しました。 <海外リージョン及びその他の売上収益> (単位:億円) 前連結会計年度   当連結会計年度   増減   増減率 % Crysvita   1,848   2,028   180   9.7% Poteligeo   381   441   60   15.6% Libmeldy/Lenmeldy   33   64   32   96.1% ◎ 北米の売上収益は、グローバル戦略品の伸長により、前連結会計年度を上回りました。 ・X染色体連鎖性低リン血症治療剤Crysvita(日本製品名:クリースビータ)は、2018年の発売以来、順調に売上収益を伸ばしています。 ・抗悪性腫瘍剤Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)は、2018年の発売以来、売上収益を伸ばしています。 ・再発又は難治性急性骨髄性白血病(AML)のうち、感受性のあるNPM1変異を有し、かつ満足すべき代替治療手段がない成人患者を対象として、KOMZIFTI(一般名:ziftomenib)について、2025年11月に米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得し、米国での販売を開始しました。KOMZIFTIについては、Kura Oncology社との戦略的提携契約に基づき、米国においては50:50でプロフィットシェアを行います。当社はプロフィットシェア後のネット損益がプラスの場合は売上収益として計上し、マイナスの場合は販売費及び一般管理費として処理しますが、当連結会計年度はネット損益がマイナスとなったため、販売費及び一般管理費に計上しています。 ◎ EMEAの売上収益は、グローバル戦略品の伸長や1ブランドの権利譲渡による収入などがあったものの、2024年に3ブランドの権利譲渡による131億円(66.4百万ポンド)の収入があった反動もあり、前連結会計年度を下回りました。 ・X染色体連鎖性低リン血症治療剤Crysvita(日本製品名:クリースビータ)は、2018年の発売以来、適応及び上市国を拡大しながら売上収益を伸ばしています。 ・抗悪性腫瘍剤Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)は、2020年の発売以来、上市国を拡大しながら売上収益を伸ばしています。 ・エスタブリッシュト医薬品1ブランドに関する権利(知的財産)の合弁会社への譲渡(2025年7月)により、77億円(38.5百万ポンド)の売上収益を計上しました。なお、当該金額には2024年7月に譲渡した3ブランドに関する価格調整差額が含まれています。 ◎ その他の売上収益は、APACリージョンの事業再編の影響により、前連結会計年度を下回りました。 ・異染性白質ジストロフィー(MLD)治療Libmeldy/Lenmeldyは、欧州が堅調なことに加えて、米国での売上計上が始まり、順調に売上収益を伸ばしました。また、2025年12月には、米国推奨統一スクリーニングパネル(RUSP:Recommended Uniform Screening Panel)に異染性白質ジストロフィー(MLD)が追加されました。 ・AstraZeneca社からのベンラリズマブに関する売上ロイヤルティの増加に加え、Boehringer Ingelheim社からの契約一時金収入及びマイルストン収入等により、技術収入は増加しました。 ・2024年9月末のAPACリージョンの事業再編に伴い、エスタブリッシュト医薬品等の売上収益が大きく(145億円)減少しました。 ③ コア営業利益 ◎ コア営業利益は、売上総利益の増加に加え、販売費及び一般管理費、研究開発費の減少等により、前連結会計年度を上回りました。 (3)当期のキャッシュ・フローの概況 「(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析 ③ キャッシュ・フローの状況、資本の財源及び資金の流動性についての分析」に記載のとおりです。 (4)生産、受注及び販売の実績 ① 生産実績 当連結会計年度の生産実績は、次のとおりです。 セグメントの名称   金額(百万円)   前期比(%) 医薬   373,176   89.1 合計   373,176   89.1 (注)1.金額は販売価格によっています。 2.当社グループ内において原材料等として使用する中間製品については、その取引額が僅少であるため相殺消去等の調整は行っていません。 3.当連結会計年度より算出方法を変更したことに伴い、前期比は前連結会計年度の実績を再算出して計算しています。 ② 受注実績 当社グループは、主として販売計画に基づいた生産を行っています。一部の製品で受注生産を行っていますが、受注高及び受注残高の金額に重要性はないため、記載を省略しています。 ③ 販売実績 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりです。 セグメントの名称   金額(百万円)   前期比(%) 医薬   496,826   100.3 合計   496,826   100.3 (注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。 相手先   前連結会計年度   当連結会計年度 金額(百万円)   割合(%)   金額(百万円)   割合(%) CVS Caremark社   58,476   11.8   71,036   14.3 (5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析 文中の将来に関する記述は、当連結会計年度末(2025年12月31日現在)において当社グループが入手している情報及び判断に基づいたものです。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (5) 会計上の判断、見積り及び仮定」に記載のとおりです。 ② 当期の財政状態及び経営成績の分析 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析については、「(1) 当期の財政状態の概況、(2) 当期の経営成績の概況」に記載のとおりです。 ◎ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 2021-2025年中期経営計画の最終年度である当連結会計年度(2025年度)における、主要財務指標の目標及び実績は、以下のとおりです。 2025年度 経営目標   当連結会計年度 実績 ROE   10%以上   7.7%   当期利益÷期首期末平均資本 売上収益成長率(CAGR)   10%以上   9.3%   2020年度を基準年度とした 年平均成長率 研究開発費率   18~20%を 目処に積極投資   20.4%   研究開発費÷売上収益 コア営業利益率   25%以上   20.7%   コア営業利益÷売上収益 配当性向(注)   40%を目処に 継続増配   40.8%(5年平均) 9期連続の増配 (注)コアEPS(経常的な収益性を示す指標として、「当期利益」から「その他の収益」及び「その他の費用」並びにこれらに係る「法人所得税費用」を控除した「コア当期利益」を期中平均株式数で除して算定)に対する配当性向を記載しています。 当社グループは、2021-2025年中期経営計画において、成長性、イノベーション創出能力、収益性を持続的に高めていくことにより、中長期的なROEの向上と継続増配を実現し、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとしての安定した収益構造の確立と持続的な成長を目指してきました。その目標達成状況を判断する客観的な指標として、「ROE」「売上収益成長率」「研究開発費率」「コア営業利益率」「配当性向」の5つの財務指標(KPI)を掲げていました。 期間中、主力製品では、Crysvitaについて2023年に北米での自社販売を開始したほか、Poteligeoでも上市国・地域の拡大及び市場浸透を進め、着実に売上を伸ばしました。研究開発では、KHK4083(一般名:ロカチンリマブ)についてROCKETプログラムが進展したほか、KHK4951の第Ⅱ相試験や、KK8123等の6開発品の第Ⅰ相試験を開始しました。一方で、ME-401やRTA 402等の開発中止があったものの、日本ではフォゼベル錠、米国ではLenmeldy及びKOMZIFTIを上市しました。また、グローバルでの品質保証及び安定供給体制の強化に向け、eQMSの導入や、高崎での品質関連複合施設「Q-TOWER」及びバイオ医薬品原薬製造棟「HB7」の稼働、米国バイオ医薬品原薬製造工場「サンフォード工場」の建設等の設備投資も実施しました。 これらの結果、売上収益成長率は、欧州におけるエスタブリッシュト医薬品事業の合弁提携化やAPACリージョンの事業再編に伴う売上収益の減少影響もあり、目標の10%を下回りました。研究開発費率は、積極的な投資により目標水準で推移しました。コア営業利益率は、目標の25%に届かなかったものの、2021年、2022年、2023年及び2025年の4年度において過去最高のコア営業利益を達成しました。ROEは、2023年単年度のみ10%以上を達成したものの、掲げた目標の継続的な達成には至りませんでした。 また、ROE及びコア営業利益率は引き続き当社にとって最重要の経営指標であり、2026年2月に公表した「Vision 2030 and Beyond:中長期構想」において、2030年代前半までにROE10%台前半、コア営業利益率30%を実現することを中長期財務目標として再設定しています。 なお、当期末の剰余金の配当については、1株につき32円を予定しており、2026年3月19日開催予定の第103回定時株主総会で承認されますと、中間配当金30円を加えた年間配当金は、前連結会計年度に比べ4円増配の年間62円(配当性向40.5%)となります。これにより、5年平均の配当性向は40.8%となり、9期連続の増配となる予定です。 ③ キャッシュ・フローの状況、資本の財源及び資金の流動性についての分析 ◎当期のキャッシュ・フローの概況 (単位:億円) 前連結会計年度   当連結会計年度   増減   増減率 % 営業活動によるキャッシュ・フロー   679   966   287   42.3% 投資活動によるキャッシュ・フロー   △1,424   △892   532   △37.4% 財務活動によるキャッシュ・フロー   △847   △369   478   △56.5% 現金及び現金同等物の期首残高   4,031   2,447   △1,584   △39.3% 現金及び現金同等物の期末残高   2,447   2,188   △259   △10.6% ◎ 当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末の2,447億円に比べ259億円減少し、2,188億円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。 ◎ 営業活動によるキャッシュ・フローは、966億円の収入(前連結会計年度は679億円の収入)となりました。主な収入要因は、税引前利益872億円に加えて、減価償却費及び償却費261億円です。一方、主な支出要因は、営業債権の増加額224億円、契約負債の減少額61億円です。 ◎ 投資活動によるキャッシュ・フローは、892億円の支出(前連結会計年度は1,424億円の支出)となりました。主な支出要因は、無形資産の取得による支出458億円、有形固定資産の取得による支出377億円、米国バイオ医薬品原薬製造工場建設資金の一部のエスクロー口座への振替による支出77億円です。 ◎ 財務活動によるキャッシュ・フローは、369億円の支出(前連結会計年度は847億円の支出)となりました。主な支出要因は、配当金の支払額309億円、リース負債の返済による支出60億円です。 ◎ 資本政策の基本的な方針 当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するため、自己資本利益率(ROE)及びコア営業利益*1率を重要な経営指標として位置付け、2030年代前半までにROE10%台前半、コア営業利益率30%の実現を目指す中長期財務目標を設定し、経営を行っています。 このための経営資源の配分、株主還元、資金調達についての方針は、以下のとおりです。なお、当社は、支配権の変動や大規模な希釈化をもたらす資本政策等については、取締役会において、全てのステークホルダーにおける企業価値の観点から十分に検討したうえで合理的な判断を行います。 *1 2026年12月期以降、連結財務諸表におけるコアベースの業績の定義を以下のとおり変更。新コアベースにおけるコア営業利益率を1つの重要な経営指標と位置付け、中長期的な目標値を設定する。 (従来のコア営業利益) コア営業利益:売上総利益-販売費及び一般管理費-研究開発費+持分法による投資損益 (新コア営業利益) コア営業利益:売上総利益-販売費及び一般管理費(無形資産償却費を除く)-研究開発費-会社が除外すべきと判断する項目 ・経営資源の配分についての方針 当社グループは、事業活動により創出されるキャッシュ・フロー及び手元資金並びに借入余力を活用し、成長投資を最優先とした資本配分を行いながら、安定的な株主還元を実現する方針です。 成長投資については、R&D投資と戦略投資を両輪として推進し、短期的な業績変動に過度に左右されることなく、長期的に安定した収益基盤を構築していきます。 R&D投資については、「2030年代前半までに20以上の新規パイプライン、10以上の適応症でFDA承認」という中長期パイプライン目標の実現に向け、積極的な投資を継続します。当社が強みを有する先進的抗体技術や造血幹細胞遺伝子治療といったモダリティに加え、骨・ミネラル、血液がん・難治性血液疾患及び希少疾患のフォーカス疾患領域にリソースを集中します。さらに、グローバル横断の研究連携を通じて研究基盤の強化を進めます。また、患者さんのニーズと革新的サイエンスの掛け合わせによるLife-changingな価値の創出に取組み、ziftomenib(米国製品名:KOMZIFTI)、KK8123、KK2845、OTL-203などの重点開発テーマを着実に推進します。なお、当連結会計年度のR&D活動については、「6 研究開発活動」に記載のとおりです。 戦略投資については、フォーカス領域における製品導入やM&Aなどを通じた外部アセットの獲得を視野に入れ、新たなパイプラインや収益機会につながるインオーガニックな成長機会を積極的に追求し、さらなる成長を目指します。 設備投資については、米国バイオ医薬品原薬製造工場(サンフォード工場)の建設を軸に、グローバル生産ネットワークの整備・強化を進め、高品質な医薬品を安定的かつレジリエントに供給できる体制の構築を図ります。また、IT・DX・AI投資によりデータ基盤やガバナンスを高度化し、AI活用によるオペレーションモデルの転換や業務プロセスの効率化を推進することで、オペレーショナルエクセレンスの追求につなげます。なお、当連結会計年度の設備投資については、「第3 設備の状況」に記載のとおりです。 これらの投資案件や開発プロジェクトの事業性評価においては、投資家の皆様が当社に期待する資本コスト(WACC)を反映したハードルレート(地域別)を用いた正味現在価値(NPV)と期待現在価値(EPV)を主たる定量的な基準としています。投資の判断においても、資本コストを上回るリターンの創出を重視しています。 ・株主還元についての方針 2025年度までコアEPS*2に対する配当性向40%を目処に、中長期的な利益成長に応じた安定的かつ持続的な配当水準の向上(継続的な増配)を目指してきましたが、より安定的な株主還元を実現するため、2026年度より、DOE4%*3以上かつ累進配当を基本とする配当方針へ変更します。この方針に基づき、2025年度の配当については、2024年度より4円増配の62円(配当性向40.5%)を予定しています。また、2026年度の配当については、8円増配の70円(DOE4.1%)と、10期連続の増配を予定しています。なお、自己株式の取得については、戦略投資の状況や業績・株価動向等を勘案し、ROEを意識しながら機動的に検討します。 ROE向上に向けた経営の規律を一層強化し、資本コストを十分に意識した経営を推進することで企業価値の向上を図るとともに、株主の皆さまへの利益還元を一層充実させ、資本効率の向上に取組みます。 *2 従来のコアベースによるコアEPS (従来のコアEPS) コア EPS:コア当期利益(当期利益-その他の収益・費用 (税金影響控除後))÷期中平均株式数 (新コアEPS) コアEPS:コア当期利益(コア営業利益-コア営業利益に係る税金費用)÷期中平均株式数 *3 DOE:配当額÷期首資本 ・資金調達についての方針 引き続きネットキャッシュポジションの維持を原則としますが、手元資金に加えて、戦略的な投資案件に備えた借入余力(原則としてネットD/Eレシオ0.5倍以下の範囲内で維持)と機動的な資金調達手段(CP(コマーシャル・ペーパー)、コミットメントライン)も確保し、十分な財務柔軟性を維持します。

EDINET提出の有価証券報告書から自動抽出。表は文字起こしのため崩れることがあります。

開示資料

出典

このページの財務・役員・株主等のデータは、金融庁EDINETに提出された開示書類から自動抽出しています。会計基準は IFRS

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