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超!企業DB
日経平均64,214.48-111NYダウ53,686.11+624ドル円155.8-3NASDAQ26,584.06+366S&P 5007,747.71+81SOX 指数11,352.13+139/3終値

DIC

DIC Corporation4631 · Prime · 化学

印刷インキ・顔料で国内最大級。包装材や電子材料にも素材供給を広げる総合化学メーカー。

概要

DICは1908年に創業した化学メーカーであり、世界最大級の印刷インキメーカーとして知られる。インキ・顔料・合成樹脂を中核とし、液晶ディスプレイ用カラーフィルター材料や半導体封止材向けエポキシ樹脂など電子材料も手がける。2024年12月期の連結売上高は1兆711億円、従業員数は約2万900人。東京証券取引所プライム市場に上場し、約60か国で事業を展開する。

三つのセグメントが支える収益構造

DICの事業は三つの報告セグメントで構成される。パッケージング&グラフィックは売上高の約52%を占め、グラビアインキ・フレキソインキなどの印刷インキやポリスチレン・包材用接着剤を提供する。カラー&ディスプレイは約24%を占め、塗料・プラスチック・インキ向け有機顔料のほか、液晶ディスプレイ用カラーフィルター顔料や化粧品用顔料を扱う。ファンクショナルプロダクツは約28%を占め、合成樹脂(ポリエステル・ウレタン・アクリル)、PPSコンパウンド、エポキシ樹脂、工業用テープ、UV硬化型樹脂などを供給する。2024年12月期の営業利益は522億円(営業利益率4.96%)であり、カラー&ディスプレイが赤字から黒字転換したことが全体の増益に寄与した。

約60か国に広がるグローバルネットワーク

DICは約60か国で事業を展開し、連結子会社145社と関連会社17社を持つ。各地域に生産・販売拠点を配置し、現地化を進めてきた。1932年に上海出張所を開設して以降、タイ(1960年)、シンガポール(1968年)などアジアに早期進出。米国では1979年にPolychrome Corp.を買収し、1986年にはSun Chemical Corporationのグラフィックアーツ部門、1999年にはフランスCoatesグループを買収。欧州・米州での事業拡大により、現地通貨ベースでの売上増加を図っている。中国では2003年に迪愛生投資有限公司を設立し地域統括機能を担わせている。各地域の景気変動や為替影響を受けやすい構造であり、2025年12月期の売上高は前年比1.8%減の1兆522億円と予想されるが、高付加価値製品の拡販で収益改善を目指す。

連結子会社145社によるグループ経営

DICグループは当社、連結子会社145社、関連会社17社で構成される。子会社には国内のDICグラフィックス株式会社(2005年大日本印刷との統合で設立)、海外のSun Chemical Corporation(米国)、DIC Asia Pacific Pte Ltd(シンガポール)などがある。過去には日本ライヒホールド化学工業(JRC)を吸収合併し、Reichholdグループを買収後に売却するなど、ポートフォリオの入れ替えを繰り返してきた。2025年には星光PMC株式会社(旧CHEMIPAZ株式会社)の全保有株式を譲渡し、事業構造を整理した。グループ全体の従業員は約2万900人。経営方針「DIC Vision 2030」の下、ケミトロニクスやコンポジット/デバイス分野を成長事業と位置づけ、半導体・バッテリー・フィジカルAI関連の素材提供に資源を集中する方針である。

業界の中での役割は印刷インキ・顔料・機能性材料のグローバルサプライヤーにあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

売上高
1.1兆円
営業利益
522億円
営業利益率
5.0%
純利益
324億円
2025/12 通期の連結業績。決算の内訳は最新の決算以降にあります。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2025/3期)より

01パッケージング&グラフィック主力

包装・印刷業界向けに、グラビアインキ、フレキソインキ、オフセットインキ、新聞インキ等の印刷インキ、ポリスチレン、包材用接着剤、多層フィルム等の包装材料を提供。

主な製品・サービス4
グラビアインキ
グラビア印刷用のインキ。包装フィルムや雑誌等に使用。
フレキソインキ
フレキソ印刷用インキ。段ボールや軟包装向け。
オフセットインキ
オフセット印刷用インキ。商業印刷・出版印刷向け。
ポリスチレン
包装容器や食品トレー等に用いられる熱可塑性樹脂。

02カラー&ディスプレイ準主力

塗料、プラスチック、インキ、カラーフィルタ等向けに有機顔料を供給。化粧品用顔料やヘルスケア食品も扱う。

主な製品・サービス4
塗料用顔料
自動車塗料や建築塗料等に使用される着色顔料。
プラスチック用顔料
プラスチック製品を着色するための顔料。
インキ用顔料
印刷インキの着色に使用する顔料。
カラーフィルタ用顔料
液晶ディスプレイのカラーフィルタに用いる顔料。

03ファンクショナルプロダクツ準主力

インキ・塗料用、成形用、接着用等の各種合成樹脂(ポリエステル、ウレタン、アクリル等)、PPSコンパウンド、エポキシ樹脂、工業用テープ等を提供。電子材料向けのUV硬化型樹脂やフォトレジストポリマーも含む。

主な製品・サービス4
合成樹脂(ウレタン・ポリエステル等)
塗料・インキ・接着剤等の原料となる樹脂。
PPSコンパウンド
ポリフェニレンサルファイド樹脂を強化した高機能エンジニアリングプラスチック。
エポキシ樹脂
半導体封止材や接着剤等に用いられる樹脂。
UV硬化型樹脂
紫外線で硬化する樹脂。電子材料・コーティング用途。

製品と技術

印刷インキ:グラビアからジェットインキまで

DICは世界最大級の印刷インキメーカーであり、グラビアインキ、フレキソインキ、オフセットインキ、新聞インキ、金属インキ、セキュリティインキ、ジェットインキなどを製造する。グラビアインキは包装フィルムや雑誌向け、フレキソインキは段ボールや軟包装向け、オフセットインキは商業印刷・出版印刷に使用される。近年はデジタル印刷向けジェットインキの出荷が増加し、2024年には増収を達成。インキ事業はパッケージング&グラフィックセグメントの中核であり、食品包装用インキは日本・米州・欧州で価格対応を進めた結果、現地通貨ベースで増収を実現した。ただし、出版用インキは構造的な需要減少に直面している。

有機顔料とカラーフィルター材料

カラー&ディスプレイセグメントでは、有機顔料を塗料、プラスチック、インキ、カラーフィルター向けに供給する。塗料用顔料は自動車や建築分野、プラスチック用顔料は日用製品、インキ用顔料は印刷インキの着色に用いられる。特に液晶ディスプレイ用カラーフィルター顔料は、DICの高い技術力を反映する製品である。化粧品用顔料やエフェクト顔料も手がけ、Benda-Lutzグループ買収(2005年)で同事業に本格参入した。2024年には欧米顔料事業の構造改革により、赤字であった海外地域が黒字転換。売上高は前年比3.7%減の2,475億円だったが、営業利益は50億円と黒字化を果たした。

機能性樹脂と電子材料:エポキシ樹脂からPPSコンパウンド

ファンクショナルプロダクツセグメントは、合成樹脂(ポリエステル、ウレタン、アクリル、改質剤)、PPSコンパウンド、エポキシ樹脂、工業用テープ、UV硬化型樹脂、フォトレジストポリマーなどを提供する。エポキシ樹脂は半導体封止材や接着剤用途で需要が堅調。PPSコンパウンドは自動車部品向けに使用される。2024年にはUV硬化型樹脂や工業用テープの出荷が増加し、同セグメントの営業利益は前年比7.9%増の231億円。半導体市場の旺盛な需要を背景に、ケミトロニクス事業(エポキシ樹脂、UV硬化型樹脂、フォトレジストポリマー)を成長ドライバーと位置づけ、AI半導体向け素材の拡販を進めている。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

化学のなかでの位置

印刷インキで世界首位、食品事業も展開

印刷インキで世界首位級のシェアを持つ化学メーカー。2024年12月期は売上高10711億円、営業利益率4.15%と低収益。2025年12月期は4.96%と小幅改善。同業のクラレや東洋紡と比べ、インキや樹脂で定評があるが、成長性は限定的。食品・健康事業も展開するが、全体の収益性は低い。原材料価格の高止まりや需要の構造的な減少が課題。

強み

  • 印刷インキで世界シェア首位級を誇り、ブランド力が高い
  • インキ・樹脂・食品と事業を分散し、リスクを緩和
  • 世界各地に生産・販売拠点を持ち、顧客の要望に柔軟に対応
  • 機能性材料や環境対応製品の開発力に定評がある

課題

  • 営業利益率5%未満と低く、事業ポートフォリオの見直しが必要
  • 印刷メディアの縮小に伴い、インキ需要が構造的に減少
  • 石化原料価格が高止まりし、コスト転嫁が追い付かない

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

機能性化学の時価総額近傍。太字がDIC

時価総額で並べると、掲載11社のなかで6番目にあたる。

#企業時価総額PER
14912ライオン5,197億円17.8倍
24205日本ゼオン5,195億円13.3倍
34980デクセリアルズ5,023億円18.0倍
44613関西ペイント5,014億円19.0倍
54401ADEKA4,800億円16.6倍
64631DIC4,692億円8.3倍
75301東海カーボン4,111億円20.5倍
84114日本触媒3,978億円23.7倍
94202ダイセル3,956億円38.3倍
104118カネカ3,913億円12.4倍
117966リンテック3,871億円20.2倍

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は独自の業界分類(機能性化学)に従っています。

会社の歴史

沿革 25件

川村インキ製造所創業から法人化まで

1908年2月、東京・本所に川村インキ製造所として創業。1912年に商号を川村喜十郎商店に変更した。1932年5月には上海出張所を開設し、海外展開の第一歩を踏み出す。1937年2月、資本金100万円で法人組織となり、商号を大日本インキ製造株式会社として設立(登記日は同年3月15日)。1945年3月、本店を本所から板橋区に移転し、現在の東京工場の地に定着した。1950年5月には東京証券取引所に株式を上場し、1961年には市場第一部に指定された。戦後間もない時期から、印刷インキ専業メーカーとして国内基盤を固めた。

合成樹脂事業への進出とJRC合併

1952年2月、米国Reichhold Chemicals, Inc.との合弁で日本ライヒホールド化学工業(JRC)を設立し、各種合成樹脂の製造・販売を開始。1960年11月にJRCは株式店頭公開、1961年11月には東京証券取引所市場第二部に上場した。1962年10月、JRCを吸収合併し、商号を大日本インキ化学工業株式会社(DIC)に変更。これにより、インキに加え合成樹脂(ポリエステル、ウレタン等)を自社で生産できる体制を確立した。1968年1月には米国Hercules Inc.との合弁で製紙用薬品事業に参入するなど、事業領域を拡大した。

アジア進出と液晶開発の1950~70年代

1960年7月、タイで合弁会社を設立し、1962年よりバンコク郊外で印刷インキ生産を開始。1968年5月にはシンガポールに現地法人を設立。1974年3月にはタイで合成樹脂生産を開始した。同時期、新技術開発事業団からの委託研究「B-B留分を出発原料とするエポキシ樹脂の開発」が1968年に成功認定され、1971年に事業化。1973年5月には、使用温度範囲・コントラスト・寿命で従来を大きく上回るネマティック型液晶を開発し、電卓での採用を獲得。この液晶技術は後のディスプレイ事業の基盤となった。1974年7月には健康食品事業として高たん白らせん藻「スピルリナ」の企業化を開始。

1980年代の大型買収によるグローバル化

1979年3月、米国の印刷材料メーカーPolychrome Corp.を公開買付で買収(後にSun Chemicalへ統合)。1986年12月、米国Sun Chemical Corporationのグラフィックアーツ部門を買収し、新Sun Chemical(現連結子会社)を発足。これにより世界最大級の印刷インキメーカーへの道を開いた。1987年9月には米国Reichhold Chemicals Inc.を公開買付で買収し、合成樹脂事業の海外展開を加速。1980年10月には米国Phillips PetroleumからPPSコンパウンド技術を導入し、高機能樹脂分野に参入した。これらのM&Aにより、売上高は急速に拡大した。

1990年代~2000年代の事業再編と商号変更

1997年12月、米国Eastman Kodakとの合弁で印刷材料メーカーKodak Polychrome Graphics(KPG)を設立。1999年12月、フランスTotalfina他からCoatesグループの印刷インキ事業を買収し、欧州でのシェアを強化した。2005年4月、KPGから出資分の資本償還を受け、Kodakが100%子会社化。同時期、ReichholdグループをMBO方式で売却し、事業ポートフォリオを整理。2005年、創業100周年を機に商号をDIC株式会社に変更。大日本印刷の子会社と国内印刷インキ事業を統合し、DICグラフィックス株式会社を設立した。2005年にはBenda-Lutzグループ買収でエフェクト顔料、Kingfisher Colours買収で化粧品用顔料に本格参入。

2010年代以降の構造改革と成長戦略

2010年代、太陽ホールディングスとの資本業務提携(2018年)やBASFからの顔料事業買収(2022年)を実施。2023年12月期は営業損失399億円の赤字に陥ったが、2024年12月期は構造改革の効果で営業利益445億円(営業利益率4.15%)に回復。2025年12月期には営業利益522億円(同4.96%)を見込む。2022年には長期経営計画「DIC Vision 2030」を策定し、ケミトロニクス(エポキシ樹脂、UV硬化型樹脂、フォトレジストポリマー)やコンポジット/デバイス(PPSコンパウンド、中空糸膜)を成長事業に位置づけ。2025年には星光PMC株式を全て売却し、経営資源を集中させる方針である。

年表25件を開く

1900年代

  • 1908年2月創業東京・本所に川村インキ製造所創業(1912年に商号を川村喜十郎商店に変更)

1930年代

  • 1932年5月上海出張所を開設
  • 1937年2月創業資本金100万円の法人組織となし、商号を大日本インキ製造株式会社として設立(設立登記日1937年3月15日)

1940年代

  • 1945年3月本店(本社工場)を本所より板橋に移転(現東京工場)

1950年代

  • 1950年5月上場株式を東京証券取引所に上場(1961年より市場区分として第一部)
  • 1952年2月米国の合成樹脂メーカー Reichhold Chemicals, Inc.との合弁出資により、各種合成樹脂の製造・販売を行う日本ライヒホールド化学工業株式会社(JRC)を設立

1960年代

  • 1960年7月タイで合弁出資によりタイ・ワタナ・インダストリー(後のDIC Graphics (Thailand) Co., Ltd.)を設立、1962年よりバンコック郊外で印刷インキ生産を開始
  • 1960年11月JRCが株式を店頭公開
  • 1961年11月上場JRCが株式を東京証券取引所市場第二部に上場
  • 1962年10月M&AJRCを吸収合併し、商号を大日本インキ化学工業株式会社(DIC)に変更
  • 1968年1月M&A米国Hercules Inc.との合弁により、製紙用薬品事業を行うディック・ハーキュレス株式会社設立(その後1992年に合弁を解消し日本ピー・エム・シー株式会社、1996年に日本PMC株式会社、2003年に星光化学株式会社と合併し星光PMC株式会社)
  • 1968年5月創業シンガポール大日本インキ化学工業(後のDIC Asia Pacific Pte Ltd)を設立
  • 1968年10月新技術開発事業団からの委託研究「B-B留分を出発原料とするエポキシ樹脂の開発」が成功認定、独占実施権を獲得(1971年事業化)

1970年代

  • 1973年5月使用温度範囲、コントラスト、寿命などで従来水準を大きく上回る画期的なネマティック型液晶を開発、電卓での採用を獲得
  • 1974年3月タイで合弁出資によりSiam Chemical Industry Co., Ltd.を設立、1975年より合成樹脂生産を開始
  • 1974年7月高たん白らせん藻「スピルリナ」の企業化を開始(健康食品事業へ参入)
  • 1979年3月M&A米国の印刷材料メーカー Polychrome Corp.(1989年にSun Chemical Corporationへ吸収合併)を株式の公開買付により買収

1980年代

  • 1980年10月米国Phillips Petroleumからの技術導入によりPPSコンパウンドの技術を導入
  • 1986年12月M&A米国Sun Chemical Corporationのグラフィックアーツ部門を買収、新Sun Chemical(現連結子会社)として発足
  • 1987年9月M&A米国Reichhold Chemicals Inc.を株式の公開買付により買収

1990年代

  • 1996年12月上場日本PMC株式会社(その後星光PMC株式会社に改称)が株式を東京証券取引所市場第二部に上場
  • 1997年12月米国Eastman Kodakとの合弁出資により、印刷材料メーカーKodak Polychrome Graphics(KPG)を設立
  • 1999年12月M&AフランスTotalfina S.A.他より印刷インキ事業(Coatesグループ)を買収

2000年代

  • 2003年7月創業中国における地域統括会社として迪愛生投資有限公司を設立
  • 2005年4月上場KPGから出資分の資本償還を受けたことにより、米国Eastman KodakがKPGを100%子会社化 ReichholdグループをMBO方式により売却 創業100周年を機に、商号をDIC株式会社に変更 大日本印刷株式会社の子会社であるザ・インクテック株式会社(その後株式会社DNPファインケミカルに改称)と国内印刷インキ事業を統合しDICグラフィックス株式会社を設立 星光PMC株式会社が株式を東京証券取引所市場第一部に上場 Benda-Lutzグループを買収し、エフェクト顔料事業に本格参入 英国Kingfisher Coloursを買収し、化粧品用顔料事業に本格参入 太陽ホールディングス株式会社と資本業務提携 ドイツBASF社から顔料事業(Colors & Effects事業)を買収 東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所の市場第一部からプライム市場に移行 星光PMC株式会社(その後CHEMIPAZ株式会社に改称)の全保有株式を同社の自己株式取得により譲渡

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2025/12期の経営方針より

会社は3つの方針を掲げている。そのうち5項目には、達成する数字が明記されている。

会社が掲げている数値目標
  • 売上高2030年度まで12,400億円以上
  • 営業利益2030年度まで800億円以上
  • ROIC2030年度まで6.0%以上
  • ROE2030年度まで10.0%
  • D/Eレシオ2030年度まで0.8倍以下

有価証券報告書の原文に書かれた目標だけを載せています。達成度の評価や推計は加えていません。

  1. 01

    事業ポートフォリオの変革

    中核事業(インキ・顔料・ポリマ)の構造改革と製品ポートフォリオ転換による収益力強化。加えて、ケミトロニクス・コンポジット/デバイスを成長事業と位置づけ、半導体・バッテリー・フィジカルAI分野に素材とソリューションを提供する。

  2. 02

    サステナビリティ戦略の推進

    サステナブル製品の展開、CO2排出量削減、サーキュラーエコノミーへの対応を推進する。

  3. 03

    長期計画Phase2の策定と実行

    2026~2030年度をPhase2と位置づけ、ビジネスモデルを進化させ、資本効率改善と株主還元充実により企業価値向上を目指す。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 10期分

グループ全体で20,884人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は799万円で、9期前と比べて+4.0%平均年齢は44.3歳、平均勤続年数は18.3年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数一人当たり営業利益万円
2016年12月20,481
2017年12月20,628
2018年12月20,620
2019年12月76843.418.920,513
2020年12月74243.619.020,242
2021年12月76043.919.122,474
2022年12月75844.118.922,743
2023年12月75444.719.522,255
2024年12月75943.818.021,184210
2025年12月79944.318.320,884250

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

多様性の開示2025年12月期・提出会社(単体)
女性管理職比率8.6%
縦線は目安の30%
男性育休取得率106.7%
縦線は目安の85%
女性の賃金(男性=100)70.9%
100なら男女で差がない状態

拠点とグループ

設備と関係会社

関係会社46(国内 16 / 海外 30) を有報から抽出しています。

主要な設備 (帳簿価額 上位7)
鹿島工場 — 茨城県神栖市189億円
カラー&ディスプレイ ファンクショナルプロダクツ
千葉工場 — 千葉県市原市170億円
ファンクショナルプロダクツ
堺工場 — 大阪府高石市8,926百万円
ファンクショナルプロダクツ
総合研究所 — 千葉県佐倉市8,015百万円
全社
北陸工場 — 石川県白山市7,306百万円
ファンクショナルプロダクツ
埼玉工場 — 埼玉県北足立郡6,353百万円
パッケージング&グラフィック ファンクショナルプロダクツ
本社 — 東京都中央区3,767百万円
パッケージング&グラフィック カラー&ディスプレイ ファンクショナルプロダクツ その他 全社
主な関係会社
  • 国内
    DICグラフィックス㈱
    東京都中央区
    議決権66.6%
  • 海外
    Sun Chemical Group Coöperatief U.A.
    Weesp,
    議決権100.0%
  • 海外
    Sun Chemical Group Coöperatief U.A.
    Weesp,
    議決権100.0%
  • 海外
    Sun Chemical Group Coöperatief U.A.
    Netherlands
    議決権100.0%
  • 海外
    Sun Chemical Group Coöperatief U.A.
    Netherlands
    議決権100.0%
  • 海外
    Sun Chemical Corp.
    New Jersey,
    議決権100.0%
  • 海外
    Sun Chemical Corp.
    U.S.A.
    議決権100.0%
  • 国内
    南通迪愛生色料有限公司
    南通,
    議決権100.0%
  • 海外
    南通迪愛生色料有限公司
    中国
    議決権100.0%
  • 海外
    PT. DIC GRAPHICS
    Jakarta,
    議決権100.0%
  • 海外
    PT. DIC GRAPHICS
    Indonesia
    議決権100.0%
  • 国内
    迪愛生(東莞)油墨有限公司
    東莞,
    議決権100.0%
残りのグループ会社34社を開く
  • 迪愛生(東莞)油墨有限公司中国100%
  • DIC India LimitedNoida,72%
  • DIC India LimitedIndia72%
  • DIC Graphics (Thailand) Co., Ltd.Bangkok,100%
  • DIC Graphics (Thailand) Co., Ltd.Thailand100%
  • Colors & Effects USA LLCNew Jersey,100%
  • Colors & Effects USA LLCNew Jersey,100%
  • Colors & Effects USA LLCU.S.A.100%
  • Sun Chemical Colors & Effects GmbHLudwigshafen am Rhein,100%
  • Sun Chemical Colors & Effects GmbHGermany100%
  • Earthrise Nutritionals LLCCalifornia,100%
  • Earthrise Nutritionals LLCU.S.A.100%
  • DIC EP㈱千葉県袖ヶ浦市100%
  • DICマテリアル㈱東京都中央区100%
  • DIC北日本ポリマ㈱宮城県刈田郡100%
  • DICプラスチック㈱埼玉県さいたま市100%
  • DIC九州ポリマ㈱大分県中津市100%
  • 張家港迪愛生化工有限公司張家港,100%
  • 張家港迪愛生化工有限公司中国100%
  • DIC Siam Chemical Industry Co., Ltd.Bangkok,100%
  • DIC Siam Chemical Industry Co., Ltd.Thailand64%
  • 広東迪愛生彤德樹脂有限公司韶関,100%
  • 広東迪愛生彤德樹脂有限公司中国100%
  • 常州華日新材有限公司常州,100%
  • 常州華日新材有限公司中国100%
  • 迪愛生合成樹脂(中山)有限公司中山,100%
  • 迪愛生合成樹脂(中山)有限公司中国100%
  • 合同会社DIC インベストメンツ・ジャパン東京都中央区100%
  • 迪愛生投資有限公司上海,100%
  • 迪愛生投資有限公司中国100%
  • DIC Asia Pacific Pte LtdSingapore,100%
  • DIC Asia Pacific Pte LtdSingapore100%
  • 太陽ホールディングス㈱埼玉県比企郡20%
  • サンディック㈱東京都中央区50%
国際子会社 (GLEIF登録 2社)
  • GBSUN CHEMICAL LIMITED
  • NLSUN CHEMICAL GROUP COÖPERATIEF U.A.

国際的な法人識別子 (LEI) の親子関係データ。金融取引を行う子会社が中心で、全子会社の一覧ではありません。

公共調達・補助金 (gBizINFO)
  • 調達
    グリーンイノベーション基金事業/バイオものづくり技術によるCO2を直接原料としたカーボンリサイクルの推進CO2を原料に物質生産できる微生物等の開発・改良、CO2を原料に物質生産できる微生物等による製造技術等の開発・実証水素細菌によるCO2とH2を原料とする革新的なものづくり技術の開発
    国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 · 2023-07-12
    1,053万円
  • 調達
    革新的プラスチック資源循環プロセス技術開発/材料再生プロセス開発/
    国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 · 2020-09-30
    641万円

出典: gBizINFO (経済産業省)

業績のいま

有価証券報告書・決算短信より

2025年12月期の売上高は1.1兆円営業利益522億円前期と比べると減収増益で、売上が-1.8%、利益が+17.3%。

売上高
-1.8%
1.1兆円
営業利益
+17.3%
522億円
純利益
+52.1%
324億円
営業利益率
5.0%
前期比 +0.8%pt

会社が出している今期の予想2026年12月期

項目会社予想前期実績
売上高1.1兆円1.1兆円
営業利益780億円522億円
純利益480億円324億円
1株あたり配当¥150¥150

会社が決算短信で公表した予想です。証券会社の予想ではありません。 短信の原本

四半期の推移

10期分

直近は2026年2Qで、売上は5,930億円、営業利益は519億円。前年の2025年2Qと比べると、売上は+13.3%、営業利益は+92.2%。

対象期間売上高億円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2023年1Q2,552602.419
2023年2Q2,601401.5−9
2023年3Q2,663321.2−38
2023年4Q2,571−371
2024年1Q2,558853.3−28
2024年2Q2,8301344.792
2024年4Q5,3232264.2149
2025年2Q5,2322705.2131
2025年4Q5,2902524.8193
2026年2Q5,9305198.8372

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。

業績の推移

有価証券報告書 15期分

2012年3月期からの15期で、売上は7,343億円から1.1兆円へ1.4倍に増えた。直近期の営業利益率は5.0%。純利益は2期連続で増加。

決算期売上高兆円営業利益億円経常利益億円営業利益率%純利益億円
2012年3月0.73308182
2013年3月0.70351191
2013年12月0.71371268
2014年12月0.83399252
2015年12月0.82490374
2016年12月0.75558348
2017年12月0.79570386
2018年12月0.81487320
2019年12月0.77413235
2020年12月0.70365132
2021年12月0.8643844
2022年12月1.05399176
2023年12月1.0492−399
2024年12月1.074453794.2213
2025年12月1.055224435.0324

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。空欄の期は有価証券報告書からその項目の数値が取れていません(0ではありません)。

利益の構造

2025年12月期

売上高1.1兆円のうち、営業利益として残るのは522億円5.0%。営業外の損益と税金を反映した純利益は324億円、売上の3.1%にあたる。営業利益率は業種中央値7.3%を下回る水準。

売上高を100としたときの内訳
  • 売上原価作る・仕入れるのにかかったお金78.3%8,242億円
  • 販売費及び一般管理費売る・管理するのにかかったお金16.7%1,758億円
  • 営業利益費用を引いたあとに残った本業の利益5.0%522億円

有価証券報告書の損益計算書から、当期の金額をそのまま割り振っています。

粗利率
21.7%
売上から原価を引いて残る割合
営業利益率業種比2.3pt
5.0%
本業の利益として残る割合
純利益率業種比2.3pt
3.1%
税金まで払って最後に残る割合
ROE業種比+0.5pt
7.4%
株主のお金がどれだけ利益を生んだか
ROA
2.5%
資産全体がどれだけ利益を生んだか
ROIC
3.0%
事業に使うお金がどれだけ利益を生んだか

ROICは有利子負債の開示がないため、営業利益×0.7÷(総資産−現金)の簡易式で算出しています。

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 15期分

2025年12月期は営業CFが730億円、投資CFが−206億円で、差し引きのフリーCFは524億円この組み合わせは成熟・還元型にあたる。本業で稼ぎ、投資に回し、それでも余る現金を借金返済や株主還元に充てている。最も健全とされる型期末の手元現金は673億円で、売上の0.8ヶ月分にあたる

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2012年3月312−176−71136296
2013年3月414−237−266177225
2013年12月339−98−328241150
2014年12月464−274−261190164
2015年12月291−100−248191151
2016年12月625−322−269303167
2017年12月542−589114−47177
2018年12月510−384−118126186
2019年12月506−249−268257167
2020年12月545−33063215414
2021年12月448−1,476995−1,028376
2022年12月79−732839−653626
2023年12月891−665−29226846
2024年12月462−171−626291609
2025年12月730−206−454524673

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 15期分

2025年12月期の総資産は1.3兆円。このうち返さなくてよい自己資本が4,908億円で、自己資本比率は37.0%(業種中央値63.4%より薄い)

決算期総資産兆円自己資本億円負債億円自己資本比率%
2012年3月0.681,2455,50615.1
2013年3月0.691,6075,32319.8
2013年12月0.762,1895,42825.6
2014年12月0.802,7675,27031.1
2015年12月0.782,8994,89033.7
2016年12月0.763,0704,57836.4
2017年12月0.833,4404,87837.9
2018年12月0.803,2734,74037.3
2019年12月0.803,4354,59638.9
2020年12月0.823,5144,66638.9
2021年12月1.073,8106,90532.3
2022年12月1.264,2118,40530.7
2023年12月1.243,9938,45629.2
2024年12月1.234,2068,05832.7
2025年12月1.274,9087,83237.0

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2025年12月期の内訳
現金及び預金
689億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
2,099億円
過去の利益の積み上がり
棚卸資産
1,893億円
在庫として抱えている分
負債合計
7,832億円
いつか返す必要があるお金
財務の健全性
65
/ 100
安定性自己資本比率25 / 40
収益力営業利益率10 / 30
現金創出営業CFの黒字継続30 / 30

有価証券報告書の数値から機械的に配点した参考値です。自己資本比率60%で満点、営業利益率15%で満点、直近3期の営業CFが黒字だった割合の3つを足しています。業態によって出ない要素があります。

業界内での比較

化学 203社との比較

同じ化学の企業と並べると、いちばん上に来るのは配当利回り203社中68位あたり、逆に低いのは自己資本比率203社中189位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
7.4%/中央値 6.9%
P25 4.5%P75 9.9%
営業利益率売上のうち本業の利益として残る割合
5.0%/中央値 7.3%
P25 4.3%P75 10.7%
自己資本比率下位総資産のうち返済のいらないお金の割合
37.0%/中央値 63.4%
P25 50.5%P75 73.9%
売上成長率下位前期からの売上の伸び
-1.8%/中央値 2.2%
P25 -1.8%P75 5.4%
配当利回り株価に対して1年で受け取る配当の割合
3.0%/中央値 2.7%
P25 1.8%P75 3.6%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月3日の終値

直近の終値は¥4,931で、1年前と比べて+45.2%過去52週の値幅のなかでは60%の位置にある。

¥4,931-0.5%1ヶ月+5.4%1年+45.2%時価総額4,692億円
過去52週の値幅
安値¥3,498高値¥5,876

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標
PER (実績)8.3倍
PER (会社予想)9.7倍
PBR0.92倍
配当利回り3.04%

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

株価は5190円で、直近1カ月で14.2%上昇し、年初来では55%高となっています。8月10日に5378円へ急伸した後、12日には5631円まで上昇しました。ただし、その後は利益確定売りで調整し、52週高値5876円からは約12%下回る水準です。25日線(4832円)を大きく上回り、上昇トレンドは継続中ながら、RSIが67.8と過熱気味で、高値圏での変動が大きくなっています。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

AIの評価

AI評価

株価水準の解釈です。売買の推奨ではありません

現在の株価水準を割安と判定しています(スコア 75/100)

PER 8.7 倍は業界平均 17.74 倍の半分以下で、割安。PBR 0.96 倍は 1 倍を下回り、株価純資産倍率も低い。配当利回り 2.89% は業界平均 2.66% を上回り、株主還元も良好。ROE 7.4% は安定している。配当性向 96.1% は高く、今後の増配余地は限定的だが、業界平均と比較してバリュエーションは割安。総合的に割安と判断。

指標この会社業種平均
PER (実績)8.3倍17.8倍
PER (予想)9.7倍
PBR0.92倍1.41倍
ROE7.4%7.4%

業種平均は同じ東証33業種に属する銘柄の単純平均です。銘柄数が少ない業種では平均が振れます。

AI評価判定とスコアは公開データをもとにした解釈で、将来の株価を示すものではありません。算出の考え方は編集方針に記載しています。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

原材料価格の高騰と需要の低迷が続く中、構造改革による収益改善が焦点。強気派は、インキや機能材料の需要回復とコスト削減効果で、2025年12月期の営業利益率改善を見込む。一方、弱気派は、主要市場の成熟や競争激化により、価格転嫁が難しく、さらなる収益悪化を懸念する。

プラスに働く材料7
  • 収益改善への期待

    2025年12月期の営業利益率は4.96%と前年比改善の見通し。

  • 世界的なシェア

    印刷インキで世界最大級のシェアを持ち、価格交渉力が高い。

  • 株主還元

    配当利回り4.3%と高く、PBR 0.9倍と割安感がある。

  • 営業利益が前期比17%増の522億円、増益基調が鮮明に決算発表後影響

    前期445億円から522億円へ77億円増益。営業利益率4.96%まで改善し、増益トレンドが継続。

  • 純損益がマイナス399億円から黒字324億円へV字回復通年影響

    2023/12期に-399億円だった純利益が2025/12期は324億円。PER13.7倍と収益力の改善がバリュエーションに反映されやすい。

  • 配当利回り4.28%、割安感と高利回りの両立継続影響

    配当利回り4.28%は相場環境で相対的な魅力が高い。PBR0.92倍とあわせ、株式市場で見直し買いが入りやすい。

  • 外国人保有比率31.6%、浮動株需給の安定が下支え継続影響

    外国法人の持ち株比率31.6%は高く、売買主体としての需要が継続。需給バランスが良好なため下値が堅い。

マイナスに働く材料7
  • 需要の頭打ち

    印刷インキ需要はデジタル化で縮小傾向にあり、成長が期待できない。

  • 原材料高

    原油価格やナフサ価格の上昇がコスト増を招き、利益を圧迫する。

  • 競争激化

    アジア勢の台頭で価格競争が激化し、シェア維持が困難。

  • 売上高が前期比189億円減、需要環境の悪化で収益圧迫通年影響

    2025/12期売上高は10,522億円と前期10,711億円から189億円減。売上減少が利益の伸びを制約する。

  • ROE7.4%と資本効率が低位、PBR改善の勢いを欠く通年影響

    ROE7.4%は自己資本の収益性が低く、PBR0.92倍のまま。資本効率が上がらない限りバリュエーション拡大は限定的。

  • 2023/12期に純損失399億円、減損リスクが再燃する懸念不定影響

    2023/12期に-399億円の純損失。同水準の減損損失が出れば、2025/12期の純利益324億円を大きく毀損する。

  • 株価は1年で53.49%上昇、短期的な高値警戒で利益確定売り不定影響

    株価4,678円は1年で53.49%上昇。上昇ピッチが速く、決算・外部環境次第では短期的な調整が入りやすい。

次の決算で確かめる点
インキ販売数量
主力製品の需要動向を把握し、業界全体の景況感を測る。
原材料価格
利益率への影響が大きく、価格転嫁の状況を確認する。
機能材料セグメント利益
高付加価値製品の収益貢献度を評価する。

配当

株主還元

直近の年間配当は1株あたり150で、前期から+100.0%いまの株価に対する利回りは3.04%。増配か配当維持が2年続いている。

年間配当
¥150
1株あたり
配当利回り
3.04%
いまの株価に対して
配当性向
96.1%
利益のうち配当に回した割合
連続増配等
2年
増配か維持が続いた年数
決算期1株あたり配当前期比%配当性向%
2016年12月10061.7
2017年12月12020.043.2
2018年12月1254.257.4
2019年12月100−20.053.6
2020年12月1000.0136.6
2021年12月1000.031.8
2022年12月1000.092.0
2023年12月80−20.0
2024年12月10025.026.2
2025年12月200100.096.1

過去の配当は株式分割にあわせて調整した金額です。配当性向は有価証券報告書に記載された各期の値で、利益のうち配当に回した割合を示します。

次の配当スケジュール
  • 権利付き最終日
  • 権利確定日
  • 支払開始日
  • 今期の会社予想年間予想¥150

株主

有価証券報告書より

2025年12月期末の株主数は延べ50,718人。区分でいちばん多いのは外国法人31.6%。グループ会社や銀行などの安定株主が45.0%を占め、残る55.0%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2020年12月%2021年12月%2022年12月%2023年12月%2024年12月%2025年12月%
外国法人23.523.923.724.835.731.6
金融機関42.740.737.438.831.228.4
個人・その他14.413.817.316.413.219.7
事業法人16.716.516.616.516.316.6
証券会社2.85.25.03.63.63.7
自己株式0.40.40.40.20.20.2
外国人個人0.00.00.00.00.00.0

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01株式会社昌栄13.34
02日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)11.33
03OASIS JAPAN STRATEGIC FUND LTD. (常任代理人 シティバンク、エヌ・エイ東京支店)6.09
04株式会社日本カストディ銀行(信託口)3.49
05第一生命保険株式会社(常任代理人 株式会社日本カストディ銀行)3.19
06OASIS INVESTMENTS II MASTER FUND LTD. (常任代理人 シティバンク、エヌ・エイ東京支店)2.93
07OASIS JAPAN STRATEGIC FUND Y LTD. (常任代理人 シティバンク、エヌ・エイ東京支店)2.57
08STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505223 (常任代理人 株式会社みずほ銀行)2.18
09あいおいニッセイ同和損害保険株式会社(常任代理人 日本マスタートラスト信託銀行株式会社)2.12
10日本生命保険相互会社(常任代理人 日本マスタートラスト信託銀行株式会社)2.00

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

大量保有報告の動き
5%超の保有者の提出ベース 直近1
  • 2026-05-13
    オアシス マネジメント カンパニー リミテッド(Oasis Management Company Ltd.)
    新規の大量保有報告
    11.58%
    +0.05pt

提出があった時点の記録です。その後5%を割った保有者が一覧に残ることがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 15期分

1株利益は15期で+1627%、1株純資産は15期で+4377%。直近期のROEは7.4%で、日本株の目安とされる8%を下回る。

決算期EPSBPSROE%PER配当性向%
2012年3月2011117.38.439.1
2013年3月2114916.09.539.7
2013年12月2921316.110.933.4
2014年12月2726011.310.943.8
2015年12月3892,76814.68.528.8
2016年12月3672,93812.99.761.7
2017年12月4083,33013.010.543.2
2018年12月3383,15810.410.057.4
2019年12月2483,3047.712.253.6
2020年12月1403,3654.218.6136.6
2021年12月463,6551.362.831.8
2022年12月1864,0894.812.592.0
2023年12月−4213,845−10.6
2024年12月2254,2405.615.026.2
2025年12月3424,9737.410.796.1

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安
ROE自己資本利益率
株主のお金でどれだけ稼いだか。日本株では8%が一つの目安
PER期末実績
株価が1年分の利益の何倍か。低いほど割安とは限らず、期待の低さのこともある
配当性向利益からの還元率
利益のうち配当に回した割合。高すぎる場合は無理をしている可能性もある

経営陣

14名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は14名。2025/12期の役員報酬は総額621百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約10倍にあたる。

氏名役職年齢保有株数
池田尚志代表取締役 社長執行役員 グループCEO6123,000
古田修司代表取締役 副社長執行役員 社長補佐6220,000
浅井健取締役 専務執行役員 グループCFO 財務経理部門長 最高財務責任者6215,000
猪野薫取締役6823,000
中藤正哉取締役6419,000
藤田正美取締役(注1)692,000
齊藤史郎取締役(注1)69
Donna Costa取締役(注1)66
ランドバーグ史枝取締役(注1)52
二宮啓之監査役(常勤)675,000
北村俊伸監査役(常勤)612,000
名倉啓太監査役(注2)55
残りの役員2名を開く
氏名役職年齢
岸上恵子監査役(注2)69
檜山聡53

役員報酬の内訳2025/12

役員の区分人数固定報酬百万円賞与百万円株式報酬百万円合計百万円1人あたり百万円
取締役(社内)62851047446277
社外取締役5666613
監査役2626231
社外監査役2313116

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2025/12期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容725字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3【事業の内容】 当社グループは、当社と連結子会社145社及び関連会社17社により構成されています。 当社グループが営んでいる主な事業内容は、次のとおりです。 なお、次の3セグメントは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一です。 また、当連結会計年度において、報告セグメントの区分を変更しています。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報」の「1.報告セグメントの概要」をご参照ください。 セグメント   製品本部   主 要 製 商 品 パッケージング& グラフィック   プリンティングマテリアル   グラビアインキ、フレキソインキ、オフセットインキ、新聞インキ、ジェットインキ、金属インキ、印刷用プレート、セキュリティインキ パッケージングマテリアル   ポリスチレン、包材用接着剤、多層フィルム カラー&ディスプレイ   カラーマテリアル   塗料用顔料、プラスチック用顔料、インキ用顔料、スペシャリティ用顔料、カラーフィルタ用顔料、化粧品用顔料、ヘルスケア食品 ファンクショナル プロダクツ   パフォーマンスマテリアル   インキ・塗料用、成形用、接着用、繊維加工用の各種合成樹脂(ポリエステル、ウレタン、アクリル、改質剤)、水性樹脂、硫化油、金属石鹸 コンポジットマテリアル   PPSコンパウンド、樹脂着色剤、中空糸膜、中空糸膜モジュール、理化学・診断薬資材 ケミトロニクス   エポキシ樹脂、工業用テープ、UV硬化型樹脂、電子材料用界面活性剤、フォトレジストポリマー 以上を事業系統図によって示すと、次のとおりです。
経営方針・対処すべき課題2,044字を開く

経営陣が考える方向性と課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。 (1)経営の基本方針 当社グループは「経営理念」「経営ビジョン」「行動指針」の3つの要素から構成される「The DIC Way」を経営の基本的な考え方としています。 「経営理念」は当社グループが追い求める究極的な「ありたい姿」を示すもの、「経営ビジョン」は「経営理念」を実現するために当社グループが進むべき事業の方向性を示すものです。また、「行動指針」は「経営理念」と「経営ビジョン」を実現するにあたり、当社グループ社員が常に心に刻み、行動の道標とすべきコアバリュー(価値観)を表しています。 私たちは、100年を超える歴史と、約60か国でのグローバルな事業展開によって培われてきた大切な価値観である「進取の精神」と「多様性の結集」を独自の強みとして、グループ一丸となって持続的な企業価値の向上を目指していきます。 The DIC Way [経営理念] 絶えざるイノベーションにより豊かな価値を創造し、顧客と社会の持続可能な発展に貢献する [経営ビジョン] 彩りと快適を提供し、人と地球の未来をより良いものに -Color & Comfort- [行動指針] 進取、誠実、勤勉、協働、共生 (2)当社グループの経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社グループは、2030年に向けて、“DICが貢献する社会”を「グリーン」「デジタル」「Quality of Life (QOL)」とし、DICの強みを活かして貢献できる事業領域に経営資源を集中し、“社会の持続的繁栄に貢献する事業ポートフォリオを構築”と“地球環境と社会のサステナビリティ実現に貢献”を、以下の「DIC Vision 2030」基本戦略のもと実現すべく取り組んでいます。 1.「DIC Vision 2030」の基本戦略 ● 事業ポートフォリオの変革 1)中核事業の質的転換による収益力強化 インキ・パッケージ材料、顔料、ポリマの構造改革や製品ポートフォリオの転換を通じて中核事業の収益力を強化 2)当社の成長をけん引する新たな事業の柱の構築 AIが社会のあらゆる仕組みと統合されていく社会を“AI融合社会”と定義。ケミトロニクス、コンポジット/デバイスを“AI融合社会”を支える成長事業と位置づけ、主に半導体、バッテリー、フィジカルAI分野において素材及びソリューションを提供 ● サステナビリティ戦略 1)サステナブル製品の展開 2)CO2排出量削減の推進 3)サーキュラーエコノミーへの対応 2.「DIC Vision 2030」Phase2計画の策定 当社は、2022年2月に公表した長期経営計画「DIC Vision 2030」の実現に向けた最終フェーズとして、2026年度から2030年度までの5年間を推進期間とする「DIC Vision 2030」Phase2計画を策定しました。「DIC Vision 2030」Phase1では、中核事業の収益力を回復させ、成長領域への足掛かりを構築してまいりましたが、Phase2では、飛躍的な成長に向けてビジネスモデルを進化させるとともに、株主還元の充実を含め、企業価値の向上に努めていきます。 ● Phase2計画の基本方針 ・長期経営計画「DIC Vision 2030」では、Phase1(2022-2025)を「目指す姿の実現に向けた基盤作り」、Phase2(2026-2030)を「目指す姿の実現と展開」の段階と位置付けています。 ・Phase2では、2030年度に向けて、持続的成長と稼ぐ力を備えた事業ポートフォリオを構築し、資本効率の改善と株主還元の充実を図ることで企業価値の向上にコミットしていきます。 ● 目指すポートフォリオ像 ・構造改革や製品ポートフォリオの転換を通じて中核事業の収益力を高め、成長事業に重点的に資源投入することで、確実な事業拡大を目指します。 ● 成長事業の確立に向けた取組み ・AIが社会のあらゆる仕組みと融合されていく社会を“AI融合社会”と定義。AI融合社会を支える事業分野のうち、主に当社の経営資源を活かせる半導体、バッテリー、フィジカルAIで素材とソリューションを提供します。 ● 財務計画及び主要KPI 2025 実績   2026 計画   2030 計画 売上高(億円)   10,522   11,000   12,400以上 営業利益(億円)   522   560   800以上 ROIC(%)   4.4%   4.7%   6.0%以上 ROE(%)   7.4%   7.1%   10.0% D/Eレシオ(倍)   0.8倍   0.8倍   0.8倍以下 ● キャッシュアロケーション方針
事業等のリスク13,704字を開く

会社が自認するリスクの一覧

3【事業等のリスク】 当社グループは中長期に会社の業績に大きな影響を与えるマテリアリティ(重要課題)を抽出しています。マテリアリティについては、確実で効率的な対応を心がけつつ、2022年スタートの長期経営計画「DIC Vision 2030」(注1)における成長シナリオをイメージしながら事業の推進に役立てています。また、経営環境の変化やリスクの多様化に適切かつ柔軟に対応するとともに、潜在的なリスクが顕在化することによる事業への影響を速やかに最小限に抑えるため、リスクマネジメント活動を進めています。広範なリスクのうち、「外部環境リスク」、「コーポレートリスク」は当社グループのサステナビリティ活動の審議機関であるサステナビリティ委員会及び下部組織のリスクマネジメント部会で、「ビジネスリスク」については業務執行に係る重要な事項の審議機関である経営会議や執行会議など重要会議を通じて適切にモニタリングし、リスクが顕在化した場合の影響を低減するように各リスクに主管部署を定めてリスク対策を実施しています。 後述する重要な事業リスクについては、当社グループの事業活動におけるマテリアリティ(注2)をベースにリスクマネジメント部会で実施する調査結果を踏まえて、各リスクが顕在化した場合に、当社グループのビジネス及びステークホルダーに与え得る影響度合いを大、中、小に分類しています。 なお、将来に関する事項についての記載は、当連結会計年度末現在における判断に基づくものであり、また当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。 (注1)長期経営計画「DIC Vision 2030」の詳細は、以下をご覧ください。 https://www.dic-global.com/pdf/ir/management/plan/DIC_Vision_2030_Phase2.pdf (注2)事業活動におけるマテリアリティの詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご覧ください。 リスクマネジメント体制 リスクマネジメント活動の全体像 (1)重要な事業リスク 投資家の判断に重大な影響を及ぼす可能性のある当社グループのリスクは以下のとおりであると考えています。 これらの重要なリスクは、執行役員や本社管理部門の部長等を評価者としたリスクアセスメントにより、影響度、発生可能性、想定されるリスクシナリオ、その他の社内外の諸事情や要因を加味した上で、リスクマネジメント部会が重大リスクとして選定し、サステナビリティ委員会と取締役会での審議、確認を経て毎年特定しているものです。 一部については、積極的な情報開示の観点から、必ずしも重大な影響を及ぼすとまでは言えないリスクも記載しています。 掲載 順序   リスク分類   リスク項目   影響度   発生 可能性   時期   区分   関連 1   外部環境   需要の急減な変化や低迷に伴うリスク   大   中   短~中   ①②③   A・B 2   地政学に関するリスク   大   中   不明   ①②   他 3   金利・為替の急激な変動に起因するリスク   大   高   短~中   ①③   C 4   大地震発生に伴うリスク   大   中   短~長   ①③   他 5   環境・資源   気候変動に伴う環境変化や 社会変革への対応に関するリスク   中   中   中~長   ①②③   A・B 6   環境負荷低減の要請に関するリスク   中   中   短~長   ①②③   A・B 7   経営戦略 ・事業戦略   買収戦略失敗のリスク   大   中   短~中   ①②③   A・B 8   事業ポートフォリオマネジメント失敗のリスク   大   中   短~中   ①②③   A・B 9   サプライチェーンに関するリスク   中   中   短~長   ①②③   A・B 10   管理・業務   コンプライアンスに関するリスク   大   中   不明   ②   A・B・他 11   イノベーションの停滞・失敗のリスク   中   中   中~長   ②③   A・B・他 12   人材確保に関するリスク   中   高   短~長   ②③   A・B 13   品質問題発生のリスク   中   中   不明   ②③   A・B 14   サイバーセキュリティに関するリスク   大   中   不明   ②   B 15   知的財産に関するリスク   中   低   不明   ①②③   A・B 影響度(当連結会計年度末現在における各リスクが発現したときに起こり得る影響の大きさ) 大:影響度が大きい 中:影響度が中程度 小:影響度が小さい 発生可能性(当連結会計年度末現在における各リスクが将来的に顕在化する可能性) 高:可能性が高い 中:可能性が中程度 低:可能性が低い 時期(当連結会計年度末現在における各リスクが顕在化し得る時期やタイミング) 長期:5年超 中期:概ね3~4年程度 短期:概ね2年以内 不明:顕在化するタイミングが予想できない 区分(発生要因別の当社における管理上のリスク区分) ①:発生防止を自社でコントロールできない外部環境リスク ②:会社のマネジメントで発生防止対策を取り得るコーポレートリスク ③:事業の中で認識すべきビジネスリスク 関連(長期経営計画「DIC Vision 2030」で定めた事業戦略との関連) A:成長実現に向けた事業ポートフォリオの変革 B:グローバル経営、ESG経営及び安全経営を下支えする経営基盤の強化 C:キャッシュ・フローマネジメント 他:事業戦略の関係なし 1.外部環境に関するリスク (1) 需要の急激な変化や低迷に伴うリスク ①リスクの内容・業績に与える影響の内容 当社グループは、グローバルに事業を展開しており、世界の各地域、各国で需要急減、低迷長期化のリスクがあります。欧州経済や中国経済の低迷長期化等により、域内需要の減少に止まらず、世界同時不況に発展する可能性があります。また、先行きに対する不安や所得の伸び悩み等により、個人消費を中心に需要が急減し、需要の想定以上の抑制や回復の遅れが生じる可能性があります。新興国においては、政治や経済の混乱に起因した為替変動の拡大や通貨価値の下落等の可能性が想定されます。 ②当社グループの取組 当社グループでは、インテリジェンス機能としてグローバルで政治・経済情勢を定期的にモニタリングし、地域ごと、需要業界ごとに事業環境の変化を把握しています。また各事業への影響と実行すべきアクションについての考察や経営改善の意思決定を定期的に行うとともに、必要に応じて地域ポートフォリオの見直しを行い、リスクの分散と低減に努めています。 (2) 地政学に関するリスク ①リスクの内容・業績に与える影響の内容 政治・社会情勢の著しい変化や、各種法規制・国際条約の変更等に関する予期せぬ事態が生じた場合、これらに起因して生じるコスト増、製品・原料の輸出入制限、送金停止、サプライチェーン分断等が、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。例えば、米中対立等を背景とした経済安全保障上の措置による製品・原料等の輸出入停止及び関税率アップに伴うコスト急増、渡航規制強化による適時適切な現地対応や人材配置の制限、あるいは中東における紛争・政治不安、その他政変・テロ・暴動等に起因するエネルギーや天然資源の価格高騰、物流の混乱等が挙げられます。 ②当社グループの取組 当社グループでは、本社による全体的な管理に加え、地域統括会社による日常的な管理により、事業面及び機能面の双方で事業を展開する各国における様々なリスクをモニタリングしています。生産・販売面においては、事業部門を主体としたBCP(事業継続計画)の確立や原料の複数調達体制の構築を通じて、カントリーリスクへの対応に取り組んでいます。サプライチェーンの分断には、世界中に広がる当社グループのネットワークを有効活用することで、リスクを低減しています。加えて、人命・信用・資産等、各種経営資源の保全に向け、必要に応じて現地拠点とも協力しながらグループ全体での情報共有・対策立案・教育訓練にも取り組んでいます。 (3) 金利・為替の急激な変動に起因するリスク ①リスクの内容・業績に与える影響の内容 金融危機については、何らかの契機によってリスク資産が急落するとともに信用リスクが上昇した場合、まず社債・CP市場の機能不全から始まり、銀行が資産価格下落による自己資本比率低下から資金回収に転じることで、資金調達に支障が生じる可能性があります。為替については、金融市場の混乱から急激な円高が進行、輸出採算悪化や海外子会社収益の円換算額が減少し、業績に著しい影響を与えます。さらに為替換算調整勘定のマイナスが拡大し、純資産が棄損することで財務バランスが悪化する可能性があります。金利については、金利上昇によって支払利息が増加します。当社グループのグロス有利子負債は4千億円程度であり、金利が1%上昇することで、中期的に年間45億円程度の支払利息増加となるリスクがあります。 ②当社グループの取組 金融危機対策としては、将来の資金需要を一定期間カバーする手元資金及びコミットメント空き枠を維持しています。また、資金調達に占める長期比率を8割程度としているほか、長期資金の期日分散化を図っています。為替、特に円高への対策としては、輸出入や配当等の決済における為替変動リスク低減のため、先物予約等を活用しています。また、為替リスク管理委員会でヘッジ方針を策定し、実施状況を適宜モニタリングしています。なお、対象となる通貨・金額は、ヘッジコストとヘッジ効果に鑑み、為替リスク管理委員会で総合的に判断しています。金利上昇対策としては、引き続きグループ運転資本の適正化に向け、事業部門ごとの年間目標を設定し、月次で進捗管理を実施するほか、現預金の圧縮による有利子負債調達の抑制によって金融収支改善を図っています。 (4) 大地震発生に伴うリスク ①リスクの内容・業績に与える影響の内容 当社グループは、国内外における事業継続を脅かす自然災害の発生を重要リスクとして認識しており、その中でも本社機能を有する日本での大地震発生は、事業継続に重大な影響を及ぼすと想定しています。南海トラフ地震が発生した場合、四日市工場、堺工場、滋賀工場、小牧工場、大阪支店、名古屋支店で震度6程度が予想され、堺工場や四日市工場では液状化現象が、本社のある東京でも津波発生の可能性があります。また、首都直下地震の場合、本社、東京工場、埼玉工場、千葉工場、総合研究所で震度6程度の地震発生の可能性があります。これらの事業所では、電力会社からの電力供給停止、配管ラインの損傷による工業用水の停止、ボイラー停止による蒸気停止、排水設備の損傷による排水停止等の可能性があります。生産設備は、配管ラインの破損と原材料の漏洩、地盤隆起による設備の傾斜、生産ライン中の異常反応、ユーティリティ供給停止による設備破損、通信不能によるDCS制御停止、津波による浸水等の可能性があります。人員面では、交通網遮断による帰宅・出社困難、厚生施設の機能停止、構内常駐協力会社の手配困難等の可能性があります。また、本社ビルは一時滞在施設に指定されているため、地域の帰宅困難者受入を図る必要があります。これらの結果、数週間から数ヶ月程度の生産停止、設備・機材・人員不足による復旧難航、原材料入荷や製品出荷の遅滞・停止等のほか、行政による安全検証作業のための事業活動停滞の可能性があります。 ②当社グループの取組 (i) 当社グループでは、BCPの管理指標を見直し、国内外の事業環境を踏まえた事業継続体制の強化を進めています。また、災害時危機管理ポータル「DIC BCPortal」を活用し、災害発生時の情報収集・共有・連絡体制の強化、初動対応能力の向上を図っています。本社では、災害時の一斉帰宅抑制を想定した体制整備に加え、行政ガイドラインを踏まえた災害時帰宅困難者対策の強化として、備蓄物資の確保、地域連携体制の整備を進めています。 (ii) 当社グループは事業のグローバル化が進展していることから、海外グループ会社におけるBCP水準のギャップ是正を重要な課題として認識しています。2025年度より海外拠点へのBCP展開を開始しており、地政学リスクを含む地域特性を踏まえながら、事業継続体制の整備を推進しています。 2.環境・資源に関するリスク (1) 気候変動に伴う環境変化や社会変革への対応に関するリスク ①リスクの内容・業績に与える影響の内容 当社グループは2021年6月より「DIC NET ZERO 2050」として、「2030年CO2排出量の50%削減(2013年度比)」と「2050年カーボンネットゼロの実現」を長期目標に掲げています。この目標を達成するための活動において、以下をリスクと捉えています。 a.排出権取引、化石燃料賦課金等の諸政策実施に伴って原料価格や電力価格が上昇した場合、収益が低下する可能性があります。 b.CO2排出量削減の社会的要求や顧客ニーズに極端な変化が生じた場合、既存事業の縮小・撤退や新規投資案件の中止も検討せざるを得なくなる可能性があります。 c.循環型社会に向けた急激な需要変化に対応できない場合、収益の低下や既存事業からの撤退を余儀なくされる可能性があります。 d.異常気象による気象災害の深刻化・頻発化が事業所の稼働停止や原料調達の不安定化につながった場合、収益が低下する可能性があります。 e.国際的に情報開示に対する要求が厳しくなっている中、不適切な情報開示を行った場合、レピュテーションが毀損したり、グリーンウォッシュ訴訟を提起されたりする可能性があります。 ②当社グループの取組 (i) 当社グループは、積極的な環境投資と省エネ施策の推進を通じてCO2排出削減に取り組んでいます。当社グループで統一した製品カーボンフットプリント(PCF)算出のガイドラインを策定し、製品のPCF算定を実施しています。このガイドラインについて、国際規格ISO 14067:2019及び「TfS PCF ガイドライン」などに準拠していることを証明する第三者認証を取得し、2025年11月に広報しました。2025年1月からは、サステナビリティ委員会の下部組織として気候変動部会を設置し、グループ目標として相応しいCO2排出削減目標とそれを達成するための計画を策定しています。また、気候変動による需要の変化に的確に対応すべく、脱炭素社会に向けた5R(Reuse, Reduce, Renew, Recycle, Redesign)のグループ定義を掲げ、サーキュラーエコノミーを含めた製品・サービスの開発を進めています。物理的リスクに対しては、重要原料の供給対策も含むBCPの策定を進めているほか、沿岸立地事業所の気象災害リスクへの対策強化にも努めています。 (ii) 確度の高い情報収集とグループ内での情報共有により、高度な情報開示要求に対し、グリーンウォッシュのような事態に陥ることなく、グループ全体の情報の適切な開示に努めています。 (2) 環境負荷低減の要請に起因するリスク ①リスクの内容・業績に与える影響の内容 当社グループには、生産活動を通じて様々な環境負荷が発生するリスクがあります。具体的な環境負荷としては、大気汚染物質や水質汚濁物質、産業廃棄物、プラスチック廃棄物が挙げられます。 a.通常は環境負荷の排出を一定レベルに抑えていますが、トラブル等によって環境負荷物質を想定以上に排出してしまった場合、その回収コストの負担や損害賠償責任が発生する可能性があります。 b.環境負荷に対する環境規制の強化、業界基準の変更、さらには社会的要請等に適切に対応できなかった場合、生産を継続することができなくなる可能性があります。また、社会情勢の変化に伴う製品要求性能の急変に対応できなかった場合、事業収益の低下や事業継続の可否に関わるリスクが顕在化する可能性もあります。 ②当社グループの取組 (i) 当社グループは、生産と事業の両面から環境負荷の低減に努めています。生産面においては、生産拠点所在地における環境負荷低減に関連する様々な法令や規制の遵守はもとより、具体的な削減目標を定めた上で定期的に環境負荷データをモニタリングして、新たに発生する環境負荷物質の削減に努めています。また、トラブルに対しては、緊急事態に対応したマニュアルを整備し、環境負荷物質の排出を最小限に抑える体制をとっています。同時に、社会的変化に対応すべく環境保護設備の積極的な導入に努めています。 (ii) 事業活動においても、製品の環境負荷低減を図りながら、地球環境と社会課題に貢献できるよう努めています。具体的には、バイオベース材料やマスバランス方式原料の採用、製品の再利用や再商品化、ケミカルリサイクルあるいはマテリアルリサイクルを含めたサーキュラーエコノミーを視野に入れた製品、サービスの開発及び普及に取り組んでいます。 3.経営戦略・事業戦略に関するリスク (1) 買収戦略失敗のリスク ①リスクの内容・業績に与える影響の内容 当社グループは、事業ポートフォリオ変革のため、企業買収や資本提携を積極的に実施しています。当社グループが実施する統合・協業が不十分又は想定どおり進まない場合、当初計画していた効果が得られないため、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 ②当社グループの取組 当社グループでは、設定した指標に基づいて投資判断を行うとともに、自社による調査のほか、外部機関も活用して徹底したデューデリジェンスを行ってリスクを事前に洗い出し、対策を講じています。買収後はグループ一体となったPMI(統合活動)の推進やシナジーの実現に向けたアクションを実施することにより、リスク低減に取り組んでいます。また、買収後に業績不振に陥ったときは、グループ一体となって構造改革や効率化の取組みをスピードアップし、収支構造の改善に取り組んでいます。 (2) 事業ポートフォリオマネジメント失敗のリスク ①リスクの内容・業績に与える影響の内容 長期経営計画「DIC Vision 2030」のPhase2(2026-2030)では、社会課題を解決し、社会の持続的繁栄に貢献する重点事業領域に経営資源を集中させることで事業ポートフォリオの変革に取り組んでいます。事業ポートフォリオの変革に遅れが生じた場合、硬直化によって成長が鈍化した場合、及び製品ライフサイクルに伴い成熟事業の収益性が徐々に低下した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 ②当社グループの取組 当社グループは、長期経営計画「DIC Vision 2030」において、持続的成長と稼ぐ力を備えた事業ポートフォリオの構築に取り組んでいます。また、当社グループの事業戦略にそぐわない低収益事業の縮小・撤退の基準を設けて定期レビューを行うとともに、取締役会及び執行会議では長期経営計画で定めた事業戦略の進捗を定期的に確認し、事業環境に応じて施策を更新、追加しています。長期的計画を確実に実現させるため、2025年までの前半の4年間(Phase1)を「DIC Vision 2030」の目指す姿を実現するための基盤づくりの期間、2030年までの後半の5年間(Phase2)を目指す姿を実現して展開する期間と位置づけています。Phase2では、中核事業(インキ・パッケージ材料、顔料、ポリマ)の質的転換により収益力の強化を図ると共に、ケミトロニクス、コンポジット/デバイス事業を成長事業と位置づけ、主に当社の経営資源を活かせる半導体、バッテリー、フィジカルAIなどのAI関連事業において素材及びソリューションを提供してまいります。これらにより社会の持続的繁栄に貢献する事業ポートフォリオを構築し、引き続き「DIC Vision 2030」の目指す姿の実現に取り組んでいきます。 (3) サプライチェーンに関するリスク ①リスクの内容・業績に与える影響の内容 当社グループは、短期及び中長期的な視点で原料の安価・安定調達に加え、持続可能なサプライチェーンの構築、原料調達の実現に向けた取組みを推進しています。本件に関するリスクとして、国際商品市況の影響による原料価格上昇、原料サプライヤーの事故・トラブル・自然災害等を起因とした需給バランスの変動、その他の事情に伴う物流混乱、化学物質に関する法規制・業界規制の強化等によって原料の調達が困難になる場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また中長期的観点では、サステナビリティ活動への取組みが不十分なサプライヤーからの原料調達は、供給の不安定化に加え、サプライチェーン全体の価値低下やそれに伴う顧客等からの信用失墜につながり、当社グループの事業継続に支障を来たす可能性があります。 ②当社グループの取組 (i) 当社グループは、複数購買・契約購買・代替原料の導入等を通じ、原料コストの削減や調達リスクの低減を図り、安価で安定した調達を目指しています。また、中長期的観点では、環境負荷低減や人権尊重を始めとしたサステナビリティ活動全般への取組みをサプライヤーに要請するとともに、外部評価機関や自社製アンケートを使用した活動状況の調査及び改善啓発を行い、持続可能な原料調達の実現を目指しています。 (ii) これらの取組みを通じた製品の供給安定化や品質安定化、健全化により顧客からの信頼確保を図るとともに、収益性を確保するための適切かつ計画的な価格設定等にも努めています。 4.管理・業務に関するリスク (1) コンプライアンスに関するリスク ①リスクの内容・業績に与える影響の内容 当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、商取引、安全、環境や化学物質等に関する様々な法規制の適用を受けています。法規制等に違反した場合、事業の停止命令や罰金が課され、又は損害賠償責任が発生し、当社グループの業績や財務状況に影響を与えるだけでなく、社会的信用の失墜にもつながる可能性があります。 ②当社グループの取組 (i) 当社グループでは、法規制のほか、ビジネスを実践する上で遵守すべきコンプライアンスに関する基準として「DICグループ行動規範」を定めています。社長は、役員を含む全社員に向けて、コンプライアンスの重要性や、ビジネスよりもコンプライアンスが優先すべき価値であることを折に触れて自らの言葉で発信しています。全社員は、具体的事例を取り上げたeラーニングや研修によって、その認識を深めています。さらに、コンプライアンス上の疑問を持った場合に相談できる体制を整備し、内部通報制度の活用や担当部署から独立した部署による監査・調査等を通じ、コンプライアンス違反があった場合の早期発見、早期是正を図っています。また、相談を行った者や調査等に協力した者に報復することは禁じられており、「DICグループ行動規範」に対する重大な違反となります。 (ii) 法規制変更時の周知徹底、化学物質情報管理システムの運用徹底・DX(デジタルトランスフォーメーション)化や効率化、デザインレビューの運用徹底等、あらゆる段階でコンプライアンスリスクの低減に必要な対策を講じています。 (2) イノベーションの停滞・失敗のリスク ①リスクの内容・業績に与える影響の内容 当社グループは、環境面における社会変革への対応が非常に重要と捉え、「グリーン社会、デジタル社会、QOL社会」に貢献する製品開発をグループ一丸となって取り組んでいます。同時に、急速に進展するデジタルテクノロジーの活用、DX推進に遅れを取らないように対策を進めています。しかしながら、当社グループのイノベーションが停滞して社会要請に応える製品を開発・上市できない場合、成長が鈍化する可能性があります。 ②当社グループの取組 (i) 当社グループは、保有する既存の基盤技術に加え、無機材料やバイオに関する新しい基盤技術を活用して、グリーン社会に貢献する次世代向けパッケージ、デジタル社会に貢献する高速通信関連材料、環境に配慮した非PFAS素材、QOL社会に貢献する高機能ニュートリション等、様々な市場やニーズに応じたサステナブル製品の開発を進めています。技術部門では、開発テーマの審査体制とリソース運用ルールを整備し、技術部門のアイディエーション促進及び社内外連携の仕組みを強化しています。CVC(Corporate Venture Capital)を通じ重点領域の投資方針を策定し、DS活用拡大とAI/MI基盤の将来像を構築しています。また、タウンミーティングにより業務負荷を把握し業務効率化策、改善策に取り組んでいます。 (ii) 生産技術部門においても、工場のスマート化に向けた生産技術のDX推進に精力的に取り組んでいます。 (3) 人材確保に関するリスク ①リスクの内容・業績に与える影響の内容 先進国を中心に少子化に起因した労働人口減少が進む中、期待水準を満たす人材の獲得が困難になるとともに、人材獲得競争が激化しています。また、労働市場の流動化が高まる中、社員から見た当社の魅力が相対的に落ちた場合、優秀人材の離職が進むことで事業継続が困難になる可能性があります。 ②当社グループの取組 (i) 日本においては、新卒採用は広報活動強化により企業認知度を向上させ、ターゲット層の掘り起こしを図っています。初任給水準を含む賃金設定の柔軟化も検討しています。キャリア採用は、スペシャリストや嘱託等の柔軟な処遇体系の設定に加え、アルムナイ、リファラル採用の開設・定着を図る等、多様な採用チャネルを活用しています。また、日本国内のグループ会社とは採用ツールの共通化や採用ノウハウの共有にも取り組んでいます。海外各地域における採用活動の実態も把握しており、グローバルHR会議で課題を設定しながら今後も取組みを強化していきます。海外グループ各社のニーズがあれば、ブランディング、採用ツール、採用ノウハウ面でもグローバル共通の取組みに着手していきます。リテンションの面において、日本ではエンゲージメントサーベイを実施していますが、調査→分析→対策策定→実施のPDCAをさらに磨いていきます。海外でも中国などサーベイを展開している拠点もあり、今後はグローバルでの合同実施も検討していきます。 (ii) 優秀人材確保は普遍的課題であり、特に日本においては、採用力の強化、エンゲージメントの向上、日本人に頼らない仕組み作りを優先事項としています。 (4) 品質問題発生のリスク ①リスクの内容・業績に与える影響の内容 当社グループの製品又は業務プロセスにおいて、欠陥、不正もしくは偽装等が疑われる事象が発生した場合、あるいは重大なクレーム又は製造物責任(PL)に係る問題が発生した場合には、製品回収、損害賠償の負担、行政当局又は第三者機関による措置その他の対応を求められる可能性があります。これらの対応に伴い、生産活動の停止、製品出荷の中断等が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼすおそれがあります。さらに、当該事象の発生は、当社グループの社会的信用を毀損し、中長期的な事業運営、取引関係及び企業価値に影響を与える可能性があります。 ②当社グループの取組 (i) 当社グループでは、年度計画に基づき各製造拠点において品質監査を実施し、品質管理システムが適切且つ有効に管理され、社会及び事業環境の変化に対応した運用が確保されていることを確認しています。品質監査においては、実態確認に基づく改善・是正要求及びその対応に加え、その後のフォローアップを確実に行うことにより、ルール及び業務プロセスの運用の改善に取り組んでいます。 (ii) 当社グループでは、品質に係る教育・啓発を通じた品質文化の醸成を重要な取組みとして位置づけ、「品質コンプライアンスに関するe-ラーニング」のほか、関係会社社長や営業部署への品質教育などを継続的に実施しています。これらの取組みにより、品質に関する役割・責任の理解を深めるとともに、適切な判断及び行動の定着を図っています。なお、教育施策の実施状況については、受講状況等を把握し、必要に応じて内容の見直し・改善を行うことで、教育の有効性向上に努めています。 (5) サイバーセキュリティに関するリスク ①リスクの内容・業績に与える影響の内容 懸念される重大リスクシナリオとして、ランサムウェア等のサイバー攻撃により、外部の攻撃者が当社グループネットワークに不正侵入し、社内サーバー等を乗っ取って重要機密情報を含むデータを窃取、暗号化することが想定されます。当社グループがインシデント対応手順を誤って被害の拡大を招くと、各種ITシステムが長期間にわたり使用できなくなる可能性があります。また、当社グループの従業員や元従業員による重要機密情報の不正な持ち出し・持ち込み、あるいは改竄・破壊・不正利用等の内部不正行為も想定されます。さらに、急速に業務適用が進展する生成AIにも不適切利用に関するセキュリティリスクがあります。生成AIの不適切利用としては、社外の生成AIに不用意に入力した当社グループの機密情報が学習データに利用されて外部公開される、又は、生成物に含まれる第三者の著作物をそれと気づかず対外利用してしまうということが想定されます。これらのリスクが発現した場合、業務プロセス、生産ライン、サプライチェーン、デジタルエコシステム等が中断・停止され、当社グループの事業活動や収益だけでなく、顧客や取引先、地域社会にも多大な影響を与えてしまいます。さらに、重要技術情報等の外部漏洩が生じた場合、当社グループの技術的優位性の喪失、新製品開発の遅延、市場での競争力低下等をもたらします。また、財務データが破壊・改竄されると、財務報告の誤りや不正確な情報公表につながり、投資家の信頼を失うことにもなります。これらの結果として、短期・長期での企業競争力低下、会社のブランドイメージ棄損、顧客や社会からの信頼喪失等を惹起するほか、損害賠償を含む法的対応の義務が生じる可能性もあります。 ②当社グループの取組 (i) 当社グループでは、国内外グループ会社におけるITインフラのセキュリティ対策強化、実践的インシデント対応力強化、従業員のセキュリティ意識向上、生成AI利用ガイドラインなど、ITセキュリティに関するガイドラインの継続的な更改の浸透を図っています。 (ii) 第三者セキュリティアセスメント及び侵入テスト結果に基づく対策の実施、各種訓練や啓発活動も計画的かつ継続的に実施しており、リスクは確実に低減しています。 (6) 知的財産に関するリスク ①リスクの内容・業績に与える影響の内容 当社グループは、事業活動の中で生み出される新たな技術やノウハウを保護するため、知的財産権の取得に努めています。一方、他社の権利を侵害しないよう適切な対応を講じ、第三者の正当な知的財産権を尊重した事業活動を行っています。しかしながら、権利の解釈や見解の相違等により、知的財産に関する紛争が発生した場合、製品開発や販売の停止、損害賠償金の発生等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループが保有する技術情報やノウハウが不測の事態により外部に流出した場合、当社グループ製品の模倣品や類似品が流通し、製品の競争力が失われ、事業収益に影響を与える可能性があります。その他、第三者が当社グループのロゴや商標を不当に使用して類似品や劣化品を市場に流通させることで、当社グループの業績への影響やブランド毀損が生じる可能性があります。 ②当社グループの取組 (i) 当社グループでは、製品開発の各ステージにおいて、第三者の知的財産権の侵害予防調査を実施し、知的財産部門に在籍する弁理士や、国内外の特許事務所及び法律事務所の弁理士、弁護士による判断のもと、第三者の正当な知的財産権を尊重した製品化を行っています。万一、知的財産に関する紛争が発生した場合にも、事案に応じて社内外の弁理士、弁護士が適切に連携して対応できる体制をとっています。また、当社グループでは、「情報セキュリティに関する方針」のもと、「機密情報管理規程」を制定し、技術情報等を厳格に管理しています。外部への技術情報の開示に際しては、学会発表や展示会への出展等、開示形態に応じた監視体制を整え、機密情報の漏洩を防止しています。 (ii) 当社グループのロゴや商標の不当使用に対しては、電子商取引サイトの監視や商標データベース調査により、当社グループのロゴや商標の不正使用、悪質な類似商標出願を確認した場合には、電子商取引サイトの出店差し止め請求や、類似商標の登録防止措置を講じています。
経営成績の分析 (MD&A)7,849字を開く

業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績 当連結会計年度の業績は次のとおりです。 (単位:億円) 前連結会計年度   当連結会計年度   前年同期比   現地通貨ベース 前年同期比 売上高   10,711   10,522   △1.8%   △1.7% 営業利益   445   522   +17.2%   +17.8% 経常利益   379   442   +16.7%   - 親会社株主に帰属する当期純利益   213   324   +51.8%   - EBITDA   957   1,093   +14.2%   - US$/円(平均)   151.04   150.08   △0.6%   - EUR/円(平均)   163.34   169.58   +3.8%   - EBITDA:親会社株主に帰属する当期純利益+法人税等合計+支払利息-受取利息+減価償却費+のれん償却額 当連結会計年度(2025年1月~12月)における当社グループの売上高は、前年同期比1.8%減の1兆522億円でした。 ・世界経済の状況を振り返ると、米国による相互関税措置が発表された直後は、サプライチェーンの混乱や関税コスト負担による出荷への影響が心配されました。しかし、主要国間で通商政策に関する合意が形成されるにつれて落ち着きを取り戻しました。一方で、物価高や米中貿易摩擦の再燃への懸念は収まらず、企業や消費者にとって先行きが不透明な状況が続きました。 ・このような経済環境下において、当社グループが特に成長分野と定める顧客業界の市況については、電気•電子やディスプレイを中心とするデジタル分野のうち、ディスプレイ市場はパネルメーカーの稼働状況に伴い市況に波が見られたものの、半導体市場はAI半導体デバイス等の旺盛な需要が市場をけん引し、年間を通して堅調に推移しました。モビリティを中心とするインダストリアル分野※では、自動車市場において、米国の関税政策による一時的な駆け込み需要や中国メーカーの台頭といった動きが見られたなか、比較的安定して推移しました。 ・こうしたなか、当社グループの出荷動向に関しては、デジタル印刷に使用されるジェットインキやケミトロニクス事業の中核製品であるエポキシ樹脂や工業用テープといった高付加価値製品は堅調な出荷となりました。また、PPSコンパウンドなどモビリティに関連した製品も前年並みの水準となりました。一方で、パッケージ用インキ、塗料用顔料、プラスチック用顔料など消費財に近いボリュームゾーンの製品は物価高や景気先行きに対する懸念などを背景に減少しました。 営業利益は、前年同期比17.2%増の522億円でした。減収となるなか、高付加価値製品の堅調な出荷、関税対策を含めた価格対応の実施やコスト管理を徹底したことに加え、カラー&ディスプレイにおいて、欧米顔料事業の構造改革によるコスト削減効果の発現により、赤字であった海外地域が黒字に転換したことなどが、増益の主要因となりました。 経常利益は、前年同期比16.7%増の442億円でした。ハイパーインフレーション会計及び新興国通貨に対する為替換算影響により為替差損が増加した一方で、欧米での利下げに伴い支払利息が減少しました。 親会社株主に帰属する当期純利益は、51.8%増の324億円でした。液晶材料事業の撤退に関連した出資金売却益や美術品売却益を計上するなど、特別利益が前年同期比で増加したことに加え、特別損失が前年同期比で減少しました。 EBITDAは、前年同期比14.2%増の1,093億円でした。 ※インダストリアル分野とは、自動車、鉄道、船舶などのモビリティ用途と建設機械、産業機械などの一般工業用途に係る製品分野の総称です。 また、各セグメントの業績は次のとおりです。 (単位:億円) セグメント   売 上 高   営 業 利 益 前連結 会計年度   当連結 会計年度   前年 同期比   現地通貨 ベース 前年同期比   前連結 会計年度   当連結 会計年度   前年 同期比   現地通貨 ベース 前年同期比 パッケージング& グラフィック   5,601   5,497   △1.9%   △1.3%   316   311   △1.7%   +1.6% カラー&ディスプレイ   2,570   2,475   △3.7%   △4.4%   △3   50   黒字化   黒字化 ファンクショナル プロダクツ   2,960   2,909   △1.7%   △2.1%   214   231   +7.9%   +6.9% その他、全社・消去   △419   △358   -   -   △82   △70   -   - 計   10,711   10,522   △1.8%   △1.7%   445   522   +17.2%   +17.8% (注)当連結会計年度より「パッケージング&グラフィック」、「ファンクショナルプロダクツ」及び「その他、全社・消去」のセグメント間で、売上高と営業利益の一部についてセグメント区分を変更しています。 これに伴い、前連結会計年度についても、変更後の数値に組み替えて記載しています。 [パッケージング&グラフィック] 前連結会計年度   当連結会計年度   前年同期比   現地通貨ベース 前 年 同 期 比 売 上 高   5,601   億円   5,497   億円   △1.9%   △1.3% 営 業 利 益   316   億円   311   億円   △1.7%   +1.6% 売上高は、前年同期比1.9%減の5,497億円でした。食品包装を主用途とするパッケージ用インキは、日本では物価高に伴う消費の落ち込みによって、米州・欧州では特に欧州で景気の減速感や競合環境によってそれぞれ出荷が減少しましたが、一貫して価格対応に努めた結果、両地域とも増収となりました。一方、アジア他では市況の落ち込みと価格競争により出荷と価格の両面で厳しい環境にあるなか、顧客開拓による拡販が進んだ中国では増収となったものの、それ以外の地域では減収となりました。商業印刷や新聞を主用途とする出版用インキは、各地域で構造的な出版需要の減少が続くなか、特に米州・欧州で価格競争が強まり、出荷が大きく減少した結果、減収となりました。デジタル印刷に使用されるジェットインキは、デジタル化の進展により出荷が増え、増収となりました。食品トレーなどで使用されるポリスチレンは、日本における物価高を背景とした食料品の買い控えの影響などにより、出荷が前年同期を下回りました。 営業利益は、前年同期比1.7%減の311億円でした。日本ではパッケージ用インキと出版用インキにおいて価格対応を進めましたが、コスト増加分を吸収できず、減益となりました。米州・欧州では、安定した供給やサービスを通じて販売価格の維持に努めた結果、現地通貨ベースでは増益となったものの、新興国通貨安による為替換算影響を受けたことから、減益となりました。アジア他では、売上の減少により減益となりました。 [カラー&ディスプレイ] 前連結会計年度   当連結会計年度   前年同期比   現地通貨ベース 前 年 同 期 比 売 上 高   2,570   億円   2,475   億円   △3.7%   △4.4% 営 業 利 益   △3   億円   50   億円   黒字化   黒字化 売上高は、前年同期比3.7%減の2,475億円でした。売上の割合が大きい塗料用顔料、プラスチック用顔料は、欧州や米国を中心に景気の先行き不透明感から顧客需要が伸び悩み、出荷が落ち込みましたが、関税対策や採算是正を目的とした価格改定に一貫して努めた結果、増収となりました。高付加価値製品については、ディスプレイ用途であるカラーフィルタ用顔料は、パネルメーカーの稼働状況が安定せず、前年を下回る出荷となりましたが、品目構成の影響により増収となりました。化粧品用顔料は、主な顧客である欧米の化粧品メーカーにおける需要停滞などにより出荷が減少し、減収となりました。スペシャリティ用顔料は、在庫調整が一巡した農業向けの出荷が回復したことに加え、建築向けも出荷を伸ばした結果、増収となりました。顔料製品以外では、液晶材料事業からの撤退により、液晶材料製品の売上高が減少したことが減収要因となりました。 営業利益は、50億円の黒字となりました。カラーフィルタ用顔料やスペシャリティ用顔料といった高付加価値製品の増収に加え、以前から進めてきた欧米顔料事業の構造改革によるコスト削減効果の発現により、赤字であった海外地域が黒字に転換しました。 [ファンクショナルプロダクツ] 前連結会計年度   当連結会計年度   前年同期比   現地通貨ベース 前 年 同 期 比 売 上 高   2,960   億円   2,909   億円   △1.7%   △2.1% 営 業 利 益   214   億円   231   億円   +7.9%   +6.9% 売上高は、前年同期比1.7%減の2,909億円でした。デジタル分野については、半導体などのエレクトロニクス材料を主用途とするエポキシ樹脂は、半導体需要にけん引される形で全般的に出荷が堅調であった結果、増収となりました。スマートフォンなどのモバイル機器を主用途とする工業用テープは、新機種への採用拡大など着実に需要を取り込んだことで、増収となりました。インダストリアル分野については、自動車市場において米国関税措置による出荷への影響が懸念されましたが、PPSコンパウンドなどモビリティ関連用途の製品出荷が底堅い結果となりました。上記以外では、連結子会社であったDICデコール株式会社の株式を2025年4月に譲渡したことにより、住宅材料関連製品の売上高が減少したことが減収要因となりました。 営業利益は、前年同期比7.9%増の231億円でした。ケミトロニクス事業に関連した先行投資などによりコスト増となるなか、エレクトロニクスやモビリティ関連用途の高付加価値製品の拡販が進んだことに加え、各製品において価格維持に努めたことにより、増益となりました。 ②キャッシュ・フロー [営業活動によるキャッシュ・フロー] 当連結会計年度 730億円(前連結会計年度 462億円) 当連結会計年度は、税金等調整前当期純利益が516億円、減価償却費が538億円となりました。また、法人税等に159億円を支払い、運転資本の増加により78億円の資金を使用しました。以上の結果、営業活動により得られた資金の総額は730億円となりました。 [投資活動によるキャッシュ・フロー] 当連結会計年度 △206億円(前連結会計年度 △171億円) 当連結会計年度は、美術品の売却により80億円、子会社株式及び出資金の売却により59億円、有形固定資産の売却により46億円の資金を獲得した一方で、有形及び無形固定資産の取得に420億円を支払いました。以上の結果、投資活動に使用した資金の総額は206億円となりました。 [財務活動によるキャッシュ・フロー] 当連結会計年度 △454億円(前連結会計年度 △626億円) 当連結会計年度は、借入等の返済に302億円を支払い、剰余金の配当として95億円を支払いました。以上の結果、財務活動に使用した資金の総額は454億円となりました。 (キャッシュ・フロー関連指標の推移) 2023年度   2024年度   2025年度 自己資本比率   (%)   29.2   32.7   37.0 時価ベースの自己資本比率   (%)   21.1   26.1   27.1 キャッシュ・フロー対 有利子負債比率   (年)   5.9   10.5   6.3 事業収益インタレスト・ カバレッジ・レシオ   (倍)   2.2   5.7   8.7 (注)1.各指標の算式は以下のとおりです。 自己資本比率   :(純資産-非支配株主持分)/総資産 時価ベースの自己資本比率   :株式時価総額(期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後))/総資産 キャッシュ・フロー対有利子負債比率  :有利子負債/営業キャッシュ・フロー 事業収益インタレスト・カバレッジ・レシオ:(営業利益+受取利息+受取配当金)/支払利息 2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。 3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている借入金、社債、コマーシャル・ペーパー及びリース債務を対象にしています。 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。 また、支払利息については、連結損益計算書の支払利息を使用しています。 ③生産、受注及び販売の実績 (イ) 生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。 セグメント   金額(百万円)   前年同期比(%) パッケージング&グラフィック   545,843   102.5 カラー&ディスプレイ   249,684   104.7 ファンクショナルプロダクツ   294,429   96.9 報告セグメント計   1,089,955   101.4 その他   46   148.9 計   1,090,001   101.4 (注)生産実績は期中平均販売価格により算出しています。 (ロ) 受注実績 当社グループは、主として見込生産を行っているため、該当事項はありません。 (ハ) 販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。 セグメント   金額(百万円)   前年同期比(%) パッケージング&グラフィック   549,677   98.1 カラー&ディスプレイ   215,192   98.7 ファンクショナルプロダクツ   286,802   98.1 報告セグメント計   1,051,671   98.2 その他   524   81.1 計   1,052,194   98.2 (注)セグメント間の取引については相殺消去しています。 (2)経営者の視点による財政状態、経営成績等の状況の分析 ①経営成績の分析 経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に記載しています。 ②財政状態の分析 当連結会計年度末の資産の部は、有形無形固定資産の減価償却が進んだものの、為替変動による円換算額増加の影響が大きく、前連結会計年度末と比べて477億円増加し、1兆2,741億円となりました。負債の部は、主に有利子負債の減少により、前連結会計年度末比226億円減の7,832億円となりました。また、純資産の部は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上や為替換算調整勘定の増加により前連結会計年度末比702億円増の4,908億円となりました。 ③資本の財源及び資金の流動性 (a) キャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フロー」に記載しています。 (b) 財務戦略 当社グループは、長期経営計画「DIC Vision 2030」において、ネットD/Eレシオ(注2)を経営指標として設定することとし、これを0.8倍以下に維持することを目標としています。翌連結会計年度末のネットD/Eレシオは、堅調な営業キャッシュ・フロー創出と利益の蓄積、及び資産売却に取り組むことにより、0.80倍程度まで改善する計画です。 (c) 資金需要の主な内容 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料等の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は、設備投資、株式及び出資金の取得等によるものです。今後の設備投資計画等については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しています。 (d) 資金調達 これらの資金需要に対して当社グループは、運転資金については、自己資金のほか短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの発行により、また設備投資等の長期資金については、長期借入金及び社債で調達を行っています。 なお、当連結会計年度末のネット有利子負債(注3)は3,894億円、ネットD/Eレシオは0.83倍となりました。また、当連結会計年度末の現金及び預金は689億円となりました。 (注)1.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている借入金、コマーシャル・ペーパー、社債及びリース債務を対象にしています。 2.ネットD/Eレシオ=ネット有利子負債/自己資本 3.ネット有利子負債=有利子負債-現金及び預金 ④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える将来に関する見積りを実施する必要があります。経営者は、これらの見積りについて、当連結会計年度末時点において過去の実績やその他の様々な要因を勘案し、合理的に判断していますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は将来においてこれらの見積りとは異なる場合があります。 当社グループの連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。 (3)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当連結会計年度における長期経営計画「DIC Vision 2030」の達成状況は次のとおりです。 (単位:億円)   2025年度計画   2025年度実績   2026年度見通し   2030年度計画 売上高   11,100   10,522   11,000   12,400以上 営業利益   480   522   560   800以上 ROIC *   4.2%   4.4%   4.7%   6.0%以上 ROE   6.0%   7.4%   7.1%   10.0% D/Eレシオ **   1.03倍   0.83倍   0.80倍   0.8倍以下 *  ROIC = 税引き後営業利益 ÷ (ネット有利子負債+純資産) ** D/Eレシオ = ネット有利子負債 ÷ 自己資本

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