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超!企業DB
日経平均64,325.64-1,890NYダウ53,061.95+295ドル円158.65-1NASDAQ26,217.83+118S&P 5007,666.6+35SOX 指数11,339.25+519/2終値

日本冶金工業

Nippon Yakin Kogyo Co.,Ltd.5480 · Prime · 鉄鋼

ステンレス・高合金の専業メーカー、特殊鋼に強み。

概要

日本冶金工業は、高機能ステンレス鋼(特殊鋼)専業メーカーである。川崎製造所と大江山製造所を中核に、薄板、中厚板、コイル、鋼管などを生産し、化学プラント、半導体製造装置、原子力発電など過酷環境向けに供給する。連結売上高は2026年3月期に1,509億円、連結従業員数は2,093名。子会社18社と関連会社2社でグループを形成し、タイや中国にも現地法人を持つ。

ステンレス・耐熱鋼・高ニッケル合金を柱とする事業

当社の事業は単一セグメント「ステンレス鋼板及びその加工品事業」で構成される。主な製品はステンレス薄板・中厚板、耐熱鋼板、高ニッケル合金板・帯、鍛鋼品、ステンレス建材、ステンレス鋼管である。これらの製品は過酷な腐食環境や高温にさらされる設備向けに設計され、化学プラント、半導体製造装置、航空機、原子力発電所などで使われる。川崎製造所(神奈川県)と大江山製造所(京都府)が生産拠点であり、1960年導入のゼンジミアミルや1977年稼働のAOD(アルゴン酸素炉外精錬設備)など、高度な圧延・精錬技術を有する。

高機能材と一般材の二層構造と収益動向

当社の販売は高機能材と一般材に大別される。戦略分野である高機能材は、耐食・耐熱性に優れたニッケル基合金や高合金鋼で、利益率が高い。一般材は建築資材など汎用品であり、輸入材との競争にさらされている。2026年3月期の連結売上高は1,509億円(前年比12.3%減)、営業利益110億円(同35.3%減)。需要低迷や固定費増加が影響した。中期経営計画では高機能材売上高比率を60%に引き上げ(2028年度目標)、ROE10.0%を目指す。過去10年の売上高は1,088億円(2013年3月期)から1,993億円(2023年3月期)まで成長したが、2026年は減少に転じた。

国内外に広がるグループ体制

連結対象は子会社18社、関連会社2社。製造・販売子会社としてナストーア、ナス鋼帯、ナスエンジニアリング、ナステックのほか、宮津海陸運輸やタイ現地法人NAS TOA(THAILAND)CO.,LTD.、中国の南鋼日邦冶金商貿(南京)有限公司がある。加工・販売子会社にナス物産、クリーンメタル。2025年5月にはインド現地法人Nippon Yakin India Private Limitedを設立した(非連結)。一方、シンガポール現地法人NIPPON YAKIN ASIA PTE. LTD.は2026年2月に清算完了。グループ全体で、川崎・大江山両製造所からの製品供給を国内外の販売網で展開している。

業界の中での役割は特殊鋼(ステンレス・高合金)の一貫製造メーカーにあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

売上高
1,509億円
営業利益
110億円
営業利益率
7.3%
純利益
72億円
2026/3 通期の連結業績。決算の内訳は最新の決算以降にあります。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2026/3期)より

01ステンレス・耐熱鋼・高合金(板・帯・加工品)主力

薄板・中厚板・コイル等のステンレス鋼、耐熱鋼、高ニッケル合金を製造・販売。化学プラント・半導体製造装置・航空機等の過酷環境向け高機能材を強みとする。

高ニッケル合金で国内トップクラス

主な製品・サービス6
ステンレス薄板・中厚板
汎用~高耐食グレードのステンレス鋼板。
耐熱鋼板
高温強度に優れた特殊鋼板。
高ニッケル合金板・帯
ニッケル基合金、耐食・耐熱超合金。
鍛鋼品
鍛造による棒鋼・リング等。
ステンレス建材
建築向け外装・内装材。
ステンレス鋼管
配管用鋼管。

製品と技術

ゼンジミアミルが支えるステンレス薄板・中厚板

当社の主力製品はステンレス薄板(厚さ0.3~3mm)と中厚板(3~50mm)である。川崎製造所の冷間圧延工程では、1960年に導入したゼンジミアミル(20段圧延機)が高精度板厚制御を実現。1996年に稼働した新熱間圧延機(NCHミル)により、熱間圧延工程の効率も向上した。製品グレードはSUS304などの汎用品から、高耐食のオーステナイト系や二相ステンレス鋼まで幅広い。半導体製造装置向けクリーン配管材や化学プラントの反応塔用板材として供給される。2024年12月には新冷間圧延機が稼働し、さらなる品質向上と生産能力増強を図っている。

過酷環境に対応する高ニッケル合金と耐熱鋼

高ニッケル合金板・帯は、当社の高機能材の中核である。ニッケル含有量が30%以上の合金(例:ハステロイ系、インコネル系)を製造し、強酸・高温環境で使用される。川崎製造所のAOD(1977年稼働)とAVS(2007年稼働)により、極低炭素・高清浄度の溶鋼が得られる。耐熱鋼板はジェットエンジン部品や発電用ボイラー向けで、800℃以上の耐酸化性を要求される。これらの製品は航空宇宙や原子力、石油化学分野で高い信頼を得ており、輸入材との差別化要因となっている。

鍛鋼品・鋼管・建材:多様な製品ライン

鍛鋼品は、川崎製造所の鍛造設備で棒鋼やリング状に加工される。高圧水門部品や風力発電用シャフトなどに使用される。ステンレス鋼管は配管用として、化学プラントや食品機械に供給。ステンレス建材はビル外装や内装向けで、ナス物産などのグループ会社が加工・販売を担う。さらに、グループ会社のナス鋼帯は精密帯鋼を、ナストーアは溶接材料や機械部品を製造する。このように、板・帯から加工品まで一貫した供給体制を構築している。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

鉄鋼のなかでの位置

会社が挙げる強い分野

  • ステンレス・耐熱鋼・高合金(板・帯・加工品)高ニッケル合金で国内トップクラス

有価証券報告書(2026/3期)で会社自身が述べている位置付けです。第三者による調査ではありません。

ステンレス専業で国内存在感、高付加価値

この企業はステンレス鋼などの特殊鋼に強みを持つ中堅鉄鋼メーカーである。売上高は1803億円(2024年3月期)から減少傾向にあるが、営業利益率は2025年3月期に9.88%、2026年3月期に7.29%と高水準を維持している。同業の日本製鉄やJFEホールディングスが汎用鋼材を大量生産するのに対し、当社は高付加価値のステンレス鋼に特化し、自動車や化学プラント向けに強みを持つ。粗鋼生産量では大手に劣るが、収益性では優位に立つ。

強み

  • ステンレス鋼など高付加価値製品に特化し、営業利益率が業界平均を上回る。
  • 長年の特殊鋼製造実績に基づく高い品質で、顧客からの信頼を得ている。
  • 自動車排気系や化学プラントなど、特殊鋼が不可欠な分野で一定の市場シェアを確保。
  • 市況変動の影響を受けにくい特殊鋼需要により、収益が比較的安定している。

課題

  • 国内製造業の海外移転や需要低迷により、特殊鋼市場も縮小傾向にある。
  • ニッケルなど原料価格の高騰が収益を圧迫するリスクがある。
  • 中国や韓国などの低価格品との競争激化により、価格競争力の維持が課題。

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

金属・ガラスの時価総額近傍。太字が日本冶金工業

時価総額で並べると、掲載11社のなかで6番目にあたる。

#企業時価総額PER
15602栗本鐵工所1,105億円15.6倍
23036アルコニックス1,030億円17.8倍
35726大阪チタニウムテクノロジーズ1,001億円38.9倍
45351品川リフラ969億円3.6倍
55440共英製鋼934億円9.2倍
65480日本冶金工業846億円10.5倍
75702大紀アルミニウム工業所821億円20.6倍
87231トピー工業742億円6.6倍
95202日本板硝子699億円16.0倍
105461中部鋼鈑605億円45.9倍
115563新日本電工603億円

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は独自の業界分類(金属・ガラス)に従っています。

会社の歴史

沿革 37件

消火器メーカーから特殊鋼メーカーへ

1943年12月、大江山ニッケル工業株式会社を合併し、ニッケル鉱石採掘とフェロニッケル製錬事業を継承。これにより大江山製造所の基盤が形成された。戦後は1948年に東亜精機(現・ナストーア)を設立し、グループ会社の原型を作った。

戦後復興と圧延設備の近代化

1960年代は設備投資が集中した時代である。1960年2月、川崎製造所に冷間圧延機(ゼンジミアミル)が稼働し、高精度薄板の量産が可能に。1965年3月には連続鋳造設備が稼働し、鋼片製造の効率化を実現。1966年4月には熱間圧延機(プラネタリーミル)が導入され、生産能力が拡大した。1968年2月には60トン電気炉が稼働し、溶解能力を強化。これらの設備投資により、ステンレス鋼一貫生産体制が整った。この間、1960年10月にはナスステンレス製作所(後のナスステンレス)を設立。

炉外精錬技術の導入と品質向上

1977年9月、川崎製造所に60トンAOD(アルゴン酸素炉外精錬設備)が稼働。AODはステンレス鋼の脱炭・精錬を効率的に行い、高品質な鋼の製造を可能にした。1983年10月には大江山ニッケルを再合併し、大江山製造所としてフェロニッケル製錬を継続。1989年6月には冷間圧延設備の新鋭化計画を完了。1996年1月にISO9002、1999年3月にISO14001を取得し、品質・環境管理を国際水準に引き上げた。2007年12月にはさらに高度なAVS(アルゴン酸素真空精錬設備)を川崎製造所に導入し、高機能合金の精錬能力を強化した。

事業構造改革と不採算事業からの撤退

1999年9月、金沢工場を閉鎖しステンレス鋼鋳造品事業から撤退。2001年8月には遊園地「行川アイランド」を閉園。2003年3月にはナスステンレスの全株式を譲渡し、同年11月には日本精線株式の一部を売却。2003年4月、川崎・大江山両製造所を分社化し(株)YAKIN川崎・(株)YAKIN大江山を設立したが、2010年4月にこれらを吸収合併し再び一体運営に戻った。2014年3月にはナストーア溶接テクノロジーの全株式を譲渡するなど、非中核事業の切り離しを進めた。

2000年代以降の設備刷新と100周年

2022年1月、川崎製造所に高効率電気炉(E炉)が稼働し、エネルギー消費と環境負荷の低減を図った。同年4月、東京証券取引所の市場区分見直しによりプライム市場へ移行。2024年12月には新冷間圧延機が稼働し、薄板・帯の品質と生産性をさらに向上させた。2025年8月に創立100周年を迎え、2026年3月期の連結売上高は1,509億円。中期経営計画では収益力強化と財務基盤安定を掲げ、2028年度にEBITDA300億円、ROE10%を目標とする。

年表37件を開く

1920年代

  • 1925年8月創業中央理化工業株式会社を設立し、消火器の製造販売開始
  • 1928年9月商号を日本火工株式会社と改称し、火薬火工品の製造販売開始

1930年代

  • 1936年2月川崎製造所稼動、特殊鋼・軽合金及びステンレス鋼の製造販売開始

1940年代

  • 1942年6月上場東京・大阪取引所に株式上場
  • 1942年9月商号を日本冶金工業株式会社と改称し、火薬火工部門を昭和火薬株式会社へ譲渡
  • 1943年12月M&A大江山ニッケル工業株式会社を合併し、ニッケル鉱石の採掘並びにフェロニッケル製錬事業を継承
  • 1948年8月創業東亜精機(株)(現・ナストーア(株))設立

1950年代

  • 1953年5月三信特殊線工業(株)(現・日本精線(株))、当社グループ会社となる
  • 1954年11月(株)上野半兵衛商店(現・ナス物産(株))、当社グループ会社となる
  • 1956年8月金沢工場ステンレス鋼鋳造品の生産販売開始

1960年代

  • 1960年2月川崎製造所冷間圧延機(ゼンジミアミル)稼動
  • 1960年10月創業(株)ナスステンレス製作所(ナスステンレス(株))設立
  • 1965年3月川崎製造所連続鋳造設備稼動
  • 1966年4月川崎製造所熱間圧延機(プラネタリーミル)稼動
  • 1968年2月川崎製造所60屯電気炉稼動

1970年代

  • 1973年9月(株)三国鋼帯製造所(現・ナス鋼帯(株))、当社グループ会社となる
  • 1975年12月フェロニッケル製錬部門を分離して、新設の大江山ニッケル株式会社へ譲渡
  • 1977年9月川崎製造所60屯アルゴン酸素炉外精錬設備(AOD)稼動

1980年代

  • 1983年10月M&A大江山ニッケル株式会社を合併し、大江山製造所とする
  • 1989年6月川崎製造所冷間圧延設備新鋭化計画完了

1990年代

  • 1996年1月川崎製造所冷間圧延製品ISO9002の認証取得
  • 1996年4月川崎製造所新熱間圧延機(NCHミル)稼動
  • 1999年3月川崎製造所冷間圧延製品ISO14001の認証取得
  • 1999年9月金沢工場閉鎖、ステンレス鋼鋳造品の生産販売より撤退

2000年代

  • 2001年8月行川アイランド(遊園地)を閉園
  • 2001年11月大江山製造所フェロニッケル製造ISO14001の認証取得
  • 2003年3月ナスステンレス(株)の全株式を譲渡
  • 2003年4月創業川崎製造所、大江山製造所を分社し、(株)YAKIN川崎、(株)YAKIN大江山を設立
  • 2003年11月日本精線(株)の株式の一部を譲渡し、持分法適用会社の対象外となる
  • 2005年3月日本冶金工業連合厚生年金基金解散
  • 2007年12月(株)YAKIN川崎アルゴン酸素真空精錬設備(AVS)稼動

2010年代

  • 2010年4月M&A(株)YAKIN川崎、(株)YAKIN大江山、ナスビジネスサービス(株)を吸収合併
  • 2014年3月ナストーア溶接テクノロジー(株)の全株式を譲渡

2020年代

  • 2022年1月川崎製造所高効率電気炉設備(E炉)稼働
  • 2022年4月東京証券取引所の市場区分見直しにより市場第一部からプライム市場へ移行
  • 2024年12月川崎製造所新冷間圧延機稼働
  • 2025年8月創業創立100周年

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2026/3期の経営方針より

会社は3つの方針を掲げている。そのうち5項目には、達成する数字が明記されている。

会社が掲げている数値目標
  • 高機能材部門売上高比率(単体)2028年度まで60%
  • EBITDA2028年度まで300億円
  • ROE2028年度まで10.0%
  • 配当性向2028年度まで35%以上
  • DOE2028年度まで2.8%以上

有価証券報告書の原文に書かれた目標だけを載せています。達成度の評価や推計は加えていません。

  1. 01

    成長市場向け高機能材の開発拡販

    エネルギー・半導体関連など需要拡大が見込まれる分野で、ニーズに合わせた高機能材の素材開発と提供を推進。新たな市場領域開拓に向けた新合金と製造プロセスの開発を強化する。

  2. 02

    競争力ある生産体制の構築

    生産技術の進化によるQCD競争力の強化、原料の多様化・安定調達、カーボンレスニッケル製錬の活用拡大など、柔軟かつ安定的な供給体制を構築する。

  3. 03

    持続可能な経営基盤の確立

    カーボンニュートラルへの取り組み、人的資本計画の遂行、DX・AI活用による業務改革、信用格付A格取得を視野に入れた財務基盤強化を進める。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 10期分

グループ全体で2,093人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は780万円で、9期前と比べて+4.3%平均年齢は44.1歳、平均勤続年数は20.6年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数一人当たり営業利益万円
2017年3月2,018
2018年3月2,012
2019年3月74841.319.02,039
2020年3月67441.619.72,029
2021年3月66042.219.42,077
2022年3月65942.319.72,080
2023年3月68142.919.72,091
2024年3月73743.420.12,079
2025年3月71943.820.22,095811
2026年3月78044.120.62,093526

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

多様性の開示2026年3月期・提出会社(単体)
女性管理職比率0.6%
縦線は目安の30%
男性育休取得率68.8%
縦線は目安の85%
女性の賃金(男性=100)70.0%
100なら男女で差がない状態

拠点とグループ

設備と関係会社

関係会社8(国内 6 / 海外 2) を有報から抽出しています。

主要な設備 (帳簿価額 上位5)
川崎製造所 — 神奈川県川崎市川崎区868億円
大江山製造所 — 京都府宮津市5,762百万円
茅ヶ崎製造所 — 神奈川県茅ヶ崎市3,194百万円
滋賀工場 — 滋賀県湖南市3,079百万円
本社等 — 東京都中央区他2,936百万円
主な関係会社
  • 国内
    ナス鋼帯(株)
    大阪市 中央区
    議決権100.0%
  • 国内
    ナス物産(株)
    東京都 中央区
    議決権100.0%
  • 国内
    クリーンメタル(株)
    千葉県 八千代市
    議決権100.0%
  • 国内
    ナスエンジニアリング(株)
    東京都 中央区
    議決権100.0%
  • 国内
    ナステック(株)
    神奈川県 川崎市 川崎区
    議決権100.0%
  • 国内
    宮津海陸運輸(株)
    京都府 宮津市
    議決権100.0%
  • 海外
    NAS TOA(THAILAND) CO.,LTD.
    タイ国
    議決権100.0%
  • 海外
    南鋼日邦冶金商貿(南京)有限公司
    中国
    議決権60.0%

業績のいま

有価証券報告書・決算短信より

2026年3月期の売上高は1,509億円営業利益110億円前期と比べると減収減益で、売上が-12.3%、利益が-35.3%。

売上高
-12.3%
1,509億円
営業利益
-35.3%
110億円
純利益
-37.9%
72億円
営業利益率
7.3%
前期比 -2.6%pt

会社が出している今期の予想2027年3月期

項目会社予想前期実績
売上高1,740億円1,509億円
営業利益160億円110億円
純利益90億円72億円
1株あたり配当¥220¥220

会社が決算短信で公表した予想です。証券会社の予想ではありません。 短信の原本

四半期の推移

10期分

直近は2027年1Qで、売上は423億円、営業利益は47億円。前年の2024年1Qと比べると、売上は−12.8%、営業利益は−29.9%。

対象期間売上高億円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2023年4Q49342
2024年1Q4856713.847
2024年2Q4546213.743
2024年3Q439306.818
2024年4Q42528
2025年2Q888859.658
2025年4Q8338510.258
2026年2Q757597.836
2026年4Q752516.836
2027年1Q4234711.128

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。

業績の推移

有価証券報告書 14期分

2013年3月期からの14期で、売上は1,088億円から1,509億円へ1.4倍に増えた。直近期の営業利益率は7.3%。

決算期売上高億円営業利益億円経常利益億円営業利益率%純利益億円
2013年3月1,088−65−74
2014年3月1,19965
2015年3月1,2951321
2016年3月1,21058
2017年3月1,1302823
2018年3月1,1913446
2019年3月1,4378277
2020年3月1,3646353
2021年3月1,1255038
2022年3月1,48912885
2023年3月1,993277197
2024年3月1,803191136
創立100周年
2025年3月1,7211701629.9116
2026年3月1,509110977.372

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。空欄の期は有価証券報告書からその項目の数値が取れていません(0ではありません)。

利益の構造

2026年3月期

売上高1,509億円のうち、営業利益として残るのは110億円7.3%。営業外の損益と税金を反映した純利益は72億円、売上の4.8%にあたる。営業利益率は業種中央値5.0%を上回る水準。

売上高を100としたときの内訳
  • 売上原価作る・仕入れるのにかかったお金83.2%1,255億円
  • 販売費及び一般管理費売る・管理するのにかかったお金9.5%144億円
  • 営業利益費用を引いたあとに残った本業の利益7.3%110億円

有価証券報告書の損益計算書から、当期の金額をそのまま割り振っています。

粗利率
16.8%
売上から原価を引いて残る割合
営業利益率業種比+2.2pt
7.3%
本業の利益として残る割合
純利益率業種比+1.1pt
4.8%
税金まで払って最後に残る割合
ROE業種比+2.3pt
7.3%
株主のお金がどれだけ利益を生んだか
ROA
3.3%
資産全体がどれだけ利益を生んだか
ROIC
3.7%
事業に使うお金がどれだけ利益を生んだか

ROICは有利子負債の開示がないため、営業利益×0.7÷(総資産−現金)の簡易式で算出しています。

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 14期分

2026年3月期は営業CFが135億円、投資CFが−94億円で、差し引きのフリーCFは41億円この組み合わせは成熟・還元型にあたる。本業で稼ぎ、投資に回し、それでも余る現金を借金返済や株主還元に充てている。最も健全とされる型期末の手元現金は110億円で、売上の0.9ヶ月分にあたる

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2013年3月−5−45−1−50101
2014年3月7−16−25−966
2015年3月12−4011−2850
2016年3月68−27−414148
2017年3月84−30−425459
2018年3月50−29−252157
2019年3月92−62−243063
2020年3月80−558725174
2021年3月112−68−8044138
2022年3月−7−157150−164125
2023年3月36−13085−94118
2024年3月268−79−143189169
2025年3月110−114−74−494
2026年3月135−94−2741110

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 14期分

2026年3月期の総資産は2,194億円。このうち返さなくてよい自己資本が1,013億円で、自己資本比率は46.1%(業種中央値60.7%より薄い)

決算期総資産億円自己資本億円負債億円自己資本比率%
2013年3月1,4083051,10321.6
2014年3月1,3743101,06422.5
2015年3月1,4103431,06724.3
2016年3月1,3483421,00625.3
2017年3月1,35736998827.2
2018年3月1,4764181,05828.3
2019年3月1,5014791,02231.9
2020年3月1,5865111,07532.2
2021年3月1,6125511,06134.2
2022年3月1,8756221,25333.2
2023年3月2,2237961,42735.8
2024年3月2,2008981,30240.7
2025年3月2,1759661,20944.3
2026年3月2,1941,0131,18146.1

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2026年3月期の内訳
現金及び預金
113億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
664億円
過去の利益の積み上がり
棚卸資産
132億円
在庫として抱えている分
負債合計
1,181億円
いつか返す必要があるお金
財務の健全性
76
/ 100
安定性自己資本比率31 / 40
収益力営業利益率15 / 30
現金創出営業CFの黒字継続30 / 30

有価証券報告書の数値から機械的に配点した参考値です。自己資本比率60%で満点、営業利益率15%で満点、直近3期の営業CFが黒字だった割合の3つを足しています。業態によって出ない要素があります。

業界内での比較

鉄鋼 38社との比較

同じ鉄鋼の企業と並べると、いちばん上に来るのは営業利益率38社中6位あたり、逆に低いのは売上成長率38社中32位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
7.3%/中央値 5.0%
P25 2.6%P75 7.3%
営業利益率上位売上のうち本業の利益として残る割合
7.3%/中央値 5.0%
P25 2.6%P75 6.7%
自己資本比率下位総資産のうち返済のいらないお金の割合
46.1%/中央値 60.7%
P25 52.5%P75 76.0%
売上成長率下位前期からの売上の伸び
-12.3%/中央値 -4.1%
P25 -8.9%P75 -0.1%
配当利回り上位株価に対して1年で受け取る配当の割合
4.0%/中央値 3.3%
P25 2.4%P75 3.9%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月2日の終値

直近の終値は¥5,460で、1年前と比べて+29.0%過去52週の値幅のなかでは81%の位置にある。

¥5,460-1.8%1ヶ月+10.6%1年+29.0%時価総額846億円
過去52週の値幅
安値¥4,020高値¥5,790

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標
PER (実績)10.5倍
PER (会社予想)8.4倍
PBR0.74倍
配当利回り4.03%

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

株価は5480円で、直近1か月で8.73%上昇し、25日移動平均線5135.6円を約6.7%上回っています。52週高値5790円に接近しており、高値圏での推移です。出来高は8月6日に54万5800株と急増し、上昇に弾みがつきました。RSIは65.93とやや過熱気味ですが、上昇トレンドは継続しています。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

AIの評価

AI評価

株価水準の解釈です。売買の推奨ではありません

現在の株価水準を割安と判定しています(スコア 78/100)

PER 10.54倍、PBR 0.74倍、配当利回り4.01%で、同業界平均のPBR 0.75倍、配当利回り3.20%と比較して利回りは上回り、PBRはほぼ同水準です。しかし同業界平均PERは114.8倍と異常値を示しており、これは業界の赤字銘柄を反映したものと考えられます。ROE 7.3%は安定しており、配当性向46.9%とバランスが取れています。鉄鋼業界の需要変動リスクはありますが、割安なバリュエーションは維持されています。

指標この会社業種平均
PER (実績)10.5倍114.6倍
PER (予想)8.4倍
PBR0.74倍0.75倍
ROE7.3%5.2%

業種平均は同じ東証33業種に属する銘柄の単純平均です。銘柄数が少ない業種では平均が振れます。

AI評価判定とスコアは公開データをもとにした解釈で、将来の株価を示すものではありません。算出の考え方は編集方針に記載しています。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

今期の減収減益予想を受け、業績の回復力が争点。強気派は、特殊鋼の技術力に基づく高付加価値販売と、半導体や原子力など将来需要の回復に期待する。弱気派は、市況悪化による販売数量と価格の下落、コスト増加が利益を圧迫し、収益性の低下が継続すると懸念する。両者の対立は、需要回復のタイミングとコスト吸収力の評価に集約される。

プラスに働く材料7
  • 高付加価値品の需要回復

    半導体製造装置や化学プラント向けが中長期的に成長

  • 技術力による価格維持

    高機能品は競争力が強く値下げ圧力に耐える

  • 株主還元の充実

    配当利回り4%超で株主への利益還元が厚い

  • 予想PER8.4倍と歴史的な低バリュエーション通年影響

    予想PER8.4倍は実績10.54倍を下回り、鉄鋼株の中でも割安感が強まっている。

  • 配当利回り4.01%と高水準継続影響

    配当利回り4.01%は相対的に高く、株主還元姿勢が株価の下支えとなる。

  • PBR0.74倍で簿価割れ継続影響

    PBR0.74倍は純資産に対し26%のディスカウントで、資産価値からの上昇余地がある。

  • 株価は1年で34.81%上昇継続影響

    過去1年で34.81%上昇しており、鉄鋼セクターの中で相対的に強い需給を示す。

マイナスに働く材料7
  • 業績の悪化傾向

    2026/3期に減収減益予想でROEも低下

  • 市況の低迷

    ステンレス市況が軟調で販売数量が伸びない

  • コスト上昇

    原材料やエネルギーコストが収益を圧迫する

  • 売上高が1509億円へ12%減収2026年3月期影響

    売上高は1721億円→1509億円と約12%減少し、主力事業の需要減退が収益を圧迫。

  • 営業利益は170億円から110億円へ減少2026年3月期影響

    営業利益は前期比60億円減の110億円。営業利益率も9.88%から7.29%に低下。

  • 純利益が72億円へ38%減益2026年3月期影響

    純利益は116億円→72億円と約38%減少し、1株利益の押し下げ幅が大きい。

  • 株価上昇後の利益確定売りリスク決算発表後影響

    株価は1年で34.81%上昇しており、減益決算で高止まりしていたバリュエーションが修正されるリスク。

次の決算で確かめる点
営業利益率
収益性の変動を捉え、高付加価値化の進捗を確認
売上高の推移
需要の変化や販売数量の動向を把握するため
配当性向
株主還元の持続性と財務健全性を判断するため

配当

株主還元

直近の年間配当は1株あたり220で、前期から+0.0%いまの株価に対する利回りは4.03%。

年間配当
¥220
1株あたり
配当利回り
4.03%
いまの株価に対して
配当性向
46.9%
利益のうち配当に回した割合
連続増配等
0年
増配か維持が続いた年数
決算期1株あたり配当前期比%配当性向%
2017年3月2526.3
2018年3月4060.022.5
2019年3月6050.018.2
2020年3月600.020.5
2021年3月45−25.020.3
2022年3月120166.727.0
2023年3月20066.716.8
2024年3月2000.023.2
2025年3月22010.030.9
2026年3月2200.046.9

過去の配当は株式分割にあわせて調整した金額です。配当性向は有価証券報告書に記載された各期の値で、利益のうち配当に回した割合を示します。

次の配当スケジュール
  • 権利付き最終日
  • 権利確定日
  • 支払開始日
  • 今期の会社予想年間予想¥220

株主

有価証券報告書より

2026年3月期末の株主数は延べ21,787人。区分でいちばん多いのは個人・その他58.4%。グループ会社や銀行などの安定株主が28.9%を占め、残る71.1%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2021年3月%2022年3月%2023年3月%2024年3月%2025年3月%2026年3月%
個人・その他47.347.050.251.654.858.4
金融機関26.123.522.022.323.919.5
自己株式2.02.63.56.69.110.6
外国法人13.213.311.111.19.79.8
事業法人10.39.89.910.79.99.4
証券会社3.16.36.84.31.82.9
外国人個人0.00.10.00.00.00.0

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)9.12
02株式会社日本カストディ銀行(信託口)4.39
03日本冶金協力会社持株会3.63
04STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505223(常任代理人 株式会社みずほ銀行)2.28
05株式会社みずほ銀行(常任代理人 株式会社日本カストディ銀行)2.01
06河合 映治1.94
07日本冶金ナス持株会1.90
08楢崎 潤1.37
09モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社1.27
10JP MORGAN CHASE BANK 385781(常任代理人 株式会社みずほ銀行)1.18

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

大量保有報告の動き
5%超の保有者の提出ベース 直近1
  • 2026-06-04
    大和アセットマネジメント株式会社
    新規の大量保有報告
    4.51%

提出があった時点の記録です。その後5%を割った保有者が一覧に残ることがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 14期分

1株利益は14期で+1192%、1株純資産は14期で+3610%。直近期のROEは7.3%で、日本株の目安とされる8%を下回る。

決算期EPSBPSROE%PER配当性向%
2013年3月−48197−21.6
2014年3月32001.6106.6
2015年3月142216.417.5
2016年3月532,2082.424.727.5
2017年3月1522,3856.614.026.3
2018年3月2962,70411.69.822.5
2019年3月4973,10017.15.018.2
2020年3月3503,36810.84.820.5
2021年3月2483,6297.18.320.3
2022年3月5614,12114.45.027.0
2023年3月1,3175,32527.83.216.8
2024年3月9346,18816.05.123.2
2025年3月8196,84612.55.130.9
2026年3月5207,2987.38.946.9

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安
ROE自己資本利益率
株主のお金でどれだけ稼いだか。日本株では8%が一つの目安
PER期末実績
株価が1年分の利益の何倍か。低いほど割安とは限らず、期待の低さのこともある
配当性向利益からの還元率
利益のうち配当に回した割合。高すぎる場合は無理をしている可能性もある

経営陣

15名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は15名。2026/3期の役員報酬は総額350百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約6倍にあたる。

氏名役職年齢
久保田尚志取締役会長71
浦田成己代表取締役社長 執行役員社長66
小林伸互代表取締役 執行役員副社長66
豊田浩取締役 専務執行役員64
山田恒取締役 専務執行役員65
秋本朗取締役 常務執行役員62
谷謙二取締役71
菅泰三取締役71
江藤尚美取締役70
小川麻理子取締役60
小野寺俊博取締役(常勤監査等委員)64
岡田啓芳取締役(常勤監査等委員)63
残りの役員3名を開く
氏名役職年齢
星谷哲男取締役(監査等委員)67
若松壮一取締役(監査等委員)68
星川信行56

役員報酬の内訳2026/3

役員の区分人数賞与百万円株式報酬百万円合計百万円1人あたり百万円
取締役(社内)6833428548
社外取締役9586
監査役274

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2026/3期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容555字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3【事業の内容】 2026年3月末現在における当社の企業集団は、当社、子会社18社及び関連会社2社により構成されており、その主な事業は、ステンレス鋼板及びその加工品事業であります。 なお、当社及び関係会社の位置付けは、次のとおりであります。 〔事業の内容〕 当事業においては、ステンレス鋼、耐熱鋼及び高ニッケル合金の板(薄板、中厚板)・帯(コイル)、鍛鋼品、ステンレス建材、ステンレス鋼管、ステンレス加工品等を製造・加工・販売しております。 〔主な関係会社〕 (製造・販売) ナストーア(株)、ナス鋼帯(株)、ナスエンジニアリング(株)、ナステック(株)、宮津海陸運輸(株)、NAS TOA(THAILAND)CO.,LTD.、南鋼日邦冶金商貿(南京)有限公司 (加工・販売) ナス物産(株)、クリーンメタル(株) 〔事業系統図〕 以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。 注)1.当社は2025年5月15日にインド現地法人(Nippon Yakin India Private Limited)を設立し、非連結子会社としています。 2.非連結子会社であるシンガポール現地法人(NIPPON YAKIN ASIA PTE. LTD.)は、2026年2月8日に清算結了しております。
経営方針・対処すべき課題3,648字を開く

経営陣が考える方向性と課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 〔経営の基本方針〕 当社グループの事業経営は、創造と効率を両輪として生み出されたすぐれた製品を提供することにより、社会に進歩と充実をもたらすことを理念としております。また、全ての面で国際的水準において優位に立ち、企業価値を高めることで株主を始め皆様の期待に応えることを基本方針としております。 〔経営環境及び会社の対処すべき課題〕 世界的な地政学リスクの高まりにより、経済の分断や混乱が続いています。 このような中、高機能材分野では、一部用途や地域で需要低迷が長期化しているほか、海外メーカーとの間で納期やコストを巡る競争が一段と激しくなっています。 また、国内のステンレス一般材分野では、少子高齢化に伴う需要の緩やかな減少に加え、輸入材の流入・定着などにより、事業環境は厳しさを増しております。 こうした状況を踏まえ、当社グループは「ニッケル高合金・ステンレス市場のトップサプライヤーとして、新領域へ挑戦し進化を続けるレジリエントカンパニー」を目指し、このたび「中期経営計画2026-2028」を策定いたしました。 今後は、本中期経営計画に基づき、収益力の向上と財務基盤のさらなる強化に取り組み、中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。 〔中長期的な会社の経営戦略〕 当社グループは、2026年度を初年度とする3か年計画「中期経営計画2026-2028」を策定いたしました。 「中期経営計画2026-2028」の概要 1.「中期経営計画2026-2028」で目指す姿 「ニッケル高合金・ステンレス市場のトップサプライヤーとして、 新領域へ挑戦し進化を続けるレジリエントカンパニー」 2.3つの基本戦略 ①新たな領域での市場ニーズの探求と、必要なアイテムの開発と提供 高機能材部門においては、将来的に需要拡大が見込まれる分野・エリアにおいて、ニーズに合わせた高機能材の素材開発と提供を推進するとともに新たな市場領域の開拓を見据えた研究開発を強化し、中長期的な成長機会の創出を図ります。また、一般材部門の中で競争力優位な商品である機能付与材を高機能材部門へ区分し、拡販強化を図ってまいります。それ以外の一般材部門においては、お客様に求められる価値を提供することで輸入材とは一線を画す国内ステンレスメーカーとしての事業基盤を強化いたします。また、グループ会社とのシナジー効果をより一層発揮し、グループ各社の基盤強化と販売体制の強化を進め、市場ニーズの高度化へ対応してまいります。 <主要施策> ・高機能材部門:成長市場・分野への戦略的な取り組みによる拡販と開発推進 1)高機能材拡販に向けた組織力の強化 2)既存材料の対応領域、供給力拡大 3)新たな市場領域開拓に向けた新合金(高機能材ハイグレード品)と製造プロセスの開発 4)一般材部門から新たに高機能材部門にシフトした商品の拡充展開 ・一般材部門:輸入材にはない価値の提供による国内ステンレス事業の強化 ・グループ会社との連携による営業基盤確保 ②技術を追求し、あらゆるニーズに対応可能な生産体制を構築 <主要施策> ・QCD競争力強化:生産技術の進化による競争力トップの高機能材生産体制の確立 (製造プロセス革新、顧客ニーズの実現) ・調達力強化:原料の多様化と原料・資材の安定調達 (フレキシブルな原料運営、カーボンレス・ニッケル製錬ルッペ(フェロニッケル)の活用拡大 他) ③環境変化に対応し、持続可能な経営基盤を確立 <主要施策> ・環境配慮:カーボンニュートラルの実現に向けた取り組み ・人材施策:将来を見据えた人的資本計画の遂行 ・DX・AI活用:DX推進による業務プロセス変革とIT基盤整備 ・財務基盤強化:「信用格付A格」取得を視野に入れた財務基盤の強化 3.設備投資計画 当社グループの戦略分野である高機能材部門の「稼ぐ力のブラッシュアップ」と将来に向けた「新たな分野の開拓」に資する新設備の導入、競争力強化・カーボンニュートラル関連の戦略投資のほか、基盤強化、更新投資、グループ会社投資も含め3ヶ年累計で382億円(意思決定ベース)の設備投資を計画しております。 <設備投資計画(3ヶ年累計)> 項目   意思決定ベース 戦略投資   158億円 基盤強化   31億円 更新投資   117億円 小計   306億円 グループ会社投資   76億円 合計   382億円 [参考]減価償却費(連結、3ヶ年累計):244億円 4.資金配分(キャッシュ・アロケーション) 「中期経営計画2026-2028」期間中の収入合計817億円の50%超に当たる451億円を設備投資と研究開発費(=将来への投資)に配分する計画としております。 <キャッシュアロケーション(3ヶ年累計)> 収入   支出 経常利益   527億円   設備投資・研究開発費   451億円 (研究開発費控除前) 減価償却費   244億円   株主還元   104億円 借入金・現預金増減   46億円   運転資金・納税他   262億円 合計   817億円    合計   817億円 5.達成目標 項目   目標(2028年度) 高機能材部門売上高比率(単体)   60% EBITDA   300億円 ROE   10.0% 配当性向   35%以上 DOE(注1)   2.8%以上 (参考)ネットD/Eレシオ   0.5~0.7 (注)1.安定的かつ継続的な株主還元を実施する観点から、DOE(株主資本配当率)2.8%を配当金額の下限といたします。 〔資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応〕 当社は、中長期的な企業価値の最大化に向け、資本コストや株価を意識した経営を重要な経営課題と認識しております。この認識のもと、2026年度を初年度とする中期経営計画において、引き続き「PBR(株価純資産倍率)1倍以上」の実現および資本コストを上回るROE10%以上の達成を目標に掲げております。 これらの目標達成に向け、当社は「ニッケル高合金・ステンレス市場のトップサプライヤー」を目指し、3つの基本戦略に基づく事業運営を推進しております。 第一に、「新たな領域での市場ニーズの探求と、必要なアイテムの開発と提供」です。高機能材分野においては、エネルギー・半導体関連といった成長分野への戦略的な取り組みにより拡販および開発を推進するとともに、次世代エネルギー等よりハイグレードな市場の開拓を見据えた新合金開発・製造プロセス開発投資を行ってまいります。また、一般材分野においては、小ロット・多品種対応を通じて、輸入材にはない付加価値を提供し、国内事業基盤の強化を図っております。(より付加価値が高く差別化できる分野として、高機能材カテゴリーを見直し新カテゴリーでの高機能材売上高比率60%を目指します。) 第二に、「技術を追求し、あらゆるニーズに対応可能な生産体制の構築」です。生産技術の進化によるQCD(品質・コスト・納期)競争力の強化を進めております。また、大江山製造所のカーボンレスニッケル製錬の活用など原料の多様化や調達力の強化により、外部環境の変化に柔軟に対応可能な安定的供給体制を構築しております。第三に、「環境変化に対応し、持続可能な経営基盤の確立」です。環境対応(カーボンニュートラル)、人的資本の強化、DX・AI活用の推進、財務基盤の強化等を通じて、環境変化に耐え得る持続可能な経営基盤の構築を進めております。 以上の基本戦略に基づき、資本配分については、資本コストを意識したキャッシュ・アロケーションを基本とし、中期経営計画期間における総資金収入817億円に対し、成長投資として設備投資397億円および研究開発費54億円(合計451億円、約55%)、株主還元として104億円(配当性向35%前提)を配分するなどを見込んでおります。 株主還元については、安定的かつ継続的な配当を基本としつつ、資本効率および財務健全性とのバランスを踏まえた適切な水準を維持してまいります(新たにDOE目標を導入しました)。 また、信用格付A格の取得も視野に入れ、財務基盤の強化を進めております。 今後も、成長投資・株主還元・財務規律の最適なバランスを実現し、資本効率の向上および成長戦略の実行により持続的な企業価値の向上に取り組んでまいります。 なお、中期経営計画の詳細については、当社ウェブサイトに開示しておりますので、ご参照ください。 「中期経営計画2026-2028」の詳細 https://www.nyk.co.jp/investors/plan/index.html
事業等のリスク5,230字を開く

会社が自認するリスクの一覧

3【事業等のリスク】 本報告書に記載した当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、以下に記載した事項の他に現時点では予測できない事象が、当社グループの業績及び財政状態、キャッシュ・フローの状況に影響与える可能性があります。 また、当社のリスク管理体制の整備状況については「第4 提出会社の状況 4.コーポレートガバナンスの状況等」の記載、対応策等については「統合報告書2025」(当社ウェブサイト https://www.nyk.co.jp/investors/library/integrated_report.html に掲載)もあわせてご参照ください。 1.当社グループは、経営方針、事業戦略にもとづき、市場や経済の環境変化に対応すべくリスクコントロールを行い、事業経営を進めております。これについて、以下を重要なリスクと認識しております。 (1)製品需給における市場環境の変動リスク ①ステンレス特殊鋼業界における供給過剰リスク ステンレス特殊鋼業界においては、特に中国をはじめとするアジア地域における一般材の生産能力の増加により、需給バランスや製品価格の動向等が影響を受けるリスクがあります。 ②ステンレス特殊鋼製品の需要及び販売価格動向のリスク 当社グループが販売するステンレス特殊鋼製品の需要及び価格動向は、国内の景気動向や取引先の需要動向、海外各地域の政治・貿易施策・経済情勢の変動、国内外メーカーの当該市場への拡大・強化による競争の激化等により影響を受けるリスクがあります。 ③国際的な鉄鋼貿易を巡る保護主義の台頭及び地政学的リスク 国際的な政治、経済情勢の変化や米国を始めとする各国の通商政策の変化に伴い、鉄鋼貿易に係る関税や数量規制等が一部地域で保護主義に向かう動きがあります。また、国際情勢をめぐる地政学的リスクの高まりにより、鉄鋼貿易の需給構造も影響を受けるリスクがあります。 当社グループが注力する高機能材は、売上の約6割を海外市場に依存しており、こうした保護主義的な貿易政策の動きや国際的な政情不安により、高機能材の輸出が影響を受けるリスクがあります。 以上のような外部環境変化のリスクに対応するため、「中期経営計画2026-2028」に掲げた諸施策を着実に実行することで、当社グループの戦略分野である高機能材事業の拡大、製品ポートフォリオの組み替えによる多様化、事業基盤の強化に努めてまいります。「中期経営計画2026-2028」の詳細につきましては、「第2 事業の状況、1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 〔中長期的な会社の経営戦略〕」をご参照ください。 (2)原材料の価格及び調達環境、並びに為替レートの変動リスク ①レアメタルの価格及び調達環境の変動リスク 当社グループ製品の主要な原材料には購入屑の他、ニッケル、クロム、モリブデン等のレアメタルを含み、これらの安定調達のために調達ソースの多様化に努めておりますが、価格及び調達環境については、国際的な需給バランス、原産国の資源ナショナリズム、国際紛争、投機的取引等に起因する相場変動の影響を受けるリスクがあります。 当社においては、当社の生産インフラの特徴を生かし、社会から排出されるリサイクル原料(都市鉱山)の多様化と使用拡大を進め、リサイクル原料比率をより一層上げていくことで、上記のリスクにも対応してまいります。 ②為替レートの変動リスク 当社グループは、ステンレス特殊鋼製品の輸出や原材料の輸入等で外貨建て取引を行なっており、為替相場の大幅な変動により影響を受けるリスクがあります。 以上のような価格及び為替の相場変動による当社グループの業績への影響は、状況により損益両面想定されますが、相場変動リスクをヘッジするため、社内規程である「ヘッジ取引規程」に基づき、必要に応じて商品デリバティブ取引や為替予約取引を利用しております。 (3)設備事故及び労働災害の発生リスク 当社グループの主要設備において重大な事故や労働災害が発生した場合、生産活動が停滞するリスクがあります。 当社においては、安全衛生活動を組織的、体系的に運用管理する仕組みとしてOSHMS(労働安全衛生マネジメントシステム)を導入して安全衛生レベルの向上に取り組んでおり、働く人全てが健康で安全に働ける職場の形成を目指しております。また、「中期経営計画2026-2028」に掲げた戦略設備投資を実行することにより安定・安全稼働、作業環境改善を図ってまいります。 (4)設備投資に関するリスク 当社は「中期経営計画2026-2028」に基づき高機能材増産対応とカーボンニュートラル関連の戦略投資を中心に設備投資を継続してまいります。工事の進捗遅れや操業トラブル等、想定した投資効果を十分に得られなかった場合、当社グループの業績や財政状態が影響を受けるリスクがあります。 当該設備投資計画は、今後の経営環境の変化を見据え、経営資源の最適配分をすべく慎重に検討を重ねたものでありますが、遂行過程においても状況変化を的確に捉え、必要な見直しを適切に行ってまいります。 (5)大規模な自然災害等の発生リスク 大規模な自然災害(台風、地震等)や感染症の流行が発生した場合、当社グループの主要設備の操業停止、主要取引先の被災、物流・通信・情報システムの混乱等によるサプライチェーンの分断が生じるリスクがあります。 当社グループが販売する製品の主要な製造拠点は当社川崎製造所内に集中しており、効率的な生産が可能になる等の利点がある反面、同製造所が被災した場合、生産活動に甚大な影響を及ぼし、販売収益の大幅な減少や顧客への供給不足、多額の設備復旧費用や外部委託費用の発生等が生じるリスクがあります。 上記のような状況を想定したBCP(事業継続計画)を作成し、その訓練と見直しを継続的に行うことにより、事業活動への影響を最小限に止めるための取り組みを進めております。 また、感染症流行時の従業員及びその家族の生命及び安全の確保のため、職場での感染防止対策の徹底やテレワーク体制の整備、WEB会議システムの導入等を実施し、別途感染症対応のBCPを追加作成しております。 (6)金融市場及び資金調達環境の変動リスク 金利情勢やその他金融市場の変動が当社グループの借入金金利や資金調達コストに影響を及ぼすリスクがあります。また、当社グループの借入金には財務制限条項を付したシンジケート・ローンが含まれており、当社または当社グループの財務状況悪化等により当該財務制限条項に抵触した場合、期限の利益を喪失するリスクがあります。 当社は、金利変動によるリスクをヘッジするため、必要に応じて金利スワップ取引を利用しております。また、ヘッジ取引の利用にあたっては、社内規程である「ヘッジ取引規程」に基づき運用しております。 (7)気候変動への対応リスク 当社はエネルギー多消費型産業である鉄鋼業の一員であり、気候変動への対応は経営課題の一つと捉え、2050年度CO2排出量実質ゼロを目指してロードマップを策定し、施策を着実に実施しています。当社グループとしてもカーボンニュートラルに積極的に取り組んでおりますが、将来的なカーボンプライシングの負担発生、電力や燃料価格の上昇、CO2排出量削減のための設備投資増加、CO2排出量の多い需要分野の縮小や新たな需要の取り込みの遅れ等が生じるリスクがあります。 気候変動への取り組みにつきましては、「第2 事業の状況、2.サステナビリティに関する考え方及び取組、1.気候変動」をご参照ください。 2.当社グループは、持続的発展が可能な企業であり続けるために、グループ横断的に各部門のリスク認識を定期的にモニタリングしております。このうち以下を重要なリスクとして特定しています。 (1)環境規制に関するリスク 当社グループの事業活動は、大気・水質・土壌等の汚染、化学物質の使用、廃棄物処理等に関して、様々な環境規制を受けており、これらはより厳格に適用される方向にあります。このため、規制遵守に係るコスト増加や環境負荷低減に向けた社会的責任が増加する傾向にあります。 当社においては、製造拠点にて環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001/JIS Q 14001の認証を取得しており、同拠点にて策定した環境方針・環境管理計画を達成するための施策に取り組んでおります。また、「中期経営計画2026-2028」に掲げた戦略設備投資を実行することにより環境配慮型の製造所を構築してまいります。 (2)品質保証に関するリスク 当社グループが注力する高機能材は、厳しい使用環境下での高い信頼性を求められるものも多く、品質問題が発生した場合は、補償金の支払い、信用失墜による売上減少、品質保証の規格認証の取消し等が生じるリスクがあります。 当社においては、JIS Q 9001/ISO 9001及びJIS Q 9100の要求事項に合致した品質マネジメントシステムを確立し、この実施と継続的改善に取り組んでおります。また、品質監査部門によりグループを通じた品質管理体制強化のための方針を定め、監査活動等を通じてグループ全体のレベルアップを図っております。 (3)情報セキュリティに関するリスク 当社グループが運用する情報システムや、情報システムが保有する技術情報・経営情報等の社内情報が、外部からのサイバー攻撃や情報システム機器・ネットワーク等の物理的な破壊により、運用停止や社内情報等の流出・逸失の可能性があります。このような事態の発生により、生産・販売等のあらゆる企業活動が制約される他、情報の流出に係る損害賠償金の支払い等が発生するリスクに対しては、社内対応体制の整備を進める他、サイバー保険を付保しております。 (4)人材確保に関するリスク 国内の労働人口の減少に伴い、当社グループが必要とする人材の確保が困難になった場合は、長期的に安定した事業活動、組織の活性化や健全な発展を阻害するリスクがあります。 当社は異なるバックグラウンドを持つ多様な考え方が組織の健全な発展に資すると考えており、人材育成及び社内環境整備に関する諸施策に取り組むことにより、当社グループの安定的発展を担う人材の育成と定着を図っております。また、人事制度全般を見直し、定年年齢を65歳に引き上げております。 当社グループの人材育成及び社内環境整備に関する取り組みにつきましては、「第2 事業の状況、2.サステナビリティに関する考え方及び取組、2.人的資本」をご参照ください。 (5)法令違反に関するリスク 当社グループの事業は、独占禁止法や中小受託取引適正化法、品質・環境保全・安全衛生・産業廃棄物処理等に関連する様々な法令等の適用を受けておりますが、これらの法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループに対する社会的信用の低下や損害賠償金の支払い等が生じるリスクがあります。 上記に備えた当社のコンプライアンス体制については、「第4 提出会社の状況 4.コーポレートガバナンスの状況等 (1)コーポレートガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項 Ⅰ内部統制システムに関する基本的な考え方 2.業務の適正を確保するための体制の運用状況の概要 (1)コンプライアンス、リスク管理体制 (2)企業集団における内部統制体制」をご参照ください。 (6)人権に関するリスク 当社グループ製品の主要な原材料には海外から調達しているものも多く、これらのサプライチェーンにおいて人権問題が発生した場合、価格及び調達環境の悪化、信用失墜による売上減少等が生じるリスクがあります。また、従業員、取引先に対する不当な差別やハラスメント行為が発生した場合、人材の流出、取引停止、訴訟、組織の活性化や健全な発展の阻害等が生じるリスクがあります。 当社グループは人権の尊重が事業活動にとって必要不可欠であることを強く認識しており、当社グループの一人一人が人権尊重の取り組みを実践するとともに、当社グループが果たすべき責務を明確にするために、国際的な規範を踏まえた「NASグループ人権方針」を制定しております。サプライチェーンを含むビジネスパートナーに対しても、本方針へのご理解を頂くよう努めてまいります。また、当社は「パートナーシップ構築宣言」を公表し、サプライチェーン全体の共存共栄を目指しております。
経営成績の分析 (MD&A)6,804字を開く

業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況 当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境が改善するなど景気は緩やかな回復傾向にあるものの、地政学的リスクの高まりや米国の通商政策の動向など不安定な状況が継続しました。 ステンレス特殊鋼業界におきましては、造船向けの需要は堅調に推移し、半導体製造装置向け需要も年明けより回復の兆しが見え始めました。一方で、建築資材向けは物価高や人手不足等による需要停滞に改善が見られず、厳しい状況が続きました。また、東アジア地域からの安価な輸入材の流入は高水準で継続いたしました。 当社グループの戦略分野である高機能材につきましては、世界的なAI投資拡大等を背景に半導体生産関連向けの需要が増大しているものの、中国経済の停滞や環境関連分野への投資先送りなどが影響し数量面では低迷が続きました。 コスト面につきましては、原料価格は比較的安定して推移いたしましたが、人件費や減価償却費など固定費の増加が収益を圧迫いたしました。 その結果、当連結会計年度の販売数量につきましては前年度比6.8%減(高機能材9.9%減、一般材5.0%減)、連結売上高は150,866百万円(前年度比21,231百万円減)となりました。また、利益面につきましては、連結営業利益10,973百万円(前年度比5,994百万円減)、連結経常利益9,657百万円(前年度比6,542百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益7,215百万円(前年度比4,363百万円減)となりました。 ②財政状態の状況 当連結会計年度末における総資産は219,411百万円となり、前連結会計年度末比1,950百万円増加しております。これは主として売上債権の減少(2,746百万円)、機械装置及び運搬具の増加(1,894百万円)及び現金及び預金の増加(1,759百万円)によるものであります。 当連結会計年度末における負債の額は118,103百万円となり、前連結会計年度末比2,752百万円減少しております。これは主として仕入債務の減少(4,709百万円)及び短期借入金の増加(1,402百万円)によるものであります。 当連結会計年度末における純資産の額は101,308百万円となり、前連結会計年度比4,702百万円増加しております。これにより自己資本比率は46.1%となりました。 ③キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益(9,585百万円)等により、13,545百万円の収入(前連結会計年度比2,504百万円の収入増加)となりました。 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形・無形固定資産の取得(8,693百万円)等により、9,383百万円の支出(前連結会計年度比2,006百万円の支出減少)となりました。 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の調達(10,408百万円)及び返済(9,751百万円)及び配当金の支払(3,216百万円)等により、2,733百万円の支出(前連結会計年度比4,661百万円の支出減少)となりました。 以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物残高は、換算差額を含めて11,034百万円となり、前連結会計年度比1,665百万円増加いたしました。 ④生産、受注及び販売の実績 a.生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと以下のとおりであります。 セグメントの名称   金額(百万円)   前年同期比増減(%) ステンレス鋼板及びその加工品事業   115,279   △16.4 (注)1.金額は製品製造原価によっております。 b.受注実績 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと以下のとおりであります。 セグメントの名称   受注高   受注残高 金額(百万円)   前年同期比増減(%)   金額(百万円)   前年同期比増減(%) ステンレス鋼板及びその加工品事業   151,892   △9.7   22,904   4.7 c.販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと以下のとおりであります。 セグメントの名称   金額(百万円)   前年同期比増減(%) ステンレス鋼板及びその加工品事業   150,866   △12.3 (注)1.主要な販売先はいずれも総販売実績に対する販売実績の割合が10%未満のため、記載を省略しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 a.経営成績 当連結会計年度の経営成績に関する分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載の通りであります。 ※連結損益計算書概要               単位:百万円、% 当連結会計年度(2026年3月期)   前連結会計年度(2025年3月期)   前年度対比   増減率 売上高   150,866   172,097   △21,231   △12.3 営業利益   10,973   16,967   △5,994   △35.3 経常利益   9,657   16,200   △6,542   △40.4 親会社株主に帰属する当期純利益   7,215   11,579   △4,363   △37.7 b.財政状態 当連結会計年度末時点の資産の状況は、販売数量の減少により売上債権が2,746百万円減少したことと機械装置及び運搬具が1,894百万円増加したこと及び現金及び預金1,759百万円が増加したこと等により、総資産の金額は前年同期比1,950百万円増加の219,411百万円となりました。 負債につきましては、仕入債務が4,709百万円減少したこと及び将来の設備投資資金を長期借入金の新規借入により調達したことにより借入金及び社債が2,059百万円増加したこと等により、負債の総額は前年同期比2,752百万円減少の118,103百万円となりました。 以上により当連結会計年度末時点における純資産の金額は前年同期比4,702百万円増加の101,308百万円となりました。その結果、当連結会計年度末時点における自己資本比率は46.1%となり、前年同期比で1.7%上昇しました。 ※連結貸借対照表概要           単位:百万円、% 当連結会計年度(2026年3月期)   前連結会計年度(2025年3月期)   前年度対比   増減率 現金及び預金   11,275   9,516   1,759   18.5 受取手形、売掛金及び契約資産   16,488   19,426   △2,938   △15.1 電子記録債権   7,286   7,094   192   2.7 棚卸資産   62,123   62,708   △585   △0.9 固定資産   120,142   115,700   4,442   3.8 その他資産   2,097   3,017   △920   △30.5 資産合計   219,411   217,461   1,950   0.9 支払手形及び買掛金   7,375   11,290   △3,914   △34.7 電子記録債務   4,428   5,223   △795   △15.2 借入金及び社債   77,130   75,071   2,059   2.7 その他負債   29,169   29,271   △102   △0.4 負債合計   118,103   120,855   △2,752   △2.3 純資産合計   101,308   96,606   4,702   4.9 自己資本比率   46.1   44.3   1.7 c.キャッシュ・フロー 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の減少、販売数量の減少等により運転資金が減少したこと等により、13,545百万円の収入となり、前年同期比で2,504百万円の収入増加となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは、「中期経営計画2023」での大型戦略設備投資が一巡したことによる有形・無形固定資産の取得による支出の減少等により9,383百万円の支出となり、前年同期比で2,006百万円の支出減少となりました。 以上により営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは、4,161百万円となり、前年同期比で4,510百万円増加しました。 財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の調達及び返済(1,997百万円)の他、当期中に支払った1株当たり合計230円の配当金の支払による支出(3,216百万円)等により、2,733百万円の支出となり、前年同期比で4,661百万円の支出減少となりました。 ※連結キャッシュ・フロー計算書概要           単位:百万円 当連結会計年度(2026年3月期)   前連結会計年度(2025年3月期)   前年度対比 営業活動によるキャッシュ・フロー   13,545   11,041   2,504 税金等調整前当期純利益   9,585   16,092   △6,508 減価償却費   6,534   5,830   704 売上債権の増減額(△は増加)   2,746   368   2,379 棚卸資産の増減額(△は増加)   585   1,397   △812 仕入債務の増減額(△は減少)   △4,710   △6,369   1,658 その他   △1,195   △6,277   5,082 投資活動によるキャッシュ・フロー   △9,383   △11,389   2,006 有形・無形固定資産の取得による支出   △8,693   △11,291   2,598 その他   △690   △98   △592 フリー・キャッシュ・フロー   4,161   △348   4,510 財務活動によるキャッシュ・フロー   △2,733   △7,394   4,661 借入金及び社債の純増減額(△は減少)   1,997   △2,813   4,810 配当金の支払額   △3,216   △2,852   △364 その他   △1,514   △1,730   216 現金及び現金同等物の増減額(△は減少)   1,665   △7,549   9,215 ②資本の財源及び資金の流動性の状況 当社は「中期経営計画2026-2028」の基本戦略の1つである「技術を追求し、あらゆるニーズに対応可能な生産体制を構築」に向けて、戦略的設備投資を実行してまいります。 この他、経常的な事業活動の継続にあたり一定の運転資金を必要としておりますが、これらの財源は自己資金・借入金及び社債にて充当する方針です。 資金の流動性については、担当部署にて定期的にモニタリングされた資金需要の状況に応じて電子記録債権の譲渡・割引等による売掛債権の流動化を適宜実施していることに加え、一部の連結子会社との間で構築しているCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を利用することによりグループ全体の資金活用の効率化が図られており、一定の流動性が確保されているものと認識しております。 ③経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況に関する分析・検討内容 経営方針・経営戦略・経営上の目標については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。 「中期経営計画2023」で掲げている数値目標と実績は下表の通りです。 高機能材売上高比率(%)   EBITDA(連結)(億円)   ROE(連結)(%)   総還元性向 (連結)(%)    CO2削減率(2013年度対比単体)(%) 中計目標 (注1)   50   200億円以上   10.0   35   ▲46%以上 2025年度実績   41   172   7.3   42.0   (注2)▲60.6 2024年度実績   44   227   12.5   35.0   ▲54.3 2023年度実績   49   254   16.0   35.0   ▲59.6 (注)1.中計目標は「中期経営計画2023」の最終年度である2025年度における達成目標であります。 2.2025年度のCO₂削減率は見込みの数値を記載しております。 2025年度実績を踏まえた「中期経営計画2023」の進捗状況についての認識(評価)は以下の通りです。 ・高機能材売上高比率につきましては、高機能材販売数量の伸び悩み、LME-Ni相場下落影響により目標値未達となりました。 ・財務指標の達成目標(EBITDA・ROE)につきましては、2023年度、2024年度に中計計画値を超過達成するも、最終年度は未達となりました。 ・総還元性向につきましては、安定的かつ継続的な配当と機動的な自己株取得により中計で掲げた最終年度における目標を達成することができました。 ・設備投資計画につきましては、高機能材増産対応とカーボンニュートラル関連の戦略投資案件を中心に計画並みの設備投資を実施することができました。 今後につきましては、「中期経営計画2026-2028」において掲げた諸施策を着実に実行し、 「ニッケル高合金・ステンレス市場のトップサプライヤーとして、 新領域へ挑戦し進化を続けるレジリエントカンパニー」 を目指してまいります。 ④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。 a.繰延税金資産の回収可能性 繰延税金資産の回収可能性の判断にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 b.退職給付債務の算定 当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、予想昇給率等の様々な計算基礎があります。 当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。 なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係) 2.確定給付制度 (5)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。 c.固定資産の減損処理 当社グループは事業用資産については各事業単位、遊休資産については個別物件単位に資産のグルーピングを行っております。収益性の低下等により、投資額の回収が見込めなくなった固定資産については、帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。事業用資産の回収可能価額につきましては正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額となりますが、正味売却価額につきましては主として不動産鑑定評価額、使用価値につきましては割引前将来キャッシュ・フローに基づき算定しております。遊休資産の回収可能価額につきましては、正味売却価額により測定しており、固定資産税評価額を基に算定しております。

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開示資料

出典

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