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超!企業DB
日経平均64,325.64-1,890NYダウ52,980.73+214ドル円158.84-1NASDAQ26,208.82+109S&P 5007,666.58+35SOX 指数11,332.81+449/2終値

アルファパーチェス

AlphaPurchase Corporation7115 · Standard · 卸売業

上場企業の間接材調達と店舗運営のバックオフィスをITで効率化する、MROとFMの二本柱で最適購買を支える。

概要

アルファパーチェスは、2000年11月に米国投資ファンドのリップルウッドにより設立された卸売業企業である。大企業グループを主な顧客とし、間接材(MRO)の調達を効率化する電子購買プラットフォーム「APMRO」や「無限カタログ」を提供するMRO事業と、商業施設の新築・改装・修繕・清掃などを行うFM事業の2本柱で構成される。2022年12月に東京証券取引所スタンダード市場に上場。2025年12月期の連結売上高は589億円、従業員数は265名。

MRO事業とFM事業の二軸で構成される事業構造

当社グループは、MRO事業とFM事業の2つを主軸とする。MRO(Maintenance Repair and Operations)事業は、大企業向けに工具・消耗品・修繕部品・文具などの間接材を、自社の電子購買システムを介して販売する物販事業である。一方のFM(Facility Management)事業は、商業施設の新築・改装・修繕・清掃・運営支援を手掛け、建材の供給から施工管理までを一貫して提供する。両事業とも、顧客の購買プロセス全体を効率化し、コスト削減と内部統制強化を支援する点で共通する。2025年12月期のセグメント別売上高は、MRO事業が443億円、FM事業が146億円、その他(子会社ATCのIT外販)が2億円である。

大企業グループに特化した顧客戦略と市場規模

当社グループは、主に上場企業を中心とした大企業の企業グループ全体を顧客対象とする。主要な顧客グループ数は約80、そのうち売上規模の大きい顧客は約30に集中する。市場規模について、当社は大企業向けのロングテール型MRO物品市場を約1兆円と推計しており、現状のシェアは限定的であるため、成長余地が大きいと認識している。顧客の子会社や関係会社までをITシステムで結び、サプライヤーからの直送を基本とする物流体制によって、多品種・少量・少額の間接材調達における「規模の経済」とDXを実現している。

収益の大半を占めるMRO事業と変動の大きいFM事業

売上高の約75%をMRO事業が占め、収益の柱となっている。MRO事業は、電子カタログ「無限カタログ」を通じた販売が中心で、2025年12月期には新機能「MRO購入選択品の自動置き換え推奨」の導入により粗利率が改善し、セグメント利益は前期比54%増の12億円に拡大した。一方、FM事業は商業施設の改装需要の変動に影響を受けやすく、2025年12月期には第4四半期に工事が集中したことで原価が急増し、セグメント利益は前期比48%減の2億円に落ち込んだ。両事業の変動を平準化するため、複数業態のチェーンストアを顧客に持つことでリスク分散を図っている。

グループ構成とサプライヤー・パートナーとの関係

当社グループは、持株会社であるアルファパーチェスと、連結子会社のATC株式会社(ITシステム開発・運用)およびAPリノベーションズ株式会社(建設事業)、非連結子会社の愛富思(大連)科技有限公司の4社で構成される。MRO事業の商品納入の大部分はサプライヤーから顧客への直接配送であり、物流機能はパートナー企業に全面委託している。FM事業における役務も基本的に直接顧客に提供されるが、材工分離の場合は一時的に在庫を保有することもある。ITシステムの開発・運用も大部分をパートナー会社に委託しており、自社で在庫や物流を抱えない軽量なビジネスモデルを採用している。

業界の中での役割は企業の間接材購買と施設管理のアウトソーシングを担うB2Bサービス事業者。にあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

売上高
589億円
営業利益
15億円
営業利益率
2.5%
純利益
10億円
2025/12 通期の連結業績。決算の内訳は最新の決算以降にあります。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2025/3期)より

01大企業(企業グループ)主力

主に上場企業を中心とした大企業グループ全体を顧客に、電子購買システム「APMRO」を提供し、間接材の調達を効率化。サプライヤー直送による物流でコストを抑え、幅広い品揃えと価格競争力、社内決裁の管理機能を強みとする。

主な製品・サービス1
APMRO(電子購買システム)
MRO商品の購買業務を効率化するITプラットフォーム。電子カタログ「無限カタログ」を含み、サプライヤーとの価格競争や社内決裁管理を支援する。

02チェーンストア(小売・飲食・宿泊)主力

コンビニエンスストア、ドラッグストア、ファストフード、ホテルなどチェーンストア向けに、新築・改装・修繕・清掃・運営支援を提供。全国ネットワークによる24時間365日のメンテナンス体制と、チェーン本部のコスト削減支援が特徴。

主な製品・サービス2
CFMサービス
商業施設の開店・改装時に最適化した建材提供(材・工分離)と施工管理を担う。
FMサービス(施設管理)
商業施設の維持管理、改装、修繕、法定点検などの予防保全を提供する。

03ITシステム開発・運用副次

子会社ATC株式会社が、グループで培ったITシステム開発・運用のノウハウを外販する。低リスク・高収益だが、規模は大きくない。

製品と技術

電子購買システム「APMRO」と「無限カタログ」

MRO事業の中核をなすのが、自社開発の電子購買システム「APMRO」と、その電子カタログ部分である「無限カタログ」である。顧客の大企業グループは、各社の基幹システムや購買システムとAPMROを連携させ、社内決裁ルールに基づいて間接材を発注できる。無限カタログには多数のサプライヤーの商品が登録されており、顧客は価格・納期を比較して最適な商品を選択可能。2024年度末に導入した「MRO購入選択品の自動置き換え推奨機能」は、顧客の購入単価低減と当社の粗利率改善の両方に貢献し、2025年12月期のMRO事業利益を大きく押し上げた。

FM事業における店舗設備の包括保守と材工分離

FM事業では、商業施設の開店から閉店までのライフサイクル全体をカバーするサービスを提供する。具体的には、店舗設備の新築・改装・修繕・清掃・法定点検対応などである。特に、当社グループは「材工分離」と呼ぶ、資材支給と施工を別々の業者が行う形態を特徴とする。これにより、顧客は資材と工事を個別に発注でき、コストの透明性が高まる。また、24時間365日対応のメンテナンス体制や全国ネットワークのパートナー企業との連携により、緊急時の迅速な対応が可能である。2025年12月期には第4四半期に改装需要が集中し、チャーター便配送などの緊急対応が原価を押し上げる要因となった。

IT子会社ATCによるシステム開発と外販

連結子会社のATC株式会社は、2014年1月にITシステム開発・運用部門を分社化して設立された。主に当社グループ向けに電子購買システム等の開発・運用を手掛けるが、その技術やノウハウを外販する事業も行っている。外販売上は2025年12月期で2億円と規模は小さいが、低リスクかつ高収益な事業である。ただし、IT人材をグループ内のシステム開発に集中させる方針から、外販事業は縮小傾向にある。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

卸売業のなかでの位置

卸売中堅、安定収益と緩やかな拡大

卸売業に属し、主にヘルスケア関連の商品を取り扱う。売上高は 520 億円(2023/12)から 589 億円(2025/12)へ3期連続増収、営業利益率は 2.14%→2.55% と微増。同業のリョーサン菱洋HDや高千穂交易と比較すると売上規模は同等だが、利益率は低め。安定したビジネス基盤を持つが、成長率は緩やか。業界内でのポジションは特定分野に強みを持つ中堅。

強み

  • 売上高が緩やかながら一貫して増加、堅調な事業基盤
  • 成長市場であるヘルスケア分野に専門性を持ち、需要が安定
  • 長期取引による顧客基盤が強固で、リレーションシップを活用
  • 低負債で財務体質が安定、投資余力を確保

課題

  • 営業利益率が 2% 台と低く、コスト上昇に弱い
  • 同業他社との明確な差別化が難しく、価格競争に陥るリスク
  • ヘルスケア卸市場が成熟し、急成長の余地が限定的

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

卸売業の時価総額近傍。太字がアルファパーチェス

時価総額で並べると、掲載11社のなかで6番目にあたる。

#企業時価総額PER
17487小津産業151億円24.7倍
29888UEX150億円20.7倍
33140BRUNO150億円17.8倍
48045横浜丸魚148億円20.7倍
53417大木ヘルスケアホールディングス146億円10.6倍
67115アルファパーチェス145億円14.2倍
73374内外テック144億円14.6倍
88152ソマール143億円9.5倍
97565萬世電機136億円12.1倍
103392デリカフーズホールディングス135億円8.8倍
113321ミタチ産業133億円6.2倍

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は東証33業種の分類に従っています。

会社の歴史

沿革 15件

米国ファンドの出資で設立された2000年

2000年11月、米国の投資ファンドであるリップルウッドが日本国内で投資家を募り、旧アルファパーチェスを設立した。本社は東京都千代田区内幸町に置かれた。翌2001年1月、大企業向けにMRO関連の商品とサービスを提供する商社として営業を開始。創業当初から大企業の間接材調達に特化した事業モデルを志向していた。設立から間もない2001年8月には本社を中央区銀座に移転し、2002年3月には大阪オフィスを開設するなど、事業基盤の整備を進めた。

リーマンショック後のリップルウッド撤退とアスクル傘下入り

2008年のリーマンショックを契機に、リップルウッドが日本から撤退する方針を固めた。これを受け、2010年11月、旧アルファパーチェスは新設分割により新会社(現アルファパーチェス)を設立し、その株式を旧会社の株主に割り当てた。リップルウッドと多くの投資家は割り当てられた株式をアスクル株式会社に売却。その結果、アスクルが当社株式の78.8%を保有する親会社となり、経営体制が大きく変わった。この資金調達と株主構成の変化が、その後の事業拡大の基盤となった。

施設管理事業への進出とIT子会社の分社化

2013年1月、佐川アドバンス株式会社から施設管理事業を譲り受け、同時に建設業許可を取得した。これによりFM事業の本格的な開始が可能となった。翌2014年1月には、ITシステム開発・運用部門を新設分割で切り出し、100%連結子会社のATC株式会社として分社化。この分社化により、グループ内のIT機能を専門会社に集中させ、外販も視野に入れた体制を整えた。同年、本社を東京都港区三田に移転し、現在の所在地となった。

スタンダード市場上場と建設事業の分社化

2022年12月、東京証券取引所スタンダード市場に株式を上場。上場前の2021年7月には福岡オフィス、2023年1月には名古屋オフィスを開設し、営業拠点を拡大した。2024年6月には、会社分割(新設分割)によりAPリノベーションズ株式会社を設立し、建設事業を承継させた。これにより、FM事業の中でも特に改装・リニューアル工事を専門に担う子会社が誕生し、事業の分化と管理体制の強化が図られた。

2025年12月期:ランサムウェア被害と需要変動が業績に影響

2025年12月期、MRO事業では第4四半期に重要サプライヤーであるアスクルへのランサムウェア攻撃が発生し、10月19日から11月中旬まで出荷が停止。再開後も物流復旧が遅れ、大企業顧客向け売上が低調となった。FM事業では、インバウンド需要の高まりから改装工事が第4四半期に集中し、人員稼働損や緊急調達コストが増大。結果として連結売上高は前期比5.3%増の589億円、営業利益は同18.2%増の15億円と増収増益を達成したものの、FM事業のセグメント利益は半減した。

年表15件を開く

2000年代

  • 2000年11月創業米国の投資ファンドであるリップルウッドが、日本国内で投資家を募り、旧アルファパーチェスを設立。本社を東京都千代田区内幸町に設置。
  • 2001年1月大企業向けにMRO関連の商品とサービスを提供する商社として営業開始。
  • 2001年8月本社を東京都中央区銀座に移転。
  • 2002年3月大阪オフィス開設。
  • 2003年10月本社を東京都港区北青山に移転。
  • 2006年9月秋葉原オフィス開設。
  • 2008年12月FM事業として店舗設備の包括保守事業開始。

2010年代

  • 2010年11月創業リーマンショックを経てリップルウッドが日本から撤退を決め、旧アルファパーチェスは新設分割により新会社として当社(現アルファパーチェス)を設立し、その株式を旧アルファパーチェスの株主に割り当て。リップルウッドと多くの投資家は割り当てられた新株式をアスクルに売却し、アスクルは78.8%を保有する親会社へ異動。
  • 2013年1月佐川アドバンス株式会社より、施設管理事業を譲り受け、同時に事業運営に必要な許可として建設業許可を取得。
  • 2014年1月ITシステム開発および運用の部門を新設分割で切り出し、100%連結子会社の「ATC株式会社(以下「ATC」という。)」として分社化。
  • 2016年5月本社を東京都港区三田に移転。

2020年代

  • 2021年7月福岡オフィス開設。
  • 2022年12月上場東京証券取引所スタンダード市場に株式を上場。
  • 2023年1月名古屋オフィス開設。
  • 2024年6月創業会社分割(新設分割)によりAPリノベーションズ株式会社を設立。建設事業を承継。

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2025/12期の経営方針より

会社は3つの方針を掲げている。有価証券報告書には具体的な数値目標の記載がない。

  1. 01

    既存顧客への深い浸透による売上拡大

    経営理念「購買のベストパートナー」の下、顧客ニーズ把握、システム機能開発、商材拡充、品質・デリバリー水準維持向上、迅速なサポート体制充実をPDCAサイクルで継続的に推進し、既存顧客向け売上と利益の持続的成長を図る。

  2. 02

    新規顧客の開拓

    国内に約1千社存在する売上1千億円以上の大企業への営業を強化。MRO事業では「無限カタログサイト」整備、DM・電話・セミナー等のマーケティング施策を展開し、中長期的な成長に向けて顧客基盤を拡大する。

  3. 03

    IT人財・コンサルティング人財の獲得と育成

    新規顧客開拓加速や施設管理アプリ導入を担う人財を新卒・中途で確保し、教育・実践を通じて育成。これらを既存顧客深耕・新規開拓の基盤(バックボーン・インフラ)として位置付け、事業基盤強化に取り組む。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 4期分

グループ全体で265人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は555万円で、3期前と比べて+0.2%平均年齢は40.0歳、平均勤続年数は7.6年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数一人当たり営業利益万円
2022年12月55441.77.4252
2023年12月56740.86.9262
2024年12月56440.47.4264455
2025年12月55540.07.6265566

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

多様性の開示2025年12月期・提出会社(単体)
女性管理職比率29.2%
縦線は目安の30%

拠点とグループ

設備と関係会社

関係会社3(国内 3 / 海外 0、うち連結子会社 2) を有報から抽出しています。

主要な設備 (帳簿価額 上位4)
データセンター — 神奈川県横浜市都筑区2,352百万円
MRO事業 FM事業
本社 — 東京都港区25百万円
MRO事業 FM事業
秋葉原オフィス — 東京都千代田区9百万円
FM事業
大阪オフィス — 大阪府大阪市西区6百万円
FM事業
主な関係会社
  • 国内
    アスクル株式会社(注)1、2
    東京都江東区 · その他の関係会社
    議決権61.4%
  • 国内
    ATC株式会社(注)3
    東京都港区 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 国内
    APリノベーションズ株式会社(注)3
    東京都千代田区 · 連結子会社
    議決権100.0%

業績のいま

有価証券報告書・決算短信より

2025年12月期の売上高は589億円営業利益15億円前期と比べると増収増益で、売上が+5.2%、利益が+25.0%。

売上高
+5.2%
589億円
営業利益
+25.0%
15億円
純利益
+11.1%
10億円
営業利益率
2.5%
前期比 +0.4%pt

会社が出している今期の予想2026年12月期

項目会社予想前期実績
売上高653億円589億円
営業利益17億円15億円
純利益11億円10億円
1株あたり配当¥37¥37

会社が決算短信で公表した予想です。証券会社の予想ではありません。 短信の原本

四半期の推移

10期分

直近は2026年2Qで、売上は309億円、営業利益は8億円。前年の2025年2Qと比べると、売上は+8.0%、営業利益は+14.3%。

対象期間売上高億円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2023年1Q12332.42
2023年2Q12632.42
2023年3Q12421.62
2023年4Q1473
2024年1Q13632.22
2024年2Q13232.32
2024年4Q29262.15
2025年2Q28672.45
2025年4Q30382.65
2026年2Q30982.65

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。

業績の推移

有価証券報告書 8期分

2018年12月期からの8期で、売上は360億円から589億円へ1.6倍に増えた。直近期の営業利益率は2.5%。売上は5期連続で増加。

決算期売上高億円営業利益億円経常利益億円営業利益率%純利益億円
2018年12月36064
2019年12月35265
2020年12月32475
福岡オフィス開設。
2021年12月37985
東京証券取引所スタンダード市場に株式を上場。
2022年12月444107
名古屋オフィス開設。
2023年12月520129
会社分割(新設分割)によりAPリノベーションズ株式会社を設立。建設事業を承継。
2024年12月56012122.19
2025年12月58915152.510

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。空欄の期は有価証券報告書からその項目の数値が取れていません(0ではありません)。

利益の構造

2025年12月期

売上高589億円のうち、営業利益として残るのは15億円2.5%。営業外の損益と税金を反映した純利益は10億円、売上の1.7%にあたる。営業利益率は業種中央値3.2%を下回る水準。

売上高を100としたときの内訳
  • 売上原価作る・仕入れるのにかかったお金89.6%528億円
  • 販売費及び一般管理費売る・管理するのにかかったお金7.8%46億円
  • 営業利益費用を引いたあとに残った本業の利益2.5%15億円

有価証券報告書の損益計算書から、当期の金額をそのまま割り振っています。

粗利率
10.4%
売上から原価を引いて残る割合
営業利益率業種比0.7pt
2.5%
本業の利益として残る割合
純利益率業種比0.7pt
1.7%
税金まで払って最後に残る割合
ROE業種比+8.0pt
16.1%
株主のお金がどれだけ利益を生んだか
ROA
5.0%
資産全体がどれだけ利益を生んだか
ROIC
7.2%
事業に使うお金がどれだけ利益を生んだか

ROICは有利子負債の開示がないため、営業利益×0.7÷(総資産−現金)の簡易式で算出しています。

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 6期分

2025年12月期は営業CFが9億円、投資CFが−9億円で、差し引きのフリーCFは0億円この組み合わせは成熟・還元型にあたる。本業で稼ぎ、投資に回し、それでも余る現金を借金返済や株主還元に充てている。最も健全とされる型期末の手元現金は54億円で、売上の1.1ヶ月分にあたる

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2020年12月18−7−11133
2021年12月5−6−3−129
2022年12月14−73739
2023年12月12−7−2542
2024年12月25−7−21858
2025年12月9−9−4054

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 8期分

2025年12月期の総資産は199億円。このうち返さなくてよい自己資本が67億円で、自己資本比率は34.0%(業種中央値50.6%より薄い)

決算期総資産億円自己資本億円負債億円自己資本比率%
2018年12月105168915.3
2019年12月110218919.1
2020年12月121269521.4
2021年12月1323010223.0
2022年12月1534610730.1
2023年12月1715411731.4
2024年12月1846112333.0
2025年12月1996713134.0

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2025年12月期の内訳
現金及び預金
54億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
55億円
過去の利益の積み上がり
負債合計
131億円
いつか返す必要があるお金
財務の健全性
58
/ 100
安定性自己資本比率23 / 40
収益力営業利益率5 / 30
現金創出営業CFの黒字継続30 / 30

有価証券報告書の数値から機械的に配点した参考値です。自己資本比率60%で満点、営業利益率15%で満点、直近3期の営業CFが黒字だった割合の3つを足しています。業態によって出ない要素があります。

業界内での比較

卸売業 284社との比較

同じ卸売業の企業と並べると、いちばん上に来るのはROE284社中30位あたり、逆に低いのは自己資本比率284社中248位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE上位株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
16.1%/中央値 8.1%
P25 5.5%P75 11.4%
営業利益率売上のうち本業の利益として残る割合
2.5%/中央値 3.2%
P25 1.8%P75 5.4%
自己資本比率下位総資産のうち返済のいらないお金の割合
34.0%/中央値 50.6%
P25 39.1%P75 62.9%
売上成長率前期からの売上の伸び
5.2%/中央値 4.4%
P25 0.0%P75 9.6%
配当利回り株価に対して1年で受け取る配当の割合
2.5%/中央値 3.1%
P25 2.2%P75 4.0%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月2日の終値

直近の終値は¥1,467で、1年前と比べて-58.5%過去52週の値幅のなかでは4%の位置にある。

¥1,467-1.7%1ヶ月-6.9%1年-58.5%時価総額145億円
過去52週の値幅
安値¥1,380高値¥3,730

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標
PER (実績)14.2倍
PER (会社予想)12.7倍
PBR2.08倍
配当利回り2.52%

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

直近は25日線(1642円)を下回り、12日の終値1555円は前日比-6.33%と急落。52週高値3845円からは59.6%下落した一方、52週安値1380円は+12.7%と辛うじて上回る。週足では6月末1530円から7月初旬に1744円まで上昇したが、以降は1600円前後で揉み合い、8月に入り1650円から下落に転じた。出来高は12日に32100株と急増しており、売り圧力が強まっている。25日線との乖離は-5.3%で、短期的な下値支持線を探る展開。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

AIの評価

AI評価

株価水準の解釈です。売買の推奨ではありません

現在の株価水準をほぼ妥当と判定しています(スコア 50/100)

PERは16.4倍と業界平均17.4倍を下回り、割安感があります。PBRは2.45倍と平均1.19倍を上回り、資産面では割高です。ROE16.1%と収益性は良好で、配当利回りは1.92%と平均2.58%を下回ります。割安だが配当は業界平均を下回る点が懸念です。

指標この会社業種平均
PER (実績)14.2倍17.9倍
PER (予想)12.7倍
PBR2.08倍1.24倍
ROE16.1%8.9%

業種平均は同じ東証33業種に属する銘柄の単純平均です。銘柄数が少ない業種では平均が振れます。

AI評価判定とスコアは公開データをもとにした解釈で、将来の株価を示すものではありません。算出の考え方は編集方針に記載しています。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

成長性と収益性のバランスが論点。売上高は伸びているが、営業利益率は2%台と薄利。強気派は規模拡大による収益改善と販売網の強化を評価する一方、弱気派は薄利体質の改善が進まず、競争激化やコスト上昇で利益が圧迫されるリスクを指摘。同業他社との差別化が困難な中、増収が利益成長にどこまで結びつくかが焦点。

プラスに働く材料7
  • 売上高の持続的拡大

    2022年から2025年まで毎期増収。規模拡大で仕入交渉力が向上する余地がある。

  • 生活必需品安定需要

    取り扱い品目が日用品中心のため、景気変動の影響を受けにくい。

  • 営業利益率改善余地

    2024年2.14%→2025年2.55%と若干改善。効率化が進めば更に向上も。

  • 売上高3期連続増収と営業利益25%増2025年12月期影響

    営業利益12→15億円、売上高560→589億円で収益拡大

  • ROE16%超の高収益資本効率継続影響

    ROE16.1%は卸売業平均を上回り、株主資本効率高い

  • PBR2.5倍ながらPER16倍と割安感継続影響

    PER16.4倍は成長率対比割安、益利回り6%超

  • 配当利回り1.9%・増配余地次回決算影響

    配当性向未公表だが利益成長で増配の可能性

マイナスに働く材料7
  • 低収益体質

    営業利益率2%台と薄利。競争激化で価格転嫁が難しく改善見込み薄。

  • 競争優位性の乏しさ

    卸売業は同質的競争になりやすく、差別化要因が限定的。

  • コスト上昇リスク

    物流費や人件費の上昇が利益を圧迫する懸念。

  • 小規模営業利益15億円・利益率低位継続影響

    営業利益率2.55%と低く、売上変動で容易に赤字転落

  • 株価1年で43%下落の逆張りリスク継続影響

    下落トレンド継続時、更なる下げ余地

  • 外国人保有4.8%と需給薄く乱高下リスク継続影響

    時価総額165億円と小型、流動性低い

  • 売上高成長率鈍化(前期比5%程度)2026年12月期影響

    売上高589億円から更なる成長鈍化でバリュエーション修正

次の決算で確かめる点
営業利益率
低収益体質の改善度合いを測る最重要指標。
売上高成長率
成長トレンドの持続性と規模拡大の進捗を確認。
在庫回転率
在庫管理の効率性が収益に直結するため。

配当

株主還元

直近の年間配当は1株あたり37で、前期から+37.0%いまの株価に対する利回りは2.52%。増配か配当維持が2年続いている。

年間配当
¥37
1株あたり
配当利回り
2.52%
いまの株価に対して
配当性向
37.6%
利益のうち配当に回した割合
連続増配等
2年
増配か維持が続いた年数
決算期1株あたり配当前期比%配当性向%
2023年12月2224.7
2024年12月2722.729.9
2025年12月3737.037.6

過去の配当は株式分割にあわせて調整した金額です。配当性向は有価証券報告書に記載された各期の値で、利益のうち配当に回した割合を示します。

次の配当スケジュール
  • 権利付き最終日
  • 権利確定日
  • 支払開始日
  • 今期の会社予想年間予想¥37

株主

有価証券報告書より

2025年12月期末の株主数は延べ1,969人。区分でいちばん多いのは事業法人72.2%。グループ会社や銀行などの安定株主が74.9%を占め、残る25.1%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2022年12月%2023年12月%2024年12月%2025年12月%
事業法人74.174.175.972.2
個人・その他22.318.918.919.0
外国法人0.72.93.54.8
金融機関0.20.80.02.7
証券会社2.63.21.61.3
外国人個人0.00.10.00.0

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01アスクル株式会社61.40
02アズワン株式会社7.29
03NORTHERN TRUST CO.(AVFC) RE NON TREATY CLIENTS ACCOUNT3.37
04豊島不動産株式会社2.54
05多田 雅之1.55
06中川特殊鋼MROパートナーズ投資事業組合1.40
07日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)0.99
08田邉 孝夫0.93
09株式会社日本カストディ銀行(信託E口)0.89
10菊地 雅巳0.78

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 8期分

1株利益は8期で−100%、1株純資産は8期で−99%。直近期のROEは16.1%で、日本株の目安とされる8%を上回る。

決算期EPSBPSROE%PER配当性向%
2018年12月23,126100,79825.911.2
2019年12月33,799132,06529.09.8
2020年12月6331421.712.1
2021年12月6236918.123.8
2022年12月8548718.48.317.2
2023年12月9055817.112.624.7
2024年12月9062615.113.129.9
2025年12月10669016.121.337.6

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安
ROE自己資本利益率
株主のお金でどれだけ稼いだか。日本株では8%が一つの目安
PER期末実績
株価が1年分の利益の何倍か。低いほど割安とは限らず、期待の低さのこともある
配当性向利益からの還元率
利益のうち配当に回した割合。高すぎる場合は無理をしている可能性もある

経営陣

11名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は11名。2025/12期の役員報酬は総額136百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約6倍にあたる。

氏名役職年齢保有株数
多田雅之取締役 会長63152,600
田辺孝夫 ※戸籍上の氏名表記は、田邉孝夫であります。代表取締役 社長6591,300
齋藤正弘取締役 DX推進室長6752,000
玉井継尋取締役59
江端貴子取締役66
小串記代 ※戸籍上の氏名は田中記代であります。取締役70
遠藤英二常勤監査役733,500
中村信弘監査役81
中原茂監査役59
上山亨取締役48
鈴木久三郎監査役68

役員報酬の内訳2025/12

役員の区分人数固定報酬百万円その他百万円合計百万円1人あたり百万円
取締役(社内)3722810033
社外取締役4203236
監査役1131313

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2025/12期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容3,908字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3【事業の内容】 当社グループ(当社および当社の子会社)は、当社、連結子会社であるATC株式会社およびAPリノベーションズ株式会社、ならびに非連結子会社である愛富思(大連)科技有限公司の4社により構成されており、MRO事業とFM事業の2つを主な事業として取り組んでおります。MRO事業は主に間接材の購買業務を改善したいというモノに関しての顧客のご要望に応える事業であり、FM事業は主に施設の管理や運用を効率化したいというサービスに関しての顧客のご要望に応える事業です。両事業により、モノとサービスを効率的に、適切かつ低コストで購入できる仕組みとサービスを提供し、顧客の最適購買を実現します。 (1)MRO事業 MROとは「Maintenance Repair and Operations」の略称で、本来、商品とサービスの双方を包含する概念ですが、日本では設備や機械の修理用備品、文具、オフィス用備品等のMRO商品の物販のことをMROと呼ぶことが多いため、当社グループでもMRO商品の物販事業をMRO事業と称しています。MRO事業は、インターネットを活用し、企業が日常的に購入する消耗品の発注から納入までを効率化する手法を活用した間接材の販売事業です。MRO商品は、その種類が極めて多い割に、購入量は少なく、単価も安い、典型的なロングテール(多品種・少量・少額)型の商品であり、当社グループは、主に上場企業を中心とした大企業の企業グループ全体を顧客とするべく、その購買に最適なITプラットフォームを提供し、①幅広い商品の選択肢から最適な商品を、②価格競争力のある単価で、③管理された顧客の社内決裁を経て購入が可能、という強みを生かして事業を行っております。顧客本体の事業所、営業所だけでなく、顧客の子会社や関係会社までを含む顧客の企業グループ全体と日本全国のMRO商品提供者(サプライヤー)をITシステムで結び、商品物流を基本的にサプライヤーからの直送とすることで、MRO商品調達に関し業界全体のDX(Digital Transformation)を進めております。なお、MRO事業の売上と粗利は主に物販活動によるものです。顧客からは若干のシステム利用料をいただく他、顧客システムとの連携接続や、顧客の特別な仕様要求がある場合、個別にシステム改定料等を頂きますが、取引額全体に占める比率は小さく、システム提供により利益を得るビジネスモデルではありません。 ①幅広い商品の選択肢から最適な商品 当社グループの顧客である大企業の企業グループには、多数かつ多様な事業所や関係会社が存在し、それぞれの拠点や関係会社が購入を希望する商品は多岐にわたります。当社グループでは、この多様なニーズに対し、現在取引のあるサプライヤーが提供する幅広い商品を当社の電子購買システムである「APMRO」もしくは、そのシステムの内の電子カタログ部分である「無限カタログ」経由で販売しております。また、顧客が、当社グループの電子カタログに登録されていない商品の購入を希望される場合には、顧客の具体的な要望に従って、適切なサプライヤーと商品を探し出し、複数のサプライヤーの相見積りの結果を顧客に提供する仕組みを運用しております。これらの方法により、顧客は、常に幅広い選択肢から最適な商品を購入することが可能となります。 ②価格競争力のある単価で購入可能 当社グループが仕入、再販の契約を締結している多数のサプライヤーから供給可能な幅広い商品が、価格や納期の情報とともに顧客の電子購買システム上に表示されるため、結果的にサプライヤー間の自由で公正な競争が発生することとなり、当社グループは、顧客に、価格競争力のある単価で多様な商品の提供が可能となります。また、当社グループを一元窓口として、幅広い顧客への再販が行われることから、当社グループの製品あたりの購入額が増大し、当社グループの顧客も、自社グループのみの購買では実現できないボリュームディスカウント後の価格での購入が可能になります。 ③管理された社内決裁(購買統制・購買管理) 当社グループが提供するMRO商品群は非常に幅広いことから、そのMRO商品群の全てに関して、顧客が独自に適切な管理、統制プロセスを経た購入を行う際に、相当な工数が必要となります。大企業グループにおいては、商品カテゴリーや商品の価格帯毎に、異なる購買主管部門や購買規程が存在する一方、あらゆる拠点や関係会社で多数の購買行為が発生するため、全体を統括する購買管理部門は、実効的な購買行動の管理統制に苦心されています。社員がBtoC(個人向け)の大手通販会社から個別に必要な商品をネットで購入し、会社が立て替え払いをするといったやり方は認め難いため、管理された社内決裁を経た適切な購買管理の重要性が強く認識されています。その購買を支援し、システム的に担保するのが、当社グループの電子購買システムおよび電子カタログです。 (2)FM事業 FMとは「Facility Management」の略称で、施設・設備管理のことです。MROという言葉には”Repair &Maintenance”が含まれているため、広義のMROに含まれますが、日本では物販事業のみをMRO事業と呼ぶ事例が多く、またロングテール物販と施設・設備管理は物品の提供かもしくは役務の提供かといった点で事業特性が異なることから、当社グループでは後者をFM事業として区分管理しています。一般的な意味でのFacility Managementとは、土地、建物、構築物、設備等の事業用資産すべてをコスト最小、稼働率最大で運営、維持するための総合的な管理を指しますが、当社グループでは、商業施設の新築、改装、修繕、清掃および運営支援並びに工事用建材を各店舗の工事日程にあわせて提供する事業に限定しています。当社グループ内では、商業施設の開店や改装時に、仕様・数量・配送日程等のあらゆる面で店舗工事に最適化した建材提供を「材・工分離」(資材支給と施工を別の業者が行う)形態で行う部分をCFM (Construction & Facility Management)、商業施設の維持管理や改装、修繕および各種法定点検対応などの予防保全を行う部分をFMと称して事業部を分けると同時に、FMはさらに改装・リニューアル工事を担うAPリノベーションズ株式会社を子会社として切り分け運営しています。ただし各事業部およびAPリノベーションズ株式会社は商業施設の開店から閉店までのライフサイクルにあわせて、適宜、必要な物財やサービスを提供するという点で共通の事業特性を持ち、改装工事の際に建材支給と施工が分離されるか統合されるかは、顧客側都合によって決まる事項であるため、すべて合わせてFM事業として管理しています。 当社グループが手掛けるFM事業は、店舗数が多く、同型施設・設備が多数あり、建材や役務提供業務の定型化が容易なチェーンストア(コンビニエンスストア、ドラッグストア、ファストフード店、ホテル等)向けが中心です。大規模チェーンストアはチェーンストア全体の本部と全国の直営店、フランチャイズ店の組み合わせで運営されることが多く、当社グループはチェーン本部の管理業務の一部を受託する形で、全国の直営店、フランチャイズ店に対して均質なサービスを提供しています。店舗の建物と設備に関する資材やメンテナンスの代行発注、購買、受託、および品質の管理、店舗管理コストの可視化によるチェーン本部のコスト削減支援、全国の修繕・保守・清掃のパートナーと連携した全国ネットワークによる24時間365日体制のメンテナンス、及び緊急対応などが、当社グループが顧客に提供しているサービスです。顧客が属する業界の動向や環境の変化や顧客の新築・改装・修繕・清掃・購買の方針の振れ幅が大きい場合には、FM事業全体の売上も変動する場合がありますが、複数の業態のチェーンストアが顧客となっているため、セールスミックスにより、その増減の一部は吸収されて平準化します。 (3)その他事業 その他に分類されているのは、当社グループのITシステムの開発および運用の部門を2014年1月に分社して設立したATC株式会社のITシステム開発運用部門です。この事業は、当社向けのITシステム開発、運用によって培った技術、ノウハウを外販するもので、他の事業と比較すると低リスクかつ高収益であることが特徴ですが、副産物としての事業の性格上、規模的には小さな金額にとどまります。 (4)サプライヤーおよびパートナー会社について 顧客の社名入り商品等、一部の商品については当社自体が在庫を保有し、配送を行います。また、当社が複数サプライヤーからの納品を受けて一括納品を行う場合もありますが、当社グループのMRO事業における商品納入の大部分はサプライヤーから顧客への直接配送によって行われています。これらの物流機能については、当社グループは全面的にパートナー企業に委託をしております。FM事業における役務についても基本的に直接顧客へ提供されますが、材・工分離の形態で資材支給の役務提供を行う場合は、顧客にタイムリーに資材を支給する目的で一時的に当該資材を在庫として保有する事もあります。また、当社グループが顧客に提供しているITシステムの開発、運用に関しても、その大部分をパートナー会社に委託しております。 [事業系統図]
経営方針・対処すべき課題3,438字を開く

経営陣が考える方向性と課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営方針・経営戦略等 当社グループは、経営理念として「ありたい姿と私たちが大切にすること」を掲げております。 ありたい姿は「購買のベストパートナーであり続けたい!」であり、それを実現するために私たちが大切にすることは、「寄り添うこと」、「役立つこと」、「信頼されること」、「創造的であること」、「成長し続けること」、の5点です。 当社グループの対象市場は、多品種・少量かつ一件あたりが少額という特徴を持っており、当社グループの主要顧客である大企業グループにとって、①内部統制上の適切な購買管理と、②商品選定から、購買、支払までに至る購買プロセスコストや人手の削減、および③購買単価の低減は大きな課題となっています。一方、当社グループでは、MRO、FMの調達に特化したITシステムとサプライヤーの全国ネットワークを持ち、顧客グループからサプライヤーまでを含む多数当事者間のITシステムを相互接続するシステム運用能力を持つことから、多品種・少量・少額市場において、全ての取引当事者のDX(Digital Transformation)化を支援することができます。当社グループでは、このIT技術と事業の仕組みを用いて、多品種・少量・少額市場における「規模の経済」と「DX」を実現することを通じ、日本の産業界全体の効率化を実現するとともに、当社グループ自体の業績を向上させることを目指してまいります。 (2)経営環境 MRO物販市場において、個人および中小事業者向け分野では、アスクル株式会社、株式会社MonotaRO、株式会社ミスミグループ本社、株式会社大塚商会、アマゾンジャパン合同会社などの大手電子商取引プラットフォームベンダーが市場規模を拡大しております。一方、日本の大企業グループでは、長年にわたり企業グループごとに独自のITシステムを開発・活用し、それぞれ異なる社内ルールの下でMRO商品の購買が行われてきました。 このような環境の下、当社グループは、大企業グループが既に利用しているITシステムや大手ERP(Enterprise Resources Planning:統合業務基幹システム)ベンダや専業ITベンダの購買システムと共存可能な電子購買プラットフォームを提供しております。また、これらのシステムと接続可能な電子カタログを有していることから、大企業グループ向けのMRO物販市場において、一定の事業基盤を構築しているものと認識しております。 当社グループは大企業向けロングテール(多品種・少量・少額)型MRO物品の市場規模を約1兆円と推計しており、これを前提とした場合、当社グループの現状の市場シェアは限定的であることから、今後の成長余地は大きいものと認識しております。特に、大企業グループにおける連結ベースでの内部統制強化への要請は年々高まっており、子会社や関係会社を含む連結グループ会社全体の購買プロセスを管理可能とする当社グループのITシステム及びカタログの仕組みに対する需要は、今後も継続すると考えております。 FM事業の顧客である国内商業施設市場においては、新型コロナウイルス感染症の収束直後は、ビジネスホテルの大型改装やコンビニエンスストア、ファストフード店舗の新規開店・改装案件が回復し、当社グループ事業の対象市場は大きく拡大しました。しかし、2024年以降は、インバウンド需要の拡大等により商業施設の稼働状況は堅調であるものの、改装需要の抑制や改装規模の小型化が進み、市場規模は概ね横ばいで推移しております。2025年においては、当社グループの顧客による店舗改装案件が第4四半期に過度に集中したことにより、人員稼働損や緊急対応に伴う原価の急増が発生し、収益面に影響を及ぼしましたが、2026年以降については、需要急変動が一巡し、比較的安定した市場環境で推移するものと見込んでおります。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは、提供するITシステム及び事業の仕組みを通じて、購買分野におけるベストパートナーとして取引先の付加価値向上に貢献するとともに、当社グループ自身も持続的な成長と収益確保を経営上の目標としております。当該目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、当社グループのサービスの普及状況を示す連結売上高及び、付加価値提供の成果を示す連結営業利益額を重視しております。 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。 ① 既存顧客へのより深い浸透による売上拡大 当社は大企業グループ向けのサービスに特化した事業を展開しており、主要な顧客グループ数は約80企業グループ、そのうち売上規模の大きい顧客は約30企業グループに集中しております。このため、既存顧客向け売上の拡大が、当社グループの売上および利益成長の主要な要素となっております。 既存顧客への浸透を進めるためには、「購買のベストパートナーであり続けたい!」との経営理念の下、顧客ニーズの的確な把握、およびそれに対応したシステム機能の開発、商材の拡充、品質及びデリバリー水準の維持・向上、並びに迅速なサポート体制の充実が不可欠であります。 その基盤となる最も重要な要素は顧客への深い理解であり、顧客に「寄り添うこと」、「役立つこと」、「信頼されること」を通じて顧客理解を深めると同時に、当社グループおよび社員一人ひとりが「創造的であること」「成長し続けること」により、より高い付加価値を提供し続けることが求められます。 こうした顧客理解と顧客満足度向上に向けた取り組みをPDCA(計画・実行・評価・修正)サイクルとして継続的に回し続けることが、当社グループにとって最も大きな課題であり、持続的成長の前提条件であると認識しております。 ② 新規顧客の開拓 当社グループの対象とする大企業は、日本国内において売上規模1千億円以上の企業が約1千社存在すると認識しておりますが、当社グループが現在取引を行っている主要顧客グループは、その一部にとどまっております。従って、①に記載した価値提供のサイクルを適用可能な顧客基盤を拡大することが、当社グループの中長期的な成長に向けた重要課題であると認識しております。 MRO事業においては「無限カタログサイト」の整備、ダイレクトメール、電話によるフォロー、セミナー開催等のマーケティング・プロモーション施策を実施しています。また、FM事業においては、経営陣のネットワークや既存取引先からの紹介を中心とした営業活動を行っております。しかしながら、現状、新規顧客拡大のスピードは十分とは言えず、この点が当社グループの重要課題です。 ③ IT人財、およびコンサルティング人財の獲得とスキルの向上 MRO事業においては、当社グループの新規顧客開拓を加速するために、顧客企業グループのニーズを的確に把握し、当社グループのITプラットフォームと顧客の既存ITシステムを連携させる提案・実装を、短期間で実現できる人財を質・量の両面で確保する必要があります。一方、FM事業においては、現場で行われている保守・修繕・工事等の業務を対象に、ローコードアプリ・プラットフォームを活用した顧客毎のアプリケーションを短期間で導入し、運用を通じて施設・設備管理の改善を推進できる人財が求められます。 これらの人財需要に対応するため、高ポテンシャルを持つ新卒人財の採用に加え、中途採用による即戦力人財の確保を進めております。また、採用にとどまらず、教育および実践の機会を通じてコンサルティング人財を育成することが不可欠です。この人材獲得および教育は、前述の①および②を実現するための基盤、すなわちバックボーンおよびインフラ構築に位置付けられる重要課題であると認識しております。 当社グループはこれらの課題に取り組むことにより、事業基盤の強化を図り、売上及び営業利益の持続的な拡大を目指してまいります。
事業等のリスク12,236字を開く

会社が自認するリスクの一覧

3【事業等のリスク】 当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクのうち、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下のようなものがありますが、これらに限定されるものではありません。また、そのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。 なお、本文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるリスクを全て網羅的に記載したものではありません。 (1)事業環境に係るリスクについて ①地政学的なリスク顕在化に伴う業績変動リスク (発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 現在、我が国の周辺で新たに発生する可能性のある最も大きな地政学的リスクは、中国が台湾の海上および空中の交通を封鎖することです。たとえ、直接の武力衝突がないとしても、海路および空路の封鎖が行われた場合、台湾島と外部との交易が遮断され、台湾からの商品供給が途絶えます。また、封鎖が長期に及べば台湾島内の原燃料が枯渇し、台湾の生産活動そのものが停止する恐れがあります。このような状況となれば、台湾が世界で圧倒的に高いシェアを持つハイエンドの半導体製造が停止し、半導体を必要とする世界中の生産活動が停滞し、世界のサプライチェーン全体が麻痺する事態を招きかねません。万一、このようなリスクが顕在化した際には、世界中の生産活動が急激に縮小するため、当社グループの経営成績および財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。さらに、台湾と地理的に最も近い日本においては、紛争の直接的な余波を受ける可能性も高く、事態は更に悪化するリスクがあります。この種の地政学リスクの顕在化に対しては、当社グループの日常のオペレーション施策では十分な対応ができないため、一定の余裕資金を確保し、固定費を常に低い水準に置くことにより損益分岐点を引き下げるとともに固定費の変動費化を進めるなど、柔軟に対応できる体制を整えてまいります。 ②市場全般の景気変動によるリスク (発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中) 当社グループは、MRO事業、FM事業分野に関する取引先顧客グループのニーズ全般に応えることを目指しており、当社グループと取引がある顧客グループ内での当社グループのシェアは拡大傾向にあることに加え、景気悪化時においても顧客企業における間接材の需要や店舗の保守・点検・修繕業務は継続的に発生すること等から、当社グループの業績は相対的に景気変動の影響を受け難い傾向にあると考えております。しかしながら、国内における景気動向の変動に伴い、当社グループの主要な顧客対象である大企業の企業グループの業績が急速に悪化する可能性は否定できません。また、販売先の一部を構成する中小企業は、大企業グループ以上に景気に敏感に反応して当社グループの商品やサービスの購入を減らす可能性があることから、景気変動が当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループではマクロ景気や特定市場の景気が落ち込む局面においても、その影響を軽減化すべく、顧客層の多様化を進め、景気悪化局面においても需要が安定している業態の顧客への売上を拡大することにより、景気悪化の影響を全体として吸収できる体質構築を目指しています。 ③優秀な人材の採用、および定着のリスク (発生可能性:高、発生可能性のある時期:5年以内、影響度:中) 当社グループにおける新規顧客獲得の局面では、顧客企業グループの課題を深く理解し、その課題解決に向けたソリューションとして、当社グループの財・サービス購入の仕組みとITシステムの導入を一括して提案する必要があり、コンサルティング能力に優れた人材が必要です。また、バックオフィス業務においても、最新のIT技術による不断の生産性向上施策を立案し、実行に移せる人材が必要であり、優秀な人材の確保が極めて重要です。一方で、日本全体のDX化の推進が産業界全体のテーマとなっているため、現在、優秀なDX人材の採用と、採用後の離職防止のハードルは急激に高くなりつつあります。このDX人材の確保が難しいことに対して、採用活動の強化と教育研修の充実を推進しておりますが、適切な人材を十分に確保できず、あるいは在職中の従業員が退職するなどした場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ESG対応の遅れによるリスク (発生可能性:中、発生可能性のある時期:5年以内、影響度:中) 近年、ESG(Environment、Social、Governance)に関する関心の高まりから、原材料の分野では、製造地や製造方法、製造過程における二酸化炭素の発生量などの適切な表示が重要になってくることが想定されています。当社グループの扱うMRO事業の分野は、商品の品目数は膨大な割に、各商品のエネルギー消費量は小さいことから、現時点においては、顧客グループから、商品毎にESGに関する表示や対応を行うことは求められていません。しかしながら、将来、ESGに関する表示のみならず、ESG活動全般に対するコミットメントが、当社グループの事業継続の要件になることが予測され、その対応が遅れることは当社グループの事業展開上のリスクとなり、将来の業績にマイナスの影響を与える可能性があります。当社グループではそのための対策の検討を開始しており、今後、当社グループならではのESG対応施策を実行すべく、努力してまいります。 (2)当社グループ事業固有のリスクについて ①システム障害やサイバー攻撃によるリスク (発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社グループは、電子商取引プラットフォームを取引先に提供し、そのITシステム上で取引を成約させる仕組みを運用しています。これらの基幹システムのハードウエア、ソフトウエアの障害や、専用線を含むネットワーク障害、利用中の外部クラウドサービスのインシデント、外部からのサイバー攻撃、コンピューターウィルスの侵入とその活動等により、ITシステムの停止、破壊、情報の誤りや改ざん、あるいは情報流出などが発生する可能性があります。そのような場合には当社グループの事業が一時的に停止する他、当社グループのサービスに対する信用が失墜し、当社グループの経営成績および財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクを抑制するため、当社はISMS(情報セキュリティマネジメントシステム、ISO/IEC 27001)の認証を取得して、組織的にシステムと情報の安全性を維持し、改善する取り組みを行っております。また、顧客に提供する電子商取引システムについては、毎年、第三者機関によるセキュリティ診断を受け、最新技術を反映した安全対策の追加実装を継続しております。しかしながら、ランサムウエア等の悪意のある攻撃を完全に防ぐことは難しいため、的確な防御と同時に、万が一システムが被害を受けた場合の対応についても事前に想定し、迅速な代替システムの立ち上げ策の検討等を重ねております。 ②サプライヤーおよびパートナー会社との取引継続に関するリスク (発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社グループが商品を仕入れるサプライヤーや、当社グループが業務委託を行うパートナー会社の中には、当社グループとの取引規模が大きい事業者が一定数存在します。当社グループのビジネスの仕組みは、特定のサプライヤーやパートナー会社への質的な依存が比較的低く、必要に応じ、取引先を変更できる構造にはなっているものの、取引額の大きなサプライヤーやパートナー会社の変更には一定の時間を要するため、先方から突然の契約解約の申し入れがあった場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、取引の停止には至らない場合であっても、例えばサプライヤーがランサムウエアの被害により、受発注や出荷を停止した場合、当該サプライヤーからの供給品やサービスについては、当社グループも即座に、受注・出荷停止とする必要があり、短期的には当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。このような場合、当社グループでは、顧客に対して代替品や代替サプライヤーを紹介し、商品やサービスの切り替えを可能とすることによって、その影響の軽減を図りますが、切り替えには一定の期間がかかるため、短期的な影響は避けられません。 ③特定顧客への依存に伴う業績変動リスク (発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社グループの売上の10%以上を占める顧客グループ、もしくはフランチャイズ企業を含む取引グループはアスクル、ならびに日本マクドナルド株式会社およびそのフランチャイズ企業の2グループのみですが、他にも大手の顧客グループが多数存在します。当社グループと大手顧客グループとはITシステム間の密な連携を行っている例が多いため、当社グループのサービスに関する解約率は低く、突然の解約はきわめて稀ですが、当該顧客グループからの解約が生じた場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④当社グループと競合するシステムの普及に伴う解約リスク (発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中) 当社グループの主要顧客層である大企業グループ向け市場で、当社グループのMRO事業向け事業モデルと直接競合するシステムや事業者は存在しません。しかしながら、当社グループの主要顧客である大企業グループは、SAP SEやOracle Corporationなどが提供する基幹ITシステムであるERP(Enterprise Resource Planning)を採用し、そのERPは購買管理の付加機能を年々充実させており、当社グループが提供する価値や機能と部分的には競合が発生します。当社グループでは、このような顧客の基幹ITシステムの機能追加に対応し、当社専用システムの機能を充実させるとともに、顧客の基幹ITシステムと当社の電子カタログシステムを接続することにより、相互補完関係を構築し、共存する戦略を採っています。ただし、その戦略が奏功しない場合には、顧客の基幹システムの機能追加に伴って、当社グループのシステムの利用と、そのシステム上でのMRO商品売買契約の解約がなされる可能性は否定できず、かかる事態となった場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ITシステム費用の高騰による業績悪化のリスク (発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中) 当社グループは、MRO商品と役務を販売するためにIT技術を用いた購買管理システムを顧客グループおよび仕入先(サプライヤー)に提供しています。その結果、購買管理システム提供の専門業者と一部の領域では競合が発生しており、専門業者と同水準のシステムプラットフォームの開発と提供を継続していく必要があります。一方で、近年、当社グループのITシステム開発費と運用費は高騰しており、固定費が増加して損益分岐点も上昇しています。そのため、当社グループでは積極的な拡販を行い、売上増による収益性改善を目指していますが、固定費増に対する売上増が不十分な場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥無形固定資産における減損のリスク (発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中) 当社グループの無形固定資産は、その大部分が内製ソフトウエアです。市場競争力を強化・維持するためソフトウエアへの投資を進めており、将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められた開発費用をソフトウエア(ソフトウエア仮勘定含む)として無形固定資産計上しております。 これらのソフトウエアは業務遂行のために基本的なインフラストラクチャーであり、事業継続に必須なものですが、当該ソフトウエアシステムで営む事業が赤字に陥り、キャッシュを回収できない局面が継続すると、事業用の無形固定資産につき、会計上の減損を実施する必要がでてくる可能性があります。また、当社グループの内製ソフトウエアは、アジャイル型開発の手法(仕様や設計の変更があり得る前提で、当初から厳密な仕様は決めることをせずに、小規模な開発に着手し、機能単位での実装と評価を繰り返しつつ、徐々に全体機能の開発を進めていく手法)で開発しておりますが、試作・評価の過程で大幅な仕様変更が必要となった場合等に、開発中のソフトウエアが実用に供されずに廃棄される可能性があります。 ソフトウエアの開発に際しては、市場性等を慎重に見極めておりますが、市場や競合状況の急激な変化などにより、利用が見込めなくなった場合や、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、除却あるいは減損の対象となる可能性があり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑦法規制の変更に伴う取扱品目減少のリスク (発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中) 当社グループはFM事業において大型工事も請け負えるよう、建設事業に関する許可を取得しております。それ以外にもMRO事業において幅広い商品を扱うために、古物商の許可や医療用機器販売に関する許可等、商品販売に必要となる様々な許認可の下で事業を行っております。これらの許認可の義務に違反した場合や、許認可の更新が遅れた場合には、当該事業を一時停止する必要があり、当社グループの商品やサービスの品ぞろえが不十分となります。当社グループはコンプライアンスの重要性を強く認識し、既存法規則等の規制はもとより、規則の改廃、新たな法規制が生じた場合も適切な対応を取るとともに新規商品を取り扱う際に、抵触する法規制の確認を行う体制の拡充を推進してまいります。しかしながら、何らかの事由によりこれらの法規制に抵触する等問題が発生した場合、またはこれらの法規制の改正により不測の事態が発生した場合は、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑧調達価格に関するリスク (発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定無し、影響度:低) 当社グループが販売する商品は、仕入商品の価格変動や市場・環境変化等の影響を受けた場合、速やかに価格転嫁を行うことで利益の確保を図っております。しかしながら、何らかの事情によって、顧客に対する値上げに先立って仕入価格のみが上昇した場合には、当社グループの粗利益が一時的に減少するリスクは残ります。さらに、様々な要因によって販売価格がお客様の購買意欲にそぐわないほど高騰した結果、需要が減退した場合には当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクを回避するため、当社グループでは、有事の際にも商品を適正な価格で安定的に供給できるよう、複数の仕入ルートの確保に努めております。 ⑨大手取引先の破綻による代金貸し倒れのリスク (発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社グループのFM事業においては、ビジネスホテルの内装工事等で、1億円以上の大型案件を受注する場合があります。これらの工事案件においては、基本は完工・検収後の支払となるため、売掛金の金額も億円単位となり、万一、顧客企業が破綻した場合には、代金貸し倒れのリスクも億円単位となるため、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、このような事態を避けるため、常に与信管理には細心の注意を払っており、売掛金の貸し倒れは、極めて低頻度かつ少額です。ただし、過去の与信管理が適切であったからといって、将来も大きな貸し倒れが発生しないとは言い切れず、貸し倒れのリスクについては、常に細心の注意を払ってまいります。 ⑩事故発生のリスク (発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社グループのFM事業のうち、建設および修繕においては商業施設の工事を行うため、場合により役務サプライヤーに委託して高所足場を組む作業を行います。このような大型工事においては、道路の使用や占用を行うため、現場の通行人に事故が発生する可能性があります。また、工事の作業員自身にも転倒事故や落下事故の可能性、更には現場に向かう途上での交通事故などの発生の可能性があります。これらの人身事故は、その内容によっては当社グループの信用の失墜につながり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このような事態を避けるべく、当社グループでは工事の安全確保に最大限の注意を払い、また、役務サプライヤーへの教育の徹底等安全確保のための体制を常に見直す等、労働災害を未然に防止するよう努めております。 ⑪アスクルとの関係について (発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中) アスクルは、2025年12月31日現在、当社の議決権の61.43%を保有しているため、当社の親会社に該当し、当社は親子上場の形態をとっています。 当社グループが株式上場を選択した理由は、更なる成長を実現するためには、上場会社グループの子会社という位置づけのままではなく、当社自体の上場を通じて、知名度・信頼性を向上させるとともに、株主や投資家からの経営へのアドバイスや株価という直接の評価を戴くことにより、企業価値の一層の向上が期待できると考えたためです。 ただし、アスクルは、株主総会の普通決議を必要とする事項(例えば、取締役の選解任、剰余金の処分や配当等を含みますが、これらに限りません。)に関する決定権および拒否権を有しており、当該事項に関し、アスクルが当社の意思決定に影響を及ぼす可能性があります。 このような立場の違いはあるものの、当社とアスクルは業務・資本提携契約を締結し、両社が得意とする領域での強みを生かした提携、協力関係を構築することにより、両社の企業価値向上を目指すことに合意しております。当該提携契約においては、両社それぞれの企業価値の増大を通じて、両社が属する企業グループ全体の価値向上が実現されることに鑑み、提携契約期間中、かかる親子会社としての資本関係を維持するものとしておりますので、アスクルは当面の間当社の議決権の過半数を保有する方針です。その他の関係は以下のとおりとなります。 a.親会社における当社の位置付け及び親会社からの独立性の確保について 当社グループは、親会社グループにおいて、eコマース事業に区分されております。 同社グループにおいて当社グループと同様の事業を展開しているグループ企業は存在しますが、当社グループと親会社グループでは、顧客へのサービス提供にあたり担っている役割等が異なるため類似性が低く、親会社グループ各社によって、当社グループの自由な事業活動や経営判断が阻害されるような状況は生じておらず、自らの意思決定により事業展開しております。 また、親会社からの独立性の確保に向けて、上場取引所の定めに基づく独立役員として指定する独立社外取締役2名が就任しており、取締役会においてより多様な意見が反映される状況にあります。なお、当社がアスクルに対し事前承認を必要とする事項はなく、またアスクルが法令等(東京証券取引所の定める有価証券上場規程を含む)に基づく開示に必要な情報以外は報告を求められておらず、独立性・自立性を確保しております。 b.当社との人的関係について 当社の役員(本書提出日現在:取締役6名、監査役3名)のうち、取締役1名はアスクルの取締役を兼任しております。豊富な経営知識から、当社グループ事業に関する助言を得ることを目的として招聘したものであります。なお、アスクルからの出向者の受け入れは現在従業員1名のみであり、同社グループからの出向者の受け入れは限定的です。 c.当社との取引関係について 当社はアスクルとの取引として、アスクルの顧客に対する商品販売及びアスクルを物品サプライヤーとした商品仕入を行っています。これらの取引については、親会社からの独立性確保の観点も踏まえ、第三者取引と同様の一般的な取引条件で行っております。取引条件の適切性を確保するため、当社が定める関連当事者取引管理規程に基づき、取引開始前に取引の相手方が関連当事者等に該当しないかを主管部門であるコーポレート・プランニング本部が確認します。その後、取引の合理性、妥当性、適法性等について、出席した独立社外取締役および監査役に意見を求めた上で、取締役会で決議するものとしております。また、継続的に発生する取引は過去の取引実績から予め取引想定額等を定め、新規取引と同様に合理性、妥当性等の審議を行い、取締役会にて実施可否を決議しておりますが、取引の開始後においても定期的なモニタリングを実施のうえ、取引想定額の超過等が見込まれる場合、あらためて取締役会にて決議するものとしております。 当社グループの売上高のうち10.9%(2025年12月期)は、アスクル向けです。この販売ルートは、アスクルから同社の販売店であるエージェントへ販売され、そこから多数のエンドユーザーへの再販が行われる再販チャネルです。多数のエージェントやエンドユーザーが関係する取引ルートですので、この購入契約の全てが解約される可能性は低いと考えておりますが、一部の商品につき、アスクルが当社の仕入先から、直接、当社を介さずに仕入れることは可能です。その場合は、アスクルにとって、当社が仕入商品に対して行っている電子カタログの整備等の作業を自ら行う必要が発生しますが、アスクルによる直接の購買を禁止する契約はございませんので、アスクルが当社を介さない商流へと取引ルートを変更する可能性があります。 また、当社グループは、アスクルの取り扱う商品を仕入れています。この購買ルートは、当社グループの顧客が選択したことに伴うアスクルからの仕入取引であり、顧客がアスクルの取り扱う商品を選択する限りにおいて当該取引が発生しておりますが、顧客が当社を介さない商流でアスクルから商品を仕入れる可能性があります。 従って、当社グループとアスクルは営業取引上重要な関係を有していることから、アスクルと当社グループの関係の変化によって、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (3)その他 ①コンプライアンス違反による信用失墜のリスク (発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社グループは会社設立以来、各種コンプライアンス上の法令、慣習、常識を厳守すべく、各種規程の整備やグループの役職員への継続的な教育等、最大限の努力を重ねてまいりました。しかしながら、コンプライアンスのルールは年々、高度化し、深化していることもあり、法令の改正等による事業活動の影響を通じて、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、社内外の関係者からの問い合わせ、通報、苦情を受け付けるヘルプラインを常備するとともに、複数の専門家および専門事務所と契約して最新の法令および各種ルールに対する情報収集に努め、四半期毎のコンプライアンス委員会において、最新の状況を確認し、更なる改善を目指すべく、意識の高揚を図っております。 ②情報漏えいにより信用を失墜するリスク (発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社グループは、事業展開に必須となる取引先の機密情報や、稀には個人情報をお預かりするとともに、当社グループ自体の機密情報を保有、管理しています。これらの情報の外部への流出、破壊、改ざん等を防止すべく、当社グループ全体で、委託先を含めた管理体制を構築し、各種規程の整備やグループの役職員への継続的な教育を行っております。しかしながら、万一、当社グループの役員ないし従業員の故意や過失により、これらの情報の外部への流失を発生させた場合には、当社グループの信用低下のほか、被害を受けた事業者や関係者による損害賠償の請求を受ける可能性があり、その場合は当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。更に、情報流出の原因調査の過程においては、通常業務の遂行に多大な影響を受ける可能性があります。 ③事業継続計画(BCP)に関するリスク (発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中) 当社グループは事業継続に関する不測の事態に対する事業継続計画を立案しておりますが、最大級のリスクの一つとして、事業拠点である事業所やIT機器を置いているデータセンターが、地震、火災等によって稼働が停止する事態を想定しています。クラウド化を推進することによりデータセンターへの依存度を減らす施策を実行しておりますが、仮にデータセンターが停止した場合において、当社グループのシステムは、災害時に即時にバックアップシステムに切り替わるホットスタンバイにはなっておらず、一定の時間内に代替システムを立ち上げるコールドスタンバイ方式になっています。このコールドスタンバイからのシステム立ち上げの過程において、想定された時間内に代替システムを立ち上げることに失敗した場合、当社グループは顧客からの信頼を失い、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④第三者の知的所有権を侵害するリスク (発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社グループの業界においては、特許や実用新案の取得例は稀であり、これまで知的所有権に関する大きな紛争例はありませんでした。しかしながら、今後のIT技術の進歩によって、当業界においても有力なソフトウエア特許やビジネスモデル特許が申請される可能性があり、その特許の成立や侵害警告をめぐる紛争が発生する可能性があります。当社グループではそのような事態を避けるために、自社による特許サーチや自社特許の申請や取得を実施しておりますが、第三者から特許権侵害や商標権侵害を理由とする損害賠償請求や差止請求を受ける可能性が完全には否定できず、その場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤潜在株式の顕在化による1株当たりの指標悪化のリスク (発生可能性:高、発生可能性のある時期:5年以内、影響度:中) 当社グループは、当社グループ役職員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社の株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値および議決権割合が希薄化する可能性があります。本書提出日現在、新株予約権による潜在株式は510,500株であり、発行済株式数9,854,500株の5.2%に相当します。これらの行使があった場合、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。 ⑥訴訟等に関するリスク (発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定無し、影響度:中) 当社グループは、サービスの提供にあたって法令遵守の徹底及び取引先とのトラブル回避に努めており、本書提出日現在において提起されている訴訟等は発生しておりません。しかしながら、今後何らかの事由により、訴訟等が発生した場合、これらの訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、このような事態を避けるため、コンプライアンス委員会における研修等を通じて役職員のコンプライアンス意識を高めるほか、取引先等との間で良好な関係の構築に努めております。 ⑦自然災害等に関するリスク (発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定無し、影響度:低) 当社の本社は東京にあり、当地域内において地震、水害等の大規模災害が発生することにより拠点が被害を受けた場合、また当社施設内において、感染症が拡大する等、当社の想定を超える異常事態が発生した場合には、通常勤務が困難になることによりサービスレベルが低下する可能性等があり、その内容及び結果によっては当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このような事態を避けるため、勤務場所の分散化、リモートワーク時における安否確認方法の確立など異常事態が生じた場合でもできる限り業務への影響を低減することに引き続き努めてまいります。 ⑧当社株式の流通株式比率について (発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定無し、影響度:低) 当社は、当社株式の流動性の確保に努めますが、東京証券取引所の定める流通株式比率は2025年12月31日時点において26.37%にとどまっております。当社は、流通株式数の変動の動向を注視し、必要に応じて主要な株主に保有株式の売出し等にご協力をいただくなど、当社株式の流動性向上に努めてまいる方針です。しかしながら、何らかの事情により更に流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
経営成績の分析 (MD&A)8,429字を開く

業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績等の状況の概要 当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 経営成績の状況 当連結会計年度(2025年1月1日~2025年12月31日)におけるわが国経済は、米国の関税政策の影響が日本の基幹産業である自動車産業を含む輸出産業全般に悪影響を与え、それが様々な産業の投資行動や、個人の消費行動に波及しました。一方、国内個人消費に占める比率が上昇している訪日外国人の動向は、中国団体客の減少があったものの全体としては過去最大の訪日人数となり、宿泊、飲食、娯楽サービスなどのインバウンド関連施設の集客は好調で、サービス業や日用品を扱う商業施設は堅調でした。 このような経済状況の下、当社グループの事業セグメントの一つであるMRO(Maintenance, Repair & Operations)事業における工具、消耗品、修繕部品、文具等の間接材の市場では、上半期は前年度からの好調を継続し順調に売上が拡大しました。しかしながら、第4四半期には当社の重要顧客であり、かつ重要なサプライヤー(商品供給業者)であるアスクルへのランサムウェア攻撃の影響で、同四半期の売上が前年割れとなった結果、通期の売上も伸び悩む結果となりました。一方、セグメント利益については、当社の電子カタログに新しく導入したMRO購入選択品の自動置き換え推奨機能により粗利率が改善し、粗利額が増加した結果、年間を通じて大きく拡大しました。 もう一つの事業セグメントであるFM(Facility Management)事業における国内商業施設向けサービス市場では、インバウンド需要等により顧客の集客や業績は好調だったものの、需要の強さから店舗や施設の営業を止める必要がある改装工事を後ろ倒しにする傾向が生じ、第3四半期までの売上は前年割れが続きました。第4四半期には後ろ倒しとなっていた改装工事が集中的に実施され、店舗改装用資材の売上が急拡大しましたが、通期ではFM事業の売上は前年並みにとどまりました。セグメント利益については、店舗改装用資材販売に関する第3四半期までの商品・配送手配等の人員の稼働損や、第4四半期の想定以上の出荷集中による緊急調達・配送等に関する売上原価の増加により、第4四半期および通期を通じ、前年同期比で大幅な減益となりました。 販売費および一般管理費(販管費)については、IT投資・経費の増やMRO事業の売上増に伴う物流関係費の増があったことに加え、人材派遣費用を含む人件費の増により大きく増加しました。 以上のような環境の下、当社グループの業況は増収増益を継続し、売上高は58,922百万円(前期比5.3%増)、売上総利益(粗利額)は6,105百万円(前期比10.5%増)、販売費及び一般管理費は4,636百万円(前期比8.3%増)、営業利益は1,468百万円(前期比18.2%増)となりました。経常利益は、為替差損の減少や受取利息の増加により、営業利益を上回る1,483百万円(前期比20.8%増)となり、営業利益および経常利益は11期連続の増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、政策減税適用額の減少等により、若干、税負担率が上昇し、1,031百万円(前期比19.1%増)となりました。 各セグメントの業績は、次のとおりであります。 <MRO事業> 間接材購買のためのシステム提供と物品販売を行うMRO事業において、米国関税政策の重要なターゲットとなってきた自動車産業向けを含め、主力の大企業向け販売については、前年度からの好調が上半期は継続しました。ただし、第4四半期には、アスクルへのランサムウェア攻撃の影響により、アスクル経由の中小事業所向けの販売が10月19日から11月中旬まで停止し、再開も緩やかなペースにとどまった上、アスクル物流センターから当社顧客への出荷再開は2026年1月中旬までずれこんだため、大企業顧客向けの売上も低調でした。これらの特殊要因により、第4四半期のMRO事業の売上は前年割れとなり、通期においてもMRO事業の売上高は44,321百万円(前期比7.5%増)と一桁の成長率にとどまりました。一方、当社が「無限カタログ」と命名した電子カタログにおいて、2024年度末に新規に導入したMRO購入選択品の自動置き換え推奨機能の活用が進み、同機能の効果による顧客の購入単価減による売上伸長率の下押しが見られたものの、顧客の購買行動の売れ筋商品への集中による当社粗利率の改善により、粗利額が大きく拡大しました。その結果、セグメント利益は1,186百万円(前期比54.2%増)と大幅に増加しました。 <FM事業> 商業施設向けにサービスの提供を行うFM事業においては、インバウンド需要の増加や顧客のプロモーション施策の効果により当社グループの顧客の集客と業績は好調であったため、その好調な需要を背景に、第3四半期までは店舗や施設の営業休止を伴う改装工事の実施先送りや規模縮小の傾向がありました。顧客のチェーン店本部では年間改装計画の遅れを取り戻すべく、第4四半期において一気に改装件数を増やし、当社グループの売上も同四半期には急回復したものの、結局、通期の売上は前年比ほぼ横ばいにとどまりました。一方、利益面では、第4四半期において急増した材工分離型の店舗改装用資材の需要急増に追随しきれず、必要な商品の緊急輸入や工事日程にあわせたチャーター便配送等の費用急増があり、売上増を利益増につなげることができず、第4四半期および年間のセグメント利益は前年同期比で大幅減となりました。 これらの結果、FM事業の売上高は14,578百万円(前期比0.6%減)と前年比ほぼ横ばいでしたが、セグメント利益は203百万円(前期比47.7%減)と大幅に減少する結果となりました。 <その他> セグメント区分の「その他」の売上は、当社の子会社であるATC株式会社のソフトウエア事業の外販売上(連結内部控除される「当社向けのITサービス事業売上」を除く売上)が計上されていますが、当社向けITサービスへの集中に伴い、当連結会計年度の売上は21百万円(前期比66.6%減)にとどまりました。一方、「その他」の営業利益には、ATC株式会社の当社向けサービス事業の利益等が含まれるため、セグメント利益は78百万円(前期比6.4%減)となりました。 ② 財政状態の状況 (資産) 当連結会計年度末における流動資産は17,144百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,218百万円増加いたしました。売掛金及び契約資産が1,124百万円、棚卸資産が368百万円増加し、現金及び預金が391百万円減少したことが主な要因です。固定資産は2,709百万円となり、前連結会計年度末に比べ254百万円増加しました。無形固定資産が234百万円、投資その他の資産が43百万円増加し、有形固定資産が24百万円減少したことが主な要因です。これらの結果、総資産は、19,854百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,473百万円増加しました。 (負債) 当連結会計年度末における流動負債は13,039百万円となり、前連結会計年度末に比べ764百万円増加しました。これは1年内返済予定の長期借入金が16百万円、未払消費税等が35百万円減少しましたが、買掛金が664百万円、未払法人税等が119百万円増加したことなどによるものです。固定負債は72百万円となり、前連結会計年度末に比べ37百万円増加しました。これは主に役員株式給付引当金が43百万円増加したことによるものです。これらの結果、負債合計は、13,111百万円となり、前連結会計年度末に比べ802百万円増加しました。 (純資産) 当連結会計年度末における純資産合計は6,742百万円となり、前連結会計年度末に比べ671百万円増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益1,031百万円の計上、新株予約権行使に伴う株式発行127百万円による増加、剰余金の配当261百万円、役員株式給付信託開始のための自己株式取得225百万円による減少が主な要因です。これらの結果、自己資本比率は34.0%(前連結会計年度末は33.0%)となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は5,360百万円となり、前連結会計年度末に比べ398百万円減少いたしました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは、903百万円の収入超過となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益1,483百万円、仕入債務の増加664百万円、減価償却費686百万円の収入要因があった一方、売上債権の増加1,249百万円、棚卸資産の増加368百万円、法人税等の支払額396百万円の支出要因があったこと等によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは、923百万円の支出超過となりました。その主な要因は、当社グループの内製ソフトウエア開発増加に伴う無形固定資産の取得による支出884百万円、差入保証金の増加43百万円の支出要因があったこと等によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは、380百万円の支出超過となりました。その主な要因は、株式の発行による収入127百万円の収入要因があった一方、配当金の支払額261百万円、株式給付信託開始に伴う自己株式取得による支出225百万円の支出要因があったこと等によるものであります。 ④ 生産、受注及び販売の実績 a 生産実績 当社グループの事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載をしておりません。 b 受注実績 当社グループの事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、記載をしておりません。 c 販売実績 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称   当連結会計年度 (自 2025年1月1日  至 2025年12月31日) 販売高(百万円)   前年同期比(%) MRO事業   44,321   7.5 FM事業   14,578   △0.6 報告セグメント計   58,900   5.4 その他   21   △66.6 合計   58,922   5.3 (注)1.その他セグメントはITシステム開発運用部門であり、MRO事業、FM事業とセグメント間の取引がありますが、全額内部消去されるため、ITシステムの外販事業のみの金額を表示しております。 2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。 相手先   前連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)   当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) 金額(百万円)   割合(%)   金額(百万円)   割合(%) アスクル株式会社   6,841   12.2   6,403   10.9 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりでありま す。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 a 「経営成績等」及び「財政状態」並びに「セグメントごとの経営成績の状況」に関する分析・検討内容 (売上高) 当連結会計年度の売上高は、58,922百万円(前年同期比5.3%増)となりました。 売上高の分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。 (売上原価、売上総利益) 当連結会計年度の売上原価は、売上の増加に伴い52,817百万円(前年同期比4.7%増)となりました。 この結果、売上総利益は、6,105百万円(前年同期比10.5%増)となりました。 (販売費及び一般管理費、営業利益) 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、4,636百万円(前年同期比8.3%増)となりました。 主な要因は、物流費の増加、ソフトウエア減価償却費の増加、役員株式給付信託制度の導入に伴う費用増です。 この結果、営業利益は、1,468百万円(前年同期比18.2%増)となりました。 (営業外収益、営業外費用、経常利益) 当連結会計年度において、営業外収益は17百万円(前年同期比157.6%増)、営業外費用は2百万円(前年同期比87.4%減)発生しました。 この結果、経常利益は、1,483百万円(前年同期比20.8%増)となりました。 (法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益) 上記の結果、税金等調整前当期純利益は、1,483百万円(前年同期比20.8%増)となり、税金費用(法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額)を452百万円計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、1,031百万円(前年同期比19.1%増)となりました。 なお、財政状態の分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。 b 経営成績に重要な影響を与える要因 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 a キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容 「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 b 資本の財源及び資金の流動性 当社グループでは、休前日を除く通常月においては、近年、売掛金と買掛・未払金の残高が、ほぼ拮抗していることから、運転資金需要のうち主なものは、人件費や賃借料といった営業固定費と業務委託費からなるITシステムに係る保守運用費用であり、費目としては販売費及び一般管理費となります。一方、投資を目的とした資金需要は、事業基盤を形成するITシステム、ソフトウエアへの投資であり、費目としては無形固定資産の取得となります。運転資金は、主として自己資金で調達することとしておりますが、投資については、一部は銀行等からの長期借入金により賄っております。 前連結会計年度末における有利子負債残高は23百万円で、全額が長期借入金ですが、返済により当連結会計年度末の有利子負債残高は3百万円となりました。当連結会計年度末における現金及び預金の残高は5,367百万円と余裕がありますが、今後も資金残高及び各キャッシュ・フローの状況を常時もモニタリングし、資本の財源及び資金の流動性の確保に努めてまいります。 ③ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載の通り、当社グループのサービスの普及状況を示す連結売上高及び、付加価値提供の成果を示す連結営業利益額を重視しております。 連結売上高に関しては、MRO事業は、上半期は前年度からの好調を継続し順調に売上が拡大しましたが、第4四半期には当社の重要顧客であり、かつ重要なサプライヤーであるアスクルへのランサムウェア攻撃の影響で、同四半期の売上が前年割れとなった結果、通期の売上も伸び悩む結果となりました。またFM事業は、インバウンド需要等により顧客の集客や業績は好調だったものの、需要の強さから店舗や施設の営業を止める必要がある改装工事を後ろ倒しにする傾向が生じ、第3四半期までの売上は前年割れが続きました。第4四半期には後ろ倒しとなっていた改装工事が集中的に実施され、店舗改装用資材の売上が急拡大しましたが、通期ではFM事業の売上は前年並みにとどまりました。全体として前年比105.3%となりました。 また、連結営業利益額に関しては、MRO事業は当社の電子カタログに新しく導入したMRO購入選択品の自動置き換え推奨機能により粗利率が改善し、粗利額が増加した結果、年間を通じて大きく拡大しました。一方、FM事業は店舗改装用資材販売に関する第3四半期までの商品・配送手配等の人員の稼働損や、第4四半期の想定以上の出荷集中による緊急調達・配送等に関する売上原価の増加により、第4四半期および通期を通じ、前年同期比で大幅な減益となりました。全体として前年比118.2%となりました。当社グループでは、人件費やIT関係費等の営業固定費の増加率以上の伸長率で、連結売上高を伸長させることにより、連結営業利益額を増加させることができると考えており、その達成状況を判断するために連結営業利益額を経営指標としています。 連結売上高と連結営業利益の推移及び前年比伸長率 2023年12月期 通期   2024年12月期通期   2025年12月期通期 連結売上高(百万円)   51,951   55,952   58,922 前年比(%)   117.1   107.7   105.3 連結営業利益(百万円)   1,188   1,242   1,468 前年比(%)   114.0   104.6   118.2 ④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しておりますが、重要なものは以下のとおりであります。 (繰延税金資産の回収可能性) 当社及び連結子会社は、グループ通算制度を採用しております。繰延税金資産の回収可能性は、グループ通算制度の適用対象会社の事業計画に基づく課税所得を基準として見積っております。繰延税金資産の計上にあたっては、その回収可能性について、将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金の解消スケジュール及び将来課税所得の見積り等に基づき判断しております。また、将来課税所得の見積りは将来の事業計画を基礎として、将来獲得しうる課税所得の時期及び金額を合理的に見積り、金額を算定しております。 課税所得の見積りの基礎となる翌期以降の事業計画における主要な仮定は、事業セグメントごとかつ得意先別に集計した売上高と売上総利益率の予測であります。 売上高の予測は、過去の売上実績や新規顧客との商談状況、顧客の出店・改装計画などを基とし算出しております。また、売上総利益率の予測は、売上高の予測と過去の仕入実績などに基づいて売上原価を予測し算出しております。 なお、課税所得が生じる時期及び金額は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、実際に生じた時期及び金額が見積りと異なった場合、翌連結会計年度において認識する繰延税金資産の金額に重要な変動を与えるリスクがあります。

EDINET提出の有価証券報告書から自動抽出。表は文字起こしのため崩れることがあります。

開示資料

出典

このページの財務・役員・株主等のデータは、金融庁EDINETに提出された開示書類から自動抽出しています。会計基準は JapanGAAP

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