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超!企業DB
日経平均64,325.64-1,890NYダウ52,980.73+214ドル円158.84-1NASDAQ26,208.82+109S&P 5007,666.58+35SOX 指数11,332.81+449/2終値

AeroEdge

AeroEdge Co.,Ltd.7409 · Growth · 輸送用機器

航空機エンジン「LEAP」向けチタンアルミ製低圧タービンブレードを供給する、世界で2社しかない量産加工企業。

概要

AeroEdge株式会社は、2015年に菊地歯車の子会社として設立され、2016年に同社の航空宇宙部門を継承した航空機エンジン部品の加工メーカーである。主力製品はLEAPエンジン向けチタンアルミ製低圧タービンブレードで、2025年6月期の売上高は36億円、従業員数132名。2023年7月に東京証券取引所グロース市場に上場した。

LEAPエンジン向けチタンアルミブレードに特化した事業構造

当社は単一セグメント「加工事業」であり、その中核は仏SAFRAN社と締結したLEAPエンジン向けチタンアルミ製低圧タービンブレードの供給契約である。このブレードは、Airbus A320neoファミリー、Boeing 737MAX、COMAC C919に搭載されるLEAPエンジンの最終段低圧タービンに使用される。チタンアルミはニッケル合金の約半分の比重で軽量化に寄与するが、硬く脆く加工難易度が高い。グローバルで供給できる企業は当社を含め2社のみであり、参入障壁が高い。当社はSAFRAN社から総需要の40%(2028年から40%台後半に拡大予定)を供給する契約を有し、長期的な収益基盤を確保している。材料は欧州企業1社に依存していたが、新素材の開発により垂直統合を進めている。

高い技術力と品質認証で支えられる生産体制

航空機エンジン部品には厳格な品質管理とトレーサビリティが求められる。当社は工程設計、工具開発、加工技術、品質マネジメント、プロジェクトマネジメント、先端検査、特殊工程の7つの能力を自社で保有する。具体的には、CAMによる加工プログラム自社作成、エンドミルの自社設計・生産、設備メーカーとの協働による特殊設備導入、治具の自社開発、非破壊検査設備の導入などを行っている。品質面ではJISQ9100(航空品質マネジメント)、JISQ14001(環境)、JISQ27001(情報セキュリティ)、Nadcap(国際特殊工程認証)を取得しており、これらが取引先からの信頼獲得に寄与している。2025年6月期には情報セキュリティ認証も取得し、体制を強化した。

上場後も続く収益拡大と先行投資のフェーズ

2023年7月のグロース市場上場後、当社は収益を拡大している。売上高はFY2021の8億円からFY2025には36億円に成長し、営業利益はFY2024・FY2025に7億円を計上した。純利益はFY2022に黒字転換し、以降7億円で推移している。一方で、新工場(B棟)の竣工や新規量産案件への設備投資により、有形固定資産は増加傾向にある。FY2025の投資キャッシュフローは19.5億円の支出であり、営業キャッシュフロー13.3億円を上回った。これらの投資は、チタンアルミブレード以外の航空機エンジン部品の量産立ち上げや新材料開発に向けられており、将来の成長基盤を構築する段階にある。

航空機市場の需要拡大とサプライチェーンにおける位置づけ

航空旅客需要は新型コロナウイルス感染症以前の水準を回復し、長期的な成長が見込まれる。特に中小型機(ナローボディ機)であるA320neoと737MAXは受注残高が高水準で、2025年6月末時点でそれぞれ7,251機、5,415機の受注残がある。これらの機体に搭載されるLEAPエンジンの生産拡大には、チタンアルミブレードの安定供給が不可欠であり、当社の供給能力が鍵を握る。また、サプライチェーンの毀損や人手不足により部品供給が逼迫している中、地政学的に安定した日本に拠点を持つ当社は新たな量産案件を獲得しやすい環境にある。2024年には供給契約を更新し、供給期間を2034年まで延長、マーケットシェアも拡大した。さらに、2025年6月期には新たなグローバル大手航空機関連メーカーと長期契約を締結し、多角化を進めている。

業界の中での役割は航空機エンジンメーカー(OEM)向けの特殊部品サプライヤー。にあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

売上高
51億円
営業利益
11億円
営業利益率
21.6%
純利益
8億円
2026/6 通期の連結業績。決算の内訳は最新の決算以降にあります。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2025/3期)より

01航空機エンジン主力

商業用航空機エンジン「LEAP」に搭載されるチタンアルミ製低圧タービンブレードの加工・販売。仏SAFRAN社と契約し、LEAP用ブレードの一定量(総量の40%)を供給。航空機産業は参入障壁が高く、長期受注が見込めるビジネスモデル。

世界で2社のみの供給企業

主要顧客SAFRAN

主な製品・サービス1
チタンアルミ製低圧タービンブレード世界シェア上位
航空機エンジンの低圧タービン最終段に使用される部品。ニッケル合金の半分の比重で軽量化と耐熱性を両立。量産加工は難易度が高く、供給できるのはグローバルで2社のみ。

02その他の加工準主力

チタンアルミ加工で培った技術とAdditive Manufacturingを活用し、eVTOL用部品やガスタービン用部品の受託加工を行う。

主な製品・サービス2
eVTOL用部品
電動垂直離着陸機向けの部品加工。
ガスタービン用部品
ガスタービン向けの部品加工。

製品と技術

チタンアルミ製低圧タービンブレードの特性と難易度

当社の主力製品は、LEAPエンジンに搭載されるチタンアルミ製の低圧タービンブレードである。このブレードは、金属間化合物Ti-48Al-2Cr-2Nbからなり、比重はニッケル合金の約半分で軽量ながら、高温での強度劣化が少なく耐熱性に優れる。しかし、硬くて脆いため切削加工が極めて難しい。また、最新の空力設計により複雑な3次元形状を持ち、要求精度も厳しい。量産化の難易度は非常に高く、グローバルで供給できる企業は当社を含め2社のみである。当社は、自社開発のエンドミルや専用治具、最適な加工条件の設定により、この難削材の量産を実現している。

一貫した内製化による加工プロセスと品質保証

当社は、工程設計から工具開発、加工、検査までを内製化している。具体的には、3D CADを用いた工具設計、工具形状測定機による品質保証、CAMによる加工プログラムの自社作成、設備メーカーとの協働による特殊設備の導入、治具の自社開発・製作、非破壊検査設備の導入などを行う。検査工程では、接触式・非接触式の高精度三次元測定機を活用し、トレーサビリティを徹底している。また、FPI(蛍光浸透探傷検査)やX線透過検査などの特殊工程も自社で実施し、Nadcap認証を取得している。これらの一貫体制により、高い品質水準と安定供給を実現している。

新材料開発と積層造形への研究開発

当社は、チタンアルミブレードの材料調達リスクを低減するため、新材料の開発に数年にわたり取り組んできた。2025年6月期には量産化の目途が立ち、2027年6月期から供給を開始する予定である。これにより、材料供給から加工までの垂直統合が進み、収益拡大が期待される。また、Additive Manufacturing(積層造形)などの新たなものづくり技術の研究開発も推進している。これらの取り組みは、中長期的な収益力の基盤構築と、航空業界のカーボンニュートラル実現への貢献を目指している。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

輸送用機器のなかでの位置

会社が挙げる強い分野

  • 世界シェア上位チタンアルミ製低圧タービンブレードLEAP向けチタンアルミブレードの供給元は世界で2社のみ航空機エンジン
  • 航空機エンジン世界で2社のみの供給企業

有価証券報告書(2025/3期)で会社自身が述べている位置付けです。第三者による調査ではありません。

航空機部品で安定収益、宇宙事業注力

航空機エンジン部品や宇宙関連機器を手掛ける独立系メーカー。2025年6月期売上高36億円、営業利益率19.44%と高水準。同業のアクセルスペースやARCHIONが宇宙事業で競合するが、同社は航空機部品で安定収益基盤を持ち、宇宙事業は成長領域。内需依存度が高く、海外展開が限定的。

強み

  • 営業利益率20%前後と安定、堅実な収益基盤。
  • エンジン部品で高い精度と信頼、大手顧客と長期契約。
  • 宇宙機器分野で成長投資、今後の拡大余地あり。
  • 機動的な開発・生産、ニッチ需要に迅速対応。

課題

  • 売上高36億円と零細、規模の経済働かず。
  • 海外売上比率低く、為替変動影響受けにくいが成長限界。
  • 需要変動大きく、投資回収に時間。

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

輸送用機器の時価総額近傍。太字がAeroEdge

時価総額で並べると、掲載11社のなかで6番目にあたる。

#企業時価総額PER
17264ムロコーポレーション89億円11.5倍
26042ニッキ77億円7.5倍
37297カーメイト68億円21.7倍
47208カネミツ68億円9.1倍
57214GMB59億円
67409AeroEdge57億円45.3倍
77399ナンシン48億円17.7倍
87265エイケン工業47億円17.1倍
97217テイン46億円13.5倍
107314小田原機器42億円32.6倍
117284盟和産業41億円52.3倍

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は東証33業種の分類に従っています。

会社の歴史

沿革 12件

菊地歯車から分離独立した2015年から2016年

当社は2015年9月、航空機エンジン用チタンアルミブレードの製造販売を目的として、菊地歯車の100%出資により資本金3,000万円で設立された。翌2016年1月には菊地歯車の航空宇宙部門を分割して継承し、同部門の従業員が転籍した。同時期、菊地歯車が仏SAFRAN社と締結していたLEAPエンジン向けチタンアルミ製低圧ブレードの販売契約の主体が当社に移管され、事業の基盤が形成された。2016年4月には栃木県足利市に本社工場が竣工し、同月に初出荷を達成した。これにより、開発段階から量産へと移行する第一歩を踏み出した。

量産体制の構築と認証取得の2017年から2019年

量産開始後、当社は品質管理体制の強化に注力した。2017年12月には経済産業省より「地域未来牽引企業」に選定され、地域のものづくり企業として評価された。翌2018年7月には航空品質マネジメントシステム認証(JISQ9100)および一般の品質マネジメント認証(ISO9001)を取得し、同年9月には環境マネジメント認証(ISO14001)も取得した。さらに2019年10月には、航空宇宙産業の特殊工程に関する国際認証であるNadcapを取得した。これらの認証は、航空機エンジンメーカーからの信頼を得るために不可欠であり、量産の安定化と顧客要求への適合を可能にした。

財務体質の改善と黒字化の達成(2020年から2022年)

新型コロナウイルス感染症による航空需要の低迷は当社にも影響を与え、売上高はFY2020の21億円からFY2021には8億円に減少した。純損失も5億円から8億円に拡大した。しかし、FY2022には売上高が20億円に回復し、純利益は0億円と黒字転換を果たした。これは、航空需要の回復と生産効率の改善によるものである。FY2023には売上高29億円、純利益7億円とさらに改善し、安定的な収益基盤を確立した。この間、設備投資を継続しつつ、利益体質への転換を達成した。

東京証券取引所グロース市場への上場(2023年7月)

2023年7月、当社は東京証券取引所グロース市場に株式を上場した。上場により資金調達の手段が拡大し、認知度向上や人材採用にも寄与した。上場時の時価総額は公開情報からは不明だが、成長市場での評価が行われた。上場後も業績は順調に拡大し、FY2024には売上高34億円、営業利益7億円、純利益7億円を計上した。上場は、その後の設備投資や新規事業展開の原資確保につながっている。

生産能力拡大と契約更新の2024年

2024年6月、本社工場敷地内に新工場(B棟)が竣工した。この工場では、LEAPエンジン以外の航空機エンジン部品の量産立ち上げを2件同時に進めており、製品ポートフォリオの多角化を目指している。また、同年10月には仏SAFRAN社との間で供給契約を更新し、供給期間を2027年から2034年まで7年延長し、マーケットシェアを35%から40%に拡大した。さらに、2028年1月からはシェアが40%台後半に引き上げられる予定である。これにより、長期的な収益の見通しが強化された。

新材料開発と新規契約の進展(2025年)

2025年6月期、当社は新材料の開発において重要な進展を遂げた。従来、チタンアルミブレードの材料は欧州企業1社に依存していたが、自社開発した新材料が顧客から一定の評価を得て、2027年6月期からの量産供給開始の目途が立った。これにより、材料供給のリスク低減と垂直統合が進む。また、新たにグローバル大手航空機関連メーカーと部品供給の長期契約を締結し、来期からの販売に向けて量産開発を開始した。2025年4月には情報セキュリティマネジメント認証(ISMS)を取得し、事業基盤をさらに強化した。

年表12件を開く

2010年代

  • 2015年9月創業航空機エンジン用チタンアルミブレードの製造販売を事業目的としたAeroEdge株式会社を菊地歯車の100%出資により設立(資本金3,000万円)
  • 2016年1月菊地歯車の航空宇宙部門をAeroEdge株式会社に分割。合わせて菊地歯車の一部従業員が当社に転籍
  • 2016年3月菊地歯車が仏SAFRAN社と締結していたLEAPエンジン向けチタンアルミ製低圧ブレードの販売契約主体を、菊地歯車から当社に移管
  • 2016年4月栃木県足利市に本社工場竣工
  • 2016年4月チタンアルミブレード初出荷
  • 2017年12月経済産業省より「地域未来牽引企業」に選定
  • 2018年7月航空品質マネジメントシステム認証(JISQ9100:2016 & JISQ9001:2015(ISO9001:2015))(※)を取得
  • 2018年9月環境マネジメントシステム認証(JISQ14001:2015(ISO14001:2015))(※)を取得
  • 2019年10月国際特殊工程認証(Nadcap)(※)を取得

2020年代

  • 2023年7月上場東京証券取引所グロース市場に株式を上場
  • 2024年6月本社工場敷地内に新工場(B棟)が竣工
  • 2025年4月情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証(JISQ27001:2023(ISO/IEC27001:2022))(※)を取得

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2025/6期の経営方針より

会社は4つの方針を掲げている。有価証券報告書には具体的な数値目標の記載がない。

  1. 01

    生産能力拡大と垂直統合体制の構築

    LEAPエンジン向けチタンアルミブレードの需要増加とマーケットシェア拡大に対応するため、生産能力を増強する。さらに、材料供給から加工までを自社で一貫して行う垂直統合体制を構築し、新材料の量産を2027年6月期から開始、2028年1月にはシェア拡大を見込む。

  2. 02

    収益の多様化と新規量産案件の獲得

    チタンアルミブレードへの依存度を下げるため、加工で培った技術やAM(積層造形)技術を活用し、新たな航空機エンジン部品の量産案件を獲得する。現在、新工場で2件の量産立ち上げを進めており、今後も収益性を考慮しながら案件を拡大する。

  3. 03

    原価低減と生産効率の向上

    需要増加や設備投資に伴う固定費増加に対応するため、工程の自動化・内製化やトヨタ生産方式の実践による原価低減と生産効率向上に継続的に取り組み、中長期での利益とキャッシュ・フローの最大化を図る。

  4. 04

    環境負荷低減とサステナビリティ推進

    航空業界全体で求められるCO2削減を重要な課題と認識し、気候変動リスクと収益機会の分析を進めるとともに、環境マネジメントシステム(JISQ14001)を活用した継続的な環境負荷低減に取り組む。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 3期分

グループ全体で132人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は600万円で、2期前と比べて+5.9%平均年齢は36.8歳、平均勤続年数は3.9年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数一人当たり営業利益万円
2023年6月56737.74.385
2024年6月59938.75.5102686
2025年6月60036.83.9132530

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

多様性の開示2025年6月期・提出会社(単体)
女性の賃金(男性=100)66.6%
100なら男女で差がない状態

拠点とグループ

設備と関係会社

関係会社1(国内 1 / 海外 0) を有報から抽出しています。

主要な設備 (帳簿価額 上位1)
本社工場 — 栃木県足利市4,848百万円
主な関係会社
  • 国内
    菊地歯車株式会社
    栃木県足利市 · その他の関係会社
    議決権28.7%
公共調達・補助金 (gBizINFO)
  • 補助金
    令和元年地域経済牽引事業支援事業(戦略分野における地域経済牽引事業支援事業)(地域企業との効果的かつ効率的な連携によるグローバル航空宇宙産業の発展につながるエンジン部品の量産体制構築)
    経済産業省 · 2019-10-30
    5,834万円
  • 補助金
    令和元年地域経済牽引事業支援事業(戦略分野における地域経済牽引事業支援事業)(地域企業との効果的かつ効率的な連携によるグローバル航空宇宙産業の発展につながるエンジン部品の量産体制構築)
    経済産業省 · 2019-10-30
    5,502万円

出典: gBizINFO (経済産業省)

業績のいま

有価証券報告書・決算短信より

2026年6月期の売上高は51億円営業利益11億円前期と比べると増収増益で、売上が+41.7%、利益が+57.1%。

売上高
+41.7%
51億円
営業利益
+57.1%
11億円
純利益
+14.3%
8億円
営業利益率
21.6%
前期比 +2.1%pt

会社が出している今期の予想2027年6月期

項目会社予想前期実績
売上高80億円51億円
営業利益16億円11億円
純利益10億円8億円
1株あたり配当¥0¥0

会社が決算短信で公表した予想です。証券会社の予想ではありません。 短信の原本

四半期の推移

8期分

直近は2026年4Qで、売上は26億円、営業利益は4億円。前年の2025年4Qと比べると、売上は+36.8%、営業利益は+0.0%。

対象期間売上高億円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2024年1Q8112.51
2024年2Q7114.31
2024年3Q9333.32
2024年4Q10220.03
2025年2Q17317.62
2025年4Q19421.15
2026年2Q25728.05
2026年4Q26415.43

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。

業績の推移

有価証券報告書 8期分

2019年6月期からの8期で、売上は26億円から51億円へ2.0倍に増えた。直近期の営業利益率は21.6%。売上は5期連続で増加。

決算期売上高億円営業利益億円経常利益億円営業利益率%純利益億円
2019年6月26−5−6
2020年6月21−4−5
2021年6月8−8−8
2022年6月2000
東京証券取引所グロース市場に株式を上場
2023年6月2967
本社工場敷地内に新工場(B棟)が竣工
2024年6月347820.67
2025年6月367619.47
2026年6月51111121.68

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。空欄の期は有価証券報告書からその項目の数値が取れていません(0ではありません)。

利益の構造

2026年6月期

売上高51億円のうち、営業利益として残るのは11億円21.6%。営業外の損益と税金を反映した純利益は8億円、売上の15.7%にあたる。営業利益率は業種中央値5.1%を上回る水準。

売上高を100としたときの内訳
  • 費用事業を回すためにかかったお金78.4%40億円
  • 営業利益費用を引いたあとに残った本業の利益21.6%11億円

有価証券報告書の損益計算書から、当期の金額をそのまま割り振っています。

営業利益率業種比+16.5pt
21.6%
本業の利益として残る割合
純利益率業種比+12.0pt
15.7%
税金まで払って最後に残る割合

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 5期分

2025年6月期は営業CFが13億円、投資CFが−20億円で、差し引きのフリーCFは−7億円この組み合わせは積極投資型にあたる。本業で稼ぎつつ、さらに資金を調達して大きな投資に踏み込んでいる。成長への布石の局面期末の手元現金は16億円で、売上の5.3ヶ月分にあたる

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2021年6月−1−12−218
2022年6月0−81−811
2023年6月11−1−31017
2024年6月14−152−118
2025年6月13−204−716

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 7期分

2025年6月期の総資産は82億円。このうち返さなくてよい自己資本が39億円で、自己資本比率は47.3%(業種中央値53.0%より薄い)

決算期総資産億円自己資本億円負債億円自己資本比率%
2019年6月60164426.8
2020年6月57183930.4
2021年6月52104218.7
2022年6月54104417.7
2023年6月58164227.9
2024年6月72314142.7
2025年6月82394347.3

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2025年6月期の内訳単体ベース
現金及び預金
16億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
21億円
過去の利益の積み上がり
負債合計
43億円
いつか返す必要があるお金

業界内での比較

輸送用機器 82社との比較

同じ輸送用機器の企業と並べると、いちばん上に来るのは営業利益率82社中1位あたり、逆に低いのは売上成長率82社中4位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
/中央値 5.7%
P25 3.3%P75 9.7%
営業利益率上位売上のうち本業の利益として残る割合
21.6%/中央値 5.1%
P25 2.6%P75 7.3%
自己資本比率総資産のうち返済のいらないお金の割合
/中央値 53.0%
P25 40.5%P75 65.9%
売上成長率上位前期からの売上の伸び
41.7%/中央値 2.1%
P25 -1.4%P75 6.5%
配当利回り株価に対して1年で受け取る配当の割合
/中央値 3.2%
P25 2.4%P75 4.1%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月2日の終値

直近の終値は¥1,485で、1年前と比べて+80.4%過去52週の値幅のなかでは35%の位置にある。

¥1,485-2.7%1ヶ月-6.9%1年+80.4%時価総額57億円
過去52週の値幅
安値¥758.333高値¥2,840

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標
PER (実績)45.3倍
PER (会社予想)38.3倍
PBR8.88倍

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

株価は8月20日に1432円と前日比6.07%高。ただし、直近1ヶ月では1.78%下落しており、25日線(1517.52円)を約5.6%下回る弱い動き。8月13日には187万株超の出来高を伴い1531円まで下落する場面があり、上値は重い。一方で、52週安値の736.67円からは約94%上昇しており、中期的な上昇トレンドは継続中。RSIは51.29と中立圏で、方向感が定まらない展開。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

航空業界の回復と生産拡大を背景に業績拡大が期待される一方、割高なバリュエーションと成長持続性に疑問も。強気派は世界の航空需要回復と機材更新需要を追い風に、今後の受注拡大と利益成長を見込む。PER36倍とやや割高感があるが、強気派は高成長を織り込むと妥当と判断。弱気派は、業績のボラティリティや特定市場への依存、競合との競争激化を懸念。また、時価総額54億円と小型で流動性リスクも指摘。

プラスに働く材料3
  • 航空需要回復

    世界の旅客需要回復によりエンジン部品需要増加。

  • 高い参入障壁

    航空機エンジン部品は認証取得に時間とコストがかかる。

  • 堅調な業績

    売上高・利益とも過去3年増加傾向。

マイナスに働く材料3
  • 割高なバリュエーション

    PER36倍は同業他社と比べて割高。

  • 業績変動リスク

    航空業界の景気に業績が連動しやすい。

  • 流動性リスク

    時価総額54億円と小型で売買高が少ない。

次の決算で確かめる点
売上高成長率
航空需要回復の度合いを測る。
営業利益率
収益性の維持・改善を確認。

株主

有価証券報告書より

2025年6月期末の株主数は延べ1,807人。区分でいちばん多いのは事業法人43.9%。グループ会社や銀行などの安定株主が66.6%を占め、残る33.4%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2023年6月%2024年6月%2025年6月%
事業法人57.143.943.9
個人・その他28.325.827.6
金融機関14.625.722.7
証券会社0.73.2
外国法人3.92.6
外国人個人0.00.0

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01菊地歯車株式会社18.71
02豊田通商株式会社11.97
03株式会社日本政策投資銀行11.19
04森西 淳10.74
05DMG森精機株式会社10.41
06野村信託銀行株式会社(投信口)5.57
07ナイン・ステーツ・4投資事業有限責任組合3.53
08日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)2.54
09株式会社日本カストディ銀行(信託口)1.80
10株式会社SBI証券1.59

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

大量保有報告の動き
5%超の保有者の提出ベース 直近2
  • 2026-06-01
    森西 淳
    変更報告
    13.75%
    -1.83pt
  • 2026-05-29
    森西 淳
    新規の大量保有報告
    13.63%
    -1.95pt

提出があった時点の記録です。その後5%を割った保有者が一覧に残ることがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 8期分

1株利益は8期で+102%、1株純資産は7期で−82%。直近期のROEは21.1%で、日本株の目安とされる8%を上回る。

決算期EPSBPSROE%PER
2019年6月−1,9235,499−25.5
2020年6月−1,5555,238−27.6
2021年6月−230293−56.2
2022年6月22850.8
2023年6月20248552.4
2024年6月18380729.716.0
2025年6月1911,01121.115.8
2026年6月33

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安
ROE自己資本利益率
株主のお金でどれだけ稼いだか。日本株では8%が一つの目安
PER期末実績
株価が1年分の利益の何倍か。低いほど割安とは限らず、期待の低さのこともある

経営陣

8名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は8名。2025/6期の役員報酬は総額126百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約6倍にあたる。

氏名役職年齢保有株数
森西淳代表取締役社長 兼 執行役員CEO59412,711
水田和裕取締役 兼 執行役員COO/CTO443,089
今西貴士取締役 兼 執行役員CFO コーポレート本部長482,935
安藤尚取締役71
岡村久雄常勤監査役55
谷津範之監査役66
長壁優子監査役43
氏名役職

役員報酬の内訳2025/6

役員の区分人数固定報酬百万円退職慰労百万円合計百万円1人あたり百万円
取締役(社内)380710234
社外取締役3140145
監査役11001010

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2025/6期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容7,700字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3 【事業の内容】 当社は、「ゼロからイチを創る ~常識を疑い、組織力で難しい課題に挑戦する~」という経営理念のもと、ものづくり企業として、航空機エンジン部品、並びにその他製品の加工製造・販売を主な事業内容としております。また、創造性と技術力で製造業に新たな価値を提供することを目的とし、Additive Manufacturing(積層造形)※1等の新たなものづくりに向けての研究開発を推進しております。 なお、当社は「加工事業」の単一セグメントで活動しておりますが、参考として、当社の事業・機能を航空機エンジン部品加工とその他の加工の2つの分野に分類し、以下のとおりご説明いたします。 (1) 航空機エンジン部品加工 ① 事業の特徴 当社は商業用航空機である、仏Airbus社製A320neoファミリー機と米Boeing社製737MAX機用エンジンである「LEAP」に搭載される、チタンアルミ製の低圧タービンブレードの加工生産・販売を行っております。航空機エンジンは、主にファン、低圧コンプレッサー、燃焼器、高圧コンプレッサー、高圧タービン、低圧タービンから構成されておりますが、低圧タービンは、燃焼ガスのエネルギーを回転力に変換しシャフトを介してファンに伝達する役割を担っており、当社のチタンアルミブレードは、その低圧タービンの最後段を構成しております。 <チタンアルミ製低圧タービンブレードの搭載図> 当社は、航空機エンジンメーカー大手である仏SAFRAN社と、LEAPエンジンに搭載される、当該チタンアルミブレード需要の一定の割合を供給する契約(仏SAFRAN社のLEAPエンジンの生産に必要なチタンアルミブレードの総量の40%分。2028年1月からマーケットシェアは40%台後半に変更となる予定)を締結しております。そのため、当社のチタンアルミブレード生産量は、LEAPエンジンの生産量、並びにLEAPエンジンが搭載される737MAX及びA320neoファミリー等の生産量に影響を受けることとなります。一方で、航空機販売の特徴として、そのリードタイムの関係上、数年前から受注を受け付けることから、長期に渡って受注残高を積み上げることとなります。その結果、他業界と異なり、需要予測が長期間に渡って見込みやすい業界となります。当社においても、仏SAFRAN社からは数週間分の確定発注とともに、一定期間の発注見込みも提示されることから、一定程度の高い販売予測を見込むことができます。販売単価についても契約によって原則として定められているため、当社の売上金額は一定の精度で見込むことができます。また、現時点においては、材料が無償支給であることによる変動費の低さから、売上増加に伴う利益率の拡大が期待できる収支モデルとなっております。 <搭載される航空機及びエンジンとチタンアルミブレードの関係> ② 製品の概要 当社が生産・販売するチタンアルミ製の低圧タービンブレードが搭載されるLEAPエンジンは、米GE社と仏SAFRAN社の合弁企業であるCFM International社により開発生産され、先端の技術を搭載することにより、従来機種より消費燃料とCO2排出量の15%削減を実現したエンジンであり、航空機グローバルシェアNo.1の仏Airbus社製A320neoファミリー機とNo.2の米Boeing社製737MAX機に搭載されております(出典:一般財団法人日本航空機開発協会、2025年6月末時点)。 航空業界においては、燃料費高騰や環境負荷等への対応を背景に、燃費の向上が求められております。チタンアルミブレードは、従来使用されていたニッケル合金製のものと比較し、約半分の比重であるため機体の軽量化に貢献するとともに、高温における強度劣化が少なく、耐熱性も兼ね揃えた部品となります。そのため、旧来エンジンよりも性能を向上させることを目的に、LEAPエンジンに導入された新たな技術要素のうちの1つとなっております。なお、チタンアルミブレードは、従来材料より軽量である一方で、量産加工の難易度が高く、LEAP向けチタンアルミブレードを供給している企業は当社を含めてグローバルで2社のみとなります。当社は仏SAFRAN社と取引契約を締結し、当該チタンアルミブレードを供給しております。 当社では、最適な工程設計の開発、CAMによる加工プログラムの自社作成、加工に必要なエンドミル(切削加工に用いる工具)の自社設計と生産、設備メーカーとの協働による特殊設備の導入、治具の自社開発設計と製作、非破壊検査設備の導入や品質検査体制の自社整備等を行うことで、チタンアルミブレードの量産加工を実現しております。チタンアルミブレードの量産加工の特徴は以下のとおりです。 <チタンアルミブレードとその量産加工の特徴> 項目   説明 硬くて脆い金属間化合物   チタンアルミとは、金属間化合物(2種類以上の金属によって構成される化合物)の一種(Ti-48Al-2Cr-2Nb)であり、比重がNi(ニッケル)合金の約半分程度でTi(チタン)合金よりも優れた耐熱強度を有するが、硬くて脆い特徴があり、加工難易度が高い 希少金属故に技術が未確立   チタンアルミは従来のニッケル合金などの耐熱合金と比較し、最適な加工条件が大きく異なり、切削加工にあたっては、工具及び切削条件の選定難易度が高く、特別なノウハウが必要となる 複雑形状且つ高精度の両立が必要   最新の空力設計を採用し、空力性能と軽量化を追求しており、複雑形状かつ要求精度が厳しい 量産化が困難   金属間化合物であるチタンアルミは、品質を維持しながら効率的な量産工程の確立が非常に難しく、量産化実現の例はグローバルでも極めて少ない ③ 航空業界部品で求められる能力と当社の状況 航空機エンジン産業は高度な安全性及び信頼性を確保するため、構成部品はロット番号やシリアル管理によるトレーサビリティが求められており、サプライヤーは設備の変更や加工プログラムの一部修正等の全ての生産プロセスの変更や修正において航空機エンジンメーカーの認証や許可が必要となります。そういった背景から、生産サプライヤーはあらゆる面で、高い水準の能力を具備することが求められております。 求められる能力   当社の状況 工程設計力   航空機部品においては、「難削材※2」「複雑形状」「特殊工程※3」「精密検査」が要求され、複雑に絡まった難易度の高い工程設計が必要となりますが、これらを自社で設計し、顧客要求を実現しております。 工具開発力   チタンアルミ材料の特殊性や翼面の三次元形状に合わせた最適な加工を実現するためには専用工具の開発・設計が不可欠となります。3D CADを用いた工具設計や、工具形状測定機による品質保証体制を自社で構築するとともに、自社内での製造により原価の低減を実現しております。 加工技術力   航空部品量産加工には、最適な設備選定や、治工具設計、加工条件設定が重要となります。当社はこれらの技術開発を行い、自社でまとめる総合力を有しております。また、難易度の高い加工や、自動化を実現するためのシステム開発やDXにも積極的に取り組み、高効率なオペレーションを追求しております。 品質マネジメント力   当社は、航空産業の品質マネジメントシステム、顧客要求事項に準拠した品質保証の体制を独自に構築しております。 JISQ9100※4、JISQ14001※5、JISQ27001※6及びNadcap※7等の認証取得に加え、社内の工程変更手続き、トレーサビリティ管理など、品質データ統合による品質管理の高度化を実現しております。また、検査工程においては、接触式、非接触式の高精度三次元測定機による検査体制と管理体制を整えております。 プロジェクトマネジメント力   海外OEMから航空エンジン部品を受注するためには、単なる『製造能力』だけではなく、グローバルコミュニケーション能力は当然のことながら、開発から量産フェーズにおける提案力、技術開発力、対応力、非破壊検査及びサプライヤーコントロールを含む一気通貫の量産体制の構築能力が不可欠となります。当社はこれらを実行する統合力を有しております。 先端検査技術力・分析力   歩留り向上には、材料に起因する問題やクラック等のメカニズム解析が不可欠となります。当社は、材料観察やSEM分析※8、X線等の技術を駆使し、自社内で技術的な問題解決を行うことが可能です。治具構造やクランプ力の最適化を行うため、FEM構造解析※9を用いて定量的な評価や設計へフィードバックする取り組みも行っております。 特殊工程の具備   航空エンジン部品には、FPI(蛍光浸透探傷検査)※10や、Xray(X線透過検査)等、いわゆる特殊工程が必要となります。特殊工程は、専門設備の他、検査員も数百時間に及ぶOJTが必要となる等、保持するには高いハードルが存在しております。当社はこれらの工程を自社で実施するための設備と技術を保有するとともに、国際特殊工程認証であるNadcapを取得しております。 ④ 航空機体及びエンジン産業構造 当該事業が属する産業構造は下記のとおりであります。 a.航空機産業の特徴 航空機エンジンは高度な品質水準が求められるため、開発から品質及び生産の安定化までに長い年月と莫大な金額の設備投資が必要となります。また、品質及び生産が安定化した後も他産業と比較にならないほどの品質水準と生産管理水準が求められることが特徴です。航空機産業と自動車産業との比較は下記のとおりとなります。 <航空機産業の特徴~自動車産業との比較~> 航空機産業   自動車産業 ユーザー   ・特定(航空事業者)   ・不特定(主に個人) 安全基準・審査   ・国際基準に照らした認証・証明が必要・厳格な品質管理(工程管理・検査)   ・各国の独自基準・厳格な品質管理 開発期間   ・通常10年以上   ・通常1~2年程度 製品サイクル   ・20~30年程度   ・4~6年程度 部品点数   ・約300万点(ボーイング777の場合)・専用部品が多い   ・約2~3万個・部品共通化 年間生産数   ・月産数十機程度   ・1モデル数十万台 完成品メーカー   <機体>・Airbus、Boeing、Comac 等<エンジン>・GE、Pratt & Whitney、Rolls-Royce 等   トヨタ自動車、フォルクスワーゲン、ルノー、日産、ゼネラルモーターズ、現代自動車、フォード・モーター、本田技研工業、FCA、PSA、ダイムラー、スズキ、BMW、マツダ、SUBARU、三菱自動車、上海汽車、長安汽車、吉利汽車、BYD、テスラ 等 (出所:経済産業省「航空機産業の動向と参入のタイミング」を参考に当社作成) b.航空機体及びエンジンメーカー 航空機産業はその産業構造から、参入障壁が高く、最終製品メーカー(機体及びエンジン)が少数の企業で占められていることが特徴となります。実質的に、商業用航空機体メーカーは仏Airbus社及び米Boeing社の2社、航空機エンジンメーカーは米GE Aerospace社、米Pratt & Whitney社及び英Rolls Royce社の3社で大半のシェアが占められております。なお、当社の製品であるチタンアルミ製タービンブレードが搭載されるLEAPエンジンは、米GE Aerospace社と仏SAFRAN社の合弁企業であるCFM International社が開発したエンジンとなります。 <主要な航空機体及びエンジンメーカー> 航空機体メーカー   航空機エンジンメーカー 仏Airbus社米Boeing社   米GE Aerospace社 (仏SAFRAN社と合弁でCFM International社)米Pratt & Whitney社英Rolls Royce社 c.航空機エンジン産業のライフサイクル 航空機や航空機エンジンは、その長い開発期間と多額の開発費用から、ライフサイクル期間が、他産業の製品のライフサイクル期間より長期間になることも特徴です。したがって、航空機エンジン産業の事業収益モデルは莫大な初期投資と、長期に渡る品質管理体制と生産管理体制の準備と構築を必要とすることが特徴となります。一方で、参入障壁が高く、新規参入企業が少ないために将来の利益を計画しやすいという特徴があります。そして、航空機エンジン産業において、事業の初期段階である導入期には赤字事業となりますが、設備投資が一巡した成長期以降は継続的に黒字事業となることが一般的なビジネスモデルとなっております。 d.航空機体と航空機エンジンの種類 実質的に唯一の商業用航空機体メーカーである仏Airbus社及び米Boeing社が現在新規受注を進めている旅客用機体種類は限定されております。仏Airbus社の新規受注機体種類は、A350、A330、A220、A320neoファミリーの4機種のみであり、米Boeing社の新規受注機体種類は、777機、787機、737MAX機の3機種のみとなっています。そのうち、当社製品が搭載されるLEAPエンジンが搭載される機種は、仏Airbus社のA320neoファミリー機及び米Boeing社の737MAX機となります。 仏Airbus社のA320neoファミリー機では、LEAPエンジンを含めた2種類のエンジンが採用されており、米Boeing社の737MAX機では100%の機体でLEAPエンジンが搭載されております。LEAPエンジンが搭載される両機種は主に国内線で多く使われる中小型のNarrow Body機(狭胴機)であり、燃費が良く環境負荷が低いことが特徴となっております。 e.航空機輸送の考え方と受注残高機数 航空機輸送の考え方として、ハブアンドスポーク方式と、ポイントトゥポイント方式の考え方があります。ハブアンドスポーク方式は、大型のWide Body機(広胴機)等を活用し、主要空港などの大規模拠点(ハブ)に輸送を集中させ、そこから中小型のNarrow Body機等を活用して各拠点(スポーク)に輸送を行う方式となります。一方で、ポイントトゥポイント方式は、中小型機等を活用し、出発地から目的地に直接輸送を行う方式となります。以前は、大型機でないと長距離飛行ができなかったこともあり、ハブアンドスポーク方式が多く採用されておりました。しかしながら、エンジン性能の向上による規制の変更や、中小型機の燃費向上に伴う長距離飛行の実現に伴い、乗換等の手間が不要で柔軟なフライト設定が可能なポイントトゥポイント方式の考え方を取り入れる航空会社が増加しております。その結果、中小型機の需要が大きく増加する傾向にあり、仏Airbus社及び米Boeing社ともにLEAPエンジンが搭載される中小型機の受注残高が大きく増加しております。 <航空機種別の受注残高機数(単位:機)> 仏Airbus社   米Boeing社 機体種類   受注残高機数(※1)   機体種類   受注残高機数(※1) 機数   構成比   機数   構成比 A320neoファミリー(※2)   7,251   82.2%   737MAX(※2)   5,415   75.1% A350   764   8.7%   787   1,050   14.6% A220   514   5.8%   777   643   8.9% A330   287   3.2%   767   95   1.3% その他   6   0.1%   その他   9   0.1% 合計   8,822   100.0%   合計   7,212   100.0% ※1 一般財団法人日本航空機開発協会(2025年6月末時点) ※2 LEAPエンジン採用機種 (2) その他の加工 当社は、チタンアルミブレードの生産販売以外にもチタンアルミブレードの加工で培った技術・経験、並びにAdditive Manufacturing技術も活用し、eVTOL(電動垂直離着陸機、いわゆる空飛ぶクルマ)用部品やガスタービン用部品の受託加工を行っております。これら受託加工は、社内の設備で全てを加工する場合もあれば、協力サプライヤーに加工の一部を委託する場合もあります。社内の設備で加工する場合は、その量産規模にもよりますが、一定程度の設備投資が必要となる場合があります。 [事業系統図] [用語解説] ※1 Additive Manufacturing(積層造形)とは、三次元造形する方法の一連の手法で、3Dの設計図を元に3Dプリンタで材料を積層し立体を造形する工法のことです。 ※2 難削材とは、材料の性質により機械で切削加工がしにくい、あるいは「取り扱い自体が難しい材料」のことを指します。 ※3 特殊工程とは、材料又は部品の物理的、化学的、電気的又は金属冶金的特性を変化させる工程であって、破壊試験、非破壊検査又は解析を行わなければ特性を評価することができない工程のことを指します。 ※4 JISQ9100とは、航空宇宙・防衛産業に特化した品質マネジメントシステムに関する国際認証規格です。 ※5 JISQ14001とは、 国際標準化機構(ISO)が策定した環境マネジメントシステムの国際認証規格です。 ※6 JISQ27001とは、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する国際認証規格です。 ※7 Nadcapとは、米国のNPOであるPRI (Performance Review Institute)が審査機関として運営している、国際航空宇宙産業における特殊工程や製品に対する国際的な認証制度です。 ※8 SEM分析とは、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)によって電子線を試料に当て、表面を観察する装置を活用した分析手法であり、高倍率観察(10万倍以上)が可能となります。 ※9 FEM構造解析とは、有限要素法(Finite Element Method)を用いて構造力学における数値解析を行う代表的手法です。構造物や物体を小さな要素(Elements)に分割して、方程式を用いて計算し近似解を求めることで、構造物にかかる荷重により発生する変位や応力の値や分布を導きます。 ※10 FPI(蛍光浸透探傷検査)とは、特殊工程の1つであり、表面に開口している目視では見えにくいキズを検査する非破壊検査方法です。
経営方針・対処すべき課題4,761字を開く

経営陣が考える方向性と課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社が判断したものであります。 (1) 経営方針 当社は、「ゼロからイチを創る ~常識を疑い、組織力で難しい課題に挑戦する~」という経営方針のもと、日本のものづくり企業として、グローバルで成長することを目指しております。そのために、航空機エンジン部品に代表される難易度の高いものづくりに取り組むとともに、最先端技術の開発やイノベーションを推進しております。 (2) 経営環境 航空輸送業界は、新型コロナウイルス感染症による航空旅客需要の急激な減少に伴い甚大な影響を受けましたが、移動制限の緩和が進むにつれ航空旅客需要は急激に回復し、2024年には新型コロナウイルス感染症発生前の水準にまで回復するとともに、今後は長期にわたり成長することが見込まれております。 昨今多くの航空会社は大型機を活用し、主要空港などの大規模拠点(ハブ)に輸送を集中させ、そこから中小型機を活用して各拠点(スポーク)に輸送を行うハブアンドスポーク方式ではなく、中小型機等を活用し、出発地から目的地に直接輸送を行うポイントトゥポイント方式を採用する傾向があります。これは、エンジン性能の向上による規制緩和や、中小型機の燃費向上に伴う長距離飛行の実現に伴い、ポイントトゥポイント方式の方が、乗換等の手間が不要で柔軟なフライト設定が可能となるためであります。こういった背景により、中小型機である仏Airbus社製A320neoファミリー、並びに米Boeing社製737MAXについては、2024年の年間引渡機数がそれぞれ、602機、260機に対し、2025年6月末時点での受注残高機数は、それぞれ7,251機、5,415機となり(出所:一般社団法人日本航空機開発協会)、受注残高機数は年間引渡機数に対して10年を超えるほどの水準となり、今後も生産を拡大することが見込まれております。仏Airbus社、並びに米Boeing社は、これらの需要に対応するために増産に向けて取り組んでおり、両機種には当社製品が搭載されるLEAPエンジンが採用されていることから、当社のチタンアルミブレードの需要も増加することが見込まれます。 また、航空機業界は、新型コロナウイルス感染症による影響を発端としたサプライチェーンの毀損や人手不足等により、各種部品を供給できるサプライヤーが世界的に不足しています。こうした中、チタンアルミブレードの供給実績があり、地政学的に安定した日本にある当社にとっては、新たな量産案件を獲得できる機会が拡大しています。 その他にも、航空業界では2050年のカーボンニュートラル実現を目指し、機体メーカー及びエンジンメーカーにおいてCO2削減に向けた取り組みが加速しております。今後、CO2削減に向けた取り組みが、当社を含めたサプライチェーン全体で更に求められることになると考えられます。 (3) 中期経営戦略 当社は、仏SAFRAN社との契約に基づき、LEAPエンジンに搭載されるチタンアルミブレードの量産加工・販売を主たる事業としております。仏SAFRAN社は、拡大する航空機需要に対応するため、LEAPエンジンの生産能力増強を進めております。他産業と比較して高い品質水準が求められる航空機関連部品の量産には、サプライヤーにも高い技術力や品質保証力が要求されることから、長期的に高品質な部品を安定供給できるサプライヤーを確保する動きが強まっております。特にチタンアルミブレードは、当社を含め、世界で2社のみが供給していることから、LEAPエンジンの生産拡大には、当社の生産能力の拡大が不可欠となります。そうした中、当社の量産実績、生産性向上への取組み、品質水準、技術開発に基づく提案、並びにこれらを支える組織体制等を評価頂き、2024年10月に仏SAFRAN社との間で供給期間の延長、マーケットシェアの拡大等に関する更新契約を締結しました。 一方で、チタンアルミブレードの材料は、欧州企業1社のみに生産を依存していることから、供給リスクを抱えておりました。このような状況を踏まえ、当社は、材料供給から加工までを担う垂直統合体制の構築と、収益拡大を目指し、数年にわたり新材料の開発に取り組んでまいりました。その結果、新材料の量産化に目途が立ち、2027年6月期から量産供給を徐々に開始するとともに、2028年1月からはマーケットシェアが更に拡大する予定です。 当社は、チタンアルミブレードの需要増加およびマーケットシェアの拡大により、チタンアルミブレード加工販売を拡大するとともに、チタンアルミブレードの新材料の販売を新たに加えることで、売上と利益の増加を目指します。あわせて、生産効率の向上と原価低減に取り組むことで、収益力強化を図っていきたいと考えております。 また、当社は、航空業界全体で求められるCO2排出量削減を重要なサステナビリティ課題と認識し、CO2削減に向けて継続的に取り組んでまいります。 一方で、当社はチタンアルミブレード販売への依存度が高いことから、チタンアルミブレード量産加工で得た技術・経験、並びに資金を活用し、新たな航空機部品の量産案件の獲得を進めてまいります。現在、2024年6月に竣工した新工場でLEAPエンジン以外の別の航空機エンジン部品の量産立上げを2件同時で進めております。航空機案件は初期投資が高く、量産立上までに時間はかかりますが、量産化が進むと、資金を長期に渡って獲得し続けることが可能となります。引き続き、当社の技術との適合性、収益性を考慮しながら、新たな量産案件の獲得を進めていく計画であります。 次にマーケット需要を見据えながらも、先端研究開発を積極的に進めていくことにより、製造業として長期的な収益力の基盤を構築したいと考えております。新たに供給開始予定のチタンアルミブレードの新材料の量産開発に加え、AM(Additive Manufacturing、積層造形、いわゆる3Dプリンタ)技術、並びにAM技術を活用した航空機エンジン部品のMRO(整備・補修・オーバーホール)についても技術・事業開発を進めております。AM技術は製造業の考え方を大きく転換させる可能性があり、将来の製造業のあるべき姿を常に検討しながら、研究開発を推進してまいります。 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社では、売上高、営業利益、EBITDAを重要な経営指標として管理しております。 当社は、企業として、一定程度の売上高規模を確立し、事業基盤の安定性を確保するとともに、安定した利益成長を継続することが、重要であると考えております。 一方で、当社は、チタンアルミブレード販売への依存度が高く、事業ポートフォリオ及び収益源の多様化を図り、特定製品への依存度を下げることが、永続的な成長のためには不可欠であると考えております。そのためには、チタンアルミブレード以外にも売上拡大を図ることが必要となりますが、新規量産案件拡大のためには、設備投資等の初期投資が発生し、一時的な利益率の低下を招くことが想定されます。そのため、現時点においては、営業利益に加えて、売上高も重要な指標であると考えております。加えて、新規量産案件拡大のための設備投資が今後も継続すると考えられることから、収益性や現金創出力をより適切に把握するために、減価償却費の影響を排除した指標であるEBITDAも重要な指標と位置付けております。 (5) 優先的に対処すべき事業上の課題 ① 原価低減と生産効率の向上による利益及びキャッシュ・フローの創出 新型コロナウイルス禍からの航空機需要回復によるチタンアルミブレードの需要拡大に伴い、当社の売上高は増加するとともに、新型コロナウイルス禍において積極的に取り組んだ工程の自動化、内製化、その他原価低減活動やトヨタ生産方式の実践により、当社の損益分岐点は新型コロナウイルス発生前から大きく低減しました。 一方で、需要の増加、マーケットシェアの拡大に対応しながら、チタンアルミブレード新材料の量産化を実現するためには、大型の設備投資や人員拡充が必要となり、固定費が増加することが想定されます。こうした状況下で利益やキャッシュ・フローを拡大するためには、原価低減や生産効率の向上が不可欠となります。当社は、この課題に取り組むため、より一層の生産性の向上及び生産体制の構築に努め、中長期での利益及びキャッシュ・フローの最大化を推進してまいります。 ② 収益の多様化 現在、当社の収益の大半が仏SAFRAN社に対するLEAPエンジン向けチタンアルミブレードの生産・販売から成り立っております。収益の多様化を図るためにも、チタンアルミブレードの加工で培った技術・経験、並びにAM(Additive Manufacturing、積層造形、いわゆる3Dプリンタ)技術等を活用し、新たな量産案件の獲得に積極的に努めてまいります。 ③ 環境問題への取組 当社は、環境問題に積極的に対応するため環境マネジメントシステムの国際規格「JISQ14001」の認証を取得しております。また、製品の品質保証、顧客満足度や情報セキュリティの向上等を目的に、航空宇宙・防衛産業に特化した品質マネジメントシステムの国際規格「JISQ9100」や、情報セキュリティマネジメントシステム「JISQ27001」認証を取得しております。 一方で、航空産業においては、機体メーカーやエンジンメーカーが、カーボンニュートラル実現に向けたCO2削減への取り組みを強化しており、サプライヤー全体でCO2削減を実現することが求められております。当社は、気候変動に係るリスク及び収益機会が当社の事業活動や収益等に与える影響について、必要なデータの収集と分析を行い、環境問題に向けた取り組みを加速してまいります。 ④ 技術の開発 当社が、加工技術で今後も競争優位を発揮し、収益性を維持するためには、新たな技術を取り入れることが不可欠であります。また、収益の多様化を図るために、新材料やAM等、新たな技術の開発を取り入れていくことも必要であります。当社は、積極的に新たな技術の開発を行い、技術的優位性及び収益の多様化を図ってまいります。 ⑤ 人財の採用育成 当社が、新たな技術開発や新たな案件に取り組むためには、優秀な人財の確保と育成が不可欠であります。当社は、新規採用を強化するとともに、育成とフォローアップ体制の整備を充実させることにより人財のスキルアップと組織の活性化を図ってまいります。 ⑥ 資金調達と財務基盤の安定性の確保 当社が、LEAPエンジン向けチタンアルミブレード需要拡大、新材料の量産、並びに収益の多様化実現に向けた新規案件を拡大するためには、新たな設備投資が不可欠となります。 当社は、収益多様化に向けた新たな設備投資を実行できるように、内部留保の確保と株主還元の適切なバランスを検討し、財務内容の最適化に努めてまいります。また、金利上昇下でも資金調達に支障をきたさぬように、金融機関との連携を密にしてまいります。 ⑦ 内部管理体制の強化とコーポレート・ガバナンスの充実 当社は、持続的な成長と企業価値の向上のため、内部管理体制の充実が不可欠であると認識しており、役職員のコンプライアンス意識の向上、当社の取引態様に即した内部管理体制の構築など、コーポレート・ガバナンス体制の強化に取り組んでまいります。
事業等のリスク9,902字を開く

会社が自認するリスクの一覧

3 【事業等のリスク】 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 当社は、これらのリスクの発生可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。そのためのリスク管理体制としては、リスク管理規程を定め、四半期に一回(必要に応じて適宜)代表取締役、常勤取締役及び常勤監査役等で構成されるリスク・コンプライアンス委員会を開催し、リスクの調査、網羅的認識及び分析、各種リスクに関する管理方針の協議及び決定等を行うとともに、それら内容については、適宜取締役会にて報告が行われております。 なお、本項目の記載は全てのリスクを網羅したものではなく、業績等に影響を与えるリスクは下記項目に限定されるものではありません。また、文中における将来に関する事項については、提出日現在において当社が判断したものであります。 (1) 事業に関するリスク ① 主要な事業活動の前提となる事項、並びに特定の取引先及び製品への依存について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:大) 当社は、航空機である仏Airbus社製A320neoファミリー機及び米Boeing社製737MAX機に搭載されるLEAPエンジンの構成部品であるチタンアルミ製低圧タービンブレードの生産・販売を主たる事業活動としており、当該部品を仏SAFRAN社へ販売しております。当社は、当該チタンアルミブレードの販売契約(当該契約の内容は、「第2 事業の状況 5 重要な契約等」をご参照ください)を同社と締結しておりますが、当社の売上高に占める同社、並びに同製品(関連売上を含む)への売上高の割合は2025年6月期において96.8%となっており、同社、並びに同製品への取引依存度が高い水準にあります。そのため、当社は、当該販売契約を事業に関わる重要な契約であると認識しております。 当該契約において、仏SAFRAN社は、原則としてLEAPエンジンの生産に必要なチタンアルミブレードの総量の一定割合(以下、マーケットシェア)を契約期間中に渡って、かつ、原則として契約に定められた価格で当社に発注することが定められております。但し、同社からは一定期間の発注見込数量が提示されますが、当該見込数量は保証されているわけではなく、確定発注数量は数週間分のみとなり、最低発注数量等も定められておりません。また、当該契約期間終了に伴う更新は自動で行われるわけではありません。 当社が(a)契約不履行や破産等した場合、(b)当社の支配株主が同社の競合企業となった場合、(c)LEAPエンジンの事業主体が変更された場合、(d)同社がオフセット取引(特定の国に製品を購入してもらう見返りに、技術移転や経済発展等を目的として、当該国での現地生産を行うといった取引)を実行する場合、(e) 当社とマーケットシェアや地理的条件が同じ前提において、価格・品質・生産体制面で、当社より一定水準以上の優位な競合先が発生した際に、当社が追随できない場合には、当該契約が終了、もしくはマーケットシェアが減少する可能性があります。また、LEAPエンジンの生産が何らかの理由で一時中断となった場合は、同社は当社の生産ラインの一時中断を要求することができ、その際の経済的保証はないことが定められています。但し、上記(e)の事象が発生した場合に、同社はマーケットシェアを削減する権利を有する一方で、当該権利を行使することにより、当初のマーケットシェアの一定水準以上を削減する場合は、同社は一定の損害補償を当社に対して行うことが定められております。 なお、現時点において、上記記載の契約終了やマーケットシェアの変更等に影響を与える事象は発生しておりません。 当社は、仏SAFRAN社と、2024年10月に契約期間の延長およびマーケットシェア拡大に関する更新契約を締結しました。加えて、2027年6月期からは新材料の供給、2028年1月からは更にマーケットシェアが拡大する予定です。これらの状況から当社は同社から一定の評価を得ているものと考えており、また、高い品質が求められる航空機エンジン部品製造は他業界と比較して参入障壁が高く、競合他社の参入は容易でないことから、今後も同社と取引を継続できるものと考えております。しかしながら、上記記載の契約終了やマーケットシェアの変更に該当する事象が発生した場合は、当社の業績、財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。 また、当社製品が搭載される航空機等に重大な不具合や事故が発生した場合、その原因究明及び安全性の確認のため同型式航空機の運航を見合わせることや、航空機等に安全性を著しく損なう問題が発生した場合は、各国において、安全性が確認されるまで同型式航空機の運航が認められない場合があります。 これにより、当該機体の生産計画の変更、生産停止などが発生した場合、当社の業績、財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。なお、米Boeing社は、737MAX機について、2024年1月に発生した品質トラブルを要因として、米連邦航空局から生産拡大を一時停止するように指示されており、一定期間、生産数の拡大よりも品質改善に注力することを発表しております。もし、当該品質改善への対応が長期化し、生産が停滞した場合等は、当社の業績、財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。 当社は、引き続き同社が満足する製品を供給し、グローバル航空機エンジンメーカー大手である同社との取引関係を強化していく方針でありますが、同社、並びに同製品への依存度を引き下げるため、他の航空機エンジン部品等、当社の強みを発揮できる分野での新規量産案件の拡大に努めてまいります。 ② 経済動向の悪化について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中) 当社の売上高の多くは航空機エンジンに使用される部品販売で構成されています。航空機業界は経済・マクロ動向の影響を受けやすく、世界的な景気悪化や国際紛争・テロの発生、感染症の流行等による旅客需要の減少や原油価格の高騰により、エアラインや航空機メーカー等の業績や経営基盤が悪化した場合、当社の受注高や売上高の減少など、当社の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③ 原材料の代替について(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:短期、影響度:大) 当社の売上高の多くを占める航空機エンジン用のチタンアルミブレードの材料は、仏SAFRAN社からの無償供給となっております。そのため、直接的に当該資材等の価格が当社の業績に影響を与えることはありませんが、この原材料については、その特殊性から供給元が限定されるものとなっており、供給者における事故や品質上の問題、あるいは国際情勢の悪化等により供給不足及び納入の遅延等が発生した場合は、生産スケジュールの遅延に伴う売上や利益の減少による業績の悪化、また、それに伴う売上入金の減少による資金繰りの悪化等、当社の業績、財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。過去においても、当該材料の供給元における新型コロナウイルス等に起因する人財不足や設備故障の発生等による材料の供給遅延が発生しており、当社の生産数量に一定の影響を与えております。 当社は、当該材料供給の影響を最小限にするために、新材料の開発を進めてまいりましたが、量産化に目途がたったことから、2027年6月期から徐々に自社新材料の供給を開始する予定です。自社で新材料を量産することにより、材料供給リスクの回避を目指してまいります。 ④ 新材料の量産について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:大) 当社は、材料の供給リスクを回避するため、また、収益拡大を図るため、チタンアルミブレードの新材料を数年にわたり開発してきましたが、量産化に目途がたったことから、2027年6月期から徐々に自社新材料の供給を開始し、最終的には当社で加工するチタンアルミブレードの全量を自社新材料に切り替えていく予定です。一方で、鋳造による新材料の量産は、当社にとって初めての経験であり、万が一、新材料の量産化に失敗した場合や、量産スケジュールに遅延が発生した場合には、チタンアルミブレード全体の売上や利益の減少による業績の悪化、また、それに伴う売上入金の減少による資金繰りの悪化等、当社の業績、財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。 当社は、新材料の量産体制を早期に構築することにより、これらのリスク低減を図ってまいります。 ⑤ 為替レートの変動について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大) 当社の売上高の多くを占める航空機エンジン用のチタンアルミブレードは、米ドルによる外貨建て取引により輸出販売しております。2024年10月のSAFRAN社との契約改定において、為替レートの影響をヘッジするために、一定の為替レートレンジを超えて円高になった場合には、一部販売価格を引き上げ、円安になった場合には、一部販売価格を引き下げる契約を締結しましたが、一定の為替レートレンジ内においては、引続き為替変動による影響を受けやすくなっております。また、当社は副資材等については、一部輸入によって調達していますが、輸出に対する輸入の割合は低いものとなっております。そのため、当社の業績は、為替相場の円高局面ではマイナスに、円安局面ではプラスにそれぞれ影響を受け、想定を超えた為替レートの変動があった場合には、当社の業績、財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。 当社は、これらの為替変動の影響を最小限にするため、為替予約取引等により、為替変動リスクのヘッジに努めてまいります。 ⑥ 自然災害等の影響について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大) 当社の生産拠点である工場は、栃木県に1か所のみであります。そのため、栃木県において大規模災害が発生した場合や、工場での事故や火災が発生した場合には、生産設備の破損、物流拠点の麻痺等が生じ、生産拠点の操業停止等、当社の生産体制が重大な影響を受け、当社の財政状態、経営成績等に重要な影響が及ぶ可能性があります。 当社は、自然災害等の事象が発生する場合に備えて、事業継続計画(BCP)を策定し、一部工程について外注先を確保するとともに、可能な限り最短での生産復旧が可能となるように、生産復旧までのマニュアルの作成や、社内研修等を実施することで、業務中断に伴うリスクを最小限に抑えるように努めてまいります。 ⑦ 製品品質や安全について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中) 当社は、品質や安全に関する法令・規則の遵守及び製品品質や信頼性の向上に努めております。しかしながら、万一、製品に起因する品質上・安全上の問題により大規模なリコールや賠償請求に発展する場合は、多額のコストの発生につながり、当社の信用低下や財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、顧客との契約上の保証条項の内容においても、支払補償費などの発生費用により当社の信用低下や財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社は、当該リスクを防止するため、品質や安全に関する管理基準の適切な運用を実施しております。具体的には、航空品質認証であるJISQ9100を取得し、それに基づいた品質保証システムの確立と管理を行うとともに、主要顧客である仏SAFRAN社の認証や国際特殊工程認証であるNadcapを取得・維持管理することで品質を担保しております。製造工程を変更する場合は、規程に基づく顧客承認プロセスを含む工程変更手続きを厳格に行い、履歴管理を実施しております。当社は徹底した品質や安全に関しての社内ルールを整備・運用することにより、品質・安全リスクを最小限に抑えるように努めております。また、当社は航空PL保険に加入することにより、大規模なリコールや賠償請求等に対する備えを行っております。具体的には、当社は、仏SAFRAN社が求める水準の航空PL保険に加入しており、同社との契約上、チタンアルミブレードの販売における当社の賠償責任は、当該航空PL保険金額が上限となっております。 ⑧ 生産キャパシティの不足について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:中) 当社製品が搭載される航空機である仏Airbus社製A320neoファミリー機及び米Boeing社製737MAX機は、商業用航空機全体の受注残高の多くを占めており、両機種ともに生産拡大を進めております。そういった中、当社は、仏SAFRAN社との間で、2024年7月に加えて、2028年1月からもマーケットシェアが拡大する予定です。需要の拡大及び、マーケットシェアの拡大に対応するため、今後設備投資等を行い生産キャパシティの増強を進めていく必要があります。しかしながら、当社が十分な生産キャパシティを確保できずに供給遅延等が発生した場合には、供給遅延に伴うペナルティ費用の発生に加えて、顧客である仏SAFRAN社からの信頼を失い、同社との将来の取引に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社は、生産性向上を図ることにより、生産キャパシティの増強を継続的に推進するとともに、必要な設備投資等を行うことにより、生産キャパシティが不足しないように対応してまいります。 ⑨ 法的規制等に関するリスクについて(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大) 当社は、事業活動を行うに際して、製造物責任法・独占禁止法・下請代金支払遅延等防止法・廃棄物の処理及び清掃に関する法律・工場立地法・消防法・毒物及び劇物取締法等の法的規制を受けております。当社は、JISQ9100やJISQ14001の認証を取得した工場として、各種法令・規則に則り生産活動を行っておりますが、今後、新たな法令の制定等規制の動向によっては、当社の事業展開が制約され、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、当社は直接的な法的規制は受けませんが、当社製品の供給先である航空機エンジンが搭載される航空機等に重大な不具合や事故が発生したことにより、関係当局から当該航空機の型式証明等が取り消された場合、当社の受注数量が減少することになり、当社の業績、財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。 当社は、法務業務を担当する経営管理部が、新たな法規制等を定期的に確認・対応すること、また、リスク・コンプライアンス委員会により当社事業に影響を与え得る法規制等を幅広く確認し、必要に応じて対応を行うことで、当該リスクを最小限に抑えるように努めております。また、特定製品への依存度を引き下げるため、他の航空機エンジン部品等、当社の強みを発揮できる分野での新規案件の拡大に努めてまいります。 ⑩ 固定資産の減損リスクについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中) 当社は、設立から2022年6月期まで継続して営業赤字を計上しておりました。また、製造業であることから工場建物、機械設備等、多額の固定資産を保有しております。今後も新規量産案件の拡大や、新材料の量産化に向けて、固定資産が増加していくことが想定されます。当該固定資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損損失を認識すべきであると判定した場合には、それぞれの固定資産について回収可能性を評価することとなります。回収可能価額が帳簿価額を下回る場合、その差額は減損損失として当該期の損失として計上されるため、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 当社は、原価低減活動や新たな収益源の拡大に取り組むことで、減損リスクを最小限に抑えるように努めてまいります。 ⑪ 新型コロナウイルス等の感染症の発生について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中) 新型コロナウイルス感染症拡大は航空機による移動制限をもたらし、世界中のエアライン及び航空機メーカーは減便・減産を余儀なくされました。新型コロナウイルスやその他の感染症が今後新たに発生・拡大した場合は、航空機需要が減少し、当社の業績見通しが毀損する可能性があります。 当社は、感染拡大防止のための対策を徹底するとともに、引き続き生産・製造規模の臨機応変な対処を行い、資金需要についても金融機関と緊密な調整を進めるなど対応を継続しております。また、原価低減活動や新たな収益源の多様化、事業継続計画(BCP)策定により、当該リスク発生時の影響を最小限に抑えるように努めてまいります。 ⑫ 有利子負債への依存度について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:小) 当社は製造業であり、通常、収益の計上に先行して設備投資が必要となります。現状の事業拡大局面においては、設備投資額は増加傾向にありますが、資金面では手元資金に加えて金融機関からの借入金等によって調達しており、2025年6月期末において、3,350百万円の借入金(総資産に対する割合40.8%)があります。2024年9月には、シンジケートローンによる総額3,300百万円(コミットメントライン含む)の借入契約を締結するとともに、既存借入の一部繰上返済を実施しておりますが、借入金残高は増加しております。そのため、当社の信用力低下等何らかの理由により調達に制約を受けた場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社では、2025年6月期末において、1,573百万円の現預金を保有しており、一定の手元流動性を確保しておりますが、金融機関との良好な関係の維持・強化に努めるとともに、常に手元流動性の確保や資本効率の向上等の観点から検討を行い財務基盤の強化に取り組んでまいります。 ⑬ 金利の上昇について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:小) 現在、当社における資金調達は、低金利傾向といった金融情勢も勘案の上、金融機関からの長期及び短期借入にその多くを依存しており、2025年6月期末において、3,350百万円の借入金があります。2024年9月には、シンジケートローンによる総額3,300百万円(コミットメントライン含む)の借入契約を締結するとともに、既存借入の一部繰上返済を実施しておりますが、借入金残高は増加しております。今後、世界的な金融引き締めにより、金利が上昇した場合には、資金調達コストが更に増大し、当社の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社は、保有現預金や自己資本比率水準等の財務の健全性を維持・強化するとともに、資金調達手段の多様化等を進め、低利かつ安定的な資金の確保に努めてまいります。 ⑭ 財務制限条項について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:小) 当社は、安定的な資金運用を図るため、金融機関から資金調達を行っておりますが、一部の金融機関との取引について、「第5 経理の状況 [注記事項](貸借対照表関係)」に記載のとおり、借入契約に財務制限条項が付されたものがあります。万が一、これらの条件に抵触した場合には、期限の利益の喪失等、当社の経営成績及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。 当社は、経済情勢や金利動向、財務バランスを総合的に勘案し、有利子負債の適正な水準の維持に努めながら事業展開を行ってまいります。 ⑮ 情報セキュリティについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:小) 当社では、製品の設計・開発、生産、販売など、事業活動において、情報技術やネットワーク、システム(ITシステム)を利用しております。これらITシステムの運用、並びに導入・更新に際しては、システムトラブルや情報の外部漏洩が発生しないよう安全対策を講じるとともに、情報セキュリティマネジメントシステム(JISQ27001)認証を取得し、情報セキュリティ体制の強化を図っております。しかしながら、予想を超えるサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルス侵入等により、重要な業務の中断やデータの破損・喪失、機密情報の外部漏洩などが発生する可能性があります。この場合、当社の信用低下や財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社は、情報セキュリティ対策の充実、役職員への教育、情報システムの社内バックアップ体制等により、当該リスクを回避できるように努めてまいります。 (2) 事業体制に関するリスク ① 代表取締役社長への依存及び当社の事業推進体制について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:小) 当社の代表取締役社長である森西淳は、当社の創業者であり、設立時より最高経営責任者であります。同氏は、事業経営に関する豊富な経験と知識を有しており、現在においても経営方針や事業戦略等の立案及び決定を始め、取引先やその他各分野にわたる人脈等、当社の事業推進の中心的役割を担っており、当社における同氏への依存度は一定程度高いものとなっております。そのため、何らかの理由により同氏が当社の経営者として業務遂行が継続できなくなった場合には、当社の財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。 当社では、同氏に過度に依存しないよう、経営幹部、並びに業務推進役の拡充、育成及び権限委譲による分業体制の構築等を進めることにより、当該リスクを回避できるように努めてまいります。 ② 人財の確保・維持について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:小) 当社が今後事業の拡大を行うにあたり、優秀な人財を獲得・育成することが重要な課題と考えております。そのため、採用活動及び研修制度、人事制度の強化に努めておりますが、業務上必要とされる人財を確保・育成できない場合や、退職者の増加等により必要な人財が維持できない場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、採用活動、研修制度及び人事制度の強化により、当該リスクを回避できるように努めてまいります。 (3) その他のリスク ① ストック・オプション行使による株式価値の希薄化について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:小) 当社では、取締役、従業員等に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。また、今後においてもストック・オプション制度を活用していくことを検討しており、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権について行使が行われた場合には、既存株主が有する保有株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、当事業年度末現在における新株予約権による潜在株式数は578,000株であり、発行済株式総数の15.0%に相当しております。 当社は、収益力を高め、企業価値の向上を行うことで当該リスクを回避できるように努めてまいります。 ② 配当政策について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:小) 当社は、成長過程の途上にあり、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大・発展を目指すため、内部留保を充実させることが必要であると考えており、これまでに配当を実施したことはなく、また、今後も当面の間は配当を実施する予定はありません。しかしながら、株主利益の最大化を重要な経営目標の一つとして認識しており、今後の株主への剰余金の配当につきましては、業績の推移、財務状況、今後の事業への投資計画等を総合的に勘案し、内部留保とのバランスをとりながら検討していく方針であります。 当社は、収益力を高め、企業価値の向上を行うことで、株主利益の最大化を実現できるように努めてまいります。
経営成績の分析 (MD&A)7,381字を開く

業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 経営成績等の状況の概要 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 経営成績の状況 当事業年度における世界経済は、ウクライナ情勢の長期化や、中東での紛争を始めとする地政学リスク、インフレリスクやアメリカの関税政策による影響など、依然として先行き不透明な状況が続いております。 航空業界では、旅客需要が新型コロナウイルス感染症前の水準を超えるとともに、更に拡大することが見込まれており、エアラインにおいては、機体発注拡大などの動きが見られるとともに、航空機メーカーにおいては、中小型航空機を中心とした受注機数残高が高水準で推移しております。そのため、当社の主力製品であるチタンアルミ製の低圧タービンブレードを搭載したLEAPエンジンを採用する、中小型航空機の仏Airbus社製A320neoファミリー、米Boeing社製737MAXは、高水準の受注機数残高に対応するため、生産体制の増強を目指しております。また、2023年に初の商業飛行を中国国内で実施し、同じくLEAPエンジンを採用する中COMAC社製C919も、受注を拡大させております。 <LEAPエンジンが搭載される航空機の受注機数残高及び引渡機数(単位:機)> 受注機数残高   引渡機数 2025年6月末   2023年1月~12月   2024年1月~12月   2025年1月~6月 仏Airbus社製 A320neoファミリー   7,251   571   602   232 米Boeing社製 737MAX   5,415   387   260   206 中COMAC社製 C919   950   2   13   4 (出所:一般財団法人日本航空機開発協会) そうした中、当社は中長期的な事業拡大が期待できるLEAPエンジン向けチタンアルミブレード市場における安定的な事業基盤を構築するため、仏SAFRAN社と締結しているチタンアルミブレードの供給契約を当期首に更新しました。これにより、供給期間は2027年から2034年まで7年間の延長、マーケットシェアは35%から40%に拡大いたしました。 一方で、仏Airbus社においては、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢を発端としたサプライチェーンの毀損や人手不足の影響の顕在化により、生産拡大にやや遅延が見られております。米Boeing社においては、サプライチェーンの毀損や人手不足の影響に加え、品質問題により生産量が低迷する中、2024年9月に発生したストライキにより一時的な生産停止を余儀なくされました。 そうした環境下ではありましたが、当事業年度の当社の販売したチタンアルミブレードが搭載されるエンジン基数(チタンアルミブレード販売枚数÷LEAPエンジン1基当たりのチタンアルミブレード搭載枚数)は、639基と前事業年度から11.5%増加しました。A320neoファミリー、737MAX、及びC919ともに、受注機数残高は高水準を維持しており、航空業界でのサプライチェーンの毀損や人手不足の解消等が進めば、チタンアルミブレードの販売は更に拡大していくと考えられることから、当社は、引き続き、増産に向けた生産性の向上に取り組んでまいりました。 新規量産案件への取り組みに関しては、2024年6月に竣工した新工場で生産予定の航空機エンジン部品の量産体制構築を推進しました。加えて、新たにグローバル大手航空機関連メーカーと部品供給に関する長期契約を締結し、来期からの販売に向けて量産開発を開始しました。研究開発への取り組みに関しては、材料供給元1社依存からの脱却に向けた新材料の開発について、顧客から一定の評価を獲得できたことから、技術開発に加えて、量産に向けた開発も強化いたしました。一方で、これらの新規量産案件並びに開発案件を実現するために、人財採用、設備投資を含めた先行投資を積極化した結果、各種費用が増加いたしました。 以上の結果、当事業年度の経営成績は、売上高3,602,276千円(前期比7.5%増)、営業利益655,174千円(前期比7.1%減)となりました。経常利益に関しては、営業外収益として前事業年度に計上した補助金収入や為替差益が減少したことから、565,172千円(前期比33.0%減)となりました。当期純利益は、継続的に利益を計上していることを背景に、繰延税金資産を積み増した結果、法人税等負担が減少し、734,432千円(前期比5.1%増)となりました。 なお、当社は、単一セグメントのため、セグメントごとの記載を省略しております。 ② 財政状態の状況 (資産) 当事業年度末における資産の残高は、8,211,404千円であり、前事業年度末に比べ974,423千円増加いたしました。この主な要因は、現金及び預金の減少239,758千円、売掛金の減少124,755千円があった一方で、有形固定資産の増加864,652千円があったことによるものであります。 有形固定資産が増加した主な要因は、チタンアルミブレード以外の航空機エンジン部品の量産のための設備投資によるものであります。 (負債) 当事業年度末における負債の残高は、4,321,176千円であり、前事業年度末に比べ178,277千円増加いたしました。この主な要因は、リース債務(1年内返済予定分含む)の返済による減少185,353千円、未払金の減少78,077千円があった一方で、シンジケートローンによるリファイナンスを実施したことで、長期借入金(1年内返済予定分含む)の増加581,753千円があったことによるものであります。 (純資産) 当事業年度末における純資産の残高は、3,890,227千円であり、前事業年度末に比べ796,146千円増加いたしました。この主な要因は、当期純利益の計上734,432千円があったことによるものであります。 ③ キャッシュ・フローの状況 当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、1,573,893千円と前事業年度と比べ239,758千円の減少となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度における営業活動による資金の増加は、1,333,251千円(前事業年度は1,391,430千円の増加)となりました。主な増加要因は、税引前当期純利益564,125千円、減価償却費383,054千円及び補助金の受取額563,644千円であり、主な減少要因は、棚卸資産の増加199,721千円及び法人税等の支払額207,197千円によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度における投資活動による資金の減少は、1,952,567千円(前事業年度は1,526,507千円の減少)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出1,950,730千円によるものであります。 有形固定資産の取得の主な要因は、チタンアルミブレード以外の航空機エンジン部品の量産のための新工場建設、並びに設備投資によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度における財務活動による資金の増加は、378,651千円(前事業年度は234,235千円の増加)となりました。主な増加要因は、シンジケートローンによるリファイナンスに伴う長期借入れによる収入2,477,930千円であり、主な減少要因は、リファイナンス等に伴う長期借入金の返済による支出1,918,247千円及びリース債務の返済による支出185,353千円によるものであります。 ④ 生産、受注及び販売の実績 a.生産実績 当事業年度の生産実績は、次のとおりであります。なお、当社は「加工事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 セグメントの名称   生産高(千円)   前期比(%) 加工事業   1,991,527   109.0 合計   1,991,527   109.0 (注) 金額は、製造原価によります。 b.受注実績 当事業年度の受注実績は、次のとおりであります。なお、当社は「加工事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 セグメントの名称   受注高(千円)   前期比(%)   受注残高(千円)   前期比(%) 加工事業   3,485,799   102.6   730,053   86.2 合計   3,485,799   102.6   730,053   86.2 c.販売実績 当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社は「加工事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 セグメントの名称   販売高(千円)   前期比(%) 加工事業   3,602,276   107.5 合計   3,602,276   107.5 (注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。 相手先   前事業年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)   当事業年度(自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) 販売高(千円)   割合(%)   販売高(千円)   割合(%) Safran Aircraft Engines   3,256,294   97.2   3,486,099   96.8 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 経営者による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 ① 経営成績の状況の分析・検討内容 (売上高) 当事業年度の売上高は、3,602,276千円となり、前事業年度に比べ251,889千円増加(前期比107.5%)となりました。これは主に、新材料等の受託開発売上の減少や、米Boeing社の品質問題やストライキによる、737MAX向けチタンアルミブレード売上の減少等があった一方で、航空機需要の拡大により、A320neoファミリー向けチタンアルミブレード売上が大きく増加したことによるものであります。 (売上原価、売上総利益) 当事業年度の売上原価は、1,915,736千円となり、前事業年度に比べ77,658千円増加(前期比104.2%)となりました。これは主に、売上高の増加に伴う変動費等の増加によるものです。 この結果、売上総利益は1,686,540千円となり、前事業年度に比べ174,231千円増加(前期比111.5%)となりました。また、売上総利益率は、46.8%となり、前事業年度と比べて向上しました。これは主に、チタンアルミブレード材料が無償支給であることから変動比率が低く、売上拡大時に利益率が上昇すること、並びに為替相場が前事業年度と比較して円安に推移したことによるものであります。 (販売費及び一般管理費、営業利益) 当事業年度の販売費及び一般管理費は、1,031,365千円となり、前事業年度に比べ224,518千円増加(前期比127.8%)となりました。これは主に、人員拡大等に伴う人件費の増加32,545千円、新材料等の開発に伴う研究開発費の増加60,519千円等によるものであります。 この結果、営業利益は655,174千円となり、前事業年度に比べ50,287千円減少(前期比92.9%)しました。また、営業利益率は18.2%となりました。 (営業外損益、経常利益) 当事業年度の営業外収益は、補助金収入や為替差益等の減少により、前事業年度に比べ167,622千円減少し、22,815千円(前期は190,438千円)となりました。営業外費用は、リファイナンスに伴うシンジケートローン手数料の発生、支払利息の増加、並びに為替差損の計上により、前事業年度に比べ59,899千円増加し、112,818千円(前期は52,918千円)となりました。 この結果、経常利益は565,172千円となり、前事業年度に比べ277,809千円減少(前期比67.0%)となりました。また、経常利益率は15.7%となりました。 (法人税等、当期純利益) 税引前当期純利益の減少により、法人税、住民税及び事業税は減少しましたが、継続的な利益の計上及び今後の利益見込みを考慮し、繰延税金資産を積み増したことから、法人税等調整額を△262,256千円(△は利益)計上しました。 この結果、当期純利益は、734,432千円となり、前事業年度に比べ35,696千円増加(前期比105.1%)となりました。 ② 財政状態の状況の分析・検討内容 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に含めて記載しております。 ③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容 キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。 b.資金需要の主な内容 当社の運転資金需要のうち、主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。主要事業であるチタンアルミブレードの生産においては、材料が顧客からの無償支給であるため、当社において材料購入に関わる運転資金負担はありません。 また、投資を目的とした資金需要のうち、主なものは、新規案件に対応した設備投資等によるものであります。成長の原資たる設備投資については今後も継続してまいります。 c.資本の財源 当社は、運転資金及び設備投資資金の原資につきましては、当社の財務状況を勘案して、手許現金の使用・銀行借入・リースの利用等の中から最もふさわしい方法を採ることとしております。また一方で、先行投資的な資金も必要となることから、事業運営上必要な資金は、手元流動性の高い現金及び現金同等物として保持していく方針であります。なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は1,573,893千円であります。 また、金融機関と安定的な事業資金の確保に取り組んでおり、今後も引き続き各金融機関からの資金調達、借入コミットメントライン契約の設定、リース等様々な資金調達を検討・実施し、継続的な財務基盤の強化に努めてまいります。 ④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成にあたっては、資産・負債や収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積り及び判断・評価は、過去の実績等を勘案し合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。 ⑤ 経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社では、売上高、営業利益、EBITDAを重要な経営指標として管理しております。売上高及び営業利益を重視する理由は、企業として一定程度の売上高規模を確立することで、事業基盤の安定性を確保するとともに、利益成長により、新規案件への投資を継続的に行うことが可能であると考えているためであります。また、当社は新規量産案件の拡大を進めておりますが、新規量産案件の立上時には売上規模に比べて固定費である減価償却費の割合が大きくなり、営業利益率が抑えられる傾向にあります。一方で新規量産案件は、中長期的な企業成長の源泉であり、当社の収益性や現金創出力をより適切に把握するために、減価償却費の影響を排除した指標であるEBITDAを重要な経営指標として管理しております。 また、これらの源泉となる指標として、販売されたチタンアルミブレードが搭載されるエンジン基数をKPIとして選択しております。その理由として、当社は、チタンアルミブレード販売への依存度が現時点においては高いことから、チタンアルミブレードが搭載されるエンジン基数が、当社全体の収益力に直結すると判断しているためであります。 各指標の推移は以下のとおりであります。 前事業年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)   当事業年度(自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) 売上高(千円)   3,350,387   3,602,276 営業利益(千円)   705,462   655,174 EBITDA(千円)※1   1,093,128   1,038,229 販売されたチタンアルミブレードが搭載されるエンジン数(基)※2   573   639 ※1 営業利益+減価償却費(有形・無形固定資産) ※2 チタンアルミブレード販売枚数÷LEAPエンジン1基当たりのチタンアルミブレード搭載枚数 (販売されたチタンアルミブレードは全て新造エンジンに搭載されたと仮定しております)

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