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日経平均64,325.64-1,890NYダウ53,085.45+319ドル円158.62-2NASDAQ26,241.86+142S&P 5007,680.46+49SOX 指数11,350.08+619/2終値

キヤノン

CANON INC.7751 · Prime · 電気機器

オフィス・医療・半導体まで幅広い機器を擁する総合精密機器メーカー。複合機・カメラ・露光装置が三大柱。

概要

キヤノンは、1937年に精機光学工業として創業した総合光学機器メーカーである。デジタルカメラ(EOSシリーズ)、オフィス向け複合機(imageRUNNER)、レーザープリンター、インクジェットプリンターで世界有数のシェアを持つ。2025年12月期の連結売上高は4兆6,247億円、従業員数は約16.6万人。東京証券取引所に1949年上場。近年は半導体露光装置や医療機器(CT、MRI)にも注力している。本社は東京都大田区。

四本の事業柱:プリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアル

キヤノンは連結財務諸表上、プリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアルの4セグメントで事業を報告している。プリンティングは売上高の過半数を占め、2025年12月期は2兆4,944億円(連結売上高の53.9%)を計上した。同セグメントにはオフィス向け複合機、レーザープリンター、インクジェットプリンター、大判プリンター、商業印刷機が含まれる。メディカルはCT、MRI、超音波診断装置などで5,806億円(12.5%)。イメージングはデジタルカメラ、交換レンズ、ネットワークカメラが中心で、インダストリアルは半導体露光装置やFPD製造装置を手掛ける。各セグメントは独立したビジネスユニットとして運営され、開発から生産、販売、サービスまでを統括する。

321の連結子会社で構成するグローバル販売・生産ネットワーク

キヤノングループは2025年12月31日現在、当社と連結子会社321社、持分法適用関連会社8社で構成される。国内販売はキヤノンマーケティングジャパンが担い、海外は地域ごとに設立された販売子会社が展開する。米州はCanon U.S.A.、欧州はCanon Europe Ltd.とCanon Europa N.V.、中国はCanon (China) Co.,Ltd.、アジア太平洋はCanon Singapore Pte.Ltd.が中核である。生産拠点は日本国内(大分キヤノン、長浜キヤノン、福島キヤノンなど)のほか、米国(Canon Virginia)、ベトナム(Canon Vietnam)、タイ(Canon Hi-Tech)、中国(佳能大連、佳能蘇州)、マレーシア、フィリピンなどに広がる。メディカル製品はキヤノンメディカルシステムズが直販または代理店経由で販売する。

売上高4.6兆円、営業利益率9.8%への回復

2025年12月期の連結売上高は前期比2.5%増の4兆6,247億円で、2期連続の過去最高を更新した。営業利益は前期比62.8%増の4,554億円、営業利益率は9.8%に改善した。前年はメディカルセグメントでのれん減損損失を計上した反動もあり、調整後ベースでも増益となった。プリンティングは米国での投資先送りや欧州・中国での市場縮小により減収減益だったが、メディカルは米国や新興国での販売増と構造改革効果により黒字転換した。イメージングはミラーレスカメラとネットワークカメラが好調で、インダストリアルはAI向け半導体装置需要とFPD向け大型投資に支えられた。当期純利益は前期比107.5%増の3,321億円、1株当たり367.48円。

経営計画フェーズⅦ:販売改革・生産改革・メディカル事業革新

キヤノンは2026年を初年度とする5か年計画「グローバル優良企業グループ構想フェーズⅦ」を策定した。基本方針は「生産性革新を断行し、新たなる成長を実現する」である。3つの構造改革を柱とする。販売改革では2024年から米国で組織最適化を開始し、2025年から欧州での販売体制見直しに着手、2028年までの完了を目指す。生産改革では稼働率の低い海外拠点の集約と外部生産委託の活用、ロボット導入による自動化を進める。メディカル事業革新では2024年に設置した委員会主導で開発・生産・調達・物流を改革し、2026年にはキヤノンメディカルシステムズを当社に統合してコスト削減を加速する。新たな成長領域として宇宙関連ビジネスへの本格参入やAIプラットフォームによるビジネスソリューション創出も掲げる。

業界の中での役割はオフィス機器・医療画像診断装置・半導体露光装置・カメラなどの製造・販売・サービスにあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

売上高
4.6兆円
税引前利益
4,821億円
利益率
10.4%
純利益
3,321億円
2025/12 通期の連結業績。決算の内訳は最新の決算以降にあります。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2025/3期)より

01プリンティング主力

オフィス向け複合機、レーザープリンター、インクジェットプリンター、大判プリンター、デジタル連帳プリンター、デジタルカットシートプリンター、イメージスキャナー、電卓などを開発・生産・販売・保守。キヤノンマーケティングジャパンや各地域販売会社を通じて提供。

主な製品・サービス8
デジタル連帳プリンター
連続用紙に高速印刷する業務用プリンター。トランザクション帳票やダイレクトメールの大量印刷に使用。
デジタルカットシートプリンター
単票紙に高画質印刷する業務用プリンター。オンデマンド印刷や商業印刷向け。
大判プリンター
A1サイズ以上の大判用紙に印刷するプリンター。設計図・ポスター・看板等の出力に利用。
オフィス向け複合機
コピー・プリント・スキャン・ファクスを一体化したオフィス機器。imageRUNNERシリーズが代表的。
レーザー複合機
レーザー方式の複合機。高速・高画質でオフィスの中核を担う。
レーザープリンター
レーザー方式のプリンター。モノクロ・カラーともにラインアップ。
インクジェットプリンター
インクジェット方式のプリンター。家庭用から業務用まで幅広く展開。
イメージスキャナー
書類や写真をデジタル化するスキャナー。ドキュメントスキャナーを含む。

02メディカル準主力

CT装置、超音波診断装置、X線診断装置、MRI装置、デジタルラジオグラフィ、眼科機器、体外診断システム及び試薬、ヘルスケアITソリューションを開発・生産・販売・サービス。キヤノンメディカルシステムズが直販または代理店経由で販売。

主な製品・サービス8
CT装置
X線を用いて体内断面を撮影する装置。高速・高画質で診断精度向上に貢献。
超音波診断装置
超音波で体内を画像化する診断装置。非侵襲でリアルタイム観察が可能。
X線診断装置
X線撮影による診断装置。一般撮影から透視まで幅広く対応。
MRI装置
磁気共鳴を利用した断層撮影装置。軟部組織の描出に優れる。
デジタルラジオグラフィ
デジタル方式のX線撮影システム。画像処理・保存が容易。
眼科機器
眼底カメラ、光干渉断層計(OCT)等の眼科診断機器。
体外診断システム及び試薬
血液・尿などを分析する診断装置とそれに用いる試薬。
ヘルスケアITソリューション
医療情報システム、画像管理システムなどITを活用した医療支援。

03イメージング準主力

デジタルカメラ(レンズ交換式・コンパクト)、交換レンズ、コンパクトフォトプリンター、ネットワークカメラ、ビデオ管理ソフトウェア、映像解析ソフトウェア、デジタルビデオカメラ、デジタルシネマカメラ、放送機器を開発・生産・販売。民生から業務用までカバー。

主な製品・サービス7
レンズ交換式デジタルカメラ
レンズ交換可能なデジタルカメラ。EOSシリーズが代表的。一眼レフとミラーレスをラインアップ。
交換レンズ
デジタルカメラ用の交換レンズ。EF/EF-S/RFマウントなど豊富な品揃え。
コンパクトデジタルカメラ
小型軽量のデジタルカメラ。PowerShotシリーズなど。
ネットワークカメラ
IPネットワーク経由で映像を伝送する監視カメラ。Axisブランドで展開。
デジタルビデオカメラ
民生用ビデオカメラ。4K対応など高画質化が進む。
デジタルシネマカメラ
映画・テレビ番組制作向けの業務用カメラ。Cinema EOSシリーズ。
放送機器
放送局向け業務用カメラ・レンズなど。

04インダストリアル準主力

半導体露光装置、FPD露光装置、有機ELディスプレイ製造装置、真空薄膜形成装置、ダイボンダーを開発・生産・販売。半導体・フラットパネルディスプレイ・電子部品実装向け。キヤノンマシナリー、キヤノンアネルバ、キヤノントッキ、キヤノンセミコンダクターエクィップメントが生産。

主な製品・サービス5
半導体露光装置
半導体製造工程で回路パターンをウェハ上に転写する装置。ナノインプリント方式も含む。
FPD露光装置
フラットパネルディスプレイ製造用の露光装置。大型ガラス基板に対応。
有機ELディスプレイ製造装置
有機ELパネルの製造装置。蒸着・封止など。
真空薄膜形成装置
真空環境下で薄膜を形成する装置。スパッタリング・CVDなど。
ダイボンダー
半導体チップを基板に実装する装置。高精度な位置決めが特徴。

05その他及び全社副次

ハンディターミナル、ドキュメントスキャナーなどの製品を開発・生産・販売。また、全社共通の管理業務等を担う。

主な製品・サービス2
ハンディターミナル
携帯型データ収集端末。バーコード読み取りや在庫管理に使用。
ドキュメントスキャナー
書類を高速スキャンする業務用スキャナー。

製品と技術

imageRUNNER シリーズと大判プリンター:プリンティングの主力製品

プリンティングセグメントの中心はオフィス向け複合機である。imageRUNNER シリーズはコピー、プリント、スキャン、ファクスを一体化し、高速・高画質な電子写真技術を搭載する。2025年下期には新シリーズimageFORCEの主力機が投入された。レーザープリンターはモノクロ・カラーともにラインアップが揃い、欧州や中国で市場縮小が続くが、大容量インクタンクモデルのインクジェットプリンターは販売台数を伸ばしている。業務用ではデジタル連帳プリンター(連続用紙)とデジタルカットシートプリンター(単票紙)が商業印刷やトランザクション帳票向けに供給される。大判プリンターはA1サイズ以上の設計図やポスター出力に対応する。

EOS R システムとRF レンズ:イメージングの中核

イメージングセグメントの顔はレンズ交換式デジタルカメラである。EOS シリーズは一眼レフとミラーレスを擁し、2020年代はミラーレスのEOS R システムに軸足を移している。RFマウント用の交換レンズは超広角から超望遠まで豊富に揃え、動画撮影需要にも対応する。コンパクトデジタルカメラはPowerShot シリーズが継続するが、市場は縮小傾向にある。業務用ではデジタルシネマカメラ(Cinema EOS)や放送用レンズも手掛ける。ネットワークカメラは2008年に買収したAxis Communications のブランドで展開し、ビデオ管理ソフトウェアと合わせて監視カメラ市場で存在感を示す。

Aquilion CT と Vantage MRI:メディカル機器のラインアップ

メディカルセグメントはキヤノンメディカルシステムズが中核となり、画像診断機器を幅広く提供する。CT 装置のAquilion シリーズは高速撮影と低被曝を特徴とし、256列や320列の多列検出器モデルが主力である。MRI 装置はVantage シリーズで、超高磁場(3テスラ)機を含む。超音波診断装置はAplio シリーズ、X線診断装置はデジタルラジオグラフィシステムをラインアップする。眼科機器では光干渉断層計(OCT)や眼底カメラを提供。また、体外診断システムと試薬はキヤノンメディカルダイアグノスティックスが手掛ける。ヘルスケアIT ソリューションとして画像管理システム(PACS)や電子カルテも含まれる。

ナノインプリントとFPD 露光装置:インダストリアルの技術

インダストリアルセグメントは半導体とフラットパネルディスプレイ向けの製造装置を主力とする。半導体露光装置では、従来の光学式に加えてナノインプリント方式を開発し、微細化技術の多様化に対応する。FPD 露光装置は大型ガラス基板向けで、ITパネルやスマートフォン向け高機能パネルの製造に使用される。有機EL ディスプレイ製造装置は蒸着や封止工程を担い、キヤノントッキが生産する。真空薄膜形成装置(スパッタリング・CVD)はキヤノンアネルバが手掛ける。ダイボンダーは半導体チップの高精度実装に用いられ、キヤノンセミコンダクターエクィップメントが供給する。これらの装置はAI向け半導体需要やパネル大型化投資に支えられている。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

電気機器のなかでの位置

精密機器の世界的リーダー、多角化で安定成長

キヤノンは精密機器業界の世界的リーダーであり、売上高は4兆円超と圧倒的な規模を誇る。同業他社ではイビデンがプリント基板で独自の地位を築くが、当社はカメラやプリンタ、半導体露光装置など幅広い事業を展開し、多角化によるリスク分散を図っている。オフィス向け複合機やカメラの需要は安定しており、医療機器やセキュリティといった新規分野の開拓も進めている。営業利益率は公表されていないが、収益性は業界内で高い水準にあると見られる。ただし、成熟市場での競争が激しく、技術革新と新市場開拓への対応が求められる。

強み

  • 「キヤノン」ブランドは世界的に認知度が高く、幅広い製品で信頼を得ている。
  • カメラ、プリンタ、半導体露光装置など多事業で収益を分散し、経営の安定性を高めている。
  • 光学技術や画像処理技術などの中核技術で世界トップクラスの競争力を持つ。
  • 海外売上比率が高く、世界各地で販売・生産拠点を構築している。

課題

  • 主要事業のカメラやプリンタ市場は成熟し、成長が鈍化している。
  • アジア勢など安価な競合が増え、シェア維持に苦戦する場面がある。
  • 新規分野の成長がまだ限定的で、収益への貢献度が低い。

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

半導体製造装置の時価総額近傍。太字がキヤノン

時価総額で並べると、掲載10社のなかで5番目にあたる。

#企業時価総額PER
18035東京エレクトロン25.0兆円42.4倍
26857アドバンテスト23.8兆円62.9倍
37011三菱重工業12.6兆円53.4倍
46301小松製作所6.9兆円17.9倍
57751キヤノン6.2兆円11.8倍
66146ディスコ6.0兆円44.3倍
76920レーザーテック3.1兆円37.5倍
86361荏原製作所2.0兆円25.4倍
96525KOKUSAI ELECTRIC2.0兆円64.9倍
105334日本特殊陶業1.6兆円14.0倍

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は独自の業界分類(半導体製造装置)に従っています。

会社の歴史

沿革 43件

精機光学研究所から株式会社へ:1933年~1937年の創業期

キヤノンの起源は1933年11月、東京麻布六本木に設立された「精機光学研究所」である。高級小型カメラの研究を目的としたこの研究所は、1937年8月に資本金100万円で「精機光学工業株式会社」として法人化された。本社は東京目黒に置かれ、直ちにカメラの製造販売を開始した。社名の「キヤノン」は観音菩薩に由来し、1947年9月に「キヤノンカメラ株式会社」へと商号変更した。1951年11月には東京都大田区下丸子に本社・工場を集結し、現在の本社所在地となる。この時期にカメラ技術の基礎を固め、後の光学・電子機器メーカーへの道を開いた。

カメラから事務機へ:1964年の電子卓上計算機投入

1964年10月、キヤノンは電子式卓上計算機を発売し、本格的に事務機分野に進出した。これはカメラ専業からの脱却を意味する重要な転換点であった。1968年2月にはキヤノン事務機販売株式会社を設立し、販売網を整備。同年4月には自社開発のNPシステム(普通紙複写機技術)を発表し、PPC分野に参入した。これによりオフィス機器市場での基盤を築き、後のプリンティング事業の礎となる。同時期、1969年3月には商号を「キヤノン株式会社」に変更し、総合光学機器メーカーとしてのアイデンティティを確立した。

レーザープリンターとバブルジェット:1975年~1981年の技術革新

1975年5月、キヤノンはレーザープリンターの開発に成功した。これは電子写真技術を応用したもので、後の高速・高画質プリントの基盤となった。1981年10月にはバブルジェット記録方式の開発に成功し、インクジェットプリンター分野に革新をもたらした。これらの技術は1980年代以降、オフィス複合機や家庭用プリンターとして製品化され、キヤノンの収益を支える柱に成長する。バブルジェット方式は独自の熱エネルギーを利用した記録方式で、低コスト・高信頼性を実現した。この時期の研究開発投資が、後のプリンティング事業の競争力を決定づけた。

グローバル生産・販売網の拡大:1980年代~2000年代

キヤノンは1980年代から海外生産と販売拠点の拡大を加速した。1982年1月にオランダにCanon Europa N.V.、1985年11月に米国バージニア州にCanon Virginia, Inc.を設立。1988年12月にはマレーシアにCanon Opto、1990年8月にはタイにCanon Hi-Techを設立し、アジアでの生産を本格化した。1997年3月には中国にCanon (China) Co.,Ltd.を設立し、2001年4月にはベトナムにCanon Vietnamを設立した。これらの拠点はカメラ、プリンター、複合機の生産を担い、コスト競争力と現地市場への適応力を高めた。2000年9月にはニューヨーク証券取引所に上場(2023年3月廃止)するなど、国際的な資金調達も進めた。

事業ポートフォリオ転換:医療機器と半導体装置への本格参入

2000年代以降、キヤノンは成熟したプリンティング市場への依存を減らすため、医療機器と半導体製造装置への投資を強化した。2010年代にはキヤノンメディカルシステムズを中核にCT、MRI、超音波診断装置の製品ラインを拡充。半導体露光装置ではナノインプリント方式を開発し、FPD露光装置では大型ガラス基板対応を進めた。2024年にはメディカル事業革新委員会を立ち上げ、収益性改善に向けた構造改革を開始。2026年にはキヤノンメディカルシステムズの当社統合を予定する。これらの動きは、2025年までの中期経計画「フェーズⅥ」で掲げた「生産性向上と新事業創出によるポートフォリオ転換」の実践である。

2025年の過去最高売上と構造改革の推進

2025年12月期、キヤノンは売上高4兆6,247億円と2期連続で過去最高を記録した。しかし、プリンティングは減収、メディカルはのれん減損損失(前期)からの回復途上にあり、収益構造の転換は道半ばである。2024年から始めた3つの構造改革(販売・生産・メディカル事業)は、2026年開始のフェーズⅦで加速される。販売改革では米国に続き欧州の組織最適化、生産改革では海外拠点集約と自動化、メディカル事業では子会社統合と赤字事業整理を進める。同時に宇宙関連ビジネスやAIソリューションなど新規分野への投資も計画する。キヤノンは今後、成熟分野の効率化と成長分野の拡大を両立させる経営を迫られている。

年表43件を開く

1930年代

  • 1933年11月創業東京麻布六本木に高級小型カメラの研究を目的とする精機光学研究所として発足。
  • 1937年8月創業東京目黒に精機光学工業株式会社として資本金100万円で創立。カメラ製造販売開始。

1940年代

  • 1947年9月商号変更キヤノンカメラ株式会社と商号変更。
  • 1949年5月上場東京証券取引所に上場。

1950年代

  • 1951年11月東京都大田区下丸子に本社・工場を集結。
  • 1952年12月創業(株)目黒精機製作所(現キヤノンプレシジョン(株))を設立。
  • 1954年5月創業(株)秩父英工舎(現キヤノン電子(株))を設立。
  • 1955年10月ニューヨーク支店開設。
  • 1957年9月スイスに欧州総代理店としてCanon Europe S.A.開設。

1960年代

  • 1961年8月三栄産業(株)(現キヤノン化成(株))に出資。
  • 1964年10月電子式卓上計算機を発売、本格的に事務機分野に進出。
  • 1966年4月創業米国にCanon U.S.A.,Inc.を設立。
  • 1968年2月創業キヤノン事務機販売(株)を設立。
  • 1968年4月NPシステムを開発、普通紙複写機(PPC)分野に進出。
  • 1969年3月商号変更キヤノン株式会社と商号変更。

1970年代

  • 1970年3月半導体製造装置を発表。
  • 1970年6月創業台湾佳能股份有限公司を設立。
  • 1971年11月M&Aキヤノンカメラ販売(株)、キヤノン事務機サービス(株)をキヤノン事務機販売(株)へ合併、キヤノン販売(株)(現キヤノンマーケティングジャパン(株))と商号変更。
  • 1972年7月Physotec GmbH(現Canon Giessen GmbH)に出資。
  • 1972年8月第一精機工業(株)(現キヤノンファインテックニスカ(株))に出資。
  • 1975年5月レーザープリンターの開発に成功。
  • 1978年8月創業オーストラリアにCanon Australia Pty.Ltd.を設立。
  • 1979年10月創業シンガポールにCanon Singapore Pte.Ltd.を設立。
  • 1979年12月コピア(株)(現キヤノンファインテックニスカ(株))に出資。

1980年代

  • 1980年5月創業キヤノン販売(株)(現キヤノンマーケティングジャパン(株))とコピア(株)の共同出資によりコピア販売(株)(現キヤノンシステムアンドサポート(株))を設立。
  • 1981年10月バブルジェット記録方式の開発に成功。
  • 1982年1月創業オランダにCanon Europa N.V.を設立。
  • 1982年2月創業大分キヤノン(株)を設立。
  • 1983年8月創業フランスにCanon Bretagne S.A.(現Canon Bretagne S.A.S.)を設立。
  • 1984年1月創業キヤノン・コンポーネンツ(株)を設立。
  • 1985年7月キヤノン販売(株)(現キヤノンマーケティングジャパン(株))が日本タイプライター(株)(現キヤノンセミコンダクターエクィップメント(株))に出資。
  • 1985年11月創業米国にCanon Virginia,Inc.を設立。
  • 1988年9月創業長浜キヤノン(株)を設立。
  • 1988年12月創業マレーシアにCanon Opto(Malaysia)Sdn.Bhd.を設立。
  • 1989年9月創業中華人民共和国に佳能大連事務機有限公司を設立。

1990年代

  • 1990年8月創業タイにCanon Hi-Tech(Thailand)Ltd.を設立。
  • 1997年3月創業中華人民共和国にCanon(China)Co.,Ltd.を設立。
  • 1998年1月創業大分キヤノンマテリアル(株)を設立。

2000年代

  • 2000年9月上場ニューヨーク証券取引所に上場(2023年3月 上場廃止)。
  • 2000年11月M&Aキヤノン化成(株)を完全子会社化。
  • 2001年1月創業イギリスにCanon Europe Ltd.を設立。
  • 2001年4月創業ベトナムにCanon Vietnam Co.,Ltd.を設立。
  • 2001年9月創業中華人民共和国に佳能(蘇州)有限公司を設立。

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2025/12期の経営方針より

会社は5つの方針を掲げている。そのうち5項目には、達成する数字が明記されている。

会社が掲げている数値目標
  • 売上高2028年まで5兆円
  • 営業利益率2028年まで12.0%
  • 株主資本利益率(ROE)2028年まで12.0%
  • 売上高2030年まで5兆6,000億円
  • 営業利益率2030年まで15.0%

有価証券報告書の原文に書かれた目標だけを載せています。達成度の評価や推計は加えていません。

  1. 01

    3つの構造改革の推進

    販売改革では米国・欧州での組織・販売体制見直し、新興国市場でのシェア拡大を進める。生産改革では高付加価値製品への絞り込み、海外拠点集約、ロボット活用による強靭な生産体制構築。メディカル事業改革ではキヤノンメディカルシステムズ統合、赤字事業整理、オペレーション見直しでコスト削減を加速。

  2. 02

    成長領域へのポートフォリオ転換

    市場成長性の高いメディカルとインダストリアルを強化し、各グループでも成長領域へ軸足をシフト。宇宙ビジネスへの本格参入やAIプラットフォームを活用した新たなビジネスソリューション創出を進め、新たな成長と企業価値向上を目指す。

  3. 03

    プリンティンググループの強化

    電子写真・インクジェット技術の強みを活かし製品プラットフォーム強化で市場シェア向上。商業・産業印刷分野でラインアップ拡充、ハイデルベルグ社とのOEM供給で販路拡大。AI活用のスマートサービスシステムで新サービス創出。

  4. 04

    メディカルグループの競争力強化

    マルチポジションCTやフォトンカウンティングCT投入で製品性能向上と新たな臨床価値創出。AI画像診断支援やワークフロー効率化ソリューション拡充、体外診断事業強化、再生医療技術研究開発。海外販売力強化のためCanon Healthcare USA設立、トレーニングセンター開設。

  5. 05

    AI・ソフトウェア活用とデータ価値化

    各製品の現場データをAIで分析し、顧客課題解決ソリューションを提供。ハードウェア強みを活かしソフトウェア・サービス売上拡大で収益性向上。AIプラットフォーム構築で散在データ・ノウハウを知的資産化し新ソリューション提供。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 10期分

グループ全体で165,547人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は882万円で、9期前と比べて+15.9%平均年齢は44.3歳、平均勤続年数は18.9年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数
2016年12月197,673
2017年12月197,776
2018年12月195,056
2019年12月76144.219.5187,041
2020年12月74544.419.7181,897
2021年12月76044.920.1184,034
2022年12月80843.818.8180,775
2023年12月83244.119.0169,151
2024年12月86644.219.0170,340
2025年12月88244.318.9165,547

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

多様性の開示2025年12月期・提出会社(単体)
女性管理職比率4.6%
縦線は目安の30%
男性育休取得率86.3%
縦線は目安の85%
女性の賃金(男性=100)76.1%
100なら男女で差がない状態

拠点とグループ

設備と関係会社

関係会社56(国内 24 / 海外 32、うち連結子会社 2) を有報から抽出しています。

主要な設備 (帳簿価額 上位10)
宇都宮事業所 — 栃木県宇都宮市1,077億円
イメージング、インダストリアル
本社 — 東京都大田区869億円
プリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアル、その他及び全社
川崎事業所 — 神奈川県川崎市幸区609億円
プリンティング、イメージング、その他及び全社
平塚事業所 — 神奈川県平塚市578億円
その他及び全社
プリンティング、イメージング、インダストリアル、その他及び本社 — Canon U.S.A.,Inc. (New York,U.S.A.)525億円
本社(東京都港区) — キヤノンマーケティングジャパン(株) (東京都港区)342億円
プリンティング、イメージング、インダストリアル、その他及び全社
プリンティング — Canon Production Printing Netherlands B.V. (Venlo,The Netherlands)325億円
取手事業所 — 茨城県取手市292億円
プリンティング
大分事業所(大分県大分市) — 大分キヤノン(株) (大分県国東市)268億円
同上
矢向事業所 — 神奈川県川崎市幸区260億円
プリンティング
ほか32件の開示あり
主な関係会社
  • 国内
    キヤノンプレシジョン(株)
    青森県弘前市
    議決権100.0%
  • 国内
    キヤノントッキ(株)
    新潟県見附市
    議決権100.0%
  • 国内
    福島キヤノン(株)
    福島県福島市
    議決権100.0%
  • 国内
    キヤノン電子管デバイス(株)
    栃木県大田原市
    議決権100.0%
  • 国内
    キヤノン・コンポーネンツ(株)
    埼玉県児玉郡 上里町
    議決権100.0%
  • 国内
    キヤノンセミコンダクターエクィップメント(株)
    茨城県稲敷郡 阿見町
    議決権100.0%
  • 国内
    キヤノン化成(株)
    茨城県つくば市
    議決権100.0%
  • 国内
    キヤノン電子(株)
    埼玉県秩父市
    議決権55.1%
  • 国内
    キヤノンファインテックニスカ(株)
    埼玉県三郷市
    議決権100.0%
  • 国内
    キヤノンメディカルダイアグノスティックス(株)
    東京都中央区
    議決権100.0%
  • 国内
    キヤノンアネルバ(株)
    神奈川県川崎市 麻生区
    議決権100.0%
  • 国内
    長浜キヤノン(株)
    滋賀県長浜市
    議決権100.0%
残りのグループ会社44社を開く
  • キヤノンマシナリー(株)滋賀県草津市100%
  • 大分キヤノンマテリアル(株)大分県大分市100%
  • 長崎キヤノン(株)長崎県東彼杵郡 波佐見町100%
  • 宮崎キヤノン(株)宮崎県児湯郡 高鍋町100%
  • キヤノンシステムアンドサポート(株)東京都港区100%
  • キヤノンITソリューションズ(株)東京都港区100%
  • キヤノンメディカルファイナンス(株)東京都中央区100%
  • Canon Virginia,Inc.Virginia, U.S.A.100%
  • Canon Canada Inc.Ontario, Canada100%
  • Canon Financial Services,Inc.New Jersey, U.S.A.100%
  • Quality Electrodynamics, LLCOhio, U.S.A.100%
  • Canon Bretagne S.A.S.Liffre, France100%
  • Canon Production Printing Netherlands B.V.Venlo, The Netherlands100%
  • Canon Production Printing Germany GmbH & Co.KGPoing, Germany100%
  • Axis ABLund, Sweden100%
  • Axis Communications ABLund, Sweden100%
  • Canon Europe Ltd.Uxbridge, U.K.100%
  • Canon Ru LLCMoscow, Russia100%
  • Canon(UK)Ltd.Uxbridge, U.K.100%
  • Canon Deutschland GmbHKrefeld, F.R.Germany100%
  • Canon(Schweiz)AGWallisellen, Switzerland100%
  • Canon Nederland N.V.Den Bosch, The Netherlands100%
  • Canon France S.A.S.Paris, France100%
  • Canon Middle East FZ-LLCDubai, United Arab Emirates100%
  • Canon Italia S.p.A.Milano, Italy100%
  • Canon Medical Systems Europe B.V.Amstelveen, The Netherlands100%
  • Milestone Systems A/SBrondby, Denmark100%
  • Canon Research Centre France S.A.S.Rennes, France100%
  • 佳能大連事務機有限公司中華人民共和国遼寧省100%
  • 佳能(蘇州)有限公司中華人民共和国江蘇省100%
  • 台湾佳能股份有限公司台湾 台中市100%
  • Canon Semiconductor Equipment Taiwan,Inc.台湾 新竹市100%
  • Canon Hi-Tech (Thailand) Ltd.Phra Nakhon Sri Ayutthaya, Thailand100%
  • Canon Prachinburi (Thailand) Ltd.Prachinburi, Thailand100%
  • Canon Business Machines (Philippines),Inc.Batangas, Philippines100%
  • Canon Opto (Malaysia)Sdn.Bhd.Selangor, Malaysia100%
  • Canon Machinery(Malaysia)Sdn.Bhd.Selangor, Malaysia100%
  • Canon(China)Co.,Ltd.中華人民共和国 北京市100%
  • Canon Hongkong Co.,Ltd.Kowloon, Hong Kong100%
  • Canon India Pvt.Ltd.Gurgaon, India100%
  • Canon Australia Pty.Ltd.Macquarie Park, Australia100%
  • 連結子会社 その他 259社
  • Canon Korea Inc.Seoul, Korea50%
  • 持分法適用関連会社 その他 7社
公共調達・補助金 (gBizINFO)
  • 調達
    経済安全保障重要技術育成プログラム/有事に備えた止血製剤製造技術の開発・実証汎用性の高い人工血小板の開発
    国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 · 2024-11-08
    9.8億円
  • 調達
    高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発AIエッジコンピューティングの産業応用加速のための技術開発万能高位合成と新型汎用データフロー計算機構
    国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 · 2022-10-04
    3億円

出典: gBizINFO (経済産業省)

業績のいま

有価証券報告書・決算短信より

2025年12月期の売上高は4.6兆円税引前利益4,821億円前期と比べると増収増益で、売上が+2.5%、利益が+60.1%。

売上高
+2.5%
4.6兆円
税引前利益
+60.1%
4,821億円
純利益
+107.6%
3,321億円
利益率
10.4%
前期比 +3.7%pt

会社が出している今期の予想2026年12月期

項目会社予想前期実績
売上高4.8兆円4.6兆円
営業利益4,650億円
純利益3,400億円3,321億円
1株あたり配当¥160¥160

会社が決算短信で公表した予想です。証券会社の予想ではありません。 短信の原本

四半期の推移

10期分

直近は2026年2Qで、売上は2.3兆円。前年の2025年2Qと比べると、売上は+3.5%。

対象期間売上高兆円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2023年1Q0.97564
2023年2Q1.02654
2023年3Q1.03621
2023年4Q1.16806
2024年1Q0.99599
2024年2Q1.17899
2024年4Q2.35102
2025年2Q2.201,559
2025年4Q2.431,762
2026年2Q2.271,712

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。

業績の推移

有価証券報告書 14期分

2012年12月期からの14期で、売上は3.5兆円から4.6兆円へ1.3倍に増えた。税引前利益率は9.8%から10.4%になった。売上は5期連続で増加。

決算期売上高兆円税引前利益億円税引前利益率%純利益億円
2012年12月3.483,4269.82,246
2013年12月3.733,4769.32,305
2014年12月3.733,83210.32,548
2015年12月3.803,4749.12,202
2016年12月3.402,4467.21,503
2017年12月4.083,5458.72,421
2018年12月3.953,6249.22,524
2019年12月3.591,9555.41,250
2020年12月3.161,3034.1833
2021年12月3.513,0278.62,147
2022年12月4.033,5248.72,440
2023年12月4.183,9089.32,645
2024年12月4.513,0126.71,600
2025年12月4.624,82110.43,321

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。この会社の連結損益計算書には営業利益の段がないため、税引前利益を利益として並べています。

利益の構造

2025年12月期

売上高4.6兆円のうち、税引前利益として残るのは4,821億円10.4%。営業外の損益と税金を反映した純利益は3,321億円、売上の7.2%にあたる。税引前利益率は業種中央値6.9%を上回る水準。

売上高を100としたときの内訳
  • 売上原価作る・仕入れるのにかかったお金88.2%4.1兆円
  • 販売費及び一般管理費売る・管理するのにかかったお金7.9%3,665億円
  • 税引前利益費用を引いたあとに残った本業の利益10.4%4,821億円

有価証券報告書の損益計算書から、当期の金額をそのまま割り振っています。売上原価と販管費は単体ベースの数値です。

粗利率
11.8%
売上から原価を引いて残る割合
税引前利益率業種比+3.6pt
10.4%
本業の利益として残る割合
純利益率業種比+1.3pt
7.2%
税金まで払って最後に残る割合
ROE業種比+1.7pt
9.7%
株主のお金がどれだけ利益を生んだか
ROA
5.4%
資産全体がどれだけ利益を生んだか

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 14期分

2025年12月期は営業CFが4,759億円、投資CFが−2,374億円で、差し引きのフリーCFは2,385億円この組み合わせは成熟・還元型にあたる。本業で稼ぎ、投資に回し、それでも余る現金を借金返済や株主還元に充てている。最も健全とされる型期末の手元現金は5,860億円で、売上の1.5ヶ月分にあたる

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2012年12月3,841−2,127−3,1971,7146,667
2013年12月5,076−2,502−2,2222,5747,889
2014年12月5,839−2,693−3,0093,1468,446
2015年12月4,747−4,536−2,1022116,336
2016年12月5,003−8,3713,557−3,3686,302
2017年12月5,906−1,650−3,4054,2567,218
2018年12月3,653−1,956−3,5481,6975,206
2019年12月3,585−2,286−2,3261,2994,128
2020年12月3,338−1,554−1,8341,7844,077
2021年12月4,510−2,073−2,6742,4374,014
2022年12月2,626−1,808−1,4688183,621
2023年12月4,512−2,754−1,5671,7584,013
2024年12月6,068−2,973−2,2603,0955,016
2025年12月4,759−2,374−1,7922,3855,860

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 14期分

2025年12月期の総資産は6.1兆円。このうち返さなくてよい自己資本が3.5兆円で、自己資本比率は56.9%(業種中央値61.0%より薄い)

決算期総資産兆円自己資本兆円負債兆円自己資本比率%
2012年12月3.962.601.3665.7
2013年12月4.242.911.3368.6
2014年12月4.462.981.4866.8
2015年12月4.432.971.4667.0
2016年12月5.142.782.3754.0
2017年12月5.202.862.3455.1
2018年12月4.902.822.0857.5
2019年12月4.772.692.0956.3
2020年12月4.632.582.0555.7
2021年12月4.752.871.8860.5
2022年12月5.103.111.9861.1
2023年12月5.423.352.0661.9
2024年12月5.773.381.3158.6
2025年12月6.133.491.4556.9

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2025年12月期の内訳単体ベース
現金及び預金
205億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
2.9兆円
過去の利益の積み上がり
負債合計
1.4兆円
いつか返す必要があるお金

業界内での比較

電気機器 224社との比較

同じ電気機器の企業と並べると、いちばん上に来るのは配当利回り224社中52位あたり、逆に低いのは自己資本比率224社中139位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
9.7%/中央値 8.0%
P25 4.2%P75 12.1%
営業利益率売上のうち本業の利益として残る割合
/中央値 6.9%
P25 3.5%P75 11.6%
自己資本比率総資産のうち返済のいらないお金の割合
56.9%/中央値 61.0%
P25 48.2%P75 76.0%
売上成長率前期からの売上の伸び
2.5%/中央値 4.1%
P25 -0.2%P75 9.4%
配当利回り上位株価に対して1年で受け取る配当の割合
3.4%/中央値 2.4%
P25 1.6%P75 3.3%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月2日の終値

直近の終値は¥4,679で、1年前と比べて+11.0%過去52週の値幅のなかでは66%の位置にある。

¥4,679-1.5%1ヶ月+6.0%1年+11.0%時価総額6.2兆円
過去52週の値幅
安値¥3,987高値¥5,033

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標
PER (実績)11.8倍
PER (会社予想)11.7倍
PBR1.14倍
配当利回り3.42%

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

直近1ヶ月で+1.41%上昇し、7月27日に4750円まで買われた後、21日に4593円で推移している。25日移動平均線(4533.6円)を上回っており、75日線(4310.33円)も超えている。52週高値5033円からは-8.7%、52週安値3987円からは+15.2%の水準。出来高は7月27日に749万株、28日に855万株と急増したが、21日は367万株。RSIは61.41でやや過熱気味。200日線(4393.56円)を上回っており、中期的な上昇トレンドは継続。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

AIの評価

AI評価

株価水準の解釈です。売買の推奨ではありません

現在の株価水準を割安と判定しています(スコア 78/100)

PER11.61倍は業界平均30.85倍を大幅に下回り、PBR1.12倍も平均2.64倍を大きく下回る。配当利回り3.48%は平均2.29%を上回り、ROE9.7%は平均的。予想PER11.5倍と安定。直近の純利益は2024/12に減益となるが2025/12に増益見込み。配当性向54.3%と中程度で増配余地あり。各指標で割安感が強く、収益回復も見込まれる。ただし、ROEは10%未満で成長性は限定的。「割安だが成長性は限定的」の様相。

指標この会社業種平均
PER (実績)11.8倍30.8倍
PER (予想)11.7倍
PBR1.14倍2.58倍
ROE9.7%5.8%

業種平均は同じ東証33業種に属する銘柄の単純平均です。銘柄数が少ない業種では平均が振れます。

AI評価判定とスコアは公開データをもとにした解釈で、将来の株価を示すものではありません。算出の考え方は編集方針に記載しています。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

事務機市場の成熟とカメラのスマホ代替で構造的な需要減が続く中、半導体露光装置や医療機器など新分野での成長がどこまで収益を下支えするかが最大の争点。強気派は露光装置の拡販と他社の撤退でシェア拡大チャンスとみるが、弱気派は主要市場の停滞や研究開発費の高止まりによる収益性の低下を懸念。25/12期の増益見通しの達成と中期的な成長戦略が焦点。

プラスに働く材料7
  • 露光装置の成長

    半導体需要回復で装置販売が伸び収益を牽引

  • 堅固な財務体質

    自己資本比率が高く研究開発投資を継続可能

  • 増収増益の見通し

    25/12期に増収増益を計画し利益拡大期待

  • 純利益が3,321億円へ倍増通年影響

    純利益は1,600億円→3,321億円と約2.1倍。EPSが大幅拡大

  • 売上高4兆6,247億円で最高通年影響

    売上高は45,098億円→46,247億円と増加。主要分野が堅調

  • PER11.7倍と割安感継続影響

    PERは11.7倍、PBR1.13倍。業績安定なら買い戻し余地

  • 配当利回り3.45%が下支え通年影響

    配当利回り3.45%は高く、株価下落時に投資家を引きつける

マイナスに働く材料7
  • 事務機市場の縮小

    紙需要の減少で複写機・プリンターが低成長

  • カメラの構造減

    スマホのカメラ性能向上で需要が長期減少

  • 新規事業の競争

    露光装置でニコンや海外勢と競争しシェア獲得に時間

  • 前期に純利益が39.5%減少不定期影響

    2024/12期の純利益は2,645億円→1,600億円と激減。再発リスクあり

  • 売上高成長率は2.5%に低迷通年影響

    売上高は前期比2.5%増にとどまり、成熟市場の成長鈍化

  • ROE9.7%は改善余地乏しい継続影響

    ROE9.7%はPBR1.13倍に相当し、効率改善がなければ評価拡大は限定的

  • 株価上昇率8.6%と相対的に低迷継続影響

    年初来の値上がりは8.6%どまり。投資家の関心が低く需給は停滞

次の決算で確かめる点
半導体露光装置売上高
成長戦略の中核となる分野の進捗を判断
事務機の売上高
主力事業の需給動向とコスト効率を確認
営業利益率
カメラ・事務機低迷下の収益性の維持を見る

配当

株主還元

直近の年間配当は1株あたり160で、前期から+3.2%いまの株価に対する利回りは3.42%。増配か配当維持が5年続いている。

年間配当
¥160
1株あたり
配当利回り
3.42%
いまの株価に対して
配当性向
54.3%
利益のうち配当に回した割合
連続増配等
5年
増配か維持が続いた年数
決算期1株あたり配当前期比%配当性向%
2016年12月150123.1
2017年12月1606.776.8
2018年12月1600.082.7
2019年12月1600.0188.8
2020年12月80−50.0195.3
2021年12月10025.045.9
2022年12月12020.063.4
2023年12月14016.729.2
2024年12月15510.731.5
2025年12月1603.254.3

過去の配当は株式分割にあわせて調整した金額です。配当性向は有価証券報告書に記載された各期の値で、利益のうち配当に回した割合を示します。

次の配当スケジュール
  • 権利付き最終日
  • 権利確定日
  • 支払開始日
  • 今期の会社予想年間予想¥160

株主

有価証券報告書より

2025年12月期末の株主数は延べ326,086人。区分でいちばん多いのは個人・その他51.4%。グループ会社や銀行などの安定株主が26.7%を占め、残る73.3%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2020年12月%2021年12月%2022年12月%2023年12月%2024年12月%2025年12月%
個人・その他48.145.446.647.046.151.4
自己株式21.621.623.925.929.234.1
金融機関27.128.427.826.727.024.5
外国法人17.118.717.717.819.518.0
証券会社4.34.24.75.44.43.9
事業法人3.43.33.13.12.92.1
外国人個人0.00.00.00.00.00.0

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01日本マスタートラスト信託銀行(株)(信託口)11.59
02(株)日本カストディ銀行(信託口)4.05
03(株)みずほ銀行[常任代理人] (株)日本カストディ銀行1.69
04モックスレイ・アンド・カンパニー・エルエルシー(注)1[常任代理人] (株)三菱UFJ銀行0.98
05SMBC日興証券(株)0.96
06ジェーピー モルガン チェース バンク 385781(注)2[常任代理人] (株)みずほ銀行0.93
07ステート ストリート バンク アンド トラスト カンパニー 505001(注)2[常任代理人] (株)みずほ銀行0.91
08第一生命保険(株)(注)3[常任代理人] (株)日本カストディ銀行0.91
09JPモルガン証券(株)0.90
10キヤノングループ社員持株会0.80

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

大量保有報告の動き
5%超の保有者の提出ベース 直近1
  • 2026-06-05
    ブラックロック・ジャパン株式会社
    新規の大量保有報告
    1.37%
    -0.34pt

提出があった時点の記録です。その後5%を割った保有者が一覧に残ることがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 14期分

1株利益は14期で+92%、1株純資産は14期で+76%。直近期のROEは9.7%で、日本株の目安とされる8%を上回る。

決算期EPSBPSROE%PER配当性向%
2012年12月1912,2548.717.595.8
2013年12月2012,5608.416.687.3
2014年12月2292,7288.716.893.9
2015年12月2022,7167.418.277.3
2016年12月1382,5425.223.9123.1
2017年12月2232,6528.618.876.8
2018年12月2342,6128.912.882.7
2019年12月1172,5244.525.6188.8
2020年12月792,4633.224.9195.3
2021年12月2052,7487.913.645.9
2022年12月2373,0668.112.163.4
2023年12月2643,3958.213.729.2
2024年12月1663,5814.831.231.5
2025年12月3673,9759.712.654.3

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安
ROE自己資本利益率
株主のお金でどれだけ稼いだか。日本株では8%が一つの目安
PER期末実績
株価が1年分の利益の何倍か。低いほど割安とは限らず、期待の低さのこともある
配当性向利益からの還元率
利益のうち配当に回した割合。高すぎる場合は無理をしている可能性もある

経営陣

58名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は58名。2025/12期の役員報酬は総額1,915百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約33倍にあたる。

氏名役職年齢保有株数
御手洗冨士夫代表取締役会長兼社長 CEO90153,144
田中稔三代表取締役副社長 CFO 渉外本部長 サステナビリティ推進 本部長 コーポレートガバナンス 推進室長8525,810
本間利夫代表取締役副社長 CTO プリンティング グループ管掌7783,052
小川一登取締役副社長 グローバル販売戦略推進 本部長687,500
武石洋明専務取締役 インダストリアル グループ管掌 キヤノントッキ株式会社 取締役会長兼CEO6210,600
浅田稔専務取締役 経理本部長 PSI適正化プロジェクト チーフ6411,579
川村雄介取締役723,100
池上政幸取締役752,000
鈴木正規取締役714,500
伊藤明子取締役641,600
岡山知弘常勤監査役661,700
森川剛志常勤監査役592,600
残りの役員46名を開く
氏名役職年齢保有株数
田中豊監査役775,200
樫本浩一監査役656,200
重富由香監査役56
有馬充美取締役64
成瀬郁子常勤監査役63
朝倉香織監査役58
小澤秀樹副社長執行役員
瀧口登志夫副社長執行役員
戸倉剛副社長執行役員
Seymour Liebman専務執行役員
宮本厳恭専務執行役員
飯島克己専務執行役員
竹谷隆専務執行役員
美野川久裕専務執行役員
増子律夫専務執行役員
長島和彦常務執行役員
岩渕洋一常務執行役員
橋本玉己常務執行役員
新庄克彦常務執行役員
大森正樹常務執行役員
市川武史常務執行役員
真竹秀樹常務執行役員
遠藤才二郎常務執行役員
小林伊三夫常務執行役員
小清水義之常務執行役員
石井俊幸常務執行役員
木下正英常務執行役員
甲谷英人常務執行役員
澤俊詩常務執行役員
神戸誠常務執行役員
藤森寛朋常務執行役員
松田利之執行役員
大川原裕人執行役員
櫻井克仁執行役員
三浦毅人執行役員
三浦聖也執行役員
吉田真一執行役員
立崎寿執行役員
飯田浩平執行役員
井上康文執行役員
加藤学執行役員
須藤由紀執行役員
吉田智執行役員
吉川一勝執行役員
葛山栄亮執行役員
友井一博執行役員

役員報酬の内訳2025/12

役員の区分人数固定報酬百万円業績連動百万円ストックオプション百万円合計百万円1人あたり百万円
取締役(社内)69465811991,726288
社外取締役4969624
社外監査役4505013
監査役3434314

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

ニュース

AI解説

今日の重要ニュースより

「今日の重要ニュース」でキヤノンを取り上げた解説を、新しい順に並べている。

有価証券報告書

有価証券報告書 2025/12期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容2,249字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3【事業の内容】 当社は米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準(以下「米国会計基準」という。)によって連結財務諸表を作成しており、関係会社についても当該会計基準の定義に基づいて開示しております。第2「事業の状況」及び第3「設備の状況」においても同様であります。また、セグメント情報につきましては、米国財務会計基準審議会会計基準書(以下「基準書」という。)280「セグメント報告」に基づき作成しております。 当社グループ(2025年12月31日現在、当社及びその連結子会社321社、持分法適用関連会社8社で構成)は、プリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアル、その他及び全社の分野において、開発、生産から販売、サービスにわたる事業活動を営んでおります。 なお、当社は、第125期より、報告セグメントごとの業績をより適切に管理するため、インダストリアルビジネスユニットにおけるグループ間取引の業績管理方法を変更しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 注23 セグメント情報」をご参照ください。 開発については主として当社において、生産については当社及び事業内容別に編成された国内外の生産関係会社により行っております。また、一部の生産関係会社は各事業セグメントに部品を供給しております。 販売及びサービス活動は、主として国内においてはキヤノンマーケティングジャパン(株)によって、また海外においてはCanon U.S.A.,Inc.(米国)、Canon Europe Ltd.(英国)、Canon Europa N.V.(オランダ)、Canon (UK) Ltd.(英国)、Canon France S.A.S.(フランス)、Canon Deutschland GmbH(ドイツ)、Canon(China)Co.,Ltd.(中国)、Canon Singapore Pte.Ltd.(シンガポール)等、地域ごとに設立された販売関係会社により行っております。メディカルビジネスユニットの製品において、キヤノンメディカルシステムズ(株)は直販もしくは地域ごとに設立された販売関係会社及び代理店により販売活動を行っております。 また、キヤノン電子(株)、キヤノン・コンポーネンツ(株)等の生産子会社は、当社に対して部品及び製品の供給を行っているほか、国内外において独自に販売活動を行っております。 セグメントごとの製品及び生産を担当する主な会社は以下のとおりであります。 セグメントの名称   主要製品   主な生産会社 プリンティング   デジタル連帳プリンター、デジタルカットシートプリンター、大判プリンター、オフィス向け複合機、ドキュメントソリューション、レーザー複合機、レーザープリンター、インクジェットプリンター、イメージスキャナー、電卓   当社 キヤノン電子(株) キヤノンファインテックニスカ(株) キヤノン化成(株) キヤノンプレシジョン(株) 長浜キヤノン(株) 大分キヤノンマテリアル(株) 福島キヤノン(株) キヤノン・コンポーネンツ(株)  Canon Virginia, Inc.(米国) Canon Production Printing Netherlands B.V.(オランダ) 佳能大連事務機有限公司(中国) 佳能(蘇州)有限公司(中国) Canon Vietnam Co.,Ltd.(ベトナム) Canon Prachinburi (Thailand) Ltd.(タイ) Canon Business Machines (Philippines),Inc.(フィリピン) Canon Hi-Tech(Thailand)Ltd.(タイ) メディカル   CT装置、超音波診断装置、X線診断装置、MRI装置、デジタルラジオグラフィ、眼科機器、体外診断システム及び試薬、ヘルスケアITソリューション   キヤノンメディカルシステムズ(株) キヤノン電子管デバイス(株) キヤノンメディカルダイアグノスティックス(株) Quality Electrodynamics, LLC(米国) イメージング   レンズ交換式デジタルカメラ、交換レンズ、コンパクトデジタルカメラ、コンパクトフォトプリンター、MRシステム、ネットワークカメラ、ビデオ管理ソフトウェア、映像解析ソフトウェア、デジタルビデオカメラ、デジタルシネマカメラ、放送機器   当社 大分キヤノン(株) 長崎キヤノン(株) 宮崎キヤノン(株)  台湾佳能股份有限公司(台湾) Canon Opto(Malaysia)Sdn.Bhd.(マレーシア)Axis Communications AB(スウェーデン) インダストリアル   半導体露光装置、FPD露光装置、有機ELディスプレイ製造装置、真空薄膜形成装置、ダイボンダー   当社 キヤノンマシナリー(株) キヤノンアネルバ(株) キヤノントッキ(株) キヤノンセミコンダクターエクィップメント(株) Canon Machinery(Malaysia)Sdn.Bhd.(マレーシア) その他及び全社   ハンディターミナル、ドキュメントスキャナー   当社 キヤノン電子(株) キヤノン・コンポーネンツ(株) キヤノンプレシジョン(株) 事業の系統図は次のとおりであります。
経営方針・対処すべき課題5,273字を開く

経営陣が考える方向性と課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営理念 当社グループは、企業理念として、世界中のステークホルダーの皆さまとともに歩む「共生」を掲げています。「共生」とは、文化、習慣、言語、民族などの違いを問わず、すべての人類が末永く共に生き、共に働き、幸せに暮らしていける社会をめざすものです。この「共生」の理念のもと、当社グループは、世界の繁栄と人類の幸福のため、企業の成長と発展を目指し企業活動を進めています。 (2)中長期経営計画:グローバル優良企業グループ構想フェーズⅦ 当社グループでは、「共生」の理念のもと、永遠に技術で貢献し続け、世界各地で親しまれ、尊敬される企業を目指し、1996年に5か年計画『グローバル優良企業グループ構想』をスタートしました。 2025年を最終年度とする5か年計画「グローバル優良企業グループ構想フェーズⅥ」(以下、フェーズⅥ)においては、「生産性向上と新事業創出によるポートフォリオの転換を促進する」を基本方針に、プリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアルの4つの産業別グループの強化を進めてきました。各事業領域における着実なマーケットシェア拡大も奏功し、売上高は2025年の目標であった4兆5,000億円を1年前倒しで達成することができました。ただし、当社グループの収益基盤は引き続きプリンティングおよびカメラを主とするイメージングが大きな比重を占めており、これらは概ね成熟した市場環境にあるため、事業ポートフォリオ転換のさらなる促進が必要だと認識しています。また、人件費の上昇、物価高、関税等の外部環境の影響もあり、フェーズⅥで掲げた営業利益率12%の目標は未達となりました。このため、成長領域における事業拡大を通じたさらなるポートフォリオの転換と、構造改革による収益性の改善は、当社グループにとって重要な経営課題となっています。 こうした課題認識のもと、2026年を初年度とする新5か年計画「グローバル優良企業グループ構想フェーズⅦ」(以下、フェーズⅦ)では、「生産性革新を断行し、新たなる成長を実現する」を基本方針として掲げ、2024年から開始した販売改革・生産改革・メディカル事業革新の3つの構造改革を着実に推進します。そのうえで、市場成長性の高いメディカルとインダストリアルの強化を進めるとともに、それぞれの産業別グループにおいても成長領域への軸足のシフトを図ります。さらには、宇宙関連ビジネスへの本格参入やAIプラットフォームを活用した新たなビジネスソリューションの創出を進めていきます。これらの取り組みにより、新たなる成長の実現と企業価値のさらなる向上を目指します。 3つの構造改革(販売、生産、メディカル事業) 販売の構造改革は、2024年から米国でスタートし、組織構造の最適化により既に一定の成果が出ております。フェーズⅦでは、2025年から取り組んでいる欧州での組織および直販と間販両方の販売体制の見直しを進め、2028年までの完了を目指します。一方で、経済成長が見込まれる地域におけるビジネスを拡大すべく、アフリカ、中東、インド、インドネシア、中南米などの新興国市場でのシェア拡大にも取り組みます。 生産の構造改革においては、自社生産を付加価値の高い製品に絞り、稼働率の低い海外拠点の集約や外部生産委託の活用を進め、資産の圧縮とコストの低減を目指します。ロボットを活用した生産や工場内物流の自動化も進め、競争力のある強靭な生産体制の構築を目指します。 メディカル事業の構造改革では、2024年に立ち上げたメディカル事業革新委員会主導のもと、当社が持つノウハウを投入しながら開発、生産、調達、物流などをはじめとしたあらゆるプロセスで改革を進めてきました。その結果、2025年にはその成果もあり、収益性の改善に大きく寄与しています。2026年には関係会社のキヤノンメディカルシステムズを当社に統合し、外部支出費用の削減や赤字事業・子会社の整理、オペレーションの見直しを加速させることで、更なるコスト削減を目指します。 各グループにおける、フェーズⅦの主な戦略は以下の通りです。 プリンティンググループ プリンティング市場を概観すると、近年の社会情勢の変化によりペーパーレス化は今後も進行すると考えられる一方で、特定のバーティカル市場や商業・産業印刷市場においては、今後も堅調なプリント需要が見込まれるなど、有望な市場も存在します。 プリンティンググループでは、電子写真技術とインクジェット技術の両方を有するメリットを生かして製品プラットフォームを強化することで市場シェアを向上させ、収益基盤の拡大を図ります。また、機器稼働データや自社に蓄積したナレッジをベースとしたスマートサービスシステムを、AIを活用して強化することで、安全・安心・簡単・快適なプリント環境の構築、さらには新たなサービスの創出に取り組みます。 アナログからデジタルへのシフトにより今後も成長が見込まれるカタログ印刷等の商業印刷分野と、ラベル印刷やパッケージ印刷等の産業印刷分野では、商品ラインアップの拡充にグループを挙げて取り組み、新たな収益源となる市場の開拓を進めます。また、グループ会社のキヤノンプロダクションプリンティングでは、2024年からオフセット印刷機のリーディングカンパニーであるハイデルベルグ社と業務提携を開始しております。アナログ印刷分野で強固な顧客基盤をもつ同社へのOEM供給を通じて、大きな印刷需要が見込まれる市場での販路拡大を図ります。 メディカルグループ 高齢化の進展に伴い医療ニーズの一層の拡大が見込まれる一方で、医療費抑制の必要性も高まっており、医療機関にはコスト削減や経営効率化が求められています。 メディカルグループでは、こうした社会変化に対応し、臨床価値および経済的価値の高い機器・サービスの提供を目指しています。今後は画像診断機器を中心に、マルチポジションCTやフォトンカウンティングCT等の投入により、製品性能の飛躍的な向上や新たな臨床価値の創出を通じて、事業競争力を高めていきます。加えて、AI技術を活用した画像診断支援やワークフロー効率化などに繋がるソリューションの拡充を図ります。体外診断事業の領域では、自動分析装置と体外診断薬の一体化開発によるシナジーを活かし事業強化を進めます。さらには将来の事業機会を見据え、iPS細胞の製造装置など再生医療に関する技術の研究開発に取り組みます。これらを通じて、医療の高度化や効率化を支える技術基盤を強化し、新たな臨床価値の創出を図るとともに、さまざまな治療・診断情報を融合して患者個々人に最適な医療ソリューションを提供するプレシジョン・メディシンの実現に貢献していきます。 また、米国でのアップストリームマーケティングの強化を担うCanon Healthcare USAの設立、および日米欧におけるトレーニングセンターCanon Medical Academyの開設を通じて、海外を含む販売力を強化していきます。 イメージンググループ 近年、カメラ・レンズ市場においては、静止画だけでなく動画も一台の機器で撮影するスタイルが普及しています。また、プロフェッショナル市場では撮影効率向上や機材のダウンサイジングが加速する一方、アマチュア市場ではスマートフォンからカメラへの移行やエントリー機からハイエンド機へのステップアップが進行しています。こうした動きにより広がる多様な撮影ニーズに応えるため、イメージンググループでは、これまで築いてきたカメラと交換レンズの豊富な商品ラインアップをさらに強化していきます。ラインアップ強化と同時に、当社グループがもつ最新の光学技術や画像処理技術に加え、AI技術も積極的に活用して製品性能の向上を進め、提供価値の最大化を図ります。 ネットワークカメラ市場は、セキュリティに対する需要の増加を背景に拡大を続けています。当社グループのネットワークカメラ事業では、世界有数のメーカーであるアクシス社や映像管理ソフトウェアを手掛けるマイルストーンシステムズ社といった優れた技術を持つグループ会社を擁しており、今後も両社がもつ多様な製品とソリューションのポートフォリオを充実させることで、高度化が進む安心・安全へのニーズに応えます。さらに、映像DXや業務効率化といったセキュリティの枠を超えたニーズにも対応し、事業領域の拡大を図ります。 インダストリアルグループ 地政学リスクの増大による交易環境の悪化やインフレが継続していますが、半導体市場は浮き沈みを繰り返しつつもAI需要が成長を牽引し、各国で大規模投資計画が進行しています。また、ディスプレイ市場は需給バランスの調整局面から回復に向かっており、今後は車載、IT、大型TVを中心とした有機ELディスプレイへの投資が見込まれています。 半導体製造装置においては、i線、KrF露光装置の精度と生産性を高めてシェアを高めるとともにArF露光装置への参入で事業を拡大します。ナノインプリントリソグラフィは、戦略顧客やパートナーとの協業を通じてエコシステムを構築し、パターニング装置および同技術の応用で実用化したウェーハー平坦化装置の両輪で主力事業に育成します。成膜装置は、新プラットフォームAdastraの製品展開を軌道に乗せ、市場競争力と経営効率を高めつつ拡大する需要に応えていきます。 急拡大するパッケージ基板市場に対しては、i線露光装置の圧倒的な市場シェアを盤石にするとともに、基板加工装置の新製品投入によりニーズを着実に捉えていきます。 ディスプレイ製造装置においては、高機能化、高品位化、大画面化の顧客ニーズを捉えた新製品を提供するとともに、アップグレードビジネスにより収益力を高めていきます。 また、オーガニックな成長投資に加え、市場成長と新しいプロセス技術の進展を見据えて、M&Aも活用しながら現行の製造装置以外へ事業領域拡大を目指します。 今後注力していく取組み 当社グループでは、各事業領域において製品設計にAIを活用するとともに、AIにより機能や性能を高めた製品を多数発売しています。今後はAIにより価値創出を加速するプラットフォームを構築し、散在するデータや現場のノウハウを知的資産としてデジタル化して一元管理し、新たなソリューションの提供を目指します。当社グループの製品であるプリンティング機器や医療機器、ネットワークカメラ、産業機器などは、顧客の“現場”において相当数稼働しており、それぞれの領域から得られるデータは膨大なものになります。このデータをAIを使って分析し、顧客の課題解決につながるソリューションを提供します。ハードウェアに強みを持つ当社グループの特長を生かしつつ、ソフトウェア、サービスの売上を拡大することで収益性を高めていきます。 加えて、当社グループでは、中長期の新たな成長領域として宇宙ビジネスに注力します。宇宙ビジネス市場はワールドワイドで高い成長が見込まれ、日本においても国を挙げた産業振興が進められている分野です。当社グループにおいては、関係会社であるキヤノン電子が既に参入していますが、今後はグループを挙げて宇宙ビジネスの強化に取り組みます。具体的には、これまでキヤノン電子が積み上げてきた人工衛星の知見に加えて、当社グループが持つ光学、センシング、機器制御、画像処理等の技術と精密加工におけるものづくりのノウハウを統合することにより、高い品質とコスト競争力を両立したビジネスとして成長を加速させます。人工衛星やそのコンポーネント、さらには撮影データを活用したソリューションビジネスまで視野を広げることで、事業規模の拡大を図ります。 (3)中期経営計画連結業績目標 フェーズⅦにおいては、市場シェア拡大と新領域のビジネス拡大による売上高の成長と生産性の徹底的な改善による収益性の向上を効率的な資本配分により実現することを目指し、売上高、営業利益率、株主資本利益率(ROE)の3つの指標を業績目標としております。 2025年 実績   2028年 目標   2030年 目標   選定理由 売上高   4兆6,247億円   5兆円   5兆6,000億円   成長性を測る指標として選定 営業利益率   9.8%   12.0%   15.0%   収益性を測る指標として選定 株主資本利益率(ROE)   9.7%   12.0%   15.0%   資本効率性を測る指標として選定
事業等のリスク21,735字を開く

会社が自認するリスクの一覧

3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) リスクマネジメント体制 当社は、取締役会決議に基づき、キヤノングループのリスクマネジメント体制の整備に関する諸施策を立案する「リスクマネジメント委員会」を設置しております。同委員会は、財務報告の信頼性確保のための体制整備を担当する財務リスク分科会、企業倫理や主要法令の遵守体制の整備を担当するコンプライアンス分科会、市場競争環境の変化その他の事業運営上のリスクの管理体制の整備を担当する事業リスク分科会の三分科会から構成されております。 法務部門、ロジスティクス部門、品質部門、人事部門、経理部門など、事業活動に伴う各種リスクを所管する当社の本社管理部門は、それぞれ関連する分科会に所属し、その所管分野について、各部門及び子会社のリスクマネジメント活動を統制・支援しております。 当社各部門及び子会社は、上記体制の下、自律的にリスクマネジメント体制の整備・運用を行い、その活動結果をリスクマネジメント委員会に毎年報告しております。 リスクマネジメント委員会は、各分科会並びに各部門及び子会社からの報告を受け、リスクマネジメント体制の整備・運用状況を評価し、その結果をCEO及び取締役会に報告する役割を担っております。 リスクマネジメント体制 リスクマネジメントプロセス (2) 事業等のリスク 当社グループ(当社及びその連結子会社。以下、当該項目では「当社」という。)の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがあります。当社では、グループ経営上のリスクについて、取締役会が定める「リスクマネジメント基本規程」に基づき設置されるリスクマネジメント委員会において、毎年、当社の経営に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクの特定を行っており、以下のリスクも同委員会で審議のうえ特定されたものです。ただし、以下のリスクは当社に関するすべてのリスクを網羅したものではなく、対応策もこれらのリスクを完全に排除するものではありません。なお、下記の事項は有価証券報告書提出日(2026年3月25日)現在において判断した記載となっております。 リスクマップ (注)リスクマップ上の各リスク番号は、当社で各リスクを「①事業特有の重要性が高いリスク」、「②事業横断的な重要性が高いリスク」、「③一般的なリスク」に分類の上、これらの順に設定しております。 ①事業特有の重要性が高いリスク ①-1.プリント市場における環境の変化に関連するリスク 影響度:大   発生可能性:中 ●リスク  多機能・高性能なスマートデバイスやアプリケーションの普及によるデジタル化、環境への配慮に伴うペーパーレス化の浸透、リモートワークの普及による働き方の変化などにより、プリント市場全体としては、将来的にプリント機会が減少していくことが予想されます。  このような市場環境の変化に対応した製品やサービス、ソリューションを当社が十分に提供できない場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ☆対応・機会  当社は、家庭用インクジェットプリンターからオフィス向け複合機、大判プリンターや高速商業印刷までに至る幅広い製品群とクラウドサービスを活かして、市場環境の変化に対しても、お客様がプリントを必要とする様々な場所や機会において最適な選択肢を提供できるよう取り組んでおります。  オフィスにおけるプリント機会の変化は、柔軟な働き方の広がりにより自宅など別の場所へプリント機会がシフトすることなどに起因しておりますが、当社はインクジェットプリンターや小型レーザープリンターを活用し、オフィス外でもセキュリティの高い業務印刷と管理機能を提供するサービスを開始し、新しい市場環境への適合を進めております。  ペーパーレス化の浸透についても、デジタルトランスフォーメーションを促進する高速スキャナーとしての機能も併せ持つオフィス向け複合機を、様々なドキュメントマネジメントサービスと連携させることにより、ソリューションの提供を行っていきます。  さらに、アナログ印刷からデジタル印刷への切り替えや多品種少量印刷のニーズの高まりにより中長期的な成長が見込まれる商業印刷・産業印刷の分野を、当社にとって成長期待の高い領域として新製品やサービスを投入し需要の取り込みを進めていきます。 ①-2.カメラ・ネットワークカメラ・映像解析技術のビジネスにおける競争に関連するリスク 影響度:大   発生可能性:中 ●リスク  カメラ市場は、スマートフォンなどのデジタルデバイスの撮影機能が高度化し、撮影行為に対する嗜好も多様化しているため、多様な撮影機器間での価格と性能の競争が生じています。こうした状況により、当社製品と競合製品(スマートフォンメーカーを含む)との機能差が縮小するおそれがあり、当社が競争上の優位性を維持できない場合には、当社の地位が相対的に低下し、結果として当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、ネットワークカメラ市場は、セキュリティや映像解析ソリューションに対するニーズの高まりにより、市場は拡大傾向にありますが、競争が激化する中で他社に対して優位性を維持できる製品やサービスが提供できない場合、当社の地位が相対的に低下し、結果として当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ☆対応・機会  当社は光学技術を中核とした差別化を推進するとともに、ディープラーニング等のAI技術を活用した静止画・動画の画質・機能向上に取り組んでいます。プロフェッショナルからエントリーユーザー向けまでの幅広い製品ラインアップの強化を図るとともに、高まる動画ニーズに対応するため、動画を軸とした製品展開も推進しています。加えて、スマートフォンネイティブ世代を中心としたクリエイティブな映像制作をサポートするため、コンパクトデジタルカメラを含む入門機の充実を図っています。また、撮影ワークフローの向上を目的に、ソフトウェア・サービスの拡充も進めています。さらに、ユーザーの表現の幅を広げるため、VR(Virtual Reality:仮想現実)映像撮影システムのラインアップおよび適用範囲の拡張にも取り組んでいます。  ネットワークカメラは、防犯や防災などのセキュリティ分野の成長はもちろんのこと、AIやクラウドといった技術との融合により、店舗での顧客行動の分析や工場での生産工程の効率化など、多岐にわたる分野で活用が進んでおります。当社は市場の変化をいち早く捉え、これまで培ってきた光学技術や映像処理・解析技術にAIを組み合わせ、クラウド・ネットワーク技術と融合させることで、既存事業の競争力をさらに強化するとともに、映像解析ソリューションを活用したDX市場での事業拡大を進めます。 ①-3.医療機器市場における認証・承認等の事業環境対応に関連するリスク 影響度:大   発生可能性:中 ●リスク  画像診断装置を主とする医療機関向け医療機器市場は、その製品の性質上、医師・技師等の医療従事者に対する営業活動を行っておりますが、各国・地域における営業活動に対しては種々の規制・行動基準が定められており、それらの把握及び遵守に努める必要があります。また、新技術・新製品の臨床効果の検証、さらに各国・地域の医療機器規制へ対応し認証・承認等を取得する必要があることから、製品構想、研究開発から製品販売までに時間を要します。今後の新技術・新製品の臨床効果を読みきれず、適時に製品を市場投入できずに競争力を維持できない場合、あるいは想定外の新規制により新規事業の大幅な軌道修正を余儀なくされるような場合には、投資に対して十分な収益が生み出されず、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。  さらに、昨今の地政学的リスクをはじめとする事業環境の不確実性に加え、米国通商政策によるコスト増、病院経営の悪化などの様々な事業環境の変化やがんや循環器疾病の早期発見や医療従事者の負担軽減、医療分野のサイバーセキュリティ対策など市場ニーズに即応できない場合には、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ☆対応・機会  医療業界特有の各国・地域の様々な法規制が厳格化される中において、取引先や協業会社と連携しながら、お客様のご要望や事業環境の変化を見極め、AI技術やキヤノンのコア技術を活用し、臨床価値、経済的価値の高い製品やサービスをタイムリーに提供してまいります。また、様々な要因によるコストアップ分を付加価値と合わせて適切に価格に転嫁し、利益の維持・拡大を図ります。更に、DXを活用した営業生産性向上や業務効率化も推進します。また、新興国を含む新規市場の開拓にあたっては技術流出や国産優遇のリスクのミニマム化を図ってまいります。  また、個別化医療や再生医療が注目される中で、医療の潮流への影響をいち早く捉え、より迅速に対策を講じてまいります。  医療の高度化に伴いデータ量が増大する中、初期投資やメンテナンス費用を削減できる医療クラウドプラットフォームの活用が不可欠となっている状況において、医療機関を中心とした情報セキュリティの強化を支援し、臨床的価値と安心・安全の両方を提供することでお客様との信頼関係を構築していきます。 ①-4.半導体・FPD業界における特有のビジネスサイクルに関連するリスク 影響度:大   発生可能性:中 ●リスク  半導体・FPD業界のビジネスサイクルには変動幅、時期、期間が予測しづらいという特徴があります。半導体デバイスやパネルが供給過剰となる時期には、当社の半導体露光装置、FPD露光装置や有機EL蒸着装置を含む製造設備への投資が大きく減少します。このようなビジネスサイクルを持つ環境の中で、当社は競争力を維持向上するために、研究開発へ多額の投資を継続していく必要があります。市況の下降局面では、売上減少や在庫増によるキャッシュ・フロー悪化の影響で、研究開発費などの発生した費用の全てもしくは一部を回収できない場合があり、当社のビジネス、経営成績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。市場の変化が当社の想定と異なり、顧客のニーズを満たせなかった場合、顧客のビジネスに悪影響を与え、結果的に顧客との信頼関係を損ねてしまう可能性があります。 ☆対応・機会  当社は、継続的な装置性能の向上と顧客ニーズへの対応力を強化することで、幅広い需要を取り込み、顧客や用途の多様化・販売地域バランスの向上に向けた製品開発を進めております。加えて、既に市場で稼働する装置に対しては、更なる装置性能向上や仕様の追加など、顧客ニーズに対応するサービスサポートを行っており、製品開発とアフターサービスの両輪で収益基盤の安定化を図っております。また当社では、市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、事前の情報収集と分析を重視し、定常的に実施しております。  半導体において、中長期的な市場の成長や当社製品のシェア拡大に向けて、新生産工場を建設いたしました。生産能力の向上に当たっては既存製造設備の活用やグループ内での柔軟な人員配置体制の構築を進めるなど、今後の市況変動の影響を最小限に抑える施策を講じております。 ①-5.販売に関連するリスク 影響度:大   発生可能性:低 ●リスク  当社において、HP Inc.とのビジネスは重要であり、OEMパートナーとして、長年にわたり強固な関係を構築しておりますが、HP Inc.が、政策、ビジネス、経営成績の変化により、当社との関係を制限または縮小する決定を為す場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。  また、当社と取引のあるその他の大手ビジネスパートナーとも良好な関係を構築しております。しかし、これらのパートナーが政策、ビジネス、経営成績の変化により、当社との関係を制限または縮小する決定を為す場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。  さらに、当社の想定を超える環境の変化が起こる場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ☆対応・機会  当社は、直接、間接販売のチャネルを地域ごとでバランスよく展開しております。特定パートナーの変化についても既存チャネルでの対応に加え、積極的な新規ビジネスパートナーの開拓を継続しております。  また、HP Inc.とのビジネスにおいては、多様化するワークスタイルやオフィス環境の変化に対応した競争力ある製品を提供し続けるとともに、良好かつ強固なパートナーシップを維持強化していきます。 ②事業横断的な重要性が高いリスク ②-1.サプライチェーンに関連するリスク 影響度:大   発生可能性:高 ●リスク  当社は部品や材料の購入から、製品の生産、販売までの一連の流れについて、最適なサプライチェーンの構築に努めております。しかし、当社は重要な部品や材料を外部の特定サプライヤーに依存しており、当社の製品で横断的に使用されている部品や材料に品質問題、あるいは供給不足や価格高騰が発生する場合、生産活動の中断や製造原価の上昇等を引き起す可能性があります。これに加えて、部品や材料の調達、製品の世界各国・地域へのスムーズな供給において、物流サービスが有効に機能する必要がありますが、コンピューター化されたロジスティクス・システムに何らかのトラブルが発生する場合、米中対立・ウクライナ紛争・中東情勢等の地政学的リスクや港湾労働者によるストライキ等の労使紛争により物流の混乱や供給停止が発生する場合、高額製品が輸送中の事故により損害を受け、保険で補償が不可能な場合、また、代替製品を顧客に納品できない場合、当社のサプライチェーンに悪影響を及ぼすとともに、販売機会の損失等により当社の経営成績に悪影響を及ぼし、顧客からの信用を失う可能性があります。さらに、企業の社会的責任として、サプライチェーンにおける人権の尊重及び保護や環境保全への取り組みが、国際的に求められているため、人権や環境に関連する法令違反や倫理違反などが当社のサプライチェーンで発生する場合、当社の社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性があります。 ☆対応・機会  当社は、最適な生産システムの構築と品質の向上に努めるとともに、グループ全体の物流を全世界的に運営、管理し、効率的な物流体制の構築及び物流コストの低減に努めるほか、問題発生時に迅速に対応できる体制の整備を図っております。最適生産システムに関しては、自動化、ロボット化技術等を用いた効率的な生産体制の構築やキーパーツの内製化を進め、外部依存度を管理し、製造原価の低減を図っております。さらに、新規サプライヤーや別部品、別材料の開拓等により、供給元の多元化を推進し、原材料の高騰と供給網の混乱に対する耐性を高めております。品質の向上に関しては、品質管理専門の組織を設置し、外部サプライヤーと一緒に品質向上活動を推進し、安定的な原材料、部品の調達に努めております。  これらに加えて、サプライチェーンにおける人権の尊重及び保護への取り組みとして、当社では人権方針を策定し、人権デュー・デリジェンスや救済メカニズムの整備にも取り組んでおります。当社は、当社が加盟するRBA(Responsible Business Alliance)の行動規範を採用した「キヤノンサプライヤー行動規範」を策定し、労働・安全衛生・環境・マネジメントシステム等に配慮した調達活動を推進しており、主要サプライヤーからRBA行動規範の遵守に関する同意書を取得しております。さらに、それらのサプライヤーにおける、児童労働・強制労働・過重労働の防止、労働安全衛生の確保、温室効果ガスの削減、原材料の削減、環境法規制遵守等の取り組みを促進すべく、RBAに承認されたキヤノン独自の調査票を用いた点検を毎年実施しております。 ②-2.自然災害・感染症に関連するリスク 影響度:大   発生可能性:高 ●リスク  当社の本社ビル、情報システムや研究開発の基幹設備は、東京近郊に集中しておりますが、一般的に日本は世界の他の地域と比較して地震の頻度が多いため、それに伴う被害も受けやすい地域であるといえます。また、研究開発、調達、生産、ロジスティクス、販売、サービスといった当社の施設や事務所は、世界中に点在しており、地震・気候変動による洪水や森林火災等の自然災害、テロ攻撃といった事象に伴うインフラの停止により混乱状態に陥る可能性があります。そのような要因は当社の営業活動に悪影響を与え、物的、人的な損害に関する費用を発生させ、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。  感染症の拡大により、世界経済・当社の事業活動が停滞する状況や取引先の事業活動や投資意欲の減退等が発生する場合、また、各国政府等の要請により当社の事業活動が制限される事態においては、当社のビジネス、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、当社関連市場において、リモートワークの進展により、オフィス機器のプリントボリュームが当社の想定ほど回復しない状況や、渡航制限により露光装置や産業機器の設置が当社の予想を下回る事態が発生する場合、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。  さらに、感染症の拡大は、世界各地のサプライチェーンや当社の生産活動に混乱をきたし、東南アジアなどに所在する当社の一部の工場で生産活動が停滞する可能性があります。加えて、日本及び海外で経済活動の制限が生じ、オフィスや販売店の閉鎖、海外渡航制限、国際貨物輸送の需給逼迫などが発生する場合、当社の販売活動が悪影響を受ける可能性があります。 ☆対応・機会  当社は、本社の各所管部門が中心となってリスクマネジメント活動を継続的に実施しております。具体的には、工場操業停止といった最悪の事態に備え、同類機種を複数の拠点で並行生産するというバックアップ体制を一部整えるほか、会社の営業停止時に迅速な復旧を実現するため、初動対応事項や関係部門の役割分担の確認、緊急時の連絡体制やガイドラインの整備、訓練等を行っております。さらに、研究開発、調達、生産、品質、ロジスティクス、販売、サービスに用いる基幹システムについては、情報システムのダウンに備えてバックアップ体制を整えております。  また、当社は、安定した事業活動維持のため、災害により出勤が不可能になる等の緊急事態におけるリモートワーク体制の確立を行うと共に、各拠点には、産業医や保健師を配置し、万が一の感染症拡大に対して適切な対応に努めております。  今後も自然災害や感染症の拡大等の状況を想定し、国内・海外における生産活動及び販売活動の体制再構築や強化に取り組んでおります。 ②-3.為替・金利変動に関連するリスク 影響度:大   発生可能性:高 ●リスク  当社は、国際的な事業活動により売上の重要な割合を稼得しており、国内外の金融当局の政策変更等に伴う急激な為替レートの変動が、外貨建売上など当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社製品の外貨建売上は、外貨に対する円高により悪影響を受ける一方で、円安は追い風となります。また、外貨建の取引から生じる当社の資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する為替換算調整勘定も変動する恐れがあります。加えて当社は、資産・負債の評価に影響を与える金利変動のリスクにもさらされております。 ☆対応・機会  急激な為替レートの変動に関しては、当社は当社現地法人を含め、定常的に短期為替予約の為替ヘッジ取引を実施しております。また、競争力の高い製品の投入により安定的な収益を維持すると共に、直近の為替水準を反映した価格で市場に投入するなどの対策を講じております。金利変動リスクに対しては、成長投資や将来的なM&Aなどを含む必要な資金需要を満たす一方、外部からの借入は最小限に留めることで金利変動影響を抑制し、強固な財務体質の維持に努めております。 ②-4.国際政治経済に関連するリスク 影響度:大   発生可能性:高 ●リスク  当社は生産及び販売活動の多くを日本国外で行っておりますが、海外における事業活動には主に政治、外交問題または不利な経済状況の発生と予期しない政策及び法制度、規制等の変更のリスクがあります。  主要な市場におけるインフレの長期化や金融引締めに伴う景気後退、ウクライナ・中東情勢や貿易摩擦の問題がさらに深刻化するなど、政治、外交問題または不利な経済状況が発生し、法人顧客の投資抑制や個人消費の低迷が生じる場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。特に米国の通商政策に変化があり、当社の売上において一定の割合を占める米国販売へ影響を与える場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。法人顧客の投資抑制は、主に当社のオフィス複合機、レーザープリンター、医療機器、露光装置、産業機器など法人顧客向け製品の需要を、また、個人消費の低迷は、カメラやインクジェットプリンターのような消費者向け製品の需要をそれぞれ減少させる可能性があります。この場合、当社製品の売上が低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。  加えて、世界の各国・地域では政治、行政や法制度整備に係る様々な問題やウクライナ・中東情勢に係る問題があり、当社が予期しない政策及び法制度、規制等の変更に直面するリスクがあります。 ☆対応・機会  政治、外交問題または不利な経済状況の発生については、当社は、当社現地法人と日常的な意思疎通を通じて収集した関連情報や定期的なビジネス概況ヒアリングによる関連情報を経営戦略、業績予想に反映しております。また、特定の市場または世界全体で需要の減少が見込まれる場合は、当社は商品の生産、供給体制に応じて生産調整を実施しております。  予期しない政策及び法制度、規制等の変更については、当社は特に国際的な環境規制や国際及び国内税制変更に係る対策を強化しております。また、公正競争、腐敗防止、個人情報保護、安全保障貿易管理、環境その他の法規制に関しては、各所管部門による統制の下、遵守を徹底しております。 ②-5.人材の確保に関連するリスク 影響度:中   発生可能性:高 ●リスク  当社の将来の経営成績は、有能な人材の継続的な会社への貢献に拠るところが大きいといえます。また、開発、生産、販売、管理といった当社の活動に関して有能な人材を採用・育成し、実力ある従業員の雇用の維持を図ることができるかどうかが、当社の将来の経営成績に影響すると考えております。一方、当社が属する先端技術産業での労働市場における人材獲得競争は、近年ますます激しさを増してきております。さらに、技術進歩が日進月歩で加速するため、製品の研究開発面で求められる能力を満たすまでに新しい従業員を育てることはますます重要になってきております。また当社の製造技術の重要課題の一つに技能の伝承があります。レンズ加工など、特殊技能については、短期間に習得できるものではありません。  有能な人材を採用・育成できず、また有能な人材の流出が生じた場合、開発や生産の遅れなどをもたらし、研究成果や技術が流出するほか、技能が適切に伝承されないリスクが発生します。 ☆対応・機会  当社では、戦略的な要員配置と従業員への積極的なキャリア形成支援により、適材適所を実現し、有能な人材の雇用の維持を図っております。  採用活動では、専門知識や本人の志向をもとに、配属先を入社前に確約するジョブマッチング型の採用を拡大し、各事業が求める人材を最適な部署へ配置しております。また、入社後3年が経過した従業員に対し、仕事や職場との適応状況を確認する面談を人事部門が行い、一人ひとりが安心して能力を発揮できる環境を整えております。  また、当社ではキャリアマッチング制度(社内公募制度)を充実させ、毎年多くの社員が自らの意思で新しい仕事にチャレンジしております。その中でも、従業員に研修の機会を提供し、自らの変身に挑戦できる「研修型キャリアマッチング制度」では、専門知識を身につける学び直しの機会を提供し、未経験の仕事にもチャレンジできる仕組みを構築することで、人生100年時代における自律的なキャリア形成を支援しております。さらに、当社が2018年に設立した「Canon Institute of Software Technology(CIST)」では、製品のソフトウエア開発を中心とした技術者のスキルアップから、新入社員の基礎教育や職種転換をめざす社員の教育まで、体系的かつ継続的な人材育成に取り組んでおり、技術人材の強化と同時に、技術人材への転身を支援しております。  人材育成においては、次世代リーダーの発掘・育成・任用を図る「LEADプログラム」をはじめ、研究開発・ものづくり・販売・管理などのプロフェッショナルを育成する研修プログラムや、トレーニー制度を体系的に実施しております。  当社の事業活動に欠かせない特殊技能においては、卓越した技能をたたえる「キヤノンの名匠認定・表彰」制度への取り組みを通じて、伝承を図っております。  また、急速に進歩する技術に対応すべく、優秀な技術者を発掘・任用し、支援する「高度技術者認定制度」を制定しました。  これらの取り組みに加え、仕事の成果を公平・公正に評価し、有能な人材に、より高度な役割を与え処遇するという好循環を実現することで、人材の流出防止を図っております。   (注)人材育成・多様性の考え方及び取り組みについては、第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」の(3)「人的資本」に記載しております。 ②-6.情報・製品セキュリティに関連するリスク 影響度:中   発生可能性:高 ●リスク  当社は、製造・研究開発・調達・生産・販売・会計などのビジネスプロセスに関する機密情報や、顧客やその他関係者に関する機密情報を電子データとして保有しております。当社はこれらの電子データを、第三者によって管理されているものも含め、様々なシステムやネットワークを介して利用しております。  これらの電子データに関し、ハッカーやコンピューターウイルスによるサイバー攻撃やインフラの障害、天災などによって、個人情報の漏洩、サービスの停止などが発生する可能性があります。特にサイバー攻撃はますます高度化、複雑化し、その攻撃対象は世界各地にわたっております。日本及び海外において事業活動を展開する当社の拠点が、情報技術の脆弱性を突かれ、攻撃を受けた場合、当社ネットワークへの不正アクセスやウェブサイト・オンラインサービスの停止などが発生する可能性があります。  また、当社の製品・サービスは、ネットワークを介してクラウドやスマートフォンと連携し、ますます利便性を高めています。電子データの活用や情報サービスの利用が進む中で、顧客に提供する製品・サービスにおいても個人情報や機密情報の漏洩などのセキュリティリスクは増大しており、インシデントが発生する可能性があります。  このような事態が起きた場合、重要な業務の中断や、顧客やその他関係者に関する個人情報・営業機密などの機密データの漏洩、製品の情報サービスなどへの悪影響のほか、損害賠償責任などが発生する可能性もあります。その結果、社会的信用失墜やブランド価値の低下、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ☆対応・機会  当社では保有する電子データを安全かつ厳密に管理するため、情報セキュリティならびに情報インフラの強化を図っております。  当社は、情報セキュリティ担当執行役員を情報セキュリティの意思決定者と位置づけ、情報通信システム本部が実務組織として、グループ全体の情報セキュリティマネジメントにおける責任を担っております。  また、情報セキュリティをグループ全体で同じレベル、同じ考え方で維持することを目的として、「グループ情報セキュリティポリシー」を策定し、全世界のグループ会社に適用しております。  サイバー攻撃などの情報セキュリティインシデントへの対処としては、専門チームCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置しており、外部からのサイバー攻撃への対策として、不審電子メールの遮断、社内ネットワークへの不正侵入監視、インターネットへの不正通信監視などの環境を構築し攻撃被害の拡大防止に努めるとともに、定期的にサイバー攻撃対応訓練を実施し対応体制の強化を図っております。また、外部に公開するウェブサイトに対しても日常的に脆弱性(セキュリティホール)の調査・対策を実施し、オンラインサービス停止リスクを低減しております。  従業員に対しても、業務に使用するソフトウエアの管理や情報の取り扱い及びサイバー攻撃に対する社員研修、標的型攻撃メール訓練などを全社で行い、意識の向上、リテラシーの向上に努めております。また、情報セキュリティ施策適用の徹底を図るため、毎年当社及びグループ会社に対する情報セキュリティ監査を実施し、情報セキュリティレベルの継続的な維持・向上に努めております。  また、当社は市場での製品セキュリティ問題へ対応するため、社内にPSIRT(Product Security Incident Response Team)を設置しております。PSIRTは、経済産業省の早期警戒パートナーシップの枠組みや外部団体と連携して、つねに脆弱性に関する市場動向に注意を払い、最新の情報を収集しています。また、当社の製品・サービスに関する脆弱性情報を世界中の研究者から受け付ける仕組みを構築すると共に、当社からお客さまへ情報を迅速に開示・掲載するための場所として、外部向けWebサイト(https://psirt.canon)を公開して、世界標準レベルの製品セキュリティ対応に取り組んでいます。   (注)サイバーセキュリティの考え方及び取り組みについては、第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」の(5)「サイバーセキュリティ」に記載しております。 ②-7.企業買収及び業務提携・戦略的投資に関連するリスク 影響度:大   発生可能性:低 ●リスク  当社は、事業拡大を目的として企業買収を実施しております。また、業務提携、合弁事業、戦略的投資といった様々な形態で、他社との関係を構築しております。これらの活動は、当社の成長のための施策として重要なものであります。しかし、景気動向の悪化や、対象会社もしくはパートナーの業績不振により、期待していた事業拡大を実現できない可能性があります。当社とその対象会社もしくはパートナーが互いに共通の目的を定義し、その目的達成に対して協力していくことが肝要ですが、協力体制の確立が困難となる可能性や、協力体制が確立されても、当社の事業とその対象会社もしくはパートナーが営む事業におけるシナジー効果やビジネスモデルなどが十分な成果を創出できない可能性、また業務統合に想定以上の時間を要する可能性もあります。  また、予測される将来キャッシュ・フローの低下により、当社が貸借対照表に計上しております企業買収に伴うのれん及びその他の無形固定資産が、減損の対象となる可能性もあります。さらに、有力な提携先との提携が解消になった場合、共同開発を前提とした事業計画に支障をきたし、投資に対する回収が遅れる可能性が生じたり、または回収可能性が低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ☆対応・機会  当社は、既存事業の成熟化に対応すべく、M&A戦略を強力に推進し、事業ポートフォリオの転換を進めております。社内で保有する技術や得意とするビジネスに親和性の高い領域を企業買収及び業務提携、戦略的投資の対象とし、中でも優良企業でかつ経営陣の優れた会社に絞り込んで投資を行っております。企業買収及び業務提携・戦略的投資は、当社取締役会決議やCEO決裁を要しますが、健全な経営判断を担保するため、事前審査のプロセスを強化しております。事業戦略との整合性及び経済合理性、収益性や成長性、リスク等の観点で投資計画の検証を行い、それらを本社管理部門がそれぞれの専門的な視点で事前審査を行います。決議や決裁された投資案件に関しては、CEOと本社管理部門が進捗をモニタリングすることにより、継続的に投資の管理が行われております。買収後は、当社のものづくりノウハウの共有や取引先の共有及びサプライチェーンのサポートを行い、生産効率の向上やコスト削減などのシナジー効果を発揮する取り組みを行っております。 ②-8.環境に関連するリスク 影響度:中   発生可能性:中 ●リスク  当社は、急激な気候変動、資源枯渇、有害化学物質による暴露、大気汚染、水質汚濁等、環境における様々なリスクの可能性を認識しております。また日本及び海外の環境に関する規制の適用を受けております。これらのリスクの顕在化及び規制の強化により環境に関する費用負担や損害賠償責任が生じる可能性があります。この場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。  また、当社は、現在所有しまたは操業している事業所、また以前に所有しまたは操業していた事業所に対する環境汚染の調査と浄化のための責任と義務を適用される法令に基づき負っております。もし当社が将来の訴訟あるいはその他の手続により損害賠償責任を負わなければならない場合、その費用は保険で賄うことができない可能性もあります。この場合当社に与える影響は大きくなる可能性があります。  加えて、こうしたリスクへの対応に想定以上にコストを要する事態が生じた場合には、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ☆対応・機会  当社はグループを挙げて地球温暖化ガスの排出削減、省エネ活動、省エネ製品開発等に取り組むと同時に、高度な資源循環をめざし、製品の小型・軽量化やリマニュファクチュアリング、消耗品のリサイクル、更には水資源の効率利用や廃棄物の再資源化等の環境保護対策を進めております。世界が脱炭素社会への移行を目指す中、製品ライフサイクル全体でCO2排出量を削減する製品に対する販売機会の拡大が期待されます。また、グリーン調達による有害化学物質の厳格な管理に加え、生産工程で使用する化学物質の削減、排出抑制等の環境活動も行っております。これらの活動は本社所管部門を中心に、ISO14001によるグループ共通の環境マネジメントシステムを運用する方法を通じて推進されており、日本及び海外の環境に関する規制を遵守するため、本社所管部門がグループ全体における対応を統制しております。   (注)気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のフレームワークに基づく開示情報は、第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」の(2)「気候変動」に記載しております。 ②-9.AI技術の開発・活用に関連するリスク 影響度:大   発生可能性:中 ●リスク  急速に発展するAI技術を当社の製品・サービス向けに開発・活用するにあたり、各国・地域で整備が進むAI関連の法規制を遵守する必要があります。仮に当該法規制に適合していないとの指摘を受けた場合、該当製品・サービスの販売差止めや罰則の対象となる可能性があります。 さらに、法規制に該当しない場合であっても、AIの倫理的側面への配慮が求められます。例えば、当社のAI搭載製品・サービスが、意図せず差別的な判断や誤情報の出力、予期せぬ動作を引き起こすことで、利用者や社会に悪影響を及ぼす場合、当社の社会的信頼やブランド価値が毀損され、損害賠償責任が発生する可能性があります。 また、生成AIの活用に関しては、生成されたコンテンツが第三者の著作権や商標権を意図せず侵害し、法的責任を問われる可能性があります。加えて、機密情報を外部の生成AIサービスに入力することにより、情報漏洩や不正アクセスにつながるリスクも存在します。 これらの事象が発生した場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ☆対応・機会  当社は、独自開発したAI技術を各事業領域の製品・サービスに搭載することで、製品競争力の向上を図っております。これまで、イメージング事業やメディカル事業を中心に、AI技術によって性能・機能を大幅に向上させた製品を展開してきましたが、AI技術の製品搭載をさらに強化し、プリンティング事業やインダストリアル事業を含む全事業グループへ拡大しております。加えて、各事業においてAI技術を活用したサービスを開発・提供することにより、顧客の業務プロセスの変革に貢献しております。また、社内業務においても生成AIを積極的に活用し、業務の革新・生産性向上に取り組んでおります。 その中で、AI関連の法規制および倫理的要請を遵守し、安全・安心なAI製品・サービスの提供を実現するため、AIリスクの評価・対応に関する枠組みを全社規則として策定しております。各国・地域の法規制に加え、倫理的観点も含めたAIリスクを網羅するため、独自のAIリスク評価シートを整備し、公平性、透明性、適正利用、安全性・堅牢性、プライバシー・セキュリティ等の評価項目を設定しております。このシートを用いて、製品開発プロセスの適切な段階(計画時、開発完了時等)においてAIリスクを評価し、必要な対策を講じた上で最終承認を得ることで、製品・サービスにおけるAIリスクの最小化を図っております。また、AIリスクに関する専門組織が設置され、品質部門や法務部門と連携して、キヤノングループ全体への展開を進めております。 生成AIの活用に関しては、全社横断組織にて利用ルールや教育プログラムを整備し、全従業員に対する研修を通じて、知的財産権および情報セキュリティに関する意識・リテラシーの向上に努めております。さらに、高度なセキュリティを備えたAIサービスを選定・導入することで、インフラ面のリスク低減にも取り組んでおります。これらの施策により、生成AIの活用における安全性を確保した上で、業務の生産性向上に取り組んでおります。 ③一般的なリスク ③-1.製品品質・製造物責任に関連するリスク 影響度:大   発生可能性:低 ●リスク  当社が提供する製品及びサービスに、品質問題や製造物責任問題が生じた場合、顧客や社会からの信頼が失墜し、ブランド価値が毀損され、販売に悪影響を及ぼす可能性があります。  特に、製品に重大な品質問題が発生した場合、問題への対応に多大な費用が掛かる可能性があります。これらによって、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ☆対応・機会  当社は、国際的な品質管理規格であるISO9001の要求事項にキヤノン独自の仕組みを加えた「品質マネジメントシステム」を構築しております。  キヤノンの各事業部門は、本社品質部門や世界中のグループ会社と連携しながら、品質マネジメントシステムをベースに、各国・地域の法規制にも対応したそれぞれの事業特性に最適な品質保証体制を構築し、徹底した品質管理を行っております。  あらゆる当社製品の品質に関しては、法令で定められた安全基準はもとより、顧客目線での安全性を更に考慮した当社独自の安全基準を設定しております。  また、開発設計から生産・出荷にいたるすべてのプロセスにおいて品質を確認し、品質基準を満たしている製品のみ市場へ出荷する仕組みを徹底することで、製品の品質問題発生によるリスクの最小化を目指しております。  万が一、品質問題が発生した場合、お客様の窓口である各国・地域の販売会社から各事業本部の品質保証部門に報告が入ります。同部門では、原因の究明や対策の検討を行うとともに、重大な品質問題については事業本部内の関連部門や本社品質部門、ならびに法務部門や広報部門などと適切な対応を協議し、CEOへ報告の上、承認のもと、速やかに対応を実施します。 ③-2.新製品への移行に関連するリスク 影響度:大   発生可能性:低 ●リスク  当社が参入している業界の特徴として、ハードウエア及びソフトウエアの性能面における急速な技術の進歩、頻繁な新製品の投入、製品ライフサイクルの短縮化、また製品価格を維持しながらの従来製品以上の性能改善等が挙げられます。  新製品や新サービスの導入に伴うリスクは多岐にわたります。開発または生産の遅延、導入期における品質問題、製造原価の変動、新製品への切り替えによる現行製品への販売影響、需要予測の不確実性と適正な在庫水準を維持することの難しさに加えて、当社の製品・サービスの基盤である情報システムやネットワーク技術において技術革新が成された場合の移行対応への遅れ等のリスクがあり、当社の収益に大きな影響を及ぼす可能性があります。  また、当社の収益は競合者の製品またはサービスの導入時期によっても影響を受けます。競合者が当社製品と類似した新製品を当社より先に投入する場合は特に影響を受ける可能性があり、この場合、今後の製品やサービスの需要に影響し、結果として経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ☆対応・機会  当社は市場のニーズに応えるイノベーティブで価格競争力のある新製品を投入するために多くの経営資源を投入しております。  当社は、上記のリスクに対応するため、業界をリードするコア製品を生み出す「コアコンピタンス技術」と、技術蓄積のベースとなる「基盤要素技術」、さらには成長の中で蓄えられてきたキヤノンブランドを支える技術・ノウハウであり、商品化技術のベースとなる「価値創造基盤技術」を多様に組み合わせた「コアコンピタンスマネジメント」を展開して事業の多角化を行うと共に、事業の競争力を高め、市場のニーズを汲み取った商品をスピーディーに市場に供給することに努めております。   (注)当社の研究開発活動については、第2 事業の状況 6「研究開発活動」に記載しております。 ③-3.有価証券に関連するリスク 影響度:中   発生可能性:中 ●リスク  当社の資産には、株式等の有価証券への投資も含まれております。金融市場におけるボラティリティ及び経済全般に対する不確実性により、株式及び債券市場の変動影響を受け、将来において当社が実施する投資額と現在のその投資額に対する公正価値との間に大きな乖離を生じる場合には、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ☆対応・機会  当社は、株価の変動や配当の受取りによって利益を受けることを目的とした株式を保有しておらず、主に中長期的成長を目的としたグループ外の企業との連携の一環として、株式を保有しております。   (注)株式の政策保有に関する方針や保有株式の合理性の検証について、第4 提出会社の状況 4「コーポレート・ガバナンスの状況等」 の(5)「株式の保有状況」に記載しております。 ③-4.コンプライアンス・法的行為に関連するリスク 影響度:中   発生可能性:中 ●リスク  当社は、多くの国・地域で事業活動を行うにあたり、各種法規制を遵守する必要があります。また、第三者から訴訟その他の法的行為を受ける可能性があります。  しかし、現在当社が当事者となっている、または今後当事者となる可能性のある訴訟及び法的手続の結果を予測することは困難です。例えば、当社が高いシェアを占める市場においては、独占禁止法関連の訴訟または調査を受ける可能性があります。当社にとって不利な結果が生じた場合や、訴訟や調査への対応に多大なコストが発生した場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。  さらに、コンプライアンス上の問題、例えば、社員の不祥事や組織的不正行為が発生した場合、当社の社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性があります。 ☆対応・機会  当社では、リスクが現実の問題として発現する可能性や、発生した場合の経営や事業への影響度合いなどを勘案して、当社が直面し得る独占禁止法違反、腐敗防止法違反、安全保障輸出規制違反などの重大なコンプライアンス違反リスクを特定しております。これらのリスクを低減するために、業務フローの整備、ルールの整備、関係従業員への法令教育、監査・点検の実施など遵法体制の整備を行っております。なお、近年、他企業で発覚が続く品質不正のリスクについては、全社横断的な防止活動を展開し、品質不正を起こさない風土の定着を図っています。  また、当社リスクマネジメント委員会「コンプライアンス分科会」では、「キヤノングループ行動規範」に基づく企業倫理をグループ内で徹底させております。  さらに、第三者からの訴訟その他の法的行為を受けたときに備え、社内に法務部門を設置し、外部弁護士等と連携して対応できるようにしております。 ③-5.知的財産に関連するリスク 影響度:中   発生可能性:中 ●リスク  頻繁な技術革新を伴う当社製品にとって、プロダクト・イノベーションは非常に重要であり、そのため、特許やその他の知的財産は、競争上重要なファクターとなっておりますが、競合他社が同様の技術を独自に開発したり、当社が出願した特許が認められなかったり、当社の知的財産の不正使用あるいは侵害を防ぐために講じる手段が成功しない等のリスクがあります。特に新興市場等において、知的財産法が、当社の知的財産を保全するには不十分である等のリスクに直面しております。  一方で、第三者の知的財産権に関して、第三者からの当社に対する侵害主張が正当であると裁定される場合、特定市場における製品の販売差止め、損害賠償の支払い、他社の権利を侵害しない技術の開発や他社技術についてのライセンス取得とそれに伴うロイヤリティの支払いを要求される可能性があります。  当社の知的財産権を有効せしめるため、または他社からの権利侵害の主張に対抗するため、当社は訴訟手続を取らざるを得ない可能性があり、その場合は費用が嵩み、手続に長い期間を費やす可能性があります。  また当社は、特許使用料受取または相手技術のライセンスを受けることと引き換えに、第三者に対して自社特許のライセンスを与えることもあります。そのようなライセンスの条件や更新時の条件変更によっては、当社のビジネスが影響を受ける可能性があります。  また当社は、ルールや評価システムを設定して、当社従業員の職務発明に対して適切な支払いを行っておりますが、その金額について将来争いが生じないという保証はありません。  更に、当社の商標権をはじめとする知的財産権を侵害する模倣品が流通し、模倣品の使用により顧客に事故、故障、品質不良などの被害が及ぶことで当社のブランド価値が毀損されるとともに、当社のビジネスに悪影響を及ぼす可能性があります。  上記の要因は全て、当社のビジネス、ブランド価値及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ☆対応・機会  当社は、知的財産活動の目的を事業展開の支援と明確に位置づけ、10年後、20年後の姿を描いて知的財産戦略を策定・実行しております。  当社の知的財産活動は、強い特許ポートフォリオを構築することで、競争優位性の確保と事業の自由度の確保をバランスよく両立させていることが特徴であり、事業のコア技術に関する特許などの取得はもちろんのこと、事業では競合しないが知財で競合するIT系企業などとの訴訟・交渉に備えて、例えば、AI技術やIoT技術、標準化技術などの特許取得にも力を入れております。このように外部環境や将来の事業を見据えて特許取得を行うとともに、保有する特許の入れ替えを行うことで、強い特許ポートフォリオを維持しております。  当社の知的財産戦略の基本方針として、当社はコアコンピタンス技術に関わる特許は、競争領域において事業を守る特許としてライセンスせずに競争優位性の確保に活用しております。また、通信、GUI(Graphical User Interface)などの汎用技術に関わる協調領域の特許は、クロスライセンスなどに利用することで、研究開発や事業の自由度を確保し、魅力的な製品やサービスの提供につなげております。そして、他者の知的財産を尊重する一方で、当社の知的財産の侵害に対しては毅然と対応をしております。また、他者が容易に到達できない検証困難な発明は、ノウハウとして秘匿し、守ることで他社の追随を許さず、競争優位を確保しております。  当社は上記の知的財産活動における基本的な考え方を実行しつつ、時代とともに戦術を変化させ、知的財産に関連するリスクに対応しております。   (注)当社の知的財産戦略については、第2 事業の状況 4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」 (2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の⑥「知的財産戦略」に記載しております。 ③-6.繰延税金資産の回収可能性及び国際的な二重課税に関連するリスク 影響度:中   発生可能性:低 ●リスク  経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達などにより課税所得の見積りの変更が必要となった場合や、税率の変動を伴う税制の変更などがあった場合には、繰延税金資産の修正が必要となり、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。  また、各国・地域の税務当局との間で見解の相違が生じる場合、国際的な二重課税が生じ、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ☆対応・機会  当社は繰延税金資産に影響を与えるような、当社及び当社現地法人の課税所得に影響を及ぼす事業計画の変動要因や、各国・地域の税制変更を迅速に把握するよう、定期的な確認を行っております。  また、一部の多国籍企業の過度なタックスプランニングによる国際的な租税回避行為が政治問題化したことを契機として、G20の委託を受けたOECDにおいてBEPS(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)プロジェクトが発足し、2015年10月のBEPSに関する最終報告書公表を受け、各国・地域において税法や租税条約の改正が行われております。  さらに近年においては、経済の電子化に伴う課税上の課題に対処するため、市場国へ課税権を配分する制度及びグローバルミニマム課税制度の導入に関するOECD/IFにおいて合意が形成されました。このうち、グローバルミニマム課税制度は各国で制度化が進められており、日本においても、2023年3月28日に成立した令和5年度税制改正により法制化されました。  こうした国際課税制度の強化が図られる中、当社は、二重課税リスクを低減するため、税務に関するガバナンス体制を整備し、当社現地法人と共に各国・地域における税制や税務行政執行状況の変化への対応を実施するとともに、OECDの各種報告書や経済の電子化に伴う課税上の課題に対処するための新しい国際課税ルールの整備状況などを踏まえた国際税務に係る方針の見直しを適宜実施しております。 ③-7.退職給付会計に関連するリスク 影響度:中   発生可能性:低 ●リスク  当社及び一部の子会社は、確定給付型年金制度を有しており、未払退職及び年金費用を数理計算によって認識しております。数理計算は、割引率、期待運用収益率、昇給率、死亡率といった前提条件に基づいており、これらの前提条件と実際の結果が異なることにより生じた年金数理上の損失は、従業員の平均残存勤務年数にわたり規則的に償却し、年金費用に含めております。当社は、これらの数理計算上の前提は適切であると考えておりますが、金利低下に伴う割引率の低下や、運用収益の悪化による年金資産の減少など、予測が困難な事象から生じる前提条件からの乖離は、年金数理上の損失の増加につながり、将来の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ☆対応・機会  当社は、各国・地域の年金積立状況や政府の規制、また人事制度を踏まえ、適宜制度の見直しを検討・実施しております。
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業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ①経営成績及び財政状態の状況 (経営を取り巻く経済環境) 当連結会計年度の世界経済は、米国の追加関税による影響が見られる中でも、総じて緩やかな回復が続きました。地域別にみますと、米国では追加関税等の影響によりインフレが進行したものの、個人消費は年間を通じて底堅く推移しました。欧州では、雇用・所得環境が個人消費を下支えしましたが、景気回復は緩やかなものに留まりました。中国では、不動産投資の停滞が継続し、消費刺激策の効果の剥落により個人消費は減速しました。その他の新興国では、各国の財政政策により内需が底堅く、輸出も高水準を維持するなど全体として堅調に推移しました。わが国では、安定した雇用環境を背景に、個人消費の緩やかな回復が続きました。 当社関連市場においては、オフィス向け複合機や商業印刷は、関税影響による市況の低迷が継続する米国を中心に投資の先送りなどが見られ需要が弱含みました。レーザープリンターは欧州や中国を中心に市場の縮小が続きました。医療機器は、米国や新興国では堅調に推移しましたが、わが国では病院経営の悪化による市場縮小が継続しました。カメラ市場は、ミラーレスカメラの需要拡大が続き、ネットワークカメラ市場も各地域で好調に推移しました。半導体製造装置市場は、スマホやPC向けメモリの需要の回復が遅れており、パワー半導体向けでも投資先送り傾向が見られましたが、AI向け需要は拡大しました。FPD製造装置市場は、ITパネル向けの大型投資に加え、高機能化に伴うスマホ向けパネルへの追加投資などにより需要は増加しました。 平均為替レートにつきましては、米ドルが前期比で約2円円高の149.71円、ユーロが前期比で約5円円安の169.41円となりました。 (経営成績) 経営指標           (億円) 第124期   第125期   増減率(%) 売上高   45,098   46,247   2.5% 売上総利益   21,431   21,620   0.9% 営業費用   18,633   17,066   △8.4% 営業利益   2,798   4,554   62.8% 営業外収益及び費用   214   267   24.6% 税引前当期純利益   3,012   4,821   60.1% 当社株主に帰属する当期純利益   1,600   3,321   107.5% 1株当たり当社株主に帰属する当期純利益 基本的   165.53   367.48   122.0% 希薄化後   165.44   367.25   122.0% 当連結会計年度は、プリンティングは欧米で投資先送り傾向が続き前年を下回ったものの、メディカルは米国や新興国で堅調に推移し、市場成長が続くネットワークカメラや動画撮影需要などを捉えたカメラの販売も好調でした。その結果、グローバル優良企業グループ構想フェーズVI最終年度である当期の売上高は、前期から2.5%増の4兆6,247億円となり、2期連続で過去最高売上を更新しました。 売上総利益率は、前期を0.8ポイント下回る46.7%となったものの、売上総利益は、売上増に伴い前期比0.9%増の2兆1,620億円となりました。 営業費用は、前期にメディカルビジネスユニットでのれんの減損損失を認識していることに加え、当期は海外での構造改革効果が出ていることや徹底した経費管理などにより、前期比8.4%減の1兆7,066億円となりました。 これらの結果、営業利益は前期比62.8%増の4,554億円、税引前当期純利益は前期比で60.1%増の4,821億円、当社株主に帰属する当期純利益は前期比107.5%増の3,321億円となり、のれんの減損損失を除いた前期の調整後利益と比較しても各段階利益は増益となりました。 基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べ201円95銭増の367円48銭となりました。 (セグメント別の経営成績) 以下の情報はセグメント情報に基づきます。セグメント情報に関する詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 注23 セグメント情報」を参照ください。 プリンティングビジネスユニット 経営指標           (億円) 第124期   第125期   増減率(%) プロダクション   4,407   4,363   △1.0% オフィス   10,525   10,613   0.8% プロシューマー   10,223   9,903   △3.1% 外部顧客向け売上高合計   25,155   24,879   △1.1% セグメント間取引   72   65   △9.3% 売上高合計   25,227   24,944   △1.1% 売上原価及び営業費用   22,328   22,386   0.3% 営業利益   2,899   2,558   △11.8% 税引前当期純利益   3,041   2,736   △10.0% プリンティングビジネスユニットでは、プロダクション市場向け機器の販売は、米国での投資先送りの影響により減収となりました。オフィス向け複合機については、下期に発売を開始した新シリーズimageFORCEの主力機の販売は伸びておりますが、全体では欧米を中心に台数が減少しました。インクジェットプリンターは、大容量インクタンクモデルの販売が堅調であったことから、販売台数は前年を上回りました。レーザープリンターは、市場縮小が続く欧州や中国地域を中心に減収となりました。 これらの結果、当ユニットの売上高は、前期比1.1%減の2兆4,944億円、税引前当期純利益は、前期比10.0%減の2,736億円となりました。 メディカルビジネスユニット 経営指標           (億円) 第124期   第125期   増減率(%) 外部顧客向け売上高合計   5,683   5,797   2.0% セグメント間取引   5   9   64.1% 売上高合計   5,688   5,806   2.1% 売上原価及び営業費用   7,092   5,478   △22.8% 営業利益   △1,404   328   - 税引前当期純利益   △1,395   341   - メディカルビジネスユニットでは、わが国や欧州での販売は低調でしたが、米国では下期より新規に契約した代理店を通じた販売が本格化しており、注力している中近東・南米などの新興国でも販売が増加するなど堅調に推移しました。 この結果、当ユニットの売上高は、前期比2.1%増の5,806億円、のれんの減損損失を除く調整後税引前当期純利益は、メディカル事業革新委員会による活動の効果もあり前期比33.1%増の341億円となりました。 イメージングビジネスユニット 経営指標           (億円) 第124期   第125期   増減率(%) カメラ   5,796   6,254   7.9% ネットワークカメラ他   3,574   4,291   20.1% 外部顧客向け売上高合計   9,370   10,545   12.5% セグメント間取引   4   4   6.6% 売上高合計   9,374   10,549   12.5% 売上原価及び営業費用   7,861   8,820   12.2% 営業利益   1,513   1,729   14.3% 税引前当期純利益   1,543   1,768   14.5% イメージングビジネスユニットでは、EOS R50 VやPowershot V1など動画クリエーター向けの製品が若年層需要などを捉えて好調に推移したことに加え、当期末に発売したフルサイズモデルのEOS R6 Mark IIIなどの販売増も寄与し、増収となりました。ネットワークカメラは、新開発のチップを搭載し機能を大きく向上させた新製品の投入もあり、当期も堅調に売上を伸ばしました。 これらの結果、当ユニットの売上高は、前期比12.5%増の1兆549億円、税引前当期純利益は、前期比14.5%増の1,768億円となりました。 インダストリアルビジネスユニット 経営指標           (億円) 第124期   第125期   増減率(%) 光学機器   2,532   2,563   1.2% 産業機器   927   1,016   9.7% 外部顧客向け売上高合計   3,459   3,579   3.5% セグメント間取引   58   32   △45.4% 売上高合計   3,517   3,611   2.7% 売上原価及び営業費用   2,828   2,986   5.6% 営業利益   689   625   △9.3% 税引前当期純利益   704   648   △7.9% インダストリアルビジネスユニットでは、半導体露光装置はメモリやパワー半導体向けの需要は弱含む中で、AI向け需要は高水準を維持し、業界標準となっている当社の先端後工程向け露光装置の販売台数は前期を上回りました。FPD露光装置もスマホ向けパネルの高機能化に伴う追加投資の需要を取り込み、販売台数は前期を上回りました。 これらの結果、当ユニットの売上高は、前期比2.7%増の3,611億円となりましたが、税引前当期純利益は、プロダクトミックスの影響などもあり前期比7.9%減の648億円となりました。 (財政状態) (億円) 第124期 (2024年12月31日)   第125期 (2025年12月31日)   増減 資産合計   57,662   61,350   3,688 負債合計   21,212   23,609   2,397 株主資本合計   33,803   34,918   1,115 非支配持分   2,648   2,823   175 純資産合計   36,451   37,741   1,291 負債及び純資産合計   57,662   61,350   3,688 株主資本比率(%)   58.6%   56.9%   △1.7% 当連結会計年度末における総資産は、円安に伴い外貨建資産が増加したことや、現金及び現金同等物などが増加 したことなどにより、前連結会計年度末から3,688億円増の6兆1,350億円となりました。 負債は必要な運転資本の増加に伴う借入の実行などにより、前連結会計年度末から2,397億円増の2兆3,609億円となりました。 純資産は、当社株主への配当や3度の自己株式の取得を実施したことなどにより減少した一方で、当社株主に帰属する当期純利益の積み増しや円安に伴い為替換算調整額が増加したことにより、前連結会計年度末から1,291億円増の3兆7,741億円となりました。 これらの結果、当連結会計年度末の株主資本比率は前連結会計年度末より1.7ポイント減少して56.9%となりました。 ②キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、為替変動の影響分を合わせて、前連結会計年度末から844億円増加し、5,860億円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 仕掛品の適正化を図ったことで棚卸資産は減少しましたが、取引先への支払い条件見直しによる買入債務の減少などもあり、前連結会計年度と比較して1,309億円減少し、4,759億円の収入となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 宇都宮事業所に新設した半導体製造装置の新工場への投資などにより固定資産購入額は増加しましたが、前期にプリマジェスト社の買収を実施したことや固定資産の売却などもあり、前連結会計年度と比較して599億円減少し、2,374億円の支出となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 増配や3度の自己株式の取得など積極的な株主還元を実施した一方で、必要な運転資本の増加に伴い借入金が増加したことにより、前連結会計年度と比較して468億円支出が減少し、1,792億円の支出となりました。 また、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを控除した、いわゆるフリーキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して710億円減少し、2,385億円の収入となりました。 詳細については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ⑤流動性と資金源泉 b.現金及び現金同等物」に記載のとおりであります。 ③生産、受注及び販売の実績 a. 生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称   金額(百万円)   前連結会計年度比(%) プリンティング   2,049,770   95.6 メディカル   611,374   102.4 イメージング   1,032,494   117.9 インダストリアル   346,610   94.1 その他及び全社   62,044   97.2 消去   △102,044   ‐ 合計   4,000,248   101.5 (注)1.  金額は、販売価格によって算定しております。 2.  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。 b. 受注実績 当社グループの生産は、当社と販売各社との間で行う需要予測を考慮した見込み生産を主体としておりますので、販売高のうち受注生産高が占める割合は僅少であります。従って受注実績の記載は行っておりません。 c. 販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称   金額(百万円)   前連結会計年度比(%) プリンティング   2,494,398   98.9 メディカル   580,622   102.1 イメージング   1,054,900   112.5 インダストリアル   361,128   102.7 その他及び全社   237,116   101.4 消去   △103,437   ‐ 合計   4,624,727   102.5 (注)1.  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。 2.  最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する 割合は、次のとおりであります。 相手先   第124期 (2024年1月1日から 2024年12月31日まで)   第125期 (2025年1月1日から 2025年12月31日まで) 販売高 (百万円)   割合(%)   販売高 (百万円)   割合(%) HP Inc.   471,604   10.5   444,740   9.6 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年3月25日)現在において判断しております。 はじめに 当社は、プリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアル、その他の製品を世界的に事業展開する企業グループであります。また、企業の成長と発展を果たすことにより、世界の繁栄と人類の幸福に貢献することを、経営理念としております。 ①主要業績評価指標 当社は真のグローバル・エクセレント・カンパニーを目指しており、その実現に向けた事業経営において設定している主要業績評価指標(以下「KPI(Key Performance Indicatorsの略)」という。)は以下のとおりであります。 (収益及び利益率) 当社が経営において重点を置いている指標の1つに収益が挙げられます。以下は経営者が重要だと捉えている収益に関連したKPIであります。 売上高はKPIの1つと考えております。当社は主に製品、またそれに関連したサービスから売上を計上しています。売上高は、当社製品への需要、会計期間内における取引の数量や規模、新製品の評判、また販売価格の変動といった要因によって変化し、その他にも市場でのシェア、市場環境等も売上高を変化させる要因です。さらに製品別の売上高は売上の中でも重要な指標の1つであり、市場のトレンドに当社の経営が対応しているかというような内容を測定するための目安となります。 売上総利益率は、当社の事業活動における付加価値創出力および収益構造の健全性を示す重要なKPIとして位置付けています。売上高の成長のみならず、価格戦略や原価構造を含めた事業の収益性を直接的に反映する指標であり、成長の質を評価する上で有効と考えております。 営業利益率、税引前当期純利益率及び売上高研究開発費比率も当社のKPIとして考えており、これらについて当社は2つの面からの方策をとっております。1つは、販売費及び一般管理費そのものを統制し低減に努めていること、もう1つは将来の利益を生み出す技術に対する研究開発費を一定の水準に維持していくことです。現在の市場における優位性を保持しつつ、他市場における可能性も開拓していくために必要なことであり、そうした投資が将来の事業の成功の基盤となります。 (キャッシュ・フロー経営) 当社はキャッシュ・フロー経営にも重点を置いております。以下の指標は、経営者が重要だと捉えているキャッシュ・フロー経営に関連したKPIです。 在庫回転日数はKPIの1つであり、サプライチェーン・マネジメントの成果を測る目安となります。棚卸資産は陳腐化及び劣化する等のリスクを内在しており、その資産価値が著しく下がることで、当社の業績に悪影響を及ぼすこともありえます。こうしたリスクを軽減するためには、サプライチェーン・マネジメントの強化により、棚卸資産の圧縮及び製品コスト等の回収を早期化させるために生産リードタイムを短縮させ、一方で販売の機会損失を防ぐため適正水準の製品在庫を保持していく活動の継続が重要であると考えております。 また有利子負債依存度も当社のKPIの1つであります。当社のような製造業では、開発、生産、販売等のプロセスを経て、事業が実を結ぶまでには、一般に長い期間を要するため、堅固な財務体質を構築することは重要なことであると考えます。今後も当社は主に通常の営業活動からのキャッシュ・フローで、流動性の維持や設備投資に対応してまいりますが、大きな成長投資を決断した際には借入金を活用することも想定しております。 総資産に占める株主資本の割合を示す株主資本比率も、当社におけるKPIの1つとしております。株主資本を潤沢に持つことは、長期的な視点に立って高水準の投資を継続することにつながり、短期的な業績悪化にも揺るがない事業運営を可能にします。特に、研究開発に重点を置く当社にとっては、財務の安全性を確保することは、非常に重要なことであると考えております。一方で、成長投資のため負債を有効活用するなど、資本構成の最適化にも留意してまいります。 (株主資本収益性) 株主資本に対する当期純利益の割合を示す株主資本利益率も、当社におけるKPIの1つとしております。事業構造の見直しや経費の効率化を通じて収益性の向上に取り組む一方で、在庫水準の適正化や生産拠点の集約化により、資産効率の向上も図ってまいります。また、財務の健全性を維持しながらも成長投資を実行する過程では、負債も有効活用するなど適正な資本構成を構築し、株主資本の収益性を向上させてまいります。 ②重要な会計方針及び見積り 当社の連結財務諸表は、米国会計基準に基づいて作成されております。また当社は、連結財務諸表を作成するために、種々の見積りと仮定を行っております。これらの見積り及び仮定は将来の市場状況、売上増加率、利益率、割引率等の見積り及び仮定を含んでおります。当社は、これらの見積り及び仮定は合理的であると考えておりますが、実際の業績は異なる可能性があります。また、パンデミックや地政学的リスク、さらにはインフレに伴う景気減速のリスク等により、当社の業績が経営者の仮定及び見積りとは異なる可能性があります。当社は、現在当社の財政状態及び経営成績に影響を与えている会計方針を適用するにあたり、以下の事項がより重要な判断事項であると考えています。 a.長期性資産の減損 基準書360「有形固定資産」に準拠し、有形固定資産や償却対象の無形固定資産などの長期性資産は、帳簿価額が回収できないという事象や状況の変化が生じた場合に、減損に関する検討を実施しております。帳簿価額が割引前将来見積キャッシュ・フローの総額を上回っていた場合には、帳簿価額が公正価値を超過する金額について減損を認識しております。公正価値の決定は、見積り及び仮定に基づいて行っております。 b.有形固定資産 有形固定資産は取得原価により計上しております。減価償却方法は、定額法で償却している一部の資産を除き、定率法を適用しております。 c.棚卸資産 棚卸資産は、低価法により評価しております。原価は、国内では平均法、海外では主として先入先出法により算出しております。 d.リース 当社は、貸手のリースでは主にオフィス製品の販売においてリース取引を提供しております。販売型リースでの機器の販売による収益は、リース開始時に認識しております。販売型リース及び直接金融リースによる利息収益は、それぞれのリース期間にわたり利息法で認識しております。これら以外のリース取引はオペレーティングリースとして会計処理し、収益はリース期間にわたり均等に認識しております。機器のリースとメンテナンス契約が一体となっている場合は、リース要素と非リース要素の独立販売価格の比率に基づいて収益を按分しております。通常、リース要素は、機器及びファイナンス費用を含んでおり、非リース要素はメンテナンス契約及び消耗品を含んでおります。一部の契約ではリースの延長又は解約オプションが含まれております。当社は、これらのオプション行使が合理的に確実である場合、オプションの対象期間を考慮し、リース期間を決定しております。当社のリース契約の大部分は、顧客の割安購入選択権を含んでおりません。 借手のリースでは建物、倉庫、従業員社宅、及び車輛等に係るオペレーティングリース及びファイナンスリースを有しております。当社は、契約開始時に契約にリースが含まれるか決定しております。一部のリース契約では、リース期間の延長又は解約オプションが含まれております。当社は、これらのオプション行使が合理的に確実である場合、オプションの対象期間を考慮し、リース期間を決定しております。当社のリース契約には、重要な残価保証または重要な財務制限条項はありません。当社のリースの大部分はリースの計算利子率が明示されておらず、当社はリース料総額の現在価値を算定する際、リース開始時に入手可能な情報を基にした追加借入利子率を使用しております。当社のリース契約の一部には、リース要素及び非リース要素を含むものがあり、それぞれを区分して会計処理しております。当社はリース要素と非リース要素の見積独立価格の比率に基づいて、契約の対価を按分しております。オペレーティングリースに係る費用は、そのリース期間にわたり定額法で計上されております。 e.企業結合 企業買収は取得法で処理しております。取得法では、取得した契約資産及び契約負債を除く、全ての有形及び無形資産並びに引き継いだ全ての負債を、支配獲得日における公正価値に基づき認識及び測定します。公正価値の決定には、将来キャッシュ・フローの予測、割引率、資本収益率、及びその他の利用可能な市場データに基づく見積りなどの、重要な判断や見積りを伴います。また、将来キャッシュ・フローの予測は、被買収会社の実績や、過去及び将来に想定される趨勢、市場や経済状況などの多くの要素に基づいております。取得した契約資産及び契約負債は、基準書606「顧客との契約からの収益」に準拠し認識及び測定しております。 f.のれん及びその他の無形固定資産 のれん及び耐用年数が確定できないその他の無形固定資産は償却を行わず、代わりに毎年第4四半期に、または潜在的な減損の兆候があればより頻繁に減損テストを行っております。全てののれんは、企業結合のシナジー効果から便益を享受する報告単位に配分されます。報告単位の公正価値が、当該報告単位に割り当てられた帳簿価額を下回る場合には、当該差額をその報告単位に配分されたのれんの帳簿価額を限度とし、のれんの減損損失として認識しております。報告単位の公正価値は、主として割引キャッシュ・フロー分析に基づいて決定されており、将来キャッシュ・フロー及び割引率等の見積りを伴います。将来キャッシュ・フローの見積りは、主として将来の成長率に関する当社の予測に基づいております。割引率の見積りは、主として関連する市場及び産業データ並びに特定のリスク要因を考慮した、加重平均資本コストに基づいて決定しております。当社は、2024年第4四半期に行った減損テストの結果、メディカルビジネスユニットの公正価値が帳簿価額を下回っていたことから、当該差額をのれんの減損損失として認識しましたが、2025年第4四半期に行った減損テストでは、個々の報告単位の公正価値は帳簿価額を超過しており、減損が見込まれる報告単位はありませんでした。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 注8 のれん及びその他の無形固定資産」及び「注22 公正価値の開示」に記載のとおりであります。重要なのれんが配分されている報告単位は、メディカル報告単位であり、405,882百万円が配分されております。当該報告単位の将来キャッシュ・フローの見積りは、今後の医療機器市場の成長や事業活動地域の経済成長を考慮した上で立案された中期経営計画に基づいております。 耐用年数の見積りが可能な無形固定資産は、主としてソフトウェア、商標、特許権及び技術資産、ライセンス料、顧客関係であります。なお、ソフトウェアは主として3年から9年、商標は15年、特許権及び技術資産は5年から21年、ライセンス料は7年、顧客関係は10年から19年でそれぞれ定額償却しております。 g.法人税等の不確実性 当社は、法人税等の不確実性の評価及び見積りにおいて多くの要素を考慮しており、それらの要素には、税務当局との解決の金額及び可能性、並びに税法上の技術的な解釈を含んでおります。不確実性に関する実際の解決が見積りと異なるのは不可避的であり、そのような差異が連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。 h.繰延税金資産の評価 当社は、繰延税金資産に対して定期的に実現可能性の評価を行っております。繰延税金資産の実現は、主に将来の課税所得の予測によるところが大きく、課税所得の予測は将来の市場動向や当社の事業活動が順調に継続すること、その他の要因により変化します。課税所得の予測に影響を与える要因が変化した場合には評価性引当金の設定が必要な場合があり、当社では繰延税金資産の実現可能性がないと判断した際には、繰延税金資産を修正し、損益計算書上の法人税等に繰り入れ、当期純利益が減少いたします。 i.未払退職及び年金費用 未払退職及び年金費用は数理計算によって認識しており、その計算には前提条件として基礎率を用いています。割引率、期待運用収益率といった基礎率については、市場金利などの実際の経済状況を踏まえて設定しております。その他の基礎率としては、昇給率、死亡率などがあります。これらの基礎率の変更により、将来の退職及び年金費用が影響を受ける可能性があります。 基礎率と実際の結果が異なる場合は、その差異が累積され将来期間にわたって償却されます。これにより実際の結果は、通常、将来の年金費用に影響を与えます。当社はこれらの基礎率が適切であると考えておりますが、実際の結果との差異は将来の年金費用に影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度の連結財務諸表の作成においては、給付債務の計算に使用する割引率には国内制度、海外制度ではそれぞれ加重平均後で2.9%、4.3%を、長期期待収益率には国内制度、海外制度ではそれぞれ加重平均後で3.2%、5.3%を使用しております。割引率を設定するにあたっては、現在利用可能で、かつ、年金受給が満期となる間に利用可能と予想される高格付けで確定利付の公社債の収益率に関し利用可能な情報を参考に決定しております。また長期期待収益率の設定にあたっては、年金資産が構成される資産カテゴリー別の過去の実績及び将来の期待に基づいて収益率を決定しております。 割引率の低下(上昇)は、勤務費用及び数理計算上の差異の償却額を増加(減少)させるとともに、利息費用を減少(増加)させます。割引率が0.5%低下した場合、予測給付債務は約662億円増加します。割引率の低下(上昇)による影響は、数理計算上の他の前提条件の変更による影響と同様に、翌期以降に繰り延べられます。 長期期待収益率の低下(上昇)は、期待運用収益を減少(増加)させ、かつ数理計算上の差異の償却額を増加(減少)させるため、期間純年金費用を増加(減少)させます。長期期待収益率が0.5%低下した場合、期間純年金費用は約63億円増加します。 これにより年金制度の積立状況(すなわち、年金資産の公正価値と退職給付債務の差額)を連結貸借対照表で認識しており、対応する調整を税効果調整後で、その他の包括利益(損失)累計額に計上しております。 j.収益認識 当社は、主にプリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアルの各ビジネスユニットの製品、消耗品並びに関連サービス等の売上を収益源としており、それらを顧客との個別契約に基づき提供しております。当社は、約束した財またはサービスの支配が顧客に移転した時点、もしくは移転するにつれて、移転により獲得が見込まれる対価を反映した金額により、収益を認識しております。 プリンティングビジネスユニットの製品(オフィス向け複合機、レーザープリンター、インクジェットプリンター等)及びイメージングビジネスユニットの製品(デジタルカメラ等)の販売による収益は、製品の支配を顧客がいつ獲得するかにより、主に出荷または引渡時点で認識しております。 また、メディカルビジネスユニットの製品(CT装置やMRI装置等)及びインダストリアルビジネスユニットの製品(半導体露光装置やFPD露光装置等)の販売にあたり、機器の性能に関して顧客検収を要する場合は、機器が顧客の場所に据え付けられ、合意された仕様が客観的な基準により達成されたことを確認した時点で、収益を認識しております。 当社のサービス売上の大部分は、プリンティングの製品及びメディカルの製品のメンテナンスサービスに関連するものであり、一定期間にわたり認識しております。プリンティングの製品のサービス契約は、通常、顧客は、機器の使用量に応じた従量料金、固定料金、または、基本料金に加えて使用量に応じた従量料金を支払う契約であり、修理作業及び消耗品の提供を含んでおります。プリンティングの製品のサービス契約による収益の大部分は、顧客への請求金額が、履行義務の充足に伴い顧客に移転した価値と直接対応していることから、顧客への請求金額により収益を計上しております。メディカルの製品のサービス契約は、通常、顧客は、当社が提供する待機サービスの対価として、固定料金を支払っており、当社は契約期間にわたり均等に収益を認識しております。 プリンティングの製品に関するサービス契約の多くは、関連する製品販売契約と一体で実行されます。製品及びサービスの取引価格は、独立販売価格の比率に基づいて各履行義務に配分される必要があり、その配分には判断が伴います。独立販売価格は、市場の状況及びその他観察可能なインプットを含む合理的に入手可能な全ての情報に基づき、配分の目的に合致するように設定された価格のレンジを用いて見積もられています。製品またはメンテナンスサービスの取引価格が設定されたレンジを外れる場合は、見積独立販売価格に基づき取引価格は配分されることになります。契約獲得の追加コストは、関連するプリンティングの製品が販売された時に、費用として認識しております。 転用可能性がなく、かつ完了した成果に対して顧客から支払いを受ける強制力のある権利を有している一部のインダストリアルの製品の販売契約(以下「長期契約」)に関する収益は一定期間にわたり認識しており、コストを基礎とする進捗度に基づき、完成時の見積り利益の当期進捗分を含む収益が当期に認識されます。未完成の長期契約に関する損失は、損失が発生することが明らかになった期に認識されます。長期契約に関する作業実績や作業状況、想定される収益性の変化や最終的な契約条項がコストや収益の見積りに与える影響は、それらが識別され合理的に見積り可能になった期に認識されます。将来コストや完成時の利益に影響を与える要素は生産効率、労働力や資材の利用可能性とコストを含み、これらの要素は見積りの正確性に影響し、将来の収益と売上原価に重要な影響を与えることがあります。 財またはサービスの移転と交換に当社が受け取る取引価格は、値引き、顧客特典、売上に応じた割戻し等の変動対価を含んでおります。変動対価は、主として、販売代理店や小売店が主要顧客であるイメージングの製品の販売に関連しております。当社は、変動対価に関する不確実性が解消された時点で収益認識累計額の重要な戻し入れが生じない可能性が高い範囲で、変動対価を取引価格に含めております。変動対価は、過去の傾向や売上時点におけるその他の既知の要素に基づいて見積もっており、直近の情報に基づき定期的に見直しております。また、当社は、販売後の短期間、顧客に製品の返品権を付与することがあり、当該返品権により予想される返品を考慮し決定された取引価格に基づき収益認識をしております。 当社は、連結損益計算書の収益について、顧客から徴収し政府機関へ納付される税金を除いて表示しております。 k.信用損失引当金 信用損失引当金は、過去の信用損失の経験と合理的かつ裏付け可能な予測を踏まえつつ、基準書326(「金融商品-信用損失」)に基づいて、全ての債権計上先を対象として計上しております。また当社は、破産申請など顧客の債務返済能力がなくなったと認識した時点において、顧客ごとに信用損失引当金を積み増しております。債権計上先をとりまく状況に変化が生じた場合は、債権の回収可能性に関する評価はさらに調整されます。法的な償還請求を含め、全ての債権回収のための権利を行使してもなお回収不能な場合に、債権の全部または一部を回収不能とみなし、信用損失引当金に対する償却を実施しております。 l.環境負債 環境浄化及びその他の環境関連費用に係る負債は、環境アセスメントあるいは浄化努力が要求される可能性が高く、その費用を合理的に見積ることができる場合に認識しており、連結貸借対照表のその他の固定負債に含めております。環境負債は、事態の詳細が明らかになる過程で、あるいは状況の変化の結果によりその計上額を調整しております。その将来義務に係る費用は現在価値に割引いておりません。 m.新会計基準 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 注1 (24)新会計基準」に記載のとおりであります。 ③当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 a.売上高 当連結会計年度は、米国の追加関税による影響が見られる中でも、総じて緩やかな回復が続きました。このような状況の中、プリンティングは欧米で投資先送り傾向が続き前年を下回ったものの、メディカルは米国や新興国で堅調に推移し、市場成長が続くネットワークカメラや動画撮影需要などを捉えたカメラの販売も好調でした。その結果、グローバル優良企業グループ構想フェーズVI最終年度である当期の売上高は、前連結会計年度比2.5%増の4兆6,247億円となり、2年連続で過去最高売上を更新しました。製品売上高及びサービス売上高は前連結会計年度比でそれぞれ、2.2%増の3兆6,732億円、3.9%増の9,515億円となりました。 当連結会計年度の海外での売上高は、連結売上高の79.2%を占めます。海外での売上高の計算は、円と外貨の為替レートの変動に影響されます。製品の現地生産及び海外からの部品や材料調達等によりその影響を抑えておりますが、為替レートの変動は当社の経営成績に大きな影響を与える可能性があります。 当連結会計年度の米ドル及びユーロの平均為替レートはそれぞれ149.71円及び169.41円と、前連結会計年度に比べて米ドルは約2円円高、ユーロは約5円円安で推移しました。米ドルとの為替レートの変動により約231億円の売上高減少、ユーロとの変動で約358億円の売上高増加、その他の通貨との変動で約58億円の売上高減少影響がありました。その結果、当連結会計年度の為替による売上高の増加影響は約69億円となりました。 b.売上原価 売上原価は、主として原材料費、購入部品費、工場の人件費から構成されます。原材料費のうち海外調達される原材料については、海外の市場価格や為替レートの変動による影響を受け、当社の売上原価に影響を与えます。売上原価にはこれらの他に有形固定資産の減価償却費、修繕費、光熱費、賃借料などが含まれております。当連結会計年度は米国関税影響によるコスト増加がある一方で、部品のコストダウンは年間を通じて進展しました。売上高に対する売上原価の比率は、当連結会計年度は53.3%となり、前連結会計年度52.5%より0.8ポイント増加しました。 c.売上総利益 当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度と比べ0.9%増加の2兆1,620億円となりました。また売上総利益率は、前連結会計年度より0.8ポイント減少し46.7%となりました。売上総利益の増加は、主には売上増加によるものです。 d.営業費用 営業費用は、主に人件費、研究開発費、広告宣伝費であります。営業費用は、前期にメディカルビジネスユニットでのれんの減損損失を認識していることに加え、当期は海外での構造改革効果が出ていることや徹底した経費管理などにより、前期比8.4%減の1兆7,066億円となり、当連結会計年度売上高に対する経費率は前連結会計年度より4.4ポイント好転し、36.9%となりました。 e.営業利益 当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度比62.8%増加の4,554億円でありました。営業利益率は3.6ポイント好転して9.8%となりました。 f.営業外収益及び費用 当連結会計年度の営業外収益及び費用は、外貨建て債権から生じた為替差損益や有価証券評価損益が好転したことにより、前連結会計年度から53億円好転し、267億円の収益となりました。 g.税引前当期純利益 当連結会計年度の税引前当期純利益は4,821億円で、前連結会計年度比60.1%の増益となりました。また、売上高に対する比率は10.4%でした。 h.法人税等 当連結会計年度の法人税等は56億円増加し、実効税率は25.7%でした。実効税率が日本の法定実効税率を下回っているのは、主に試験研究費の税額控除や海外子会社で適用される税率が日本の法定実効税率より低いためです。 i.当社株主に帰属する当期純利益 当連結会計年度の当社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比107.5%の増益である3,321億円となりました。また、売上高当期純利益率は7.2%となりました。 ④海外事業と外国通貨による取引 当社の販売活動は様々な地域で現地通貨により行っている一方、売上原価は円の占める割合が比較的高くなっております。当社の現在の事業構造を鑑みると、円高影響は売上高や売上総利益率に対してマイナス要因となりま す。こうした為替相場の変動による財務リスクを軽減することを目的に、当社は為替先物契約を主とした金融派生商品を利用した取引を実施しております。 海外における売上高利益率は、主に販売活動を中心としているため、国内の売上高利益率と比較すると低くなっております。一般的に販売活動は、当社が行っている生産活動ほど収益性は高くありません。地域別セグメント情報に関する詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 注23 セグメント情報」を参照ください。 ⑤流動性と資金源泉 a.財務活動の基本方針 当社はキャッシュ創出力を更に伸ばし、成長領域への積極的な投資によって企業価値を向上させることを財務活動の基本方針としております。 売上拡大による利益の向上と資産効率の改善によりキャッシュ・フローを最大化し、成長の原資となるキャッシュ創出力の向上に努めていきます。また、財務規律を維持しながらも多様な資金調達手段を確保し、各事業の成長戦略のコアとなる成長領域への積極的な投資を支えていきます。 資金の源泉(Cash-In) 営業活動によるキャッシュ・フローと現金及び現金同等物を内部的な資金の源泉としております。また、資金需要に応じて、金融機関からの借入や社債等による資金調達を実施しております。借入による資金調達を行う場合には、多様な選択肢から最適な手段を選定すると共に、D/EレシオやNet Debt/EBITDA倍率等の財務規律も考慮して、健全な財務体質を維持することを方針としています。 資金の使途(Cash-Out) 資金の主な使途は以下の優先順位に則り決定しております。 1.成長領域への投資 既存事業での設備投資や研究開発投資等により成長領域へ積極的に投資を行います。また、M&Aも活用しながら、既存事業の事業領域拡大を目指していきます。 2.株主還元 中長期的な業績の見通しに加え、将来の投資計画やキャッシュ・フローなどを総合的に勘案し、安定的な株主還元を実施します。配当は累進配当を基本方針として現状の配当金額を下げることなく、配当性向40%を目途に実施します。自社株式の取得は、キャッシュ・フローなどの財務状況や当社株式の株価水準等に応じて機動的に実施します。 3.戦略投資 機動的なキャッシュアロケーション枠として、状況に応じたM&A、成長領域への追加投資および追加的な株主還元に活用していきます。 b.現金及び現金同等物 キャッシュ・フローの推移 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度から844億円増加して、5,860億円となりました。当社の現金及び現金同等物は主に円と米ドルを中心としておりますが、その他の外貨でも保有しております。 営業活動によるキャッシュ・フロー 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、仕掛品の適正化を図ったことで棚卸資産は減少しましたが、取引先への支払い条件見直しによる買入債務の減少などもあり、前連結会計年度末から1,309億円減少し、4,759億円の収入となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、主に顧客からの現金受取によるキャッシュ・イン・フローと、部品や材料、販売費及び一般管理費、研究開発費、法人税の支払いによるキャッシュ・アウト・フローとなっております。当連結会計年度におけるキャッシュ・イン・フローの増加は、主に売上高の増加に伴い、顧客からの現金回収が増加したことによります。当社の回収率に重要な変化はありません。キャッシュ・アウト・フローの増加は、主に売上増や支払い条件見直しによる支払いの増加などによるものです。法人税の支払いによるキャッシュ・アウト・フローの増加は、課税所得の増加によるものです。 投資活動によるキャッシュ・フロー 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローのうち、固定資産購入額は、宇都宮事業所に新設した半導体製造装置の新工場への投資などにより前連結会計年度から252億円増加し2,622億円となりました。一方で、前期にプリマジェスト社の買収を実施したことや固定資産の売却などもあったため、全体では前連結会計年度より599億円減少し、2,374億円の支出となりました。 フリーキャッシュ・フロー 当社は、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを控除した純額をフリーキャッシュ・フローと定義しており、当連結会計年度のフリーキャッシュ・フローは、前連結会計年度の3,095億円から、710億円減少し、2,385億円の収入となりました。 当社は、キャッシュ・フロー経営に重点を置き、フリーキャッシュ・フローを常時モニタリングしております。フリーキャッシュ・フローは当社の現在の流動性や財務活動の使途を理解する上で重要であり、また投資家にも有用であると考えております。当社は資金の調達源泉を明らかにするために、米国会計基準による連結キャッシュ・フロー計算書や連結貸借対照表と併せて、米国会計基準以外の財務指標(Non-GAAP財務指標)である、フリーキャッシュ・フローを分析しております。なお、最も直接的に比較可能な米国会計基準に基づき作成された指標とフリーキャッシュ・フローの照合調整表は以下のとおりです。 (億円) 第124期   第125期   増減 営業活動によるキャッシュ・フロー   6,068   4,759   △1,309 投資活動によるキャッシュ・フロー   △2,973   △2,374   +599 フリーキャッシュ・フロー   3,095   2,385   △710 財務活動によるキャッシュ・フロー   △2,260   △1,792   +468 為替変動の現金及び現金同等物への影響額   167   252   +85 現金及び現金同等物の増減   1,002   844   △158 現金及び現金同等物の期首残高   4,013   5,016   +1,003 現金及び現金同等物の期末残高   5,016   5,860   +844 財務活動によるキャッシュ・フロー 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、増配や3度の自己株式の取得など積極的な株主還元を実施した一方で、必要な運転資本の増加に伴い借入金が増加したことにより、前期比で468億円減少し、1,792億円の支出となりました。なお、当連結会計年度の配当金は、1株当たり前年比15円増配となる160円にて支払いを実施しました。 当社は、流動性や必要資本を満たすため、増資、社債発行、借入といった外部からの様々な資金調達方法をとることが可能です。当社は、これまでどおりの資金調達や資本市場からの資金調達が可能であり、また将来においても可能であり続けると認識しておりますが、経済情勢の急激な悪化やその他状況によっては、当社の流動性や将来における長期の資金調達に影響を与える可能性があります。 当社の長期債務は、主に銀行借入とリース債務によって構成されています。 格付け 当社は、グローバルな資本市場から資金調達をするために、格付機関であるS&Pグローバル・レーティングから信用格付を得ております。それに加えて、当社は日本の資本市場からも資金調達するために、日本の格付会社である格付投資情報センターからも信用格付を得ております。2026年2月28日現在、当社の負債格付は、S&Pグローバル・レーティング:A(長期)/A-1(短期)、格付投資情報センター:AA(長期)であります。当社では、現時点で負債の返済を早めるような格付低下の要因は発生しておりません。当社の信用格付が下がる場合は、借入コストの増加につながります。 c.在庫の適正化 当社の最新の在庫水準の最適化の方針は、運転資金を最小化し、在庫の陳腐化のリスクを避け、一方で予期せぬ天災発生時でも販売活動を継続できるようにするため、適切なバランスを維持していくことであります。当社の在庫回転日数は、当連結会計年度、前連結会計年度末時点でそれぞれ、63日、65日となりました。円安による外貨建て資産の増加影響があったものの、在庫管理強化の徹底により在庫金額は減少し、売上高も前年比で増収となったことで在庫回転日数は減少しました。 d.設備投資 当社は積極的な業績拡大に資する投資を行う一方、総額は減価償却費の範囲内に収めることでフリーキャッシュ・フローを安定的に創出するなど、財務基盤を強固にするキャッシュ・フロー経営を徹底しています。当連結会計年度における設備投資は、前連結会計年度の2,192億円から75億円減少し、2,117億円になりました。翌連結会計年度につきましては、引き続き成長のための設備投資を行うことにより、当社の設備投資は2,300億円の見込みであります。 e.退職給付債務への事業主拠出 当社の確定給付型年金への拠出額は、当連結会計年度179億円、前連結会計年度289億円であり、確定拠出型年金への拠出額は、当連結会計年度327億円、前連結会計年度293億円であります。また、一部の子会社が加入している複数事業主制度への拠出額は、当連結会計年度68億円、前連結会計年度64億円であります。 f.運転資本 当連結会計年度における運転資本(流動資産から流動負債を控除した額)は、前連結会計年度の9,038億円から92億円増加し、9,130億円になりました。増加の主な要因は、流動負債である買入債務の減少によるものです。当社の運転資本は、予測できる将来需要に対して十分であると認識しております。当社の必要資本は、設備投資に関わる支出の水準及び時期といった全社的な事業計画に基づいております。流動比率(流動負債に対する流動資産の割合)は、当連結会計年度は1.54、前連結会計年度は1.58であります。 g.総資本当社株主に帰属する当期純利益率 総資本利益率(当社株主に帰属する当期純利益を前年度末及び当年度末の総資産平均で除した割合)は、当連結会計年度では5.6%、前連結会計年度は2.9%であります。 h.株主資本当社株主に帰属する当期純利益率 株主資本利益率(当社株主に帰属する当期純利益を前年度末及び当年度末の株主資本平均で除した割合)は、当連結会計年度では9.7%、前連結会計年度4.8%であります。 i.有利子負債依存度 当連結会計年度では、運転資金の増加に伴い長期借入金が増加しました。その結果、当連結会計年度における短期借入金、短期オペレーティングリース負債、長期借入金、及び長期オペレーティングリース負債の総額は、前連結会計年度末の6,635億円から2,827億円増加し9,462億円となり、有利子負債依存度(総資産に対する有利子負債の割合)は15.4%と前連結会計年度の11.5%から3.9%増加しました。 j.株主資本比率 当連結会計年度の株主資本比率(株主資本を総資産で除した割合)は56.9%となりました。増配や自己株式取得などに伴う株主資本の減少により、前連結会計年度の58.6%から1.7%減少しましたが、総じて高い水準は維持しており、財務の健全性は保たれています。 ⑥知的財産戦略 <ガバナンス> 当社では知的財産部門がCEO直轄の組織であることに加え、知的財産法務本部長が専任役員を務めているため、知的財産法務本部長から、中期計画等の知的財産に関する戦略や考えを直接CEOに報告したり、役員間の日々の会議で他の役員へ知的財産に関する重要情報を伝達し、共有したりすることが可能です。このような体制により、知的財産に関する経営上の意思決定が迅速に行われています。 さらに、会社の役員でもある知的財産法務本部および事業部門、研究開発部門のトップをはじめとする幹部が集まる本部間トップミーティングを定期的に設け、知的財産戦略を議論するとともに、事業および研究開発部門における実際の知的財産活動を決定することで、事業および研究開発部門と一体化したタイムリーな知的財産活動を実現しています。このようにして技術中計、事業中計にリンクした知的財産戦略を策定し、知的財産部門の考えや知的財産への投資を技術および事業中計に組み込むというサイクルが機能しています。 また、当社では、当社の知的財産法務本部と各グループ会社の知的財産部門との間で、知的財産の取り扱いに関する役割と責任、活動方針の策定プロセスなどを取り決めたグローバルマネジメントルールを策定しています。 これにより、グループ全体の知的財産活動を統制し、知的財産ポートフォリオの最適化を図りつつ、必要に応じて知的財産法務本部と各グループ会社が協働で訴訟やライセンス活動を行い、利益の最大化を図っています。 <戦略> 1.基本方針 当社は、独自技術で差別化した魅力的で質の高い製品とサービスにより、新市場や新規顧客を開拓する研究開発型企業として発展してきました。知的財産部門は、事業発展の支援を最も重視しており、これに資することをミッションとして、これからの時代を先読みし、知的財産戦略を策定、実行しています。 当社の知的財産戦略の基本戦略は下記4つとしております。 (1)コアコンピタンス技術に関わる特許は、競争領域において事業を守る特許としてライセンスせず、 競争優位性の確保に活用する。 (2)通信、AI、IoTなどの共通技術(標準技術を含む)に関わる協調領域の特許をクロスライセンスなどに利用することで、研究開発や事業の自由度を確保する。 (3)他社の知的財産権を尊重する。一方でキヤノンの知的財産権の侵害に対しては毅然と対応する。 (4)他社が容易に到達できない検証困難な発明は、ノウハウとして秘匿し守ることで、他社の追従を許さず、競争優位性を確保する。 2.知的財産ポートフォリオの基本的な考え方 当社は、さまざまな環境変化から次の時代の社会や経済の流れを読み取り、知的財産戦略を策定、実行しています。知的財産ポートフォリオは、変化する経営と事業を支援し企業価値を向上させるために最大限活用するものと位置付けており、その構成は、さまざまな環境変化(サプライチェーン、経済安全保障、環境配慮要請、AI/IoTによる技術革新、デジタルサービスの拡大等)から次の時代を見据え、経営戦略、事業戦略と連動させながら、常に変化させています。近年では、これからの成長が見込まれる新規事業を支援する技術や、各事業分野に共通して活用が見込まれ、他社とのライセンス交渉においても重要な役割を担う共通技術に関する出願を特に増やし、将来のビジネスを支える特許ポートフォリオの強化を進めています。 事業のコアコンピタンスに関わる知的財産権の取得はもちろん、時代を先取りした知的財産権(例えば、AI/IoT技術や共通技術、環境関連技術に関わる知的財産権、パートナー創りのための知的財産権)の取得にも大きなリソースを投入し、新たな事業の創出のために様々な業界の企業との交渉にも備えています。このようにして構築した知的財産ポートフォリオを活用することにより、競争優位性の確保と将来事業の自由度の確保を両立させています。 当社は、全世界で約8万件にも及ぶ特許と実用新案を保有しています(2025年12月現在)。日本国内はもとより、海外での特許取得も重視しており、地域ごとの事業戦略や技術動向、製品動向を踏まえた上で特許の権利化を推進しています。特に米国は、世界最先端の技術をもつ企業が多く市場規模も大きいことから、特許出願については、事業拡大、技術提携の双方の視点から注力しており、米国の特許登録件数ランキングは42年連続で10位以内を維持しています。 また、知的財産ポートフォリオは、活用することでその価値が顕在化するものであり、保有する知的財産ポートフォリオの積極的な活用により事業の発展を最大限支援するとともに、企業価値の向上に貢献するものです。活用の具体例としては他社とのクロスライセンスがあります。これにより他社の保有する知的財産へのアクセスを可能としています。当社は、全世界で約100万件もの他社特許が利用可能であり、研究開発や事業における高い自由度を確保しています。また、他社にも有用な協調領域の特許を数多く保有していることで、コアコンピタンス特許の利用を許諾しない有利なクロスライセンスが可能となり、ビジネスの競争優位性を保っています。さらに、徹底した特許クリアランスと積極的なポートフォリオ活用を行うことで、ライセンス料の支払いを抑制しています。 3.事業の発展を支える知的財産ポートフォリオ 当社は、2021年~2025年のグローバル優良企業グループ構想フェーズⅥにおいて、プリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアルの各グループの事業競争力の強化を掲げ、商業印刷、産業印刷、次世代ヘルスケア、高度監視、次世代半導体製造、デジタルソリューションサービスといった将来のビジネス創出にも力を入れてきました。知的財産部門は、これらの事業が発展し、成長するために、光学技術、映像処理、解析技術などのコアコンピタンス技術、AI/IoTを組み入れたサイバー&フィジカルシステムの技術、標準技術、環境配慮技術などに関する知的財産の創出・権利化に力を入れています。さらに、知的財産部門は、時代を先読みし、将来有望と期待される技術分野における知的財産の創出・権利化にも取り組んでおり、知的財産の面から会社の継続的な発展を支援しています。 2026年~2030年のグローバル優良企業グループ構想フェーズⅦのもとでは、事業領域の拡大を支援するための知的財産活動を計画的に実行していきます。 Ⅰ.プリンティンググループ 商業印刷、産業印刷分野のほか、オフィス向け機器を始めとする様々な機器と連携するサイバー&フィジカルシステムを支える知的財産を創出しています。様々な機種のプリンターに共通して搭載されるコントローラ/エンジンの基盤技術やプリンターに付加価値を提供するクラウドの基盤技術に加え、プリンターの環境配慮技術や、AIを利活用した新たなプリンティングソリューションなどこれからの時代に対応する技術に関する特許ポートフォリオを構築しています。 Ⅱ.メディカルグループ プレシジョン・メディシン(個別化医療)の実現をサポートするAIソリューション、診断精度の向上及び従来装置よりも被ばく線量低減が期待されるフォトンカウンティングCTなど、医療現場に次々と提供される新たな価値を創造する技術を保護する知的財産ポートフォリオを構築しています。加えて、グループ会社間連携を通じて、光学技術や画像処理技術などこれまでに培ってきた技術に、メディカル領域特有の画像診断技術、ソリューションを融合し、画像診断を核としてヘルスケアITやバイオサイエンスなどの新たな領域への事業拡大を支える知的財産ポートフォリオを強化しています。 Ⅲ.イメージンググループ ミラーレスカメラ、映像制作用カメラ、監視用カメラなどの領域において、高度な光学技術だけではなく、動画対応技術、ネットワーク技術、そして機械学習を用いて被写体やその動きを認識するAI応用技術に注力して知的財産を創出しています。さらにボリュメトリックビデオやXRなどの3Dイメージング技術や、暗闇でも数km先の被写体を鮮明に捉えられるSPADセンサー等、次世代のエンターテインメントや社会の安全と安心を支える領域でも特許ポートフォリオを強化しています。 Ⅳ.インダストリアルグループ 露光装置、ダイボンダー、有機ELディスプレイ製造装置、スパッタリング装置などの製造装置に加え、Lithography Plusなどの製造ソリューションサービスに関する知的財産の創出にも注力しています。 さらに、黒色プラスチックのリサイクルを可能にするラマン分光解析技術、低消費電力を実現するナノインプリントリソグラフィ技術の特許ポートフォリオを強化し、新規事業の拡大を支援しています。 Ⅴ. 未来を切り拓く技術 本社研究開発部門等で研究が進む、3Dプリンター用セラミックス、鉛フリー圧電体、全固体電池用材料などのサステナビリティ実現のための新素材、デバイス技術、超大型望遠鏡用のイマージョン回折素子、人工衛星などの宇宙科学技術の分野で、世界初/最先端のコア技術の特許ポートフォリオ形成に注力しています。 Ⅵ. 標準化への取組み 海外研究所の標準化エキスパートと協働し、標準化団体への積極的な参画を通して世界の技術発展に貢献。移動体通信(5Gなど)、無線LAN(Wi-Fiなど)、動画圧縮(HEVC,VVCなど)、無線電力伝送(Qiなど)、ファイルフォーマット(HEIF,OMAFなど)など次世代の技術標準を構成する特許ポートフォリオを拡大し、キヤノンの知財競争力を強化しています。 4. オピニオンリーダーとしての活動 当社は、日本の産業の振興、ひいては世界の産業の振興への貢献をめざし、知的財産の業界をリードする活動を積極的に行っています。2014年には、LOT(License on Transfer)ネットワークを他社とともに設立し、自らは事業を行わず特許訴訟を脅しに利益を得るPAE(Patent Assertion Entity)による不当な特許訴訟から会員企業を守る仕組みを構築しました。2026年1月時点で5,800社以上が会員企業になっています。また、2019年より、世界知的所有権機関(WIPO)が運営する、環境技術の活用を促進するためのプラットフォームであるWIPO GREENにパートナーとして参加し、WIPOと協力して環境技術の普及を行っています。 当社は、パートナーづくりにも注力しており、2023年には国立研究開発法人 産業技術総合研究所(AIST)が民間企業と共同で実施するAIST Innovation Ecosystem Programに設立メンバーとして参画しました。新たな技術の社会実装化を支援するとともに、プログラムから生まれた技術へのアクセスを得て更なるイノベーションの推進につなげています。 このような活動により、他社特許侵害のリスク低減、保有特許の活用機会創出、アクセス可能な技術及び特許の拡大を実現し、知財面からの事業支援を行うとともに、世界の知財エコシステムの構築に貢献しています。 <リスク管理> 知的財産に関するリスクとその対応については、3 事業等のリスク をご参照ください。 <目標> 当社では、事業に稼がせる知財を標榜し、事業発展に貢献することを目的として知財活動を行っております。活用を考慮に入れた知的財産ポートフォリオの構築を進め、構築されたポートフォリオを活用することで、事業の収益性を向上させています。保有する8万件超のポートフォリオは時代に合わせて新陳代謝を図っており、新規事業を支える技術分野の出願比率を戦略的に増やし、新規事業のビジネス拡大・収益向上に貢献することを目指します。また、世界最先端の技術をもつ企業が多く市場規模も大きい米国においては、事業拡大や他社とのライセンス交渉などの観点から、米国特許取得件数ランキングでトップ10以内の継続を目指します。 当社の知的財産活動に関するその他の情報は、当社ウェブサイト(https://global.canon/ja/intellectual-property/)に掲載しております。

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開示資料

出典

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