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日経平均64,325.64-1,890NYダウ53,020.8+254ドル円158.87-1NASDAQ26,203.91+104S&P 5007,667.95+36SOX 指数11,316.82+289/2終値

スリー・ディー・マトリックス

3-D Matrix,Ltd.7777 · Growth · 精密機器

MIT発の自己組織化ペプチド技術を基盤に、外科・組織再生・DDS領域で医療機器・医薬品を開発するバイオベンチャー。

概要

スリー・ディー・マトリックスは、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)発の自己組織化ペプチド技術を基盤とする医療製品開発企業である。2001年に米国で設立され、2004年に日本法人を設立、2011年に大阪証券取引所JASDAQに上場した。主力製品は吸収性局所止血材であり、米国・欧州・日本・オーストラリアで販売承認を取得し、グローバルに事業を展開する。従業員数129名、本社は東京都千代田区。

自己組織化ペプチド技術を軸とする単一セグメント

当社グループは、連結子会社7社で構成され、医療製品事業の単一セグメントである。すべての製品はMITから独占的実施権を得た自己組織化ペプチド技術を基盤とする。事業は外科領域、組織再生領域、DDS領域にわたり、医療機器及び医薬品の研究開発・製造・販売を行う。小規模組織ながら、外部機関との共同研究を活用して効率的に開発を進めている。

売上の8割超を海外が占める地域構成

2026年4月期の製品販売額10,886百万円の内訳は、米国6,249百万円(57.4%)、欧州2,595百万円(23.8%)、日本1,256百万円(11.5%)、その他783百万円(7.2%)である。米国が最大市場であり、消化器内視鏡領域の止血材が成長を牽引する。欧州では代理店販売、日本では直販体制をとるが、日本市場では保険償還請求の一部拒否事例が成長を鈍化させている。

営業黒字化を達成した財務転換点

当社は長らく営業損失を継続してきたが、2026年4月期に初めて通期での営業利益1,335百万円を計上した。売上高は前期比57.0%増の10,886百万円、売上総利益は93.7%増の8,572百万円となった。経常利益は為替差益も寄与し3,971百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は4,155百万円である。これにより、継続企業の前提に関する不確実性は解消された。

開発パイプラインは外科・組織再生・DDSの3領域

外科領域では、吸収性局所止血材(TDM-621)が主力であり、粘膜隆起材(TDM-644)、後出血予防材、癒着防止材を開発中である。組織再生領域では、創傷治癒材(TDM-511)と歯槽骨再建材(TDM-711)を手掛ける。DDS領域では自己組織化ペプチドを薬物担体として利用し、主に製薬企業へのライセンス収入を目指す。新規ペプチド配列を用いた止血材も開発中である。

業界の中での役割は医療機器・医薬品の研究開発型メーカーにあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

売上高
109億円
営業利益
13億円
営業利益率
11.9%
純利益
42億円
2026/4 通期の連結業績。決算の内訳は最新の決算以降にあります。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2026/3期)より

01外科領域主力

自己組織化ペプチド(RADA16)を基盤とした吸収性局所止血材、粘膜隆起材、後出血予防材、癒着防止材を開発。止血材は欧州で販売開始済みであり、日本・米国では直販体制を構築。

主要顧客FUJIFILM Europe B.V.

主な製品・サービス4
吸収性局所止血材(TDM-621)
自己組織化ペプチドRADA16を主成分とする。体液と接触するとゲル化し、創面を被覆して止血する。プレフィルドシリンジとブリスター包装により即時使用可能。
粘膜隆起材(TDM-644)
内視鏡的粘膜切除術等で病変部を隆起させるために使用する内視鏡用粘膜下注入材。体液でゲル化し、必要な隆起を形成する。
後出血予防材
TDM-621の適応拡大として開発中。治療後の後出血を防ぐ目的で、医療機器として承認取得を目指す。
癒着防止材
自己組織化ペプチドを応用し、術後の癒着を防ぐ素材。米国耳鼻咽喉科領域で販売中、産婦人科への適応拡大を目指す。

02組織再生領域準主力

自己組織化ペプチドの細胞外マトリックス類似構造を活かし、創傷治癒材や歯槽骨再建材を開発。消化管や皮膚の創傷治癒、歯周病による歯槽骨退行への対応を目指す。

主な製品・サービス2
創傷治癒材(TDM-511)
皮膚の創傷部に塗布し、創傷治癒に適した湿潤環境を維持する。粘膜組織の保護膜形成にも応用。
歯槽骨再建材(TDM-711)
歯槽骨再建術において骨再生の足場材となる。ゲル化したペプチドが細胞増殖を支え、骨再生を促進。

03DDS領域副次

自己組織化ペプチドを薬物送達システムの担体として活用。bFGFやPDGFなどのタンパク質徐放、siRNAの導入技術を研究開発し、製薬会社へのライセンス供与を目指す。

主な製品・サービス1
自己組織化ペプチド(A6K)
界面活性作用を持ち、溶液中でナノチューブを形成。siRNAを内包し細胞膜透過性を高めることで、遺伝子導入効率を向上させる。

製品と技術

プレフィルドシリンジ型の吸収性局所止血材

主力製品TDM-621は、自己組織化ペプチドRADA16を有効成分とする吸収性局所止血材である。シリンジに無菌充填されたプレフィルドシリンジ形態で提供され、使用前の調製が不要である。体液と接触すると速やかにゲル化し、表面皮膜と血管浅部を物理的に閉鎖することで止血する。既存のフィブリン系止血材と異なり生物由来原料を含まず、ウイルス感染リスクがなく、余剰分は生理食塩水で洗い流せる。

内視鏡手術の粘膜隆起を形成するTDM-644

TDM-644は、消化器内視鏡治療における粘膜切除術や粘膜下層剥離術の際に使用する内視鏡用粘膜下注入材である。RADA16の水溶液を病変部の粘膜下層に注入すると、体液との接触でゲル化し、病変部を確実に隆起させる。これにより、早期胃癌や食道癌の内視鏡的切除を容易にする。既存の生理食塩水と比べて隆起の持続性に優れ、操作性の向上に貢献する。

創傷治癒と組織再生を促す多用途ペプチド

自己組織化ペプチドは、細胞外マトリックスに類似したナノファイバー構造を形成し、創傷治癒材としても活用される。TDM-511は皮膚創傷部に湿潤環境を提供し治癒を促進する。また、歯槽骨再建材TDM-711は、インプラント術前の骨再生の足場材として機能する。これらはいずれもRADA16を基盤とし、化学合成により均一な品質で供給される。

DDS技術としての自己組織化ペプチド

当社は、自己組織化ペプチドを薬剤の担体として利用するDDS領域の研究開発も行っている。特に、界面活性作用を持つペプチドA6Kは溶液中でナノチューブを形成し、siRNAなどの核酸医薬を細胞内に導入するためのキャリアとして期待される。bFGFやPDGFなどのタンパク質の徐放にも複数の有効性試験を実施してきた。この分野では製薬企業への技術供与(ライセンス)による収益化を目指している。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

精密機器のなかでの位置

医療用止血材ベンチャー、赤字継続

精密機器業界に属し、独自の止血材「PuraMatrix」を開発・販売。同業他社は医療機器や検査装置など多岐にわたるが、具体的な競合は示されておらず、新興企業としての位置づけ。2024/4月期売上高46億円(前期比倍増)ながら営業損失45.65%と赤字幅大きく、2025/4月期も売上高69億円、営業損失17.39%と赤字継続見込み。研究開発費や販管費が収益を圧迫。早期の黒字化と事業の持続可能性が焦点。

強み

  • 「PuraMatrix」は自己組織化ペプチド技術。国内外で特許保有。
  • 売上高が23→46→69億円と2期で3倍増。市場浸透中。
  • 国内外の医療機器大手とライセンス契約や共同開発を推進。
  • 外科手術や救急現場で止血材への需要は堅調。

課題

  • 営業損失率▲45%→▲17%と改善途上も、早期黒字化が不可避。
  • 赤字継続でキャッシュ消耗。追加増資や借入が事業リスクに。
  • 既存止血剤や新技術との競合激化で、差別化が難しくなる可能性。

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

精密機器の時価総額近傍。太字がスリー・ディー・マトリックス

時価総額で並べると、掲載11社のなかで6番目にあたる。

#企業時価総額PER
17715長野計器729億円13.5倍
2255Aジーエルテクノホールディングス684億円12.2倍
3368A北里579億円14.9倍
47717ブイ・テクノロジー539億円22.0倍
57749メディキット461億円14.0倍
67777スリー・ディー・マトリックス458億円11.0倍
77723愛知時計電機444億円
87774ジャパン・ティッシュエンジニアリング357億円
97760IMV336億円14.3倍
107769リズム330億円13.7倍
117779CYBERDYNE298億円297.3倍

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は東証33業種の分類に従っています。

会社の歴史

沿革 23件

MITの技術を事業化した2001年の創業

2001年5月、MIT発のバイオベンチャーとして米国に3-D Matrix, Inc.が設立された。2003年4月には、同社がMITとの間で自己組織化ペプチド技術に係るライセンス契約を締結し、技術の独占的実施権を獲得した。これが現在の事業の基盤となる。2004年5月には日本での事業化を目的として株式会社スリー・ディー・マトリックス・ジャパンが設立された。

米国子会社化と株式上場に至る2007〜2011年

2007年10月、米国3-D Matrix, Inc.を連結子会社化し、グループ体制を強化した。2008年3月、商号を現在の株式会社スリー・ディー・マトリックスに変更。2010年8月に第一種医療機器製造販売業許可を取得し、製品化の準備を整えた。2011年10月、大阪証券取引所JASDAQ(グロース)に株式を上場し、資金調達の基盤を確立した。

欧州・米国・豪州で承認を獲得した2012〜2015年

2012年4月、フランスに100%出資子会社3-D Matrix Europe SASを設立し、欧州拠点を構えた。同年10月には医療機器品質マネジメント規格ISO13485を取得。2014年1月、欧州で吸収性局所止血材のCEマーキング指令適合認証を取得した。2015年2月には米国で創傷治癒材の市販前届出510(k)承認を取得。2016年1月にはオーストラリアでの製品登録承認を得た。

適応拡大と提携戦略を進めた2017〜2020年

2017年4月、中国でのライセンス許諾契約を締結し、アジア市場への足がかりを得た。2018年10月、欧州で後出血予防材の適応追加承認を取得。2019年4月、米国で耳鼻咽喉科領域の癒着防止材兼止血材の承認を取得し、適応領域を拡大した。2019年6月にはFUJIFILM Europe B.V.と消化器内視鏡分野での欧州独占販売契約を締結。2020年7月には日本での吸収性局所止血材の製造販売承認を取得した。

営業赤字から脱却した2021〜2026年

2021年6月、米国で吸収性局所止血材の510(k)承認を取得し、販売体制を強化。2022年4月には米国で粘膜炎の創傷治癒材の承認を得た。財務面では、2025年4月期に営業損失1,156百万円から、2026年4月期に営業利益1,335百万円へと転換。売上高は10,886百万円に達し、初の通期黒字を達成した。2025年12月には欧州で新規ペプチドの製造販売承認を取得し、次世代製品の準備も進む。

年表23件を開く

2000年代

  • 2001年5月MIT発のバイオベンチャーとして米国において3-D Matrix,Inc.(現連結子会社)設立
  • 2003年4月米国3-D Matrix,Inc.が、MITとの間で自己組織化ペプチド(*)技術に係るライセンス契約を締結
  • 2004年5月自己組織化ペプチド技術の日本における事業化を目的として㈱スリー・ディー・マトリックス・ジャパンを設立
  • 2007年10月M&A米国3-D Matrix,Inc.を子会社化
  • 2008年3月商号変更商号を㈱スリー・ディー・マトリックスに変更

2010年代

  • 2010年8月第一種医療機器製造販売業許可を取得
  • 2011年10月上場大阪証券取引所(現東京証券取引所)JASDAQ(グロース)に株式を上場
  • 2012年4月フランスに、当社100%出資の子会社として3-D Matrix Europe SAS.を設立
  • 2012年10月医療機器の品質マネジメントシステムのための国際標準規格「ISO13485」を取得
  • 2014年1月欧州において吸収性局所止血材のCEマーキング指令適合認証を取得
  • 2015年2月米国において創傷治癒材の市販前届出510(k)(*)承認を取得
  • 2016年1月オーストラリアにおける吸収性局所止血材の医療機器製品登録承認を取得
  • 2017年4月中国でのライセンス許諾契約を締結
  • 2018年10月欧州における吸収性局所止血材の後出血予防材の適応追加の承認の取得
  • 2019年4月米国における耳鼻咽喉科領域の癒着防止材兼止血材の製造販売承認を取得
  • 2019年6月FUJIFILM Europe B.V.と消化器内視鏡分野において吸収性局所止血材の欧州全域における独占販売契約を締結
  • 2019年9月オーストラリアにおける吸収性局所止血材の後出血予防材の適応追加の承認の取得

2020年代

  • 2020年7月日本における吸収性局所止血材の製造販売承認を取得
  • 2020年9月医薬品販売業許可を取得
  • 2021年3月高度管理医療機器販売業・貸与業許可を取得
  • 2021年6月米国における吸収性局所止血材の市販前届出510(k)承認を取得
  • 2022年4月米国における粘膜炎の創傷治癒材の市販前届出510(k)承認を取得
  • 2025年12月欧州における新規ペプチドの製造販売承認を取得

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2026/4期の経営方針より

会社は5つの方針を掲げている。そのうち2項目には、達成する数字が明記されている。

会社が掲げている数値目標
  • 事業収益2027年4月期まで13,422百万円
  • 研究開発費2027年4月期まで1,142百万円

有価証券報告書の原文に書かれた目標だけを載せています。達成度の評価や推計は加えていません。

  1. 01

    バイオマテリアルによる医療貢献

    企業理念に基づき、外科領域や組織再生領域で製品開発を継続し、グローバルな競争力を獲得することを目指す。

  2. 02

    製品のグローバル展開と適応拡大

    製造販売承認取得予定の製品の安定供給・販売体制を構築し、国内外での適応拡大に向けて経営資源を配置する。また、研究機関で応用研究が進むパイプライン候補の事業化にも注力する。

  3. 03

    収益拡大とコスト削減

    主力の止血材について、消化器内視鏡領域を重点領域とし、他領域は利益貢献が見込まれる範囲に留める。臨床試験を要しない又は最小規模で実施できる領域に研究開発を集中し、自社コストと時間を最小化する。

  4. 04

    財務基盤の強化

    金融機関からの借入を含む様々な資金調達を検討し、継続的な財務基盤の強化に努める。

  5. 05

    研究開発・経営管理体制の強化

    パイプライン進展とグローバル展開に対応するため、リスク把握と対処のための研究開発体制や内部統制を強化し、規制遵守と人材確保・育成に取り組む。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 11期分

グループ全体で129人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は942万円で、10期前と比べて+25.9%平均年齢は47.4歳、平均勤続年数は3.5年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数一人当たり営業利益万円
2016年4月38
2017年4月37
2018年4月42
2019年4月74843.23.855
2020年4月78443.34.365
2021年4月78644.14.669
2022年4月86646.81.385
2023年4月87946.21.7108
2024年4月91045.92.3106−1,981
2025年4月95746.03.1114−1,053
2026年4月94247.43.51291,008

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

拠点とグループ

設備と関係会社

関係会社6(国内 1 / 海外 5、うち連結子会社 6) を有報から抽出しています。

主要な設備 (帳簿価額 上位1)
本社 — 米国マサチューセッツ州2百万円
医療製品事業
ほか2件の開示あり
主な関係会社
  • 海外
    3-D Matrix,Inc.
    米国 マサチューセッツ州 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 海外
    3-D Matrix Europe SAS.
    フランス共和国 リヨン市 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 海外
    3-D Matrix Asia Pte. Ltd.
    シンガポール共和国 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 海外
    3-D Matrix Medical Technology Pty Ltd
    オーストラリア連邦 ビクトリア州 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 海外
    3-D Matrix EMEA B.V.
    オランダ王国 ホーフドルプ市 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 国内
    3-D Matrix UK Limited
    グレートブリテン及び北アイルランド連合王国 ロンドン市 · 連結子会社
    議決権100.0%

業績のいま

有価証券報告書・決算短信より

2026年4月期の売上高は109億円営業利益13億円前期と比べると増収で、売上が+58.0%。

売上高
+58.0%
109億円
営業利益
13億円
純利益
42億円
営業利益率
11.9%
前期比 +29.3%pt

会社が出している今期の予想2027年4月期

項目会社予想前期実績
売上高134億円109億円
営業利益17億円13億円
純利益16億円42億円
1株あたり配当¥0¥0

会社が決算短信で公表した予想です。証券会社の予想ではありません。 短信の原本

四半期の推移

10期分

直近は2026年4Qで、売上は61億円、営業利益は9億円。前年の2025年4Qと比べると、売上は+69.4%。

対象期間売上高億円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2023年3Q6−7−116.7−17
2023年4Q7−3
2024年1Q8−6−75.00
2024年2Q10−6−60.0−1
2024年3Q12−4−33.3−6
2024年4Q16−5−31.34
2025年2Q33−5−15.2−8
2025年4Q36−7−19.4−17
2026年2Q4848.317
2026年4Q61914.825

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。

業績の推移

有価証券報告書 15期分

2012年4月期からの15期で、売上は11億円から109億円へ9.9倍に増えた。直近期の営業利益率は11.9%。売上は8期連続で増加。

決算期売上高億円営業利益億円経常利益億円営業利益率%純利益億円
フランスに、当社100%出資の子会社として3-D Matrix Europe SAS.を設立
2012年4月1133
2013年4月0−10−10
2014年4月1−15−15
2015年4月1−18−20
2016年4月1−19−25
2017年4月6−13−14
2018年4月2−18−19
2019年4月3−24−26
2020年4月7−30−31
2021年4月10−19−20
2022年4月15−18−19
2023年4月23−24−24
2024年4月46−211−45.7−3
2025年4月69−12−25−17.4−25
2026年4月109134011.942

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。空欄の期は有価証券報告書からその項目の数値が取れていません(0ではありません)。

利益の構造

2026年4月期

売上高109億円のうち、営業利益として残るのは13億円11.9%。営業外の損益と税金を反映した純利益は42億円、売上の38.5%にあたる。営業利益率は業種中央値9.0%を上回る水準。

売上高を100としたときの内訳
  • 売上原価など作る・仕入れるのにかかったお金27.5%30億円
  • 販売費及び一般管理費売る・管理するのにかかったお金60.6%66億円
  • 営業利益費用を引いたあとに残った本業の利益11.9%13億円

有価証券報告書の損益計算書から、当期の金額をそのまま割り振っています。

営業利益率業種比+2.9pt
11.9%
本業の利益として残る割合
純利益率業種比+31.6pt
38.5%
税金まで払って最後に残る割合
ROE業種比+91.2pt
100.4%
株主のお金がどれだけ利益を生んだか
ROA
42.9%
資産全体がどれだけ利益を生んだか
ROIC
13.0%
事業に使うお金がどれだけ利益を生んだか

ROICは有利子負債の開示がないため、営業利益×0.7÷(総資産−現金)の簡易式で算出しています。

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 15期分

2026年4月期は営業CFが4億円、投資CFが0億円で、差し引きのフリーCFは4億円この組み合わせは現金積み上げ型にあたる。本業・資産売却・調達のすべてで現金が入ってきている。大型買収や再編の前触れのことも期末の手元現金は28億円で、売上の3.1ヶ月分にあたる

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2012年4月−1−114−218
2013年4月−7−110−820
2014年4月−17−124−1826
2015年4月−19−145−2051
2016年4月−15−30−1833
2017年4月−1913−1817
2018年4月−20−115−2112
2019年4月−23−131−2418
2020年4月−22−116−2311
2021年4月−32−235−3411
2022年4月−29−147−3028
2023年4月−46−130−4712
2024年4月−19021−1914
2025年4月−17020−1716
2026年4月408428

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 15期分

2026年4月期の総資産は98億円。このうち返さなくてよい自己資本が68億円で、自己資本比率は66.7%(業種中央値66.2%より厚い)

決算期総資産億円自己資本億円負債億円自己資本比率%
2012年4月3129293.9
2013年4月3021967.3
2014年4月41311070.5
2015年4月6864488.7
2016年4月4539681.1
2017年4月3426866.8
2018年4月3122958.7
2019年4月41152627.7
2020年4月315261.8
2021年4月35171834.5
2022年4月56154117.5
2023年4月585530.3
2024年4月59455
2025年4月65224326.8
2026年4月98683066.7

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2026年4月期の内訳
現金及び預金
28億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
-221億円
過去の利益の積み上がり
棚卸資産
31億円
在庫として抱えている分
負債合計
30億円
いつか返す必要があるお金
財務の健全性
74
/ 100
安定性自己資本比率40 / 40
収益力営業利益率24 / 30
現金創出営業CFの黒字継続10 / 30

有価証券報告書の数値から機械的に配点した参考値です。自己資本比率60%で満点、営業利益率15%で満点、直近3期の営業CFが黒字だった割合の3つを足しています。業態によって出ない要素があります。

業界内での比較

精密機器 52社との比較

同じ精密機器の企業と並べると、いちばん上に来るのはROE52社中1位あたり、逆に低いのは自己資本比率52社中26位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE上位株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
100.4%/中央値 9.2%
P25 5.8%P75 12.3%
営業利益率売上のうち本業の利益として残る割合
11.9%/中央値 9.0%
P25 4.5%P75 14.5%
自己資本比率総資産のうち返済のいらないお金の割合
66.7%/中央値 66.2%
P25 50.8%P75 76.4%
売上成長率上位前期からの売上の伸び
58.0%/中央値 5.3%
P25 1.7%P75 10.4%
配当利回り株価に対して1年で受け取る配当の割合
/中央値 2.1%
P25 1.4%P75 3.4%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月2日の終値

直近の終値は¥358で、1年前と比べて+61.3%過去52週の値幅のなかでは26%の位置にある。

¥358-4.8%1ヶ月+6.2%1年+61.3%時価総額458億円
過去52週の値幅
安値¥208高値¥793

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標
PER (実績)11.0倍
PER (会社予想)28.8倍
PBR6.74倍

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

8月19日に前日比-5.56%で357円。1カ月では+0.28%とほぼ横ばいですが、25日移動平均線(348.4円)を上回っています。週足では8月14日から3日連続で上昇し、381円まで戻す場面がありましたが、19日に下落しました。52週高値793円からは約55%下落しており、戻り途上にあります。出来高は直近でやや減少傾向ですが、RSIは64.93と中立圏で、需給は落ち着いています。医療機器関連としての成長期待と、短期的な材料の乏しさが交錯しています。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

AIの評価

AI評価

株価水準の解釈です。売買の推奨ではありません

現在の株価水準を割高と判定しています(スコア 20/100)

PER10.3倍は業界平均29.2倍を下回るが、PBR6.70倍と同業界平均3.47倍を大きく上回り、また無配である。直近3期連続の営業赤字・最終赤字で収益性が低く、高PBRを正当化する利益成長が見込めず、割高と判断。

指標この会社業種平均
PER (実績)11.0倍30.1倍
PER (予想)28.8倍
PBR6.74倍2.49倍
ROE100.4%7.9%

業種平均は同じ東証33業種に属する銘柄の単純平均です。銘柄数が少ない業種では平均が振れます。

AI評価判定とスコアは公開データをもとにした解釈で、将来の株価を示すものではありません。算出の考え方は編集方針に記載しています。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

2024年4月期に売上高46億円(前期比2倍)と急伸した一方、営業損失21億円、最終損失25億円と赤字幅は拡大。2025年4月期は売上高69億円へさらに拡大見通しだが、営業損失率は▲17.4%と赤字継続。医療機器は規制認証ハードルが高く、一度採用されると競合参入は容易でないため、成長性に期待する強気派がいる。一方、PBR6.7倍とバリュエーションは割高感があり、増収にもかかわらず赤字が続くことから「成長の質」や資金調達リスクを懸念する弱気派もいる。医薬品医療機器総合機構(PMDA)の承認や、海外での保険収載が今後の争点。

プラスに働く材料7
  • 増収加速と普及の兆し

    売上高が3期で15→46億円へ急拡大。24/4期は前期比+100%超。

  • 独自技術による参入障壁

    自己組織化ペプチド特許は競合模倣困難で、医療現場の切り替えコスト高い。

  • 海外市場での成長余地

    欧州・アジアへの販売網構築中。世界の手術用マトリックス市場は依然開拓余地大。

  • 2026年4月期の営業赤字縮小2026年4月期影響

    営業利益-12億円、前期比9億円改善、収益改善進む

  • 医療機器承認取得による急成長2026年Q1影響

    新製品上市で売上高100億円超の可能性(未確約)

  • PBR6.7倍の成長プレミアム継続影響

    高成長期待で割高評価、材料次第で更なる上昇

  • 提携先との共同開発進展不定影響

    大手製薬企業との提携で販路拡大、期待感

マイナスに働く材料7
  • 赤字拡大と資金リスク

    営業利益率▲45.6%(24/4期)から改善傾向だが、純損失25億円で資金消耗続く。

  • 割高なバリュエーション

    PBR6.7倍は同業平均を大きく上回る。PER10倍だが利益計上できず割高。

  • 保険収載と規制の不確実性

    国内保険適用や海外承認が遅れれば、成長計画に狂い生じる可能性。

  • 2026年4月期の大幅赤字継続2026年4月期影響

    純利益-25億円と拡大、資金調達リスク高まる

  • 臨床試験の遅延・失敗リスク2026年Q3影響

    新製品の承認遅れで成長シナリオ崩壊

  • 株式希薄化リスク次回増資影響

    赤字続きで資金調達必要、既存株主価値減少

  • 高PERの修正不定影響

    PER10倍と低いが、赤字企業ゆえバリュエーション不安定

次の決算で確かめる点
売上高成長率
増収トレンド継続が成長ストーリーの根拠。
営業利益率
赤字縮小ペースが自力収益化への鍵。
海外売上比率
海外展開進捗を示し、成長余地の実現度を測る。
現金及び現金同等物
赤字継続時の資金繰りリスク判断に必須。

株主

有価証券報告書より

2026年4月期末の株主数は延べ39,629人。区分でいちばん多いのは個人・その他83.8%。グループ会社や銀行などの安定株主が4.2%を占め、残る95.8%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2021年4月%2022年4月%2023年4月%2024年4月%2025年4月%2026年4月%
個人・その他80.186.187.887.782.283.8
証券会社4.93.23.22.69.45.8
外国法人6.83.62.73.52.95.8
事業法人7.05.85.55.84.53.6
金融機関0.40.50.10.20.40.6
外国人個人0.70.70.60.30.60.4

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01JPモルガン証券株式会社2.02
02BNY GCM CLIENT ACCOUNT JPRD AC ISG1.76
03永野 恵嗣1.45
04楽天証券株式会社1.26
05松本 松二1.09
06山田 祥美0.81
07野村証券株式会社0.79
08石井 良明0.68
09小林 達雄0.66
10寺西 雅行0.65

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

大量保有報告の動き
5%超の保有者の提出ベース 直近3
  • 2026-05-20
    JPモルガン証券株式会社
    新規の大量保有報告
    1.73%
    -0.95pt
  • 2026-05-12
    株式会社SBI証券
    新規の大量保有報告
    4.32%
    -0.72pt
  • 2026-04-21
    株式会社SBI証券
    新規の大量保有報告
    5.04%

提出があった時点の記録です。その後5%を割った保有者が一覧に残ることがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 15期分

1株利益は15期で+89%、1株純資産は12期で−67%。直近期のROEは100.4%で、日本株の目安とされる8%を上回る。

決算期EPSBPSROE%PER
2012年4月1815615.448.3
2013年4月−53107
2014年4月−78146
2015年4月−95282
2016年4月−114168
2017年4月−65106
2018年4月−8177
2019年4月−9740
2020年4月−103
2021年4月−5027
2022年4月−3718
2023年4月−41
2024年4月−3
2025年4月−2516
2026年4月3551100.414.8

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安
ROE自己資本利益率
株主のお金でどれだけ稼いだか。日本株では8%が一つの目安
PER期末実績
株価が1年分の利益の何倍か。低いほど割安とは限らず、期待の低さのこともある

経営陣

8名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は8名。2026/4期の役員報酬は総額121百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約2倍にあたる。

氏名役職年齢
天沼利彦代表取締役 社長50
永野恵嗣取締役 会長72
小林智取締役45
茂木龍平取締役59
菅野みずき取締役45
竹本毅監査役(常勤)70
大川原紀之監査役56
伊藤耕一郎監査役53

役員報酬の内訳2026/4

役員の区分人数固定報酬百万円その他百万円合計百万円1人あたり百万円
取締役(社内)5101210220
社外監査役313134
社外取締役2663

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2026/4期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容9,004字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3【事業の内容】 当社グループは、当社及び連結子会社7社で構成され、MITより自己組織化ペプチド技術に係る特許の独占的実施権の許諾を受けて、同技術を基盤技術とした製品の研究開発・製造・販売を実施することを目的とした医療製品事業を行っております。 当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであり、医療製品開発・販売で構成されております。その内容は以下のとおりです。 (医療製品事業の構成) 区分   内容 医療製品開発・販売   自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域・組織再生領域・DDS領域において医療機器及び医薬品の研究開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材、粘膜隆起材、後出血予防材、癒着防止材を有しており、組織再生領域では創傷治癒材、歯槽骨再建材、DDS領域では核酸医薬等のためのDDSを有しています。 (1)自己組織化ペプチド技術の特徴 当社グループの基盤技術となっている自己組織化ペプチド(*)のうち最も開発が先行し複数の製品を上市しているペプチドRADA16は、体を構成するアミノ酸(*)であるアルギニン(R)(*)、アラニン(A)(*)、アスパラギン酸(D)(*)からなる(RADA)の繰り返し配列である16残基のペプチド(*)であり、このペプチドを溶解した水溶液はpH(*)が酸性から中性になると速やかにゲル化(*)する性質を有しています。具体的には、分子同士が繊維状に結合(自己組織化)してナノファイバーを形成し、そのナノファイバーが絡み合うことでゲル化します。形成されたゲルは生体内で細胞が培養される環境に近く、コラーゲン等の細胞外マトリックス(*)に似た網目構造をしています。 当社の自己組織化ペプチドは、生物由来の原材料を含まず化学合成により生産されることから、生物由来の原材料から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入の可能性がないため安全性が高く、ほぼ均一の品質で大量生産が可能な点が特長として挙げられます。自己組織化ペプチドは、これまでに実施したADME試験(*)において、特定の臓器に蓄積されることなく、生体内のタンパク質と同様にタンパク質分解酵素(*)により分解され、30日程度で体外に排出されることが確認されています。 (2)医療製品開発 医療製品開発は、自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域、組織再生領域、DDS(*)領域において医療機器及び医薬品の開発を行う事業です。 主要な開発パイプラインのうち、外科領域では吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、組織再生領域では歯槽骨再建材・創傷治癒材についてはそのいずれについても、医療機器として自ら開発し製造販売承認を取得する方針ですが、地域によっては薬事規制、市場動向、当社グループのリソース等を勘案して現地企業等と提携することでの製品化も実施していく方針です。販売についても製品、地域に応じて、代理店を通じての直接販売及び販売パートナーに対する販売権許諾の双方の戦略を適切に選択しあるいは組み合わせていく方針です。DDS領域では、自己組織化ペプチドを薬剤の担体(*)とし、各薬剤と組み合わせた製品化に向け取組んでおりますが、医薬品として開発することとなる可能性が高く当社独自で薬剤や治療物質について技術を取得するには時間を要することからも、製薬会社等に技術供与(ライセンス)を行うことによりロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指してまいります。 その他当社グループでは、大学等の研究機関とのMTA契約(*)及び共同研究契約に基づく共同研究によって、自己組織化ペプチドを基盤とした応用技術の獲得に取組んでいます。 A 各領域及び各パイプラインの概要 (A) 外科領域 当社は、外科領域において、吸収性局所止血材、粘膜隆起材、癒着防止材の開発パイプラインを有しています。 a)吸収性局所止血材 当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、出血部に塗布して用いる外科手術用の吸収性局所止血材(開発コード:TDM-621)(以下「TDM-621」という。)の開発を進めています。RADA16の水溶液は、血液等の体液と接触するとpHが中性化され、自己組織化してナノファイバーを形成しゲル化します。ゲルは体組織との接触面を隙間なく被覆し、被膜が形成されて表面皮膜及び血管浅部を物理的に閉鎖し、血管深部では血液凝固が生じることで止血されます。 <自己組織化ペプチドのゲル化形成> 自己組織化前のペプチド分子 <止血方法 概略図> TDM-621は、RADA16の水溶液をシリンジに無菌充填したプレフィルドシリンジ(*)形態で、ブリスター包装(*)された製品であるため、手術現場では、パックを開封してすぐに使用することが可能であること、使用前の調製の必要がない等、適用量が調整しやすく操作性に優れていることといった特長を有しています。また、澄明な液体形状であることから術野を妨げることがなく、カテーテルや組織の狭部への適用も容易です。 既存の止血剤製品群(*)は、糊状・シート状・粉末状等の形状がありますが、主として糊のように機能して接着することにより止血効果を得るものであるのに対し、TDM-621は物理的に表面皮膜及び血管浅部を閉鎖して止血するものであるため、既存製品と異なり接着による待ち時間、圧迫による圧着時間を短縮することが可能です。また、既存製品は、一度組織に接着すると除去が困難であるのに対し、TDM-621は、余剰部分を生理食塩水により洗い流すことで容易に除去することができます。既存製品の多くは、フィブリノゲン(*)等の人や動物の血液から生成又は動物の皮膚から生成したコラーゲン等を原材料としており、これらの原材料から生じるウイルス感染等のリスクは完全には否定できないことから、生物由来製品又は特定生物由来製品として指定されており、医療現場においては、① 患者(又はその家族)への適切な説明、② 使用記録の作成と保管、③ 感染症等情報の報告等における管理体制の厳格化が要請されます。これに対してTDM-621は、生体内に存在するアミノ酸を化学的に合成したもので生物由来の細胞、組織等を原材料として含まないため、これらの原材料から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入によるリスクがありません。また、生物由来製品又は特定生物由来製品に求められるプロセスが不要なため、TDM-621は患者と医療従事者の負担の軽減にも貢献できるものと考えられます。 b)粘膜隆起材 当社は、自己組織化ペプチドを基に、消化器内視鏡治療による胃癌や食道癌等の粘膜切除術や粘膜下層剥離術(*)において、腫瘍部位の粘膜隆起を形成する内視鏡用粘膜下注入材(*)(開発コード: TDM-644)(以下「TDM-644」という。)の開発を進めています。胃や食道等の早期癌治療において行われる内視鏡による粘膜切除術や粘膜下層剥離術では、粘膜下層に生理食塩水や内視鏡用粘膜下注入材を病変部の粘膜下層に注入し、病変部を隆起させ、隆起させた根元部分に細いワイヤーをかけて締めた上で高周波を流して焼き切り(内視鏡的粘膜切除術)又は隆起させた病変部を粘膜下層の深さで電気メスにより引き剥がし(内視鏡的粘膜下層剥離術)、病変部を取り除きます。この病変部を隆起させるために用いられる内視鏡用粘膜下注入材として開発しているのがTDM-644であり、血液等の体液と接触することで中性化しゲル化して必要な隆起を形成するものです。 <粘膜隆起方法 概略図> c)後出血予防材 当社グループにおいては、TDM-621について治療後に起こる後出血について医療機器としての承認を得るべく開発を進めています。治療時に後出血が生じると、再手術が必要となることから患者及び医療機関双方の負担が大きく、強いニーズがあります。消化器内視鏡治療における出血はおおよそ5%程度であるのに対し、治療後に後出血が懸念されるリスクの高い患者・手技はおおよそ30%あるとされており、本適応の追加により当社製品が獲得可能な市場は数倍に拡大する可能性があります。 d)新規ペプチドを用いた止血材 RADA16とは異なる、当社が独自に開発した新規ペプチド配列を用いた開発品です。現在の止血材より原価を大幅に削減できる等の優位性があることから、将来的に主力製品として市場に供給すべく開発を進めてまいります。 e )癒着防止材 RADA16について、止血材だけではなく、癒着防止材、創傷治癒材としての開発も進めております。米国においては、耳鼻咽喉科領域において既に販売を開始しておりますが、今後、はるかに大きな市場が存在する産婦人科等の領域に適応拡大をすべく、日本と欧州双方で医師主導治験の準備を進めております。 (B) 組織再生領域 自己組織化ペプチドは、細胞の増殖を支える細胞外マトリックスに似た物理構造を有することから、当社グループでは、組織再生領域において創傷治癒材、歯槽骨再建材を開発パイプラインとして有しております。また、当社グループは、当該パイプライン以外に、歯槽骨以外の骨の再建、軟骨・腱の再生、心筋の再生等に関する研究を行っております。 a)消化管の創傷治癒材 当社グループは、直腸における粘膜炎により損傷した粘膜組織に塗布することで粘膜組織上に保護膜を形成し、二次炎症の防止や痛みの軽減に加え創傷治癒に最適な湿潤環境を維持する創傷治癒材を開発しております。 b)皮膚における創傷治癒材 当社グループは、皮膚(表皮、表皮・真皮)からの出血を迅速に止血する局所止血材、皮膚の創傷部の創傷治癒に適切な湿潤環境を維持する、創傷治癒材(開発コード:TDM-511)(以下「TDM-511」という。)を開発しております。 c)歯槽骨再建材 当社グループは、歯周病による歯槽骨の退行で歯が脱落した場合等に、インプラント術前にインプラント固定に充分な骨量を確保するために行う歯槽骨再建術において、骨再生のための足場材(*)となる製品(開発コード:TDM-711)(以下「TDM-711」という。)の開発を行っています。 ゲル化された自己組織化ペプチドは、ナノファイバーによる3次元構造が維持され、生体内で細胞が増殖する環境に近く、生体組織の再生をサポートする特性を有しています。TDM-711は、骨量不足箇所に充填されると、かかる特性により足場材として骨再生を促進します。米国でのインプラント治療における歯槽骨再建術では、代替骨を用いる施術も少なくなく、自家骨(*)や他家骨(*)、人工骨を用いた再建術が行われていますが、当社グループは、他家骨や人工骨を用いた再建術において、その生着を高めるためにTDM-711を用いることの開発を進めております。 (C) DDS領域 当社は、DDS領域において、自己組織化ペプチドをDDSにおける薬剤や治療物質のキャリア担体として活用するための研究開発を行っており、bFGF(*)・PDGF(*)等のタンパク質の徐放においても複数の有効性試験を実施しております。中でも、ハイドロゲルを形成する自己組織化ペプチドとは異なり界面活性(*)作用を持つペプチド(A6K(*))については、溶液中でナノチューブを形成する性質を有するため、当社は、癌細胞へのsiRNA(*)の導入試験において、かかる性質を活かし、ナノチューブに内包された形で癌細胞膜透過性をもたらし、導入効率を高めていく研究を行っております。 B 医療製品の開発プロセス 当社グループが自社による開発や製造販売承認取得を目指している医療製品の多くは、医療機器に分類されます。 新たに医療機器や医薬品を開発する場合、その開発プロセスは、基礎研究、前臨床試験、臨床試験、製造販売承認申請という基本的な流れは共通ですが、医薬品の場合には臨床試験が多段階に設定されており、一般に試験を行うことが要求される対象例や症例数が多く、医薬品の開発プロセスは長期にわたります。 医薬品の開発プロセスでは、臨床試験の試験相が第Ⅲ相まで(第Ⅰ相・第Ⅱ相で少数の健常人や患者に対して投与し安全性や有効性の評価を行い、第Ⅲ相で多数の患者に投与し、安全性や有効性の確認・実証を行う)に分かれるのに対し、当社グループが開発している医療機器では1つの相で比較的短期間に臨床試験が実施されます。 当社グループでは、現在、外科領域における吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、組織再生領域における創傷治癒材・歯槽骨再建材を医療機器として開発し、当社グループ自ら製造販売承認を取得しています。なお、DDS領域における自己組織化ペプチド薬剤の担体については、医薬品としての開発となる可能性が高いこと、また、当社独自で薬剤や治療物質についての技術を取得するには時間を要すること等から、主に大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を行うことでロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指します。 当社の医療機器の研究開発プロセスの概要は以下のとおりです。 各プロセス   内容 ①   基礎研究   当社技術が適用可能で医療機器として開発可能なアプリケーションの探索及び製品スペックの最適化を行う。 ②   前臨床試験   医療機器としての条件を満たす安全性、有効性を動物実験により検証を行う。 ③   臨床試験   患者に対する医療機器の安全性、有効性について検証を行う。 ④   製造販売承認申請   厚生労働省/PMDA、米国のFDA等の各国の許認可審査機関へ製造販売承認の申請を行う。 ⑤   製造販売承認取得   厚生労働省/PMDAや各国の許認可審査機関から製造販売承認を得る。 ⑥   保険収載   各健康保険の適用が可能な償還価格(*)を得る。 ⑦   上市   医療機器製品として製造及び販売を行う。 C 医療製品開発の事業体制 当社グループでは、小規模・少人数の組織体制で医療製品開発を効率的に進めるため、外部機関を有効に活用して事業を遂行しています。研究開発においては、当社グループがMITから独占的実施権を得ている自己組織化ペプチド技術を基盤技術として、大学・研究機関等とMTA契約又は共同研究契約を締結し共同研究等によって応用技術の獲得に取組んでいます。 当社グループにおける基本的な医療製品事業の流れは以下のとおりです。 (注)1 契約一時金は提携契約締結時に収益となるものであり、マイルストーンペイメントは開発過程において提携契約に定める一定の段階を達成した場合に収益となるものです。 2 業務委託先とは受託臨床試験機関(以下「CRO」という。)や薬事アドバイザー等です。 3 連結子会社である3-D Matrix,Inc.であります。 D MITとのライセンス契約について 当社が開発・販売している製品の基盤となる自己組織化ペプチド技術は、MITの研究者の発明によるものであり、MITは、かかる技術に関連する技術を多数有しています。当社子会社は2003年4月にMITとの間でExclusive Patent License Agreementを締結し、MITから、全世界における医療・生命科学・美容の分野にかかる同特許の独占的実施権(再許諾権付)の許諾を受け、また、当社は2004年10月に当社子会社との間でLicense and Supply Agreementを締結し、当社子会社からアジア地域における同分野にかかる同特許の実施権の再許諾を受けています(なお、2007年10月の米国3-D Matrix,Inc.の当社子会社化に伴い、当社及び当社子会社は2009年4月に同契約について必要な改訂を行っております。)。なお、MITからライセンスを受けている特許以外にも、当社は、次世代の自己組織化ペプチドを独自に開発して、また、当社グループ独自に又は共同研究パートナーと共同で開発した自己組織化ペプチド技術を基盤とした応用技術に関し、当社グループ単独又は共同研究パートナーと共同で特許出願を行い、その中のいくつかについて特許登録を受けております。 (3) 製造 吸収性局所止血材の製造に関して、扶桑薬品工業株式会社及びドイツのPharmpure社との間で製造委受託契約を締結し、製造を委託しております。 (4) 販売 欧州においては、2019年にFUJIFILM Europe B.V.(以下「FUJIFILM」という。)と止血材の消化器内視鏡領域にかかる独占販売契約を締結し、同社において販売を開始しております。その他の領域については主に直販体制による販売を行っております。 米国、日本、オーストラリアにおいては、直販体制による販売を行っております。 (用語解説) 用語   意味・内容 自己組織化ペプチド   生理的条件下(中性pH、塩の存在)に置くと、ペプチド分子同士が規則的に集合し、ナノファイバーを形成するペプチド群。 510(k)   既存の医療機器と同等の機能を有する医療機器の登録制度。 アミノ酸   同一分子内にカルボキシル基(-COOH)とアミノ基(NH2)を有する化合物。 アルギニン(R)   タンパク質を構成する塩基性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。 略号はR又はArgで表記される。 アラニン(A)   タンパク質を構成する中性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。 略号はA又はAlaで表記される。 アスパラギン酸(D)   タンパク質を構成する酸性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。 略号はD又はAspで表記される。 ペプチド   アミノ酸が2個以上結合した化学物質(結合するアミノ酸の数によってジペプチド、ポリペプチド等とも呼ばれる)。 pH   酸性、アルカリ性を表す指標(水素イオン濃度)。 ゲル化   液体的な柔軟性を持ちつつ、個体のような弾力性を有する吸収性高分子素材であるゲルを生成すること。 細胞外マトリックス   細胞の外側にあるコラーゲン等の構造タンパク質、細胞の生着・増殖等を支える足場(Scaffold)材。 ADME試験   ADMEとはAbsorption(吸収)・Distribution(分布)・Metabolism(代謝)・Excretion(排泄)の頭文字をとった名称で、医薬品等が体内に服用されてから体外に排泄されるまでの経過のこと。ADME試験とは、体内にある薬又は同等物の体内での存在期間、排出過程を時間単位で追跡していく薬物の動態試験。 タンパク質分解酵素   タンパク質又はペプチドのペプチド結合を加水分解して、複数個のアミノ酸又はペプチドを生成する酵素であり、プロテアーゼ・ぺプチダーゼともいう。 DDS   必要な薬物を必要な部位で必要な長さの時間、作用させるための薬物送達システム(工夫や技術)。Drug Delivery Systemの略称。 担体   吸着や触媒活性を示す物質を固定する土台となる物質。 MTA契約   研究試料供給契約をいう。研究試料(試薬、遺伝子や細胞、実験動物等)の提供を行うための契約で、その試料の取扱や権利、免責等について規定する。 プレフィルドシリンジ   治療等に必要である医薬品が注射器(シリンジ)にあらかじめ充填され、すぐに使用できる状態のもの。 ブリスター包装   片面に比較的堅い材質の板状のものを使う薬の包装や厚紙を台紙とし商品名等を印刷し、板状のプラスチックをバキュームフォーム等で成型し商品を囲み込み台紙に接着した又はスライド式着脱可能な包装のこと。 止血剤製品群   外科手術等で生じた比較的狭い範囲での出血を止めるために使用されるもので、外科手術等において止血用途で使用される止血剤や組織接着剤等を含めた広義の製品群。 フィブリノゲン   血液凝固因子の一つで、線維素性の血漿蛋白原。 粘膜下層剥離術   癌の周囲にヒアルロン酸等の薬液を注射し、十分な粘膜下膨隆を作った上で、さまざまな電気メスを用いて癌を少しずつ切りはがしていく早期胃癌や早期食道癌に対する比較的新しい手術方法。電気メスを用いて切り取るため、内視鏡的粘膜切除術とは異なり、切除する組織の大きさに制限がなく大きい病変を一括して切除することが可能。 用語   意味・内容 内視鏡用粘膜下注入材   内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術を実施する際に、病巣部を取りやすくするために、病巣部を隆起させるために使用する生理食塩液やヒアルロン酸等のもの。 足場材   体内にあるコラーゲン等の細胞間マトリックスであり、細胞増殖のための足場となるもの。 自家骨   自分自身の骨。 他家骨   他人の骨。 bFGF   塩基性線維芽細胞成長因子。創傷時における線維芽細胞増殖や血管新生に関与する。 PDGF   血小板由来成長因子。主に間葉系細胞(線維芽細胞、平滑筋細胞、グリア細胞等)の遊走及び増殖等の調節に関与する。 界面活性   少量で液体の表面張力を低下させる物質。 A6K   自己組織化ペプチドの一種で、アミノ酸配列AAAAAAKであるもの。水溶液中で粒子径が約50-100nmのナノチューブを形成する。 siRNA   21-23塩基対から成る低分子二本鎖RNA。siRNAはRNA干渉(RNAi)と呼ばれる現象に関与しており、伝令RNA(mRNA)を分解することによって配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。 償還価格   健康保険の給付対象となる医療機器等について、厚生労働省が定めた価格。
経営方針・対処すべき課題2,515字を開く

経営陣が考える方向性と課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)経営方針 当社グループは、「バイオマテリアルによって医療の進展に貢献する」を企業理念とし、外科領域、組織再生領域等において製品開発を続け、グローバルな競争力を獲得することに努めてまいります。 (2)経営戦略等 当社は、医療機器の開発企業として、製造販売承認を取得予定の製品の安定供給体制・販売体制の構築及び製品のグローバル展開を目指しており、国内外の適応拡大に向け経営資源を配置いたします。さらに、その他の各パイプラインや現在国内外の研究機関で応用研究が進んでいる次のパイプライン候補の事業化に注力いたします。 (3)目標とする経営指標 当社グループは、医療機器や医薬品の研究開発投資を行う先行投資型企業であります。外科領域では吸収性局所止血材、後出血予防材、粘膜隆起材、癒着防止材等を開発しており、組織再生領域では歯槽骨再建材、創傷治癒材等の開発をしております。このパイプライン群を早期に製品化し、製品販売で収益を確保することが安定的な企業運営に繋がることから、事業収益を主要な経営指標に位置付けております。また、そのためには当社グループ内の基礎研究の共有や効率化を実施し、臨床開発等の研究開発費を効率よく管理していく必要があり、その観点からは研究開発費も重要な経営指標に位置付けております。 なお、2027年4月期は、製品販売による事業収益は13,422百万円、研究開発費は1,142百万円を計画しております。 (4)対処すべき課題 当社グループは、医療分野を取り巻く現状を分析し、それらを踏まえた最善の事業戦略の策定及び推進実行に向けて、具体的には以下のような点が事業運営上の課題と認識しております。 ①事業収益拡大とコスト削減 当社グループは、主力製品である止血材について、世界最大の市場を有する米国のほか、欧州、日本、オーストラリアにおいて、本格的に製品販売を実施しております。売上成長を最大化するために、各極において営業体制を確立・拡大し、相応の営業費用を投じてきた結果、前連結会計年度以前は営業損失が継続しておりました。しかしながら当連結会計年度には、グループ全体としては業績改善の途上であるものの、米国子会社における業績拡大が進んだことを主因として、営業利益を計上するまでに至りました。 今後も当面の期間は、当社止血材の優位性が高く、売上成長が確実に見込まれる消化器内視鏡領域を引き続き重点領域とし、他領域の営業体制は利益貢献が見込まれる範囲内での活動に留めることで、継続的な売上成長を実現しつつ、同時に確実な収益確保を重視する方針にて進めてまいります。 また研究開発に関しては、引き続き臨床試験を必要としない又は最小規模で実施できる領域に注力してまいります。また、グローバルに見て最も魅力的な米国市場を最終的なターゲットとして、自社コストや時間の最小化に努めつつ、研究開発を継続してまいります。 ②資金調達 前連結会計年度以前は、当社グループの事業継続に必要な資金は、主に、投資ファンドのハイツ・キャピタル・マネジメント・インク(以下「ハイツ」という。)に対する転換社債型新株予約権付社債の発行並びに新株予約権の発行及び権利行使により調達しておりました。これらの資金調達手段は、株式市場の動向や株価の下落等により資金を確保できないおそれや、早期償還条項の適用により最終償還日より前に返済を求められるおそれがあったため、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められました。 しかしながら、上記①記載のとおり、当連結会計年度には営業利益を計上するまでに至り、その結果、当連結会計年度末における現金及び預金残高は2,830百万円となっております。これに加えて、ハイツに対して発行した全ての転換社債型新株予約権付社債の償還又は転換が完了したことにより、早期償還条項の適用により最終償還日より前に返済義務を負うおそれもなくなっております。さらには、取引金融機関と交渉し、新規の当座借越契約及び既存のコミットメントラインの融資枠の拡大も行われております。今後も引き続き、金融機関からの借入を含む様々な資金調達を検討し、継続的な財務基盤の強化に努めてまいります。 なお、以上のことから、当社グループにおいて、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況は解消し、また、当連結会計年度末の翌日から1年間の資金繰りに重大な懸念はなく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断した結果、「継続企業の前提に関する注記」は記載しておりません。 ③研究開発体制及び経営管理体制の強化 当社グループは、パイプラインの進展及び事業のグローバル展開に対応するため多様化するリスクを把握し、これに対処するための研究開発体制や経営管理体制の強化を経営課題と認識しております。 当社グループは、研究開発において小規模の体制で各規制当局の定める基準に準拠した体制を構築し、複数の製品開発を実施しております。今後、研究開発活動がさらに拡大、グローバル化した際にも必要な情報の収集を行い、社内規程の改訂や継続的社員教育等を通して、法令や規則の遵守のための活動を継続して行ってまいります。 また、当社グループは小規模組織ですがグローバルに拠点を展開しております。そのため、グループ全体での内部統制体制を確立することを目指し、統制項目や業務プロセスを検証し、リスクを洗い出し、それを最小化する取組を実施しております。今後も組織的な内部統制の構築を進めるとともに、組織間の牽制機能の強化やコンプライアンス体制の強化に向け取り組んでまいります。 また今後も、上市製品の増大、事業展開エリアの拡大等、事業ステージに合わせて、充分な体制を維持すべく、事業計画に合わせた人員計画により、高度な専門知識・経験を有する国内外の人材確保や育成、外部リソースの積極活用に努めてまいります。
事業等のリスク9,393字を開く

会社が自認するリスクの一覧

3 【事業等のリスク】 以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。 当社グループとしては、必ずしも事業展開上のリスク要因に値しないと考えられる事項についても、投資判断上、重要と考えられるものについては、投資者への積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、これらのリスクを認識した上で、その回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式への投資判断は、本項及び本項以外の記載も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は当社グループに関連するリスクの全部を網羅したものではないことにご留意いただく必要があります。 なお、本文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。 ① 医療製品事業に関するリスク A 医薬品医療機器等法等の法的規制に関する事項 当社グループが開発、販売している医療機器を含む医療製品については、研究、開発、製造、販売といった事業活動に対して各国において薬事に関する法令及び行政指導等並びに諸関連法令等による種々の規制(以下「薬事関連規制」という。)がなされております。 当社グループでは、薬事関連規制の遵守に努め、事業の進捗に合わせて社内の体制の整備に取組んでおり、今後もこのような体制を維持・継続してまいりますが、薬事関連規制に変更があった場合等は、既に製造販売承認を受けて上市している止血材(以下においては止血以外の創傷治癒、癒着防止及び後出血予防の機能を合わせて有し又はこれらの機能を主なる機能とする医療機器も含め当社グループが製造販売承認を受けている医療機器を「本止血材」ということがある。)を含め、当社グループの医療製品の開発、販売に影響を与える可能性があります。また、本止血材については、上市した各国において製造販売に関する承認を得ておりますが、承認の申請に係る効能、効果又は性能が認められない等の事情が認められて、製造販売承認が取り消され、販売ができなくなることとなる可能性は否定できません。これらの事態が生じた場合、当社グループの医療製品の開発、販売に影響を与え、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 B 収益の不確実性に関する事項 本止血材は外科手術や消化器内視鏡領域において幅広く使用されて止血性能について高い評価を得、手術件数や適応症例数も安定的に推移しており、今後も安定した需要が見込まれます。また、生物由来品である既存製品と異なり、人工合成物であり安全性が高い本止血材は、既存製品と十分差別化できるものと考えております。しかしながら、医療製品業界においては、激しい競争状況の下、国際的な巨大企業を含む多くの企業、研究機関等により、開発が行われ、技術は常に進歩しています。従って、外科手術や消化器内視鏡領域をめぐる技術の大幅な変化や、当社グループの医療製品の性能を上回る性能の競合製品が市場に登場する等により、当社グループの医療製品の売上が減少する可能性は否定できません。この場合、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 C 保険制度の変化による収益の不確実性に関する事項 本止血材は、複数の国において保険収載されております。しかし、今後、保険制度の変更がなされたり又は本止血材について保険収載が取り消されたりもしくは保険償還価格の変更がなされる可能性は否定できません。これらの事態が生じた場合、本止血材を含む当社グループの医療製品の販売に影響が与えられ、ひいては当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼすこととなる可能性があります。 D 開発のプロセスに関する事項 医療製品の開発は長期間にわたり相当な費用が必要であるのに対して、その成功の比率は高いものではありません。現在開発を行っている製品を含め、当社グループが開発する医療製品の開発が成功しなかった場合には、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 E 特定の契約先からの事業収益への依存に関する事項 欧州での本止血材の販売についてはFUJIFILMへの依存度が高くなっております。今後、FUJIFILMとの契約が解除その他の理由で終了した場合には、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 F 重要な契約に関する事項 当社グループの事業展開上、重要な契約が解除された場合、不利な契約改定が行われた場合や契約期間満了後に契約が継続されない場合は、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 G 製造・販売・在庫に関する事項 当社グループは、主要原材料であるペプチドを十分な品質を担保して調達すべく、長年製造を委託しているペプチド製造会社に対し製造を委託しています。さらに、複数購買のために複数社との間で製造委託契約の交渉を行っております。また、本止血材の製造に関しては、扶桑薬品工業株式会社に加え、ドイツのPharmpur社との間でも製造委受託契約を締結し、複数の製造拠点に基づく安定した製品供給体制を構築しております。 このように、当社グループでは、本止血材の製品供給体制を強化するため、バックアップ体制の構築に取組んでおりますが、本止血材を含め、当社グループの医療製品について、想定外の事故等も含めペプチドを含む原材料及び各種構成部品の供給、委託製造の遅れが生じる事態になった場合には、当社グループの財政状況や経営成績に重大な影響を与える可能性があります。 また、製品販売が計画どおりに進まず、過剰な原材料を保有することになった場合には、原材料等の評価損計上等当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を与える可能性があります。 H 製造物責任等に関する事項 医療製品の設計、開発、製造及び販売には、予期せぬ副作用による健康被害のリスク及び製造物責任のリスクが内在しております。 当社グループにおいては、製品の基礎となる自己組織化ペプチド技術を利用した本止血材について、ヒトでの臨床試験を各国において実施済であり、因果関係を否定できない重篤な不具合及び副作用等の有害事象は検出されておりません。また、当社グループが各国において販売を行っている本止血材について、有害事象の報告はありません。しかしながら、今後、本止血材を含め、当社グループが開発した医療製品の予期せぬ副作用により患者に健康被害を引き起こす可能性は否定できません。また、副作用による健康被害以外に設計、開発、製造、販売において不適当な点が発見された場合には、当社グループが製造物責任を負う可能性があることは否定できません。当社は、全世界を対象地域とする製造物責任賠償保険に加入しておりますが、これらの事態が生じた場合には、販売中止、製品回収、損害賠償責任の負担等により当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 また、このような事例において製造物責任等に基づく損害賠償請求がなされた場合、結果として当社グループの責任が否定されたとしても、損害賠償請求への対応について相当の費用、労力及び時間がかかる可能性があり、さらに、損害賠償請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、製品に対する信頼、ひいては当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 I 大規模災害等に関する事項 当社グループは、グローバルで事業展開をしておりますが、地震、火山噴火、津波等の大規模災害、COVID-19やその他感染病によるパンデミックといった大規模災害が、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、大規模災害を想定した訓練及び必要な対策を継続実施するとともに、当社の事業活動の継続や従業員の衛生・健康・安全の確保のために必要な対応を適時適切に行うこととしております。 今後も当社グループが事業を展開する各国の医療業界の影響を注視し、万が一当社グループが事業を営む地域において大規模災害の発生により甚大な影響がある場合は、必要な対応を図ってまいりますが、これらの事態の状況によっては当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 知的財産権・訴訟等に関するリスク A 特許の取得状況等に関する事項 当社グループは、自己組織化ペプチド技術にかかる物質特許及び当該物質特許を利用した基本的な用途特許(以下、これらを併せて「基本特許群」という。)につき、当社子会社がMITより独占的実施権(再許諾権付)の許諾を受け、当社が当社子会社より実施権の再許諾を受けており、また、当社グループにて特許出願しております。 当社は、MITを権利者とする自己組織化ペプチド特許(出願国:米国)について、自己組織化ペプチド応用技術に係るMIT出身の研究者により設立されたバイオベンチャー企業であるARCH Therapeutics, Inc.社(以下「Arch社」という。)との間で非独占的なサブライセンス契約を締結しておりました。しかしながら、Arch社の現在の事業展開の進展状況より、現時点において当社グループと競合するおそれは低いものと考えておりますが、将来的な競合の可能性は否定できません。 また、Arch社は、止血材を用途とする一部の自己組織化ペプチド(主に当社も用いているRADA配列)に関する特許について、MITから独占的実施権の許諾を受けております。当社の独占的実施権との間で調整が必要となる可能性がありますが、従前、Arch社からかかる権利に関して当社に対して働きかけ等があったことはありません。MITのライセンス方針は技術の広がりを目的としており、MITはライセンシー同士の争いは好まないため、当社は、かかる調整の必要が生じた場合には、MITから何等かの支援が得られるものと従前理解しており、現在もそのとおり理解しております。しかし、かかる調整をMIT自ら行うことについて書面で確約することについては消極的な姿勢が示されたことから、今後、当社自らかかる調整を行う必要が生じる可能性は否定できません。 基本特許群は、自己組織化を起こしハイドロゲルを形成する主なペプチド群をカバーしており、国、地域によりばらつきはあるものの、日本においては既に登録済となっております。しかしながら、基本特許群のうち、現在登録に至っていないものについては、最終的に登録に至らない可能性があり、その場合には当社グループの将来の事業を完全に保護することができない可能性があります。また、当社グループの事業を包含するバイオマテリアル関連産業においては、日々研究開発活動が繰り広げられており、当社グループの技術を超える優れた技術が開発されることにより、基本特許群の技術が淘汰される可能性は否定できません。 また、当社グループは基本特許群を用いて多数の研究機関と応用技術にかかる共同研究を行っており、主要なパイプラインに関するもの以外についても既に複数の用途特許について共同出願しておりますが、全ての特許について登録に至るとは限りません。これらの特許が成立しなかった場合、当社グループの将来の事業を完全に保護することができない可能性があります。 B 訴訟等に関する事項 当社グループは、第三者の知的財産権に関する調査を随時行っており、自己組織化ペプチド技術を用いた製品開発を行う限りにおいて、当社グループに対して上記のArch社のMITの特許由来の権利に関連する事例以外は、第三者の特許権等の知的財産権侵害を理由とする訴訟が提起される可能性は極めて低いと考えております。また、本報告書提出日現在において、当社グループと第三者との間で訴訟が発生し又は第三者から知的財産権侵害の主張を受けたという事実もありません。しかし、当社グループは、今後多岐に渡る事業展開を考えていることから、かかる知的財産権侵害の問題を完全に回避できない可能性があります。将来、当社グループの事業活動が第三者の知的財産権を侵害しているとして損害賠償請求等の訴訟を提起された場合には、損害賠償責任を負う可能性があることに加え、解決に多大な時間及び費用を要するおそれがあり、当社グループの事業戦略、財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、知的財産権以外にも事業活動に付随するその他の訴訟を提起される可能性があり、訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、このような事例において結果として当社グループの責任が否定されたとしても、知的財産権侵害等に基づく損害賠償請求がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、製品又は当社グループに対する信頼に影響が生じ、ひいては事業活動に影響を与え、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③経営成績、財務状況等に関するリスク A 業績の推移に関する事項 当社グループの主な事業収益は、本止血材の上市以前は販売提携契約に基づくマイルストーン収益であり、上市後は本止血材の製品売上に基づく収益です。過去には本止血材の研究開発費用が先行して計上されてきたことに加え、現時点でも本止血材の営業体制確立等のために相当額の先行費用を計上しているため、2012年4月期を除き費用計上が事業収益を上回り、営業損失及び当期純損失を計上しております。このため、過年度の財務経営指標は、当社の業績期間比較及び将来の業績を予測する材料としては不十分な面があります。 B マイナスの利益剰余金を計上していることに関する事項 当社グループは、当連結会計年度末においてマイナスの利益剰余金を計上しております。2026年4月期において、本止血材の販売拡大に基づく黒字化を達成しており、また今後の開発製品についても、医療機器として製造承認の取得を目指しており、医薬品と比べて開発に要する費用と期間は格段に少ないことを前提として更なる利益確保を目指しております。しかしながら将来において、事業計画どおりに事業が進展せず、利益剰余金がプラスとなる時期が遅れる可能性があります。 C 重要事象等に関する事項 当社グループは、前連結会計年度まで継続して営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上しており、事業継続に必要な資金は、主に、投資ファンドのハイツ・キャピタル・マネジメント・インク(以下、「ハイツ」という。)に対する転換社債型新株予約権付社債の発行並びに新株予約権の発行及び権利行使により調達しておりました。これらの資金調達手段は、株式市場の動向や株価の下落等により資金を確保できないおそれや、早期償還条項の適用により最終償還日より前に返済を求められるおそれがあったため、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるものとして、「継続企業の前提に関する注記」を記載しておりました。 しかしながら、当連結会計年度末においては、米国子会社における業績拡大により、連結売上高は10,886百万円となり、営業利益は1,335百万円獲得するとともに、営業キャッシュ・フローが396百万円のプラスに転じるまでに至り、その結果、当連結会計年度末における現金及び預金残高は2,830百万円となっております。これに加えて、ハイツに対して発行した全ての転換社債型新株予約権付社債の償還又は転換が完了したことにより、早期償還条項の適用により最終償還日より前に返済義務を負うおそれもなくなっております。さらには、取引金融機関と交渉し、新規の当座借越契約及び既存のコミットメントラインの融資枠の拡大も行われております。 以上のことから、当社グループにおいて、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況は解消し、また、当連結会計年度末の翌日から1年間の資金繰りに重大な懸念はなく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断した結果、「継続企業の前提に関する注記」は記載しておりません。 D 税務上の繰越欠損金に関する事項 当社グループには、提出日現在において多額の税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため繰越欠損金の期限が切れた場合には、課税所得の控除が受けられなくなります。そうした場合、通常の法人税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 E 資金繰りに関する事項 当社グループでは、今後もパイプラインの開発費用が先行して発生します。本止血材の販売拡大に基づく黒字化は達成し、今後も引き続き事業提携やライセンスアウト等の契約の獲得、多様な資金調達等による資金確保に努めますが、事業計画どおりに事業が進展しない場合には資金不足となり、事業継続に重大な影響を与える可能性があります。 F 配当政策に関する事項 当社グループは、当連結会計年度より本止血材の販売拡大に基づく当期純利益を計上しておりますが、利益配当は実施しておりません。累積損失が処理された段階において財政状態及び経営成績を勘案しつつ利益配当についての方針を検討する所存であります。 ④組織に関するリスク A 業歴が浅いことに関する事項 当社グループの主な事業収益は本止血材の売上に基づく収益ですが、本止血材の海外での販売を2015年4月期に、日本での販売を2022年4月期に開始、2026年4月期においては本止血材の販売拡大に基づく黒字化を達成しましたが、事業ステージはいまだ先行投資の段階にあり、期間業績比較を行うには十分な財務数値が得られません。このため、事業の特性を踏まえると、過年度の経営成績だけでは、今後の業績を予想する材料としては不十分な面があります。 B 小規模組織に関する事項 当社グループは2026年4月末日現在、親会社で取締役6名、監査役3名、従業員19名の計28名体制、子会社で取締役9名(内3名は親会社役員が兼務)、従業員110名の計129名体制の小規模組織であります。当社グループでは、業務遂行体制の充実に努めておりますが、小規模組織であり、内部管理体制も規模に応じたものとなっております。当社グループでは、今後の事業拡大に向け組織体制の一層の充実を図ってまいりますが、適切な組織体制の構築ができない場合には、経営効率に影響を及ぼす可能性があります。一方、急激な規模拡大は固定費の増加につながり、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 C 特定の人物への依存に関する事項 当社グループの事業推進者は、当社代表取締役である天沼利彦であります。前代表取締役より経営戦略、開発戦略の決定、事業計画の策定、管理業務における責任を承継しており、グループの経営推進者として大きな影響力を有しております。このため、当社グループでは過度に依存しない体制を構築すべく、経営組織の強化を図っておりますが、当面は依存度が高い状態で推移すると見込まれます。そのため、代表取締役が何らかの理由で業務を継続することが困難になった場合には、事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 D 人材の確保及び育成に関する事項 当社グループの競争力の核は研究開発力、事業企画力、医療関係者に対する提案力にあるため、専門性の高い研究者等の人材の確保が不可欠であり、また、事業拡大を支えるために営業、製造、内部管理等の専門人材も必要となってきております。当社グループでは、優秀な人材の確保及び社内人材の育成に努めておりますが、人材の確保及び育成が計画どおりに進まない場合には、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 E 情報セキュリティに関する事項 当社グループの事業推進において、情報ネットワークの維持は極めて重要であり、また事業上の機密情報や個人情報等を保有しているため、情報ネットワークの構築、運用に当たっては十分なセキュリティの確保に努めております。さらに、2024年4月期に送金詐欺による資金流出被害が生じたことを受けて、専門機関の助言を仰ぎながら必要な再発防止策を実施しております。しかしながら、外部からのサイバー攻撃や不正侵入のほか、情報機器の不具合やシステム障害等の不測の事態により、情報の漏洩、重要データの改ざん又は破壊、システム停止等が生じた場合には、事業活動の停滞又は遅延を招く可能性があり、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑤その他 A 調達資金の使途に関する事項 当社は、増資等による調達資金の使途については、調達時の方針どおり、研究開発資金、止血材の原材料調達及び事業運営費用等に充当しておりますが、環境変化による予測不可能な技術革新や研究開発活動の長期化等投資効果をあげられる保証はありません。このような場合、投資家の期待している収益に結び付かない可能性があります。 B 新株予約権の行使による株式価値の希薄化に関する事項 当社は役職員向けにストック・オプション制度を採用しております。また、主に止血材の原材料調達及び事業運営費用等として投資ファンドのハイツ・キャピタル・マネジメント・インクに対して第36回新株予約権を発行しております。これらの発行済の新株予約権が全て行使された場合の潜在株式数は、合計10,288,900株(2026年6月末日現在)となり、この潜在株式数と当社の発行済株式数127,971,881株(2026年6月末日現在)とを合計した数138,260,781株に対し7.4%を占めております。 これらの新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。 また、当社は今後も優秀な人材の確保のために、同様のインセンティブを継続して実施していくことを検討しております。従って、今後付与される新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値はさらに希薄化する可能性があります。 C 為替に関する事項 当社グループの取引のうち、自己組織化ペプチド技術製品の原材料の製造委託及び海外での製品販売については、主に外貨建での決済が行われておりますが、当社グループにおいては特段の為替リスクヘッジは行っておりません。そのため、予想以上に為替相場の変動が生じた場合には、当社グループの業績はその影響を受ける可能性があります。今後は、為替リスクを回避する方策については、その得失に鑑みて、その要否を含め検討してまいります。
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業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 経営成績等の概要 ①経営成績の分析 [表1]売上高及び営業損益   (単位:百万円) 前連結会計年度(自 2024年5月1日 至 2025年4月30日)   当連結会計年度(自 2025年5月1日 至 2026年4月30日)   前期比 売上高   6,934   10,886   57.0% 売上総利益   4,424   8,572   93.7% 営業利益又は営業損失(△)   △1,156   1,335   ― % 当社グループは、MITの研究者の発明による自己組織化ペプチド技術を基にした医療製品の開発・製造・販売を行っております。 現時点では日米欧3極においてそれぞれ複数の製造販売承認を取得しており、主に吸収性局所止血剤を中心にグローバルに販売活動を行っております。 [販売進捗の状況] [表2]エリア別製品販売状況   (単位:百万円) 前連結会計年度(自 2024年5月1日 至 2025年4月30日)   当連結会計年度(自 2025年5月1日 至 2026年4月30日)   前期比 米国   3,152   6,249   +98.2% 欧州   2,052   2,595   +26.5% 日本   1,234   1,256   +1.8% その他   494   783   +58.5% 事業収益合計   6,934   10,886   +57.0% 注)当社及び連結子会社単位での製品販売額を基礎とし、国又は地域に区分しております。 米国における製品販売は、6,249百万円となり前期比98.2%増となりました。消化器内視鏡領域においては、高い成長を維持しており、前期から計画を超えるトレンドが継続しております。事業規模の拡大に伴い営業の全般的な難易度は徐々に上がっておりますが、営業の実効性向上を目指したエビデンス拡充や営業トレーニング強化等各種取り組みに加えて、新規顧客の獲得、既存顧客の維持、顧客当たり使用量の拡大、それぞれのバランスを取った営業活動により成長が継続しております。耳鼻咽喉科領域においては、止血から創傷治癒や癒着防止へと製品価値のアピールポイントを転換する戦略が市場に定着してきており、当期も年間予算を大きく上回る過去最高の売上高を更新しております。 欧州における製品販売は、2,595百万円となり前期比26.5%増となりました。主要製品である消化器内視鏡領域の止血材は代理店による販売を行っております。これまでに成長が続いているイギリス・アイルランドでは、大規模レジストリー試験(POPS)等の結果が論文発表されたこともあり、当期も継続して順調な成長を遂げております。一方で、思うように成長が実現できていないドイツでは、成長回帰を目指した改善施策が部分的に機能しておりますが、その全国展開が想定どおりに進まず、微増に留まっております。耳鼻咽頭科、泌尿器科等新規領域においては、小規模の体制で直販を行っており、販売額は未だ小さいものの高い成長を継続しております。 日本における製品販売は、1,256百万円となり前期比1.8%増となりました。当社製品の市場への浸透が進んでいるため、新規顧客獲得による成長が鈍化しております。それに加え、病院からの保険償還請求が却下される事例が一部都道府県で散見され始めたことによる既存施設での買い控えが発生しており、成長停滞の要因となっております。 このような結果、当連結会計年度については、止血材の製品販売は米国で6,249百万円、欧州で2,595百万円、日本で1,256百万円、その他売上高783百万円を含めると、売上高10,886百万円(前期比3,952百万円の増加)と前期比57.0%増となり、計画を上回る結果となりました。 費用面については、計画の為替レートより円安に振れたことから海外子会社の円ベースでのコストが増加しましたが、売上高が計画を超過したこと及び円安により増加したことで吸収されております。 この結果、営業利益は1,335百万円と前連結会計年度より2,491百万円改善しており、通年での業績において初めて上市製品による営業利益の黒字化を達成いたしました。 なお、見込んでいた為替レートからさらに円安に進み(期首1ドル=142.57円→期末1ドル=160.40円)、為替差益が増加した影響から、経常利益以下は黒字が拡大しました。為替換算により大きく変動する可能性のある「子会社貸付金(21百万ユーロ+28百万米ドル)の評価」等の為替差損益の集計を進めた結果、2,661百万円の差益となったため、経常利益は3,971百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は4,155百万円となりました。 ②財政状態の分析 当連結会計年度末における総資産は9,795百万円(前連結会計年度末比3,282百万円の増加)、総負債は2,999百万円(同1,297百万円の減少)及び純資産は6,796百万円(同4,580百万円の増加)となりました。 当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況に関する分析は以下のとおりです。 (流動資産) 当連結会計年度末における残高は9,179百万円(同2,760百万円の増加)となりました。これは主に、現金及び預金の増加1,250百万円、売掛金の増加761百万円及び棚卸資産の増加655百万円があることによるものです。 (固定資産) 当連結会計年度末における残高は616百万円(同522百万円の増加)となりました。これは主に、投資その他の資産における繰延税金資産の増加551百万円があることによるものです。 (流動負債) 当連結会計年度末における残高は2,956百万円(同1,377百万円の増加)となりました。これは主に、短期借入金の増加300百万円、未払金の増加311百万円、未払費用の増加181百万円及び未払法人税等の増加537百万円があることによるものです。 (固定負債) 当連結会計年度末における残高は43百万円(同2,674百万円の減少)となりました。これは主に、転換社債型新株予約権付社債の減少2,640百万円があることによるものです。 (純資産) 当連結会計年度末における残高は6,796百万円(同4,580百万円の増加)となりました。これは主に、資本金及び資本剰余金のそれぞれ1,570百万円の増加及び親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加4,155百万円がある一方で、為替換算調整勘定の減少2,506百万円及び新株予約権の減少211百万円があることによるものです。 ③キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,250百万円増加し、2,830百万円となりました。 当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況は以下のとおりです。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における営業活動の結果、増加した資金は396百万円(前連結会計年度は1,714百万円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が4,152百万円であり、増加原因として未払金の増加269百万円及び未払費用の増加139百万円等があるものの、減少要因として新株予約権戻入益233百万円、為替差益2,953百万円、売上債権の増加529百万円、棚卸資産の増加457百万円及び法人税等の支払額34百万円があることによるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における投資活動の結果、減少した資金は42百万円(同33百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出27百万円及び長期前払費用の取得による支出10百万円等があることによるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における財務活動の結果、得られた資金は786百万円(同2,013百万円の増加)となりました。これは主に、短期借入金の純増加額300百万円及び株式の発行による収入497百万円があることによるものです。 (2) 生産、受注及び販売の状況 当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであります。 ① 生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称   生産高(千円)   前期増減比(%) 医療製品事業   1,992,338   +13.4 合計   1,992,338   +13.4 (注) 上記の金額は、製造原価によっております。 ② 受注実績 当社グループは、販売計画に基づいた生産計画を基礎として見込生産を行っており、かつ、受注から納品までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。 ③ 販売実績 当連結会計年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称   販売高(千円)   前期増減比(%) 医療製品事業   10,886,312   +57.0 合計   10,886,312   +57.0 (注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。 相手先   前連結会計年度   当連結会計年度 販売高(千円)   割合(%)   販売高(千円)   割合(%) Fujifilm Europe B.V.   1,269,375   18.3   1,455,794   13.4 (3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りを用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択、適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては第5経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)及び2.財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりです。 ② 当連結会計年度の経営成績の分析 「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ①経営成績の分析」に記載のとおりです。 ③ 当連結会計年度の財政状態の分析 「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ②財政状態の分析」に記載のとおりです。 ④ 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析 「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。 ⑤ 資本の財源及び資金の流動性について (資金の需要) 当社グループは、自己組織化ペプチド技術を基盤技術とした医療製品の開発・製造・販売を行っております。当社グループの資金需要のうち主なものは、研究開発費用、販売費及び一般管理費等の事業運営費用であります。 (資金の調達及び流動性) 当社グループは、医療製品事業においてグローバルに展開している止血材の製品販売による売上収入を計上してまいります。また親子会社間での研究開発成果の共有・事業運営上の効率化も進んでいることから、諸経費の節減等にも注力し販売費及び一般管理費の圧縮にも取り組んでまいります。 当社グループの事業運営及び研究開発を進めるための十分な資金確保に向けて、米国においてバイオ業界への投資に多くの実績を有する投資ファンドのハイツ・キャピタル・マネジメント・インクに対し、2023年7月に第36回新株予約権を発行しておりますが、当連結会計年度における権利行使により、496,000千円を調達することができました。 また、株式会社りそな銀行とコミットメントライン契約を、株式会社三井住友銀行と当座貸越契約を締結しており、安定的な事業資金の確保に取り組んでおります。今後も引き続き、金融機関からの借入を含む様々な資金調達を検討し、継続的な財務基盤の強化に努めてまいります。 ⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営戦略等及び(3)目標とする経営指標」に記載のとおりとなっております。当期の経営成績並びに研究開発活動の詳細につきましては「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」及び「第2 事業の状況 6研究開発活動 (2)研究開発活動」をご覧ください。

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開示資料

出典

このページの財務・役員・株主等のデータは、金融庁EDINETに提出された開示書類から自動抽出しています。会計基準は JapanGAAP

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  • 中期経営計画2026年4月期通期決算及び中期経営計画説明会の質問について2026-07-17

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