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超!企業DB
日経平均64,325.64-1,890NYダウ52,980.73+214ドル円158.84-1NASDAQ26,208.82+109S&P 5007,666.58+35SOX 指数11,332.81+449/2終値

タウンズ

TAUNS Laboratories, Inc.197A · Standard · 医薬品

イムノクロマト法の抗原検査キット専業メーカー。独自のブラックライン技術で視認性を高め、国内医療現場に広く供給。

概要

タウンズは、感染症の迅速診断を可能にする体外診断用医薬品の専門メーカーである。1987年に静岡県沼津市で創業し、2024年6月に東京証券取引所スタンダード市場に上場した。独自開発の白金-金コロイド粒子を用いたイムノクロマト法による抗原検査キットを主力製品とし、判定ラインを黒色(ブラックライン)で表示する視認性の高さが特長。2025年6月期の売上高は186億円、従業員数は316名。国内の医療機関を中心に、WHOなどの国際機関にも製品を供給している。

感染症POCTに特化した単一事業

当社は体外診断用医薬品の単一セグメントで事業を展開している。主力製品はイムノクロマト法を利用した抗原検査キットであり、インフルエンザウイルス、新型コロナウイルス、アデノウイルス、RSウイルス、A群β溶血連鎖球菌、マイコプラズマ、ノロウイルスなど多岐にわたる感染症の迅速診断に対応する。特別な装置を必要とせず、患者のそばで10分から20分で判定が可能なため、病院や診療所のPOCT(臨床即時検査)として広く採用されている。検体抽出液の共通化により、1回の検体採取で複数項目の検査ができる点も医療現場の負担軽減に貢献している。売上高のほとんどがこれら感染症検査キットであり、2025年6月期の売上高は186億円、営業利益率は44.4%に達する。

インフルエンザと新型コロナが牽引する収益構造

当社の収益は、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの流行動向に大きく左右される。2023年6月期には自治体向けの新型コロナ単品検査キット売上が約21.5億円あったが、2025年6月期にはそのような一過性需要はなくなり、代わりに市場シェアの向上によって増収を達成した。利益率の高いコンボ検査キット(SARS-CoV-2/Flu同時検出)や新型コロナ単品キットの構成比が高まったことで、売上総利益率は68.6%、営業利益率は44.4%と改善した。ただし、四半期ごとの変動が大きく、第4四半期(2025年4-6月)にはインフルエンザ流行の急速な収束に伴う市中在庫の滞留により、売上高は10.2億円、営業損益は10.6億円の赤字に転落している。このように感染症の流行周期に依存した業績変動リスクを抱えている。

国内市場を基盤とした海外展開戦略

当社の販売は国内の医薬品卸売業者を通じた医療機関が主体である。一方、製品はWHOなどの国際機関やバイオベンチャー企業にも提供され、海外展開にも取り組んでいる。短期的には各地域の代理店網を強化し新規エリアへ進出、中期的にはコスト競争力のある海外向け仕様品を開発、長期的にはD-IAなどの高付加価値製品を投入する3段階の戦略を掲げる。新工場の設立やFactory Automationによる生産効率化も計画しており、品質安定とBCP強化を図る。上場による資金調達を活用し、海外市場でのシェア拡大を目指している。

業界の中での役割は体外診断薬メーカー(イムノクロマト法による抗原検査キット)にあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

売上高
144億円
営業利益
42億円
営業利益率
29.2%
純利益
55億円
2026/6 通期の連結業績。決算の内訳は最新の決算以降にあります。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2025/3期)より

01医療機関(病院・開業医)主力

医薬品卸売販売業者を通じて病院や開業医に感染症抗原検査キットを供給。特別な装置を必要とせず患者のそばで迅速な診断が可能なことから、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの診断に広く使用される。

独自の白金-金コロイドによるブラックライン技術で視認性を向上

主要顧客病院、開業医

主な製品・サービス8
イムノエース®Flu
インフルエンザウイルス抗原検査キット。判定時間5分、陽性は3分から判定可能。ブラックライン技術を採用。
イムノエース®SARS-CoV-2 Ⅲ
新型コロナウイルス抗原検査キット。判定時間10分。ブラックライン技術を採用。検体抽出液が他製品と共通。
イムノエース®SARS-CoV-2 Saliva
唾液を検体とする新型コロナウイルス抗原検査キット。スワブによる侵襲がなく、くしゃみによる飛沫発生もない。
イムノエース®SARS-CoV-2/Flu
新型コロナウイルスとインフルエンザを同時に検査できるキット。判定時間15分。
イムノエース® アデノ
アデノウイルス抗原検査キット。判定時間5分。咽頭・角結膜用スワブを採用。
イムノエース®Strep A Neo
A群β溶血連鎖球菌抗原検査キット。判定時間5分。咽頭用スワブを採用。
イムノエース®hMPV
ヒトメタニューモウイルス抗原検査キット。判定時間5分。鼻腔用スワブを採用。
イムノエース® マイコプラズマ
マイコプラズマ抗原検査キット。判定時間15分(陽性は5分から)。誤用防止策を施した容器を採用。

02国際機関・研究機関・バイオベンチャー準主力

WHO等の国際機関、研究機関やバイオベンチャー企業にも製品を提供し、感染症の調査研究や監視活動などに貢献している。

主要顧客WHOなどの国際機関、研究機関、バイオベンチャー企業

主な製品・サービス2
イムノエース®RSV Neo
RSウイルス抗原検査キット。判定時間5分。鼻腔用スワブを採用。
イムノエース® ノロ
ノロウイルス抗原検査キット。判定時間10~15分。スポンジスワブを採用。

製品と技術

イムノクロマト法と白金-金コロイドによるブラックライン

当社の製品はすべてイムノクロマト法に基づく。これは、検体中の標的抗原と標識抗体が結合し、メンブレン上を毛細管現象で展開、固定化された抗体に捕捉されてラインとして発色する仕組みである。他社製品では金コロイド(赤紫)やカラーラテックス(赤・青)が標識に使われるのに対し、当社は独自開発の白金-金コロイド粒子を採用している。この粒子により判定ラインは黒色(ブラックライン)となり、白色のメンブレンとのコントラストが高く、目視での判別が容易になる。背景の白色との差が大きいため、陽性ラインの見落としを減らし、検査の信頼性を高めている。この技術は2007年に特許を取得し、現在の全抗原検査キットに適用されている。

多彩な感染症に対応するイムノエースシリーズ

主力のイムノエースシリーズは、インフルエンザウイルス(Flu)、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)、アデノウイルス、A群β溶血連鎖球菌(Strep A)、ヒトメタニューモウイルス(hMPV)、マイコプラズマ、RSウイルス、ノロウイルスなど、主要な呼吸器感染症と消化器感染症をカバーする。全製品でブラックラインを採用し、判定時間は5~20分と短い。特に、鼻咽頭ぬぐい液を用いる製品では検体抽出液を共通化しており、一度の検体採取で複数の項目を同時検査できる「コンボ」キット(SARS-CoV-2/Flu)も開発している。これにより、患者の負担と医療従事者の作業負担を軽減している。また、唾液検体用のSARS-CoV-2 Salivaは、侵襲性の低さが評価されている。

次世代技術D-IAと慢性疾患領域への挑戦

当社はイムノクロマト法の改良に加えて、新たな検査技術の開発を進めている。中核となるのがD-IA(デジタルイムノアッセイ)である。これは、抗原検査キットと同等の簡易操作性でありながら、ラボレベルの高精度を小型・安価な装置で実現する。チップ型試薬に検体をセットすれば、最大20検体を同時に検査でき、定性・定量の両方に対応する。多項目同時検査や大量検体処理が可能で、クリニックでも高度な検査を迅速に行えるようになる。2023年4月には慢性疾患領域への第一歩として、亜鉛欠乏症診断用の「アキュリード亜鉛」と専用装置「アキュリード」を発売した。今後は、がんのコンパニオン診断やリキッドバイオプシー、簡易尿検査、歯周病検査などへの応用を目指している。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

医薬品のなかでの位置

会社が挙げる強い分野

  • 医療機関(病院・開業医)独自の白金-金コロイドによるブラックライン技術で視認性を向上

有価証券報告書(2025/3期)で会社自身が述べている位置付けです。第三者による調査ではありません。

医薬品開発支援で高収益、成長は一服

同社は医薬品開発支援サービスを提供し、売上高は157億円から186億円へと拡大し、営業利益率も43%台と非常に高い水準を維持している。同業のジーエヌアイグループやVeritas In Silicoと比較して、売上規模は大きいわけではないが、利益率では群を抜いている。これは、専門性の高いサービスを提供し、競争優位性を築いているためと考えられる。ただし、最新期の売上高は前期比でほぼ横ばいであり、市場の成熟や競争激化がうかがえる。今後の成長には、新規分野への展開やマーケティング強化が鍵となる。

強み

  • 営業利益率43%以上と業界屈指の高収益を実現。
  • 医薬品開発に特化した高度な専門知識。
  • 製薬企業の外注ニーズが高く、需要が安定。
  • 売上高横ばいでも高利益率を維持する効率性。

課題

  • 売上高が横ばいで、市場拡大の余地が限定的。
  • 新規参入により競争が激化。
  • 特定の顧客や分野への依存が高い。

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

医薬品の時価総額近傍。太字がタウンズ

時価総額で並べると、掲載11社のなかで6番目にあたる。

#企業時価総額PER
14549栄研化学804億円20.8倍
24569杏林製薬709億円19.7倍
34592サンバイオ708億円
44552JCRファーマ678億円29.3倍
54886あすか製薬ホールディングス596億円10.8倍
6197Aタウンズ521億円9.9倍
7219AHeartseed508億円266.2倍
84894クオリプス449億円
94554富士製薬工業439億円17.8倍
104548生化学工業401億円26.2倍
114577ダイト382億円12.3倍

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は東証33業種の分類に従っています。

会社の歴史

沿革 38件

体外診断薬メーカーとして歩み始めた1987年

1987年4月、体外診断用医薬品の研究開発・中間体製造を目的に株式会社タウンズが静岡県沼津市に設立された。1991年3月には株式会社アルノホールディングスと株式会社ビーエルを設立し、グループでの事業展開を開始。1994年4月には沼津市小諏訪に本社社屋を新築し、研究開発と製造の拠点を整備した。創業から約10年間は、後の製品化につながるイムノクロマト法の基礎技術を蓄積し、事業基盤を固める期間であった。

初の抗原検査キット発売と特許取得(2001-2007年)

2001年2月、沼津市に診断薬工場「ぬまづ工場」を新築し、自社製造体制を確立。同年6月には結核菌群抗原検査キット「キャピリアTB」を発売、10月にはインフルエンザウイルス抗原検査キット「キャピリアFlu A、Flu B、Flu A+B」を相次いで市場に投入した。2003年6月にはアデノウイルス抗原検査キット「キャピリアアデノ」を発売。これらの製品はイムノクロマト法を応用したもので、迅速診断市場への本格参入を果たした。2007年2月、白金-金コロイド粒子物質・製法に関する特許を取得。これは後のブラックライン技術の中核となる発明であり、他社との差別化要因となった。

イムノエースシリーズの拡充と神島工場の新設(2008-2015年)

2008年6月、白金-金コロイドを利用した初の製品「イムノエースアデノ」を発売。同年9月には「イムノエースFlu」を発売し、キャピリアシリーズからイムノエースブランドへの転換が始まった。2011年8月には肺MAC症抗体検査キット「キャピリアMAC抗体ELISA」を発売。2012年5月に静岡県伊豆の国市に神島工場を新設し、同年7月には本社を同地に移転。同時にISO13485認証を取得し、品質管理体制を強化した。その後も2012年10月にRSウイルスキット「イムノエースRSV Neo」、2013年3月に溶連菌キット「イムノエースStrep A」、2015年11月にマイコプラズマキット「イムノエースマイコプラズマ」と、製品ラインアップを拡大した。

グループ再編と上場準備(2016-2021年)

2016年4月、株式会社アルノジャパンを設立し、CITIC(現Trustar)Groupが資本参加。同年7月、株式会社アルノがアルノホールディングスを吸収合併し、続いてアルノ、タウンズ、ビーエルの3社が合併して存続会社を株式会社タウンズに変更。さらにアルノジャパンがタウンズ株式を取得し完全子会社化、2016年12月にアルノジャパンは株式会社タウンズホールディングスに商号変更した。この一連の再編により、経営資源をタウンズに集中させる体制が整った。2020年4月には清水町事業所(R&Dセンター)を開設し、研究開発能力を強化。2021年7月にはタウンズホールディングスがタウンズを吸収合併し、社名を株式会社タウンズに一本化した。

新型コロナ禍で市場シェア拡大、2024年に上場

2020年10月、新型コロナウイルス抗原検査キット「イムノエースSARS-CoV-2」を発売。感染拡大に伴い需要が急増し、2022年6月期の売上高は175億円、当期純利益45億円を記録。2021年11月には改良型「SARS-CoV-2 Ⅱ」、2022年4月には唾液検体対応の「SARS-CoV-2 Saliva」、同年8月には新型コロナとインフルエンザの同時検査キット「SARS-CoV-2/Flu」を発売し、製品群を拡充した。2023年4月には亜鉛キット「アキュリード亜鉛」と汎用分光光度分析装置「アキュリード」を発売し、慢性疾患領域へ初めて進出。2024年6月には「イムノエースSARS-CoV-2 Ⅲ」を発売すると同時に、東京証券取引所スタンダード市場に株式を上場した。2025年6月期の売上高は186億円、営業利益は83億円に達している。

年表38件を開く

1980年代

  • 1987年4月創業体外診断用医薬品※1、研究用試薬及び各種分析用試薬の研究開発、中間体の製造を事業として、(株)タウンズを静岡県沼津市に設立

1990年代

  • 1991年3月創業(株)アルノホールディングスを設立
  • 1991年3月創業(株)ビーエルを設立
  • 1994年4月静岡県沼津市小諏訪に本社社屋を新築

2000年代

  • 2001年2月静岡県沼津市小諏訪に診断薬工場「ぬまづ工場」を新築
  • 2001年6月結核菌群抗原検査キット※2「キャピリア®TB」を発売
  • 2001年10月インフルエンザウイルス抗原検査キット※3「キャピリア®Flu A、キャピリア®Flu B、キャピリア®Flu A+B」を発売
  • 2002年10月開発部門を(株)ビーエルに移転
  • 2003年6月アデノウイルス抗原検査キット※4「キャピリア®アデノ」を発売
  • 2007年2月白金―金コロイド粒子物質・製法特許取得(注)
  • 2007年8月静岡県沼津市双葉町に本社社屋を新築
  • 2008年6月白金-金コロイドを利用したアデノウイルス抗原検査キット「イムノエース® アデノ」を発売
  • 2008年9月インフルエンザウイルス抗原検査キット「イムノエース®Flu」を発売

2010年代

  • 2011年8月肺MAC症抗体検査キット※5「キャピリア®MAC抗体 ELISA」を発売
  • 2012年5月静岡県伊豆の国市に「神島工場」を新設
  • 2012年7月静岡県伊豆の国市に本社を移転
  • 2012年7月ISO13485認証取得※6
  • 2012年10月RSウイルス抗原検査キット※7「イムノエース®RSV Neo」を発売
  • 2013年3月A群β溶血連鎖球菌抗原検査キット※8「イムノエース®Strep A」を発売
  • 2015年11月マイコプラズマ抗原検査キット※9「イムノエース® マイコプラズマ」を発売
  • 2016年1月ヒトメタニューモウイルス(hMPV)抗原検査キット※10「イムノエース®hMPV」を発売
  • 2016年4月創業(株)アルノジャパンを設立し、CITIC(現Trustar) Groupが資本参加
  • 2016年4月創業(株)アルノを設立
  • 2016年7月M&A(株)アルノが(株)アルノホールディングスを吸収合併
  • 2016年7月M&A(株)アルノ、(株)タウンズ、(株)ビーエルの3社が(株)アルノを存続会社とする合併を行い、社名を(株)タウンズに変更
  • 2016年7月M&A(株)アルノジャパンが(株)タウンズ株式を取得し、完全子会社化
  • 2016年12月商号変更(株)アルノジャパンが社名を(株)タウンズホールディングスに変更

2020年代

  • 2020年4月業容拡大に伴い静岡県駿東郡清水町に清水町事業所(R&Dセンター)を開設
  • 2020年10月新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原検査キット※11「イムノエース®SARS-CoV-2」を発売
  • 2020年11月ノロウイルス抗原検査キット※12「イムノエース® ノロ」を発売
  • 2021年7月M&A(株)タウンズホールディングスが(株)タウンズを吸収合併し、社名を(株)タウンズに変更
  • 2021年11月新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原検査キット「イムノエース®SARS-CoV-2 Ⅱ」を発売
  • 2022年4月唾液を適用検体種とする新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原検査キット「イムノエース®SARS-CoV-2 Saliva」を発売
  • 2022年6月A群β溶血連鎖球菌抗原検査キット「イムノエース®Strep A Neo(Type A)」を発売
  • 2022年8月SARS-CoV-2抗原/インフルエンザウイルス抗原の同時検出キット「イムノエース®SARS-CoV-2/Flu」を発売
  • 2023年4月亜鉛キット※13「アキュリード 亜鉛」、汎用分光光度分析装置※14「アキュリード」を発売
  • 2024年6月新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原検査キット「イムノエース®SARS-CoV-2 Ⅲ」を発売
  • 2024年6月上場東京証券取引所スタンダード市場に株式を上場

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2025/6期の経営方針より

会社は5つの方針を掲げている。有価証券報告書には具体的な数値目標の記載がない。

  1. 01

    次世代検査技術の開発

    デジタルイムノアッセイ(D-IA)など、高感度・多項目同時測定可能な新技術を開発し、POCTの質・量を進化させる。また、ゲノミクス等のマルチオミクス診断技術への投資も行う。

  2. 02

    慢性疾患領域への進出

    亜鉛欠乏症診断薬を皮切りに、がんコンパニオン診断、リキッドバイオプシー、腎疾患検査、歯周病検査など、慢性疾患向け製品の開発を推進する。

  3. 03

    予防・未病領域の開拓

    低侵襲検体を用いたホームテスト、健康情報解析、データベース構築を通じて新規バイオマーカーやPOCTを開発する。

  4. 04

    海外展開の強化

    短期的に代理店網を強化し、中期的に海外向け仕様品を開発、長期的に高付加価値製品を投入する。地域ごとの規制対応や営業体制も強化する。

  5. 05

    新工場設立と生産体制強化

    新工場で既存・新製品の製造ライン増設、FA推進、保管スペース確保によるコスト削減とBCP強化を図る。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 2期分

グループ全体で316人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は821万円で、1期前と比べて+16.5%平均年齢は38.9歳、平均勤続年数は5.9年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数一人当たり営業利益万円
2024年6月70539.76.42712,952
2025年6月82138.95.93162,627

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

多様性の開示2025年6月期・提出会社(単体)
女性管理職比率15.8%
縦線は目安の30%
男性育休取得率100.0%
縦線は目安の85%
女性の賃金(男性=100)53.7%
100なら男女で差がない状態

拠点とグループ

設備と関係会社

主要な設備 (帳簿価額 上位3)
新三島工場 — 静岡県三島市9,737百万円
神島本社・工場 — 静岡県伊豆の国市1,934百万円
清水町事業所 — 静岡県駿東郡清水町483百万円

業績のいま

有価証券報告書・決算短信より

2026年6月期の売上高は144億円営業利益42億円前期と比べると減収減益で、売上が-22.6%、利益が-49.4%。

売上高
-22.6%
144億円
営業利益
-49.4%
42億円
純利益
-12.7%
55億円
営業利益率
29.2%
前期比 -15.5%pt

会社が出している今期の予想2027年6月期

項目会社予想前期実績
売上高167億円144億円
営業利益44億円42億円
純利益30億円55億円
1株あたり配当¥29¥29

会社が決算短信で公表した予想です。証券会社の予想ではありません。 短信の原本

半期ごとの推移

4期分

直近は2026年下期で、売上は61億円、営業利益は9億円。前年の2025年下期と比べると、売上は−7.6%、営業利益は−50.0%。

対象期間売上高億円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2025年上期1206554.247
2025年下期661827.316
2026年上期833339.821
2026年下期61914.834

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。四半期報告書の廃止(2024年)以降は半期の粒度になります。

業績の推移

有価証券報告書 7期分

直近期の営業利益率は29.2%。

決算期売上高億円営業利益億円経常利益億円営業利益率%純利益億円
業容拡大に伴い静岡県駿東郡清水町に清水町事業所(R&Dセンター)を開設
2020年6月00
(株)タウンズホールディングスが(株)タウンズを吸収合併し、社名を(株)タウンズに変更
2021年6月−1−1
2022年6月17511245
2023年6月1575030
東京証券取引所スタンダード市場に株式を上場
2024年6月184807843.558
2025年6月186838244.663
2026年6月144424029.255

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。空欄の期は有価証券報告書からその項目の数値が取れていません(0ではありません)。

利益の構造

2026年6月期

売上高144億円のうち、営業利益として残るのは42億円29.2%。営業外の損益と税金を反映した純利益は55億円、売上の38.2%にあたる。営業利益率は業種中央値2.9%を上回る水準。

売上高を100としたときの内訳
  • 費用事業を回すためにかかったお金70.8%102億円
  • 営業利益費用を引いたあとに残った本業の利益29.2%42億円

有価証券報告書の損益計算書から、当期の金額をそのまま割り振っています。

営業利益率業種比+26.2pt
29.2%
本業の利益として残る割合
純利益率業種比+35.5pt
38.2%
税金まで払って最後に残る割合

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 4期分

2025年6月期は営業CFが68億円、投資CFが−93億円で、差し引きのフリーCFは−25億円この組み合わせは積極投資型にあたる。本業で稼ぎつつ、さらに資金を調達して大きな投資に踏み込んでいる。成長への布石の局面期末の手元現金は93億円で、売上の6.0ヶ月分にあたる

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2022年6月107−27−378063
2023年6月−32−16−3−4812
2024年6月99−41245894
2025年6月68−9323−2593

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 6期分

2025年6月期の総資産は365億円。このうち返さなくてよい自己資本が174億円で、自己資本比率は47.7%(業種中央値69.9%より薄い)

決算期総資産億円自己資本億円負債億円自己資本比率%
2020年6月106475944.4
2021年6月103475645.3
2022年6月2037412936.3
2023年6月183859846.3
2024年6月29313715646.7
2025年6月36517419147.7

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2025年6月期の内訳単体ベース
現金及び預金
93億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
143億円
過去の利益の積み上がり
棚卸資産
30億円
在庫として抱えている分
負債合計
191億円
いつか返す必要があるお金

業界内での比較

医薬品 79社との比較

同じ医薬品の企業と並べると、いちばん上に来るのは配当利回り79社中3位あたり、逆に低いのは売上成長率79社中69位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
/中央値 5.9%
P25 2.0%P75 11.0%
営業利益率上位売上のうち本業の利益として残る割合
29.2%/中央値 2.9%
P25 -162.5%P75 11.5%
自己資本比率総資産のうち返済のいらないお金の割合
/中央値 69.9%
P25 53.4%P75 84.5%
売上成長率下位前期からの売上の伸び
-22.6%/中央値 2.8%
P25 -1.3%P75 12.0%
配当利回り上位株価に対して1年で受け取る配当の割合
5.7%/中央値 2.9%
P25 2.3%P75 3.5%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月2日の終値

直近の終値は¥506で、1年前と比べて-6.9%過去52週の値幅のなかでは36%の位置にある。

¥506-0.6%1ヶ月+8.8%1年-6.9%時価総額521億円
過去52週の値幅
安値¥463高値¥582

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標
PER (実績)9.9倍
PER (会社予想)18.2倍
PBR2.78倍
配当利回り5.73%

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

株価は464円で、52週高値603円から約23%下落、52週安値463円に接近しています。25日線は471.56円で、株価はこれを約1.6%下回っており、75日線(476.61円)や200日線(496.09円)も突破できず軟調です。直近1ヶ月で-1.28%と小幅下落ですが、6月24日の472円から8月5日まで概ね465円前後でのもみ合いが続き、7月16日には488円まで上昇したものの反落しました。出来高は7月16日に871,200株と急増し、その後も300,000株前後で高水準を維持しており、売買活発な中で下値を模索する展開です。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

AIの評価

AI評価

株価水準の解釈です。売買の推奨ではありません

現在の株価水準を割安と判定しています(スコア 75/100)

PER 13.69倍は業界平均27.07倍を大きく下回り割安。PBR 3.03倍は業界平均3.11倍とほぼ同水準。配当利回り6.03%は業界平均2.8%を大幅に上回り高水準。ROE 40.7%と非常に高く、収益性が優れる。営業利益率も40%超で高収益。割安だが配当利回りの高さは持続性に注意。

指標この会社業種平均
PER (実績)9.9倍36.0倍
PER (予想)18.2倍
PBR2.78倍3.53倍
ROE40.7%6.5%

業種平均は同じ東証33業種に属する銘柄の単純平均です。銘柄数が少ない業種では平均が振れます。

AI評価判定とスコアは公開データをもとにした解釈で、将来の株価を示すものではありません。算出の考え方は編集方針に記載しています。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

創薬ベンチャーである当社の投資論点は、第一に研究開発パイプラインの進捗と臨床試験の結果次第で企業価値が大きく変動すること。第二にライセンス契約や提携の有無が収益の安定性と成長性を左右すること。第三に、株主還元策としての配当政策と財務基盤の安定性も注目点。強気派は、2024/6期と2025/6期の営業利益率が40%超と高水準で、効率的な事業運営ができていることや、累積利益に支えられた財務体質の健全性を評価する。一方弱気派は、売上高の伸びが頭打ちで成長鈍化を懸念し、今後のパイプラインの進捗が不透明な中で現在の収益水準が維持できるか疑問視する。この強気と弱気の対立が、同社の株式評価の分かれ目となっている。

プラスに働く材料7
  • 収益性の高さ

    営業利益率は2024/6期と2025/6期で40%超を維持。

  • 安定した配当

    配当利回りは6.03%で株主への還元が厚い。

  • 堅調な財務体質

    純資産に支えられ、ROEは40.7%と高い。

  • 2025年6月期は営業利益83億円と2期連続最高益決算発表後影響

    営業利益は前期比約3億円増の83億円、売上高営業利益率44.62%と高収益を維持

  • 純利益が30億円から63億円へ2倍超に増加通年影響

    2025年6月期の純利益は63億円、2023年6月期の30億円から2.1倍に拡大

  • ROE40.7%の高資本効率で株主価値向上継続影響

    自己資本利益率40.7%は資本効率の高さを示し、株主価値向上の原動力

  • 配当利回り6.03%と高水準の株主還元通年影響

    株価464円に対する配当利回り6.03%は下値支持材料

マイナスに働く材料7
  • 売上成長の停滞

    売上高は2023/6期に減少後、微増にとどまり成長鈍化。

  • 開発リスク

    創薬パイプラインの臨床失敗で収益基盤が崩れる懸念。

  • 競争の激化

    同業他社のがん治療薬開発との競争で優位性が不透明。

  • 売上高は186億円で前期比1.1%増と停滞決算発表後影響

    売上高は186億円で前期184億円から2億円増、増収率は1.1%にとどまる

  • 株価は1年で7.68%下落し下落トレンド継続影響

    直近1年で株価は7.68%下落し、464円の水準で上値が重い

  • 外国人持ち株比率42.44%が売り圧力に転じる不定影響

    外国人持ち株比率42.44%と高く、リスクオフ時に売り圧力が強まる

  • 来期業績予想が未発表で見通し不透明決算発表後影響

    予想PERが公表されておらず、2026年6月期の業績計画が見えない

次の決算で確かめる点
パイプライン進捗
臨床試験の段階進捗や承認取得が事業価値を左右するため。
ライセンス収入
マイルストーン収入の獲得状況が収益の成長性を示すため。
営業利益率
高い利益率の持続性が収益モデルの信頼性を測る鍵。
研究開発費
投資規模と成果のバランスが将来の成長可能性を反映。

配当

株主還元

直近の年間配当は1株あたり29いまの株価に対する利回りは5.73%。

年間配当
¥29
1株あたり
配当利回り
5.73%
いまの株価に対して
配当性向
45.1%
利益のうち配当に回した割合
連続増配等
0年
増配か維持が続いた年数
次の配当スケジュール
  • 権利付き最終日
  • 権利確定日
  • 支払開始日
  • 今期の会社予想年間予想¥29

株主

有価証券報告書より

2025年6月期末の株主数は延べ23,620人。区分でいちばん多いのは個人・その他52.0%。グループ会社や銀行などの安定株主が4.2%を占め、残る95.8%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2024年6月%2025年6月%
個人・その他49.852.0
外国法人45.642.3
金融機関2.23.6
証券会社1.11.3
事業法人1.10.6
外国人個人0.10.2

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01CITIC CAPITAL JAPAN PARTNERS Ⅲ, L.P. (常任代理人 大和証券株式会社)40.50
02野中 雅貴26.73
03株式会社日本カストディ銀行(信託口)1.70
04野村信託銀行株式会社(投信口)1.20
05BBH LUX / BROWN BROTHERS HARRIMAN (LUXEMBOURG) SCA CUSTODIAN FOR SMD-AM FUNDS-DSBI JAPAN EQUITY SMALL CAP ABSOLUTE VALUE (常任代理人 株式会社三井住友銀行)0.63
06日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)0.63
07楽天証券株式会社0.43
08SOCIETE GENERALE PARIS / BT REGISTRATION MARC / OPT (常任代理人 ソシエテ・ジェネラル証券株式会社)0.28
09MSIP CLIENT SECURITIES (常任代理人 モルガン・スタンレーMUFJ証券株式会社)0.27
10CCJP Ⅲ CO-INVESTMENT, L.P. (常任代理人 大和証券株式会社)0.25

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 7期分

1株利益は7期で+47627%、1株純資産は6期で+257%。直近期のROEは40.7%で、日本株の目安とされる8%を上回る。

決算期EPSBPSROE%PER配当性向%
2020年6月−047−0.2
2021年6月−147−1.2
2022年6月457374.662.5
2023年6月308538.329.7
2024年6月5813752.27.148.1
2025年6月6216940.78.745.1
2026年6月52

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安
ROE自己資本利益率
株主のお金でどれだけ稼いだか。日本株では8%が一つの目安
PER期末実績
株価が1年分の利益の何倍か。低いほど割安とは限らず、期待の低さのこともある
配当性向利益からの還元率
利益のうち配当に回した割合。高すぎる場合は無理をしている可能性もある

経営陣

17名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は17名。2025/6期の役員報酬は総額100百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約3倍にあたる。

氏名役職年齢保有株数
野中雅貴代表取締役社長5127,532,217
内山義雄取締役管理本部長66154,736
永井淳平取締役 経営企画室長39
伊藤政宏取締役53
三品聡範取締役4323,085
千葉理取締役626,352
遠藤佳孝常勤監査役6922,000
中川真紀子監査役539,241
Caroline F.Benton監査役659,022
野中祐行専務執行役員 営業本部長
大井貴之常務執行役員 生産本部長
中石和成常務執行役員 海外事業推進室長
残りの役員5名を開く
氏名役職年齢
大嶽徹朗常務執行役員 開発本部長
竹嶋俊介常務執行役員 品質本部長
穴田晋之介執行役員 営業本部副本部長
森田智彦執行役員 管理本部副本部長兼経理シニアマネージャー
村上和史執行役員 品質本部副本部長

役員報酬の内訳2025/6

役員の区分人数固定報酬百万円業績連動百万円合計百万円1人あたり百万円
取締役(社内)355187224
社外取締役420205
監査役1888

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2025/6期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容3,965字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3【事業の内容】 当社は感染症臨床検査用の抗原検査キットメーカーとして、創業以来30年以上の長きにわたり、さまざまな分析技術を応用した体外診断用医薬品等を製造し、国内を中心として海外にも販売しております。高品質な製品と顧客サービスを提供する企業として、医薬品卸売販売業者を通じてエンドユーザーとして病院及び開業医のみならず、WHO等の国際機関、研究機関やバイオベンチャー企業等にも製品を提供し、事業活動を行っております。 当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 当社主力製品は、イムノクロマト法※を利用することで、特別な装置を必要とせず患者のそばで迅速な診断を可能な抗原検査キットであります。他の検査手法としては例えばPCR検査が挙げられますが、PCR検査は検出する対象が核酸であるため、イムノクロマト法を利用した抗原検査キットの検出対象であるウイルスタンパク質とは性質が異なり、また検査の特性・目的も異なります。判定時間・手技の簡易さ・検査コスト等の観点から、当社は感染症検査のマーケットのニーズには、イムノクロマト法を利用した製品がより適していると考えております。 ※ イムノクロマト法:この方法を利用した代表的な検査薬としては、薬局等で広く販売されている妊娠診断薬が挙げられます。この検査法のおおまかな原理は、以下のとおりになります。①テストプレートの試料滴下部に検体を滴下すると、検体はテストストリップへ浸透します。検体中の標的抗原は、コロイド等に標識された標識抗体との反応が始まります。この標識抗体は、標的抗原に対して特異的に結合する抗体を使用しております。②標的抗原と標識抗体を含む溶液はメンブレン内を毛細管現象により展開しながら、さらに標的抗原と標識抗体との反応が進みます。③標識抗体と反応した標的抗原の複合体は、メンブレン上に固定化された抗体(判定ライン)と標的抗原が反応し標識抗体と標的抗原の複合体が捕捉されます。この結果、判定ライン上に標識物が集積しラインとして目視判定が可能となります。④標的抗原と反応しなかった標識抗体は、標識抗体認識抗体(コントロールライン)と反応し、標識物が集積しラインとして目視判定が可能となり、検査が正常に機能したことを示します。陽性であれば2本のライン、陰性であれば1本のラインが出現、出現したラインを目視で確認するだけの簡便な検査法であります。 <イムノクロマト法の原理> ※ 各部の名称:テストストリップは標識抗体を含むパット部から吸収パッドまですべての部材を含むものを指しております。①検体滴下部では、滴下した標的抗原と抗体が結合する反応が起こります。メンブレンは図中のとおり、検体と標識抗体が展開される部位を指します。また、図の下段で示しているとおり、図①~④の一連の反応が起こるテストストリップはプラスチック製のカバーで覆われますが、これらを総合してテストプレートと呼びます。 当社の製品の特長としては、以下の事項が挙げられます。 検体抽出液の共通使用   検体抽出液(鼻咽頭ぬぐい液)はイムノエース®SARS-CoV-2 Ⅲ・SARS-CoV-2/Flu・Flu・アデノ・hMPV・RSV Neo・Flu/RSVで共通使用が可能 検体抽出液の共通化の大きなメリットは、1回の検体採取、1回の抽出操作で、複数項目を検査できる点にあります。新型コロナウイルスやインフルエンザ等の感染症の診断においては鼻咽頭ぬぐい検体が使用されますが、検体採取において鼻咽頭部(鼻腔の最奥)までスワブを挿入する必要があり、軽微ながらも痛みを伴うことがあります。検体採取を一度で完了させることができることは、被検者と医療従事者双方において検体採取における負担が軽減され、また業務効率の観点からも有益であると考えております。 ブラックライン   独自開発のナノテクノロジー「白金-金コロイド」採用により判定ライン・コントロールラインを視認性の高いブラックラインで表示 他社イムノクロマト法製品においては、標識物が金コロイド粒子又はカラーラテックスが主流となっておりますが、当社は独自の白金―金コロイド粒子を用いております。当社技術の白金―金コロイド粒子を用いると判定ラインは黒色となりますが、金コロイド粒子では赤紫色、カラーラテックスでは主に赤色と青色となります。従来技術の色調と比較し、当該技術を用いた黒色のラインは背景となるメンブレンの白色とのコントラスト差が大きくなるため、判定ラインの視認性が高くなると考えております。 ユーザーからは、当社製品の使用感として、①独自のブラックラインを用いた判定ラインの見易さ(視認性)、②診断の正確性(感度・特異度)、③キットに同梱されている綿棒(コパン社製)の使いやすさと患者に対する侵襲性の低さ、④高感度を保ったうえでの判定時間の短さ、が主に評価され、これらの理由から当社製品を選択頂いているケースが多いものと認識しております。 当社の主な製品は、以下のとおりであります。 製品名   一般的名称   製品の特長 イムノエース®Flu   インフルエンザウイルス抗原検査キット   ・判定時間※は5分(陽性は3分から判定が可能) ・判定ラインはブラックライン ・ナイロン軸で植毛タイプの滅菌済み鼻腔用スワブを採用 ・検体抽出液(鼻咽頭ぬぐい液)はイムノエース®SARS-CoV-2 Ⅲ・アデノ・hMPV・RSV Neoと共通使用が可能 イムノエース®SARS-CoV-2 Ⅲ   新型コロナウイルス抗原検査キット   ・判定時間は10分(陽性は10分より前でも判定部[T]及び[C]の両方にラインが認められた場合には判定可能) ・判定ラインはブラックライン ・ナイロン軸で植毛タイプの滅菌済み鼻腔用スワブを採用 ・検体抽出液(鼻咽頭ぬぐい液)はイムノエース®Flu・アデノ・hMPV・RSV Neo・Flu/RSVと共通使用が可能 イムノエース®SARS-CoV-2 Saliva   新型コロナウイルス抗原検査キット   ・唾液を検体とした抗原定性検査キット ・判定時間は20分(陽性は20分より前でも判定部[T]及び[C]の両方にラインが認められた場合には判定可能) ・判定ラインはブラックライン ・スワブによる侵襲がなく、くしゃみによる飛沫発生もない イムノエース®SARS-CoV-2/Flu   新型コロナウイルス抗原検査キット インフルエンザウイルス抗原検査キット   ・SARS-CoV-2とFluを同時に検査 ・判定時間は15分(陽性は15分より前でも判定部[T]又は[A]又は[B]及び[C]の両方にラインが認められた場合には判定可能) ・判定ラインはブラックライン ・ナイロン軸で植毛タイプの滅菌済み鼻腔用スワブを採用 ・検体抽出液(鼻咽頭ぬぐい液)はイムノエース® アデノ・hMPV・RSV Neoと共通使用が可能 イムノエース® アデノ   アデノウイルス抗原検査キット   ・判定時間は5分(陽性は3分から判定が可能) ・判定ラインはブラックライン ・ナイロン軸で植毛タイプの滅菌済み咽頭・角結膜用スワブを採用 ・検体抽出液(鼻咽頭ぬぐい液)はイムノエース®SARS-CoV-2 Ⅲ・SARS-CoV-2/Flu・Flu・hMPV・RSV Neo・Flu/RSVと共通使用が可能 イムノエース®Strep A Neo   A群β溶血連鎖球菌抗原検査キット   ・判定時間は5分 ・判定ラインはブラックライン ・ナイロン軸で植毛タイプの滅菌済み咽頭・角結膜用スワブを採用 イムノエース®hMPV   ヒトメタニューモウイルス抗原検査キット   ・判定時間は5分(陽性は3分から判定が可能) ・判定ラインはブラックライン ・ナイロン軸で植毛タイプの滅菌済み鼻腔用スワブを採用 ・検体抽出液は(鼻咽頭ぬぐい液)はイムノエース®SARS-CoV-2 Ⅲ・SARS-CoV-2/Flu・Flu・アデノ・RSV Neo・Flu/RSVと共通使用が可能 イムノエース® マイコプラズマ   マイコプラズマ抗原検査キット   ・判定時間は15分(陽性は5分から判定が可能) ・判定ラインはブラックライン ・ナイロン軸で植毛タイプの滅菌済み咽頭・角結膜用スワブを採用 ・取り違い防止のため、アルミシールにMycoと印字し、紫に着色した検体抽出液容器(本体及びノズル)を採用 イムノエース®RSV Neo   RSウイルス抗原検査キット   ・判定時間は5分(陽性は3分から判定が可能) ・判定ラインはブラックライン ・ナイロン軸で植毛タイプの滅菌済み鼻腔用スワブを採用 ・検体抽出液(鼻咽頭ぬぐい液)はイムノエース®SARS-CoV-2 Ⅲ・SARS-CoV-2/Flu・Flu・アデノ・hMPVと共通使用が可能 イムノエース® ノロ   ノロウイルス抗原検査キット   ・判定時間は10~15分 ・判定ラインはブラックライン ・滅菌済みスポンジスワブを採用 ・検体抽出液容器の取り違い防止(検体抽出液容器・ノズルを淡橙に着色)を採用 ・スワブ輸送用チューブを付属 ※ 判定時間:各キットで定められた陽性・陰性判定を実施する時間のこと。通常、抗原検査キットにおいては陰性であることを確認(判定)することで本検査を終了しております。キットによっては判定時間まで待つことなく陽性判定を行うことができ、このような場合は判定時間に関わらず陽性判定できます。 [事業系統図]
経営方針・対処すべき課題6,229字を開く

経営陣が考える方向性と課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。 (1)経営方針 当社は、「私たちタウンズは、独自の体外診断用医薬品により、人々の生活に安心と潤いを届けます。そのために、技術・知識を集積し、新たな製品の開発、品質改善に取り組み続けます。」を経営理念としており、より良い製品を世界に向けて発信し続けることを方針としております。 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社は、体外診断用医薬品の競争力を強化し、業績を向上させていくことが重要であると認識していることから、中期経営計画策定に当たり重視している経営指標は、売上高、営業利益、当期純利益、営業利益率、EBITDA及びROEとしております。 (3)経営戦略等 当社は、「診断技術で、安心な毎日を。」をコーポレートスローガンとして、世界の安心な毎日を創るために、感染症POCT※1分野において、創業以来30年以上の長きにわたり、多くの製品を開発・販売し、世界に向けて高品質な製品の提供を目指しております。2020年10月に新型コロナウイルス抗原検査キットの製造販売承認を得て「イムノエース®SARS-CoV-2」の販売を開始する等、現状においても国内のPOCT市場を牽引していると自負しております。今後に向けては、新たな事業の柱を築き更なる高付加価値企業となるべく、以下の戦略を推進しております。 ① 新たな検査技術の開発 当社は、既存のイムノクロマト法に加えて、高付加価値な次世代の検査技術の開発に取り組んでおります。 開発中のD-IA(デジタルイムノアッセイ)※2は、抗原検査キットと同等の簡易な操作性でありながら、ラボレベルの検査にも比肩し得る高い精度の検査を、小型かつ安価な装置で迅速に実施できることが最大の特長であります。 チップ型の試薬装置に検体をセットすれば同時に最大で20検体を検査でき、例えば2名分の検体を最大10項目同時や、4名分の検体を最大5項目に検査したり(例えば風邪症状の患者の検体を、新型コロナ、インフルエンザ、アデノウイルス、溶連菌、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス等複数の呼吸器検査項目を同時に検査することや、性感染症疑いの患者検体を、HIV、梅毒、B型肝炎、C型肝炎等複数項目を同時に検査することが可能)、あるいは1項目であれば最大20名分を同時(例えばクリニックの繁忙期や、大量の検査を日常的に実施する検査ラボにおいて、同時に20名分の検査を行うことで検査の効率化・迅速化に貢献)に検査する等、さまざまな使い方が想定できます。また定性検査のみならず、定量検査も可能であります。当社はD-IAにより、POCT検査を質的にも量的にも進化させ、クリニック環境においてラボレベルの検査を簡易に行えるようにすることを目指しております。 D-IAの他にも新たな抗体取得技術による高性能な抗体の創出など当社の技術基盤を強化する取り組みに注力しております。また、体内の免疫細胞状態を解析するアプローチや、ゲノミクス、エピゲノミクス、マイクロバイオームなどの新たな診断技術への投資を通じて、マルチオミクスな検査サービスの提供を目指しております。 ② 慢性疾患領域への進出 当社は、血中の亜鉛濃度を測定して亜鉛欠乏症の診断を行う「アキュリード 亜鉛」を皮切りに、慢性疾患分野への進出に取り組んでおります。具体的には、免疫プロファイリング※3を活用した血液検体によるがんのコンパニオン診断※4、POCTによる慢性疾患のリキッドバイオプシー※5検査、簡易尿検査システムによる腎疾患検査、イムノクロマト法による歯周病検査キット等、様々な製品の開発を進めております。 ③ 予防・未病領域の開拓への取り組み 当社は、予防・未病領域への取り組みとして、低侵襲※6に取得できる検体を用いたホームテストの活用とそこから得られる健康情報の解析や、各医療機関と連携した検体データベースの構築に向けた準備を進めております。それらを活用することで、新たなバイオマーカーの発見や、予防・未病領域向けの新たなPOCTの開発に繋げていきます。 ④ 海外展開 当社の海外展開は、短期的には既存製品を取扱う各地域の代理店網の強化を進めることで、新規エリアに進出し、海外市場でのプレゼンス強化を図ってまいります。中期的には品質を維持しつつコストを抜本的に見直した海外向け仕様品の開発・展開、長期的には新開発の高付加価値製品の投入を行っていきます。 ⑤ 新工場設立 当社は、新工場の設立を計画しております。今後の事業成長に向け、既存製品向けの製造ラインの増設に加えて、新製品に対応した製造ラインを設置し、またFactory Automationの推進により人員数の効率化を実現すると共に、品質の安定化を進めます。加えて、広大な敷地を活用して原材料在庫の十分な保管スペースを確保することで、倉庫費や物流費の削減が可能となることや、従来の1拠点のみの生産体制から2拠点体制に移行することで、緊急事態時にも生産ラインを止めることなく事業継続が可能となるBCP面の効果も想定しております。 ⑥ 戦略投資 当社は、既存事業における生産キャパシティや生産効率の向上、品質の安定化などを主たる目的とし、三島工場への投資を行ってまいります。また、慢性疾患領域への進出を始めとする事業ドメインの拡大に向けて、10年後のビジョンと現状の技術基盤を比較し、不足している・強化すべき領域を中心に、知財への投資や技術提携先への資本投資を戦略的に行ってまいります。 今後は各資本提携先の検査を受託しながら、先端的な検査技術を新規製品やサービスへと落とし込むことを目的に、自社保有の検査センターであるタウンズクリニカルラボへの投資についても推進してまいります。 ⑦ 人的資本投資 当社は、今後事業領域を拡大して国内外で高い成長を続けていくために必要なのは、それを実現する人財の登用と、最大限能力を発揮してもらうための仕組み、現社員と融和した組織作り、AIなどの先端的な技術を取り込む教育だと考え、重要課題の解決に直結する戦略人事を実行してまいります。 ※1 POCT:Point Of Care Testingの略になります。日本医療検査学会(旧:日本臨床検査自動化学会)POCTガイドラインによると、「臨床現場即時検査」として定義され、被検者の傍らで医療従事者が行う検査であり、検査時間の短縮及び被検者が検査を身近に感ずるという利点を活かし、迅速かつ適切な診療、看護・疾病の予防、健康増進に寄与し、ひいては医療の質、被検者のQOL(Quality of Lifeの略。生活の質の向上)及び満足度の向上に資する検査としております。 当社の製品群であれば、イムノクロマト法を原理とするインフルエンザやSARS-CoV-2等の抗原検査キットが該当しております。 ※2 D-IA(デジタルイムノアッセイ):デジタルイムノアッセイ(digital immunoassay)の略称であり造語であります。新規検出原理として研究開発を進めている検出プラットフォームの1つであります。金コロイド標識抗体を使用し、抗体抗原反応の後、専用チップ内の反応部位に金コロイド標識抗体と抗原の複合体を捕捉し、その後標識物である金コロイド粒子のみ科学的に遊離させます。遊離させた金コロイドのみ移動させ光学的に検出します。金コロイド標識抗体等の移動は専用チップを回転させることにより生じる遠心力を利用しております。従来の金コロイド粒子の検出方法は、イムノクロマト法に代表されるように金コロイド粒子の集積により生じる赤紫色の呈色を検出するものでありますが、D-IAにおいてはレーザーを照射し金コロイド1粒子からそれぞれ生じる散乱光を検出します。1粒子カウントを可能とすることから「デジタル」検出が可能となり、本検出原理名称の由来ともなっております。金コロイド粒子そのものを1粒子カウントすることで、抗原低濃度領域における高感度検出が可能となり、また粒子カウントによる定量検出も可能となります。 ※3 免疫プロファイリング:患者血液中のT細胞やB細胞等、細胞性免疫機構に関わる細胞の状態(免疫細胞集団の状態)を指します。患者の病態の進行により、細胞集団の状態は変化します。がんの発生には免疫システムが密接にかかわっていることが示唆されており、免疫チェックポイント阻害剤はがん細胞により抑制されていた免疫システムを抑制状態から解放し再活性化することにより、自己免疫細胞によりがんを治療する方法(免疫療法)として知られております。ただし、がん細胞を攻撃する細胞集団が免疫療法に適した状態でないと、十分な効果が期待できません。そのため、抗がん剤の一種である免疫チェックポイント阻害薬の投与前に免疫プロファイルを測定し、免疫療法に適した状態であるかを事前に知ることは治療効果を予測するうえで有用と考えられます。 ※4 コンパニオン診断:コンパニオン診断とは、投与される医薬品の効果や副作用を事前に予測するために実施される検査であり、治療前に実施することによりある治療法がその患者に適しているかを事前に確認することができます。患者が有する遺伝的特性や治療時の免疫プロファイルの状態を基に、適切な治療法を選択することができ、より効果的な治療が可能となります。コンパニオン診断により、患者ごとに効果が高く副作用の少ない治療が選択できるため、治療効果を高め、ひいては患者のQOL向上に資することができます。また、特にがん領域においては、免疫チェックポイント阻害剤等の高額治療も存在しており、コンパニオン診断による効果的な治療法の選択は、医療費低減への貢献も期待されます。 ※5 リキッドバイオプシー:血液や尿といった採取された体液等、さまざまな検査に用いることができる液状の検体を用いた検査(液体生検)の総称であります。 ※6 低侵襲:医療行為において、採血で静脈に針を刺す行為や胸部X線撮影において放射線で被曝させること、また手術で開腹するために切開すること、これはすべて侵襲性のある行為となります。これらの医療行為においては痛みや身体的負担を生じ、医療行為によりその程度は異なります。医療行為により侵襲性は異なり、身体へ与える影響が少ないものを低侵襲性又は非侵襲性と称しております。一般的に採血等の行為は最低限の侵襲性に留まっており、低侵襲性であるとされております。検体採取において無痛針を利用することで採血時の痛みを低減又は無痛にする等、より侵襲性の低い検体採取法の開発も進んでおります。 (4)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 体外診断用医薬品業界においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえて、医療現場におけるPOCTの重要性が一層認知されております。 また、昨今の新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行の発生や薬剤耐性問題、性感染症の蔓延等を背景として、網羅的かつ迅速な検査による、高精度な疾患鑑別へのニーズが高まりを見せており、感染症検査において、同一の検体で複数項目を同時に検査するマルチプレックス検査化や更なる高精度化への流れが加速しております。 さらには、高齢化や社会保障費増大を背景とした予防医療・個別化医療のニーズの拡大など、様々な社会課題とそれらに対応する医療技術が急速に高度化しております。このような状況のなか、当社は診断技術とデータを用いた社会課題の解決を成長戦略の真ん中に掲げ、医療機関や患者を始めとする世の中の幅広いニーズに応える製品を提供するため、以下の課題に取り組み、事業の継続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。 ① 営業チャネルの強化・拡大 当社は、今後、営業員の人員を拡充することで、新規及び既存の医療機関との関係構築・強化に注力してまいります。一方で、現状で当社がアプローチし切れていない医療機関もあることから、当社製品を扱う重要卸業者との関係強化に加えて、製薬会社との共同販売推進による営業チャネルの拡大に取り組んでおります。 ② 特定製品への売上依存 当社の各感染症検査キットの市場シェアは、概ね拡大傾向で推移しております。以前はインフルエンザ検査キットが当社売上の大きな割合を占めていたものの、2020年10月に新型コロナウイルス抗原検査キット「イムノエース®SARS-CoV-2」を発売して以降は、新型コロナウイルス感染症関連製品への売上が大宗を占めており、新型コロナウイルス感染症の流行度合いにより業績に大きな影響を受ける状態にあります。当社は継続的に次世代型の検査技術や新製品の開発、新たな市場の開拓に取り組み、新型コロナウイルス感染症関連製品以外の売上拡充に努めております。また、新製品の迅速な市場展開に向け、薬事申請を含む規制対応の体制強化や、量産製造への移行プロセスの最適化等に取り組んでおります。新たな収益基盤を速やかに構築することで、特定製品への売上依存度を下げるように努めております。 ③ 海外事業拡大に向けた基盤整備 当社は、各地域における特定の代理店を通じて海外市場での販売を行っております。今後海外事業をさらに拡大していくために、より海外市場に受け入れられやすい価格と高品質を両立させる海外仕様製品の開発を行っております。また海外市場向けの薬事申請体制の強化や海外のKoL(Key Opinion Leaderの略。特定の疾患領域において権威ある医師や大学教授の方々)との関係構築等と併せて、海外営業体制やマーケティング体制の強化に取り組んでおります。 ④ 新たなコア技術の開発 現状の抗原検査キットの枠を超えて事業領域を拡大するために、新抗体開発技術、D-IAや簡易尿検査システム等の新たなコア技術の開発を行っております。これらの技術を活用し、既存の呼吸器感染症検査の領域のみならず、D-IAを用いた性感染症検査や慢性疾患の検査等の新疾患領域、免疫プロファイル検査の開発、予防・未病領域における超早期マーカーの発見や新たな検査技術の開発、簡易尿検査システムによる家庭での日常的な疾患リスクのモニタリング技術の開発等に取り組んでおります。 ⑤ 情報通信技術活用による生産性向上 現在推進している新基幹システムの導入プロジェクトに伴い、業務体系を見直し、様々な業務データを標準化・マスタ整理をすることで、社内における非効率的なオペレーションを解消し、業務体系の効率化及び生産性の向上に取り組んでおります。また、各種医療データの研究開発への活用に向けた情報基盤の整備を進めております。 ⑥ 人財採用及び育成の強化 当社の、今後の更なる成長に向けては、人員体制の一層の強化が必要であります。専門人財の積極的な採用活動や、社内人財への教育体制の強化に努めてまいります。
事業等のリスク13,008字を開く

会社が自認するリスクの一覧

3【事業等のリスク】 当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を以下のとおり記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に取り組む方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。 なお、本項記載のうち将来に関する事項は、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではなく、本書提出日現在において当社が判断したものであります。 以下の各事項において、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化したときに当社の経営成績等の状況に与える影響について合理的に予見することが困難な場合には、その可能性の程度や時期・影響についての記述は行っておりません。 (1)法的規制等に関するリスク(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大) 当社は、体外診断用医薬品の製造販売を行うために医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、「薬機法」という。)等の関連法令をはじめ、様々なガイドラインに従い、適正に運用しております。 当社は、体外診断用医薬品及び医療機器の製造販売をするために、「体外診断用医薬品製造販売業許可」、「体外診断用医薬品製造業登録」及び「医薬品販売業許可」、また、医療機器の製造販売を行うために「第三種医療機器製造販売業許可」、「医療機器製造業登録」及び「高度管理医療機器等販売業許可」を受ける必要があり、関係する業許可を取得し法令遵守に努めており、現状においては当該許認可が取り消しとなる事由は発生しておりませんが、今後、これらの関係法令が改廃又は変更された場合や新たな法規制が設けられた場合には、これらの法規制を遵守できなかったことにより許認可の取り消し等の処分を受けこれにより事業活動を制限されることはもとより、社会的信用の低下を招く可能性があると共に、これらの法規制を遵守するために当社の事業活動が制限を受ける可能性があり、その結果、当社の業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、これらの法規制を遵守するためのコストが発生又は増加し、利益率の低下につながる可能性があります。加えて、当社の業績は保険点数・条件等の影響を受ける可能性があるところ、これらの変更により、当社の収益を左右する可能性があります。さらに、海外販売にあたっては国内法令以外に、販売国の法令を遵守するために現地代理人と連携し薬事承認を目指しますが、当社の想定どおりに薬事承認を得ることができない又は薬事承認取得後に販売国の薬事法令が切り替わることにより事業活動の制限を受ける可能性があります。特に欧州においては新しい薬事規制・欧州体外診断用医療機器規制(IVDR)が2022年5月から適用開始となりましたが、欧州での販売の混乱を防ぐ目的で現在は旧指令(IVDD)と新規制が混在されて運用されております。当社製品では結核検査のCapilia TB-NeoはIVDR承認を取得しておりますが、その他はIVDD登録であります。当社製品が、2027年までにIVDRとしての申請ができない場合には、欧州でこれを販売することができなくなるため、当社は製品ごとに順次対応を進めております。さらに、将来的に進出を検討している米国市場においては、2024年2月にQSR(Quality System Regulation)改正法案が発出され、2026年2月よりQMSR(Quality Management System Regulation)が発効される予定であります。当社はこれら国内外の法規制等の改正動向につき、常時積極的な情報収集に努めるとともに、関係部署には情報共有を行いながら適時対応策の検討を行っております。 以下に、国内における薬事の業許可を示します。 許認可等の名称   許可番号   有効期限   取消事由 体外診断用医薬品製造販売業許可   静岡県知事 22E1X00002   2026年6月30日   薬機法第二十三条の十六 体外診断用医薬品製造業登録 (神島工場)   静岡県知事 22EZ2000006   2026年6月30日   薬機法第二十三条の十六 医薬品販売業許可   静岡県東部保健所 東保A第22-94号   2027年6月30日   薬機法第二十三条の十六 第三種医療機器製造販売業許可   静岡県知事 22B3X10021   2026年6月30日   薬機法第二十三条の十六 医療機器製造業登録 (神島工場)   静岡県知事 22BZ200150   2026年6月30日   薬機法第二十三条の十六 高度管理医療機器等販売業許可   静岡県東部保健所 東保A第11-554号   2027年6月30日   薬機法第二十三条の十六 体外診断用医薬品製造業登録 (新三島工場)   静岡県知事 22EZ2000010   2030年6月23日   薬機法第二十三条の十六 医療機器製造業登録 (新三島工場)   静岡県知事 22BZ200180   2030年6月23日   薬機法第二十三条の十六 (2)製品品質に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中) 当社では、医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(以下、「QMS」という。)等に基づき、重大な品質問題が発生しないように製品毎にリスクマネジメントを実施し、リスクの低減を行っております。また、海外販売においてはISO13485:2016(医療機器における品質マネジメントシステム)の適用を欧州の第三者認証機関を通じて認証を受け、開発から製造、品管、販売までのリスク低減に向けた取り組みを実施しております。 また、当社では、QMS及びISO13485:2016のルールに則り品質マニュアルを定め、製品毎のリスクマネジメント及び教育、社内外の監査、苦情処理、是正措置、購買先管理等の規定文書を定めており、さらに、監査による問題の洗い出しや、厚生労働省及び海外薬事規制当局、第三者認証機関における監査を受け、適時、改善を継続的に実施し、且つ市販後調査等により重大な品質問題が発生するリスクの軽減に努めております。 このように、当社は、薬機法及び関連法令、ガイドライン等に基づき、万全の品質管理体制を敷いて製品の品質確保に取り組んでおりますが、製品に重大な品質問題が発生した場合には、当社レピュテーションへのダメージは勿論のこと、売上高の減少やコストの増加、法令上の制裁に伴う事業活動の制限等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 (3)訴訟・係争リスク(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:特定不能) 当社は、本書提出日現在係争中の訴訟事案はありませんが、事業活動を継続していく過程において、製造物責任(PL)関連、労務関連、知的財産関連、商取引関連、その他に関する訴訟が提起される可能性があります。このようなリスクを事前に予防するため又は仮に訴訟に発展した場合にも業績への影響が限定的となるよう社内の法令遵守体制を徹底するため、社内に複数の法律又は会計等の専門家を配置しておりますが、これらの訴訟の結果によっては、損害賠償を請求される、社会的信用の低下、レピュテーションへのダメージ等、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 (4)新製品開発力に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中) 当社は、2020年10月に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原検査キットを発売する等、新規の感染症向け製品、既存製品の性能向上等、継続的に新たな収益基盤として期待される新製品の開発に注力しております。 体外診断用医薬品は、国内では所轄官庁の承認、海外では承認や認証を得てはじめて上市可能となります。また、体外診断用医薬品業界は、技術開発及び性能の向上において常に競合他社と競争状態にあります。このため、研究開発の遅延や中断により研究開発投資の回収が困難になり、将来にわたり業績に影響を与える可能性があります。また、他社の革新的技術により当社製品の優位性が低下した場合、製品売上が減少する可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、当社は、研究開発部門が営業部門と連携することで課題の共有を密に図る他、規制当局及び関連学会等の動向を常時積極的、且つ継続的に情報収集し、大学等公的研究機関や医療機関と共同研究等による連携も行いながら、業界と市場の変化及び顧客ニーズをタイムリーに把握するよう努めております。また、開発された製品は薬事申請が必要となることから、生産部門、品質管理部門と連携しながら医療機関において臨床評価試験も行います。製品化においては、QMSに則り、開発計画から薬事承認まで、研究開発部門、生産部門、品質管理部門との連携により遂行しております。 また、外部からの技術導入や外部との連携を進め、並行して人的リソースの拡充も含め開発力の更なる強化に取り組むとともに、開発に係るマネジメント体制の強化にも努め、且つ市場環境の変化を考慮しながら開発案件の優先順位等を判断し、業界と市場の変化及び顧客ニーズを踏まえて注力すべきと考えられる新製品に開発力を集中できる体制を整備しております。 (5)感染症の動向による業績への影響(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中) 当社の売上高において、コロナ禍以降、新型コロナウイルス関連の検査キットが大きな割合を占める状況が続いております。 当社は、新たな感染症に対応する製品の開発や既存の感染症領域における新製品の開発等により感染症領域における競争力の強化を図るとともに、感染症以外の領域での強化を図ることで、特定の製品への売上げの依存度を減少させることを目指しておりますが、上記の主要製品に係る感染症の流行が当初の想定より小規模であった場合、又は予期せぬ事由により当該製品の売上高が大幅に減少した場合、在庫の評価減、廃棄損も含め、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 (6)原料、商品等の調達に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:小) 製品の製造に使用している原料の中には、海外からの輸入原料もあるため、輸入原料や特殊な原料、商品等につきましては、個別にリスク管理を行い適切な在庫となるよう管理するとともに、極力複数社からの調達体制を構築し、国際情勢等の変化に柔軟に対応できるよう努めております。また、入手困難な原料が生じた場合は、代替原料の調査及び評価を行い、製品供給が滞らないよう努めております。しかしながら、国際情勢の変化等により、原料並びに商品等の品質の変化、又は製造停止、終了や輸入経路の寸断等により調達に問題が生じる場合は、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 (7)外注先に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:小) 当社は、体外診断用医薬品等の製造の一部、これに付随する保管、在庫管理、荷造り及び納入の業務を外注しており、当社の業務が一部取引先に集中する場合があります。当社は、外注先との関係強化・維持を図ると共に、複数の外注先を確保することとしております。また、日常的、定期的に検査、整備等を行い自社生産の更なる充実を図ると共に、恒常的に2~3か月程度の製品在庫を保管し、リスクの極小化に努めておりますが、外注先の方針転換等により外注先へ業務委託できない状況が発生した場合には、製品の製造及び供給が困難となる等、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 (8)知的財産権に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中) 当社は、新規性あるいは進歩性のある技術を特許化し、その複数の特許は一定期間保護されております。しかし、当社の保有する知的財産権が第三者から侵害を受けた場合には、期待される収益が失われる可能性があり、侵害を受けた場合は損害賠償請求を進める等の措置をとりますが、それでも当社が被った損害について十分な賠償を受けることができない可能性があります。また、当社の製品が意図せず他社の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償を請求される可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 これらのリスクに対し、当社は、特許権、実用新案権、意匠権及び商標権の「産業財産権」を含む知的財産権を適正に管理し、第三者からの侵害あるいは第三者の知的財産権を侵害するおそれについても、常に監視を行うとともに、当該情報を当社内の関連部門間で共有することによって管理体制の強化を図っております。 また、海外に向けても知的財産権を行使していることから、国内外の特許法の遵守に努めております。 (9)市場環境の変化に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中) 医療制度改革や診療報酬の改定が行われている中、国内の人口減少が続いており、当社の事業環境は、市場における他社との競合等も加わり、一段と厳しさを増しておりますが、新たな感染症対応製品の開発・販売開始等、市場環境は日々変化しております。足元では海外メーカーや国内後発メーカー等により、価格を重視した製品の市場投入が散見されております。 IMARC Group『Point-of-Care Diagnostics市場レポート 2025-2033』によると、当社のターゲット市場である臨床現場即時検査検査(POTC)の世界市場については、2025年から2033年までにCAGR7.6%の成長が予測されております。(2025年USD531億、2033年USD1,024億)」とされており、国際的な視点では、体外診断用医薬品市場は拡大傾向にあるとされております。そのため、海外市場への積極的な展開をすることで市場環境のリスク分散も進めております。 また、必ずしもPOCTに限らない臨床検査サービス全体でみれば、Global Market Insights『臨床検査サービス市場 世界予測(2023年~2032年)』によると、2032年に4,099億ドルとさらに巨大な臨床検査サービス市場を見込んでおり、今後の当社としてもPOCT以外の市場へのアクセス強化を図っております。 当社では、市場及び競合動向の情報収集及び分析評価を継続的に行い、既存ビジネスの競争力維持・強化等のための施策や、新規分野への展開等に活用しております。また、市場環境の変化に柔軟に対応するべく、新製品開発力の維持・強化等に努めております。 以上のような取り組みにもかかわらず、当社の市場環境の変化への対応が遅れた場合には、主要製品の需要減少、販売価格の低下、既存シェアの喪失等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 (10)海外事業展開に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期~長期、影響度:中) 当社は、日本国内の他、欧州・アジア及びその他の地域における事業活動を展開しております。また、今後については、当社の海外売上比率を高めることを企図しております。 これらの海外事業展開に関しては、カントリーリスクを初め、為替リスク、法規制・薬事ガイドライン、商習慣の相違等に起因するリスク、更には地政学的リスク等、海外ならではの付加的なリスクにさらされております。 これに対し当社は、各国の状況に精通した現地代理店を通じて規制当局への薬事承認を取得し、販売を通じて法規制の遵守以外に当該国での医療事情の情報収集を行い、販売業績へのリスク低減に努め、またカントリーリスク及び個社の信用力等に基づく信用リスク管理も行うことにより、リスクのコントロールを図っておりますが、上記のリスクが顕在化した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 (11)特定の販売先への依存によるリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期~中期、影響度:中) 当社は、2025年6月期において、主要顧客であるスズケングループへの売上が59.4%を占め、特定の販売先に対する依存度が高い状況にあり、販売先の集中による信用管理リスクも高くなっております。また、株式会社スズケンの経営方針等の変更により取引が打ち切りになった場合や取引金額が引き下げられた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社は特定の販売先に対する集中を緩和するために、依存度が高い販売先以外の販売先との関係強化、新規販売先の開拓、及び海外売上の拡大に努めており取引先の分散化を図っております。信用管理の面では、販売先全社に対して信用力に基づく与信限度額を設定する等、信用リスク管理に努めておりますが、これらの取組みにもかかわらず当社がスズケングループに対する信用リスク管理を適切に行うことができない場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 (12)人財の確保と育成に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大) 当社では、海外事業展開を含めた中長期における当社の経営計画達成のために、新製品の企画、開発能力のある人財、海外国内を問わず活躍できるグローバル人財やプロフェッショナル人財、全ての局面で自律・自立して成果をあげる人財の確保と育成が必要であると考えております。当社では、このような人財の確保のため国内に限らず、多様な人財確保を目指し、雇用した多様な人財が、多様な価値観を尊重しつつ健康に働ける環境を整える努力をしております。人財の確保は、通年で計画的に、経営や事業関連のスキルを持つ経験者や新卒者の採用を国籍に関係なく行い、人財の育成には企業倫理の育成から始まりキャリアプランに応じた成長教育の強化に取り組んでおります。しかしながら、当社の持続的な成長に必要な人財の確保が達成できなかった場合、また、達成のために人件費等増加が生じた場合には、当社の事業及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 (13)労務に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中) 当社は、法令に基づく適正な労務管理等により、全社的に労務関連リスクの低減に取り組んでおります。具体的には、当社は、日常的に労働災害が発生する可能性のある現場では災害を未然に防ぐための努力を行っております。災害が発生した場合には安全衛生委員会にて発生現場部署と連携し発生原因の特定から再発防止策の実施までを行い労働災害の再発防止に努めております。 長時間労働については、当社の事業拡大に沿った人員計画に基づき採用を行うことや業務効率化を図ることで長時間労働が発生しないように人員体制を強化しております。また、勤怠管理システム上で時間外勤務時間が多くなるとアラートを出す設定をして、過度な長時間労働を未然に予防するようにしております。また日頃より36協定を遵守するための啓蒙活動の一環として管理本部や人事部からの警告と注意喚起を毎月行い、長時間労働をなくす努力をしております。長時間労働が発生してしまった場合には、必要に応じて対象者の産業医面談を行うとともに所属本部から改善策を提出させて、再発防止に努めております。 ハラスメントに関してはハラスメント防止規程を設定し、社内掲示板にはハラスメント禁止を明示し、定期的にハラスメント防止のための研修受講を義務付けております。また、全従業員、役員が相談・通報できる社内・社外(弁護士直通)の「コンプライアンスに関する通報・相談窓口」を設置、個別に対応するようにしております。 メンタルヘルスについては、事前予防策としてエンゲージメントサーベイを定期的に実施しメンタルヘルスの異変を事前に察知できるようにすることや、株式会社Smart相談室の提供する法人向けオンライン相談サービスの「スマート相談室」を利用し、従業員のメンタルヘルス改善に資する幅広い相談に応じており、問題を小さな芽のうちに解決するようにしております。また、産業医とも連携し人事部を中心に面談の実施等の対応もしております。 以上のような取り組みにもかかわらず、労務関連のコンプライアンス違反(労働災害、長時間労働、ハラスメント等)が発生した場合、争訟の発生、社会的信用の低下及びレピュテーションへのダメージ等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 (14)情報の取扱い及び情報セキュリティに関するリスク (顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中) 当社は、事業上の営業秘密及び開発関連情報、薬事申請関連書類、規定文書、手順書、製造関係書類、品質管理書類、倫理関連書類、事業活動の過程で入手した個人情報や取引先等の多岐にわたる機密情報を保有しております。当社では当該情報の盗難・紛失等を通じて第三者に不正に情報が流出することを防ぐため、文書管理の徹底、社員及び委託先の情報リテラシー及びモラル向上、及びITガバナンスの強化に取り組んでおります。また、社内情報システムへの外部からの侵入防止対策も講じておりますが、当該情報の流出や漏洩が発生した場合には、社会的信用の低下、レピュテーションへのダメージ、訴訟や損害賠償に伴う金銭的負担・対応のための負担の増大、情報セキュリティ体制の見直し、強化等におけるコストの増加等、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 (15)システム障害に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中) 当社は各種情報システムを活用して業務を遂行しており、大規模な自然災害、社会インフラ(クラウドサービスやネットワーク回線、流通・供給網等)の遮断・混乱、想定を超えたサイバー攻撃等により、システムの長時間停止、又は事業活動における重要情報、顧客・従業員等の個人情報等の機密情報の漏洩、改ざん、消失等が発生する可能性があります。これらのリスクに対処するため当社では、絶えずシステム強化やセキュリティ対策をハード面から行うとともに、従業員のセキュリティ管理教育等のソフト面も徹底することにより障害が発生しないようにするとともに、万が一そのようなリスクが顕在化してしまった場合の迅速な対応やバックアップ体制の構築に取り組んでおりますが、これらの事象が発生した場合には、社会的信用の低下、レピュテーションへのダメージ、損害賠償請求に伴う金銭的負担、事業戦略の見直しの必要等が発生するおそれがあり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 (16)投資有価証券・関係会社株式・関係会社社債の減損に関するリスク (顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:小) 当社は、ビジネス上のパートナーシップを強化するため、投資有価証券を保有しております。取得前には投資委員会においてビジネス、財務経理、法務等々の観点から十分な検討を行い、投資額の重要性に基づき取締役会で決議ないしは報告がなされてから投資が実行されるようになっております。投資有価証券の継続的な保有の合理性についても、取引額、将来的なビジネスの可能性、保有に伴う便益やリスク、資本コストとの見合い等の観点から少なくとも年に一度投資委員会に諮問した内容を取締役会にて報告・協議しており、その結果、保有の合理性が低い株式については、市場環境等を考慮しつつ、売却を行うことを基本方針としております。 以上のように、取得後もリスクに見合ったリターンが得られているか、定量面・定性面での情報収集及び収集された情報の検証を含めリスク管理を徹底しておりますが、収益性の悪化等により投資先会社の純資産価値が毀損した場合や事業計画に大きな下振れが生じた場合等、当該投資有価証券・関係会社株式・関係会社社債の減損処理を実施することで、当社の業績に影響が及ぶ可能性があります。 (17)固定資産の減損リスク(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:小) 当社は、工場、機械設備等多くの有形固定資産や顧客関連資産、技術関連資産等の無形固定資産を有しておりますが、投資に対する回収が不可能になることを示す兆候を認識した場合には、将来キャッシュ・フローの算定等により減損の有無を判定しております。その結果、減損損失の計上が必要になることも考えられ、その場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 (18)金利変動と財務制限条項に関するリスク(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大) 当社では、金融機関からの借入によって製造設備、運転資金その他必要な資金を調達しておりますが、有利子負債の金額は売上高に比して多額なものであると認識しております。今後、市場において金利が上昇した場合には当社の借入金利も上昇することが予想され、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社の借入金には財務制限条項が付されている契約があり、具体的には純資産の減少及び経常損失の計上に関する財務制限条項が付されております。万一、当社の業績が悪化し、財務制限条項に抵触した場合には、当該契約による借入金の返済を求められる結果、当社の財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (19)災害、事故、感染症等に関するリスク(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大) 大規模な地震、風水害等の自然災害や火災、事故、感染症の流行等により、販売等事業活動への影響及び生産設備等で発生する操業中断の影響を完全に防止することができない事態が想定されます。また、当社の生産拠点は神島工場の1ヵ所のみであるため、この地域において大規模災害の発生や事故等により、操業中断に追い込まれる事態になった場合には、製品の生産、供給能力が著しく低下し、当社の事業及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、当社では、BCPを策定し、大規模な災害が発生した場合も事業を継続できるよう災害発生時の対応能力の継続的向上に取り組んでまいりました。また、抜本的な対策として三島市に新工場を建設中であり、2026年2月の稼働開始を目指しております。その他、恒常的に2~3か月程度の製品在庫を本社所在地以外に位置する複数の外部倉庫で保管していることや、各拠点において、事業が中断に追い込まれるリスクを極小化するため、あるいは事業中断による影響を極小化するため、日常的、定期的に検査、整備等を行っております。 (20)CITIC(現Trustar) Groupとの関係(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期~中期、影響度:小) 当社は、グローバルプライベート・エクイティファームである、CITIC(現Trustar) Groupに属するCITIC Capital Japan Partners Ⅲ, L.P.及びCCJP Ⅲ Co-Investment, L.P.からの出資を受けており、本書提出日現在において、合計で当社発行済株式総数の40.66%を保有しております。また、伊藤政宏氏が当社取締役としてCITIC(現Trustar) Groupから派遣されております。当社株主の今後の当社株式の保有方針及び処分方針によっては、当社株式の流動性や市場価格等に影響を及ぼす可能性があります。また、CITIC(現Trustar) Groupが相当数の当社株式を保有し続けたり、又は当社株式を買い増したりする場合には、当社の役員の選解任、他社との合併等の組織再編、減資、定款の変更等の当社の株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (21)資金調達に関するリスク(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中) 当社は、既存事業の強化並びに新規事業領域への進出により成長を目指しており、今後の資金調達が必要になる可能性があります。そのため、短期資金、長期資金のバランスを勘案し資金調達することで、借り換えリスクの低減を図っており、また、必要運転資金の最適化を図り、資金需要を抑制することでリスクの軽減に努めておりますが、金融市場の混乱、あるいは金融機関の融資方針の変更は、当社の資金調達に制約を課すとともに、調達コストを増大させ、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 (22)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について (顕在化の可能性:高、顕在化の時期:短期~中期、影響度:小) 当社は、役員及び従業員に対して、業績向上に対する貢献意欲及び士気を高めるため、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権の権利が行使された場合には、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権の割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日現在、これらの新株予約権による潜在株式数は4,730,578株であり、発行済株式総数103,199,774株の4.56%であります。 (23)配当政策について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中) 当社は、株主への利益還元を重要な経営課題の一つとして位置づけております。配当につきましては、2024年6月期に東証スタンダード市場への上場後、2024年6月期、2025年6月期においては、配当性向30%に加え、記念配当による配当を実施してまいりましたが、企業体質の強化及び将来の成長戦略に必要な投資を勘案したうえで、2026年6月期から2030年6月期までの中期経営計画期間において、株主に対して28円を起点とした累進配当を行うことで安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針であります。なお、内部留保資金につきましては、今後の研究開発や製造体制の強化等の成長投資として有効に使用してまいりたいと考えております。 上記方針のもと、累進配当を行うことで安定的かつ継続的な利益還元を実施していくことを目指しておりますが、事業環境の急激な変化等により、方針に基づく配当をできなくなる可能性があります。 (24)当社株式の流動性について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中) 当社は、当社株式の流動性の確保に可能な限り努めることとしておりますが、株式会社東京証券取引所の定める流通株式比率は当事業年度末時点において32.09%にとどまっております。 今後は、当社の事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達、当社代表取締役社長野中雅貴を含む主要株主への一部売出しの要請、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加分等を勘案の上、これらの組み合わせにより流動性の向上を図っていく方針ではありますが、当事業年度末日現在よりも何らかの事情により流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
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業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績等の状況の概要 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態の状況 (資産) 当事業年度末における資産合計は前事業年度末に比べ7,253,968千円増加し、36,515,294千円となりました。 流動資産は、前事業年度末と比べ1,439,108千円減少し、15,476,605千円となりました。これは主に、仕掛品が669,663千円増加、売掛金が2,459,087千円減少したこと等によるものであります。 固定資産は、前事業年度末と比べ8,693,077千円増加し、21,038,688千円となりました。これは主に、新工場建設に伴う有形固定資産が4,373,985千円増加、無形固定資産が115,896千円増加、投資有価証券の取得により投資その他の資産が4,203,195千円増加したことによるものであります。 (負債) 当事業年度末における負債合計は前事業年度末に比べ3,503,058千円増加し、19,097,624千円となりました。 流動負債は、前事業年度末と比べ944,568千円減少し、9,529,874千円となりました。これは主に、未払法人税等が863,985千円減少、未払消費税等が285,693千円減少、1年内返済予定の長期借入金が382,919千円増加したこと等によるものであります。固定負債は、前事業年度末と比べ4,447,626千円増加し、9,567,749千円となりました。これは主に、新工場建設に伴う資金調達により長期借入金が4,502,081千円増加したこと等によるものであります。 (純資産) 当事業年度末における純資産合計は前事業年度末に比べ3,750,910千円増加し、17,417,670千円となりました。 これは主に、配当金の支払いにより2,785,709千円減少したものの、当期純利益により利益剰余金が6,315,407千円増加したこと等によるものであります。 ② 経営成績の状況 当事業年度(2024年7月1日~2025年6月30日)においても、世界経済は引き続き不安定な状況が続きました。特に、ウクライナ情勢の長期化や中東における緊張の高まりなど、地政学的リスクの増大が先行き不透明感を一層強める要因となりました。 当社の主要な事業領域である感染症POCT(臨床即時検査)業界においては、2023年5月の新型コロナウイルス感染症の5類移行以降も、感染の拡大と縮小を繰り返す状況が続いておりますが、当期における新型コロナおよびインフルエンザの流行水準はいずれも前年を下回る水準で推移したことにより、感染症POCTの市場規模は前期比で縮小いたしました。 一方で、24年6月期においては、インフルエンザの流行が例年より早い9月ごろから始まり翌年3月ごろまで長期間にわたって継続したため、医療機関ではインフルエンザ検査キットや、新型コロナとの同時検査が可能なコンボ検査キットへの需要が高止まりし、当社は相当期間にわたる出荷調整を余儀なくされましたが、当事業年度においては予め必要十分な在庫量を確保していたことから、年末年始の検査キット需要の急拡大に際しても出荷調整を最小化することが出来ました。 これらの結果として、当事業年度の売上高、各段階利益は前期比で増収増益となって着地しました。 <四半期売上高推移>(百万円) 第1四半期   第2四半期   第3四半期   第4四半期   合計 23年6月期   6,326   4,106   2,401   2,839   15,673 24年6月期   6,943   4,673   4,754   2,063   18,434 25年6月期   6,419   5,561   5,626   1,020   18,627 四半期売上高実績推移としては、いずれの期においても第1四半期が最大の売上となっておりますが、23年6月期においては一過性である自治体向けの新型コロナ単品検査キット売上が14億円程度含まれていたことにご留意ください。 また、25年6月期における第4四半期は、直近3期間で比較した場合に最も小さな売上高となりました。これは年末年始にかけてインフルエンザが大流行した際に卸業者による在庫確保がなされた後、想定よりも急速に流行が収束したことから市中在庫が滞留し、2月以降において市中在庫の消化局面が続いたことを背景としております。 <事業年度別 P/L比較>(百万円) 23年6月期   24年6月期   25年6月期   前年 同期比 売上高   15,673   18,434   18,627   1.0% (内、自治体向け売上)   2,154   159   -   - 売上総利益   9,199   12,498   12,774   2.2% 売上総利益率(%)   58.7%   67.8%   68.6%   0.8% 営業利益   4,967   8,030   8,265   2.9% 営業利益率(%)   31.7%   43.6%   44.4%   0.8% 経常利益   4,953   7,840   8,219   4.8% 経常利益率(%)   31.6%   42.5%   44.1%   1.6% 当期純利益   3,034   5,774   6,315   9.4% 当期純利益率(%)   19.4%   31.3%   33.9%   2.6% 事業年度別における損益の過去比較としては、24年6月期対比でインフルエンザ、新型コロナウイルスの流行水準はいずれも相当程度小さかったものの、当社の市場シェアの向上により25年6月期は増収となりました。また後述のとおり、新型コロナ単品検査キット、コンボ検査キットなど利益率の高い製品が売上に占める割合が高まったことから、期末における在庫評価損の計上などがありつつも各段階利益率は改善し、増益にて着地しました。 <第4四半期会計期間 P/L比較>(百万円) 23年6月期   24年6月期   25年6月期   前年 同期比 売上高   2,839   2,063   1,020   △50.6% (内、自治体向け売上)   520   -   -   - 売上総利益   1,044   1,188   89   △92.4% 売上総利益率(%)   36.8%   57.6%   8.8%   △48.8% 営業損益   17   △195   △1,065   - 営業損益率(%)   0.6%   △9.5%   △104.5%   - 経常損益   13   △408   △1,076   - 経常損益率(%)   0.5%   △19.8%   △105.5%   - 四半期純損益   △340   △132   △330   - 四半期純損益率(%)   △12.0%   △6.4%   △32.4%   - 第4四半期会計期間における損益の過去比較としては、減収減益となっております。減収の要因としては、流行期ズレと市中在庫の影響の2点が挙げられます。 1点目は、24年6月期において新型コロナの夏の流行が6月下旬ごろに到来し、期末に駆け込み需要が生じた一方で、25年6月期においては期末までに次の流行の兆しが明確に確認できず、検査キット需要の本格的な回復が次期に持ち越されたものです。2点目は、25年6月期においては年末年始のインフルエンザ流行を受け1月迄に卸業者に対して出荷した市中在庫の消化局面が、期末まで続いたものです。 また上記の減収に加えて、期末における在庫評価損の計上が25年6月期の第4四半期会計期間の売上総利益を引き下げております。 <事業年度別 主要製品別売上高 >(百万円) 主要製品別売上高   23年6月期   24年6月期   25年6月期   前年 同期比 新型コロナ単品 検査キット   8,687   4,712   4,854   3.0% 新型コロナ/インフル エンザコンボ検査キット   3,415   6,375   7,921   24.2% インフルエンザ 検査キット   1,435   4,087   3,314   △18.9% その他   2,135   3,259   2,537   △22.2% 合計   15,673   18,434   18,627   1.0% 主要製品別に事業年度別の売上高を前年と比較すると、24年6月期は長期間にわたってインフルエンザの流行が継続しましたが、25年6月期においてはインフルエンザの流行期間が短く、インフルエンザ検査キットの売上は減少しました。一方で前年は長期間にわたって出荷調整を余儀なくされていたコンボ検査キットは、25年6月期は出荷調整を最小限に止めて安定供給を継続したこと、市場全体としてもコンボ検査キットへの需要が拡大したことを背景として増収となりました。また、インフルエンザ同様に前期比での流行規模の縮小がありながらも、市場シェアを大きく拡大した新型コロナ単品検査キットについても増収となりました。 <第4四半期会計期間 主要製品別売上高>(百万円) 主要製品別売上高   23年6月期   24年6月期   25年6月期   前年 同期比 新型コロナ単品 検査キット   744   755   183   △75.7% 新型コロナ/インフル エンザコンボ検査キット   923   333   192   △42.2% インフルエンザ 検査キット   355   220   61   △72.2% その他   815   753   582   △22.7% 合計   2,839   2,063   1,020   △50.6% 主要製品別の第4四半期会計期間における売上高としては、いずれも過去期と比較して大きく減収となりました。背景としては前述のとおりです。 このような環境下において、当社はコーポレートスローガン「診断技術で、安心な毎日を。」に基づき、社会的責務として検査キットの供給責任を全うすべく最善を尽くしました。 その結果、当事業年度における経営成績は、売上高は18,627,990千円(前年同期比1.0%増)となり、営業利益は8,265,025千円(前年同期比2.9%増)となりました。また経常利益は8,219,959千円(前年同期比4.8%増)となり、当期純利益は6,315,407千円(前年同期比9.4%増)となりました。 なお、当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。 ③ キャッシュ・フローの状況 当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ158,260千円減少し、9,266,630千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果獲得した資金は、6,818,472千円(前事業年度は9,935,074千円の獲得)となりました。これは主に税引前当期純利益8,201,875千円の計上に加え、売上債権の減少額2,459,087千円等によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果使用した資金は、9,258,084千円(前事業年度は4,110,382千円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出4,679,989千円及び投資有価証券の取得による支出4,141,797千円等によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果獲得した資金は、2,281,350千円(前事業年度は2,355,823千円の獲得)となりました。これは主に長期借入れによる収入5,642,000千円、及び配当金の支払額2,782,432千円等によるものであります。 ④ 生産、受注及び販売の実績 a.生産実績 当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 事業区分の名称   当事業年度 (自 2024年7月1日  至 2025年6月30日) 生産高(千円)   前年同期比(%) 体外診断用医薬品事業   21,582,909   92.8 合計   21,582,909   92.8 (注)金額は販売価格によっております。 b.受注実績 当社は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。 c.販売実績 当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 事業区分の名称   当事業年度 (自 2024年7月1日  至 2025年6月30日) 売上高(千円)   前年同期比(%) 体外診断用医薬品事業   18,627,990   101.0 合計   18,627,990   101.0 (注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。 相手先   前事業年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)   当事業年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) 金額(千円)   割合(%)   金額(千円)   割合(%) スズケングループ   9,957,369   54.0   11,058,579   59.4 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。 なお、採用している重要な会計方針及び見積りに関しましては、「第5 経理の状況」に記載のとおりであります。 ② 経営成績等の分析 当事業年度においても、世界経済は引き続き不安定な状況が続きました。特に、ウクライナ情勢の長期化や中東における緊張の高まりなど、地政学的リスクの増大が先行き不透明感を一層強める要因となりました。 当社の主要な事業領域である感染症POCT(臨床即時検査)業界においては、2023年5月の新型コロナウイルス感染症の5類移行以降も、感染の拡大と縮小を繰り返す状況が続いておりますが、当期における新型コロナおよびインフルエンザの流行水準はいずれも前年を下回る水準で推移したことにより、感染症POCTの市場規模は前期比で縮小いたしました。 一方で、24年6月期においては、インフルエンザの流行が例年より早い9月ごろから始まり翌年3月ごろまで長期間にわたって継続したため、医療機関ではインフルエンザ検査キットや、新型コロナとの同時検査が可能なコンボ検査キットへの需要が高止まりし、当社は相当期間にわたる出荷調整を余儀なくされましたが、当事業年度においては予め必要十分な在庫量を確保していたことから、年末年始の検査キット需要の急拡大に際しても出荷調整を最小化することが出来ました。 これらの結果として、当事業年度の売上高、各段階利益は前期比で増収増益となって着地しました。 a.売上高 当事業年度における売上高は18,627,990千円となり、前事業年度に比べ193,126千円増加(対前年同期比1.0%増)いたしました。これは主に、当事業年度にてインフルエンザと新型コロナウイルス感染症の同時流行による感染症の感染拡大が継続し、当社のコンボキット等の販売が堅調に推移したことで、国内売上を18,095,733千円計上、輸出売上を532,257千円計上したこと等によるものであります。 b.売上原価、売上総利益 当事業年度における売上原価は5,852,992千円となり、前事業年度に比べ83,538千円減少(対前年同期比1.4%減)いたしました。これは主に、製品売上増加に伴い材料費が407,052千円増加(対前年同期比14.8%増)、労務費が197千円減少(対前年同期比0.0%減)、製造経費が270,401千円増加(対前年同期比11.1%増)したことによるものであります。 この結果、当事業年度における売上総利益は12,774,997千円となり、前事業年度に比べ276,665千円増加(対前年同期比2.2%増)いたしました。 c.販売費及び一般管理費、営業損益 当事業年度における販売費及び一般管理費は4,509,972千円となり、前事業年度に比べ41,734千円増加(対前年同期比0.9%増)いたしました。これは主に、人件費総額が93,135千円減少(対前年同期比6.1%減)したものの、その他の項目で134,869千円増加(対前年同期比4.6%増)したこと等によるものであります。 この結果、当事業年度における営業利益は8,265,025千円となり、前事業年度に比べ234,931千円増加(対前年同期比2.9%増)いたしました。 d.営業外収益、営業外費用、経常損益 当事業年度において、営業外収益が60,614千円発生いたしました。主な要因は、補助金収入を43,388千円、受取配当金7,110千円計上したこと等によるものであります。また、営業外費用が105,681千円発生いたしました。主な要因は、借入に伴い発生する支払利息を102,904千円計上したこと等によるものであります。 この結果、当事業年度における経常利益は8,219,959千円となり、前事業年度に比べ379,333千円増加(対前年同期比4.8%増)いたしました。 e.特別損益、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額、当期純損益 当事業年度において、特別利益が3,398千円発生いたしました。主な要因は、固定資産売却益が3,394千円発生したことによるものであります。また、特別損失が21,481千円発生しました。主な要因は、固定資産除却損が21,451千円発生したこと等によるものであります。 法人税、住民税及び事業税が1,968,359千円、法人税等調整額が△81,891千円発生いたしました。 この結果、当事業年度における当期純利益は6,315,407千円となり、前事業年度に比べ541,321千円増加(対前年同期比9.4%増)いたしました。 ③ 財政状態の分析 当社は、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は金融機関からの借入により資金調達することとしております。また、当社は、資金の効率的な活用と借入金利息の削減を目的として、月次での資金計画等により資金管理を行っております。 なお、財政状態の分析は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。 ④ キャッシュ・フローの状況の分析 当社のキャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 ⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析 a.資本の財源 当社の資金需要については、人件費や外注費、支払手数料、広告宣伝費等の販売費及び一般管理費等の営業活動に必要な運転資金が主なものであります。これらの資金需要に対する資本の財源は、手許資金、営業キャッシュ・フロー及び金融機関からの借入により必要とする資金を調達しております。なお、当面の資金繰りのための資金は十分に確保していると判断しております。 b.資金の流動性に関する分析 月次での資金計画等により資金管理に努めており、また、当座貸越契約により、必要に応じて資金調達ができる体制を整えることで十分な流動性を確保しております。 ⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について 当社の経営成績に重要な影響を与える要因について、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 ⑦ 経営戦略の現状と見通し 当社の経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。 (参考情報) 当社は経営成績の推移を把握するために、以下の算式により算出されたEBITDA及びEBITDAマージンを重要な経営指標として位置づけており、過去の推移は以下のとおりであります。なお、第6期は、連結財務諸表を作成していたため、連結財務諸表の数値を記載しております。 ・EBITDA及びEBITDAマージン (単位:千円) (株)タウンズ ホールディングス(連結)   当社 (単体) 第6期   第7期   第8期   第9期   第10期 決算期   2021年6月期   2022年6月期   2023年6月期   2024年6月期   2025年6月期 売上高   5,906,350   17,456,987   15,673,099   18,434,863   18,627,990 うち、厚生労働省との買取取引に係る売上高   -   8,411,808   -   -   - 厚生労働省との買取取引分を除く売上高   -   9,045,179   -   -   - 売上総利益   3,543,171   14,682,308   9,199,913   12,498,332   12,774,997 うち、厚生労働省との買取取引に係る売上総利益   -   7,762,670   -   -   - 厚生労働省との買取取引分を除く売上総利益   -   6,919,637   -   -   - 営業利益又は営業損失   1,143,757   11,189,556   4,967,275   8,030,094   8,265,025 厚生労働省との買取取引分を除く営業利益   -   3,426,885   -   -   - +減価償却費   523,752   567,260   639,973   676,163   715,426 +特許権償却費   5,000   -   -   -   - +のれん償却費   -   -   -   -   - EBITDA   1,672,510   11,756,816   5,607,249   8,706,258   8,980,452 厚生労働省との買取取引分を除くEBITDA   -   3,994,146   -   -   - EBITDAマージン   28.3%   67.3%   35.8%   47.2%   48.2% 厚生労働省との買取取引分を除くEBITDAマージン   -   44.2%   -   -   - (注)1.EBITDA=営業利益又は営業損失+減価償却費+特許権償却費+のれん償却費 2.EBITDAマージン=EBITDA÷売上高 3.厚生労働省との買取取引分を除く営業利益=営業利益-厚生労働省との買取取引に係る売上総利益 4.厚生労働省との買取取引分を除くEBITDA=厚生労働省との買取取引分を除く営業利益+減価償却費+特許権償却費+のれん償却費 5.厚生労働省との買取取引分を除くEBITDAマージン=厚生労働省との買取取引分を除くEBITDA÷厚生労働省との買取取引分を除く売上高

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出典

このページの財務・役員・株主等のデータは、金融庁EDINETに提出された開示書類から自動抽出しています。会計基準は JapanGAAP

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