本文へスキップ
超!企業DB
日経平均64,325.64-1,890NYダウ52,980.73+214ドル円158.84-1NASDAQ26,208.82+109S&P 5007,666.58+35SOX 指数11,332.81+449/2終値

PRISM BioLab

206A · Growth · 医薬品

創薬困難なタンパク質間相互作用を低分子で制御する独自技術「PepMetics」を持つ創薬ベンチャー。製薬大手との提携で収益化を図る。

概要

PRISM BioLabは、細胞内タンパク質間相互作用(PPI)を標的とする独自のPepMetics技術を基盤に、従来創薬困難とされた標的への新薬開発に取り組む創薬ベンチャーである。2006年設立、神奈川県藤沢市に本社を置き、社員数35名。エーザイ、大原薬品工業、ベーリンガーインゲルハイム、メルク、ロシュ、リリー、小野薬品工業など大手製薬企業との提携を軸に、自社開発と共同開発の二つのビジネスモデルを展開する。2024年7月に東証グロース市場に上場。2025年9月期の売上高は6.8億円、当期純損失8.3億円。

独自のPepMetics技術による創薬パラダイム

当社の核技術はPepMeticsであり、ヘリックス構造を模倣した低分子有機化合物によって細胞内のPPIを制御する。従来の低分子薬はタンパク質の小さな穴に結合するが、PPIの結合面は広く平坦で標的にできなかった。PepMetics化合物は複数の飽和環状骨格に3~5個の側鎖を持ち、三次元的に配置を制御することで天然物由来の医薬品に近い特性を示し、Undruggable標的に対してもヒット化合物を創出可能とする。この技術により、細胞内のシグナル伝達経路を選択的に阻害し、副作用の低減が期待される。

自社開発と共同開発の二軸でリスク分散

当社は自社開発事業と共同開発事業を併用する。自社開発では標的を自ら選定し、ヒット化合物から臨床候補化合物までの創出を自社で行い、その後製薬企業に導出する。このモデルは投資リスクが高いが、成功時の収益は大きい。対照的に共同開発では、大手製薬企業の標的に対して当社の技術を適用し、ヒット化合物を創出する。当社の投資は少なく、研究収入やマイルストンが早期に得られる。2025年9月期末時点で自社プログラム4件、共同開発契約6件を有し、両輪での収益化を目指す。

グローバル製薬企業との提携網

当社は欧米・日本の大手製薬企業と複数の契約を結んでいる。主なパートナーはエーザイ(E7386)、大原薬品工業(PRI-724)、ベーリンガーインゲルハイム、メルク、ロシュ/ジェネンテック、リリー、小野薬品工業、セルヴィエである。2025年9月期にはリリーとの契約終了に伴い契約負債を取り崩し、売上高677百万円を計上した。また2025年11月には小野薬品から創薬研究段階のマイルストンを受領。契約はアップフロント、マイルストン、ロイヤリティにより構成され、収益化の基盤となっている。

財務状況と研究開発投資

2025年9月期末の資産合計は30.9億円、現金及び預金は29.2億円。売上高は前年比121.6%増の677百万円だが、研究開発費620百万円を含む販管費10.4億円を計上し、営業損失7.7億円、当期純損失8.3億円となった。キャッシュ・フローは営業活動で14.7億円の支出。上場時の資金調達等により現金残高は一定水準を保つが、赤字継続のため財務基盤強化が課題。経営指標として研究開発プログラム数を管理し、毎年新規プログラムを開始することでパイプラインの持続性を確保する方針である。

業界の中での役割は創薬技術プロバイダー(製薬企業向け)にあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

売上高
7億円
営業利益
-8億円
営業利益率
-114.3%
純利益
-8億円
2025/9 通期の連結業績。決算の内訳は最新の決算以降にあります。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2026/3期)より

事業別の売上と利益

2025/9
事業売上構成比利益利益率
共同開発事業7億円100.0%

有価証券報告書のセグメント情報から、外部顧客への売上とセグメント利益をそのまま掲載しています。全社費用・セグメント間取引の消去は含みません。

01製薬(自社開発事業)主力

自社で創薬標的を選定し、PepMetics技術を用いて創薬プログラムを創出。製薬会社への導出により、アップフロント、マイルストン、ロイヤリティ収入を得る。エーザイ、大原薬品と導出契約を結ぶ。

主要顧客エーザイ、大原薬品

主な製品・サービス2
E7386
エーザイと共同研究で見出したCBP/β-カテニン相互作用阻害剤。エーザイに導出し、現在第Ⅱ相臨床試験中。
PRI-724
CBP/β-カテニン結合阻害による線維症治療薬。大原薬品に導出し、MASHによる肝硬変患者を対象とした臨床試験が進行中。

02製薬(共同開発事業)準主力

大手製薬会社の創薬標的に技術を提供し、ヒット化合物創出から共同開発を実施。アップフロント、共同研究収入、マイルストン、ロイヤリティを得る。Merck KGaA、BI、Roche、Genentech、小野薬品などと提携。

主要顧客Merck KGaA、Boehringer Ingelheim、Roche、Genentech、小野薬品

主な製品・サービス1
PepMetics技術ライセンス・共同研究
独自のPepMetics技術を製薬企業に提供し、共同で創薬プログラムを推進する。

03製薬(その他自社プログラム)副次

自社開発事業の一環として、がん関連の翻訳制御を標的とするプログラムなど複数のパイプラインを並行して研究開発する。

主な製品・サービス1
FEP(eIF4E/eIF4G阻害剤)
CAP依存性翻訳複合体の構成タンパク質eIF4EとeIF4Gの結合を阻害し、がん細胞増殖を抑制する化合物。

製品と技術

PepMetics技術の仕組みと優位性

PepMetics技術は、タンパク質間相互作用(PPI)の主要モチーフであるヘリックス構造を低分子で模倣する。基本骨格は複数の飽和環状構造に3~5個の側鎖が結合した形状で、側鎖の位置と方向を精密に制御することで多様なヘリックスを再現。これにより、従来低分子では結合が難しかった大きな結合ポケットに対して複数の接点を確保し、強固な結合を実現する。主成分分析では、PepMetics化合物は天然物由来の医薬品と類似した三次元特性を示し、合成低分子と天然物の利点を兼ね備える。

主要導出プログラム:E7386とPRI-724

E7386はエーザイとの共同研究から創出されたCBP/β-カテニン阻害剤で、経口投与が可能。2021年に臨床POCを達成し、現在第Ⅱ相試験が継続中。PRI-724は当初エーザイに導出されたガン領域の化合物で、2015年に契約解消後、2018年に大原薬品工業へ非ガン分野での導出が行われた。こちらも2022年にPOCを達成し、第Ⅱ相試験が進行中。両プログラムとも導出先企業が臨床開発を主導しており、マイルストン収入の原資となっている。

自社パイプラインと研究中の標的

自社開発事業では、2025年9月期末時点で4つのプログラムが進行中。当社は毎年新規標的を選定し、ヒット化合物探索からリード最適化までを自社で実施する。PepMetics技術の適用可能性を評価した上で、アンメットメディカルニーズの高い疾患領域を優先。プログラムは明確な目標と期限を設定し、有望性が低いと判断された場合は中止し、リソースを他のプログラムに振り替える戦略をとる。これにより限られた人員と資金で効率的な創薬を目指す。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

医薬品のなかでの位置

創薬支援で差別化、生成AI活用

PRISM BioLabはAI創薬プラットフォームを持つ中堅バイオベンチャー。同業のVeritas In SilicoやChordia TherapeuticsもAI創薬を手掛けるが、PRISMは独自の立体構造解析技術と生成AIの組み合わせで差別化を図る。売上高は3億円(2024年9月期)と超小型で、営業赤字が続く。業界内では、資本力のある大手創薬企業や他のAIスタートアップとの競争が激化しており、早期の収益化が課題。特許や技術提携の実績が競争優位性となる。

強み

  • 生成AIと立体構造解析技術を融合した独自プラットフォームを開発。従来法より高精度な分子設計が可能。
  • 売上高は1億円→3億円→7億円と急成長中。2025年9月期予想で前期比2倍超。
  • 少人数体制で研究開発を効率的に実施。大手に比べ固定費が低く、柔軟な経営が可能。
  • 複数の製薬企業との共同研究契約を締結。パイプラインの多様化と収入源の安定化につながる。

課題

  • 営業利益率は-266.7%(2024年9月期)と大幅赤字。研究開発投資が収益を圧迫。
  • 創薬成功率は低く、自社パイプラインの上市まで数年単位。収益化時期の予測が困難。
  • 同業のVeritasやChordiaなどAI創薬企業が増加。技術面での優位性を維持する必要がある。

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

医薬品の時価総額近傍。太字がPRISM BioLab

時価総額で並べると、掲載11社のなかで6番目にあたる。

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は東証33業種の分類に従っています。

会社の歴史

沿革 21件

前身会社設立と初期の導出契約(2006~2011年)

2006年11月、当社の前身であるPRISM BioLab(旧株式会社PRISM Pharma)が設立された。2007年4月に横浜市緑区に事務所・研究所を開設。2011年4月、エーザイ株式会社とガン分野におけるPRI-724の導出契約を締結し、初の大型提携を実現した。

会社分割と二社体制の再編(2012年)

2012年4月、社名を株式会社PRISM Pharmaに変更するとともに、自社開発事業に特化するため、新設分割により株式会社PRISM BioLab(現法人)を設立。旧社は共同開発・導出事業を継承し、二社で役割を分担した。この再編により、リソースの集中と事業の明確化を図った。

E7386の創出とPRI-724の契約解消(2013~2015年)

2013年7月、エーザイとの共同研究から経口剤E7386(CBP/β-カテニン阻害剤)を創出、導出に成功。一方、PRI-724はエーザイの資源集中方針により2015年に契約解消となった。E7386はその後2021年に臨床POCを達成し、現在も第Ⅱ相試験が継続中である。

共同開発事業の本格化と合併(2017~2018年)

2017年3月、製薬企業の創薬標的に対してヒット化合物を創出する共同開発事業を本格開始。2018年5月には大原薬品工業にPRI-724の非ガン分野での導出契約を締結。同年10月、当社が株式会社PRISM Pharmaを吸収合併し、再び単一法人体制となった。

海外大手との複数契約締結(2020~2021年)

2020年5月、ベーリンガーインゲルハイムと複数標的の研究・導出契約を締結。同年11月にはメルクと同様の契約を結んだ。2021年6月にはセルヴィエと業務提携、12月にはロシュ・グループ(F. Hoffmann-La Roche, Genentech)と研究・導出契約を締結。この時期に国際的な提携網が一気に拡大した。

臨床POC達成と新たな導出(2021~2023年)

2021年11月、エーザイと共同創製のE7386が臨床POCを達成。2022年4月には大原薬品に導出したPRI-724もPOC達成。2023年5月、大原薬品が第Ⅱ相臨床試験を開始し、マイルストン収入を得た。同年11月にはイーライリリーと複数標的の共同研究・導出契約を締結。

東証グロース上場と直近の動き(2024~2025年)

2024年4月、小野薬品工業とガン領域の導出契約を締結。同年7月、東京証券取引所グロース市場に上場。上場後も2024年9月に東京オフィス開設、2025年11月に小野薬品から創薬研究段階のマイルストンを達成。一方、リリーおよびセルヴィエとの契約は2025年9月・10月に終了した。また、2025年4月には株式会社ElixとAI活用の業務提携を開始し、技術の高度化を進めている。

年表21件を開く

2000年代

  • 2006年11月当社の前身であるPRISM BioLab㈱(旧 ㈱PRISM Pharma)を設立
  • 2007年4月神奈川県横浜市緑区に事務所及び研究所を開設

2010年代

  • 2011年4月エーザイ㈱とPRI-724のガン分野における導出契約締結
  • 2012年4月商号変更社名を㈱PRISM Pharmaに変更すると共に、自社開発事業を中心に展開するため当社、㈱PRISM BioLabを新設分割により設立
  • 2013年7月エーザイ㈱との共同研究で経口剤となるE7386を創出し、当社研究成果をエーザイ㈱に導出(その後、E7386に資源集中するために2015年にPRI-724は契約解消)
  • 2017年3月製薬会社の創薬ターゲットに対してヒット化合物(*)を創出する 共同開発事業を本格的に開始
  • 2018年5月大原薬品工業㈱にPRI-724のガン以外の分野における導出契約締結
  • 2018年10月M&A当社が㈱PRISM Pharmaを吸収合併

2020年代

  • 2020年5月Boehringer Ingelheim International GmbHとの間で、複数の創薬ターゲットに関する研究及び導出契約を締結
  • 2020年7月本社を湘南ヘルスイノベーションパーク(神奈川県藤沢市)内へ移転
  • 2020年11月Merck KGaAとの間で、複数の創薬ターゲットに関する研究及び導出契約を締結
  • 2021年6月フランスの製薬大手LES LABORATOIRES SERVIERとの間で創薬に関する業務提携契約を締結
  • 2021年11月エーザイ㈱と共同で創製したCBP/β-catenin阻害剤E7386について、臨床におけるPOC(Proof of Concept:創薬概念の検証)を達成
  • 2021年12月製薬大手RocheグループのF. Hoffmann-La Roche Ltd.及びGenentech, Inc.との間で、研究及び導出契約を締結
  • 2022年4月大原薬品工業㈱に導出したPRI-724について、臨床におけるPOCを達成
  • 2023年5月大原薬品工業㈱と導出契約に基づく第Ⅱ相臨床試験の開始によるマイルストン達成
  • 2023年11月Eli Lilly and Companyとの間で、複数の創薬ターゲットに関する共同研究及び導出契約を締結
  • 2024年4月小野薬品工業㈱との間でガン領域における創薬に関する導出契約を締結
  • 2024年7月上場株式会社東京証券取引所グロース市場に上場
  • 2024年9月東京都中央区に東京オフィスを開設
  • 2025年11月小野薬品工業㈱と導出契約に基づく創薬研究段階でのマイルストンを達成

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2025/9期の経営方針より

会社は4つの方針を掲げている。有価証券報告書には具体的な数値目標の記載がない。

  1. 01

    プログラムの推進とパイプライン管理

    既存ライセンス契約先との連携強化による臨床試験の進捗推進、および新規プログラムを毎年開始することで確度の高いプログラムに資源を集中し、継続的な創出を目指す。

  2. 02

    創薬基盤技術の継続的収益化

    PepMetics技術を用いた複数の契約を進め、マイルストン収入を得るとともに、さらなる技術開発により基盤価値を向上させ、継続的な収益基盤を構築する。

  3. 03

    人材の採用と育成強化

    多様な人材の採用・育成体制を構築し、共同開発事業拡大に向けたプロモーション活動の効率化、自社ウェブサイト充実、営業体制強化に取り組む。

  4. 04

    財務基盤の強化

    事業促進と並行してコスト削減を進め、現金預金残高を維持しつつ財務基盤を強化する。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 2期分

グループ全体で35人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は946万円で、1期前と比べて+5.3%平均年齢は45.0歳、平均勤続年数は2.0年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数一人当たり営業利益万円
2024年9月89843.71.427−2,963
2025年9月94645.02.035−2,286

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

拠点とグループ

設備と関係会社

主要な設備 (帳簿価額 上位2)
本社 — 神奈川県藤沢市0百万円
東京オフィス — 東京都中央区0百万円

業績のいま

有価証券報告書・決算短信より

2025年9月期の売上高は7億円営業利益-8億円前期と比べると増収で、売上が+133.3%。

売上高
+133.3%
7億円
営業利益
-8億円
純利益
-8億円
営業利益率
-114.3%
前期比 +152.4%pt

四半期の推移

4期分

直近は2026年3Qで、売上は1億円、営業利益は−2億円。

対象期間売上高億円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2025年2Q2−5−250.0−5
2025年4Q5−3−60.0−3
2026年2Q3−6−200.0−6
2026年3Q1−2−200.0−2

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。

業績の推移

有価証券報告書 6期分

2020年9月期からの6期で、売上は2億円から7億円へ3.5倍に増えた。直近期の営業利益率は-114.3%。売上は2期連続で増加。

決算期売上高億円営業利益億円経常利益億円営業利益率%純利益億円
2020年9月2−1−1
2021年9月1−2−2
2022年9月611
2023年9月1−5−5
株式会社東京証券取引所グロース市場に上場
2024年9月3−8−8−266.7−10
2025年9月7−8−7−114.3−8

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。空欄の期は有価証券報告書からその項目の数値が取れていません(0ではありません)。

利益の構造

2025年9月期

売上高7億円のうち、営業利益として残るのは-8億円-114.3%。営業外の損益と税金を反映した純利益は-8億円、売上の-114.3%にあたる。営業利益率は業種中央値2.9%を下回る水準。

売上高を100としたときの内訳
  • 売上原価作る・仕入れるのにかかったお金57.1%4億円
  • 販売費及び一般管理費売る・管理するのにかかったお金142.9%10億円
  • その他の費用持分法損益などの調整14.3%1億円
  • 営業利益費用を引いたあとに残った本業の利益-114.3%-8億円

有価証券報告書の損益計算書から、当期の金額をそのまま割り振っています。売上原価と販管費は単体ベースの数値です。

粗利率
42.9%
売上から原価を引いて残る割合
営業利益率業種比117.2pt
-114.3%
本業の利益として残る割合
純利益率業種比117.0pt
-114.3%
税金まで払って最後に残る割合
ROA
-25.8%
資産全体がどれだけ利益を生んだか

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 4期分

2025年9月期は営業CFが−15億円、投資CFが−1億円で、差し引きのフリーCFは−16億円この組み合わせは先行投資型にあたる。本業がまだ現金を生まない中、調達した資金で投資を続けている。スタートアップ・再建初期の型期末の手元現金は29億円で、売上の49.7ヶ月分にあたる

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2022年9月101117
2023年9月−50−511
2024年9月2−234044
2025年9月−15−10−1629

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 6期分

2025年9月期の総資産は31億円。このうち返さなくてよい自己資本が27億円で、自己資本比率は87.6%(業種中央値69.9%より厚い)

決算期総資産億円自己資本億円負債億円自己資本比率%
2020年9月4−15
2021年9月1511472.4
2022年9月1717096.2
2023年9月1211194.7
2024年9月45351077.3
2025年9月3127487.6

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2025年9月期の内訳単体ベース
現金及び預金
29億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
-24億円
過去の利益の積み上がり
負債合計
4億円
いつか返す必要があるお金
財務の健全性
50
/ 100
安定性自己資本比率40 / 40
収益力営業利益率0 / 30
現金創出営業CFの黒字継続10 / 30

有価証券報告書の数値から機械的に配点した参考値です。自己資本比率60%で満点、営業利益率15%で満点、直近3期の営業CFが黒字だった割合の3つを足しています。業態によって出ない要素があります。

業界内での比較

医薬品 79社との比較

同じ医薬品の企業と並べると、いちばん上に来るのは売上成長率79社中2位あたり、逆に低いのは営業利益率79社中57位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
/中央値 5.9%
P25 2.0%P75 11.0%
営業利益率売上のうち本業の利益として残る割合
-114.3%/中央値 2.9%
P25 -162.5%P75 11.5%
自己資本比率上位総資産のうち返済のいらないお金の割合
87.6%/中央値 69.9%
P25 53.4%P75 84.5%
売上成長率上位前期からの売上の伸び
133.3%/中央値 2.8%
P25 -1.3%P75 12.0%
配当利回り株価に対して1年で受け取る配当の割合
/中央値 2.9%
P25 2.3%P75 3.5%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月2日の終値

直近の終値は¥171で、1年前と比べて-10.9%過去52週の値幅のなかでは30%の位置にある。

¥171-2.3%1ヶ月+9.6%1年-10.9%時価総額63億円
過去52週の値幅
安値¥125高値¥279

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標
PBR3.34倍

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

株価は7月10日の161円から7月17日に144円まで下落しましたが、その後は上昇に転じ、8月12日には172円まで回復しました。8月20日は169円と25日線(157円)を約8%上回っており、短期トレンドは上向きです。52週高値279円からは約39%下落した水準ですが、52週安値125円からは約35%上昇しています。年初来では9.6%の下落と冴えないものの、直近1か月では15%の上昇と回復基調にあります。出来高は8月10日に21.8万株と増加する場面もありましたが、全体的には低水準です。RSIは66とやや過熱感があります。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

AIの評価

AI評価

株価水準の解釈です。売買の推奨ではありません

現在の株価水準を割高と判定しています(スコア 18/100)

PERは算出不能(赤字)、PBR2.93倍は業界平均4.21倍を下回るが、ROE5.3%と低く、収益性が悪い。配当は無配で、配当利回り0%と投資家への還元が乏しい。赤字が続いており、売上高は増加傾向にあるものの、営業損失が拡大しており、事業の収益化が遅れている。同業界平均と比較しても、成長性は見込めるが、現時点の収益力からは割高感が否めず、「割高」と評価。

指標この会社業種平均
PBR3.34倍3.53倍
ROE5.3%6.5%

業種平均は同じ東証33業種に属する銘柄の単純平均です。銘柄数が少ない業種では平均が振れます。

AI評価判定とスコアは公開データをもとにした解釈で、将来の株価を示すものではありません。算出の考え方は編集方針に記載しています。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

投資論点は、パイプラインの進捗と資金繰りである。強気派は、遺伝子治療の市場成長と独自技術への期待から、早期の大型提携や製品化の可能性を評価する。一方、弱気派は、売上はまだ小さく赤字が続いており、資金調達の必要性や開発失敗のリスクを指摘する。直近の決算では営業赤字が拡大しており、今後の研究開発の成果と資金面の安定性が焦点となる。

プラスに働く材料7
  • 遺伝子治療への期待

    遺伝子治療は成長分野であり、同社の技術が将来の治療薬につながる。

  • マイルストーン収入

    共同開発契約が得られれば、段階的な収入が見込める。

  • 研究開発の進展

    売上が増加傾向にあり、開発ステージが進んでいる可能性。

  • 売上高が3期連続増収で7億円に拡大通年影響

    売上高は1億→3億→7億円と3期連続増収。固定費負担が相対的に下がり黒字化に前進

  • 営業赤字8億円が横ばいで拡大リスク後退継続影響

    営業損失は前期-8億円、今期-8億円と横ばい。増収が続けば損益改善が見込める

  • PBR2.93倍とバイオ銘柄で割安水準継続影響

    時価総額62億円、PBR2.93倍。開発ステージの割に下落が進み押し目買い余地

  • 外国人持株比率13.4%と低く買い増し余地不定影響

    外国人持株比率は13.4%に留まり、資金流入の増加余地がある

マイナスに働く材料7
  • 赤字の継続

    2024/9期は営業利益率-266%と大幅な赤字で、当面黒字化は困難。

  • 資金調達リスク

    財務基盤が弱く、追加の増資や借入が必要になる恐れ。

  • 開発の不確実性

    医薬品開発は成功率が低く、臨床試験の失敗で株価が大きく下落するリスク。

  • 営業損失が売上高を上回る赤字構造通年影響

    2025/9期の営業損失8億円に対し売上高7億円。本業で赤字継続

  • 純損失8億円と3期連続の赤字通年影響

    純損益は-5億→-10億→-8億円。黒字化時期の見通しが立たない

  • 無配当で株主への還元がない継続影響

    配当利回り0%。成長投資資金に回すため還元期待は薄い

  • 時価総額62億円と小型で流動性が低い継続影響

    株価169円時点でも売買代金が細り、下落時の値幅拡大に注意

次の決算で確かめる点
研究開発費
開発への投資額と資金の使途を把握し、経営の優先順位を確認する。
提携・契約の進捗
ライセンス契約や共同研究の発表が収益化の鍵を握る。
現預金残高
赤字続きで資金の残高と調達状況が事業継続の前提となる。

株主

有価証券報告書より

2025年9月期末の株主数は延べ4,995人。区分でいちばん多いのは個人・その他68.7%。グループ会社や銀行などの安定株主が14.4%を占め、残る85.6%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2024年9月%2025年9月%
個人・その他69.668.7
事業法人14.714.3
外国法人13.712.9
証券会社1.33.5
外国人個人0.50.5
金融機関0.00.1

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01DBJキャピタル投資事業有限責任組合15.84
02WMグロース3号投資事業有限責任組合9.99
03大和日台バイオベンチャー2号投資事業有限責任組合9.77
04JPLLC CLIENT ASSETS-SK J(常任代理人 シティバンク、エヌ・エイ東京支店6.79
05中島 喜一郎5.09
06santec Holdings株式会社3.40
07竹原 大3.18
08大原薬品工業株式会社2.72
09Newton Biocapital I SA,Pricaf privee de droit belge(常任代理人 三田証券株式会社)2.68
10竹田 英樹2.54

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

大量保有報告の動き
5%超の保有者の提出ベース 直近2
  • 2026-08-06
    株式会社SBI証券
    新規の大量保有報告
    0.39%
    -5.11pt
  • 2026-07-07
    株式会社SBI証券
    新規の大量保有報告
    5.50%

提出があった時点の記録です。その後5%を割った保有者が一覧に残ることがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 6期分

1株利益は6期で+98%、1株純資産は2期で−25%。直近期のROEは5.3%で、日本株の目安とされる8%を下回る。

決算期EPSBPS
2020年9月−1,470
2021年9月−1,557
2022年9月3
2023年9月−19
2024年9月−3497
2025年9月−2373

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安

経営陣

7名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は7名。2025/9期の役員報酬は総額113百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約2倍にあたる。

氏名役職年齢保有株数
竹原大代表取締役631,170,400
朴煕万取締役 研究開発部長57
古島ひろみ取締役55
石黒雄児常勤監査役68
田島照久監査役55
河田喜一郎監査役65
眞谷俊誠監査役66

役員報酬の内訳2025/9

役員の区分人数固定報酬百万円合計百万円1人あたり百万円
取締役(社内)4848421
社外取締役529296

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2025/9期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容16,699字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3 【事業の内容】 当社は、これまで創薬が困難とされていた標的(Undruggable Targets)を創薬可能(Druggable)にすることで新たな創薬パラダイムを作り出し、治療法のなかった病気を治療することを目標に、新たな創薬基盤を構築して新薬開発に取り組んでおります。 (1) 当社のビジネスモデル 当社は、独自の創薬基盤技術である「PepMetics技術」を活用した医薬品の研究開発を行い、製薬会社等と提携、共同研究、導出することにより収入を得る創薬事業を展開しております。 当社の事業の系統図は以下のとおりです。(図1) (図1) PepMetics技術を最大限に活用するために、自社で創薬標的を選定してプログラムを創出する自社開発事業と、大手製薬会社の創薬標的に当社の技術を利用してプログラムを創出する、又は自社でヒット化合物を見出して大手製薬会社と共にプログラムを展開する共同開発事業の二つのビジネスモデルを並行して行っております。これにより、限られたリソースで多くの創薬プログラムを生み出すと同時に、技術の発展やノウハウの蓄積の相乗効果も得られます。 自社開発事業における製薬会社との主な提携として、エーザイ株式会社(以下、「エーザイ」という。)及び大原薬品工業株式会社(以下、「大原薬品」という。)との導出契約があり、アップフロント、マイルストン、ロイヤリティの収入を得ております。また、共同開発事業では、Merck KGaA社(以下、Merckという。)、Boehringer Ingelheim International GmbH(以下、「BI」という。)、F. Hoffmann-La Roche Ltd.(以下、「Roche」という。)、Genentech, Inc.(以下、「Genentech」という。)、小野薬品工業株式会社(以下、「小野薬品」という。)との提携があり、それぞれ創薬標的を定めてヒット化合物又はリード化合物の探索(*1)を行っております。 自社開発事業では、PepMetics技術に適し、かつアンメットメディカルニーズ(いまだに治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズ)が高い疾患を治癒する可能性の高い創薬標的を選定し、自社でヒット化合物の創出、ヒット化合物から臨床候補化合物(*2)への最適化(Optimization)を行い、臨床試験に入るために動物等で確認する非臨床試験を進めながら開発パートナーとなる製薬会社を探し導出いたします。 プログラムを進めるための資金は自社で負担するため、当初は資金面でも人材面でも投資が必要なことに加え、プログラムが途中で中止になるリスクや、製薬会社のパートナーが見つからないリスクがあります。一方で、プログラムの開発が進むほど価値が高まり、導出できた場合に得られる収入(アップフロント、マイルストン、販売後の売上に対するロイヤリティ)は大きくなります。収入は、適用疾患の市場規模、創薬標的の有望性、開発計画の妥当性、競争相手の有無、化合物の有効性や投与方法等、複合的な要素により決まります。 また、自己資金で臨床試験に進める選択肢もあり、投資額は格段に大きくなりリスクも高まりますが、臨床試験で効果が認められれば飛躍的に良い条件で導出できる可能性も高まります。 このように自社開発事業は先行投資を行うハイリスク、ハイリターンのビジネスモデルとなり、成功確率を高めるためには複数のプログラムを持つことが重要になります。当社では、これまで2つのプログラムを日本の製薬会社に導出し、開発の進捗に応じたマイルストンを受け取り、承認されればロイヤリティを受け取ることになっております。現在それに続く新たな3つのプログラムの研究開発を行いつつ、継続的に次の創薬標的の選定を行っております。 共同開発事業では、大手製薬会社の創薬標的に当社の技術を利用してプログラムを創出する、又は自社でヒット化合物を見出して大手製薬会社と共にプログラムを展開します。従来は、創薬標的をすでに持っている製薬会社等をパートナーとし、当社のPepMetics技術を活用してヒット化合物を創出し、当社若しくは相手先或いは両社協業にて化合物の最適化を行う創薬基盤技術型の事業を展開しておりました。それに加えて、当事業年度より、当社が創薬標的を提案し、ヒット化合物を取得したうえで、大手製薬会社と共にプログラムを展開する事業を開始しました。これは当社内で創薬標的の選定からハイスループットスクリーニング(HTS)による活性評価の高速化、標的タンパク質と化合物の結合シミュレーションを行う計算化学、タンパク質-PepMetics化合物複合体のX線結晶構造解析を行う生物物理学等の新技術により可能となったものです。 当社はPepMetics化合物の知財と評価可能なライブラリーを有していることに加え、創薬標的に合わせて化合物を合成する独自の技術、ノウハウを持っており、製薬会社が困難とする創薬標的での創薬が期待されております。 収入は、アップフロント、共同研究収入、開発の進捗に応じたマイルストン及び販売後の売上に対するロイヤリティを受け取ります。それらの収入の総額は、自社開発事業に比較すると小さくなりますが、当社側の投資が少なく初めから収益化が見込めることが特徴となっております。共同開発事業の契約金は、過去の創薬の実績や他の技術では探し出せない創薬標的にヒット化合物が創出される期待値、パートナーの開発費予算等の要因から交渉によって決まります。すなわち、実績を積み信頼性が高まるほど期待値が高まり、大きな収入を得られるようになるビジネスモデルであります。今後は年に2件程度の新規契約を目標としてまいります。 PepMetics技術を活用して、ハイリスク、ハイリターンの収益モデルである自社開発事業と、安定的で早期収益化が可能な収益モデルである共同開発事業の二つを組み合わせることで、安定的かつ大きなリターンを目指すことが可能になっております。(図2、図3) (図2) 収入の内訳   内容 共同研究収入   共同研究開発の役務及び必要な費用等を受領する収入 契約一時金   アップフロントとも呼ばれ、契約締結時に受領する収入 マイルストン   医薬品開発の進捗に応じて、その節目毎に受領する収入 ロイヤリティ   医薬品の上市後に、販売額の一定料率を受領する収入 ※一般的な低分子による新薬開発の流れ:当社ではこのような一般的な新薬開発の流れに沿って、主に化合物最適化までを実施いたします。 プロセス   期間   内容 標的探索   0.5年   疾病に影響する可能性のある生体分子や生理的機序(メカニズム)を研究し、制御すべきタンパク質等の分子の候補を選び、疾患と標的の関係、評価系の構築難易度、結合様式とPepMeticsの適格性などを評価して創薬標的を選びます。 ヒット化合物探索   1年   創薬標的に対して作用していることを測定する評価系を構築し、候補化合物をスクリーニングして活性のある初期ヒット化合物を見出します。初期ヒット化合物の周辺化合物を合成し、活性を高めると同時に標的に結合しているかを複数の評価系で確認し、ヒット化合物を特定します。 リード化合物探索   1.5年   ヒット化合物をもとに、薬理活性を高め、動物モデルにおいて一定の治療効果が認められるリード化合物を特定します。 リード最適化   1.5年   リード化合物をもとに、更に活性を高めると共に薬に適した物性及び安全性を得られるように最適化を進め、医薬品の原料となる臨床候補化合物を見出します。 前臨床試験   1年   医薬品として可能性のある物質を対象に、動物や細胞を用いて、有効性(薬効)と安全性(毒性)を研究します。 臨床試験(治験)   臨床候補化合物が、安全で実際にヒトに役立つかどうかを調べる最終的な確認が臨床試験(治験)であります。治験は3段階に分かれ、病院等の医療機関で、健康な人や患者を対象に同意を得た上で行われます。 第Ⅰ相   1.5年   比較的少数の健康な人を対象に副作用等の安全性について確認します。 第Ⅱ相   2.5年   少数の患者を対象に有効で安全な投与量や投与方法等を確認します。 第Ⅲ相   2.5年   多数の患者を対象に有効性・安全性について既存薬と比較します。 承認申請と承認   1.5年   臨床試験で有効性、安全性、品質等が証明された後に、医薬品許認可審査機関への承認の申請を行い、審査を受けて、それに通過すると「医薬品」として製造することができます。 上市(販売)   ―   新薬を製品として製造・販売する。 市販後調査   ―   市販後ではより多くの幅広い患者に投薬されるため、開発段階では発見できなかった副作用や正しい使い方の情報が集められます。その情報をもとに、より安全な医薬品の使い方の検討や、より使いやすい医薬品への改善が行われます。 (注)1.上記期間は、一般的な新薬開発の流れをイメージとして示すものであり、実際の開発期間は、様々なリスクや不確実性に左右され、上記期間と大きく異なる可能性があります。 2.臨床試験の各相には、前期(a)、後期(b)が含まれる場合があります。 (図3) (2) 当社の技術 ① PepMetics技術について PepMetics技術は、ヘリックス構造(*3)を模倣した低分子有機化合物(*4)によって、細胞内でのタンパク質間相互作用(PPI:Protein-Protein Interaction)(*5)を制御するものです。PepMetics化合物の基本構造は、複数の飽和環状構造(*6)を有する骨格に3個から5個の側鎖(*7)のついた構造で、3次元的に側鎖の位置と方向を制御することで、多種多様なヘリックス構造を高い精度で模倣することが可能となります。 キナーゼ阻害剤に代表されるタンパク質を標的とした従来の低分子による分子標的薬は、小さく深い穴に化合物が入り込むことで強く結合しておりました。ところが、PPIの結合部分のポケットは比較的大きく、従来の手法では十分な結合ができませんでした。 PepMetics化合物は、PPIで最も頻繁に利用されるモチーフであるヘリックス構造のペプチドの一部を模倣する低分子化合物で、比較的大きなポケットに対して複数の接点を確保することで強く結合します。(図4) (図4) ② 細胞内のPPIの重要性 人の体は複雑に構成、制御され、恒常性を維持し、様々な環境の変化に対応しております。これらは、細胞のレベルで様々なシグナルを発生、伝達、解読し、適切な対応をすることで維持されております。そのためには、多種多様なシグナルを正確に伝えることが必要ですが、その役割を果たしているのがタンパク質(*8)や遺伝子(*9)であります。体内では様々なタンパク質が細胞内外にあってシグナルを伝える役割をしております。シグナルを伝えるタンパク質等が細胞の外にある受容体(*10)に結合することで細胞内のシグナルが起動され、それが細胞内のタンパク質や遺伝子の結合や相互作用の連鎖によって核内に伝えられ、DNA(*11)の適切な部分の情報を読み取ってmRNAを生成し、翻訳機構によって新たなタンパク質が生成されます。 これらのシグナル伝達に重要な役割を果たすのがPPIで、異常をきたすと疾患の原因ともなり、重要な創薬標的となります。(図5) (図5) バイオ医薬(タンパク医薬や抗体医薬)(*12)は、分子量が大きい(高分子)ために細胞の中には入らず、細胞の外や受容体の部分でシグナルを制御しております。一般に、細胞の中に伝えられるシグナル経路は、細胞内で複数の役割を果たすことが多く、細胞外で止めることは目的の作用以外の役割も上流で止めてしまうことになり、副作用が生じやすくなります。細胞内でタンパク質同士の結合を選択的に阻害(制御)して目的の作用のみを止めることは、これまで創薬の分野で重要と期待されながらも方法が確立されておりませんでした。 PepMetics技術では、細胞膜を通過できる低分子化合物を用いて、細胞の中に伝えられたシグナルの下流で治療に必要なシグナルだけを止めることが可能となります。(図6、図7) (図6) 《PepMetics技術と従来の創薬技術(バイオ医薬)及び低分子との違い》 出所:Caroline et al. Novel Peptide Therapeutic Approaches for Cancer Treatment、A. Chakrabarti Novel avenues to use peptides as cancer drugs. Exploration of the effect of chemical coupling to polymers & cell-penetrating peptides on bioactivity (図7) ③ PepMetics化合物の特徴 従来の人工合成による低分子では、細胞内でのPPIを制御することは困難とされてきました。一方で、天然物をもとにした薬では、細胞内でのPPIを含む様々な効果が認められております。これは、合成による化合物の場合は多様性を確保しやすい合成ルートを用いる結果、平面的な化合物が多くを占めるのに対し、天然物は3次元的、団子状(Globule)の化合物が多くみられる傾向にあるためです。しかし、天然物は合成が極めて困難で、最適化のための化合物改変の余地も限られるため、創薬の成功は偶然性に依存しており、特定のPPIを標的に創薬をすることは困難とされてきました。 PepMetics化合物の特徴を分析するために、承認された低分子医薬品を主成分分析モデル(PCA分析)で2次元平面に分散させ、合成化合物由来の上市医薬品(黄)と天然物由来の上市医薬品(赤)に分けました。そこに、PepMetics化合物(橙)を重ねわせたところ、PepMetics化合物は天然物由来の医薬品に近い特徴を持った化合物であることがわかります。(図8) すなわち、PepMetics化合物は通常の低分子化合物のように合成できる一方で天然物の特徴を持つ化合物群で、そのために従来Undruggableとされてきた創薬標的でも多くのヒット化合物を生み出していると考えられます。 ※論文「Property distributions: differences between drugs, natural products, and molecules from combinatorial chemistry」に記載の方法に従い、上市医薬品、ZINC databaseに登録されている約30,000化合物(従来の化学合成化合物)、PepMetics libraryの約17,000化合物に対して、主成分分析(PCA, principal component analysis)を行いグラフを作成。横軸は第1主成分、縦軸は第2主成分を示す。 (図8) ④ 多様な化合物空間とライブラリーの有用性 体内では様々なPPIが選択的に制御され、特定のタンパク質やペプチドが、特定の相手に結合することでシグナルを正確に伝えております。 この選択性に重要なのがアミノ酸配列と骨格の形状で、PepMetics化合物では40種類の骨格と、天然アミノ酸と非天然アミノ酸を含む50種類以上のアミノ酸側鎖を自由に組み合わせられる技術を開発いたしました。それにより、例えば4つのアミノ酸をつなげたPepMetics化合物の場合、理論的には2億5千万とおり以上の組み合わせの化合物をデザインすることが可能で、当社はそのような化合物をバーチャルライブラリー(V-Library:Virtual Library)として確保しており、その中で、実際に合成を完了して評価することができるライブラリー化合物(R-Library:Real Library)が2万個以上あります。(図9) ※1:3~5個の側鎖をつけることが可能 ※2:当社のライブラリーでは、天然アミノ酸20種類に加えて約30種類の非天然アミノ酸を使用 ※3:当社では、40種類以上の骨格を開発し、使用可能 (図9) これらのライブラリーのバーチャルスクリーニングと実際の細胞等を使った評価を行うことで、効率よくヒット化合物を見出し、改良することが可能となると考えております。 ⑤ 多様な創薬アプローチの開発 当社は、PepMetics技術を多くの創薬標的に活用するために様々なアプローチを開発しました。これにより、製薬会社の多様なニーズに合った研究が進められることになったと考えております。 a SBDD アプローチ 創薬標的のタンパク質同士の結合の様式がX線解析等の手法で明らかになっている場合、構造をもとにした分子設計(SBDD: Structure Based Drug Design)が可能です。標的とするポケットに対して、結合するタンパク(リガンド)がどのように結合するかを分析し、PepMeticsに置き換えて結合力を計算します。この手法で、当社のV-Library、R-Libraryを含む化合物のバーチャルライブラリーのスクリーニングを行い、結合する可能性の高い化合物をR-Libraryから選定、もしくはV-Libraryから選定して合成することでヒット化合物を創出いたします。また、ライブラリーにはない化合物もポケットに合わせてデザインし、個別に合成することで成功の確率を高めます。 b 配列に基づくアプローチ 標的タンパク質の結合構造がわからない場合には、PepMetics化合物が天然のヘリックス構造を模倣することを利用して、アミノ酸の配列情報から候補化合物を合成し、ヒット化合物を探索することも可能です。 PPIを制御するためにランダムに発生された中分子ペプチド、サイクリックペプチド(*13)等を用いて標的に結合するペプチドを探索する手法が活用されております。しかし、見出されたペプチド(バインダー)をそのままで薬にすることは難易度が高く、低分子に置き換えることが期待されております。また、バインダーが標的のタンパク質にどのような様式で結合しているかが解析できれば上記のSBDDが可能になりますが、ペプチドは様々な構造を持ちうるため、結合様式を予測することが困難な場合が多くあります。 PPIで最もよく使われるのはヘリックス構造で、ペプチドのある特定の部分(連続する3~4個のアミノ酸)がヘリックス構造を形成して相手に結合していると推測することができます。そこで、ペプチドの配列情報から、配列の中の連続する3つのアミノ酸を端から一つずつずらしながら模倣するPepMetics化合物を作ることで、結合構造を模倣できる可能性があります。 この方法を用いて、CTLA-4(cytotoxic T-lymphocyte-associated protein 4:免疫チェックポイントタンパク質)という従来の低分子では困難とされる標的に対して、ヒット化合物を見出す実例を示すことができました。 c ライブラリースクリーニング 創薬標的についての情報が少ない場合や標的そのものが限定されない場合には、可能性を最大化するためにライブラリー(R-Library)のスクリーニングを行います。これによって、想定している作用に加えて、異なる部分に作用することで同様の効果を生む(アロステリック効果)化合物の探索も可能になります。 体内でのPPIは65万種類あるといわれていますが、その中で知られているのはほんの一部にすぎません。結合に頻繁に使われるヘリックス構造をもち、多様なアミノ酸配列を模倣するPepMetics化合物を活用することで、想定外の結合様式やPPIの作用を見出す可能性もあります。 (3) 当社のパイプライン 当社ではPepMetics技術を活用して、独自のパイプラインの開発を行っております。 ① CBP/β-カテニン相互作用阻害剤 Wntシグナル伝達経路(*14)は1980年代に発見され、ガンの細胞「増殖」に関係することが知られており、多くの新薬開発の試みがなされました。 正常細胞が細胞分裂の際に同じ細胞に分裂する「増殖」と異なる機能を持った細胞に分裂する「分化」のバランスをとるのに対し、突然変異によりできたガン細胞は異常に「増殖」を繰り返すことで腫瘍となって肥大化します。Wntシグナルは「増殖」を促進するため、Wntシグナルを阻害すれば、ガンが進行しないと考えられました。ところが、Wntシグナルは細胞が「増殖」する際のみならず、「分化」する際にも重要な機能を果たすため、Wntシグナルを止めることは副作用につながります。従来の技術で開発されたWnt阻害剤は細胞外からシグナルそのものを止めてしまうため、強い毒性を示して開発が中止されてきました。PepMetics化合物は細胞の中に入り込んでWntシグナル伝達経路全体の一部だけを止めることで、Wntシグナル全体を止めずに「増殖」を「分化」に切り替えるスイッチの役割を果たします。 Wntシグナルは、細胞の中でβ-カテニン(*15)というタンパク質を通じて伝達されます。細胞核内でβ-カテニンが、CBP(*16)というタンパク質に結合することで、転写が始まり、「増殖」のスイッチが入ります。PepMetics化合物は、この転写因子であるCBPに結合し、CBPとβ-カテニンの結合を阻害します。その結果、β-カテニンはCBPと似た別なタンパク質P300(*17)と結合し、この結合が細胞を「分化」に導く転写を始めます。すなわち、PepMetics化合物はWntシグナル全体を止めることなく、「増殖」を「分化」に切り替えるスイッチの役割を果たすことが可能です。 また、これまでの実験結果から、Wntシグナル伝達経路はガンのみならず線維症(*18)等の他の疾患分野にも深く関連することが知られており、様々な疾患での創薬に結び付ける開発を進めております。 a E7386 エーザイとの共同研究で見出された化合物で、当社の研究成果をエーザイに導出しました。 エーザイにより臨床試験を実施しており、2021年11月には臨床試験におけるPOCを達成いたしました。現在、第Ⅱ相臨床試験を実施しており、単剤、レンバチニブとの併用、ペムブロリズマブとの併用試験を実施しております。(図10) ※1:E7386はエーザイと共同創製した化合物 ※2:CR, complete response; dMMR, mismatch repair deficient; MMR, mismatch repair; NE, not evaluable; PD, progressive disease; pMMR, mismatch repair proficient; PR, partial response; SD, stable disease; RECIST, response evaluation criteria in solid tumors. 出所:European Society for Medical Oncology:(ESMO)年次総会(ESMO Congress 2025)ポスター発表(2025年10月17日~10月22日) ※3:本剤は、エーザイが創製し、エーザイと Merck & Co., Inc., Rahway,NJ, USA が提携契約のもと、共同開発および共同商業化を行っています (図10) b PRI-724 Wntシグナル伝達経路のCBP/β-カテニンの結合を阻害し、様々な線維症に対する効果が示されております。 2014年から肝硬変患者に対する臨床試験を開始し、2018年に大原薬品に導出しました。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)に採択されて臨床試験が進められております。(図11) 出所:Kiminori Kimura et al. Safety, tolerability, and anti-fibrotic efficacy of the CBP/β-catenin inhibitor PRI-724 in patients with hepatitis C and B virus-induced liver cirrhosis: An investigator-initiated, open-label, non-randomised, multicentre, phase 1/2a study(DOI: 10.1016/j.ebiom.2022.104069) (図11) C型肝炎(HCV)及びB型肝炎(HBV)による肝硬変患者を対象とする第Ⅰ相及び第Ⅱa相臨床試験は2021年7月に終了し、肝硬度、肝予備能、及び血清アルブミンレベルの統計的に有意な改善が観察されました。これにより、AMEDのCiCLEの中間評価では「PhaseⅡa試験において有効性を確認でき、安全性上の懸念も少ないことから、次相試験の実施が可能と考えられ、今後も計画とおりに進捗することが期待される。」との評価結果を得て、2023年7月よりMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎、旧名:非アルコール性脂肪肝炎(NASH))による非代償性肝硬変患者も対象に加え、多施設共同プラセボ対照無作為化二重盲検比較臨床試験(PhaseⅡ)が開始されております。 ② その他自社プログラム : 細胞内の翻訳機構を制御する化合物 その他進行中の自社プログラムのひとつとして、「翻訳」に関わるタンパク質であるeIF4EとeIF4G(*19)の結合を制御する化合物(FEP)の開発を進めております。 ガンに関係する様々な細胞内シグナル伝達経路の終末で作用点であるCAP依存性翻訳複合体(CAP複合体)は、mRNAの情報からタンパク質を生成する役割を持っております。このCAP複合体を構成するeIF4EとeIF4Gの結合を阻害することで、ガンの増殖に必要なタンパク質の合成を止める仕組みです。 本来、この結合を調整する制御因子として4E-BP1というタンパク質がeIF4Eに結合することで過度な翻訳が制御されておりますが、ガン細胞では上流のPI3K/Akt/mTOR経路が活性化され、4E-BP1の機能が無効化されております。そこで、当社はPepMetics技術を用いて4E-BP1の模倣化合物を作り、過度な翻訳を制御することに成功いたしました。 実際にはいくつかのガン種において、この経路が特に活性化されていることが報告されております。たとえばTNBC(トリプルネガティブ乳ガン)では約42%、膀胱ガンでは約43%の患者様において本経路が活性化されており、4E-BP1の模倣化合物はこれらガンに対する分子標的薬として期待されております。アメリカ・日本・ヨーロッパ主要国でのこれら活性化されている対象患者数は、TNBCで約13万人、膀胱ガンで約11万人と見積もることができ(Datamonitor Healthcare® Patient-based market forecastによる)、更にはこれらガン腫に対する分子標的薬が無いことから、マーケット的に大きなインパクトがあります。 一方で従来すすめてきたeIF4E/eIF4G阻害剤に加えて、新たに創薬分子標的の選定を行い、複数のプログラムを進めております。成功確率が著しく低い創薬研究において継続的に新薬を創出するためには、バランスの取れた健全なプログラムポートフォリオの構築が必須となります。また、複数のプログラムを並行して走らせることにより、プログラムをストップする健全な判断がより容易となります。当社は、創薬標的の選定において、Scientific Advisory Board(科学的なアドバイスをする諮問委員会)からの助言を得ることにより成功確度をより高めるよう努めております。 以上のように、PepMetics化合物を用いることで、これまで制御困難とされてきた創薬が極めて困難な標的に対して様々な創薬プログラムを立ち上げております。(図12、図13) 出所:Capital IQ (図12) 出所:Capital IQ (図13) (4) 当社の事業の可能性 新薬を作り出す歴史では、技術革新によって新たな創薬手法を生み出すパラダイムシフトが幾度となくあり、その度にそれまで不治とされていた病気に治療方法が生み出されております。天然物を煎じた薬に始まり、19世紀初頭に有効成分のみを抽出する技術によって薬効が高まり、19世紀末に人工的な合成技術によって低分子化合物医薬品(アスピリン)が生まれ、約一世紀にわたって低分子創薬の時代が続きました。20世紀末に高分子のバイオ医薬品(ヒトインスリン)が実用化されたことを皮切りに、抗体医薬品、免疫チェックポイント阻害剤、核酸医薬(mRNA等)等、それまでの常識を覆す技術が発明されることで、医薬品は飛躍的な発展を繰り返してまいりました。また、そのようなパラダイムシフトを牽引したバイオベンチャーは飛躍的に成長し、大手製薬会社と肩を並べる規模に成長しております。(図14) (図14) 細胞内PPI阻害薬はこれまで三つしか承認されておらず(ベネトクラクス:Abbvie社、レブメニブ:Syndax社、ジフトメニブ:Kura Oncology社/協和キリン社)、その開発は極めて困難とされてきましたが、PepMetics技術により新たな創薬分野を切り開く可能性を持っていると当社は考えており、そのための技術確立と活用を目指しております。 当社の開拓する細胞内PPI創薬の可能性を示すために、同様に低分子である酵素(キナーゼ)阻害剤との比較を以下に記載いたしました。キナーゼ阻害剤が創薬標的の数や薬のメカニズム(作用機序)、適応症が限定されるのに比べ、細胞内PPI阻害剤はより大きな可能性を持つと考えております。(図15) 出所:※1 Robert Roskoski Jr Properties of FDA-approved small molecule protein kinase inhibitors: A 2023 update (DOI.org/10.1016/j.phrs.2022.106552) ※2 Douglas R. Green A BH3 Mimetic for Killing Cancer Cells (DOI:  10.1016/j.cell.2016.05.080) 細胞内、細胞外を含む ※3 Datamonitor Healthcare ※4 AbbVie社により見出されたPPI阻害剤。BCL2タンパク質とBAXタンパクのPPIを阻害し、ガン細胞の細胞死を引き起こす事により、抗腫瘍効果を示す        (図15) (5) 当社の優位性 当社でのPepMetics技術は下記の優位性を保持しており、PPIを狙った低分子創薬において競合優位性を保持しております。 ① 有機合成 当社はPepMetics化合物の特許を取得していることに加え、他社が容易に追随できない合成ノウハウを蓄積しております。これまで3万以上のPepMetics化合物を合成した実績があり、成功例だけでなく失敗例を含めた反応実績を全て社内データベースで容易に参照可能となっております。これにより、天然物様の立体的で複雑な構造を有するPepMetics化合物の合成を、通常の平面来な低分子化合物の合成のように簡便かつ効率的に合成可能とする体制を整えております。 ② 生物学・生物物理学 当社は生物学及び生物物理学の機能を拡充しております。具体的には、生物評価系設備として自社内でPepMeticsライブラリー化合物の評価を高速で行うハイスループットスクリーニング(HTS)を稼働し、早期にヒット化合物を見出す体制を構築しております。更に、PPI標的タンパク質の高次構造の予測やリガンドとの結合シミュレーションを行う計算化学、タンパク質-PepMetics化合物複合体のX線結晶構造解析による結合様式の解明を行う生物物理学の手法を確立して適用することにより、PepMetics化合物の創薬における探索規模の拡大と高度化を進めております。これにより当社は、共同開発事業におけるライブラリー化合物を提供するのみならず、PepMetics化合物のデザイン及び最適化合成、PPI活性評価、腫瘍細胞の試験管内(in vitro)及び動物(in vivo, Xenograft等)薬効評価までの一連の創薬プロセスを自社で行う体制を構築し、創薬開発のスピード化による自社開発事業の拡充と、多様化する相手先企業のニーズに応える創薬提案を行える組織を編成しております。 ③ AI 当社では進展著しいAI(人工知能)技術をPepMetics化合物へ応用しております。多様な側鎖のバリエーションが可能な一方で限られた骨格群を有するPepMetics化合物は、無限に空間が広がる通常の製薬会社の低分子化合物よりもAIと相性が良いことが期待できます。この特性を活用し、当社ではPepMetics化合物に特化したADMET(化合物の吸収、分布、代謝、排泄、毒性)のAI予測モデルを構築・実用化しております。自社独自で保有するPepMetics化合物群のデータに基づき、高精度でのAI予測が可能です。 さらに、標的となるタンパク質のPPIの結合部分の構造とこれまでのPepMetics化合物に関する知見を基に、AIによる候補化合物の探索も進めており、すでにいくつかの成果が見られております。 自社プログラムや共同プログラムにおいて実績を残しているのみならず、他者が保有できない独自のAI技術として今後のさらなる深化、発展が見込まれます。 <用語解説> *1 探索 創薬研究の最初の段階として、医薬品の元となる生理活性をもつ物質を探索する研究段階があります。この研究を一般的に探索研究と呼びます。 *2 臨床候補化合物 臨床試験の候補となる化合物です。創薬研究の探索段階において見出した初期化合物を、有効性や安全性など様々な側面から改良し、臨床候補化合物を創出します。 *3 ヘリックス構造 生物学において、タンパク質や核酸といった生体高分子の主鎖の部分的な立体構造を二次構造と言います。ヘリックス構造は、二次構造のうちヘリックス(螺旋)状の構造をとるものです。 *4 低分子有機化合物 分子量の小さい有機化合物です。一般的に分子量が900以下のものを指します。 *5 タンパク質間相互作用(PPI) 複数のタンパク質分子が状態に応じて特異的複合体を形成する現象です。 *6 飽和環状構造 主に有機化学において原子が環状に結合し、かつ単結合のみで構成される構造を飽和環状構造と言います。 *7 側鎖 鎖式化合物の分子構造で、最も長い炭素原子の連鎖(主鎖)から枝分かれしている部分です。 *8 タンパク質 アミノ酸が鎖状に多数連結(重合)してできた高分子化合物であり、生物の重要な構成成分の一つです。ヒトでは20種類のアミノ酸からタンパク質が構成されます。構成するアミノ酸の数や種類、また結合の順序によって種類が異なり、分子量約4千前後のものから、数千万から億単位になるウイルスタンパク質まで多種類が存在します。連結したアミノ酸の個数が少ない場合にはペプチドと言い、これが直線状に連なったものはポリペプチドと呼ばれることが多いです。タンパク質は、炭水化物、脂質と共に三大栄養素と呼ばれ、身体をつくる役割も果たしております。 *9 遺伝子 遺伝子とは人間の体をつくる設計図に相当するものです。ヒトには約2万個の遺伝子があると考えられております。人間の身体は、細胞という基本単位からなっております。この細胞の核と呼ばれる部分に染色体があり、この中のDNAが遺伝子として働いております。人間の身体は、この遺伝子の指令に基づいて維持されております。 *10 受容体 受容体とは、細胞膜表面、細胞質、又は核内に存在し、物理・化学的な刺激を認識して細胞に応答を誘起するタンパク質を言います。受容体は細胞での場所で、以下のように大きく二つに分けられます。 (1) 核内受容体(細胞内受容体とも言います) 細胞膜を自由に通過できる脂溶性ビタミンA、Dやステロイドホルモンや甲状腺ホルモン等の脂溶性の物質を受容します。これらのリガンド(情報伝達物質)により核内のDNAの特定配列に結合し転写して、必要なタンパク質を合成して生体反応を引き起こします。 (2) 細胞膜(貫通型)受容体 ペプチドホルモン、細胞伝達物質、増殖因子等の細胞膜を通過できない水溶性の物質を膜表面で受容します。 *11 DNA DNAはヒトの細胞では、核の中の染色体にあり、A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)の4種類の部品でできております。DNA中ではAとT、GとCが結合していて、その結合の対を塩基対と言います。DNAは、はしごをひねったような形をしていて、核の中の染色体の中に折りたたまれて入っております。DNAを簡単に言うと、私たちの体を作る設計図と言えます。 *12 バイオ医薬 組み換えDNA技術、細胞融合法、細胞大量培養法等のバイオテクノロジーで製造された医薬品。(1)組み換えDNA技術によるたんぱく質性医薬品(ホルモン、酵素、抗体等)、(2)遺伝子治療に用いる遺伝子組み換えウイルス、(3)培養皮膚等の細胞性治療薬、(4)RNAやDNAの断片そのものを用いる核酸性医薬品等です。日本で最初に承認されたバイオ医薬品は、組み換えDNA技術によるヒトインスリン(1985年)。ゲノム科学、ゲノム創薬の進展により、バイオ医薬品の研究開発が国際競争となっております。 *13 中分子ペプチド、サイクリックペプチド 中分子ペプチドは数個から十数個のアミノ酸からなる化合物、サイクリックペプチドは環状構造を持つ化合物で、どちらも新たな創薬モダリティとして注目されています。 *14 Wntシグナル伝達経路 胚発生、ガン、線維化などを制御するタンパク質のネットワークです。創薬標的として広く研究されています。 *15 β-カテニン 核内で他の様々な転写因子と結合して、細胞の増殖あるいは分化に関与する遺伝子の転写を制御します。 *16 CBP CREBBP(CREB-binding protein、サイクリックAMP反応性エレメント結合タンパク質)とも称される、転写を調節するコアクチベーターとよばれる因子の一つです。β-カテニンと結合し、他の多くの転写因子とも協同しながら様々な遺伝子の転写活性を調整します。 *17 P300 CBPと類似の構造・機能をもち、転写を調節するコアクチベーターとよばれる因子の一つです。多くの転写因子と結合して基本転写因子の活性を制御する性質をもつタンパク質です。 *18 線維症 内臓等の組織を構成している結合組織と呼ばれる部分が異常増殖する現象により、たとえば、心筋に線維化が生じたときには心臓の働きに異常が起き、呼吸困難や心悸亢進(動悸)等の症状が出ます。また関節リウマチにおける骨の萎縮や変性、肝臓全体の線維化を示す肝硬変の病態等も、結合組織が線維化した例としてよく知られております。 *19 eIF4E、eIF4G eIF4E、eIF4GはメッセンジャーRNA(mRNA)に結合して翻訳を調節することで細胞の成長や増殖に関与する因子であり、その過剰発現により細胞のガン化が誘導されることも知られています。ガン細胞はその急速な成長のために通常の細胞に対する成長制御を回避する必要があり、その回避策の一つとしてeIF4E、eIF4Gを過剰に活性化させるなどの方法により、タンパク質合成を制御する仕組みに発ガン性変化を起こさせることが挙げられます。eIF4E、eIF4Gを阻害することでガン細胞の成長促進を妨げるための研究が進められています。
経営方針・対処すべき課題2,497字を開く

経営陣が考える方向性と課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。 (1) 経営方針・経営環境・経営戦略等 製薬業界は、高度化する医療技術の進展や多様化する医療ニーズへの対応等により、今後も更なる成長が見込まれております。一方で、ジェネリック医薬品の普及等の薬剤費の削減や医療保険の適用基準の厳格化の影響等により、国内における医薬品販売高の成長については不確実な要素も大きくなっております。 また、近年の臨床試験の厳格化の傾向に加え、臨床試験の規模が拡大すると共に開発期間が長期化し、製薬業界では激しいグローバル競争が展開されていることから、新薬開発の効率化が製薬企業各社の課題となっております。 このような状況の中、当社はPepMetics技術によって「創薬不可能」だった標的を「創薬可能」にし、治療法のなかった病気を治療することを使命にあげ、独自の創薬基盤技術を拠り所としております。この技術の有用性を証明すると共に、この技術において業界をリードし、競争力を維持し続けることが重要な経営課題であります。 (2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社は現在、研究開発段階のものが多い状況であります。マイルストンの達成に応じて売上高が計上されてはおりますが、不確実性が高いため目標となる経営指標等は定めておりません。 一方で、将来的な成長の要素として、自社開発プログラム及び共同開発プログラムの進捗状況は重要であるため、経営指標として、研究開発における各段階のプログラム数の見通しを提示します。 現段階においては、早期の製品の上市を目指し、研究開発及び臨床試験の進捗状況、並びに研究開発資金と費用のバランス等を注視しながら、事業を推進しております。当社では、事業の進捗を測る指標として研究開発の各段階でのプログラムの数を管理しています。 研究開発では下記の4段階で進捗します。 標的探索   疾病に影響する可能性のある生体分子や生理的機序(メカニズム)を研究し、制御すべきタンパク質等の分子の候補を選び、疾患と標的の関係、評価系の構築難易度、結合様式とPepMeticsの適格性などを評価して創薬標的を選びます。 ヒット化合物探索   創薬標的に対して作用していることを測定する評価系を構築し、候補化合物をスクリーニングして活性のある初期ヒット化合物を見出します。初期ヒット化合物の周辺化合物を合成し、活性を高めると同時に標的に結合しているかを複数の評価系で確認し、ヒット化合物を特定します。 リード化合物探索   ヒット化合物をもとに、薬理活性を高め、動物モデルにおいて一定の治療効果が認められるリード化合物を特定します。 リード最適化   リード化合物をもとに、更に活性を高めると共に薬に適した物性及び安全性を得られるように最適化を進め、医薬品の原料となる臨床候補化合物を見出します。 これらのプログラムは全てが上位に進階する訳ではなく、一定の確率で目的の化合物が得られず中止となります。プログラムを進めるためには研究者及び資金等の多くの資源を必要とするため、一時期に並行して進められるプログラムの数には限界があります。当社では成功及び導出の可能性が高いプログラムに資源を優先的に配分することを重視しており、プログラムを始める際に明確な目標と期限を定め、進める中で想定外の状況が発生した場合にはプログラムを中止することがあります。その資源を新たなプログラムに配分することで、常時適切な数の有望なプログラムを揃える最適なパイプラインの状態を維持しています。 (3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社の事業は独自の創薬基盤技術を拠り所としており、この技術の有用性を証明すると共に、この技術において業界をリードし、競争力を維持し続けることが重要な経営課題であります。 (特に優先度の高い対処すべき事業上及び財務上の課題) ① プログラムの推進 現在、エーザイ及び大原薬品とライセンス契約を締結し、それぞれの製薬会社が主導して臨床試験を実施しております。ライセンスアウト先からのマイルストンは多額であるため、その臨床試験の進捗は当社の資金繰り計画に影響を与えます。ライセンスアウト契約先と密にコミュニケーションを図りつつ、臨床試験の進捗の状況の確認及びアドバイス等をステアリングコミッティ等にて行い、共同して適切に進捗するように尽力して参ります。 新規の創薬プログラムは様々な事由で中止される可能性があります。そこで、現在当社で開発を進めております自社プログラムに加えて、新規プログラムを毎年開始することにより、確度の高いプログラムに優先的に資源を集中し、新たなプログラムを継続して創出することを目指しております。 ② 創薬基盤技術の継続的な収益化 当社のPepMetics技術を活用し、最近数年間に複数の契約を締結することができました。これらの契約では、ヒット化合物の創出や研究開発が進む段階に応じてマイルストン収入が得られる仕組みになっており、契約先との密なコミュニケーションとサポートを行って進捗を推進して参ります。 今後も同様の契約を積み重ねていくことで、継続的な収益の基盤を構築することを目指しております。 また、より創薬基盤の価値を向上させるために有用性を示す技術開発も引き続き行う必要があります。 ③ 人材の採用、育成 研究開発を進めるため、多様な人材の採用及び育成を強化する仕組みの構築に取り組んでいます。共同開発事業の拡大に向けたプロモーション活動の効率化を図るため、自社ウェブサイトの充実化、営業体制の効率化及び強化に努めて参ります。 (その他の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題) 財務基盤の強化 継続的な収益化を目指す中、当事業年度末の現金及び預金は2,915,572千円であり、一層の事業の促進と並行してコスト削減及び財務基盤の強化も求められております。
事業等のリスク9,391字を開く

会社が自認するリスクの一覧

3 【事業等のリスク】 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、当社は、医薬品等の開発を行っておりますが、医薬品等の開発には長い年月と多額の研究費用を要し、各プログラムの研究開発が必ずしも成功するとは限りません。特に研究開発段階のプログラムを有するバイオベンチャー企業は、事業のステージや状況によっては一般投資者の投資対象として供するには相対的にリスクが高いと考えられており、当社への投資はこれに該当します。 なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。 (1) 事業環境に由来するリスク ① 新薬開発の不確実性について(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:大) 一般的に医薬品開発は研究開始から承認まで長期間を要し、多額の研究開発投資が必要になりますが、他産業と比較して製品化の成功確率が著しく低い状況にあります。 医薬品候補化合物は、有効性や安全性の観点から開発の延長や中止をする可能性があります。また、臨床試験で良い結果が得られた場合であっても、各国における薬事関連法規等の厳格な法規制等の適用のもとで審査を受けることが必要であり、製品開発中に施行される承認審査基準の変更により、承認が得られない可能性があります。 開発の不確実性による新薬開発の遅延により研究開発の期間が延長された場合には、追加の研究開発投資が必要になるほか、上市後の特許権の満了までの期間が短くなることにより将来に期待していた収益が得られない可能性があります。また、研究開発を中止した場合は、それまでに投資した資金を回収できなくなることになります。 医薬品の研究開発には多くの不確実性が伴い、当社の現在及び将来の開発品についても同様の不確実性のリスクが内在しております。 当該リスクに対しては医薬品の開発や事業化について経験を有する人材を社内外に確保し研究開発を推進する体制の構築に努めております。その一環として、新薬の研究及び臨床開発の分野で豊富な経験を有するメンバーで構成したScientific Advisory Boardを組織し、助言を受けております。また、臨床試験の計画・実施に当たっては規制当局との事前相談等を通じて適切な助言を得て開発を推進して参ります。 ② 医療費抑制策について(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中) 医療用医薬品の販売価格は日本及びその他各国政府の薬価に関する規制を受けます。近年、日本では医療費抑制策の一環として、通常2年毎の医療用医薬品の薬価引き下げや、ジェネリック医薬品使用促進等の施策がとられております。欧米、アジアの国々等においても、医薬品の薬剤費低減への圧力は年々高まっており、将来に期待していた収益が得られない可能性があります。 このような動向を受け、当社の製品の薬価が当社の想定を下回り、又は当社製品への需要が減退した場合には、当社の事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 ③ 法規制に関するリスク(発生可能性:小、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中) 医薬品事業は、薬事規制や製造物責任等の様々な法規制に関連しており、法規制の制定や改定により業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 現在、当社のパイプラインは研究開発段階にあり、わが国の厚生労働省、アメリカ食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)等から上市のための認可は受けておりませんが、今後各国の薬事法(わが国においては「薬機法」)等の諸規制に基づいて医薬品の製造販売承認申請を行い、承認を取得することを目指しております。 当社に適用される法規制を遵守できない場合、規制当局から行政処分やその他の措置を受ける可能性や、製品の回収更には製品の許認可の取り消し、あるいは賠償請求を受ける等当社や当社の製品に対する信頼や評価を棄損するほか、事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクに対しては、パイプラインの拡充を図ると共に、医薬品の開発や事業化について経験を有する人材を社内外に確保してプログラムを推進する体制の構築に努めております。 ④ 訴訟に関するリスク(発生可能性:小、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:小) 現在関与している訴訟は有りませんが、臨床試験に組み込まれた被験者の内賠償に該当する場合や、将来的に第三者の権利もしくは利益を侵害した場合又は侵害していない場合でも相手方が侵害していると考える場合には、損害賠償等の訴訟を提起される等、法的な紛争が生じる可能性があり、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、第三者との間で係争が生じた際には、顧問弁護士及び弁理士と連携し、当該係争に迅速に対応する方針であります。 (2) 事業内容に由来するリスク ① 他社による類似技術開発に関するリスク(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中) 最近のゲノム情報を用いた解析により、細胞内に存在するタンパク質同士が結合することでシグナル伝達が起こる経路に疾患の原因となる異常が存在することが次々と明らかになっておりますが、PPIに作用して効果を示す薬剤は、ほとんど知られておりません。これは、分子量の大きなタンパク質(数万~数十万)同士の結合を、分子量の小さい合成低分子化合物(数百)で制御することが非常に難しいことによります。(大きな分子は、細胞膜を通過しないため使用できない。)中でもヘリックス(タンパク質の二次構造の共通モチーフのひとつで、バネに似た右巻き螺旋の形をしています。骨格となるアミノ酸の全てのアミノ基は4残基離れたカルボキシル基と水素結合を形成しています。)構造は、模倣が難しく過去に有効な成功例は数例しか報告されておりません。当社はヘリックス構造を模倣する多くの骨格を合成し、広範囲な特許対策も実施しております。 しかしながら、資金力のある大手製薬会社が将来的に新規構造を持つ化合物を合成したり、特許抜けによる類似化合物を合成する可能性は否定できません。 このようなリスクに直面した場合、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ② 外国為替相場の変動に関するリスク(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:小) 当社は、海外の製薬会社やCRO(開発業務受託機関)と多くの取引を行っており、受取及び支払は外貨建決済となります。従って、為替相場が変動した場合には、当社の経営成績及び財務状態に影響を及ぼすこととなります。 ③ 他社とのアライアンスにおけるリスク(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中) 当社は、新薬候補化合物を大手製薬会社等に導出し、導出先が販売促進活動し、マイルストン収入及びロイヤリティ収入を得るのが基本的ビジネスモデルです。共同開発事業についてはエーザイ、大原薬品との間でそれぞれ導出に関する契約を締結しております(後述の「5 重要な契約等」をご参照ください。)。既に導出を行った新薬候補化合物の臨床試験を実施中ですが、これらの試験結果が望ましくない場合や提携企業との良好な協力関係が保たれなくなった場合、当初予定していた売上高が減少し将来に期待していた収益が得られない可能性があります。また、製品買収や製品・開発品の導入等に伴う不確実性により、将来に期待していた収益が得られない可能性があります。 上記導出契約に加え、国内外の製薬会社との間で共同研究や研究協力に関する契約を締結もしくは今後の締結を見込んでおり、契約締結後、当社にとって不利な契約改定が行われた場合、当社の理念及び社会的評価を損ねる可能性があり、その結果として当社の事業、業績や財政状況等に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクに対しては、新規提携先の拡充に向け複数の候補先と定期的なコミュニケーションの実施に努めております。 ④ 業務委託先の工場の閉鎖又は操業停止(発生可能性:小、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中) 技術上の問題、使用原材料の供給停止、新型コロナウイルス・インフルエンザ等のパンデミック、火災、地震、その他の災害等により業務委託先の施設が閉鎖又は操業停止となる可能性があります。この場合、原体の供給や活性データの報告が妨げられ、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクに対しては、常に不測の事態に備え、複数の委託先との業務提携体制の構築に努めております。 ⑤ 使用原材料の安全性及び品質に関するリスク(発生可能性:小、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中) 使用する原材料の安全性及び品質に懸念が発生した場合、使用原材料の変更はもちろんのこと、それらを使用した研究開発結果への疑義等、業績や研究開発に重要な影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクに対しては、常に不測の事態に備え、複数の仕入先との業務提携体制の構築に努めております。 ⑥ 他社との競合について(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中) 当社が事業を展開するペプチド模倣低分子技術は、今後市場規模が拡大した場合、国内企業のみならず、海外の大手製薬企業やバイオベンチャー等の参入も拡大し、競争環境が激化する可能性があります。 競合他社は、当社や当社の導出先よりも多くの経営資源又は研究開発や販売に関する豊富な経験を有している場合があり、これらの企業が当社や当社の導出先に先んじて研究開発を進めた場合のほか、当社が研究開発の過程で必要とする第三者の知的財産権について独占的な導出を受け、又は大手製薬企業と提携すること等を通じて、当該分野において当社よりも先行した場合、当社事業の競争上の優位性が低下する可能性や、当社の事業展開において当社が想定する以上の資金が必要となる可能性があります。 以上により、今後の競争激化が当社の事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑦ 小規模組織及び少数の事業推進者への依存(発生可能性:小、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中) 当社は、当事業年度末において従業員50名未満の小規模体制となっております。今後、業務拡大に応じて採用、経理人材の採用を通じて内部管理体制の拡充を図る方針です。 また、当社の代表取締役竹原大、取締役研究開発部長朴煕万をはじめとする現在の経営陣、研究開発活動を推進する各部門責任者及び少数の開発担当者はそれぞれが高度かつ専門的な業務に従事しており、当社の事業活動はかかる少数の主要な人材に強く依存するところがあります。そのため、常に優秀な人材の確保と育成に努めておりますが、人材確保及び育成が順調に進まない場合、並びに人材の流出が生じた場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 また、当社が今後パイプラインの拡充や、製品候補の製造又は販売を行う場合、従業員数及び事業範囲を拡大し、商業化等の担当者を採用、維持する必要がありますが、当社が事業の拡大を適切に管理し、適切な人材を採用できない場合は当社の成長戦略に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社は海外における事業開発活動については海外在住のコンサルタントを活用しており、契約が解除されることで一時的に業務に支障が生じる可能性はありますが、当社の役員及び従業員で補いつつ海外の他のコンサルタントに委託する等の対応を取る方針です。 当社は、当社の理念の浸透を図ると共に、専門分野毎の縦割り型ではなく、経営陣並びに従業員が自由闊達に議論を交わせるような組織づくりを通じ、やりがいを感じることができる風土を醸成すると共に、新規採用も含め社内体制の強化を進めて参ります。 ⑧ 現在出願中の特許が登録されないリスク(発生可能性:低、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中) 当社は、研究開発により得られた成果に関して戦略的な特許出願を行っております。その結果、当事業年度末時点で13件(登録済10件、出願中3件)の特許を出願・登録し、今後、一層、知的財産権の確保のため、新規出願及び出願済特許の登録の増加を図っていく方針であります。しかしながら、出願した特許が登録に至らない、若しくは特許の一部のみしか登録に至らない可能性があります。また、当社グループが所有又は使用許諾を受けた知的財産権に優位する知的財産権が第三者によって生み出される可能性があり、こうした結果、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑨ 特許訴訟に関するリスク(発生可能性:小、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:小) 当社は、提出日現在、当社の事業に対する特許権等の知的財産権に関する第三者との間での苦情及び訴訟等といった問題は認識しておりませんが、医薬品開発事業の一般的なリスクとして、自社で出願した特許以外にも第三者の特許が関連する可能性があります。当社が第三者との間で係争に巻き込まれた場合、当社は弁護士や弁理士との協議の上、その内容に応じて対応策を検討していく方針でありますが、仮に相手方の主張が認められる可能性が低い係争であっても、係争の解決に多大な労力、時間及び費用を要する可能性があり、その場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 また、将来的な事業展開においては、他社が保有する特許権等への抵触により、製品候補の開発の停止等を命ぜられる等の事業上の制約を受ける等、当社の事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、新たな開発に着手する際は、他社の特許権等を侵害しないことを確認する調査等によりリスクの低減を図ると共に、第三者との間で係争が生じた際には、顧問弁護士及び弁理士と連携し、当該係争に迅速に対応する方針であります。 (3) その他リスクについて ① 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(発生可能性:大、発生する可能性がある期間:各新株予約権発行後2~10年の間、影響度:小) 当社は、当社の役員、従業員等に対して新株予約権を付与しております。提出日前月末時点において、これらの新株予約権による潜在株式数は3,489,900株であり、提出日前月末時点での発行済株式総数36,916,000株の9.5%に相当しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。また、今後も優秀な人材確保のため、新株予約権の発行と付与を実施する可能性があります。従いまして、今後発行される新株予約権が行使された場合にも、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。 ② 情報セキュリティ事故について(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中) 当社は、情報セキュリティ、研究開発等に関する機密情報等及び個人情報の管理について、情報システムを活用しつつ、情報セキュリティ管理規程、個人情報取扱規程に沿って運用を行っておりますが、当社の役職員、提携先、取引先の不注意や故意、セキュリティ障害、第三者による攻撃等により、当社の研究開発等に関する重要な機密情報や個人情報が流出した場合には、当社の事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社は当該リスクを低減するため、当社の提携先及び取引先との間で守秘義務を含む契約を締結すると共に、規程に沿った情報管理の運用に努めておりますが、現在、当社はサイバーセキュリティ保険への加入も検討しております。 ③ 資金繰りについて(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中) 当社の創薬基盤の拡張・維持や自社開発事業は、多額の研究開発費用を必要とし、今後一定期間にわたって先行投資の期間が続きます。この期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。これまでも特定の事業年度を除くと営業キャッシュ・フローのマイナスが続いており、現状では共同開発事業からの収益に対して自社開発事業への投資並びに管理部門等の間接経費が上回っている状況です。 このため、安定的な収益源が先行投資を上回るまでの期間においては、研究開発の進捗等に応じて適切な時期に資金調達等を実施して財務基盤の強化を図る方針ですが、必要なタイミング又は適切な条件で資金を確保できなかった場合は、当社事業の継続に重大な懸念が生じる、又は株主の保有する権利に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクに対しては、自社開発事業への先行投資の調整や早期の資金調達の実施に注力すると共に、金融機関からの融資、コミットメントラインなどの調達方法の多様化を検討して参ります。 ④ 調達資金について(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中) 新薬開発に関わる研究開発活動の成果が収益に結びつくには長期間を要する一方で、研究開発投資から期待した成果が得られる保証はなく、また当社の判断により調達資金を上記以外の目的で使用する可能性、当初予定していた研究開発対象とは別のプログラムがあり、その結果、資金の投資が期待される利益に結びつかない可能性があります。 ⑤ 収益計上について(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中) 当社の収益構造は、当社が研究開発する医薬品について製薬企業等と導出契約等を締結し、その対価として契約一時金、マイルストン収入及び製品の上市以降の販売に応じたロイヤリティ収入を得ることを基本モデルとしております。 一般的に医薬品等の開発期間については基礎研究開始から上市まで長期間に及ぶこと、製薬企業等からの収入は研究や開発の進捗に大きく左右されることが予見されます。 また、研究開発の進捗遅れが生じた場合や導出先の研究開発方針に変更等が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクに対し、導出契約先と密にコミュニケーションを図りつつ、臨床試験の進捗の状況の確認及びアドバイス等を定期的な会議等にて行い、共同して適切に進捗するように尽力して参ります。また、当社が創薬標的を選択して開発化合物を見出す自社開発事業と、創薬標的に対してヒット化合物を見出して導出する共同開発事業を組み合わせたハイブリッド事業モデルにより、一時的な収益計上の平準化、安定的な将来の利益拡大を目指して参ります。 ⑥ 新株発行を伴う資金調達による株式の希薄化リスク(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中) 当社は医薬品の研究開発型企業であり、将来の研究開発活動の拡大に伴い、増資等の新株発行を伴う資金調達を機動的に実施していく可能性があります。その場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。 ⑦ 自然災害、感染症等の発生について(発生可能性:小、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中) 当社の事業所は神奈川県藤沢市及び東京都中央区に設置しておりますが、事業活動や研究開発活動に関わる設備及び人員は神奈川県藤沢市の施設に集中しております。そのため、周辺地域において、地震等の自然災害、大規模な事故、火災、テロ等が発生し、当社が保有する化合物のライブラリーの滅失、研究設備の損壊、各種インフラの供給制限等の不測の事態が発生した場合、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。当社は、危機管理対策要領を作成し、緊急事態発生時に速やかに状況を把握し、迅速かつ適切な対処で被害を最小限に食い止められるような体制づくりに努めております。 ⑧ 風説・風評の発生について(発生可能性:小、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:中) 当社や当社の関係者、当社の取引先等に対する否定的な風説や風評がマスコミ報道やインターネット上の書き込み等により発生・流布した場合、それが正確な事実に基づいたものであるか否かにかかわらず、当社の社会的信用に影響を与える可能性があります。また、当社に対する信頼性に悪影響が生じ、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑨ ベンチャーキャピタルによる株式保有・比率について(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:小) 当社の発行済株式総数に対するベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(以下「ベンチャーキャピタル等」という。)の所有割合は当事業年度末時点で39.88%であります。当社の株式の株価推移によっては、ベンチャーキャピタル等が所有する株式の全部又は一部を売却する可能性が考えられ、その場合、株式市場における当社株式の需給バランスが短期的に損なわれ、当社株式の市場価格が低下する可能性があります。 ⑩ 職務発明に対する社内対応について(発生可能性:中、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:小) 当社が職務発明者である役職員等から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社は特許法に定める「相当の対価」を支払うことになります。当社では、共同発明の持分比率や相当の対価の支払い請求等に問題が生じる場合を想定し、その取扱いについて職務発明等取扱規程を制定しております。これまでに発明者との間で対価の支払い等で問題が生じたことはありませんが、そのような問題が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑪ 配当政策について(発生可能性:小、発生する可能性がある期間:特定時期なし、影響度:小) 医薬品の研究開発には多額の初期投資を要し、その投資回収も長期に及ぶ傾向にあり、当社も創業以来継続的に営業損失及び純損失を計上していることから、当社はこれまで配当の実績はなく、当面は研究開発活動の継続的な実施に備えた資金の確保を優先し、配当は行わない方針であります。しかし、株主への利益還元は重要な経営課題であると認識しており、将来において安定的な収益の獲得が可能となる場合には、財政状態及び経営成績を考慮した上で、利益配当についても検討して参ります。
経営成績の分析 (MD&A)4,056字を開く

業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 経営成績等の状況の概要 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は提出日現在において判断したものであります。 ① 経営成績の状況 当社は、独自のペプチド模倣技術を駆使してタンパク質/タンパク質間相互作用(Protein-Protein Interaction, PPI)を阻害する低分子を用いて新薬を開発することを目指し、10年以上にわたる研究開発の結果、臨床開発化合物を見出し、数多くのシード化合物を生み出しています。この独自の創薬基盤をPepMetics®技術として発展させ、これまで創薬が困難とされてきた標的に対して有望な化合物を見出す技術を確立してきました。PepMetics技術によって、細胞内のシグナル伝達を制御することで、ガンなどの難病を根治するための治療薬の創出を目指しており、当社が創薬標的を選択して開発化合物を見出す自社開発事業と、製薬会社の持つ創薬標的に対してヒット化合物、リード化合物、又は臨床候補化合物を見出して導出する共同開発事業を行っています。 自社開発事業では、導出した2つの臨床開発プログラムについて、それぞれ第Ⅱ相臨床試験を継続して実施しました。当事業年度においてマイルストン収入は得られなかったものの、導出先企業によって臨床開発の取り組みが着実に進められております。また、自社開発プログラムとして、当事業年度末時点で4つのプログラムを実施しております。 共同開発事業では、当事業年度末時点で国内外6社と契約を締結しており、それぞれの企業との間で研究開発活動を実施しました。小野薬品工業株式会社(以下、「小野薬品」という。)の共同研究につきましては、2025年11月に予め定められたマイルストンを達成し、一時金並びに共同研究費を受領しました。一方で、Eli Lilly and Company(以下、「Lilly」という。)並びにLES LABORATOIRES SERVIER(以下、「SERVIER」という。)との共同研究契約につきましては、2025年9月並びに10月にそれぞれ契約を終了しました。Lillyとの契約終了に伴い、残存履行義務が無くなったことから、契約負債残額をすべて取崩しのうえ、当事業年度の売上高として計上しております。 創薬基盤開発につきましては、本年4月に株式会社Elix(以下、「Elix」という。)との業務提携契約を締結し、PepMetics技術にAIを活用する取り組みを開始しました。また、当社の従来からの強みである有機合成化学と並行して、生物及び生物物理の機能を拡充しました。具体的には、PPI評価系を用いたハイスループットスクリーニング(HTS)の本格稼働に加え、PepMetics化合物とタンパク質の結晶構造分析といった生物物理学の手法を取り入れることにより、創薬探索規模の拡大と高度化を進めました。さらに、創薬研究に精通した優秀な人材の採用を積極的に進めました。 以上の結果、当事業年度における売上高は677,330千円(前年同期比121.6%増)となりました。 費用につきましては、販売費及び一般管理費については1,044,209千円(前年同期比10.7%増)となりました。その内訳は、研究開発費が620,939千円(前年同期比8.6%増)、その他販売費及び一般管理費が423,269千円(前年同期比14.0%増)であります。 この結果、営業損失は774,453千円(前事業年度は782,392千円の営業損失)、経常損失は748,302千円(前事業年度は831,518千円の経常損失)、当期純損失は833,700千円(前事業年度は1,049,514千円の当期純損失)となりました。 なお、当社は、創薬事業の単一セグメントであるため、セグメント別の業績の記載を省略しております。 ② 財政状態の状況 (資産) 当事業年度末における資産合計は3,085,692千円となり、前事業年度末と比較して1,442,873千円減少しました。流動資産は3,038,891千円となり、前事業年度末と比較して1,444,202千円減少しました。これは主として、現金及び預金が1,476,449千円減少したこと等によるものであります。固定資産は、46,801千円となり、前事業年度末と比較し1,328千円増加しました。これはラボスペース増床に伴う敷金及び保証金1,328千円の増加によるものであります。 (負債) 当事業年度末における負債合計は376,862千円となり、前事業年度末と比較して648,802千円減少しました。流動負債は370,080千円となり、前事業年度末と比較して649,788千円減少しました。これは主としてLilly及び小野薬品との共同研究及び導出契約に基づく契約負債が663,479千円減少したこと等によるものであります。 (純資産) 当事業年度末における純資産合計は2,708,830千円となり、前事業年度末と比較して794,071千円減少しました。これは主として、既存ストックオプションの権利行使に伴い資本金及び資本準備金をそれぞれ16,465千円計上したこと及び、新規ストックオプションの発行により新株予約権が6,698千円増加した一方、当期純損失の計上により利益剰余金が833,700千円減少したこと等によるものであります。 ③ キャッシュ・フローの状況 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は2,915,572千円となり、前事業年度末に比べ1,476,449千円減少しました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度において営業活動により支出した資金は、1,468,363千円(前事業年度は150,144千円の獲得)となりました。これは主に、非資金項目である減損損失を82,978千円計上した一方、税引前当期純損失を831,280千円計上したこと及び、契約負債が663,479千円減少したこと等によるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度において投資活動により支出した資金は、69,013千円(前事業年度は244,187千円の支出)となりました。これは主に、固定資産の取得による支出67,684千円及び、敷金及び保証金の差入による支出1,328千円があったことによるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度において財務活動により獲得した資金は、33,588千円(前事業年度は3,370,055千円の獲得)となりました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入32,551千円があったこと等によるものであります。 ④ 生産、受注及び販売の状況 a 生産実績 当社は直接的な生産活動は行っておらず、生産実績にはなじまないため、記載を省略しております。 b 受注実績 当社の事業による共同研究は受注形態をとっておりませんので、記載を省略しております。 c. 販売実績 販売実績は、次のとおりであります。なお、当社は、単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。 セグメントの名称   金額(千円)   前年比(%) 創薬事業   677,330   121.6 合計   677,330   121.6 (注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。 相手先   前事業年度(自 2023年10月1日 至 2024年9月30日)   当事業年度(自 2024年10月1日 至 2025年9月30日) 販売高(千円)   割合(%)   販売高(千円)   割合(%) Eli Lilly and Company   217,069   71.0   523,502   77.3 小野薬品工業㈱   47,666   15.6   109,999   16.2 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は提出日現在において判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 a 経営成績 経営成績につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。 b 財政状態 財政状態につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る事項 当社は、事業上必要な資金を手許資金で賄う方針でありますが、事業収益から得られる資金だけでなく、過去における増資資金及び株式公開における調達資金で賄う予定であります。資金の流動性については、資産効率を考慮しながら、現金及び現金同等物において確保を図っております。資金需要としては、企業価値を増加させるために、主に継続した研究開発や必要な設備投資等を予定しております。 キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積に用いた仮定 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、重要なものはありません。

EDINET提出の有価証券報告書から自動抽出。表は文字起こしのため崩れることがあります。

開示資料

出典

このページの財務・役員・株主等のデータは、金融庁EDINETに提出された開示書類から自動抽出しています。会計基準は JapanGAAP

リンク先はEDINET (金融庁) の書類閲覧ページです。

関連する企業

関連企業

本ページは公的開示と市場データに、群青で示した解釈を重ねて構成しています。財務・株価の数値は開示・市場データをそのまま表示し、AIには生成させていません。 AI評価 (割安判定・スコア) は解釈です — 詳しくは編集方針をご覧ください。