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超!企業DB
日経平均64,325.64-1,890NYダウ52,980.73+214ドル円158.84-1NASDAQ26,208.82+109S&P 5007,666.58+35SOX 指数11,332.81+449/2終値

リボミック

RIBOMIC Inc.4591 · Growth · 医薬品

アプタマー創薬に特化したバイオベンチャー。次世代核酸医薬の可能性を追求し、眼科と希少疾患を重点領域に開発を進める。

概要

リボミックはRNAアプタマー(核酸医薬)に特化した研究開発型のバイオベンチャーである。2003年に設立、2014年に東証マザーズ上場。独自のアプタマー創製プラットフォーム「RiboART System®」を基盤に、未だ有効な治療法のない疾患(Unmet Medical Needs)へ挑む。主力パイプラインは抗FGF2アプタマーRBM-007で、軟骨無形成症と滲出型加齢黄斑変性の治療を目指す。2025年度の事業収益は3百万円、従業員数25名。

創薬事業と創薬支援事業の二本柱

リボミックの事業は、自社で創製したアプタマー医薬品の臨床開発を行い製薬企業へのライセンス・アウトを通じて収益を得る創薬事業と、自社のアプタマー創製基盤技術を活用して製薬企業等との共同研究を実施する創薬支援事業の二軸で構成される。創薬事業では主力パイプラインRBM-007の開発を自社で推進し、創薬支援事業では味の素、大塚製薬、アステラス製薬、日産化学など10社以上の製薬企業との共同研究契約を締結している。2025年度の事業収益3百万円の大半はリードファーマとの共同研究収入である。

アプタマー創薬を支えるRiboART System®

同社の技術の中核は、独自のアプタマー創製プラットフォーム「RiboART System®」である。SELEX法を用いて標的タンパク質に特異的に結合するRNAアプタマーを選抜し、化学修飾やPEG化により医薬品としての特性を最適化する。抗体医薬に代わる次世代モダリティとして注目され、FGF2やAutotaxinなど多様な標的に対するアプタマーを創出する。東京大学との社会連携講座「RNA医科学」や北海道大学との共同研究を通じて技術基盤を強化している。

赤字継続ながら高い自己資本比率を維持

研究開発段階にあるリボミックは、毎年10億円前後の純損失を計上している。2025年度の事業収益は3百万円、営業損失は12億円、当期純損失は11億円で、研究開発費8億円が全費用の大半を占める。一方、新株予約権の行使などにより資金を調達し、2025年度末の現金及び預金は19億円、有価証券9億円を含む流動性資産を28億円保有する。自己資本比率は95.4%と高く、負債は1.4億円に留まる。

業界の中での役割はアプタマー創薬プラットフォームを持つ創薬ベンチャーにあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

売上高
0億円
営業利益
-12億円
純利益
-11億円
2026/3 通期の連結業績。決算の内訳は最新の決算以降にあります。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2026/3期)より

01製薬企業(ライセンス・アウト)主力

自社で創製したアプタマー医薬の研究開発を進め、製薬企業へのライセンス・アウトにより収益を得る事業。眼科疾患(滲出型加齢黄斑変性など)と希少疾患(軟骨無形成症など)を重点領域として、臨床開発を実施している。

主な製品・サービス3
umedaptanib pegol
抗FGF2アプタマー。軟骨無形成症と滲出型加齢黄斑変性の治療薬として臨床開発中。
RBM-006
抗オートタキシンアプタマー。増殖性硝子体網膜症などの網膜疾患治療薬として研究開発中。
RBM-011
抗IL-21アプタマー。肺動脈性肺高血圧症の治療薬を目指す。

02製薬企業等(共同研究)準主力

自社のアプタマー創薬基盤技術(RiboART System)を活用し、製薬企業や研究機関との共同研究により創薬を支援する事業。研究受託収入や契約一時金を早期に獲得する。

アプタマー創薬における独自のプラットフォーム技術

主な製品・サービス1
RiboART System
アプタマー創薬のための総合技術プラットフォーム。SELEX法による選抜から最適化までをカバーする。

製品と技術

主力パイプラインRBM-007:抗FGF2アプタマー

RBM-007(国際一般名umedaptanib pegol)は、線維芽細胞増殖因子2(FGF2)に結合してその作用を阻害するRNAアプタマーである。軟骨無形成症と滲出型加齢黄斑変性の2つで臨床開発が進められている。軟骨無形成症では第2相試験で身長伸展速度の改善が確認され、2026年に第3相試験が開始予定。滲出型加齢黄斑変性では米国で複数の第2相試験を実施し、瘢痕形成抑制効果が示唆された。2025年に軟骨無形成症治療薬として希少疾病用医薬品に指定された。

RBM-006:増殖性硝子体網膜症を標的とする抗Autotaxinアプタマー

RBM-006は、オートタキシン(Autotaxin)を標的とするアプタマーであり、増殖性硝子体網膜症(PVR)や糖尿病網膜症などの網膜疾患を対象とする。PVRは網膜剥離手術後に生じる重篤な合併症で、現時点で有効な医薬品は存在しない。ただし、2025年5月に日本大学との共同研究を終了しており、現時点では臨床試験には至っていない。同社のパイプラインの中で初期段階にある。

RiboART System®:アプタマーを創製する統合プラットフォーム

RiboART System®は、リボミックが保有するアプタマー創製のための統合プラットフォームである。標的タンパク質に対する高親和性RNAアプタマーを選抜するSELEX法の最適化、化学修飾による安定性向上、PEG化による体内動態改善などの技術モジュールから構成される。このプラットフォームを活用し、味の素、日産化学、リードファーマ、Sk Plasmaなどとの共同研究契約が進行中である。抗体では標的化が困難なタンパク質への適用が期待される。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

医薬品のなかでの位置

会社が挙げる強い分野

  • 製薬企業等(共同研究)アプタマー創薬における独自のプラットフォーム技術

有価証券報告書(2026/3期)で会社自身が述べている位置付けです。第三者による調査ではありません。

創薬ベンチャー、収益化遠く

医薬品セクターのバイオベンチャーで、収益はほぼゼロ。同業のVeritas In SilicoやChordia Therapeuticsなどと同様に研究開発段階であり、実用化・収益化には長い時間と資金が必要。現状では売上高が計上されておらず、営業利益も不明。財務基盤やパイプラインの進捗が不透明で、業界内でのポジションは極めて弱小。

強み

  • 独自の創薬技術により、アンメットメディカルニーズに応える可能性を有する。
  • 大手製薬企業との提携により、研究開発資金や販路を得る機会がある。
  • 知的財産を活用した競争優位性の構築が期待される。
  • 小規模組織ゆえの迅速な意思決定が可能。

課題

  • 現時点で売上ゼロ、開発失敗リスクが高く、投資回収の目途が立たない。
  • 研究開発費の増加に伴い、追加資金調達が必要となる可能性が高い。
  • 同業他社も類似の創薬パイプラインを有し、優位性が明確でない。

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

医薬品の時価総額近傍。太字がリボミック

時価総額で並べると、掲載11社のなかで5番目にあたる。

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は東証33業種の分類に従っています。

会社の歴史

沿革 36件

医薬品開発コンサルからアプタマー創薬へ転換した2005年

2003年8月、東京都板橋区に資本金1,000万円で設立。当初は医薬品開発のコンサルティングを目的としていた。2005年3月に本社を港区白金台に移転し、RNAアプタマーを利用した新規医薬品の開発を本格的に開始。同年6月には東京大学との共同研究契約を締結し、アプタマー創薬の研究基盤を築き始めた。設立から2年で事業の軸をコンサルから創薬へと大きく転換した。

特許ライセンスと大塚製薬との長期契約で広がった提携網

2006年、米Archemix社からSELEX法特許の非独占的ライセンスを取得し、アプタマー創製技術を確立。2007年には同社と抗Midkineアプタマーに関する独占的ライセンス契約を締結した。2008年には大塚製薬との長期共同研究契約を結び、開発候補アプタマーの創出と医薬品開発・販売を目指す体制を整えた。2011年には全薬工業への技術アドバイス契約、2014年には大正製薬や藤本製薬との契約を追加し、製薬企業との連携を拡大した。

東証マザーズ上場と自社パイプラインの臨床開始

2014年9月、東京証券取引所マザーズに株式を上場。上場後は自社開発を加速し、2017年にアステラス製薬との共同研究契約、大塚製薬との抗Midkineアプタマーライセンス契約を締結。同年8月には米国子会社RIBOMIC USA Inc.を設立し、グローバルな臨床開発拠点を確保した。2018年10月、主力候補RBM-007の滲出型加齢黄斑変性を対象とした米国での第1/2a相臨床試験を開始し、臨床段階に突入した。

アジア展開と軟骨無形成症への適応拡大

2020年3月、韓国AJU薬品との間でRBM-007の韓国・東南アジア地域における独占的開発権・販売権のライセンス契約を締結し、アジア展開を加速した。同年7月には軟骨無形成症を対象とする日本での第1相臨床試験を開始し、新たな適応症に挑戦。2021年2月にはあすか製薬との共同研究契約を結び、更なるパイプライン拡充を図った。2022年11月から軟骨無形成症の第2相観察試験を開始し、希少疾患領域への本格的な進出を果たした。

概念実証の達成と希少疾病用医薬品指定へ

2023年4月、軟骨無形成症の前期第2相臨床試験を開始。同年12月には長期投与試験に移行し、2025年9月に投与完了。第2相試験の統計解析結果では、年間身長伸展速度の変化量が平均+1.4cm/年と統計学的有意差が認められた。2025年5月、RBM-007が日本で希少疾病用医薬品に指定。2026年3月にはPMDAから第3相臨床試験の実施許諾を得て、2026年6月の最初の患者登録を目指している。

年表36件を開く

2000年代

  • 2003年8月創業医薬品開発のコンサルティング等を目的として、東京都板橋区に株式会社リボミックを設立(資本金1,000万円)
  • 2005年3月本社を東京都港区白金台に移転し、RNAアプタマーを利用した新規医薬品の開発を本格的に開始
  • 2005年6月国立大学法人東京大学とRNAアプタマー創薬に関する研究を目的とした共同研究契約を締結
  • 2006年10月米国Archemix Corp.(以下「アルケミックス社」という。)とIgGアプタマーの創製に関するSELEX法特許の非独占的ライセンス契約を締結
  • 2007年12月アルケミックス社と抗Midkineアプタマーの創製に関するSELEX法特許の独占的ライセンス契約を締結
  • 2008年1月大塚製薬株式会社と医薬品用途の開発候補アプタマーの創出とそれを用いた医薬品の開発・販売に関して長期共同研究契約を締結
  • 2008年6月アルケミックス社とリサーチライセンス・オプションに関する契約を締結

2010年代

  • 2011年2月全薬工業株式会社とRNAアプタマー創薬の技術アドバイスに関する契約を締結
  • 2012年4月東京大学医科学研究所に社会連携講座(「RNA医科学」社会連携研究部門)を設置
  • 2014年3月大正製薬株式会社とアプタマー新薬に関する共同研究契約を締結
  • 2014年4月藤本製薬株式会社と抗NGFアプタマーの独占的実施権の供与に関するライセンス契約を締結
  • 2014年9月上場東京証券取引所マザーズに株式を上場
  • 2017年3月アステラス製薬株式会社とアプタマー医薬品開発に関する共同研究契約を締結
  • 2017年5月大塚製薬株式会社と抗Midkineアプタマーの独占的実施権の供与に関するライセンス契約を締結
  • 2017年8月創業米国カリフォルニア州にRIBOMIC USA Inc.を設立
  • 2018年10月滲出型加齢黄斑変性を対象疾患とするRBM-007の米国における第1/2a相臨床試験を開始
  • 2019年1月ビタミンC60バイオリサーチ株式会社とアプタマー技術を活用した化粧品原料開発に関する共同研究開発契約を締結
  • 2019年12月滲出型加齢黄斑変性を対象疾患とするRBM-007の米国における第2相臨床試験を開始

2020年代

  • 2020年3月韓国AJU薬品株式会社との間で、RBM-007の韓国・東南アジア地域における滲出型加齢黄斑変性を適応疾患とする独占的開発権並びに販売権の供与に関するライセンス契約を締結
  • 2020年7月軟骨無形成症を対象疾患とするRBM-007の日本における第1相臨床試験を開始
  • 2020年10月滲出型加齢黄斑変性を対象疾患とするRBM-007の米国での第2相臨床試験の延長試験を開始
  • 2021年2月あすか製薬株式会社との共同研究に関する共同研究開発契約を締結
  • 2021年7月滲出型加齢黄斑変性を対象疾患とするRBM-007の米国での医師主導治験を開始
  • 2022年11月軟骨無形成症を対象疾患とした前期第2相試験実施のための観察試験開始
  • 2023年4月軟骨無形成症を対象疾患とした前期第2相臨床試験開始
  • 2023年9月学校法人慈恵大学と光免疫療法に関する共同研究契約を締結
  • 2023年10月北海道大学とのANCA関連血管炎に関する共同研究契約を締結
  • 2023年10月味の素株式会社と次世代型アプタマー医薬品に関する共同研究契約を締結
  • 2023年12月軟骨無形成症を対象疾患とした前期第2相長期投与試験開始
  • 2024年7月東京大学と眼科疾患に関する共同研究契約を締結
  • 2025年4月軟骨無形成症治療薬候補RBM-007が日本における希少疾病用医薬品に指定(ODD)
  • 2025年12月学校法人慈恵大学・学校法人関西医科大学と光免疫療法に関する3者間契約を締結
  • 2025年12月リードファーマ株式会社とアプタマーを利用した中枢神経疾患治療薬の創出に関する共同研究契約を締結
  • 2026年3月日産化学株式会社とDDS技術に関する共同研究契約を締結
  • 2026年4月Sk Plasma Co., Ltd.とアプタマー薬物複合体に関する共同研究契約を締結
  • 2026年4月軟骨無形成症を対象疾患とするRBM-007の日本における第3相臨床試験開始許諾(PMDA)

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2026/3期の経営方針より

会社は5つの方針を掲げている。有価証券報告書には具体的な数値目標の記載がない。

  1. 01

    自社治験の推進とパイプライン開発

    umedaptanib pegolの滲出型加齢黄斑変性および軟骨無形成症を対象とした臨床試験を自社で実施し、第3相試験の治験許可を取得。2026年6月の患者登録開始を目指す。

  2. 02

    自社パイプラインの充実と質の高いデータ構築

    大手製薬企業の重点領域や医療ニーズを調査し、最適な創薬ターゲットと適応疾患を選定。経営資源集中のため、一定期間後の評価・選別も行う。

  3. 03

    新規アプタマー創薬技術の開発

    次世代シークエンサーやAIを用いたアプタマー探索技術、細胞内取り込み可能なアプタマー、脳内標的化DDS用アプタマーなど、革新的技術の開発を推進。

  4. 04

    ライセンス・パートナリング活動の強化

    臨床ステージや非臨床完了パイプラインの導出に注力。国内外の製薬企業への営業活動や学会発表を通じて技術と製品をアピールする。

  5. 05

    共同研究の推進と新規提携獲得

    大手製薬企業との共同研究で安定的収益源を確保し、アプタマー創薬スキル向上を図る。他ベンチャーやアカデミアとの協力で新規技術獲得も目指す。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 10期分

グループ全体で25人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は709万円で、9期前と比べて+17.4%平均年齢は41.6歳、平均勤続年数は6.5年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数一人当たり営業利益万円
2017年3月20
2018年3月21
2019年3月60440.55.621
2020年3月59142.36.122
2021年3月66543.06.825
2022年3月70142.65.426
2023年3月71342.66.225
2024年3月69341.25.524
2025年3月70541.65.625−4,400
2026年3月70941.66.525−4,800

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

拠点とグループ

設備と関係会社

関係会社1(国内 1 / 海外 0) を有報から抽出しています。

主要な設備 (帳簿価額 上位1)
本社 — 東京都港区0百万円
主な関係会社
  • 国内
    大塚製薬株式会社
    東京都千代田区
    議決権22.7%
公共調達・補助金 (gBizINFO)
  • 調達
    量子・AIハイブリッド技術のサイバ-・フィジカル開発事業量子・AIアプリケーション開発・実証量子・AI次世代創薬
    国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 · 2023-08-22
    1,950万円

出典: gBizINFO (経済産業省)

業績のいま

有価証券報告書・決算短信より

2026年3月期の売上高は0億円営業利益-12億円

売上高
0億円
営業利益
-12億円
純利益
-11億円

会社が出している今期の予想2027年3月期

項目会社予想前期実績
売上高0億円0億円
営業利益-15億円-12億円
純利益-15億円-11億円
1株あたり配当¥0¥0

会社が決算短信で公表した予想です。証券会社の予想ではありません。 短信の原本

四半期の推移

10期分

直近は2027年1Qで、売上は0億円、営業利益は−3億円。

対象期間売上高億円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2022年3Q0−3−3
2022年4Q1−6
2023年1Q0−6−6
2023年2Q0−3−3
2023年3Q0−6−6
2023年4Q1−2
2025年2Q0−5−5
2025年4Q0−6−5
2026年4Q0−7−6
2027年1Q0−3−3

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。

業績の推移

有価証券報告書 14期分

2013年3月期からの14期で、売上は2億円から0億円へ0%に減った。

決算期売上高億円営業利益億円経常利益億円営業利益率%純利益億円
2013年3月2−3−3
東京証券取引所マザーズに株式を上場
2014年3月2−2−2
2015年3月500
2016年3月1−3−3
米国カリフォルニア州にRIBOMIC USA Inc.を設立
2017年3月1−7−6
2018年3月1−8−8
2019年3月0−8−8
2020年3月1−9−9
2021年3月1−12−12
2022年3月1−16−17
2023年3月1−16−17
2024年3月−10−10
2025年3月0−11−10−10
2026年3月0−12−11−11

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。空欄の期は有価証券報告書からその項目の数値が取れていません(0ではありません)。

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 14期分

2026年3月期は営業CFが−11億円、投資CFが3億円で、差し引きのフリーCFは−8億円この組み合わせは立て直し型にあたる。本業の赤字を資産売却と資金調達で補っている。事業転換の途上期末の手元現金は19億円

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2013年3月−2−1−34
2014年3月−210−13
2015年3月1−1329−1220
2016年3月−3−141−174
2017年3月−760−14
2018年3月−7105312
2019年3月−8−411−1210
2020年3月−965−312
2021年3月−11−1750−2833
2022年3月−1574−829
2023年3月−17313−1428
2024年3月−920−721
2025年3月−1017−918
2026年3月−1139−819

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 14期分

2026年3月期の総資産は30億円。このうち返さなくてよい自己資本が28億円で、自己資本比率は95.4%(業種中央値69.9%より厚い)

決算期総資産億円自己資本億円負債億円自己資本比率%
2013年3月66093.7
2014年3月54171.9
2015年3月3433195.4
2016年3月3230295.5
2017年3月2524197.7
2018年3月2322195.6
2019年3月26151157.7
2020年3月2322195.3
2021年3月6160198.1
2022年3月5047394.7
2023年3月4644295.7
2024年3月3534195.5
2025年3月3230195.5
2026年3月3028195.4

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2026年3月期の内訳単体ベース
現金及び預金
19億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
-32億円
過去の利益の積み上がり
負債合計
1億円
いつか返す必要があるお金

業界内での比較

医薬品 79社との比較

同じ医薬品の企業と並べると、いちばん上に来るのは自己資本比率79社中3位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
/中央値 5.9%
P25 2.0%P75 11.0%
営業利益率売上のうち本業の利益として残る割合
/中央値 2.9%
P25 -162.5%P75 11.5%
自己資本比率上位総資産のうち返済のいらないお金の割合
95.4%/中央値 69.9%
P25 53.4%P75 84.5%
売上成長率前期からの売上の伸び
/中央値 2.8%
P25 -1.3%P75 12.0%
配当利回り株価に対して1年で受け取る配当の割合
/中央値 2.9%
P25 2.3%P75 3.5%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月2日の終値

直近の終値は¥88で、1年前と比べて-22.1%過去52週の値幅のなかでは49%の位置にある。

¥88-4.3%1ヶ月+20.5%1年-22.1%時価総額48億円
過去52週の値幅
安値¥57高値¥120

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標
PBR1.81倍

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

株価は8月20日に83円と前日比+6.41%と上昇し、直近1ヶ月で+10.67%と上昇基調にあります。25日線(75円)を約10%上回り、75日線(71円)も上抜けています。ただし52週高値120円からは約31%下の水準であり、戻り相場の途上と見られます。出来高は直近で72万株と増加しており、買い意欲が示されています。RSIは78.3とやや過熱感が出ており、上値追いには注意が必要です。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

開発パイプラインの進捗と導出契約の成否が最大の争点。強気派は新規モダリティへの期待と導出先の開拓を評価するが、弱気派は収益化までの不確実性と継続的な資金調達リスクを懸念する。

プラスに働く材料3
  • 独自技術への期待

    核酸医薬分野でユニークなプラットフォームを保有。

  • 導出による収益機会

    製薬企業との提携でマイルストン収入の可能性。

  • 開発費の抑制姿勢

    比較的低コストで研究開発を進めている。

マイナスに働く材料3
  • 収益化の不確実性

    現時点で上市薬がなく、売上はほぼゼロ。

  • 継続的な赤字

    直近3期連続で10億円超の最終赤字。

  • 資金調達リスク

    時価総額40億円と小さく、追加調達が必要な局面。

次の決算で確かめる点
パイプライン進捗
開発の成功確率を測る最も重要な指標。
導出契約額
収益化の実現性と規模感を示す。
現金預金残高
資金繰りの安全性を確認するために必須。

株主

有価証券報告書より

2026年3月期末の株主数は延べ23,366人。区分でいちばん多いのは個人・その他82.8%。グループ会社や銀行などの安定株主が2.7%を占め、残る97.3%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2021年3月%2022年3月%2023年3月%2024年3月%2025年3月%2026年3月%
個人・その他69.179.378.585.977.482.8
証券会社7.013.813.28.513.07.0
外国法人2.51.71.61.25.86.9
事業法人20.14.04.03.42.82.3
外国人個人0.20.20.30.40.40.6
金融機関1.10.82.40.50.70.4
自己株式0.00.10.10.0

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01BNP PARIBAS LONDON BRANCH FOR PRIME BROKERAGE CLEARANCE ACC FOR THIRD PARTY (常任代理人 香港上海銀行東京支店)2.82
02BNY GCM CLIENT ACCOUNT JPRD AC ISG(FE-AC)(常任代理人 株式会社三菱UFJ銀行)1.83
03松井証券株式会社1.57
04UBS AG LONDON A/C IPB SEGREGATED CLIENT ACCOUNT (常任代理人 シティバンク、エヌ・エイ東京支店)1.16
05大和証券株式会社1.10
06全薬工業株式会社1.06
07中村 義一1.05
08楽天証券株式会社共有口1.00
09湯浅 英之0.92
10株式会社SBI証券0.73

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

大量保有報告の動き
5%超の保有者の提出ベース 直近5
  • 2026-06-22
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    28.68%
    -0.61pt
  • 2026-06-03
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    29.29%
    -1.06pt
  • 2026-05-13
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    30.35%
    -0.48pt
  • 2026-04-24
    エボ ファンド(Evo Fund)
    変更報告
    30.79%
    -0.04pt
  • 2026-04-21
    エボ ファンド(Evo Fund)
    新規の大量保有報告
    30.79%
    -0.04pt

提出があった時点の記録です。その後5%を割った保有者が一覧に残ることがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 14期分

1株利益は14期で+13%、1株純資産は14期で−3%。直近期のROEは0.6%で、日本株の目安とされる8%を下回る。

決算期EPSBPS
2013年3月−2654
2014年3月−2033
2015年3月1254
2016年3月−25231
2017年3月−49183
2018年3月−56157
2019年3月−58103
2020年3月−54123
2021年3月−46215
2022年3月−60164
2023年3月−53123
2024年3月−2994
2025年3月−2568
2026年3月−2352

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安

経営陣

11名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は11名。2026/3期の役員報酬は総額127百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約4倍にあたる。

氏名役職年齢保有株数
中村義一代表取締役 社長兼事業推進本部長78568,000
大岩久人取締役 執行役員 管理本部長68
安達健朗取締役 執行役員 研究開発本部長393,300
西畑利明取締役77
松藤千弥取締役6840,000
藤原俊伸取締役53
五十嵐章之監査役(常勤)69
矢部豊監査役83
藤井康弘監査役48
山本守取締役(監査等委員)70
貝阿彌誠取締役(監査等委員)74

役員報酬の内訳2026/3

役員の区分人数固定報酬百万円合計百万円1人あたり百万円
取締役(社内)3818127
社外取締役646468

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2026/3期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容27,314字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3【事業の内容】 当社は、抗体に継ぐ次世代新薬として期待されているアプタマー(核酸医薬の一種)に特化して医薬品の研究開発を行うバイオベンチャーです。当社は、アプタマー創製に関する総合的な技術や知識、経験、ノウハウ等からなる創薬プラットフォームである当社独自の「RiboART SystemⓇ」を活用して、革新的なアプタマー医薬の研究開発(「アプタマー創薬」)を行っております。 当社の企業理念は「Unmet Medical Needs(未だに満足すべき治療法のない疾患領域の医療ニーズ)に応えること」であり、眼科疾患と希少疾患を重点領域と定め当事業年度においても様々な取り組みを進めてまいりました。 その具体的な進捗を下記に要約いたします。 (1)当事業年度の主要なトピックス 創薬事業 創薬事業では、当社が自社で創製した医薬品の研究開発を行い、製薬企業等へのライセンス・アウトを通じた収 益獲得を目指しております。現在、umedaptanib pegolの開発が最も進んでおり、当社創薬事業の中核の医薬品と しての開発を進めております。 ①「umedaptanib pegol」(抗FGF2アプタマー、RBM-007の国際一般名)による臨床開発の狙い 当社では、自社で創製したumedaptanib pegol(FGF2に結合し、その作用を阻害するアプタマー)を、自社での臨床開発のテーマに選び、「軟骨無形成症(Achondroplasia、ACH)」と「滲出型加齢黄斑変性(Wet Age-related Macular Degeneration、wet AMD)」の治療薬としての開発を進めております。 ②開発状況、及び既存治療法との比較 (ⅰ)軟骨無形成症(ACH) ・臨床試験の進捗 ACHに関するプロジェクトは、2021年度から3年間、国立研究開発法人日本医療研究開発機構()の希少疾病用医薬品指定前支援事業として助成を受け、ACHの小児患者(5~14歳)における、身長の伸びを含む臨床的基礎データの取得と第2相臨床試験の被験者選定を目的とした第2相観察試験、及びumedaptanib pegolを26週投与した場合の有効性と安全性を探索的に評価する第2相臨床試験、及びumedaptanib pegolを長期投与した場合の有効性と安全性を評価する第2相長期投与試験の3つの臨床試験を実施いたしました。 第2相観察試験については、2022年11月に患者の登録を開始し、東京、岡山及び関西地区の8施設で13名の患者を組み入れ、2024年12月に最終症例の観察期間が完了しました。さらに、第2相臨床試験については、2023年4月に投与を開始、コホート1(低用量群、6名、1回/週の0.3mg/kg皮下投与、26週)とコホート2(高用量群、6名、1回/2週の0.6mg/kg皮下投与、26週)の2群に分けて実施し、2025年9月に投与が完了いたしました。 また、2026年3月、第2相臨床試験の統計解析が完了し、その結果の概要は下記の通り。 ・試験結果の概要 ● 主要評価項目である年間身長伸展速度について、途中休薬のあった1名を除き、コホート1の投与完了5名及びコホート2の投与完了6名の計11名を解析対象として評価した結果、投与開始前(観察期間)と比較した投与後の年間身長伸展速度の変化量(ΔAHV)の平均は+1.4cm/年となり、探索的解析として統計学的有意差が認められた(p=0.04) ● コホート1では5名中3名で、コホート2では6名中5名で治療後のΔAHVの変化量が投与開始前のΔAHVよりも増加した。うち4名のΔAHVは+2.0、+3.3、+4,6、+5.0cm/年と顕著な増加を示した。これらΔAHVの増加は、同一条件での長期投与試験においても継続している。 ● ボックスゾゴⓇ投与歴のある被験者においてもΔAHVの改善が観察された(3名中2名)。 ● 副次評価項目として身長Zスコア、血清中骨代謝マーカー、体格検査(頭囲、腹囲、上腕長、前腕長、大腿長、下腿長及びアームスパン)、及び身体の体型バランスを探索的に評価した結果、本試験の範囲では有効性を示唆する一貫した傾向は観察されなかった。また、骨年齢、大腿骨成長板の形成状態、臨床所見に基づく肘関節及び股関節の所見、及びタナー発達分類においては、次試験に進む上での障害となる事象は観察されなかった。 ● 本薬剤との関連性有と判定された有害事象として、注射部位の疼痛(1例)、注射部位の腫脹(1例)、頭痛(1例)、関節痛(1例)、及び知覚過敏(1例)が発生したが、いずれも短期間かつ軽微であり、これら以外で治験中止に至る重篤な有害事象は観察されなかった。 以上の結果から、umedaptanib pegolの第2相臨床試験において、有効性が確認されるとともに、安全性についても開発継続の観点から重要な治験が得られました。これらは、ACH治療薬としての概念実証(Proof of ConceptPOC)を支持するもので、詳細解析の結果は、医学専門誌に論文掲載する予定です。 なお、第2相臨床試験を完了した12名のうち11名は、同一投与条件の第2相長期投与試験に移行しており、現在は8名に対して継続して被験薬の有効性及び安全性を評価しており、これまでにumedaptanib pegolを投与したACH小児患者において、安全性に関する懸念は発生しておりません。 また、コホート1での結果に基づいて、厚生労働省に対して、希少疾病用医薬品指定(ODD)申請を行い、2025年5月に指定承認されました。これに伴い、国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBN)に対して、助成金の交付申請を行い、今年度助成される金額は39,160千円となりました。 2026年3月、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)に対し、第3相臨床試験(2~14歳の小児患者16名、1回/週の1mg/kg皮下投与、単剤試験、52週)の治験申請を提出し、実施許諾を得ました。 現在、第3相臨床試験に向けて施設との契約手続き等を進めております。2026年6月に最初の患者登録を見込んでおります。 ・ACHの既存治療法と課題 ACHは四肢短縮による低身長を主な症状とする希少疾患で、厚生労働省から難病指定を受けております。 umedaptanib pegolは疾患モデルマウスを利用した実験で、体長の短縮を約50%回復する効果を示しました。さらに、軟骨細胞への分化誘導が欠損していることが知られているACH患者由来のiPS細胞(人工多能性幹細胞)について、umedaptanib pegol存在下で、その分化誘導が回復することも確認いたしました(非臨床POC獲得)※1。本邦ではこれまで治療薬として成長ホルモンが使用されてきましたが、その効果は十分とは言えず、骨延長術(足の骨を切断して引き離した状態で固定し、骨の形成を促す)といった非常に厳しい治療が幼い子供に施されることもあり、効果の高い新薬が待ち望まれていました。 ようやく、2022年6月にACH治療薬としてBioMarin社のボックスゾゴⓇの製造販売が承認されました。しかし、その効果は十分とは言えず、毎日の投与が必要となっているため、小児のACH患者にとって、もっと効果が強く、皮下注射の間隔が長く取れる新薬の開発が望まれています。 ※1:Kimura T, Bosakova M, Nonaka Y, et al.: RNA aptamer restores defective bone growth in FGFR3-related skeletal dysplasia. Sci. Transl. Med., 13, eaba4226 (2021) (ⅱ)滲出型加齢黄斑変性(wet AMD) ・臨床試験 umedaptanib pegolの複数回投与による臨床POC獲得を目的とした第2相臨床試験(試験略称名:TOFU試験)を米国で実施いたしました(被験者86名)。TOFU試験は、標準治療の抗VEGF治療歴のあるwet AMD患者を対象に、①umedaptanib pegolの硝子体内注射による単剤投与群、②既存の抗VEGF薬であるaflibercept(商品名アイリーアⓇ)とumedaptanib pegolの硝子体内注射による併用投与群、及び③afliberceptの硝子体内注射による単剤投与群の3群間で、umedaptanib pegolの有効性及び安全性をafliberceptと比較評価する、無作為化二重盲検試験でした。 また、TOFU試験の進捗に基づき、長期投与に伴う本薬剤の有効性と安全性、及び瘢痕形成を含む網膜の構造異常に対する効果を評価する目的で、umedaptanib pegolを単剤で投与するオープン試験としてのTOFU試験の延長試験(試験略称名:RAMEN試験)を行いました。RAMEN試験では、TOFU試験を完了した22名の被験者に対して、追加のumedaptanib pegolの硝子体内投与を1ヶ月間隔で計4回行いました。 さらに、治療歴のないwet AMD患者を対象にumedaptanib pegolの単独投与の有効性及び安全性を評価することを目的に、米国で医師主導治験(試験略称名:TEMPURA試験)を実施いたしました(被験者5名)。 これらの結果は、英国王立眼科学会誌Eyeに2報の論文として掲載されました※2,3。 その要約は以下のとおりです。 [論文要点] ・いずれの試験においても、umedaptanib pegolによる安全性に関する問題は発生しなかった。 ・治療歴のないwet AMD患者においては、umedaptanib pegolの投与により、劇的な治癒例を含め、視力や網膜厚の 改善が確認された(TEMPURA試験)。 ・抗VEGF標準治療歴のあるwet AMD患者においては、umedaptanib pegol単剤投与、及びumedaptanib pegolとafliberceptの併用投与において、aflibercept単剤投与を上回る臨床有効性は観察されなかったものの、umedaptanib pegolの効果はafliberceptに対して非劣勢であり、症状の進行抑制が確認された(TOFU試験)。 ・すべての試験を通じ、umedaptanib pegolはすでに形成された瘢痕(線維化)を除去する作用はなかったものの、瘢痕形成を抑制する効果が確認された。 [今後の開発方針] 現在標準治療となっている抗VEGF薬には、瘢痕化抑制作用がないため、既存療法の大きな Unmet Medical Needsになっています。そのため、今後、umedaptanib pegolを用いた未治療のwet AMD患者に対する臨床試験において瘢痕化抑制効果を証明することができれば、既存療法との重要な差別化ポイントとなり、“first-line”の新薬の実現に近づくものと考えます。そのため、他企業との提携・ファンド等からの資金調達を含めて検討してまいります。 ※2:Pereira DS, Akita K, et al: Safety and tolerability of intravitreal umedaptanib pegol (anti-FGF2) for neovascular age-related macular degeneration (nAMD): a phase 1, open label study. Eye, 2024 Apr;38(6):1149-1154. ※3:Pereira DS, Maturi RK, et al.: Clinical proof of concept for anti-FGF2 therapy in exudative age-related macular degeneration (nAMD): phase 2 trials in treatment-naïve and anti-VEGF pretreated patients.Eye, 2024 Apr;38(6):1140-1148. (ⅲ)眼科領域における適応疾患の拡大 umedaptanib pegolのwet AMD臨床試験におけるPOCを獲得していることから、本剤が他の未だ治療法のない眼科疾患に対して有効であることが動物実験で示されれば、umedaptanib pegolの適応拡大として速やかに臨床試験が可能となります。その観点から、日本大学とumedaptanib pegolのPVR(後述③RBM-006(抗Autotaxin(オートタキシン)アプタマー、増殖性硝子体網膜症(PVR)等の網膜疾患)への適応拡大を目的とした共同研究を実施しておりましたが、臨床病態に近い有効な動物モデルの確立に至る事が出来ず、2025年5月31日にて共同研究を終了しております。 umedaptanib pegolに関しては別途複数の眼科疾患モデルを用いて薬理試験を継続中であり、糖尿病網膜症(DR)モデルを用いた薬理試験において、umedaptanib pegolを投与した際に、眼底出血の発生が有意に抑制されることが確認されました。これはumedaptanib pegolが血管安定化作用を有し、糖尿病網膜症の進行を抑える効果があることを示唆するものであり、糖尿病網膜症の主要な合併症である糖尿病黄斑浮腫に対しても有効性を示す可能性が考えられることから、当社は糖尿病黄斑浮腫への展開も含めて様々な可能性を検討しております。 なお、umedaptanib pegolの糖尿病網膜症に対する用途特許を2025年9月に特許出願しております。 ③RBM-006(抗Autotaxin(オートタキシン)アプタマー、増殖性硝子体網膜症(PVR)等の網膜疾患) RBM-006が対象とする増殖性硝子体網膜症は、網膜剥離や糖尿病網膜症の放置、網膜剥離の手術によって併発する網膜疾患です。多種の細胞が網膜表面や網膜内、硝子体腔内で増殖膜を形成し、当該増殖膜が収縮することによって網膜に皺壁(しゅうへき)形成や牽引性網膜剥離が生じ、重篤な視力障害や失明に至ります。硝子体手術などの治療によっても重篤な視力障害や失明に至る事が多く、また現在のところ有効な医薬品は存在しません。 当社は、日本大学医学部視覚科学分野・長岡泰司教授(現 旭川医科大学教授)との共同研究において、ブタPVRモデルにおける抗オートタキシンアプタマーの効果を検討した結果、当該アプタマーが網膜細胞の増殖を抑制すること、及び当該モデルにおける増殖膜の形成を抑制し網膜剥離を抑制する効果があることが明らかになり、その成果が学術誌International Journal of Molecular Sciencesに掲載されました※4。 Autotaxinは様々な生理機能を有する脂質メディエーターであるLPA(リゾホスファチジン酸)を産生する重要な酵素で、その機能異常は多くの疾患につながることが知られています。中でも、眼科疾患においては、緑内障、滲出型加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、硝子体網膜症等の発症に関与することが示唆されており、当社はアプタマーを用いて、これらの眼科疾患に対する新規治療薬の開発を目指しております。 その取り組みの中で、umedaptanib pegolと同一の糖尿病網膜症(DR)モデルを用いた薬理試験において、眼底出血の発生が有意に抑制されることが確認されました。これはRBM-006が血管安定化作用を有し、糖尿病網膜症の進行を抑える効果があることを強く示唆するものであります。 以上の動物試験から、umedaptanib pegolとRBM-006の2剤において、糖尿病網膜症に対して有効性が示唆されており、今後その開発優先度については、総合的な評価に基づき判断してまいります。 また、RBM-006については、既存の抗オートタキシンアプタマーの活性を凌駕し、かつ鎖長も短い新規抗オートタキシンアプタマーの創製に成功したことから、2026年1月、新規物質特許の出願をしております。 ※4:Hanazaki H, Yokota H, et al.: The effect of anti-autotaxin aptamers on the development of proliferative vitreoretinopathy. Int. J. Mol. Sci. 24, 15926 (2023). ④RBM-011(抗IL-21(インターロイキン21)アプタマー、肺動脈性肺高血圧症) RBM-011が対象とする肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、難病に指定されている病気であり、肺動脈壁が肥厚して血管の狭窄が進行した結果、高血圧をきたして全身への血液や酸素の供給に障害が生じ、最終的には心不全から死に至ることのある重篤な疾患です。 当社は、国立研究開発法人国立循環器病研究センター(国循)との共同研究として、AMEDの支援のもと、抗IL-21アプタマーを用いたPAH治療薬の開発を実施してきました。その結果、抗IL-21アプタマーがPAHモデル動物において、肺動脈壁の肥厚を顕著に抑制することが明らかになり、2020年6月に特許出願をしております。その後、当該特許は、2025年12月に日本において、2026年3月に米国において査定を受けております。 また、原薬合成を終え、毒性試験も完了して、第1相臨床試験が実施可能な準備が完了しており、導出に向け事業開発活動を実施しております。 創薬支援事業 創薬支援事業では、当社が保有するアプタマー創薬基盤技術を活用し、製薬企業等との共同研究を通じて創薬活動を支援しております。共同研究により得られた研究成果やノウハウを基に、創薬支援技術の高度化及び提供領域の拡大を図るとともに、研究受託収入や契約一時金等の獲得を通じた早期の収益化を目指しております。 ①共同研究契約に基づく取り組み 共同研究契約に基づく取り組みとしては、当社の創薬基盤技術を活用し、製薬企業等と共働して医薬品創製に向け研究開発を進めており、現在、3件の共同研究プロジェクトが進行しております。 a)リードファーマ株式会社との共同研究 リードファーマ株式会社は、中枢神経系疾患領域における医薬品研究開発に強みを有する創薬企業です。当社は同社と、中枢神経系疾患を対象とした新規治療薬の創出を目的として、当社の創薬基盤技術を活用した共同研究を実施しております。 本共同研究では、中枢神経系疾患における創薬研究を進める上で重要となる中枢領域への薬剤送達や創薬標的への作用最適化等の課題に対し、当社の創薬基盤技術とリードファーマ株式会社の当該分野における知見・研究実績を組み合わせることで、その解決を図っております。両社の技術的強みを相互に活かしながら研究開発を進めることにより、将来的な医薬品開発につながる研究成果の創出を目指しております。 b)日産化学株式会社との共同研究 日産化学株式会社は、化学分野を基盤としてヘルスケア分野においても研究開発を展開し、核酸創薬に関する独自の技術基盤を有する企業です。当社は同社と、当社が保有する創薬基盤技術を日産化学株式会社の核酸関連技術に適用することにより、新たな創薬基盤の構築を目指す共同研究を実施しております。 本共同研究では、当社創薬基盤技術の有用性評価および核酸医薬分野への応用可能性について検討を進めており、両社がそれぞれ有する技術的強みを組み合わせることで、将来的な医薬品創出につながる基盤技術の確立を目指しております。基礎的な研究段階を中心とした評価・検討を行っておりますが、得られた知見を踏まえ、今後の研究展開の拡張や適応拡大についても検討していく方針です。 c)SK Plasma Co.,Ltd.との共同研究 SK Plasma Co.,Ltd.は、韓国のバイオ医薬品企業であり、血漿分画製剤を中心に医薬品の研究開発、製造および販売を行っている企業です。当社は同社と、当社が保有する創薬基盤技術を活用し、アプタマーを医薬関連成分と組み合わせた新たな創薬アプローチの可能性を検討することを目的とした共同研究を実施しております。 本共同研究では、SK Plasma Co.,Ltd.が研究開発する薬物と当社のアプタマー技術を組み合わせた複合体の創出に取り組み、当該複合体が有する特性や応用可能性について評価を進めております。両社がこれまでに蓄積してきた研究開発に関する知見を活用することで、将来的な医薬品開発につながる研究成果の創出を目指しております。 d)三菱商事ライフサイエンス株式会社との共同研究 三菱商事ライフサイエンス株式会社(旧:ビタミンC60バイオリサーチ株式会社)は、食品原料、健康素材、化粧品原薬などのライフサイエンス事業を展開する三菱商事のグループ会社で、フラーレンを化粧品原料として製造販売する世界で唯一のメーカーです。 本共同研究では、との共同研究開発契約に基づき、化粧品原料候補の創製・開発を目的とした共同研究を実施してきました。 その結果、紫外線やストレスなどが引き金となり過剰分泌されることでシワ形成やたるみを引き起こす原因となる可能性がある、免疫系の重要な細胞である好中球から分泌されるエラスターゼ(タンパク質分解酵素)を阻害するアプタマー(抗好中球エラスターゼアプタマー)の創製・開発に成功しており、日本国特許庁に対して、2025年1月に共同で特許出願をいたしました。このような成果を踏まえ、本共同研究に一つの区切りがついたと考えられ、2026年3月契約を終了しております。なお、先方とは引き続き共同出願特許の取り扱い及び権利活用の方針(第三者へのライセンス許諾等を含む)について、検討を進めております。 ②業務委託契約等に基づく取り組み 業務委託契約等に基づく取組としては、当社の創薬基盤技術の有用性評価および応用可能性の検討を目的として、製薬企業等に対する材料提供や技術情報の共有を行っております。これらの取組には、国内製薬企業を含む複数の企業が提携候補先として含まれており、当社技術の評価を通じて、将来的な共同研究契約への発展を見据えた関係構築を進めております。なお、個別の相手先および取組内容の詳細については、機密保持の観点から開示しておりません。 基盤技術研究 当社は、創薬事業及び創薬支援事業の双方を支える共通基盤として、創薬基盤技術の研究開発に取り組んでおります。これらの基盤技術は、自社創薬パイプラインの創出及び価値向上に資するだけでなく、製薬企業等との共同研究や技術提供を通じた創薬支援事業の展開にも活用されております。当社は、基盤技術の継続的な高度化を図る事で、両事業の競争力強化及び中長期的な価値向上を目指しております。 ①DDSアプタマー技術 DDS(Drug Delivery System)とは、薬剤の体内動態や分布を制御することで、有効性を高めるとともに、副作用や投与負担を軽減する技術であり、核酸医薬品をはじめとする次世代モダリティの実用化に不可欠な要素です。特に、薬剤を特定の組織へ選択的に送達する技術の重要性が高まる中、アプタマーは高い結合特異性と化学的安定性を有し、さらに化学合成による高い設計自由度を備えています。これらの特性を活かし、アプタマーを標的組織を認識するセンサーとして用いることで、さまざまな薬剤を狙った臓器へ送達するDDSの創出が期待されます。 (ⅰ)光免疫療法への応用 当社は、2023年9月に慈恵大学と共同研究を開始し、アプタマーの光免疫療法への応用について培養細胞試験で有望な成果を得ました。これを受け、2025年12月には関西医科大学を加えた三社連携体制を構築し、動物試験を含む研究を加速しております。 (ⅱ)siRNA核酸デリバリーへの応用 東京大学及び早稲田大学との共同研究により、デングウイルス膜タンパク質に結合するアプタマーとsiRNAを融合したキメラ核酸を開発いたしました。本分子は複数血清型に対し増殖抑制効果を示し、2024年12月に学術誌へ成果を報告しております。※5 (ⅲ)アプタマー修飾ナノ粒子への応用 当社は、アプタマーの高い標的結合能を活用し、LNP表面に修飾することで送達指向性を付与したDDS技術を開発いたしました。脳などへの核酸送達を可能とする本技術について、2025年6月に特許出願し、学会発表も行っております。 ※5:Amano R, Takahashi M, et al.: A chimeric RNA consisting of siRNA and aptamer for inhibiting dengue virus replication. NAR Molecular Medicine. 1(4):ugae025 (2024). ②AIアプタマー技術 当社は、早稲田大学と共同で、バイオインフォマティクス及びAIを活用したアプタマー創薬基盤技術の開発を推進してきました。HT SELEXデータを解析するアプタマー選抜技術「RaptRanker」を開発し※6、さらに深層学習を用いた配列生成技術「RaptGen」により、既存データに含まれない新規高親和性配列の創出を可能としました※7。近年は大規模言語モデルを活用した結合活性予測技術「RaptScore」を確立し、任意配列の評価や最適化を可能としています※8。また、量子計算とAIを融合した技術を活用し、核酸配列最適化を題材とした次世代創薬基盤の確立に取り組んでいます。これらの技術は当社創薬基盤への統合を進めており、研究開発効率の向上に寄与しています。 ※6:Ishida R, Adachi T, et al.: RaptRanker: in silico RNA aptamer selection from HT-SELEX experiment based on local sequence and structure information. Nucl. Acids. Res., 48, e82 (2020). ※7:Iwano N, Adachi T, et al.: Generative aptamer discovery using RaptGen. Nat. Comput. Sci., 2, 378–386 (2022). ※8:Kimura-Yamazaki A, Adachi T, Nakamura S, Nakamura Y, Hamada M: RaptScore: a large languagemodel-based algorithm for versatile aptamer evaluation. Nucleic Acids Research, Volume 54, Issue2, 27 January 2026, gkaf1480 (2026). ③製剤化技術開発 当社は、アプタマーとポリエチルオキサゾリン(PEOZ)とのコンジュゲートが優れた体内動態を示し、PEGの代替化合物となることを見出し、2024年4月に特許出願をいたしました。 さらに、味の素株式会社との共同研究契約を2023年10月に締結し、味の素株式会社が有する抗体-薬物複合体製造技術AJICAPⓇを利用して、免疫グロプリンの部分タンパク質であるFc領域に対して核酸アプタマーを共有結合させて、血中半減期の飛躍的な延長に成功し、2025年3月に特許出願をいたしました。 本技術により、核酸アプタマーが抗体医薬と同等の血中滞留性を獲得できれば、アプタマー医薬品の開発が飛躍的に発展するものと考えております。なお、味の素株式会社との共同研究契約は2025年3月31日に終了しております。 (2)当社のビジネスモデルと収益計上の時期 ①当社のビジネスモデル 当社の事業は、以下の創薬事業と創薬支援事業の2事業により構成されております。創薬探索から上市までをビジネスとして進めております。 (ⅰ)創薬事業 自社又は大学等研究機関と共同研究で医薬候補となるアプタマーを開発し、その成果を製薬企業にライセンス・アウトし、ライセンス対価(契約締結時に受け取る契約一時金、開発進行に伴うマイルストーン収入、及び製品上市後の売上に応じたロイヤルティー)を得る事業です。 (ⅱ)創薬支援事業 自社が開発した創薬プラットフォーム技術(例えばDDSシステム)を利用して、製薬企業や研究機関等から提示される研究開発課題や標的分子に対して創薬を支援することで、提携先から支払われる研究費あるいはプラットフォーム技術の導出によるライセンス対価を収入とする事業です。 上記二つの事業をバランスよく実施することで、以下の成果あるいは効果が期待できます。 1)収益構造の安定化と成長機会の両立 創薬事業においては、ライセンス契約や開発進展に応じたマイルストーン収入及び販売後のロイヤリティといった中長期的かつ高付加価値な収益の獲得が可能と考えております。一方で、創薬支援事業においては、研究受託や技術提供に基づく安定的な収益を確保する事が可能と考えております。そのため、両事業を併せて展開することで、短期的収益の確保と中長期的な成長機会の創出を両立することで、経営基盤の安定化効果が期待できます。 2)技術基盤の高度化及び競争優位性の強化 創薬支援事業で蓄積される多様なターゲットや用途に関する知見やデータは、創薬事業における研究開発の高度化に資するものと考えております。また、創薬事業で創出したアプタマーや技術は、創薬支援事業における提案力・事業開発能力の向上に繋がると考えております。そのため、当社独自技術の高度化や技術の差別化が期待できます。 3) 研究開発リスクの分散 創薬事業は高い成長性が期待できる一方で、開発期間の長期化や成果の不確実性といったリスクを伴います。一方で、創薬支援事業は比較的リスクが低く、安定的な収益確保によるキャッシュフローの安定化に寄与いたします。両事業をバランスよく運用することで、全体としての事業リスクの分散及び財務基盤の安定化が期待できます。 4) パートナーシップ機会の拡大 創薬支援事業を通じて構築される製薬企業や研究機関との関係は、将来的な共同研究や創薬事業における導出機会に繋がると考えており、事業機会の拡充が期待できます。 ②事業活動に伴う収益計上の時期 当社のビジネスモデルにおいて、収益計上できるのは、創薬事業については、ライセンス契約や共同研究契約の締結後であり、創薬支援事業については、早い段階での研究受託収入や契約一時金の獲得を通じた早期の収益が見込めます。以下の図は、その場合の収益計上のタイミングを示しています。 <創薬事業・創薬支援事業における一般的な収益計上のタイミング> ※:上記の図は、一般的なケースとして当社が想定している事業収益計上のタイミングを表すものです。 個別の契約により受取回数等が異なる場合があります。 (3)事業戦略 当社は、アプタマー創薬に関する当社の競争優位性や強みを梃子として、以下の基本ポリシーのもとで、研究開発を推進しております。 ①自社創薬におけるパイプラインの一層の拡充と進展を図り、研究成果をいち早く知財化して競争優位性を維持、強化しライセンス・アウトを目指す。 ②創薬支援事業を推進させ、早期の収益確保を目指す。 ③アプタマー医薬品としての特性を最大限に生かしうる開発品や疾患については、過大な経済的負担を避けつつ、付加価値を高める観点から臨床POC取得のための臨床試験を実施し、収益の最大化を図る。 ④アプタマー創薬における当社の「RiboART SystemⓇ」の更なる向上、発展を図るべく、次のアプタマーの創製にチャレンジする。 1)アゴニスト・アプタマー(受容体作動薬) 2)細胞内への取り込み可能な(DDS作用を有する)アプタマー 3)細胞膜複数回貫通型のタンパク質(GPCR受容体等)と結合するアプタマー 4)次世代シークエンサーとコンピューター科学を利用したアプタマー探索の人工知能技術の開発 5)脳関門通過技術の開発と神経疾患治療への応用 6)ポリエチレングリコール(PEG)の代替となる(体内動態制御技術)アプタマー 7)DDS技術を応用した眼科疾患治療薬の開発 ⑤大学や研究機関との緊密な連携を図り、大学や研究機関での基礎研究成果を医薬品開発に応用するトランスレーショナル・リサーチを推進することにより、アカデミアにおける研究成果をいち早くアプタマー創薬に活かす。 (4)医薬品市場におけるアプタマー医薬 ①アプタマー医薬を含む核酸医薬の市場 医薬品は、その素材から、1)低分子、2)ワクチン、3)生物製剤、4)核酸、5)細胞、6)遺伝子に分類されますが、この中で最も新しく、技術革新が進展しているのが、生物製剤の中の抗体医薬と、核酸を成分とする核酸医薬、並びに細胞を利用する再生医療や遺伝子治療です。 そのような中、アプタマーを含む核酸医薬は、作用メカニズム及び投与方法が類似していることから、現在巨大な市場を形成している抗体医薬に続く次世代の医薬品として注目されており、2024年の核酸医薬の全世界の市場規模は146億USDとされております。2024年の抗体医薬の全世界の市場規模は2,426億USDとなっており、抗体医薬と比較し、まだまだ小さな市場ですが、抗体医薬との比較優位性から2031年には217億USDに成長すると予測されております。 ②世界におけるアプタマー医薬品の臨床開発動向 MacugenⓇは世界初のwet AMD治療薬として承認されましたが、その後VEGFを標的とする抗体や可溶性のデコイ (おとり)受容体を利用した、さらに有効な医薬(LucentisⓇ、EyleaⓇ、AvastinⓇ等)が開発されて、現在、MacugenⓇはほとんど使用されなくなりました。2004年のMacugenⓇの成功の後、20年間、アプタマー医薬品の開発は停滞しましたが、ようやく最近、補体C5に対するアプタマー(ARC1905: IZERVAYTM)が萎縮型加齢黄斑変性(dryAMD)に有効であることが、第3相試験で証明され、2023年8月米国で承認され、2025年8月日本でも条件付きで承認されました。IZERVAYTMを開発したIVERIC Bio社は、アステラス製薬に総額約8,000億円で買収されております。MacugenⓇやIZERVAYTM、そしてumedaptanib pegolがいずれも眼科疾患に対して奏功したことから、アプタマーは眼科疾患にフィットするモダリティ(治療手段)であることが強く示唆されました。眼は閉鎖系の小さな器官であるため硝子体内投与に必要な薬剤量が少なく、全身への薬剤の暴露が少なく安全性にも優れているため、眼科疾患に対する新薬の開発はアプタマーに最適な疾患だと考えております。 当社のACH治療薬開発におけるumedaptanib pegolの全身投与は、アプタマーの全身投与としては世界初の成功事 例(POC)となるもので、今後は、眼科疾患にとどまらず、全身性のアプタマー医薬品の開発が推進されるものと 期待するところです。 アプタマー臨床開発パイプライン :眼科疾患を対象とするアプタマー 核酸医薬には、アプタマーの他に、アンチセンス、デコイ、siRNA、microRNA、mRNAなどの種類があり、現在の開発の主流はアンチセンスですが、依然として幾つかの課題(化学修飾、DDS及び製造と品質管理)が指摘されています。 今後、核酸医薬の中軸を担うのは、化学修飾が容易で、通常、抗体と同様に細胞外で機能するアプタマー医薬であり、そのアプタマー医薬の中でも、当社のumedaptanib pegolプログラムが世界の最先端に位置していると当社は考えております。アプタマーは、標的となるタンパク質分子への結合という点で似たような作用を持つ抗体医薬と比較して、その結合活性が非常に高いことや、様々な化学修飾によって活性や体内動態等を改善するという優位点があります。なお、抗体医薬との比較は、次の項を参照下さい。 ③アプタマー医薬と抗体医薬の比較 アプタマー医薬は分子標的薬として、抗体を成分とする抗体医薬と、作用メカニズム及び投与方法が類似しています。従って、アプタマー医薬の最大の競合品は抗体医薬になります。アプタマー医薬市場の成否は、抗体医薬との比較のなかで、その違いを明確にし、どう差別化するかにかかっています。抗体医薬は、マウス等で作製した抗体をヒトで異物として排除されにくいように加工した後、これを産生する特殊な細胞を大量に培養し、精製して医薬品原料にします。その起源が生物試料であることから生物製剤に分類されます。これに対し、アプタマー医薬はその成分であるRNAを化学合成して製造することから合成医薬品に分類されます。 以下は抗体医薬と比較したアプタマー医薬の特徴ですが、アプタマー医薬は、科学技術の進歩とともにその長所が認識され、抗体に続く次世代の新薬の核として開発が進むものと当社は期待しております。 <アプタマー医薬と抗体医薬の比較>(当社作成) 項目   アプタマー医薬   抗体医薬 標的タンパク質に対する結合力   抗体の1,000倍は可能   強い 創薬ターゲットの種類   極めて多様   抗原タンパクに限定 製造方法   化学合成法   細胞培養法 コスト(製造コスト低減の容易さ)   比較的高価 (製造コスト低減の可能性あり)   比較的高価 (製造コストの低減は難しい) 抗原性/免疫排除   起きにくい   起きる 製剤の可逆性・安定性   高い   低い 体内動態(長時間作用)   苦手、限界あり   良い 中和   可能(アンチセンスの利用)   不可能 短期作用性   得意   困難 加工・化学修飾   容易   困難 (5)知財戦略 創薬プラットフォーム系バイオベンチャーである当社にとって、開発する製品及びプラットフォーム技術を適切な方法により保護されていることが、自社開発のみならず他社とのライセンスや共同研究を実現する上で不可欠です。 当社の知財戦略は、事業開発(製品パイプライン)に関するものと、研究開発(基本及びプラットフォーム技術)に関するものとに峻別し、以下のような異なる対応をしております。 ①事業開発(自社創薬品目及び共同研究品目)に対する知財戦略 RNAを成分とするアプタマーは配列の違いによって、同一標的分子(疾患関連タンパク質)についても、既存特許に対して抵触しない複数の物質特許が成立する可能性があります。よってプロジェクトごとの開発品を含む物質特許の取得を前提としています。 当社は標的分子との結合力が強くかつ当該標的分子の生理作用に対する阻害活性の高いアプタマーだけでなく、その周辺の化合物もカバーする特許権の成立を目指します。具体的には、無数にある核酸配列の中から結合力及び阻害活性の高いアプタマーに共通する構造や配列を探索し、その共通構造・共通配列を特許化(オープン知財化)することで、広い権利を押さえることを基本戦略としています。さらに非臨床試験・臨床試験の経過により得られるデータに基づき、製剤特許や用途特許の出願を実施し、実質的な特許期間を延ばす戦略を採っています。 一方共同研究品目については、まずは提携先との共同出願となるのが通例ですが、ライセンス・アウトに伴い、開発や事業化についての独占的実施権を提携先に付与しても、当該特許に対する自社権利は維持する(共有とする)方針を基本といたします。 なお特許出願国については、日米欧を中心として、中国、韓国、インド等の医薬品市場の規模が大きく、又は将来の市場拡大が見込まれる国や地域をカバーすることを方針としております。 ②研究開発技術(基本及び「RiboART SystemⓇ」)に対する知財戦略 「RiboART SystemⓇ」のコアとなる技術(アプタマーの取得、短鎖化や化学修飾等の最適化)の中には、特許化が可能な技術も含まれていると当社は考えておりますが、特許化は技術公開という代償を伴い、当社の特許化された技術を使用して他社がアプタマーを取得したとしても、それが当社の特許技術を使用したことを立証することは困難です。 従って、当社では、原則としてアプタマー医薬品候補物については、物質特許を取得する方針でありますが、「RiboART SystemⓇ」を構築する技術自体は、特許化による競争優位性が確保されるものを除きノウハウあるいは営業秘密として秘匿し、クローズ(秘匿化)知財と位置付けて優位性の確保に努めます。なお、当社はノウハウあるいは営業秘密が社外に流出しないよう、役職員や取引先との間で秘密保持義務等を定めた契約を締結し、厳重な情報管理に努めております。 ③主要な特許の状況 当社が保有者となる、当社の研究開発に関する主要な特許の状況は以下のとおりであります。 <自社創薬品目に関する特許> 対象パイプライン   発明の名称   国際出願番号 (国内特許番号)   保有者   登録状況 RBM-003   キマーゼに対するアプタマー及びその使用   PCT/JP2018/044132   当社   米中で特許・維持 RBM-006   オートタキシンに結合しオートタキシンの生理活性を阻害するアプタマー及びその利用   PCT/JP2015/062561 (特許第6586669号)   当社   日本のみ特許を維持 RBM-007   FGF2に対するアプタマー及びその使用   PCT/JP2015/058992 (特許第6634554号)   当社   日本・米国・欧州各国・中国・オーストラリア・香港・イスラエル・メキシコ・シンガポール・カナダ・インド・韓国にて特許・維持 アプタマー製剤   PCT/JP2019/025766 (特許第7340264号)   当社   日本・欧州各国・香港・シンガポール・台湾・中国・メキシコで特許・維持 網膜下高反射病巣または網膜下高反射病巣を伴う網膜疾患の治療剤   PCT/JP2021/004215   当社   台湾で特許・維持 RBM-010   ADAMTS5に対するアプタマー及びその使用   PCT/JP2018/041746     当社   中国・イスラエル・にて特許・維持 RBM-011   IL21に対するアプタマー及びその使用   PCT/JP2021/023023 (特許7797016号)   当社   日本・米国で特許・維持 <ライセンス・アウト品目に関する主要な特許> 対象パイプライン   発明の名称   国際出願番号 (国内特許番号)   保有者   登録状況 RBM-007   FGF2に対するアプタマー及びその使用   PCT/JP2015/058992 (特許第6634554号)   当社   日本・米国・欧州各国・中国・オーストラリア・香港・イスラエル・メキシコ・シンガポール・カナダ・インド・韓国にて特許・維持 アプタマー製剤   PCT/JP2019/025766 (特許第7340264号)   当社   日本・欧州各国・香港・シンガポール・台湾・中国・メキシコで特許・維持 網膜下高反射病巣または網膜下高反射病巣を伴う網膜疾患の治療剤   PCT/JP2021/004215   当社   台湾で特許・維持 <その他> 対象パイプライン   発明の名称   国際出願番号 (国内特許番号)   保有者   登録状況 TGFβ1に対するアプタマー及びその使用   PCT/JP2020/026755 (特許7664627号)   当社   日本で特許・維持 アプタマー及びポリエチルオキサゾリンのコンジュゲート   PCT/JP2025/002178   当社   台湾で特許査定 (6)創薬体制 ①アカデミアでの研究成果の取り込みと連携及び共同研究 当社は、発足の経緯から、東京大学医科学研究所で培ってきたRNA科学やアプタマーに関する成果を実用化するため、トランスレーショナル・リサーチを継続的に実施してきました。 東京大学との共同研究の他、早稲田大学、慈恵大学、関西医科大学などのアカデミアとも共同研究を実施し、疾患に関連するタンパク質の学術的な裏付けを得ると同時に、各種動物試験の実施、新規アプタマー技術の開発や分析等における連携を図っております。 ②的確な研究開発マネジメント 当社では、新薬開発ステージに応じた試験研究の内容、当該試験結果のクライテリアの設定、知的財産戦略等について、新薬開発のノウハウを熟知したスタッフによる定期的なレビューなどの研究開発マネジメントを実施しております。 ③人的ネットワーク アプタマーを含む核酸医薬の研究開発は日進月歩の状況にあり、世界的に競争が加速しています。当社は核酸科学やアプタマーに関する研究者・研究機関との世界的規模の人的ネットワークを通じて、最新の研究動向の把握や国内外の臨床医とのネットワーク構築にも努めております。 ④アプタマー創製のスペシャリスト 当社では、社員の約3分の2が、化学、分子生物学、細胞生物学、工学、薬学、医学等の分野での専門家(研究員)であり、研究員の約半数は博士号の保持者です。これらの研究員は、アプタマー医薬に特化した研究開発に従事しており、この分野では強力な布陣を敷いております。 さらに、製薬及び関連企業で研究開発、臨床開発の経験を長く積んだ社員も擁しており、臨床開発やライセンスに連なる基礎・探索研究の方向づけや知財戦略を展開しております。 (7)ESG(環境/社会/企業統治)に関する取り組み 昨今の資本市場では、長期持続的な企業の成長を評価する上で不可欠な観点として、ESG(Environment/環境、Social/社会、Governance/企業統治)といった非財務情報への関心が高まっています。当社は、ESGに関して次のような方針で取り組んでまいります。 ①E(環境) 当社は、医薬品事業に携わる企業として研究資源の管理、並びに分別廃棄を徹底した厳格な廃棄物管理に注力いたします。また、IT整備によるペーパーレス等の省資源や社外で実施されているリサイクル活動にも積極的に参加するなどの取り組みも合わせて推進してまいります。 ②S(社会) 当社は、難病や未だに薬のない病気(Unmet Medical Needs)に対する新薬を開発して、世界の医療と人々の健康に貢献するというミッション実現に向けた事業活動を展開しているため、「Social」は事業活動そのものと考えています。希少疾患である軟骨無形成症治療薬の開発はその一例です。 また、企業として働きやすい環境づくりやダイバーシティを尊重するとともに、学会参加や論文発表を通してイノベーション創出にも貢献したいと考えております。 ③G(企業統治) ・コーポレート・ガバナンスの強化 当社は、アプタマー創薬企業としてアプタマーを素材とする新薬を次々と創製し、継続的な成長と企業価値の最大化を図り、医薬品開発を通して社会に貢献できる企業を目指しており、コーポレート・ガバナンス体制の強化により経営の健全性や透明性の向上を継続的に図っていくことは、最も重要な課題の一つであると認識し、取り組んでまいります。 また、研修やe-learningを積極的に受講する事を通して法令や社内規程を遵守するコンプライアンスを重視するとともに、個別面談や説明会を通して様々なステークホルダーとのコミュニケーションも図ってまいります。 (8)参考資料(技術紹介) ①アプタマー医薬について 核酸であるRNAは、生物の体内では、DNA上の遺伝情報の配列のコピーとして、タンパク質の合成の鋳型として使用されます。しかしRNAは、そうした遺伝情報のコピーとしての役割だけではなく、「様々な立体構造を形成する」という重要な特性を有しています(RNAの造形力)。この造形力を利用して、病気の要因となるタンパク質に結合してその働きを阻害あるいは調節できるRNA分子(アプタマー)を創製し、医薬品として開発したものが「アプタマー医薬」です。標的にフィットするという意味のラテン語の「aptus」が由来となり「アプタマー」と呼ばれております。  アプタマー医薬は核酸を成分とすることから核酸医薬の一種になります。しかし、細胞内に入らなければ効果を発揮しない他の核酸医薬とは異なり、細胞内に導入する必要がないので非常に効率的です。    <形状捕捉図> ②「RiboART SystemⓇ」 当社の「RiboART SystemⓇ」は、RNAの生化学的性質の把握、特に潜在的なRNAの造形力の掘り起こし、アプタマーの構想・デザイン、アプタマーの創製から医薬候補アプタマーの仕上げまでをカバーする当社独自のアプタマー創薬の技術プラットフォームです。「RiboART SystemⓇ」は広汎な分野に応用可能な技術であるため、特定の疾患や領域に特化されないアプタマーの創製を行っております。 「RiboART SystemⓇ」においてコアとなる技術は、1)目標とする創薬ターゲット(タンパク質)に結合するポテンシーの高いアプタマーを取得する技術(SELEX法運用技術)と、2)取得したアプタマーを臨床開発品として最適化する技術です。このコア技術が、意図した薬効を示すポテンシーのアプタマーを取得・創製するうえで大きな効果を発揮します。 本システムでは、取得したアプタマーを新薬候補品となり得るように、加工プロセスによって、標的への結合力を103~104倍に増強するとともに、この技術を標準化しており、これが当社の技術的な強みと認識しております。 当社は、他の会社に先んじてSELEX法を利用した研究を開始したことによる現在の技術的優位性に安住することなく、5年先、10年先の技術動向を見据え、新たなSELEX法や、抗体で難しいとされる受容体に直接作用するアゴニスト・アプタマー(受容体作動薬)、さらに細胞内に他の医薬を運搬するためのDDSに利用可能なアプタマー等の実現を目指しております。 <RiboART SystemⓇの概念図> 選抜:   目標とする標的タンパク質に結合するアプタマーをSELEX法により選抜 分析:   選抜したアプタマーの標的タンパク質への結合特性を分析 加工:   アプタマーを工業的、経済的に利用できるよう短鎖化したり、品質や薬効向上のために化学修飾を実施 試験:   細胞試験や動物試験によりアプタマーの薬理効果を評価 評価:   動物を用いてアプタマーの毒性を評価 <SELEX法のイメージ> ③当社の新薬開発プロセス 新薬の研究開発は、下記の図に示すように、製品の上市までに、10数年の長い年月と数百億円もの多額の資金を要します。 この新薬の研究開発は、通常、臨床試験前の段階と臨床試験に二分され、さらに臨床試験前の段階は、大きく以下に分けられます。 1)新薬候補と考えられる化合物を考案、創製し、その中から様々な手法を用いて適切な化合物をスクリーニングする基礎・探索研究の段階 2)選定された化合物について、臨床試験に進むために必須の試験を行う非臨床試験の段階 当社では、新薬開発プロセスの中の(1)基礎・探索研究、及び(2)非臨床試験の段階において、「RiboART SystemⓇ」を運用しアプタマー医薬の開発を行っています。標的タンパク質の種類や特性、適応疾患などによって差は生じるものの、「RiboART SystemⓇ」の活用により、従来なら5~8年かかる基礎・探索研究及び非臨床試験の期間(1年前後のGLP試験の期間を含む)の内、標的タンパク質の決定からGLP試験を開始するための予備毒性試験ステージまでを、約3~4年で実施可能(当社実績)であると考えております。 <新薬開発プロセス> (9)参考資料(用語解説) アルファベット、50音順 DDS   薬剤の副作用の原因のひとつに、薬剤が標的臓器以外に作用することがあげられます。DDS(Drug Delivery System)とは、この問題を解決するために、薬剤が標的臓器に、適切な濃度で到達、作用できるように、剤形を工夫したシステムをいいます。 GLP試験   GLP(Good Laboratory Practice)とは、医薬品の安全性に関する非臨床試験(急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性、催奇形性、その他の毒性試験)の実施に関する試験の質を担保する基準のことをいいます。この基準は「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令」で定められています。なお、日本のGLPと同様な規制は欧米等でも実施されています。このGLPに準拠して行う試験をGLP試験といいます。 POC     POC(Proof of Concept)とは、新薬の開発段階において、ある化合物がヒトでの臨床試験(通常は少数の患者を対象としたPhase 2a試験)において意図した薬効を有することが示されることをいいます。 RNA   遺伝情報は生命の設計図ですが、アデニン(A)チミン(T)グアニン(G)シトシン(C)という4種類の塩基の配列として、DNA(デオキシリボ核酸)という(2重螺旋構造の)核酸の中にコードされています。 ヒトならば30億塩基の配列がヒトを作り上げる全情報です。この塩基の並びはタンパク質のアミノ酸の配列を指定して、生命活動を司る様々なタンパク質を産生します。その時、DNAの配列情報は、一旦、アデニン(A)チミン(T)の代わりのウラシル(U)グアニン(G)シトシン(C)の塩基配列に置き換えて、RNA(リボ核酸)という核酸にコピーされ(この過程を「転写」といいます)、その遺伝情報のコピーを使ってタンパク質を合成します(この過程を「翻訳」といいます)。 そのため、分子生物学の黎明期から、RNAは単なる遺伝情報のコピーに過ぎないという思い込みが、世界的にも支配的でした。しかし、四半世紀前から、この考えは誤りであることが様々な研究によって明らかになってきました。特に立体構造を作って働く機能性RNAの生体内での役割が注目を集めています。 RNAの造形力   当社は、アプタマーとIgGとの結合体の結晶構造をX線解析法によって明らかにしてNucleic Acids Res誌に発表いたしました(2010年、図参照)。 その結果、既存のアプタマーではRNAのリン酸の負電荷と、標的タンパク質の正電荷のアミノ酸領域とが電気的な相互作用によって結合するものしか知られていませんでしたが(図の右の事例)、IgGアプタマーはこれまでの常識を覆して、アプタマーが標的にフィットするしなやかな形状を作って、電気的な相互作用を使わずに、水素結合やファンデルワールス力のような多様な結合を利用して強く標的に結合することが明らかにされました。 つまり、RNAには、これまで予想もされなかった「しなやかな造形力」が備わっていることの証しです。このような基礎的な研究は、応用という点からも重要です。特に、医薬品の標的となるタンパク質は、必ずしもRNAと結合しやすい正電荷のアミノ酸が表面に多いとは限らないため、これらの基礎研究の成果は、非常に多くのタンパク質がRNAアプタマーの創薬ターゲットとなりうるということを示唆するものです。 また標的タンパクの捕捉方法について抗体医薬と比較した場合、アプタマーの特徴は、標的とするタンパク質の形状にフィットする立体構造を形成してその活性を調節する「形状捕捉」にあります。抗体医薬がタンパク質を構成する多数のアミノ酸の中から6~10個のアミノ酸の配列(エピトープと呼ばれる)を認識して標的タンパク質に結合するのに対して、アプタマーの標的タンパク質を捉える方法は大きく異なるといえます。                <アプタマーとIgG結合体の結晶構造> 化学修飾   品質や薬効向上のために、化合物の一部の分子や原子を他の分子や原子に置換したり、新たな分子や原子を結合させることをいいます。 核酸医薬   1970年代以降、ヒトの遺伝子の研究が進展し、核酸が医薬品になるかもしれないという期待は1980年代に生まれました。しかし、当時は核酸、特にRNAを医薬に応用するための基礎的な技術が整備されておらず、しかもRNAという核酸の特性や立体構造等の学術的な理解も浅かったために、長期にわたる膨大な資金や人材の投入とは裏腹に核酸医薬の開発は実を結びませんでした。 しかし、その苦い教訓の中でも、RNAの加工技術の開発という地味な仕事がアカデミアや少数のベンチャー企業で継続されました。その結果、1998年に世界初となるアンチセンス医薬(VitraveneⓇ[一般名 ホミビルセン],エイズ患者のサイトメガロウイルス性網膜炎用の局所投与剤)が承認され、その後、2004年にアプタマー医薬であるマクジェンⓇ、2013年に2番目となるアンチセンス医薬(KynamroⓇ[一般名 ミポメルセン])が家族性高脂血症薬として承認されました。2016年にはデュシェンヌ型筋ジストロフィーを対象としたEXONDYS51TM[一般名 エテプリルセン]、脊椎性筋萎縮症を対象としたスピンラザⓇ[一般名 ヌシネルセン]が相次いで承認され、さらに、2018年には家族性トランスサイレチン (TTR) アミロイドーシスを対象とした世界初となるsiRNA医薬(オンパットロⓇ [一般名 パチシラン])が承認され、アンチセンスやsiRNAを用いた核酸医薬品の開発が活発に進められています。 現在、研究開発中の核酸医薬には下記の表に示すものがあり、その中で主要な核酸医薬品の作用機序について下記の図に示しています。 分類   基本構造   標的   作用機序 アプタマー   一本鎖RNA/DNA   タンパク質   タンパク質に結合して生理作用を阻害 アンチセンス   一本鎖DNA   mRNA   mRNAに結合して翻訳を阻害 デコイ核酸   二本鎖DNA   転写因子   転写因子をトラップして転写を阻害 リボザイム   一本鎖RNA   mRNA   酵素として働きmRNAを切断し、発現抑制 siRNA   二本鎖RNA   mRNA   mRNAに結合しmRNAの不安定化による発現抑制 miRNA   一本鎖RNA   mRNA   mRNAに結合しmRNAの不安定化や翻訳阻害による発現抑制 antimiRNA   一本鎖RNA/DNA   miRNA   miRNAに結合してその活性を阻害 mRNA   一本鎖RNA   リボゾーム (鋳型作用)   タンパク質合成の鋳型として働き、目的とするタンパク質を合成 エキソンスキッピング   一本鎖RNA/DNA   mRNA前駆体   遺伝子異常部位をスキップするようにスプライシングを調整 CpGオリゴ   一本鎖DNA   TLR   自然免疫の活性化 <主要な核酸医薬品の作用機序> 抗体、抗体医薬 抗体とは、体内で特定の異物(抗原)に結合してその物質を体内から排除するように働くタンパク質をいいます。この排除システムを抗原抗体反応といい、我々の体内に自然に備わっている防御システムです。 抗体医薬とはこの仕組を医薬品として応用するもので、具体的には、疾患の原因となっているサイトカインなどのタンパク質を抗原として認識する抗体を産生する細胞(主に動物の)を造り出し、その後、この細胞を培養して該当する抗体を取り出し、精製加工します。但し、ヒト以外の動物、例えばマウスの細胞が産生する抗体(マウス抗体)をそのままヒトに使用できない場合があるため、動物からとれた抗体をヒト型に組み替える技術が発達しています。 現在、臨床開発されている抗体医薬の多くは、このヒト化抗体、若しくはヒト抗体です。さらに、複数の抗原を狙ったものや持続時間の長期化のためにPEGと結合させたコンジュゲート抗体なども開発の俎上にのっています。 なお、抗体類似の構造を持ち作用・機能面においても抗体と類似するFc融合タンパク質は、広い意味で抗体医薬の一種に含むこともあります。 この抗体医薬は、難治疾患に対する確かな効果と安全性、高薬価、さらに技術開発があいまって市場が急伸しており、近年、世界的な開発競争が激化しています。 最適化 医薬品の開発過程において、in vitro# 試験等によって薬効のある化合物が得られたとしても、より効果が優れ、安全性の高い化合物を得るための様々な工夫がなされます。このプロセスは最適化と呼ばれます。アプタマー医薬に関しては、長大な核酸配列の中から効果や安全性に関係のない部分をカットする短鎖化、核酸分解酵素の作用を阻止するための化学修飾、腎臓からの早期の排出を抑えるための化合物(ポリエチレングルコールなど)との結合などがその例です。 #「in vitro」は「試験管内で」を意味する技術用語 スクリーニング 新薬の開発過程において、多数の化合物の中から目的とする化合物(薬効を示し安全性が高いもの)を選び出す作業のことです。 トランスレーショナ ル・リサーチ 大学や研究機関による基礎的な医学・薬学研究の成果を疾患の治療や新薬の開発に応用するための研究をいいます。 生命科学やバイオテクノロジーの飛躍的な発展に伴い、世界的に大学での研究成果を早期に実現化に向ける動きが加速しています。薬の場合、例えば新薬の候補となる物質が大学の研究室で発見されたとしても、それをヒトでの臨床試験に繋げるには化合物の最適化(より効果があり、安全性の高いモノに改良すること)、様々な動物実験、各種試験用のサンプルの製造等、多くの課題、ハードルがあります。この基礎から臨床試験に至る一連の橋渡しのための研究がトランスレーショナル・リサーチです。 ノウハウ、営業秘密 ノウハウ(Know-How)とは「単独で又は結合して、工業目的に役立つある種の技術を完成し、又はそれを実際に応用するために必要な秘密の技術的知識と経験、又はそれらの集積」(国際商業会議所の定義)をいい、営業秘密とは①秘密に管理されていること、②有用な情報であること、③公然と知られていないこと、の3要件を満たす技術上、営業上の情報(不正競争防止法第2条第6項の定義に基づく)のことです。 非臨床試験 臨床試験開始前に行われる試験を非臨床試験と言い、例えば予備毒性試験やGLP試験が含まれます。 分子標的薬 生体内で疾患に関連する遺伝子やそれが係わるタンパク質等(サイトカイン、成長因子等)を標的としてその活動を阻害したり活性化することを狙った医薬品をいいます。抗体医薬もアプタマー医薬も分子標的薬の一種といえます。 マイルストーン収入 医薬品の開発は、非臨床試験→第1相臨床試験(Phase 1)→第2相臨床試験a(Phase 2a)→第2相臨床試験b(Phase 2b)→第3相臨床試験(Phase 3)→申請→承認→発売というステップを踏んで進行します。 開発途上の医薬品のライセンスにおいては、この開発の節目を「マイルストーン」といい、それに到達したとき、あるいはその段階に入るときにライセンスの対価の一部がライセンサーに対し支払われる取引が普及しています。これによる収入を、「マイルストーン収入」といい、開発ステージが進むにつれて、商品化への確率が高まるため、マイルストーンの収入が増加するのが一般的です。 予備毒性試験 GLP試験に入る前に、的確なGLP試験を実施するためのデータ入手を目的として行う試験です。本試験で薬剤の毒性の概略を把握し、GLP試験での投与用量の設定根拠の情報を得ることができます。 ライセンス・アウト 特許や開発中の製品に関する権利を他の会社に供与したり、譲渡したりすることを意味し、「導出」ともいいます。供与する権利の内容としては特許の実施権や使用権、さらにかかる特許によって保護されている製品の開発、及び製造・販売する権利などがあります。 臨床試験 新薬についての製造販売承認を取得するには、ヒトでの有効性及び安全性を確認する臨床試験が不可欠です。この場合、通常、以下の3段階があります。第一段階は、少数の健常人を対象として、動物実験等により安全性の確認を終えた化合物について、その安全性や体内での動態等を確認する試験であり、第1相臨床試験(Phase 1試験)と呼ばれています。 第一段階をクリアすると、次の段階は少数の患者(被験者)を対象として、薬効と安全性を確認する第2相臨床試験(Phase 2試験)に入ります。この試験のステージは、通常、2ステップがとられ、最初のステップは、少数の被験者について主に薬効を確認する段階です。この試験はPhase 2a試験と呼ばれます。さらに被験者数を増やし、有効性と安全性のバランスを取るために最適な用量を確認するための複数の用量を設定して行うPhase 2b試験があります。 最後の段階は、新薬の承認申請を前に、多数の患者を対象として、それまでの試験で見出された「有効性」と「安全性」を最終的に証明・確定することを目的として行う第3相臨床試験(Phase 3試験)です。 なお、臨床試験は、承認取得の前だけでなく、承認の取得後も当局から承認の条件として実施が求められる場合があります。この時の試験は市販後臨床試験と呼ばれています。
経営方針・対処すべき課題4,766字を開く

経営陣が考える方向性と課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)経営方針 当社は、RNA(リボ核酸)を成分とする医薬品(「アプタマー医薬」)の開発を通じて、「Unmet Medical Needs(未だに満足すべき治療法のない疾患領域の医療ニーズ)に応える」を企業理念に掲げ、それを実現するために、 ・人の生命、健康に関連する医薬品の研究開発に関わる企業として、高い倫理性を持ち、最新の科学・技術に基づく研究活動を推進する ・コーポレート・ガバナンス体制の強化と充実を図り、業務執行の適法性や妥当性の維持に努めることにより企業価値の最大化を図り、社会に貢献できる企業としての責任を果たす ・会社経営の透明性を確保するために、会社情報の開示を一層充実させるとともに、説明責任を果たし、株主、取引先、地域社会等のステークホルダーとの良好な関係の維持、発展に努める ことを基本ポリシーに掲げ、当社のプラットフォーム技術である「RiboART SystemⓇ」を活用した研究開発を推進しております。 (2)経営戦略等 一般に、医薬品事業は一つの製品を創出し上市するまで莫大な費用と年数を要します。このような中、当社はアプタマーの医薬品としての研究開発を行い、ライセンス・アウトした時に受け取る契約一時金、開発進行に伴ってその節目に受領するマイルストーン収入、製品上市後に受け取るロイヤルティー及び共同研究に伴って得られる共同研究収入などにより収益を獲得する創薬事業と当社が保有するアプタマー創薬基盤技術を活用し、製薬企業等との共同研究を通じて創薬活動を支援することで、研究受託集入やライセンス対価を獲得する創薬支援事業を展開しております。 当社は、創薬事業において比較的早期の研究開発段階においてライセンス・アウトを実施し、一定の収入を獲得すること、並びに、その後のマイルストーン収入やロイヤリティーによる収益の拡大も重要であると考え、適切な自社創薬品については自社で臨床開発に取り組むことを重要な戦略としております。 一方で、創薬支援事業においては、1件当たりの対価は創薬事業に及ばないものの、製薬企業との協力関係の一層の強化を図りながらより多くの案件を実現させることにより、収益規模の拡大とその安定化に努めてまいります。 中長期的な成長のための事業目標として、①医薬品提供の実現、②次世代アプタマー・テクノロジーの開発、③社会に対する企業価値の創出を念頭に、研究開発・臨床開発・事業開発活動に取り組んでおります。これの具体的進捗状況については、「第1企業の概況 3事業の内容 (1)当事業年度の主要なトピックス」、並びに「第1企業の概況 3事業の内容 (3)事業戦略」に記載しております。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社は、研究開発型の創薬ベンチャーであり、研究開発への投資から、その収益化まで長期間を要すること、また、収益はライセンス・アウトなどの成果に委ねられるという事業特性からROEやROAなどを目標とする経営指標は設けておりません。 ライセンス・アウト時の契約一時金、その後のマイルストーン収入、ロイヤルティー、共同研究による共同研究収入を計上するための前提となる研究成果(新規技術開発、非臨床POCや臨床POCの取得)や、各種開発イベント(当局への治験開始申請許可など)などが、当社における重要な経営イベントとなり、これまで優先度の高いパイプラインを臨床ステージへ移行させる臨床試験プログラム目標(VISION 2025)を掲げ、事業を展開してまいりました。その結果、wet AMD、ACHの2つを臨床ステージへ移行させることが出来ました。 その先の事業展開として、持続的に事業収益を計上できる創薬企業へと進化(VISION2030)を掲げ、創薬事業の開発品の導出や主要開発品の拡張推進、創薬支援事業による持続的な収益確保に取り組んでまいります。 (4)経営環境 医薬品業界では、未だに満足すべき治療法のない疾患領域の医薬品開発が求められており、この分野での新薬開発競争が激化しております。製薬企業においては、従来の低分子医薬品だけでは、この分野の新薬を開発することが困難となっており、核酸医薬品をはじめとした新規医薬品の開発が進められております。このような取り組みにおいて、製薬企業は単独で開発を進めるのではなく、新規医薬品を手掛けるバイオベンチャー等と提携し、新規技術の導入や、バイオベンチャーが開発したパイプラインを導入するなどにより開発を進めております。近年、核酸医薬品の上市が顕在化しつつありますが、このような環境のもと、当社はアプタマー創薬のプラットフォーム技術である「RiboART SystemⓇ」により、特定の疾患や標的タンパク質に限定されない新薬シーズを創製し、製薬企業に提供していくとともに、当社ビジネスモデルの発展に注力してまいります。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社は、アプタマーの医薬品としての研究開発を行い、製薬企業にライセンス・アウトした際に受け取る契約一時金、開発進行に伴ってその節目に受領するマイルストーン収入、製品上市後に受け取るロイヤリティー及び共同研究に伴って得られる共同研究収入などにより収益を獲得する創薬事業及び当社が保有するアプタマー創薬基盤技術を活用し、製薬企業等との共同研究を通じて創薬活動を支援することで、研究受託集入や契約一時金を獲得する創薬支援事業を展開しております。このようなビジネスモデルにおいて、継続的かつ安定的な収益の確保の実現と、今後の飛躍に向けた中長期の事業目標として、医薬品提供の実現、次世代アプタマー・テクノロジーの開発、社会に対する企業価値の創出を掲げ、医薬品創出と革新的技術提供により、「名実ともにアプタマー創薬企業の地位を確立すること」を目標としております。 世界におけるアプタマー医薬品の臨床開発動向(「第1 企業の概況 3 事業の内容(4)医薬品市場におけるアプタマー医薬②世界におけるアプタマー医薬品の臨床開発動向」の項の記載を参照)等も踏まえ、当社の事業目標の実現に向けて、以下の項目について、特に重点的に取り組んでまいります。 ①自社での治験の実施 当社は、今後当社が大きく飛躍するためにも、自社で臨床試験を実施することが必要であると考えております。具体的には、umedaptanib pegolによる滲出型加齢黄斑変性を対象とした第2相臨床試験を米国で実施し、2021年12月までに試験を完了いたしました。また、軟骨無形成症(ACH)を対象とした第1相臨床試験を国内で実施いたしました(2020年7月~2021年5月)。さらに、ACHに関する、国内での第2相試験の被検者選定を目的とした観察試験、ACHの小児患者でのumedaptanib pegolの有効性と安全性を調べる第2相臨床試験、及びこれに引き続き実施する第2相長期投与試験の3つの治験を実施いたしました。現在、第2相臨床試験の結果を受け、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)に対し、第3相臨床試験の治験申請を実施し、実施許諾を得ており、現在、第3相臨床試験に向けて施設との契約手続き等を進めております。2026年6月に最初の患者登録を見込んでおります。 当社の臨床開発については、社内のリソースに加え、臨床医や製品開発のエキスパートを含む外部の協力も得て進めております。今後もumedaptanib pegolの開発推進に向け、一層の体制整備を図ってまいります。 ②自社パイプラインの充実と質の高いデータの構築 持続的な企業成長を実現するためには、革新的な技術開発や良質な自社パイプラインを選定、拡充し、各々について製薬企業の評価に耐え得る試験データを取得していくことが重要と考えております。新規テーマの選定にあたっては、大手製薬企業における重点領域、既存薬剤による医療ニーズの充足度等を調査し、最適な創薬ターゲットと適応疾患を選定するよう努めてまいります。しかし同時に、経営資源の集中のため、一度着手したテーマについても、一定期間の後に適切な評価を実施し、必要に応じて、開発ラインから除外する判断も必要であると認識しております。 ③新規技術の開発 今後、アプタマー医薬への参入企業が増えてきた場合でも常に技術の優位性を保てるように、新規のアプタマー創薬技術の開発に努めてまいります。具体的には、アプタマー創製の新技術の開発、次世代シークエンサーとコンピューター科学を利用したアプタマー探索の人工知能(AI)技術の開発、細胞内への取り込み可能なアプタマーや、細胞膜貫通型のタンパク質と結合するアプタマー、脳内標的化アプタマー等のドラッグデリバリーシステム(drug delivery system:DDS)用アプタマーのさらなる開発などを目標に、これまでに培った技術の発展、向上を図ってまいります。 ④ライセンス活動及びパートナリング活動の推進 当社は、臨床ステージに進んだパイプラインや非臨床開発が完了したパイプラインにつきましてはライセンス・アウト、もしくはパートナリングの実現に注力しております。 また、ライセンス・アウトを目標とした共同研究の実現や、自社パイプラインのライセンス・アウトを図るべく、国内外の製薬企業への営業活動、学会での発表や学術雑誌への論文掲載等を通じて、当社の技術と製品を国内外にアピールする活動を継続してまいります。 なお、当社のライセンス活動については、社内のリソースに加え、必要に応じて外部のコンサルタントの協力を得て進めております。 ⑤共同研究の推進 大手製薬企業との共同研究は、安定的な収益源となるだけでなく、当社のアプタマー創製に関するスキルアップにつながり、同時に、大手製薬企業の技術を活用して開発を迅速に進められることから、既存の契約での成果創出と同時に、新規提携契約の獲得に努めてまいります。また、他の創薬ベンチャーやアカデミアと共同研究を通じて、新たなアプタマー関連技術や、新規核酸創薬モダリティー(核酸を用いる創薬基盤技術)の獲得に努めてまいります。 ⑥資金調達 当社はUnmet Medical Needsに応える医薬品開発のための先行投資段階にあり、研究開発活動に必要な資金の調達が課題であると認識しております。 当社では、大手企業との共同研究やライセンス・アウト実現のための事業開発活動や公的助成金の獲得に努めており、これと同時に費用の節約に努めておりますが、継続的かつ安定的な収益の確保に至るまでの先行投資段階においては、新株発行等による資金調達を行い財務体質の維持・強化を図りUnmet Medical Needsに応える医薬品をお届けできるよう研究開発活動を進めてまいります。 ⑦人材の獲得と育成の支援 新たな技術を速やかに世に送り出すためには、優れた人材を獲得し、社員の成長を支援する環境を提供することによって、小規模ながら機能的な研究開発、事業推進、管理の各部門を構築していくことが重要であると認識しております。今後もビジネスや組織のニーズに合った人材獲得を行うとともに、社員一人ひとりの成長が、会社の成長に繋がるよう社員の育成、活躍の場を整備して参ります。
事業等のリスク9,014字を開く

会社が自認するリスクの一覧

3【事業等のリスク】 当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。あわせて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資家の判断にとって重要であると当社が考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。 当社は、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。 本項記載の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 ①創薬・医薬品開発事業全般に関する事項 当社は、医薬品開発における初期段階(探索研究~初期臨床試験)での研究開発を中心とした創薬・開発事業を主たる事業としております。本分野は、国際的な巨大企業を含む国内外の多数の企業や研究機関等が競い合っています。また、研究開発から製造販売のための承認・許可の取得、上市に至る過程において様々な薬事規制に従い、しかも長期間にわたって多額の資金を投入する必要があります。この創薬・開発事業は下記のとおり不確実性及びリスクを伴うものであります。 (イ)医薬品研究開発の不確実性について 1)新規パイプライン創出について 当社は、新規医薬品の候補アプタマーを自社あるいはアカデミアとの連携を通じて創出し、自社創薬品目あるいは共同研究品目の候補としていくことを基本戦略としております。 この戦略を確実に推進するため、製薬企業との情報交換による需要の発掘やアカデミアとの産学連携等により、Unmet Medical Needsを満たす新規パイプラインの選定・獲得・創出の可能性を高める努力を続けております。 しかしながら、新規標的タンパク質に対して開発候補品となりうるアプタマーを創出できる保証が100%あるとはいえず、開発候補品が得られない場合には、当社の事業計画の変更を余儀なくされる等により、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。 2)臨床開発について 一つの開発候補化合物が医薬品として承認され上市に至るまでには、ヒトでの臨床試験を含む様々な試験によって有効性・安全性の確認のみならず、製造・販売に至るまでに様々な関門があり、その全てをクリアする必要があり、その成功確率は低いことが現実です。 開発過程の各段階において、開発続行の可否を判断する際、中止の決定を行うことは稀なことではありません。このような成功の不確実性は、自社で開発した場合も、あるいは製薬企業にライセンス・アウトした場合においても、避けては通れないものです。このリスクを低減・分散するため、当社は以下の基本的な対応をとっております。 ・アプタマーというモダリティーの特性を生かした疾患領域や治療方法を検討する ・一つのターゲット(ターゲットタンパク質)に結合するアプタマーについて、有力なものが得られても、必要に応じ、バック・アップ品を準備する ・互いに独立した複数の開発パイプラインを保有する これらによって事業遂行上のリスクやロスを最小限に留めるよう努めております。 しかしながら、当社のような規模の創薬企業にとって、自社創薬、共同研究又はライセンス・アウトかを問わず、開発パイプラインから品目が脱落する影響は大きく、その場合には当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。例えば、第1相臨床試験における重篤な副作用の発現で開発中止を余儀なくされた場合、新たな創薬標的タンパク質に対するアプタマー探索から開始して、非臨床試験を経て第1相臨床試験の実施に到達するまでには、通常4~6年の期間と、数億円規模の追加費用を要することになります。 (ロ)収益の不確実性について 当社が想定している開発品(開発途上の製品を含む)のライセンス収入としては、契約一時金、マイルストーン収入(複数回に分かれることもあり)及び製品上市後のロイヤルティー収入があります。 ライセンス契約を成立させ、契約一時金を受け取るためには、導出候補品がライセンシーの評価をクリアする一定の条件(安全性・有効性等に関する信頼できる試験データ、一定の期間独占的な販売を可能とする特許の存在、競合品との優位性の根拠資料等)を有した導出候補品を創製・開発する必要があります。マイルストーン収入を獲得するためには、ライセンシーによって導出品の開発が順調に進み、マイルストーンをクリアすることが必要です。さらにロイヤルティーを得るには、導出品に対して、許認可当局からの販売承認の取得が必要です。 ライセンシーにおける開発期間中には、ライセンシーの経営環境の悪化や経営方針の変更など、当社がコントロールし得ない事情により、途中で開発が終了する可能性もあります。 また、製品化(製品の承認取得、製造販売)に成功した場合も、薬価や市場性の問題等から、当該製品に関する事業活動を継続するために必要な採算性を確保するのに十分な収益を得ることができず、販売中止になる場合もあります。 当社は、開発の当初から標的の妥当性や適応疾患の選定を厳密に検討するとともに、開発候補品の市場性や採算性、ライセンスの際には提携先の開発力・事業化力等に関して、種々の情報リソースを使って検討します。しかしながら、前記検討結果が誤りである可能性、あるいは検討の基礎となる状況に変化が生じる可能性を完全に排除することはできません。 (ハ)遵守すべき法的規制等及び医療保険制度等の不確実性について 新規医薬品を製造発売するに当たっては、対象となる全ての国で当該国が定める薬事関連法規に従って一定の基準の下で承認や許可を受ける必要があり、また臨床試験の開始などについても、多くの国で厳しい薬事規制が設けられています。 当社の事業計画は現行の医薬品に関する日本など先進国での承認基準や薬事規制を前提として策定されておりますが、これらの基準及び規制は科学技術の発展や課題解決の必要性等に伴って、適時、改定されます。 そのため、当社は、特に、臨床試験を実施中(又は予定)の日本及び米国の最新の承認基準や薬事規制を適時調査し、当社の研究開発計画に反映し、また、必要に応じて、その他地域についても調査を進めております。 しかしながら、長期間を要する新薬開発においては、開発期間にこれらの基準や規制、制度、価格設定動向等が大きく変動する可能性がないとはいえず、特に、薬事に関する法的規制等及び医療保険制度等に変更等が生じた場合があります。 (ニ)アプタマー医薬に関する潜在的な競合について 当社の潜在的な競合相手は、国内外の大手製薬企業、バイオ関連企業、大学、その他の研究機関等多岐にわたります。 1)アプタマー創薬企業との競合 アプタマー創薬を行っている企業は、現時点では当社やドイツのBerlin Cures社、米国のIVERIC社(2023年5月にアステラス製薬が買収を発表)が代表的な会社であり、この分野で公開されている各社の開発ターゲット(開発品目)を見る限り、競合はほとんどありません。 しかし、アプタマー創薬の基盤技術であるSELEX法に関する特許は、日本及びヨーロッパにおいて2011年6月、米国において2014年9月に失効しておりますので、その点で、アプタマー創薬への新規参入は容易であり、リスク要因といえます。 当社は、当社独自のアプタマー創薬のプラットフォームである「RiboART SystemⓇ」だけでなく、AIを用いる新たなプラットフォーム技術として「RaptRanker」、「RaptGen」及び「大規模言語モデルを用いたアプタマーの結合活性予測手法の開発」を早稲田大学と共同開発しております。また、アプタマー原薬の製造会社との良好な取引関係を推進するとともに、核酸科学分野の研究者・研究機関とのネットワークの維持等の対応を行っていきます。 2)抗体医薬等との競合 アプタマー医薬は抗体医薬と類似した作用メカニズムや投与方法などから、ターゲット疾患によっては抗体医薬との開発競争や市場での競合が起こりえます。 上記に述べた競合相手の中には、マーケティング力、財務状況等について当社やその提携先より優位にある大手製薬企業が多数あり、当社開発品と競合する製品(特に抗体医薬)を開発する可能性があります。 当社としては、当社開発品と競合する製品・開発品のプロファイル並びに開発状況等も考慮に入れながら、アプタマーの特徴を生かせるように開発を推進する所存です。 しかしながら、これら競合相手との競争が生じた場合、当社の事業等に影響を及ぼす可能性はあります。 (ホ)賠償問題発生リスクについて 当社の創薬対象であるアプタマー医薬は、これまで医薬品として用いられてきた低分子医薬品、ワクチン、抗体医薬品に次ぐ新しいカテゴリーである核酸医薬品に属するものです。 核酸医薬品は開発の歴史が浅く、現在までに20数品目が上市されただけで、多くは開発途上にあります。このため、製品の効果や安全性、製造方法及び製造コストなどにつき十分な経験、実績が確立されているとはいえず、予期せぬ副作用や製造上の問題または課題が発生する可能性があり、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、臨床試験の実施に伴う健康被害に対する賠償問題が発生した場合に備えて、治験賠償責任保険への加入によって、こうした事態が発生した場合の財政的負担を最小限にする対応を図っておりますが、当該保険で、十分な賠償責任金額を填補できない場合があり得ます。 (ヘ)海外での事業展開について 当社は、当社の開発するパイプラインが、国内のみならず、世界各国の罹患者の方々にとって需要のあるものであると考えております。このため、海外子会社や合弁会社の設立を含む形で海外展開に向けた取組みを進めております。 しかしながら、海外における特有の法的規制や取引慣行、あるいは海外でのファイナンスの未達により、必要な業務提携や組織体制の構築に困難が伴うなど、当社の事業展開が何らかの制約を受ける可能性もあり、その場合、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。 (ト)研究開発に関する外部委託について 当社は、広く社外にも専門的な意見を求め、さらに機動的な事業運営を図るため、主に以下に掲げる研究開発項目の一部について、外部機関に業務委託を行っております。 ・原薬(非臨床試験用及び臨床試験用の各種アプタマー)並びに治験薬の製造業務 ・非臨床試験の実施 ・臨床試験の実施 特に、原薬・治験薬製造委託取引については、自然災害や所在国における不測の事態、予期せぬ事情により契約終了した場合等により、当該製造元から安定的な原薬供給が受けられなくなる可能性があります。 そのため、当該製造元との良好な関係を維持・継続、また代替先の確保に努めております。 しかしながら、近年の核酸医薬開発の状況を踏まえると、今後、速やかに適切な業務委託先が確保出来ず、結果的に、当社の事業等に影響が及ぶ可能性があります。 (チ)投資に関するリスク 当社では、常に最先端の技術開発に取り組み、周辺領域を含めアプタマー創薬に参入している企業や潜在的な競争相手に先んじるため、関連する技術や特許を保有する企業に対して投資やM&A等(買収、合併、事業譲渡・譲受)という形で提携を進める可能性があります。 しかしながら、提携先の選定やその投資価額の妥当性等においては、各事業・財務等の社外専門家の評価を得たうえで慎重に進める方針でありますが、提携先において、予期せぬ問題が生じた場合や、予想通りに研究開発が進まない場合には、当社の事業等に影響が及ぶ可能性があります。 ②会社組織に関する事項 (イ)小規模組織であることについて 当社の人員は、当事業年度末現在で役員9名(取締役6名、監査役3名)、従業員25名と小規模であります。当社の研究開発活動については、比較的少人数による体制をしいており、CRO等の積極活用により、既存パイプラインの開発並びに新規薬剤候補化合物の探索を推進しております。今後は、既存パイプラインの開発推進及び新規薬剤候補化合物のパイプライン化に伴い、必要に応じて研究開発人員の増加を計画します。 管理部門(内部監査室を含む)の人員は当事業年度末現在で9名(兼務取締役1名、従業員8名)であり、内部管理体制も規模に応じたものとなっております。今後の事業拡大に伴い、管理部門につきましても増員を図る可能性があります。 しかし、計画通りの人員の確保ができない場合、あるいは既存人員の流出が生じた場合等には、当社の事業等に影響が及ぶ可能性があります。 (ロ)個人への依存について 当社は少数精鋭の組織であり、サステナブルな会社経営や発展を目指して、人材の採用、後継者育成に努め、役員構成にも配慮しておりますが、事業全般の推進を担う中村義一代表取締役社長の経営執行が困難になった場合や優秀な研究開発人材が退職した場合には、経営成績及び今後の事業発展に影響を及ぼす可能性があります。 (ハ)自然災害について 当社は、事業活動の中心となる研究設備や人員が本社周辺に集中しており、地理的なリスク分散ができておりません。今後、地理的なリスク分散も検討して参りますが、この地域において地震等の大規模な災害が発生した場合には、設備等の損壊、事業活動の停滞等により、当社の事業等に影響が及ぶ可能性があります。 (ニ)大学等との共同研究について 当社は東京大学を含め、複数の大学等公的機関と共同研究を実施してまいりました。今後もこれらの共同研究を継続していく考えでおります。 ③敵対的買収リスクについて 株価水準によっては、第三者の株式取得を通した敵対的買収が行われ、現経営陣が意図する経営が遂行できなくなるリスクが存在しますが、当社は、既存株主に対しての適時的確な情報発信を通じて友好関係を構築、維持するとともに機関投資家や戦略的提携企業等新規投資家の確保にも注力し、株主層の安定化を図ってまいります。 ④知的財産権に関する事項 (イ)特許について 当社の出願中の各特許については、特許出願時に特許事務所や専門家による特許性等に関する検討・調査を行った上で、最適な特許出願を実施しております。しかしながら、出願した特許が全て登録されるとは限らず、また、特許が無効となる、消滅する等した場合には、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、本項に記載した事項については、現在、当社が開発中のプロジェクトに関して、その実施に支障若しくは支障の発生を懸念される事項は、調査した限りにおいて、存在しておりません。 (ロ)訴訟及びクレームについて 当社においては、その事業が第三者の特許権等に抵触することを未然に防止するため、事業の着手及びその過程において、特許事務所や専門家による特許調査を適宜実施しており、現時点において第三者特許への抵触の可能性は低いものと認識しております。 また、当事業年度末現在において、当社の事業に関する特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟及びクレームが発生している事実はありません。 (ハ)特許の確保について 当社は、事業に必要となる職務発明につき、その発明者である役員・従業員等から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社は発明者に対して特許法第35条第3項に定める「金銭その他の経済上の利益(相当の利益)」を与えなければなりません。なお、当社は社内に周知された規程に則り、発明者の認定及び金銭の支払を実施しているため、これまでに金銭の額等について発明者との間で問題が生じたことはありません。 (ニ)情報管理について 当社の事業において、研究若しくは開発途上の知見、技術、ノウハウ等は非常に重要な機密情報であります。その流出リスクを低減するため、当社は、役職員、取引先等との間で、守秘義務等を定めた契約を締結するなど、厳重な情報管理に努めております。 ⑤サイバーセキュリティについて 近年、サイバー攻撃はこれまで以上に技術が高度化してきており、攻撃手法も多様化しており、製薬業界の持つ重要なデータも攻撃の対象となっております。悪意のある活動によって引き起こされるサイバー攻撃により、重要なITシステムの障害や、個人情報を含む機密データの漏洩に繋がる可能性があります。 当社は、ITセキュリティサービスの導入・モニタリング、定期的なバックアップの実施、ならびに各種情報管理規程を制定し、役職員の教育を行うことでITセキュリティ対策に努めております。 ⑥経営成績に関する事項 当社は、医薬品の研究開発を事業とするベンチャー企業であり、製薬企業との共同研究や製薬企業への開発品のライセンス・アウトにより収益を得ることを事業の中核としておりますが、医薬品の研究開発では当初から多額の資金が必要になる一方で、安定的な収益の計上にいたるまでには相当な期間を要するため、先行投資段階においては、期間損益がマイナスになる傾向があります。2015年3月期を除き、創業以来、2026年3月期まで当期純損失を計上してまいりました。当社は、既にライセンス・アウトしたパイプラインに続く、後続のパイプラインのライセンス・アウトや新規共同研究契約の獲得を推し進めてまいりますが、将来においてこれらの施策が計画通りに進展しない場合、予定した当期純利益を計上できず、マイナスの繰越利益剰余金がプラスとなる時期が遅れる可能性があります。 なお、過去5年間の当社の主要な経営指標等の推移は以下のとおりであります。 回次   第19期   第20期   第21期   第22期   第23期 決算年月       2022年3月   2023年3月   2024年3月   2025年3月   2026年3月 事業収益   (千円)   80,909   65,969   -   2,107   3,000 営業損失(△)   (千円)   △1,748,112   △1,786,041   △1,116,193   △1,050,589   △1,207,132 経常損失(△)   (千円)   △1,635,532   △1,649,305   △982,824   △1,014,861   △1,138,572 営業活動によるキャッシュ・フロー   (千円)   △1,499,224   △1,708,626   △932,757   △996,966   △1,110,863 上記に記載しましたように、安定的な収益の計上に至るまで、さらには、事業計画が計画通りに進展しない等の理由から資金不足が生じた場合には、提携内容の変更、更なる助成金の獲得、新株発行等の方法により資金需要に対応してまいります。 ⑦資金繰り 前項に記載しましたように、当社は医薬品の研究開発を事業とするベンチャー企業であり安定的な収益の計上に至るまでは先行投資の期間が続きます。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。このため、安定的な収益源を確保するまでの期間においては、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務基盤の強化を図る方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合は、当社グループの事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。 ⑧新株発行による資金調達 当社は医薬品の研究開発企業であり、将来の研究開発活動の拡大に伴い、増資を中心とした資金調達を機動的に実施していく可能性があります。その場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。 ⑨東証グロース市場の上場維持について 当社は、東京証券取引所にて2022年4月適用の新市場区分においてグロース市場を選択しており、2026年3月期末においても上場維持基準への適合を維持しておりますが、上場来10年が経過していることから、グロース市場の上場維持基準の1つである時価総額基準への適合が求められることになります。今後株価水準によっては、本基準に抵触することとなり、上場廃止となった場合には、資金調達に大きな影響を及ぼす可能性があります。 ⑩継続企業の前提に関する重要事象等 当社は、核酸医薬の一種である「アプタマー医薬」の開発を目的として創薬事業を展開している創薬プラットフォーム系バイオベンチャー企業です。医薬品開発は、研究費用及び臨床開発費用といった多額の先行投資を要するため、営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスが継続的に発生する状況であり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。 当社は、当該事象を解消すべく、2025年7月23日開催の取締役会において、第三者割当の方法による第18回乃至第20回新株予約権(行使価額修正条項付)の発行について決議し、2025年8月8日に払い込みが完了しました。なお、2025年12月10日に第18回新株予約権の行使が完了し、923百万円の資金確保を行っております。 また、資金面においては、当事業年度末において比較的流動性の高い資産として、現金及び預金1,927百万円及び安全性の高い有価証券900百万円の計2,827百万円を保有しており、当事業年度末から1年を超える期間についての資金を十分に確保していると判断しております。 以上のことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性はないと認識しております。
経営成績の分析 (MD&A)4,031字を開く

業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績等の状況の概要 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。 ①財政状態の状況 (イ)資産の部 当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べて209百万円減少し、2,976百万円となりました。これは、第18回新株予約権の行使に伴い現金及び預金が90百万円増加した一方で、RBM-006の薬効薬理試験の検収等に伴い前渡金が15百万円、有価証券が300百万円それぞれ減少したこと等によるものです。なお、当事業年度末において保有している有価証券は、第18回新株予約権等により調達した資金の一部において、研究開発への充当時期まで、一定以上の格付けが付された金融商品で元本が毀損するリスクを抑えて運用することを目的としたものです。 (ロ)負債の部 当事業年度末における負債は、前事業年度末に比べて7百万円減少し、135百万円となりました。これは、その他(仮受金)が8百万円増加した一方で、未払法人税等が8百万円、未払金が8百万円それぞれ減少したこと等によるものです。 (ハ)純資産の部 当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べて202百万円減少し、2,841百万円となりました。これは、第18回新株予約権の行使及び従業員向け譲渡制限付株式の発行に伴い、資本金及び資本剰余金がそれぞれ471百万円増加した一方で、当期純損失1,145百万円を計上したことにより、利益剰余金が同額減少したことによるものです。 以上の結果、自己資本比率は、前事業年度末から0.1ポイント減少し95.4%となっております。 ②経営成績 当事業年度において、事業収益3百万円(前事業年度の事業収益は2百万円)、事業費用として研究開発費803百万円、販売費及び一般管理費406百万円を計上し、営業損失は1,207百万円(前事業年度の営業損失は1,050百万円)となりました。 また、営業外収益として、コンピューター科学を応用した技術開発を目的としたJST委託事業や量子計算技術と人工知能を組み合わせた技術の活用により、医薬品創製プラットフォームの確立を目的としたNEDO委託事業、ACH治療薬umedaptanib pegolの開発を目的とした希少疾病用医薬品等試験研究助成金による助成金収入57百万円等を計上した一方で、営業外費用として、第18回新株予約権行使及び従業員への譲渡制限付き株式交付に伴う株式交付費13百万円等を計上したことにより、経常損失は1,138百万円(前事業年度の経常損失は1,014百万円)となりました。 また、固定資産の減損損失5百万円を計上したことにより、税引前当期純損失は1,144百万円(前事業年度の税引前当期純損失は1,017百万円)となり、法人税、住民税及び事業税1百万円の計上により、当期純損失は1,145百万円(前事業年度の当期純損失は1,018百万円)となりました。 なお、当社は創薬事業及びこれに付随する事業を行う単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 ③キャッシュ・フローの状況 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比較し90百万円増加し、1,927百万円となりました。 なお、上記資金以外に有価証券(満期保有目的の債券)を900百万円保有しており、比較的流動性の高い資産を当事業年度末においては2,827百万円保有しております。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果使用した資金は1,110百万円(前事業年度は996百万円の支出)となりました。主な資金減少要因は、ACHの臨床試験・RBM-006の非臨床試験を中心とした研究開発を行ったこと等に伴う税引前当期純損失1,144百万円等によるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果得られた資金は289百万円(前事業年度は67百万円の収入)となりました。資金増加要因は、有価証券の満期到来による払い戻し300百万円によるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果得られた資金は911百万円(前事業年度は667百万円の収入)となりました。主な資金増加要因は、第18回新株予約権が行使されたことに伴う株式の発行による収入921百万円によるものです。 ④生産・受注及び販売の実績 当社の事業は、創薬事業及びこれに付随する事業を行う単一セグメントであります。 (イ)生産実績 該当事項はありません。 (ロ)受注実績 該当事項はありません。 (ハ)販売実績 当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。 事業の名称   当事業年度 (自 2025年4月1日  至 2026年3月31日) 販売高(千円)   前年同期比(%) 創薬事業   3,000   142.4 合計   3,000   142.4 (注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。 相手先   前事業年度 (自 2024年4月1日  至 2025年3月31日)   当事業年度 (自 2025年4月1日  至 2026年3月31日) 販売高 (千円)   割合 (%)   販売高 (千円)   割合 (%) レナセラピューティクス株式会社   1,500   71.2   -   - University Hospital Center of Rouen   607   28.8   -   - リードファーマ株式会社   -   -   3,000   100 ⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。 この財務諸表の作成に当たりましては、会計方針の決定とその継続的な適用、並びに資産及び負債、収益及び費用の会計上の見積りを必要としております。この見積りに関しましては、過去の実績や適切と判断する仮定に基づき合理的に算出しておりますが、実際の結果はこれらの見積りと相違する可能性があります。 財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは固定資産の減損損失であり、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (損益計算書関係)※5固定資産の減損損失」に記載しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 当社の企業理念は「Unmet Medical Needs(未だに満足すべき治療法のない疾患領域の医療ニーズ)に応えること」であり、眼科疾患と希少疾患を重点領域と定め当事業年度においても取り組みを進めてまいりました。 その具体的な進捗は、「第1企業の概況 3 事業の内容 (1)当事業年度の主要なトピックス」に記載の通りであります。 (3)資本の財源及び資金の流動性 (イ)運転資金 当社は、医薬品の研究開発を事業としており、製薬企業との共同研究や開発品の製薬企業へのライセンス・アウトにより収益を得ることを事業の中核としております。 当社の事業を遂行するための、運転資金需要のうち主なものは、当社が創製するアプタマー医薬の研究開発を推進するための研究開発費であり、umedaptanib pegolを用いた2つの臨床試験(wet AMDを対象とした臨床試験及びACHを対象とした臨床試験)を自社で実施いたしました。なお、過年度における研究開発費の推移については下記に示すとおりであり、2027年3月期にACHを対象とした第3相臨床試験の開始を予定しているため、継続して資金需要が高い状態にあります。 また、現在臨床開発を実施しているパイプライン以外の研究段階にある既存パイプラインや研究開発を推進することも重要と考えており、眼科疾患治療薬の開発や新規治療薬候補品の開発等を遂行するための資金需要が生じております。 研究開発費の推移 回次       第19期   第20期   第21期   第22期   第23期 決算年月       2022年3月   2023年3月   2024年3月   2025年3月   2026年3月 研究開発費   (千円)   1,482,132   1,491,239   764,327   667,691   803,987 (ロ)財務政策 当社は中期事業目標として、①医薬品の実現、②次世代アプタマー・テクノロジーの開発、③社会に対する企業価値の創出を掲げております。そのため、過年度並びに現在発行している新株予約権で資金調達した資金を基に、主な開発として、①RBM-007のACHを対象とした第3相臨床試験、第2相長期試験及び承認申請に必要な非臨床試験②ドラッグデリバリーシステム用アプタマーを中心とした探索研究、③RBM-006(抗オートタキシン・アプタマー医薬)の研究開発等を進めており、当事業年度末の現金及び預金は1,927,180千円、有価証券900,000千円となっております。 (ハ)株主還元 当社の株主還元に関する方針は、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりであります。

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