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超!企業DB
日経平均64,325.64-1,890NYダウ52,980.73+214ドル円158.84-1NASDAQ26,208.82+109S&P 5007,666.58+35SOX 指数11,332.81+449/2終値

カイオム・バイオサイエンス

Chiome Bioscience Inc.4583 · Growth · 医薬品

独自の抗体作製技術でアンメットメディカルニーズに挑む創薬ベンチャー。ADLib®システムを武器に新規抗体医薬品を開発する。

概要

カイオム・バイオサイエンスは、理化学研究所との共同研究から生まれた抗体作製技術ADLib®システムを中核とする創薬ベンチャーである。東京都渋谷区に本社を置き、従業員49名で運営。2011年に東証マザーズに上場し、現在はグロース市場に属する。売上高は6~8億円程度で推移するが、研究開発費の先行により継続して営業損失を計上している。独自の抗体作製技術と臨床開発機能を組み合わせ、アンメットニーズの高い疾患に対する抗体医薬の創出を目指す。

創薬事業と創薬支援事業の二本柱

当社の事業は「創薬事業」と「創薬支援事業」に区分される。創薬事業では、自社技術で抗体医薬品候補を創出し、前臨床または初期臨床開発段階で製薬企業へ導出する。導出時の契約一時金、マイルストーン、ロイヤルティが主な収益源である。一方、創薬支援事業では、タンパク質の発現・精製や抗体作製サービスを外部機関に提供し、受託料を得る。この事業で得た収益を創薬事業の研究開発に充当する構造を持つ。2024年12月期の売上高は593百万円で、うち創薬事業と創薬支援事業の内訳は非開示だが、支援事業が安定的な収益基盤を支えている。

赤字が続く財務構造と研究開発投資

2012年3月期以降、売上高は3億円から8億円の範囲で推移するが、営業利益は一貫して赤字である。直近の2024年12月期は売上高593百万円に対し、研究開発費776百万円を計上し、営業損失979百万円、当期純損失982百万円となった。研究開発費の主な使途は臨床開発中のCBA-1205とCBA-1535に関する費用である。前年同期より研究開発費は160百万円減少したが、赤字幅は依然として大きい。創薬事業の収益化には導出契約の獲得が不可欠であり、現時点ではPFKRの旭化成ファーマへの導出が唯一のライセンス契約である。

IDDビジネスとバイオシミラーへの新展開

2025年、当社はIDD(Integrated Drug Discovery)ビジネスを立ち上げた。これは抗体創薬の知見や技術を活用し、製薬企業やベンチャーにコンサルティングや共同研究を提供するプラットフォーム型事業である。また、バイオシミラー領域では、アルフレッサホールディングス、キッズウェル・バイオと共同で厚生労働省の助成事業に採択され、台湾のMycenax Biotechを加えた4社で国内製造施設の設立を進める。これらの新規事業は創薬支援事業に含まれ、収益基盤の多様化を図る狙いがある。今後、IDDビジネスでの提携拡大やバイオシミラーの上市が実現すれば、収益構造に変化が生じる可能性がある。

業界の中での役割は抗体医薬品の研究開発・導出を行う創薬ベンチャー。にあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

売上高
6億円
営業利益
-10億円
営業利益率
-166.7%
純利益
-10億円
2025/12 通期の連結業績。決算の内訳は最新の決算以降にあります。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2025/3期)より

事業別の売上と利益

2019/12
事業売上構成比利益利益率
創薬支援事業2億円50.0%1億円50.0%
財務諸表計上額(注2)2億円50.0%-11億円-550.0%

有価証券報告書のセグメント情報から、外部顧客への売上とセグメント利益をそのまま掲載しています。全社費用・セグメント間取引の消去は含みません。

01製薬企業主力

アンメットニーズの高い疾患領域の抗体医薬品候補を研究開発し、製薬企業へ導出。契約一時金、マイルストーン、ロイヤルティ等を得る。

独自の抗体作製技術ADLib®システム

主要顧客旭化成ファーマ株式会社

主な製品・サービス5
CBA-1205
抗DLK-1ヒトIgG1型モノクローナル抗体。肝臓がん等の固形がんを標的とするファースト・イン・クラス抗体。
CBA-1535
Tribody®技術で創製したT細胞エンゲイジャー。5T4とCD3に結合し、がん細胞を攻撃する。
PCDC
抗CDCP1抗体。ADC用途を中心に固形がんへの開発が期待される。
PTRY
トリプル特異性抗体。5T4、CD3、PD-L1を標的とし、T細胞活性化と免疫チェックポイント阻害を組み合わせる。
PXLR
がん微小環境を改善する抗体。免疫抑制細胞を減少させ再発抑制が期待される。

02研究機関・診断薬企業準主力

創薬研究を支援する抗体作製サービス、タンパク質発現・精製、親和性向上等を提供。サービス料収入を得る。

主な製品・サービス2
抗体作製サービス
ADLib®システムやハイブリドーマ法を用いたモノクローナル抗体作製。
タンパク質発現・精製サービス
組換えタンパク質や抗体を細胞で発現させ精製する。分析も行う。

製品と技術

ADLib®システム:短期間でヒト抗体を得る独自技術

ADLib®システムは、ニワトリB細胞由来のDT40細胞が持つ自律的多様化機構を利用した抗体作製技術である。特徴は、抗原があれば約10日間という短期間で直接ヒトIgG抗体を取得できる点にある。動物免疫と異なり自己抗原への免疫寛容の影響を受けないため、理論上あらゆる配列のタンパク質を認識する抗体を取得可能である。また、抗原特異的抗体の取得から高親和性化までを連続的に行えるため、創薬の探索段階で効率的にリード抗体を得ることができる。当社はこのシステムを核に、ハイブリドーマ法やTribody®技術と組み合わせて抗体作製力を最大化している。

Tribody®とDoppeLib™:多重特異性抗体のプラットフォーム

Tribody®は3つ以上の異なる抗原結合部位を持つ多重特異性抗体を作製する技術プラットフォームである。当社の臨床開発品CBA-1535は、固形がん抗原5T4(2か所)とT細胞上のCD3に結合するT cell engagerであり、Tribody®技術を用いて創製された。これにより腫瘍近傍でT細胞を活性化し、がん細胞を攻撃する。さらにDoppeLib™は、2つの異なる抗原結合部位を持つ二重特異性抗体を迅速かつ網羅的にスクリーニングする技術である。培養細胞表面に抗体を発現させることで、標的の組合せや親抗体の最適化を効率的に評価できる。これらの技術は、当社の創薬パイプラインの多様化と付加価値向上に貢献している。

臨床開発中の主要パイプライン:CBA-1205とCBA-1535

CBA-1205は、肝臓がんを中心とする固形がん細胞表面のDLK-1に結合するヒトIgG1型モノクローナル抗体である。糖鎖改変によりADCC活性を増強したファースト・イン・クラス抗体で、前臨床試験で強力な抗腫瘍活性を示した。現在、国内で第1相臨床試験後半パートを実施中で、肝細胞がん、メラノーマ、小児がんの患者を対象に安全性と有効性を評価している。CBA-1535はTribody®技術で作製された多重特異性抗体で、5T4とCD3に結合するT cell engagerである。悪性中皮腫や肺がんを想定し、第1相試験で用量漸増を継続中。単剤での薬効シグナル確認後、チェックポイント阻害剤との併用も計画されている。両プログラムとも導出を見据えた臨床開発を進めている。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

医薬品のなかでの位置

会社が挙げる強い分野

  • 製薬企業独自の抗体作製技術ADLib®システム

有価証券報告書(2025/3期)で会社自身が述べている位置付けです。第三者による調査ではありません。

創薬ベンチャー、赤字継続で資金繰り課題

カイオム・バイオサイエンスは、抗体医薬品の研究開発を手掛けるバイオベンチャー。売上高は2024年12月期に8億円と小規模で、営業利益率は-125%と赤字が拡大。同業のGNIグループやPRISM BioLabと比べ、開発パイプラインの進捗が遅れている。主力の「AdLib」技術を活用した抗体作製受託や共同研究で収益を得るが、自社パイプラインの上市には至っていない。2025年12月期は売上減少と赤字幅拡大が見込まれ、資金調達リスクが高い。海外展開は限定的。

強み

  • 「AdLib」システムにより、高親和性抗体の迅速な作製が可能
  • 製薬企業との提携により、安定した受託収入を確保
  • 抗体関連特許を保有し、将来的なライセンス収入の可能性
  • 抗体医薬分野に特化した高い技術力と専門人材

課題

  • 営業赤字が拡大し、資金調達が不可欠な状況
  • 自社開発品の臨床段階が遅く、収益化のメドが立たない
  • 2025年12月期売上6億円と減少、受託収入の不安定さ

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

医薬品の時価総額近傍。太字がカイオム・バイオサイエンス

時価総額で並べると、掲載11社のなかで6番目にあたる。

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は東証33業種の分類に従っています。

会社の歴史

沿革 16件

理研との共同研究からADLib®システムの実用化へ(2005年)

2005年2月、国立研究開発法人理化学研究所および埼玉県産業振興公社との共同研究で開発されたADLib®システムの実用化を目的として、東京都文京区に株式会社カイオム・バイオサイエンスを設立した。資本金は10,000千円。同年4月には理研と共同研究契約を締結し、7月にはADLib®システムに関する特許のサブライセンス権を取得した。このシステムはニワトリB細胞由来のDT40細胞を用いて短期間でヒト抗体を得る独自技術であり、創業以来の中核技術となっている。2010年には科学技術振興機構と理研から特許権を譲り受け、知的財産を自社で保有する体制を整えた。

上場と企業買収による事業拡大(2011年~2015年)

2011年12月、東京証券取引所マザーズに株式を上場した。その後、2013年12月に株式会社リブテックの発行済株式の過半数を取得し子会社化。2015年7月にはリブテックを吸収合併した。同年10月には株式会社イーベックへの資本参画、2017年には株式会社Trans Chromosomicsへの出資を行うなど、外部リソースの取り込みを積極的に進めた。これらの動きは、当社の技術基盤を補完し、創薬パイプラインの拡充や事業領域の拡大を意図したものである。2013年5月には本社を東京都渋谷区に移転し、現在に至っている。

外部技術導入と初の臨床試験開始(2018年~2020年)

2018年12月、がん治療用候補抗体Tb535H(現CBA-1535)及び抗体改変技術Tribody®を外部から取得した。これにより多重特異性抗体の開発基盤を獲得した。2020年7月には、当社初の臨床開発品であるがん治療用候補抗体CBA-1205の第1相臨床試験を開始した。CBA-1205は肝臓がん等の固形がんを標的とするDLK-1抗原に対する抗体で、糖鎖改変によりADCC活性を増強している。この臨床試験の開始は、当社が探索研究段階から臨床開発段階へと事業ステージを進めた重要な節目となった。

市場区分変更と新たな臨床試験への挑戦(2022年~2025年)

2022年4月の東証市場区分見直しにより、マザーズからグロース市場へ移行した。同年6月には、Tribody®技術を用いた世界初の臨床試験としてCBA-1535の第1相試験を開始した。CBA-1535は固形がんに発現する5T4とT細胞上のCD3に結合するT cell engagerである。2024年11月にはPFKRを旭化成ファーマに導出するライセンス契約を締結。2025年3月には監査等委員会設置会社へ移行し、コーポレートガバナンス体制を強化した。同年にはIDDビジネスやバイオシミラー事業への取り組みも開始し、事業ポートフォリオの多様化を図っている。

年表16件を開く

2000年代

  • 2005年2月創業国立研究開発法人理化学研究所(以下、「理研」)および財団法人埼玉県産業振興公社との共同研究により開発された抗体作製技術であるADLib®システム(*)の実用化を目的として、東京都文京区にて株式会社カイオム・バイオサイエンス(資本金10,000千円)を設立
  • 2005年4月理研とADLib®システムの実用化を目的として共同研究契約を締結し、研究活動を開始
  • 2005年7月理研よりADLib®システムに関する発明の第三者へのサブライセンス権付き通常実施許諾権を取得
  • 2009年10月東京都新宿区に本社移転

2010年代

  • 2010年8月国立研究開発法人科学技術振興機構、理研とADLib®システムの産業財産権に係わる特許権等譲渡契約締結
  • 2011年12月上場東京証券取引所マザーズに株式を上場
  • 2013年5月東京都渋谷区に本社移転
  • 2013年12月M&A株式会社リブテック(以下「リブテック」)の発行済株式を過半数取得することにより子会社化
  • 2015年7月M&Aリブテックを吸収合併
  • 2015年10月株式会社イーベックへの資本参画
  • 2017年2月株式会社Trans Chromosomicsへの出資
  • 2018年12月がん治療用候補抗体Tb535H(現、CBA-1535)及び抗体改変技術Tribody®(*)の譲受契約締結

2020年代

  • 2020年7月当社初の臨床開発品がん治療用候補抗体CBA-1205の第1相臨床試験(*)の開始
  • 2022年4月東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所のマザーズ市場からグロース市場へ移行
  • 2022年6月Tribody®の世界初の臨床試験として、当社臨床開発品がん治療用候補抗体CBA-1535の第1相臨床試験の開始
  • 2025年3月監査等委員会設置会社へ移行

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2025/12期の経営方針より

会社は5つの方針を掲げている。そのうち1項目には、達成する数字が明記されている。

会社が掲げている数値目標
  • 創薬支援事業セグメント利益率50%

有価証券報告書の原文に書かれた目標だけを載せています。達成度の評価や推計は加えていません。

  1. 01

    治療用抗体の臨床開発と導出

    ファースト・イン・クラス抗体CBA-1205と多重特異性抗体CBA-1535の第1相臨床試験を進め、終了後の導出を目指す。CBA-1205では肝細胞がん、メラノーマ、小児がん等の複数コホートで有効性データを取得し製品価値を最大化する。

  2. 02

    治療用リード抗体の継続的創出

    アカデミアやバイオベンチャーとの共同研究を通じて、アンメットニーズに対するリード抗体を継続的に創出し、製薬企業へ早期導出を目指す。次世代抗体基盤技術DoppeLib™の研究開発も推進する。

  3. 03

    開発候補品の継続的な創出・確保

    自社創薬研究と外部企業との提携・共同研究により、ステージの異なる複数のパイプラインを確保し、開発候補品を断続的に保持する。

  4. 04

    創薬研究・開発と事業開発の連動

    業界動向や医療ニーズを調査し最適な創薬ターゲットを選定。製薬企業との情報交換やアカデミア連携を通じて需要を発掘し、早期の導出契約につなげる。

  5. 05

    創薬支援事業とIDDビジネスの推進

    既存顧客の取引拡大と国内外の新規顧客獲得を進め、創薬支援事業および統合的創薬ソリューション(IDD)ビジネスを拡大し、創薬事業への研究投資資金を確保する。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 10期分

グループ全体で49人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は768万円で、9期前と比べて+1.5%平均年齢は45.8歳、平均勤続年数は6.3年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数一人当たり営業利益万円
2016年12月42
2017年12月37
2018年12月37
2019年12月75743.04.838
2020年12月74942.55.042
2021年12月75443.25.049
2022年12月72744.35.949
2023年12月68844.65.951
2024年12月73844.86.147−2,128
2025年12月76845.86.349−2,041

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

拠点とグループ

設備と関係会社

主要な設備 (帳簿価額 上位2)
本社及び 技術研究所 — 東京都渋谷区36百万円
創薬研究所 — 川崎市宮前区0百万円

業績のいま

有価証券報告書・決算短信より

2025年12月期の売上高は6億円営業利益-10億円前期と比べると減収で、売上が-25.0%。

売上高
-25.0%
6億円
営業利益
-10億円
純利益
-10億円
営業利益率
-166.7%
前期比 -41.7%pt

四半期の推移

10期分

直近は2026年2Qで、売上は3億円、営業利益は−5億円。前年の2025年2Qと比べると、売上は+0.0%。

対象期間売上高億円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2023年1Q2−2−100.0−2
2023年2Q2−5−250.0−5
2023年3Q1−2−200.0−2
2023年4Q2−3
2024年1Q1−3−300.0−3
2024年2Q2−3−150.0−3
2024年4Q5−4−80.0−4
2025年2Q3−5−166.7−5
2025年4Q3−5−166.7−5
2026年2Q3−5−166.7−5

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。

業績の推移

有価証券報告書 15期分

2012年3月期からの15期で、売上は6億円から6億円へほぼ横ばい。直近期の営業利益率は-166.7%。

決算期売上高億円営業利益億円経常利益億円営業利益率%純利益億円
2012年3月600
株式会社リブテック(以下「リブテック」)の発行済株式を過半数取得することにより子会社化
2013年3月3−4−4
2014年3月4−7−8
2014年12月3−9−9
リブテックを吸収合併
2015年12月3−13−13
2016年12月3−10−15
2017年12月3−9−9
2018年12月2−15−15
2019年12月4−14−14
2020年12月5−13−13
2021年12月7−13−15
2022年12月6−12−12
2023年12月7−12−12
2024年12月8−10−10−125.0−10
2025年12月6−10−10−166.7−10

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。空欄の期は有価証券報告書からその項目の数値が取れていません(0ではありません)。

利益の構造

2025年12月期

売上高6億円のうち、営業利益として残るのは-10億円-166.7%。営業外の損益と税金を反映した純利益は-10億円、売上の-166.7%にあたる。営業利益率は業種中央値2.9%を下回る水準。

売上高を100としたときの内訳
  • 売上原価作る・仕入れるのにかかったお金33.3%2億円
  • 販売費及び一般管理費売る・管理するのにかかったお金216.7%13億円
  • その他の費用持分法損益などの調整16.7%1億円
  • 営業利益費用を引いたあとに残った本業の利益-166.7%-10億円

有価証券報告書の損益計算書から、当期の金額をそのまま割り振っています。売上原価と販管費は単体ベースの数値です。

粗利率
66.7%
売上から原価を引いて残る割合
営業利益率業種比169.6pt
-166.7%
本業の利益として残る割合
純利益率業種比169.4pt
-166.7%
税金まで払って最後に残る割合
ROA
-58.8%
資産全体がどれだけ利益を生んだか
ROIC
-140.0%
事業に使うお金がどれだけ利益を生んだか

ROICは有利子負債の開示がないため、営業利益×0.7÷(総資産−現金)の簡易式で算出しています。

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 15期分

2025年12月期は営業CFが−9億円、投資CFが−1億円で、差し引きのフリーCFは−10億円この組み合わせは先行投資型にあたる。本業がまだ現金を生まない中、調達した資金で投資を続けている。スタートアップ・再建初期の型期末の手元現金は12億円で、売上の24.0ヶ月分にあたる

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2012年3月004010
2013年3月−4−15−510
2014年3月−6−241−843
2014年12月−8−621−1451
2015年12月−12−181−3021
2016年12月−1020141046
2017年12月−9−15−1040
2018年12月−17023
2019年12月−15013−1521
2020年12月−14019−1427
2021年12月−1103−1118
2022年12月−121117
2023年12月−1107−1113
2024年12月−101721
2025年12月−9−11−1012

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 15期分

2025年12月期の総資産は17億円。このうち返さなくてよい自己資本が11億円で、自己資本比率は64.1%(業種中央値69.9%より薄い)

決算期総資産億円自己資本億円負債億円自己資本比率%
2012年3月1310382.6
2013年3月1310376.3
2014年3月5046489.8
2014年12月6358592.9
2015年12月4946392.2
2016年12月4846294.5
2017年12月4442294.6
2018年12月2827193.5
2019年12月2826292.6
2020年12月3531488.2
2021年12月2319479.4
2022年12月2218480.2
2023年12月1812665.1
2024年12月2519577.4
2025年12月1711664.1

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2025年12月期の内訳単体ベース
現金及び預金
12億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
-20億円
過去の利益の積み上がり
棚卸資産
0億円
在庫として抱えている分
負債合計
6億円
いつか返す必要があるお金
財務の健全性
40
/ 100
安定性自己資本比率40 / 40
収益力営業利益率0 / 30
現金創出営業CFの黒字継続0 / 30

有価証券報告書の数値から機械的に配点した参考値です。自己資本比率60%で満点、営業利益率15%で満点、直近3期の営業CFが黒字だった割合の3つを足しています。業態によって出ない要素があります。

業界内での比較

医薬品 79社との比較

同じ医薬品の企業と並べると、いちばん上に来るのは自己資本比率79社中48位あたり、逆に低いのは売上成長率79社中70位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
/中央値 5.9%
P25 2.0%P75 11.0%
営業利益率下位売上のうち本業の利益として残る割合
-166.7%/中央値 2.9%
P25 -162.5%P75 11.5%
自己資本比率総資産のうち返済のいらないお金の割合
64.1%/中央値 69.9%
P25 53.4%P75 84.5%
売上成長率下位前期からの売上の伸び
-25.0%/中央値 2.8%
P25 -1.3%P75 12.0%
配当利回り株価に対して1年で受け取る配当の割合
/中央値 2.9%
P25 2.3%P75 3.5%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月2日の終値

直近の終値は¥81で、1年前と比べて-41.7%過去52週の値幅のなかでは21%の位置にある。

¥81-2.4%1ヶ月+17.4%1年-41.7%時価総額55億円
過去52週の値幅
安値¥65高値¥142

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標
PBR4.08倍

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

株価は8月17日に85円と前日比+6.3%上昇、1か月で+16.4%高。25日線(71.96円)を+18.1%上回り、RSIは85.7と著しい過熱感。52週高値(145円)には届かないが、直近の底値(65円)から30%上昇。出来高も増加しており、短期的な上昇トレンドが継続中。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

AIの評価

AI評価

株価水準の解釈です。売買の推奨ではありません

現在の株価水準を割高と判定しています(スコア 20/100)

PERは算出不能(赤字継続)、PBRは4.43倍と業界平均の3.32倍を上回り、割高感がある。無配当で、ROEもマイナスと収益性は極めて悪い。直近の売上高は減少傾向で、営業赤字が拡大しており、業績改善の見通しが立たない。医薬品セクターの中でも、収益力の低さを考慮すると現行の株価水準は割高と判断せざるを得ない。

指標この会社業種平均
PBR4.08倍3.53倍

業種平均は同じ東証33業種に属する銘柄の単純平均です。銘柄数が少ない業種では平均が振れます。

AI評価判定とスコアは公開データをもとにした解釈で、将来の株価を示すものではありません。算出の考え方は編集方針に記載しています。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

創薬ベンチャーとして、パイプラインの進捗と提携の成否が全ての投資判断を左右する。強気派は、保有する抗体医薬や再生医療の可能性に期待し、大型提携・ライセンス料収入で業績が飛躍する可能性を指摘。また、開発後期のパイプラインがあれば、承認時のインパクトは大きい。一方、弱気派は、現状の売上高は約8億円と小さく、営業赤字が継続しており、資金調達リスクがあると懸念。株価は1年で45%下落しており、開発の遅延や失敗リスクが株価に織り込み済みかも不透明。今後の臨床試験結果が最大の焦点。

プラスに働く材料7
  • パイプライン価値

    抗体医薬や再生医療の開発に成功すれば、大型収益源となり得る。

  • 提携機会

    製薬企業との提携やライセンス契約で、資金と収入が得られる可能性。

  • 技術革新

    独自の技術プラットフォームを評価し、将来の創薬力を期待。

  • 純損失は10億円と赤字幅が縮小決算発表後影響

    純損失は2023/12期の12億円から2024/12期10億円へ改善。2025/12期も10億円と横ばい。

  • 売上高8億円の実績から事業継続性を確保通年影響

    2024/12期売上高は8億円。2025/12期は6億円に減るが、赤字幅は変わらず効率化が進行。

  • 株価は1年で45.7%下落、売られすぎ感不定影響

    株価75円は1年前から45.7%下落。材料出尽くしで値ごろ感が台頭し、反発余地。

  • PBR4.15倍は将来成長を織り込む2026年〜2027年影響

    赤字でもPBR4.15倍は資産価値を上回る。成長投資が奏功すれば一段の上昇が期待できる。

マイナスに働く材料7
  • 赤字継続

    直近でも営業赤字が続き、資金調達が必須となる見通し。

  • 不確実性

    創薬の成功確率は低く、開発失敗で株価が大きく下がるリスク。

  • 売上小

    現状の売上高は8億円程度で、事業基盤がまだ脆弱。

  • 売上高6億円と前期比25%の減収予想2025年Q4影響

    2024/12期8億円→2025/12期6億円。赤字会社であり減収はキャッシュフローを直撃。

  • 営業利益率は▲166.67%と大幅悪化2025年下期影響

    営業損益は10億円の赤字で売上高6億円。限界的な増収でも損失が拡大する構造。

  • 無配当が継続し投資魅力が乏しい継続影響

    配当利回り0%。純資産の取り崩しが続き、株主への還元は見込めない。

  • 予想PER・純利益が示されず透明性不安決算発表後影響

    スナップショットのPERはnull。赤字計画で将来価値を評価できず、投資家の警戒が続く。

次の決算で確かめる点
パイプライン進捗
臨床試験の結果や承認時期が株価を大きく動かすため。
営業赤字幅
資金消耗のペースを確認し、資金調達の必要性を把握するため。
提携・ライセンス収入
外部企業からの契約が業績化するかが成長の鍵となるため。

株主

有価証券報告書より

2025年12月期末の株主数は延べ24,103人。区分でいちばん多いのは個人・その他93.6%。グループ会社や銀行などの安定株主が1.9%を占め、残る98.1%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2020年12月%2021年12月%2022年12月%2023年12月%2024年12月%2025年12月%
個人・その他83.087.285.586.091.493.6
証券会社11.99.911.66.54.73.4
金融機関0.70.40.60.40.21.1
事業法人1.41.41.24.80.70.8
外国法人2.71.00.81.92.70.7
外国人個人0.30.20.20.30.30.4

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01渡邊 賢二3.14
02太田 邦史1.41
03江平 文茂1.40
04楽天証券株式会社共有口1.36
05平田 重一1.08
06日本証券金融株式会社1.03
07御所野 侃1.00
08飯作 哲男0.89
09巻幡 俊0.83
10山戸 福太郎0.80

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

大量保有報告の動き
5%超の保有者の提出ベース 直近7
  • 2026-07-08
    グロース・キャピタル株式会社
    新規の大量保有報告
    4.06%
    -1.09pt
  • 2026-06-24
    グロース・キャピタル株式会社
    新規の大量保有報告
    5.15%
    -1.08pt
  • 2026-06-16
    グロース・キャピタル株式会社
    新規の大量保有報告
    6.23%
    -1.06pt
  • 2026-06-05
    グロース・キャピタル株式会社
    新規の大量保有報告
    7.29%
    -1.22pt
  • 2026-05-26
    グロース・キャピタル株式会社
    新規の大量保有報告
    9.57%
    -1.08pt
  • 2026-05-26
    グロース・キャピタル株式会社
    新規の大量保有報告
    8.51%
    -1.06pt
  • 2026-04-21
    グロース・キャピタル株式会社
    新規の大量保有報告
    10.65%
    -0.71pt

提出があった時点の記録です。その後5%を割った保有者が一覧に残ることがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 15期分

1株利益は15期で−378%、1株純資産は15期で−74%。期末時点の株価にもとづく指標の推移。

決算期EPSBPS
2012年3月−363
2013年3月−2557
2014年3月−40223
2014年12月−42265
2015年12月−58206
2016年12月−66178
2017年12月−33156
2018年12月−5799
2019年12月−4578
2020年12月−3678
2021年12月−3746
2022年12月−2837
2023年12月−2522
2024年12月−1829
2025年12月−1416

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安

経営陣

7名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は7名。2025/12期の役員報酬は総額105百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約3倍にあたる。

氏名役職年齢保有株数
小池正道代表取締役 社長63120,700
美女平在彦取締役 副社長48130,800
田岡照世取締役 開発本部長57102,700
河合弘行取締役72
降矢朗行取締役(監査等委員)8113,000
山川善之取締役(監査等委員)64
坂本二朗取締役(監査等委員)65

役員報酬の内訳2025/12

役員の区分人数固定報酬百万円株式報酬百万円その他百万円合計百万円1人あたり百万円
取締役(社内)46821218922
社外取締役516163

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2025/12期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容8,202字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3【事業の内容】 1.事業環境 (1)当社が研究開発を手掛ける抗体医薬品 ヒトには、体内に侵入した細菌やウイルス等のタンパク質を異物(抗原)として認識し、その異物を攻撃、排除するために、体内で抗体というタンパク質を作る能力(抗原抗体反応)が備わっています。これは免疫と言われる身体を守る防御システムの一つです。こうして体内で作られた抗体は、特定の抗原にのみ結合する性質を持っており、正常な細胞とがん細胞を見分けたり、病気の原因となるタンパク質の機能を抑えたりすることができます。この抗体というタンパク質を医薬品として体の外から投与するものが抗体医薬品です。従来の低分子医薬品では、正常な細胞にも作用することで副作用を引き起こすこともありますが、抗体医薬品は、疾患に関連する細胞だけが持っている抗原をピンポイントで狙い撃ちするため、高い治療効果と安全性が期待されております。 現在、世界で承認されている抗体医薬は100品目を超えており、がんや自己免疫疾患の領域では目覚ましい治療効果をもたらしたものもあります。しかしながら、膵臓がん、肺がん、アルツハイマー病、糖尿病合併症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)等、未だに治療満足度、薬剤貢献度が低い疾患が残されており、また、既存の抗体治療薬よりも優れた抗体に対するニーズも存在します。当社は、自社の技術プラットフォームを初めとする抗体・タンパク質周辺技術を最大限に活用して、そのようなアンメットニーズ(*)の高い分野に対する抗体創薬に取り組んでおります。 <抗原抗体反応> (2)抗体医薬品市場 抗体医薬品は、がんや自己免疫疾患等を中心に医療の現場で処方されており、近年の全世界医療用医薬品の市場においては抗体薬品を中心とするバイオ医薬品処方箋薬のシェアは3割を超え、売上高の上位100品目の半数以上を占めるまでになっております。また、抗体薬物複合体(ADC(*))やバイスペシフィック抗体(*)に代表される多価抗体などの次世代型抗体については、従来よりも有用性を高めた医薬品としての開発が進められ販売されるに至っており、今後も抗体医薬品市場の一層の拡大が期待されております。(出典:Evaluate World Preview 2022) 2.当社のビジネスモデル (1)経営理念 当社は、「医療のアンメットニーズに創薬の光を」というミッションのもと、「アンメットニーズに対する抗体医薬の開発候補品を生み出すNo.1ベンチャー企業を目指す」という経営ビジョンを掲げ、アンメットニーズの高い疾患領域に対する抗体創薬と創薬支援を事業の基本として、成長性と安定性を兼備した経営を目指しております。 (2)ビジネスモデル 当社は、独自の抗体作製技術(ADLib®システム、Tribody®、DoppeLib™)や創薬力を用いて治療薬や診断薬等の抗体医薬品候補を研究開発する「創薬事業」および「創薬支援事業」を展開しております。「創薬事業」では、抗体医薬品の基礎・探索研究(*)、前臨床段階を主な事業領域として、アンメットニーズの高い疾患領域における抗体創薬研究を行い、医薬候補品を製薬企業等に導出(*)します。また、当社のパイプライン(*)のうちCBA-1205やCBA-1535については、当社の収益性を最大化するため、初期臨床試験を実施したのちに導出を行います。また、「創薬支援事業」では、製薬企業や診断薬企業、アカデミア等の研究機関で実施される創薬研究を支援するため、抗体などのタンパク質の発現・精製等のサービスや、当社の保有する抗体作製技術を用いた抗体作製サービスの提供、ADLib®システムを用いた抗体の親和性向上業務の提供を行います。このように、当社は拡大する抗体医薬品市場において製薬企業等に製品やサービスの提供を行うことを主たる事業としており、これにより当社は、契約一時金、マイルストーン(*)、ロイヤルティ(*)、受託サービス料等の対価を企業等から受け取り収益を獲得します。 なお、上記の事業は「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 <当社の収益モデル・事業系統図> <事業系統図(創薬事業)> <事業系統図(創薬支援事業)> (3)当社の基本戦略 当社は、当社が保有する複数の抗体作製技術を用いて標的抗原に対する多様な抗体を作製し、リード抗体(*)を取得することで、有効な治療法がない重篤な疾患や、薬剤による治療満足度が低い疾患を中心とした、アンメットニーズの高い疾患に対する抗体医薬の開発候補品を生み出す、No.1ベンチャー企業を目指します。 (4)当社の基本戦略を遂行するための3つの強み ・医薬品候補抗体を継続的に創出するための独自のADLib®システム、Tribody®、DoppeLib™等の複数の抗体作製技術、タンパク質調製や抗体エンジニアリングに関する技術やノウハウ等からなる技術プラットフォームを保有していること ・臨床開発機能を有し、自社による創薬テーマの設定から非臨床パッケージの構築、開発戦略および薬事戦略の立案、ならびにCMC(*)開発によるCMO(*)マネジメントなど、医薬品候補の創製から初期臨床開発までを最速で実施できる体制を確立していること ・専門性の高い人材が持つネットワークを通じて、当社の研究開発の推進に最適なリソースや資源を獲得できること 3.事業内容 (1)創薬事業 創薬事業は、アンメットニーズの高い疾患領域における抗体創薬研究と開発(共同開発を含む)を行い、その研究成果物であるリード抗体等の知的財産を製薬企業等に実施許諾し、契約一時金、マイルストーンおよびロイヤルティ、並びに共同開発等に係る収入等を獲得する事業です。 医薬品の開発には、一般的に基礎・探索研究、前臨床開発、臨床開発、申請・承認、製造・販売のプロセスがありますが、当社の創薬事業においては、基礎・探索研究段階から前臨床開発および初期臨床開発段階までの抗体医薬品開発の上流工程を主な事業領域としております。本事業においては、自社で開発候補抗体(ヒト化抗体(*)、ヒト抗体)の前臨床データパッケージまでを作成し、早期導出を図ることを基本戦略としますが、CBA-1205やCBA-1535のように特定のプログラムにおいては抗体の価値を高め、収益性の向上が期待できる自社での初期臨床開発も行ってまいります。 また、当該事業領域におけるパイプラインは、自社の抗体作製技術等を用いた創薬研究活動や外部からの新規パイプラインの導入(*)によって、拡充を図ってまいります。 当社が保有しているパイプラインは下記のとおりです。 CBA-1205は、肝臓がんを中心とする固形がんの細胞表面に発現している抗原DLK-1というタンパク質に選択的に結合する遺伝子組換えヒトIgG1型モノクローナル抗体(*)です。糖鎖改変技術によって抗体依存性細胞傷害活性(ADCC活性(*))を増強させたファースト・イン・クラス(*)抗体で、DLK-1を発現するがん細胞を移植したマウスに対して強力な抗腫瘍活性を示します。DLK-1は、幹細胞(*)や前駆細胞(*)のような未熟な細胞の増殖・分化を制御することが明らかにされていましたが、肝臓がんをはじめとする複数のがん細胞表面においてもDLK-1が発現しており、その増殖に関与していることが明らかにされています。そのためDLK-1はがん治療における新たな標的分子としての可能性が期待されています。 CBA-1535は3つの抗原結合部位を有する多重特異性抗体で、抗原結合部位の内の2つは多くの固形がんに発現がみられるタンパク質5T4に結合し、残りの1つが免疫細胞であるT細胞(*)上のタンパク質CD3に結合する、Tribody®技術を用いて創製されたT cell engager(*)というカテゴリに入る、がん治療用候補抗体です。患者さんが元来保有している免疫を司るT細胞の働きを活性化することで、がん細胞を攻撃します。想定される適応疾患としては、悪性中皮腫、小細胞肺がんや非小細胞肺がんなどのアンメットニーズが高い領域での開発が期待されます。 PCDC(*)は、幅広い固形がん(肺がん、膵臓がん等)で発現が確認されているCDCP-1というタンパク質をターゲットとし、結合特性等に基づく広い有効域・安全域が期待される抗体です。がん細胞上のCDCP-1に結合した後、細胞内に取り込まれやすい性質を利用して、抗体に薬物を結合したADC用途を中心とした開発が期待されます。 PTRY(*)は3つの分子を認識するTribody®技術を用いて創製したがん治療用候補抗体で、固形がんに発現が認められる「5T4」、免疫細胞であるT細胞上の「CD3」、免疫チェックポイント阻害に関与する「PD-L1」に結合するがん治療用の多重特異性抗体です。T cell engagerに加えて免疫チェックポイント阻害機能を加えることで従来のがん免疫療法では十分に効果が期待できなかった患者さんへの新たな治療薬となることを期待しています。また、複数の機能を一つの薬剤に持たせることで患者さんや医療現場の負担軽減、薬価抑制による医療経済への貢献にも有用な薬剤として期待されます。 PXLR(*)は、がん細胞により呼び寄せられる薬剤耐性環境の原因細胞である免疫抑制細胞を減少させ、薬剤耐性のがん微小環境を改善、再発抑制が期待される、がん治療用候補抗体です。 PFKR(*)はFractalkine (CX3CR1) receptorの機能阻害抗体であり、自己免疫性神経疾患等の病態進行を抑制することが期待されます。また、2024年11月に旭化成ファーマ株式会社(以下、旭化成ファーマ)との間で、ライセンス契約を締結いたしました。 また、当社では、自社単独または共同研究により新規のターゲットに対する複数の抗体創薬プロジェクトを推進しております。新規創薬プロジェクトの発足においては、大学・研究機関等から、従来の技術では抗体作製が困難な抗原情報を入手するなど、ターゲット(抗原)の獲得も積極的に行っております。それらの抗原に対する抗体が、疾患モデル動物などを用いた評価により、治療効果を有する事を確認した場合、当社はその発明について共同出願を行い事業化の権利を確保した上で研究活動を推進いたします。また当社の創薬力を向上するため、基礎的かつ高度な専門性を要求される分野において大学・研究機関等と共同研究を行い、当社が保有する抗体作製技術の改良や、創薬基盤技術における課題解決を図るなど技術革新にも取り組んでおります。 (2)創薬支援事業 製薬企業や診断薬企業、大学等の研究機関で実施される創薬研究を支援するため、抗体などのタンパク質の発現・精製等のサービスや、当社の保有する抗体作製技術を用いた抗体作製サービス、ADLib®システムを用いた抗体の親和性向上業務を提供することによってサービス料等の収入を獲得する事業です。 <主なサービスの内容> サービス項目   内 容 タンパク質・抗原調製、抗体の発現精製   抗体作製に必要な組換えタンパク質(抗原)や、研究開発用途の抗体などを細胞に発現させ、精製を行います。種類に応じた発現・精製方法を選び、純度や物性の分析を行います。 安定発現細胞株作製   安定的に組換えタンパク質(抗原や抗体)を供給できるように、遺伝子組換え技術を用いて、組換えタンパク質を効率よく発現する細胞株を作製します。 ADLib®システム等による抗体作製   ADLib®システムやハイブリドーマ法(*)といった抗体作製技術を用い、創薬研究に用いるモノクローナル抗体作製を行います。当社の抗体創薬の知識・ノウハウを活かし、顧客のニーズに合わせた抗体作製プランを提案いたします。 ADLib®システムを用いた抗体の親和性向上業務   当社で培ったADLib®システムの技術・ノウハウを活かし抗体の結合力(抗体親和性)を向上させることで、より薬効の高い抗体医薬の精製が期待できます。 4.当社の抗体作製技術 (1) 抗体作製技術 当社は抗体作製技術のADLib®システムやTribody®作製技術など独自の抗体作製技術を保有し、また、汎用的な技術であるハイブリドーマ法などの複数の技術を用いて抗体作製を行っております。また、それぞれの技術の特性を活かして統合的に運用することにより抗体作製力を最大化してまいります。また、新たに多重特異性抗体作製技術であるDoppeLib™の開発も進めており、当社の抗体作製技術の強化にも努めております。 <抗体作製技術とその特徴> 抗体作製技術   技術の特性 ADLib®システム   ・抗原があれば10日前後という短期間で直接ヒトIgG抗体が獲れる ・自律的多様化という独創的な抗体ライブラリ(*)の特徴を生かし、抗原特異的抗体(*)の取得から抗体の高親和性化までを連続的に行うことが可能 ・動物免疫(*)と異なり、自己抗原への免疫寛容(*)の影響を受けないため、理論的にはあらゆる配列のタンパク質を認識する抗体を取得できる可能性がある Tribody®   ・3つ以上の異なる抗原結合部位を持つ抗体であるTribody®およびその発展型多重特異性抗体のデザイン・エンジニアリング・創薬開発を可能にする技術プラットフォームをいう ・CBA-1535のように腫瘍細胞の近傍でT細胞を活性化することにより、がん細胞を叩くT cell engagerというカテゴリや、複数の疾患関連細胞を架橋することでがん以外の疾患の治療薬も設計可能 ハイブリドーマ法   ・動物免疫による抗体作製法で、最もよく用いられる ・手法が確立されており、医薬品化された実績も多い ・ヒト抗体産生動物を用いた場合、ヒト化の工程を経ずにヒト抗体を取得することができる DoppeLib™   ・2つの異なる抗原結合部位を持つ多重特異性抗体を迅速かつ網羅的にスクリーニングする技術 ・培養細胞表面上に多重特異性抗体を発現させるため、標的の組合せ、親モノクローナル抗体の最適組合せを効率的に評価できる技術 ・多重特異性抗体の探索研究において強力な課題解決手法となるものと期待 (2) 当社独自の抗体作製技術ADLib®システム ① ADLib®システムの仕組み ニワトリのB細胞由来のDT40細胞(*)は、様々な種類の抗体を生み出すメカニズムを持っています。当社では薬剤処理により人為的に活性化させて、試験管内において短期間で多種多様なモノクローナル抗体を産生する細胞集団(ライブラリ)を作り出しています。そのライブラリの中からターゲットである抗原に特異的に結合する抗体を取得します。この方法を当社では、ADLib®システム(トリ免疫細胞を用いたモノクローナル抗体作製システム:Autonomously Diversifying Library、総称してADLib®)と呼んでおります。 <ADLib®システムによる抗体作製のイメージ図> ② ヒトADLib®システムについて ヒトADLib®システムは、遺伝子組換え技術によりDT40細胞のトリ抗体遺伝子がヒト抗体遺伝子に置き換えられており、ヒト化の工程を経ることなく、ヒト抗体を直接取得することができます。 <ヒトADLib®システムの概略> ③ 従来の抗体作製技術との主な違い ADLib®システムは、従来の抗体作製技術とは異なるテクノロジーとして、次のような技術的特徴を有しております。 a.迅速な抗体取得 ADLib®システムでは、抗体セレクションの全工程を試験管内で実現したことにより、10日程度でターゲット特異的な抗体を判定することが可能で、他の技術と比較して抗体取得の判定期間が短い点が大きな特徴です。競争の激しい医薬開発の分野では、いち早い特許取得が重要であり、この点で他の方法に比べて短期間で抗体を作製できるADLib技術には大きなメリットがあります。 b.従来の免疫法では困難な抗原に対する抗体取得 ヒトを含む動物は、体内に入ってきた異物に対しては免疫反応(*)が起きて抗体を作りますが、がんの様に、自分を構成している成分が何かのきっかけにより過剰に体内で増えて病気を引き起こすような場合には、そもそも自身の体の成分なので異物とはみなされず、免疫寛容とよばれる仕組みにより抗体を作ることができません。進化の過程においてマウスとヒトの間でもほとんど変化することなく種を超えて受け継がれてきたタンパク質は非常に類似していることがあり、ヒトを構成する成分であってもマウスで抗体を取得することは容易ではありません。しかし、試験管内で抗体が得られるADLib®システムは、生体外で抗体を作製するシステムなので、免疫寛容による制限を受けることはありません。 (3) 多重特異性抗体作製技術「DoppeLib™」 多重特異性抗体は、新しい作用機序に基づく治療用抗体設計を可能にするなど、近年急速に発展を遂げている新しい抗体モダリティの1つです。自由度高く抗体設計が可能なことから、標的の組合せ、親モノクローナル抗体の最適組合せなどについて、多サンプルを効率的に評価できるスクリーニング技術が求められます。当社は、迅速かつ網羅的に最適な多重特異性抗体取得を可能にする多重特異性抗体ハイスループットスクリーニング技術「DoppeLibTM」の研究開発を進めており、本技術は、多重特異性抗体の探索研究において強力な課題解決手法となるものと期待します。 5.特許ポートフォリオ (1)基盤技術に係る主要特許 関連   発明の名称   出願人   登録状況 ヒトADLib®システム   ヒト抗体を産生する細胞   当社   日本・欧州・中国で成立。 抗体の取得方法   当社   日本・米国・欧州・中国で成立。 抗体可変領域の多様化を促進する方法   当社   日本・米国・欧州・中国で成立。 (2)リード抗体に係る主要特許 関連   発明の名称   出願人   登録状況 CBA-1205   in vivoで抗腫瘍活性を有する抗ヒトDlk-1抗体   当社 (リブテックから承継)   日本、米国、欧州、中国を含む計7ヵ国で成立。 がん治療用医薬 (レンバチニブ併用)   当社   日本、欧州、中国を含む計4ヵ国で成立。 米国他で出願済。 がん治療用医薬 (FGFR4阻害剤併用)   当社   PCT出願済 抗体組成物の精製方法   当社   PCT出願済 CBA-1535   5T4及びCD3に対する3つの結合ドメインを含む融合タンパク質   当社     日本・米国・欧州・英国・中国を含む計10ヵ国で成立。 PCDC   抗CDCP1抗体   当社   日本、中国を含む計4ヵ国で成立。 米国、欧州他で出願済。 PTRY   融合タンパク質   イタリア CEINGE社 当社   PCT出願済 PXLR   抗ヒトCXCL1抗体   公立大学法人大阪 当社   PCT出願済 PFKR   抗ヒトCX3CR1抗体   国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 当社   PCT出願済 LIV-2008   in vivoで抗腫瘍活性を有する抗ヒトTROP-2抗体(ヒト化)   当社 (リブテックから承継)   日本、米国、欧州、中国を含む計10ヵ国で成立。 in vivoで抗腫瘍活性を有する抗ヒトTROP-2抗体(マウス)   当社 (リブテックから承継)   米国を含む計7ヵ国で成立。 BMAA(*)   抗セマフォリン3A抗体、並びにこれを用いたアルツハイマー病及び免疫・炎症性疾患の治療   (公)横浜市立大学、 当社     日本、米国、欧州で成立。
経営方針・対処すべき課題4,748字を開く

経営陣が考える方向性と課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針 当社は創業以来、当社独自の抗体作製技術であるADLib®システムの技術開発、ならびに抗体医薬品の創製にむけた研究開発を行ってまいりました。現在、当社では抗体作製に関する複数の技術を保有し、これまでの製薬企業やアカデミア等との協業を通じて培ってきた抗体創薬に関わる周辺の技術や知識も蓄積しております。これらを活かし、アンメットニーズの高い疾患に対する抗体創薬の新規創製を進めるとともに、自社の臨床開発機能を活かし画期的な新薬の初期臨床開発、ならびに製薬企業等のパートナー企業の様々な研究開発ニーズに対して自社知識経験・技術に基づく解決法を提供するなど、新たな治療薬創出に注力する経営を進めております。 複数の抗体作製技術を用いることでリード抗体取得の可能性を高め、有効な治療法がない重篤な疾患や、薬剤による治療満足度が低い疾患を中心に「医療のアンメットニーズに創薬の光を」あてる研究開発を強く推進し、人類の健康に貢献をしてまいります。 (2)経営環境 「第1 企業の概況 3 事業の内容 1.事業環境」に記載しております。 (3)目標とする経営指標 創薬事業においては、医療用医薬品の開発候補品となるリード抗体を創出し、臨床開発を目的として製薬企業に導出することで収益を得るビジネスに取り組んでおります。当社が保有する開発候補品の収益性向上や導出確度の向上を鑑み、前臨床試験(*)段階、または、初期臨床試験を実施した後の導出を目指しております。一般的には臨床開発を行い、医療用医薬品として承認に至る可能性が高まることによって、導出時に得られる収益性が高くなります。しかしながら、臨床開発に入った抗体医薬品候補が承認に至るまでの成功確率は一般的に10~20%程度と言われているため、1つの開発品目だけに当社の事業や将来の収益の可能性を依存することは経営上の様々なリスクが大きくなります。従いまして、当社は研究開発の各段階において、複数の開発品目を保有することで事業全体の成功確度を高めることを目標に掲げております。現在、当社では臨床段階のプログラムとしてCBA-1205とCBA-1535の2つの開発品目を有しております。両プログラムとも抗体の安全性及び初期の有効性の評価を行ったのちに、製薬会社等への導出することを目標としております。特にCBA-1205についてはこれまでの臨床試験等の状況から、適応症拡大の可能性および導出時に製品価値向上にむけた臨床開発を進めており、製薬会社等へ導出時の契約一時金や開発マイルストーン等の経済条件の最大化にむけた取り組みを進めております。 また、探索研究段階にある創薬プロジェクトでは、リード抗体獲得及び知財化に向けて、抗体作製や動物試験等の研究開発を推進しております。社内での技術改良に加え、社外の技術導入や共同研究等のアライアンスも積極的に推進することで、創薬力を高める取り組みを行っております。 2025年にはIDD(Integrated Drug Discovery)ビジネス(*)を立ち上げ、製薬企業等のパートナー企業の様々な研究開発ニーズに対して自社知識経験・技術に基づく解決法を提供し、共同で抗体創薬の研究開発を進めております。 創薬支援事業においては、複数の安定顧客に質の高い抗体作製およびタンパク質・抗体の発現精製等の委受託業務を継続的に提供することで、収益基盤の安定化と本事業で獲得した収益を創薬事業での研究開発投資に充当しております。本事業では収益性を高めるために、当社の抗体研究領域における高い業務品質と柔軟な業務遂行を通した高付加価値型のビジネスの遂行により、セグメントの利益率50%確保を目指しております。また、付加価値の高い業務品質や柔軟な業務遂行力を維持することが本事業における目標達成にとって重要な要素であり、収益性を高めるために現在は国内の大手抗体医薬企業との取引に注力をしております。 (4)中長期的な会社の経営戦略 当社の中長期的な事業シナリオは次のとおりです。 ① 治療用抗体の臨床開発及び導出戦略 ファースト・イン・クラス抗体であるCBA-1205および、多重特異性抗体であるCBA-1535の臨床開発を進め、第1相臨床試験終了後の導出を目指します。CBA-1205については、第1相臨床試験の前半パートの固形がん患者さんを対象とした症例登録が完了し、安全性の高さが示されたため、2022年から始めた後半パートでは肝細胞がんの患者さんにおける安全性と有効性の確認を進めております。また、前半パートで登録されたメラノーマの患者さんにおいて腫瘍縮小を伴うSD(安定)評価が長期にわたって継続していることから、メラノーマの患者さんを対象とした有効性の確認をするコホートも追加いたしました。さらに、海外の研究機関との共同研究の成果から本剤の小児がんでの開発可能性が確認されたため、小児がんのコホートも追加いたしました。後半パートにおいて肝細胞がん、メラノーマおよび小児がん等の複数のがんに対して効果を示唆する有用なデータの取得を目指し、製品価値の最大化を図った後に、導出するシナリオを想定しております。また、2022年6月に臨床試験を開始したCBA-1535は、現在、第1相臨床試験の前半パートにおいて固形がん患者さんを対象に、段階的に治験薬の投与量を増やしながら安全性の確認を進めております。前半パートの試験データでの導出等を見据え、臨床試験を実施しております。 ② 治療用リード抗体の継続的な創出 アカデミアやバイオベンチャー等との共同研究を軸に、当社の抗体作製技術を用いてアンメットニーズに対するリード抗体を継続的に創出し、製薬企業等へ早期に導出することを目指します。現在、当社では旭化成ファーマに導出したPFKRに続くライセンス契約の獲得に向けて、がん治療用抗体のPCDC、Tribody®創薬テーマであるPTRY、がん領域の治療用候補抗体PXLRについても、製薬企業への導出活動を進めております。また、当社のTribody®技術とmRNAを組み合わせた画期的な新薬創出に向けてNANO MRNA株式会社(以下、NANO MRNA)との共同研究を開始するなど、今後も継続的に新規リード抗体を創出し当社の成長の源泉を獲得する取り組みを進めてまいります。さらに、次世代抗体を取得するための抗体基盤技術「DoppeLib™」の研究開発を行っており、同技術を用いて自社創薬やIDDビジネスを積極的に推進してまいります。当社の抗体基盤技術を強化することで抗体創薬領域における競争優位性を確保し、単一のプロダクトや契約に依存しない経営上のリスク分散や安定的な収益を獲得できる事業運営を行っております。 ③ 開発候補品の継続的な創出・確保 当社が手掛けるような医薬品の研究開発は通常、開発期間が長く相当程度の開発中止リスクが伴うため、安定的な成長にはステージの異なる複数のパイプラインの確保が必要となります。当社では自社の創薬研究によってリード抗体を継続的に創出し、新たなパイプラインに加えるだけでなく、前臨床段階から外部企業との提携・共同研究開発を行うことにより、開発ポートフォリオを充足させ開発候補品を断続的に保持することを目指します。また、CBA-1205やCBA-1535に続く臨床開発については、当社の基盤技術の改良や応用を行いながら創薬プロジェクトの研究活動を積極的に推進することに加え、製薬企業やバイオベンチャーとの提携を通じて、新たな臨床開発候補品の確保や事業化にむけた取り組みを進めてまいります。 ④ 創薬研究・開発と事業開発の連動 新規の創薬研究・開発においては、将来の提携や早期の導出が実現できるよう、業界での開発動向や既存薬剤による医療ニーズの充足度等を調査、検討の上、最適な創薬ターゲットの選定と出口戦略の策定が重要です。そのため、当社では自社での評価の他に、製薬企業等との情報交換による需要の発掘やアカデミアとの連携などを通じて、ターゲットの選定が適切に行われるよう努めてまいります。その上で提供可能なパイプラインがクライアントのニーズに即していた場合には、早期にライセンス契約へと繋げていくことを目指します。 ⑤ 収益最大化を目指した初期臨床開発の実施 医療用医薬品の導出において、一般的には開発後期になるほど医薬品開発の成功確率があがり、それにより導出時の経済条件は有利になります。当社は、一部のパイプラインにおいては前臨床段階での導出のみならず初期臨床開発を実施した上で導出することで、当社の収益性が最大化するような取り組みを進めてまいります。 ⑥ 収益基盤としての創薬支援事業とIDDビジネスの推進 当社は継続的に創薬事業での研究投資を行うにあたり、その必要資金については自社の収益から充当できる状況を目指しております。そのために、既存顧客の取引拡大に加え、国内外の新規顧客との取引契約獲得を積極的に進め、創薬支援事業およびIDDビジネスを拡大させてまいります。 (5)対処すべき課題 当社が認識する対処すべき課題については以下のように考えております。 ① 抗体作製力の維持向上とパイプライン拡充 当社は、抗体医薬の開発候補品を継続的に創出して、革新的な医薬品を待ち望む患者さんに貢献することを目指しておりますが、保有するパイプラインが様々な理由で開発の遅延や中断、中止等になるリスクがあります。また、当社の創薬事業は抗体医薬品を導出することで収益を獲得するというビジネスモデルのため、承認申請にむけた臨床開発は導出後の製薬企業で行われますが、導出先企業の開発戦略変更等によりライセンス契約終了などの影響が生じるリスクがあります。それらの開発や事業上のリスクに対応するためには、当社の創薬パイプラインを拡充することにより、開発中止等によって生じる経営上の様々なリスクを分散する必要があると考えております。そのためには抗体作製等の技術改良や創薬ノウハウ蓄積を行うことで当社の創薬力を強化し新薬創出機会を高め、様々な開発ステージでバランス良く構成された複数のパイプラインの保有することで経営リスク分散を進めてまいります。 ② 初期臨床開発の着実なる遂行 当社は、医薬品の研究開発段階の中でも比較的早期の導出を目指しておりますが、導出時の収益性を向上させ、導出先による医療用医薬品としての承認取得の可能性を高めることも重要であると考え、自社での初期臨床開発の取り組みを進めております。現在、当社が保有するパイプラインのうち、がん治療用候補抗体のCBA-1205とCBA-1535については、価値最大化を目指して臨床試験を着実に進め導出に向けたデータ取得に注力しております。 ③ 創薬支援事業およびIDDビジネスの推進に対応した人材及び研究設備の確保 当社は、研究投資に必要な資金確保にむけて創薬支援事業の推進やIDDビジネスの展開に注力しておりますが、顧客である製薬企業やスタートアップのニーズに的確に把握し、質の高い研究開発の支援を進めるためには、創薬経験のある優秀な人材の確保、社内人材の育成、研究環境の確保が重要と考えております。現在、継続的に人材採用を進めるなど、事業拡大にむけた取り組みを積極的に進めております。
事業等のリスク5,832字を開く

会社が自認するリスクの一覧

3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。 1.事業環境に関する項目 (1) 抗体医薬品市場の成長性に関するリスク 現在、世界では100以上の抗体医薬品が上市(*)されており、今後も抗体医薬品市場は安定的に成長するものと見込んでおります。しかしながら、各種疾患のメカニズムや病態の解明により、疾患特異的に作用する分子標的薬の開発、低分子特有の副作用を軽減するために疾患部位に薬を送り届けるデリバリーシステムの開発等との競合や、再生医療や遺伝子治療による治療の普及等により想定どおりに市場が拡大しない場合には、当社の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 医薬品開発における医薬品医療機器等法その他の規制に関するリスク 当社が参画する医薬品業界は、研究、開発、製造および販売のそれぞれの事業活動において、各国の薬事法、薬事行政指導およびその他関連法規等により、様々な規制を受けております。当社は医薬品医療機器等法をはじめとする現行の法的規制および医療保険制度、それらに基づく医薬品の価格設定動向等を前提として、当社の開発候補品が導出先の製薬企業において上市された場合を想定し事業計画を策定しています。当社の抗体が医薬品として上市されるまでの間、これらの規制や制度・価格設定動向等が変更される可能性があり、これらに大きな変更が発生した場合には、当社の事業計画に影響を及ぼす可能性があります。 (3) 医薬品開発に関するリスク 一般に医薬品の開発には多額の研究開発投資と長い時間を要するだけでなく、その成功確率も他産業に比して著しく低い状況にあります。研究開発の初期段階において有望だと思われる化合物や抗体であっても、前臨床試験や臨床開発の過程で有用な効果を発見できないこと等により研究開発が予定どおりに進行せず、開発の期間延長や中止を行うことがあります。このように、各開発品の研究開発には多くの不確実性が伴い、当社の現在および将来における開発品についても同様に不確実性のリスクが内在しております。当社は、研究開発段階から収益が得られるビジネスモデルを構築することにより、各開発品の研究開発リスクの分散を図っておりますが、期待どおりの収益が得られる契約が締結できる保証はありません。このような場合には、当社の事業計画や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (4) 臨床開発に関するリスク 当社は、基礎・探索研究、前臨床試験の事業領域として、開発候補抗体の前臨床データパッケージまでを作成したパイプラインの早期での導出を基本戦略としておりますが、一部のパイプラインについては、収益性や導出可能性を検討した上で、初期臨床開発を実施いたします。臨床開発は長期、高額、かつ不確実なプロセスであり、遅延または更なる必要事項が生じうるものであり、試験の全ての段階において失敗が生じえます。また、臨床試験の中間結果は、その最終結果を予想させるものではなく、開発の初期段階においては有望であるように見える製品候補であっても、失敗する可能性があります。さらに、臨床試験を完了するために十分な被験者を適時に確保できないために、遅延等が生じる可能性もあります。このように、パイプラインの試験を完了するためには数年を要し、試験において遅延が生じた場合、当社パイプラインの開発費用は増加します。大幅な臨床試験の遅延は、当社がパイプラインを導出する能力を害する可能性があります。当社がパイプラインに関し、開発、規制上の承認の取得を成功裡に行うことができず、または導出による収益を認識できない場合、当社の事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。 (5) 他社との競合について 競合他社が同じターゲットで優れた機能を持つリード化合物を創出した場合は、導出候補先である製薬企業等への導出活動が容易でなくなる可能性があります。また、複数の同業他社の参入に伴いアライアンス活動の競争が激化し当社事業の優位性に影響を及ぼす可能性があります。 (6) 為替レートの変動に関するリスク 当社は、社外との提携関係の構築をグローバルに展開していることから、海外の取引先との間で外貨建取引を行っております。これまでは、当社の外貨建取引の多くが支払サイトも短いことから、多額の為替差損益を計上することはありませんでしたが、今後の研究開発活動の拡大に伴い、外貨建取引の規模が大きくなった場合や支払サイトの長い外貨建取引を行う場合には、為替レートの変動により当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 2.事業内容に関する項目 (1) 収益計上に関するリスク 創薬事業において、医薬品の基礎研究開始から上市に至るまでには長い年月を要することから、研究開発の成果が事業収益として計上されるまでには長期間を要します。また、医薬品開発の成功確率は近年ますます低くなっており、上市に至らないケースも多いため、最終的に事業収益が計上されない可能性もあります。当社の事業モデルは、前臨床試験段階もしくは臨床試験の初期段階での導出により収益を獲得する事業モデルであるため、導出候補先の製薬企業がその後の開発を実施することになります。このため、臨床試験は導出候補先の製薬企業に依存し、当該導出候補先において順調に臨床試験が進まない場合や経営環境の変化や経営方針の変更など、当社が制御しえない要因が発生した場合には、当該医薬品の開発が遅延あるいは中止となる可能性があります。一方、研究開発が順調に進捗して上市に至った場合であっても、当該医薬品が市場において評価されず、当初契約していた販売マイルストーンなどの収益を計上できない可能性があります。当社は、ステージの異なる複数のパイプラインを確保することで抗体医薬の開発候補品を継続的に創出し、医薬企業への導出を目指しておりますが、契約の締結時期、医薬品開発の進捗状況、医薬品販売開始時期等の遅れによる収益上の期ずれ、また何らかの事由により医薬品開発、販売が中止となる場合には、当社の事業計画および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 特定の取引先に依存するリスク 当社は、中外製薬株式会社及びChugai Pharmabody Research Pte. Ltd.(以下、「中外製薬グループ」)や小野薬品工業株式会社(以下、「小野薬品」)との間で抗体医薬品研究にかかる委託研究取引基本契約を締結しており、当事業年度における当社の売上高に占める両社の割合は高い水準となっております。当社では、委託研究における付加価値を向上させることで、その他製薬企業等から収益を獲得しながら、各クライアントとの良好な取引関係を維持・継続していく方針であります。しかしながら、中外製薬グループや小野薬品の経営方針の変更による委託業務量の減少や契約条件の変更、本契約の解除等が生じた場合には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。 (3) 知的財産権について 当社は、研究開発活動等において当社が所有しまたは使用許諾を受けた様々な知的財産権を使用しています。当社が創製した技術等について、当社の知的財産権を侵害されるリスクまたは当社が他社の知的財産権を侵害してしまうリスクがあります。こうしたリスクに対応するために、積極的かつ速やかに特許出願等を行うことで排他性の確保を図るとともに、特許情報データベース等を活用して情報収集を行い、当社特許権の侵害および他社関連特許権の早期発見・対応に努めております。すでに基盤技術特許は国内外で成立し、現時点において当社は知的財産侵害に関する訴訟や第三者による請求について認識していませんが、第三者の特許の存在により特許侵害訴訟を提起された場合には多額の訴訟費用を発生させることとなり、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。 (4) 新規パイプラインに関するリスク 当社が保有するパイプラインの開発上のリスクに対し、当社は、アカデミアやバイオテックとの提携や当社の優秀な人材が持つネットワークを通じてターゲットを獲得し、アンメットニーズに対する医薬品開発に有用な抗体を作製することにより、新規パイプラインの探索および創出を図っており、シーズ(*)の導入にも努めております。しかしながら、これらの活動により、新規パイプラインの探索および創出が確実にできる保証はありません。このため、何らかの理由により新規パイプラインの探索および創出活動に支障が生じた場合には、当社の事業戦略および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (5) 技術に関するリスク 当社は、医療におけるアンメットニーズを解決しうるターゲットについて、抗体を用いて医薬品を創出することを目指した研究開発を行っており、基礎・探索研究から前臨床試験までの抗体創薬開発を行い、創製した医薬候補品を製薬企業等に導出するために必要な技術やノウハウを有しております。当社の強みは、抗体作製にかかる技術や高品質なタンパク質調製技術を用いて作製された抗体を動物試験で評価し臨床開発に向けたデータパッケージを作ることにあります。しかしながら、当社の強みである抗体創薬研究に関わる技術やノウハウが、他の革新的な技術や安価な技術等で代替できる場合や特許期間が満了した場合等により、その競合優位性が保持できない場合、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。 (6) 複数の製薬企業との関係に関するリスク 当社が製薬企業と共同研究契約を締結する場合、当該契約が定めるターゲットに重複が生じないよう配慮しておりますが、研究内容によっては、部分的に重なりが発生する可能性も考えられます。その結果、当社がどちらか一方の企業との共同研究の機会を喪失することで当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。 (7) 提携先に影響されるリスク 提携先企業の技術および研究開発の進捗に大きな差が生じた場合、また経営不振や経営方針の変更があった場合には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。 3.業績に関するリスク (1) マイナスの繰越利益剰余金の計上について 当社は安定的な利益計上による強固な財務基盤の確立を目指しておりますが、事業が計画どおりに進展せず、当期純利益を計上できない場合には、マイナスの繰越利益剰余金が計画どおりに解消できない可能性があります。 (2) 資金調達について 当社では、研究開発費が収益に先行して計上され、継続的な営業損失が生じております。今後も事業運転資金や研究開発投資および設備投資等の資金需要が予想されます。製薬企業等とのアライアンスによる収益や新株予約権の権利行使等によるキャッシュインおよび人件費や研究開発活動にかかる投資活動等のキャッシュアウトを見込んだ資金計画を策定しておりますが、十分な事業活動資金を確保できない場合には、当社の事業継続に影響を及ぼす可能性があります。 (3) 減損会計について 当社は事業用の固定資産を保有しておりますが、経営環境や事業の著しい変化などにより事業計画が想定どおり進まない場合や価値の低下があった場合、減損会計の適用により当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 4.その他のリスク (1) 小規模組織であること 当社は小規模な組織であるため、研究開発体制および社内管理体制もこの規模に応じたものとなっております。このような限られた人材の中で、業務遂行上、取締役および幹部社員が持つ専門知識・技術・経験に負う部分が大きいため、当社の業容の拡大に応じた人員の増強や社内管理体制の充実等を図っております。しかしながら、一部の取締役および幹部社員の退職により事業活動に不備が生じた場合には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 特定の人物への依存について 当社の事業活動は、現在の経営陣、事業を推進する各部門の責任者や構成員に強く依存しています。そのため、常に優秀な人材の確保と育成に努めていますが、このような人材確保または育成が計画通りにいかない場合は、当社の財政状態および経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。 (3) 新株式の発行による株式価値の希薄化について 当社は資金調達を目的とした増資や新株予約権行使による新株式の発行を機動的に実施していく可能性があります。新株式の発行は当社の事業計画を達成する上で合理的な資金調達手段であると判断しておりますが、発行済株式総数が増加することにより、当社株式の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。 (4) 営業機密の漏洩について 当社における事業では、当社は顧客である製薬企業等からの情報を預かる立場にあります。従いまして、当社は役職員との間において顧客情報を含む機密情報に係る契約を締結しており、さらに退職時にも個別に同様の契約を締結し顧客情報を含む機密情報の漏洩の未然防止に努めております。また、抗原名をプロジェクトコード化した社内共通言語を用いた顧客情報管理を実施するとともに、顧客情報へのアクセス制限も行っております。しかしながら、万一顧客の情報が外部に漏洩した場合は、当社の信用低下等により当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。 (5) 自然災害等の発生について 当社は、地震等の自然災害、大規模事故、火災、テロや戦争、感染症等のパンデミック等が発生した際には、リスク管理規程に基づきリスクを低減する措置を講じます。しかしながら、事業拠点の周辺地域で、または世界的に影響を及ぼす様な大規模な事態が発生した場合には、当社が保有する抗体ライブラリの滅失、データの消失、設備の損壊、各種インフラ及び研究資材等の供給制限、社内や取引先での集団感染等によって、当社の研究開発の進捗及び事業等に影響を及ぼす可能性があります。
経営成績の分析 (MD&A)13,768字を開く

業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績等の状況の概要 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ①財政状態及び経営成績の状況 創薬事業においては、自社開発中のがん治療用抗体であるCBA-1205及びCBA-1535の臨床第1相試験を進めております。CBA-1205では、肝細胞がん患者さん及びメラノーマ患者さんに加え、2025年8月にはアンメットニーズの高い小児がんを対象とするパート追加を決定し、現在、対象患者さんの投与を進めております。 多重特異性抗体であるCBA-1535においては、固形がん患者さんを対象に段階的に投与量を上げて治験薬の安全性の確認を進めております。また、2025年8月には、NANO MRNAとの間で、当社の多重特異性抗体フォーマットであるTribody®を用いたmRNAエンコード抗体の創出に向けた共同研究契約を締結し、将来的には製薬企業と共同開発或いは導出を目指した取り組みを始めております。その他の創薬パイプラインについては、導出契約獲得に向けて導出候補先となりうる企業への紹介と協議を進めております。 創薬支援事業においては、従来の大口顧客との取引を中心としつつ、当事業年度においても、収益基盤の安定化に向けた活動を推進しております。 当期に新たに立ち上げたIDDビジネス(抗体創薬にかかるプラットフォーム型ビジネス)においては、枠組みの構築に向けたパートナー候補企業との提携を進め、収益を伴う新たな取引を開始いたしました。バイオシミラー(*)領域においては、2025年5月には、アルフレッサ ホールディングス株式会社(以下、アルフレッサ ホールディングス)及びキッズウェル・バイオ株式会社(以下、キッズウェル)の三社共同で申請を行った厚生労働省の助成事業における助成対象事業者に採択され、現在、台湾のバイオ医薬品製造受託機関であるMycenax Biotech Inc.を加えた4社の協働にて、バイオシミラー医薬品の国内製造施設の設立に向けた活動を進めております。さらに、アルフレッサ ホールディングス及びキッズウェルと共同で、新規バイオシミラー医薬品の細胞株構築の開発を進めており、今後、国内外の製薬企業を開発パートナーとして迎え本剤の上市に向けた取り組みを進めてまいります。また、創薬開発や創薬ベンチャー育成に当社ノウハウを提供することを想定したIDDビジネスの取り組みとして、2025年3月に株式会社エスアールディとの間で業務提携契約を締結、2025年10月にはAxcelead Drug Discovery Partners株式会社と業務協力基本契約書を締結するなど、当社は創薬ベンチャーにおける抗体創薬シーズ開発に対するコンサルティングサービスを提供するビジネスを推進してまいります。 IDDビジネスでは当社のBiologics領域での創薬知見・技術を生かし、製薬会社やバイオベンチャー等の創薬ニーズの課題解決のためのソリューションを提供いたします。当社では自社の創薬技術を向上させる目的で創薬研究ニーズの高い多重特性抗体作製力の向上に努めており、現在、二重特異性抗体のハイスループットスクリーニング手法である「DoppeLib™」の技術実装にも注力しております。なお、当事業年度において生じたバイオシミラービジネス、および新薬開発支援、創薬スタートアップ評価等のIDDビジネスにかかる収益は、創薬支援事業の売上高に含めております。 当事業年度における当社業績につきましては、売上高593,290千円(前期比187,518千円減少)、研究開発費776,536千円(前期比160,200千円減少)、営業損失は979,774千円(前事業年度は1,030,869千円の営業損失)、経常損失は989,127千円(前事業年度は1,019,210千円の経常損失)、当期純損失は982,779千円(前事業年度は1,020,776千円の当期純損失)となりました。研究開発費につきましては、主に臨床開発関連費用の計上額が前事業年度よりも減少したことで、営業損失、経常損失及び当期純損失はともに前事業年度比で赤字幅の縮小となりました。 当事業年度におけるセグメント別の活動概況は次のとおりです。 a.創薬事業 ・創薬パイプライン(導出品) PFKRはGタンパク質共役型受容体の1種であるCX3CR1を標的としたヒト化抗体であり、当社が国立精神・神経医療研究センターと共同研究を進めてきた治療用候補抗体です。2024年11月に旭化成ファーマ株式会社との間で、ライセンス契約を締結し、同社では今後の前臨床試験入りに向けた準備が進められております。 ・創薬パイプライン(自社研究開発・導出候補品) CBA-1205については、日本国内において特定のがん種の患者さんにおける安全性と有効性の評価を目的とした臨床第1相試験後半パートを実施しております。後半パートの対象患者さんは、肝細胞がんの患者さん及びメラノーマの患者さんです。更に、欧州の研究機関との共同研究において、小児の固形がんに対して抗DLK-1抗体が有効性を示す可能性が示唆されたことと、本抗体の成人患者さんへの投与実績から高い安全性が示されており小児への投与が可能な状況となっていることから、2025年8月には、小児がん患者さんを対象とするパート追加を決定しました。今後、肝細胞がんの患者さんとメラノーマの患者さんに加え、小児がん患者さんにおける安全性及び忍容性を評価し、導出可能性及び製品価値の最大化につながるデータ取得に向けた臨床開発を進めてまいります。なお、前半パートに登録されたメラノーマ患者さんでは、腫瘍縮小を伴うSD(安定)評価が4年を超えるデータが得られております。 CBA-1535につきましては、日本国内において固形がん患者さんを対象とした第1相試験を実施しています。現在、CBA-1535単独投与による安全性及び忍容性の評価が進行中であり、これまでのところ、開発上の懸念を示すような副作用は観察されておりません。段階的に投与量を漸増させながら治験を継続しており、当初予定よりも高用量での臨床試験を継続しております。なお、単剤での薬効シグナルを確認した後にCBA-1535とチェックポイント阻害剤の併用投与による安全性及び忍容性の評価も計画しておりますが、単剤パートの試験データでの導出等の可能性も見据えながら、臨床試験を推進してまいります。 PTRYは、CBA-1535のT cell engagerとしての機能に免疫チェックポイント阻害機能を加えることを期待したTribody®抗体であり、初期の動物モデルを用いた評価では強い抗腫瘍効果を示しております。本プロダクトの開発については、CBA-1535の開発状況によっては前臨床段階でのライセンスアウトの可能性が期待できることから、自社での初期臨床開発を実施せず早期の事業化・臨床開発入りが期待できる製薬企業への導出を優先することとしております。 PCDCはヒト化抗CDCP1抗体の薬物複合体として、抗体薬物複合体(ADC)用途を中心として導出活動に取り組んでおります。世界的にADCへの注目が高まる中、現在、ADC技術を保有する製薬企業等への導出活動を進めております。 PXLRは胃がんや膵がんなどで高発現するCXCL1を治療標的とするがん治療用抗体で、当社が大阪公立大学と共同研究を進めてきた新たな導出候補品です。 その他、当社では複数の探索段階の創薬プロジェクトの導出活動を進めると共に、2025年8月に当社の多重特異性抗体フォーマットであるTribody®を用いたmRNAエンコード抗体の創出に向けた共同研究を開始、さらにアカデミアとの共同研究を推進するなど、新たなパイプライン拡充に向けた取り組みも精力的に進めております。 ・IDDビジネス 当社では従来推進してきた創薬シーズの創出と知財化を行うことによる新たなパイプラインの拡充と導出機会の探索等に加え、抗体創薬における技術力やノウハウを生かしたIDDビジネスにより収益性を高めていくことを目指しております。現在、IDDビジネスでは、新規の創薬研究やバイオシミラー開発における創薬スタートアップや製薬企業等との新たなコラボレーションの推進に注力しております。 以上の結果、創薬事業における当事業年度の業績は、臨床開発の進展により776,536千円(前期比160,200千円減少)の研究開発費を計上、セグメント損失は776,536千円(前事業年度は813,784千円のセグメント損失)となりました。 b.創薬支援事業 創薬支援事業は、安定的な収益確保に資する事業であり、当社独自の抗体作製技術プラットフォーム(ADLib®システム)を活かした抗体作製や親和性向上等の業務、タンパク質精製技術を中心としたタンパク質調製業務を受託し、小野薬品工業株式会社、中外製薬株式会社といった国内の主要製薬企業を中心にバイオ医薬の研究支援を展開しております。顧客企業からは当社の技術サービス力をご評価いただいており、当事業年度においても、日東紡績株式会社等複数の新規顧客獲得を進め、当社収益基盤の安定化のための取り組みを継続して推進しております。また、当事業年度におけるバイオシミラー開発や新薬開発支援、創薬スタートアップ評価等のIDDビジネスにかかる収益は創薬支援事業として計上しております。 創薬支援事業における当事業年度の業績は、売上高は593,290千円(前期比15,433千円増加)となり、セグメント利益は355,583千円(前期比45,683千円増加)、セグメント利益率は59.9%(目標50%)となりました。 ②キャッシュ・フローの状況 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は1,205,026千円となり、前事業年度末と比べ858,254千円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は以下のとおりです。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果使用した資金は935,988千円となりました。これは主に税引前当期純損失の計上によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果使用した資金は55,463千円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果取得した資金は133,198千円となりました。これは主に新株予約権の行使による株式の発行によるものであります。 ③生産、受注及び販売の実績 a.生産実績 当社は研究開発を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。 b.受注実績 当社は研究開発を主体としており、受注実績を定義することが困難であるため、受注実績の記載はしておりません。 c.販売実績 当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称    当事業年度 (自 2025年1月1日  至 2025年12月31日) 販売高(千円)   前年同期比(%) 創薬事業   -   - 創薬支援事業   593,290   102.7 合計   593,290   76.0 (注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合 相手先    前事業年度 (自 2024年1月1日  至 2024年12月31日)    当事業年度 (自 2025年1月1日  至 2025年12月31日) 販売高 (千円)   割合(%)   販売高 (千円)   割合(%) 小野薬品   413,093   52.91   319,881   53.92 旭化成ファーマ   200,000   25.61   14,274   2.41 アルフレッサ ホールディングス   -   -   81,518   13.74 中外製薬グループ   76,449   9.79   69,970   11.79 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 ①経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容 当社の事業は創薬事業と創薬支援事業により構成されており、当事業年度の当社業績は、593,290千円と前事業年度と比較し187,518千円の減収(前期比76.0%)となりました。これは前事業年度の創薬事業において旭化成ファーマとのPFKRのライセンス契約に伴う契約一時金を計上したことが要因となっております。 コスト面においては、販売費及び一般管理費は1,335,358千円と前期比128,363千円の減少となり、特にCBA-1205のCMC開発等の研究開発費の減少が主な要因となっております。 創薬事業は当社の成長をけん引する事業であり、アンメットニーズに光を当てるための医薬品の研究開発を推進しております。通常、医薬品の研究開発においては、研究開発資金の先行投資と成功時には大きなリターン、サイエンスの不確実性による開発遅延・中止リスク等と向き合うことになるため、継続的な成長のためには複数の創薬パイプラインを確保するなどの手立てを打つことが重要であります。当事業年度においては、CBA-1205の第1相臨床試験の後半パートが進行、CBA-1535では第1相臨床試験の前半パートが進行中であり、現在、2つの開発候補品の取り組みが進んでおります。CBA-1205については臨床試験等のデータを踏まえ、適応症拡大にむけたコホート追加を行うなど、製品価値の最大化にむけた臨床開発を進めております。これらの初期臨床開発実施後の導出を目指すことで、前臨床段階の導出と比較し、より大きな経済条件の獲得できることを目指しております。 探索段階にある創薬プロジェクトにおいては、当社は複数の創薬パイプラインを創製し導出することで、当社の収益の選択肢拡大に努めております。前事業年度においては、PFKRを旭化成ファーマに導出し、2億円の契約一時金の受領と、将来的な開発および販売の進捗に応じ総額248億円のマイルストーンや販売に応じたロイヤルティを受領する権利を含むライセンス契約を締結いたしました。また、PFKRに続く探索段階創薬プロジェクトの導出候補として、がん治療用抗体であるPCDC、Tribody®のがん治療用抗体PTRY、がん領域の治療用抗体PXLRなどについても、ライセンス契約の獲得にむけて導出活動を推進しております。また、当事業年度においては、NANO MRNAと、Tribody®とmRNAの組み合わせによる画期的な新薬開発の創出に向けた共同研究を開始いたしました。以上の結果、当事業年度における創薬事業の研究開発費は776,536千円、セグメント損失は776,536千円となっております。 創薬支援事業は、当社の安定的な収益確保に資する事業であり、当社の抗体の技術プラットフォームを活かして日本の製薬企業やアカデミアの研究支援を実施しております。タンパク質調製業務や抗体作製など個々の業務を担う競合他社が多数ありますが、製薬企業を中心とした当社顧客に対して、高い品質や柔軟な対応を行うサテライトラボとして高付加価値型サービスを提供することを目指し、他の競合企業との差別化を図っております。また、当事業年度からはIDDビジネスにおける業務一部を創薬支援事業下で遂行しており、当社の抗体創薬における技術力や創薬力を生かした創薬プラットフォーム機能を製薬企業や創薬スタートアップ等に提供しております。なお、高付加価値型ビジネスを遂行する上での目標として、セグメント利益率を50%以上維持することとしております。当事業年度においては、国内大手製薬会社との新たな業務委託基本契約の締結等を進めつつ、バイオシミラー開発や新薬開発支援、創薬スタートアップ評価等のIDDビジネスにかかる収益は創薬支援事業として計上したことにより、創薬支援事業の売上高は当初の業績予想額500,000千円に対し593,290千円と、達成率118.6%となりました。なお、セグメント利益率は59.9%、セグメント利益は355,583千円(前年比45,683千円増)を確保しております。 なお、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりとなっております。 ②資本の財源及び資金の流動性についての分析 当社は研究開発型ベンチャー企業であり、研究開発のための先行投資が必要となっております。資本の財源となる収益については、これまで主として提携先製薬企業等から委受託業務による収益を獲得しており、加えて、保有する創薬パイプラインの導出により契約一時金、マイルストーン収入等を計上しております。将来において、当社が保有する創薬パイプラインが新たに導出に至った場合には、契約一時金、マイルストーン収入の増加が見込まれ、また、医薬品が上市された場合には販売ロイヤルティを受領することとなります。導出に至るまでの先行投資期間においては研究開発費の支出等から営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスを計上する計画であり、当事業年度においては、CBA-1205の追加の治験薬製造にかかるCMC開発やCBA-1535の臨床開発の進展などによる支払が発生したことにより、営業活動によるキャッシュ・フローは935,988千円の支出となりました。 なお、上記先行投資期間における営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスについて、現在既に収益を得ている創薬支援事業において新たに取引先を拡大することに加え、新たにIDDビジネスを立ち上げ、研究支援のみならず臨床開発も見据えたコンサルティングや共同研究への参画などを通じて営業キャッシュ・フローの改善に努めております。また、財務活動によるキャッシュ・フローについては、助成金の獲得や必要に応じた資金調達等により補填を行っております。資金調達においては、新株予約権の発行によるエクイティファイナンスに加え、有利子負債の調達も含めて実施しており、調達上の安定性の確保の観点や財務レバレッジにも留意しております。 資金の流動性につきましては、当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローが935,988千円の支出、投資活動によるキャッシュ・フローが55,463千円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが133,198千円の収入となり、現金及び現金同等物の期末残高は1,205,026千円となりました。 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。また、財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。 <用語解説>(50音、アルファベット順) 用語   意味・内容 アンメットニーズ   現状の医療では満たされていない(未充足)ニーズのことです。具体的には、有効な治療法や薬剤がない場合、薬剤があっても使い勝手が悪い、または副作用が強い、一時的に症状を抑えても再発する、時間とともに悪化するような場合、あるいは治療費が非常に高額になるような場合等にアンメットニーズが存在するといいます。 幹細胞   幹細胞は未分化な細胞で、色々な細胞に分化できる能力と、いつまでも同じ状態で増殖を維持できる能力を持つ特殊な細胞です。 シーズ   事業化・製品化の可能性はあるものの、まだ“種または芽(シーズ)”の状態であり、現時点では大きな売上や価値を生み出さないものの、将来の可能性を秘めたモノ、技術やノウハウのことを指します。企業やアカデミアが見出したものの活用していないような技術や特許等も含まれ、当社の場合、研究初期段階のターゲット抗原やその候補、抗体等が有力な候補となります。 上市   承認された新薬の市場販売が開始されることをいいます。 前駆細胞   幹細胞から特定の体細胞や生殖細胞に分化する途中の段階にある細胞のことで、幹細胞よりも分化できる能力が限られています。 前臨床試験   医薬品の研究開発において、ヒトを対象とする臨床試験の前に行う試験のことです。動物を用いて、医薬品候補化合物等の有効性や安全性を評価します。非臨床試験ともいいます。 探索研究   創薬研究の最初の段階として、医薬品の元となる生理活性を持つ物質を探索する研究段階があります。この研究を一般的に探索研究と呼びます。抗体医薬品の研究開発では、ターゲットである抗原について調べたり、様々な方法で抗体を作製したり、リード抗体を選別するための方法を確立したり、抗体の効果を試験管内の実験や予備的な動物実験により確かめたりする初期段階を探索研究と呼んでいます。 導出(ライセンスアウト)   特許権やノウハウ等を他者に売却したり、実施許諾することをいいます。 導入(ライセンスイン)   他者が持つ特許権やノウハウ等を買い取ったり実施許諾を受けたりすることをいいます。 動物免疫   動物に抗体を作らせる方法のことです。抗原タンパク質や抗原タンパク質を発現する細胞などを注射すると、その動物の免疫反応により体内に抗原に対する抗体が作り出されます。 特異的抗体   ある特定の抗原に結合する抗体です。 バイオシミラー医薬品   バイオシミラー医薬品(バイオ後続品)は、既に新有効成分含有医薬品として承認されたバイオ医薬品(先行バイオ医薬品)の特許期間・再審査期間満了後に、異なる製造販売業者により開発される、先行バイオ医薬品と同等/同質の品質、安全性および有効性を有する医薬品です。バイオシミラー医薬品は、先行バイオ医薬品と品質特性に高い類似性を持つことが検証され、さらに非臨床・臨床試験によって、先行バイオ医薬品と同じ効能・効果、用法・用量で使える(=同等/同質である)ことが確認された薬剤です。バイオシミラー医薬品は、薬価は原則として先行バイオ医薬品の70%に設定されるため、患者さんの経済的負担や医療費の軽減が期待される薬剤です。 バイスペシフィック抗体   通常、抗体は抗原を認識する部位を2つ持っており、それらは同じ抗原を認識します。それに対し、2つの抗原認識部位がそれぞれ別のターゲット(抗原)を認識するものをバイスペシフィック抗体といいます。 パイプライン   新薬として開発している医薬品候補化合物等のことを「パイプライン」といいます。創薬研究から臨床開発を経て関係当局の承認を受けるまでの活動を「創薬」と呼び、「創薬パイプライン」とは創薬のいずれかの段階にあるパイプラインのことをいいます。また、創薬パイプラインのうち開発段階に入ったパイプラインのことを、特に「開発パイプライン」ということがあります。 ハイブリドーマ法   抗原を免疫した動物から抗体を作り出すB細胞を取り出し、増殖し続ける能力を持った特殊な細胞(ミエローマ細胞)と融合させて、抗体を作り続ける細胞(ハイブリドーマ)を作製する方法です。 ヒト化抗体   遺伝子工学の技術により、マウス等の抗体分子の抗原結合部位をヒトの抗体分子に移植した抗体。マウス等由来のアミノ酸配列は全体の5%ほどで、残り95%はヒト由来のアミノ酸配列となるため、ヒトに投与した場合に異物として認識される可能性が軽減されます。 ファースト・イン・クラス   一般的には、その作用機序の医薬品の中で市場に最初に登場した医薬品を指します。類似薬がないことから高い薬価と高い売上が期待できます。抗体の場合は、あるタンパク質(抗原)をターゲットとする初めての抗体医薬をファースト・イン・クラス抗体と呼びます。当社ではそうした抗原をターゲットとすることで、これまでにない医薬品候補抗体の開発を目指し、治療充足度が十分でない疾患の治療に貢献します。 マイルストーン   導出後の臨床試験等の進捗に伴い、その節目(マイルストーン)ごとに受領する収入のことをいいます。 免疫寛容   特定の抗原(例えば、自身の体の構成成分やそれに似ているもの)に対して免疫反応が起こらない状態をいいます。 免疫反応   生体に侵入してきた異物を排除する生体反応のことをいいます。 モノクローナル抗体   単一の抗体産生細胞から得られた抗体のことをいいます。モノクローナル抗体は1つの抗原にのみ結合し、また結合する場所が決まっているため、均一で再現性の高い抗体になります。そのため、抗体医薬品の多くは、モノクローナル抗体が使われています。当社では、ADLib®システム、ハイブリドーマ法によりモノクローナル抗体を取得することができます。 ライブラリ   ADLib®システムでは、多種多様な抗体を産生する細胞集団のことをライブラリと呼びます。ライブラリに含まれる細胞が産生する抗体の種類が多いほど、目的に合った抗体を取得できる確率が高くなります。当社では、トリライブラリ、マウスキメラライブラリ、ヒトライブラリを所有しており、顧客ニーズに合わせてライブラリを選択し、抗体作製を行っています。 リード抗体   ADLib®システム、ハイブリドーマ法、B cell cloning法などの様々な手法で作成した抗体の中から、親和性、特異性、生物活性、安定性などのスクリーニングによって見出された医薬品になる可能性を有する抗体群をリード候補抗体と呼び、これらのリード候補抗体群のうち、医薬品としてその後の最適化などのステップに進めるための抗体をリード抗体と呼びます。 臨床試験   臨床試験には、次の3段階があります。 第1相試験(フェーズ1):少数の治験参加者を対象に、治験薬の安全性と治験薬が体内に入ってどのような動きをするのかを確認する試験 第2相試験(フェーズ2):第1相試験で安全性が確認された用量の範囲で、比較的少数の患者さんを対象に、治験薬の有効性(効果)、安全性、用法(投与の仕方:投与回数、投与期間、投与間隔など)・用量(最も効果的な投与量)を確認する試験 第3相試験(フェーズ3):第2相試験で確認された用法・用量で、多数の患者さんに治験薬を対象に、有効性と安全性を検証する試験 初期臨床試験は主に第1相試験および初期の第2相試験のことを指し、治験薬の安全性を主に、有効性の兆しを観察します。 ロイヤルティ   製品が販売(上市)された後に、その販売額の一定比率を受領する収入のことをいいます。 ADC   抗体薬物複合体(Antibody drug conjugate)のことを指します。例えば、悪性腫瘍の細胞表面だけに存在するタンパク質(抗原)に特異的に結合する抗体に毒性の高い薬剤を結合させると、そのADCは悪性腫瘍だけを死滅させることができます。このため、比較的副作用が少なく効き目の強い薬剤となる可能性があります。 ADCC活性   抗体依存性細胞傷害活性(Antibody Dependent Cellular Cytotoxicity)のことです。抗体薬には、がん細胞の表面に発現する標的抗原(標的分子)に結合し抗腫瘍効果を示す直接的な作用のほかに、患者さん自身の免疫細胞(マクロファージやNK細胞等)を介して抗腫瘍効果を発揮する作用があります。そのため、標的抗原の発現量だけでなく、患者さん自身の免疫状態、特に抗体薬が生体内の免疫細胞をがん周囲に呼び寄せ、集まった免疫細胞を活性化することで大きな治療効果を期待できることがあります。このような作用をADCC活性といいます。 ADLib®(アドリブ)システム   ライブラリから特定の抗原を固定した磁気ビーズを用いて目的の抗原に結合する抗体産生細胞を取り出す仕組みです。ADLib®システムで用いるライブラリは、ニワトリのBリンパ細胞由来のDT40細胞の持つ抗体遺伝子の自律的な相同組換えを活性化することによって、抗体タンパク質の多様性が増大しております。既存の方法に比べ、迅速性に優れていることおよび従来困難であった抗体取得が可能になる場合があること等の点に特徴があると考えております。 B細胞   リンパ球の1種で骨髄由来の細胞です。抗原の侵入に応答して増殖し、抗体(免疫グロブリン)を生産する細胞へと分化して抗体を産生します。 BMAA(抗セマフォリン3A抗体)   セマフォリン3Aは神経の先端の伸長を制御する因子として発見されました。これまでの研究により、セマフォリン3Aを阻害することにより神経再生が起こること、また炎症・免疫反応やがん、骨の形成、アルツハイマー病、糖尿病合併症等とも関連していることが報告されております。抗セマフォリン3A抗体は、この因子の働きを抑えることによりアンメットニーズの高い各種疾患の治療薬開発に結びつくことが期待される抗体です。本抗体は、当社独自の抗体作製技術であるADLib®システムで取得されました。 CMC   Chemistry, Manufacturing and Controlの略で、医薬品の原薬・製剤の化学・製造およびその品質管理を指します。 CMO   Contract Manufacturing Organizationの略称で、製薬会社から医薬品(治験薬・市販薬を含 む)の製造を受託する企業を指します。医薬品を製造するためには、GMP(医薬品等の製造管理 および品質管理に関する基準)をクリアする必要があり、CMOはGMPに対応できる技術力と、開発ライン・製造ラインの設備を備えています。 DT40細胞   ニワトリのファブリキウス嚢(鳥類に特有な一次免疫器官)から取り出され、がん遺伝子の導入により不死化されたB細胞の1つです。このDT40細胞株では抗体遺伝子の相同組換えが高頻度で起きることが知られており、当社ではさらに薬剤により抗体遺伝子組換えを人為的に誘導して、多様な抗体を産生する細胞集団(ライブラリ)を作り出しています。これがADLib®システムの技術の基になっています。 IDDビジネス   Integrated Drug Discoveryの略。当社が有する抗体医薬に関する探索研究、非臨床試験、CMC開発、臨床開発に至る広範な知識・経験・技術に基づき、製薬会社等に対して、探索から臨床に至るまでの様々な抗体創薬プロジェクトの課題解決法を提供します。 PCDC(社内コード)   標準治療耐性のがん種を含む幅広い固形がんで発現(肺、結腸直腸、膵臓、乳、卵巣がんなど)するファースト・イン・クラスとなる標的分子CDCP1に対するヒト化抗体です。細胞内に入り込むインターナリゼーション能が高いことから、薬物との複合体であるADCとしての効果が期待されます。 PFKR(社内コード)   CX3CR1/Fractalkine receptorの機能阻害抗体であり、自己免疫性神経疾患の病態進行を抑制する治療用抗体です。 PTRY(社内コード)   53L10型Tribody®(PTRY)は、3つの抗原結合部位の標的をそれぞれ、固形がんに発現が認められる 5T4、免疫細胞である T 細胞上の CD3、残る1つを免疫チェックポイント阻害に関与するPD-L1とした、がん治療用候補抗体です。Tb535H(開発コード:CBA-1535、標的分子:5T4×CD3×5T4)よりも強力な抗腫瘍活性が示されています。 PXLR(社内コード)   CXCR2発現細胞の走化性因子であるCXCL1/2/3/5の機能阻害抗体であり、薬剤耐性のがん微小環境を改善させるがん治療抗体です。 T細胞   リンパ球の一種で、免疫反応の司令塔として重要な役割を果たす細胞。T細胞はその機能によって、免疫応答を促進するヘルパーT細胞、逆に免疫反応を抑制するサプレッサーT細胞、病原体に感染した細胞やがん細胞を直接殺すキラーT細胞などに分類されます。 T cell engager   T細胞エンゲージャー(T Cell Engager、TCE)は、疾患の原因となっている細胞(例えばがん細胞)や病原体に、キラーT細胞のような異物を駆除する役割を持つ免疫細胞を近づけ、疾患の原因を取り除いて治療することを狙った医薬品・化合物のことです。がん治療薬としての研究開発が進んでいます。 Tribody®   多重特異性抗体を作製する自社の技術であるTrisomaで作製された抗体の商標です。バイスペシフィック抗体は2種類の標的(抗原)に結合することができますが、Tribody®は抗原結合部位が3ヶ所あるので最大3種類の抗原に結合することができ、より特異性の高い抗体を作成することができます。

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出典

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