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超!企業DB
日経平均64,325.64-1,890NYダウ52,980.73+214ドル円158.84-1NASDAQ26,208.82+109S&P 5007,666.58+35SOX 指数11,332.81+449/2終値

ティムス

TMS Co., Ltd4891 · Growth · 医薬品

sEH阻害を機軸に、急性期脳梗塞や炎症性疾患の新薬開発を進める創薬型バイオベンチャー。

概要

ティムスは2005年に東京農工大学発酵学研究室の医薬シーズを実用化する目的で設立された創薬型バイオベンチャーである。可溶性エポキシドハイドロラーゼ(sEH)を標的とするSMTP化合物群の研究開発を主力とし、急性期脳梗塞治療薬TMS-007をリードパイプラインとしてグローバル展開を目指す。2022年11月に東京証券取引所グロース市場に上場した。

創薬基盤となるSMTP化合物の特徴

当社の医薬品候補物質は、黒カビの一種スタキボトリス・ミクロスポラが産生するSMTP化合物ファミリーに属する。SMTP化合物は主にsEHの阻害による抗炎症作用を持ち、一部の化合物はプラスミノーゲンに作用する血栓溶解作用も併せ持つ。sEHはEH活性とPhos活性の二つの作用を有し、SMTP化合物は両方を阻害する。この二重の作用機序により、肥満モデルマウスでの肝炎症抑制や潰瘍性大腸炎モデルでの症状改善が確認されている。

臨床パイプラインの現状

当社には3つの臨床段階パイプラインがある。TMS-007は急性期脳梗塞を対象とした前期第Ⅱ相臨床試験を終了し、2025年2月からCORXEL主導でグローバル第Ⅱ相/第Ⅲ相試験「ORION」が開始された。TMS-008は急性腎障害等を適応とし、2024年6月に第Ⅰ相臨床試験を開始、同年12月に全被験者への投与を完了した。JX09は治療抵抗性高血圧を対象にオーストラリアで第Ⅰ相試験中である。

提携戦略と収益源

当社は創薬初期から海外大手との提携を進めてきた。2021年にバイオジェン社がTMS-007のオプション権を行使し導出したが、2024年に権利がCORXEL社へ移転。同社からTMS-007とJX09の日本における開発販売権を取得し、TMS-008については全世界での独占的ライセンスを得ている。収益は主にマイルストーン収入に依存し、2022年2月期に19百万円の売上を計上したが、その後は研究開発費の支出が続き赤字である。

業界の中での役割は大学等の研究成果を基に医薬品候補を開発し、グローバル市場への導出を目指す企業。にあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2025/3期)より

01グローバル医薬品市場主力

sEH阻害による抗炎症作用と血栓溶解作用を持つSMTP化合物を創製し、急性期脳梗塞をはじめとする炎症性疾患の治療薬を開発。ライセンス契約により導出・開発を進める。

主な製品・サービス4
TMS-007(JX10)
急性期脳梗塞を対象とするsEH阻害剤。抗炎症作用に加え、血栓溶解作用も併せ持ち、発症後24時間までの投与を目指す。
TMS-008
抗炎症作用を有するsEH阻害剤で、急性腎障害やがん悪液質を適応として開発中。
JX09
急性期脳梗塞を対象とした開発化合物。
TMS-009
TMS-008のバックアップ化合物。

製品と技術

TMS-007:二つの作用機序で急性期脳梗塞に挑む

TMS-007は急性期脳梗塞を適応症とする低分子化合物である。プラスミノーゲンに結合し立体構造を変化させることで血栓溶解を促進し、同時にsEH阻害による抗炎症作用で虚血再灌流障害を抑制する。前期第Ⅱ相試験では発症後平均9.5時間の患者に投与し、症候性頭蓋内出血が0%(プラセボ群2.6%)と安全性を示し、mRS 0-1への転帰率で統計的有意差を達成した。現在CORXELがグローバル第Ⅱ相/第Ⅲ相試験を実施中。

TMS-008:広範な炎症性疾患を狙う抗炎症剤

TMS-008は血栓溶解作用をほとんど持たず、sEH阻害による抗炎症作用に特化したSMTP化合物である。急性腎障害、がん悪液質など多様な炎症性疾患への適応が期待される。潰瘍性大腸炎モデルマウスでは5-ASAを上回る症状改善効果を示した。2024年6月に健康成人男性を対象とした第Ⅰ相臨床試験を開始し、5段階の用量漸増を経て同年12月に全被験者の投与・観察を完了。2025年4月にデータリードアウトを公表し、良好な安全性と忍容性が確認された。

JX09と新規パイプラインの拡充

JX09はCORXELから日本国内の開発販売権を取得したアルドステロン合成酵素阻害剤で、治療抵抗性高血圧を適応とする。CYP11B2に対する高い選択性を持ち、オーストラリアで第Ⅰ相試験が進行中。当社は2024年7月に北海道大学から脊髄損傷治療薬候補TMS-010を導入した。TMS-010は血液脳脊髄関門保護作用を持つ新規作用機序の化合物で、前臨床段階にある。これらのパイプライン拡充により、SMTP化合物以外の創薬にも領域を広げている。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

医薬品のなかでの位置

創薬ベンチャー、開発初期で収益未発生

核酸医薬の研究開発に特化したバイオベンチャー。売上はほとんどなく、営業損失が継続。同業のVeritas In SilicoやChordia Therapeuticsも同様に収益化前の段階。ジーエヌアイグループは中国で承認品を持ち一段先行。ティムスは複数のパイプラインを持つが、臨床段階は初期が多く、実用化までの期間と資金調達が課題。

強み

  • 独自の核酸送達技術を有し、新規モダリティとして期待されている。
  • 複数の適応症に向けたプログラムを展開し、リスク分散を図る。
  • 大学との共同研究により基礎研究の知見を取り入れやすい。
  • 核酸医薬関連の特許を保有し、競合への参入障壁を形成。

課題

  • 創薬は長期を要し、承認まで5~10年かかる可能性がある。
  • 営業赤字継続のため、継続的な資本増強が必要。
  • パイプラインが初期段階であり、臨床試験失敗の確率が高い。

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

医薬品の時価総額近傍。太字がティムス

時価総額で並べると、掲載11社のなかで6番目にあたる。

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は東証33業種の分類に従っています。

会社の歴史

沿革 25件

東京農工大学発のシーズを事業化した2005年の設立

2005年2月、東京農工大学発酵学研究室の蓮見惠司教授が持つ医薬シーズを実用化するため、東京都渋谷区に資本金10百万円で設立された。同年6月には本店を港区に移転。創業時から大学発の基礎研究を臨床へ橋渡しする目的を明確に持っていた。設立2年後の2007年8月には、メルシャン株式会社(現日本マイクロバイオファーマ)とTMS-007の原薬製造に関する契約を結び、製造検討を開始した。

臨床試験への歩みと研究資金の獲得(2011~2017年)

2011年10月、科学技術振興機構の「研究成果最適展開支援事業」に採択され、公的資金を得た。2014年8月にTMS-007の日本における第Ⅰ相臨床試験を開始し、2015年10月に終了。同年9月にはNEDOの「中堅・中小企業への橋渡し研究開発促進事業」にも採択された。2017年11月にはTMS-007の前期第Ⅱ相臨床試験を開始し、2020年11月に90症例の組み入れを完了した。

バイオジェン社への導出と上場(2018~2022年)

2018年6月、TMS-007をバイオジェン社に導出するオプション契約を締結。2021年5月にバイオジェン社がオプション権を行使し、TMS-007が正式に導出された。同年8月に前期第Ⅱ相試験が終了。この導出実績を背景に、2022年11月に東京証券取引所グロース市場に上場した。上場時の売上高は19百万円(2022年2月期)で、主に導出契約に伴う収入であった。

CORXELへの権利移転と日本権利の取得(2024年)

2024年1月、TMS-007の権利がバイオジェン社からJi Xing Pharmaceuticals(現CORXEL)へ移転。同時に当社はCORXELからTMS-007及びJX09の日本における開発販売権を無償で取得した。同年6月にはTMS-008の第Ⅰ相臨床試験を開始し、7月に北海道大学から脊髄損傷治療薬候補シーズ(TMS-010)を導入。パイプラインが3本から4本に拡充された。

グローバル試験開始と新たな資金調達(2025年)

2025年2月、CORXEL主導でTMS-007(JX10)のグローバル第Ⅱ相/第Ⅲ相臨床試験「ORION」が開始された。当社は日本パートナーとして参加準備を進める。同年6月にはTMS-008の第Ⅰ相臨床試験が終了。研究開発の加速に伴い、2025年3月にファイナンスの実施を決定した。従業員数は18名と小規模ながら、複数のパイプラインをグローバルに展開している。

年表25件を開く

2000年代

  • 2005年2月創業東京農工大学発酵学研究室 蓮見惠司教授の医薬シーズを実用化することを目的として、東京都渋谷区に当社を設立(資本金10百万円)
  • 2005年6月本店所在地を東京都港区に移転
  • 2007年8月メルシャン株式会社(現日本マイクロバイオファーマ株式会社)とTMS-007の原薬製造に関する契約を締結し原薬製造検討を開始
  • 2008年8月本店所在地を東京都府中市幸町三丁目に移転

2010年代

  • 2011年6月本店所在地を東京都稲城市に移転
  • 2011年10月独立行政法人科学技術振興機構(JST)「研究成果最適展開支援事業 フィージビリティスタディ 可能性発掘タイプ(シーズ顕在化)」に採択
  • 2014年8月TMS-007の日本における第Ⅰ相臨床試験 * 開始
  • 2015年9月国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「中堅・中小企業への橋渡し研究開発促進事業」に採択
  • 2015年10月TMS-007の日本における第Ⅰ相臨床試験終了
  • 2017年5月本店所在地を東京都府中市宮町一丁目に移転
  • 2017年11月TMS-007の日本における前期第Ⅱ相臨床試験 * 開始
  • 2018年6月TMS-007をバイオジェン社に導出するオプション契約を締結
  • 2019年8月日本マイクロバイオファーマ株式会社とTMS-008の原薬製造法の共同開発に関する契約を締結し原薬製造を開始

2020年代

  • 2020年11月TMS-007前期第Ⅱ相臨床試験の組入完了(90症例)
  • 2021年2月TMS-008のGLP * 非臨床試験 * を開始
  • 2021年5月バイオジェン社がTMS-007に関するオプション権を行使、TMS-007を同社に導出
  • 2021年8月TMS-007の日本における前期第Ⅱ相臨床試験終了
  • 2022年2月本店所在地を東京都府中市府中町一丁目に移転
  • 2022年11月上場東京証券取引所グロース市場に株式を上場
  • 2024年1月TMS-007の権利がバイオジェン社からJi Xing Pharmaceuticals Hong Kong Limited(現CORXEL Pharmaceuticals Hong Kong Limited)へ移転
  • 2024年1月TMS-007及びJX09の日本における開発販売権を取得
  • 2024年6月TMS-008の日本における第Ⅰ相臨床試験開始
  • 2024年7月北海道大学より骨髄損傷治療薬候補シーズをTMS-010として導入
  • 2025年2月TMS-007(JX10)のグローバル臨床試験「ORION」(第Ⅱ相/第Ⅲ相臨床試験)開始
  • 2025年6月TMS-008の日本における第1相臨床試験終了

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2025/12期の経営方針より

会社は5つの方針を掲げている。有価証券報告書には具体的な数値目標の記載がない。

  1. 01

    臨床パイプラインの開発推進

    リードパイプラインTMS-007のグローバル第Ⅱ/Ⅲ相試験(ORION)の日本パートを着実に進め、TMS-008では心臓手術患者を対象とした前期第Ⅱ相試験を早期開始、JX09ではCORXELと連携し日本国内での開発を適切な時期に開始する。

  2. 02

    パイプラインの拡充

    SMTP化合物以外の新規パイプラインを獲得するため、新たなsEH阻害剤の探索やアカデミアからのシーズ導入を推進。脊髄損傷治療薬TMS-010や生理活性脂質レゾルビン類縁体などを加え、ポートフォリオの幅を広げる。

  3. 03

    事業開発活動の推進

    製薬会社との提携により開発リスクを低減しつつ契約一時金・マイルストーン収益を得るビジネスモデルを基盤に、事業開発部を設置しパイプライン価値の最大化を図る。

  4. 04

    人材の確保と組織体制強化

    高度な能力と経験を有する優秀な人材を積極採用し、専門分野ごとの縦割りではなく研究・製造・薬事・開発等の専門家が自由闊達に議論できる組織作りを目指す。

  5. 05

    財務基盤の拡充

    臨床開発や研究開発投資による資金需要増加に対応するため、マイルストーン収入、借入、株式調達、補助金など多様な手段で適時に資金調達を実施し財務基盤を強化する。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 4期分

グループ全体で18人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は780万円で、3期前と比べて+8.3%平均年齢は44.2歳、平均勤続年数は3.8年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数一人当たり営業利益万円
2023年2月72042.52.914
2024年2月75343.23.914
2025年12月82945.84.418−3,889
2025年2月78044.23.818−5,000

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

拠点とグループ

設備と関係会社

主要な設備 (帳簿価額 上位1)
本社 — 東京都府中市0百万円

業績の推移

有価証券報告書 8期分

直近8期の通期業績。

決算期売上高億円営業利益億円経常利益億円営業利益率%純利益億円
2019年2月411
2020年2月−7−7
2021年2月−7−7
東京証券取引所グロース市場に株式を上場
2022年2月191111
2023年2月−9−9
2024年2月−9−10
2025年2月−9−6−7
2025年12月−7−7−7

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。空欄の期は有価証券報告書からその項目の数値が取れていません(0ではありません)。

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 6期分

2025年12月期は営業CFが−8億円、投資CFが0億円で、差し引きのフリーCFは−8億円この組み合わせは立て直し型にあたる。本業の赤字を資産売却と資金調達で補っている。事業転換の途上期末の手元現金は28億円

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2021年2月−7011−711
2022年2月13021326
2023年2月−7017−736
2024年2月−807−834
2025年2月−500−529
2025年12月−806−828

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 8期分

2025年12月期の総資産は29億円。このうち返さなくてよい自己資本が28億円で、自己資本比率は95.5%(業種中央値69.9%より厚い)

決算期総資産億円自己資本億円負債億円自己資本比率%
2019年2月65185.4
2020年2月97288.0
2021年2月1211192.9
2022年2月2725289.5
2023年2月3837198.0
2024年2月3635196.9
2025年2月3028292.1
2025年12月2928195.5

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2025年12月期の内訳単体ベース
現金及び預金
28億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
-7億円
過去の利益の積み上がり
負債合計
1億円
いつか返す必要があるお金

業界内での比較

医薬品 79社との比較

同じ医薬品の企業と並べると、いちばん上に来るのは自己資本比率79社中2位あたり、逆に低いのはROE79社中75位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE下位株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
-25.9%/中央値 5.9%
P25 2.0%P75 11.0%
営業利益率売上のうち本業の利益として残る割合
/中央値 2.9%
P25 -162.5%P75 11.5%
自己資本比率上位総資産のうち返済のいらないお金の割合
95.5%/中央値 69.9%
P25 53.4%P75 84.5%
売上成長率前期からの売上の伸び
/中央値 2.8%
P25 -1.3%P75 12.0%
配当利回り株価に対して1年で受け取る配当の割合
/中央値 2.9%
P25 2.3%P75 3.5%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月2日の終値

直近の終値は¥108で、1年前と比べて-34.1%過去52週の値幅のなかでは22%の位置にある。

¥108-0.9%1ヶ月+9.1%1年-34.1%時価総額49億円
過去52週の値幅
安値¥92高値¥166

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標
PBR2.05倍

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

95円まで下落した後、7/27に97円と小幅反発。しかし25日線103円を5.8%下回り、75日線124円からも大きく乖離。1ヶ月で4%下落し、52週安値95円に接近。RSIは26と売られすぎ圏だが、反転の兆しは弱い。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

AIの評価

AI評価

株価水準の解釈です。売買の推奨ではありません

現在の株価水準を割高と判定しています(スコア 20/100)

PBR1.71倍は同業界平均3.07倍を下回るが、PERが算定不能で赤字継続、ROEは-25.9%と深刻な収益悪化。配当は無配。業界平均に比べて指標面では割安感もあるが、持続的な損失と無配を考慮すると、実質的な価値は低く割高と判断。

指標この会社業種平均
PBR2.05倍3.53倍
ROE-25.9%6.5%

業種平均は同じ東証33業種に属する銘柄の単純平均です。銘柄数が少ない業種では平均が振れます。

AI評価判定とスコアは公開データをもとにした解釈で、将来の株価を示すものではありません。算出の考え方は編集方針に記載しています。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

無収益・赤字継続のバイオベンチャーで、パイプラインの進捗と資金繰りが最大の論点。強気派は、特定の疾患領域で差別化されたパイプラインが後期開発に進めば、導出や提携で大きなリターンが得られると期待する。弱気派は、競合の多い分野で臨床成功確率が低く、資金調達リスクや開発遅延が常に付きまとうと見ている。

プラスに働く材料7
  • パイプラインの進展

    後期臨床試験入りが好感されれば株価上昇の契機に。

  • 導出・提携収入

    大手製薬との提携で upfront 収入が発生する可能性。

  • ニッチ領域への集中

    アンメットニーズの高い疾患で競合が少ない場合に優位。

  • 2025年12月期営業損失7億円と赤字縮小2025年12月期影響

    FY2025/2 -9億円→FY2025/12 -7億円、改善傾向

  • パイプラインの進展期待不定影響

    新薬候補の臨床試験結果次第でバリュエーション急変

  • M&Aや提携による成長戦略不定影響

    製薬企業との提携で収益化の可能性

  • 純損失7億円と前年比改善通年影響

    FY2025/2 -10億円→FY2025/12 -7億円、赤字幅縮小

マイナスに働く材料7
  • 無収益・赤字継続

    2025年2月期も営業赤字7億円で収益化のめど立たず。

  • 資金調達リスク

    時価総額44億円と小さく、追加調達で希薄化懸念。

  • 臨床失敗リスク

    創薬企業の成功率は低く、パイプライン頓挫で株価急落も。

  • 2025年12月期も営業損失継続2025年12月期影響

    営業損失7億円、黒字化のメド立たず

  • キャッシュ減少リスク継続影響

    赤字継続で資金消耗、増資リスク

  • PBR1.71倍と純資産割れ懸念継続影響

    自己資本毀損でPBR低下、割安感無し

  • 無配当で株主還元無し継続影響

    配当利回り0%、投資家魅力低い

次の決算で確かめる点
現金及び預金
資金残高が開発継続の生命線。
パイプライン進捗
臨床試験の開始・結果が最も重要なバリュードライバー。
研究開発費
投資規模と開発効率を測る指標。

株主

有価証券報告書より

2025年12月期末の株主数は延べ11,107人。区分でいちばん多いのは個人・その他80.0%。グループ会社や銀行などの安定株主が6.8%を占め、残る93.2%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2023年2月%2024年2月%2025年2月%2025年12月%
個人・その他88.175.375.080.0
証券会社1.45.34.89.7
事業法人7.16.56.36.6
外国法人3.112.113.73.3
金融機関0.20.60.00.3
外国人個人0.20.20.30.3

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01大和日台バイオベンチャー投資事業有限責任組合9.03
02THVP-1号投資事業有限責任組合6.26
03株式会社新日本科学3.15
04楽天証券株式会社2.90
05株式会社SBI証券2.79
06山本 哲郎2.14
07蓮見 惠司1.77
08富永 隆寛1.54
09ニッセイ・キャピタル9号投資事業有限責任組合1.46
10BNY GCM CLIENT ACCOUNT JPRD AC ISG(FE-AC)(常任代理人 株式会社三菱UFJ銀行)1.19

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

大量保有報告の動き
5%超の保有者の提出ベース 直近3
  • 2026-08-14
    グロース・キャピタル株式会社
    新規の大量保有報告
    4.36%
    -1.09pt
  • 2026-07-21
    グロース・キャピタル株式会社
    新規の大量保有報告
    5.45%
    -0.53pt
  • 2026-06-30
    グロース・キャピタル株式会社
    新規の大量保有報告
    5.98%
    -1.20pt

提出があった時点の記録です。その後5%を割った保有者が一覧に残ることがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 8期分

1株利益は8期で−102%、1株純資産は5期で−19%。直近期のROEは-25.9%で、日本株の目安とされる8%を下回る。

決算期EPSBPSROE%
2019年2月77617.4
2020年2月−6,959−116.5
2021年2月−171−77.1
2022年2月537460.2
2023年2月−25102−27.9
2024年2月−2685−26.8
2025年2月−1669−23.7
2025年12月−1660−25.9

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安
ROE自己資本利益率
株主のお金でどれだけ稼いだか。日本株では8%が一つの目安

経営陣

10名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は10名。2025/12期の役員報酬は総額102百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約2倍にあたる。

氏名役職年齢保有株数
若林拓朗代表取締役社長5913,900
蓮見惠司取締役会長68804,000
伊藤剛取締役5620,000
横田尚久取締役66
髙梨健取締役62
並川玲子取締役72
小林伸明常勤監査役71
本田一男監査役76
中村健一監査役5110,000
長谷川紘之監査役50

役員報酬の内訳2025/12

役員の区分人数固定報酬百万円ストックオプション百万円その他百万円合計百万円1人あたり百万円
取締役(社内)566777315
社外監査役31111124
社外取締役21111126
監査役140055

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2025/3期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容12,000字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3【事業の内容】 当社は、医薬品の研究・開発・製造・販売を事業目的とする「医薬品開発事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の情報は記載を省略しております。 (1)SMTP化合物の特徴 当社は、アカデミア等の研究機関等の研究開発成果を基盤とした医薬品候補物質の研究開発を行い、グローバルの医薬品市場に展開することを主要な事業内容とした、創薬型バイオベンチャー企業です。 当社はこれまで、ヒトが体内に有する酵素の一つである可溶性エポキシドヒドロラーゼ(sEH)*を標的とした医薬品候補物質であるSMTP化合物の研究開発を進めてきました。sEHを阻害することで「抗炎症作用」が得られることが分かっており、当社では様々な炎症性疾患を対象としてsEH阻害剤の開発を進めています。 当社のリードパイプラインであるTMS-007(JX10)は、sEH阻害による「抗炎症作用」に加えて、プラスミノーゲン*に作用することによる「血栓溶解作用」も有しており、急性期脳梗塞を対象とした臨床開発が進められています。また、後続パイプラインのTMS-008は、様々な炎症性疾患を適応*として開発が進められており、2025年6月に第Ⅰ相臨床試験を完了しました。 ① 可溶性エポキシドヒドロラーゼ(sEH)について sEHは二つの作用を有すると考えられています。一つは、可溶性エポキシドヒドロラーゼという名称の由来となった、エポキシド構造*の化合物を加水分解*する作用です(EH活性)。具体的には、sEHは、生理活性脂質*エポキシエイコサトリエン酸(EETs:Epoxyeicosatrienoic Acid)*を、加水分解作用によりジヒドロキシエイコサトリエン酸(DHETs:Dihydroxyeicosatrienoic Acid)*に変換する役割を担っています。EETsは炎症を抑制する効果があることが知られています。このため、sEHを阻害することで、EETsからDHETsへの変換を防ぎ、EETsが減少せずに体内に留まります。これがsEH阻害剤の抗炎症作用のメカニズムの一つであると考えられています。 sEHのもう一つの作用は、脱リン酸化作用*です(Phos活性)。sEHの脱リン酸化作用の詳細についてはまだほとんど解明されていませんが、当社は東京農工大学等との共同研究を通じて解明に取り組んでおり、sEH阻害による抗炎症作用の中核を担う作用であることが分かってきています。 (可溶性エポキシドヒドロラーゼ(sEH)の作用機序*) ② SMTP化合物群について 当社のパイプラインTMS-007(JX10)、TMS-008及びTMS-009は、SMTPと名付けられた化合物のファミリーに属しています。SMTPは、黒カビの一種であるスタキボトリス・ミクロスポラ(Stachybotrys Microspora)が産生する化合物(Staplabin)と、約60種類のその誘導体からなる化合物群です。SMTPの主な作用機序は、sEHの阻害作用に基づく抗炎症作用ですが、一部の化合物はプラスミノーゲンに作用することで血栓を溶解する効果も有しています。 (a) SMTPによるsEH阻害作用 SMTP化合物の多くは、sEHのEH活性とPhos活性の両方を阻害する作用を持っており、この作用により、強い抗炎症作用を生み出していると考えられています。 これまでに、TMS-007(JX10)やTMS-008をはじめとしたSMTP化合物を様々な炎症性疾患のモデル動物*に投与する実験を行っていますが、多くの実験において抗炎症効果が確認されています。 例えば、ob/obモデルマウスと呼ばれる、肥満/メタボリック症候群を模したモデルでは、TMS-007とTMS-008の投与はコレステロールや中性脂肪といったマーカーを下げるだけではなく、肝臓の炎症を下げる効果が確認されました。また、潰瘍性大腸炎のモデルマウスでは、TMS-008の投与は症状を改善したのみならず、5-ASA(5-アミノサリチル酸、潰瘍性大腸炎の第一選択薬として広く使用されている)との比較においても優れた結果を示しました。 (ob/obモデルマウスにおけるSMTP化合物の肝炎抑制) AST/ALT:どちらも肝臓に多く含まれる酵素。肝臓が障害を受けると血液中の値が上がることから、肝炎等の肝障害の程度を示す指標として用いられる。 Control:ob/obモデルマウス。ob/obモデルマウスは肥満モデルマウスの一種で、遺伝子変異により著しい肥満状態となる。メタボリック症候群のモデルとして多く用いられる。 TMS-007:Controlと同じ状態のマウスにTMS-007を投与したマウス。 TMS-008:Controlと同じ状態のマウスにTMS-008を投与したマウス。 (潰瘍性大腸炎モデルマウスにおけるTMS-008の薬理効果) DAIスコア:潰瘍性大腸炎の重症度の指標。数値が大きいほど重症。 組織スコア:組織学的所見の指標。本試験では5段階の指標を用いており、数値が大きいほど重症。 Normal:通常状態のマウス Control:人為的に潰瘍性大腸炎症状を起こしたマウス TMS-008:Controlと同じ状態のマウスにTMS-008を投与したマウス 5-ASA:Controlと同じ状態のマウスに5-ASAを投与したマウス (b) SMTPによる血栓溶解作用 生体における血栓溶解のメカニズムは精密に制御されていますが、主要なメカニズムは、血中に多く含まれているタンパク質プラスミノーゲンが、血栓の主要構成タンパク質であるフィブリン*と結合することにより組織型プラスミノーゲン・アクティベータ(t-PA)*を誘導し、t-PAがプラスミノーゲンの一部を切断することでプラスミン*に変化させ、このプラスミンがフィブリンを分解するというものです。 t-PAは、急性期脳梗塞の治療薬として米国FDA*に唯一承認されている化合物でもあります。遺伝子組換えにより作られたt-PAを体外から投与することにより、プラスミンを多く生成し、その結果血栓溶解を促進する効果をもたらします。一方で、t-PAを大量投与することにより、生体内の凝固線溶系のバランスが崩れ、血栓が存在しない場所でも出血を助長する副作用のリスクが指摘されています(Pendlebury et al. Ann. Neurol. 1991)。 これに対して、SMTP化合物が血栓溶解を促進する作用は、SMTPがプラスミノーゲンに結合してその立体構造を変化させ、プラスミノーゲンとフィブリンが結合しやすくすることで血栓溶解プロセスを迅速に発生させるという仕組みです。SMTP化合物を投与しても、血栓溶解に関わる種々のタンパク質等のバランスを崩すことがないことから、出血助長の副作用を惹き起こすリスクが低いと考えられています。 (SMTP化合物による血栓溶解作用機序) (2)開発パイプライン 当社における臨床段階のパイプラインは、臨床後期段階(前期第Ⅱ相臨床試験終了)にあるTMS-007(JX10)と、臨床早期段階にあるJX09及びTMS-008の3化合物からなっています。また、TMS-008のバックアップ化合物としてTMS-009があります。TMS-007、TMS-008及びTMS-009は全てSMTP化合物ファミリーに属しますが、今後はsEHをターゲットとしうるSMTP以外の化合物の研究開発も進めていきます。 1. TMS-008は、CORXELからの無償使用許諾にもとづき当社で開発中。TMS-009はTMS-008のバックアップ化合物。 2. CORXELより日本における開発販売権の無償ライセンスを取得(2024年1月)。 3. TMS-010は2024年7月に、R-001は2025年11月に北海道大学より日本を含む全世界における独占的ライセンスを取得。 4. ASI(Aldosterone synthase inhibitor):アルドステロン合成酵素阻害剤 5. BBSCB(Blood-brain spinal cord barrier)保護:血液脳脊髄関門の破綻を防ぐ。 ① TMS-007(JX10)(急性期脳梗塞) 脳梗塞は、世界で年間約763万人が発症し約329万人の死亡原因となっている、非常に重大な疾患です(World Stroke Organization:Global Stroke Fact Sheet 2022)。急性期脳梗塞は、血栓により脳血管が閉塞して脳への血液供給が滞ることで生じます。片麻痺、記憶障害、言語障害、読解力・理解力の低下、その他の合併症を引き起こし、脳の永久的な損傷に繋がる可能性があります。また、介護が必要になる原因としても上位であり、医療経済に対し極めて大きな影響をもたらしています。それにも関わらず、先進国で共通に承認されている医薬品は一品目のみであり、しかも脳梗塞患者全体の10%未満にしか投与されておらず、非常に大きなアンメット・メディカル・ニーズ*が存在しています(Intern Med 54:171-177, Prehospital Delay and Stroke-related Symptoms)。TMS-007(JX10)は、血栓溶解作用と抗炎症作用を併せ持つ新しい作用機序により急性期脳梗塞治療に大きな変化をもたらすことが期待されると当社は考えています。 (a) 急性期脳梗塞(AIS)市場について 脳梗塞を含む脳卒中は、世界の死亡原因第2位であり、成人の障害を惹き起こす主要な原因の一つとされています(Katan et al. Semin Neurol 2018;38:208–211)。全世界の脳卒中発症数は年間約1,222万人とされていますが、うち約763万人(約63%)が脳梗塞患者です。また、脳卒中による世界の死亡数は年間約655万人とされており、うち約329万人(約50%)が脳梗塞によるものです(World Stroke Organization:Global Stroke Fact Sheet 2022)。 米国では、脳卒中発症患者のうち約87%が脳梗塞患者とされており、2018年に約55.3万人が脳梗塞を発症したとの推計があります(Tsao et al. Heart Disease and Stroke Statistics 2022 e391、Datamonitor Healthcare “Stroke Epidemiology”, Published on 07 January 2019)。脳卒中は、米国の死亡原因として第5位であり、成人に障害をもたらす最大の要因であると考えられています(Centers for Disease Control and Prevention, “National Vital Statistics Reports volume 70”)。日本では、2018年に約23万人が脳梗塞を発症したとの推計があります(Datamonitor Healthcare ”Stroke Epidemiology”, Published on 07 January 2019)。 1.Datamonitor Healthcare.”Stroke Epidemiology”,Ref Code:DMKC0201444.Published on 07 January2019 2.欧州5ヵ国はドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国を指します 世界の急性期脳梗塞の患者数は増加することが予想されています。また、2021年における急性期脳梗塞の治療薬の売上高は21億ドル程度であり、市場は年々拡大することが予想されています(出典:Informa;Activase®とActilyse®の推計売上高を合計。統計資料や出版物の正確性には限界があるため、実際の市場規模は、推定値と異なる可能性があります。)。t-PAは脳梗塞患者全体の10%未満にしか使用されていないとされていること(Intern Med 54: 171-177, Prehospital Delay and Stroke-related Symptoms)から、t-PAの対象患者よりも多くの患者にTMS-007(JX10)の投与が可能となった場合、市場規模はさらに拡大することが予想されます。 米国における脳卒中による生涯コストは一人当たり約14万ドルとする報告があり(Katan et al. Semin Neurol 2018;38:208–211)、年間約55.3万人が脳梗塞を発症することを考えると、毎年膨大な将来負担が発生していることとなります。 (b) TMS-007(JX10)の優位性について 急性期脳梗塞の治療戦略としては、1)発症後できるだけ早く血流を再開すること、2)浮腫*や炎症を抑えること、の2つがあります。血流再開の目的では、医薬品としては既に各国で承認されているt-PAが代表的なものとなります。浮腫・炎症を抑える目的では、現在のところ先進各国で共通して承認された医薬品は存在しておらず、作用機序が異なる複数の医薬品が開発中ですが、後期臨床試験に入っている品目はごく少数となっています。 当社のTMS-007(JX10)は、プラスミノーゲンを介した血栓溶解による血流再開と、sEH阻害を機序とした抗炎症の両方のメカニズムを併せ持っており、単剤で「血流再開」と「抗炎症」の両方の治療戦略に対応することが可能となっています。このように「血流再開」と「抗炎症」の効果を併せ持った化合物はほとんど知られておらず、他の薬剤及び薬剤候補物質に対する優位性があると考えられます。 (論文 M. Zaleska et al. (2009) Neuropharmacologyより改変) また、t-PAは血栓溶解作用による血流再開を作用機序としていますが、頭蓋内出血を助長する副作用のリスクがあることが知られており、主にこの副作用のリスクを軽減するために、原則として発症後4.5時間以内に投与することが義務付けられています(豊田一則 臨床神経 49: 801―803, 2009)。 これに対して、TMS-007は臨床試験において副作用として米国国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)*4以上の悪化を伴う症候性頭蓋内出血*は発現しておらず、また動物実験では逆に頭蓋内出血を抑えるとの結果が得られています(Ito et al. Brain Res 2014)。このため、TMS-007の投与可能時間は発症後4.5時間の枠を超えることが期待されています。実際、当社のTMS-007前期第Ⅱ相臨床試験では発症後12時間以内の被験者に対して投与を行っております。 TMS-007は、その有効性と安全性により、t-PAよりも多くの患者に使用される可能性があります。t-PAを使用可能な時間帯に病院に到着した患者のうち、実際にt-PAを投与された患者は26%という報告があります(出典:Messe(2016), “Why are acute ischemic stroke patients not receiving IV t-PA”)。TMS-007は、その高い安全性により、発症後投与可能時間の中で最大75%の患者に使用される可能性があり、潜在的な市場規模はt-PA対比で大きくなる可能性があります(単純計算で約2.9倍)。また、t-PAは原則として発症後4.5時間以内に投与される必要がありますが、TMS-007の発症後投与可能時間が12時間又は24時間まで延長された場合、投与可能患者はt-PAの約1.6倍又は約1.9倍となる可能性があります。以上を総合すると、発症後12時間又は24時間経過した患者に対するTMS-007の使用可能性が発症後2時間以内の患者に対する使用可能性と変わらないと仮定すれば、TMS-007はt-PAと比較して潜在的な市場規模は4.6倍~5.5倍となる可能性があります。また、上記のような有効性と安全性が認められれば、t-PAよりも高い薬価が設定される可能性もあります。 上記情報には、現在入手可能な情報に基づく当社の判断による、将来に関する記述が含まれております。そのため、上記の情報は様々なリスクや不確実性に左右され、実際の開発状況はこれらの見通しと大きく異なる可能性があることをご承知おきください。 (c) TMS-007の前期第Ⅱ相臨床試験の結果について 当社は、2017年11月から2021年8月にかけて、TMS-007の前期第Ⅱ相臨床試験を実施しました。当該試験は、単回投与・無作為化*・プラセボ*対照*・用量漸増*・二重盲検試験*として日本国内で実施されたもので、TMS-007投与群52例、プラセボ群38例の被験者が組み入れられました。また、TMS-007投与群のうち、1mg/kg投与群が6例、3mg/kg投与群が18例、6mg/kg投与群が28例でした。 主要な組入基準は、既存の血栓溶解薬又は血管内治療*の対象とならない、発症後12時間以内の急性期脳梗塞患者であり、TMS-007群では発症から投与までの平均経過時間(中央値)は9.5時間、プラセボ群では9.3時間でした。当試験の主要評価項目は安全性で、「米国国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)4以上の悪化を伴う症候性頭蓋内出血の発症率」で評価されました。TMS-007群では該当する症例は報告されず(0例/52例)、プラセボ群では該当症例の発症率は2.6%でした(1例/38例)。また、軽症を含む全ての頭蓋内出血(Total ICH)の発生率はTMS-007群:11.5%(6/52例)、プラセボ群:13.2%(5/38例)でした。 さらに、TMS-007群は、副次評価項目の一つである発症後90日での生活自立度において大きな改善を示しました。生活自立度を評価する指標であるモディファイド・ランキン・スケール(mRS)*において、TMS-007群は40.4%の被験者が0又は1のスコアとなり、日常生活に支障のない範囲となったのに対し、プラセボ群では18.4%でした。この結果は、被験者総数90例という比較的小規模な治験であったにもかかわらず、統計的な有意差をもたらすこととなりました(P値*<0.05、単純オッズ比*3.00、調整オッズ比3.34)。なお、90日後mRS0-1への転帰率はExcellent Outcomeとも呼ばれ、急性期脳梗塞の有効性主要評価項目(ゴールド・スタンダード・エンドポイント)とされています。 (TMS-007前期第Ⅱ相臨床試験の主要な結果) また、視認可能な血管閉塞を有する一部の被験者において、CT血管造影法(CTA)*又は磁気共鳴血管撮影(MRA)*により評価された血管の再開通率は、TMS-007投与群で58.3%(14/24例)、プラセボ群で26.7%(4/15例)となり、統計的有意差までは至らなかったものの、TMS-007による生活自立度の改善を支持する結果となりました(95%信頼区間*0.99-18.07、オッズ比4.23)。 (TMS-007前期第Ⅱ相臨床試験の概要) TMS-007群   プラセボ群 デザイン   無作為化・プラセボ対照・用量漸増・二重盲検 主要組入基準   18歳以上、88歳以下の急性期脳梗塞患者 血栓溶解療法及び血管内療法を適用できない 発症後12時間以内に投与開始可能 用法用量   単回投与 被験者数   52名   38名 発症後平均経過時間   9.5時間   9.3時間 症候性頭蓋内出血   0%   2.6% 有効性(mRS0-1転帰率)1   40.4%   18.4% 血管再開通率   58.3%   26.7% 1 統計的な有意差が示されました。(P値<0.05、単純オッズ比3.00、調整オッズ比3.34) (d) TMS-007の導出に関する契約について 当社は、2018年6月にバイオジェン社とオプション契約を締結しました。バイオジェン社は、TMS-007前期第Ⅱ相臨床試験の結果を受けて、2021年5月にオプション権を行使し、これにより、以降の開発はバイオジェン社の責任と費用により行われることになりましたが、バイオジェン社は、その戦略変更により、オプション契約における同社の地位を旧Ji Xing Pharmaceuticals Hong Kong Limited(香港、現CORXEL Pharmaceuticals Hong Kong Limited。以下、同社の親会社であるCORXEL Pharmaceuticals Limitedを含む同社グループ会社を総称して「CORXEL」という。)に譲渡することとなりました。バイオジェン社からCORXELへの契約上の地位の移転は、2024年1月11日に行われ、地位の移転後はTMS-007の開発及び各国での承認取得(日本を除く)もCORXELが行うこととなりました。また、TMS-007の日本における開発販売権は、同日付にて行われたオプション契約の変更に基づき、当社に無償でライセンスされました。なお、TMS-007のグローバル試験の中で当社が日本で行う臨床試験の費用については、CORXELとの契約にもとづき75%が同社により補填されることとなっております(上限1,000万ドル)。 当社とバイオジェン社のオプション契約により、当社は、2018年6月の契約締結時に400万ドル、2021年5月のオプション権行使時に1,800万ドルを既に受領しています。 オプション契約に基づくバイオジェン社の契約上の地位がCORXELに譲渡されるのと同時に、オプション契約の内容が変更され、当社は、①アップフロントとしてCORXEL※の株式500万ドル相当、TMS-007の日本における開発販売権、JX09の日本における開発販売権、②最大3億6,750万ドルのマイルストーン*一時金(開発マイルストーン最大1,250万ドル、販売マイルストーン最大3億5,500万ドル)、③日本を除く地域の製品売上高に応じて一桁%台後半~10%台前半の段階的料率によるロイヤリティ(料率の変更なし)を受領する権利を有することとなりました。 (オプション契約の概要) 種類   時期   金額等 契約金(受領済)   2018年6月   400万ドル オプション行使料(受領済)   2021年5月   1,800万ドル 契約変更アップフロント(受領済)   2024年1月   CORXEL※株式500万ドル相当 TMS-007の日本での開発販売権 JX09の日本での開発販売権 マイルストーン   (開発・販売状況に応じて)   最大3億6,750万ドル 開発マイルストーン:最大1,250万ドル 販売マイルストーン:最大3億5,500万ドル ロイヤリティ   (関連特許権の消滅する時と販売開始後8年のいずれか遅い方まで)   一桁%台後半~10%台前半 ※Ji Xing Pharmaceuticals Limited(現 CORXEL Pharmaceuticals Limited)(ケイマン諸島) (e) TMS-007(JX10)の今後の開発について 2025年2月より開始された第Ⅱ相/第Ⅲ相臨床試験「ORION」は、発症後4.5時間から24時間までの脳梗塞患者を対象としてCORXELが主体となって実施するグローバル臨床試験であり、2025年5月に最初の被験者への投与が実施されました。当社はTMS-007(JX10)の日本における独占的な事業化の権利を有し、日本のパートナーとしてこの臨床試験に参加しております。2025年4月に当社がPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)へ治験計画届出書を提出し、当事業年度終了後の2026年2月には、日本における最初の被験者への投与が行われました。 (TMS-007(JX10)第Ⅱ相/第Ⅲ相臨床試験「ORION」の概要) デザイン   無作為化・プラセボ対照・二重盲検・並行群間比較 主要組入基準   18歳以上、90歳以下の急性期脳梗塞患者 画像解析にて救済可能な組織が認められる患者 投与前のNIHSSスコア5以上 最終健常確認時から4.5~24時間以内 用法用量   単回投与 予定被験者数   740名(パート1:240名・パート2:500名) 主要評価項目   90日後のmRSスコア 0~1の被検者の割合 ランダム化後36時間以内の症候性頭蓋内出血の発現率 ② TMS-008 TMS-008は、血栓溶解作用がほとんどなく、sEH阻害による抗炎症作用を有するSMTP化合物です。2025年6月に第Ⅰ相臨床試験を完了しました。 TMS-008は、その抗炎症作用により、大きなアンメット・メディカル・ニーズを有する急性期の炎症性疾患を標的として開発が進められており、当社では、急性腎障害及びがん悪液質を適応として開発を行う予定です。また、他の疾患への適応についても研究を進めており、得られた結果によっては、TMS-008の適応疾患としてパイプラインに掲げる適応を追加する可能性があります。 バイオジェン社がオプション権を行使したことにより、TMS-008を含む全てのSMTP化合物に関する製造開発権はバイオジェン社に移転され、その後、バイオジェン社からCORXELにそれらの権利が移転されました。当社は、引き続きTMS-008を含む複数の化合物を一定の疾患を適応として開発する権利について、CORXELから無償での使用許諾を受けています。また、当社がTMS-008の適応疾患としてパイプラインに掲げている適応は、全てこの無償使用許諾の範囲内となっております。 (a) 急性腎障害適応について 急性腎障害(AKI)は、数時間~数日の間に腎機能が急激に低下する疾患であり、多種多様な病因がありますが、他疾患との合併症によるものが多いと言われています。国内の調査では、AKIの原因は敗血症(35%)、心原性ショック(21%)、大手術後(13%)との報告があります(日本内科学会雑誌 第103巻 第5号 平成26年)。また、COVID-19の感染によってもAKIが発症することが報告されています(Nature Reviews Nephrology volume 16, pages747–764 (2020))。 AKIの疫学*は十分に分かっていませんが、海外での報告では、透析が必要ない症例と透析が必要な症例で、人口10万人あたり、それぞれ約200~500件/年及び約20~30件/年との報告があります。国内では、急性血液浄化治療*が必要であったAKI患者は、人口10万人あたり13.3人/年との報告があります(日本内科学会雑誌 第103巻 第5号 平成26年5月10日)。また、市場調査報告では、主要7ヶ国(日米+欧州5ヶ国)での年間患者数は2030年に約1,100万人に到達するとの推計があります(Delveinsight, “Acute Kidney Injury - Market Insights, Epidemiology, and Market Forecast—2030”。欧州5ヶ国はドイツ、フランス、イタリア、スペイン及び英国を指す。)。AKIは入院患者の発症率が非常に高く、8%~16%にも上るとの報告があります(Adv Chronic Kidney Dis. 2017;24(4):194-204)。 入院中のAKI患者の死亡率は20%~25%にも上るとの報告があり(Nephron. 2017 ; 137(4): 297–301)、また、回復しても慢性腎疾患(CKD)に移行する患者も多いとされています。医療経済に与える影響も大きく、米国においてはAKIによる医療コストは年間54億~240億ドルに上るとの報告があります(Silver et al. Nephron. 2017)。このように重大な疾患であるにもかかわらず、AKIを対象として承認された治療薬は存在せず、大きなアンメット・メディカル・ニーズとなっています。当社では、TMS-008をAKI適応として開発することを計画しています。 (b)がん悪液質について がん悪液質は、「通常の栄養サポートでは完全に回復することができず、進行性の機能障害に至る、骨格筋量の持続的な減少(脂肪量減少の有無を問わない)を特徴とする多因子性の症候群」と定義されています(Fearon K, et al. Lancet Oncol. 2011; 12(5): 489-495)。進行がん患者の80%が悪液質の症状を呈し、がん患者の死因の20%が悪液質によるものとの報告もあります(静脈経腸栄養 Vol.23 No.4 2008)。がん悪液質の患者数

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