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超!企業DB
日経平均64,325.64-1,890NYダウ52,959.24+192ドル円158.93-1NASDAQ26,195.71+96S&P 5007,663.84+32SOX 指数11,328.43+409/2終値

サイフューズ

4892 · Growth · 医薬品

細胞だけで立体組織を作る世界初のバイオ3Dプリンタ技術で、再生医療と創薬支援に挑む。

概要

サイフューズは2010年8月に設立された再生医療ベンチャーである。人工材料を使わず細胞のみで立体的な組織・臓器を作製する独自の三次元細胞積層技術を基盤とする。事業は再生医療等製品の開発、創薬支援向け3D細胞製品の提供、バイオ3Dプリンタの販売の三本柱で構成される。従業員数23名、本社は東京都港区。

細胞のみで組織を作る独自の基盤技術

サイフューズの事業はすべて、細胞塊(スフェロイド)を積層して立体的な組織を作る三次元細胞積層技術に依存する。この技術は2011年に九州大学から独占ライセンスを受けた基本特許に基づく。人工の足場材料を一切使わないため、移植後の生体親和性が高く、拒絶反応や感染リスクを低減できるとされる。この技術を搭載したバイオ3Dプリンタ「regenova®」と「S-PIKE®」は、研究機関や製薬企業に販売され、消耗品収入とともに安定的なベース収益を生み出している。

再生医療と創薬支援の二つの応用領域

再生医療領域では、自家細胞を用いた第一世代製品と同種(他家)細胞を用いた第二世代製品を並行開発する。末梢神経再生用の「細胞製神経導管」、変形性膝関節症向けの「細胞製骨軟骨」、血液透析患者向けの「小口径細胞製人工血管」が主要パイプラインである。創薬支援領域では、ヒト3Dミニ肝臓®などの3D細胞製品を毒性評価用に販売し、非臨床試験の代替手段を提供する。2025年12月期の売上高は2.3億円で、前年比約4.2倍に拡大したが、研究開発費と人員増により営業損失8.3億円を計上している。

産学官連携とパートナーシップの拡大

サイフューズは単独での事業化が困難な領域で、複数の大学・企業と連携する。再生医療パイプラインは国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)や経済産業省の補助事業に採択されており、京都大学、慶應義塾大学、佐賀大学などと臨床開発を進める。パートナー企業としては、富士フイルム株式会社(血管再生)、積水化学工業株式会社(肝臓構造体)、太陽ホールディングス株式会社(製品製造)などと業務提携を結ぶ。2025年には株式会社クラレと資本業務提携を締結し、大量培養プロセスの共同開発を開始した。

業界の中での役割は再生医療・創薬分野向けの3D細胞製品とそれを製造するバイオ3Dプリンタを提供する企業。にあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

売上高
2億円
営業利益
-8億円
営業利益率
-400.0%
純利益
-8億円
2025/12 通期の連結業績。決算の内訳は最新の決算以降にあります。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2025/3期)より

01再生医療主力

細胞のみから作製した神経導管や骨軟骨、血管などの再生医療等製品を開発し、大学や企業と連携して臨床試験を進め、承認取得を目指す。

世界初のバイオ3Dプリンタを用いた再生医療等製品の臨床開発

主要顧客京都大学医学部附属病院、慶應義塾大学病院、藤田医科大学病院、佐賀大学、東京大学

主な製品・サービス3
細胞製神経導管
末梢神経損傷の治療に用いる細胞のみで作られた神経再生用チューブ。
細胞製骨軟骨
変形性膝関節症などで損傷した軟骨と軟骨下骨を同時に再生する。
小口径細胞製人工血管
腎不全患者の透析用血管として移植を目指す細胞製の血管構造体。

02創薬支援準主力

肝臓や腸管の機能を再現した「ヒト3Dミニ肝臓®」などの機能性細胞デバイスを製薬企業や受託企業に提供し、薬効評価や毒性試験を支援。

主な製品・サービス2
ヒト3Dミニ肝臓®
肝臓の機能を体外で再現する3D細胞製品で、創薬の安全性・有効性評価に用いる。
ヒト3Dミニ肝臓®/疾患モデル
脂肪性肝炎(MASH)などの疾患を模倣した3D細胞製品で、病態研究や薬効評価に利用。

03デバイス副次

バイオ3Dプリンタや関連機器・消耗品の開発・製造・販売を通じて、3D細胞製品の生産基盤を提供。

主な製品・サービス3
バイオ3Dプリンタ regenova®
細胞のみで立体組織を作製する世界初の実用機。
S-PIKE®
コンパクトなバイオ3Dプリンタ。
Cystrix®
評価用のバイオ3Dプリンタ。

製品と技術

バイオ3Dプリンタ:regenova®とS-PIKE®

サイフューズの中核製品であるバイオ3Dプリンタは、細胞のみからなるスフェロイドをプログラムされた位置に積層し、立体的な組織を作製する装置である。第一世代の「regenova®」は2012年に販売を開始し、日本と北米の研究機関に導入された。第二世代の「S-PIKE®」は2019年1月に発売され、より高い造形精度と操作の簡便性を実現している。両機種とも専用の培養容器やノズルなどの消耗品が必要であり、機器販売に加えてランニング収入を生むビジネスモデルを採る。

再生医療等製品パイプラインの三本柱

再生医療領域で開発中の主要製品は三つである。末梢神経再生用の「細胞製神経導管(Bio 3D Conduit)」は、患者自身の細胞から作製した三次元構造体を損傷部に移植し、神経の再生を促す。2026年1月には同種臍帯由来細胞を用いた医師主導治験が開始された。骨軟骨再生では、変形性膝関節症を対象とした細胞製骨軟骨の開発を進め、AMEDの支援を受けながら慶應義塾大学等と治験準備を進める。血管再生では、小口径の細胞製人工血管を佐賀大学と共同で臨床試験中である。

創薬支援向け3D細胞製品:ヒト3Dミニ肝臓®

創薬支援領域では、肝臓の立体構造を模した「ヒト3Dミニ肝臓®」を販売している。これは薬剤の毒性評価や代謝試験に用いる製品で、動物実験の代替として需要が見込まれる。製品は細胞のみで構成され、生体内の肝臓に近い機能を発現する。また、製薬企業からの受託研究として、特定の疾患モデル組織をバイオ3Dプリンタで作製するサービスも提供する。これらの事業は、再生医療等製品の承認を待たずに収益を生む中期ドライバーとして位置づけられている。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

医薬品のなかでの位置

会社が挙げる強い分野

  • 再生医療世界初のバイオ3Dプリンタを用いた再生医療等製品の臨床開発

有価証券報告書(2025/3期)で会社自身が述べている位置付けです。第三者による調査ではありません。

再生医療ベンチャー、赤字継続で上市遠く

iPS細胞を用いた再生医療製品の開発を行うバイオベンチャー。売上は1億円程度と微小で、研究開発費負担から営業赤字が継続。同業のVeritas In SilicoはAI創薬、Chordia Therapeuticsはがん免疫と異なる手法。ジーエヌアイグループは既に収益化段階。サイフューズは臨床試験も初期であり、製品化まで長期間を要する見込み。

強み

  • 他家iPS細胞を用いた再生医療製品の開発で先行しており、特許を保有。
  • 心筋、神経、肝臓など複数の細胞治療プログラムを保有。
  • 製薬企業や研究機関との提携により、開発リソースを補完。
  • 細胞製品の製造における厳格な品質管理技術を有する。

課題

  • 現状売上は極小で、黒字化時期は不透明。資金調達が継続的課題。
  • 再生医療製品は規制審査が厳しく、承認取得に多大な時間と費用。
  • 他社のiPS再生医療製品も開発競争が激化し、優位性の維持が困難。

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

医薬品の時価総額近傍。太字がサイフューズ

時価総額で並べると、掲載11社のなかで6番目にあたる。

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は東証33業種の分類に従っています。

会社の歴史

沿革 23件

九州大学ライセンスとNEDO採択で創業期を乗り切った2010~2011年

2010年8月、東京都新宿区に株式会社サイフューズを設立。直後の2010年9月には、骨軟骨再生の細胞製品プロジェクトがNEDOの委託事業に採択され、スタートアップとしての資金と信用を得た。2011年11月、国立大学法人九州大学と立体組織再生に関する基本特許(三次元細胞積層技術)の独占ライセンス契約を締結。この特許がその後の全事業の根幹となる。同年4月には本店を新宿から千代田区へ移転し、事業基盤を整えた。

バイオ3Dプリンタ販売開始と研究拠点の整備(2012~2014年)

2012年12月、細胞版3Dプリンタ「regenova®」の販売を開始。機器販売とともに消耗品の継続収入を見込むビジネスモデルが始動した。2013年4月、本店を文京区に移し、東京大学アントレプレナープラザ内に「東京ラボ」を開設。産学連携を加速する拠点を得た。2014年4月にはNEDO(後にAMEDに移行)の二つの委託事業に採択され、立体組織製造技術と細胞製造システムの開発に着手。規模拡大と技術蓄積が同時に進んだ時期である。

北米進出と国際的な賞の受賞(2015~2017年)

2015年5月、アジア・アントレプレナーシップ・アワード2015で優勝し、国際的な認知を獲得。同年9月、北米向けにregenova®の販売を開始し、海外市場への足掛かりを作った。2017年8月には「大学発ベンチャー表彰2017」で科学技術振興機構理事長賞、「第15回産学官連携功労者表彰」で日本学術会議会長賞を連続受賞。同年10月、富士フイルム株式会社と血管再生の細胞製品開発で業務提携を結び、大手企業との連携を本格化させた。

第二世代プリンタ投入と製造パートナーシップ(2018~2019年)

2018年8月、積水化学工業株式会社と肝臓構造体の細胞製品開発に関する業務提携を締結。新たなパイプラインの開発を拡大した。2019年1月、新型バイオ3Dプリンタ「S-PIKE®」の販売を開始し、プリント精度と生産性を向上。同年2月には太陽ホールディングス株式会社と資本業務提携を結び、再生医療等製品の製造体制構築に着手。同時期にJapan Venture Awards 2019で中小機構理事長賞、経済産業省の「J-Startup」企業にも選定され、成長企業としての地位を確立した。

本社移転と臨床開発の進展(2019年)

2019年7月、本店を東京都文京区へ再移転。この年は末梢神経再生パイプラインが京都大学医学部附属病院で医師主導治験を完了し、企業治験への移行準備が整った。骨軟骨再生でもAMED橋渡し研究プログラムに採択され、慶應義塾大学病院と藤田医科大学病院で治験製品の製造試験を開始。血管再生パイプラインは佐賀大学との臨床試験を継続。複数の開発候補が臨床段階に進み、製品実用化への道筋が具体化した。

年表23件を開く

2010年代

  • 2010年8月創業東京都新宿区に 株式会社サイフューズを設立
  • 2010年9月骨軟骨再生の細胞製品開発プロジェクトが国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の委託事業(橋渡し研究開発促進事業)に採択
  • 2011年4月本店を東京都新宿区から東京都千代田区へ移転
  • 2011年11月立体組織再生に関する基本特許(三次元細胞積層技術)に関し、国立大学法人九州大学と独占ライセンス契約を締結
  • 2012年12月細胞版の3Dプリンタ(バイオ3Dプリンタ)「regenova®(レジェノバ)」の販売開始
  • 2013年4月本店を東京都文京区へ移転し、東京大学アントレプレナープラザ内に「東京ラボ」を開設
  • 2014年4月NEDOの委託事業(橋渡し研究開発促進事業)(2015年から国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下、AMED)の委託事業に移行)「立体造形による機能的な生体組織製造技術の開発/細胞を用いた機能的な立体組織作成技術の研究開発」(代表:佐賀大学)に採択
  • 2014年4月NEDO(2015年からAMED委託事業に移行)の委託事業「再生医療の産業化に向けた細胞製造・加工システムの開発」(代表:京都大学)に採択
  • 2015年5月ベンチャー起業への国際的表彰「アジア・アントレプレナーシップ・アワード2015」(主催:アジア・アントレプレナーシップ・アワード運営委員会、共催:三井不動産株式会社、国立大学法人東京大学産学協創推進本部、一般社団法人TXアントレプレナーパートナーズ、一般社団法人日本ベンチャー学会、独立行政法人日本貿易振興機構)にて事業の革新性や事業の実行力に対する評価を受け、優勝
  • 2015年9月北米でバイオ3Dプリンタ「regenova ® (製品名:レジェノバ)」の販売開始
  • 2017年6月AMEDの委託事業「革新的医療技術創出拠点プロジェクト/HDMAC技術応用による変形性膝関節症における広範囲骨軟骨再生」(代表:九州大学)に採択
  • 2017年7月AMEDの委託事業「革新的医療シーズ実用化研究事業/バイオ3Dプリンタにより作製した三次元神経導管(Bio 3D Conduit)を用いた革新的末梢神経再生法の臨床開発」(代表:京都大学)へ参画
  • 2017年8月「大学発ベンチャー表彰2017」(主催:国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)/ NEDO)にて優れた大学発ベンチャーとしての評価を受け、「科学技術振興機構理事長賞」を受賞
  • 2017年8月「第15回産学官連携功労者表彰」(主催:内閣府、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、一般社団法人日本経済団体連合会、日本学術会議)にて産学官連携活動の推進に多大な貢献をした優れた企業としての評価を受け、「日本学術会議会長賞」を受賞
  • 2017年10月富士フイルム株式会社と 血管再生の細胞製品開発に関する 業務提携
  • 2018年8月積水化学工業株式会社と 肝臓構造体の細胞製品開発に関する 業務提携
  • 2018年10月肝臓構造体の細胞製品開発プロジェクトが、NEDO公募事業「研究開発型ベンチャー支援事業/企業間連携スタートアップに対する事業化支援」に採択
  • 2019年1月新型のバイオ3Dプリンタ「S-PIKE ® (製品名:スパイク)」の販売開始
  • 2019年2月「Japan Venture Awards 2019」(主催:独立行政法人中小企業基盤整備機構)にて革新的かつ潜在成長力の高い事業や、社会的課題の解決に資する事業を行う、志の高いベンチャー企業の経営者としての評価を受け、「中小機構理事長賞」を受賞
  • 2019年2月太陽ホールディングス株式会社と 再生・細胞医療分野における再生医療等製品の製品製造に関する 資本業務提携
  • 2019年5月東京都の「TOKYO働き方改革宣言企業」に認定
  • 2019年6月経済産業省のスタートアップ支援プログラム「J-Startup」企業に選定
  • 2019年7月本店を東京都文京区へ移転

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2025/12期の経営方針より

会社は5つの方針を掲げている。有価証券報告書には具体的な数値目標の記載がない。

  1. 01

    再生医療等製品の上市と事業化

    開発パートナー企業とともに複数パイプラインの臨床開発を進め、再生医療等製品の承認取得を目指す。長期的な事業ドライバーとして確立する。

  2. 02

    創薬支援領域での肝臓構造体事業化

    開発パートナー企業と協力し、肝臓構造体の毒性評価モデルを創薬支援分野で事業化する。中期的な事業ドライバーとして確立を目指す。

  3. 03

    バイオ3Dプリンタによる基盤技術の普及と標準化

    バイオ3Dプリンタとその基盤技術の普及を進め、再生医療領域での応用や新技術開発を継続。グローバル・スタンダード化を目指す。

  4. 04

    パイプライン価値向上と独自事業化モデルの構築

    パートナー企業との共同開発体制を強化し、製品開発・製造・収益化の連動する独自の事業化モデルを構築する。

  5. 05

    基盤技術のプラットフォーム化とポジション確立

    バイオ3Dプリンタや自動化技術の開発を進め、3D細胞製品の業界標準を目指す。再生医療・ライフサイエンス分野のプラットフォーマーとしての独自ポジションを確立する。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 4期分

グループ全体で23人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は935万円で、3期前と比べて+22.4%平均年齢は42.8歳、平均勤続年数は5.8年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数一人当たり営業利益万円
2022年12月76439.34.721
2023年12月78040.24.821
2024年12月85340.05.321−4,286
2025年12月93542.85.823−3,478

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

拠点とグループ

設備と関係会社

主要な設備 (帳簿価額 上位3)
東京オフィス — 東京都港区63百万円
東京ラボ — 東京都港区55百万円
福岡ラボ — 福岡県福岡市中央区39百万円
公共調達・補助金 (gBizINFO)
  • 補助金
    [第二回]令和2年度事業再構築補助金(交付申請等)
    中小企業庁
    1億円

出典: gBizINFO (経済産業省)

業績のいま

有価証券報告書・決算短信より

2025年12月期の売上高は2億円営業利益-8億円前期と比べると増収で、売上が+100.0%。

売上高
+100.0%
2億円
営業利益
-8億円
純利益
-8億円
営業利益率
-400.0%
前期比 +500.0%pt

会社が出している今期の予想2026年12月期

項目会社予想前期実績
売上高3億円2億円
営業利益-11億円-8億円
純利益-11億円-8億円
1株あたり配当¥0¥0

会社が決算短信で公表した予想です。証券会社の予想ではありません。 短信の原本

四半期の推移

10期分

直近は2026年2Qで、売上は1億円、営業利益は−4億円。

対象期間売上高億円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2023年1Q0−2−2
2023年2Q0−2−2
2023年3Q0−1−1
2023年4Q1−1
2024年1Q0−2−2
2024年2Q0−2−2
2024年4Q1−5−500.0−5
2025年2Q0−5−4
2025年4Q2−3−150.0−4
2026年2Q1−4−400.0−4

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。

業績の推移

有価証券報告書 8期分

直近期の営業利益率は-400.0%。

決算期売上高億円営業利益億円経常利益億円営業利益率%純利益億円
2018年12月0−4−4
2019年12月1−4−4
2020年12月1−3−3
2021年12月711
2022年12月4−4−5
2023年12月1−6−6
2024年12月1−9−9−900.0−9
2025年12月2−8−8−400.0−8

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。空欄の期は有価証券報告書からその項目の数値が取れていません(0ではありません)。

利益の構造

2025年12月期

売上高2億円のうち、営業利益として残るのは-8億円-400.0%。営業外の損益と税金を反映した純利益は-8億円、売上の-400.0%にあたる。営業利益率は業種中央値2.9%を下回る水準。

売上高を100としたときの内訳
  • 売上原価作る・仕入れるのにかかったお金50.0%1億円
  • 販売費及び一般管理費売る・管理するのにかかったお金450.0%9億円
  • 営業利益費用を引いたあとに残った本業の利益-400.0%-8億円

有価証券報告書の損益計算書から、当期の金額をそのまま割り振っています。売上原価と販管費は単体ベースの数値です。

粗利率
50.0%
売上から原価を引いて残る割合
営業利益率業種比402.9pt
-400.0%
本業の利益として残る割合
純利益率業種比402.7pt
-400.0%
税金まで払って最後に残る割合
ROA
-18.6%
資産全体がどれだけ利益を生んだか
ROIC
-93.3%
事業に使うお金がどれだけ利益を生んだか

ROICは有利子負債の開示がないため、営業利益×0.7÷(総資産−現金)の簡易式で算出しています。

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 6期分

2025年12月期は営業CFが−5億円、投資CFが−4億円で、差し引きのフリーCFは−9億円この組み合わせは先行投資型にあたる。本業がまだ現金を生まない中、調達した資金で投資を続けている。スタートアップ・再建初期の型期末の手元現金は24億円で、売上の144.0ヶ月分にあたる

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2020年12月−305−313
2021年12月2−12116
2022年12月−4−427−834
2023年12月−600−629
2024年12月−80−1−821
2025年12月−5−413−924

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 8期分

2025年12月期の総資産は43億円。このうち返さなくてよい自己資本が28億円で、自己資本比率は62.3%(業種中央値69.9%より薄い)

決算期総資産億円自己資本億円負債億円自己資本比率%
2018年12月1815384.7
2019年12月2018287.2
2020年12月2215770.5
2021年12月2619771.8
2022年12月48381078.3
2023年12月42321076.0
2024年12月35251070.9
2025年12月43281562.3

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2025年12月期の内訳単体ベース
現金及び預金
37億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
-36億円
過去の利益の積み上がり
棚卸資産
0億円
在庫として抱えている分
負債合計
15億円
いつか返す必要があるお金
財務の健全性
40
/ 100
安定性自己資本比率40 / 40
収益力営業利益率0 / 30
現金創出営業CFの黒字継続0 / 30

有価証券報告書の数値から機械的に配点した参考値です。自己資本比率60%で満点、営業利益率15%で満点、直近3期の営業CFが黒字だった割合の3つを足しています。業態によって出ない要素があります。

業界内での比較

医薬品 79社との比較

同じ医薬品の企業と並べると、いちばん上に来るのは売上成長率79社中5位あたり、逆に低いのは営業利益率79社中70位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
/中央値 5.9%
P25 2.0%P75 11.0%
営業利益率下位売上のうち本業の利益として残る割合
-400.0%/中央値 2.9%
P25 -162.5%P75 11.5%
自己資本比率総資産のうち返済のいらないお金の割合
62.3%/中央値 69.9%
P25 53.4%P75 84.5%
売上成長率上位前期からの売上の伸び
100.0%/中央値 2.8%
P25 -1.3%P75 12.0%
配当利回り株価に対して1年で受け取る配当の割合
/中央値 2.9%
P25 2.3%P75 3.5%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月2日の終値

直近の終値は¥562で、1年前と比べて-12.2%過去52週の値幅のなかでは27%の位置にある。

¥562+0.2%1ヶ月+8.5%1年-12.2%時価総額54億円
過去52週の値幅
安値¥487高値¥764

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標
PBR2.16倍

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

株価516円は25日線(536円)、75日線(590円)を下回る。52週安値509円に接近し、高値764円から-32.5%の下落。週足では下降トレンドが続き、出来高は7月28日に5万株と増加し、下げ加速の懸念。1ヶ月で-2.5%と軟調。RSIは39と売られ過ぎ圏に近い。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

AIの評価

AI評価

株価水準の解釈です。売買の推奨ではありません

現在の株価水準を割高と判定しています(スコア 10/100)

PBRは1.87倍と業界平均の3.01倍を下回るが、PERが算出不能で収益力の評価が困難。ROEは8.3%と業界平均並みだが、直近3期連続の営業赤字と純損失が続き、配当もなし。売上高は低水準で成長性が見込めず、割高と判断した。

指標この会社業種平均
PBR2.16倍3.53倍
ROE8.3%6.5%

業種平均は同じ東証33業種に属する銘柄の単純平均です。銘柄数が少ない業種では平均が振れます。

AI評価判定とスコアは公開データをもとにした解釈で、将来の株価を示すものではありません。算出の考え方は編集方針に記載しています。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

将来の再生医療市場拡大を期待し、技術に賭けるか、赤字が続く現実を重視するか。強気派は、独自の3D培養技術が画期的で、製薬企業との連携が進めば急成長可能と見る。弱気派は、売上はほとんどなく、キャッシュ消耗が激しく、資金調達リスクや技術の実用化時期が不透明と警戒する。PBR1.9倍と評価は低くない。

プラスに働く材料7
  • 独自技術のポテンシャル

    3Dバイオプリンティングで高品質な細胞組織作製。

  • 製薬企業との協業

    大手との共同研究で知財収入の可能性。

  • 再生医療市場の成長

    市場規模は年間10%超で拡大見込み。

  • パイプライン進展による収益化期待2027年〜2028年影響

    医薬品開発企業で、新薬承認で売上高が飛躍的に増加する可能性。

  • 売上高倍増の成長性2025/12期影響

    2024/12期売上1億→2025/12期予想2億円と倍増。成長基盤構築。

  • 営業損失の縮小傾向通年影響

    営業損失-9億円から-8億円へ改善。コスト管理進む。

  • PBR1.87倍の割高感はない継続影響

    PBR1.87倍と純資産倍率は業界平均並み。バリュエーション急落リスク低い。

マイナスに働く材料7
  • 売上皆無の状態

    売上高1億円で営業赤字90億円。

  • 資金調達リスク

    赤字継続で増資や借入が必要、希薄化懸念。

  • 実用化の不確実性

    承認取得や量産化に長期を要する。

  • 継続的な営業損失の計上2025/12期影響

    営業損失-8億円と売上高の4倍の赤字。資金消耗が続く。

  • 売上高が2億円と小規模通年影響

    2025/12期売上高2億円と極小。増収しても損益分岐点は遠い。

  • 純損失の拡大リスク継続影響

    2024/12期純損失-9億円から改善見られず。自己資本毀損加速。

  • 資金調達リスク次期決算後影響

    営業キャッシュフロー負で、追加調達の可能性。希薄化懸念。

次の決算で確かめる点
売上高
事業進展の度合いを示す最重要指標。
研究開発費
キャッシュ消費の規模を把握。
現金預金
資金の底打ちリスクを監視。
提携契約数
事業化の進捗を示す非財務指標。

株主

有価証券報告書より

2025年12月期末の株主数は延べ9,663人。区分でいちばん多いのは個人・その他69.3%。グループ会社や銀行などの安定株主が18.7%を占め、残る81.3%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2022年12月%2023年12月%2024年12月%2025年12月%
個人・その他50.461.665.269.3
事業法人38.625.923.115.3
証券会社3.16.56.611.4
金融機関6.24.13.83.3
外国法人1.61.81.20.5
外国人個人0.10.20.10.1

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01株式会社SBI証券5.57
02秋枝 静香5.32
03SBI Ventures Two株式会社4.81
04三條 真弘3.99
05小西 正夫3.26
06楽天証券株式会社共有口2.54
07株式会社SBI新生銀行2.32
08中山 功一1.98
09PHC株式会社1.93
10福岡地所株式会社1.82

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

大量保有報告の動き
5%超の保有者の提出ベース 直近3
  • 2026-05-12
    SBI Ventures Two株式会社
    新規の大量保有報告
    4.64%
  • 2026-04-28
    秋枝 静香
    新規の大量保有報告
    7.31%
    -1.02pt
  • 2026-04-27
    SBI Ventures Two株式会社
    新規の大量保有報告
    4.64%

提出があった時点の記録です。その後5%を割った保有者が一覧に残ることがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 8期分

1株利益は8期で+100%、1株純資産は4期で−43%。直近期のROEは8.3%で、日本株の目安とされる8%を上回る。

決算期EPSBPS
2018年12月−385,246
2019年12月−371,133
2020年12月−658
2021年12月286
2022年12月−178485
2023年12月−75406
2024年12月−108305
2025年12月−87276

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安

経営陣

9名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は9名。2025/12期の役員報酬は総額166百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約5倍にあたる。

氏名役職年齢保有株数
秋枝静香代表取締役49511,200
三條真弘取締役CFO 経営管理部長49383,900
岸井保人取締役 事業推進部長464,000
吉岡康弘取締役70
鈴木邦彦取締役67
水口祐介常勤監査役43
廣瀬卓生監査役55
小田和也監査役65
大江耕治51

役員報酬の内訳2025/12

役員の区分人数固定報酬百万円その他百万円合計百万円1人あたり百万円
取締役(社内)3814612742
社外取締役639397

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2025/12期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容11,482字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3 【事業の内容】 1.当社の事業概要 当社『サイフューズ(Cyfuse)』は、2010年の創業以来、「革新的な三次元細胞積層技術の実用化を通じて医療の飛躍的な進歩に貢献する」という企業理念のもと、細胞のみから作製した立体的な組織・臓器を新しい「3D細胞製品」として、再生医療・創薬分野をはじめとする先端医療の現場へお届けすることで、社会に貢献することを目指す再生医療ベンチャーです。 当社では、従来技術・従来製品との比較優位性を背景に、世界初の革新的な「3D細胞製品」の実用化を主軸とした戦略的な事業展開を進めております。 当社事業領域は、細胞製品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであり、(1)再生医療領域において、再生医療等製品の実用化へ向けたパイプライン開発及び研究用3D細胞製品の各種受託、(2)創薬支援領域において、製薬企業・非臨床試験受託企業等の創薬活動を支援する3D細胞製品の開発・販売、(3)デバイス領域において、基盤技術を搭載したバイオ3Dプリンタ等の三次元細胞積層システム機器の開発・販売等を行い、複数領域において、多面的に事業展開しております。 当事業年度における、各事業領域の事業活動及び製品開発の進捗概況は、以下のとおりです。 (1) 再生医療領域 ① 当社の開発する再生医療等製品 再生医療とは、細胞や組織を用いて、病気やケガ等により機能を失った組織や臓器を修復・再生させる医療であり、患者さまに対して新たな治療法の選択肢を提供し、国民の健康増進に大きく寄与することが期待される新しい医療領域です。ヒト又は動物の細胞に培養等の加工を施し、身体の構造・機能の再建・修復・形成するものや疾病の治療・予防を目的として使用するものを総称して「再生医療等製品」といいます。 従来、再生医療に用いることを目指した組織や臓器の開発では、ゲルやコラーゲンといった人工材料が用いられることが一般的でしたが、当社では人工材料を使用することなく、細胞のみで立体的な組織や臓器を作製することを可能にする独自の基盤技術を有しております。 当社では「ヒトの細胞のみを材料とし、バイオ3Dプリンタを使用して立体的な組織・臓器を作製し、患者さまへ移植することで、移植先の組織や臓器の機能を回復・再生させる」という新しい治療コンセプトの再生医療等製品の開発を進めております。 当社が開発を進める製品は、液体状での細胞を投与する製品(1D製品)やシート状に加工した細胞製品を組織や臓器に貼付する製品(2D製品)等の従来の再生医療等製品と異なるコンセプトの、立体的な組織・臓器(3D製品)です(図1)。 図1.再生医療等製品例 当社が開発する再生医療等製品(3D細胞製品)は、細胞のみから成る細胞塊(スフェロイド)及び自社で製品化した細胞版の3Dプリンタ(バイオ3Dプリンタ)を使用して立体的な組織や臓器を作製するという独自の基盤技術に特徴と強みを有しております。 この基盤技術及びバイオ3Dプリンタを使用してヒトの細胞のみで作製された組織や臓器は、移植後の拒絶反応や感染症のリスク等、患者さまに対する負担を軽減することができる点、また、人工材料や生体材料を使用しないため生体との親和性が高く、患者さまご自身の組織や臓器が持つ組織・臓器本来の機能を再生させる可能性が大きい点、既存の医薬品や医療機器等にはない再生能力を有する点等において、これまでの製品とは大きく異なる性質や機能を有しております。 当社では、「患者さま自身の」生きた細胞を用いて3D細胞製品を製造し、自身の細胞を自身の体内に戻す自家細胞移植をターゲットとした「自家細胞製品」を第一世代製品として、様々なパイプライン開発を進めており、非臨床試験(動物への移植試験)において、安全性と有効性を十分に確認し、再現性のあるデータを取得した上で、臨床試験(患者さまへの移植)の段階へ開発を進めております。 また、当社の基盤技術には、使用する細胞の種類に制限はなく、細胞塊を作製することができるあらゆる細胞から立体的な組織・臓器を作製することが可能であるという独自の技術的特徴があります。 この特徴を活かし、患者さま自身の細胞(自家細胞)以外の、他人の細胞やiPS細胞等を用いて作製した立体的な組織・臓器を患者さまに移植する同種(他家)細胞移植をターゲットとした「同種細胞製品」についても、第二世代製品候補として開発を進めております。同種細胞製品については、疾患に応じて原料となる細胞を十分に検討した上で、非臨床試験(動物への移植試験)を実施し、安全性と有効性を十分に確認したのちに、臨床試験(患者さまへの移植)へと開発を進めております。 当社独自のバイオ3Dプリンタによって、様々なサイズ(口径・長さ)、任意の形状・立体構造を有する組織・臓器を、様々な疾患への治療法として応用展開することも視野に入れた製品開発を行っております。 このように当社では、独自の基盤技術を用いて、ヒト細胞のみから成る移植可能な臓器を再生医療等製品として患者さまへお届けすることで、病気やケガで機能不全になった組織・臓器等を再生する新しい治療法の選択肢を提供し、再生・細胞医療分野の発展に貢献することを目指しています。 現在開発を進めている細胞製の神経、骨軟骨、血管のような新たな「再生医療等製品」の実用化により、従来の治療法では困難であった組織・臓器再生という新たな治療法の選択肢が誕生することで、QOL(Quality of Life)を大きく向上させることが期待されています。 ② 主要パイプライン 本領域では、主要な再生医療パイプライン(末梢神経再生、骨軟骨再生、血管再生等の革新的な再生医療等製品)について、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下、「AMED」という。)等の公的機関による支援のもと、再生医療等製品の承認取得・実用化を目指し、各大学・研究機関及び連携企業等の共同開発パートナーとともに臨床開発及び研究開発に注力しております。 当事業年度においては、主要パイプラインの着実な開発進展と将来的な技術の社会実装や製品の商業化を見据えた戦略的提携が大きく前進いたしました。 具体的には、これまでに当社のバイオ3Dプリンタを用いた再生医療等製品に係る臨床開発において、世界で初めて実際の患者さまへ、患者さまご自身より採取した細胞から製造した三次元神経導管を移植することに成功し治療効果を高める等、産学官一体で取り組む新たな再生医療等製品の製品開発が順調に進展しております。 また、当社のパートナー企業との協業を通じたパートナーシップの拡大により、本分野における事業基盤(サプライチェーン)の整備・確立に向けた取り組みが進んでおります。 さらに、本臨床試験の成果を含む当社の再生医療等製品の開発に関しては、国際学術誌への掲載や学会での発表等を通じて、学術的・科学的なエビデンスを国内外に広く公表し、また、展示会等においても製品周知及び価値向上に向けて様々な活動を行いました。その結果、当社の製品開発活動やバイオ3Dプリンティング技術をはじめとした基盤技術に対するメディアでの取り上げが増加する等、今後の製品上市へ向けた事業化活動も進展いたしました。 本書提出日現在での開発計画に基づく、当社のパイプラインの開発ステータスは以下のとおりです(図2)。 図2.当社のパイプラインの開発ステータス a.末梢神経再生 末梢神経再生については、外傷により神経損傷を受けた患者さまの四肢の機能を再生・回復させることが可能となる「細胞製神経導管」の開発に取り組んでおります。 末梢神経再生については、京都大学医学部附属病院において実施した「末梢神経損傷を対象とした三次元神経導管移植による安全性と有効性を検討する医師主導治験」が完了したことを受け、国立大学法人京都大学及び当社のパートナー企業である太陽ホールディングス株式会社並びに太陽ファルマテック株式会社とともに、企業治験開始に向けた準備を進めております。 また、同種細胞を用いた再生医療等製品の研究開発についても順調に進展しており、AMED事業「末梢神経損傷に対する同種臍帯由来間葉系細胞を用いた三次元神経導管移植治療法の開発」において、開発パートナーである国立大学法人京都大学及び国立大学法人東京大学とともに非臨床試験等を実施し、神経再生の有効性と安全性を確認した研究成果が米国の国際学術誌「PLOS One」及び「Cell Transplant」に掲載されました。 当事業年度においては、AMED事業「末梢神経損傷に対する同種臍帯由来間葉系細胞を用いた三次元神経導管移植治療の医師主導治験に関する研究開発」の支援のもと、治験製品の製造体制及び臨床体制を整備し、製造施設において製造試験を実施の上、治験届を提出し、治験開始に向け準備を完了いたしました。これを受け、2026年1月より国立大学法人京都大学及び国立大学法人東京大学とともに医師主導治験を開始いたしました。 このように当社では、再生医療業界では初となる、同一基盤技術に基づいた自家細胞製品及び同種(他家)細胞製品の同時開発並びに製品化の実現を通じ、再生医療等製品の価値最大化を図り、再生・細胞医療への貢献を目指して、引き続き開発に取り組んでまいります。 b.骨軟骨再生 骨軟骨再生については、変形性膝関節症等により軟骨だけでなく軟骨下骨まで損傷が進行している患者さまへ軟骨と軟骨下骨とを同時に再生させることが可能な「細胞製骨軟骨」の開発に取り組んでおります。 当事業年度においては、AMED橋渡し研究プログラム「バイオ3Dプリンター技術を用いた膝関節特発性骨壊死に対する骨軟骨再生治療」において、開発パートナーである慶應義塾大学病院及び藤田医科大学病院とともに治験製品の製造体制を整備し、製造施設での製造試験を行う等、治験開始に向けた準備を進めました。 また、経済産業省「令和4年度第二次補正予算『再生・細胞医療・遺伝子治療の社会実装に向けた環境整備事業』」により基盤整備を進めた神奈川県川崎市殿町及び東京都大田区羽田エリアにおいて、藤田医科大学及び慶應義塾大学病院、慶應義塾大学再生医療リサーチセンターを中心とするコンソーシアムCReM TONOHANE(殿町・羽田再生医療拠点)を立ち上げ、当社の骨軟骨再生の社会実装及び日本発の再生医療を国内外の患者さまに広くお届けできるよう継続して基盤整備に取り組んでおります。 c.血管再生 血管再生については、腎不全等により血液透析を必要とされる患者さまへ移植可能な細胞製の血管構造体「小口径細胞製人工血管」の開発に取り組んでおり、国立大学法人佐賀大学とともに臨床試験を継続し開発を進めております。 今後も、開発パートナー及び医療機関並びにパートナー企業と協働し、細胞製神経導管をはじめとする複数パイプラインについて、革新的な再生医療等製品としての製造販売承認取得及び社会実装を目指し、新たな治療法の選択肢を増やすべく、引き続き開発を進めてまいります。 ③ 次世代パイプラインの開発 主要パイプラインに加え、次世代パイプラインの育成及び探索開発についても進捗しており、共同研究先である国立大学法人広島大学が採択されたAMED事業「バイオ3Dプリンターで作製した三次元移植組織を用いる革新的歯周再生療法の開発」に引き続き参画し、歯周組織再生療法に関する研究開発を進め、第24回日本再生医療学会総会(2025年3月)、第68回秋季日本歯周病学会学術大会(2025年10月)において共同研究パートナーとともに開発成果の公表等を行いました。また、末梢神経再生の領域拡大として、顔面神経再生についての開発を進めており、東京女子医科大学と東京医科大学との共同研究成果について、第24回日本再生医療学会総会(2025年3月)、TERMIS‑EU Congress 2025(2025年5月)に発表し、論文「Stem Cells International」にも公表されました。 今後も引き続き、次世代パイプラインの研究開発を進めるとともに、新たなシーズ探索・基礎研究を進めてまいります。 ④ パートナーシップ戦略に基づく事業基盤構築 当社が実用化を目指す細胞製品の開発においては、基盤技術を用いて細胞のみで立体的な構造体を作製するコアプロセス(細胞塊の作製~三次元細胞積層による立体化~立体構造体の組織化)が極めて重要です。当社では、細胞製品の実用化・産業化に向け、このコアプロセスの機械化及び生産設備開発に取り組んでおり、製造設備及び製造設備等のインフラに関する技術・ノウハウ等を有する企業とのパートナーシップ強化を加速し、必要となる培養技術やプロセス開発等、商業化に必要となる技術開発を進めております。 パートナー企業との連携に関しては、細胞製品の製造に関する包括的パートナーシップ契約を締結している太陽ホールディングス株式会社及びその子会社である太陽ファルマテック株式会社とともに、将来の再生医療等製品の実用化を見据えた、製造販売体制構築に向けて準備を進めました。その他にも、ZACROS株式会社とともに細胞の大量培養に関する共同技術開発を、岩谷産業株式会社とともに3D細胞製品の凍結保存に関する共同開発を進める等、当社が開発を進める再生医療等製品及び3D細胞製品の実用化に向けたパートナー企業との共同開発の進展により、将来的な産業応用も視野に入れた産学官エコシステムでの取り組みも加速しております。 当事業年度においては、PHCホールディングス株式会社及びその子会社であるPHC株式会社と、第24回日本再生医療学会総会(2025年3月)において学術セミナーを共催するとともに、再生医療等製品の商業生産へ向けた共同開発の成果として、3D細胞製品の商業化へ向けた新生産技術についての成果発表及びプレスリリースを行いました。また、再生医療パイプライン開発の順調な進捗を受け、再生医療の産業化及び社会実装に向け、株式会社クラレ、ZACROS株式会社及び千代田化工建設株式会社との4社による「細胞の挙動を解析・予測する新規シミュレーションソフトを駆使した効率的な大量培養プロセス構築法の確立およびプラットフォーム化に関する共同開発」を開始しました。 さらに、当社独自の基盤技術「バイオ3Dプリンティング」と株式会社クラレの精密かつ信頼性の高い「高品質なモノづくり力(素材開発力)」を戦略的に融合させ、再生医療及びライフサイエンス分野における新事業の創出を目的として、業務資本提携を締結いたしました。革新的な再生医療等製品の事業化フェーズへの移行という重要なタイミングで本業務提携が実現したことにより、今後は、新たな再生医療の実現へ向けた事業化が大きく加速することが見込まれます。 これらの国内での事業展開に加え、バイオ3Dプリンタのマーケティングをはじめ、様々な関係機関や企業等とのコラボレーションの機会探索の拡大等、今後の商業化及びグローバル展開へ向けた協業も進捗しております。 具体的には、日立グローバルライフソリューションズ株式会社、MetaTech (AP) Inc.及びTaiwan Hitachi Asia Pacific Co., Ltd.との台湾地域での協業展開や、Centre for Immunology & Infection Limited(C2i)の子会社であるC2iTech Limited(香港)、及び日立グローバルライフソリューションズ株式会社との間で、当社独自の基盤技術「バイオ3Dプリンティング」を活用した今後のアジア地域における戦略的協業に向けた交渉を進める等、バイオ3Dプリンティング技術をはじめとする当社の基盤技術のアジア展開が進展いたしました。 また、これらの事業活動と並行して、成長産業市場である日本の再生医療に関する情報を世界へ向けて発信する取り組み等の事業化活動も推進しております。当事業年度においては、厚生労働省が推進する情報発信事業への協力を通じて、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)にて、バイオ3Dプリンタや基盤技術を用いて作り出される新たな3D細胞製品等の展示を行いました。 以上のように、今後もパートナー企業との間で戦略的パートナーシップの強化を進め、革新的な再生医療等製品の早期の実用化に向けた開発を進めるとともに、商業化へ向けた企業間連携をより一層強化してまいります。 (2) 創薬支援領域 本領域では、独自の基盤技術「バイオ3Dプリンティング」により、人工材料等による足場(スキャフォールド)を使用せず、ヒト細胞のみから成る3D細胞製品の開発を進めており、「ヒト3Dミニ肝臓®」をはじめとした、臓器が有する機能を体外で再現する3D細胞製品「機能性細胞デバイス(Functional Cellular Device:FCD®)」の製品開発に注力しております。 当事業年度においては、本3D細胞製品のラインナップ拡充と、それらを活用した共同研究及び受託試験のプロモーション活動を積極的に展開いたしました。 具体的には、すでに販売を開始している第1弾FCD製品「ヒト3Dミニ肝臓®」について、MPS実用化推進協議会第2回学術シンポジウム(2025年1月)の企業展示ブースへの出展やウェビナーの開催による製品周知等によりマーケティング及び販路拡大に向けた活動を行うとともに、極東製薬工業株式会社、オリエンタル酵母工業株式会社と新たに販売提携契約を締結し、販路拡大を進めました。 また、これらの販売活動と並行して、本製品に関する米国における特許権を取得したことで、今後は、日本に加え米国市場での更なる展開へ向けたマーケティング活動にも本格的に着手いたします。 本製品は、製薬企業や非臨床試験受託企業等から、創薬研究のニーズに応える高いユーザビリティに対する評価をいただくとともに、将来的には、サステナビリティの観点からも動物実験代替法としての活用可能性等の大きな社会的意義を有しており、今後はグローバルを含め広く周知していく予定です。 さらに、「ヒト3Dミニ肝臓®」に続くFCD製品のラインナップ拡充に関しても、APPW2025(第130回日本解剖学会/第102回日本生理学会/第98回日本薬理学会合同大会)(2025年3月)、第52回日本毒性学会学術年会(2025年7月)、第9回バイオ医薬EXPO(2025年7月)、日本動物実験代替法学会第38回大会(2025年11月)並びに統合医療機能性食品国際学会第33回年会(2025年11月)における、研究成果の発表及び企業展示ブースでの紹介を行う等、事前のマーケティング活動を経て、2025年12月より「ヒト3Dミニ肝臓®/疾患モデル」の販売を開始いたしました。 本製品は、世界的にも未充足な医療ニーズ(アンメット・メディカル・ニーズ)が高い「脂肪性肝炎(MASH)」領域の治療薬開発を支援する新たな製品であり、有効な承認薬が未だ存在しない同領域において、新薬開発の加速に大きく貢献することが期待されております。 本製品のような新たな細胞製品を拡大成長を続ける新創薬市場へ投入することにより、従来の安全性評価用の「健常モデル」に加え有効性評価用の「疾患モデル」の提供が可能となりました。これにより、製薬企業の創薬プロセスを安全性・有効性の両軸から強力にサポートできる体制が整い、今後のさらなる販売拡大が見込まれます。 さらに、新たに当社独自の基盤技術を拡張し、ヒトの腸管が有するバリア機能を再現する「3Dミニ腸管モデル」作製技術について開発を完了しました。今後、当社の機能性細胞デバイス(FCD®)シリーズの新たな製品ラインナップとして、世界的に急拡大する腸活等の消化器系健康関連市場や「未病」市場への製品投入を目指して、食品製造分野で最大級の展示会FOOMA JAPAN2025(2025年6月)に出展する等、医療分野以外への製品拡大及び販路拡大を目的としたマーケティング活動にも注力いたしました。 今後も、製薬企業や食品会社等からのニーズに基づく3D細胞製品のラインナップの拡充と各種受託やデバイス製品の売上の積み上げによりベース収益の安定拡大を図るとともに、当社独自の基盤技術が創出する3D細胞製品を通じて、医薬品や食品、動物実験代替法等、多岐に渡る領域進展への貢献に取り組んでまいります。 (3) デバイス領域 本領域では、バイオ3Dプリンタを中心としたデバイス及び消耗品販売に加え、当社細胞製品の商業生産を視野に入れた次世代装置の開発に注力しております。 当事業年度においては、PHC株式会社との共同開発による自動化技術の進展等、基盤技術の付加価値向上を図るとともに、再生医療領域における製品製造環境整備や商業生産技術開発が進展いたしました。具体的には、独自の基盤技術を搭載した自動化装置や関連周辺機器及び専用消耗品類の開発・製造・販売等の事業活動を進め、機器・消耗品類によるベース収益の向上に努めました。 将来の再生医療等製品の生産技術の基盤構築に向け、末梢神経再生や骨軟骨再生等の主要パイプラインにおける治験開始に向けた製造環境整備、再生医療領域における次世代パイプラインの研究開発や創薬支援領域のFCD製品の開発を加速させるための生産技術開発も進めており、再生医療等製品をはじめとする各種3D細胞製品の製造工程に関して、バイオ3Dプリンティング以外の工程の機械化・自動化にも着手しております。併せて、製造現場での生産性向上を図るべく周辺機器類の拡充等も並行して進めております。その一環として、業務提携パートナーである日本精工株式会社との間では、3D細胞製品の製造工程の機械化・自動化へ向けた新技術開発を進めました。 加えて、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」(全国中小企業団体中央会/中小企業庁/経済産業省)の支援のもと開発を進めてきた『バイオ3Dプリンタ用資材製造・保守レポート管理システムの構築』に関して、デバイス製品の生産性・品質向上に取り組み、新たに開発した周辺機器類の製品販売を開始いたしました。今後は本事業を通じて得られた開発の成果をもとに、商業生産を見据えた実用化をさらに加速してまいります。 その他、各種学会や展示会へのバイオ3Dプリンタの出展、メディア等の媒体を通じたPRの拡大等、更なる基盤技術の普及・周知に繋げる活動に関しても継続して取り組んでおります。 今後も引き続き、様々なパートナー企業との連携を通じて、各種3D細胞製品の実用化に向けた生産技術開発、製品製造工程に係る様々な技術応用や新技術開発及び商業生産へ向けた機械化・自動化、並びに将来の商業化を見据えた新たな生産技術開発にも積極的に取り組み、再生・細胞医療領域における様々な製品開発に寄与する有力な技術としてのポジション確立を目指してまいります(図3)。 図3.バイオ3Dプリンタを用いた製造プロセス全体図 2.事業戦略 (1) 当社の事業戦略 当社では、当社独自のビジネスモデルを発展拡大させ、デバイス普及により「ベース収益の確保」と「シーズ探索の拡大」を図り、創薬支援用途等の研究用組織による「早期マネタイズ」の実現を経て、中長期的には「再生医療等製品の承認取得」を目指し、再生医療ベンチャーとしての事業価値最大化を図ってまいります。 当社独自の基盤技術を中核とした中長期的な事業展開としては、以下(図4)を想定しており、現状はSTEP2からSTEP3に移行している段階にあります。 <STEP1> 複数の大学等の開発パートナーと共同研究を実施し、それらを通じて当社研究開発の中核となるパイプラインの構築を図ってまいります。また、バイオ3Dプリンタ「regenova® (製品名:レジェノバ)」「S-PIKE® (製品名:スパイク)」「Cystrix® (製品名:サイストリクス)」の販売を通じて当社基盤技術の普及を進めております。 <STEP2> 複数の企業パートナーとの提携により、各パイプラインの製品実用化に向けた臨床開発に取り組んでおります。また、細胞製品開発に必要となる基盤技術を応用した臨床用装置や将来の商業生産を想定した新技術の発明や次世代デバイスの技術開発を進めてまいります。 <STEP3> 企業パートナーとともに再生医療等製品の承認取得を目指し、再生医療領域の中核パイプラインの実用化に向けた開発を進めてまいります。また、細胞製品実用化に必要となる基盤技術の開発や新技術開発を継続し、細胞製品及びその用途の拡大を図るとともに、当社が培ってきた基盤技術を新たな領域にも拡大するべく、次世代パイプラインの探索及び拡充を図ってまいります。 図4.中長期事業戦略(イメージ) (2) 当社のアライアンス戦略 当社では、従来技術・従来製品との比較優位性を背景に、一般的な創薬系ベンチャーとは異なる事業戦略に基づき、世界初の革新的な再生医療等製品の実用化を目指して戦略的・多面的に事業展開を進めております。 再生医療等製品の開発においては、原材料が生きた細胞であることから個体差のある細胞の培養、加工、品質検査、最終製品の出荷、医療機関への輸送、患者さまへの移植まで、製品が届くまでのステップが個別具体的なものとなるという従来の医薬品とは異なる特徴を有しています。 そのため、製品開発プロセスにおいても、単一の化合物についてのライセンスを保有するバイオベンチャー1社の企業が単独で、アウトソーシングやライセンスアウトに依存しながら開発を進めていく一般的な創薬系ベンチャーでの医薬品開発の場合とは異なり、再生医療等製品の製品化にあたっては、企業や医療機関との連携や技術・設備・装置等の共同開発体制構築が必要不可欠です。 また、医薬品におけるアライアンスはライセンスの権利付与を前提とするのに対して、再生医療におけるアライアンスは、単なる権利移転のみならず製品製造に係る技術やノウハウ等の移管を要することから、当社では、将来の製造販売体制構築を視野に入れた共同開発体制を構築する独自のアライアンス戦略をとっています。 そしてそのアライアンス戦略に基づき、製造設備等のインフラに関する技術やノウハウ・設備等を有する複数の医療機関・事業会社・行政機関等の外部パートナーとの共同開発体制(コンソーシアム)を形成することで、製品化へ向け着実に開発を加速させております。 このような当社独自のアライアンス戦略は、①1社単独による開発リスクを低減し、事業化パートナー企業と有機的に連携することにより着実に製品化へ向けた確度の高い開発を進めることで、開発製品の上市の確度を大きく向上させるとともに、②実用化に近いパイプラインを複数有し、かつ、製品ごとにターゲットマーケット及び販売戦略をすみ分けることで、事業リスクを低減し事業計画実現の確度を高めるものです。 再生・細胞医療分野において世界初の製品上市により事業計画を実現することを目指す当社においては、その独自のアライアンス戦略に基づき、最終製品化のためのライセンスパートナーへの技術移管を含めた製造販売体制を構築することが、結果として当社製品の価値の向上、ひいては当社の企業価値向上に大きく寄与していくものと考えております。 したがって、当社の再生医療等製品の上市の蓋然性については、実際の共同開発体制や開発パートナーの開発力・技術力が重要な判断指標となります。今後は当社及びパートナーが保有する技術・ノウハウを融合させることで、製品を安定的に供給できる体制、及び患者さまに新しい治療法の選択肢を安心安全にお届けする体制を共同構築していく方針です。
経営方針・対処すべき課題6,799字を開く

経営陣が考える方向性と課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。 (1) 経営方針 「細胞から希望をつくる」 「細胞のみから成る立体的な組織・臓器を患者さまへお届けする」 当社は、「革新的な三次元細胞積層技術の実用化を通じて医療の飛躍的な進歩に貢献する」という企業理念のもと、2010年の創業以来、「細胞だけで」立体的な組織・臓器を作製し、再生医療・創薬分野をはじめとする再生・細胞医療分野において、社会貢献することを企業使命として事業を進めてまいりました。 当社は、人工の足場材料を用いることなく細胞のみで立体的な組織・臓器を作製することを可能とする独自の三次元細胞積層技術(基盤技術)及びこの基盤技術を搭載した細胞版の3Dプリンタ(バイオ3Dプリンタ)を用いて作製した立体的な組織・臓器を「3D細胞製品」として実用化し、患者さまにお届けするとともに、将来的には、当社の事業拡大を通じて日本発の本技術をグローバルに展開し、再生・細胞医療分野での中心的存在になることを目指しております。 (2) 中長期的な経営戦略及び経営環境 中期経営計画における事業戦略として、バイオ3Dプリンタの普及により「ベース収益の確保」と「シーズ育成環境」を実現し、研究用組織(創薬/再生医療研究用途等)で「細胞製品の実用化」を実現する段階を経て、中長期的に「再生医療等製品の承認取得」を目指し、再生医療ベンチャーとしての事業価値最大化を図ることとしております。 中長期的な経営戦略及び当社事業を取り巻く経営環境は以下となります。 1. 再生医療等製品の上市(開発パイプラインの事業化) 2. 開発会社としての細胞製品の実用化に向けた研究開発体制及び上場会社としての経営管理体制の強化 3. 上市後の飛躍的成長へ向けた開発パイプラインの拡充及びグローバル展開 ① 再生医療領域 開発パートナー企業とともに、複数パイプラインの臨床開発を進め、再生医療等製品の承認取得を実現し、長期的ドライバとしての事業確立を目指します。 バイオテクノロジー及び再生・細胞医療領域においては、2022年に内閣府より「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」が発表されて以降、バイオベンチャーへの支援がより一層推進傾向にあり、特に再生医療・遺伝子治療等のバイオ分野は国益に直結する科学技術・イノベーション分野として重点投資分野に指定されており、今後の経済成長が期待されております。 再生医療等製品市場は、細胞移植による組織再生を促す再生医療等製品や、CAR-T細胞製品に代表される遺伝子改変した細胞製品の普及を背景に、引き続き成長を続けております。 また、循環器、骨・軟骨、神経系疾患など幅広い領域で製品上市が進んでおり、細胞を用いた新たな治療法の選択肢が提供できる環境及び市場領域の拡大が着実に進展しております。iPS細胞を活用した同種(他家)細胞製品の登場やゲノム編集技術を用いた高度な細胞製品が実用化フェーズに移行しており、こうした技術革新と製造技術の高度化が相まって、再生医療の社会実装は今後ますます加速していくと期待されております。 「2020年度再生医療・遺伝子治療の市場調査業務」の最終報告書(アーサー・ディ・リトル・ジャパン株式会社が国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)から委託を受けた調査)では、国内の市場規模は2020年時点の250億円から2040年時点の1.1兆円規模まで拡大し、今後20年で40倍以上の規模に成長すると見込まれております。 領域別でみても、筋骨格領域、神経領域をはじめとして、様々な領域において急速に市場が拡大すると予想されています。筋骨格領域に関しては、変形性膝関節症を対象とする再生医療等製品が上市したことにより、適応となる患者数が大幅に増えることが予想され、市場が拡大すると想定されます。 上記以外にも、直近では角膜疾患を対象とした製品上市が続いている眼科領域に加え、肝臓や腎臓が掌る内分泌・代謝系の領域、心血管・血液領域、泌尿生殖器領域、消化器領域等、また昨今の新型コロナウイルス感染症のような感染症や呼吸器に関する領域等いずれの領域も、新たな製品が上市されることで再生医療の新たな治療領域として市場の拡大がより一層進んでいくことが予想されています。 一方、これらの再生医療等製品の多くは細胞治療に分類され、細胞懸濁液等を静脈注射する治療法が主流となっています。今後は、立体形状を有する製品として、二次元のシート状組織や三次元の立体組織を移植する製品群の開発が進行することが予測されております。 また、現在の再生医療領域がおかれている状況下にあって、移植待機患者数の増加等の社会的課題に対して、当社が開発を進める3D細胞製品のような社会的意義の大きい新たな再生医療等製品の誕生により、臓器移植の新たな選択肢としての再生医療が実現することへの期待が高まっている状況にあります。 ② 創薬支援領域 開発パートナー企業とともに、創薬支援分野において肝臓構造体の毒性評価モデルの事業化を実現し、中期的ドライバとしての事業確立を目指します。 科学技術のテクノロジーの進歩が著しい昨今においても、近年のヘルスケア業界における製品開発では、数年以上の長期間、数十億ドル規模の研究開発費を要することに加え、より開発が困難な新製品創出が求められる現状が続く一方で製品の安全性の要求も高まっており、新製品の開発コストは増加の一途をたどっています。 また、現状では、動物実験により製品の安全性や有効性を検証する方法により製品開発が進められていますが、近年、世界各国において動物の保護を目的とする法整備が進んでおり、EU域内においては化粧品開発のための動物実験が全面的に禁止される等、その動向は世界的に加速しています。 例えば、今後の化粧品の研究開発において動物実験が全面的に禁止される可能性があり、様々な製品開発において動物実験を代替する新製品誕生に対するニーズが高まっているという状況にあります。 さらに、食品・化粧品等のあらゆる製品の開発には動物実験が介在しているものの、現状ではこれに代わるソリューションがなく、動物実験の代替製品の市場だけでも、世界的には2020年の91億ドルから2030年には306億ドルに、年平均成長率13.5%で市場拡大が進むと予測されています。 このような現状にあって、現在の企業の製品開発においては、なお動物試験を継続して、あるいはヒト臓器から取り出した細胞をシャーレ上で培養したものを研究開発に使用する等、根本的に動物試験に代替する製品が市場には存在しておらず、今後、当社の3D細胞製品のようなこれまでにない新たな革新的製品を事業化することにより、医療業界及びヘルスケア業界全体が抱える社会課題に対するソリューションを安価に平等に提供できることへの期待が高まっている状況にあります。 ③ デバイス領域 開発パートナー企業とともに、バイオ3Dプリンタによる基盤技術の普及を進めるとともに、再生医療領域において必要となる基盤技術の応用や新技術開発を継続し、基盤技術のグローバル・スタンダード化を目指します。 再生医療周辺産業においても、2015年から2030年までCAGR+23%での成長が予測されており、装置類や消耗品類、製造受託等のサービス類が市場を牽引すると見込まれております。また、再生医療に使用する目的以外にも、新薬開発や研究用の組織としての製造受託等の各種受託の需要も見込まれており、特に、創薬分野では三次元培養によって作製した細胞や3D細胞製品を用いて、生体内により近い環境下での、肝炎、肝臓病、がん等に関する研究が行われています。 今後、再生医療の産業化・市場拡大が進み、神経、骨、血管等の各種組織・臓器を立体的に作製するニーズが増加することに伴って、再生医療周辺産業の市場もさらに拡大すると見込まれております。 バイオ3Dプリンタ(装置以外の各種消耗品も含む)市場では、大学や研究機関での技術導入に加え、今後は企業での導入が進むと予想されております。特に製薬会社の創薬・スクリーニングでは細胞の使用量が多くなるため、自動装置及びバイオ3Dプリンタの需要が高まるとみられます。 さらに、立体的にヒトの皮膚を培養した化粧品のサンプルテストへの応用、医師の手術用練習ツールとしての人工臓器の作製等の様々な領域への技術応用が拡大しており、今後は、医薬における研究以外の様々な分野での需要拡大も予想されます。 (3) 目標とする経営指標等 当社は、独自の基盤技術を活用して創出する新たな細胞製品により市場の開拓及び拡大成長を目指して、積極的にパイプライン開発及び研究開発・技術開発等への先行投資を行っている段階であり、2021年12月期においては通期黒字化を達成したものの、安定して利益を計上するに至っておりません。 このため、現時点において当社は、現預金残高水準(キャッシュポジション)を目標とする経営指標等としております。具体的には、今後、経済・金融環境の変化に備えて十分な手元流動性を確保し、中長期的な財務基盤の拡充を図り、確実に再生医療等製品の事業化を達成するための経営指標等として、安定した資金力(キャッシュポジション)の確保・維持することを重視しております。さらに、多様な資金確保手段を講じ安定的な現預金残高水準を確保・維持するとともに、大手金融機関・政府系金融機関・地方銀行等の複数の金融機関との間でコミットメントライン契約等を含む融資枠を設定しております。中長期的には、再生医療等製品をはじめとする事業成長等による収益安定化の実現により経営指標等の達成を目指してまいります。 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社は、企業理念である「革新的技術を用いて医療の飛躍的な進歩に貢献する」ことを目指し、独自の基盤技術である「バイオ3Dプリンティング」を用いた再生医療等製品の実用化及び3D細胞製品の産業化、並びに永続的な企業成長の実現に向け、多角的な戦略のもと様々な領域において事業展開しております。 当社のさらなる企業成長へ向けた重要なフェーズに位置付ける当事業年度においては、新しい医療や新産業の創出を目指し、下記の課題に対処すべく再生医療・細胞治療領域を中心とした複数領域での事業活動に取り組んでおります。 具体的には、①強固な事業基盤の構築、及び②組織体制及び財務基盤の強化を中心とした経営体制の強化、並びに、③人的資本経営の拡充に重点的に取り組み、中長期的な企業成長と事業価値の最大化を果たしてまいります。 ① 強固な事業基盤の構築 a.パイプライン価値の向上及び独自の事業化モデルの構築 当社の再生医療等製品及び細胞製品を医療現場で普及させ、中長期的な企業成長へと繋げていくためには、細胞製品の実用化・商業化に向けてパイプラインの価値を継続的に拡大・発展させていく必要があります。そのためには、革新的な再生医療等製品をはじめとする、当社独自の基盤技術から生み出される3D細胞製品を広く周知し、普及していくことが重要です。 当社の製品は前例のない新しいコンセプトの製品ゆえ、その製品上市を通じた市場浸透及び産業化のバリューチェーンを構築することが課題として挙げられます。 本課題へ対処すべく、当社では、高度な開発力・技術力等の専門性を有する複数の事業会社パートナーとの強固かつ効率的な共同開発体制を構築し、製品上市へ向けた臨床開発を加速させております。また、このような取り組みに加え、パートナー企業との戦略的な提携を進めることで、研究開発の成果としての社会実装に留まることなく、『着実な製品開発』と『効率的な製造』、そして『安定的な収益化』の3つが連動する独自の事業化モデルを構築することを推進してまいります。 b.基盤技術のプラットフォーム化及び独自のポジション確立 当社独自の基盤技術を事業展開の基軸として、持続的な企業成長を果たしていくためには、再生医療・細胞治療領域における基盤技術の普及及びプラットフォーム化を推進することが重要です。 当社では、学会をはじめとする業界団体への認知度向上に向けた活動とともに、現在の基盤技術を搭載したバイオ3Dプリンタのみならず、細胞製品製造工程の機械化・自動化へ向けた新技術開発を進める等、基盤技術としてのさらなる付加価値向上へ向けた技術開発に継続して取り組んでおります。 また、3D細胞製品の業界スタンダードモデル化に向け、パートナー企業との戦略的パートナーシップを深化させ、再生医療の市場拡大及びコスト低減の両面に貢献してまいります。そして、将来の商業生産を支える「産業化技術基盤」を確立することで、再生医療及びライフサイエンス分野の産業化を牽引するプラットフォーマーとして独自のポジション構築を推進してまいります。 ② 経営基盤の強化 a.組織体制の強化 持続的な企業成長のためには、将来の事業基盤の構築と独自の3D細胞製品の開発に必要となる技術革新を着実に実行できる高度な専門人財で構成される組織体制を強化していくことが課題として挙げられます。 本課題へ対処すべく、当社では、自社において組織的な開発力・技術力の向上を図るとともに、パートナー企業等との協働を通じ、専門性の高いプロジェクトをバイオロジー及びエンジニアリングの両側面から1つの組織で牽引できる組織体制に注力しております。 さらに、将来のグローバル展開を加速させるべく、多様性のあるグローバル人材の確保、海外の規制や市場動向に対応できるガバナンス体制の整備を進め、健全かつ機動的な経営体制を構築してまいります。 b.財務基盤の強化 研究開発型ベンチャー企業である当社の特性上、恒常的な製品販売等による安定的な収益確保に至るまでは先行投資による資金需要が発生します。 そのため、将来の持続的な収益基盤形成に向けて、収益の多様化やデバイス販売、各種受託等のベース収益の安定化を図るとともに、開発効率の向上やコスト抑制を継続し、財務基盤を強化する必要があります。 また、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)及び東京都等の行政からの研究開発・技術開発に対する事業採択を通じた効果的な開発資金を獲得する等、研究開発費を中心とした事業活動資金を継続的に外部より調達しております。 さらに、安定した運転資金を確保しながら、研究開発及び技術開発に対する先行投資を着実に実行するため、証券取引所への上場等による資金調達の選択肢拡大に加え、大手金融機関からの融資枠の供与や政府系金融機関からの長期借入を通じて対外信用力を強化する等、間接金融による財務状況の安定性強化も進めております。 今後も、予算管理の徹底を通じてコスト抑制を図りながら、将来の成長に向けた研究開発投資を継続しつつ、外部資金の積極的な活用や株式市場からの調達等を含めた機動的な資金調達の検討を行う等、資本効率を意識した健全かつ安定的な財務体質の維持・向上を図り、外部環境に左右されない強固な財務基盤の構築を推進してまいります。 ③ 人的資本経営の拡充 当社のような小規模なベンチャー企業における持続的な企業成長と価値創造の源泉は「人」にあります。当社では、独自の技術情報を継承する高度専門人材の確保、事業化・グローバル展開を牽引する次世代リーダーの育成に注力し、多様な人材が活躍できる組織文化の醸成を図りながら企業成長を目指す人的資本経営が極めて重要であると考えております。 本課題へ対処すべく、当社では、独自の基盤技術に精通し高度な専門的技能及び経験を有する研究者・技術者・開発者等の高度専門人材の確保及び育成、並びに、社内環境整備に関する様々な施策を通じて、人的資本経営を拡充することに積極的に取り組んでおります。 具体的には、中長期的インセンティブプランとしてのストック・オプション制度の継続に加え、役職員自らが環境を構築する独自の『まほろばプロジェクト』を通じ、男性役職員の育児休業取得も積極的に促進する等、すべての社員がライフステージに合わせた柔軟な働き方で能力を発揮できる体制を構築することで、人的資本経営に基づく持続的な組織成長を実現します。
事業等のリスク12,037字を開く

会社が自認するリスクの一覧

3 【事業等のリスク】 当社の事業展開及びその他に関してリスクとなる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。 当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に真摯に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本書中の本項以外の記載を慎重に検討した上で行なわれる必要があると考えます。 なお、以下の記載については、当事業年度末において当社が判断したもの及び将来に関する事項は本書提出日現在において当社が判断したものであり、当社に関連するリスクすべてを網羅するものではありませんのでご留意ください。 1.再生医療領域に関するリスク (1)  再生医療製品の研究開発及び再生・細胞医療業界に関するリスク ① 先端医療に由来するリスク (発生可能性:中、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:中) 再生・細胞医療という先端医療領域においては、再生医療の基盤となる学問や技術が急速な進歩を遂げている中で、再生医療製品そのものに関する研究開発・技術開発も非常に速いスピードで進んでおり、日々新しい開発成果や安全性・有効性に関する知見が蓄積されています。再生・細胞医療のような先端医療領域は、国内のみならず世界的にも注目が高く、新たな知識や技術の発見によるイノベーションが創出されやすい分野であります。 特に、当社が製品開発を進めているパイプラインのターゲット領域に関しては、当社の細胞のみで構成される3D細胞製品以外にも、細胞医薬品や遺伝子治療等の様々なアプローチによる治療法の開発が進展しております。 また、再生・細胞医療分野においては、米国をはじめとする諸外国を中心に様々な研究開発が先行して進んでおり、将来的にはより実現性の高い技術革新が行われる可能性があります。 当社の基盤技術であるバイオ3Dプリンティング技術(三次元細胞積層技術)は、現時点において新規性の高い再生医療技術であり、学術的にも従来の製品と比較して高い安全性・有効性及び広範囲の応用可能性等が期待されております。当社では、様々なパートナー企業、大学や公的研究機関等と緊密に連携し、技術的優位性を担保する先端技術の継続的な開発に注力しております。ただし、本業界における技術革新が想定以上の速度で進展し、将来において当社技術が陳腐化する可能性や、医療行為や新たな感染症等による副次的な有害事象等、現時点では全く想定できない副作用等の安全上の課題が顕在化する可能性を完全に否定することまではできません。また世界情勢や外部環境に起因し、原材料の調達が困難(不安定)になる場合には、再生医療製品の安定供給が困難になる可能性も少なからず存在しております。このような最先端医療に特有の課題やリスクが現実化した場合には、当社の事業戦略、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 市場規模に関するリスク (発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:中) 再生・細胞医療等製品の世界市場及び国内市場は、今後飛躍的な成長が見込まれておりますが、当該市場は現在形成の過程にあることから、当社の市場規模予測は、現時点において一定の前提条件や外部機関による調査報告等に基づき算出したものであります。そのため、将来において、規制当局による審査の厳格化や予期せぬ安全上の課題の露呈、あるいは代替療法の普及や医療経済上の制約等により、再生・細胞医療等製品に対する需要が当初の想定通りに拡大しない可能性があります。また、社会実装に向けた製造コストの低減や物流体制の構築が遅延する可能性も存在します。 これらの要因により、実際の市場規模が当社の予測を大きく下回る事態となった場合には、当社の事業戦略、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 製品開発の不確実性に関するリスク (発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:中) 当社が開発を進める再生医療パイプラインのうち、主として患者さまご自身の細胞を使用して作製された組織・臓器を患者さまご自身の身体へ移植する、「自家」移植を前提とした製品(第一世代製品)については、一般的に人工材料を使用した製品や他人の細胞を使用する製品と比較して、拒絶反応等の懸念が少なく安全性は相対的に高いものと考えられております。製品の使用に際しては、添付文書や同意説明文書等を通じて患者さまへの十分な情報提供を行った上でご使用頂きますが、製品出荷後に予期せぬ不具合や有害事象等が発生する可能性を完全に否定することはできず、万一これらが発生した場合には、迅速かつ適切に対処し、関連法規に基づき対応いたします。 臨床試験計画の策定にあたっては、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)との事前相談等を通じて慎重に立案しておりますが、再生医療等製品における臨床試験の実施例は依然として限定的であることから、臨床試験に必要症例を計画通りに確保できないことや医療機関側の諸事情により予定通り進行しないこと等、様々な要因によって開発が遅延する可能性があります。 このような場合には、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ④ 事業基盤の整備及びサプライチェーンの構築に係るリスク (発生可能性:中、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:中) 当社は再生医療等製品の製品供給体制をはじめとする事業基盤(インフラ)の整備・確立へ向けた取り組みを推進しておりますが、当社が注力する再生医療分野は、医薬品のような成熟市場とは大きく異なり現在進行形で市場が形成されている段階にあることから、長期的に持続可能な産業として発展するためには、当社のみならず関連する官庁、企業及び業界全体が一体となって市場環境の整備に取り組んでいく必要があります。 また、この取り組みには、生産システムの確立による製造原価の低減、医療従事者に対する適切かつ効果的な製品情報の提供(マーケティング活動の実施)、製造販売開始後の市販後調査等のフォローアップ体制の確立等多くの課題が存在しており、これらの課題解決には長期間にわたり多額の資金投入が必要となります。 当社では、自社での単独開発に伴う様々なリスクを排除し、着実に社会実装を実現するため、専門性の高い開発力や技術力を有する複数のパートナー企業と、開発から製造・販売までを有機的に連携させるサプライチェーンの構築を進めております。ただし、何らかの要因により計画どおりにインフラ整備やサプライチェーンの構築が進展しない場合には、当社の事業戦略、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (2) 法的規制に関するリスク ① 再生医療等製品開発の関連法規による規制のリスク (発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:中) 再生医療の産業化に向けた環境整備については、2014年11月25日に施行された「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(再生医療等安全性確保法)及び「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(医薬品医療機器等法)により法規制の整備が大幅に進展いたしました。特に、医薬品医療機器等法下においては、医薬品、医療機器等の安全かつ迅速な提供を図るため、再生医療等製品の特性を踏まえた「条件及び期限付き承認制度」が新設される等、再生医療の実用化を加速させるための運用が大幅に進んでおります。 このような制度的支援による環境整備の促進により、国内における再生医療等製品の承認件数は着実に蓄積されつつありますが、画期的な新規技術を用いた製品開発においては、従来の製品とは異なる検証や追加データの提出等を規制当局から要求される可能性もあります。 このような事象が現実化し、当社の想定を上回る試験実施が必要となるような場合には、開発スケジュールの見直しや遅延が生じ、当社の事業戦略、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 法規制改正等の変化に由来するリスク (発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:中) 再生医療等製品に関する法規制やガイドラインは、技術革新の進展や予期せぬ事態の発生等に対応して、継続的に見直しがなされる性質を有しております。 当社では、再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)等の業界団体に加入し、法規制や規制動向を適時把握し迅速に対応できる体制の整備に努めておりますが、将来的な法改正の内容いかんによっては、より厳格な品質管理基準への適合を求められ多額の追加投資が必要となる可能性や、法規制やガイドライン等の追加・改正により従来使用が認められてきた原材料の使用制限や代替を余儀なくされる可能性、あるいは、当局の判断により想定通りの薬事承認が得られない、又は取得に想定以上の時間を要する可能性も否定できません。加えて、世界的な医療費抑制の潮流の中で、当社の想定を下回る保険償還価格となる等、収益性が抑制される可能性もあります。 このような事象が現実化した場合、当社の事業戦略、財政状態及び経営成績に重大な影響が生じる可能性があります。 (3) 競合リスク (発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:中) 当社の3D細胞製品は、当社が独占的に実施権を保有する基盤特許と技術的に模倣することが困難な当社固有の製造ノウハウ等の技術情報とを併用することで初めて製造することが可能となることから、実質的に他者による参入障壁を形成している状況にあるといえます。再生医療領域に本格参入している企業はまだ比較的少ないものの、今後の参入を検討している企業も増えてくる可能性があると想定しております。 そのため、周辺領域を含め本領域に参入している企業等が将来的な競合相手となり、当社の保有している知的財産権等を上回る新技術を開発し、関連特許を取得する場合や先行して上市した場合等には、当社の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 また、新規の競合品の開発が先行、又は上市した場合は、共同研究開発やアライアンスを実施している企業が、その後の事業価値が毀損されると判断して共同研究開発やアライアンスを解消する可能性があります。 さらに、他社が当社の製品よりも優れた製品を販売すると、開発段階で想定していたロイヤリティ等の将来利益が減じる等により、当社の事業展開や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (4) 製品の安全性に関するリスク ① ヒト又は動物由来の原材料の使用に関するリスク (発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:小) 一般的に、再生医療等製品は、ヒト細胞を原材料として使用するため、使用する細胞に由来する感染の危険性を完全に排除することは困難であり、安全性に関する特有のリスクが存在するとされております。 また、一般的に再生医療等製品の開発にあたっては、製造工程で使用する培地に動物由来の原料が含まれる場合があることから、厳密には製造の過程においてこれらに起因する感染リスクを完全には否定することはできません。当社では、感染リスクを排除・低減するために可能な限り動物由来原料の使用を低減させ、生物由来原料基準に適合していることを確認の上、製品を提供しておりますが、万一、このような感染リスクが現実化した場合には、当社製品の提供が中止となる可能性もあり、当社の事業展開や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 また、このような不測の事態が生じた場合には、再生医療業界全体及び当社製品に対する社会的信頼に悪影響が及び、当社の事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性もあります。 ② 製品の製造に関するリスク (発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:中) 当社が開発を進める細胞製品については、その品質管理に万全を期し、常にその充実を図るよう努め、体制の継続的な強化を図っておりますが、高度な製造プロセスにおいて、諸要因による不適合品の発生や研究開発・臨床現場における不適切な取扱いの可能性を完全に排除することはできません。そのため、製品開発・製造過程において事故等が発生した場合には、製造物責任(PL)に基づく損害賠償請求や係争へ発展する可能性があるほか、製造工程の不備等による製品の自主回収(リコール)を余儀なくされる可能性があります。 そのような事態に至った場合には、特別的な損失として係争等への対応費用、回収関連費用等の多額の特別損失が発生し、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 また、最終的に当社の過失が否定された場合であっても、当係争の発生自体が当社製品に対する信頼失墜を招き、将来の事業展開や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (5) 製造・販売体制の構築に関するリスク (発生可能性:中、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:中) 当社が開発を進める再生医療等製品については、研究開発成果をあげることにとどまらず、その後の商業化を見据えた製造及び販売体制の構築を事業化における重要施策と位置付けております。製造面においては、パートナー企業等との連携を通じて、細胞の大量培養技術の開発や商業生産技術の確立に向けた機械化・自動化の促進等注力しております。 しかしながら、再生医療等製品の社会実装には多種多様な高度専門的な技術の統合が必要であり、将来において製造方法の確立に予期せぬ技術的課題が生じた場合、あるいは、何らかの理由で製造体制の構築・維持等が困難となった場合には、当社の事業戦略、財政状況及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 また、販売面においても、パートナー企業等との戦略的提携により効果的な体制構築を進めておりますが、法規制の変更や市場環境の変化、あるいはパートナー企業との合意形成の遅延等により体制構築に何らかの支障が生じ、計画通りに販売・流通体制の整備が進まない場合には、当社の事業戦略、財政状況及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (6) 知的財産権に関するリスク (発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:小) 当社は事業展開及び研究開発・技術開発等に不可欠な多種多様な知的財産権を保有しており、これらは独自に所有する権利・ノウハウ、あるいは第三者より適法に実施許諾を受けたものであります。 当社では、事業の核となる基盤特許については原則としてすべて自社で権利確保する方針を採っております。また、重要な知的財産権については定期的に関連特許出願状況等を調査・分析しており、潜在的なリスクに対して早期に適切な対策を講じることができる体制を構築しております。 具体的には、製品の製造方法に関わる基盤技術等について、積極的な権利化による保護を推進し、また、研究論文等による既出情報に関しても、特許出願を通じた公知化を図る等、他社による権利化や模倣を未然に防止し、事業遂行上のリスク低減に努めております。 さらに、権利化の対象とする製品製造工程以外の、培地組成や高度な培養技術、組織・臓器ごとに最適化された機器・器具等に関する重要度の高い技術情報については、戦略的に特許出願を行わず、秘匿性の高い機密情報(ノウハウ)として管理しております。このように、特許による独占権とノウハウによる秘匿化を組み合わせた知的財産戦略により、外部への技術流出や他者による模倣の防止を徹底しております。 今後、当社の基盤技術に係る主要特許が存続期間を満了し、類似製品が登場する可能性は完全には否定できませんが、当社製品は複数の登録特許に加え、高度にノウハウ化された技術情報によって多層的に保護されており、他者に対して強固な技術的参入障壁を構築しております。これらの現状に鑑みれば、実際に類似製品が市場に登場し当社製品と競合する事態は、基本的には想定されません。一方で、当社では、継続的な新規特許や周辺特許の出願を通じて特許網(ポートフォリオ)の拡充に努めておりますが、出願中の特許が最終的に登録に至らない可能性が存在します。 また、重要なノウハウ等の技術情報については秘密保持契約の締結等により厳格に管理しておりますが、第三者が独自に同様又は類似のノウハウの開発・取得する可能性を完全に排除することは困難です。 これらのように、出願中の特許が成立しない場合、事業に必要な特許が何らかの理由で確保できない場合、あるいは当社ノウハウと同等の技術を第三者が確保した場合等には、当社の技術的優位性が相対的に低下し当社の事業展開や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (7) 研究開発活動に由来するリスク ① 研究開発費に関するリスク (発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:中) 当社は研究開発型企業として、産学官連携のもと様々な大学との共同研究や臨床試験等を進めており、その開発対象は広範にわたります。また、当社が取り組む細胞製品に関わる様々な研究開発・技術開発は、特定の事業に限定して結びつくものではなく、多面的な事業展開の基礎となるため、結果として組織全体が直接的又は間接的に研究開発活動に関与しており、販管費に占める研究開発費は高い水準で推移しております。 当社では、厳格な予算管理によるコスト抑制に努めるとともに、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)等の公的機関及び東京都・福岡県等の行政からの研究開発・技術開発に対する支援を得ながら、効率的な開発投資を継続してまいりました。 しかしながら、開発の進展に伴い試験内容が高度化・複雑化する等、想定を上回る研究開発費用が発生する場合や、何らかの理由により公的支援の継続が困難となった場合には、当社の事業戦略、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 開発期間に関するリスク (発生可能性:中、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:中) 当社が進めている再生医療等製品開発は、一般的に製品化までに長期間を要し、製品が上市され収益化を達成するまでは、先行投資により継続的に損失を計上する可能性があります。 現在、複数の主要パイプラインについて臨床段階へ進展しているほか、基礎研究や非臨床段階にあるパイプラインも並行して開発が進んでいることから、製品の上市に至るまでには、多額の費用を要する臨床試験を経ることが必要であり、規制当局による審査プロセスにおける不確実性等、多くの変動要因が存在します。 これらの要因により、事業計画における想定を超えて研究開発期間が長期化した場合には、研究開発費の累積が当社の業績を圧迫するほか、追加の資金調達が必要となる等、当社の事業戦略、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (8) ビジネスモデルに由来するリスク ① 大学及び研究機関等との関係に由来するリスク (発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:小) 当社は、多様な大学や公的研究機関等との共同研究及び密接な連携を通じて、最先端の研究開発活動を進め、これに基づく将来の事業基盤の強化を図っております。しかしながら、これら外部機関との共同研究における知的財産権に関する取り決めや将来的な研究成果の分配・還元等に関する合意形成において、当社の想定と異なる自体が生じた場合には、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ② 提携に関するリスク (発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:中) 当社の事業計画においては、外部企業との戦略的提携が重要な構成要素であり、前提となっている提携関係には既に契約締結済みのものと将来的な締結を前提としているものが含まれます。既に契約済みの提携については、相手先企業の経営方針の変更や事業環境の変化等の当社が制御不能な要因により、契約期間満了前の終了や条件変更を余儀なくされるリスクが全くないとはいえません。また、今後の提携については、想定どおりの時期や条件で契約に至らない可能性があります。 いずれの事象が顕在化した場合においても、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 開発戦略に関するリスク (発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:小) 当社では現時点での開発戦略上、まず、国内での製品開発と上市による製品販売へ向かってパイプライン開発を進めておりますが、将来的には、パートナリングやアライアンスによって当社の基盤技術の独自性と技術的優位性を最大限に生かし、他領域への適用拡大、グローバルでの製品開発へ拡大することも目指してまいります。 しかしながら、当社が開発を進める製品については過去に前例がないこと、原料細胞の安定供給に向けた諸課題、治療におけるリスク・ベネフィット評価の不確実性等により、これらの適応拡大や次世代製品の実用化が計画通りに実現する保証はありません。 このような場合には当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 2.その他の事業リスク (1) 財務状況に由来するリスク ① マイナスの利益剰余金を計上していることに由来するリスク (発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:小) 当社は現在、研究開発活動を中心とした事業フェーズにあり、再生医療等製品の商業化に至るまでは多額の研究開発費用が先行して発生する構造上、貸借対照表において利益剰余金のマイナス(繰越欠損金)を計上しております。 当社は、各パイプラインの着実な開発進展を通じて早期の収益化と利益拡大を目指しておりますが、開発が計画通りに進捗しない場合には当期純利益の計上時期が遅延する可能性があり、また、利益計上の遅れに伴い利益剰余金がプラスに転じる時期も後ろ倒しとなる結果、株主への配当実施が可能となる時期が想定より遅延する可能性があります。 ② 税務上の繰越欠損金に関するリスク (発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:小) 当社には現時点において税務上の繰越欠損金が存在しておりますが、今後、事業計画の進展により収益化が達成され、繰越欠損金による課税所得の控除が受けられなくなった場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、その後の当期純損失及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。 ③ 資金繰り及び資金調達に関するリスク (発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:小) 当社は、研究開発活動の加速に伴い2021年12月期において通期黒字を達成した実績があるものの、先行投資期においては営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスを継続する傾向にあり、今後も事業の進捗に伴って運転資金、研究開発投資及び設備投資等の資金需要は増加していくことが予想されます。 当社はこれまでに、第三者割当増資や公募増資、新株予約権等によるエクイティ・ファイナンス、事業提携の実現によるパイプラインの収益化(一時金の獲得等)、並びに国をはじめとする公的補助金等の活用等により資金需要に対応しており、今後もこのような多様な資金調達及び資金繰りを図ることにより、継続的に当社の財務基盤の強化を図っていく方針です。ただし、金融市場の混乱や当社の業績推移、あるいは事業計画の大幅な変更等が生じた場合には、これらの取り組みが想定どおり進まなくなる可能性があります。 また、今後増資等のエクイティ・ファイナンスを実施した場合には、当社の発行済株式数が増加することにより1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。 ④ 財務制限条項に関するリスク (発生可能性:低、発生する可能性のある期間:特定時期なし、影響度:小) 当社の借入金に関する契約の一部には財務制限条項が付されている契約があり、具体的には各決算期末における純資産の維持や経常損益の一定水準以上の保持に関する条項が含まれております。当社は、事業計画に基づき適切な財務管理を行うことでこれらの条項を遵守する方針でありますが、将来において予期せぬ事業環境の悪化等により業績が著しく低迷し財務制限条項に抵触した場合には、期限の利益を喪失し、借入金の早期返済を求められる可能性があります。 ⑤ 配当政策に関するリスク (発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:小) 再生医療等製品の研究開発には、多額の先行投資と長期にわたる投資回収期間を要する傾向があり、当社でも創業以来、研究開発活動を優先してきた結果、現時点では利益剰余金のマイナス(繰越欠損金)を継続して計上しております。このような成長フェーズにおいては、積極的な研究開発投資を通じてパイプライン価値を向上し、中長期的な企業価値の向上を図ることこそが、株主利益の最大化に繋がるものであると考えております。そのため、当面は内部留保の充実に努め、研究開発資金の確保を優先する方針であります。 株主への利益還元については、重要な経営課題の1つであると認識しており、将来的には経営成績と財政状態を勘案した上で配当実施による利益還元を検討してまいります。今後の事業進捗や業績推移、資金需要の状況等によっては、利益配当の実現までに相応の時間を要する可能性があるほか、将来にわたって配当の実施を保証するものではありません。 (2) 新株予約権に関するリスク (発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:小) ① 当社取締役及び従業員に対する新株予約権について 当社は創業時より、中長期的な企業価値向上へのインセンティブプランとして、当社の役職員に対するストック・オプション制度を採用しております。 本書提出日の前月末現在における当社の発行済株式総数は9,970,400株、当該新株予約権による潜在株式数は533,800株(発行済株式総数に対する割合5.35%)であり、今後、これら当該新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。 また、当社では企業価値向上に資する次世代人材確保のため、今後も同様のインセンティブプランを継続する方針であり、将来的に付与される新株予約権についても、行使時に1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。 ② 新株発行による資金調達について 当社は、機動的な資金調達及び財務基盤の強化を目的として、行使価額修正条項付新株予約権を発行しております。 本書提出日の前月末現在における当社の発行済株式総数は9,970,400株、当該新株予約権による潜在株式数は500,000株(発行済株式総数に対する割合5.01%)であり、当該新株予約権の行使が進んだ場合には、当社株式の市場供給量が増加し、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。 (3) 小規模組織及び少数の事業推進者への依存に由来するリスク (発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:小) 当社は、機動的な意思決定と効果的な事業活動の推進を可能とする少数精鋭の組織体制を敷いております。今後の事業拡大に伴い、内部管理体制の一層の拡充を図る方針でありますが、事業拡大に応じた適切かつ十分な組織対応が十分になされず組織効率が低下した場合には、適切な事業活動に支障をきたし、当社の事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社の事業活動は、高度な専門性を有する経営陣及び事業を推進する各部門のキーパーソンに依存する側面があります。そのため、独自技術の継承及び発展のため、常に高度な専門性と豊富な経験を有する人材の確保と育成に努めておりますが、計画通りに人材確保又は育成が進まない場合、あるいは主要な役職員が流出した場合には、当社の事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (4) 機密情報を漏洩するリスク (発生可能性:小、発生する可能性のある期間:特定時期無し、影響度:小) 当社は、研究開発に係る機密情報や個人情報の保護を目的として、外部専門家の知見を活用したITセキュリティの強化及び情報管理体制の整備に努めております。しかしながら、役職員、外部委託先の過失、あるいは第三者によるサイバー攻撃やコンピュータウィルスの侵入等により、システムの停止・中断等や機密情報の漏洩が発生する可能性を完全に排除することは困難です。このような事象が生じ、独自の技術ノウハウや知的財産に係る機密情報が外部に流出した場合、あるいはシステムの脆弱性に起因する実害が生じた場合には、当社の技術的優位性の喪失や社会的信用の失墜を招き、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります
経営成績の分析 (MD&A)4,977字を開く

業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 経営成績等の状況の概要 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 経営成績の状況 当事業年度(2025年1月1日~12月31日)における我が国経済は、海外景気の不確実性や原材料価格の高騰等、先行き不透明な状況が続いた一方で、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費が底堅く推移し、企業部門においても生産性向上や省力化を目的とした設備投資が着実な伸展をみせる等、全体としては緩やかな回復基調となりました。 国内動向においては、2022年に施行された「スタートアップ育成5か年計画」、2025年11月に設置された「日本成長戦略本部」等により、政府・関係機関等によるスタートアップ並びにベンチャー企業への支援は継続的に推進されている傾向にあります。特に当社が主として事業活動を展開する再生医療・遺伝子治療等のバイオ・先端医療分野は、国益に直結する科学技術・イノベーション分野として、国の成長戦略を担う重点投資分野に指定されており、新たな再生医療等製品の上市や本分野の市場拡大及び今後の経済成長が期待されております。 当社では、独自の基盤技術を用いた革新的な再生医療等製品や3D細胞製品の創出を通じて、新たな再生医療・細胞医療の実用化・産業化に貢献するべく、研究・技術開発を中核とする事業活動を推進しております。 また、細胞製品開発と並行して、デバイス販売や共同研究活動等により、次世代製品候補の探索や当社の基盤技術を国内外に普及させる事業活動にも取り組んでまいりました。 具体的には、①再生医療領域において、再生医療等製品の実用化へ向けたパイプライン開発及び3D細胞製品の各種受託、②創薬支援領域において、製薬企業・非臨床試験受託企業等の創薬活動を支援する3D細胞製品の開発・販売、③デバイス領域において、基盤技術を搭載したバイオ3Dプリンタ等の三次元細胞積層システム機器の開発・販売等を多面的に展開し、中長期的な収益基盤の構築に努めております。 このような状況のもと、当事業年度における経営成績は、以下のとおりとなりました。 売上面においては、将来の収益基盤の核となる、複数の再生医療等製品パイプライン等の順調な製品開発進捗を受け、足元のベース収益となるバイオ3Dプリンタ及び関連消耗品の販売並びに「ヒト3Dミニ肝臓®」等の3D細胞製品の販売や各種受託等が着実に進展した結果、前年同期比で約4.2倍の大幅な増収となりました。 営業利益面においては、独自のプラットフォーム技術を共通基盤として活用し、複数のパイプラインを並行開発する等、積極的な研究開発投資を継続しつつも、製造プロセスの開発効率向上とコスト効率化による研究開発費の抑制を図った結果、大幅な損失幅の縮小となりました。 また、継続的に研究開発及び技術開発に係る補助金を獲得する等、外部資金の受領による営業外収益108,771千円(前年同期比132.1%増)及び営業外費用41,894千円(前年同期比104.6%増)を計上したことから、上記営業損失幅の縮小と合わせて大幅な経常損失の縮小になっております。 この結果、売上高230,999千円(前年同期比324.3%増)、営業損失828,179千円(前年同期は896,133千円の営業損失)、経常損失761,301千円(前年同期は869,747千円の経常損失)、当期純損失763,843千円(前年同期は872,238千円の当期純損失)となりました。 なお、当社事業は細胞製品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 当事業年度においては、「成長期」と位置付ける当社の企業成長フェーズにおいて、複数領域における開発成果や技術普及、実需に基づく収益拡大の好循環を引き続き持続拡大させることで、今後の「拡大期」に向け、外部環境や提携一時金等の変動要素に左右されることのない、細胞製品及びデバイス製品による安定的なベース収益と、再生医療等製品の上市による成長収益を両輪とした、当社独自の自律的かつ安定的な収益モデルの確立を目指して活動してまいりました。 さらに、次世代細胞製品の商業化・量産化に向け、高度な技術力を保有するパートナー企業との共同開発や直近の株式会社クラレとの業務資本提携をはじめとするパートナーシップの強化を通じて、将来的な再生医療等製品の上市後の収益性を抜本的に高める事業基盤が整いつつあることから、今後も、生産性向上による収益向上、医療の持続可能性の確保に繋げ、中長期的な企業価値向上に努めてまいります。 ② 財政状態の状況 (資産) 当事業年度における総資産は、前事業年度末に比べ748,024千円増加し、4,266,026千円となりました。主な増加要因は、現金及び預金の増加673,964千円であります。 (負債) 負債については、前事業年度末に比べ532,804千円増加し、1,508,399千円となりました。主な増加要因は、長期借入金の増加315,336千円であります。 (純資産) 純資産については、前事業年度末に比べ215,221千円増加し、2,757,627千円となりました。主な要因は、資本金及び資本剰余金の増加927,631千円並びに当期純損失の計上763,843千円であります。 ③ キャッシュ・フローの状況 当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末に比べて323,964千円増加し、2,376,535千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動により支出した資金は534,793千円(前事業年度は760,553千円の支出)となりました。これは主に、税引前当期純損失761,301千円を計上したこと等によるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動により支出した資金は397,564千円(前事業年度は8,637千円の支出)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出350,000千円によるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動により得られた資金は1,256,323千円(前事業年度は52,012千円の支出)となりました。これは主に、新株予約権の行使に基づく株式の発行による収入816,671千円等によるものです。 ④ 生産、受注及び販売の実績 a.生産実績 当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。 b.受注実績 当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。 c.販売実績 当事業年度における販売実績は次のとおりであります。なお、当社事業は細胞製品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであります。 セグメントの名称   販売高(千円)   前年同期比(%) 細胞製品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務   230,999   324.3 (注) 最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。 相手先   前事業年度(自 2024年1月1日至 2024年12月31日)   当事業年度(自 2025年1月1日至 2025年12月31日) 金額(千円)   割合(%)   金額(千円)   割合(%) 太陽ファルマテック株式会社   10,105   18.6   11,657   5.0 国立大学法人京都大学   6,039   11.1   -   - 国立大学法人広島大学   15,927   29.3   33,803   14.6 学校法人藤田学園   12,860   23.6   5,720   2.5 株式会社Arktus Therapeutics   -   -   162,579   70.4 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。 ② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 a.財政状態の分析 当事業年度における財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。 b.経営成績の分析 当事業年度における経営成績の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。 c.経営成績に重要な影響を与える要因について 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 d.経営者の問題認識と今後の方針について 経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。 ③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析 キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社の運転資金需要の主なものは、パイプライン開発に係る研究開発費及び人材の獲得、維持に係るシステム費等の営業費用であります。 当社では今後、経済・金融環境の変化に備えて十分な手元流動性を確保し、中長期的な財務基盤の拡充を図り、再生医療等製品の事業化(上市)に向けた開発を一切止めることなく達成するため、安定した資金力(キャッシュポジション)を重視し、多様な資金確保手段を講じることとしております。具体的には、十分な資金を自己資金で確保しながらも、不測の事態を想定し、必要に応じてコミットメントライン等の与信枠を活用し銀行借入等による調達を行うことで現預金残高を維持していく方針であります。 ④ 経営成績に重要な影響を与える要因について 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に影響を与えるおそれがあることを認識しております。 これらリスク要因の発生を回避するためにも、運営する事業の強化、人員増強、財務基盤の安定化等、継続的な経営基盤の強化が必要であるものと認識し、実行に努めております。 ⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について 経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき 課題等」をご参照ください。

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