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超!企業DB
日経平均64,214.48-111NYダウ53,686.11+624ドル円155.76-3NASDAQ26,584.06+366S&P 5007,747.71+81SOX 指数11,352.13+139/3終値

ダイナミックマッププラットフォーム

336A · Growth · 情報・通信業

自動運転向け高精度3次元地図データの国内シェア首位級。データ整備からライセンス供与まで一貫。

概要

ダイナミックマッププラットフォームは、自動運転や先進運転支援システム向けの高精度3次元地図データ(HDマップ)の研究開発・整備・販売を主力事業とする企業である。2016年に官民一体のプロジェクトとして設立され、国内の高速道路・自動車専用道路29,205kmの整備を完了。世界26か国で事業を展開し、2026年3月期の売上高は57億円、従業員数210名。日産自動車や本田技研工業など国内10社の自動車メーカーに加え、北米・欧州の顧客向けに地図データをライセンス供与する。

オートモーティブと3Dデータの二軸事業

当社グループの事業は、自動車向けの「オートモーティブビジネス」と、それ以外の分野向けの「3Dデータビジネス」に大別される。オートモーティブビジネスでは、自動運転・先進運転支援システムに必要な高精度3次元地図データ(HDマップ)を生成し、自動車メーカーにライセンス供与する。収益は、顧客ごとの仕様に基づく整備・更新のプロジェクト型売上と、量産車への搭載台数に応じたライセンスフィー・メンテナンスフィーからなるライセンス型売上の2種類がある。3Dデータビジネスでは、計測で得た高精度3次元点群データを活用し、AI学習・シミュレーション用データ(Data for AI)や、インフラ管理・防災・空港オペレーション向けのソリューション(Viewer・Guidanceプロダクト)を提供する。近年はAI関連の法人ライセンス契約が拡大している。

国内と海外で異なる展開段階

当社グループは、国内と海外の2つのセグメントで事業を報告している。国内では、日系自動車メーカー10社の共通仕様に基づく高精度3次元地図データの整備が完了し、量産車への搭載が進む。2024年3月期の国内売上高は14.56億円(前期比45.9%減)と減少したが、これは国家プロジェクトの縮小によるものである。海外は北米・欧州・中東・韓国に子会社を持ち、Dynamic Map Platform North America, Inc.がGeneral MotorsのSuper Cruiseに採用されるなど実績を積む。海外売上高は42.29億円(同11.4%減)で、先進国での新規整備完了に伴い提供・更新フェーズへ移行中。2026年3月末時点で26か国に展開する。

連結子会社9社によるグループ運営

当社グループは、ダイナミックマッププラットフォーム株式会社(事業会社)と8社の連結子会社で構成される。主な子会社として、北米を担当するDynamic Map Platform North America, Inc.(旧Ushr, Inc.)、欧州のDynamic Map Platform Europe, GmbH、韓国のDynamic Map Platform Korea, LLC、中東のDynamic Map Platform Arabia Limited、合弁会社のダイナミックマッププラットフォームAxyz株式会社(三菱UFJ銀行と設立)がある。また、測量事業を手掛ける日本海測量設計株式会社や、コンサルティング子会社も含まれる。これら子会社は各地域での計測・図化・営業を担当し、グループ全体で高精度3次元地図データのグローバルな整備と提供を支える。

業界の中での役割は自動運転向け高精度地図データのプロバイダー。にあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

売上高
57億円
営業利益
-19億円
営業利益率
-33.3%
純利益
-17億円
2026/3 通期の連結業績。決算の内訳は最新の決算以降にあります。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2026/3期)より

事業別の売上と利益

2026/3
事業売上構成比利益利益率
海外42億円73.7%
国内15億円26.3%

有価証券報告書のセグメント情報から、外部顧客への売上とセグメント利益をそのまま掲載しています。全社費用・セグメント間取引の消去は含みません。

01自動車OEM主力

自動車メーカー向けに高精度3次元地図データをライセンス供与。プロジェクト型(整備・更新)とライセンス型(販売台数連動)の2類型で収益化。2026年3月末時点で38車種に搭載。

主要顧客トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、SUBARU、General Motors

主な製品・サービス1
高精度3次元地図データ(HDマップ)
自動運転レベル2以上に有用な、cm級精度の3次元地図データ。先読み情報、センサー補完、高精度自己位置推定の機能を提供。

02自動車部品・システム副次

半導体メーカーや自動運転システム開発会社向けに、開発用の高精度3次元地図データを法人向けライセンスで提供。シミュレーションやAI学習用途(Data for AI)に活用される。

主な製品・サービス1
法人向けライセンス
整備済み地図データの使用許諾。開発利用料や固定価格での提供。

03官公庁・自治体副次

高精度3次元データを活用したソリューションを提供。除雪支援システムや事故調査支援など、社会課題解決に貢献。プロジェクト型受注が中心。

主な製品・サービス2
3Dmapspocket
高精度3次元点群データを閲覧・分析できるWebサービス。事故調査やインフラ管理に利用。
除雪支援システム
3Dデータで雪に覆われた障害物を可視化し、除雪車両をガイド。

製品と技術

cm級精度の高精度3次元地図データ(HDマップ)

当社の主力製品は、自動運転・先進運転支援システム向けの高精度3次元地図データである。従来のカーナビ用地図(SDマップ)と異なり、機械が読んで制御に利用することを目的とし、絶対精度10cm以内、相対精度1cm以内を実現。道路の曲率・勾配、停止線と信号機の対応関係など、制御に必要な情報を立体構造として保有する。生成プロセスは、モービル・マッピング・システム(MMS)を用いた計測、点群からの地物抽出・図化、顧客仕様に応じた統合の3段階からなる。MMSにはMulti-GNSS受信機、高密度LiDAR、高解像度カメラ、高性能IMUを搭載し、衛星不可視区間でも高精度を維持する。国内では日系10社の共通仕様に、海外では北米子会社由来の汎用仕様をベースに顧客ごとにカスタマイズされる。

自動運転レベル2+以上に不可欠なデータ製品

当社の地図データは、自動運転のレベル区分において特にレベル2+(ハンズオフ走行・自動レーンチェンジ)以上で有用とされる。レベル1・2ではカメラやレーダー主体の制御が可能だが、英知を強化するには高精度な地図情報が不可欠となる。レベル3以上ではシステム主体の制御となるため、機械可読性の高いHDマップの採用が広がる。当社データは、General MotorsのSuper Cruise(2017年採用)、日産ProPILOT 2.0(2019年)、ホンダHonda SENSING Elite(2021年)など、世界初の実用化事例に採用されている。近年はAI学習・検証用データ(Data for AI)としても需要が高まり、半導体メーカーや自動車メーカーグループへの法人ライセンス販売が拡大している。

3次元データ活用を広げるViewer・Guidanceプロダクト

3Dデータビジネスでは、高精度3次元点群データを可視化・活用するためのソフトウェア製品「Viewer」と、実空間でのオペレーションを支援する「Guidance」を提供する。Viewerは事故調査やインフラ管理、不動産開発向けに導入が進む。Guidanceは除雪支援システムとして実装され、空港や物流施設内の車両オペレーションへの横展開が進められている。これらのプロダクトは、自動車向け地図データの生成過程で得られる技術を応用したものであり、新たな収益源として育成中である。また、国家プロジェクト(BRIDGE事業、SBIR事業)を通じて、公共エリア向けダイナミックマップや空港業務効率化ソリューションの開発も手掛けている。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

情報・通信業のなかでの位置

高精細地図技術、収益課題

ダイナミックマッププラットフォームは自動運転向け高精細3D地図を提供する情報通信企業。売上高は2025年3月期75億円と増加したが、営業赤字が継続。2026年3月期は売上高57億円と減少見込みで、赤字幅も拡大する。同業のVRain SolutionやソラコムはAIやIoTに注力する中、同社は自動運転向け地図に特化し、技術的優位性を持つ。ただし、自動運転の普及が遅れると収益化が遅延するリスクがあり、早期の事業拡大とコスト削減が課題。

強み

  • 自動運転に必須な高精度3D地図を自社開発し、技術的優位性を保持。
  • 自動運転市場の成長に伴い、早期に市場シェアを獲得できる可能性。
  • 自動車メーカーや地図関連企業との協業により、技術の実用化を推進。
  • 地図生成や更新技術に関する特許を保有し、競合に対する参入障壁を構築。

課題

  • 自動運転の普及が想定より遅れており、本格的な収益化が先送りに。
  • 営業赤字が続き、2026年3月期は赤字幅が拡大見込みで、資金調達リスク。
  • 他社も類似技術を開発しており、技術面での競争激化が懸念。

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

情報・通信業の時価総額近傍。太字がダイナミックマッププラットフォーム

時価総額で並べると、掲載11社のなかで6番目にあたる。

#企業時価総額PER
1147Aソラコム444億円69.9倍
25027AnyMind Group442億円35.5倍
34377ワンキャリア440億円20.2倍
43844コムチュア428億円12.9倍
54820イーエムシステムズ425億円27.7倍
6336Aダイナミックマッププラットフォーム420億円
74477BASE410億円18.4倍
89739NSW407億円11.0倍
94725CAC Holdings403億円9.2倍
103843フリービット403億円11.5倍
11545Aトランヴィア396億円

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は東証33業種の分類に従っています。

会社の歴史

沿革 14件

官民連携でスタートした2016年の設立

2016年6月、高精度3次元地図データの研究開発を目的として、ダイナミックマップ基盤企画株式会社(資本金300百万円)が設立された。これは自動運転の実現に向け、日本国内で官民一体となった取り組みの核として位置づけられた。翌2017年1月には、国内高速道路及び自動車専用道路の上下線計500kmのサンプルデータを出荷。同年6月には実行組織として事業会社化し、社名をダイナミックマップ基盤株式会社に変更した。この段階ではまだ収益化前であり、研究開発に注力していた。

北米企業買収と国内高速道路完成の2019年

2019年3月、国内の高速道路及び自動車専用道路29,205kmの整備が完了し、商用化の基盤が整った。同年4月には、北米で高精度3次元地図データを手掛けるUshr, Inc.(現Dynamic Map Platform North America, Inc.)を子会社化。これにより、北米市場への参入と技術・顧客基盤の獲得を図った。2019年9月には、日産自動車のProPILOT 2.0を搭載したスカイラインに当社のHDマップが初採用され、量産車向けの実績が生まれた。この時期からライセンス型売上の基盤が形成され始めた。

世界初のレベル3対応車採用と海外拠点拡充

2021年3月、本田技研工業のHonda SENSING Eliteを搭載したレジェンドが世界初の自動運転レベル3として発売され、当社のHDマップが採用された。これは技術的なマイルストーンとなった。同年12月には欧州統括会社DMP Europe GmbHを設立。2022年4月には日産アリアへの搭載が決定。同年10月には韓国法人Dynamic Map Platform Korea, LLCと、三菱UFJ銀行との合弁会社DMP Axyz(現ダイナミックマッププラットフォームAxyz株式会社)を設立し、アジアと金融分野への展開を図った。収益面では、2023年3月期に売上高37億円と急成長した。

社名変更と事業フェーズ転換の2023年

2023年2月、社名をダイナミックマッププラットフォーム株式会社に変更するとともに、本社を東京都渋谷区に移転した。この頃より、海外での新規道路整備が概ね完了し、事業は新規整備フェーズからデータの提供・更新フェーズへ移行。2024年3月期の売上高は56億円に拡大したが、海外子会社を中心に事業運営体制の見直しが進められた。売上高は2025年3月期に75億円とピークに達した後、2026年3月期は57億円と減少。これは中東プロジェクトの後ろ倒しや国家プロジェクト縮小が影響した。継続的な赤字を計上しているが、法人向けAIデータライセンスなど新たな需要が成長を牽引している。

年表14件を開く

2010年代

  • 2016年6月創業高精度3次元地図データを研究開発する目的で、当社の前身であるダイナミックマップ基盤企画株式会社(資本金300百万円)を設立
  • 2017年1月高精度3次元地図データのサンプルデータを出荷(国内高速道路及び自動車専用道路の上下線計500km)
  • 2017年6月商号変更高精度3次元地図データの研究開発を行う実行組織として事業会社化。ダイナミックマップ基盤株式会社に社名変更
  • 2017年9月General Motors Companyのハンズフリー運転支援システムである“Super Cruise™”にUshr, Inc.(現・連結子会社Dynamic Map Platform North America, Inc.)の高精度3次元地図データが初採用
  • 2017年10月公共測量計画機関(注2)の認定を国土交通省より取得
  • 2019年3月国内高速道路及び自動車専用道路(29,205km)の整備を完了し、商用化に向けた基盤を構築
  • 2019年4月M&A北米を中心として高精度3次元地図データを開発・整備・販売するUshr, Inc.(現・連結子会社 Dynamic Map Platform North America, Inc.)を子会社化
  • 2019年9月国内で初めて高精度3次元地図データを搭載した自動車(日産自動車株式会社“ProPILOT 2.0”搭載『スカイライン』)の発売が開始され、当社の高精度3次元地図データが採用

2020年代

  • 2021年2月創業海外事業資金調達を特別目的とする会社としてD2NA合同会社を設立(2023年1月に当社へ吸収合併)
  • 2021年3月世界初の自動運転レベル3(注3)の運転支援機能を搭載した自動車(本田技研工業株式会社”Honda SENSING Elite”搭載『レジェンド』)の発売が開始され、当社の高精度3次元地図データが採用
  • 2021年12月欧州地域事業の統括を目的とするDMP Europe GmbH(現・連結子会社 Dynamic Map Platform Europe, GmbH)を設立
  • 2022年4月日産自動車株式会社“ProPILOT 2.0”搭載『アリア』に当社高精度3次元地図データが採用
  • 2022年10月Dynamic Map Platform Korea, LLC、また株式会社三菱UFJ銀行との合弁会社として株式会社DMP Axyz(現・連結子会社 ダイナミックマッププラットフォームAxyz株式会社)を設立
  • 2023年2月商号変更ダイナミックマッププラットフォーム株式会社に社名変更、また本社を東京都渋谷区に移転

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2026/3期の経営方針より

会社は4つの方針を掲げている。有価証券報告書には具体的な数値目標の記載がない。

  1. 01

    自動運転向け高精度地図の量産搭載拡大

    世界初のレベル2+以上自動運転システム搭載車への採用実績を基に、量産車種の搭載を38車種に拡大。自動車メーカー各社との関係を強化し、搭載車種の更なる増加を図る。

  2. 02

    3Dデータビジネスの多用途展開

    オートモーティブ以外の分野(防災・減災、インフラ維持管理、MaaS等)へ高精度3次元データの用途を拡大し、多様なニーズに応える。北米・アジア太平洋のインフラ・輸送・防衛分野での事業拡大を進める。

  3. 03

    ライセンス型売上比率の向上

    収益性の高いライセンス型売上(販売台数連動フィーやデータライセンス)を成長させ、全体の粗利率を向上。整備済みデータやシステムを活用し、限界利益率の高い収益源を拡大する。

  4. 04

    調整後EBITDAの黒字化達成

    売上収益の成長とライセンス型売上比率向上により、早期の調整後EBITDA黒字化を目指す。固定的な原価構造を活かし、収益性とキャッシュフローを改善する。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 2期分

グループ全体で210人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は913万円で、1期前と比べて0.5%平均年齢は42.3歳、平均勤続年数は2.9年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数一人当たり営業利益万円
2025年3月91742.32.5224−536
2026年3月91342.32.9210−905

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

拠点とグループ

設備と関係会社

関係会社8(国内 4 / 海外 4、うち連結子会社 8) を有報から抽出しています。

主要な設備 (帳簿価額 上位3)
本社(米国ミシガン州リボニア)他1ヶ所3,477百万円
海外
本社 — 東京都渋谷区387百万円
国内
日本海測量設計株式会社 — 富山県高岡市76百万円
国内
主な関係会社
  • 海外
    Dynamic Map Platform North America, Inc. (注)3
    米国 ミシガン州リボニア · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 海外
    Dynamic Map Platform Europe, GmbH
    ドイツ フランクフルト · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 海外
    Dynamic Map Platform Korea, LLC (注)4
    韓国 ソウル · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 国内
    ダイナミックマッププラットフォームAxyz株式会社(注)1
    東京都渋谷区 · 連結子会社
    議決権95.1%
  • 国内
    Dynamic Map Platform Arabia Limited (注)4
    サウジアラビア リヤド · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 海外
    DYNAMIC MAP PLATFORM DATA-L.L.C (注)4
    アラブ首長国連邦 アブダビ · 連結子会社
    議決権99.0%
  • 国内
    日本海測量設計株式会社(注)1,4,5
    富山県高岡市 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 国内
    ダイナミックマッププラットフォームコンサルタンツ株式会社(注)6
    東京都渋谷区 · 連結子会社
    議決権100.0%
公共調達・補助金 (gBizINFO)
  • 調達
    産業DXのためのデジタルインフラ整備事業デジタルライフラインの先行実装に資する基盤に関する研究開発自動運転支援道:自動運転運行に係るデータ連携システムおよび高速道路におけるユースケースの開発・実証(委託)
    国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 · 2024-07-31
    14.9億円
  • 調達
    グリーンイノベーション基金事業/スマートモビリティ社会の構築商用利用される電気自動車・燃料電池自動車の本格普及時における社会全体最適を目指したシミュレーションシステム構築に関する研究開発電気自動車・燃料電池車の導入に向けたエネルギーマネジメントと車両運行管理を最適化するシミュレーションシステムの構築
    国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 · 2022-10-07
    13.8億円
  • 調達
    モビリティ分野における産業用データ連携基盤の整備に関する実証調査研究
    デジタル庁 · 2023-09-14
    2.7億円
  • 調達
    戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/自動運転(システムとサービスの拡張)車両プローブ情報等による高精度3次元地図更新に関する研究開発
    国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 · 2019-03-11
    1.3億円
  • 調達
    脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術の国際実証事業実証要件適合性等調査高速道路等・空港・港湾における車両から排出されるCO2の精確な予測とそれに基づく効率的な輸送を実現するための高精度ダイナミックマップに関する実証研究(欧州)
    国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 · 2023-12-27
    1,998万円

出典: gBizINFO (経済産業省)

業績のいま

有価証券報告書・決算短信より

2026年3月期の売上高は57億円営業利益-19億円前期と比べると減収で、売上が-24.0%。

売上高
-24.0%
57億円
営業利益
-19億円
純利益
-17億円
営業利益率
-33.3%
前期比 -17.3%pt

会社が出している今期の予想2027年3月期

項目会社予想前期実績
売上高70億円57億円
営業利益-19億円
純利益-17億円
1株あたり配当¥0¥0

会社が決算短信で公表した予想です。証券会社の予想ではありません。 短信の原本

四半期の推移

3期分

直近は2027年1Qで、売上は11億円、営業利益は−10億円。

対象期間売上高億円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2026年2Q25−11−44.0−12
2026年4Q32−8−25.0−5
2027年1Q11−10−90.9−10

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。

業績の推移

有価証券報告書 6期分

2021年3月期からの6期で、売上は6億円から57億円へ9.5倍に増えた。直近期の営業利益率は-33.3%。

決算期売上高億円営業利益億円経常利益億円営業利益率%純利益億円
海外事業資金調達を特別目的とする会社としてD2NA合同会社を設立(2023年1月に当社へ吸収合併)
2021年3月6−16−16
Dynamic Map Platform Korea, LLC、また株式会社三菱UFJ銀行との合弁会社として株式会社DMP Axyz(現・連結子会社 ダイナミックマッププラットフォームAxyz株式会社)を設立
2022年3月6−18−198
ダイナミックマッププラットフォーム株式会社に社名変更、また本社を東京都渋谷区に移転
2023年3月37−35−41
2024年3月56−25−40
2025年3月75−12−14−16.0−15
2026年3月57−19−17−33.3−17

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。空欄の期は有価証券報告書からその項目の数値が取れていません(0ではありません)。

利益の構造

2026年3月期

売上高57億円のうち、営業利益として残るのは-19億円-33.3%。営業外の損益と税金を反映した純利益は-17億円、売上の-29.8%にあたる。営業利益率は業種中央値8.4%を下回る水準。

売上高を100としたときの内訳
  • 売上原価作る・仕入れるのにかかったお金86.0%49億円
  • 販売費及び一般管理費売る・管理するのにかかったお金47.4%27億円
  • 営業利益費用を引いたあとに残った本業の利益-33.3%-19億円

有価証券報告書の損益計算書から、当期の金額をそのまま割り振っています。

粗利率
14.0%
売上から原価を引いて残る割合
営業利益率業種比41.7pt
-33.3%
本業の利益として残る割合
純利益率業種比36.5pt
-29.8%
税金まで払って最後に残る割合
ROA
-15.6%
資産全体がどれだけ利益を生んだか
ROIC
-18.5%
事業に使うお金がどれだけ利益を生んだか

ROICは有利子負債の開示がないため、営業利益×0.7÷(総資産−現金)の簡易式で算出しています。

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 4期分

2026年3月期は営業CFが−1億円、投資CFが−19億円で、差し引きのフリーCFは−20億円この組み合わせは消耗型にあたる。本業・投資・財務のすべてで現金が出ていっている。手元資金の厚みが生命線期末の手元現金は36億円で、売上の7.6ヶ月分にあたる

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2023年3月−49−1971−68136
2024年3月−32−82−40102
2025年3月−23−2528−4884
2026年3月−1−19−28−2036

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 6期分

2026年3月期の総資産は109億円。このうち返さなくてよい自己資本が72億円で、自己資本比率は66.2%(業種中央値63.4%より厚い)

決算期総資産億円自己資本億円負債億円自己資本比率%
2021年3月2281903883.2
2022年3月87285932.2
2023年3月185889747.3
2024年3月142499333.9
2025年3月160907055.9
2026年3月109723766.2

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2026年3月期の内訳
現金及び預金
37億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
-42億円
過去の利益の積み上がり
負債合計
37億円
いつか返す必要があるお金
財務の健全性
40
/ 100
安定性自己資本比率40 / 40
収益力営業利益率0 / 30
現金創出営業CFの黒字継続0 / 30

有価証券報告書の数値から機械的に配点した参考値です。自己資本比率60%で満点、営業利益率15%で満点、直近3期の営業CFが黒字だった割合の3つを足しています。業態によって出ない要素があります。

業界内での比較

情報・通信業 605社との比較

同じ情報・通信業の企業と並べると、いちばん上に来るのは自己資本比率605社中271位あたり、逆に低いのは売上成長率605社中590位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
/中央値 13.1%
P25 7.0%P75 20.1%
営業利益率下位売上のうち本業の利益として残る割合
-33.3%/中央値 8.4%
P25 3.9%P75 16.1%
自己資本比率総資産のうち返済のいらないお金の割合
66.2%/中央値 63.4%
P25 45.3%P75 74.7%
売上成長率下位前期からの売上の伸び
-24.0%/中央値 9.1%
P25 1.9%P75 20.2%
配当利回り株価に対して1年で受け取る配当の割合
/中央値 2.6%
P25 1.5%P75 3.5%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月3日の終値

直近の終値は¥1,779で、1年前と比べて+63.8%過去52週の値幅のなかでは100%の位置にある。

¥1,779+20.3%1ヶ月+113.8%1年+63.8%時価総額420億円
過去52週の値幅
安値¥532高値¥1,779

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標
PBR6.63倍

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

株価は8月20日に848円と前日比+5.47%と上昇。1ヶ月で+5.08%と回復基調にあるが、25日線815円を上回るものの、75日線825円を上回り、200日線743円を上回る。8月10日に711円まで急落した後、反発し、8月20日には848円と戻りを強めている。52週高値1234円からは約31%下落し、52週安値532円からは約59%高い水準。RSIは59.78と中立強気圏で、出来高は8月20日に21万株と増加しており、買い意欲が見られる。ただし、8月10日の急落前の水準にはまだ戻っていない。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

AIの評価

AI評価

株価水準の解釈です。売買の推奨ではありません

現在の株価水準を割高と判定しています(スコア 15/100)

PERが計測不能で、直近赤字継続のため収益性が低い。PBRは2.65倍と同業平均3.48倍より低いが、無配であり配当利回りは0%と平均3.46%を大きく下回る。ROEがマイナスで、成長性が見込めずバリュエーションは割高と判断する。

指標この会社業種平均
PBR6.63倍2.98倍

業種平均は同じ東証33業種に属する銘柄の単純平均です。銘柄数が少ない業種では平均が振れます。

AI評価判定とスコアは公開データをもとにした解釈で、将来の株価を示すものではありません。算出の考え方は編集方針に記載しています。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

自動運転の普及を追い風に長期的な成長が期待される一方、現状は赤字継続で黒字化時期が焦点。強気派は2026年以降の自動運転市場拡大と高付加価値データへの需要増を評価。弱気派は普及ペースの不確実性や競合(Google等)の脅威、資金消耗リスクを指摘。

プラスに働く材料7
  • 自動運転需要の追い風

    自動運転レベル3以上の普及に伴いHDマップ需要が急拡大する可能性。

  • 高い参入障壁

    高精度地図の整備には莫大なコストと認証が必要で新規参入が困難。

  • 政府支援・社会実装

    インフラDX案件など公共セクターからの安定需要。

  • 自動運転向け高精細地図需要拡大で将来収益化2027年~2028年影響

    自動運転レベル4普及で地図需要増、2030年には黒字化期待

  • 生成AI関連の地図データ需要の取り込み不定影響

    AI学習用地図データ需要増で売上拡大の可能性

  • 政府のデジタルインフラ投資促進政策不定影響

    国土交通省の3D地図整備補助金など公的支援期待

  • 株価810円とIPO比下落、割安感からのリバウンド不定影響

    上場来安値圏、需給改善で一時的な戻り期待

マイナスに働く材料7
  • 黒字化のメド不透明

    2026/3期も営業赤字33%と大幅赤字継続見込み。

  • 技術代替リスク

    カメラ・AIのみでの自動運転技術が進めばHDマップ不要になる可能性。

  • 資金調達リスク

    営業キャッシュフロー赤字が続き、追加増資リスク。

  • 2026/3期営業損失19億円と赤字拡大2026年Q4影響

    営業損失12億→19億と拡大、売上高も57億に減少、黒字化遠く

  • 自動運転普及遅れで収益化時期が不透明不定影響

    自動運転の法規制・技術課題で普及遅れ、収益化先送り

  • 競合との価格競争激化でデータ販売単価下落継続影響

    ゼンリンなど競合が多く、地図データ価格低下で収益圧迫

  • 無配継続、株主還元ゼロで投資家離れ継続影響

    配当なし、自己株式取得もなく、長期保有インセンティブ不足

次の決算で確かめる点
契約件数・ライセンス収入
収益化の進捗を示す最優先指標。
営業キャッシュフロー
赤字継続中の資金消耗度合いを確認。

株主

有価証券報告書より

2026年3月期末の株主数は延べ10,114人。区分でいちばん多いのは事業法人51.4%。グループ会社や銀行などの安定株主が60.4%を占め、残る39.6%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2025年3月%2026年3月%
事業法人64.551.4
個人・その他14.334.6
金融機関7.19.0
証券会社7.83.8
外国法人6.31.2
外国人個人0.00.1

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01株式会社産業革新投資機構31.33
02株式会社海外交通・都市開発事業支援機構14.72
03株式会社日本カストディ銀行(信託口)4.81
04野村信託銀行株式会社(投信口)3.94
05三井物産株式会社2.37
06SBI4&5投資事業有限責任組合2.15
07時津 昭彦1.75
08楽天証券株式会社共有口1.51
09株式会社トヨタマップマスター1.35
10野村證券株式会社0.81

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

大量保有報告の動き
5%超の保有者の提出ベース 直近1
  • 2026-05-11
    野村證券株式会社
    新規の大量保有報告
    0.70%
    +0.70pt

提出があった時点の記録です。その後5%を割った保有者が一覧に残ることがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 6期分

1株利益は6期で+99%、1株純資産は6期で−100%。期末時点の株価にもとづく指標の推移。

決算期EPSBPS
2021年3月−5,96169,537
2022年3月−69,4479,193
2023年3月−236466
2024年3月−215257
2025年3月−82378
2026年3月−72305

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安

経営陣

9名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は9名。2026/3期の役員報酬は総額81百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約3倍にあたる。

氏名役職年齢保有株数
吉村修一代表取締役 社長449,700
麻生紀子取締役 グループ技術・生産担当664,700
鈴木秀和取締役441,000
志賀俊之取締役72
加藤徹行常勤 監査役59
中山達也監査役44
大橋俊之監査役51
渡邊尚久62
中川浩輔47

役員報酬の内訳2026/3

役員の区分人数固定報酬百万円業績連動百万円合計百万円1人あたり百万円
取締役(社内)240115226
社外取締役529296

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2026/3期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容14,990字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3 【事業の内容】 「2 沿革」に記載のとおり、当社は、官民一体となって知見や技術を結集し、自動運転実現に貢献する高精度3次元地図データの研究開発を進めてまいりました。高精度3次元地図データとは、自動運転機能を持つ自動車両の安全な走行に重要な役割を担うものです。中長期的には、自動運転(注1)や先進運転支援システム(注2)をはじめとした自動走行向けだけではなく、インフラ維持管理システムや防災・減災システムにおいても活用することで、高精度位置情報の提供を通じて、あらゆる産業における共通基盤を目指すことを当社グループビジョンに掲げております。 当社グループは、自動運転や先進運転支援システムを開発・提供する自動車メーカー等に整備した高精度3次元地図データをライセンス供与することで収益化しております。また、車両に搭載された高精度3次元地図データは道路の経年変化に合わせてアップデートを行うことが必要であるため、その更新に関する対価も収受しております。高精度3次元地図データをご利用いただく自動車メーカー、搭載車種・搭載車両台数の増加に伴い、業容を拡大してまいりました。近年では、自動運転や先進運転支援システム向けに加え、AI学習やシミュレーション用途(Data for AI)の需要が顕在化しており、業容拡大に大きく寄与しております。 また、自動運転や先進運転支援システム向け以外への高精度3次元地図データの用途拡大、高精度3次元地図データに関する技術を活用したソリューション提供を行い、一層の業容拡大につなげるべく事業展開してまいりました。 当社グループは、当社、連結子会社8社(Dynamic Map Platform North America, Inc.、Dynamic Map Platform Europe, GmbH、Dynamic Map Platform Korea, LLC、ダイナミックマッププラットフォームAxyz株式会社、Dynamic Map Platform Arabia Limited、DYNAMIC MAP PLATFORM DATA-L.L.C、日本海測量設計株式会社、ダイナミックマッププラットフォームコンサルタンツ株式会社)の計9社で構成されており、販売地域を基に「国内」と「海外」に分類しております。なお、事業の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント情報の区分と同一であります。 <国内> 国内の自動車専用道路、高速道路及び一般道の計測及び図化を行い、それらを統合して自動運転や先進運転支援システムに有用な高精度3次元地図データを生成・販売しております(以下、オートモーティブビジネス)。また、高精度3次元地図データの生成の過程における計測業務を通じて収集される高精度3次元点群データ(注3)の活用による、自動運転及び先進運転支援システム用途以外でのソリューション提供(以下、3Dデータビジネス)も行っております。加えて、買収により子会社化した測量会社において測量事業にも取り組んでおります。 (主要な会社) ダイナミックマッププラットフォーム株式会社、ダイナミックマッププラットフォームAxyz株式会社、日本海測量設計株式会社、ダイナミックマッププラットフォームコンサルタンツ株式会社 <海外> 北米、欧州、中東及び韓国における高速道路、一般道の計測及び図化を行っており、国内オートモーティブビジネスと同様、自動運転及び先進運転支援システム用高精度3次元地図データを生成・販売しております。また、国内と同様、3Dデータビジネスの顧客開拓に向けたマーケティング活動やアライアンス構築に取り組むことで、事業の立ち上げを進めております。なお、2026年3月末時点において、当社グループは26か国(日本を含む)において高精度3次元地図データの整備等の事業を展開しております。 (主要な会社) Dynamic Map Platform North America, Inc.、Dynamic Map Platform Europe, GmbH、Dynamic Map Platform Korea, LLC、Dynamic Map Platform Arabia Limited、DYNAMIC MAP PLATFORM DATA-L.L.C これらの事業で取り扱っている製品・ソリューションの特徴は次のとおりです。 (1) オートモーティブビジネス 自動運転や先進運転支援システム向けに高精度3次元地図データを生成・販売するビジネスには、その取引の性質から、自動車メーカー等から指定される地図カバレッジ・仕様に基づく高精度3次元地図データの整備・更新を受注し対価を収受するプロジェクト型売上、量産車への高精度3次元地図データ搭載に際して販売台数に応じて受領するライセンスフィー及びメンテナンスフィー、法人向け高精度3次元地図データライセンス等(整備済み地図データ提供によるライセンスフィー、高精度3次元地図データの利用対価として自動車メーカーより収受する開発利用料等)のライセンス型売上の2つの類型があります。売上カテゴリー別の収益モデルについては、後述の(売上カテゴリー別のビジネスの概要及び収益モデル)をご参照ください。 <自動車向け高精度3次元地図データの特徴> ① 高い技術力を要する生成過程 当社グループの高精度3次元地図データは、衛星測位、計測、図化(3Dモデル化)、統合等の高い技術力を用いて生成しています。具体的には、衛星測位においては、Multi-GNSS(注4)を利用した位置補正技術が必要となります。計測においては道路構造や交通状況に配慮した計測計画の立案、取得した点群データに対する衛星測位状況を考慮した歪除去(注5)やデータ間接合(注6)などの技術が必要となります。図化(3Dモデル化)業務においては点群からの正確な地物(注7)情報の抽出、属性付与を効率的に実施するとともに整備データ全体にわたる高度な品質管理が必要となります。当社グループの自動運転/先進運転支援システム開発や測量士等の多様な経験や資格を有する技術者陣がこれらの技術力を支えていると考えています。最後に統合業務において各顧客に応じた最終調整を行いデータ提供しております。国内の高精度3次元地図データは、日系自動車メーカー10社(以下五十音順にて、いすゞ自動車株式会社、スズキ株式会社、株式会社SUBARU、ダイハツ工業株式会社、トヨタ自動車株式会社、日産自動車株式会社、日野自動車株式会社、本田技研工業株式会社、マツダ株式会社、三菱自動車工業株式会社)の要求に基づき共通の仕様を定義しております。 また、海外の高精度3次元地図データについても生成プロセスは国内と同一のものとなっておりますが、マップ整備のための計測機材やソフトウエアツールは必要に応じて地域に最適と判断したものを活用しています。なお、海外においては、Dynamic Map Platform North America, Inc.の事業開始当初より開発してきた汎用仕様をベースとして顧客ごとの要望に合わせた仕様を策定しております。 高精度3次元地図データ(HDマップ)の生成プロセス 計測フェーズにおけるcm級の位置精度を有するデータの取得は、当社グループが有する測量技術によるものであり、データ収集に際しては、モービル・マッピング・システム(注8)(以降、MMSと記載)を用いております。整備に利用されるMMSは、高精度かつ地物の高い再現性を確保するために、Multi-GNSS対応受信機、衛星不可視区間で比較的高精度を維持する高性能IMU(Inertial Measurement Unit) (注9)、道路情報を精緻に再現する高密度レーザスキャナ(LiDAR)(注10)、高解像度カメラを搭載しており、各機器が衛星時刻情報で同期されることにより計測時の状態を正確に再現可能となります。MMS車両を走行させながら、LiDARで道路面及び周辺情報をスキャンして点群データを取得することで、実際の道路とほぼ同一形状、同一サイズのデジタル空間上の道路データを表現できます。 MMSにより取得した高精度3次元点群データを基に、自動運転や先進運転支援システムに必要な様々な情報、例えば区画線や道路標識、交差点領域等の地物を抽出して3Dモデル化することを図化と呼びます。図化は予め地物毎に定められた取得基準に基づき行われ、自動・手動の組合せで実施されます。手動で実施する作業は当社グループが保有するIT技術の採用により順次自動化していくことで品質を維持・向上させながら効率化を図っております。 なお、スマートフォンのアプリケーションやカーナビゲーションシステムに用いられる従来の一般的な地図データ(SDマップ)において車線数や交差点などの情報は具備されますが、各々の物理的な3次元位置情報は高精度には保有されていません。 ② 従来地図とは異なる情報・精度 高精度3次元地図データ(HDマップ)は機械が読み込み、制御に活用されることを目的としております。このため、従来の一般的な地図データ(SDマップ)と比べ、立体性(道路の構造や起伏を表す高度情報や標識などの立体構造物情報など)・保有情報(道路の曲率や勾配、停止線と信号機の対応付けなど)・位置精度において、より精度の高い情報が求められます。 データの精度に関しては上述の計測プロセスにより、衛星測位システムの受信が良好な状況においては、絶対精度10cm以内、相対精度1㎝以内のデータ収集が可能であり、このデータを基にした図化業務を含め、全体プロセスとしてcm級の精度を実現しております。 従来の一般的な地図データ(SDマップ)との違い SDマップと高精度3次元地図データ(HDマップ)とでは上記のような相違がある他、生成過程においても、高精度3次元地図データでは高精度に位置情報を把握できるMMSを利用する等の相違があります。 ③ 自動運転高度レベル2以上に有用な機能 国内外で共通認識となっている自動運転のレベルは、米国の自動車技術会(SAE: Society of Automotive Engineers)(注11)によって定義され、レベル0からレベル5の6段階に区分されます。レベル1やレベル2では、高精度3次元地図データによる機能強化はあり得るものの、車体制御は主にカメラ、ミリ波レーダー、LiDARを用いて行われております。一方、高度レベル2(レベル2+とも言われていますが、レベル2に加えて、ハンズオフ走行、自動レーンチェンジなどが可能になるものを指します)ではより高度な車体制御を実現する観点から高精度3次元地図データが広く採用されており、システム主体の車両制御となるレベル3・レベル4・レベル5では、機械の可読性、制御への利用容易性の観点で特に有用な技術とされています。 自動運転レベル 自動運転レベル   運転操作の主体(※1)   概要・定義   具体的内容・状況等 レベル5   自動運転システム   完全自動運転システムが全ての動的運転タスク及び作動継続が困難な場合への応答を無制限に(すなわち、限定領域内ではない)実行   場所、天候、速度等の状況に関わらず、いつでもどこでも運転者が介入することなく自律的に運転できる。交通信号や標識、歩行者、他の車両など、周囲の状況を正確に認識し、適切に対応する。 レベル4   特定条件(※2)下における完全自動運転システムが全ての動的運転タスク及び作動継続が困難な場合への応答を限定領域において実行   高速道路や特定の都市部などの「限定領域」おいて、運転者が介入することなく自律的に運転できる。「限定領域」外では、自動運転が出来ない。 レベル3   自動運転システム(システムの作動が困難な場合は 運転者)   条件付き(※3)自動運転システムが全ての動的運転タスクを限定領域において実行作動継続が困難な場合は、システムの介入要求等に運転者が適切に応答   高速道路や特定の都市部などの「限定領域」おいて、システムの作動継続が困難な場合はシステムの介入要求等に運転者が適切に応答する条件付きで、自律的に運転できる。システムの介入要求がある際には、運転者が適切に応答する必要があり、運転者が必要。 レベル2+   運転者   特定条件下での自動運転機能(高機能化)レベル2に車線変更や合流、分岐、遅いクルマの追い越しなど高度な運転支援機能を追加したもの   車線変更や合流、分岐、遅いクルマの追い越しなどの複雑な運転操作をシステムが自動で行う。一定の条件下でハンズフリー走行が可能。運転者は常に運転状況を監視し、必要に応じて介入する準備が求められる。 レベル2   特定条件下での自動運転機能(レベル1の組み合わせ)システムが縦方向及び横方向両方の車両運動制御のサブタスクを限定領域において実行   レベル1の機能の組み合わせによる運転支援が可能。具体的には、車線を維持しながら、前方車両との距離を保ち追随することが出来る。 レベル1   運転支援システムが縦方向又は横方向のいずれかの車両運動制御のサブタスクを限定領域において実行   システムが前後・左右のいずれかの車両制御を実施する。例: 自動ブレーキ、自動前車追随機能、自動車線維持機能 レベル0   運転者が全ての動的運転タスクを実行 (※1)運転操作の主体: 車両の操縦のために必要な、認知、予測、判断及び操作の行為を行う責任主体を指す。 (※2)特定条件: システムが自動運転を行うために必要な特定の環境や状況を指し、場所、天候、速度等が含まれます。「特定条件」として、特定の地理的範囲や道路環境が設定される場合には、これを「限定領域」と呼びます。例えば、高速道路のみ、特定の都市部内でのみ自動運転システムが作動する場合、これらの領域が「限定領域」となります。 (※3)条件付き: 特定の条件下でシステムが全ての運転タスクを実行することを指し、システムの作動継続が困難な場合には、運転者が適切に対応する必要があるというものです。 出所:国土交通省資料等を基に当社作成 自動運転のレベル0からレベル2まではドライバーによる監視を必要とし、レベル3以上ではシステム主体の監視となり、一部もしくは全部をドライバーの操作を介さずに自動運転を行います。 高精度3次元地図データは、主には自動運転高度レベル2以上に有用な機能であり、当社グループの高精度3次元地図データは自動運転及び先進運転支援システム双方に適用可能な仕様となっております。 <高精度3次元地図データの機能> 車両に搭載されたカメラやLiDAR、ミリ波レーダーなどのセンサーが周辺の車両や歩行者、道路上の白線、標識などを認知することで、アクセルやブレーキ、ステアリング(ハンドル)の操作などの制御が可能となり自動運転及び先進運転支援システムが実現されます。しかし、センサー情報のみでは認知性能に限界があるため、高精度3次元地図データと組み合わせることで、センサーが取得した画像やGPS(注12)情報等を照合しながら正確かつ安全な走行を実現しています。高精度3次元地図データには、以下の3つの機能があります。 a 先読み情報 複雑な道路形状・急勾配のカーブ等でセンサーでは検知できない先読み情報を提供し、車両制御に活用 b センサー補完 経年変化による白線かすれや悪天候時での検知機能の低下等、センサー性能の限界を補完 c 高精度自己位置推定(地図照合) GPSのみでは実現できないレーン単位の位置情報を提供し、自動運転及び先進運転支援システムに有用な自車位置特定を実現 これらの高精度3次元地図データ(HDマップ)の機能は、自動運転及び先進運転支援システムにおける、安定したカーブへの進入、信号機情報を把握した停車の判断、安全な交差点の右折、走行車線の選択、走行不可領域の認識、緊急時の安全な位置への自動停車などに有用であり、当社グループが提供する高精度3次元地図データがより高度かつ安全な自動運転及び先進運転支援システムの実現に寄与できるものと考えております。 また、自動運転及び先進運転支援システム以外の自動車向け高精度3次元地図データの活用領域としては、今後市場の拡大が見込まれるV2X(Vehicle-to-Everything=車両とあらゆるモノを通信技術で接続し連携させること)への展開や自動車メーカー、半導体メーカー、自動運転システム開発会社等における自動運転システム開発への適用可能性があると考えております。V2Xに関しては、2024年米国運輸省は道路上の安全性や効率性を高めるため、「V2X展開加速計画」(V2Xを促進するため、アリゾナ州、テキサス州、ユタ州の3州で、約6,000万ドルの助成金を交付。米国内の全高速道路にV2Xを適用し、2036年までに自動車メーカー6社の新車にV2X技術を搭載することを目指す計画)を発表し、関連して、米国の自動車技術会(SAE:Society of Automotive Engineers)は、「V2Xシステムのための高精度ポジショニング標準」を制定し、V2Xのアプリケーションでは、車線レベルまたはそれ以上の精度のマップが必要と定義されています。2024年10月、当社は本計画の一部として、ユタ州運輸省より高精度3次元地図データ提供を受注しております。 さらに自動車メーカー、半導体メーカー、自動運転システム開発会社等における自動運転システム開発では、各種センサー情報と共に高精度地図データを統合処理可能なソフトウエア環境を構築しており、高精度3次元地図データは自己位置を特定するための重要な要素として活用されています。また自動運転システムのAI/機械学習、安全性確保や法規制・認証への対応、AIが現実世界を理解・判断するためのデータとしても、詳細な道路情報を有する高精度3次元地図データの活用余地は大きいと考えており、自動運転システムによる自動車制御能力向上に繋がると考えております。当社では、より安全な自動運転及び先進運転支援システムを実現する上で、その開発及び運用においても、正確な位置情報の特定に有用な高精度3次元地図データの利用が重要になっていると考えております。 以上のように、当社グループが提供する高精度3次元地図データは、量産車への搭載に加えて、大手自動車メーカー、海外大手地図メーカー、大手半導体メーカー、自動運転システム開発会社、大手車載システムメーカー等の法人に対して固定価格での高精度3次元地図データの使用許諾を行うことによる利用拡大が見込め、これらの法人向けライセンスによる高精度3次元地図データのライセンス売上のさらなる拡大に取り組んでおります。 当社グループの高精度3次元地図データが採用されている販売車種及び販売予定が公表されている主な車種は、次のとおりです。なお、下表の他に、顧客との守秘義務契約に基づき現時点で公表していない社名・車種が複数存在し、合計で38車種に当社グループの高精度3次元地図データが搭載されております。 (2026年3月末時点) 社名   販売車種 トヨタ自動車株式会社   ・レクサス LS 2021年・MIRAI 2021年 日産自動車株式会社   ・スカイライン 2019/2020年・アリア 2022年・セレナ 2023年・Nissan Rogue 2025年・Nissan Armada 2025年・Infiniti QX80 2025年・リーフ 2026年 本田技研工業株式会社   ・レジェンド・ハイブリッドEX 2020年・Acura ZDX 2024年・アコード 2025年 株式会社SUBARU   ・Outback 2025年 General Motors Company   Cadillac・CT6 AWD 2018年・Escalade 2021年・CT5 2021年・CT4 2021年・XT6 2022年・Lyriq 2023年・Optiq 2025年GMC・HUMMER EV 2022年・HUMMER EV SUV 2024年・Yukon Denali 2022年・Yukon Denali XL 2022年・Sierra Crew Cab 2022年・Sierra Crew Cab EV 2022年・Acadia 2024年Chevrolet・BOLT EUV 2022年・Tahoe 2022年・Suburban 2022年・Silverado Crew Cab 2022年・Silverado Crew Cab EV 2022年・Blazer EV 2024年・Traverse 2024年・Equinox EV 2024年Buick・Enclave 2025年 (2) 3Dデータビジネス (高精度3次元データの多用途展開) 高精度位置情報の提供を通じて、あらゆる産業における共通基盤を目指す中長期ビジョンの実現に向けて、高精度3次元データ(高精度3次元地図データ及び高精度3次元点群データ)の活用による、自動運転及び先進運転支援システム用途以外でのソリューション提供を行っております。 高精度3次元点群データは、最先端かつ高度な「計測技術」を用いたMMSにより、日本・北米・欧州・韓国・中東で計測しており、その膨大な計測データを繋ぎ合わせた形でデータを提供しています。また、新規延伸や道路状況の変更にも対応できるよう、データメンテナンスを行い鮮度の保持に取り組んでいます。 当社グループが提供する高精度3次元データは、道路交通上の課題解決をはじめ多彩な用途に使用でき、様々な側面で省人化や効率化の実現、安心・安全な環境づくりに貢献できると考えています。具体的には、自動車、航空機、船舶、自律移動ロボット等の移動体の自己位置推定や周辺環境認識に有用であり、これらの制御への活用(自動走行・自動運行など)を通じて、今後進展が期待される産業のデジタル化・効率化に大きく貢献するものと考えております。また、近年のフィジカルAIの進展に伴い、現実世界の環境を反映した高精度なデータの重要性が高まっており、高精度3次元データは、AIの学習・検証・運用に資する「Data for AI」としての活用が進むと考えております。当社グループは、実空間を高精度に再現したデータを提供することで、フィジカルAIの社会実装に貢献してまいります。 これらの産業のデジタル化・効率化に際しては、交通渋滞情報、事故情報、天候の変化、人流、荷物情報などの動的情報の統合と活用が重要であり、静的な位置情報である高精度3次元データは、これらの動的情報を紐づけるためのデータ基盤となり得るものです。これら静的な情報と動的な情報を統合したものは、ダイナミックマップと呼ばれ、今後、産業界のデジタル化・効率化を支える共通基盤(プラットフォーム)の役割を果たすことが出来ると考えております。当社グループは高精度3次元データを生成・提供するなかで培った技術や知見、保有するデータアセットを活用して、自動運転及び先進運転支援システム用途以外でのソリューション提供にも取り組んでおり、具体的なデータライセンスのプロダクトとして、高精度3次元点群データを見える化するViewer機能、高精度3次元地図データの生成技術を応用したGuidance機能に加え、空間IDの概念を用いた3次元の位置情報をキーに、動的・静的情報を統合して様々なアプリケーションへ情報提供を行う位置情報サービスをそれぞれ商品化し有償で提供しております。 また、高精度3次元データの更なる多用途展開に向けた取り組みとして、政府プロジェクトの受注を通じた社会課題解決に向けた研究開発に取り組んでいる他、自治体・企業等とのプロジェクト・実証実験に取り組んでおります。これらの政府・自治体・企業等との取り組みは、受注業務を通じて当社グループが保有するデータ及び高精度3次元データ関連技術、各種知見を提供することにより、社会課題解決に向けた取り組みに貢献する他、当社グループにとっては自己投資を抑制しながら新たなライセンス商品の開発に取り組むことが出来る重要な研究開発・商品開発の機会となっています。後述の除雪支援システムは、自治体と共同で取り組んだ実証実験を経て、商品開発・ライセンス商品化されたもので、政府・自治体・企業等との取り組みを通じて、当社グループが保有するデータ及び高精度3次元データ関連技術を活用する3Dデータビジネスの拡大に資するライセンス商品化を実現した事例です。現時点では、政府・自治体・企業等からの受注業務に係るプロジェクト型売上が、3Dデータビジネスの売上の大半を占めております。売上カテゴリー別の収益モデルについては、後述の(売上カテゴリー別のビジネスの概要及び収益モデル)をご参照ください。 高精度位置情報の提供を通じて、あらゆる産業における共通基盤を目指す中長期ビジョンの実現に向けて、高精度3次元データ(高精度3次元地図データ及び高精度3次元点群データ)の活用による、自動運転及び先進運転支援システム用途以外でのソリューション提供を行っております。 ① 3Dデータビジネス – Viewer 当社グループが取得した高精度3次元点群データを確認・分析可能なWebサービス「3Dmapspocket®」を商品化、有償(契約ユーザー数及びデータ閲覧の実績に応じた従量課金)で提供しております。高精度な3次元点群データをどこからでもWebブラウザで閲覧可能で、現地へ行かずに、cm級の計測、角度計算を行うことが出来ます。このアプリケーションを活用した事業の1つとして事故調査が挙げられます。「3Dmapspocket®」を損害保険会社に有償で提供することで、高精度3次元データを用いたデジタル道路空間上において、交通事故査定における事故発生現場の調査を行うことを可能にしております。これにより、現地作業負荷の低減が可能となり、現地作業員の削減効果が期待されております。また、事故調査の他、インフラ管理にも利用されており、自律移動モビリティ(注13)やMaaS(Mobility as a Service)(注14)シミュレーションへの利用に向けた事業開発に取り組んでおります。 ② 3Dデータビジネス – Guidance 当社グループが有する高精度3次元データをタブレットに搭載し、測位端末と組み合わせることで、高精度なガイダンス機能を提供しています。具体的なプロダクトとして、雪で覆われた障害物を3Dで可視化し除雪車両の運行をガイダンスすることで除雪作業を支援する「除雪支援システム」を降雪地域の自治体・民間企業に提供しております。ガードレールやマンホールの位置など雪に覆われて見えない部分の地物の把握は、これまで熟練者の長年の経験に依存して作業がなされていましたが、当該支援システムにより経験の少ない作業員でも容易に道路構造を把握出来るため、効率的かつ安全に除雪作業を行うことが可能になります。ガイダンス機能は、除雪支援のほか、空港・港湾における輸送車両の運航ガイダンスや、高精度3次元データが有する勾配情報を活かした燃費の良いルートの探索、トラックドライバーへの燃費の良い運転方法のガイダンス、といった実証実験に活用されています。 ③ 位置情報サービス 当社グループは、空間IDを用いた位置情報サービスを提供しております。本サービスは、3次元の位置情報をキーとして、道路や地物等の静的情報と、交通情報、気象情報等の動的情報を統合し、各種アプリケーションに対して情報提供を行うものです。当該サービスにより、自動運転車両に対する先読みに基づく情報提供、ドローンやAGV等の自律移動体の運行計画策定、地下埋設物の可視化及び管理等、様々な用途における活用が可能となっております。 このように、空間IDを基盤として位置情報と各種データを連携させることで、複数のシステムや用途において共通的に利用可能な情報提供が可能となり、各種産業分野における業務効率化や高度化への活用が進むものと認識しております。 ④ 3Dデータビジネスの拡大に向けた取り組み 高精度3次元データの更なる多用途展開を通じた3Dデータビジネスの拡大に向け、当社グループは、国内の政府、自治体及び企業等と連携し、各種取り組みを進めてまいりました。主な取り組み事例は以下のとおりです。 a 公共エリア向けダイナミックマップの開発 乗用車向けの高精度3次元地図データを、MaaS(Mobility as a Service)シャトル(注16)・ドローンなどあらゆる自律移動モビリティに展開し、高齢化社会における作業効率化や自動化の実現に必要となるデジタルインフラデータの整備に向けた取り組みを進めております。具体的な取り組み例としては、「研究開発とSociety 5.0との橋渡しプログラム(Bridge)」における「公共エリア向けダイナミックマップの開発」事業を受託し、空港や港湾などをはじめとする公共エリアにおいて様々な自動運転車両が安全かつ効率的に運行するために必要となる高精度3次元地図及びダイナミックマップの開発に取り組みました。 b 民間企業との物流自動化に向けた取り組み 当社は、民間企業との連携により、物流分野における自動化・効率化を目的とした取り組みを進めております。具体的には、物流施設等の特定エリアを対象として、高精度3次元データを活用し、車両・搬送機器の安全な走行や運行管理の高度化に向けた検討・実証に取り組んでおります。 (売上カテゴリー別のビジネスの概要及び収益モデル) 当社グループの売上高については、収益モデルの違いから、プロジェクト型とライセンス型に大別できます。 プロジェクト型売上には、主に高精度3次元地図データ整備等による事業基盤の構築や官公庁・民間企業向けプロジェクトを通した研究開発投資見合いの性質があり、オートモーティブビジネスにおける高精度3次元地図データ新規整備に係る開発プロジェクト及び固定価格で受注する高精度3次元地図データ更新整備に係るメンテナンスフィー、3Dデータビジネスにおける官公庁・民間企業からの開発プロジェクトが含まれます。これらプロジェクト型売上は主に原価に一定のマージンを上乗せすることにより決まり、コストは受注業務履行に掛かる費用が主で売上規模に比例する変動費が中心です。 ライセンス型売上には、主に整備済みのデータやシステムをベースに、車載用や多用途向けに商品を提供するものが含まれます。オートモーティブビジネスにおける量販車への高精度3次元地図データ搭載に際し、販売台数に応じて受領するライセンスフィー及びメンテナンスフィー、法人向け高精度3次元地図データライセンス等(整備済み地図データ提供によるライセンスフィー、高精度3次元地図データの利用対価として自動車メーカーより収受する開発利用料等)が含まれます。また、3DデータビジネスにおけるViewerやGuidance商品を通じたライセンスフィー、法人向けデータライセンス(整備済み地図データ提供によるライセンスフィー等)が含まれます。これらライセンス型売上は主に単価に販売量(距離、台数、アカウント数、データ閲覧数など)を掛けることにより決まり、コストは整備済みのデータ更新費用、システム運用費用が主で売上規模に比例しない固定費が中心です。 (注)1.成長フェーズに記載の長期の姿は、現時点での想定であり、その達成を保証するものではありません。 2.売上カテゴリー プロジェクト型 オートモーティブビジネス 高精度3次元地図データ整備で整備される高精度3次元地図データの所有権は当社グループに帰属します。 3.地図メーカー、車載システムメーカー経由で自動車メーカーに提供されるものもあります。 (事業系統図) 当社グループの事業系統図は、次のとおりです。 主たるプロダクトとなる高精度3次元地図データの整備については、国内においては外注先から受領した図化データに対して当社にて統合作業を行った上で顧客に提供しています。Dynamic Map Platform North America, Inc. に委託するケースにおいては、図化、統合も含め最終的な高精度3次元地図データとするまでの作業をDynamic Map Platform North America, Inc. で実施しています。 注:BPOベンダー(注17) 用語解説 用語   内容 (注1)自動運転(AD、「Autonomous Driving」)   自動化された運転システムが運転環境をモニタリングする、2.沿革(注3)自動運転レベルに記載した自動運転レベル3以上の自動運転を指しております。 (注2)先進運転支援システム(ADAS「Advanced driver-assistance system」)   ドライバー自らが運転環境をモニタリングする、2.沿革(注3)自動運転レベルに記載した自動運転レベル1、2の自動運転を指しております。 (注3)3次元点群データ   3次元測量によって得られた3次元座標を持った点データの集合を指しております。 (注4)Multi-GNSS   Multi-Global Navigation Satellite Systemの略で、複数衛星測位システムを指しております。 (注5)歪除去   計測システム(モービル・マッピング・システム)で走行計測中に、衛星測位の状態が変化などにより取得した点群データの位置が不正確となる場合があり、これを補正する作業となります。 (注6)データ間接合   複数箇所から計測した点群データの相対的な位置関係を決定する作業となります。 (注7)地物   道路、境界線等、地図上に表示されるものを指しております。 (注8)モービル・マッピング・システム   GPS、カメラ、レーザスキャナなどを搭載した車両を指し、高精度での計測が可能な特徴を有しております。 (注9)高性能IMU   IMUとはInertial Measurement Unit(慣性計測装置)の略で、3次元の慣性運動(直行3軸方向の並進運動及び回転運動)を検出する装置です。自動運転に必要とされるデータの計測には高性能なタイプが必要となります。 (注10)高密度レーザスキャナ(LiDAR)   LiDARとはLight Detection And Rangingの略で、レーザ光を照射して、その反射光の情報をもとに対象物までの距離や対象物の形などを計測するセンサーとなります。 (注11)SAE   Society of Automotive Engineersの略称で、モビリティ専門家を会員とする米国の非営利団体を指しております。 (注12)GPS   Global Positioning Systemの略称で、全地球測位システムを指しております。 (注13)自律移動モビリティ   周囲の環境を認識し、自律的に移動するロボットのことを指しております。事前に設定された地図データやセンサーを使用して、自分の位置を把握しながら目的地まで移動します。 (注14)MaaS   Mobility as a Serviceの略称で、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービスを指しております。 (注15)ドローン   無人で遠隔操作または自動操縦で飛行できる機体一般を指しております。 (注16)MaaSシャトル   利用者の予約に応じて運行ルートやスケジュールを柔軟に調整することで効率的な移動を提供するオンデマンド型交通サービスを指しております。 (注17)BPOベンダー   BPOとはBusiness Process Outsourcingの略称で業務プロセスの一部を外部の専門業者に委託することを指しております。BPOベンダーとはその業務の委託先を指しております。
経営方針・対処すべき課題15,702字を開く

経営陣が考える方向性と課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針 当社グループは、「デジタル社会のインフラとして高精度位置情報基盤をグローバルに構築し、自動運転をはじめとする新しい未来を拓く」をパーパスとして掲げ、自動車関連及びスマートシティ(注)等、様々な用途に向けた高精度3次元データの構築・提供を行っております。 (注)都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区 (2) 経営環境 国土交通省「令和7年版交通安全白書」によると、我が国においては、交通事故発生件数は2004年を境に減少しているものの、2024年における交通事故死亡者数は2,663人となっております。また、世界全体では2021年における交通事故死亡者数が約119万人(World Health Organization「Global Status Report on Road Safety 2023」、2023年12月発行)になるなど、引き続き交通事故死亡者数の減少に向けた取り組みが必要な状況が続いております。こうした中、交通事故の発生減少に大きく貢献する可能性のある手段として自動運転技術の開発が推進されてきました。 また、我が国の地域社会においては、人口減少を背景とした利用者減等により公共交通手段の維持に課題が生じており、地域社会における移動手段の再構築が喫緊の課題となっております。 当社グループでは、こうした環境において、高精度3次元地図データの整備・提供を通じて、自動運転や先進運転支援システムへの搭載は勿論、地域社会課題解決のためのMaaS展開へと広がると想定しています。さらには、防災・減災システム、インフラ維持管理システム等、自動走行以外での用途を拡大し、多様化するニーズに応えることによって安心・安全で快適な社会の実現に貢献する所存です。 <市場規模・市場動向> Acumen Research and Consultingの予測によると、フィジカルAI市場は、ロボティクス、自動運転、スマートインフラ等への適用拡大を背景として、今後高い成長が見込まれております。フィジカルAIは、自動運転やロボットに代表されるように、現実世界を認識し、判断し、物理的な行動を行うAIを含む概念であり、従来のデジタル領域を中心としたAIとは異なる市場として拡大しております。当社グループは、自動運転及び先進運転支援システム向けの高精度3次元地図データの生成・提供を主たる事業領域としておりますが、これらはフィジカルAIの主要なユースケースの一つに位置付けられます。また、近年はフィジカルAIの進展に伴い、AIの学習・検証等に用いられる実世界データの重要性も高まっていると認識しております。 出所:「Acumen Research and Consulting "Physical AI Market Size to Exceed USD 82,790.9 Million by 2035"」を基に当社作成 こうした前提のもと、以下では当社グループの主たる事業領域である自動運転及び先進運転支援システムに関連する市場動向を示しております。IHS Markitの予測によると、2030年には全世界で新規に販売される車両の約28%にレベル2+以上の自動運転及び先進運転支援システムが搭載される見通しです(「IHS Markit “Autonomous Vehicle Sales Forecast 2023”」を基に当社作成)。また、Markets and Marketsの試算によると、2023年における自動車分野を除くデジタルマップ市場規模はグローバルで3.4兆円とされております(「Markets and Markets “Digital Map Market Global Forecast to 2029”」を基に当社作成)。Markets and Marketsでは、デジタルマップを「衛星画像や航空写真、GIS(注1)、クラウドソーシングデータ(注2)等のさまざまなデータソースとテクノロジーを活用して、道路やランドマーク、地形、交通ネットワーク、PoI(注3)等の空間情報を提供するもの」としており、当社の高精度3次元地図データをはじめとした高精度3次元データを活用した事業をカバーしております。本資料では、当社の2つの事業領域(オートモーティブビジネスと3Dデータビジネス)についてマーケット情報を示しておりますが、図表の左側ではオートモーティブについて示しており、右側では3Dデータビジネスについてのみを示すことを目的としております。このためTAM(Total Addressable Market:獲得出来る可能性のある最大の市場規模)は、オートモーティブ向けのデジタルマップ市場を除外しております。 一方、SAM(Serviceable Available Market:実際にアプローチ出来る市場規模)については、当社事業とより近接した事業領域にあるものを抽出するため、地域と用途を絞り込んでいます。地域につきましては、現在の当社グループのデータカバレッジ地域と重なる北米・アジア・パシフィック市場としています。用途につきましては、インフラ、輸送、政府・防衛の3つの分野に限定しています。それぞれの代表的な内容としては、インフラ分野はインフラメンテナンス、輸送分野は各種情報に基づいたルート計画や交通計画・モデリング、政府・防衛分野は空間情報の提供による戦略的な計画や意思決定の支援が挙げられており、現在当社が3Dデータビジネスで取り組んでいる事業と重なるものです。なお、これらの記述は、本書に引用されている外部の情報源から得られた統計その他の情報に基づいており、それらの情報については当社グループは独自の検証を行っておらず、その正確性または完全性を保証することはできません。 当社グループは、2026年3月末現在、日本・北米・欧州・韓国・中東26か国において180万km超にもわたる高精度3次元地図データのデータカバレッジを広範に拡張し、世界で初めてレベル2+以上の自動運転/先進運転支援システムが搭載されたGeneral Motors CompanyのCT6への搭載以降、現在は38車種(販売予定が公表されている車種数を含む) の量産車への高精度3次元地図データ搭載を実現している等、オートモーティブビジネス向けの高精度3次元地図データ市場において高い競争優位性を確保していると考えております。またオートモーティブ以外の3Dデータビジネスは、社会・産業のDX化のニーズの高まりを背景として、全世界で3.4兆円、現在の当社グループのデータカバレッジ地域と重なる北米・アジア・パシフィック市場において、当社が具体的に事業拡大を進めているインフラ、輸送、政府・防衛の3つの分野に限定しても1.6兆円と広大なマーケットが存在しています。当社がオートモーティブビジネスを中心としてこれまでに蓄積してきた高精度3次元データに関する深い知見と豊富なデータカバレッジ、データ精度の高さといった強みを活かして、顧客・協業先との関係性をより一層強固にすることで、広大な市場の獲得を目指していきます。今後、市場が拡大した後も当社グループの競争優位性を維持・強化すべく、顧客との関係の維持・強化、潜在顧客との取引の実現、高精度3次元データの用途拡大、技術的優位性の一層の強化の可能性の模索等、不断の努力を行ってまいります。 (注1)Geographic Information System(地理情報システム)の略で、地理的位置に基づいた情報を管理・解析し、視覚的に表示する技術。地理的なデータを総合的に扱い、高度な分析や迅速な判断が可能になります。 (注2)一般のユーザーが提供する地理情報を基に作成・更新される地図データのことで、リアルタイムで最新の情報を反映することが可能。具体的には、道路の変更、施設の情報(店舗の開店・閉店等)、渋滞・事故情報等が含まれます。 (注3)Point of Interestの略で、地図やナビゲーションシステムで特定の地点を示すために使用される情報。具体的には、レストラン、ガソリンスタンド、観光名所、病院などユーザーが関心を持つ場所を指します。 (3) 目標とする客観的な指標等 当社グループは、(1) 経営方針に記載のとおり、「デジタル社会のインフラとして高精度位置情報基盤をグローバルに構築し、自動運転をはじめとする新しい未来を拓く」をパーパスとして掲げており、その実現のためには、中長期的な売上収益の成長、収益性の向上、また、事業活動を支えるキャッシュ・フローの創出が重要と考えております。当社グループは、成長性、収益性及びキャッシュ・フローの状況を把握するために、売上高、ライセンス型売上高、調整後EBITDAを重要な経営指標と位置付けております。 ① 売上収益の中長期的な成長 当社グループでは、早期の調整後EBITDAの黒字化実現に向け、売上収益の中長期的な成長を重視しております。2020年3月期から2026年3月期までの当社グループ全体での売上高年平均成長率は52%を実現しております。2026年3月期においては、プロジェクトの受注規模の縮小や売上計上時期の影響等により、連結売上高は前期を下回る結果となりましたが、当社グループは、引き続き中長期的な売上収益の成長を目指して取り組んでまいります。そのためには、自動車メーカーを中心とした顧客からの継続的な受注が重要と考えております。 売上高(連結)の推移 (単位:百万円) 2025年3月期   2026年3月期 売上高   7,465   5,686 国内   2,693   1,456 海外   4,771   4,229 ② ライセンス型売上の成長 当社グループでは、収益モデルの違いから、売上高をプロジェクト型とライセンス型に大別でき、将来の調整後EBITDAの黒字化、一層の利益成長に向けて、整備済みのデータやシステム等を活用したライセンス型売上の成長が重要な課題と認識しております。 プロジェクト型売上には、主に高精度3次元地図データ整備等による事業基盤の構築や官公庁向けプロジェクトを通した研究開発投資見合いの性質があり、オートモーティブビジネスにおける高精度3次元地図データ新規整備に係る開発プロジェクト及び固定価格での高精度3次元地図データ更新整備に係るメンテナンスフィー、3Dデータビジネスにおける官公庁からの開発プロジェクトが含まれます。 ライセンス型売上には、主に整備済みのデータやシステムをベースに、車載用や多用途向けに商品を提供するものが含まれます。オートモーティブビジネスにおける量販車への高精度3次元地図データ搭載に際し、販売台数に応じて受領するライセンスフィー(高精度3次元地図データ搭載車の販売時に売上計上)及びメンテナンスフィー(高精度3次元地図データ搭載の期間に応じて売上計上)、法人向け高精度3次元地図データライセンス等(整備済み地図データ提供によるライセンスフィー、高精度3次元地図データの利用対価として自動車メーカーより収受する開発利用料等)が含まれます。また、3DデータビジネスにおけるViewerやGuidance商品を通じたライセンスフィー、法人向けデータライセンス(整備済み地図データ提供によるライセンスフィー等)が含まれます。ライセンス型売上に係る売上原価は固定的なものが中心であり、限界利益率が高い性質を有しているため、今後、より高い粗利率が期待できるライセンス型売上の比率を高め、当社グループ全体の粗利率の向上を目指します。 売上カテゴリー別のビジネスの概要及び収益モデルについては、「第1 企業の概況 3 事業の内容(売上カテゴリー別のビジネスの概要及び収益モデル)」をご参照下さい。 売上高(プロジェクト型、ライセンス型)の推移 (単位:百万円) 2025年3月期   2026年3月期 売上高   7,465   5,686 プロジェクト型   6,293   3,092 ライセンス型   1,171   2,594 ③ 調整後EBITDAの向上 当社グループは、持続的な成長と高い収益性の実現を目指す観点から、また事業活動を支えるキャッシュ・フローの状況を把握するため、調整後EBITDA(注)を重要な経営指標と位置付けております。 調整後EBITDAの推移 (単位:百万円) 2025年3月期   2026年3月期 調整後EBITDA   △609   △501 (注)調整後EBITDA EBITDA(営業利益+減価償却費)に営業外収益に計上される政府補助金及びM&Aに関連する一時的な費用を加えたものです。 (4) 当社グループの強み ①  厳しい精度要求に応え得る高水準の正確性を有する技術力 自動運転や先進運転支援システムへ搭載される高精度3次元地図データにおいては、走行ルートから逸脱しないよう、自己位置推定機能において従来のナビゲーション地図(メートル級の精度)より厳しい精度水準が求められております。 当社グループは、高精度3次元データの測定技術にRTK(Real Time Kinematic)(注1)を採用するとともに、衛星測位、計測、図化、統合の各プロセスにおいて高い技術力を結集することにより、1桁のセンチメートル精度を実現しております。高水準の精度で3次元点群データを取得する測位・計測技術により、自動運転及び先進運転支援システムに用いられる高精度3次元地図データの提供を可能としており、また、多様な顧客要求に応じたデータ形式・仕様での提供を可能にする図化・統合技術により、大手自動車メーカー各社の優位性ある自動運転及び先進運転支援システムの提供に寄与しております。 また、高精度3次元データは社会DXサービスの提供に必要な高精度の位置情報データ基盤としてデジタル社会のインフラとしての役割を担います。国内外の大手自動車メーカー各社による採用実績から、当社グループの有する技術は社会DXサービスを実現する様々な用途展開を可能にする汎用性を有していると考えております。さらに、当該データは、自動運転及び先進運転支援システムの開発におけるAIの学習、検証及び推論等の用途に利用されるほか、現実世界を再現するデータセットとして、各種AIの高度化に資するデータとしても活用されております。 (注1) 「相対測位」と呼ばれる測定方法のひとつ。固定局と移動局の2つの受信機で4つ以上の衛星から信号を受信する技術で、2つの受信機の間で情報をやりとりしてズレを補正することで、単独測位よりも精度の高い位置情報を得ることが可能 ②  国内外を網羅する広域なカバレッジ範囲 当社グループは設立以来、自動運転の本格到来を前に必要となるデータを構築すべく、国内外において高精度3次元地図データのカバレッジ範囲を急速に拡大させてまいりました。2026年3月末時点において、日本国内において高速道路・自動車専用道路:33,000km、北米において高速道路・幹線道路:1,500,000km、欧州において高速道路・幹線道路:255,000km、韓国において高速道路:20,000km、先進国地域における自動車メーカーの求めるカバレッジ範囲の高精度3次元地図データの整備を概ね完了させており、顧客ニーズを充足しています。また2026年度中には、中東における高速道路の整備完了を予定しております。今後の新規データ整備によるカバレッジ範囲の拡大は、顧客と綿密なコミュニケーションを行い、顧客ニーズや事業性を考慮した上で取り組み、競合他社に対する先行優位性をより強固なものとする方針です。 オートモーティブビジネスに加えて、当社グループが各国で保有する広範な高精度3次元データを活用し、3Dデータビジネス(自動運転及び先進運転支援システム用途以外でのソリューション提供)の拡大にも取り組んでまいります。 (注)2026年3月末現在 ③  今後のパイプラインを生み出す顧客基盤 a 国内外の有力自動車メーカーとの緊密な関係性 日本国内の高精度3次元地図データの生成は、日系自動車メーカー10社の要求に基づき共通の仕様が定義されています。こうした背景から、当社は高精度3次元地図データ作成を一元化する目的で、上記日系自動車メーカー10社からの共同出資を受けた上で設立され、高精度3次元地図データの整備に取り組んでまいりました。 また、連結子会社であるDynamic Map Platform North America, Inc.(旧 Ushr, Inc.)も、当社買収前においてGM Venturesを通じて開発資金が提供され、技術者同士が協力するなど、General Motors Companyとの緊密なパートナーシップを構築してきました。General Motors Companyは北米高速道路におけるハンズフリー運転を可能とすべく2014年に開発を開始した同社のSuper Cruise™において、2013年にDynamic Map Platform North America, Inc.をパートナーとして選定した結果、Dynamic Map Platform North America, Inc.の高精度3次元地図データは、Super Cruise™の開発とその市場投入に際して、重要な役割を果たしております。 こうした背景から、当社グループは上記に挙げた国内外の有力自動車メーカーとの緊密な関係性を既に有しており、各社への販路を構築できております。また、当該自動車メーカー以外においても、北米・欧州メーカーなど、既に高精度3次元地図データの提供を行っている先に加え、今後の提供に向けて商談を開始している先が複数存在します。 上述のとおり既に販売中の量産車に当社グループの高精度3次元地図データが複数搭載されていることに加えて、今後の利用を目的とした開発利用契約(注2)を複数社と締結している他、将来販売予定車種への搭載に向けて広範な商談が進んでいる取引先も複数存在し、当社グループの高精度3次元地図データ搭載台数の一層の拡大を見込んでおります。 (注2) 高精度3次元地図データ開発に係る費用を当社グループ開発の高精度3次元地図データの利用そのものへの対価として自動車メーカーより収受する契約 b 政府・自治体・企業等との緊密な連携 当社は、内閣府が所管する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)において、高精度3次元地図データの開発・作成を一元化する目的で設立され、官民一体となり高精度3次元地図データの整備に取り組んできた経緯があり、政府・自治体・企業等と緊密に連携し事業を行っております。高精度3次元地図データを活用した自動運転及び先進運転支援システム以外のソリューション提供、高精度3次元データの多用途展開を進める3Dデータビジネスでは、産業のデジタル化、脱炭素、高齢化社会・過疎化への対応等、各種社会課題解決に資する政府研究開発プロジェクトに継続的に参画している他、社会実装に向けた各種実証実験、商品開発に自治体や企業等と共同で取り組んでいます。これら政府・自治体・企業等の緊密な連携・関係性を活かして、研究開発・商品開発を進め、社会課題の解決を通じて新たな市場を創造し、一層の事業拡大に取り組んでまいります。 以下は、当社グループで契約済の案件、見積り依頼を受領している案件、商談中の案件のパイプラインの状況を示したものです。自動車メーカーは複数年にわたって新車開発を進める関係上、当社グループへの発注も新車販売タイミングより、相当の期間先んじて行われる傾向にあり、段階的な見積依頼(RFI: Request for Information(「情報提供依頼書」を指し、新しい製品・サービスを導入する前に、ベンダーから当該製品・サービスに関する基本的な情報を収集するための文書です)、RFQ: Request for Quotation(「見積依頼書」を指し、具体的な製品・サービスの購入を検討するに、ベンダーから正式な見積りを依頼するための文書です))及び発注書(PO: Purchase Order)の受領は、当社グループの将来収益の実現性を図る上で重要な要素となっております。当社グループでは、自動車メーカーの業界慣行に照らし、顧客との緊密な交渉を経ている等の一定の案件については、必ずしも法的拘束力のある契約書の締結には至ってはいないとしても、オートモーティブビジネス売上高に係る目標を議論するに際して将来売上高として考慮しております。3Dデータビジネスにおいては、政府プロジェクトの受注実績やViewerやGuidance商品の契約実績等の指標に着目し、契約書の締結に至ってない案件についても商談の状況を踏まえて、見込み案件毎に売上高を設定し、売上高に係わる目標を議論するに際して考慮しております。ステータスがRFQ、RFI、商談中の案件パイプラインについては、当社グループが受注に至っていないものであり、当社グループが想定する時期及び取引条件通りに受注・契約に至る保証はありません。 (オートモーティブビジネス) プロジェクト型 (注)1.これらのパイプラインはあくまで契約に基づいて想定される収益見込み金額であり、記載の図の通りに推移しない可能性がございます。 2.為替レートはFY23は140.56円/ドル、FY24は151.58円/ドル、FY25は149.71円/ドル、FY26以降は145円/ドルで計算しております。 ライセンス型 (注)1.これらのパイプラインはあくまで契約に基づいて想定される収益見込み金額であり、記載の図の通りに推移しない可能性がございます。 2.為替レートはFY23は140.56円/ドル、FY24は151.58円/ドル、FY25は149.71円/ドル、FY26以降は145円/ドルで計算しております。 (3Dデータビジネス) プロジェクト型 (注)1.これらのパイプラインはあくまで契約に基づいて想定される収益見込み金額であり、記載の図の通りに推移しない可能性がございます。 ライセンス型 (注)1.これらのパイプラインはあくまで現状の想定であり、記載の図の通りに推移しない可能性がございます。 (5) 中長期的な経営戦略 ①  搭載拡大に向けた幅広いステークホルダーとの連携 自動運転及び先進運転支援システム市場の立ち上がりに合わせて、近年、搭載車種が高級車種から、普及車種に広がり、その搭載台数が拡大しています。既に北米においては普及車種にも広く搭載が進んでおり、他地域においても同様の進展が期待されます。また、自動運転及び先進運転支援システムの開発においてAIの活用が進展していることを背景に、当社データは、車載用途に加え、開発・検証等の用途においても活用されております。当社グループは、従来の自動車メーカーとの連携に加えてTier1自動車部品メーカー(注3)・地図会社・半導体メーカー・AI関連企業等のステークホルダーとの連携を強化することで、自動運転及び先進運転支援システム全体を俯瞰した取り組みを推進し、自動車メーカー各社の自動運転社会の実現に向けた取り組みに貢献してまいります。 ②  顧客ニーズに基づいたグローバルなデータ提供 当社グループは、自動車メーカーからの需要に基づき、高精度3次元地図データの整備範囲の拡張を進めてまいりました。国内は、自動車メーカーの需要に応じて、基幹道路や直轄国道等一般道路への展開を図り、当社データの利用機会を段階的に拡大します。また、スマートシティプロジェクトなどへも積極的に参画し、単に整備路線の拡充を図ることに限らず、線と面の両方から整備範囲の拡張を行います。また北米では,主要幹線や都市部の利用率の高い路線・地域から順に整備を開始し、顧客の高いニーズを充足すべくエリアを拡大しております。既に北米においては1,500,000kmの整備を完了させており現時点での顧客ニーズは充足していますが、自動運転社会の進展に伴った具体的な顧客ニーズを踏まえてデータカバレッジ拡大を検討します。 また、欧州、アジア市場においても既に自動車メーカーと当社の高精度3次元地図データの利用に関する契約を締結しております。今後は、当社グループの日本市場・北米市場における既存の取引関係を横展開することで、当社高精度3次元地図データのより広範な搭載を訴求し、さらなる拡大を図ってまいります。 加えて、近年、自動運転及び先進運転支援システムの開発の進展に伴い、開発・検証用途を含めたデータ利用のニーズが拡大しており、当社グループは、こうした多様な用途にも対応したデータ提供を進めてまいります。また、当社グループが高精度3次元データを保有する各国において、保有データを活用した3Dデータビジネスの事業化・拡大にも取り組んでまいります。 ③  デジタル社会における共通インフラの確立 当社グループは、高精度3次元データを基盤とし、各種産業データと連携した「データ連携基盤」の構築を進めております。当該基盤においては、「点群データ」や「ベクトルデータ」に加え、道路管理情報や工事情報等の外部データを紐づけることで、現実世界をデジタル上で再現する基盤としての整備を進めてまいります。当該「データ連携基盤」は、道路台帳の整備・更新、除雪支援、電線・電柱等のインフラ点検、維持管理など、様々な用途での活用が可能であり、社会インフラの効率化・高度化に資するものと考えております。また、インフラ・物流・建設領域等における事業との連携を通じて、防災・減災、社会インフラの維持管理、輸送システム、建設生産システム(i-Construction)(注4)等への展開を進めてまいります。さらに、当該データ基盤を活用したアプリケーションの開発にも取り組み、自治体向けモビリティサービス等については、地域単位での展開を起点に、順次対象エリアの拡大を図ってまいります。 ④  新規事業の創出 当社グループは、高精度3次元地図データ及びデータ連携基盤を基礎としたデータプラットフォームを構築し、自動運転及び先進運転支援システム向け用途を中心に、モビリティ、インフラ等の分野への展開を進めております。当該データプラットフォームは、現実世界を高精度に再現したデータを基礎とするものであり、近年の自動運転技術の進展やAIの活用拡大等を背景として、その利用用途は従来に比して拡大しております。こうした環境変化を踏まえ、民間企業とのパートナリング等を通じて、データ活用技術の開発及び新規事業の創出を推進してまいります。 <業界横断的な社会へのインパクト> (注)1.上記は当社グループが未進出の分野を含む、ターゲット市場のイメージを示しております 2.自動運転各レベルの内容は、「3 事業の内容 <自動車向け高精度3次元地図データの特徴>③ 自動運転高度レベル2以上に有用な機能」に掲載する表のとおりです。 a あらゆる自動モビリティの制御データとしての高精度3次元地図データの提供 cm級の位置精度でデータ整備を行うノウハウを活用する一方で、乗用車の先進運転支援システム向けに構築したデータ仕様を発展させることで、自動走行シャトル(注5)やドローン、AGV(Automatic Guided Vehicle)(注6)等、完全自動走行モビリティの安全な運行を可能とする高精度3次元データの提供を国の法令改定に従いながらサービス事業として推進いたします。また、静的情報だけでなく動的情報に対するニーズが益々高まる中、動的データを生成するための技術開発や既に存在する様々な情報との連携に取り組み、新たなデータ提供ビジネスの確立にも取り組んでまいります。 b 省人化・省力化に繋がるソリューションの提供 高精度な位置情報を持つ地図データは、自動モビリティの制御に役立つのみならず、人による行動や作業の効率化にも役立ち、カーボンニュートラルや高齢化社会への対応といった社会課題の解決にも寄与いたします。例えば、高さ情報や目的地の正確な座標情報を活用した無駄の少ない走行による電動車両の航続距離延伸(=CO2削減)や除雪機械の自車位置周辺の正確な地図データ配信による除雪作業の効率化、道路空間におけるインフラ管理の効率化、空港港湾等の制限区域内における位置情報の共有による安全性・効率性の向上などが用途として挙げられ、高精度位置情報を用いた様々なソリューションの提供に繋げてまいります。 c 自動車メーカー向け事業の盤石化 自動車メーカーによる先進運転支援システム開発の効率化を背景に、当社グループでは高精度3次元地図データの全世界的共通または互換性のある仕様での提供が重要になると認識しており、北米市場において量産車への搭載実績を有することを活かしつつ、欧州や中東、アジアなど他地域での高精度3次元地図データ整備を進めてまいりました。また、高精度3次元地図データの整備範囲拡大・更新頻度向上に活用するために、インフラ会社等の他社が計測・提供するCrowd Sourcedデータ(注7)を当社の高精度3次元地図データと連携させる研究開発を継続的に進め、事業基盤を盤石なものとしていきます。 高精度3次元地図データのデータを更新するにあたっては、道路が変化したことを検知することが非常に重要となります。日本においては、国道、県道など主要な道路については道路管理者を通じて新規開通や大規模工事情報を入手することができますが、標識などの設置物、道路ペイントなどの小さな変化や一般道路の変化情報については、現地を確認する必要があります。また、国によっては大きな工事情報でさえも入手できないこともあります。当社は、自動車メーカーや車載機器メーカー等から入手した車両のプローブ情報(注8)をもとにした変化点検知を取り入れており、当該情報を活用することで、速やかに再計測し、データ更新する仕組みを取り入れており、より低コストで高鮮度の地図更新プロセスを進化させてまいります。 d V2Xにおけるデジタルインフラの提供 自動運転・先進運転システムにおいてAI活用が進展することに伴い、車載センサーから得られた情報のみから判断する自律型から、より周辺情報を活用したV2X(注9)でのインフラ協調型での制御が求められます。既に海外においてはV2Xの実現に向けたデジタルインフラの検討が開始され当社グループも一部の取り組みに参画しております。当社グループは、中長期にわたりパートナーとの協力を通じて、車両・歩行者・天候・渋滞・交通規制といった動的情報を連携させる基盤を構築し自動運転社会の発展に貢献してまいります。 ⑤  アライアンス・M&Aを活用した事業拡大 当社グループの持続的な成長のために、データ整備能力の強化及び事業領域の拡大を目的としたアライアンスやM&Aの活用による事業拡大は有効な手段であると考えております。当社は2019年に、当時General Motors Companyの投資先であった在米国高精度3次元地図データ企業であるUshr, Inc. (現・連結子会社Dynamic Map Platform North America, Inc.)を完全買収し、北米における事業基盤を確保すると同時に、同社が有する高精度3次元地図データ生成に係わる技術・ノウハウ、優秀な技術者、現地市場における人脈を獲得しました。その後、同社を通じて、欧州・中東・韓国においても事業を展開しております。 近年においては、当社グループの提供するデータの整備範囲拡大及び更新頻度の向上等を目的として、測量会社との連携強化及びM&Aを通じた測量ネットワークの構築を進めております。これにより、高精度3次元データの効率的な取得及び更新体制の強化を図り、当社グループのデータ基盤の拡充につなげてまいります。今後も、こうした取り組みに加え、当社保有データの利用を促進するためのアプリケーション開発、データ解析及びAI活用等に係る技術・ノウハウ獲得を目的としたアライアンスやM&Aの機会を検討してまいります。 (注3) 自動車メーカーに直接部品を供給する部品メーカー (注4) 国土交通省が推進する「ICTの全面的な活用(ICT土工)」等の施策を建設現場に導入することによって、建設生産システム全体の生産性向上を図る取組み (注5) 自動運転でシャトル運行(イベントや空港・観光地など特定の目的地を利用する客を効率的に輸送するため短い間隔で運行)を行う輸送車 (注6) 産業用途で多く使用される自動運転車の一種。人間が運転操作を行わなくとも自動で走行できる搬送車 (注7)不特定多数の情報源から情報を収集し、その情報に基づき生成された地図データや位置情報 (注8)走行する車両を通じて収集される位置、時刻、路面状況等の情報 (注9)Vehicle to Everythingの略称。車両と様々な機器とを接続し、相互に連携する技術 (6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題は以下のとおりであります。 ①  事業成長の実現及び収益性の向上 当社グループは収益性の向上を通じた調整後EBITDAの黒字化の実現を重要な財務上の課題であると認識しております。事業を取り巻く環境が変化するなか、既存顧客との長期的な取引関係の深化を図るとともに、車載向け事業(量産ライセンス)に加え、AI用途や産業・インフラ分野に向けた法人ライセンス事業など、複数の収益機会を組み合わせた事業ポートフォリオの構築を進めております。これにより、事業規模の拡大と併せて、中長期的な収益性の改善を図ることを重要な課題として取り組んでまいります。 ②  フィジカルAIの進展を背景とした「Data for AI」需要への対応 自動運転やロボティクス等の「フィジカルAI」の進展に伴い、AIの開発・学習・検証に利用されるデータ(Data for AI)の重要性は一層高まりを見せております。一方で、AI関連技術や市場ニーズの変化は非常に速く、当社グループがこれらの潮流に迅速かつ柔軟に対応できない場合には、競争力の低下や事業機会の逸失につながる可能性があると認識しております。 このような環境下、当社グループは、研究開発体制の拡充及び外部パートナーとの連携等を通じて、技術・市場の変化に機動的に対応できる事業基盤構築に取り組んでまいります。また、「AIネイティブ」な高精度3次元データ・商品を整備することにより、フィジカルAI向けの「Data for AI」需要を着実に取り込むことで、法人ライセンスを中心とした収益機会の拡大を図ってまいります。 ③  優秀な人材の採用と育成 当社グループが将来にわたり持続的な成長を実現するためには、優秀な人材の採用と育成が不可欠であると認識しております。特に、技術革新が急速に進む当社グループの事業領域においては、競争優位性の維持・拡大に資する高度な技術力を有するエンジニアの獲得及び育成が不可欠であると考えております。当社グループでは、優秀な人材の獲得に向けて今後も積極的な採用活動を実施するとともに、社内トレーニング体制の強化、専門性を高めるキャリア開発支援、並びに多様な人材が活躍できる企業文化の醸成等の施策を推進し、人材の確保・育成・定着に努めてまいります。 ④  内部統制の強化 当社グループは、デジタル社会のインフラとして高精度位置情報基盤をグローバルに構築するプラットフォーマーとして、ユーザー及び市場からの高い信頼を確保することが持続的な成長に必要不可欠であると考えております。情報管理、財務、ITガバナンス、その他の社内制度などを含めた内部統制の構築、強化、改善に継続的に取り組み、経営の透明性と健全性を高めることで信頼を獲得し、企業価値のさらなる向上に取り組んでまいります。 ⑤  M&A拡大を踏まえたグループガバナンス体制の構築 当社グループは、M&Aの拡大及び事業のグローバル化に伴い、グループの規模及び事業領域が拡大を続けております。この成長を持続的な企業価値の向上につなげるためには、グループ全体のガバナンス体制を一層強化することが重要な課題であると認識しております。 こうした認識のもと、グループ各社の自律的な経営を尊重しつつ、適切な統制と支援のバランスを確保するガバナンス体制の構築を推進してまいります。さらに、経営情報の可視化及び迅速な意思決定を可能とする仕組みの整備を進め、グループ全体としての経営効率の向上とリスク低減の両立を図ってまいります。 ⑥  コンプライアンス及びリスク管理体制の強化 近年、企業における会計不正、情報漏洩及びサイバーセキュリティ等の不祥事が相次いで発生しており、企業に対する社会的信頼の確保及び持続的成長の観点から、コンプライアンス及びリスク管理の重要性は一層高まっております。当社グループにおいても、社会的信頼の確保と持続的な成長を実現するうえで、これらの取り組みを重要な課題の一つとして位置づけております。 こうした認識のもと、グループ全体を対象としたリスク管理の枠組みを継続的に見直し、重要リスクの特定・評価及び継続的なモニタリングを実施してまいります。加えて、経営への適時適切な報告体制を確立するとともに、コンプライアンス教育の充実やインシデント対応体制の強化を推進し、グループ全体のリスク対応力の向上を図ってまいります。
事業等のリスク18,393字を開く

会社が自認するリスクの一覧

3 【事業等のリスク】 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 当社グループは、これまで高精度3次元データの整備を先行して進める事業モデルのもと、投資を継続してまいりましたが、現在は、整備済みデータを活用したライセンス収益の拡大及び収益構造の転換を進める段階にあります。また、自動運転及び先進運転支援システム向けの用途に加え、AIの学習、検証、推論等に用いられるデータ(Data for AI)としての活用等、用途の拡張も進めております。このような事業フェーズ及び事業構造の変化に伴い、従来と異なるリスクが顕在化する可能性があります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性のあるすべてのリスクを網羅したものではありません。 (1) 事業環境に関するリスク ①  事業環境に関するリスクについて(顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし) 当社グループの売上の大部分は、自動車向けの自動運転及び先進運転支援システムへの高精度3次元地図データ搭載に係る開発利用料やライセンス・メンテナンスフィーとなっております。先進運転支援システムについては、1990年代から開発が進められてきたシステムであり、矢野経済研究所「2023年版 ADAS/自動運転用 キーデバイス・コンポーネント」(2024年2月発行)によれば、先進運転支援システムの装着率は2030年までに日米欧で100%近くに達し、中国でも80%を超え、ASEANやインド向け需要が2028年以降に本格的に立ち上がると予測されているなど、今後さらなる普及が見込まれております。これらの記述は、本書に引用されている外部の情報源から得られた統計その他の情報に基づいており、それらの情報については当社グループは独自の検証を行っておらず、その正確性または完全性を保証することはできません。 当社グループでは、今後も先進運転支援システム装着車両の順調な拡大、自動運転市場の本格的な立ち上がりを見込んでおります。一方、当社が設立された2016年時点には、自動運転レベル3以上での高精度3次元地図データの本格的な搭載開始が2022年前後となると想定されておりましたが、現時点においては自動運転レベル3が商用車として販売実績はあるものの量産車種での本格展開には至らないなど、自動運転市場の本格的な立ち上がりは、設立当時想定と比べ数年遅れている状況にあります。そのため当社グループでは、2019年のDynamic Map Platform North America, Inc.買収時に計上したのれん・技術関連資産及び同社固定資産等につき、2022年3月期連結決算において、当初想定していた損益が買収時の計画のそれより著しく下方に乖離していると判断し、当該のれん等を全額減損処理しております。また、当社では、2024年3月期連結決算において、事業計画に基づく割引前将来キャッシュ・フローと固定資産の帳簿価額を比較した結果、割引前将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回ったことから固定資産の減損処理をしております。当該減損処理は自動運転市場の立ち上がりの遅れを背景とするものであり、当該市場の本質的な市場性あるいは当社事業の事業性によるものあるいはそれらに影響するものではなく、当社グループでは引き続き成長性を見込んでおりますが、仮に技術・安全性の観点から車種開発に遅れが生じる、部品供給の不足により販売時期が延期になる等、市場の立ち上がりが想定通りに進まなかった場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 近年は自動車分野に加え、フィジカルAIやデータ活用の進展を背景として、産業用途やAI用途(Data for AI)におけるデータ需要の拡大が見込まれており、当社グループはこれらの分野への展開も進めております。しかしながら、これらの分野における顧客投資の立ち上がり時期や優先順位、投資規模には不確実性があり、投資判断の見直しや開発計画の変更が生じる可能性があります。その結果、案件の実施時期の変更や規模の調整等が生じ、売上計上時期の後ろ倒し又は収益機会の減少につながる可能性があります。 また、地政学リスクの高まりや各国の通商政策の動向等を背景として、自動車業界を取り巻く事業環境には不確実性が存在しております。これらの要因により、原材料価格の変動やサプライチェーンの混乱、自動車メーカーによる生産・販売計画の見直し、さらには自動運転分野を含む開発投資の抑制等が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ②  競合について(顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし) 自動運転機能の商流において、高精度3次元地図データの生成プロセスはコストが膨大である一方、各自動車メーカー間でのカスタマイズを要しないものであることから、日本国内においては、共通の仕様が定義され、その実行組織として当社は設立されております。こうした経緯から、当社は日本国内における高精度3次元地図データを広域で生成・提供しており、自動車メーカーをはじめとした取引先各社から相応の評価を得ております。 海外事業においては、既に複数自動車メーカーの自動運転及び先進運転支援システムに採用され、量産車に搭載されており、さらにGeneral Motors Companyにより搭載モデル数が拡大することが公表されております。広範な道路整備範囲とcm級の精緻な位置精度をはじめとした高い技術力を背景に導入車種拡大に向けた戦略的な施策を講じることで、当社グループは競争優位性の維持・向上に努めております。 しかしながら、当社グループの高精度3次元地図データとの比較では少なくともその精度の面で上回る競争優位性を有するとは見られないものの、一定の競合事業者(Here、TomTom、Googleなど)の参入も見られており、当社グループを上回る技術力(例として地図データ更新サイクルの短縮を可能とするための変化点検知技術の確立、モービル・マッピング・システム(MMS)に代わる低コストかつ高速な計測手法の確立など)、営業力、価格競争力、または代替技術・ソリューションを有する競合他社の参入や競合の激化が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、近年は自動運転及び先進運転支援システムの開発におけるAI活用の進展に伴い、AIの学習、検証、推論等に用いるデータに対する需要が拡大しており、当社グループは半導体メーカーやAI関連企業等を含む顧客・パートナーとの連携を通じてこれらの需要に対応しております。一方で、これらの分野における顧客の開発方針や採用する技術、データ仕様等の変化により、当社グループのデータが採用されない場合や、顧客ニーズに適合したデータ提供ができなかった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③  技術革新について(顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし) 当社グループの主な事業は自動運転に関連する業界に属しており、技術革新は早いスピードで進むと予想されます。今後市場の拡大が見込まれるV2Xへの展開や半導体メーカー等における自動運転システム開発への適用など、自動車向け高精度3次元地図データの活用領域は拡大していくものと考えております。また、近年は、自動運転及び先進運転支援システムの開発におけるAI活用の進展に伴い、AIの学習、検証、推論、規制対応等に用いられるデータに対する需要も拡大しております。 一方で、今後、高精度3次元地図データに係る代替技術・ソリューション(例として、自動運転・先進運転支援システムにおける「地図」データの利用に関する、制御に必要な位置情報を把握するための技術的アプローチが挙げられます。「高精度3次元地図データ」を利用するアプローチと、「SDマップ(ナビ地図)に走行車両から得られる走行車線のレーン情報などを付加した地図」を利用するアプローチがあり、いずれも、これらの地図データと各種車載センサーから得られる情報を組み合わせて制御を行います。両者はそれぞれ特性と用途が異なり、前者は高度な自己位置推定や悪天候時等にセンサーを補完し、限定されたエリアでの高度な自動運転、先進運転支援を可能にするものであり、後者は走行エリアを限定しない先進運転支援(車線維持支援、衝突回避、アダプティブ・クルーズ・コントロール(前車追従機能)等)に用いられています。現時点では、大手自動車メーカーや米国及び中国における主要な自動運転タクシーサービス提供企業が採用する「高精度3次元地図データ」のアプローチが主流でありますが、テスラ等一部のプレイヤーは後者のアプローチを採用しています。)、高精度3次元データの需要拡大に伴う新規参入を含む競争環境の変化、また、用途や要求仕様の変化により代替的なデータや手法が採用されることなど、当社グループが現在展開する事業が適合しない新たな技術革新や市場動向が生じる可能性があります。 当社グループは、こうした技術進展を踏まえた機能開発及びソリューション提供を進めるとともに、AI用途を含む顧客ニーズに対応したデータ・商品の開発を行っております。また、仮にそうした代替技術・ソリューションが一般化する場合には、当該状況に適合し、当社グループとして当該技術・ソリューションにおいても優位性を確保していくよう事業運営に取り組んでまいります。さらに、他社との連携も通じて、代替技術・関連技術に関する研究開発を進めております。 しかしながら、これらの技術革新、市場動向又は競争環境の変化に対し、当社グループが適時かつ十分に対応できなかった場合、あるいは顧客ニーズに適合したデータ・商品を提供できなかった場合には、市場からの需要を喪失し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④  高精度3次元地図データの整備・更新に係る投資が先行し、赤字を計上するリスクについて(顕在化の可能性:高/影響度:大/発生時期:1年以内) 当社グループの事業は、高精度3次元地図データの整備道路範囲の拡大が当該マップ搭載の前提となるため、先行的に高精度3次元地図データの整備範囲の拡大を進めており、当社グループは、設立以来赤字を継続しております。現時点での顧客ニーズに対応するための高精度3次元地図データの整備状況としましては、日本国内においては高速道路・自動車専用道路の整備を完了しており、北米においては対象を一般道に拡大し、現時点の顧客ニーズへの対応としては概ね整備を完了しております。その他の地域としては、欧州及び韓国において、高速道路の整備を完了しており、中東においては、高速道路相当より整備を進めており、2026年度中の整備完了を目指しております。日本・海外ともに顧客ニーズに対応するための大きな費用を要する整備が先行する状況が継続する場合、当面赤字計上が続く可能性があります。 当社グループは、整備した高精度3次元地図データを活用し、車載向けの量産ライセンスに加え、AI用途や産業・インフラ分野向けの法人ライセンス等を通じた収益機会の拡大を図っております。しかしながら、これらの用途における顧客利用の拡大や市場立ち上がりが想定通りに進まなかった場合、整備コストの回収及び収益構造の転換が遅延し、収益性の改善が進まない可能性があります。 今後は、自動運転及び先進運転支援システム市場の立ち上がりを捉えた売上の拡大と、機能開発による整備コストの低減により、収益性の向上に努めていく方針です。一方で、当社グループを取り巻く経営環境の急激な変化や「事業等のリスク」に記載されたリスクが顕在化することにより、これらの取り組みが想定通りに進まなかった場合、調整後EBITDAの黒字化の時期が遅延し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤  多用途展開の推進について(顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:数年以内) 当社グループでは、スマートシティやMaaSにおける自動走行をはじめ、道路や設備などの各種インフラ維持管理、国や地方自治体による防災・減災対策、各研究機関向けのデータ提供等に加え、近年はAIの学習、検証、推論等に用いるデータ提供など、用途拡張の取り組みを進めております。 これらの取り組みは、当社グループが整備した高精度3次元データの活用領域を拡大し、中長期的な収益機会の拡大につながるものと考えておりますが、高精度3次元データを活用した新たな技術やサービスが確立されない場合、または安定的なライセンス料収入につながるビジネスモデルの構築及び商品化が当初の想定通りに進まなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥  海外事業展開について(顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし) 当社グループでは、Dynamic Map Platform North America, Inc.をはじめ、北米、欧州、中東及び韓国に拠点を有し、グローバルベースで事業を展開しております。当該海外事業の展開にあたっては、各国の経済・政治情勢の悪化、法律・規則、税制、外資規制等の差異及び変更、商慣習や文化の相違等が発生する可能性があります。これらの要因により特定の国での事業の遂行及び推進が困難になる場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは次のようなリスクシナリオを想定し、それぞれの防止体制を整備しております。 a 当該地域・国における経済情勢が想定外に極端に悪化し、事業採算が大きく悪化する 現地において日常の事業を通じ経済動向を継続的に把握し、また予算・事業計画の策定と予実管理の徹底により、事業面で取るべき行動を早期に察知し、撤退を含めた必要な行動を取れるような体制としております。 b 当該地域・国において外資規制等、当社グループ事業のそれまでの想定を許容しない制約につながる法律・規制の変化が生じる、あるいは法律・規制の複雑さ・不明瞭さが増し、事業展開における柔軟性が阻害される 法律・規制の動向につき、現地の日常的な事業を通じての情報収集の他、現地の法律・規制動向に通じる外部の法律事務所等を起用し、当該リスクの発生につながり得る動向を早期に把握できるようにしております。 c 当該地域・国の政情に不安が生じる 経済動向の把握と同様、現地における事業や現地勤務社員の日常生活を通じて政情の変化があればそれを早期に察知し、撤退を含めた必要な行動を取れるような体制としております。 d 当該地域・国において大きな自然災害が生じる 自然災害の影響の防止は手段が限定されますが、日本における対策と同様にBCPの体制を適用することで事業への影響を限定的にすべく想定しております。 e 当該地域・国において知的財産の侵害が起きる 日本における対策と同様、知的財産の保護のための必要な調査や手配を行っております。 f 当該地域・国における税制・関税に不利益な変化が生じる 経済情勢の動向把握の一環として税制についての状況も把握すべく努めており、仮に不利益な変化が生じる場合には当該地域・国における事業性を改めて精査すべく想定しております。関税については、事業を基本的には現地において完結できる体制とすることで影響を抑制すべく努めております。 また、各地域における財務諸表は日本円以外の通貨建てで作成されるため、連結財務諸表作成にあたっては円建てに換算することが必要となります。したがって、連結財務諸表数値は為替相場の変動による影響を受ける可能性があります。当社では、為替リスク管理方針を策定しており、今後必要に応じたヘッジ取引を行うことを検討してまいります。 ⑦ 固定資産の減損リスクについて(顕在化の可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし) 当社グループは、高精度3次元地図データやモービル・マッピング・システム(MMS)及びこれらに関連して開発したシステムをはじめとした固定資産について、今後減損損失の認識をすべきであると判定され、減損損失を計上した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。固定資産の計上対象につき厳選し、業績への影響を抑制すべく努めております。 ⑧ 自動車出荷台数の低下リスクについて(顕在化の可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし) 当社グループの主要な販売先は自動車メーカーであり、当該販売先への売上高は高精度3次元地図データ搭載車のメーカー出荷台数に依存しております。そのため、景気動向などのマクロ環境の変化や、原材料価格の高騰や部材調達難に伴う供給能力の減少などに伴う自動車への需給変化が当社想定を上回って推移する場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。台数情報につきより最新の見通しを把握し、業績予想に常に最新情報が織り込まれるようにすることで、業績影響を抑制すべく努めております。 ⑨ 業績の季節変動リスクについて(顕在化の可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし) 当社グループの事業は、3月を年度末として納入・売上計上がその年度末前後となる多くの企業や自治体を取引先としており、年度末に売上が集中する傾向があります。また、一定の期間にわたって履行義務が充足される開発プロジェクト契約では、履行義務の充足に係わる進捗度に基づき収益を認識しておりますが、一部業務を外注している場合、当該外注業務の検収をもって履行義務が充足し、収益を認識することとなります。これらの外注業務の納入のタイミングは年度末近くに集中する傾向があるため、その結果として履行義務の充足、売上計上のタイミングが年度末に集中する傾向にあります。当社グループでは、取引先や売上計上の観点でのビジネスモデルの多様化の一層の推進により売上計上時期が平準化されるよう努めております。一方で、季節変動による下振れ幅が想定よりも顕著な場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑩ プロジェクト進捗の遅延による業績見通しへの影響について(顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし) 当社グループは開発プロジェクトに係わる案件においては、履行義務の充足に係る進捗度に基づき収益を認識しております。当該進捗度の見積にあたっては、対象期日までに発生した工事原価が、予想される工事原価の合計に占める割合に基づいて行っております。当社グループは、案件ごとに継続的に進捗状況に応じて見積総原価や予定案件期間の見直しを実施するなど適切な原価管理に取り組んでおりますが、その見積総原価や案件の進捗率は見通しに基づき計上しているため、修正される可能性があり、それらの見直しが必要になった場合は、売上計上時期の変更等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑪ 収益の不確実性について(顕在化可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期無し) 本書提出日現在、当社グループにおいて継続的に商談を行っているオートモーティブビジネス領域のパイプライン(上記「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 当社グループの強み ③ 今後のパイプラインを生み出す顧客基盤」に記載されたものを含みます。)は、段階別に「契約済み」、「RFQ:Request for Quotation」、「RFI:Request for Information」、「商談中」に分類されます。「契約済み」のパイプラインは法的拘束力のある契約を締結している状況を指し、顧客への役務提供時期や販売価格を含む諸取引条件が顧客との間で明確化されております。ただし、法的拘束力のある契約であっても、一般に、当社グループによる契約違反、不可抗力的な外部要因等を理由として、顧客側より解除される可能性があります。契約が解除された場合、当社グループは、当該契約から得られるはずであった潜在的な収益の全てまたは一部を失う可能性があります。また、「契約済み」パイプラインのうち、プロジェクト型に区分されるものについてはその契約金額が契約書上明記されておりますが、収益計上金額及び収益計上時期は実際の当社グループによる役務提供の成果により変動する可能性があります。また、「契約済み」パイプラインのうち、ライセンス型に区分されるものについては、1台あたりのライセンス単価は契約上明記されているものの、ライセンス台数については実際の自動車販売台数により変動し、結果として、収益計上金額及び収益計上時期が変動する可能性があります。「RFQ:Request for Quotation」の段階にあるパイプラインは顧客からの見積依頼書(RFQ:Request for Quotation)を受領し、その回答を行っている状況を指し、当該見積依頼書や回答自体には法的拘束力はなく当該見積依頼書や回答に基づく契約が将来締結される保証はありません。一般に、自動車業界においては数年先のサービス提供開始を見据えて開発契約や生産計画が検討されることが多く、見積依頼書(RFQ:Request for Quotation)を受ける時点においては当該パイプラインの具体性が高まっている状況にあると考えられるものの、見積依頼書に対して回答を行った取引内容や販売条件等がその後変更または失注となり、当社グループが想定する収益につながらない可能性があります。「RFI:Request for Information」の段階にあるパイプラインは顧客から情報提供依頼書(RFI:Request for Information)を受領し、その回答を行っている状況を指し、当該情報提供依頼書や回答自体には法的拘束力はなく当該情報提供依頼書や回答に基づく契約が将来締結される保証はありません。すなわち、「RFI:Request for Information」の段階は、見積依頼書(RFQ:Request for Quotation)受領に至る前段階であり、当該情報提供依頼書への回答で行われた取引内容や販売条件等は「RFQ:Request for Quotation」及び「契約済み」に進捗する段階においてその後変更または失注となり、当社グループが想定する収益につながらない可能性があります。「商談中」の段階にあるパイプラインは、現時点で具体的な条件面でのやり取りに至っておらず、初期的な商談が開始された状況を指し、具体的な収益計上金額及び収益計上時期について現時点で明確となっている事項はありません。 本書提出日現在、当社グループにおいて継続的に商談を行っている3Dデータビジネス領域のパイプライン(上記「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 当社グループの強み ③ 今後のパイプラインを生み出す顧客基盤」に記載されたものを含みます。)は、段階別に「契約済み」、「商談中」に分類されます。「契約済み」のパイプラインは法的拘束力のある契約を締結している状況を指し、顧客への役務提供時期や販売価格を含む諸取引条件が顧客との間で明確化されております。ただし、法的拘束力のある契約は、一般に、当社グループによる契約違反、不可抗力的な外部要因等を理由として、顧客側より解除される可能性があります。契約が解除された場合、当社グループは、当該契約から得られるはずであった潜在的な収益の全てまたは一部を失う可能性があります。また、「契約済み」パイプラインのうち、プロジェクト型に区分されるものについてはその契約金額が契約書上明記されておりますが、収益計上金額及び収益計上時期は実際の当社グループによる役務提供の成果により変動する可能性があります。「商談中」の段階にあるパイプラインは、「契約済み」に至るまでの様々な段階で交渉が継続している状況を指します。パイプラインによっては具体的な諸取引条件について明確になりつつあるものも含まれますが、いずれも法的拘束力のある契約の締結には至っておらず、今後の契約締結及び収益計上について何ら保証されるものではありません。 以上より、各段階にあるパイプラインが当社グループの想定するタイミングや取引条件で契約締結に至らない場合、契約締結に至った場合でも顧客により当該契約が解除された場合及び当社グループの想定するタイミングや条件・数量での取引が実施できない場合、実際の収益計上金額や収益計上時期が現時点で当社が想定しているものと異なる場合、為替が大幅に変動した場合等には、当社グループが現時点で想定する収益計上金額及び収益金額を実現することが難しくなり、当社グループの事業、業績及び財政状態に深刻な影響を及ぼす可能性があります。 ⑫ 特定の販売先への依存について(顕在化の可能性:低/影響度:大/発生時期:特定時期なし) 当社グループ、特に当社子会社であるDynamic Map Platform North America, Inc.は、販売先においては北米を中心にハンズフリー運転を可能にする先進運転支援システム「Super Cruise™」の搭載を拡大しているGeneral Motors Companyに高精度3次元地図データを提供していることから、同社向けの売上が過半を占めております。当社グループは、他の取引先への販売金額を拡大し、特定の販売先に依存しないよう営業活動を展開しており、それにより当該販売先への依存は低減方向にありますが、当該販売先との関係悪化、及び当該販売先の業績悪化等による事業活動に大きな変化が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑬ 特定の外注先への依存について(顕在化の可能性:低/影響度:中/発生時期:特定時期なし) 当社グループは、高精度3次元地図データ作成にあたって求められる技術水準を有する外注先を選定しており、特定の外注先への発注比率は低下傾向にはあるものの、図化業務及び計測業務においては特定の外注先への発注比率が比較的高くなっております。当社グループでは、外注候補先の拡充や内製プロセスの一層の活用を通じ、特定の外注先に過度に依存しない体制を構築してまいりますが、当該外注先の業績悪化等による倒産や事業活動に大きな変化が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑭ 国内自動車メーカー向け販売活動について(顕在化の可能性:低/影響度:中/発生時期:特定時期なし) 日本国内における当社の国内自動車メーカー向けの販売活動は、地図会社又はシステムメーカー等の一次代理店を中心に推進しております。現時点において、各一次代理店とは良好な関係にあり、直接販売チャネルについても構築を進めておりますが、当該一次代理店と関係悪化や当該代理店の業績悪化等による倒産や事業活動に大きな変化が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑮ 品質管理について(顕在化の可能性:低/影響度:大/発生時期:特定時期なし) 当社グループは、品質管理専門部署を設置し、専任担当を置く等、一定の品質管理体制を整備し、安全性を確保できるように努めております。一方で、高精度3次元地図データ搭載車における自動車事故などが生じ、当該事故原因が高精度3次元地図データの不具合(経時的な変化によらない高精度3次元地図データと現況との不一致など)にある場合、当社グループは製造物責任法等に基づき、損害賠償請求の対象となる可能性があります。しかしながら、一般的に自動車メーカーは自動運転・先進運転支援システムの中で、自動車に搭載される各種センサーの情報を高精度3次元地図データと組み合わせて冗長性にも優れたシステムを構築しており、事故原因が高精度3次元地図データのみに帰する可能性は高いとは言い難いと考えております。当社グループでは、販売先との契約において、賠償等を含む損害について当該取引において受領した対価を上限とする等の対応をしておりますが、契約上、当該上限の設定がない販売先もあり、損害賠償請求の対象となった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑯ 事業に関連する法的規制について(顕在化の可能性:低/影響度:大/発生時期:特定時期なし) 当社グループは、独占禁止法等、日本及び諸外国において、様々な法律及び規制に服しております。当社グループは、コンプライアンス体制の充実が重要であると考えており、コンプライアンスに関する社内規則の策定や各種研修の実施により社内での周知徹底を図るとともに、法務担当部門による情報収集を行い、また日本及び米国において顧問弁護士を雇い、日本及び米国を含む諸外国の法規制に関する情報提供を受け、これら法規制について適宜相談できる体制を構築しております。しかしながら、将来において独占禁止法等の法律・規制に抵触した場合、あるいは予期せぬ法規制の変更、行政の運営方法の変更などが生じた場合、新たな対応コストが生じ、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑰ 株主間契約について(顕在化の可能性:低/影響度:中/発生時期:特定時期なし) 当社は、2019年に当社の事業運営等にも関わる 主要な株主7社との間で、当社事業を効果的に立ち上げ運営すべく定められた株主間契約を締結しました。当該契約においては、株主による当社への事業支援、競業避止義務や事業機会の優先権付与等が定められており、当社は当該契約の存在によりそれら便益を享受しておりました。当社が株式の上場申請を行って以降、当社の役員体制や株主への報告事項、株主による質問検査権、事業運営における協力や競業避止等の主要条項につき効力停止となり、それら条項の効力は、すべての契約当事者との間で当社の株式上場により完全に終了しました。また、当社株式の上場に際して行われた売出し及び株式上場後の売却により全株式を売却した株主については、当社の株式を所有しないこととなり、該当する当事者との関係における株主間契約は終了しております。株式上場により当社の経営の独立性を一層確保する観点から、従前よりそれら便益の享受を得ることがなくなることへの備えを進めてきておりますが、想定とは異なる影響がある場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑱ 資金繰りについて(顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし) 当社グループは、④ 高精度3次元地図データの整備・更新に係る投資が先行し、赤字を計上するリスクについてに記載のとおり、設立以来赤字を継続しており、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスの状況にあります。今後も、高精度3次元地図データの整備の拡大、更新等を中心とした投資需要が継続する想定です。また、当社北米子会社のDynamic Map Platform North America, Inc.においても同様でありますが、営業活動によるキャッシュ・フローは改善しており、現時点では当社からの追加出資を要しない状況となっておりますが、今後の事業環境や投資計画の変動等により、追加的な資金支援が必要となる可能性があります。 上記状況の中、当社は設立以来、株式発行及び銀行からの負債による資金調達を継続的に行ってまいりました。負債による資金調達においては、調達先、調達スキーム、契約内容、契約期間等を分散させることに留意しながら調達を行ってまいりました。また、直接の借入だけではなくコミットメントライン契約も締結することで、資金量が減少する局面において、短期間で追加的に資金を確保する体制も整えております。今後も事業運営に必要な資金を見通し、市場環境を見極めた上で、継続的に資金調達を行ってまいります。 今後は、グループ全体で収益性の向上を図ることで営業キャッシュ・フローを改善し、また、引き続き必要に応じ適切なタイミングで資金調達を行うことで、財務基盤の強化を図る方針ですが、当社グループを取り巻く経営環境の急激な変化や本「事業等のリスク」に記載されたリスクが顕在化することにより、収益性の向上が想定通りに進まなかった場合、キャッシュ・フローが改善せず、当社資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。 (2) 経営管理体制に関するリスク ① 社歴が浅いことについて(顕在化の可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし) 当社は2016年6月に設立されており、現在第10期と社歴の浅い会社であります。当社グループは今後も経営状況を継続的に開示してまいりますが、事業の初期段階・成長段階にあることから当社グループの過年度の経営成績は年度毎の変動も少なくなく、また比較対象とできる期間業績が限定的であることから期間業績比較を行うための十分な材料とはならず、過年度の実績のみでは今後の業績を判断する情報としては不十分な可能性があります。 ② 内部管理体制について(顕在化の可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし) 当社グループは、企業価値の持続的な向上にむけて、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するとともに、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。また、当社グループはDynamic Map Platform North America, Inc.など海外子会社等を通じて、北米、欧州、中東、韓国の各国で事業を展開しておりますが、子会社管理の責任者であるコーポレート統括執行役員及び子会社管理を担当する関連各部署の担当者が海外子会社の責任者との情報共有を密にし、現地の経済・社会情勢に関する情報を収集して事業展開への影響を把握しております。今後も業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、各社内規則及び法令遵守を徹底してまいりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の整備が追い付かない場合には、適正な事業運営が困難となり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 優秀な人材の獲得・育成について(顕在化の可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし) 当社グループは、当社グループの将来にわたる持続的成長に向けて、優秀な人材の採用と育成が欠かせないものと認識しております。また、当社は設立当初より株主からの出向者も受け入れておりましたが、独立した事業体として社員のプロパー化を推進してまいりました。斯かる状況から、今後も積極的な採用活動を行っていく予定でありますが、当社グループの求める専門性の高い人材が十分に確保されなかった場合や人材の流出が進んだ場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 知的財産管理について(顕在化の可能性:低/影響度:大/発生時期:特定時期なし) 当社グループは、第三者の知的財産権を侵害することなく事業運営を行う体制を整備しておりますが、当社グループが知的財産権の侵害を理由に第三者から訴訟の提起等を受け、これを斥けられなかった場合、これらに対する対価の支払いやこれらに伴う当社グループの提供データの販売若しくは使用の中止、第三者からの不利な条件でのライセンスの取得等が必要となる可能性があります。これらの対応により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 安全保障に係る管理について(顕在化の可能性:低/影響度:大/発生時期:特定時期なし) 高精度3次元地図データに関しては、国によって規制の在り方が異なっております。当社グループが高精度3次元地図データを供給する国については、各国の弁護士等の専門家と密に連携を取り、各国の規制について事前に調査・確認を行い、当該規制に従って高精度3次元地図データの供給を行うこととしております。現時点で当社グループが高精度3次元地図データを供給している一部地域において、当社グループの高精度3次元地図データの整備や提供にあたり、安全保障上当局等からの許可が必要とされ、既に当局の許認可を取得しております。 今後も、国によっては、高精度3次元地図データの整備や国外への持ち出し等について当局からの許可を必要とするなどの規制が存在する場合があり、将来において、これらの規制が存在する国で高精度3次元地図データを整備・供給する場合、または現在規制のない国において、これらの既存の規制が変更され、あるいは新たな規制が制定されるなどし、当該規制に対応する必要性が生じた場合、これらの対応を実施するための対応コストが発生し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 個人情報に係る管理について(顕在化の可能性:低/影響度:中/発生時期:特定時期なし) 当社グループは顧客情報や従業員情報の他、高精度3次元地図データ作成時に取得される人物の顔等の個人情報を管理しております。当社グループでは、個人情報管理規則を定めた上で、入退室管理等の物理的安全管理措置、アクセス制御や外部からの不正アクセス等の防止等の技術的安全管理措置により、個人情報を厳格に管理しております。 一方で、万が一、これらの個人情報が外部からの不正アクセスや業務上の過失等により、当社グループまたは業務委託先から外部に流出し、不適切な利用や改ざん等が発生した場合には、当社グループへの損害賠償請求や当該流出への対応に多額の費用が必要となる他、社会的信用が毀損されるなどにより、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (3) その他のリスク ① 自然災害、事故等に関するリスク(顕在化の可能性:低/影響度:大/発生時期:特定時期なし) 当社グループでは、大規模な自然災害や事故等が発生した場合に備え、高精度3次元地図データに係るデータはクラウド上に保管する、あるいは定期バックアップを行うなど、BCP対策を講じており、事業継続に対する影響を最小限に留めるよう努めておりますが、当該災害、事故等の発生によりデータに毀損が生じた場合には、高精度3次元地図データの再整備が必要になる可能性がある等、事業の継続に支障が生じ、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ② 公募増資による調達資金使途について(顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし) 新規株式上場時に実施した公募増資による調達資金の使途については、オートモーティブビジネス及び3Dデータビジネス向け高精度3次元位置情報の整備更新、海外事業拡大のための子会社宛投融資、研究開発に充当しており、今後もこれらの使途に充当する予定であります。しかしながら、経営環境の急激な変化等により、上記の資金投入から想定通りの効果を得られない可能性があります。また、市場環境の急激な変化により、調達資金を上記以外の目的で使用する可能性があり、その場合は速やかに資金使途の変更について開示する予定です。 ③ 配当政策について(顕在化の可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし) 当社は創業以来配当を実施しておらず、当面も事業拡大のため、内部留保による財務体質の強化及び高精度3次元地図データの整備範囲の拡大、高精度3次元地図データの整備コスト削減に向けた研究開発といった投資を優先する方針です。株主への利益還元についても重要な経営課題として捉え、財政状態及び経営成績を勘案しつつ配当の実施を検討してまいりますが、利益計画が当社グループの想定通りに進捗せず、今後安定的に利益を計上できない状態が続いた場合には、配当による株主還元が困難となる可能性があります。 ④ 税務上の繰越欠損金について(顕在化の可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし) 当社グループは、2026年3月末時点において28,225百万円の税務上の繰越欠損金が存在しております。当社グループの業績が順調に推移することにより繰越欠損金が解消した場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 財務制限条項について(顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:数年以内) 当社グループの主要な借入金に係る金融機関との契約には、財務制限条項が付されています。当社グループにおいて、当該財務制限条項の一部に抵触している状況にありますが、借入先金融機関と協議の結果、期限の利益の喪失に関する請求は行われておらず、当面は当該借入契約に基づく取引関係が維持されております。しかしながら、今後の業績動向や財務状況の変化等により、当該財務制限条項への抵触が追加的に生じる場合や、借入先金融機関の判断が変化した場合には、期限の利益の喪失請求が行われる可能性があり、当社グループの財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。財務制限条項の詳細につきましては「第5 経理の状況」に記載しております。 ⑥ ベンチャーキャピタル等投資事業者の株式所有割合に伴うリスクについて(顕在化の可能性:高/影響度:大/発生時期:数年以内) 当社の発行済株式総数に対するベンチャーキャピタル等の投資事業者の所有割合(ベンチャーキャピタル、ベンチャーキャピタルが組成した投資事業有限責任組合、政府系投資ファンド等を含む)は2026年3月末時点において48.6%であります。今後、これらの投資事業者が所有する株式の全部又は一部を市場において売却する可能性があります。当社株式の全部又は一部が短期間で売却される場合、株式市場における当社株式の需給バランスが短期的には損なわれ、当社株価に影響を及ぼす可能性が有ります。 ⑦ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(顕在化の可能性:中/影響度:中/発生時期:数年以内) 当社グループでは、当社グループの役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しており、今後も優秀な人材の獲得に向けてさらなる新株予約権の付与も検討しております。これらの新株予約権が行使された場合には、既存株主が保有する株式価値が希薄化する可能性があります。本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は2,793,550株であり、発行済株式総数23,642,050株の11.8%に相当しております。 ⑧ 当社株式の流動性について(顕在化の可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし) 当社は、東京証券取引所グロース市場への上場に際しての公募増資及び売出しによって当社株式の一定の流動性を確保しております。加えて、上場後に既存株主による市場における株式売却が進捗したこと等により、流通株式比率は上場時と比較して上昇しております。株式会社東京証券取引所の定める流通株式比率は25%以上であるところ、2026年3月末時点における流通株式比率は49.7%となっております。 今後、大株主への一部売出しの要請、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加等を勘案し、これらの組み合わせにより、流動性の維持・向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑨ 訴訟等について(顕在化の可能性:低/影響度:大/発生時期:特定時期なし) 当社グループは、本書提出日現在において、訴訟を提起されている事実はございません。一方で、事業運営の中で当社グループが提供するソフトウエア・データの不備等により、何らかの問題が生じた場合等、これらに起因した損害賠償請求や訴訟の提起がなされる可能性があります。その場合、当社グループの社会的信用が毀損され、また損害賠償の金額、訴訟内容及び結果によっては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
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業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 経営成績等の状況の概要 当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。) の状況の概要は次のとおりであります。 ① 経営成績等の状況 当期における経済情勢は、日本においては雇用・所得環境の改善を背景に、個人消費や設備投資に持ち直しの動きがみられるなど、全体として緩やかな回復基調で推移しました。また、自動運転及び先進運転支援分野においては、AI活用の進展を背景に関連技術への関心が引き続き高い状況にあります。一方で、各国におけるインフレや金融引き締めの影響、資源価格の高止まりや地政学的リスク等により、自動車業界においては開発投資に対する姿勢に慎重さが見られるなど、総じて先行き不透明な状況で推移しました。 そのような環境下、自動運転及び先進運転支援システムに対するニーズは引き続き拡大しており、それに応じて当社グループが提供する高精度3次元地図データの量産車への搭載に加え、現実世界を高精度に再現したデータを用いたAIの学習・検証用途(Data for AI)における開発利用が進展しました。このようなAI用途向けに、当社グループでは高精度3次元データを国内外の自動車メーカーグループや半導体メーカー等の法人顧客向けにライセンス提供しており、当期においては、当該法人向けライセンス契約の提供が進展しました。 当社グループはこれまで先進国を中心に高精度3次元データの整備を進めてまいりましたが、当期おいて主要地域での新規整備が概ね完了し、世界における整備距離数の合計は180万km超に達しています。これに伴い、当社グループの事業は、データの新規整備フェーズから、提供・更新フェーズへと移行が進みました。これを踏まえて、当期においては、海外子会社を中心に事業運営体制の見直しを進めました。 また、国内では高齢化や人口減少を背景として、社会・産業のデジタル化や効率化への取り組みが進展する中、自動車向け以外の分野においても、高精度3次元データを見える化するViewerプロダクトについて、ソフトウエア開発の完了に加え、事故調査やインフラ管理用途、不動産デベロッパー向けの提供が進展しました。さらに、高精度3次元データの生成技術を応用したGuidanceプロダクトについては、除雪支援システムの実装に加え、空港や物流施設内オペレーションへの横展開が進展しました。加えて、公共エリア向けダイナミックマップの開発を目的としたBRIDGE事業、空港業務の生産性向上や高精度3次元地図データ更新技術の高度化を目的としたSBIR事業等、複数の国家プロジェクトを受託し、当社が保有する高精度3次元データ及び関連技術、各種知見を提供することにより社会課題解決に向けた取り組みにも貢献しました。 当社グループでは、「デジタル社会のインフラとして高精度位置情報基盤をグローバルに構築し、自動運転をはじめとする新しい未来を拓く」をパーパスとして掲げ、自動車関連及びスマートシティ等、様々な用途に向けた高精度3次元データの構築・提供を行っております。また、現実の世界をデジタル空間に複製する高精度3次元データのプラットフォーマーとして、様々な産業分野におけるイノベーションを支えることをミッションとして掲げ、多方面のお客様に価値あるサービスを提供できる組織体制を整え、パーパスの実現に向けた各施策を実行してまいりました。 以上の結果、当期の当社グループの経営成績は、売上高は5,686百万円(前期比23.8%減少)、調整後EBITDA(損失)は501百万円(前期 調整後EBITDA(損失)609百万円)、営業損失は1,876百万円(前期 営業損失1,219百万円)、経常損失は1,651百万円(前期 経常損失1,414百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,708百万円(前期 親会社株主に帰属する当期純損失1,544百万円)となりました。 セグメント別の経営成績は次のとおりであります。 a 国内 国内のオートモーティブビジネスにおいて、法人ライセンス契約の拡大によりライセンス型売上が増加しました。一方で、3Dデータビジネスにおいて、国家プロジェクトの受注規模縮小等によりプロジェクト型売上が減少したことから、売上高は前期を下回りました。 以上の結果、売上高1,456百万円(前期比45.9%減少)、営業損失974百万円(前期 営業損失956百万円)となりました。 b 海外 海外事業においては、先進国における新規道路整備が概ね完了したことに加え、中東地域等におけるプロジェクトの実施時期の後ろ倒しによりプロジェクト型売上が減少しました。一方で、量産車への高精度3次元地図データ搭載台数の増加、AI用途向け法人ライセンス契約の拡大によりライセンス型売上は増加しました。 以上の結果、売上高4,229百万円(前期比11.4%減少)、営業損失917百万円(前期 営業損失266百万円)となりました。 ② 財政状態の状況 (資産) 当期末における資産合計は、前期末比5,086百万円減少の10,889百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済等により現預金が減少したこと、売掛金の回収により売掛金及び契約資産が減少したことによるものです。一方、北米等での地図データ整備に伴う無形固定資産が増加しております。 (負債) 当期末における負債合計は、前期末比3,357百万円減少の3,659百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済により、有利子負債が減少したことによるものです。 (純資産) 当期末における純資産合計は、前期末比1,729百万円減少の7,229百万円となりました。これは主に、当期純損失の計上により利益剰余金が減少したことによるものです。 ③ キャッシュ・フローの状況 当期末における「現金及び現金同等物」(以下「資金」)は、前期末に比べ、4,775百万円減少し、3,608百万円となりました。当期における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動による資金収支は、61百万円の支出(前期は2,269百万円の支出)となりました。 これは主に、税金等調整前当期純損失1,639百万円、売上債権及び契約資産の減少額1,292百万円等によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動による資金収支は、1,910百万円の支出(前期は2,472百万円の支出)となりました。 これは主として、無形固定資産の取得による支出1,461百万円等によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動による資金収支は、2,796百万円の支出(前期は2,829百万円の収入)となりました。 これは主として、長期借入金の返済による支出3,651百万円等によるものであります。 セグメントの名称   販売高(百万円)   前期比(%) 国内   1,456   54.1 海外   4,229   88.6 合計   5,686   76.2 (注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。 2.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、国内セグメントでの、複数の国家プロジェクト受注によるプロジェクト型売上の拡大、及び海外セグメントでの北米におけるプロジェクト型売上の量産車への高精度3次元地図データ搭載台数の増加によるライセンス売上の拡大したことによります。 3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合 取引先   前連結会計年度   当連結会計年度 販売高(百万円)   割合(%)   販売高(百万円)   割合(%) General Motors Company   3,211   43.0   2,432   42.8 三菱電機モビリティ株式会社   387   5.2   796   14.0 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構   1,794   24.0   84   1.5 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 ①  重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要とされます。経営者は、当社グループの過去からの実績や将来における発生可能性を勘案して合理的に判断しておりますが、見積り時の不確実性のため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。 当社の連結財務諸表を作成するにあたって採用している会計上の見積及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 ②  経営成績の分析 経営成績の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績等の状況」に記載のとおりであります。 ③  財政状態の分析 財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。 ④  キャッシュ・フローの分析 キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 ⑤  経営成績に重要な影響を与える要因について 当社グループの経営成績に重要な影響を与える主な要因は、以下のとおりであります。 当社グループは自動運転や先進運転支援システムに有用な自動車向け高精度3次元地図データを生成・販売しております。当社グループでは、今後も先進運転支援システム装着車両の販売が順調に拡大することを見込んでおりますが、想定通りに先進運転支援システムが普及せず市場が拡大しない場合には、当社グループの売上高等の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、自動車向け高精度3次元地図データの活用領域は、自動運転や先進運転支援システムの搭載に加え、今後市場の拡大が見込まれるV2Xへの展開や半導体メーカー等における自動運転システム開発への適用、さらにAIの学習、検証、推論等に用いられるデータ(Data for AI)としての活用などに拡大していくことが想定されるものの、高精度3次元地図データに係る代替技術・ソリューションの拡大など、当社グループが現在展開する事業が適合しない新たな技術革新や市場動向が生じる可能性があります。そのような代替技術・ソリューションが主流となった場合には、当社グループが提供する高精度3次元地図データへの需要が低減し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 その他、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 ⑥  資本の財源及び資金の流動性についての分析 当社グループにおける主な資金需要は、高精度3次元地図データの整備・更新のための設備投資及び外注費です。これらの資金需要に対しては、自己資金、金融機関からの借入等により充当することとしております。 なお、当社グループの資金の流動性につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。また、重要な資本的支出の予定につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。 ⑦  経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 目標とする客観的な指標等」に記載のとおり、当社グループは、成長性、収益性及びキャッシュ・フローの状況を把握するために、売上高、ライセンス型売上高、調整後EBITDAを重要な経営指標と位置付けております。各指標の推移については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 目標とする客観的な指標等」に記載のとおりです。 ⑧  経営者の問題認識と今後の方針について 経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

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開示資料

出典

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