本文へスキップ
超!企業DB
日経平均64,325.64-1,890NYダウ52,959.24+192ドル円158.93-1NASDAQ26,195.71+96S&P 5007,663.84+32SOX 指数11,328.43+409/2終値

オンコセラピー・サイエンス

OncoTherapy Science, Inc.4564 · Growth · 医薬品

東京大学発の研究開発型バイオベンチャー。がんを対象に低分子薬・ペプチドワクチン・抗体薬を開発し、遺伝子解析で個別化医療も手掛ける。

概要

オンコセラピー・サイエンスは、2001年4月に東京大学医科学研究所の中村祐輔教授の研究成果を事業化する目的で設立された研究開発型のバイオベンチャーである。低分子医薬、ペプチドワクチン、抗体医薬のがん治療薬の創薬研究を中核とし、子会社のCancer Precision Medicineを通じてがんプレシジョン医療関連事業も展開する。2003年12月に東証マザーズ(現グロース)に上場。本社は神奈川県川崎市に所在し、連結従業員数は46名。2026年3月期の事業収益は8億円であるが、研究開発費の先行により9億円の当期純損失を計上している。

二つの事業セグメントで構成されるグループ

当社グループは、「医薬品の研究及び開発」と「がんプレシジョン医療関連事業」の二つのセグメントで構成される。前者は低分子医薬、ペプチドワクチン、抗体医薬の創薬研究とライセンス契約に基づく収入を得る事業で、2026年3月期の事業収益は2百万円、営業損失は531百万円である。後者は子会社Cancer Precision Medicineが担い、遺伝子解析サービスや免疫療法の研究開発を行い、同事業収益は806百万円、営業損失は55百万円。グループ全体の収益の大部分を後者が占めるが、両セグメントとも営業損失を計上している。

収益は提携契約に依存する研究開発型モデル

当社グループの収益構造は、製薬企業等とのライセンス契約に依存する。契約一時金、研究開発の進捗に応じたマイルストーン、上市後のロイヤリティが主な収入源である。医薬品開発には10年以上の期間を要するため、収益の発生時期は不確定であり、決算期ごとの変動が大きい。2026年3月期の事業収益8億円は、主にがんプレシジョン医療関連事業の解析サービス収入によるもので、自社開発の医薬品販売収入はまだ生じていない。研究開発費の計上により、当期純損失は9億円と赤字が継続している。

継続的な営業損失と株主資本による資金調達

当社グループは設立以来、営業損失が継続している。2026年3月期の営業損失は810百万円、経常損失は845百万円、親会社株主に帰属する当期純損失は910百万円である。総資産は2,359百万円で、うち現金及び預金が2,089百万円を占める。負債合計は217百万円と少なく、純資産は2,141百万円。財務活動によるキャッシュ・フローは2,241百万円の増加であり、これは主に株式発行による収入2,284百万円による。研究開発型企業として、収益化までの期間を株主資本で支える構造である。

連結子会社と海外拠点の変遷

当社グループは、連結子会社として株式会社Cancer Precision Medicine(CPM)を有する。CPMは2017年7月に設立され、同年11月に当社の腫瘍免疫解析部を会社分割で承継した。設立時には韓国Theragen Bioの資本参加を得て合弁会社となった。過去には、抗体医薬事業を目的としたイムナス・ファーマ(2004年設立、2007年連結子会社化、2024年吸収合併)、ペプチドワクチン子会社ワクチン・サイエンス(2006年設立、2007年吸収合併)、フランス子会社Laboratoires OncoTherapy Science France(2010年設立、2019年清算)があった。グループの再編が繰り返されてきた。

業界の中での役割は製薬企業向けの医薬品シーズ供給者であり、医療機関向けの遺伝子解析サービス提供者にあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

売上高
8億円
営業利益
-8億円
営業利益率
-100.0%
純利益
-9億円
2026/3 通期の連結業績。決算の内訳は最新の決算以降にあります。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2026/3期)より

事業別の売上と利益

2026/3
事業売上構成比利益利益率
がんプレシジョン医療関連事業8億円100.0%

有価証券報告書のセグメント情報から、外部顧客への売上とセグメント利益をそのまま掲載しています。全社費用・セグメント間取引の消去は含みません。

01製薬業界主力

がんを対象とした創薬研究を行い、低分子医薬、ペプチドワクチン、抗体医薬の候補物質を開発。提携先製薬企業への導出により、契約一時金やマイルストーン、ロイヤリティ収入を得る。

主な製品・サービス3
低分子医薬
がん関連遺伝子産物に結合し、その機能を阻害する低分子化合物を利用した抗がん剤。独自に設計した化合物を開発する。
がんペプチドワクチン
がん細胞に反応する細胞傷害性T細胞を活性化し、免疫機構を利用してがん細胞を攻撃させる治療用ワクチン。
抗体医薬
がん細胞表面の特定のタンパク質を標的とし、抗体の特異的反応を利用して排除する抗体医薬品。

02医療機関(がんプレシジョン医療)準主力

連結子会社のCancer Precision Medicineを通じ、がん遺伝子の大規模解析検査や免疫療法研究を実施。次世代シーケンサーを用いたT細胞/B細胞受容体解析サービスを提供。

主な製品・サービス1
がん遺伝子大規模解析検査
次世代シーケンサーを用いてがん関連遺伝子を網羅的に解析し、個別化医療や新規免疫療法の開発に活用する。

製品と技術

MELKを標的とする低分子医薬OTS167

低分子医薬分野では、がん幹細胞の維持に重要なリン酸化酵素MELKを標的とするOTS167が主要な開発品である。当社は米国でOTS167の臨床試験を実施し、後期臨床開発を目指している。また、臓器線維症治療の標的として有望なキナーゼを強力かつ選択的に阻害する化合物を自社ライブラリ内で確認し、ライセンスアウトを目標に研究を進めている。低分子医薬は、がん関連遺伝子産物に結合して機能を阻害するアプローチで、当社の創薬研究の一つである。

がんペプチドワクチンの創薬

当社は、がん特異的ペプチドワクチンの開発に取り組んでいる。がん細胞にのみ反応する細胞傷害性T細胞を活性化し、免疫機構を利用してがんを攻撃する治療薬である。多数のペプチド候補物質を同定し、臨床試験を実施してきた。また、新型コロナウイルス感染症に対しては、感染制御と重症化抑制を目指したペプチドワクチンの研究開発に着手し、特許出願を完了している。ペプチドワクチンは、副作用の少ない治療法として期待される。

がん治療用抗体医薬とプレシジョン医療サービス

抗体医薬では、がん細胞表面の特定抗原に結合するOTSA101の臨床試験を日本国内で実施し、患者登録を終了した。一方、がんプレシジョン医療関連事業では、子会社CPMが全ゲノムシーケンス解析、ネオアンチゲン解析、リキッドバイオプシー等の遺伝子解析サービスを提供する。さらに、ネオアンチゲン樹状細胞療法やTCR遺伝子導入T細胞療法といった個別化免疫療法の研究も行っている。これらのサービスは、2026年3月期の事業収益806百万円のほとんどを占める。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

医薬品のなかでの位置

創薬ベンチャー、売上極小で赤字継続

オンコセラピー・サイエンスは売上高8億円と同業他社に比べて極めて小規模であり、営業赤字が続く創薬ベンチャーである。同業のVeritas In SilicoやChordia Therapeuticsも開発段階だが、当社は特に業界内でのポジションが弱く、収益化の目途が立っていない。開発パイプラインの進捗が今後の命運を握る。

強み

  • 独自の創薬技術を有するが、売上規模から判断する限り実証段階。
  • 特定のがん種に特化したパイプラインで差別化を図る可能性。
  • 他社との共同開発により資金負担を軽減する戦略。
  • 創薬ベンチャーとして承認取得時の急成長ポテンシャル。

課題

  • 売上8億円で営業赤字、開発の成功不確実性が高い。
  • 同業他社も類似技術を開発、差別化が困難。
  • 赤字継続で資金繰り懸念、増資や提携依存。

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

医薬品の時価総額近傍。太字がオンコセラピー・サイエンス

時価総額で並べると、掲載11社のなかで6番目にあたる。

#企業時価総額PER
14512わかもと製薬108億円47.2倍
24570免疫生物研究所96億円29.2倍
34524森下仁丹93億円14.6倍
44896ケイファーマ92億円
54584キッズウェル・バイオ83億円
64564オンコセラピー・サイエンス81億円
74571NANOホールディングス81億円
84572カルナバイオサイエンス78億円
94890坪田ラボ76億円
104597ソレイジア・ファーマ76億円
114596窪田製薬ホールディングス75億円

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は東証33業種の分類に従っています。

会社の歴史

沿革 15件

東京大学との共同研究から始まった創業期(2001年)

2001年4月、がん関連遺伝子及びその産物を利用した治療薬・診断薬の研究開発を目的に、東京都港区芝で設立された。設立後直ちに東京大学医科学研究所との共同研究を開始。同年11月には本店を港区白金台に移転し、2002年10月には同所に自社研究所を開設した。この時期は基礎研究に重点を置き、がん特異的タンパク質の同定と機能解析を進めた。創業者である中村祐輔教授の研究成果を基盤に、ほぼ全てのがんを対象とした網羅的遺伝子発現解析が実施された。

東証マザーズ上場と抗体医薬への進出(2003-2004年)

2003年12月、東京証券取引所マザーズ市場に上場した。上場後、2004年8月には抗体医薬の商業化を目的として、株式会社医学生物学研究所との合弁でイムナス・ファーマ株式会社を設立した。この子会社は後の連結子会社となる。上場により資金調達の手段を得ると同時に、抗体医薬という新たな開発領域へ事業を拡大した。上場時の市場はマザーズであり、2022年の市場区分見直しまで同市場に属した。

本社移転と子会社の設立・統合(2005-2007年)

2005年3月、本社及びラボ施設を神奈川県川崎市高津区に移転し、同所に創薬研究所を開設した。2006年6月にはペプチドワクチン開発を目的とした連結子会社ワクチン・サイエンス株式会社を設立。しかし2007年9月にはこれを吸収合併し、同時に関連会社であったイムナス・ファーマの株式取得により連結子会社化した。この期間、研究開発拠点を川崎に集約するとともに、グループ会社の整理を進め、経営資源の集中を図った。

海外展開とその後の撤退(2010年)

2010年5月、フランスに抗体医薬等のがん治療薬研究開発を目的とした連結子会社Laboratoires OncoTherapy Science France S.A.R.L.を設立した。しかし、海外拠点での成果が期待通りに上がらず、2019年9月に同社を清算結了した。この海外展開は短期間で終了し、以降は国内での研究開発に再び注力することとなった。フランス子会社の設立と清算は、研究開発型ベンチャーが海外進出に伴うリスクを経験した事例である。

がんプレシジョン医療への本格参入(2017年)

2017年7月、がん遺伝子の大規模解析検査とがん免疫療法の研究開発を目的に、連結子会社株式会社Cancer Precision Medicine(CPM)を設立した。同年8月には韓国Theragen Bioの資本参加と業務提携によりCPMを合弁会社化。同年11月には当社の腫瘍免疫解析部を会社分割でCPMに承継した。これにより、遺伝子解析サービスや個別化免疫療法の事業基盤が形成された。CPMはその後、連結業績において収益の大部分を占める主要子会社となった。

市場区分変更と本社再移転(2022-2023年)

2022年4月、東京証券取引所の市場区分見直しにより、マザーズ市場からグロース市場に移行した。2023年1月には、本店及び研究開発拠点を神奈川県川崎市高津区から川崎区東田町に移転した。この移転により、研究開発施設を新たな場所に集約した。市場区分の変更は上場企業としての位置づけに影響を与えたが、研究開発型企業としての基本戦略に変更はなく、引き続きがん治療薬の創薬研究を推進している。

年表15件を開く

2000年代

  • 2001年4月創業がん関連遺伝子及び遺伝子産物を利用したがん治療薬、がん治療法及びがん診断薬の研究開発を目的として、東京都港区芝に設立。
  • 2001年5月東京大学医科学研究所と共同研究を開始。
  • 2001年11月東京都港区白金台に本店移転。
  • 2002年10月東京都港区の本店所在地に自社の研究所を開設。
  • 2003年12月上場東京証券取引所マザーズ市場に上場。
  • 2004年8月抗体医薬の商業化(開発・販売)を目的として株式会社医学生物学研究所と合弁にてイムナス・ファーマ株式会社を設立。
  • 2005年3月本社及び本社ラボ施設を神奈川県川崎市高津区に移転し、同所に創薬研究所を開設。
  • 2006年6月M&Aペプチド・ワクチンの開発を目的として、連結子会社となるワクチン・サイエンス株式会社を設立。(2007年9月吸収合併)
  • 2007年9月M&A関連会社イムナス・ファーマ株式会社の株式取得により連結子会社化。(2024年3月吸収合併)

2010年代

  • 2010年5月フランスに、抗体医薬をはじめとしたがん治療薬の研究開発を目的に、連結子会社Laboratoires OncoTherapy Science France S.A.R.L.を設立。(2019年9月清算結了)
  • 2017年7月がん遺伝子の大規模解析検査ならびにがん免疫療法の研究開発を目的として、連結子会社となる株式会社Cancer Precision Medicineを設立。
  • 2017年8月Theragen Bio Co., Ltd.(本社:韓国。旧Theragen Etex Co., Ltd.)の資本参加・業務提携により、株式会社Cancer Precision Medicineを合弁会社化。
  • 2017年11月当社を吸収分割会社、株式会社Cancer Precision Medicineを吸収分割承継会社とし、腫瘍免疫解析部を会社分割。

2020年代

  • 2022年4月東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所のマザーズ市場からグロース市場に移行。
  • 2023年1月神奈川県川崎市川崎区に本店及び研究開発拠点(ラボ)を移転。

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2026/3期の経営方針より

会社は5つの方針を掲げている。有価証券報告書には具体的な数値目標の記載がない。

  1. 01

    基礎研究の継続的実施

    元東京大学医科学研究所中村祐輔教授との共同研究で同定した多数の標的分子に対し、自社及び共同研究による研究体制を充実させ、創薬研究の基盤を強化する。

  2. 02

    創薬研究の確実な推進

    基礎研究の成果をもとに、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等の創薬研究を実施し、ファースト・イン・クラスの創薬を目指す。

  3. 03

    臨床開発の確実かつ迅速な推進

    非臨床試験データに基づく適応症選択を行い、自社及び提携先と共同で臨床試験を進め、がん治療薬を一日も早く患者に届ける。

  4. 04

    新規提携先の開拓と既存取引の推進

    新規提携先を積極的に開拓し、既存提携先との戦略的対話を促進。提携先の臨床開発を支援し、医薬品候補化合物の上市を目指す。

  5. 05

    がんプレシジョン医療関連事業への取組み

    全ゲノムシーケンス解析やリキッドバイオプシー等の遺伝子解析サービス、新規遺伝子パネル検査の開発、個別化がん免疫療法の研究を進める。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 10期分

グループ全体で46人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は598万円で、9期前と比べて+7.2%平均年齢は46.3歳、平均勤続年数は11.9年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数一人当たり営業利益万円
2017年3月54
2018年3月56
2019年3月55842.77.663
2020年3月57842.68.462
2021年3月60242.28.566
2022年3月53943.68.667
2023年3月58043.08.260
2024年3月57842.68.454
2025年3月55345.310.947−1,702
2026年3月59846.311.946−1,739

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

拠点とグループ

設備と関係会社

関係会社1(国内 1 / 海外 0、うち連結子会社 1) を有報から抽出しています。

主な関係会社
  • 国内
    株式会社 Cancer Precision Medicine (注)1、2、3
    神奈川県川崎市川崎区 · 連結子会社
    議決権63.6%

業績のいま

有価証券報告書・決算短信より

2026年3月期の売上高は8億円営業利益-8億円前期と比べると増収で、売上が+0.0%。

売上高
+0.0%
8億円
営業利益
-8億円
純利益
-9億円
営業利益率
-100.0%
前期比 +0.0%pt

四半期の推移

10期分

直近は2027年1Qで、売上は2億円、営業利益は−3億円。前年の2024年1Qと比べると、売上は+100.0%。

対象期間売上高億円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2023年4Q4−2
2024年1Q1−4−400.0−4
2024年2Q3−3−100.0−3
2024年3Q1−3−300.0−3
2024年4Q1−3
2025年2Q2−5−250.0−5
2025年4Q6−3−50.0−3
2026年2Q4−5−125.0−6
2026年4Q4−3−75.0−3
2027年1Q2−3−150.0−3

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。

業績の推移

有価証券報告書 14期分

2013年3月期からの14期で、売上は33億円から8億円へ24%に減った。直近期の営業利益率は-100.0%。

決算期売上高億円営業利益億円経常利益億円営業利益率%純利益億円
2013年3月33−11−11
2014年3月10−38−37
2015年3月8−19−13
2016年3月3−30−28
がん遺伝子の大規模解析検査ならびにがん免疫療法の研究開発を目的として、連結子会社となる株式会社Cancer Precision Medicineを設立。
2017年3月3−30−30
2018年3月2−30−29
2019年3月3−30−29
2020年3月3−22−22
2021年3月3−16−16
2022年3月12−21−26
2023年3月11−11−11
2024年3月6−11−13
2025年3月8−8−8−100.0−8
2026年3月8−8−8−100.0−9

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。空欄の期は有価証券報告書からその項目の数値が取れていません(0ではありません)。

利益の構造

2026年3月期

売上高8億円のうち、営業利益として残るのは-8億円-100.0%。営業外の損益と税金を反映した純利益は-9億円、売上の-112.5%にあたる。営業利益率は業種中央値2.9%を下回る水準。

売上高を100としたときの内訳
  • 売上原価など作る・仕入れるのにかかったお金162.5%13億円
  • 販売費及び一般管理費売る・管理するのにかかったお金37.5%3億円
  • 営業利益費用を引いたあとに残った本業の利益-100.0%-8億円

有価証券報告書の損益計算書から、当期の金額をそのまま割り振っています。

営業利益率業種比102.9pt
-100.0%
本業の利益として残る割合
純利益率業種比115.2pt
-112.5%
税金まで払って最後に残る割合
ROA
-37.5%
資産全体がどれだけ利益を生んだか

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 14期分

2026年3月期は営業CFが−9億円、投資CFが−1億円で、差し引きのフリーCFは−10億円この組み合わせは先行投資型にあたる。本業がまだ現金を生まない中、調達した資金で投資を続けている。スタートアップ・再建初期の型期末の手元現金は21億円で、売上の31.5ヶ月分にあたる

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2013年3月−500−585
2014年3月−16−130110−14648
2015年3月−17191251
2016年3月−29109080131
2017年3月−3000−30101
2018年3月−30−42−3467
2019年3月−24−16−2549
2020年3月−23022−2347
2021年3月−18−1−1929
2022年3月−21−515−2618
2023年3月−801−811
2024年3月−1207−125
2025年3月−8011−88
2026年3月−9−122−1021

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 14期分

2026年3月期の総資産は24億円。このうち返さなくてよい自己資本が21億円で、自己資本比率は87.8%(業種中央値69.9%より厚い)

決算期総資産億円自己資本億円負債億円自己資本比率%
2013年3月1151041181.3
2014年3月186178890.0
2015年3月166161593.1
2016年3月137131692.9
2017年3月106101591.6
2018年3月8076487.0
2019年3月5449585.6
2020年3月5147489.5
2021年3月3431388.8
2022年3月2720770.6
2023年3月159651.5
2024年3月94532.2
2025年3月127457.0
2026年3月2421287.8

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2026年3月期の内訳
現金及び預金
21億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
-278億円
過去の利益の積み上がり
負債合計
2億円
いつか返す必要があるお金
財務の健全性
40
/ 100
安定性自己資本比率40 / 40
収益力営業利益率0 / 30
現金創出営業CFの黒字継続0 / 30

有価証券報告書の数値から機械的に配点した参考値です。自己資本比率60%で満点、営業利益率15%で満点、直近3期の営業CFが黒字だった割合の3つを足しています。業態によって出ない要素があります。

業界内での比較

医薬品 79社との比較

同じ医薬品の企業と並べると、いちばん上に来るのは自己資本比率79社中13位あたり、逆に低いのは売上成長率79社中56位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
/中央値 5.9%
P25 2.0%P75 11.0%
営業利益率売上のうち本業の利益として残る割合
-100.0%/中央値 2.9%
P25 -162.5%P75 11.5%
自己資本比率上位総資産のうち返済のいらないお金の割合
87.8%/中央値 69.9%
P25 53.4%P75 84.5%
売上成長率前期からの売上の伸び
0.0%/中央値 2.8%
P25 -1.3%P75 12.0%
配当利回り株価に対して1年で受け取る配当の割合
/中央値 2.9%
P25 2.3%P75 3.5%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月2日の終値

直近の終値は¥21で、1年前と比べて-27.6%過去52週の値幅のなかでは19%の位置にある。

¥21-4.5%1ヶ月+10.5%1年-27.6%時価総額81億円
過去52週の値幅
安値¥18高値¥34

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標
PBR3.65倍

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

株価は21円で、25日線(19.96円)を約5.2%上回り、75日線(20.08円)を上回っています。直近1ヶ月では+10.5%上昇しましたが、年初来では-25%と依然下落基調です。出来高は常に2億株前後と非常に高く、投機的な売買が続いています。RSIは62.5で中立圏ですが、200日線(21.41円)を上回るかが焦点です。52週高値34円からは-38%の水準です。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

AIの評価

AI評価

株価水準の解釈です。売買の推奨ではありません

現在の株価水準を割高と判定しています(スコア 20/100)

PERはマイナス(赤字)のため算出不可。PBRは3.40倍で業界平均3.01倍を上回り割高感がある。配当利回りは0%(無配)。ROEは赤字のためマイナス。売上高は8億円と小規模で、営業損失が継続しており、2026/3期も赤字見込み。成長性や収益性の改善が見られず、PBRの高さだけが際立つ。割高と判断。

指標この会社業種平均
PBR3.65倍3.53倍

業種平均は同じ東証33業種に属する銘柄の単純平均です。銘柄数が少ない業種では平均が振れます。

AI評価判定とスコアは公開データをもとにした解釈で、将来の株価を示すものではありません。算出の考え方は編集方針に記載しています。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

売上高はわずかで、事業は赤字が常態化している。投資の争点は、がん免疫治療薬のパイプラインが将来商業化に成功し、収益を生むかどうか。強気派は最先端技術の可能性と開発の進展を評価する。弱気派は研究開発の不確実性、資金調達リスク、他社との競争を懸念する。

プラスに働く材料7
  • 技術の独自性

    独自のペプチドワクチン技術は差別化が可能で、将来の事業化に期待

  • 提携の可能性

    大手製薬との提携契約が発生すれば、一時収入と開発資金が得られる

  • 市場の成長

    がん免疫治療薬の市場は成長しており、成功すれば大きな利益機会

  • 純損失が13億→8億円へ大幅縮小FY2025/3決算影響

    純損失▲13億円から▲8億円と5億円改善。コスト構造の改善が進む

  • 売上高が前期比33%増の8億円通年影響

    売上高6億→8億円。新規契約や研究開発の進展が寄与

  • 時価総額73億円と低位小型株で材料に敏感不定影響

    株価19円・時価総額73億円と小さく、わずかなニュースで大きく変動しやすい

  • 営業損失が8億円で下げ止まりFY2026/3影響

    営業損失が2期連続で8億円。拡大が止まれば安心感につながる

マイナスに働く材料7
  • 事業の赤字継続

    過去3期連続で純損失を計上し、2026/3期も赤字予想

  • 資金調達リスク

    研究開発には多額の資金が必要で、株式発行等による希薄化が懸念

  • 競争の激化

    他のバイオ企業や大手製薬が同様の治療薬開発を進めており、優位性が不明

  • FY2026/3は純損失9億円へ再拡大の見通し決算発表後影響

    純損失▲8億→▲9億円、改善トレンドが一服し増益期待が後退

  • 売上高8億円で営業利益ゼロの構造通年影響

    売上高8億円に対し営業費用8億円。売上を倍増させない限り黒字化は困難

  • PER評価不能で投資家層が限定的継続影響

    赤字が続きPERが出せず、機関投資家の投資対象から外れたままだ

  • PBR3.4倍は割高で調整余地不定影響

    1株純資産が低い中でPBR3.4倍、期待剥落時は下落リスク

次の決算で確かめる点
パイプライン進捗
開発段階の進行状況が事業価値の核心であり、成功確率を左右する
研究開発費
研究開発への投資額が将来の成長可能性を示すが、資金消耗の度合いも測る
提携・導出契約
提携契約の獲得は事業の信頼性と収入の源泉となり、株価に大きな影響を及ぼす

株主

有価証券報告書より

2026年3月期末の株主数は延べ49,639人。区分でいちばん多いのは個人・その他87.4%。グループ会社や銀行などの安定株主が4.1%を占め、残る95.9%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2021年3月%2022年3月%2023年3月%2024年3月%2025年3月%2026年3月%
個人・その他86.586.385.291.089.087.4
証券会社5.96.04.31.93.65.4
金融機関4.23.84.93.53.02.5
外国法人1.71.11.80.71.62.2
事業法人1.62.53.42.12.01.6
外国人個人0.20.20.30.80.80.9

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01中村 祐輔3.26
02楽天証券株式会社共有口2.39
03特定有価証券信託受託者 株式会社SMBC信託銀行1.90
04中鶴 修一1.52
05野村證券株式会社0.99
06仲榮眞 正雄0.78
07古川 洋一0.77
08後藤 知近0.74
09手柴 智行0.67
10荒川 博文0.65

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

大量保有報告の動き
5%超の保有者の提出ベース 直近7
  • 2026-06-15
    ロング コリドー アセット マネジメント リミテッド(Long Corridor Asset Management Limited)
    新規の大量保有報告
    4.63%
    -1.18pt
  • 2026-06-11
    ロング コリドー アセット マネジメント リミテッド(Long Corridor Asset Management Limited)
    新規の大量保有報告
    5.81%
  • 2026-06-10
    ロング コリドー アセット マネジメント リミテッド(Long Corridor Asset Management Limited)
    新規の大量保有報告
    5.81%
    -1.23pt
  • 2026-04-21
    ロング コリドー アセット マネジメント リミテッド(Long Corridor Asset Management Limited)
    新規の大量保有報告
    7.04%
    -1.13pt
  • 2026-04-20
    ロング コリドー アセット マネジメント リミテッド(Long Corridor Asset Management Limited)
    新規の大量保有報告
    8.17%
  • 2026-04-20
    ロング コリドー アセット マネジメント リミテッド(Long Corridor Asset Management Limited)
    新規の大量保有報告
    8.17%
    -1.42pt
  • 2026-04-13
    ロング コリドー アセット マネジメント リミテッド(Long Corridor Asset Management Limited)
    新規の大量保有報告
    9.59%
    +0.23pt

提出があった時点の記録です。その後5%を割った保有者が一覧に残ることがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 14期分

1株利益は14期で+73%、1株純資産は11期で−94%。期末時点の株価にもとづく指標の推移。

決算期EPSBPS
2013年3月−1087
2014年3月−28114
2015年3月−9105
2016年3月−1986
2017年3月−2066
2018年3月−1947
2019年3月−2030
2020年3月−1426
2021年3月−917
2022年3月−1410
2023年3月−6
2024年3月−6
2025年3月−3
2026年3月−35

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安

経営陣

8名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は8名。2026/3期の役員報酬は総額61百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約2倍にあたる。

氏名役職年齢保有株数
嶋田順一代表取締役社長65
加藤肇夫取締役会長82
朴在賢取締役 Chief Scientific Officer 兼 管理本部統括取締役50
三木義男取締役69
小峰雄一取締役54
山根由香監査役(常勤)5350,000
高木美也子監査役7431,000
田島照久監査役55

役員報酬の内訳2026/3

役員の区分人数固定報酬百万円合計百万円1人あたり百万円
取締役(社内)3434314
社外取締役410103
監査役1888

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2026/3期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容7,209字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3【事業の内容】 当社の企業集団は、当社及び連結子会社1社で構成されており、医薬品の研究及び開発、がん遺伝子の大規模解析検査及びがん免疫療法の研究開発を主たる事業としております。 (1)当社の設立経緯について 当社は、元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所理事長、東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授)中村祐輔教授の研究成果(シーズ)を事業化することを目的として2001年4月に設立した研究開発型ベンチャー企業です。 (2)当社事業の背景について ① ゲノム研究の進展について 1990年代より欧米を中心としてゲノム(※1)研究が活発に進められており、2000年6月には、いわゆる「ヒトゲノム・プロジェクト(※2)」等によってヒトゲノム解読完了が宣言されております。現在では、30億塩基対からなるヒトゲノム遺伝暗号の読み取りがほぼ終了し、現在ヒトの遺伝子総数は約23,000種類程度であると予測されております。これと前後した様々なバイオテクノロジーの進歩等により、「ゲノム創薬」への応用が現実のものとなりつつあります。 「ゲノム創薬」とは、遺伝子及び遺伝子が作り出すタンパク質等の情報に基づき、疾患の原因である新規創薬ターゲットの発見とそれらを標的とする治療薬の有効性や安全性の検討等を行い、医薬品を論理的・効率的に作り出すものであります。近年において、がん、糖尿病、高血圧や、慢性関節リウマチ等、多くの疾患に遺伝子が関係することが明らかになっており、疾患に関係する遺伝子を同定(※3)し、それを標的とすることで、疾患の症状を軽減させる対症療法ではなく、疾患の原因を除去する効果的な医薬品開発が可能となるものと考えております。 また、バイオテクノロジーの進歩に伴い、疾患関連遺伝子探索、遺伝子機能解析に加えて、SNPs(※4)、プロテオミクス(※5)、バイオインフォマティクス(※6)等の各研究分野も急速に進展しており、多くのベンチャー企業が創設される等、ゲノム研究分野はその市場規模の拡大が見込まれております。 なお、こうした技術及び研究の進歩への対応として、欧米の大手製薬企業等は、多大な研究開発費を確保するためのM&A戦略を実施する一方で、自社での研究開発活動に加えて、特に、基礎研究分野や、より専門性の高い分野等においては、ベンチャー企業、大学や社外の研究機関等との提携による外部リソースの活用を積極的に行うことが近年一般的になっております。 ② 抗がん剤分野について 従来のがん治療法は、一般に、がん細胞を除去し、又は死滅させることに重点が置かれ、その主流は、外科的切除、放射線療法及び抗がん剤投与による化学療法並びにこれらの組み合わせによるものであります。しかし、これらの治療法は、いずれも患者に対する強い侵襲作用があり、特に化学療法は、抗がん剤を生体内に投与して分裂を続ける細胞に対して無差別な攻撃を行うものであり、がん細胞だけでなく正常細胞にも強い毒性を発揮する欠点があります。その結果、患者により個人差はあるものの、骨髄抑制、脱毛、吐き気、嘔吐又は下痢等の副作用によりがん患者に相応の負担を強いることになり、抗がん剤の使用範囲は限られたものとなり、また、抗腫瘍活性も期待された程得られない状況で、従来のがん治療法に代わる、より有効で患者に対して負担の少ない治療法の開発が望まれておりました。 近年、分子生物学(※7)及びヒトゲノム研究の進展等に伴い、特定の分子のみを標的としたいわゆる分子標的治療薬(※8)と呼ばれる医薬品開発が進められており、乳がん、白血病、肺がん、大腸がん等に対する新たな抗がん剤が登場しております。これらの抗がん剤は、従来の化学療法と比較して効果が高くかつ副作用が抑えられ、より長期間の投薬が可能となるものであります。現在、このような新たな抗がん剤の開発が世界各国で進められており、今後のがん治療に高い効果を発揮するものと期待されております。 また、ヒトにおける腫瘍に対する免疫システムの関与の機序が明らかになりつつあり、がん治療において、従来の手術療法、放射線療法、薬物療法に加え、免疫療法が新たな機序を有する第4のがん治療法として期待が高まりつつあります。2009年9月、米国医薬食品局(FDA)は、世界の免疫療法の開発の状況を踏まえ、「治療用がんワクチンについての臨床的考察」を公表し、2010年4月、前立腺がんに対する免疫細胞療法を承認し、2011年3月には、悪性黒色腫に対してリンパ球の活性化を維持する抗体医薬を承認しました。さらに免疫チェックポイント阻害剤という新たな免疫治療薬が承認される等、がんに対する免疫療法は、今や次世代の新たながん治療法として確立し、がん治療薬の概念は大きく変わりつつあります。 このように、分子標的治療薬の登場に加え、既存の抗がん剤より効果が高くかつ副作用の少ない薬剤の登場により患者の生存期間が長くなることによる治療の長期化、製薬会社による更なる分子標的治療薬の研究開発推進、高齢化の進行、がん診断による早期発見の増加、及びがんプレシジョン医療の進展等の動向から、当社は、抗がん剤の市場は今後も拡大していくものと予測しております。 (3)事業内容について 当社グループは、元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所理事長、東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授)中村祐輔教授と共同で、ほぼ全てのがんを対象とした網羅的な遺伝子発現解析等を実施し、既にがん治療薬開発に適した多くの標的分子を同定しております。また、それらの標的に対し、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等の、各領域における創薬研究を積極的に展開し、これら創薬研究の成果を基にした複数の臨床試験を実施しており、臨床試験準備中の医薬品候補物質も複数有しております。 このような「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業に加えて、がんプレシジョン医療関連事業を実施しております。 がんは遺伝子の異常により引き起こされる病気です。がん細胞での遺伝子の網羅的な解析は、がんの診断及びがん治療薬・治療法を選択するために非常に重要です。この解析を利用して、がんの早期診断や、がん患者さん一人ひとりの遺伝子情報に基づいた治療薬・治療法の選択をすることや新規の免疫療法につなげていくことをがんプレシジョン医療といい、近年、より効果的ながん治療をがん患者さんに提供できる手段として注目されています。 当社は、次世代シーケンス解析(※9)サービスを行っているTheragen Bio Co., Ltd.(本社:韓国)との資本・業務提携により、がん遺伝子の大規模解析検査及びがん免疫療法の研究開発を行う子会社として、株式会社Cancer Precision Medicine(以下、「CPM社」といいます。)を設立し、がんプレシジョン医療関連事業を実施しております。 ① 医薬品開発における事業領域について 当社グループの研究開発は、2001年4月からの当社と東京大学医科学研究所との共同研究により出発いたしました。当該研究は抗がん剤開発のためのがん特異的タンパク質の同定とその機能解析を目的としており、主に基礎研究領域に重点を置いたものとなっています。 その後、基礎研究の継続的な実施による進展とともに、当社グループの事業領域は、より医薬品の開発に近い創薬研究へと拡大し、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等の各領域において、臨床応用を目指した創薬研究を実施しております。 さらに、国内外において、提携先製薬企業と共同で、又は当社グループ独自で複数の臨床試験を実施しております。 ② 医薬品の研究開発について 当社グループでは、主に下記の医薬品の研究開発を実施しております。 (ⅰ)低分子医薬 低分子医薬は、がん関連遺伝子由来のタンパク質(がん関連遺伝子産物)に結合し、その機能を阻害する低分子化合物(※10)を利用した医薬品です。当社グループは網羅的遺伝子解析によって同定したがん関連遺伝子産物に対し、独自に医薬品となり得る低分子化合物を設計し、医薬品開発を行っております。 (ⅱ)ペプチドワクチン がん特異的ペプチドワクチンは、がん細胞にのみ反応する細胞傷害性T細胞(※11)を活性化させる等、人間の体が持つ免疫機構を利用して、がん細胞を攻撃させるがん治療用医薬品です。当社グループは、がん特異的ペプチドワクチンの医薬品候補物質となるペプチドを多数同定し、医薬品開発を行っております。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染制御及び重症化の抑制を目指したペプチドワクチンの研究開発に着手し、特許出願を完了しております。 (ⅲ)抗体医薬 抗体医薬は、抗体が細胞膜(がん細胞の表面)に存在する特定のタンパク質(抗原)に対して特異的に反応し、それらを異物として排除する特性を利用した医薬品です。当社グループは、がん関連遺伝子産物を標的とした抗体を作成することで、医薬品開発を行っております。 なお、各事業領域の詳細につきましては、「第2 事業の状況 6研究開発活動 (2)研究開発活動(a)「医薬品の研究及び開発」及びこれらに関連する事業」をご覧ください。 ③ がんプレシジョン医療への取組み 2017年7月、CPM社を設立し、その後当社の事業部門であり、オンコアンチゲンをはじめとしたがん免疫療法の研究開発、及び次世代シーケンサーを用いてT細胞/B細胞受容体の解析サービスを行う腫瘍免疫解析部については、会社分割(簡易分割)を行い、当社の連結子会社であるCPM社が事業を承継いたしました。これにより、CPM社においてはがん遺伝子の大規模解析検査及びがん免疫療法の研究開発を実施することとなりました。 なお、がんプレシジョン医療への取組みにつきましては、「第2 事業の状況 6研究開発活動 (2)研究開発活動(b)がんプレシジョン医療関連事業」をご覧ください。 ④ 医薬品の研究開発に係る提携による収益について 医薬品の研究開発を行うバイオベンチャー企業と製薬企業等との契約については、一般に、契約一時金、研究・開発の進捗に応じたマイルストーン及び医薬品上市後の売上等に応じたロイヤリティ等といった段階的に対価を収受する契約形態が採用されております。これは、製薬企業等において医薬品開発には多大な研究開発費が必要であり、かつリスクも高いものであることに起因するものであります。当社グループが現在締結する契約も同様であり、また、今後締結する契約においても同様の形態が想定されます。 契約一時金は、契約時に医薬品の開発・製造・販売権などを付与することで受け取ることができる収益であり、マイルストーンは、契約に基づき、あらかじめ設定された研究開発に関する進捗等イベントの達成に応じて受け取ることができる収益であります。契約一時金及びマイルストーンに係る収入については、履行義務が一時点で充足される場合には、開発権・販売権等を付与した時点、又は契約上定められたマイルストーンが達成された時点で契約上の履行義務が充足されたと判断し、当該時点で事業収益として認識しております。 ロイヤリティは、医薬品の上市後に販売額の一定料率を受け取ることができる収益であり、その発生時点を考慮して事業収益として認識しております。 一般的に医薬品の開発期間は基礎研究開始から上市までに通常10年以上の長期間に及ぶものでもあります。事業収益の発生については、その多くが契約締結先の製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するもので、これらが事業収益として計上されるにはかなりの長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。 さらに、製薬企業等との契約締結の可否、契約締結時期及び収益の発生時期によって当社グループの業績は大きく変動する傾向にあり、これによる業績の上期若しくは下期への偏重が生じる可能性、又は場合によっては決算期ごとの業績変動要因となる可能性があります。 [用語解説] (※1)ゲノム 生物の体を構成する一つ一つの細胞の中に、遺伝情報を乗せた染色体があります。染色体は、4種類の塩基と呼ばれる分子から成るDNAで構成され、DNAの塩基の並び方によって遺伝子の情報が決められています。ゲノムとは、1つの生物がもつ染色体に含まれる全ての遺伝情報を指します。 (※2)ヒトゲノム・プロジェクト ヒトの遺伝情報の総体であるヒトゲノム(染色体23本に分配されている30億塩基対DNA)を全て解読しようという国際的なプロジェクトの総称。1988年に、有力な科学者主導でヒトゲノムの解析を実施すべく、ヒトゲノム機構(HUGO)が設立され、その後1990年10月に、同機構の指揮のもとで正式に国際的なプロジェクトが開始されました。日本でも、1991年から解読が本格化されました。計画開始当初、2005年をめどに全長配列決定をする予定でしたが、シーケンス技術の急速な進歩、及びゲノムの大量解読を行うベンチャー企業の追いあげに伴い、当初の計画は大幅に前倒しされることになり、2000年6月には、解読結果の概略が発表されております。 (※3)同定 ある物質の正体を特定すること。例えば、細胞の中からある現象に関係する分子を選り分けて取り出しその種類を特定することや、多数の化合物群を含むライブラリの中から望ましい活性を持つ化合物を見つけてその種類を特定すること等は、そのような分子や化合物を「同定する」と呼ばれます。 (※4)SNPs Single Nucleotide Polymorphism(=1塩基多型)の略語。DNAの塩基配列は、同じヒトであっても個人によって僅かずつ異なっていることがわかっており、これが全ゲノム中の約1%、数百万箇所あるとされております。こういった遺伝子の相違の中で最も頻繁に見られるのが、塩基配列のある箇所でA-TとG-Cの塩基ペアが1箇所だけ置き換わっているSNPであり、疾患の罹りやすさ、薬の効きやすさ、副作用の出やすさ等が個人で異なることもSNPに関連すると思われることから、ゲノム創薬においても重要視されている研究テーマの一つとなっております。 (※5)プロテオミクス ゲノム情報とそれによって作られるタンパク質との関連を生命活動に照らし合わせて包括的に行う研究のこと。具体的には、発見された遺伝子の機能解析、作られるタンパク質の調節機構の解析、タンパク質同士の相互作用の研究、疾患・病態とタンパク質の働きとの関連性等が課題とされております。 (※6)バイオインフォマティクス バイオ研究において、情報科学と生命科学の融合領域で生命情報科学を指します。ゲノムの塩基配列情報やタンパク質の構造情報等をコンピューター処理して活用する技術。コンピューターを用いた遺伝子及びタンパク質の構造・機能解析に始まり、それらの分子の生体内での作用や発現レベル、相互作用、病態との関わり等の情報を含んだ生体情報解析又はデータベース化するようなシステムの総称であります。 (※7)分子生物学 もともと生物学は、生物の形態・分類・進化・行動や遺伝に法則性を見いだし、そこから生命の本質を探ろうとする学問でした。1950年代にワトソンとクリックにより遺伝物質DNAの分子構造が提唱されたとき、初めて生物学者が、生物を分子のレベルで解明する可能性を認識し、ここに分子生物学が生まれました。現在、分子生物学は医学・薬学・農学・バイオテクノロジーの領域の最も重要な基礎分野として、その成果は、様々な応用技術の基盤となっております。 (※8)分子標的治療薬 ある分子に作用することがわかっている低分子化合物や抗体等を選択することによって作られ、疾患に関係がある細胞だけに働きかける機能を持った新しいタイプの治療薬のこと。従来の治療薬に比べて効果が高くかつ副作用が少ないとされ、近年、がん治療等で注目されております。 (※9)次世代シーケンス解析 数千万、数億のDNA断片の塩基配列を高速に決定することができる基盤技術です。 (※10)低分子化合物 抗がん剤を含め、医薬品には分子量の大きい高分子物質、たとえば抗体のようなタンパク質等の高分子物質と、相対的に分子量の小さい低分子物質があります。概ね分子量が1,000前後のものまでが、一般に低分子とされており、低分子物質は低分子化合物ともよばれております。医薬品となる低分子化合物の大半は、有機合成化学の手法で人工的に作られております。製薬企業では一般に、化合物ライブラリ(あらかじめ合成されて集積されている多数の化合物の集合)の中から一定の効果をもつ化合物を選び出すスクリーニングが行われ、それに続いて、化合物の効果を個々の目的に応じて最適化させるための新規化合物の設計と合成が行われております。 (※11)細胞傷害性T細胞 細胞傷害性T細胞は、抗体とともに私たちの体の免疫反応を担う細胞であります。抗体は、血液や分泌液等の中に通常存在することから体液性免疫とよばれるのに対し、細胞傷害性T細胞は、細胞が作用の中心なので、細胞性免疫ともよばれております。細胞傷害性T細胞のがん細胞に対する機能は、がん抗原を認識し、そのがん抗原が提示されている細胞を殺傷するものであります。
経営方針・対処すべき課題3,708字を開く

経営陣が考える方向性と課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針 当社グループは、「有効性が高く、より副作用の少ないがん治療薬・治療法を一日も早くがんに苦しむ患者さんに届けること、がんとの闘いに勝つこと」を企業使命として、その実現のため、基礎研究、創薬研究、及び医薬開発、並びにがんプレシジョン医療への取組みを推進しております。 当社グループは、安定経営に留意しながら、がん治療薬・治療法の研究及び開発を着実に推進し、がん治療の分野で社会に貢献したいと考えております。 (2)経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは、研究開発型企業として、基礎研究、創薬研究、及び医薬開発、並びにがんプレシジョン医療への取組みを推進しており、収益につきましては、これまで、主として提携先製薬企業等からの契約一時金、研究協力金、開発協力金、マイルストーン収入、及び受託検査による収入等を計上しております。将来において、当社が自らがん治療薬を上市した場合には、医薬品の販売収入が計上され、提携先企業ががん治療薬を上市した場合には、ロイヤリティ収入が計上されることとなります。また、がんプレシジョン医療への取組みの進展により、がん細胞の詳細な遺伝子解析サービス(全ゲノムシーケンス解析、ネオアンチゲン解析及びネオアンチゲン樹状細胞療法等)、血中のがん細胞を早期検出するためのリキッドバイオプシーといったがん遺伝子の大規模解析検査及びTCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サービスの受託検査による収入が計上されることとなります。このような収入の拡大により収益及び利益が飛躍的に拡大するとともに収益基盤が安定することが想定されます。これらの収入等は、当社グループの研究開発の進展に伴い計上するものであり、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標と考えております。 しかしながら、がん治療薬が上市されるまでの間は、事業領域の拡大や自社による研究開発の進展に伴い研究開発費が増加することが想定され、収益源となる製薬企業との新たな提携契約の締結、ベンチャー企業・アカデミアと共同研究や共同開発の実施、公的機関による補助・助成制度の積極的な活用等により自社の経費負担を軽減し、経営の安定を図りながら事業を推進して参ります。 (3)経営環境、事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題 当社グループは、対処すべき課題を以下のように考えています。 ① 基礎研究の継続的な実施 当社グループは2001年から2013年にかけて元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所理事長、東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授)中村祐輔教授との共同研究により、ほぼ全てのがんを対象とした網羅的な遺伝子発現解析等を実施し、多くのがん治療薬開発に適した標的分子を同定いたしました。現在、それらの標的に対する創薬研究を積極的に展開し、これら創薬研究の成果を基にした複数の臨床試験を実施中又は準備中の医薬品候補物質を多数有しております。 基礎研究の継続的な実施は当社グループ事業の将来にかかる重要課題の一つとして認識しており、今後も当社独自及び共同研究等による研究体制の充実と円滑な推進のための対応を図っていく方針であります。 ② 創薬研究の確実な推進 当社グループは基礎研究の成果をもとに、臨床応用を目指して低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等の創薬研究を実施し、ファースト・イン・クラスの創薬を目指します。 ③ 臨床開発の確実かつ迅速な推進 当社グループは、「有効性が高く、より副作用の少ないがん治療薬・治療法を一日も早くがんに苦しむ患者さんに届けること、がんとの闘いに勝つこと」を企業使命とし、国内外において、当社グループ独自で複数の臨床試験を行っており、提携先製薬企業とも共同で臨床試験を行っております。当社グループは、非臨床試験データに基づいた適応症の選択を行い、臨床開発を確実かつ迅速に推進させていく方針です。 ④ 新規提携先の開拓及び既存提携先との提携事業の確実な推進 当社グループは、一日も早くがん治療薬を上市することを企業使命とし、今後とも新規提携先を積極的に開拓するとともに、提携先製薬企業との戦略的対話を促進し、提携先が実施する臨床開発の側面支援、後方支援を強化することにより提携事業を確実かつ迅速に進め、一日も早く当社グループの医薬品候補化合物の上市を目指します。 ⑤ がんプレシジョン医療関連事業への取組み がんプレシジョン医療関連事業につきましては、がん細胞の詳細な遺伝子解析サービス(全ゲノムシーケンス解析、ネオアンチゲン解析及びネオアンチゲン樹状細胞療法等)、血中のがん細胞を早期検出するためのリキッドバイオプシーといったがん遺伝子の大規模解析検査及びTCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サービスの共同研究及び事業実施に加えて、新規がん遺伝子パネル検査の開発やネオアンチゲン樹状細胞療法及びTCR遺伝子導入T細胞療法等の新しい個別化がん免疫療法の研究も進めてまいります。 ⑥ 経営環境及び経営者の問題意識と今後の方針について 当社グループの事業に深い関連を有する抗がん剤市場を取り巻く状況は、高齢化の進行、がん診断による早期発見の増加、分子標的治療薬の登場、及びがんプレシジョン医療の進展等により、市場は拡大しており、当社グループは今後においても同様に市場は拡大するものと想定しております。 この様な市場の拡大は、参入企業の増加、潜在的な競合企業の増加の要因とも考えられ、また、異業種間の連携により技術革新等が飛躍的に進展する可能性もあり、当社グループを取り巻く事業環境は、急激な変化を生じる要素を数多く内包しているものと考えられます。このような経営環境のもと、当社グループの事業展開における重要な要素としては、「事業推進のスピード」「事業領域の拡大」「リスクとリターンのバランス」といった3点が挙げられます。 事業推進のスピードにつきましては、医薬品業界、特にバイオテクノロジー業界においては、世界的な新薬開発競争とその新薬開発のための様々な研究開発や技術開発が世界的規模で行われており、当社グループの研究活動もこのスピード競争を勝ち抜き、質の高い研究成果を一日も早く臨床開発へ進展させることが当社の優位性を確保する上で非常に重要であると認識しております。また、今後市場が拡大すると予想するがんプレシジョン医療につきましても、質の高いがん遺伝子の大規模解析検査ならびにがん免疫療法の研究開発をより早く進展させることが非常に重要であると認識しております。 事業領域の拡大につきましては、現在当社グループは、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等で創薬研究を展開しており、さらにがんプレシジョン医療への積極的な取組み等により、今後とも、より積極的に事業を拡大していく方針であります。また、臓器線維症治療標的として有望な可能性があるとされるキナーゼを強力かつ選択的に阻害する活性を持つ化合物を当社化合物ライブラリ内で確認したため、ライセンスアウトを目標に研究を実施しております。このような事業領域の拡大により、当社グループの研究成果を、より多くの医薬品開発用途へ応用することにより、事業価値を高めたいと考えています。 最後にリスクとリターンのバランスですが、当社グループの最大の強みは、自社で設計した新規の化学構造を有する独自の化合物ライブラリを持つことであり、またがんのみならず数多くのゲノム創薬にもとづく創薬ターゲットを所有していることであります。ただし、それら多数の創薬ターゲットの全てについて、多岐の用途にわたる創薬研究と臨床開発を、当社グループのみの資源と費用で、かつ世界的な競争に打ち勝つスピードで遂行することは、膨大な設備投資と研究開発費を必要とし、資金的なリスクを生じせしめます。当社グループとしては、製薬企業等との積極的な提携契約の締結や研究開発の提携等により、製品化の可能性を極大化しつつ、リスクは経営上合理的なレベルにとどめる方針を現時点では採用しています。本方針により、事業展開からの成果や利益といったリターンをパートナーと共有することにはなりますが、可能性のある製品を商業化できないリスクやスピード競争に負けるリスクを低減することができます。なお、本社ならびに研究開発拠点の移転や、人員配置の見直しによる業務効率化等にも積極的に取り組んでおり、あらゆるコストの見直し及び削減を継続して強化してまいります。 今後ともリスクとリターンのバランスに十分配慮し、最善と考えられる経営判断を行っていきたいと考えております。
事業等のリスク15,274字を開く

会社が自認するリスクの一覧

3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクについて、以下において記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本「事業等のリスク」以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は本株式への投資に関連するリスク全てを網羅するものではありませんので、その点にご留意ください。また、対応策については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境、事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題」も併せてご参照ください。 なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果と異なる可能性があります。 (1)研究開発活動について ① 当社の設立経緯 当社は、元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所理事長、東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授)中村祐輔氏の研究成果(シーズ)を事業化することを目的として設立した研究開発型企業であり、現在においても、同氏の成果が当社グループの研究開発活動の基盤となっております。今後も同氏から引き続き科学面に関しては協力を得ることとなっておりますが、何らかの理由により同氏の協力が得られなくなった場合、当社グループの研究開発活動に影響を与える可能性があります。 ② 大学や研究機関等との共同研究について (a)共同研究契約について 当社グループの研究活動においては、自社での研究活動に加えて、大学や研究機関等との共同研究を実施しております。 当社グループは、今後も研究体制の充実と円滑な推進のため、共同研究先の大学や研究機関等との間で良好な関係を維持し、当社の事業基盤となる共同研究を継続していく方針であります。しかしながら、当該契約の更新が困難となった場合又は解除その他の理由により契約が終了した場合においては、当社グループ事業に悪影響を与える可能性があります。 (b)がん関連遺伝子の網羅的解析について 当社が国立大学法人東京大学と実施した基礎研究の、「抗がん剤開発のためのがん特異的蛋白の同定とその機能解析、及び分子標的治療薬(治療法)開発の共同研究」は、臨床症例に基づいた研究成果であること、LMM法によるがん細胞の分離により精度の高い解析が可能であること、遺伝子解析においてcDNAマイクロアレイを利用していること、特定された候補遺伝子とそれらのがんとの関連を複数の実験により検証していること等の特徴があり、当社は、これらの各要素を組み合わせた解析スキームに研究の優位性があり、各種のがんにおいて得られた遺伝子情報等は、治療効果が高く、かつ副作用が少ない抗がん剤等の開発や、特異性の高いがん診断薬の開発に有用であると認識しております。なお、現時点においては、第三者が同様の遺伝子解析を高精度で大規模に実施することは極めて困難であるものと考えておりますが、新たな研究手法等が確立された場合においては、今後における当該優位性が継続する保証はありません。 (c)その他の共同研究開発について 当社グループは、医薬品の研究開発やがんプレシジョン医療関連事業をより加速させ、またその分野を拡大する目的で、大学、公的研究機関をはじめ企業や医療機関等との共同研究の実施や新たな連携を、必要に応じて積極的に模索しております。 今後も共同研究等の戦略的連携を積極的に推進していく予定ですが、これらの契約締結及び研究開発が当社グループの想定どおりに進捗しない可能性があるほか、契約内容によっては、当社グループにおいて相応の費用負担が生じる可能性があります。 ③ 研究及び開発の進展を目的とした子会社・関連会社の設立について 当社は、がんプレシジョン医療関連事業として、2017年7月にがん遺伝子の大規模解析検査及びがん免疫療法の研究開発を行う子会社として、株式会社Cancer Precision Medicine(以下「CPM社」という。)を設立いたしました。CPM社に対しては、次世代シーケンス解析サービスを行っているTheragen Bio Co., Ltd.(本社:韓国、以下「TB社」という。)が資本参加・業務提携していることからCPM社は、当社とTB社との合弁会社となっております。また、2017年11月に、当社の事業部門であり、オンコアンチゲンをはじめとしたがん免疫療法の研究開発、及び最先端の取組みとして次世代シーケンサーを用いてT細胞/B細胞受容体の解析サービスを行う腫瘍免疫解析部については、会社分割(簡易分割)をし、CPM社に事業を承継しております。 今後も、研究及び開発の進展を目的として子会社や関連会社の設立等を行う可能性がありますが、これら子会社、関連会社の研究及び開発活動が計画通りに実施できる保証はなく、また事業展開に伴う研究開発費用等の増加等が当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ④ 臨床開発について 当社グループは、提携先製薬企業と共同で、または当社グループ独自に複数の臨床開発を行っております。 しかしながら、当社グループの臨床開発活動が計画通りに実施できる保証はなく、進捗に遅れが生じたり、臨床開発の成果が期待通り得られない可能性があります。 その結果、共同開発につきましては、提携先と想定していたイベントの達成が遅れたり、達成できなかった場合、将来に期待していた収益の受領が遅れたり、収益を得られない可能性があります。一方、今後当社グループ独自に臨床開発を実施したにもかかわらず成果が期待通り得られなかった場合、当社グループはそれまでの多額の研究開発コストを回収できず、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 製造物責任のリスクについて 当社グループが行う医薬品の開発、製造、及び販売、ならびに、がんプレシジョン医療関連事業は、製造物責任を負う可能性があります。今後当社グループが開発、製造、及び販売したいずれかの医薬品、試薬、原材料、外注加工品等が健康に悪影響を及ぼし、不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負うことにより、当社グループの事業及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 副作用に関するリスクについて 当社グループが開発、製造、及び販売を行った医薬品で、臨床試験段階から製品上市後までにおいて、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。また、当社グループが関与する免疫療法等がんプレシジョン医療関連事業につきましても、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。副作用が発現した場合、当社グループの業績に直接的な悪影響を及ぼすばかりか、副作用によるネガティブなイメージにより、当社グループが開発、製造、及び販売を行う医薬品および関与する免疫療法等に対する信頼に悪影響が生じる可能性があります。 (2)製薬企業等との提携について ① 提携先の研究開発の進捗状況等に影響を受けることについて 当社グループは、研究活動により得られる医薬品候補物質を製薬企業等に対して提供することを主な収益源としており、製薬企業等と締結する技術導出契約に基づき、契約一時金、研究協力金、開発協力金、マイルストーン及びロイヤリティ等を段階的に受領することになっております。これらの対価のうち、多くのマイルストーン及びロイヤリティの発生については、製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するものであり、事業収益として計上されるには長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。 ② 今後の製薬企業等の事業提携について 当社グループは、製薬企業等との提携については、創薬研究の成果である低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等のように個別の医薬品候補物質ごとに提携を拡大させていく方針です。しかしながら、当社グループが提供する医薬品候補物質等が、製薬企業等の研究開発ニーズと合致する保証はなく、また当社グループの想定通りに医薬品候補物質ごとの提携が推移する保証はありません。 (3)社内体制について ① 情報管理に関するリスクについて 当社グループは、当社が関与する臨床試験に関する情報、がん遺伝子の大規模解析検査に関する情報、その他の個人情報、個人遺伝情報を含む機密情報について、コンピュータ管理を行っております。このため、規程等を整備し、従業員に対し情報管理の重要性を周知徹底するとともに、システムのセキュリティを高く設定し常時監視しておりますが、通信インフラの破壊や故障等により当社が利用しているシステム全般が正常に稼働しない状態に陥ってしまった場合、あるいは情報漏えい・不具合が発生した場合等には、当社グループの社会的信用、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 (4)経営成績の推移等について ① 特定の販売先への依存について 当社グループの販売先は、製薬企業、医療機関、研究機関等を対象とする限定されたものであることから、取引先あたりの事業収益に占める依存度は高いものとなっております。 当社グループにおいては、今後においても新たな取引先を開拓することで取引先ごとの依存度低下を図る方針でありますが、当社グループの想定通り新たな提携先と契約が締結できる保証はありません。また、契約を締結している取引先の契約解消や取引先の経営方針・状況に著しい変更等が生じた場合については、当社グループの業績は大きく影響を受ける可能性があります。なお、当社グループの受領する対価のうち、医薬品の研究開発に関する対価は下記②のとおり、製薬企業との契約による契約一時金、マイルストーン及びロイヤリティ等となりますが、これらの対価は段階的に発生するため、その発生状況により、各連結会計年度における取引先あたりの事業収益に占める依存度は大きく変動する可能性があります。 ② 収益計上について 当社グループの医薬品の研究開発に関する事業は、製薬企業との契約により、その対価については、契約一時金、マイルストーン及びロイヤリティ等を段階的に受領することとしております。 契約一時金は、契約時に医薬品の開発・製造・販売権などを付与することで受け取ることができる収益であり、マイルストーンは、契約に基づき、予め設定された研究開発に関する進捗等イベントの達成に応じて受け取ることができる収益であります。契約一時金及びマイルストーンに係る収入については、履行義務が一時点で充足される場合には、開発権・販売権等を付与した時点、又は契約上定められたマイルストーンが達成された時点で契約上の履行義務が充足されたと判断し、当該時点で事業収益として認識しております。 ロイヤリティは、医薬品の上市後に販売額の一定料率を受け取ることができる収益であり、その発生時点を考慮して事業収益として認識しております。 また、一般的に医薬品の開発期間は基礎研究開始から上市までに通常10年以上の長期間に及ぶものでもあります。なお、発生については、その多くが契約締結先の製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するものであり、これらが事業収益として計上されるにはかなりの長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。 さらに、製薬企業等との契約締結の可否、契約締結時期及び収益の発生時期によって当社グループの業績は大きく変動する傾向にあり、これによる業績の上期又は下期への偏重が生じる可能性、または場合によっては決算期ごとの業績変動要因となる可能性があります。 ③ 研究開発費等が多額の見通しであることについて 当社グループは研究開発型企業として、当連結会計年度においては研究開発費534百万円を計上しております。今後も、臨床試験を実施する開発パイプラインの進展や拡大、自社の創薬研究、がんプレシジョン医療への積極的な取組み等により、研究開発費等が必要となると想定されます。しかしながら、他の製薬企業との契約締結が進まない場合や既存の提携先との契約解消等が生じた場合は、当社グループの業績の圧迫要因として業績に悪影響が生じる可能性があります。また、急速な成長、技術変化、市場の発展等環境の変化に伴い、当社グループは新たな戦略を実行し、その事業を展開するための必要資金は、現時点における想定以上に拡大する可能性があります。 (5)大学、研究機関との関係について ① 共同研究実施に係る費用負担について 当社グループは、大学、研究機関(以下、「大学等」という)との間で共同研究契約に基づく共同研究を実施しております。 当該共同研究にかかる当社グループの費用負担については、大学等との協議により、当該共同研究において必要と見込まれる直接経費等について大学等との相互協議により決定した金額を共同研究費として大学等に支払っております。当該費用については、契約期間分を一括して支払うこととなっているものもあり、契約期間に対応して費用計上しております。なお、共同研究における活動状況に応じて生じる追加費用等については、相互協議による契約変更の手続きにより追加支払いを行う場合もあります。 当社グループは、今後においても当社の事業基盤である共同研究を継続していく方針であり、相応の共同研究費を負担することとなります。 ② 各大学・研究機関教職員の兼業に係る利益相反の回避について 当社グループにおいては、本書提出日現在、各大学・研究機関の複数の研究者(教授等)が当社顧問等として兼業しております。当社グループとしてはこれらの兼業を行っている者との関係においては、利益相反等の行為が発生しないように法規制等を遵守するとともに、当社グループの企業運営上取締役会の監視等を通じて十分留意しております。しかしながら、このような留意にかかわらず、利益相反等の行為が発生した場合には、グループの利益を損ねる恐れがあるほか、社会的に指弾を受ける等の不利益を被り、その結果として当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6)知的財産権について ① 当社グループの特許に係る方針等について バイオ・テクノロジー関連業界、特に遺伝子関連事業においては、競合会社等に対抗していくために特許権その他の知的財産権の確保が非常に重要であると考えられます。 当社は、東京大学との共同研究の成果として生じたがん関連遺伝子及び遺伝子産物情報等ならびに一部のがんワクチンについて、国立大学法人化以前は東京大学と共同で特許を出願して参りましたが、これらの出願に関しては包括的な譲渡契約の締結により、既に当社への譲渡が完了しております。独立法人化以降の共同発明についても、同様に包括的な譲渡契約の締結により、既に当社への譲渡が完了しております。東京大学以外の大学との共同研究の成果として生じた医薬品候補物質等の共同発明については、大学と共同で特許を出願する場合と、譲渡契約に基づいて当社が単独で特許を出願する場合とがあります。また、製薬企業等との提携にかかる医薬品関連の特許については、発明の実体と提携契約に基づき提携先企業が出願する場合もあります。 なお、研究の過程において特許性を有する成果が生じた場合においても、特許出願については、有用性及び費用対効果等を考慮して行うものであり、全てについて特許を出願するものではなく、また、特許を出願及び取得した場合においても、特許の取得及び維持に係る費用等について、当社グループの事業の収益により全て回収できる保証はありません。 ② 出願特許について 当社は東京大学をはじめとした各大学との共同研究において発見したがん関連遺伝子及び遺伝子産物情報等ならびに医薬品候補物質等または当社が単独で見出した医薬品候補物質等について、2026年3月末現在においては、494件の特許を出願しております。しかしながら、当該特許が全て成立する保証はなく、特許出願によって当社の権利を確実に保全できる保証はありません。 遺伝子関連の特許については、個別の遺伝子特許が及ぶ権利範囲について日米欧の3極の特許庁が合意したガイドライン等は出ているものの、遺伝子を含む天然物関連の特許について新たなガイドライン等を採択する国がある等、複雑な法律上及び審査実務上の問題等が存在しております。また、日本及びその他の国の特許関連法規、あるいは、その解釈により、競合他社、大学あるいはその他の組織が、当社に対して補償等を行うことなく技術を使用し、医薬品等の開発及び販売を行うことができる可能性があります。 ③ 知的財産権に関する訴訟およびクレーム等について 本書提出日現在において、当社グループの事業に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はありません。 当社グループは、現時点においては、当社グループの事業に関し他者が保有する特許等への抵触により、事業に重大な支障を及ぼす可能性は低いものと認識しております。 ただし、潜在的なリスクとして、当社グループのような遺伝子関連企業にとって、このような知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であります。今後において、当社グループが第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、当社グループは弁護士や弁理士との協議の上、その内容によって個別具体的に対応策を検討していく方針でありますが、当該第三者の主張に理由があるなしにかかわらず、解決に時間及び多大の費用を要する可能性があり、場合によっては当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ④ 職務発明について 当社グループが職務発明の発明者から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社グループは当該発明者に対して特許法第35条第4項に定める相当の利益を支払わなければなりません。これまでに対価の支払いについて発明者との間で問題が生じたことはありませんが、潜在的なリスクとして、将来的に権利の対価の相当性について紛争が生じる可能性を否定することはできません。これらの紛争により、発明者に追加の対価を支払う事態になった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (7)バイオ・テクノロジー業界等にかかるリスクについて ① 業界動向について 近年、いわゆる「ヒトゲノム・プロジェクト」以降、バイオ・テクノロジー業界は急速に変化しており、遺伝子構造解析の段階から、遺伝子機能解析を進めることによりゲノム情報を用いた創薬、遺伝子治療、再生医療、がんプレシジョン医療といった分野の段階に進んでおり、ゲノム研究分野は急激な市場規模の拡大が見込まれております。同時に、業界への参入も従来の製薬関連メーカーのみならず、先進医療の材料を狙う繊維メーカー、発酵技術を持つ酒造メーカー、バイオ・インフォマティクス分野での取組みが目立つIT関連企業等、幅広い広がりを見せており、今後においても当該傾向は継続するものと当社は想定しております。 また、当社グループの事業に深い関連を有する抗がん剤市場を取り巻く状況は、高齢化の進行、がん診断による早期発見の増加、分子標的治療薬の登場、及びがんプレシジョン医療の進展等により、市場は拡大しており、当社グループは今後においても同様に市場は拡大するものと想定しております。 この様な市場の拡大は、参入企業の増加、潜在的な競合企業の増加の要因とも考えられ、また、異業種間の連携により技術革新等が飛躍的に進展する可能性もあり、当社グループを取り巻く事業環境は、急激な変化を生じる要素を数多く内包しているものと考えられます。 これらのことから、当該変化に柔軟に対応できなかった場合には、当社グループの事業戦略が予想どおり進まない可能性や事業戦略の変更を余儀なくされる可能性があり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの想定通りに市場拡大が図られなかった場合においても、当社グループの事業戦略等は変更を余儀なくされる可能性があります。 ② 競合について 当社グループが事業を展開するゲノム研究分野は急激な市場規模の拡大が見込まれており、国内外のベンチャー企業を含む多くの企業が参入しており、競争は激化する可能性があります。遺伝子の機能解析分野においては、競合企業として、製薬企業のみならず他の分野における資金力等を有する企業等もあります。また、がんプレシジョン医療関連事業につきましても、今後の市場拡大を見込み、新規参入企業が増加すると見込まれます。 がん関連遺伝子の単離・同定や機能解析、がん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業については、スピード競争的な要素も強く、競合他社が当該領域において先行した場合、当社グループの事業の優位性は低下する可能性があります。 また、これらの競争に巻き込まれ、当社グループの事業の優位性が低下する可能性、及び当社グループの事業展開において当社グループが想定する以上の資金が必要となる可能性もあります。 当社グループは、現時点において、東京大学医科学研究所との共同研究の成果であるがん遺伝子の高精度で網羅的な解析方法をはじめ、当社グループの研究開発等に優位性があるものと認識しておりますが、今後の競争激化による影響等により、当社グループの事業戦略や経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 技術革新について 当社グループが行う研究分野は、いずれも技術の革新及び進歩の度合いが著しく速いバイオ・テクノロジー分野に属しております。そのため、当社グループは、大学等公的研究機関、医療機関等との共同研究において、最先端の研究成果を速やかに導入できる体制を構築しております。 しかしながら、急激な研究の進歩等により医薬品の研究開発や、がんプレシジョン医療関連事業において有効と思われる研究成果等への対応が困難となった場合には、当社グループの事業展開に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、必要な研究成果を常に追求するためには多額の費用と時間を要することから、これにより当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。 (8)臨床検査事業に係るリスクについて ① 臨床検査事業の法的規制について 当社グループが実施するがん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業は、「臨床検査技師法に関する法律」により衛生検査所が所在する都道府県知事(その所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長)の許可を必要とし、衛生検査所の設備、管理組織等の面において、同法に基づく規制が実施されております。万一、法令違反により、営業停止または取消を受けることとなった場合や法改正等への対応のための事業運営費用の増加により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ② 検査過誤について 当社グループが実施するがん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業に係る検査過誤を防止するため、事業展開に応じた適切な標準作業書の整備や検査体制の構築に努めており、細心の注意を払い検査業務を行っておりますが、万一、検査過誤等による訴訟等が生じた場合、信用失墜や賠償責任等により当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 精度管理について 当社グループにおける精度管理は、検査結果の正確性を維持するために最も重要な事項であり、事業展開に応じた適切な精度管理体制の構築に努めるとともに、細心の注意を払い検査業務を行っておりますが、人為的ミスや適正な検査ができない場合は検査精度が低下し、信頼性が損なわれることや検査のやり直し等による納期遅延が発生することにより、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9)継続企業の前提に関する重要事象等 当社グループは、研究開発型企業として、医薬品の臨床試験を実施する開発パイプラインの拡充や拡大、積極的な創薬研究、がんプレシジョン医療への積極的な取組み等により、多額の研究開発費等が必要となっております。一方で、特に、医薬品の開発期間は基礎研究から上市まで通常10年以上の長期間に及ぶものでもあり、収益に先行して研究開発費が発生している等により、継続的に営業損失及びマイナスの営業キャッシュ・フローが発生しております。 このようなことから、今後の資金計画を含め、より保守的に検討したところ、当社グループは、当連結会計期間末において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しているものの、当連結会計期間末現在で、現金及び預金を2,089百万円有しており、当面は事業活動の継続性に懸念はなく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。 (10)重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対応策 ① 基礎研究の継続的な実施 当社グループは2001年から2013年にかけて元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所理事長、東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授)中村祐輔教授との共同研究により、ほぼ全てのがんを対象とした網羅的な遺伝子発現解析等を実施し、多くのがん治療薬開発に適した標的分子を同定いたしました。現在、それらの標的に対する創薬研究を積極的に展開し、これら創薬研究の成果を基にした複数の臨床試験を実施中又は準備中の医薬品候補物質を多数有しております。 基礎研究の継続的な実施は当社グループ事業の将来にかかる重要課題の一つとして認識しており、今後も当社独自及び共同研究等による研究体制の充実と円滑な推進のための対応を図っていく方針であります。 ② 創薬研究の確実な推進 当社グループは基礎研究の成果をもとに、臨床応用を目指して低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等の創薬研究を実施し、ファースト・イン・クラスの創薬を目指します。 ③ 臨床開発の確実かつ迅速な推進 当社グループは、「有効性が高く、より副作用の少ないがん治療薬・治療法を一日も早くがんに苦しむ患者さんに届けること、がんとの闘いに勝つこと」を企業使命とし、国内外において、当社グループ独自で複数の臨床試験を行っており、提携先製薬企業とも共同で臨床試験を行っております。当社グループは、非臨床試験データに基づいた適応症の選択を行い、臨床開発を確実かつ迅速に推進させていく方針です。 ④ 新規提携先の開拓及び既存提携先との提携事業の確実な推進 当社グループは、一日も早くがん治療薬を上市することを企業使命とし、今後とも新規提携先を積極的に開拓するとともに、提携先製薬企業との戦略的対話を促進し、提携先が実施する臨床開発の側面支援、後方支援を強化することにより提携事業を確実かつ迅速に進め、一日も早く当社グループの医薬品候補化合物の上市を目指します。 ⑤ がんプレシジョン医療関連事業への取組み がんプレシジョン医療関連事業につきましては、がん細胞の詳細な遺伝子解析サービス(全ゲノムシーケンス解析、ネオアンチゲン解析及びネオアンチゲン樹状細胞療法等)、血中のがん細胞を早期検出するためのリキッドバイオプシーといったがん遺伝子の大規模解析検査及びTCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サービスの共同研究及び事業実施に加えて、新規がん遺伝子パネル検査の開発やネオアンチゲン樹状細胞療法及びTCR遺伝子導入T細胞療法等の新しい個別化がん免疫療法の研究も進めてまいります。 ⑥ 経営環境及び経営者の問題意識と今後の方針について 当社グループの事業に深い関連を有する抗がん剤市場を取り巻く状況は、高齢化の進行、がん診断による早期発見の増加、分子標的治療薬の登場、及びがんプレシジョン医療の進展等により、市場は拡大しており、当社グループは今後においても同様に市場は拡大するものと想定しております。 この様な市場の拡大は、参入企業の増加、潜在的な競合企業の増加の要因とも考えられ、また、異業種間の連携により技術革新等が飛躍的に進展する可能性もあり、当社グループを取り巻く事業環境は、急激な変化を生じる要素を数多く内包しているものと考えられます。このような経営環境のもと、当社グループの事業展開における重要な要素としては、「事業推進のスピード」「事業領域の拡大」「リスクとリターンのバランス」といった3点が挙げられます。 事業推進のスピードにつきましては、医薬品業界、特にバイオテクノロジー業界においては、世界的な新薬開発競争とその新薬開発のための様々な研究開発や技術開発が世界的規模で行われており、当社グループの研究活動もこのスピード競争を勝ち抜き、質の高い研究成果を一日も早く臨床開発へ進展させることが当社の優位性を確保する上で非常に重要であると認識しております。また、今後市場が拡大すると予想するがんプレシジョン医療につきましても、質の高いがん遺伝子の大規模解析検査ならびにがん免疫療法の研究開発をより早く進展させることが非常に重要であると認識しております。 事業領域の拡大につきましては、現在当社グループは、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等で創薬研究を展開しており、さらにがんプレシジョン医療への積極的な取組み、特に保険診療を含む臨床市場をターゲットとした分野への参入等により、今後とも、より積極的に事業を拡大していく方針であります。また、臓器線維症治療標的として有望な可能性があるとされるキナーゼを強力かつ選択的に阻害する活性を持つ化合物を当社化合物ライブラリ内で確認したため、ライセンスアウトを目標に研究を実施しております。このような事業領域の拡大により、当社グループの研究成果を、より多くの医薬品開発用途へ応用することにより、事業価値を高めたいと考えています。 最後にリスクとリターンのバランスですが、当社グループの最大の強みは、自社で設計した新規の化学構造を有する独自の化合物ライブラリを持つことであり、またがんのみならず数多くのゲノム創薬にもとづく創薬ターゲットを所有していることであります。ただし、それら多数の創薬ターゲットの全てについて、多岐の用途にわたる創薬研究と臨床開発を、当社グループのみの資源と費用で、かつ世界的な競争に打ち勝つスピードで遂行することは、膨大な設備投資と研究開発費等を必要とし、資金的なリスクを生じせしめます。当社グループとしては、製薬企業等との積極的な提携契約の締結や研究開発の提携等により、製品化の可能性を極大化しつつ、リスクは経営上合理的なレベルにとどめる方針を現時点では採用しています。本方針により、事業展開からの成果や利益といったリターンをパートナーと共有することにはなりますが、可能性のある製品を商業化できないリスクやスピード競争に負けるリスクを低減することができます。なお、本社ならびに研究開発拠点の移転や、人員配置の見直しによる業務効率化等にも積極的に取り組んでおり、あらゆるコストの見直し及び削減を継続して強化してまいります。今後ともリスクとリターンのバランスに十分配慮し、最善と考えられる経営判断を行っていきたいと考えております。 (11)その他のリスク ① 研究活動にかかる補助金等について 当社グループは、自社の研究領域において、公的機関が実施する補助、助成制度を積極的に活用すべく、これら事業等への申請を積極的に実施していく方針でありますが、当社グループが申請する補助事業等について必ずしも採択される保証はありません。 ② 為替変動について 当社グループは、日本国内のほか、米国での臨床試験の実施をはじめとした在外企業、大学、研究機関等との共同研究や業務委託取引を積極的に行っております。当社グループは為替変動について、常にその動向を注視し、必要に応じて為替予約等リスク低減手段を一部講じることもありますが、かかる手段は為替変動リスクの全てを回避するものではなく、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を受ける可能性があります。 ③ 設備投資について 当社グループの事業領域においては、技術革新のスピードが速く、特に現在積極的な取り組みを進めておりますがんプレシジョン医療関連事業について、当社グループ事業の優位性を確保する目的等で新しい解析装置をはじめとした研究開発及び検査の設備投資を実施していく方針です。これらの設備投資は多額になる可能性もあり、また、その価値が下落した場合や期待通りの将来キャッシュ・フローが見込めない状況となった場合、減損処理が必要となり、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ④ 法的規制の影響について 当社グループの事業活動は、国内では、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」、「臨床研究法」等、海外ではFDA(米国食品医薬品局)による規制等、治療薬及び治療法の研究開発及びその提供に関係する国内外の法令等の改正や規制強化の影響を受け、当社グループの事業戦略や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは事業活動にあたって、関連法令を十分調査の上法令等を遵守して遂行しておりますが、当社グループが予期せずこれらの関連法令に抵触する等した場合、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ インセンティブの付与について 当社は、会社の利益が取締役及び従業員個々の利益と一体となり職務に精励する動機付けを行うため、また、社外のリソースを有効に活用し当社事業の円滑な遂行を図る目的で、当社の役員、従業員及び社外協力者等に対するインセンティブ制度を導入しております。 2026年3月末日現在における、当社の発行済株式総数は383,643,700株でありますが、これに対して、当社の役員、従業員及び社外協力者等に対する新株予約権に係る新株発行予定株数の合計は1,280,000株であります。 当該新株予約権が行使された場合は当社の株式価値は希薄化することとなり、また、株式市場での需給バランスに変動が発生し株価へ影響を及ぼす可能性もあります。 ⑥ 自然災害等の発生について 当社グループの各事業所ならびに当社グループが関与する研究ならびに臨床試験を実施または準備している地域において、地震等の大規模な自然災害や感染症等が発生し、設備等の損壊やインフラの機能停止等により当社グループの事業活動や臨床試験が停止した場合、当社グループの事業戦略や経営成績等が影響を受ける可能性があります。 ⑦ 配当政策について 当社は株主の皆様への利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しており、経営成績及び財政状態を勘案しつつ利益配当を検討して参りたいと考えております。しかしながら、将来のがんの治療薬の上市にむけ、基礎研究、創薬研究、ならびに医薬品の開発を継続的に実施する段階にあり、現時点では特に積極的な取り組みを進めておりますがんプレシジョン医療関連事業を推進するため、当面は内部留保に努め、研究開発資金の確保を優先しております。 ⑧ 新株予約権(第三者割当)について 当社は、2025年11月21日付の取締役会決議に基づき、2025年12月8日にLong Corridor Alpha Opportunities Master Fund、MAP246 Segregated Portfolio及びBEMAP Master Fund Ltd.を割当先として第三者割当による第38回新株予約権(行使価額修正条項付)計796,000個(79,600,000株)を発行しました。本新株予約権の行使価額には修正条項が付いており、また行使期間が2025年12月9日から2027年12月8日までの2年間となっていることから、株式市場の動向によっては計画どおりに資金調達ができない可能性があります。また、当該新株予約権が行使された場合は当社の株式価値が希薄化し、株価に影響を及ぼす可能性があります。 当該新株予約権の詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 1株式等の状況 (2)新株予約権等の状況 ③その他の新株予約権等の状況」をご参照ください。
経営成績の分析 (MD&A)7,166字を開く

業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ①財政状態及び経営成績の状況 当社グループは、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等の創薬研究を進展させるとともに、後期臨床開発を目指したがん幹細胞維持に重要なリン酸化酵素(キナーゼ)であるMELKを標的としたOTS167の臨床試験を米国で実施、がん治療用抗体医薬OTSA101の臨床試験を日本国内で実施し患者登録終了する等、当社グループ独自で実施している臨床開発の推進に加え、提携先製薬企業との戦略的対話をより促進し、提携先が実施する臨床開発の側面支援、後方支援を強力に推し進めてまいりました。また、臓器線維症治療標的として有望な可能性があるとされるキナーゼを強力かつ選択的に阻害する活性を持つ化合物を当社化合物ライブラリ内で確認したため、ライセンスアウトを目標に研究を実施しております。さらに、がんプレシジョン医療関連事業として、がん細胞の詳細な遺伝子解析サービス(全ゲノムシーケンス解析、ネオアンチゲン解析及びネオアンチゲン樹状細胞療法等)、血中のがん細胞を早期検出するためのリキッドバイオプシーといったがん遺伝子の大規模解析検査及びTCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サービスの共同研究及び事業実施に加えて、新規がん遺伝子パネル検査の開発やネオアンチゲン樹状細胞療法及びTCR遺伝子導入T細胞療法等の新しい個別化がん免疫療法の研究を行っております。 これらの結果、当連結会計年度の総資産は、2,359百万円(前連結会計年度末比1,204百万円増加)となりました。内訳としては、流動資産は2,309百万円(同 1,204百万円増加)となりました。これは、現金及び預金が1,255百万円増加したことが主な要因となっております。 負債の合計は217百万円(前連結会計年度末比208百万円減少)となりました。内訳としては、流動負債は169百万円(同 157百万円減少)となりました。これは、契約負債が129百万円減少したことが主な要因となっております。固定負債は47百万円(同 50百万円減少)となりました。これは、長期未払金が51百万円減少したことが主な要因となっております。 純資産は、2,141百万円(前連結会計年度末比1,412百万円増加)となりました。これは、資本剰余金が2,322百万円増加、利益剰余金が910百万円減少したことが主な要因となっております。 当連結会計年度における連結事業収益につきましては、解析サービス等による収入等の受領により、808百万円(前期比58百万円の増加)となりました。 また、医薬品候補物質の基礎研究、創薬研究の継続的な実施による研究開発費用の計上に加え、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬の3つの領域についての臨床開発進展による費用計上、がんプレシジョン医療関連事業に関する売上原価の計上を主な要因として、連結営業損失は810百万円(前期は797百万円の損失)、連結経常損失は845百万円(前期は815百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は910百万円(前期は815百万円の損失)となりました。 セグメント別経営成績は、次のとおりであります。 a. 「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業 ライセンス契約等に基づく収入により、事業収益は2百万円(前期比0百万円の減少)となりました。また、医薬品候補物質の基礎研究、創薬研究の継続的な実施による研究開発費用の計上に加え、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬の3つの領域についての臨床開発進展による研究開発費用の計上を主な要因として、営業損失は531百万円(前期は487百万円の損失)となりました。 なお、研究開発の状況の詳細につきましては、「第2 事業の状況 6研究開発活動 (2)研究開発活動 (a)「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業」をご覧ください。 b. がんプレシジョン医療関連事業 解析サービス等による収入の受領により、事業収益は806百万円(前期比59百万円の増加)となりました。また、遺伝子解析サービス(全ゲノムシーケンス解析、ネオアンチゲン解析及びネオアンチゲン樹状細胞療法等)、リキッドバイオプシー、TCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サービスに関する売上原価の計上等を主な要因として、営業損失は55百万円(前期は90百万円の損失)となりました。 なお、研究開発の状況の詳細につきましては、「第2 事業の状況 6研究開発活動 (2)研究開発活動 (b)がんプレシジョン医療関連事業」をご覧ください。 ②キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,089百万円(前連結会計年度比1,255百万円増加)となりました。 当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況は以下のとおりです。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、922百万円の資金の減少(前連結会計年度は815百万円の減少)となりました。これは、税金等調整前当期純損失908百万円を計上したことが主な要因となっております。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、63百万円の資金の減少(同 0百万円の減少)となりました。これは主として有形固定資産の取得による支出62百万円によるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、2,241百万円の資金の増加(同 1,121百万円の増加)となりました。これは主として株式の発行による収入2,284百万円によるものです。 ③生産、受注及び販売の実績 a.生産実績 当社の業務は、業務の性格上、生産として把握することが困難であるため、記載を省略しております。 b.受注実績 当社の「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業については、事業の性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。また、がんプレシジョン医療関連事業については、受注から納品までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。 c.販売実績 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称   当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)   前年同期比(%) 「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業(千円)   2,330   △22.1 がんプレシジョン医療関連事業(千円)   806,200   7.9 合計   808,530   7.8 (注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。 2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。 相手先   前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)   当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) 金額(千円)   割合(%)   金額(千円)   割合(%) 公益財団法人 がん研究会   346,403   46.2   337,929   41.8 医療法人慈生会 福岡がん総合クリニック   91,051   12.1   96,032   11.9 (注)当該割合が100分の10未満については記載を省略しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、本項に記載した将来に関する事項は本書提出日現在において判断したものであり、不確実性を内包しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。 ①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。また、連結財務諸表作成にあたっては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に基づき作成しておりますが、採用する会計基準には、当社グループの判断及び見積りを伴うものが含まれています。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、見積りが必要な場合には合理的な方法で算出しております。 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討等 A. 収益面の特徴 a.「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業 製薬企業との契約により、その対価については、契約一時金、マイルストーンおよびロイヤリティ等を段階的に受領することとしております。契約一時金は、契約時に医薬品の開発・製造・販売権などを付与することで受け取ることができる収益であり、マイルストーンは、契約に基づき、予め設定された研究開発に関する進捗等イベントの達成に応じて受け取ることができる収益であります。契約一時金及びマイルストーンに係る収入については、履行義務が一時点で充足される場合には、開発権・販売権等を付与した時点、又は契約上定められたマイルストーンが達成された時点で契約上の履行義務が充足されたと判断し、当該時点で事業収益として認識しております。ロイヤリティは、医薬品の上市後に販売額の一定料率を受け取ることができる収益であり、その発生時点を考慮して事業収益として認識しております。一般的に医薬品の開発期間は基礎研究開始から上市までに通常10年以上の長期間に及ぶものでもあります。事業収益の発生については、その多くが契約締結先の製薬企業等の研究開発の進捗および医薬品発売・販売の状況等に依存するもので、これらが事業収益として計上されるにはかなりの長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。さらに、製薬企業等との契約締結の可否、契約締結時期及び収益の発生時期によって当社グループの業績は大きく変動する傾向にあり、これによる業績の上期または下期への偏重が生じる可能性、または場合によっては決算期ごとの業績変動要因となる可能性があります。 b.がんプレシジョン医療関連事業 がんプレシジョン医療関連事業の収益は、がん細胞の詳細な遺伝子解析サービス(全ゲノムシーケンス解析、ネオアンチゲン解析及びネオアンチゲン樹状細胞療法等)、血中のがん細胞を早期検出するためのリキッドバイオプシーといったがん遺伝子の大規模解析検査及びTCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サービスを、医療機関、研究機関および製薬企業等から受託した収益であり、当該財又はサービスの支配が顧客に移転したことにより履行義務が充足される時に認識することとなりますが、当社グループにおける解析サービス等の国内の販売において、出荷時から当該財又はサービスの支配が顧客に移転される時までの期間が通常の期間である場合には、収益認識に関する会計基準の適用指針第98項を適用して出荷時に収益を認識しております。 B. 費用面の特徴 当社グループは研究開発型企業として、当連結会計年度においては研究開発費534百万円を計上しております。 a.「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業 当社グループは提携先との共同開発に加えて、早期ライセンスアウトを目標とした臨床開発に取り組んでいく方針であります。そのため、今後は、臨床試験を実施する開発パイプラインの進展や拡大等の研究開発費が必要となると想定されます。しかしながら、他の製薬企業との契約締結が進まない場合や既存の提携先との契約解消等が生じた場合は、当社グループの業績の圧迫要因として業績に悪影響が生じる可能性があります。また、急速な成長、技術変化、市場の発展等環境の変化に伴い、当社グループは新たな戦略を実行し、その事業を展開するための必要資金は、現時点における想定以上に拡大する可能性があります。 b.がんプレシジョン医療関連事業 がんプレシジョン医療関連事業においては、医療機関、研究機関および製薬企業等から受託または受託する予定の、がん細胞の詳細な遺伝子解析サービス(全ゲノムシーケンス解析、ネオアンチゲン解析及びネオアンチゲン樹状細胞療法等)、血中のがん細胞を早期検出するためのリキッドバイオプシーといったがん遺伝子の大規模解析検査及びTCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サービスについて受託件数に応じた費用発生のほか、これらサービスに関連する共同研究及び事業実施や、新規がん遺伝子パネル検査の開発、ネオアンチゲン樹状細胞療法及びTCR導入T細胞療法等の新しい個別化免疫療法の研究も行っており今後も継続的に研究開発費等が必要となると想定されます。 (当社グループの当連結会計年度の経営成績等) 「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりとなっております。 (当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因) 「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりとなっております。 (当社グループの資本の財源及び資金の流動性) 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりとなっております。また、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、次のとおりとなっております。 (参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移 2022年3月期   2023年3月期   2024年3月期   2025年3月期   2026年3月期 自己資本比率(%)   70.6   51.5   32.2   57.0   87.8 時価ベースの自己資本比率 (%)   495.0   599.0   501.9   658.4   341.5 キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)   -   -   -   -   - インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)   -   -   -   -   - 自己資本比率:自己資本/総資産 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い (注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。 (注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。 (注3)「キャッシュ・フロー対有利子負債比率」、「インタレスト・カバレッジ・レシオ」については営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。 当社グループが現在計画している資金計画については、主として、資金を創薬研究領域ならびに医薬開発領域における研究開発費、がんプレシジョン医療関連事業における諸経費及び研究開発費、具体的には外注費、人件費、衛生検査所としてのラボや解析検査設備の資金・運営・維持費用、消耗品等の購入費用に充当する方針であり、具体的な資金需要の発生までは、安全性の高い金融商品で運用していく計画であります。バイオ・テクノロジー業界等の当社グループを取り巻く外部環境については変化が速いことや、新規参入等により当社グループの事業環境に劇的な変動が生じる可能性があること等から、当社の経営判断として資金について、上記の対象以外に振り向けられる可能性も否定できません。また、当社グループ事業の性質上、研究開発資金等の多額な資金を必要とするものでありますが、急速な成長、技術変化、市場の発展等環境の変化に伴い、当社は新たな戦略を実行し、その事業を展開するための必要資金は、現時点における想定以上に拡大する可能性があります。 (経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等) 「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりとなっております。当連結会計年度の達成状況につきまして、連結事業収益につきましては、解析サービス等による収入等の受領により、808百万円(前期比58百万円の増加)となりました。また、研究開発費については、534百万円となりました。当期の経営成績ならびに研究開発活動の詳細につきましては「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」ならびに「第2 事業の状況 6研究開発活動 (2)研究開発活動」をご覧ください。

EDINET提出の有価証券報告書から自動抽出。表は文字起こしのため崩れることがあります。

開示資料

出典

このページの財務・役員・株主等のデータは、金融庁EDINETに提出された開示書類から自動抽出しています。会計基準は JapanGAAP

リンク先はEDINET (金融庁) の書類閲覧ページです。

関連する企業

関連企業

本ページは公的開示と市場データに、群青で示した解釈を重ねて構成しています。財務・株価の数値は開示・市場データをそのまま表示し、AIには生成させていません。 AI評価 (割安判定・スコア) は解釈です — 詳しくは編集方針をご覧ください。