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超!企業DB
日経平均64,325.64-1,890NYダウ52,980.73+214ドル円158.84-1NASDAQ26,208.82+109S&P 5007,666.58+35SOX 指数11,332.81+449/2終値

ラクオリア創薬

RaQualia Pharma Inc.4579 · Growth · 医薬品

ファイザー中央研究所出身の創薬ベンチャー。低分子化合物を軸に、消化器・疼痛領域からがん・神経領域まで開発パイプラインを製薬企業へ導出する研究開発型企業。

概要

ラクオリア創薬は、GPCR(Gタンパク質共役型受容体)を標的とした低分子創薬に特化する研究開発型ベンチャーである。愛知県名古屋市に本社を置き、従業員85名。自社で創出した化合物を製薬企業に導出(ライセンスアウト)することで収益を得るビジネスモデルを採用する。2025年12月期は売上高40億円、営業利益5億円と黒字転換の見通し。

導出型ビジネスモデルと3つの収益源

当社グループの収益は、開発化合物を製薬企業に導出することにより獲得される。契約締結時に受け取る契約一時金、研究開発の進捗に応じて受け取るマイルストン収入、医薬品上市後に販売額の一定割合を受け取るロイヤルティ収入の3つが主な柱である。リスクとコストの大きい後期臨床試験は導出先が担うため、自社の研究開発費を抑制しつつ、高収益を目指す構造となっている。

消化器と疼痛に始まり、がん・神経へ拡大した研究領域

創業時は消化器疾患と疼痛疾患を重点領域としていたが、2014年以降に名古屋大学や岐阜薬科大学との産学連携を進め、2021年にはテムリック株式会社とファイメクス株式会社の買収によりがんと神経疾患へ領域を拡大した。現在のパイプラインは、上市済みのtegoprazanをはじめ、5-HT4作動薬、TRPM8遮断薬、タミバロテンなど多様なモダリティにまたがる。

tegoprazanのグローバル展開と57カ国での事業活動

主力製品tegoprazanは、韓国HK inno.N社に導出され、韓国市場では消化性潰瘍治療薬シェア15%で第1位である。2025年12月期の韓国処方データは2,179億ウォン(約240億円)に達した。米国では第Ⅲ相臨床試験が成功裏に完了し、日本を含む世界57カ国で開発・販売が進む。インドではDr. Reddy's社が販売承認を取得し、同国市場への参入が始まった。

連結子会社2社とグループ再編

当社グループは、ラクオリア創薬株式会社を存続会社とし、テムリック株式会社とファイメクス株式会社の2社を連結子会社とする。テムリックはタミバロテンなどの癌領域のパイプラインを、ファイメクスはタンパク質分解誘導技術を持つ。2026年1月1日付でテムリックを吸収合併し、経営資源の集中と効率化を図る予定である。

業界の中での役割は創薬ベンチャーとして、製薬企業に対して新薬候補化合物を供給するにあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

売上高
40億円
営業利益
5億円
営業利益率
12.5%
純利益
3億円
2025/12 通期の連結業績。決算の内訳は最新の決算以降にあります。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2025/3期)より

01製薬企業(ヒト用医薬品)主力

消化器疾患、疼痛、がん、神経疾患など医療ニーズの高い領域で、独自に創出した低分子化合物を主に前期第Ⅱ相臨床試験まで自社で開発し、その後製薬企業へ導出する。導出契約に伴う契約一時金、マイルストン収入、上市後のロイヤルティ収入が主な収益源。

主要顧客HK inno.N Corporation、旭化成ファーマ株式会社、久光製薬株式会社、Xgene Pharmaceutical Co. Ltd.

主な製品・サービス4
tegoprazan(P-CAB)
カリウムイオン競合型アシッドブロッカー。胃酸分泌を抑制し、胃食道逆流症などを適応とする。韓国、中国などで販売中。
grapiprant(EP4拮抗薬)
プロスタグランジンEP4受容体拮抗薬。疼痛やがんを適応とし、中国などで臨床試験が進む。
RQ-00317076(COX-2阻害薬)
シクロオキシゲナーゼ-2を選択的に阻害する非ステロイド性抗炎症薬。疼痛治療を目的とし、中国で臨床第Ⅰ相試験実施中。
RQ-00202730(CB2作動薬)
カンナビノイドCB2受容体作動薬。疼痛などを適応とし、英国で臨床第Ⅰ相試験実施中。

02動物用医薬品市場準主力

ヒト用医薬品で開発した化合物を動物用医薬品としても導出。犬の食欲不振、変形性関節症などを適応とする製品が上市され、米国・欧州・日本などで販売されている。動物用医薬品領域は、ヒト用医薬品と異なる規制・市場に合わせた導出戦略を展開。

主要顧客Elanco Animal Health Inc.、株式会社AskAt、Vetbiolix SAS、Velovia Pharma, LLC

主な製品・サービス2
capromorelin(ENTYCE™/ELURA™)
グレリン受容体作動薬。犬の食欲不振、猫の慢性腎疾患に伴う体重減少を適応とし、米国などで販売中。
grapiprant(GALLIPRANT®)
EP4拮抗薬。犬の変形性関節症に伴う疼痛の治療薬として、米国、欧州、日本などで販売中。

製品と技術

tegoprazan:世界19カ国で販売されるP-CAB

tegoprazan(開発コードRQ-00000004)は、カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)であり、胃食道逆流症や消化性潰瘍の治療薬である。韓国HK inno.N社がK-CAB®の製品名で販売し、同国市場でシェア15%を占める。米国ではBraintree Laboratoriesが第Ⅲ相臨床試験を実施し、主要評価項目を達成。インドではDr. Reddy's社が承認を取得した。当社は全世界に対する権利をHK inno.N社に導出し、ロイヤルティ収入を得ている。

消化器系パイプライン:後期臨床準備中の複数の候補

消化器領域では、5-HT4作動薬(RQ-00000010)が胃不全麻痺や慢性便秘を適応として英国で第Ⅰ相臨床試験を終了した。5-HT2B拮抗薬(RQ-00310941)は下痢型過敏性腸症候群を対象に同様の段階にある。モチリン受容体作動薬(RQ-00201894)とグレリン受容体作動薬(RQ-00433412)は前臨床試験を終え、導出準備が進められている。これらの候補はいずれもGPCRを標的とし、当社のコア技術の延長線上にある。

疼痛・がん領域への展開と新規モダリティ

疼痛領域では、TRPM8遮断薬(RQ-00434739)が慢性疼痛を適応として豪州で第Ⅰ相臨床試験中である。選択的ナトリウムチャネル遮断薬やCOX-2阻害薬も含め、複数の疼痛関連プログラムが進行する。がん領域では、テムリック由来のタミバロテン(TM-411)が臨床段階にあり、ファイメクス由来のIRAK-M分解誘導薬(FIM-001)は前臨床試験中である。さらに、タンパク質分解誘導剤やmRNA標的低分子といった新規モダリティの研究も開始している。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

医薬品のなかでの位置

創薬ベンチャー、収益化目前で黒字転換へ

ラクオリア創薬は医薬品業界の創薬ベンチャー。売上高は2023/12期19億円から2024/12期31億円、2025/12期40億円と急拡大。営業利益は2024/12期▲6.5%から2025/12期12.5%と黒字転換見込み。同業のVeritas In SilicoやChordia Therapeuticsと比較しても、収益化への道筋が明確。ライセンス収入や提携が成長ドライバー。創薬パイプラインの進捗が注目される。

強み

  • 2025/12期に営業利益率12.5%と収益性が大幅改善
  • 3期連続で50%以上の増収、2025/12期は40億円
  • 独自の創薬プラットフォームで複数のパイプラインを育成
  • 大手製薬との提携により開発リスク軽減と収入確保

課題

  • パイプラインの臨床試験失敗が業績に直結する高いリスク
  • 研究開発には多額の資金が必要、収益化後も投資継続
  • 同業の創薬ベンチャーとの競争激化、差別化が必須

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

医薬品の時価総額近傍。太字がラクオリア創薬

時価総額で並べると、掲載11社のなかで6番目にあたる。

#企業時価総額PER
14599ステムリム194億円
2504Aイノバセル191億円
34575キャンバス170億円
44889レナサイエンス158億円
54563アンジェス152億円
64579ラクオリア創薬133億円62.4倍
74574大幸薬品130億円18.8倍
84888ステラファーマ121億円
94512わかもと製薬108億円47.2倍
104570免疫生物研究所96億円29.2倍
114524森下仁丹93億円14.6倍

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は東証33業種の分類に従っています。

会社の歴史

沿革 0件

ファイザー中央研究所を母体に独立した創薬ベンチャー

当社は、ファイザー株式会社中央研究所を前身として設立された。同研究所で培われたGPCR創薬のノウハウを引き継ぎ、低分子化合物の探索研究から臨床開発まで一貫して行う体制を構築した。設立時期は明らかでないが、2012年から有価証券報告書の開示が行われており、研究開発型ベンチャーとしての活動を開始している。

2014年、名古屋大学への研究拠点移転

2014年、当社は研究拠点を名古屋大学に移した。アカデミアの最先端研究に近接することで、創薬標的の探索と検証を効率化し、産学連携による革新的な化合物創出を目指した。この移転により、消化器・疼痛領域に加え、幅広い疾患領域のテーマに取り組む基盤が整った。

2021年、岐阜薬科大学との産学連携講座開設

2021年、岐阜薬科大学に産学連携講座を設置した。名古屋大学に続く2つ目のアカデミア連携拠点であり、低分子化合物以外の新規モダリティへの展開を加速する目的があった。この講座では、タンパク質分解誘導剤やmRNA標的低分子など、次世代の創薬技術の研究が進められている。

子会社買収による疾患領域の拡大

当社は、テムリック株式会社とファイメクス株式会社を買収し、連結子会社化した。テムリックはレチノイド受容体作動薬タミバロテンを持ち、がん領域への進出を可能にした。ファイメクスはIRAK-M分解誘導薬など免疫・がん領域のパイプラインを有し、モダリティの多様化に貢献している。買収時期は公表されていないが、これにより研究開発ポートフォリオが大きく拡充した。

赤字基調からの脱却と黒字転換の見通し

財務数値によれば、2012年から2020年までは毎期営業損失または純損失を計上していた。しかし、2021年に純利益8億円、2022年には7億円と黒字を達成。その後2023年は3億円の純損失に転じたものの、2025年12月期には売上高40億円、営業利益5億円、純利益3億円の黒字転換を見込む。収益の安定化には、導出品目の上市とロイヤルティ収入の積み上げが鍵となる。

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2025/12期の経営方針より

会社は5つの方針を掲げている。そのうち3項目には、達成する数字が明記されている。

会社が掲げている数値目標
  • 3期連続の営業黒字3期連続の営業黒字
  • 毎期の新規ライセンス契約獲得数毎期1件以上
  • 新規共同研究契約獲得数(ファイメクス)毎期1件以上

有価証券報告書の原文に書かれた目標だけを載せています。達成度の評価や推計は加えていません。

  1. 01

    導出及びアライアンスマネジメント戦略

    探索から開発までの全段階の研究開発ポートフォリオを対象に導出活動を展開。全世界への権利導出を優先しつつ、地域・剤形・動物用など多様な形態で収益最大化を図る。導出後も導出先と協力し開発支援とアライアンスマネジメントを推進する。

  2. 02

    研究開発ポートフォリオの強化とモダリティ拡張

    疼痛・消化管に加え、がんや神経疾患など医療ニーズの高い領域へ拡大。タンパク質分解誘導剤やmRNA標的低分子等の新規モダリティに取り組む。産学連携や企業買収・提携を通じて研究開発ポートフォリオを継続的に強化する。

  3. 03

    開発プロジェクトの価値向上と早期収益化

    選択と集中をさらに発展させ、成長ドライバー品目へ戦略的投資を実施。内部リソース集中に加え外部プロジェクト・ファイナンスも活用し開発を加速。プロジェクト価値向上による将来的な収益積み上げを目指す。

  4. 04

    導出活動の強化とファイメクスの共同研究拡大

    導出準備プログラムからの毎期1件以上のライセンス契約獲得を目標とする。パートナー候補拡大や交渉深化により導出活動を強化。ファイメクス事業でも毎期1件以上の新規共同研究契約獲得を目指す。

  5. 05

    財務基盤強化と人的資本拡充

    中期的に3期連続の営業黒字と安定的収益成長を目標に、資金調達多様化・コスト管理高度化を実施。専門人材の計画採用・育成、研究環境高度化、従業員エンゲージメント向上に取り組む。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 10期分

グループ全体で85人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は756万円で、9期前と比べて+4.4%平均年齢は48.1歳、平均勤続年数は10.1年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数一人当たり営業利益万円
2016年12月50
2017年12月60
2018年12月63
2019年12月72446.37.468
2020年12月75147.38.170
2021年12月73746.58.767
2022年12月70347.510.765
2023年12月72646.48.967
2024年12月74348.210.485−235
2025年12月75648.110.185588

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

多様性の開示2025年12月期・提出会社(単体)
女性管理職比率13.6%
縦線は目安の30%
女性の賃金(男性=100)70.5%
100なら男女で差がない状態

拠点とグループ

設備と関係会社

関係会社2(国内 2 / 海外 0、うち連結子会社 2) を有報から抽出しています。

主要な設備 (帳簿価額 上位4)
研究開発部門 — 名古屋市千種区355百万円
本社他 — 神奈川県藤沢市65百万円
湘南アイパークラボ — 神奈川県藤沢市26百万円
本社 — 名古屋市中村区19百万円
主な関係会社
  • 国内
    テムリック株式会社
    東京都新宿区 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 国内
    ファイメクス株式会社
    神奈川県藤沢市 · 連結子会社
    議決権100.0%

業績のいま

有価証券報告書・決算短信より

2025年12月期の売上高は40億円営業利益5億円前期と比べると増収で、売上が+29.0%。

売上高
+29.0%
40億円
営業利益
5億円
純利益
3億円
営業利益率
12.5%
前期比 +19.0%pt

会社が出している今期の予想2026年12月期

項目会社予想前期実績
売上高40億円40億円
営業利益2億円5億円
純利益-1億円3億円
1株あたり配当¥0¥0

会社が決算短信で公表した予想です。証券会社の予想ではありません。 短信の原本

四半期の推移

10期分

直近は2026年2Qで、売上は15億円、営業利益は−3億円。

対象期間売上高億円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2022年1Q3−1−33.3−1
2022年3Q19−1−5.30
2022年4Q102
2023年1Q4−1−25.0−1
2023年3Q15−1−6.7−1
2023年4Q4−2
2024年1Q600.0−1
2024年4Q3100.0−2
2025年4Q40717.57
2026年2Q15−3−20.0−5

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。

業績の推移

有価証券報告書 14期分

直近期の営業利益率は12.5%。売上は2期連続で増加。

決算期売上高億円営業利益億円経常利益億円営業利益率%純利益億円
2012年12月0−29−29
2013年12月2−18−11
2014年12月2−21−6
2015年12月1−18−19
2016年12月7−7−7
2017年12月14−1−1
2018年12月7−11−11
2019年12月1700
2020年12月11−5−6
2021年12月2898
2022年12月2997
2023年12月19−3−3
2024年12月31−2−4−6.5−5
2025年12月405412.53

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。空欄の期は有価証券報告書からその項目の数値が取れていません(0ではありません)。

利益の構造

2025年12月期

売上高40億円のうち、営業利益として残るのは5億円12.5%。営業外の損益と税金を反映した純利益は3億円、売上の7.5%にあたる。営業利益率は業種中央値2.9%を上回る水準。

売上高を100としたときの内訳
  • 費用事業を回すためにかかったお金87.5%35億円
  • 営業利益費用を引いたあとに残った本業の利益12.5%5億円

有価証券報告書の損益計算書から、当期の金額をそのまま割り振っています。

営業利益率業種比+9.6pt
12.5%
本業の利益として残る割合
純利益率業種比+4.8pt
7.5%
税金まで払って最後に残る割合
ROE業種比1.5pt
4.4%
株主のお金がどれだけ利益を生んだか
ROA
2.9%
資産全体がどれだけ利益を生んだか
ROIC
4.8%
事業に使うお金がどれだけ利益を生んだか

ROICは有利子負債の開示がないため、営業利益×0.7÷(総資産−現金)の簡易式で算出しています。

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 14期分

2025年12月期は営業CFが−4億円、投資CFが1億円で、差し引きのフリーCFは−3億円この組み合わせは立て直し型にあたる。本業の赤字を資産売却と資金調達で補っている。事業転換の途上期末の手元現金は32億円で、売上の9.6ヶ月分にあたる

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2012年12月−27371049
2013年12月−22103−1240
2014年12月−21−88−2920
2015年12月−21717−1422
2016年12月−7−4−1111
2017年12月−3510225
2018年12月−4−41−818
2019年12月−527−322
2020年12月−320−121
2021年12月4−30122
2022年12月15001537
2023年12月−7−18−837
2024年12月2−3730−3531
2025年12月−414−332

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 14期分

2025年12月期の総資産は105億円。このうち返さなくてよい自己資本が69億円で、自己資本比率は65.1%(業種中央値69.9%より薄い)

決算期総資産億円自己資本億円負債億円自己資本比率%
2012年12月5553296.5
2013年12月6657985.9
2014年12月5247589.6
2015年12月4845394.8
2016年12月4038293.9
2017年12月5149296.2
2018年12月4139294.9
2019年12月4846295.3
2020年12月4340394.1
2021年12月5248491.3
2022年12月6355887.7
2023年12月6961888.7
2024年12月97564157.4
2025年12月105693665.1

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2025年12月期の内訳
現金及び預金
32億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
2億円
過去の利益の積み上がり
負債合計
36億円
いつか返す必要があるお金
財務の健全性
75
/ 100
安定性自己資本比率40 / 40
収益力営業利益率25 / 30
現金創出営業CFの黒字継続10 / 30

有価証券報告書の数値から機械的に配点した参考値です。自己資本比率60%で満点、営業利益率15%で満点、直近3期の営業CFが黒字だった割合の3つを足しています。業態によって出ない要素があります。

業界内での比較

医薬品 79社との比較

同じ医薬品の企業と並べると、いちばん上に来るのは売上成長率79社中10位あたり、逆に低いのはROE79社中51位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
4.4%/中央値 5.9%
P25 2.0%P75 11.0%
営業利益率上位売上のうち本業の利益として残る割合
12.5%/中央値 2.9%
P25 -162.5%P75 11.5%
自己資本比率総資産のうち返済のいらないお金の割合
65.1%/中央値 69.9%
P25 53.4%P75 84.5%
売上成長率上位前期からの売上の伸び
29.0%/中央値 2.8%
P25 -1.3%P75 12.0%
配当利回り株価に対して1年で受け取る配当の割合
/中央値 2.9%
P25 2.3%P75 3.5%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月2日の終値

直近の終値は¥545で、1年前と比べて-5.4%過去52週の値幅のなかでは10%の位置にある。

¥545-2.0%1ヶ月+11.7%1年-5.4%時価総額133億円
過去52週の値幅
安値¥438高値¥1,465

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標
PER (実績)62.4倍
PBR1.81倍

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

前日比+5.17%と急伸し、終値570円。25日線(490円)を大きく上回り、75日線(529円)も突破。1ヶ月+23.38%と急上昇中。52週高値1465円からは61%下落した位置だが、安値438円からは30%回復。RSIは93と過熱感が強く、短期的な調整に注意。出来高は増加傾向。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

AIの評価

AI評価

株価水準の解釈です。売買の推奨ではありません

現在の株価水準を割高と判定しています(スコア 25/100)

PERは45.43倍と同業界平均の27.8倍を大きく上回っており、割高感が強い。PBRは1.66倍で業界平均の3.22倍を下回るが、ROEが4.4%と低く、収益性が株価に反映されていない。配当利回りはデータがないため評価できない。業績は赤字から黒字転換の途上で、2025年12月期には営業利益5億円と改善が見込まれるが、現時点のバリュエーションは業績改善を先取りしすぎている感がある。割高だが、成長期待を織り込むと妥当性は若干高まる。

指標この会社業種平均
PER (実績)62.4倍36.0倍
PBR1.81倍3.53倍
ROE4.4%6.5%

業種平均は同じ東証33業種に属する銘柄の単純平均です。銘柄数が少ない業種では平均が振れます。

AI評価判定とスコアは公開データをもとにした解釈で、将来の株価を示すものではありません。算出の考え方は編集方針に記載しています。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

収益の柱は製薬企業への導出契約。2025/12期予想は売上高40億円、営業利益5億円と黒字転換が見込まれる一方、通期の黒字化はマイルストン収入の進捗に依存する。強気派は、研究開発費を抑えつつ導出を増やし、収益性が大きく改善するとみる。他方、弱気派は、売上高の変動が大きく、パイプラインの進捗次第で赤字が続く可能性を指摘する。また、PBR1.66倍、PER45倍と評価面が割高との見方もある。研究開発型企業の宿命で、成果の不確実性が高いことは否めない。

プラスに働く材料7
  • 黒字転換と成長期待

    2025/12期は売上高40億円、営業利益5億円の予想で、収益改善が鮮明。マイルストン収入が寄与。

  • パイプライン進捗

    GPCR創薬で消化器系や疼痛領域の候補が後期段階に進み、追加導出の可能性が高い。

  • 評価面での割安感

    PBRは1.66倍と、創薬ベンチャーとしては景気循環を織り込めば過大ではない。

  • 営業利益が5億円と黒字化、純利益も3億円の黒字決算発表後影響

    2025年12月期は営業利益5億円(前期-2億円)、純利益3億円へ転換

  • 売上高が2023年19億→2025年40億円と2倍以上に拡大通年影響

    売上高は2023年比2.1倍の40億円、成長が加速

  • 営業利益率が12.5%と高収益を達成、構造改革の成果通年影響

    前期-6.45%から12.5%へ大幅改善、収益性が向上

  • 黒字化により自己資本が充実、今後の研究開発投資余力継続影響

    純利益3億円の計上で自己資本が増加、財務基盤が強化

マイナスに働く材料7
  • 収益の不安定さ

    過去3期は売上高が19〜31億円と変動が激しく、黒字化の持続性に疑問あり。

  • 研究開発の不確実性

    創薬は失敗リスクが高く、開発の遅延や中止で評価が急落する恐れがある。

  • 評価の割高感

    PER約45倍と、想定金利や成長率を考慮すると、やや高く見える。

  • PER45.3倍と割高、利益成長が鈍化すれば調整リスク決算発表後影響

    時価総額126億円に対し純利益3億円、PER45.29倍と高評価

  • 過去2期連続赤字の実績、黒字定着に不透明感継続影響

    2023年-3億円、2024年-5億円の赤字を経ての黒字化、持続性が焦点

  • 無配当で株主還元がなく、資金流出リスク継続影響

    配当利回りは0%で、株主はキャピタルゲインのみに依存

  • 研究開発費の増加で再び赤字転落の恐れ不定影響

    創薬型企業のため開発費変動が大きく、費用増が利益を圧迫

次の決算で確かめる点
導出契約数
収益の土台。新規契約やマイルストン達成が業績に直結する。
研究開発費比率
企業価値の源泉。投資と収益性のバランスを見る指標。
営業利益率
黒字化の定着度や、事業としての競争力を示す。

株主

有価証券報告書より

2025年12月期末の株主数は延べ12,501人。区分でいちばん多いのは個人・その他76.6%。グループ会社や銀行などの安定株主が7.7%を占め、残る92.3%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2020年12月%2021年12月%2022年12月%2023年12月%2024年12月%2025年12月%
個人・その他81.577.574.282.483.776.6
外国法人5.55.18.64.44.612.7
事業法人5.55.88.49.99.87.4
証券会社7.28.38.43.01.52.9
金融機関0.23.10.30.10.20.2
外国人個人0.10.10.10.20.20.2

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01KOREA SECURITIES DEPOSITORY-SAMSUNG (常任代理人シティバンク、エヌ・エイ東京支店)10.61
02柿沼 佑一9.75
03ファイザー株式会社3.04
04モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社1.21
05株式会社エス・ビー・シー1.03
06株式会社アドバンスト・メディア0.92
07東京短資株式会社0.91
08田名後 貴裕0.69
09香本 育良0.64
10野村證券株式会社0.64

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 14期分

1株利益は14期で+105%、1株純資産は14期で−30%。直近期のROEは4.4%で、日本株の目安とされる8%を下回る。

決算期EPSBPSROE%PER
2012年12月−219400
2013年12月−83424
2014年12月−46315
2015年12月−116240
2016年12月−39201
2017年12月−3240
2018年12月−54189
2019年12月02200.15157.7
2020年12月−29191
2021年12月3622817.232.5
2022年12月3526214.135.7
2023年12月−15282
2024年12月−23254
2025年12月122804.487.6

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安
ROE自己資本利益率
株主のお金でどれだけ稼いだか。日本株では8%が一つの目安
PER期末実績
株価が1年分の利益の何倍か。低いほど割安とは限らず、期待の低さのこともある

経営陣

10名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は10名。2025/12期の役員報酬は総額76百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約2倍にあたる。

氏名役職年齢保有株数
須藤正樹代表取締役5530,232
宇都克裕取締役5219,739
土屋裕弘取締役79
石井幸佑取締役(監査等委員)44
柿沼佑一取締役(監査等委員)482,384,700
中野貴之取締役(監査等委員)55
藤井寿45
宋根石取締役59
棚瀬敦取締役69
谷匡治取締役52

役員報酬の内訳2025/12

役員の区分人数固定報酬百万円業績連動百万円その他百万円合計百万円1人あたり百万円
取締役(社内)342465217
社外取締役524245

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2025/12期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容7,196字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3【事業の内容】 当社グループは、単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。 (1)事業の概要 当社グループは、当社(ラクオリア創薬株式会社)及び連結子会社2社(テムリック株式会社及びファイメクス株式会社)により構成されております。 なお、2026年1月1日付で、当社を存続会社、テムリック株式会社を消滅会社とする吸収合併を行っております。 当社グループは、先端科学技術を活用し、医療分野においてニーズの高い疾患領域に対する新たな医薬品を生み出すことを目指す研究開発型の創薬ベンチャー企業であり、独自に創出した開発化合物(*)の知的財産権を製薬企業各社等に対して導出(使用許諾契約によりライセンスアウト)することにより収益を獲得することを事業展開の基本としております。 ① 当社グループの事業の背景 世界的な規模で進行する人口の高齢化や新興国の発展により世界の医薬品市場は拡大しています。遺伝子治療、細胞医薬、デジタルヘルスケア等、新たな技術が医薬品の開発や治療法に革新をもたらし、これらの技術がさらなる成長をもたらす可能性があります。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により製薬業界も大きな変化を経験しましたが、mRNAワクチンの開発・製造・販売等、業界の成長に寄与する変化も生まれました。一方、日本国内では、常態化した毎年の薬価改定による薬剤費の削減や医療保険の適用基準の厳格化等の影響により、医薬品販売高の成長率は鈍化しております。また、近年、新薬開発の成功確率の低下と必要なコストの増加により、製薬企業各社の研究開発費は増加の一途をたどっています。 このような状況の中、製薬企業各社は、医薬品として成功する可能性の高い高品質な開発化合物(*)を外部からも積極的に導入し、パイプラインを充実させております。米国では新薬の約6割の起源がバイオベンチャー由来とされており、医療ニーズに応える新薬候補の供給源としてのバイオベンチャーに対する期待はますます高まっております。当社グループは研究開発型の創薬ベンチャー企業として、このような製薬企業各社の期待に応えるべく、自社の研究開発に留まらず、アカデミアやスタートアップ、ベンチャー企業等との協力関係を深め、次世代型創薬バリューチェーンの構築を通じて、医薬品の研究開発事業を展開しております。 ② 医薬品研究開発の一般的進行(*)及び当社グループの事業領域 一般的に新薬の開発は、探索研究、前臨床試験、臨床試験、厚生労働省(あるいは米国食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)等の各国の医薬品許認可審査機関)への製造販売承認申請、医薬品としての承認取得、薬価基準収載(*)を経て行われます。その後、初めて新薬として販売が開始され、病院・医師・患者へ提供することが可能となります。 (注)医薬品の研究開発における標準的な各段階の所要年数は、あくまでも標準的な想定期間を表示したものであり、各プロジェクトがこの想定期間どおりに進捗するとは限りません。各プロジェクトが経過した、あるいは現在進行中の各段階の幅についても、実際の所要期間あるいは想定所要期間を示すものではありません。 当社グループは、医薬品の研究開発段階のうち、探索研究段階、前臨床試験段階及び初期臨床試験段階を主たる事業分野としております。第Ⅲ相臨床試験などの後期臨床試験段階においては多額の研究開発費が必要となるため、当社グループにおける研究開発に係る費用及びリスク負担を低減する目的から、有効性及び安全性が概ね評価可能となる段階(前期第Ⅱ相臨床試験)までを当社グループにて行い、その後製薬企業各社等へ開発化合物(*)を導出することを基本としております。 ③ 低分子化合物から新規モダリティ(*)への展開を目指す研究開発活動 当社グループは、従来、低分子化合物に係る研究開発を行ってまいりました。近年、医薬品業界においては、抗体医薬やワクチン等のいわゆるバイオ医薬の研究開発が盛んに行われておりますが、低分子化合物は依然として医薬品開発の大きな柱であります。当社グループにおきましては、これまで蓄積してきた低分子化合物に係る高い技術力を軸に据えつつ、業界の動向や当社グループが保有する技術との親和性等を総合的に考慮して低分子化合物以外の新たなモダリティ(*)への展開にも取り組んでおります。 ④ 研究開発活動 (A)研究開発の概要 当社グループの研究開発部門が行っている研究開発の概要とその流れは、以下のとおりであります。当社グループでは、創薬標的分子(*)の探索から初期臨床試験(主として第Ⅰ相臨床試験、必要に応じて前期第Ⅱ相臨床試験)まで、博士・修士号を有した研究者を中心にこの業務を推進しております。 (B)当社グループの研究開発体制 当社グループは、豊富な知識と経験を有する研究員を有し、国内バイオベンチャートップクラスのインフラを最大限に活かした創薬研究開発体制を構築しております。 a)プロジェクトを中心とした研究開発体制 当社グループの研究開発体制は、組織横断的なプロジェクトを単位として運営されており、迅速な意思決定及び業務の遂行を可能にしております。実際の業務は、プロジェクト単位で協議し決定され、特に重要な方針に関わる場合は、プロジェクトから経営戦略委員会へ提案が行われ、その決定は速やかにプロジェクト活動に反映されます。 b)研究・開発・事業開発活動の一体化 当社グループにおいては、探索研究から開発そして導出に至るまで、プロジェクトチームが一貫して主体性を持ち、組織横断的に業務を実施しております。これにより、一貫した研究・開発、導出計画の下、必要な情報を随時共有し、適切な情報をタイムリーに導出先企業に提供することを可能としております。 (C)研究開発ポートフォリオ(*)による展開 当社グループの研究開発は、創薬の初期段階を担うものであり、少数の限られたプロジェクトを選択して経営資源を集中することにより、研究開発ポートフォリオ(*)を拡充し、製薬企業各社等へ開発化合物(*)を導出していくことに重点を置いたものであります。 医薬品開発は、研究開発のいずれの段階においても、安全性、有効性及び薬物動態(*)並びにその他の開発上の問題から中止される可能性があります。当社グループにおいては、探索段階から海外市場において上市済みのものまで、各段階のプロジェクトを保有しており、さらに、自社の探索研究から新たな開発化合物(*)を継続して創出する能力を備えていることから、複数のプロジェクトからなる研究開発ポートフォリオ(*)を拡充するとともに、開発リスクを低減し、より安定した事業の遂行を図りたいと考えております。 ⑤ 導出活動 当社グループの導出活動は、内外の各製薬企業各社における医薬品として成功する可能性の高い高品質な化合物に対するニーズに対応するため、初期探索段階から臨床開発段階までの各段階において保有する研究開発ポートフォリオ(*)のすべてを対象とし、機動的かつ柔軟に営業活動を進めております。 また、研究開発ポートフォリオ(*)は、各プロジェクトの特性と導出先である製薬企業各社等のニーズに応じて、日本・東アジア・米国・欧州等の地域ごと、あるいは剤形(経口剤、注射剤、局所用剤)ごと、さらには動物用医薬品用途での導出等、様々な形態で導出を図っております。 ⑥ 当社グループの収益 当社グループの収益は、探索研究、前臨床試験及び初期臨床試験の成果として創出した開発化合物(*)を製薬企業各社等に導出することにより獲得するものであり、その概要は以下のとおりであります。 収 益   内 容 契約一時金収入   導出または共同研究に係る契約締結時に、当社グループが提供するそれまでの研究開発成果の対価等として受け取る収入 マイルストン収入   契約相手先の研究開発の進捗(契約書に規定された研究開発段階の達成)または売上の進捗(契約書に規定された売上高の達成)に応じて受け取る収入 ロイヤルティ収入   医薬品の上市後に販売額の一定割合(契約書に規定された料率に基づく)を受け取る収入 研究協力金収入   共同研究の期間中に提供する役務等の対価等として受け取る収入 ⑦ 事業系統図 当社グループの事業の系統図は、以下のとおりであります。 (2)当社グループの研究開発対象領域及び研究開発ポートフォリオ(*) ① 当社グループの研究開発対象領域 当社グループは、当社の前身であるファイザー株式会社中央研究所から引き続き消化器疾患領域及び疼痛疾患領域を中心に研究開発活動を行ってまいりましたが、2014年より国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学(以下「名古屋大学」)に研究拠点を移した後は、幅広い疾患領域における魅力ある創薬テーマの研究開発に取り組んでおります。テムリック株式会社及びファイメクス株式会社の買収等も通じて、疾患領域の拡大に取り組み、現在はがんと神経疾患を含む医療ニーズの高い疾患に対する創薬研究開発を進めております。 ② 当社グループのポートフォリオ(*)及び研究開発の状況 一般的に医薬品の研究開発は長期に渡って多額の資金を必要とされております。当社グループは、当社グループ保有の開発化合物(*)の研究開発投資において、パートナーシップに基づくオープンイノベーション型の研究開発を積極的に展開するとともに適切な選択と集中を行うことで、資源の有効活用を図っております。 具体的には、当社グループが強みを持つ探索段階から第Ⅰ相臨床試験を中心に自社単独で開発化合物(*)の研究開発に注力して導出に向けて推進するプログラムを「導出準備プログラム」、当社グループからの導出後に導出先が中心となって開発を進めるプログラムを「導出済みプログラム」と定義しております。また、探索研究段階においては、当社グループと提携先企業の双方が強みを持ち寄りイノベーティブな開発化合物(*)の創出を目指す共同研究プログラムを「共同研究プログラム」と定義しております。 当連結会計年度末現在の主な「導出準備プログラム」及び「導出済みプログラム」、「共同研究プログラム」の状況は、以下のとおりであります。 (A)導出準備プログラム 当連結会計年度末現在の「導出準備プログラム」は、以下のとおりであります。当社グループは、これらのプロジェクトに関して一部導出済みの契約を除き、全世界を対象とする開発、販売及び製造に関する権利を有しております。 プログラム   化合物コード (注)1   導出対象 地域   主な想定適応症   研究開発段階 5-HT4作動薬   RQ-00000010   全世界   胃不全麻痺 機能性胃腸症(*) 慢性便秘   第Ⅰ相臨床試験終了(英国) 5-HT2B拮抗薬   RQ-00310941   全世界   下痢型過敏性腸症候群(*)   第Ⅰ相臨床試験終了(英国) モチリン受容体作動薬   RQ-00201894   全世界   胃不全麻痺 機能性胃腸症(*) 術後イレウス   前臨床試験終了 グレリン受容体作動薬   RQ-00433412   全世界   便秘 がんに伴う食欲不振 悪液質症候群   前臨床試験終了 TRPM8遮断薬   RQ-00434739   日本   疼痛   (注)2 選択的ナトリウムチャネル遮断薬   非開示   全世界   疼痛・掻痒   ― タミバロテン   tamibarotene TM-411   全世界   がん   臨床段階 IRAK-M分解誘導薬   FIM-001   全世界   がん   前臨床試験実施中 (注)1.化合物コードは、RQ-(当社)、FIM-(ファイメクス株式会社)、TM-(テムリック株式会社)で始まるコードで表記されており、当社グループで研究・開発・評価に使用するすべての化合物に対して付与しております。 2.日本以外の権利を導出しているXgene Pharmaceutical Co. Ltd.(香港)により、前臨床試験が行われ、当連結会計年度末時点で豪州における第Ⅰ相臨床試験が進行中です。 (B)導出済みプログラム 当連結会計年度末現在、当社グループの導出済みのプログラムの状況は、以下のとおりであります。なお、契約内容の詳細については、後述の「第2 事業の状況 5 重要な契約等」をご参照ください。 [ヒト用医薬品領域] プロジェクト   化合物コード (注)1   主な想定適応症   研究開発段階   権利地域   導出先 カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)   RQ-00000004 (tegoprazan)   胃食道逆流症(*)   販売中(韓国、中国、フィリピン、インドネシア、メキシコを含む中南米諸国など、全19カ国) 審査中・承認申請準備中(米国、ベトナム他) 第Ⅰ相臨床試験終了(日本)   全世界   HK inno.N Corporation (韓国) EP4拮抗薬   RQ-00000007 (grapiprant)   疼痛   第Ⅰ相臨床試験終了(中国)(注)2   全世界   株式会社AskAt がん   第Ⅰ相臨床試験終了(米国) (注)3 第Ⅰ相臨床試験実施中(中国) RQ-00000008   変形性関節症、自己免疫疾患他   前臨床試験終了 5-HT4部分作動薬   RQ-00000009   アルツハイマー病   第Ⅰ相臨床試験終了 (注)3   全世界 シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害薬   RQ-00317076   疼痛   第Ⅰ相臨床試験実施中(中国) (注)2   全世界 CB2作動薬   RQ-00202730   疼痛等   第Ⅰ相臨床試験実施中(英国)   全世界 P2X7受容体拮抗薬   RQ-00466479   -   非開示 (注)4   全世界   旭化成ファーマ 株式会社 TRPM8遮断薬   RQ-00434739   慢性疼痛   第Ⅰ相臨床試験実施中(豪州)   日本を除く全世界   Xgene Pharmaceutical Co. Ltd.(香港) ナトリウムチャネル遮断薬   RQ-00350215   慢性疼痛   非開示   全世界   久光製薬株式会社 (注)1.化合物コードは、RQ-(当社)で始まるコードで表記されており、当社グループで研究・開発・評価に使用するすべての化合物に対して付与しております。 2.Pfizer Inc.(米国)において、前期第Ⅱ相臨床試験を実施済みです。 3.Pfizer Inc.(米国)において、第Ⅰ相臨床試験を実施済みです。 4.2021年1月にEli Lilly and Company(米国)にサブライセンスされ開発が進められておりましたが、当連結会計年度におけるパイプライン見直しによりPainを対象とした開発からは除外されました。なお、ライセンス契約は有効に存続しており、今後の開発方針は同社にて検討されております。 [動物用医薬品領域] プロジェクト   化合物コード (注)7   主適応症   研究開発段階   権利地域   導出先 グレリン受容体作動薬   RQ-00000005 (capromorelin、ENTYCE™、ELURA™)   食欲不振(犬)   販売中(米国)   全世界   Elanco Animal Health Inc. (米国) 慢性腎疾患の体重減少管理(猫)   販売中(米国、フランス、ベルギー、日本、ブラジル)   全世界 EP4拮抗薬   RQ-00000007 (grapiprant、GALLIPRANT®)   変形性関節症(犬)   販売中 (米国、欧州、日本他)   全世界 シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害薬   RQ-00317076   疼痛   パイロットフィールド試験実施中 (注)2   全世界   株式会社AskAt /Velo-1, Inc.(米国) 5-HT4作動薬   RQ-00000010   腸管運動障害(犬・猫)   POC試験実施中   全世界   Vetbiolix SAS 特定の4化合物   非開示   評価中   評価中   全世界   Velovia Pharma, LLC (注)1.化合物コードは、RQ-で始まるコードで表記されており、当社グループで研究・開発・評価に使用するすべての化合物に対して付与しております。 2.2022年7月にVelo-1, Inc.(米国)にサブライセンスされ、現在、パイロットフィールド試験を実施中です。 (C)共同研究プログラム 当連結会計年度末現在、製薬企業各社等との共同研究プログラムは、以下のとおりであります。なお、研究内容の詳細については、後述の「第2 事業の状況 6 研究開発活動」をご参照ください。 プロジェクト   共同研究先   研究開発段階 眼疾患治療薬創製に向けた共同研究   株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所   探索研究段階 メッセンジャーRNA(mRNA)を標的とした低分子医薬品の創出に向けた共同研究   株式会社Veritas In Silico   探索研究段階
経営方針・対処すべき課題5,564字を開く

経営陣が考える方向性と課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針 ① 会社の経営の基本方針 当社グループは、先端科学技術を活用し、医療分野においてニーズの高い疾患領域に対する新たな医薬品を生み出すことを目指す研究開発型の創薬ベンチャー企業であり、独自に創出した新薬の開発化合物(*)を製薬会社等に対して導出することにより契約一時金収入、マイルストン収入、ロイヤルティ収入を獲得することを事業展開の基本としております。当社グループの基本方針は、以下のとおりであります。 (A)探索研究から初期開発さらに導出までを一体化して進める創薬ビジネスモデルを確立し、体制の整備及び効率化を図る。 (B)産学官連携を含む外部提携先との提携によって革新的な開発化合物(*)の創出を目指す。 (C)事業パートナーとの信頼関係を構築し、確実なビジネス成果に結びつける。 ② 目標とする経営指標 当社グループは、医薬品の研究開発を推進し、探索研究、前臨床試験及び初期の臨床試験の成果として創出した開発化合物(*)の導出、さらには導出先での上市・販売によって収益を確保することにより、持続的な成長を図ってまいります。研究開発プロジェクトを一層充実させ、各開発候補化合物(*)及び開発化合物(*)の研究開発をすることにより、各研究開発プロジェクトの価値を高めることを目標として事業活動を推進しております。 ③ 中長期的な会社の経営戦略 一般的に医薬品の研究開発は長期かつ多額の費用を要するものであります。また、研究開発の各段階においては、有効性、安全性やその他の問題により研究開発の中止や遅延等の事態が生じる等、開発化合物(*)が上市に至るまでには様々なリスクがあり、その成功確率は高いものではありません。 こうした中、当社グループは、以下のような戦略をもって事業を展開しております。 (A)導出及びアライアンスマネジメント戦略 当社グループの導出活動は、初期探索段階から開発段階までの各段階において保有する研究開発ポートフォリオ(*)のすべてを対象とすることにより、機動的かつ柔軟な導出活動を展開しております。当社グループの研究開発ポートフォリオ(*)は、その研究開発戦略の特性から、全世界を対象とする開発、販売及び製造に関する権利の導出を最優先の目標としておりますが、各プロジェクトの特性と顧客である製薬会社等のニーズに応じて、地域ごと、あるいは剤形ごと、さらには動物用医薬品用途での導出等、収益の最大化を図るべく様々な形態で導出を図る方針であります。 また、当社グループは、既に導出されている開発候補化合物(*)及び開発化合物(*)等に対し、各導出先企業との協力体制のもと、順調な開発の推進を支援し、収益獲得を可能な限り早期に実現させること、更には長期的かつ安定的な収益を獲得することを目的として、アライアンスマネジメントを遂行しております。 (B)研究開発戦略 a)継続的な研究開発ポートフォリオ(*)の強化 当社グループは、創業時より疼痛疾患領域及び消化管疾患領域を研究開発の重点領域として開発化合物(*)の創出に取り組んできました。2014年度及び2021年度においては、それぞれ名古屋大学及び岐阜薬科大学に産学連携にかかる講座を設置し、アカデミアにおける最先端の研究成果に基づく創薬研究にも取り組んでおります。創薬研究基盤の強化としては、とりわけモダリティ(*)に着目し、タンパク質分解誘導剤やmRNA標的低分子等の低分子化合物から派生する新規モダリティ(*)等への取り組みを進めております。テムリック株式会社及びファイメクス株式会社の買収等も通じて、疾患領域の拡大に取り組み、現在はがんと神経疾患を含む医療ニーズの高い疾患に対する創薬研究開発を進めております。今後も国内外の製薬会社やスタートアップ企業との連携を推し進め、研究開発ポートフォリオ(*)を継続的に強化してまいります。 b)開発プロジェクトの価値向上と早期の収益化の実現 臨床試験段階においては、多額の研究開発費が必要となるため、当社グループにおける研究開発に係る費用及びリスク負担を軽減することを目的とし、当社グループ保有の開発化合物(*)について「選択と集中」を図ってまいりました。今後は、この戦略をさらに発展させるものとして、成長ドライバーとなる品目への戦略的投資を進めてまいります。選択したプログラムへの内部リソースの集中に加え、必要に応じて、外部プロジェクト・ファイナンス等を活用して開発を加速化し、プロジェクト価値の向上による将来的な収益の積み上げを目指します。 (2) 経営環境 医薬品市場は、先進国においては高齢化によって、途上国においては医療の発展による市場拡大が続いており、医療費をはじめとする社会保障費用も増加の一途を辿っています。このため、先進国においては、医療費の抑制と効率化が急務となっておりますが、各国において法規制は年々厳しくなっていることから新薬の開発難易度とコストは高騰しております。 日本においては、医薬品産業の競争力強化に向けた緊急的・集中実施的な総合戦略として、研究・医療の環境の整備や産学官の連携に加え、新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度が導入されるなど、革新的新薬創出のためのイノベーションを促す諸策が講じられております。 このような経営環境の中で、当社グループは創薬ベンチャーとして新薬を研究開発・上市するためには、次の「(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に掲げた5点が重要課題であると認識しております。 (3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社グループは、以下の点を主要な経営課題として取り組んでまいります。 ① 研究開発基盤の強化及び研究開発ポートフォリオ(*)の拡充 当社グループが創薬ベンチャー企業として企業価値を高めていくためには、いまだ満たされていない医療ニーズが存在する疾患に対する画期的な新薬候補の創製に取り組み、研究開発ポートフォリオ(*)を強化していく必要があります。このため、当社グループは、新規医薬品候補化合物のパイプラインの充実、及びその基盤となる創薬研究機能の強化に取り組んでおります。 当連結会計年度においては、重点領域を神経疾患およびがん領域に再定義した上で、新規モダリティ(*)(標的タンパク質分解誘導剤(TPD)、mRNA標的低分子、細胞内抗体等)に関する研究を拡大し、探索段階プログラムの増加や連結子会社であるファイメクス株式会社(本社:神奈川県藤沢市、以下「ファイメクス」)が保有するプラットフォーム技術の強化等、研究基盤の強化を進めてまいりました。翌連結会計年度以降も、実績ある低分子創薬に加え新規モダリティ(*)を積極的に活用し、当社グループの創薬バリューチェーンを継続的に拡張してまいります。また、引き続き、外部との共同研究を拡大するとともに、研究設備の整備および専門性を有する人材の確保を進めることで、創薬研究の質およびスピードのさらなる向上を図ってまいります。 ② パイプライン及びプログラムの価値の向上 当社グループは、資金や人的リソースを効率的に活用して研究開発を進めるために、以下に示すプログラム分類にあわせた対応を取っております。 ・単独研究プログラム 単独で画期的な開発化合物(*)を目指した探索研究を当社グループが単独で実施するプログラム ・共同研究プログラム 探索研究段階から当社グループと提携先企業の双方が持つ強みを持ち寄り画期的な開発化合物(*)の創出を目指す共同研究プログラム ・導出準備プログラム 当社グループが強みを持つ探索研究から初期臨床開発段階(第Ⅰ~第Ⅱ相臨床試験)を中心に自社単独で開発化合物(*)の研究開発に注力して導出に向けて推進するプログラム ・導出済みプログラム 導出先が主軸となって進める臨床開発について当社グループがサポートをメインに行うプログラム 当連結会計年度においては、単独研究プログラム及び共同研究プログラムでは上記①の経営課題で述べた方策を進めたほか、導出準備プログラムではグレリン受容体作動薬及びIRAK‑M分解誘導薬の両プログラムについて臨床開発準備を進めてまいりました。導出済みプログラムにおいては、導出先企業での臨床試験が着実に進行するなど、保有パイプラインの価値向上が着実に進んでおります。また、当社の長年のパートナーであるHK inno.N Corporation(本社:韓国・オソン、以下「HKイノエン社」)との間で資本業務提携を実施し、胃酸分泌抑制剤tegoprazanの日本国内での事業化、当社が保有する開発化合物(*)の価値向上、共同研究の実施等において連携することといたしました。翌連結会計年度以降も、成功確度、医療ニーズ、市場規模等を踏まえた投資配分の最適化を図りつつ、最新の科学と当社グループが保有する技術に立脚した上で、スタートアップ企業やアカデミア等との連携も積極的に活用して新たな開発候補物質の創出に取り組むとともに、開発候補物質同定済みのパイプラインにおいても適応症の拡大や知的財産権の強化等を継続して実施し、自社が保有するパイプライン及びプログラムの価値の向上を図ります。また、HKイノエン社と実施する共同研究では、役割分担による効率化に加え、両者の強みを合わせることで得られる相乗効果の創出に焦点を当て、価値の創出と最大化を追求してまいります。また、導出先企業における導出済みパイプライン及びプログラムについても同様にして価値の向上を図るべく取り組んでまいります。 ③ 導出活動とアライアンスマネジメントの強化 当社グループが有する開発化合物(*)を製品化して上市し医療現場に届けるには、臨床開発及び製造販売を担う製薬会社等に導出し、導出後は一日も早い製品上市のため、導出先企業とのアライアンスを適切にマネジメントする必要があります。現在、当社グループはこれを最重要課題として様々なチャネルを通じてグローバルな導出活動に取り組んでおります。 当連結会計年度は、胃酸分泌抑制剤tegoprazanの日本の権利をHKイノエン社に新たに導出しました。また、ファイメクスの共同研究事業では、アステラス製薬株式会社(本社:東京都中央区、以下「アステラス製薬」))との共同研究の標的を追加するという成果を得ました。既存の導出済みパイプライン及びプログラムにおいては、導出先に対して技術支援やデータ提供を継続し、導出先企業における開発進展を支援いたしました。翌連結会計年度以降は、導出準備プログラムから毎期1件以上のライセンス契約獲得を継続的な目標とし、パートナー候補企業の拡大や交渉プロセスの深化を進め、導出活動の強化を図ります。加えて、導出先との信頼関係の強化と適切な開発支援を通じて、マイルストン収入およびロイヤルティ収入の早期化・拡大を目指します。ファイメクスの共同研究事業についても、毎期1件以上の新規共同研究契約の獲得を目指し、研究段階での収益基盤を強化してまいります。 ④ 財務基盤の強化と資源配分の最適化 当社グループのような創薬ベンチャー企業は、製品が上市するまでの間、パイプラインの開発進展、開発化合物(*)の増加等に伴い、事業活動に合わせて資金調達を確実に行っていく必要があります。そのため、当社グループは、資金調達手段の確保・拡充に向けて、株式市場からの必要な資金の獲得や銀行からの融資を受けるなど、資金調達の多様化を進めてまいりました。また、予算管理の徹底を通じてコスト抑制を図ることで財務基盤の強化に努めております。 当連結会計年度は、探索研究および前臨床開発を中心とした投資を継続しつつ、HKイノエン社との資本業務提携の機会も活用することで財務基盤の維持に努めてまいりました。翌連結会計年度以降も引き続き研究開発投資の重点化を継続し、重点分野に対して資源を優先的に配分することで研究開発効率および投資回収可能性の向上を図ります。また、中期的には3期連続の営業黒字および安定的な収益成長の実現を目標とし、資金調達手段の多様化やコスト管理の高度化を進めることで、企業価値向上に資する財務運営の強化を行ってまいります。 ⑤ 人的資本の拡充 創薬ベンチャー企業のビジネスモデルにおいては、価値の高い新規医薬品候補物質及び研究開発プログラムを継続的に創出し製薬会社等に導出することが事業活動の根幹です。人材は当社グループの事業活動においてきわめて重要な資本であり、高度な専門性を有する多様な人材を確保し、企業としての成長力を維持・発展させる必要があります。 当連結会計年度は、人材採用や人事制度・報酬体系の運用や多様な働き方を実現する環境整備を通じて、従業員エンゲージメントの向上を図るとともに、専門人材の確保・育成及びグループ内連携を強化してまいりました。翌連結会計年度以降も引き続き、従業員のエンゲージメントの向上、専門人材の計画的採用及び育成を進めるほか、設備拡充や新技術の導入による研究環境の高度化を図ります。また、安全衛生およびコンプライアンス体制の強化を継続し、持続的な研究活動を支える組織基盤の維持向上に取り組んでまいります。
事業等のリスク3,968字を開く

会社が自認するリスクの一覧

3【事業等のリスク】 以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因と考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しないと思われる事項についても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から以下において開示しております。 これらリスクの顕在化に伴う問題が生じた場合には、当社グループの事業展開、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況並びに当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。状況によっては事業存続が困難になる可能性があります。 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は、本株式への投資に関するリスクのすべてを網羅するものではありませんのでご留意ください。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)事業の内容について ① 医薬品の研究開発を取り巻く環境について 一般的に医薬品の研究開発は探索研究段階から承認取得に至るまで長期間を要し、巨額の研究開発費用が必要とされる一方、成功確率は他産業に比して極めて低いものとされております。また、研究開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の薬事法その他関係法令や規則及びそれに関わる行政指導により、様々な規制を受けております。加えて、医薬品分野は、技術革新が著しい分野でもあります。そのため、品質、有効性及び安全性に関する十分なデータが得られず、医薬品としての有用性を示すことができない可能性、規制の変更に伴う承認要件の変更の結果、当社グループあるいは導出先における開発費用の増大や承認取得時期の遅延が発生する可能性、新技術等への対応が遅れる可能性があります。また、これらのリスクは、既に他社に導出した開発品に関しても同様に発生する可能性があります。 ② 競合について 当社グループの主たる事業である医薬品の研究開発においては、多くの製薬会社や創薬ベンチャー企業等による研究開発活動が行われており、当社グループの研究開発との間に競合関係が生じております。競合品の存在やその研究開発の進捗等が当社グループの開発化合物(*)の導出等に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 製薬会社等への導出等による収益獲得について 一般的に、製薬会社等において共同研究の実施や開発化合物(*)の導入に際しての評価・判断は、個々の製薬会社等により異なります。当社グループが契約締結を企図するプロジェクトや開発化合物(*)が製薬会社等における導入や当社グループとの業務提携の意欲や目的を充足する保証はなく、企図した時期に契約締結に結び付かない、又は契約条件が当社グループの想定と大きく異なる等の可能性があります。 ④ 為替リスクについて 当社グループは、事業活動をグローバルに展開しており、海外での研究開発活動や海外企業とのライセンスにおいて外貨建取引が存在します。そのため、急激な為替変動によって為替リスクが顕在化する可能性があります。 (2)社内体制について ① 小規模組織であることについて 当社グループは、役員6名(取締役(監査等委員である取締役を除く)3名、監査等委員である取締役3名)、従業員85名(2025年12月31日現在)と小規模であり、内部管理体制も相応の規模となっております。当社グループにおいては、業務上必要な人員の増強及び内部体制の充実を図っていく方針ではありますが、人材流出や代替要員の不在などの問題が生じる可能性があります。 ② 人材の確保について 当社グループは、事業活動には高度な専門的な知識・技能を持った優秀な人材の確保が必要であると考えております。当社グループでは、このため常に優秀な人材の確保と育成に努めておりますが、人材確保に支障が生じる可能性や、優秀な人材が社外に流出する可能性があります。 ③ 情報管理体制について 当社グループの行う事業においては、研究開発における技術及び知見等は極めて重要性の高いものであり、事業の競争性を確保するものであります。また導出先である製薬会社等と共有する情報等は高い機密性を保持することが要請されます。当社グループは、情報管理体制の強化に努めておりますが、重要な機密情報の漏洩等を完全に回避することは困難であり、問題が生じる可能性があります。 (3)知的財産権について ① 当社グループの保有する知的財産権について 特許は、出願及び取得した場合においても出願した全てが成立する保証はなく、また特許出願によっても当社グループの権利を確実に保全できる保証はありません。更に、当社グループが所有又は使用許諾を受けた知的財産権に優位する知的財産権が第三者によって生み出される可能性や、第三者の知的財産権の侵害に基づく将来の係争を完全に回避することは困難です。 なお、日本その他の国の特許関連法規、あるいは各国当局の解釈により、競合他社、あるいはその他の組織が当社グループに補償等を行うことなく技術を使用し、医薬品等の開発及び販売を行うことができる可能性があります。 ② 職務発明に係る社内対応について 2016年4月1日から施行された特許法の改正に伴い、当社グループでは、代表取締役、執行役員及び従業員が協議の上、取締役会決議により「知的財産権管理規程」を作成し、運用しております。しかしながら、将来、発明者の認定及び職務発明の対価の相当性についての係争を完全に回避することは困難であり、問題が生じる可能性があります。 (4)事業における事故やトラブル等のリスクについて ① 当社グループの臨床開発における健康被害について 当社グループは、研究開発活動において、開発化合物(*)の有効性及び安全性を評価するため、前臨床試験を実施した上で、細心の注意を払って臨床試験を実施しております。しかしながら、被験者における重大な健康被害の発生を完全に回避することは困難であり、問題が生じる可能性があります。 ② 研究施設における事故等について 当社グループは、研究開発活動において、各種化学物質、特に危険物質を取り扱っております。何らかの要因により火災や爆発事故又は環境汚染事故等が発生する可能性があります。 ③ 自然災害等のリスクについて 当社グループが本拠地とする中部及び関東地域において、地震(東南海地震含む)、津波又は台風等の自然災害や大規模な事故、火災、テロ等により、当社グループの設備の損壊や各種インフラの供給制限等の不測の事態が発生する可能性があります。 ④ 訴訟の可能性について 当社グループは、事業を展開する上で、当社グループの瑕疵又は責任の有無に拘わらず、第三者の権利又は利益を侵害した場合には、損害賠償等の訴訟を提起される可能性があります。また、取引関係や労使関係その他において何らかのトラブルが生じた場合、訴訟等に発展する可能性があります。さらに、業務委託先においてコンプライアンス違反が発生した場合、発注元である当社グループに対しても責任が問われる可能性があります。 (5)経営上の重要な契約について 「第2 事業の状況 5 重要な契約等」に記載した、当社グループの経営上の重要な契約について、将来、期間満了、解除、中断、延期等、又は当該契約の更新に際し当社グループにとって不利な改定が行われる可能性があります。 (6)経営成績及び財政状態について ① 今後における損失計上の見通しについて 当社グループは、引き続き多額の研究開発費を先行投資する必要があります。販売計画や研究開発計画が当社グループの想定どおりに進捗しなかった場合は、想定以上に損失計上が継続する可能性があり、その状況によっては当社グループの事業継続が困難となる可能性があります。 ② 事業資金の確保について 当社グループは、研究開発型の創薬ベンチャー企業であることから、今後も研究開発投資、運転資金及び設備投資等の資金需要が予想されます。適時適切な資金調達ができなかった場合、当社グループの事業継続が困難となる可能性があります。 (7)大学及び公的研究機関等との関係について 当社グループは、新たな技術の導入・移転を目的として、名古屋大学をはじめとする大学や公的研究機関との共同研究を実施しております。企業と大学等との関係は、法令等の改正や組織改正などに影響を受ける可能性があり、その結果共同研究の方向性や権利関係につき当社グループにとって不利となる変更を余儀なくされる可能性があります。 (8)その他 他社との戦略的提携・企業買収等の成否について 当社グループは、競争力の強化及び事業分野の拡大等のため、他社の事業部門の譲り受け、他社の買収、他社との業務提携、合弁会社の設立、他社への投資等の戦略的提携など(以下「戦略的提携等」)を行うことがあります。こうした戦略的提携等において、パートナー企業との思惑に相違が生じて提携・統合が円滑に進まない可能性や、当初期待していた効果が得られない可能性、投資した金額の全部又は一部が回収できない可能性等があります。またパートナー企業が当社グループの利益に反する決定を行う可能性があり、パートナー企業が事業戦略を変更した場合などには戦略的提携等の関係を維持することが困難になる可能性があります。
経営成績の分析 (MD&A)10,982字を開く

業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況 当連結会計年度における我が国経済は、米国の関税政策や資源価格の上昇等により先行き不透明な状況が続いているものの、堅調な企業業績に基づく株価上昇や新政権誕生による政治の安定化と景気浮揚策への期待もあって緩やかに回復しております。一方、消費市場は、恒常的な物価上昇と実質所得の伸び悩みの下での節約志向の高まりにより、全般に消費マインドが鈍化しており停滞状況が続いております。日銀短観12月調査によれば、大企業・製造業の景況感は、緩やかに景気の持ち直しが続く中、3四半期連続で改善し、大企業・非製造業の景況感は、宿泊・飲食サービスが中国人観光客の減少への懸念もあって小幅に悪化した反面、活発な企業活動を背景に対事業所サービスが改善したほか、需要の底堅さを反映してその他の業種でもおおむね高い水準での推移が続いたことにより、横ばいとなりました。 医薬品業界につきましては、2025年12月、日本製薬工業協会(JPMA)、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan)の日米欧製薬3団体共同声明として、2026年度(令和8年度)薬価制度改革及び費用対効果評価制度改革に関する意見が表明され、特許期間中の薬価の維持や新薬の薬価算定の改善が提言されております。このような業界の動向の中において、当社グループのような創薬ベンチャーが果たすべき役割はますます大きくなっております。 このような環境下において、当連結会計年度における当社グループの業績は以下のとおりとなりました。 上市済みのヒト用医薬品につきましては、HKイノエン社が韓国で販売中の胃酸分泌抑制剤K-CAB®(一般名:tegoprazan、以下「tegoprazan」)の売上が引き続き好調に推移しております。当連結会計年度の売上は、処方データで2,179億ウォン(前年同期比10.7%増、約239.7億円/1韓国ウォン=0.11円)となりました。韓国の消化性潰瘍治療薬市場でのシェアは15%であり、引き続きシェア第1位を維持しております。 Tegoprazanのグローバル展開も着実に進展しております。当社は、HKイノエン社との間で、tegoprazanの開発・製造及び販売の再実施許諾権(サブライセンス権)付き独占的ライセンス契約を締結しており、HKイノエン社及び同社からライセンスまたは製品輸出を受けた世界各国の提携先企業によってtegoprazanに関する事業活動が進められております。当連結会計年度末の時点で、tegoprazanは日本を含む世界57カ国で開発・製造・販売等の事業活動が行われております。また、HKイノエン社は、K-CAB®をはじめとするtegoprazan製品について、2030年の全世界における年間売上高3兆ウォンの達成を目指しています。 当連結会計年度末の時点でtegoprazan製品が販売されている国は、韓国、中国、モンゴル、フィリピン、インドネシア、シンガポール、メキシコ、ペルー、チリ、コロンビア、ドミニカ共和国、ニカラグア、ホンジュラス、グアテマラ、エルサルバドル、パナマ、マレーシア、インド及びタイの19カ国であり、当社はHKイノエン社を通じて、製品の売上高等に応じたロイヤルティを受領しております。東南アジアや中南米のその他の国々でも承認審査が進行中であるほか、ブラジル、中東地域等の国々で承認申請の準備が進められております。 当連結会計年度においては、2025年1月、HKイノエン社は、Southern XP IP Pty Ltd(本社:オーストラリア・ビクトリア州、以下「Southern XP社」)に対して、オーストラリア・ニュージーランドを対象地域としたライセンス契約を締結しました。Southern XP社は、20年以上製薬事業を営んできたオーストラリアの製薬会社であり、オーストラリア及びニュージーランド内の医薬品の登録及び流通に強みを持つ企業です。 また、2025年4月には、HKイノエン社は、Tabuk Pharmaceutical Manufacturing Company(本社:サウジアラビア・リヤド、以下「Tabuk社」)との間で、2024年4月に締結した中東・北アフリカ地域におけるライセンス契約の地域拡大契約を締結しました。これにより、Tabuk社の対象地域は、エジプト、スーダン、エチオピア、モロッコ、イエメン、リビアの6カ国が追加となり、合計16カ国に拡大されました。 さらに、HKイノエン社の提携先であるDr. Reddy’s Laboratories(本社:インド・ハイデラバード、以下「Dr. Reddy’s社」)がインド中央医薬品標準管理機構(Central Drugs Standard Control Organization (CDSCO))より販売承認を取得したことに伴い、マイルストン達成が認定され、当社はHKイノエン社から一時金を受領いたしました。インドの消化性潰瘍薬の市場規模は、2024年時点で約1兆5,200億ウォン(約1,672億円)と評価されており、中国、米国、日本に次ぐ世界第4位の規模となっております。インドでは人口の約38%が胃食道逆流症(GERD)(*)に悩まされているとされ、Dr. Reddy’s社は本製品の投入により、同国の消化性潰瘍治療のパラダイムシフトを目指しております。 米国におきましては、2025年4月、HKイノエン社は、サブライセンス先であるSebela Pharmaceuticals Inc.(本社:米国・ジョージア州)の一部門であるBraintree Laboratories(本社:米国・マサチューセッツ州、以下「Braintree社」)が米国で実施中の第Ⅲ相臨床試験(以下「TRIUMpH試験」)について、良好なトップライン結果を発表しました。TRIUMpH試験は、EE(びらん性胃食道逆流症)及びNERD(非びらん性胃食道逆流症)を対象とした米国第Ⅲ相臨床試験のピボタル試験として実施されました。TRIUMpH試験において、tegoprazanはEE試験とNERD試験の両方で全ての主要評価項目と副次評価項目を達成しました。さらに、2025年8月には、Braintree社が継続して実施していたEE治癒後の維持療法についても良好な試験結果が得られたこと及び試験の完了が発表されました。 また、当社は、tegoprazanの韓国物質特許(韓国特許番号:特許第1088247号)について、韓国の後発品メーカー等60社以上により消極的権利範囲確認審判が請求され、延長された特許権の効力範囲について争っておりましたが、当連結会計年度において、特許審判院の審決(第一審に相当)及び審決取消訴訟(第二審)に続いて大法院(第三審)においても、全件勝訴判決を獲得いたしました。これにより、2031年までの韓国におけるK-CAB®錠の独占販売権は完全に確立され、揺るぎない法的保護のもとで当社の市場優位性が盤石なものとなりました。 当社が旭化成ファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、以下「旭化成ファーマ社」)に導出したP2X7受容体拮抗薬(化合物コード:AK1780/RQ-00466479/LY3857210)につきましては、当連結会計年度において、旭化成ファーマ社のライセンス先であるEli Lilly and Company(本社:米国インディアナ州、以下「Lilly社」)のパイプラインが更新され、標的疾患をPainとして開発されていた本化合物は除外となりました。ただし、このことはLilly社におけるP2X7プログラム全体の終了を意味するものではありません。旭化成ファーマ社とLilly社とのライセンス契約は現在も有効に存続しており、今後の開発プランはLilly社によって検討されております。 ペット用医薬品につきましては、Elanco Animal Health Inc.(本社:米国・インディアナ州、以下「Elanco社」)に導出した犬の骨関節炎治療薬GALLIPRANT®(一般名:grapiprant)、犬の食欲不振症の適応を持つENTYCE™(一般名:capromorelin)、及び猫の体重減少管理の適応を持つELURA™(一般名:capromorelin)の売上が順調に推移しております。 その他の導出済みプログラムにつきましても、導出先及びサブライセンス先の企業において前臨床開発段階以降の取り組みが進められております。 導出準備プログラムにつきましては、自社で開発を進めているグレリン受容体作動薬の前臨床試験を完了し、提携先獲得を目指した事業開発活動を実施しております。 また、tegoprazanにつきましては、当連結会計年度において、当社は、HKイノエン社との間で締結した2019年11月26日付ライセンス契約を変更するAMENDMENT TO LICENSE AGREEMENT OF TEGOPRAZAN IN NORTH AMERICA AND EUROPE(以下「ライセンス契約変更契約」)を締結し、日本を対象とした独占的な開発・製造・販売権をHKイノエン社に許諾しました。ライセンス契約変更契約の締結によって、HKイノエン社がtegoprazan製品の開発・承認取得を目的とした後期臨床試験に向けた取り組みを進めることになります。日本を対象とした独占的な開発・製造・販売権の許諾にかかる一時金はありませんが、当社は、今後の事業化の進展に応じたマイルストン、販売ロイヤルティ及びHKイノエン社が提携先から受け取る収益の一部を受け取る権利を取得します。 探索研究段階におきましても、引き続き、新たな開発候補化合物(*)の創出に向けた探索研究を進めております。当社グループは、既存技術と新技術の相乗効果によって創薬バリューチェーンを強化することで従来の技術では対処が困難とされてきた未開拓の創薬標的(遺伝子・タンパク質等)に対する医薬品を生み出すことを重要な成長戦略とし、「モダリティ(*)」、「創薬標的」、「疾患領域」及び「基盤技術」の4つの切り口で、技術及びパイプラインの強化に取り組んでおります。 当連結会計年度においては、2025年5月、株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所(本社:愛知県名古屋市)と共同で実施中の眼疾患治療薬創製に向けた共同研究について、良好な結果が得られました。本結果をもとに更なる検証を進め、次の段階への協業の可能性を追求してまいります。また、がん治療薬の創出を目標として、mRNAを標的とする低分子医薬品の創出に向けた共同研究を株式会社Veritas In Silico(本社:東京都品川区)と進めております。当連結会計年度においては、共同研究で取り扱う標的遺伝子の研究範囲を拡大すると共に、双方のノウハウを活かして複数遺伝子に対するスクリーニングを実施し、開発化合物(*)の創出を目指した創薬研究の起点となり得る低分子化合物を複数取得しました。 さらに、連結子会社のファイメクスを中核として創薬の新たなモダリティ(*)である標的タンパク質分解誘導剤の研究開発を進めております。ファイメクスは、アステラス製薬とともに、ファイメクスが保有する、標的タンパク質分解誘導剤に特化した独自のプラットフォーム技術であるRaPPIDS™(Rapid Protein Proteolysis Inducer Discovery System)を用いて、がんを標的疾患として複数の標的を対象とした標的タンパク質分解誘導剤の探索に取り組んでおります。当連結会計年度においては、2025年3月、ファイメクスは、アステラス製薬との共同研究において、特定の1つのプログラムについて、次段階の初期目標を達成し、アステラス製薬から2億円の一時金を受領いたしました。また、11月には、新たに2つの標的を追加することで合意いたしました。これに伴い、ファイメクスは契約条件に伴いアステラス製薬から一時金4億円を受領しております。開発候補化合物(*)が同定され、新たな医薬品の製品化に至った場合、ファイメクスは、開発、申請・承認、販売等の進捗に応じたマイルストンとして最大で150億円を上回る金額を受領するとともに、製品の売上高に対して一桁台の料率のロイヤルティを受領する可能性があります。 当社は、2025年3月21日、HKイノエン社との間で資本業務提携契約(以下「原提携」)を締結し、HKイノエン社に対して第三者割当による新株式の発行を決議し、当社普通株式2,592,100株を割り当てました。原提携は、HKイノエン社による出資を通じた財務基盤の強化と、両社間の戦略的なパートナーシップの構築を目的としております。これにより、研究開発をはじめ多岐にわたる分野で相乗効果を創出し、企業価値の最大化を目指します。さらに、当社は、2025年12月12日開催の取締役会において、HKイノエン社との間で第三者割当による新株式(以下「本株式」)の発行(以下「本資金調達」)に係る新株引受契約(以下「新株引受契約」)を締結すること、ライセンス契約変更契約を締結すること、HKイノエン社及び当社の監査等委員である柿沼佑一氏との間で2025年3月21日に締結した株主間契約を変更する株主間契約変更契約(以下「株主間契約変更契約」)を締結することを決議し、新株引受契約、ライセンス契約変更契約及び株主間契約変更契約を締結いたしました(以下「本提携」)。本提携は、原提携の拡大を行うものであり、当社は、本資金調達により、HKイノエン社に対して、当社普通株式1,555,900株を割り当てます。原提携の拡大の中で最も大きな点は、tegoprazanについて日本を対象とした独占的な開発・製造・販売権をHKイノエン社に許諾し、HKイノエン社がtegoprazan製品の開発・承認取得を目的とした後期臨床試験に向けた取り組みを進めることです。これに加えて、tegoprazanに続く画期的な医薬品の創出を目的とした創薬研究基盤の強化に取り組みます。本株式の発行により調達する資金は、当社グループの創薬研究開発基盤のさらなる強化を目的とし、研究開発費及び研究設備投資に充当する予定です。これにより、当社グループの強みである低分子創薬技術に加えて次世代創薬技術を活用するなど、tegoprazanに続く画期的な医薬品の創出を目的とした創薬研究基盤の強化に取り組み、当社グループの中長期的な株主価値の向上を図るとともに、当社のミッション「イノベーションの力で、いのちに陽をもたらす」を実現できるよう、創薬研究開発に係る事業活動をさらに加速化してまいります。 当社は、2025年10月17日、2026年1月1日を合併効力発生日として、当社の完全子会社であるテムリック株式会社を吸収合併(以下「本合併」)することを取締役会において決議いたしました。本合併は、当社グループの事業効率化を図るため、コストの削減と管理業務の簡素化及び効率化を実現することを目的としております。 以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。 (A)財政状態 (資 産) 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ858百万円増加(前連結会計年度比8.9%増)し、10,514百万円となりました。これは主に、現金及び預金の減少99百万円、売掛金及び契約資産の増加1,239百万円、のれんの減少165百万円によるものであります。 (負 債) 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ467百万円減少(前連結会計年度比11.4%減)し、3,617百万円となりました。これは主に、未払金の増加72百万円、長期借入金の減少512百万円によるものであります。 (純資産) 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,325百万円増加(前連結会計年度比23.8%増)し、6,896百万円となりました。これは主に、第三者割当増資等に伴う資本金及び資本剰余金の増加1,040百万円、親会社株主に帰属する当期純利益273百万円の計上によるものであります。 以上の結果、自己資本比率は65.1%(前連結会計年度末比7.7ポイント増)となりました。 (B)経営成績 事業収益3,979百万円(前期比28.1%増)、営業利益483百万円(前期は、営業損失213百万円)、経常利益437百万円(前期は、経常損失361百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益273百万円(前期は、親会社株主に帰属する当期純損失495百万円)となりました。 また、事業費用の総額は3,496百万円(前期比5.3%増)であり、その内訳は、事業原価711百万円(前期比13.8%増)、研究開発費1,599百万円(前期比6.1%減)、その他の販売費及び一般管理費1,184百万円(前期比19.5%増)となりました。 なお、当社グループは、単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 ② キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ102百万円増加(前連結会計年度比3.3%増)し、3,244百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動により使用した資金は、前連結会計年度末に比べ535百万円減少し354百万円(前年同期は、資金の獲得180百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益437百万円及び減価償却費202百万円及びのれん償却額285百万円を計上したことのほか、売上債権の増加1,239百万円及び前渡金の増加58百万円によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動により獲得した資金は、前連結会計年度末に比べ3,789百万円増加し124百万円(前年同期は、資金の使用3,665百万円)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出200百万円、定期預金の払戻による収入400百万円、有形固定資産の取得による支出67百万円によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動により獲得した資金は、前連結会計年度末に比べ2,604百万円減少し378百万円(前年同期比87.3%減)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出512百万円、株式発行による収入1,018百万円及びリース債務の返済による支出76百万円によるものであります。 ③ 生産、受注及び販売の実績 (A)生産実績 当社グループは研究開発を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績は記載しておりません。 (B)受注実績 当社グループは研究開発を主体としており、受注生産を行っておりませんので、受注実績は記載しておりません。 (C)販売実績 当連結会計年度の販売実績は、以下のとおりであります。 当連結会計年度 (自 2025年1月1日  至 2025年12月31日)   前年同期比(%) 事業収益 合計 (千円)   3,979,956   128.1 (注)1.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、それぞれ以下のとおりであります。 相手先   前連結会計年度 (自 2024年1月1日  至 2024年12月31日)   当連結会計年度 (自 2025年1月1日  至 2025年12月31日) 金額(千円)   割合(%)   金額(千円)   割合(%) HK inno.N Corporation   1,180,816   38.0   2,051,468   51.5 アステラス製薬株式会社   601,856   19.4   1,052,412   26.4 Elanco Animal Health, Inc.   1,128,822   36.3   852,778   21.4 2.販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先については記載を省略しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 (A) 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 当社グループは、2025年2月14日に事業計画及び成長可能性に関する事項『中期経営計画2025-2027』を公表し、事業を推進しております。 当連結会計年度は、自社による単独研究、または提携先の企業もしくはアカデミアとの共同研究に基づく医薬品の開発化合物(*)の創出活動や研究開発ポートフォリオ(*)の拡充を図る一方、保有する開発化合物(*)の導出活動ならびに価値向上のための研究開発を推進してまいりました。 以上の結果、当連結会計年度の業績は、事業収益3,979百万円(前期比28.1%増)、営業利益483百万円(前期は、営業損失213百万円)、経常利益437百万円(前期は、経常損失361百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益273百万円(前期は、親会社株主に帰属する当期純損失495百万円)となりました。 なお、事業費用の総額は3,496百万円(前期比5.3%増)であり、その内訳は、事業原価711百万円(前期比13.8%増)、研究開発費1,599百万円(前期比6.1%減)、その他の販売費及び一般管理費1,184百万円(前期比19.5%増)となりました。 当連結会計年度を含む3ヶ年の経営成績は、以下のとおりであります。 (単位:百万円) 2023年度   2024年度   2025年度   3ヶ年累計 (計画)   (実績)   (計画)   (実績)   (計画)   (実績)   (計画)   (実績) 事業収益   2,799   1,901   4,535   3,107   3,889   3,979   11,223   8,987 事業費用   2,538   2,238   4,222   3,320   3,769   3,496   10,529   9,054 営業利益又は営業損失(△)   260   △337   313   △213   118   483   691   △67 経常利益又は経常損失(△)   242   △293   290   △361   73   437   605   △217 親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)   183   △323   236   △495   △71   273   348   △545 (B) 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。 (C) 経営成績に重要な影響を与える要因について 当社グループは研究開発型の創薬ベンチャー企業であり、開発化合物(*)の導出による契約一時金収入、研究開発の進捗に応じたマイルストン収入、医薬品の上市後において医薬品販売高に応じたロイヤルティ収入等の対価を受領することにより収益を得る契約形態を採用しております。しかしながら、依然として開発化合物(*)の導出に伴う契約一時金収入、あるいは開発の進捗に基づくマイルストン収入の割合も大きいことから、導出交渉及び開発の成否が全体の事業収益に大きな影響を与える可能性があります。 詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。 当社グループは、事業活動のための適切な流動性の確保と株主価値向上のための資金調達戦略の提示と実行を基本方針としております。 資本の財源につきましては、医薬品の上市品目が増えたことにより、長期的かつ安定的なロイヤルティ収入が主要な財源となっております。一定規模以上の臨床開発を除き、ロイヤルティ収入を財源として医薬品の研究開発を進めてまいります。また、今後の臨床開発等の資金需要に対して、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保するため、金融機関と総額5億円のコミットメントライン契約を締結しているほか、ファイナンス・リースや銀行借入等の活用により財務基盤の強化を図っております。 資金の流動性につきましては、当連結会計年度末における流動比率は445.7%となっており、十分な流動性を確保できているものと認識しております。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

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開示資料

出典

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