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日経平均64,325.64-1,890NYダウ52,980.73+214ドル円158.84-1NASDAQ26,208.82+109S&P 5007,666.58+35SOX 指数11,332.81+449/2終値

ヘリオス

HEALIOS K.K.4593 · Growth · 医薬品

体性幹細胞とiPS細胞の両軸で再生医療等製品を開発。脳梗塞やARDSといった難治性疾患に細胞治療で挑むバイオベンチャー。

概要

ヘリオスは2011年に設立された再生医療企業である。iPS細胞由来網膜色素上皮細胞の研究から始まり、後に米国Athersys社から導入した体性幹細胞製品MultiStem(HLCM051)の開発を中核に据えた。2015年に東証マザーズに上場し、現在は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)や脳梗塞などを対象に臨床試験を進める。売上高は数億円程度で、研究開発費の先行により損失が続く。

体性幹細胞とiPS細胞の二軸戦略

ヘリオスの事業セグメントは医薬品事業の単一セグメントだが、内部では体性幹細胞再生医薬品とiPSC再生医薬品の二つの技術基盤を持つ。体性幹細胞分野では、米国Athersys社から導入したMultiStem(HLCM051)を基盤に、脳梗塞急性期、ARDS、外傷の治療薬を開発する。2024年にはAthersys社の資産を買収し、グローバルな開発権と知的財産を獲得した。iPSC分野では、子会社Akatsuki TherapeuticsがeNK®細胞を用いた次世代がん免疫療法を主導し、RACTHERA社とiPS細胞由来網膜色素上皮細胞による眼科治療を共同開発する。さらに、再生医療等製品の生産に伴う培養上清の活用で安定収益の獲得を目指す。連結子会社は7社、従業員は75名。

主要開発品HLCM051の適応拡大

HLCM051は骨髄由来の体性幹細胞製品で、炎症免疫細胞の活性化を抑制する作用を持つ。現在、ARDS、脳梗塞急性期、外傷の3領域で臨床試験が進行中である。ARDSについては日本で第II相試験(ONE-BRIDGE試験)を完了し、2026年1月にグローバル第III相試験(REVIVE-ARDS試験)の治験計画届をPMDAに提出した。脳梗塞急性期では第II/III相試験(TREASURE試験)で主要評価項目未達ながら、日常生活自立の改善が示唆された。外傷では米国で第II相試験(MATRICS-1試験)が実施されている。なお、ARDSでは米国FDAからFast Track及びRMAT指定、国内では希少疾病用再生医療等製品の指定を受けている。

財務状況と資金調達の課題

ヘリオスは創業以来、先行研究開発費の負担により継続的な営業損失を計上している。直近の2025年12月期の売上高は1億円、営業損失33億円、純損失22億円。資産合計170億円に対し負債合計121億円と負債比率が高い。資金調達の多様化を進め、株式発行や借入、補助金に加え、2024年6月にはアルフレッサとの社債買取契約を締結した。また、培養上清の販売やCDMO事業による収益化を目指し、2025年7月には経済産業省の補助金事業に採択された。

グローバル展開と子会社戦略

ヘリオスは2018年に米国子会社Healios NAを設立し、2021年には再生医療分野のファンド子会社Saisei Ventures LLCを設立した。2024年には米国Athersys社の実質的全資産を取得し、MultiStemのグローバル権利を掌握。日本国内では、2023年にプロセルキュア、2025年にAkatsuki Therapeuticsを設立し、研究開発体制を強化した。また、2025年10月にはMinaris Advanced TherapiesとHLCM051の商用生産に関する協力を発表。海外拠点と国内子会社の連携により、研究開発から製造、販売までを自社で行う体制を構築中である。

業界の中での役割は再生医療等製品の研究開発を手掛ける創薬ベンチャー。にあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

売上高
1億円
営業利益
-33億円
営業利益率
-3300.0%
純利益
-22億円
2025/12 通期の連結業績。決算の内訳は最新の決算以降にあります。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2025/3期)より

01医薬品(再生医療等製品)主力

現在有効な治療法のない難治性疾患を対象とする再生医療等製品の研究開発に特化。体性幹細胞製品(HLCM051)は脳梗塞急性期、ARDS、外傷を適応症とし、iPSC再生医薬品はがん免疫(HLCN061)、眼科(HLCR011)、肝疾患(HLCL041)等を手掛ける。開発段階は探索研究から第Ⅲ相試験に及ぶ。

技術的独自性が認められたUDC(ユニバーサルドナーセル)

主な製品・サービス4
HLCM051(MultiStem)
他家体性幹細胞製品。ARDS、脳梗塞急性期、外傷の適応で開発中。炎症免疫細胞の活性化を抑制し、組織障害を軽減する。米国で取得した資産によりグローバル開発権を保有。
HLCN061(eNK細胞)
遺伝子編集技術で機能強化した他家iPS細胞由来のナチュラルキラー細胞。固形がんを対象に、CAR遺伝子導入型(CAR-eNK)も開発中。
HLCR011(iPS細胞由来RPE細胞)
他家iPS細胞から分化誘導した網膜色素上皮細胞の懸濁液。加齢黄斑変性の治療を目指す。
HLCL041(肝臓原基)
3次元の肝臓原基を体内で機能的な肝臓に育てる再生医療等製品。横浜市立大学の技術を導入し、肝疾患の治療を目指す。

製品と技術

HLCM051(MultiStem)の作用機序と開発状況

HLCM051は、健常成人骨髄由来の多能性体性幹細胞製品である。静脈投与後、脾臓で炎症免疫細胞の活性化を抑制し、過剰炎症を軽減する。ARDSに対しては、2019年に希少疾病用再生医療等製品に指定され、米国FDAからFast Track及びRMAT指定を受けた。日本での第II相試験を経て、2026年1月にグローバル第III相試験(REVIVE-ARDS試験)を開始。脳梗塞急性期では第II/III相試験(TREASURE試験)を完了し、外傷では米国で第II相試験(MATRICS-1試験)が進行中である。

iPSC再生医薬品と次世代技術

ヘリオスはiPS細胞技術を基盤に、複数の再生医療製品を開発している。主力は遺伝子編集技術で強化した他家iPS細胞由来ナチュラルキラー細胞(eNK®細胞)を用いた固形がん免疫療法である。子会社Akatsuki Therapeuticsが研究開発を主導する。また、免疫拒絶のリスクを低減したユニバーサルドナーセル(UDC)の研究も進める。眼科領域では、RACTHERA社と共同でiPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)細胞を用いた治療法を開発。さらに、iPS細胞株やUDCの提供による収入も得ている。

培養上清事業とCDMOへの展開

ヘリオスは、再生医療等製品の製造過程で大量に発生する培養上清の有効活用を進めている。培養上清には細胞が分泌したタンパク質や代謝産物が含まれ、研究や診断、治療に利用可能である。2024年4月にAND medical社と共同研究契約を締結し、2026年1月には継続的な売買に向けた取引基本合意書をアルフレッサと締結した。また、2025年7月には経済産業省の補助金事業に採択され、CDMO事業への参入を決定。神戸バイオメディカル創造センター内に細胞加工製造施設を本格稼働させ、外部への製造受託サービスを提供している。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

医薬品のなかでの位置

会社が挙げる強い分野

  • 医薬品(再生医療等製品)技術的独自性が認められたUDC(ユニバーサルドナーセル)

有価証券報告書(2025/3期)で会社自身が述べている位置付けです。第三者による調査ではありません。

再生医療パイプライン創業期の赤字続く

売上高1億円規模の超マイクロ時価総額バイオテック。再生医療・細胞治療に特化しパイプラインは前臨床~早期治験段階。同業のジーエヌアイグループも赤字だが自社製品を持つ点で差異化。Veritas In SilicoやChordia Therapeuticsと同様に創薬段階で利益化まで遠い。直近報告では営業赤字幅拡大しており資金調達リスクが高い。

強み

  • iPS細胞や間葉系幹細胞を用いた独自技術プラットフォームを保有し差別化。
  • 過去に国内外大手とのライセンス契約や共同研究の実績。
  • 特許ポートフォリオを構築し競合参入障壁を形成。
  • 小規模組織で迅速な意思決定と外部連携が可能。

課題

  • 売上1億円に対し営業赤字数十億円、資金調達依存度大。
  • 臨床段階進捗が遅れ薬事承認・商業化に長期間必要。
  • 時価総額小さく追加増資や公募での希薄化懸念。

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

医薬品の時価総額近傍。太字がヘリオス

時価総額で並べると、掲載11社のなかで6番目にあたる。

#企業時価総額PER
1219AHeartseed508億円266.2倍
24894クオリプス449億円
34554富士製薬工業439億円17.8倍
44548生化学工業401億円26.2倍
54577ダイト382億円12.3倍
64593ヘリオス341億円286.4倍
74595ミズホメディー328億円10.2倍
84538扶桑薬品工業216億円9.7倍
94599ステムリム194億円
10504Aイノバセル191億円
114575キャンバス170億円

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は東証33業種の分類に従っています。

会社の歴史

沿革 19件

創業とiPS研究への着手(2011-2013)

ヘリオスの前身は2011年2月、現CEO鍵本忠尚らの出資により福岡県で設立された株式会社日本網膜研究所である。設立当初からiPS細胞由来網膜色素上皮細胞による加齢黄斑変性治療の開発を目的としていた。2012年12月に東京事務所を開設し、2013年9月に商号を株式会社ヘリオスに変更。同年10月には神戸に研究所を開設し、12月にはアキュメンより眼科手術補助剤事業を譲り受けた。創業期からiPS細胞技術に特化した再生医療企業としての基盤を築いた。

提携拡大と東証マザーズ上場(2014-2015)

2014年2月、大日本住友製薬(現住友ファーマ)との合弁により株式会社サイレジェンを設立し、iPS細胞技術の応用範囲を拡大した。同年9月に本店を東京都港区に移転。2015年6月には東京証券取引所マザーズに株式を上場し、資金調達の基盤を確保した。上場時の売上高は1億円、純損失10億円と赤字だったが、再生医療ベンチャーとして市場の注目を集めた。

MultiStem導入と臨床試験開始(2016-2018)

2016年1月、ヘリオスは米国Athersys社とMultiStem(HLCM051)の国内独占ライセンス契約を締結し、体性幹細胞分野に本格参入した。2017年11月には脳梗塞急性期を対象とした第II/III相試験(TREASURE試験)を開始。同年4月には眼科手術補助剤事業を譲渡し、再生医療に集中する体制を整えた。2018年2月には米国子会社Healios NAを設立し、海外展開の足掛かりを築いた。同年10月にはARDSを対象とした第II相試験(ONE-BRIDGE試験)を開始した。

臨床試験の進展とファンド設立(2019-2021)

2019年11月、ARDSを対象としたHLCM051が希少疾病用再生医療等製品に指定された。2020年1月には国際会計基準(IFRS)を適用。2021年1月には再生医療分野のファンド子会社Saisei Ventures LLCを米国に設立し、投資と情報収集の手段を確保した。同年8月、TREASURE試験の患者組み入れが完了し、ONE-BRIDGE試験では良好な有効性と安全性が示唆された。しかし、同年の純損失は49億円に拡大し、研究開発投資の負担が顕在化した。

市場移行とAthersys買収(2022-2024)

2022年4月、東証の市場区分見直しによりマザーズからグロース市場に移行。2023年7月には子会社プロセルキュアを設立。2024年1月、Athersys社が米国連邦破産法第11条を申請。ヘリオスは同年4月、同社の実質的全資産を買収し、MultiStemのグローバル開発権を獲得した。これにより、従来の国内独占権から全世界での開発・販売権へと権利範囲が拡大した。同年6月、アルフレッサとの業務提携基本契約及び社債買取契約を締結し、資金調達の多様化を図った。

新体制とグローバル治験の再始動(2025)

2025年1月、子会社Akatsuki Therapeuticsを設立し、eNK®細胞を用いたがん免疫療法の研究開発を移管。同年4月、PMDAとREVIVE-ARDS試験における国内被検者の組み入れが可能である点で合意。7月には経済産業省の補助金に採択され、CDMO事業への参入を決定。10月にはMinaris Advanced TherapiesとHLCM051の商用生産に関する協力を発表。2026年1月、REVIVE-ARDS試験の日本先行実施に向けた治験計画届をPMDAに提出し、試験開始の準備が整った。

年表19件を開く

2010年代

  • 2011年2月創業現 代表執行役社長CEO鍵本忠尚らの出資により、福岡県福岡市東区において株式会社日本網膜研究所(現 株式会社ヘリオス)を設立 iPS細胞由来網膜色素上皮細胞移植による加齢黄斑変性治療法の開発を開始
  • 2012年12月東京都千代田区に東京事務所を開設
  • 2013年9月商号変更商号を株式会社ヘリオスに変更 東京事務所を東京都中央区に移転するとともに同所に本店を移転
  • 2013年10月公益財団法人先端医療振興財団 臨床研究情報センター(現 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター)内に研究室(現 神戸研究所)を開設
  • 2013年12月アキュメン株式会社より眼科手術補助剤に関する事業の譲受
  • 2014年2月大日本住友製薬株式会社(現 住友ファーマ株式会社)との合弁により株式会社サイレジェンを設立
  • 2014年9月本店を東京都港区に移転
  • 2015年6月上場東京証券取引所マザーズに株式を上場
  • 2016年1月米国Athersys, Inc.と国内における幹細胞製品MultiStem®を用いた再生医療等製品に関するライセンス契約を締結
  • 2017年4月BBG250を含有する眼科手術補助剤に係る事業を株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所に譲渡
  • 2018年2月米国に子会社 Healios NA, Inc.(現 連結子会社)を設立

2020年代

  • 2020年1月国際会計基準(IFRS会計基準)の適用を開始
  • 2020年10月本店を東京都千代田区に移転
  • 2021年1月米国Saisei Ventures LLC含め、再生医療分野のファンド子会社(現 連結子会社)を設立
  • 2022年4月東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所マザーズからグロース市場に移行
  • 2023年7月子会社 株式会社プロセルキュア(現 連結子会社)を設立
  • 2024年4月米国Athersys, Inc.の実質的全資産を取得し、MultiStem®(HLCM051)及びその関連資産の権利を獲得
  • 2024年6月アルフレッサ株式会社と業務提携基本契約及び社債買取契約締結
  • 2025年1月子会社 株式会社Akatsuki Therapeutics(現 連結子会社)を設立

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2025/12期の経営方針より

会社は4つの方針を掲げている。有価証券報告書には具体的な数値目標の記載がない。

  1. 01

    短期:承認パイプラインの開発推進

    日本国内で早期承認制度を活用し、体性幹細胞再生医薬品HLCM051の承認を目指す。ARDSや脳梗塞急性期の治験を進め、規制当局と協議しながら事業化を図る。

  2. 02

    長期:革新的基盤技術の確立

    iPSC再生医薬品の実用化に向け、遺伝子編集技術を用いたeNK®細胞による固形がん免疫療法や、免疫拒絶リスクの少ない次世代iPS細胞の研究を進める。

  3. 03

    アライアンス体制の強化

    国際的な情報ネットワークを強化し、国内外の公的研究機関や企業から新規技術・ノウハウを積極的に取り入れ、強固な提携関係を築く。

  4. 04

    資金調達の多様化と財務安定化

    新規提携先からの契約一時金やマイルストーン収入、借入、株式市場からの資金獲得、補助金等多面的な資金源を確保し、財務基盤を安定させる。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 10期分

グループ全体で75人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は912万円で、9期前と比べて+27.0%平均年齢は46.4歳、平均勤続年数は6.1年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数一人当たり営業利益万円
2016年12月58
2017年12月74
2018年12月93
2019年12月71841.42.9109
2020年12月70441.73.2114
2021年12月72941.93.8116
2022年12月79942.24.771
2023年12月87343.65.664
2024年12月91645.16.565−4,308
2025年12月91246.46.175−4,400

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

拠点とグループ

設備と関係会社

関係会社5(国内 4 / 海外 1) を有報から抽出しています。

主要な設備 (帳簿価額 上位2)
神戸研究所 — 兵庫県神戸市中央区348百万円
本社 — 東京都千代田区0百万円
主な関係会社
  • 海外
    Saisei Ventures LLC (注)3
    米国マサチューセッツ州
    議決権49.0%
  • 国内
    Saisei Capital Ltd. (注)4
    ケイマン
    議決権49.0%
  • 国内
    Saisei Bioventures, L.P. (注)1、5
    ケイマン
    議決権8.4%
  • 国内
    株式会社プロセルキュア
    兵庫県神戸市 中央区
    議決権100.0%
  • 国内
    株式会社Akatsuki Therapeutics (注)1、6
    東京都品川区
    議決権8.4%

業績のいま

有価証券報告書・決算短信より

2025年12月期の売上高は1億円営業利益-33億円前期と比べると減収で、売上が-83.3%。

売上高
-83.3%
1億円
営業利益
-33億円
純利益
-22億円
営業利益率
-3300.0%
前期比 -2833.3%pt

四半期の推移

10期分

直近は2026年2Qで、売上は0億円、営業利益は−24億円。前年の2025年2Qと比べると、売上は−100.0%。

対象期間売上高億円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2023年1Q0−9−7
2023年2Q1−7−700.0−7
2023年3Q0−7−7
2023年4Q0−17
2024年1Q0−10−24
2024年2Q5−3−60.0−6
2024年4Q1−15−1500.0−12
2025年2Q1−16−1600.0−47
2025年4Q0−1725
2026年2Q0−24−23

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。

業績の推移

有価証券報告書 14期分

直近期の営業利益率は-3300.0%。

決算期売上高億円営業利益億円税引前利益億円営業利益率%純利益億円
東京都千代田区に東京事務所を開設
2012年12月00
商号を株式会社ヘリオスに変更 東京事務所を東京都中央区に移転するとともに同所に本店を移転
2013年12月521
大日本住友製薬株式会社(現 住友ファーマ株式会社)との合弁により株式会社サイレジェンを設立
2014年12月3−5−5
東京証券取引所マザーズに株式を上場
2015年12月1−10−10
この期から会計基準が日本基準からIFRSに変わりました。前後の数値は単純に比較できません
2016年12月1−34−34
2017年12月0−24−18
米国に子会社 Healios NA, Inc.(現 連結子会社)を設立
2018年12月
2019年12月1−46−48
2020年12月0−54−55
米国Saisei Ventures LLC含め、再生医療分野のファンド子会社(現 連結子会社)を設立
2021年12月0−45−49
2022年12月1−53−52
子会社 株式会社プロセルキュア(現 連結子会社)を設立
2023年12月1−36−38
2024年12月6−28−41−466.7−42
子会社 株式会社Akatsuki Therapeutics(現 連結子会社)を設立
2025年12月1−33−21−3300.0−22

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。空欄の期は有価証券報告書からその項目の数値が取れていません(0ではありません)。

利益の構造

2025年12月期

売上高1億円のうち、営業利益として残るのは-33億円-3300.0%。営業外の損益と税金を反映した純利益は-22億円、売上の-2200.0%にあたる。営業利益率は業種中央値2.9%を下回る水準。

売上高を100としたときの内訳
  • 売上原価など作る・仕入れるのにかかったお金2100.0%21億円
  • 販売費及び一般管理費売る・管理するのにかかったお金1300.0%13億円
  • 営業利益費用を引いたあとに残った本業の利益-3300.0%-33億円

有価証券報告書の損益計算書から、当期の金額をそのまま割り振っています。

粗利率
-100.0%
売上から原価を引いて残る割合
営業利益率業種比3302.9pt
-3300.0%
本業の利益として残る割合
純利益率業種比2202.7pt
-2200.0%
税金まで払って最後に残る割合
ROE業種比69.7pt
-63.8%
株主のお金がどれだけ利益を生んだか
ROA
-12.9%
資産全体がどれだけ利益を生んだか
ROIC
-20.3%
事業に使うお金がどれだけ利益を生んだか

ROICは有利子負債の開示がないため、営業利益×0.7÷(総資産−現金)の簡易式で算出しています。

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 12期分

2025年12月期は営業CFが−32億円、投資CFが−11億円で、差し引きのフリーCFは−43億円この組み合わせは先行投資型にあたる。本業がまだ現金を生まない中、調達した資金で投資を続けている。スタートアップ・再建初期の型期末の手元現金は57億円で、売上の684.0ヶ月分にあたる

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2013年12月3−330030
2014年12月−2−91−1119
2015年12月−2−277−492
2016年12月−38−125−3978
2017年12月−1812117−6190
2019年12月−490114−49183
2020年12月−39−128−51139
2021年12月−51−770−58151
2022年12月−46−9−25−5572
2023年12月−28−1133−3967
2024年12月−18−141−3237
2025年12月−32−1163−4357

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 14期分

2025年12月期の総資産は171億円。このうち返さなくてよい自己資本が49億円で、自己資本比率は28.7%(業種中央値69.9%より薄い)

決算期総資産億円自己資本億円負債億円自己資本比率%
2012年12月000
2013年12月4031975.7
2014年12月3227583.0
2015年12月105941189.3
2016年12月92603265.0
2017年12月1971623581.8
2018年12月1961445273.3
2019年12月25612313348.2
2020年12月2327815433.9
2021年12月2408615436.0
2022年12月1504410629.2
2023年12月1523911325.4
2024年12月1422112114.5
2025年12月1714912228.7

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2025年12月期の内訳
現金及び預金
57億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
10億円
過去の利益の積み上がり
負債合計
122億円
いつか返す必要があるお金
財務の健全性
19
/ 100
安定性自己資本比率19 / 40
収益力営業利益率0 / 30
現金創出営業CFの黒字継続0 / 30

有価証券報告書の数値から機械的に配点した参考値です。自己資本比率60%で満点、営業利益率15%で満点、直近3期の営業CFが黒字だった割合の3つを足しています。業態によって出ない要素があります。

業界内での比較

医薬品 79社との比較

同じ医薬品の企業と並べると、いちばん上に来るのは自己資本比率79社中75位あたり、逆に低いのは売上成長率79社中78位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE下位株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
-63.8%/中央値 5.9%
P25 2.0%P75 11.0%
営業利益率下位売上のうち本業の利益として残る割合
-3300.0%/中央値 2.9%
P25 -162.5%P75 11.5%
自己資本比率下位総資産のうち返済のいらないお金の割合
28.7%/中央値 69.9%
P25 53.4%P75 84.5%
売上成長率下位前期からの売上の伸び
-83.3%/中央値 2.8%
P25 -1.3%P75 12.0%
配当利回り株価に対して1年で受け取る配当の割合
/中央値 2.9%
P25 2.3%P75 3.5%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月2日の終値

直近の終値は¥295で、1年前と比べて-45.8%過去52週の値幅のなかでは21%の位置にある。

¥295+0.0%1ヶ月+22.9%1年-45.8%時価総額341億円
過去52週の値幅
安値¥208高値¥628

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標
PER (実績)286.4倍
PBR4.54倍

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

株価は7月29日に212円まで下落した後、8月にかけて回復基調に転じ、8月13日に279円、8月20日に288円と上昇しました。8月21日には270円と小反落しましたが、1ヶ月で約6%上昇しています。25日移動平均線(252円)を上回り、75日線(277円)とほぼ同水準です。52週高値628円からは約57%下落、52週安値208円からは約30%上昇です。8月13日と20日の出来高は435万株と365万株と増加し、買い意欲が続いています。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

AIの評価

AI評価

株価水準の解釈です。売買の推奨ではありません

現在の株価水準を割高と判定しています(スコア 10/100)

PERが246.67倍と同業界平均33.91倍を大きく上回る一方、ROEは-63.8%と深刻な赤字で、利益創出能力が著しく低い。PBRは4.32倍と平均4.08倍より高く、株価が資産価値に対して過大評価されている。配当利回りは0%で株主還元もなく、業績は赤字が続き、2025年12月期も営業赤字が継続見込み。財務健全性と収益性の両面で割高感が強く、投資妙味は乏しい。

指標この会社業種平均
PER (実績)286.4倍36.0倍
PBR4.54倍3.53倍
ROE-63.8%6.5%

業種平均は同じ東証33業種に属する銘柄の単純平均です。銘柄数が少ない業種では平均が振れます。

AI評価判定とスコアは公開データをもとにした解釈で、将来の株価を示すものではありません。算出の考え方は編集方針に記載しています。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

遺伝子治療の実用化への期待が強い一方、財務基盤の弱さが懸念される。強気派は、開発パイプラインの進捗と提携の拡大により、将来的な画期的新薬の創出を期待する。弱気派は、売上規模が極めて小さく、研究開発費の増加で赤字が継続する点、資金調達の依存度の高さを指摘する。両者は、開発リスクと市場機会の評価で対立している。

プラスに働く材料7
  • パイプライン進捗

    遺伝子治療の開発が順調で、臨床試験の進展が期待される。

  • 提携の可能性

    大手製薬との提携や導出による資金調達の機会がある。

  • 技術の独自性

    再生医療や遺伝子治療の技術に独自性があり、差別化が可能。

  • 最終赤字が42億円から22億円へ縮小通年影響

    最終損益は-42億円から-22億円へ20億円改善した。

  • PBR4.32倍から純資産約69億円が下支え継続影響

    時価総額300億円÷PBR4.32倍で純資産約69億円が算出される。

  • 株価が1年で56%下落し調整が進展継続影響

    1年リターン-56.47%と売り一巡後の反発余地がある。

  • 外国人保有比率21.84%と一定の資金需要継続影響

    外国法人持株比率21.84%と新興銘柄としては一定程度ある。

マイナスに働く材料7
  • 収益基盤脆弱

    売上は数億円規模で、商業化までの道のりは長い。

  • 赤字継続

    開発費用がかさみ、黒字化の時期が明確でない。

  • 資金調達依存

    増資や借入に依存し、希薄化や財務リスクが懸念される。

  • 売上高が6億円から1億円へ大幅減少通年影響

    売上高は6億円から1億円へ約83%減少した。

  • 営業赤字が28億円から33億円へ拡大通年影響

    営業損失は33億円と前年から5億円悪化した。

  • 実績PER246.67倍と割高継続影響

    実績PER246.67倍と極端に高く業績裏付けがない。

  • ROE-63.8%と資本棄損が進行継続影響

    ROE-63.8%と大幅なマイナスで自己資本の毀損が続く。

次の決算で確かめる点
研究開発費
研究開発費の増加が将来の収益源の創出につながるか。
提携・導出件数
外部からの資金獲得の兆候であり、事業の進展を示す。
現預金残高
資金の持続可能性や追加調達の必要性の判断材料。

株主

有価証券報告書より

2025年12月期末の株主数は延べ27,015人。区分でいちばん多いのは個人・その他67.0%。グループ会社や銀行などの安定株主が3.6%を占め、残る96.4%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2020年12月%2021年12月%2022年12月%2023年12月%2024年12月%2025年12月%
個人・その他61.358.977.080.473.967.0
外国法人18.122.97.89.318.121.5
証券会社1.72.62.63.12.17.5
事業法人7.06.56.95.75.13.4
外国人個人0.10.10.20.20.30.3
金融機関11.99.15.51.30.50.2

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01鍵本 忠尚24.05
02MSIP CLIENT SECURITIES (常任代理人 モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社)5.24
03BNY GCM CLIENT ACCOUNT JPRD AC ISG (FE-AC) (常任代理人 株式会社三菱UFJ銀行)3.76
04GOLDMAN,SACHS & CO.REG (常任代理人 ゴールドマン・サックス証券株式会社)3.08
05BNYM SA/NV FOR BNYM FOR BNYM GCM CLIENT ACCTS M ILM FE (常任代理人 株式会社三菱UFJ銀行)2.83
06楽天証券株式会社共有口2.42
07BBH(LUX) FOR FIDELITY FUNDS - PACIFIC POOL (常任代理人 株式会社三菱UFJ銀行)1.88
08株式会社SBI証券1.86
09株式会社RACTHERA1.30
10JPモルガン証券株式会社1.07

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

大量保有報告の動き
5%超の保有者の提出ベース 直近4
  • 2026-08-20
    モルガン・スタンレー・アンド・カンパニー・インターナショナル・ピーエルシー(Morgan Stanley & Co. International plc)
    新規の大量保有報告
    7.15%
    +0.25pt
  • 2026-08-06
    モルガン・スタンレー・アンド・カンパニー・インターナショナル・ピーエルシー(Morgan Stanley & Co. International plc)
    新規の大量保有報告
    6.90%
  • 2026-07-06
    モルガン・スタンレー・アンド・カンパニー・インターナショナル・ピーエルシー(Morgan Stanley & Co. International plc)
    新規の大量保有報告
    3.36%
    -3.34pt
  • 2026-06-19
    モルガン・スタンレー・アンド・カンパニー・インターナショナル・ピーエルシー(Morgan Stanley & Co. International plc)
    新規の大量保有報告
    6.70%

提出があった時点の記録です。その後5%を割った保有者が一覧に残ることがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 14期分

1株利益は13期で+84%、1株純資産は13期で−54%。直近期のROEは-63.8%で、日本株の目安とされる8%を下回る。

決算期EPSBPSROE%
2012年12月−132
2013年12月3925.6
2014年12月−1478
2015年12月−26231
2016年12月−84146
2017年12月−40328
2018年12月292
2019年12月−96241−36.0
2020年12月−107152−54.6
2021年12月−93157−59.6
2022年12月−9169−79.4
2023年12月−5652−92.8
2024年12月−4823−143.1
2025年12月−2142−63.8

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安
ROE自己資本利益率
株主のお金でどれだけ稼いだか。日本株では8%が一つの目安

経営陣

8名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は8名。2025/12期の役員報酬は総額216百万円。

氏名役職年齢保有株数
鍵本忠尚取締役4927,830,300
樫井正剛取締役73200
リチャード・キンケイド取締役49187,500
余語裕子取締役69
グレン・ゴームリー取締役72
田村康一6961,800
木村博信執行役564,000
弦巻好恵執行役55

役員報酬の内訳2025/12

役員の区分人数固定報酬百万円業績連動百万円ストックオプション百万円その他百万円合計百万円1人あたり百万円
執行役46340636316642
社外取締役33812125017

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2025/12期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容13,296字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3【事業の内容】 当社グループの企業集団は、当社、連結子会社7社により構成されており、「『生きる』を増やす。爆発的に。」というミッションの下、幹細胞技術をもって難治性疾患を罹患された方々に治癒と希望を届けるべく、体性幹細胞再生医薬品分野、及びiPS細胞に関連する技術を活用した再生医療等製品(iPSC再生医薬品)の研究・開発・製造を行うiPSC再生医薬品分野において事業を推進しております。 なお、当社グループの事業セグメントは、医薬品事業のみの単一セグメントであります。 以下の表は、当連結会計年度末現在の当社グループの開発品並びにその適応症、市場、開発段階及び進捗状況を示しております。 なお、製品の開発に際しては様々なリスクを伴うため、当社グループとして各製品に関する製造販売承認の取得又はその時期を保証できるものではありません。当社グループ製品の開発リスクの概要については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」のとおりであります。 [体性幹細胞再生医薬品分野] (*1)米国FDAよりFast Track及びRMAT(重篤または生命を脅かす疾病や治療法のない疾病に対する新薬の開発に向け、一定の条件を満たした医薬品(RMATは細胞加工製品)に対し迅速承認を可能とする制度)指定を受けています。 [iPSC再生医薬品分野] (*2)Retinal Pigment Epithelium:網膜色素上皮細胞 (*3)住友ファーマ株式会社より再生・細胞医薬事業を承継 カーブアウト予定のパイプラインは表記より除いています。 (1)体性幹細胞再生医薬品分野 ① 概要 体性幹細胞再生医薬品は、生体のさまざまな組織にある幹細胞である「体性幹細胞」を利用して、現在有効な治療法のない疾患等に対する新たな治療法を開発することを目的とする製品です。 なお、体性幹細胞には、神経幹細胞、間葉系間質細胞、造血幹細胞など複数の種類があり、生体のさまざまな組織に存在します。限定された種類の細胞にのみ分化(細胞が特定の機能を持った細胞に成熟することをいいます。)するものや、複数の種類の細胞に分化するものもありますが、iPS細胞等との比較においては、分化する細胞の種類は一般に限られています。 本医薬品分野において当社グループは、2016年より米国Athersys, Inc.(以下、「アサシス社」と言います。)が特許権・特許実施許諾権を有する体性幹細胞製品MultiStem®を用いた脳梗塞急性期及び急性呼吸窮迫症候群(以下、「ARDS」と言います。)に対する細胞治療医薬品の開発・販売に関する国内の独占的なライセンス契約を締結しておりました。しかしながら、アサシス社が2024年1月に米国連邦破産法第11条に基づく破産手続きを申請したことを受け、当社グループは、オハイオ州北部地区連邦破産裁判所からの許可を得て、アサシス社の資産買収を完了し、グローバルでの開発権を含めたMultiStem®及びその関連資産の所有者となりました。 ② 体性幹細胞再生医薬品分野のパイプライン(HLCM051) (ⅰ)急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に対する治療法開発 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は、様々な重症患者に突然起こる呼吸不全の総称で、原因疾患は多岐にわたりますが、およそ1/3は肺炎が原因疾患で、新型コロナウイルス感染症の重症患者においても併発することが確認されています。生命予後を直接改善できる薬物療法は無く、人工呼吸管理による呼吸不全の対症療法が実施されますが、有効な治療薬はいまだ開発されていません。そのため、ARDSは非常にアンメットメディカルニーズが高く、新たな治療の選択肢が望まれている疾患と言えます。発症後の死亡率は全体の30~58%*aである極めて予後不良の疾患で、生命予後を改善できる新規の治療法が望まれています。現在国内の患者数は年間2.8万人程度*bと推定されており希少疾患に指定されていますが、米国では21.3万人から26.2万人*c、欧州では13.3万人程度*d、中国では67万人*e、全世界では110万人以上が罹患していると推定されます。 (出典) *a ARDS診断ガイドライン2016 *b 疫学データの発症率と人口統計による日本総人口を基に当社推定 *c Diamond Metal. 2023 Feb 6. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2023 Jan–.PMID: 28613773 のデータと外務省アメリカ合衆国基礎データによる米国総人口を基に当社推計 *d Community Research and Development Information Service (CORDIS) 2020 7-9 3 *e song-et-al-2014-acute-respiratory-distress-syndrome-emergingresearch-in-china 当社グループが開発を進めるARDSに対する新規の細胞治療法は、HLCM051をARDSと診断された患者に一定の時間内に静脈投与するものです。HLCM051は、炎症性T細胞を中心とした炎症免疫細胞の活性化を抑制することにより、肺での過剰炎症や毛細血管内皮の損傷を抑制し、肺水腫の状態を改善することで呼吸機能を正常化する効果があると考えられています。その結果、ARDS患者における人工呼吸器の使用期間を短縮、又は死亡率を低下させる可能性があると考えられます。 アサシス社は、欧米においてARDS患者に対するMultiStem®の安全性と有効性を探索する第Ⅰ/Ⅱ相試験を実施しており、2021年11月にIntensive Care Medicineに試験結果が掲載されました。この試験は統計的に有意差を検出することを目的とはしていませんでしたが、ARDS患者20人に対してMultiStem®を、10人に対してプラセボを投与して実施した第Ⅱ相二重盲検試験において、死亡率、投与後28日間の人工呼吸器を使用しなかった日数及び集中治療室での管理を必要としなかった日数などの指標においてMultiStem®投与群では改善傾向が見られました。 当社グループは、2018年10月、日本国内における肺炎を原因疾患とするARDS患者を対象としたHLCM051の有効性及び安全性を検討する第II相試験(治験名称:ONE-BRIDGE試験)を開始しました。本治験は、非盲検下で標準治療対照、組入症例数30として、2019年4月より患者組み入れを開始しました。2020年4月には、あらたに評価対象群を追加し、新型コロナウイルス由来の肺炎を原因疾患とするARDS患者5症例を対象に、安全性の検討を実施するため試験プロトコルの変更を行いました。2021年8月と11月には、HLCM051投与後90日と180日の評価項目のデータの一部を発表し、有効性並びに安全性について良好な結果が示されました。 2024年9月には米国FDA(Food and Drug Administration)との協議により、米国を中心としたARDS治療薬のグローバル第Ⅲ相試験(治験名称:REVIVE-ARDS試験)に関する治験デザインに合意し、米国における治験開始に向けた準備を進めることとなりました。さらに、日本においては、既に日本国内で完了した第Ⅱ相試験(ONE-BRIDGE試験)と米英で実施した第Ⅱ相試験(MUST-ARDS試験)の良好な結果に加え、検証試験としてREVIVE-ARDS試験を実施することを前提に、国内での条件及び期限付承認申請に向けた準備を進めています。承認に向けた臨床データパッケージの内容や承認後の製品の製造法や品質管理等に関する内容については、規制当局と概ね合意しています。2025年4月には、PMDAとREVIVE-ARDS試験において国内被検者の組み入れが可能である点について合意しました。2026年1月には、REVIVE-ARDS試験の一部として日本国内で先行して実施する治験に向けた治験計画届出書をPMDAに提出し、提出後14日のレビュー期間を経て本試験を開始する準備が整いました。 なお、当社グループの開発するHLCM051は、2019年11月に、ARDSを対象とした希少疾病用再生医療等製品として厚生労働大臣より指定されています。 (ⅱ)脳梗塞急性期に対する治療法開発 脳梗塞は、脳の血管が詰まることにより、その先に酸素や栄養分が届かなくなり、詰まった先の神経細胞が時間の経過とともに壊死していく病気です。日本の年間発症患者数は23万人~33万人(総務省資料及びDatamonitor等を基に当社推定)、死亡者数は年間約6万2千人(厚生労働省 人口動態統計)と推定され、発症した患者さんの中には死亡を免れても機能障害が残り、寝たきりや日常生活に介護が必要となる場合があることが知られています。 脳梗塞急性期に対しては、脳の血管に詰まった血の塊を溶かす血栓溶解剤t-PAを用いた治療が行われていますが、血栓溶解剤の処方は発症後4時間半以内に限定されており、脳梗塞発症後に治療できる時間がより長い新薬の開発が待たれる疾患領域となっています。HLCM051は、点滴により静脈投与され、脾臓に分布して炎症免疫細胞の活性化を抑制する事により炎症や免疫反応を抑えて神経細胞の損傷を抑制し、神経保護物質を産生して治療効果を発揮すると考えられています。 本製品は、すでにアサシス社によって欧米にて第Ⅱ相試験が行われており、脳梗塞発症後36時間以内の患者さんに対する治療法となりうる可能性が示されております。当社グループは、この欧米での試験結果を参考とし、脳梗塞発症後18時間から36時間以内の患者さんを対象とした、有効性及び安全性を検討するプラセボ対照二重盲検第Ⅱ/Ⅲ相試験(治験名称:TREASURE試験)を実施しました。2017年11月より患者への投与が開始され、以降40施設強の医療機関で臨床試験を進め、2021年8月に患者組み入れが完了いたしました。2022年3月末にすべての治験登録患者の投与後365日後データの収集が完了し、同年5月に試験データの一部を解析し速報値を公表しました。その結果、主要評価項目は未達となりました。一方で、脳梗塞患者の日常生活における臨床的な改善を示す複数の指標を通じて、全般的に1年後の患者の日常生活自立の向上が示唆されました。2023年10月にはアサシス社が、欧米で実施している治験(治験名称:MASTERS-2試験)の中間段階でのデータ解析を行い、統計学的有意性を満たすためには組み入れ患者数の追加が必要との結論になりました。2025年4月には「日本語版医療特化型LLMの社会実装に向けた安全性検証・実証」がNEDOに採択され、本計画に当社も参画しております。この計画内で用いられる脳卒中の患者さんに関する多施設共同脳卒中データベース(Fukuoka Stroke Registry:FSR)の活用も含め、国内での対応について、規制当局との相談を進めています。当社グループは引き続き規制当局との協議を続け、治療薬の開発推進に向けた方針を検討してまいります。 なお、脳梗塞急性期を対象としたHLCM051は、2017年2月に先駆け審査指定制度の対象品目に指定されております。 (ⅲ)外傷に対する治療法開発 外傷は、身体外部の物理的、化学的な力によって組織や臓器に深刻な損傷を与えるもので、骨、筋肉、腱、神経、血管などに損傷を与え、内臓破裂など深刻な状況を引き起こします。外傷性傷害の症状は様々ですが、高い割合の患者が全身性炎症反応症候群(SIRS: Systemic Inflammatory Response Syndrome)を含む炎症亢進を経験し、急性腎障害(AKI: Acute Kidney Injury)、急性肺障害、ARDS、多臓器不全、二次感染、敗血症、静脈血栓塞栓症、その他の二次傷害(脳浮腫など)などの合併症を引き起こします。米国において、外傷による死亡者数は年間22万人*fを数え、45歳未満の死因の第1位となっています。 外傷に起因する全身性炎症反応症候群(SIRS)は、交通事故、銃創、薬物、感染をはじめとする外部からのストレスに対する過剰な自己防御反応であり、自律神経、内分泌、血液、免疫学的変化を引き起こします。この変化は、初めは体を防御する目的であっても、調節不可能なサイトカインストームとなり、大規模な炎症亢進、そして深刻な臓器障害を引き起こします。現在この状況に至った患者さんに対する有効な治療薬は無く、それぞれの症状に対して対症療法を行うのみです。 当社が実施したARDSなどを対象とした治験で示された通り、HLCM051の急性炎症を抑える力はサイトカインストームを抑え込み、患者さんの予後改善に寄与することが期待されます。 外傷を対象とした治療薬の開発においては、米国国防総省とメモリアル・ハーマン基金により、テキサス大学ヒューストン・ヘルスサイエンス・センター(UTH)及びメモリアル・ハーマン・メディカル・センターにおいて、156人の患者を対象に、外傷による多臓器不全/全身性炎症反応症候群へのHLCM051を用いたプラセボ対照二重盲検第2相試験(治験名称:MATRICS-1試験)を実施しています。MATRICS-1試験では、効果評価をしやすいよう主要評価項目を腎機能に設定して治験を進めています。 (出典) *f アメリカ疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention) ③ 培養上清 培養上清は、細胞を培養した際に、それらが培養液の中で成長した後に得られる液体部分を指します。細胞を培養する際、通常は栄養分を含んだ培養液を使用し、細胞はこの液体環境の中で増殖したり、代謝産物を分泌したりします。培養上清は、培養が終わった後に、細胞や微生物を遠心分離やろ過などの方法で除去し、その液体部分だけを集めたものです。培養上清には、細胞が分泌したタンパク質や代謝産物などが含まれ、これらは研究や診断、治療に利用される可能性があります。 当社は、当社の再生医療等製品の生産に伴い今後大量に産出される培養上清の活用に向けた取り組みを進めています。2026年1月に、培養上清の本格生産に対応するため、神戸バイオメディカル創造センター(BMA)内に細胞加工製造用施設を本格稼働させました。一般社団法人AND medical groupとの間で、2024年4月に共同研究契約を締結し、2025年1月には原材料を当社からAND medical社に供給するための供給契約を締結しました。また、2026年1月には、アルフレッサ株式会社との間で、培養上清の継続的な売買に向けた取引基本合意書を締結しました。このほか、複数の有力な取引先との販売に向けた交渉を進めています。 (2)iPSC再生医薬品分野 ① 概要 iPSC再生医薬品は、iPS細胞を分化誘導(細胞を特定の機能を持った細胞、例えば神経細胞・皮膚細胞などに人為的に変化させることをいいます。)して作製した人体と近似の機能を持つ細胞を移植することによって、機能を回復することを目的とする製品であります。 iPS細胞(人工多能性幹細胞)とは、2006年に国立大学法人京都大学の山中伸弥教授が世界で初めて作製に成功し、2012年にその功績からノーベル生理学・医学賞を受賞したことで広く知られるようになった、皮膚などの体細胞にいくつかの遺伝子(山中因子)を導入することによって作り出される、様々な組織や臓器の細胞に分化する能力(多能性)と、ほぼ無限に増殖する能力(増殖能)を持った細胞であります。 ヒトの体は約60兆個の細胞からなりますが、それらの細胞は全て元々一つの細胞であった受精卵が細胞分裂を繰り返し、それぞれ臓器・器官等を構成する細胞へと分化したものであります。受精卵が特定の細胞に分化していく流れは一方通行であり、従来の技術では一度分化した細胞を分化する前の細胞に戻すことはできませんでした。ところが、皮膚細胞などの成熟した細胞にいくつかの遺伝子を導入することにより、新たに様々な細胞に分化する能力(多能性)とほぼ無限に増殖する能力(増殖能)を持たせることに成功したものがiPS細胞であります。iPS細胞のような多能性幹細胞は、いずれも自然に特定の細胞に分化していく訳ではないため、特定の細胞に分化を誘導するためにはiPS細胞の作製とは別の技術が必要となります。 加えて、近年、細胞医薬品分野においては、罹患者自身から採取した細胞(自家細胞)由来の幹細胞を用いたもののみならず、安全性が確認された他人の細胞(他家細胞)由来の幹細胞を活用した医薬品などの研究開発が進んでおります。 ② iPSC再生医薬品分野のパイプライン(HLCN061、HLCR011、HLCL041) (ⅰ)がん免疫(HLCN061) 当社グループは、遺伝子編集技術により特定機能を強化した他家iPS細胞由来のナチュラルキラー細胞*1(eNK®細胞)を用いて、固形がんを対象にしたがん免疫細胞療法の研究を進めております。 これまで当社グループが培ってきたiPS細胞を取り扱う技術と遺伝子編集技術を用いることで、殺傷能力を高めたeNK®細胞の作製に成功しており、更に大量かつ安定的に作製する製造工程を開発するなど、次世代がん免疫療法を創出すべく自社研究を進めています。神戸医療イノベーションセンター内に、2022年7月、当社グループの自社管理による細胞加工製造用施設が本稼働し、eNK®細胞の治験製品の製造に向けた試作製造に着手いたしました。なお、上記施設にて使用する培養装置の供給元である佐竹マルチミクス株式会社と、2022年10月、培養装置の継続的改良と支援業務に関する資本業務提携契約を締結しました。 昨今、遺伝子改変したT細胞やNK細胞を用いたがん免疫細胞療法の可能性が報告されています。血液がんに関しては、患者自身のT細胞を取り出し遺伝子改変により標的となるがん細胞への攻撃力を高め、再び体内に戻すCAR-T細胞療法が、国内で承認されています。一方、固形がんについては、がん免疫細胞療法として承認されている製品はなく、その実現が今後の課題となっています。特に、がん疾患の多くを固形がんが占めていることから、固形がんに対する有効な治療法が望まれております。 自社研究の成果として、eNK®細胞が中皮腫皮下移植モデルマウス、肺がん同所生着モデルマウス、肝がん皮下移植モデルマウス、及び胃がん腹膜播種モデルマウスに対して抗腫瘍効果を有すること、生体におけるがんと同様の環境を有している肺がん患者由来のがんオルガノイド*2においても、同様に抗腫瘍効果があることを確認しております。また、国立研究開発法人国立がん研究センター(以下、「国立がん研究センター」と言います。)と現在共同研究にて、国立がん研究センターが保有する複数種類のがん種に由来するPDX*3(Patient-Derived Xenograft:患者腫瘍組織移植片)移植マウスを用いてヒト肺がん組織に対するeNK®細胞の抗腫瘍効果を確認しております。さらに、兵庫医科大学とeNK®細胞を用いた中皮腫に対するがん免疫細胞療法に関する共同研究を、国立大学法人広島大学とeNK®細胞を用いた肝細胞がんに対するがん免疫細胞療法に関する共同研究を進めております。2025年10月には、国立大学法人九州大学と、CAR-eNK細胞を用いた脳腫瘍に対するがん免疫細胞療法に関する共同研究契約を締結しました。当社グループは、治験の開始に向けて、eNK®細胞が抗腫瘍効果をより発揮しやすい固形がんの種類の探索・評価を行うとともに、PMDAとの相談を進めています。2024年12月には、国立研究開発法人日本医療研究開発機構が公募した支援研究課題に採択され、eNK®細胞を用いて薬事規制に沿った各種非臨床試験の実施、臨床医と共同で投与方法の検討等に関する補助金交付が決定しました。 さらに2025年1月には、当社はAkatsuki Therapeutics株式会社(以下、「Akatsuki社」と言います。)と、eNK細胞®を用いた次世代がん免疫細胞療法の研究・開発を推進するための共同事業契約及びライセンスオプション契約を締結しました。共同事業契約に基づき、これまで当社が単独で実施してきたeNK®細胞の研究開発業務は、当社グループ全体の資源の効率的活用及び資金の機動的調達並びに研究の独立性の確保の観点より、今後Akatsuki社が主導し、当社はAkatsuki社より研究開発業務を受託します。また、ライセンスオプション契約に基づき、当社はAkatsuki社に対して、がん領域を中心とするあらゆる領域におけるeNK®細胞についての研究・開発・製造・販売に関するライセンス契約を締結するオプション権を付与することとなりました。 当社グループは、eNK®細胞を用いた治療薬開発に向けた早期の治験開始を目指すとともに、次世代eNK®細胞としてCAR-eNK細胞の研究を進めております。CAR(キメラ免疫受容体:Chimeric Antigen Receptor)とは、遺伝子編集技術を用いて工学的に作成される人工の受容体で、細胞表面に抗原を発現しているがん細胞と結合することで自らを活性化し、結合したがん細胞を攻撃し、死滅させることができます。当社グループでは、本特徴を有したCAR-eNK細胞は、次世代eNK細胞として新たな治療薬になりうる重要な技術と期待しております。 *1 ナチュラルキラー細胞(NK細胞):人間の体に生まれながらに備わっている防衛機構で、がん細胞やウイルス感染細胞などを攻撃する白血球の一種です。さらに白血球の分類においてはリンパ球に分類されます。NK細胞を用いた治療の有効性としては延命効果、症状の緩和や生活の質の改善、治癒が期待されています。 *2 生体内の組織・器官に極めて似た特徴を有している3次元的な構造を持つ組織・細胞。 *3 PDXモデル:PDX(Patient-Derived Xenograft:患者腫瘍組織移植片)モデルは、患者由来のがん組織片を免疫不全マウスに移植し腫瘍を再現したモデルです。臨床に近い状態が再現されており前臨床創薬研究において活用されています。従来の実験に用いられてきたがん細胞株は、元のがん組織の特性が失われているため、抗がん剤の正確な治療効果を予測できない可能性がありました。PDXモデルは、がん組織の特徴が保持されており、抗がん剤の治療効果の予測に高い精度をもたらすことができます。 (ⅱ)細胞置換 (a)iPSCプラットフォーム 当社グループは、遺伝子編集技術を用いて、HLA型*1に関わりなく免疫拒絶*2のリスクを低減する次世代iPS細胞、ユニバーサルドナーセル(Universal Donor Cell:以下、「UDC」と言います。)の作製を進めてまいりました。 UDCは、免疫拒絶反応を抑えた他家iPS細胞です。次世代がん免疫療法、眼科領域、臓器原基等への活用を目指しています。通常、移植細胞は患者とのHLA型を一致させない場合には、免疫拒絶反応を起こします。そのため、移植時には免疫抑制剤の投与が必要となりますが、患者の負担も大きくなります。免疫抑制剤の投与を回避するためには、自らの細胞から作製する自家iPS細胞の使用が望ましいのですが、この作製には多くの時間と多額の費用が必要となります。UDCは、遺伝子編集技術を用い、免疫拒絶反応の抑制を可能にするiPS細胞です。当社グループのUDCは、他家iPS細胞から拒絶反応を引き起こすHLA遺伝子を除去し、その細胞に免疫抑制関連遺伝子、及び安全装置としての自殺遺伝子を導入した、安全な細胞医薬品の原材料となる細胞です。iPS細胞本来の特長である無限の自己複製能力や、様々な細胞に分化する多能性を維持しながら、免疫拒絶を抑え安全性を高めた再生医療等製品創出のための次世代技術プラットフォームです。 2020年には、日米欧を含む国内外でのヒトへの臨床応用も可能なレベルの細胞株(臨床株)の作製に成功し、2021年には、UDCのマスターセルバンクを完成させました。2021年9月には、国立研究開発法人国立国際医療研究センターとの共同研究においてUDCから膵臓β細胞*3への分化誘導を確認しました。2023年4月には、米国ノースウェスタン大学の研究チームが、UDCから分化させた聴神経前駆細胞が、遺伝子編集前の親株細胞から分化させた聴神経前駆細胞に比べて蝸牛への移植後生着率向上を示すことを確認しました。新たな治療薬の研究や細胞置換を必要とする疾患に対するさらなる治療法の研究を目的に、国内外の企業・研究機関10社以上にUDCやiPS細胞を提供し様々な疾患への適応可能性について評価を実施しています。さらに、2023年10月には、カリフォルニア州再生医療機構(CIRM:California Institute for Regenerative Medicine)が公募する臨床研究支援プログラムにおいて、当社グループの米国子会社であるHealios NA, Inc.に対して、次世代UDCの実現に向けた研究開発に関する補助金交付が決定し、現在その資金を活用し研究開発を進めております。2025年8月には、UDCに関する日本での特許が成立し、移植細胞の原材料となる再生医療等製品創出のための次世代技術プラットフォームとして、その技術的独自性が正式に認められました。 *1 HLA型:HLA(Human Leukocyte Antigen=ヒト白血球型抗原)は、すべてのヒト細胞に発現しており、免疫にかかわる重要な分子です。体内では、自分のHLA型と異なるものはすべて異物と認識され、免疫反応により拒絶・攻撃されます。よって、臓器移植においてはHLA型の一致が非常に重要になります。 *2 免疫拒絶反応:他人の細胞や臓器を移植した場合、移植された細胞・臓器(移植片)が異物として認識され、免疫細胞に攻撃・排除される反応です。 *3 膵臓にあるランゲルハンス島を構成している細胞の1種で、血糖値に応じてインスリンを生産・分泌し、血液中の糖を調整しています。 (b)眼科領域(HLCR011) 当社グループは、他家iPS細胞を正常な網膜色素上皮細胞(以下、「RPE細胞」と言います。)に分化誘導し、純化した上で、iPS細胞由来RPE細胞懸濁液という形で罹患者に移植し、加齢黄斑変性の治療を行うiPSC再生医薬品の開発を進めております。 加齢黄斑変性(AMD:Age-related Macular Degeneration)は、網膜変性疾患の一種であり、網膜の中でも視力を保つために極めて重要な役割を果たす「黄斑部」に障害が生じる病気で、発症すると次第に視力が低下し、見え方に異常が生じるなどの症状が現われます。その原因は、黄斑部を支えるRPE細胞が老化等の原因により感覚網膜への栄養補給や老廃物の分解ができなくなってしまうことにあるものとされております。加齢黄斑変性は、日本人に多く見られる滲出型(ウェット型)と欧米人に多く見られる萎縮型(ドライ型)に大別されます。 当社グループは、罹患者自身ではない第三者の細胞から作製され、安全性等に関する基準を満たしたiPS細胞から作製したRPE細胞を含む懸濁液(懸濁液とは、液体中に個体粒子が分散しているものを言います。)を移植し、患部に定着させることにより感覚網膜への栄養補給や老廃物の分解機能を回復させ、視機能を改善させることを目指す、新しい治療法開発を進めております。 この治療法の開発のため、当社は、2013年2月にiPSアカデミアジャパン株式会社との間でRPE細胞を有効成分として含有する細胞製品を対象とする全世界を許諾領域としたiPS細胞樹立基本技術に関する特許実施権許諾契約を締結して非独占的ライセンスを受けるとともに、理化学研究所との間で同年3月にiPS細胞を含む多能性幹細胞由来RPE細胞を有効成分として含有する再生医療製品を対象とする全世界を許諾領域とした特許実施許諾契約を締結して独占的ライセンスを受けております。2013年12月には、大日本住友製薬株式会社(現、住友ファーマ株式会社。以下、「住友ファーマ」と言います。)との間で、日本におけるRPE細胞製品の開発を共同して行うことを合意しました。その後、iPS細胞を用いた治療法の実現には当社グループと住友ファーマのみならず様々なステークホルダーも交えた長期的な開発体制が必要となることから、資源配分の有効性を考慮したうえで共同開発体制の変更が適切であると判断するに至りました。その結果、2019年6月、今後は住友ファーマ(現、株式会社RACTHERA。住友ファーマ株式会社より再生・細胞医薬事業を承継。以下、「RACTHERA社」と言います。)が主体となって治験を進めることとなり、2023年6月に網膜色素上皮裂孔の患者を対象とする第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始しました。2024年には最初の被験者組み入れが行われ、引き続き治験が進められています。 (c)肝疾患領域(HLCL041) 当社は2014年10月、公立大学法人横浜市立大学(以下、「横浜市立大学」と言います。)と臓器のもとになる臓器原基を人為的に作製する新規の細胞培養操作技術を用いた機能的なヒト臓器の作製技術に関し、独占的な特許実施許諾契約を締結いたしました。同技術は、胎内で細胞同士が協調し合って臓器が形成される過程を模倣するという発想から開発されたもので、3種類の細胞(内胚葉細胞、血管内皮細胞、間葉系幹細胞)を一緒に培養することで臓器のもとになる立体的な臓器原基(臓器の芽)を人為的に創出する新規の細胞培養操作技術です。 この実用化に向け、当社は、機能的なヒト臓器をつくり出す3次元臓器を用いた治療法開発に向けて、横浜市立大学と肝疾患を対象とした肝臓原基*4の製造に関する共同研究を進め、2022年4月からは、国立大学法人東京大学医科学研究所再生医学分野と、本治療法の実用化に向け、UDCを用いた肝臓原基の製造法確立を目的とした共同研究を実施しました。肝臓は、たんぱく質など身体に必要なさまざまな物質を合成し、不要有害な物質を解毒、排泄するなど約500種類もの機能を、約2,000種類以上の酵素を用いて果たしている体内の化学工場といえる臓器です。HLCL041は、肝臓へ肝臓原基を注入し機能的な肝臓に育てることで、生産できない酵素を生産できるように肝臓機能を改善させることを目的とした再生医療等製品を目指しており、ヒトへの移植が可能なヒト肝臓原基の大量製造方法の構築、さらに作製されたヒト肝臓原基の評価方法や移植方法を検討しました。 現在、臓器が適切に機能しない疾患に対しては、機能を損なった臓器を健常な臓器へ置換する臓器移植が有効な治療法として実施されています。しかしながら、年々増大する臓器移植のニーズに対し、ドナー臓器の供給は絶対的に不足しており、iPS細胞等を用いて作製した臓器原基をヒトの体内に移植することによって機能的なヒト臓器を創り出すという新たな再生医療等製品(3次元臓器)は、臓器移植の代替治療としての新たな治療概念を提唱できるプラットフォーム技術として幅広い展開が期待されています。 なお、本研究につきましては、2023年2月、開発のさらなる加速のため、当社グループからカーブアウトした上でベンチャーキャピタル等の外部パートナーと共同で研究開発を推進する方針を決定いたしました。 *4 肝臓の基となる立体的な肝臓の原基。肝細胞に分化する前の肝前駆細胞を、細胞同士をつなぐ働きを持つ間葉系細胞と、血管をつくり出す血管内皮細胞に混合して培養することで形成されます。
経営方針・対処すべき課題2,542字を開く

経営陣が考える方向性と課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針 当社グループは「『生きる』を増やす。爆発的に。」というミッションを掲げ、「iPSC再生医薬品を活用し、世界中の患者さんに治癒と希望を届ける。世界中に承認販売まで自社で行う体制を構築し、全ての人からRespectを受けるバイオ企業を確立する。」というビジョンに沿って、iPS細胞等の優れた幹細胞技術をもって、世界中の難治性疾患の罹患者に対して新たな治療法を届けるべく、研究開発から製造販売承認の取得、製造・販売までを自社、関係会社及び提携会社において実現する体制の確立を目指し、事業を進めております。 (2)目標とする経営指標 当社グループの体性幹細胞再生医薬品分野及びiPSC再生医薬品分野の研究開発推進には、多額の開発資金が必要となるため、当該製品が上市されるまでは研究開発費を中心に先行投資が続くものと想定しております。当社グループは、新たな提携・多面的な資金源の確保による財務の安定化を目指しており、早期の製品の上市に向け開発計画の着実な進捗に目標を置き事業を推進してまいります。 (3)中長期的な会社の経営戦略 当社グループは上記(1)記載のミッション・ビジョンを実現するため ①短期戦略:日本国内において承認の目途が立つ開発パイプライン、または当社グループの経営基盤強化(収益体制、製造研究開発販売体制)に資する開発品 ②長期戦略:世界でデファクトスタンダードの地位を築く革新的基盤技術 という事業拡大戦略に基づき、①で得られたノウハウ・収益を②へ戦略的に投資し、持続的な成長を果たす戦略を推し進めております。 まずは、短期戦略に基づき2016年に導入した体性幹細胞再生医薬品分野におけるパイプラインHLCM051の承認を目指し、現在ARDS及び脳梗塞急性期を対象疾患とした治験を実施し、その結果をもって規制当局と協議を進めながら、事業化を目指し開発を進めております。また、再生医療等製品の生産に伴い今後大量に産出される培養上清について、安定した収益源とすべく、その活用に向けた取り組みを進めています。 一方、長期戦略の柱であるiPSC再生医薬品の実用化にむけては、遺伝子編集技術により特定機能を強化した他家iPS細胞由来のNK細胞(eNK®細胞)を用いて、固形がんを対象にした次世代がん免疫療法の研究を進めております。また、遺伝子編集技術を用いた、HLA型に関わりなく免疫拒絶のリスクの少ない次世代iPS細胞の作製にむけた研究活動など、再生医療の産業化に向けて必要な次世代の技術プラットフォームの確立を目指してまいります。 また、当社グループはバイオ領域の投資に特化した米国Saisei Ventures LLCを設立し、国内外のバイオ領域への成長資金の提供と投資回収によるリターンのみならず、情報収集を通じて当社グループのパイプラインに貢献する技術や他ベンチャーとの連携を期待しています。 当社グループは、患者さんのアンメットメディカルニーズの高い適応疾患領域における複数かつ多層的な開発戦略により、リスク低減を行い、企業価値の向上を目指します。 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ① 既存パイプラインの開発推進 当社グループは、法改正で新設された、再生医療等製品に対する早期承認制度を活用し、日本国内においていち早く再生医薬品の承認を獲得すべく、体性幹細胞/iPSC再生医薬品分野にて開発を進めております。共同開発パートナーや提携先、治験実施施設等とのスムーズな連携により、着実に開発を進めることが課題と考えております。 ② 開発におけるアライアンス体制の強化について 再生医療業界においては、常に新しい発見が重ねられており、目覚ましい技術の進展が見られます。またグローバル規模の製薬企業も再生・細胞医療に新たな可能性を見出し、企業買収等によって参入を図っています。このような競争環境のなか、当社グループは、世界でデファクトスタンダードの地位を築く可能性のある革新的なプラットフォーム技術の取得が重要と考えております。国際的な情報ネットワークを一層強化し、国内外の公的研究機関や企業等から新規技術・ノウハウを積極的に取り入れ、強固な提携関係を築くことが課題と考えております。 ③ 資金調達・管理 当社グループのようなバイオテクノロジー企業は、研究開発費用の負担により開発期間において継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。そのため研究開発資金の確保は重要課題の1つであると考えております。 体性幹細胞再生医薬品分野においては、今後の研究開発の継続に向けた事業体制の最適化に向け、経営資源の配分、固定費削減を中心とした合理化施策の継続的な実施を講じております。体性幹細胞再生医薬品分野、iPSC再生医薬品分野における固形がんを対象としたeNK®細胞、CAR-eNK細胞のパイプラインにおいて特に経営資源を集中して研究開発を進めます。さらにいずれのパイプラインにおいても、自社開発のみならず、国内外の有力製薬企業との連携等を目指し、社外のパートナーとの共同開発や提携の実現が重要と考えております。 以上に加え、iPS細胞株、医療材料(培養上清)、UDCの提供等による収入、既存パイプラインの開発進捗による共同開発先からのマイルストーン収入や、承認取得による早期の売上計上を目指すほか、リスクの分散や資金調達の多様性確保のため、新規提携先からの契約一時金やマイルストーン収入、金融機関等からの借入、株式市場からの資金獲得、補助金等多面的な資金源の検討も必要と考えております。 ④ 人材の獲得 再生医療という新しい産業を創生し、グローバルリーディング企業を目指し成長を続けるためには、人材が最も重要であると考えます。新しい産業を牽引できるポテンシャルの高い人材を世界中から確保し、活躍できる場を提供することが課題と考えております。
事業等のリスク7,849字を開く

会社が自認するリスクの一覧

3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループではこれらのリスクの発生の可能性を認識した上で発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、リスクの発生をすべて回避できる保証はありません。また当社グループに関連するリスクをすべて網羅するものではありません。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)体性幹細胞/iPSC再生医薬品分野のリスク ① 開発期間が長期にわたることに伴う損失の計上と追加の資金調達の可能性について 当社グループは、iPSC再生医薬品分野に加えて、2016年1月より体性幹細胞再生医薬品分野においても研究開発を進めており、当社グループの事業成果は、両分野の今後の研究開発の進展及び事業展開の成否に依拠しています。 体性幹細胞再生医薬品分野のパイプラインは、骨髄由来体性幹細胞治療薬HLCM051を用いて急性呼吸窮迫症候群(ARDS)及び脳梗塞急性期並びに外傷を対象疾患とするもので、早期承認制度に基づいた承認の取得も想定し、治験を実施いたしました。 またiPSC再生医薬品は、前臨床試験段階であり、製品の上市までにはさらなる段階が必要となります。 このため、体性幹細胞/iPSC再生医薬品分野において、実際に上市されるまでは収益が上がらず、損失を計上し続ける見込みとなっております。また、当社グループの体性幹細胞再生医薬品分野及びiPSC再生医薬品分野の研究開発には多額の資金が必要となることから、当社グループは追加の資金調達を行う可能性があります。このように、当社グループが想定しない追加の費用が発生したり、資金調達が想定通り行えない場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、HLCM051を先行して上市させることにより、その販売からの収益を、iPSC再生医薬品分野の開発に充てる戦略を展開しております。ARDS及び脳梗塞急性期並びに外傷を対象とした医薬品の開発について規制当局と協議を進めております。 ② 技術革新と競合について 当社グループが実施しているiPSC再生医薬品に係る研究開発の領域は、国内のみならず、世界的にも注目を集めている研究分野であるため、新しい知識や技術が発見されイノベーションが生まれやすい分野であります。ES細胞由来の細胞医薬品を含め、様々な治療法の開発が進展しているところであります。 体性幹細胞再生医薬品分野においては、すでに様々な研究開発が進んでおり、より実現性の高い技術革新が行われる可能性があります。 これらの周辺領域を含め当事業に参入している企業や潜在的な競争相手が、当社グループの保有している知的財産権等を上回る新技術を開発し、関連特許を取得する場合や先行して上市した場合、また、当社グループで実施している再生医療分野に関する最新業界動向の収集・分析が不十分で環境変化への迅速な対応ができない場合などには、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、大学や公的研究機関と連携し、常に最先端の技術開発に取り組んでおります。 ③ 再生医療等製品に関する法規制について 2014年11月に施行された医薬品医療機器等法(以下、「薬機法」と言います。)は、医薬品、医療機器等の安全かつ迅速な提供を図るものであり、体性幹細胞/iPSC再生医薬品を含む再生医療等製品について早期承認制度に基づいた条件及び期限付承認制度を設定しております。この制度下での承認実績は既にあるものの、他家iPS細胞を由来とする製品はいまだ実績がない(2025年12月時点)ことから、他の細胞由来の製品とは異なる検証が必要となる可能性も考えられます。また、かかる薬機法を含む再生医療等製品に関する法規制については、技術の革新の状況や予期し得ない事態の発生等に対応して、継続的に見直しがなされる可能性があります(2025年5月、改正薬機法成立)。法規制の追加や法改正の内容如何によっては、これまで認められてきた品質管理基準を上回る品質管理が求められる等の理由によって、多額の設備投資や追加の開発費用が必要となり、また当社グループの想定よりも多数の試験が求められた場合、開発スケジュールが大幅に遅れるなどの事態が生じる可能性があります。このような場合においては、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、そうした見直しにいち早く対応すべく情報収集、関係規制当局との相談、社内体制の整備等に努めております。 ④ 体性幹細胞/iPSC再生医薬品の製品特性について 体性幹細胞/iPSC再生医薬品は、ヒト細胞・組織を原材料とした細胞を人体へ移植・投与するという特性上、原材料の安全性に関するリスクや、様々な予期せぬ副作用・医療事故の発生などの可能性があり、そのために法制度上も厳しい規制がなされております。今後予期せぬ事態が発生する可能性を完全に防ぐことは難しく、そうした事態が発生した場合には当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、そうした規制に対応し、事故を防止するためにも、再生医療分野における知見を有する人材や薬事制度に精通した専門家に関与いただくなど様々な施策を講じております。 ⑤ 製造・販売体制の構築に関する不確実性について 当社グループの体性幹細胞/iPSC再生医薬品事業は、研究開発活動において成果をあげることにとどまらず、その後の製造及び販売についても事業として展開していくことを視野に入れております。しかしながら、医薬品の開発には、多種多様な技術が必要となり、今後、何らかの理由で製造方法の確立、製造体制の構築等が困難になった場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、提携先企業等とともに細胞の大量培養技術の開発など製造方法の確立に向けて注力しております。 販売体制については、当社グループ単独で販売体制を構築するのか、あるいは製薬企業等との提携により販売体制を構築するのか、その方針はいまだ決定しておりません。今後、体制構築に何らかの障害が生じ、当社グループの計画より遅れた場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、開発中の製品の上市に向け、営業・マーケティング組織の立ち上げを計画しており、国内医療用医薬品等卸売大手との契約締結など、販売開始に向けた準備を始めています。 ⑥ 海外での事業展開について 当社グループは、当社グループの開発するiPSC再生医薬品が、国内のみならず、世界各国の難治性疾患の罹患者の方々にとって需要のあるものであると考えております。このため、海外子会社の設立等といった形で海外展開に向けた取組みを進めております。 しかしながら、海外における特有の法的規制や取引慣行により、必要な業務提携や組織体制の構築に困難が伴うなど、当社グループの事業展開が何らかの制約を受ける可能性もあり、その場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑦ 治験の実施について 当社グループは、将来的に、iPSC再生医薬品分野において治験の実施を検討しております。一般的に治験の実施において、いまだ再生医療等製品の治験実施例は多くはないことから、治験に必要とされる患者を適切に確保できないこと、治験実施施設における各種手続きが計画通り進行しないこと等の様々な要因によって遅延する可能性があります。さらに、安全性に関する許容できない問題が生じた場合や、期待した有効性を確認できない場合には、開発を中止するリスクがあります。 このような場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)やアメリカ食品医薬品局(FDA: Food and Drug Administration)とも事前に相談し、綿密な計画を立て、治験を実施してまいります。 ⑧ 治験データの解析・評価結果、承認申請の不確実性について 当社グループは、現在、体性幹細胞再生医薬品分野において治験を実施しております。一般的に治験データの解析・評価結果において、その結果の確たる予測は困難であり、当社グループの予期せぬ結果となることも想定されます。また、承認申請において、PMDAとの相談の経過によっては、当社グループの想定どおりに進捗せず、同様に当社グループが想定するスケジュールどおりに行うことができない可能性があります。このような場合、当社グループの今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、継続的にPMDAと相談を続けながら、製造・販売承認申請に向けた準備を進めております。 ⑨ 投資に関するリスク 当社グループでは、常に最先端の技術開発に取り組み、周辺領域を含め当事業に参入している企業や潜在的な競争相手に先んじるため、関連する技術や特許を保有する企業に対して投資やM&A等(買収、合併、事業譲渡・譲受)という形で提携を進める可能性があります。また、これらとは別に、当社はSaisei Ventures LLCを通じて、国内外のバイオ領域に成長資金となる投資を行っております。 提携先または投資先において予期せぬ問題が生じた場合や、予想通りに研究開発が進まない場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、提携先の選定やその投資価額の妥当性等において、第三者機関の評価を得たうえで慎重に進めております。 (2)医薬品の研究開発一般に関するリスク ① 薬価に係る法規制の改正等について 世界的な医療費抑制の流れの中で、薬価に係る法規制の改正により当社グループが想定している製品価値よりも低い薬価・保険償還価格となった場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 製造物責任について 当社グループが開発した医薬品が健康被害等を引き起こした場合、治験、製造、販売において不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負う可能性があり、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (3)人材及び組織に関するリスク ① 特定の個人への依存について 当社グループは、小規模な組織であります。また、代表執行役社長CEOである鍵本忠尚は、研究開発や経営方針、戦略の決定、提携先との関係構築等、当社グループの事業活動において重要な役割を果たしております。当社グループでは、過度に特定の人物に依存しない組織的な経営体制の強化を進めておりますが、何らかの理由により、鍵本忠尚が当社グループの業務を継続することが困難になった場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 社内管理体制について 当社グループの行う事業の性質上、他の役員及び従業員が持つ専門知識・技術・経験に負う部分も大きく、今後、当社グループの業務の拡大に応じて人員の増強や社内管理体制の充実を図っていく方針でありますが、想定どおりに人材の確保ができない場合や人材の流出が生じた場合、又は社内管理体制に不備が生じた場合には、研究開発の推進や社外との連携関係の構築に支障が生じ、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (4)その他の事業リスク ① 大学等公的研究機関との関係について 当社グループでは、これまで、公的研究機関との連携や特許実施許諾契約の締結等を通じて、積極的な研究開発活動を実施して参りました。しかしながら、国立大学の法人化により大学の知的財産権に関する意識も変化しつつあるため、特許実施許諾契約の新規締結や更新が困難となる等の事態が生じた場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 知的財産権について 当社グループの事業を遂行していく中で、第三者が有する知的財産権を使用することがあります。当社グループでは適法な手続きのもとに知的財産権を使用することとしておりますが、第三者の知的財産権に関連して係争が生じる可能性もあります。当社グループでは、第三者の知的財産権に抵触することを回避するため、調査、検討及び評価等を随時実施し、必要に応じて遅滞なく実施許諾契約(ライセンス契約)を締結しておりますが、今後、事業の拡大とともにこのようなリスクは増大するものと思われます。 当社グループは、知的財産権に関する管理体制をより強化していく方針でありますが、訴訟等が提起された場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループが有する知的財産権が第三者により侵害される可能性もあります。当社グループとしては、このような場合には当社グループの知的財産権保護のために必要な法的措置を検討していく方針ですが、費用対効果や第三者から特許無効審判等を提起される可能性なども勘案し、あえて法的措置に踏み切らない可能性も否定できず、その場合、当該第三者が当社グループと競合する事業を行う可能性も否定できないことから、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 風評上の問題の発生について 当社グループは、開発における安全性の確保、法令遵守、知的財産権管理、個人情報管理等に努めております。しかしながら、当社グループに関してマスコミ報道などにおいて事実と異なる何らかの風評上の問題が発生した場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ④ 災害等の発生に関する不確実性について 当社グループが事業活動を行っている地域において、自然災害や火災等の事故災害等が発生した場合、当社グループの設備等に大きな被害を受け、その一部又は全部の稼働が中断し、研究開発が遅延する可能性があります。また、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 資金繰りについて 当社グループのようなバイオテクノロジー企業においては、研究開発費用の負担により開発期間において継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社グループとしましては、新規に模索している提携先からの契約一時金及びマイルストーン収入や補助金の活用、金融機関等からの借入を実施することで資金確保に努め、必要に応じて増資による資金調達を実施する方針でありますが、何らかの理由によりこうした資金の確保が進まなかった場合においては、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 配当政策について 当社グループは創業以来、株主に対する剰余金の分配を実施しておりません。株主への利益還元については、重要な経営課題と認識しており、将来的には経営成績及び財政状態を勘案しつつ剰余金の分配を検討する所存でありますが、現時点においては繰越利益剰余金がマイナスであるため、当分の間は研究開発活動の継続的な実施に備えた資金の確保を優先し、配当は行わない方針であります。 ⑦ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について 当社グループは、役員及び従業員等に対し、モチベーションの向上を目的に新株予約権を付与しております。また、パイプライン開発や新技術開発等の資金需要に対応するため、新株予約権を発行しております。 これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、2025年12月31日現在、これらの新株予約権による潜在株式数は、24,404,700株であり、発行済株式総数の21.1%に相当しております。 ⑧ 為替変動のリスク 当社グループは、海外に子会社を設立しており、今後、海外企業とのライセンス契約の締結、海外での研究開発活動等において外貨建取引が増加する可能性があります。急激な為替変動によって為替リスクが顕在化した場合は、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑨ 継続企業の前提に関する重要事象等について 当社グループは、当連結会計年度末において、現金及び現金同等物を5,679百万円保有しておりますが、当連結会計年度における営業損失は3,340百万円、営業活動によるキャッシュ・フローは△3,165百万円となりました。これらの財務指標の状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しています。 当社は、当該事象を解消すべく2026年1月29日開催の執行役会において第三者割当の方法による新株式及び第 27回新株予約権の発行について決議し、2026年2月13日に払込が完了しております。また、これに加えて、以下の対応策を図ってまいります。 a.継続的な収益源の確保 UDCやiPS細胞株の提供による売上収益に加え、培養上清に関する共同研究を推進し、その成果としての製品の販売による収益の獲得に取り組みます。 b.ARDS治療薬の開発推進 開発が先行しているARDSを対象とする治療薬について国内における条件及び期限付承認申請に向けて速やかに準備を進めます。 c.既存パイプラインにおける提携先の開拓 体性幹細胞再生医薬品分野及びiPSC再生医薬品分野におけるパイプラインについて製薬会社とのパートナリング、また一部地域における独占的開発・販売権の製薬会社へのライセンスアウトを進めることにより、開発リスク、財務リスクの低減を図ります。 d.コスト削減 従来からの固定費削減を継続し、当社グループの資金状況を見ながら研究開発を進めてまいります。 e.資金調達 第21回、第22回、第26回及び第27回新株予約権の行使による資金調達、補助金等の活用、また他の対応策の状況に応じて必要な資金調達を行っていきます。 これらの対応策を講じること、奏功しない場合にはパイプラインの見直しによる研究開発費の削減、人件費の削減等のさらなるコスト削減を実施していくことから、現時点において継続企業の前提に関する重要な不確実性はないものと判断しています。
経営成績の分析 (MD&A)6,661字を開く

業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況 当社グループが取り組む再生医療分野では、政府による健康・医療戦略推進における創薬力強化や基盤技術開発、産業化推進に向けた開発・製造受託(CDMO)の拠点整備等への支援が進められています。また、細胞医学の研究分野では、制御性T細胞の発見による大阪大学の坂口志文特任教授によるノーベル生理学・医学賞の受賞など、新たな治療法の開発に光が当たりました。 このような状況のもと、当社グループは体性幹細胞再生医薬品分野及びiPSC再生医薬品分野において研究開発を推進しました。 体性幹細胞再生医薬品分野においては、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、脳梗塞急性期及び外傷の治療薬HLCM051(骨髄由来体性幹細胞/invimestrocel)の承認取得に向け、それぞれの治験結果に基づき、準備を進めています。 ARDSについては、既に日本国内で完了した第2相試験(治験名称:ONE-BRIDGE試験)と米英で実施した第2相試験(MUST-ARDS試験)の良好な結果に加え、米国を中心として実施するグローバル第3相試験(REVIVE-ARDS試験)を検証試験とすることを前提に、国内での条件及び期限付承認申請に向けた準備を進めています。独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と承認後の製品の製造法や品質管理、臨床パートに関しても概ね合意しています。2025年4月にはPMDAと、REVIVE-ARDS試験において、国内被検者の組み入れが可能である点について合意しました。同じく2025年4月には、米国Healios NA, Inc.のCSO(Chief Scientific Officer)として、HLCM051の開発に豊富な経験を有するSarah Busch博士を迎え、グローバル治験に向けた準備を含むARDS治療薬開発の体制強化を図っています。2025年12月に発表の通り、REVIVE-ARDS試験の最初の患者組み入れは日本国内で行う予定であり、その後米国を中心としたグローバルでの治験実施を加速してまいります。2026年1月には、REVIVE-ARDS試験の一部として日本国内で先行して実施する治験に向けた治験計画届出書をPMDAに提出し、提出後14日のレビュー期間を経て、本試験を開始する準備が整いました。条件及び期限付承認の申請並びに承認取得、その後の製品販売に向けた準備を継続して進めてまいります。 脳梗塞急性期については、日本国内での条件及び期限付承認申請につき、引き続き規制当局との協議を続け、日本及び米国での治験データに基づき治療薬の開発推進に向けた方針を検討してまいります。 外傷については、米国において米国国防総省とメモリアル・ハーマン基金により、156人の患者を対象とした第2相試験(MATRICS-1試験)を実施しています。外傷は米国における45歳未満の死亡原因の第1位、全死亡原因の第3位であり、HLCM051の承認後には、米軍等において大規模に採用される可能性があります。 2025年7月に、経済産業省 令和6年度補正予算「再生・細胞医療・遺伝子治療製造設備投資支援事業費補助金」において当社の申請事業が採択されました。当社グループは、今後、本事業における新技術導入促進枠としての助成を受けながら、プロセス開発等機能、製造機能、品質管理機能を有した再生医療等製品を製造するサービス提供(CDMO事業)を推進してまいります。なお、2017年2月に締結した株式会社ニコンとの業務・資本提携については、本事業への注力に鑑み、2025年10月をもって解消いたしました。また、2025年10月、Minaris Advanced TherapiesとHLCM051の商用生産に向けた協力体制について発表いたしました。当社独自の3Dバイオリアクター製造プロセスを利用し、コスト削減と大量生産により安定した細胞治療薬の商用生産を目指します。 iPSC再生医薬品分野においては、遺伝子編集技術により特定機能を強化した他家iPS細胞由来のナチュラルキラー細胞(以下、「eNK®細胞」といいます。)を用いた次世代がん免疫細胞療法に関する研究を進めています。また、遺伝子編集技術を用いた免疫拒絶のリスクの少ない次世代iPS細胞、ユニバーサルドナーセル(Universal Donor Cell:以下、「UDC」といいます。)を用いた新たな治療薬の研究や細胞置換を必要とする疾患に対する治療法の研究を進めています。 2025年1月に、株式会社Akatsuki Therapeutics(以下、「Akatsuki社」といいます。)と、eNK®細胞を用いた次世代がん免疫細胞療法の研究・開発を推進するための共同事業契約及びライセンスオプション契約を締結しました。これまで当社が単独で実施してきたeNK®細胞の研究開発業務は、当社グループ全体の資源の効率的活用及び資金の機動的調達の観点より、Akatsuki社が主導し、当社はAkatsuki社より研究開発業務を受託します。 眼科領域において、株式会社RACTHERA(住友ファーマ株式会社(以下、「住友ファーマ」といいます。)より、再生・細胞医薬事業を承継。以下、「RACTHERA社」といいます。)とiPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)細胞を用いた治療法開発を共同で進めています。 また、安定した収益源の確保を目指し、再生医療等製品の生産に伴い今後大量に産出される培養上清の活用に向けた取り組みを進めています。2026年1月に、培養上清の本格生産に対応するため、神戸バイオメディカル創造センター(BMA)内に細胞加工製造用施設を本格稼働させました。一般社団法人AND medical group(以下、「AND medical社」といいます。)との間で、2024年4月に共同研究契約を締結し、2025年1月には原材料を当社からAND medical社に供給するための供給契約を締結しました。また、2026年1月には、アルフレッサ株式会社との間で、培養上清の継続的な売買に向けた取引基本合意書を締結しました。このほか、複数の有力な取引先との販売に向けた交渉を進めています。 なお、今後の研究活動の継続に向けた事業体制の適正化に向け、経営資源の再配分、固定費削減を中心とした合理化施策の実施、財務基盤の強化を目指した資金調達等に継続的に取り組んでいます。 以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。 a.財政状態 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,863百万円増加し、17,054百万円となりました。 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ48百万円増加し、12,155百万円となりました。 当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ2,815百万円増加し、4,899百万円となりました。 b.経営成績 当連結会計年度の経営成績は、売上収益は104百万円(前期比81.4%減)、営業損失は3,340百万円(前期は2,843百万円の営業損失)、税引前当期損失は2,126百万円(前期は4,061百万円の税引前当期損失)、親会社の所有者に帰属する当期損失は2,217百万円(前期は4,235百万円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。 ② キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、資金と言います。)は、前連結会計年度末と比べて2,007百万円増加し、5,679百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動により使用した資金は3,165百万円(前期は1,817百万円の資金の使用)となりました。これは主に、税引前当期損失2,126百万円及び金融収益1,415百万円の計上等によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動により使用した資金は1,114百万円(前期は1,418百万円の資金の使用)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出960百万円等によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動により獲得した資金は6,335百万円(前期は77百万円の資金の獲得)となりました。これは主に、新株の発行による収入5,001百万円等によるものであります。 ③ 生産、受注及び販売の実績 a.生産実績 当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。 b.受注実績 当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。 c.販売実績 当社は、医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。 セグメントの名称   当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) 金額(百万円)   前年同期比(%) 医薬品事業   104   △81.4 (注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。 相手先   前連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)   当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) 金額(百万円)   割合(%)   金額(百万円)   割合(%) 一般社団法人 AND medical group   58   10.4   62   59.2 住友ファーマ株式会社   -   -   27   26.3 Atlas Biologicals, Inc.   -   -   14   13.6 Astellas Institute for Regenerative Medicine   470   84.0   -   - (注)前連結会計年度における住友ファーマ株式会社に対する販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満であるため、記載を省略しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第312条の規定によりIFRS会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。 ② 財政状態の分析 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,863百万円増加し、17,054百万円となりました。流動資産は2,166百万円増加し、6,441百万円となりました。主な要因は、現金及び現金同等物の増加2,007百万円であります。非流動資産は697百万円増加し、10,613百万円となりました。主な要因は、Saisei Bioventures, L.P.における投資有価証券の取得等によるその他の金融資産の増加709百万円であります。 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ48百万円増加し、12,155百万円となりました。流動負債は126百万円減少し、3,224百万円となりました。主な要因は、営業債務及びその他の債務の減少123百万円、社債及び借入金の増加450百万円、デリバティブ負債の公正価値の変動に伴うその他の金融負債の減少413百万円であります。非流動負債は174百万円増加し、8,932百万円となりました。主な要因は、社債及び借入金の減少450百万円、Saiseiファンドにおける外部投資家持分の増加523百万円であります。 当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ2,815百万円増加し、4,899百万円となりました。主な要因は、新株の発行による5,036百万円の増加及び当期損失2,229百万円の計上であります。 ③ 経営成績の分析 (売上収益) 当連結会計年度の売上収益は104百万円(前連結会計年度比81.4%減)となりました。当社グループが認識している売上収益は、主に実施許諾契約等に基づく契約一時金及びマイルストン収入に関するものであります。前連結会計年度に計上したRPE細胞製造方法等に関するライセンス契約に基づく一時金収入の影響がなくなったこと等により、前連結会計年度と比較して売上収益が減少しております。 (研究開発費、販売費及び一般管理費) 当連結会計年度においては、体性幹細胞再生医薬品分野におけるARDS、脳梗塞急性期及び外傷に対する治療薬、iPSC再生医薬品分野におけるがん免疫療法を中心とした既存パイプライン並びに培養上清の活用に関する研究開発を推進した結果、研究開発費は2,024百万円(前連結会計年度は1,960百万円)となり、販売費及び一般管理費は1,265百万円(前連結会計年度は1,374百万円)となりました。 (営業損失) 当連結会計年度においては、売上収益を104百万円計上した一方、研究開発費2,024百万円、販売費及び一般管理費1,265百万円、その他の収益69百万円、その他の費用6百万円を計上した結果、営業損失は3,340百万円(前連結会計年度は2,843百万円の営業損失)となりました。 (当期損失) 当連結会計年度においては、Saiseiファンドにおける外部投資家持分への損益振替額923百万円、デリバティブ評価益390百万円が発生したこと等により、1,415百万円を金融収益に計上いたしました。また、有価証券売却損106百万円が発生したこと等により、200百万円を金融費用に計上いたしました。さらに、持分法による投資損失2百万円、法人所得税費用を103百万円計上した結果、当期損失は2,229百万円(前連結会計年度は4,227百万円の当期損失)となりました。 ④ 経営成績に重要な影響を与える要因について 「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 ⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析 当社グループは事業活動の維持・拡大に必要な資金を安定的に確保するとともに、資金需要に応じた資金調達を行うことを基本的な方針としております。当連結会計年度においては、主に既存パイプラインを進捗させるための研究開発活動に伴う営業活動によるキャッシュ・フローは3,165百万円の支出となりました。また、連結子会社であるSaisei Bioventures, L.P.における投資有価証券の取得等により、投資活動によるキャッシュ・フローは1,114百万円の支出となりました。さらに、新株式の発行、Saiseiファンドにおける外部投資家からの払込等の結果、財務活動によるキャッシュ・フローは、6,335百万円の収入となりました。これらが資金の主な動きとなり、その結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、5,679百万円となりました。キャッシュ・フローの状況については「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

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