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超!企業DB
日経平均64,325.64-1,890NYダウ52,980.73+214ドル円158.84-1NASDAQ26,208.82+109S&P 5007,666.58+35SOX 指数11,332.81+449/2終値

イーディーピー

EDP Corporation7794 · Growth · その他製品

ダイヤモンド単結晶の気相合成メーカー。ラボグローンダイヤモンドの種結晶で世界最上流に位置し、半導体向け基板も手掛ける。

概要

株式会社イーディーピーは、2009年に大阪府で設立されたダイヤモンド単結晶の製造・販売・開発企業である。国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)の研究成果を基にした「産総研発ベンチャー」として創業し、気相合成法(プラズマCVD法)を用いて大型の板状単結晶ダイヤモンドを直接製造する技術を核とする。主な製品は人工宝石(ラボグローンダイヤモンド)製造用の種結晶、半導体用途の基板・ウエハ、ヒートシンク、切削工具素材であり、サプライチェーンの最上流に位置する。2025年3月期の連結売上高は9億円、従業員数は70名。

ラボグローンダイヤモンド市場の最上流に位置する種結晶ビジネス

当社の主たる事業は、人工宝石(ラボグローンダイヤモンド)を製造する企業に対し、その成長の起点となる種結晶を供給することである。種結晶は7x7mmから15x15mmの正方形の薄板で、顧客がこれを気相合成法で3〜10mmの厚さに成長させ原石とし、カット・研磨を経て宝飾品となる。当社はこのサプライチェーンの最上流に位置し、2012年以降継続的に販売してきた。販売先は直接または商社を通じて、イスラエル、米国、インド、欧州など世界各地の人工宝石製造会社である。しかし2024年後半から小型宝石の価格が急落し、主要顧客の倒産や生産停止が相次いだため、種結晶事業は大きな打撃を受けた。

産総研から移転された大型単結晶製造技術

当社の製造技術は産総研が開発した2つの基本技術に基づく。一つはイオン注入法を用いて成長した単結晶を親結晶から剥離する技術であり、もう一つは複数の単結晶を接合して大面積の疑似単結晶を作るモザイク結晶製造法である。当社はこれらの特許等実施許諾契約(2026年10月31日まで)を産総研と結び、売上高に応じた実施料を納めている。製造装置には2.45GHzのマイクロ波を用いたプラズマCVD法を採用し、不純物混入が極めて少なく、成長速度を制御できる点が特徴である。この技術により、ガスから直接板状の単結晶ダイヤモンドを製造できる。

売上高は2023年3月期に27億円でピーク後、急減

当社の連結売上高は2018年3月期の3億円から順調に拡大し、2023年3月期には27億円に達した。しかし2024年3月期には8億円に急減し、純損失1億円を計上。2025年3月期は売上高9億円、営業損失10億円、純損失23億円と赤字幅が拡大した。2026年3月期は売上高5億円、営業損失14億円、純損失24億円とさらに悪化した。この業績悪化は、ラボグローンダイヤモンド市場における小型宝石の価格下落と、それに伴う主要顧客の経営破綻が主因である。当社はこの局面を受け、種結晶事業の依存度低減と、半導体向け高付加価値製品へのシフトを加速している。

ダイヤモンドデバイス向けウエハと基板に開発リソースを集中

当社は、パワーデバイス、量子センサー、耐放射線デバイスなどへの応用を目指し、大口径ウエハの開発に注力している。2024年11月に公表した開発ロードマップでは、1インチから4インチまでのウエハ開発計画を示した。2025年4月には30x30mm単結晶から作製した1インチウエハ(直径25mm)を製品化した。2インチウエハについては、2026年5月に53x53mmのモザイク結晶の開発に成功し、2027年3月期下期の販売開始を計画している。また、2026年3月には株式会社本田技術研究所とダイヤモンドデバイス用材料の共同研究に関する意向確認書を締結し、自動車向けパワーデバイスへの展開も視野に入れている。

業界の中での役割はダイヤモンド材料メーカー(サプライチェーン最上流)。にあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

売上高
5億円
営業利益
-14億円
営業利益率
-280.0%
純利益
-24億円
2026/3 通期の連結業績。決算の内訳は最新の決算以降にあります。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2026/3期)より

事業別の売上と利益

2026/3
事業売上構成比利益利益率
基板及びウエハ3億円75.0%
種結晶1億円25.0%

有価証券報告書のセグメント情報から、外部顧客への売上とセグメント利益をそのまま掲載しています。全社費用・セグメント間取引の消去は含みません。

01ラボグローンダイヤモンド(宝石)主力

ラボグローンダイヤモンド(人工宝石)市場向けに、宝石を成長させるための「種結晶」を供給。サプライチェーンの最上流に位置し、世界中の人工宝石メーカーに販売。当社の種結晶は、CVD法で宝石用の原石を成長させるための基盤となる。

主な製品・サービス1
種結晶世界シェア上位
7×7mm~15×15mmの正方形で厚さ0.2mm/0.3mmの平板状ダイヤモンド単結晶。ラボグローンダイヤモンド製造の際の成長の核となる。

02半導体準主力

半導体材料としてのダイヤモンド基板を開発・供給。ダイヤモンドの優れた半導体特性を活かし、次世代パワー半導体や高周波デバイス向けの基板を目指す。現在は研究開発段階で、様々な仕様の基板(高品質基板、エピタキシャル基板、結晶方位制御基板など)を提供している。

世界最大級の30x30mm単結晶を製品化

主な製品・サービス1
ダイヤモンド半導体基板
半導体デバイス作製用のダイヤモンド単結晶基板。高熱伝導率、高絶縁破壊電界などの特性を活かし、パワー半導体や高周波デバイスへの応用が期待される。

03工業材料準主力

切削工具、光学部品、ヒートシンクなど工業用途向けに、板状のダイヤモンド単結晶を供給。高い硬度、熱伝導性、光学特性を活かし、精密加工工具や放熱材料などに使用される。

主な製品・サービス2
ヒートシンク用基板
高発熱デバイスの冷却に用いる放熱用ダイヤモンド基板。ダイヤモンドの高い熱伝導率により、効率的な熱拡散を実現。
精密加工切削工具
原子レベルまでの精度が要求される加工に用いる単結晶ダイヤモンド切削工具。超硬質材料の加工に使用される。

製品と技術

ラボグローンダイヤモンド製造に不可欠な種結晶

当社の主力製品である種結晶は、人工宝石(ラボグローンダイヤモンド)製造の起点となる薄い板状のダイヤモンド単結晶である。サイズは7x7mmから15x15mm、厚さ0.2mmまたは0.3mmで、正方形形状である。顧客企業はこの種結晶をプラズマCVD法で3〜10mmの厚さに成長させ、カット・研磨を経て宝石用原石とする。当社は2012年からこの種結晶を販売しており、世界のラボグローンダイヤモンドメーカーに対して安定供給を行ってきた。しかし、2024年以降の市場価格下落と顧客倒産により、種結晶の売上は大幅に減少しており、依存度の低減が課題となっている。

半導体・デバイス向け単結晶基板とウエハ

当社はダイヤモンドの半導体特性を活かした基板・ウエハ製品を開発・販売している。代表的な製品として、低抵抗ダイヤモンド基板、Bドープエピ層付き基板、1インチ(25mm)単結晶ウエハがある。2025年4月には30x30mm単結晶から作製した1インチウエハを製品化し、パワーデバイスや量子センサーの開発機関に供給を開始した。さらに、2インチ(50mm)ウエハの開発を急ピッチで進めており、2026年5月に53x53mmモザイク結晶の開発に成功し、2027年3月期下期の販売開始を目指す。これらの製品は、既存の半導体製造プロセスに適合するように設計されている。

ヒートシンク・精密工具向け材料

ダイヤモンドの高い熱伝導率を利用したヒートシンク材料も、当社の製品ラインの一つである。高発熱の電子デバイスを冷却するための放熱基板として、ダイヤモンド単結晶が用いられる。また、原子レベルの精度が要求される精密加工切削工具向けの工具素材も供給している。ただし、これらの分野の市場規模は種結晶や半導体ウエハに比べて小さく、当社の売上に占める割合は限定的である。工具用素材については、すでに確立された市場であるが、当社としては大型ウエハ事業の成長に優先的にリソースを投入している状況である。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

その他製品のなかでの位置

会社が挙げる強い分野

  • 世界シェア上位種結晶世界トップクラスのシェアを有するラボグローンダイヤモンド(宝石)
  • 半導体世界最大級の30x30mm単結晶を製品化

有価証券報告書(2026/3期)で会社自身が述べている位置付けです。第三者による調査ではありません。

小型ニッチ機器、赤字拡大で低収益

当社はその他製品セクターに属し、売上高は10億円未満の極小規模。同業の三井松島HDや浅香工業、ドリームベッドなどと比べても一段と小粒で、営業赤字が拡大傾向にある。2026/3期の売上高は5億円、営業利益率は-280%と大幅悪化しており、業界内で最下位クラスの収益性。ライバル企業が黒字を維持する中、事業再編や資金調達の必要性が高まっている。

強み

  • 特定用途向け製品で競合が少ない分野に特化し、差別化を図っている可能性がある。
  • 組織が小さいため、意思決定や新製品投入を迅速に行える可能性がある。
  • 過去に新規分野へ進出した実績があり、将来の成長シーズを模索中。
  • 売上高が小さいながらも固定費が低く、変動費中心のビジネスモデルの可能性。

課題

  • 売上減少に伴い営業赤字が急拡大。早期の収益改善策が急務。
  • 2026/3期に売上高が前年から約半減。需要減少や競争激化が背景か。
  • 赤字継続で資金繰りが悪化。増資や借入が必要となる可能性。

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

その他製品の時価総額近傍。太字がイーディーピー

時価総額で並べると、掲載11社のなかで6番目にあたる。

#企業時価総額PER
17962キングジム249億円22.4倍
27885タカノ178億円28.0倍
37820ニホンフラッシュ177億円0.5倍
47811中本パックス177億円8.1倍
57987ナカバヤシ163億円8.0倍
67794イーディーピー149億円
77792コラントッテ135億円10.0倍
87819粧美堂134億円11.1倍
97822永大産業120億円
107879ノダ117億円
117809壽屋113億円21.4倍

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は東証33業種の分類に従っています。

会社の歴史

沿革 3件

産総研発ベンチャーとして設立された2009年

2009年9月、大阪府池田市に資本金1,000万円で株式会社イーディーピーが設立された。同年10月に営業を開始し、産総研の研究成果を活用するベンチャーとして「産総研発ベンチャー」の称号を付与された。創業の目的は、ダイヤモンドの半導体特性を工業利用可能な形状で提供することにあり、産総研から平板状単結晶製造技術の移転を受けて出発した。設立当初は半導体プロセス向け大面積ウエハの開発を長期的目標としていたが、人工宝石製造向けの種結晶需要が早期に立ち上がったため、まずはそちらで事業基盤を固める戦略をとった。

初期製品の投入と拠点拡大(2010年〜2012年)

2010年10月には12.5mm長の長尺工具素材を発売し、同時にNEDOイノベーション推進事業に採択された。本社及び工場を大阪府茨木市へ移転した後、さらに豊中市へ移転した。同年中に1インチ(25x25mm)基板、(111)面研究用基板、Bドープエピ層付き基板、10x10mm種結晶を発売し、製品ラインアップを拡充した。2011年頃には横江第1工場を設置し、本社工場の稼働を停止して横江第2工場の設置準備を開始するなど、生産拠点を集約・拡大した。これらの設備投資により、量産体質の構築を進めた。

上場と製品多様化(2015年〜2022年)

東京証券取引所グロース市場への上場(時期は明記されていないが、財務データが2018年3月期から存在することから2017年頃と推定される)。2015年以降、島工場の設置、横江第1工場を横江工場へ改称し横江第2工場を開発部拠点に変更するなど、生産・研究体制を再編した。製品面では低抵抗ダイヤモンド基板、15x15mm単結晶基板・種結晶、13x13mm大型低抵抗ダイヤモンド基板を相次いで発売。2019年には子会社としてエス・エフ・ディー株式会社、SFD India Private Limitedを設立し、インド市場への足がかりを築いた。この時期、種結晶需要の拡大を背景に売上高は急成長した。

売上高27億円のピークとその後の急落(2023年〜2024年)

2023年3月期には連結売上高27億円を記録し、純利益9億円と過去最高の業績を達成した。しかし、2024年3月期後半からラボグローンダイヤモンド市場において小型宝石の価格が急激に下落し、製造会社の採算が悪化。イスラエル、米国、インド、欧州で関連企業の倒産や生産停止が相次ぎ、当社の主要顧客からの受注が激減した。2024年3月期の売上高は8億円に落ち込み、純損失1億円を計上。これにより、種結晶事業の脆弱性が露呈し、事業構造の転換を迫られることとなった。

30x30mm単結晶の製品化と2インチウエハ開発への挑戦(2025年〜2026年)

2025年2月、当社は世界最大級となる30x30mmの単結晶ダイヤモンド基板の製品化に成功したと発表した。この開発には2年以上を要した。同年4月には同結晶から切り出した1インチウエハを発売した。一方、2024年11月に公表したロードマップで掲げた2インチウエハの開発は、目標時期の2025年12月までに完了せず、約半年遅れとなった。2026年5月に53x53mmのモザイク結晶開発に成功し、これを用いた2インチウエハの2027年3月期下期販売開始を計画する。また、2026年3月には本田技術研究所との共同研究の基本合意を公表し、ダイヤモンドデバイス実用化に向けた連携を開始した。

年表3件を開く

2000年代

  • 2009年9月創業大阪府池田市緑丘一丁目8番31号に資本金10,000,000円で株式会社イーディーピーを設立
  • 2009年10月創業営業開始 産総研の研究成果を活用した事業を行う設立5年以内のベンチャーに付与される「産総研発ベンチャー」の称号付与

2010年代

  • 2010年10月創業12.5mm長の長尺工具素材の発売 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)・イノベーション推進事業に採択 本社及び本社工場を大阪府茨木市五日市一丁目7番24号に移転 本社及び本社工場を大阪府豊中市上新田四丁目6番3号に移転 1インチ(25x25mm)基板の発売(111)面(注1)研究用基板の発売 大阪府茨木市横江一丁目17番3号に横江第1工場(現在は横江工場に改称)を設置 Bドープエピ層(注2)付き基板の発売 10x10mm種結晶(注3)の発売 本社工場の稼働を停止し、横江第2工場(現在は開発部の拠点に変更)の設置準備を開始 大阪府茨木市横江一丁目2番9号に横江第2工場(現在は開発部の拠点に変更)を設置 東京証券取引所グロース市場に株式を上場 大阪府茨木市四丁目26番6号に島工場を設置 横江第1工場を横江工場に改称し、横江第2工場を開発部の拠点に変更 低抵抗ダイヤモンド基板の発売 15x15mm単結晶基板、種結晶の発売 エス・エフ・ディー株式会社を設立 SFD India Private Limitedを設立 13x13mm大型低抵抗ダイヤモンド基板の発売 エス

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2026/3期の経営方針より

会社は4つの方針を掲げている。そのうち2項目には、達成する数字が明記されている。

会社が掲げている数値目標
  • 2インチウエハ製品化2027年3月期下期まで2インチウエハを製品化
  • 大型種結晶の販売開始2026年5月まで16x16mm~20x20mmの大型種結晶の販売を開始

有価証券報告書の原文に書かれた目標だけを載せています。達成度の評価や推計は加えていません。

  1. 01

    大型ダイヤモンドウエハ開発

    ダイヤモンドデバイス向けに、2インチ以上の大型ウエハと基板を開発する。2027年3月期下期に2インチウエハの製品化を目指し、将来は4インチ以上を視野に入れる。既存プロセスに対応するため、単結晶ウエハを供給する。

  2. 02

    大型種結晶の販売拡大

    人工宝石市場向けに、16x16mmから20x20mmの大型種結晶の販売を開始し、新規ユーザーを獲得する。大型種結晶の需要増に対応し、品質の安定した大量供給を実現する。

  3. 03

    ブランド宝石・宝飾品展開

    独自の大型単結晶技術を活かした大型宝石やカラーダイヤを開発し、Japan Made Diamondとしてブランド化を進める。日本国内や東アジア圏で販売を強化する。

  4. 04

    光学部品・ヒートシンク市場開拓

    ダイヤモンドの高熱伝導率や光透過性を活かし、5Gやデータセンター向けの除熱部品や光学部品の利用を拡大する。既存顧客との連携を深め、新規用途を開拓する。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 5期分

グループ全体で70人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は487万円で、4期前と比べて+1.2%平均年齢は48.4歳、平均勤続年数は5.0年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数一人当たり営業利益万円
2022年3月48146.74.544
2023年3月50046.13.856
2024年3月46246.64.362
2025年3月47545.13.969−1,449
2026年3月48748.45.070−2,000

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

拠点とグループ

設備と関係会社

関係会社1(国内 0 / 海外 1) を有報から抽出しています。

主要な設備 (帳簿価額 上位4)
島工場 — 大阪府茨木市537百万円
本社 — 大阪府豊中市0百万円
横江工場 — 大阪府茨木市0百万円
開発部の拠点 — 大阪府茨木市0百万円
主な関係会社
  • 海外
    SFD Antwerp BV
    ベルギー・アントワープ市
    議決権100.0%

業績のいま

有価証券報告書・決算短信より

2026年3月期の売上高は5億円営業利益-14億円前期と比べると減収で、売上が-44.4%。

売上高
-44.4%
5億円
営業利益
-14億円
純利益
-24億円
営業利益率
-280.0%
前期比 -168.9%pt

会社が出している今期の予想2027年3月期

項目会社予想前期実績
売上高11億円5億円
営業利益-3億円-14億円
純利益-2億円-24億円
1株あたり配当¥0¥0

会社が決算短信で公表した予想です。証券会社の予想ではありません。 短信の原本

四半期の推移

10期分

直近は2027年1Qで、売上は2億円、営業利益は−2億円。前年の2024年1Qと比べると、売上は+100.0%。

対象期間売上高億円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2023年4Q62
2024年1Q1−1−100.00
2024年2Q200.00
2024年3Q2−1−50.0−2
2024年4Q31
2025年2Q4−5−125.0−6
2025年4Q5−5−100.0−17
2026年2Q1−5−500.0−5
2026年4Q4−9−225.0−19
2027年1Q2−2−100.0−2

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。

業績の推移

有価証券報告書 9期分

2018年3月期からの9期で、売上は3億円から5億円へ1.7倍に増えた。直近期の営業利益率は-280.0%。

決算期売上高億円営業利益億円経常利益億円営業利益率%純利益億円
2018年3月3−2−2
2019年3月400
2020年3月711
2021年3月1133
2022年3月1654
2023年3月27139
2024年3月8−1−1
2025年3月9−10−10−111.1−23
2026年3月5−14−13−280.0−24

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。空欄の期は有価証券報告書からその項目の数値が取れていません(0ではありません)。

利益の構造

2026年3月期

売上高5億円のうち、営業利益として残るのは-14億円-280.0%。営業外の損益と税金を反映した純利益は-24億円、売上の-480.0%にあたる。営業利益率は業種中央値5.5%を下回る水準。

売上高を100としたときの内訳
  • 売上原価など作る・仕入れるのにかかったお金220.0%11億円
  • 販売費及び一般管理費売る・管理するのにかかったお金160.0%8億円
  • 営業利益費用を引いたあとに残った本業の利益-280.0%-14億円

有価証券報告書の損益計算書から、当期の金額をそのまま割り振っています。

粗利率
-120.0%
売上から原価を引いて残る割合
営業利益率業種比285.5pt
-280.0%
本業の利益として残る割合
純利益率業種比484.3pt
-480.0%
税金まで払って最後に残る割合
ROE業種比101.7pt
-94.3%
株主のお金がどれだけ利益を生んだか
ROA
-96.0%
資産全体がどれだけ利益を生んだか
ROIC
-57.6%
事業に使うお金がどれだけ利益を生んだか

ROICは有利子負債の開示がないため、営業利益×0.7÷(総資産−現金)の簡易式で算出しています。

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 7期分

2026年3月期は営業CFが−10億円、投資CFが−2億円で、差し引きのフリーCFは−12億円この組み合わせは先行投資型にあたる。本業がまだ現金を生まない中、調達した資金で投資を続けている。スタートアップ・再建初期の型期末の手元現金は8億円で、売上の19.2ヶ月分にあたる

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2020年3月2−43−24
2021年3月4−4509
2022年3月6−50111
2023年3月12−1919−722
2024年3月−6−9−1−157
2025年3月−5−112−614
2026年3月−10−25−128

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 9期分

2026年3月期の総資産は25億円。このうち返さなくてよい自己資本が17億円で、自己資本比率は68.1%(業種中央値59.3%より厚い)

決算期総資産億円自己資本億円負債億円自己資本比率%
2018年3月107372.7
2019年3月117465.1
2020年3月159657.8
2021年3月2316771.7
2022年3月2820872.6
2023年3月60491182.0
2024年3月5349490.9
2025年3月44341078.0
2026年3月2517868.1

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2026年3月期の内訳
現金及び預金
8億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
-34億円
過去の利益の積み上がり
棚卸資産
3億円
在庫として抱えている分
負債合計
8億円
いつか返す必要があるお金
財務の健全性
40
/ 100
安定性自己資本比率40 / 40
収益力営業利益率0 / 30
現金創出営業CFの黒字継続0 / 30

有価証券報告書の数値から機械的に配点した参考値です。自己資本比率60%で満点、営業利益率15%で満点、直近3期の営業CFが黒字だった割合の3つを足しています。業態によって出ない要素があります。

業界内での比較

その他製品 104社との比較

同じその他製品の企業と並べると、いちばん上に来るのは自己資本比率104社中37位あたり、逆に低いのは売上成長率104社中103位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE下位株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
-94.3%/中央値 7.4%
P25 4.0%P75 10.8%
営業利益率下位売上のうち本業の利益として残る割合
-280.0%/中央値 5.5%
P25 2.1%P75 9.0%
自己資本比率総資産のうち返済のいらないお金の割合
68.1%/中央値 59.3%
P25 46.8%P75 72.3%
売上成長率下位前期からの売上の伸び
-44.4%/中央値 2.6%
P25 -1.2%P75 8.3%
配当利回り株価に対して1年で受け取る配当の割合
/中央値 3.0%
P25 2.0%P75 4.0%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月2日の終値

直近の終値は¥966で、1年前と比べて+94.8%過去52週の値幅のなかでは22%の位置にある。

¥966-1.6%1ヶ月+9.6%1年+94.8%時価総額149億円
過去52週の値幅
安値¥360高値¥3,100

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標
PBR8.74倍

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

株価は903円で、直近1ヶ月で-13.75%と下落しています。25日線942.44円、75日線1100.13円を下回り、200日線930.05円も下回っており、中期・長期のトレンドは弱含みです。52週高値3100円からは約71%下落、52週安値360円からは約151%上昇しており、変動の大きい値動きです。RSIは44.67と中立圏で、売買はやや落ち着いていますが、下値はまだ固まっていません。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

AIの評価

AI評価

株価水準の解釈です。売買の推奨ではありません

現在の株価水準を割高と判定しています(スコア 25/100)

PERは算出不能(赤字)、PBR8.17倍、ROE-94.3%と深刻な赤字。同業界平均PER18.55倍、PBR1.39倍に対し、PBRは約6倍も高く、割高感が極めて強い。配当利回りは0%で株主還元もなし。売上高減少と営業損失拡大が続き、収益性の悪化が顕著。株価は大幅に割高で、投資リスクが高いと判断した。

指標この会社業種平均
PBR8.74倍1.38倍
ROE-94.3%6.6%

業種平均は同じ東証33業種に属する銘柄の単純平均です。銘柄数が少ない業種では平均が振れます。

AI評価判定とスコアは公開データをもとにした解釈で、将来の株価を示すものではありません。算出の考え方は編集方針に記載しています。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

太陽光発電所の開発・運営を手掛けるが、売上高が急減し、赤字が続いている。固定価格買取制度(FIT)の終了や競争激化により、事業環境は厳しさを増している。強気派は、既存発電所の運営による安定収益化や、新規市場(例えば蓄電所やPPAモデル)への転換など、事業構造の転換による再生に期待する。弱気派は、売上高の減少が続き、赤字幅も拡大傾向にあることから、事業の継続可能性自体を懸念する。特に、2026年3月期の売上高が5億円まで縮小する見通しで、赤字が継続する可能性が高い。両論は、この事業転換の成否と、資金繰りのリスクを巡って対立している。

プラスに働く材料7
  • 事業転換による再生期待

    蓄電池やPPAなど新分野への進出で収益改善の可能性

  • 既存発電所の安定収益

    運営中の発電所からの売電収入が底堅い

  • 売上急減の一巡感

    2026年度の売上見通しは5億円と減速が止まりつつある

  • 純損失の拡大ペースが急縮小通年影響

    純損失は23→24億円、悪化幅は1億円(前期は22億円)

  • 株価は前年比+52%、上昇トレンド継続影響

    前年比+52.09%、時価総額141億円

  • PBR8.24倍、市場の成長期待を反映不定影響

    PBR8.24倍、時価総額141億円

  • 低い売上高から回復する際の反動増期待2027年〜2028年影響

    売上高は9億円→5億円と半減、来期の反動増に期待

マイナスに働く材料7
  • 赤字拡大の懸念

    2025年度は営業利益率‐280%と赤字幅が拡大

  • 売上縮小の加速

    売上高はピークの3分の1以下に減少見通し

  • 資金繰りリスク

    自己資本は毀損しており、資金調達が必要な可能性

  • 売上高9→5億円、44%減収通年影響

    売上高5億円、前期9億円から▲4億円

  • 営業損失10→14億円、赤字拡大通年影響

    営業損益は▲10億円→▲14億円、損失額4億円拡大

  • 営業利益率▲280%へ大幅悪化通年影響

    営業利益率は前期▲111%から▲280%へ

  • ROE▲94.3%、純資産毀損で継続懸念継続影響

    ROE▲94.3%、純損失24億円は純資産約17億円を超過

次の決算で確かめる点
売上高推移
事業規模の縮小が続くかどうかを見る
営業損益
赤字幅の改善・悪化を確認する
自己資本比率
財務健全性と資金繰りリスクの指標

株主

有価証券報告書より

2026年3月期末の株主数は延べ23,252人。区分でいちばん多いのは個人・その他78.0%。グループ会社や銀行などの安定株主が15.2%を占め、残る84.8%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2022年3月%2023年3月%2024年3月%2025年3月%2026年3月%
個人・その他35.741.458.366.078.0
事業法人48.029.624.322.212.6
証券会社8.14.95.04.9
金融機関4.86.23.22.22.6
外国法人11.514.79.14.41.6
外国人個人0.10.10.30.3

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01藤森直治6.86
02竹内工業株式会社5.89
03加茂睦和1.94
04株式会社SBI新生銀行1.79
05北城恪太郎1.75
06モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社1.67
07株式会社フューチャーパートナーズ1.62
08株式会社槌屋1.34
09三星ダイヤモンド工業株式会社1.29
10日本証券金融株式会社0.68

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

大量保有報告の動き
5%超の保有者の提出ベース 直近13
  • 2026-08-20
    岡三証券株式会社
    新規の大量保有報告
    5.52%
    -3.82pt
  • 2026-08-06
    岡三証券株式会社
    新規の大量保有報告
    9.34%
    -2.42pt
  • 2026-07-31
    岡三証券株式会社
    新規の大量保有報告
    11.76%
    -1.16pt
  • 2026-07-27
    岡三証券株式会社
    新規の大量保有報告
    12.92%
    -1.24pt
  • 2026-07-16
    岡三証券株式会社
    新規の大量保有報告
    14.16%
    -1.03pt
  • 2026-07-03
    岡三証券株式会社
    新規の大量保有報告
    15.19%
    -1.16pt
  • 2026-07-01
    岡三証券株式会社
    新規の大量保有報告
    16.35%
    -1.04pt
  • 2026-06-22
    岡三証券株式会社
    新規の大量保有報告
    17.39%
  • 2026-06-19
    藤森 直治
    新規の大量保有報告
    7.78%
    -0.24pt
  • 2026-06-15
    藤森 直治
    変更報告
    9.38%
    -1.12pt
  • 2026-06-15
    藤森 直治
    変更報告
    8.02%
    -1.36pt
  • 2026-06-10
    藤森 直治
    新規の大量保有報告
    8.02%
    -1.36pt
  • 2026-06-10
    藤森 直治
    新規の大量保有報告
    9.38%
    -1.12pt

提出があった時点の記録です。その後5%を割った保有者が一覧に残ることがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 9期分

1株利益は9期で+98%、1株純資産は9期で−100%。直近期のROEは-94.3%で、日本株の目安とされる8%を下回る。

決算期EPSBPSROE%
2018年3月−10,10839,343
2019年3月48839,4281.2
2020年3月109611.8
2021年3月2615220.0
2022年3月3518820.4
2023年3月7237626.1
2024年3月−8369−2.3
2025年3月−171237−67.5
2026年3月−165110−94.3

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安
ROE自己資本利益率
株主のお金でどれだけ稼いだか。日本株では8%が一つの目安

経営陣

8名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は8名。2026/3期の役員報酬は総額93百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約4倍にあたる。

氏名役職年齢保有株数
藤森直治代表取締役 社長771,062,900
髙岸秀滋代表取締役副社長兼 総務部長7561,500
林雅志常務取締役兼生産部長6711,200
光田好孝取締役662,000
槇徳子取締役621,000
岡田宗久常勤監査役68
大松信貴監査役56
大塚仁監査役67

役員報酬の内訳2026/3

役員の区分人数固定報酬百万円その他百万円合計百万円1人あたり百万円
取締役(社内)346166221
社外監査役421215
社外取締役391103

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2026/3期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容12,385字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3【事業の内容】 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(株式会社イーディーピー)及び子会社2社により構成されており、ダイヤモンド単結晶の製造、販売、開発事業を主たる業務としております。 なお、当社グループは、ダイヤモンド単結晶の製造、販売、開発事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。 当社はダイヤモンドの持つ優れた特性を広く利用する応用を開拓することで、ダイヤモンドを宝石として以外の価値を生み出して行くことを目標として2009年に設立しました。特にダイヤモンドの半導体としての特性は、理論的には非常に優れているとされていましたが、実際に利用する場合には、素材が応用に適した形状等になっていないという課題があり、その解決を目指しました。それは現在も続く課題で、半導体製造プロセスに使用する大面積のウエハを開発することです。当初より、この課題解決には長期間を要すると見込まれましたが、平板上のダイヤモンド単結晶を製作する技術を産総研から移転して、これを果たすことを目指しました。しかし、設立から3年程度で人工宝石製造がビジネスとなり始め、人工宝石製造に用いる元となる結晶(以下、「種結晶」という。)を大量に供給するビジネスを開始し、企業規模を拡大しました。 人工ダイヤモンドは宝石や研磨剤として60年以上前から広く使われています。1955年に超高圧合成法(注1)による人工合成技術が開発され、1981年には気相合成技術が開発され、各種の応用に人工ダイヤモンドが使用されています。宝石については、天然ダイヤモンドが使用されてきましたが、10数年前から人工ダイヤモンドの製品が出始め、今では相当量の人工宝石が宝石店やネットで販売されております。このような人工宝石は、ラボラトリーグローンダイヤモンド(人工ダイヤモンド:以下、「ラボグローンダイヤモンド」という。)と呼ばれ、既に欧米のみならず全世界において、市場における認知が進んでおります。 当社はこの人工宝石を製造する手法の一つである気相合成法において、宝石を成長させるための元となる「種結晶」を主要製品として、2012年以来販売してきました。販売先のラボグローンダイヤモンドのメーカーは、この種結晶を厚く成長させて原石を作り、これをカットと研磨を行い、宝石を作ります。最終的には指輪等の宝飾品に加工して、消費者に届きます。従って、当社は、ラボグローンダイヤモンド市場のサプライチェーンにおいて、最上流のポジションに位置しておりました。当社は産総研の開発した大型ダイヤモンド結晶製造技術を移転し、それによって平板状の単結晶から種結晶を製造し、ラボグローンダイヤモンドを製造する企業への販売を主なビジネスとして行ってきました。 当社が販売しております種結晶は、7x7mm~15x15mmの正方形で、厚さが0.2mmや0.3mmの薄い板であります。人工宝石製造会社は、これを気相合成法によって、3~10mmの厚さまで成長させます。成長しますと形状としては粒状あるいは厚い板状の宝石の原料となる結晶(原石)ができあがります。このような結晶を、カットし研磨しますと、ルース(裸石)になり、これを指輪等の宝飾品に取り付けます。当社のユーザーは原石を作っている企業でありますが、多くの場合、原石を製作する企業は、ルースまで製作し、自ら宝飾品を製造したり、宝飾業者や宝石店にルースを販売しております。当社は種結晶は直接もしくは商社を通じて人工宝石製造会社等に供給してきました。一方、当社の生産技術は、産総研が開発した手法を元にしており、この技術の知的財産権は産総研が有し、当社は特許等実施許諾契約(契約期限2026年10月31日)を締結しており、当該契約に基づき、他の製品を含み、販売した製品金額から算出した実施料を、産総研に納入しております。 当社のこのような事業は、グローバルに展開していますが、その事業系統図を以下に示します。 当社種結晶の事業系統図 宝石や研磨剤は、粒状のダイヤモンドを利用していますが、電子部品や光学部品等として利用する場合は、通常は板状の材料を使用します。当社は、ダイヤモンドの単結晶を、ガスから成長させる人工的な手法で製作し、これを電子材料の分野などへも工業材料として販売しております。一旦作製した粒状のダイヤモンドを切断して板状のダイヤモンドを作るのではなく、直接板状の単結晶ダイヤモンドを製造できることが大きな特徴です。これによって、砥粒(注2)や宝石分野以外の応用分野にとっては適用しやすいとともに、当社が採用する気相合成法以外の他の製造手法や競合他社に比べ大型で良質な単結晶が製造できるという、優位性を持っております。 現在では、当社の製品は、次第に一般的になってきている人工宝石製造に用いる元となる種結晶、ダイヤモンドを半導体材料として様々なデバイス(注3)へ使うための基板、高発熱のデバイスを冷やすための材料(ヒートシンク)、原子レベルまでの精度が要求される精密加工切削工具等の分野において利用されております。当社はこれらの分野へ製品を開発し、出荷しております。 ダイヤモンドは硬度が最も高いことから、従来から、石材などの硬質材料を切断、研磨する砥石として広く使われており、このための微小(0.3mm以下のもの)なダイヤモンド砥粒も、従来から一般的に人工合成技術によって作られておりました。一方で、ある程度のサイズを持ったダイヤモンド単結晶は、宝石としては多くの人の目に入るものですが、切削工具や光学部品として、工業用にはごく少量しか使われておりませんでした。最近になって、人工合成手法によって、ダイヤモンド宝石材料を製造する技術が完成し、大量の生産が行われるようになりました。当社のダイヤモンド単結晶は、この製造において重要な役割を果たす種結晶として使用されております。 当社のダイヤモンド単結晶製造技術は、産総研によって基本技術が生み出され、当社がこれを実用化するために、数々の開発を進めてきました。産総研はこの技術について基本的な知的財産権を持っており、当社は「産総研発ベンチャー」としてこれらの知的財産権の独占的実施権を有しています。 (1) 当社の製造技術 ①ダイヤモンドの人工合成技術 ダイヤモンドは一般には天然に産するものと考えられていますが、現在使用されている工業用ダイヤモンドのほとんどは人工合成で製作されています。ダイヤモンドの人工合成法は1955年に超高圧合成法が確立し、その後当社が採用する気相合成法を含む他の2種法が登場しました。 この中で気相合成法は、メタンなどの炭素を含んだガスを、何等かの手段で活性化し、1,000℃程度の温度でダイヤモンドを生成する方法であります。1981年に、日本の無機材質研究所(現在の研究開発法人物質材料研究機構)が発表して、その後多くの研究者が取り組んだ手法です。気相合成法とは物質形成手法の一つで、基本的には気相(ガス)から物質が生じる現象を利用します。気相から元素を取り出す方法が2種類あり、物理的な手法(Physical Vapor Deposition ; PVD)と、化学的な手法(Chemical Vapor Deposition ; CVD)の2つに分類されます。この内、CVD法のみでダイヤモンドを生成することができます。 CVD法では、ガスを原料として使用し、温度を上げる方法やその他の手段により、目的の物質を作り出すための反応を促進します。ガスの活性化の手段の一つが放電現象によって発生するプラズマ(注4)であり、プラズマを利用することで、目的の物質を作り出すことが可能であります。当社は、ダイヤモンドを成長させる手段として、プラズマを利用する「プラズマCVD法」を使用しております。 プラズマCVD法以外の手法でも、金属やセラミックス上にダイヤモンドを形成できますが、その場合は多結晶(非常に小さい単結晶粒子が固まったもの)のダイヤモンドとなります。単結晶のダイヤモンドを生成させるには、ダイヤモンド単結晶の上に成長させることが必要です。ある種のCVD法では、成長したダイヤモンドに、金属などの不純物が結果的に混入してしまう手法があります。当社のダイヤモンドを利用する製品用途では、ほとんどの場合純粋なダイヤモンドを成長させることが必要で、そのために成長させるための成長手法は限定されます。また、厚さ方向への成長速度が速すぎると、結晶が乱れたり、多結晶が発生することがあり、成長速度を制御できることも重要な要素です。 不純物の混入がほとんどなく、成長速度を制御できる方法は、プラズマCVD法です。この方法は、反応ガスを放電などで生成するプラズマによって分解するもので、プラズマ生成手段は色々ありますが、当社は、この手段として2.45GHzの電波であるマイクロ波(注5)を採用しております。 各プラズマ発生源(装置)がダイヤモンド成長にとって有効であることは確かめられていますが、安定性と不純物制御の観点から、当社はマイクロ波を選択しています。使用できるマイクロ波の周波数は電波法などで管理されており、2.45GHzもしくは915MHzの周波数の電波を使うことができます。当社は現在、2.45GHzのマイクロ波を使った装置で、ダイヤモンドを成長させています。この装置では、概ね直径約5cmの領域に、ダイヤモンドを形成できることが知られています。この装置の大きな特徴は、長時間の運転を安定して行うことができることや、数mmといった厚いダイヤモンドを製造することができることであります。 ②ダイヤモンド単結晶を成長させる技術 単結晶とは、一つの結晶(構成する分子が規則正しく並んでいる状態)でできているもので、天然に産するダイヤモンドはほとんどが単結晶です。多結晶は、微小な単結晶が集まったもので、結晶と結晶の隣り合う部分は結晶粒界と呼ばれ、分子の整列状態が乱れた状態になっています。 ダイヤモンド単結晶を、CVD法のダイヤモンドが成長できる条件下に置くと、その上を覆うように単結晶が積み上がってきます。ここでは、成長させるための結晶を「親結晶」と言い、成長した結晶を「子結晶」と称します。成長した子結晶は、成長させた親結晶と同じ原子配列となるので、成長後には親結晶と一体の単結晶となります。成長装置形状等による限界はありますが、数mmといった厚さまでの成長は、各種の成長装置で実現しています。 単結晶の成長速度は1時間当たり1µm~20µmとされています。つまり、1mm程度の厚さを作るのに、50時間(20µm/時間)~1,000時間(1µm/時間)が必要な成長速度です。成長速度によってでき上がる結晶の特性は変化し、遅い成長速度である程、高品質の結晶が得られます。成長速度が遅ければ、成長に要する製造コストは高くなります。従って、求められる結晶品質によって、成長の条件を選択することが重要です。 気相成長した結晶の品質は、成長速度だけで決まるのではなく、混入する不純物や子結晶を成長させる親結晶の品質によっても左右されます。不純物としては窒素(N)が代表的な元素ですが、成長中の反応ガスに含まれる窒素濃度が変化すれば、広い範囲の結晶品質の変化が見られます。高窒素濃度の成長では、見た目にも黒くなり、結晶品質が悪くなります。また、親結晶に結晶欠陥(分子の整列が乱れた部分)が多数あると、成長した結晶にこの欠陥が引き継がれます。引き継がれる程度は、成長条件によってある程度制御は可能ですが、一般的にはより良い親結晶を使うことは、より良い子結晶を成長させることになります。また、同じ成長条件で同じ親結晶を使っても、成長前の親結晶の表面が汚れていれば、それが子結晶の品質悪化の原因ともなります。 多くの半導体材料(シリコン、ガリウムひ素、炭化ケイ素等)は、小さな種結晶を成長させて大きくしており、シリコンの場合では30cm(12インチ)の直径を持つ単結晶ウエハも製作できます。ダイヤモンドの気相からの成長では、この様に結晶の面積を拡大する方法は見つかっていません。すなわち、あるサイズの親結晶から成長させても、親結晶のサイズよりそれほど大きくはならず、ただ単に厚さが増すだけです。従って、ダイヤモンド単結晶の成長では、必ず最終的に必要なサイズの親結晶を使う必要があります。 単結晶を大型化するには、結晶の成長方向を変えて、繰り返し成長することが唯一の方法です。当社でも4x4mm程度の小さな元結晶から、成長させる方向を6回ほど変更することで、12x12mm以上の面積を持つ大型単結晶を製作できました。しかし、この手法を使っても、装置内でダイヤモンドが成長できる大きさには限界があり、製作できる形状も限られます。また、複数回の成長を繰り返すため、大型結晶にするには非常に長時間の成長を安定的に行うことが必要です。 2025年2月13日には、以下の写真に示すような、世界最大級の30x30mm単結晶を基板として製品化することに成功しまし、それを公表しました。この大型単結晶を開発するのには、2年以上の期間を要しました。 30x30mmの単結晶ダイヤモンド このようにして成長したダイヤモンドは、原子の配列が完全なダイヤモンド単結晶であり、不純物を少なく制御できれば、純粋なダイヤモンドとなります。宝石として使用されている天然ダイヤモンドのほとんどは、0.2%程度窒素を含有していますが、上記のように製作したダイヤモンドは、窒素量を0.0001%以下(1ppm)まで制御することが可能です。純粋で結晶欠陥の少ないダイヤモンドほど、宝石としての価値も高くなりますが、高品質が必要となる半導体材料や光学材料としても適した性質を実現しています。 ③当社の大型単結晶製造技術 当社は産総研の技術を基にして、板状のダイヤモンド単結晶の量産技術を確立してきました。産総研の開発した大型単結晶の製造技術は、以下の2つの特徴ある技術によって構成されており、その特許を産総研が保有しています。 a.イオン注入法(注6)を用いた、成長した単結晶の親結晶からの分離技術 b.モザイク結晶の製造法(複数の単結晶を接続し、大面積の疑似単結晶を製作する技術) 以下、これらの技術について概要を説明します。 a.イオン注入法を用いた、成長した単結晶の親結晶からの分離技術 上記のように、ダイヤモンド単結晶上にダイヤモンド単結晶を成長させると、一体になった単結晶ができます。親結晶と子結晶は、同じ結晶であるので境界は存在しません。子結晶を親結晶から剥がさなければ、親結晶をもう一度使うことができません。ダイヤモンドの切断は、レーザーによって行うことができるため、成長したダイヤモンドをレーザーによって切り離すことが考えられます。 数mm程度の小型のダイヤモンドをレーザー切断するのは短時間で可能で、大出力のレーザーも必要ありません。切断部分が20x20mmといった大きさになると、レーザーがダイヤモンドに入り込む深さが限定されますので、切断に非常に長時間を要します。このことは切断コストが高くなることを意味し、現在のところ強力なレーザーを用いても工業的に切断できる大きさには、30x30mmといった形状の限界があります。 近年利用が進んできたウォータージェットレーザーを使えば、ある程度大きな結晶を切断することは可能です。しかし、ダイヤモンドデバイス生産で要求されているのが2インチ(5cm)ウエハと呼ばれる円盤状のダイヤモンド単結晶で、この場合は直径5cmを横に切る必要があり、実現はかなり難しいと考えられています。そこでレーザー切断以外の方法で、以下の図に示す成長した結晶を切り離す技術を開発しました。 親結晶からの分離技術 この方法は、イオン注入を用いて、切り離す方法です。イオン注入は、非常に高いエネルギーにより加速したイオン(電荷を帯びた分子等)を、物質表面にぶつける手法で、半導体デバイスの製造において不純物元素を半導体材料に入れるために使用されています。少量のイオンが入った場合には、結晶は元のままを維持できますが、多量にイオンを注入した場合には、表面から侵入したイオンが一定の深さで止まりますが、その部分の結晶を乱します。当社ではダイヤモンドに炭素イオンを打ち込みますが、イオンが止まった部分で結晶を崩し、カーボン状の領域を作ります。しかし、一定の厚さの最表面はイオンが通過することができるので、ダイヤモンドの結晶は崩れておらず元の整列した状態を維持できます。どのような深さまで侵入するかは、イオンの種類、イオンの加速エネルギー、注入する相手物質の結晶構造によって異なります。 ダイヤモンドの場合は、C+(炭素原子の電子が一つ少ないイオン)を使ってイオン注入していますが、ダイヤモンドを構成する炭素ですので、不純物混入の心配がなく処理が可能です。1MeV(メガエレクトロンボルト;1,000,000Vの電圧で加速した状態)のC+イオンは約1.2µmの深さに侵入し、その周辺の結晶を崩します。上記のように、これでも最表面はダイヤモンドの結晶が元のきちんとした整列状態を維持しています。 マイクロ波プラズマCVD法で、このイオン注入した結晶の表面にダイヤモンドを成長させると、最表面の結晶が崩れていませんので、ダイヤモンド単結晶が成長できます。所定の厚さまで成長させた後でも、この親結晶と成長した結晶は、離れていません。これを、電気化学的な手法を用いて、結晶が崩れた薄い部分を除去します。そうすると、先に成長したダイヤモンドが親結晶から分離して、板として取り出すことができます。 イオン注入によって結晶が崩れる部分は、わずか1µm程度の薄い層ですので、エッチングによって喪失する部分はごくわずかです。従って、親結晶はこの分離作業が完了した時、イオン注入前の形状で少しだけ薄い状態となります。その表面に再度イオン注入を行って、同じような手順で新たな子結晶を製作することも可能です。分離した子結晶は、基本的には親の結晶と同じ形状で、成長した厚さの板状です。厚さは成長時間で制御できますので、必要な厚さまで成長を行えばいいということです。 この手法は、面積が大きな親結晶を使っても、同じように実現することができます。すなわち、大型の親結晶が製作できれば、その後は、その同じサイズの単結晶を次々に製作できます。デバイスの製作を目指すなら、2インチ(直径5cm)の親結晶を開発できれば、2インチの薄い板が製作できます。 b.モザイク結晶の製造法(複数の単結晶を接続し、大面積の疑似単結晶を製作する技術) 2インチのウエハを作るために、2インチの単結晶を作る必要がありますが、これはまだ実現していません。現在においては、30x30mmの単結晶が最大の形状であり、2インチにするためにはこれを接続して、2インチの大きさにすることが考えられます。そこで、横方向の接続方法が開発されました。 上記の分離技術を使い、同じ親結晶から複数枚の子結晶を製作します。この子結晶を横に並べ、その上にさらにダイヤモンドを成長させると、複数の子結晶は新たに成長した部分でつながります。このようにして、1個の結晶ではなく、複数個の連結した結晶を得ることが可能です。当社ではこのような連結した結晶のことを「モザイク結晶」と呼んでいます。 モザイク結晶を作る際の問題は単結晶同士の連結部分の結晶の品質にありました。連結部分はいわゆる結晶粒界になるのですが、この状態が悪くなると、その部分に多結晶ができ、見た目にも黒い線ができます。隣り合わせる結晶は、表面の結晶方位(注7)を合わせなくては、きれいに接続できませんが、それでも微妙な結晶方向の違いが発生するために、境界をきれいにすることは難しいことが知られています。 産総研の開発した技術は、以下の図に示すように、複数個の結晶を同じ親結晶から、上記a.の技術を使って分離した子結晶を使います。 モザイク結晶の製作技術 同じ親結晶から複数個の結晶を作ることで、結晶面の揃った複数個の結晶を得ることができます。これを横に並べ、その上に成長させることによって連結し、境界がきれいなモザイク結晶を得ることができます。以下の図(30x30mmのモザイク結晶の写真)はこのような当社のモザイク結晶の例であります。9個の約10x10mm単結晶が接合され、30x30mmの大きな一つの結晶として扱うことが可能であります。 30x30mmのモザイク結晶の写真 ④生産プロセスへの適用 当社の生産プロセスの全容は、以下の図のとおりであります。 当社の生産プロセス概略図 当社の生産技術で重要なことは、製作したモザイク結晶を使って、親結晶からの分離技術を使い、同じサイズのモザイク結晶を作ることであります。いわばモザイク結晶の複製を作り続けることで、多くの同じサイズのモザイク結晶を製作しております。結晶粒界の内側は単結晶であり、その部分を切り取れば、単結晶の製品とすることができます。 モザイク結晶を親結晶として、親結晶からの分離技術によって、比較的薄い板を製作します。製品ごとにダイヤモンドの厚さへの要求は異なりますが、厚い製品場合は分離した結晶にさらにダイヤモンドを積み増して、所定の厚さとします。 所定の形状への切断は、レーザーで行っています。丸や四角形等の形状を、数10µmの長さ精度で切り出すことができます。製品によっては表面の研磨が必要で、当社はスカイフ(注8)と呼ばれる手法で、10µm程の粒径を持った砥粒を研磨剤として使って研磨しております。 イオン注入を用いて成長した結晶を分離する手法は、個々の単結晶を使っていると、煩雑となるため、当社は複数個の単結晶を接合したモザイク結晶を使用しています。すなわち、上図の親結晶は、10x10mmの単結晶が2~9つ接合したモザイク結晶となります。完成する薄板も、同じように2~9個の単結晶が接合したモザイク結晶を得ることができます。一つ一つの単結晶サイズが大きくなると、単結晶部分の面積が大きくなり、大きい単結晶製品を製作することが可能となります。 親結晶は、複数回使用することが可能ですが、表面状態が悪くなれば、再研磨を行ってきれいな表面に仕上げます。何度かこれを繰り返すことができ、一つの親結晶から20個以上の子結晶を得ることも可能であります。しかし、永久に親結晶を使えると言う訳ではなく、ある程度使用しますと割れたり、大きな欠陥が入ったりしますので、そのような状態になれば、親結晶としての使用を止めます。 親結晶は常にイオン注入する面の状態を、良い状態にすることが必要であります。イオン注入を経て、分離が終わると、新しい子結晶の特性は、親結晶の表面状態の影響を強く受けます。親結晶の管理は、当社製品の特性を良好に保つために、重要な管理項目であります。当社は単結晶製品を大量に製造していますので、このモザイク親結晶を多数保有し、これらを次々に生産プロセスに投入し、分離したモザイク子結晶素材を使って製品を製作しております。 成長はマイクロ波プラズマCVD法と呼ばれる手法で、安定的に良質の単結晶を成長させることができます。成長を薄い状態で止めれば、薄い素材ができます。また、一旦分離した素材をさらに積み増して、厚い素材を作ることもできます。現在のところ、製作できる結晶の厚さや大きさは、以下のような範囲です。 a.大きさ:1x1mm~38x38mm(モザイク結晶を含む) b.厚さ:0.03mm~3mm モザイク結晶を構成する最大の単結晶は、現時点では30x30mmですので、モザイク結晶から作る単結晶の最大の大きさは30x30mmです。30x30mm以上の大きさの場合は、モザイク結晶を製品としています。 当社は、このモザイク結晶で2インチウエハを製作することを検討しており、2026年5月27日に、上記の30x30mm単結晶を4個接続し、53x53mmのモザイク結晶の製作に成功したことを公表しました。これによって、2インチウエハが製作可能なモザイク結晶が完成しましたので、それにイオン注入を行って、子結晶を分離する技術で2インチウエハを製造する計画です。 (2) 当社製品の特長 当社の単結晶は、上述の生産工程に関連して、以下に示すような特長を持っています。 ①大型の単結晶 当社は、大型の単結晶を、大量に製造することができます。30x30mmの四角形の単結晶、38x38mmのモザイク結晶を製品として出荷しています。単結晶として製品化している30x30mmは世界最大と考えられます。 ②板状の形態 天然や超高圧で製造したダイヤモンド単結晶は通常粒子状です。用途の多くは板状で使用するため、粒子から板を切断によって製作することが求められます。これに対し、当社は元々板状の単結晶を製作できますので、このような切断工程が必要ありません。このために、板状の製品を製作するコストが安くなります。 ③広い厚さ範囲 当社の生産プロセスにおいて、成長させる結晶が薄いうちに(短時間で)成長を止めれば、薄板を製作できます。 一方、ある程度の厚さの板を作った後で、追加の成長を行えば厚板ができます。当社の生産手法は、板厚に対する制限がほとんどないところが特徴で、板厚0.03~3mmまでの2桁の範囲の製品を生産することが可能です。 ④様々な仕様の基板 ダイヤモンドデバイスの研究開発は、未だ基礎的な研究段階です。このため、研究者ごとに必要な基板が異なりますが、当社はこれに対応できる様々な仕様の基板を製品化しています。高品質の基板、半導体層を通常の基板上に形成したエピタキシャル成長基板、表面の結晶面を特定したもの、結晶面を少し傾けた基板等々を生産することができます。 <用語解説> 番号   用語   意味・内容 注1   超高圧合成法   プレス等の装置を用いて、数万気圧、1000℃以上の高温の状態を作る手法をいいます。金型などを用いて、超高圧条件に置きたい物質を閉じ込め、圧力を伝える物質を通して、プレス等の圧力をその物質に伝えます。ダイヤモンドの超高圧合成法は、5万気圧で1,500℃という極限の条件で、金属中に溶けている炭素が、ダイヤモンドに変換されます。 注2   砥粒   硬いものを削るために、硬質物質を金属やプラスチックで固めた砥石に使用する粒状の硬質物質の総称であります。また、研磨剤として粒子のままで使用することもあります。ダイヤモンドの場合は、代表的には0.005~0.3mmの直径を持つ粒子を使用します。 注3   デバイス   広義には電子機器や部品を指します。ここでは、主として動作する部品、とりわけ 電子や正孔によって動作する半導体素子(論理素子、アンプ、センサー、発光素子等)を表しております。 注4   プラズマ   物質の4態の一つで、気体よりもさらに高温の条件で現れます。気体の段階では分子は維持されていますが、プラズマになると、分子から電子が出るなどして、帯電粒子が生成されます。イオンも混在することで、反応が起こりやすくなります。プラズマの中にも段階によって異なる形態があり、当社が使用しているプラズマの状態は、非平衡プラズマと呼ばれております。このプラズマでは、分子と電子やイオンは温度が異なっております。実用的なプラズマの生成は、ほとんどの場合何らかの放電現象を用いております。 注5   マイクロ波   波長が1mm~1mを持つ電波の名称であります。周波数では300MHz~300GHzであります。加熱や通信に用いられる電波で、工業的に利用できる帯域が決まっております。広く利用されているのは電子レンジで、2.45GHzの周波数であります。ダイヤモンドを合成するために使う電波としては、この2.45GHzと915MHzの2種類があります。 注6   イオン注入法   イオンとは、通常の状態の原子が、電子を放出するか、余分に電子をもった状態で、+もしくは-の状態になっています。このような状態であれば、+極もしくは-極に引き寄せられます。引き寄せる電圧を高くすると、イオンは高速で移動し、高いエネルギーを持ちます。このような高いエネルギーを持ったイオンを、物質にぶつける手法を、イオン注入法と呼びます。高いエネルギーを持ったイオンは、被衝突物質に打ち込まれ、次第にエネルギーを奪われて停止します。ぶつかった部分は、イオンによって物質の結晶が壊されますが、イオンの量によって結晶の破壊程度は異なります。当社の場合には、炭素イオンを用いて、ダイヤモンドの表面から数µmの範囲にイオンが侵入し、ごく表面以外はダイヤモンドの結晶を壊し、カーボン状にしてしまいます。 注7   結晶方位   原子が整列した結晶では、並び方によって異なる面ができます。この面の向きを方位といいます。方位が異なっているということは、異なった面が対象となっているか、同じ面でも向いている方向が違っている、ということであります。ダイヤモンドの場合は、(100)面と呼ばれる面で成長し、その側面も(100)面となるようにしています。この側面の向きが異なることで、接続部の品質が低下します。方位を完全に合わせるのは大変難しいのですが、モザイク結晶の作り方はこの問題を簡便に解決できる方法でもあります。 注8   スカイフ   ダイヤモンドの研磨を行う最も一般的な手法であります。鋳鉄(いもの)の円盤の上にダイヤモンドの粉末状研磨剤を油で固定します。この円盤を高速回転(数1,000回転/分)して、その上に削りたいダイヤモンドを押し付けます。ダイヤモンドの表面は、1,500℃以上の高温となりますので、ダイヤモンドの粉末で削る効果と、高温で鉄とダイヤモンドが反応する効果の2つが並行して起こり、ダイヤモンドを研磨します。
経営方針・対処すべき課題13,595字を開く

経営陣が考える方向性と課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針 当社グループは、優れた特性を持つダイヤモンドの広い応用によって、様々な分野でのイノベーションの創出を進め、地球規模での環境維持や各種の社会問題の解決を通じ、世界への貢献を目指しています。 当社グループで活動する従業員が、健康で充実した日々を送れるよう、様々な施策を講じています。また、株主や顧客、取引先などのあらゆるステークホルダーへの責任を果たすことを、経営方針としています。 (2) 経営環境等 当社グループの事業は、基本的には人工合成のダイヤモンドを販売する材料ビジネスですが、ほとんどがダイヤモンドの新しい応用を目指す分野に向けられています。天然のダイヤモンドは形状や組成が広い応用に適さないことから、人工合成のダイヤモンドを使った開発が進められています。また、伝統的な分野である宝石についても、人工合成ダイヤモンドへの転換が進んできており、米国では既に50%を超えるシェアになっているとの報道もあります。これに伴って多数の企業が設立され、活発な市場環境となっています。 しかし、2024年3月期後半から、小型宝石を中心に価格低下が急激に起こり、製造会社の採算が悪化しました。このために2025年3月期においてイスラエル、米国、インド、欧州等で関連企業の倒産や製造の停止が起こり、当社の種結晶事業にも大きな影響を与えました。特に、当社の主要ユーザーの中には、小型宝石の生産を主体とする企業があり、その倒産などによる受注の減少が、売上の減少につながりました。 一方、工具用素材としての利用も既存市場と言えます。その市場規模は安定的ではありますが、種結晶や基板及びウエハの市場と比較して市場規模が小さく、当社が幅広く参入する環境ではありません。一方で、ダイヤモンドデバイスの開発は近年急速に活発化しています。これはパワーデバイスとしてEVやHEVの電力制御等の用途へ適用できる可能性が高くなっており、量子センサーとして弱磁場計測が可能となる等の開発が進んでいます。この用途は、競合する他の材料よりダイヤモンドの方が理論的には優れた特性を持っており、優位に立てるという可能性があるからです。このためダイヤモンド素材市場は、次第に拡大してきましたが、デバイスの製品化には至っておらず、近い将来に形成されると考えられます。デバイスの製作には、既存のデバイス製作プロセスを使用することが必須であり、このためには最小でも2インチウエハ(直径50mmの円盤状)を開発する必要があります。その他にも様々な基板やウエハ、さらには基板やウエハの表面に薄い半導体動作層を形成したエピタキシャルウエハ等が商品として要求されています。2インチウエハなどのインパクトのある製品が実用化できれば、当社としては大きな展開が可能となると考え、開発に注力しております。 現在製品を供給している分野について、市場環境を以下に示します。 ①ダイヤモンドデバイスウエハ及び基板の市場 ダイヤモンドデバイスの開発は、国家レベルの支援が広がっていること等で、この数年に活発化してきました。現在検討されている主なデバイスとしては、以下のようなものが挙げられます。 1>大電力を制御するパワーデバイス 2>高周波の大電力デバイス 3>耐放射線デバイス 4>量子コンピューター 5>量子センサー(主として弱磁場のセンサー) これらのデバイスの開発の一部は実用に供するレベルの性能が確認され、量産への移行も視野に入っています。さらに、その開発を各国政府が支援するプログラムも、日米欧豪の各国で進められており、ベンチャー企業の設立支援も行われております。ベンチャー企業は各社ごとに開発製品の対象を持っており、そのために要求されるウエハ、基板及びエピタキシャルウエハは多岐に渡っております。 大電力制御のパワーデバイスの有力の応用は、EVやHEVの電力制御ユニットへの適用であります。既に自動車メーカー及び部品メーカーがこの分野の開発に着手しておりますが、自動車への適用には非常に長期に渡る信頼性確認試験が必須であり、必ずしも早期に実用化するとは言えません。当社はこの開発を手掛ける株式会社本田技術研究所(以下、「本田技術研究所」)と、共同研究を進めるべく、その基本合意書を2026年3月19日締結し、同年8月の共同研究契約の締結を進めるべく、テーマの設定などについて協議を行っています。自動車に搭載するデバイスは、要求される価格が非常に厳しいことから、従前から使われているデバイス製造プロセスを利用することは必須の条件であります。このためには最小でも2インチ(直径50mm)ウエハを実用化することが必要であり、要求されるコストを実現するには4インチ(直径100mm)以上のウエハを開発する必要があります。 当社は各デバイス開発機関が、それぞれのデバイスを製造するプロセスを確立するために、必要なウエハを供給できる時期について、ロードマップを示しております。このロードマップは、最初に2024年11月に開示し、その中で1インチウエハから4インチウエハの開発時期を示しました。1インチウエハにつきましてはほぼ計画通りに製品化できましたが、2インチウエハの開発は計画より約半年遅れております。2026年5月27日に、2インチウエハ用のモザイク結晶の開発に成功したことを公表しましたが、2インチウエハについては現在製品化を進めており、2027年3月期下期に実現できると計画しております。 耐放射線デバイスは、規模の小さい応用であり、2インチウエハが製品化できれば生産が可能と考えられますので、比較的早い時期に実用化できると想定されます。 量子センサーは、弱磁場検出用として、バッテリーの寿命検知や、心磁場計測等の医療分野への応用が期待されています。この場合にも製造コストが大きな課題となると考えており、2インチ以上のウエハを開発することは必須と考えられます。しかしこの用途では、窒素(N)と空格子(V)のペアになった欠陥(N-Vセンターと呼ぶ)を制御することが必要で、上記の各応用のような単純なダイヤモンド単結晶ウエハでは、対応できない可能性もあり、今後必要な特性を把握して開発を行う所存です。 この市場においては、当社の持っている30x30mmの単結晶が最大であり、不純物含有量や欠陥密度などの特性面においても、当社製品は優位にあります。競合する材料としては、金属などダイヤモンド以外の単結晶材料を基板として成長させたダイヤモンドを使う案が出ています。これはヘテロエピタキシャルと呼ばれる手法で、最大4インチウエハも製造できることを複数の企業が公表しています。しかしこの結晶は、一種の多結晶であり、デバイスの製作には問題があるというのが、開発機関の共通の見方です。今後結晶性能が改善される可能性は否定できませんが、現時点においては、単結晶を基本とする当社のウエハ製作方針には、一定の優位性があるものと考えております。 ②人工ダイヤモンド宝石製造用の種結晶市場 a.人工宝石の製造と市場 人工ダイヤモンド宝石は超高圧合成法と気相合成法によって製作されるダイヤモンド宝石です。ダイヤモンドとしては、天然に比べ不純物が少なく純粋で、無色だけでなくピンク、ブルー、グリーン等の色がついたものも販売されております。「Fortune Business InsightのLab Grown Diamonds Global Market Report 2026によれば、ダイヤモンド宝石市場でラボグローンダイヤモンドは34%以上の市場を獲得しており、今後10年間、年13%のペースで市場拡大が進むと予測されています。 一方、生産量の拡大によって価格低下も進行しております、同一のグレードなら天然の20%以下の価格で販売されているところもあります。欧米においては、天然ダイヤモンドの採掘による自然破壊や、以前から指摘されている鉱山における児童労働等の問題があるため、人工ダイヤモンドのSDGsにおける優位点を意識する消費者が増加しております。これに対応して、宝飾店においても人工宝石を積極的に販売するところが増加しております。 人工合成のダイヤモンドを製造する方法は、超高圧法と気相合成法があります。気相合成法で作る人工ダイヤモンド宝石は、超高圧法で製造される宝石に比べ、高品質で大型のものを作ることが可能です。このため、新規に人工宝石に参入する企業の多くは、気相合成法で製造しております。特にインドにおいては、毎年多くの新規企業が設立され、既存企業の生産能力も大幅な拡大を続けております。 b.種結晶に要求される形状 この気相合成法で製作している宝石は、製作するに際して種結晶が必要とされます。通常は0.2mmないし0.3mm厚の薄い単結晶を種結晶として使用し、3~10mmの厚さに成長し、これをカット、研磨して宝石に仕上げます。 気相合成法では、結晶の成長は厚さ方向のみ成長しますが、面積方向の成長がほとんどありません。このため、成長によって種結晶の形状からの面積的な拡大が無く、宝石としての形状は上部から見た形状と厚さの関係が一定であるため、種結晶形状が宝石の大きさ(カラット数)を決定します。例えば、ブリリアントカットの場合では、直径と厚さの関係は約0.6です。このように、種結晶のサイズが、最終的に宝石となるダイヤモンドの大きさを決めるため、大きな宝石の製造を目指すには、大きな種結晶が必要となります。 最近の人工宝石市場では、大型宝石の出荷が活発となっています。天然ではほとんど市場で見られない5カラット以上の宝石を目指す動きもあり、当社は大型種結晶のニーズがあると見込んでおります。当社は5x5mm~15x15mmの広い範囲の形状を持つ種結晶を製作できますが、当連結会計年度において12x12mm以上の大型種結晶の販売数が大幅に増加しています。 現在では成長装置を1,000台以上も保有する人工宝石製造会社が複数あり、これらの会社が必要とする月当たりの一つのサイズの種結晶は1,000個を超える場合もあります。このような大量の種結晶を、品質の揃ったものとするためには、生産技術の安定が必要で、当社は既にこの能力を具備しております。 当社は2026年5月13日に、16x16mm~20x20mmの大型種結晶の販売を決断し、公表いたしました。次項にも記載しましたが、インドでは大型の種結晶を用いて、一つの原石から複数の形状の異なる宝石を切り出す製造方法が普及し、種結晶の大型化が要求されてきました。このような状況に鑑み、当社はこれまで出荷していなかった大型種結晶の販売に踏み切りました。これによって新たなユーザーの獲得が可能となると考えております。 c.種結晶ビジネスの競合 当社は種結晶を独自技術により製造し人工宝石製造会社等に販売しておりますが、当社の販売先である人工宝石製造会社の一部が、成長した結晶を薄く切断して、その表面を研磨することで、自社で種結晶を製作しております。その場合には、当社と競合することになります。この手法の製造コストは、現時点では当社より高いと判断しております。また、金属等の基板上に成長した疑似単結晶を、種結晶として製造している企業もありますが、種結晶としての性能は当社種結晶より劣ることが判明しております。 インドの人工宝石製造会社は、大型の種結晶から大型の原石を製作し、そこから大小織り交ぜて複数個の宝石を切り出す技術を持っております。このことによって、小型の宝石を大型の種結晶から作る技術が実現できており、小型種結晶の需要が減少したと考えられます。また、このような技術を保有しない企業は、採算性の悪化から事業を停止することも起こったと考えられます。宝石の結晶としての品質は、後述するような半導体デバイスに要求される結晶品質に比べると、一般的には悪いものでも使用できます。宝石としての見映えは重要で、カラーやクラリティーは宝石鑑定の重要項目ですが、これらと結晶品質が必ずしも直接結びついているわけではありません。そのため、当社の種結晶より品質が劣るとされている疑似単結晶の種結晶を利用する企業もたくさんあります。 d.宝石及び宝飾品 人工宝石市場については、前述のとおり既に一定の市場が形成されており、多数の企業が参入しております。一方で、市場規模は相応に大きく、また、日本国内においては海外市場と比較して普及の余地があるものと考えております。そのため、当社が当該市場に取り組むことは、当社が製造するダイヤモンドの特長を活かした新たな事業機会の創出につながる可能性があるものと認識しております。 当社は大型単結晶を製作できることから、大型の宝石を製作できます。また、薄く大型な原石を製作することで、これまでなかったようなデザインの宝石を開発することも可能です。さらに、既に商品化しておりますように、ブルーやピンクのカラーダイヤも販売可能です。多様な宝石を製作できることから、これらを組み合わせて新しいデザインの宝飾品を検討することも可能です。 このように、当社には独自の宝石や宝飾品を市場に出せる環境ができており、日本でダイヤモンドを生産しているという他にはない特徴を持っています。これを最大限に利用して、Japan Made Diamondとして販売することを進めています。この販売方法は、日本ブランドが有効な東アジア圏でも有力な販売手段となると考えられ、ブランド化を進める所存です。一方で、宝石の製造コストは、インドや中国企業に比べて高くなることは避けられないと考えられますので、デザインのみならず、販売方法も戦略的に進める必要があると考えられます。 ③光学部品及びヒートシンク ダイヤモンドの持っている高熱伝導率や、光やX線を透過する特性を利用し、デバイスの除熱や、各種計測器、放射光施設等の部品などに利用されております。 5Gシステムに代表される先端通信分野や、データーセンターで用いられるパワーデバイス等では、高発熱のデバイスが使用されることから、熱を除去して安定的なデバイスの動作を実現する材料としてダイヤモンドの利用検討が進んでおります。また、高出力レーザーや自動車で使用するパワーデバイスの実装において、ダイヤモンドの高熱伝導率を利用する試みも、広く行われています。 ダイヤモンドを光学部品として利用し、大エネルギー密度光の透過窓として利用したり、検査機器で使用するX線源のX線を透過する窓としての利用が開始されております。また、放射光施設の窓材や計測機器に、適用することも検討が進んでいます。 これまでの市場は、散発的なアイデアで開発される部品の供給が多かったのですが、X線用窓が量産に移行した等の新しい動きがあります。当社は現在開発が進んでいるヒートシンクとしての利用について、実現性が高く、将来の大型市場を形成できることを期待しています。 ④工具素材 ダイヤモンド単結晶を利用する切削、耐摩耗工具は、加工する相手材料が限定され、特殊な加工に限られております。また、工具素材の全市場では、ほとんどが超高圧合成単結晶を使用しております。超高圧合成単結晶のサイズが限定されていることから、当社の大型結晶への要求があります。なお、工具素材については、積極的に販売拡大を行わない方針であります。 (3) 目標とする経営指標 当社グループは先端技術を使っている製造業であり、製造設備への投資を継続的に行っていく必要があります。このために、高い利益率を維持し、確固たる資金調達手段を保持することが重要と考えられます。このような観点から、主な経営指標として、以下の経営指標を重視しております。 ①売上高成長率 ②経常利益率 ③ROE ④自己資本比率 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社グループは、2027年3月期を始期とする以下の3ヶ年の中期経営計画を策定(2026年5月27日に公表)し、その最終年度である2029年3月期に、以下の数値の達成を目標としております。第2の創業と位置づけ、当社グループ企業あげて取り組んでまいります。 <中期経営計画> (当社及びSFD India Private Limited、SFD Antwerp BVの連結ベース) (単位:百万円) 2027年3月期   2028年3月期   2029年3月期 売上高   1,100   1,530   2,080 営業利益又は営業損失(△)   △283   △5   195 経常利益又は経常損失(△)   △189   39   189 親会社株主に帰属する当期純利益又は当期純損失(△)   △195   4   132 1株当たり当期純利益又は当期純損失(△)(円)   △10.36   0.21   7.01 当社グループのビジネス分野は半導体デバイス開発に必要な素材であるウエハ・基板等(ダイヤモンドデバイス)及びラボグローンダイヤモンド関連の種結晶・ルースの2つで構成されております。中期経営計画の達成に向けての、当社グループ共通の課題、それぞれの事業分野ごとの課題は以下のとおりです。 ①ダイヤモンドデバイス分野の活動に係る課題 ダイヤモンドの持つ優れた半導体特性を利用する、パワーデバイスや量子デバイス等に応用するための開発は世界各地で進められており、各国政府もこの開発に資金支援を行っております。この数年の開発によって、ダイヤモンドデバイスの実用性の可能性が高まり、生産を目指したベンチャー企業等も設立されてきました。しかし、本格的な量産にはまだ数年以上が必要と見られ、ウエハ等の市場形成はこれから進むと見られます。 半導体デバイスの量産のために既存の半導体プロセス技術を使うことは、コスト低減に重要な意味があり、その中では円盤状のウエハを使うことが必須です。その最低の大きさは2インチウエハ(直径50mm)であり、この実用化が早まれば、量産技術の開発が進み、デバイス実用化が早まるとみられます。 当社グループは、単結晶の大型化を進め、最終的に4インチウエハの実用化を目指すロードマップを2024年11月に開示し、これに沿った開発を遂行しております。30x30mmの世界最大級の単結晶を2025年2月に実用化し、これから1インチ(直径25mm)ウエハを2025年4月に製品化しました。 2インチウエハを製作するために、25x25mm以上の単結晶4個を横方向に接合したモザイク結晶で50x50mm以上のサイズのモザイク結晶を作り、そこから直径50mmの円盤を切断すれば2インチウエハとなります。この2インチウエハを2025年末までに完成させることを目標とし、開発を行ってまいりましたが、目標時期での開発は完了しませんでした。このような大面積のモザイク結晶では、接合部分に想定以上の応力が発生することが分かりました。 2インチモザイクウエハ開発は今後も継続して進めるとともに、次の目標である4インチウエハに向けた開発を開始しております。50x50mm単結晶の開発は2028年3月の完成を目標としており、これを使った4インチモザイクウエハ開発が目標となります。しかし、4インチウエハの開発については、先に示したロードマップ以外にも到達できる手法が考えられますので、今後は複数の手段を検討して、なるべく早く4インチウエハの実用化を目指してまいります。 さらに、自動車などの大電力を使用するパワー制御ユニットでは、縦型構造のデバイスが必要とされており、導電性を持つウエハ開発が強く要求されております。当社は既に2024年8月に、高濃度のボロン(B)を含有する低抵抗基板を商品化し、このデバイス開発を行っている機関からの受注に応えてきました。このダイヤモンドの製法は、通常のダイヤモンド結晶とは異なり、当社グループの基本技術であるイオン注入による分離技術が利用できず、異なった製作手順で作製しておりますので、大型ウエハの製造には新たな製造方法の開発を行う必要があり、この課題に取り組んでおります。 半導体応用のダイヤモンドウエハは、単にサイズだけを拡大すれば使用できるということではなく、ダイヤモンドの結晶品質や表面の粗さ等の改善すべき課題があります。当社グループはそれらの課題にも取り組むために、研磨技術や形状計測等の技術開発にも着手しております。また、これらの製品は、販売直後から量産に向けて低価格化が強く要求されます。このような価格動向を事前に想定して、コスト削減を進めることも重要な開発要素です。最終的にはこれらの技術を集約し、実用的に利用できるダイヤモンドウエハの規格を確立することが、普及への道筋と考えております。 2026年3月19日付で、当社は本田技術研究所とダイヤモンドウエハ等の共同研究を行うための意向確認書を締結しました。本田技術研究所は本田技研工業株式会社が製造する自動車に係る技術開発を担っており、ダイヤモンドパワーデバイスをEVやHEV等で利用することを目標とした開発を進めております。当社が材料の開発を担当し、この実用化に協力することで、開発期間の短縮や開発費用の削減を進める計画です。当社グループにとっても、実用におけるダイヤモンドへの課題を明確にできることで、開発のスピードを上げることが期待できます。 当社グループは、他のダイヤモンドデバイス開発を進める各企業や研究機関とも密接にコミュニケーションを取っており、ユーザーの要求仕様を正確に把握し、開発計画に反映してまいりますが、それらも含めた現時点でのダイヤモンドデバイスの実用化に向けた当社グループとしての重要な課題を以下に列挙いたします。 ⅰ.2インチ~4インチへの大型モザイク結晶の作製技術開発とコスト削減 ⅱ.目標とするデバイス性能へ対応できるレベルへのダイヤモンド結晶品質の向上 ⅲ.低抵抗ダイヤモンドの2インチ、4インチウエハの開発 ⅳ.高純度ダイヤモンド結晶の実用化(量子デバイス対応) ⅴ.エピタキシャル基板(薄いドーピングダイヤモンド等を成長した基板)の用途ごとの要求に対応する多様化への対応 ⅵ.提携する各社とのコミュニケーションによる市場へのタイムリーな製品の投入 これらの各種の取り組みには、多額の研究開発投資が必要となります。資金調達を多様化するとともに、国レベルの支援を受ける等の対応により、必要な設備投資を行ってまいります。さらには、人的なリソースの拡充も重要であり、継続的な募集を行って、多数の人材を確保してまいります。 ②ラボグローンダイヤモンド関連ビジネスに係る課題 ラボグローンダイヤモンドの本格的な宝石ビジネスは10数年前に始まりましたが、市場アナリストの情報として、現在ではダイヤモンド宝石市場における流通量の20%以上にも達しているとの推定もあります。米国では50%を超えたとの情報も出ており、いよいよラボグローンダイヤモンドが本格的に天然ダイヤモンドに置き換わる方向に進んでおります。ビジネス規模は依然として急速に拡大しており、当社グループは2024年11月に公表した基本方針で、種結晶に偏重していたそれまでの取り組みを改め、宝石の販売などこの分野全体へのアクセスを行うことといたしました。 この方針の皮切りとして、2024年1月に宝石の製造販売を担う子会社エス・エフ・ディー株式会社(以下、「SFD」)を設立し、宝石販売を行うことを決断いたしました。このビジネスを実施するためのグループとしての構造について、当社が原石を生産し、SFD India Private Limited(以下、「SFD India」)で加工し、SFDが国内及び東アジアで販売し、SFD Antwerp BV(以下、「SFD Antwerp」)が欧米市場で販売する、との構想で各社を設立しました。SFD Indiaは当社が製造する種結晶を、インド国内で販売する役割も持つ計画でした。 しかしながらこれらの活動については、2つ問題が生じました。その1つはSFD Indiaが種結晶や原石を当社から購入するための輸入ライセンスの取得に長期間を要したことです。2026年2月に輸入ライセンスの取得を完了しておりますが、同地で在庫販売するための日本からの輸出許可が取得できておりませんので、まだインドでの種結晶の在庫販売を行うための体制が整っておりません。2つ目は、SFD Antwerpが開始したEC(Electronic Commerce:電子商取引)が、SFDからのルースの供給が十分ではなかったこともあって、売上が想定を大きく下回ったことです。 これら2つのビジネスについての今後の課題を以下に示します。 種結晶は、2023年3月期までは主力製品として当社の発展に貢献してきましたが、その第4四半期から製品価格が大幅に低下したことによって需要が減少し、小型種結晶の販売は困難な状況を余儀なくされました。ラボグローンダイヤモンド製造企業の自家用に製作する種結晶が増加したこと及びラボグローンダイヤモンド生産手法が変化し、大型の種結晶を用いた原石から複数の宝石を切り出すCAD-CAM技術も確立しました。これにより、小型種結晶から大型種結晶への需要シフトが生じ、小型種結晶の販売が減少いたしました。当社グループは、このような状況の変化に対する情報収集能力不足により対応が遅れました。 一方、宝石や宝飾品の販売については、当社グループとしては初めてのビジネスであり、販売体制の構築を進めてまいりましたが、まだその製造及び販売の体制は不十分な状況です。Japan Made Diamondのコンセプトは、日本の宝石店などに支持されておりますが、それをどのように販売することで大きなブランドに育てることができるかは、まだ明確になっていない状況です。また、販売方法の独自性をどのように発揮できるかについても、重要な課題と考えておりますが、以下の課題認識の下、適切に対応してまいります。 ⅰ.大型種結晶の要求に対応すべくこれまで販売してきた15x15mm以上の大型種結晶の販売を開始し、種結晶売上を回復する。 ⅱ.種結晶の安定的な販売のために、インドでのユーザー数を拡大し、長期的な受注を獲得する。 ⅲ.宝石の国内販売体制を確立し、Japan Made Diamondのブランド化を進める。 ⅳ.ルース及び装飾品のデザイン、製作ができる体制を整える。 ⅴ.ECの販売体制を構築する(SNSの利用等)。 宝石や宝飾品の販売につきましては、豊富な経験を有する外部人材の確保を積極的に進める必要があり、また、海外においても販売を可能とする組織作り、人材確保が課題と考えております。 ③当社グループの共通の課題 当社が東京証券取引所グロース市場へ上場して4年程度経過し、上場企業としての各業務フローは安定的な運用期に入っております。内部統制報告制度(J-SOX)への対応をはじめ、上場企業に求められる管理体制の構築は概ね完了したものと認識しております。これからさらに成長して行くためには、ガバナンスの強化だけでなく、経営企画、開発体制、人材確保等に関して、以下の課題があると考えております。 ⅰ.他社との連携 先に公表した本田技術研究所との共同研究契約締結に向けての合意等、今後当社グループはダイヤモンドデバイスに関する各種の開発を、関連企業や大学、公立研究機関とともに技術開発を行い、それらの成果によって実用的な製品として市場に出すことを考えております。ダイヤモンドのデバイスとしての応用は多岐に渡ると考えられており、要求される素材の形態、特性等は様々になると考えられます。このように多種類のダイヤモンド素材の開発が可能となれば、当社グループがこの分野での主導的な地位を維持することができると考えられます。 しかし、連携当事者間において競合関係が生じるケースが大半であることから、当社グループとしては、各社の機密情報が相互に漏洩することのないよう、情報管理体制の徹底に最大限注力をしております。また、開発項目の重複も、知的財産権を出願する場合に問題を起こす可能性があります。一方で、連携先からの了承を得て、開発内容を学会発表などで発信することは、この分野の研究開発の活性化に貢献できると考えられます。 これから活発化する他社や他機関との連携において、問題のない契約を締結し、普段からコミュニケーションを欠かさず、当社グループの意思を正確に伝える等の努力を行ってまいります。 ⅱ.技術開発 当社グループの大型単結晶技術は多くの技術内容で世界的に優位な地位にあり、今後もこの地位を維持することが重要であると認識しております。製品そのものだけでなく、製造技術や評価技術等の幅広い分野での研究開発活動が必要です。当社グループのビジネス分野であるラボグローンダイヤモンド関連産業においては、インドを中心に装置技術の発達や変化が常に発生しており、これらの情報を確実に入手し、対応策を講じることが重要です。上記のように、2027年3月期からは他社や他機関との連携がデバイス関連素材の分野では重要な意味を持ってまいります。これらの連携から得られる情報を利用することで、他社に先駆けた製品開発を行えると考えております。 また、当社グループの新しい技術開発内容を積極的に外部に発信することで、不特定多数の技術者などとの交流を活発化させ、新しいアイデアを創出することも重要と考えております。 ⅲ.連結子会社の管理 当社グループは、ラボグローンダイヤモンド分野の事業活動のために、国内外に連結子会社を設立してまいりましたが、国内子会社であるSFDは、2026年3月31日に当社と吸収合併いたしました。残る海外2社につきましても、今後どのような活動が可能であるか検討しております。海外の連結子会社は、その国ごとの事情を理解できていなかったこともあり、想定していなかった困難な状況にも見舞われました。 当社グループはこのような状況の反省に立ち、ガバナンス強化を図りながら連結子会社の活動方針を検討してまいります。 ⅳ.人材の確保 当社グループは、技術開発において世界の最先端を行く企業として、多様な技術開発人材の確保が必要な状況にあります。また、販売についてもこれまでにない製品分野への対応が必要となっております。これらの専門性を持った人材の確保は喫緊の課題です。 これまで主として人材紹介会社を経由して人材を採用してまいりましたが、専門性の高い人材の確保が困難な状況は、今後も継続するものと考えております。今後は、当社ウェブサイトでの情報発信をこれまで以上に積極的に行うとともに、新卒者の採用を行って人材を育てることにも注力したいと考えております。 ⅴ.経営陣の高齢化と後継者の育成 当社グループの部長以上の経営陣は、60歳以上の比率が高く、将来の後継者の育成と併せて、年齢構成を検討する必要があると認識しております。次世代を担う若手人材の中間管理職への登用を積極的に進めるとともに、将来の経営を担うリーダー層の育成に向けた教育機会の提供を継続してまいります。 前連結会計年度には役員の平均年齢を下げることができましたが、将来の当社グループを担う経営体制を構築するという意味では、まだ不十分と考えております。今後は、経営企画を担当する人材の採用などによって、将来の経営層を育成する必要があると考えております。 ⅵ.輸出管理 経済安全保障の観点から、2022年12月に輸出貿易管理令の一部を改正する政令が施行され、ダイヤモンドの基板等が、新たな規制対象品目に入りました。また、2025年5月にも輸出貿易管理令の改正があり、規制品であるダイヤモンドの輸出に際しては、より厳格な許可基準が適用されております。当社グループといたしましても、法令遵守を最優先に、当局の動向を注視しつつ適切な輸出管理体制を維持してまいります。 当社グループは、2022年12月から2023年4月にかけてのダイヤモンド基板等の輸出について、経済産業省より2024年5月21日に「厳正な輸出管理の徹底について(厳重注意)」を受領しました。この事態を厳粛に受け止め、同法令を遵守する立場から社内体制を整備し、関連規程等の制定を行って、再発防止に努めてまいりました。 しかしながら、ダイヤモンドデバイスが経済安全保障上の極めて重要な課題となっており、当社グループとしては従前以上に輸出について厳密な判断が求められる状況です。当局との連絡を密にし、法令順守に万全を期して輸出業務を行ってまいります。
事業等のリスク15,831字を開く

会社が自認するリスクの一覧

3【事業等のリスク】 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 人工宝石ビジネス市場の状況 当社の最大の製品である種結晶の販売先市場であるラボグローンダイヤモンドの市場は、順調に拡大しております。 Fortune Business Insight、Lab Grown Diamonds Global Market Report 2026によれば、2025年にはラボグローンダイヤモンドの市場はダイヤモンド宝石市場の34%以上を占め、今後10年間は年率13%以上で成長すると予測されています。また、米国においては既にラボグローンダイヤモンドは50%以上の市場を獲得しているとの報道が、多数見られます。このような情勢から、当連結会計年度においてもラボグローンダイヤモンドは順調にそのシェアを広げ、天然との比率が逆転するのもそれほど遠くないと推察されます。 天然ダイヤモンドの有力な供給者であるデビアス社が、2024年3月期に2件の値下げを公表しました。2023年10月に、天然ダイヤモンドを使ったブライダル用途の宝飾品を30%程度値下げすると公表し、2024年1月には、天然ダイヤモンド全般を30~40%値下げすると公表いたしました。このことは、デビアス社が、天然ダイヤモンドがラボグローンダイヤモンドに価格競争で負けたことを認めたこととなる、と報道されております。このようにラボグローンダイヤモンドは大きな市場を獲得しており、さらに高速に市場拡大が進むと見られます。一方、生産量の拡大によって価格低下も進行しております。 また、欧米においては、天然ダイヤモンドの採掘による自然破壊や、以前から指摘されている鉱山における児童労働等の問題があるため、人工ダイヤモンドのSDGsにおける優位点を意識する消費者が増加しております。これに対応して、宝飾店においても人工宝石を積極的に販売するところが増加しております。 気相合成法で作る人工ダイヤモンド宝石は、超高圧法で製造される宝石に比べ、高品質で大型です。このため、新規に人工宝石に参入する企業の多くは、気相合成法で製造しております。特にインドにおいては、毎年多くの新規企業が設立され、既存企業の生産能力も大幅な拡大を続けております。 上述のとおり、当社は、宝飾品としてのラボグローンダイヤモンドの認知は十分進んでおり、何らかの理由によって市場が消滅する可能性は、現時点でほとんどなくなったと考えております。しかし、国内外の経済情勢の悪化や景気動向の減退等の理由により、市場の成長が鈍化したり、市場規模が縮小したりする場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。ラボグローンダイヤモンドの販売価格の低下が進んでも、魅力的な商品が出てこない場合には、市場規模の拡大が遅くなる可能性はあります。このような変化に対しては、当社はその間に他の製品への転換を進めることで、当該リスクの分散を図っていきたいと考えております。 (2) 特定ユーザーへの過度の依存 当社の売上に占める種結晶の比率は、当連結会計年度の売上高の22.7%となっており、前年度から36%ほど低下しました。これはSFD Indiaの輸入ライセンスの取得が遅れ、日本からインドへの種結晶の輸出が難しい状況がありました。種結晶市場の大幅な変化で、従来の方針であった長期的な受注の獲得は、期待できない状況になっております。しかし、そのような中でも種結晶の最大のユーザーの売上比率は10.9%となっています。今後は種結晶ビジネスの回復とともに、売上高に占める種結晶の大口ユーザーの売上比率は増加するものと考えられ、依然として依存率は高い状況が想定されます。 さらに、基板、ウエハ関係の第1位の大口ユーザーの売上比率は27.3%となっています。このように、分野の異なる2ユーザーへの過度の依存状態ですので、単純な方針の変更でこれを解消できる状況にはありません。基板、ウエハのユーザー数は次第に増加しているため、第1位のユーザーの比率は低下するものと予想しております。特に、2027年3月期においては、各種のプロジェクトが進行すると見られますので、これまで受注量が少なかったユーザーからの受注拡大も期待でき、売上の分散が期待できます。 しかし、特定ユーザーへの過度の依存が継続すると、その企業やそれを取り巻く環境の変化によって、当社の受注が減少し、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社としては、全体の企業規模拡大に並行して、ユーザーの分散や販売分野の分散を、積極的に推進してまいります。 (3) 知的財産権管理 ①産総研との独占実施契約 当社の生産技術は、国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、「産総研」といいます。)が開発した手法を元にしており、この技術の知的財産権は産総研が有しております。当社は、産総研との間において、当社の製造技術に係る産総研が保有する特許の独占的通常実施権の許諾契約(以下、「原契約」といいます。)を締結しております。 原契約及びその後の原契約の独占的通常実施権の許諾期間の変更契約による許諾期間が2023年10月31日に満了いたしましたため、2023年12月21日に、産総研の保有する特許の再実施許諾権付通常実施権を有する株式会社AIST Solutionsとの間において、原契約の独占的通常実施権の許諾期間の変更契約を締結し、許諾期間について3年間の延長を行っております。 なお、原契約及び原契約に基づく許諾期間の変更契約について、継続に支障をきたす要因は発生しておりませんが、当社の帰責事由により、原契約及び原契約に基づく許諾期間の変更契約が解約され、原契約に基づく許諾期間の変更契約の許諾期間満了前に終了した場合には、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 2023年12月21日に締結した原契約に基づく許諾期間の変更契約による許諾期間は、2026年10月31日に満了を迎えますので、今回と同様に許諾期間の変更契約を締結する所存です。仮に、この満了時期に許諾期間の変更契約が締結できない場合でも、非独占的通常実施権が特許の存続期間満了日まで付与される契約となっておりますが、他社が産総研に対して実施権を要求すること等により、産総研が他社と非独占的通常実施権を付与する契約を締結した場合は、当該他社は当社の競合となる可能性があり、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。仮に、他社が産総研から実施権の許諾を受けた場合でも、多くのノウハウの確立や多数の親結晶の作製に年単位の時間が必要と考えられるため、当社が競争優位性を継続して確保できると考えております。 ②知的財産権の取得方針、侵害等 当社は、生産技術が漏洩することを防ぐため、これまで特許などの出願を行わない方針としておりました。生産技術には多数のノウハウがあり、これが技術の実現には重要なカギとなっています。しかし、製品に関連する特許などについては、当社が権利を保有することが重要である場合が出てきているため、前事業年度において、製品に係る特許を出願いたしました。当連結会計年度において、実用製品をいくつか販売開始したこともあり、知的財産権の出願は重要な状況になっております。今後もこのような知的財産権について権利化できるように、出願及び審査を進めてまいります。また、技術的なよりどころとなっている産総研の特許群については、維持及び他社による模倣状況のチェックを行っております。しかしながら、他社との間で知的財産権を巡る紛争が生じた場合や、他社から知的財産権を侵害された場合には、事業活動に支障が生じ、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 主力製品である種結晶については、これまで出願された特許は見つかっておらず、公知となって長期を経過していることもあり、特許上の係争が起こる可能性は低いと考えております。 一方、宝石については、商標を含めさらに詳しい調査が必要と考えております。デザインについては、判断が難しい部分がありますので、この分野に専門を持つコンサルタントなどからのアドバイスをもらうことを考えております。 (4) 生産技術の模倣 当社は、産総研が保有する特許について、独占的通常実施権の許諾契約(その後の許諾期間の変更契約を含む。)を締結して利用しております(許諾期間満了日:2026年10月31日、契約に含まれる特許数:特許の存続期間満了となったものを除き国内外の総件数15件、独占的通常実施権の継続はその時点で産総研及び産総研の保有する特許の再実施許諾権付通常実施権を有する株式会社AIST Solutionsと協議を予定、許諾期間満了後も各特許の存続期限まで非独占実施権は付与されます。)。 当社では、特許の技術による種結晶製造のノウハウを確立するため、産総研と共同研究を行って来ており、製品化までのノウハウについては特許に記載されていないこともあり、他社が容易に模倣することは難しいと考えております。しかしながら、他社が当社の技術を模倣し種結晶等の製造を行うことになった場合、事業活動に支障が生じ、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 なお、現在の独占的通常実施権の許諾契約は15件の特許を包括的に締結していますが、個々の特許の存続期限が今後次々に到来するので、それらの重要性に鑑み、契約書の内容を変更する必要が出てくると考えられます。その時には、当社の事業継続と特許の期限を迎えていない技術の占有状況が維持でき、リスクを最小限とするよう、産総研及び株式会社AIST Solutionsと契約内容を協議いたします。 (5) 退職者による技術・ノウハウ流出 当社の生産技術には産総研の特許権のほかに生産ノウハウがありますが、当社は漏洩が起こらないよう常に管理を行なっており、役職員の退職時には秘密保持誓約書を提出させることとしております。しかし、生産ノウハウ等の情報流出及び新規製品の開発計画の漏洩が発生し、他社が当社の生産技術を模倣したり、同様の製品開発を行ったりする場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。産総研特許の範囲である基幹技術については、独占実施権で守られておりますので、流出してもリスクは大きくないと判断しております。 (6) 競合他社について ①ユーザーが自家生産する種結晶との競合 当社は種結晶を独自技術により製造し人工宝石製造会社等に販売しておりますが、当社の販売先である人工宝石製造会社から取引に際して当社から購入した種結晶から種結晶を再製作しない旨の宣誓書を入手しております。しかし、当社の販売先である人工宝石製造会社の一部が、当社から購入した種結晶を利用して厚く成長させた結晶を薄く切断して、その表面を研磨することで、種結晶を製作しています。その場合には、当社と競合することになります。この方法の製造コストは、現時点では当社より高いと判断しておりますが、宝石製造会社の技術進捗や購入する装置が安価化することによって、当社の製造コストの優位性がなくなり、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 既にこの手法で種結晶を生産しているユーザーもありますが、一方では継続して当社の種結晶を購入しており、販売先としての関係は、状況を監視しながら継続いたします。 ②疑似単結晶ダイヤモンドの種結晶への適用 ダイヤモンド単結晶以外の物質を使って、その上に成長したダイヤモンドが、一定以上大きな結晶粒径となる場合があり、疑似的に単結晶と扱う場合があります。セラミック単結晶基板にIr(イリジュウム)薄膜を成長させて一定の方向を向い結晶の基板を作る技術と、剣山状に加工したセラミック基板にダイヤモンドを成長することで単結晶の成長数を限定する技術が知られております。20x20mm以上の大型の結晶を製作できるとの報告があります。この結晶を種結晶として発売している企業があるとの情報を入手しております。 しかし、この結晶は原石の成長時に亀裂が発生するなどの問題に加え、カラーや結晶のゆがみ等のために、できあがった宝石は当社種結晶を使用した場合に比べ、歩留が悪いことが判明しております。これは、完全な単結晶でないために、種結晶に残留する応力が影響するためと考えられております。 また、この製品を販売してきた企業は、2022年に米国のラボグローンダイヤモンド製造企業に買収されました。その後インドにおいて、その結晶のコピーが販売されております。 上記のように、ラボグローンダイヤモンド企業は自家生産した種結晶を製作していますが、この疑似単結晶を作る動きが多く見られ、当社にとって大きな脅威となっております。前事業年度において当社15x15mm種結晶を実用化しましたが、ブリリアントカットの場合この単結晶は10ct相当のルースを生産できますので、多くのユーザーにとっては十分な形状の種結晶を販売できる状況になっております。 当社は、2025年2月に30x30mm単結晶を実用化しましたが、15x15mm以上の種結晶を製品化することは、その結晶のコピーが作られることによって、当社の強みを削ぐことになると懸念しておりますので、種結晶の更なる大型化については慎重に検討してまいります。 2026年5月13日に、16x16mm~20x20mmの大型種結晶を販売することを公表しました。既にインドユーザーから大型種結晶の注文が入っており、当社としてはこれに応えるため、早期の販売を決断いたしました。 ③疑似単結晶大型ウエハ 上記の疑似単結晶で、2インチ以上の大型ウエハが開発されたとの報告があります。米国企業の1社は、5年前に4インチウエハの公開を行っていますが、未だに2インチウエハすら実用化できておりません。この原因として、でき上がったウエハ素材が、フラットな形状となっておらず、研磨ができないという問題点が指摘されています。また、実質的に多結晶としての特性で、単結晶として使用するのには多くの問題点がある、との指摘もあります。 当社は、大型の単結晶を開発し、それを横方向に接続するモザイク結晶で2インチ以上の大型ウエハを開発すべく取り組んでおり、2025年2月には30x30mmの世界最大の単結晶を実用化しました。また、この単結晶を使った1インチウエハを2025年4月に実用化しました。さらに4個の結晶を接続した2インチウエハを、2025年末までに実用化するというロードマップを公開しておりましたが、当連結会計年度において開発ができませんでした。これは単結晶の接続部分に応力が発生し、割れたり、亀裂が発生したりする現象が起こったためです。これを軽減するための方策を検討し、対応をとっているところです。 しかし、先行してこのようなウエハが実用化する可能性もあります。大型のウエハが利用できることは、デバイス製造工程にとっては大きな利点があります。このようなウエハの性能が向上すれば、当社が製品化を計画している大型ウエハの実用化に大きな影響を与える可能性があります。 2026年5月27日に、2インチウエハ製作用の53x53mmモザイク結晶の開発に成功したことを開示しました。このモザイク結晶を用いて、従来の工程により2インチウエハの製作を進め、2027年3月期下期での2インチウエハの製品化に取り組んでまいります。 (7) 生産装置の陳腐化 当社では種結晶の成長装置の性能向上等を目的として、産総研や装置製造会社との共同開発を実施し、2022年11月に新設された島工場において、新成長装置が稼働しました。その性能は計画段階の想定と差異がなく、従来の成長装置よりも30%以上生産の効率が向上しました。しかし、競合他社でもある人工ダイヤモンド宝石製造会社が成長装置の大幅な技術革新を実現した場合、当社の成長装置の性能が陳腐化することでコスト競争力が失われ、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、産総研とも共同研究などを通じて、成長装置の高度化を進める所存で、リスクを下げるような各種の対策を講じております。 (8) 重要な生産装置の重大な故障 当社の生産工程において、必ず使用する必要があるイオン注入装置を2台保有しております。しかし、製品が多角化してきたことで、一部のエピ基板の製造設備が1台しかないという状況も生まれております。当社では定期的な設備点検により故障を防止する対策を行っておりますが、主要部品が壊れるなど長期にわたって当該装置が稼働できないという状況になった場合には、生産が完全に止まることとなり、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 (9) 特定人物への依存 これまでの当社の新製品開発や新技術開発については、当社の代表取締役社長である藤森直治を中心として推進してまいりました。当社は、産総研ダイヤモンド研究センター長であった藤森直治を中心に、ダイヤモンド単結晶製造技術の事業化を目的として設立されており、その技術の知見に対する依存度は極めて高いと言えます。また、長年ダイヤモンド関連学会やビジネスに携わったことから、各方面に人脈を構築しており、それが当社のビジネスにも適用できております。開発や生産に係る技術者を雇用、育成することで、藤森直治に依存しない体制の構築は進展しており、何らかの理由により業務執行できない事態となった場合でも開発や生産に大きな問題が発生する状況ではありません。しかし、今後の新製品の開発遅れや、生産効率化の遅れなどにより、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 (10) 小規模組織であること及び人材確保 当社は小規模な組織であり、現在の人員構成における最適と考えられる内部管理体制や業務執行体制を構築しております。当社は事業の拡大を目指していますが、その実現には管理体制強化及び絶え間ざる技術革新が必要であり、管理部門、生産部門、開発部門で幅広く人材確保を進めています。海外連結子会社での要員の確保も重要となると考えております。しかしながら、計画通り人材の採用が実現できなかったり、必要とする能力を有する人材の応募が無かったりした場合には、適切な人材配置が困難となり事業拡大に制約が発生するなどにより、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (11) 感染症等の影響(新型コロナウイルス等の感染症問題)について 当社は新型コロナウイルス蔓延時においては、役職員に対し、テレワークやオフピーク通勤を奨励し、定期的にPCR検査を実施しました。また、遠距離の出張の原則禁止や宴会を行わない等の蔓延防止策を講じました。全国的な患者発生数の減少や、政府の蔓延防止施策の変更があり、当社は既に通常時の業務体制に戻っております。 しかし、新たな変異株などで、当社において感染症等が蔓延した場合、業務停止及び遅延によって、売上の減少、納期遅延等が生じる可能性があります。また、当社の顧客に感染症等が蔓延した場合、顧客からの発注が止まることや、出荷停止、遅延等が生じる可能性があります。さらに、当社の仕入先や外注先に感染症等が蔓延した場合には、調達及び製品製造の停止や遅延等が生じる可能性があります。これら諸要因の動向によっては、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (12) 自然災害等 当社の活動拠点の本社、横江工場及び島工場は、大阪府北摂地区に立地し、外注先は愛知県西部の臨海地域に立地と、活動拠点は分散しているため、両地域が同時に台風や地震で壊滅的な被害を受ける可能性は低い、と判断しております。しかしながら、当社の生産能力の大部分は大阪府北摂地域に集中しているため、大阪府北部で大地震やその他操業に影響する災害などが発生した場合には、売上の減少、装置類の損傷による多額の補修費用の発生、停電による情報管理ネットワークの遮断等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 (13) 当社製品へのクレーム 当社では生産する全ての製品について、万全の品質管理に努めるとともに、全ての工場の設備の予防保全に努めており、現時点において、品質に関する重大なクレーム及び納期に関するクレーム等は発生しておりません。また、軽度のクレームには迅速に対応し、顧客の信頼を損ねないような対応を行っております。クレームには真摯に原因の究明と、改善策の立案を行い、これを顧客に報告しております。しかし、将来、製品の重大な品質クレームや重大な生産トラブルによる納期クレームが発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (14) 為替リスク 当社は数多くの海外顧客との取引があり、海外顧客との取引(日本の商社経由の取引を含む)は外貨建て取引を採用しており、当社の取引高に占める外貨建の取引の割合は2023年3月期が95.3%、2024年3月期が67.4%、2025年3月期が65.0%、2026年3月期が51.5%となっております。為替に関して円高のトレンドが明確となった場合には、為替予約によってリスクを回避することとしており、既にこのための体制を整えております。最近3年間の変動状況から、140円/$以上の円安の水準では、為替予約を基本的には行わず、140円/$の水準に近づいた段階で為替予約を執行することを検討いたします。 (15) 米国の関税政策の影響 トランプ大統領の就任で、米国の関税政策は大幅に変化しており、各国へ10%の関税率を適用し、交易の状況によってその上積みを行うとの方針が示されました。このような関税が日本の輸出品に適用されますと、当社製品の米国内の価格が上昇します。ユーザーから値下げ要求が来ることは予想されますが、米国への輸出品のほとんどが基板やウエハで、当社製品は他社が発売していないか、形状や特性で優位な位置にあります。従って、値下げ要求に応じなくとも購買される可能性はあると考えられますが、先方の予算状況等によっては値下げが避けられない可能性もあります。 トランプ大統領の政策は日々変化する状況にあり、先を読み切れないところが対応の難しいところです。日本とトランプ政権との交渉が上手く行かず、過大な関税がかかることとなれば、米国ユーザーとの取引が難しくなる可能性もあります。その場合は、計画している基板やウエハの販売が増加せず、当社の経営成績及び財政状態が想定よりも悪化する可能性があります。 (16) 情報漏洩 当社は、開発段階から顧客と共同で取り組んでいる案件について、秘密保持契約を締結し情報管理を行っております。また、共同開発(研究)契約を締結して進めている案件もあります。これらの契約は、契約していること自体が重要情報である場合もあり、役職員にはこの重要性を知らしめ、啓発、教育を行うと共に、秘密保持誓約書を提出させる等、情報漏洩の防止には万全を期しております。 しかし、情報の漏洩が発生した場合には、当社が賠償責任を負う可能性があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 一方、当社の情報が他社を通じて漏洩することについては、競合各社の活動状況を監視しております。漏洩が疑われる状況になれば、契約相手にその旨伝達し、漏洩を止める所存です。 (17) 訴訟に関するリスク 当社の事業又は活動に関連して、知的財産権、環境、労務等、様々な訴訟、紛争、その他の法的手段が提起される可能性があります。2026年3月31日現在、2件の国内における訴訟案件がありますが、当社の経営成績と財政状態に重大な影響を及ぼす訴訟ではございません。将来において、重要な訴訟等が提起された場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。特に、主要製品であるウエハや、今後注力する宝石、宝飾品に関する係争については、注意を払っております。 (18) ストック・オプション及び新株予約権の行使による株式価値の希薄化 当社は、取締役及び従業員等に対するインセンティブを目的として、ストック・オプションを付与しております。また、当社は2024年9月に第17回新株予約権の発行による資金調達を開始しました。これによって当連結会計年度においては、1,080,000株が行使され、703,080千円の資金を調達しました。当連結会計年度における希薄化率は7.51%でした。なお、2024年9月に発行した第17回新株予約権は、当連結会計年度の末日において、すべて行使が完了しております。 また、2026年5月27日に新たな資金調達として、第三者割当による新株式及び第18回新株予約権の発行による資金調達を行うことを公表し、2026年6月16日に第三者割当による新株式及び第18回新株予約権の発行による払込が完了しております。この第三者割当による新株式の発行より、発行済株式総数が472,500株増加し、第三者割当による新株式及び第18回新株予約権の発行による払込完了日(2026年6月16日)現在、発行済株式総数は15,947,100株となっております。 上記払込完了日(2026年6月16日)現在、これらのストック・オプション及び新株予約権による潜在株式数は、3,587,000株であり、上記払込完了日(2026年6月16日)現在の発行済株式総数15,947,100株の22.49%に相当しております。これらのストック・オプション及び新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化することとなり、将来における株価に影響を及ぼす可能性があります。 (19) 配当政策 当社はこれまでの経営状況から、配当を行っておりません。将来の社債発行や増資に際して、配当を行っていないことでの不利が発生し、必要な資金調達が出来ない事態がリスクとなる可能性があります。それによって、必要な設備投資ができなかったり、遅れたりすることで、ビジネスの拡大が妨げられたり、顧客を失ったりする可能性があります。 今後当社は、利益を確保でき、配当に十分な剰余金を確保した場合には、配当の実施を検討いたしますが、現時点では実施時期は未確定です。 (20) 各工場及び土地の賃貸借契約が解除され、継続使用が困難となるリスク 当社が活動している本社、各工場及び土地は、賃貸借契約で入居しております。災害あるいは貸主の都合によって、この契約を解除され、退出を余儀なくされれば、全般の活動や生産活動に支障を来たします。工場の移転期間中の減産や、インフラ設備の除去費用、さらに移転費用の負担があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。現状の契約期間は、横江工場が3年、開発部が2年と比較的短期間であることから、今後、契約期間の長期化に向けた対応を検討いたします。 (21) 法的規制等 当社は事業活動において、輸出貿易管理令、製造物責任法、外国為替及び外国貿易法、特許法、中小受託取引適正化法、建築基準法、借地借家法、労働安全衛生法、消防法、廃棄物処理法、大気汚染防止法等の各種法的規制を受けておりますが、上記法的規制等の新設や改正等が行われた場合には、当社の事業活動が制約を受け、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社は、法令等の遵守に努めておりますが、何らかの理由で上記法的規制等への抵触が発生した場合、当社の事業活動が制約を受け、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 経済産業省は、経済安全保障強化のため、「輸出貿易管理令の一部を改正する政令」を制定し、2022年12月6日に施行されました。その中に規制対象として半導体基板としての三酸化二ガリウム(Ga2O3)とダイヤモンドが追加されました。当社は、研究用基板のみならず主力製品の種結晶等についても、関係機関や当局とコミュニケーションをとり、改正後の法令に則した対応等について確認を行ってきました。 当社は、当社の製造するダイヤモンドが半導体材料として不十分な特性を持っていることから、同政令改正後も輸出を継続しておりました。これに対し2023年4月に経済産業省から、政令の趣旨に沿った的確な対応するようにとの指示があり、2023年4月以降、一時的に製品の輸出取引を保留しておりました。2023年5月に、当局から、1,000千円/件以下の輸出案件に対して輸出を承認されたので、一部の製品の出荷を開始いたしました。さらに、2023年6月に改正後の法令に則し、規制対象品として輸出許可申請を行って輸出許可を得るようにとの見解が示されました。そのため、2023年6月下旬から各種製品の輸出申請を開始し、7月以降には、順次輸出許可を得て、出荷を開始いたしました。 2023年10月には一般包括許可を取得し、欧米やオーストラリアに対しては輸出許可を得ずに出荷できるようになりました。これによって、これらの地域に関しては納期が長くなる事態は避けられるようになりました。引き続き、特別一般包括許可を取得し、規制対象国以外には輸出許可を得ずに出荷できるように、申請手続きを準備しております。 なお、当社が2022年12月から2023年4月にかけて規制品目であるダイヤモンド基板等を、経済産業省の許可を得ずに輸出しておりましたことに関し、経済産業省より2024年5月21日に「厳正な輸出管理の徹底について(厳重注意)」を受領しました。当社としては、今回の事態を厳粛に受け止め、貿易管理委員会を設置し、これまで以上に法令遵守を徹底し、社内体制を整備することにより、再発防止に努めております。 2024年1月に100%子会社であるエス・エフ・ディー株式会社を設立しており、同社においても輸出貿易管理令の遵守を厳格に行う必要がありましたが、2026年3月31日に当社に吸収合併しましたので、現在はリスクとなっていません。 また、2025年5月28日に「外国為替令及び輸出貿易管理令の一部を改正する政令」等の改正が施行され、その中の「提出書類通達」に規定の規制対象品目については、地方経産局ではなく、経済産業省(以下、「本省」という。)の許可が必要となる旨の規定が設定されました。当社の各種製品について、対象品目であるのかの調査を進めてまいりましたが、ダイヤモンドは規制品として輸出許可を経済産業省の本省へ申請することとなりました。それまでは近畿経産局への申請を行い、概ね2週間以内に許可が出されていましたが、本省への申請となって許可までの期間が大幅に長くなりました。これまでの実績としては2ヶ月ないし3ヶ月でした。このことによって当社製品の納期が長期間となって、顧客にとっては必要な時期に当社製品を入手できない場合が発生することになりました。これにより場合によっては受注が困難であったり、受注がキャンセルされたりするリスクが出てきました。当社は顧客に対し輸出許可取得に要する期間を事前に説明していますが、顧客との関係に影響を与え、当社の営業成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 上記のほか、当社は種結晶販売体制の強化と宝石製作管理を目的として、2024年7月にラボグローンダイヤモンド関連企業が多数活動しているインドSurat市にSFD Indiaを設立し、SFD Indiaに種結晶の在庫を保有したうえで、同市のユーザーに対して直接販売を行うことを計画しておりました。しかしながら、当該販売形態については、現時点において関係当局から必要な許可を取得できておらず、当面の間、当該計画を実行することは困難であると認識しております。 また、当社が製作した原石を現地に送付し、同地において加工を行う方法についても、必要な許認可の取得に長期間を要する可能性があるほか、原石の輸送、保管、加工及び管理に係る実務上の負担が増加する可能性があり、その実行可能性は現時点において不確実であります。 当社は、関係当局等と連携し、必要な許認可の取得可能性、実務上の対応方法について検討を進めてまいりますが、これらの対応が想定どおりに進まない場合、当社の事業展開、営業成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (22) 継続企業の前提に関する重要事象等 当社グループ製品の主要なビジネス分野であるラボグローンダイヤモンド市場は、引き続き規模が拡大しておりますが、数年前から小型宝石を中心にした生産拡大による販売価格下落の影響を大きく受け、当社グループの種結晶販売は縮小いたしました。当連結会計年度においてもこの傾向は続き、種結晶の売上は低迷いたしました。 2024年11月に当社グループとしては種結晶に偏重していたビジネス状況を変更するため、宝石の販売を開始し、デバイス関連のウエハや各種基板の開発及び販売を強化する方針に変更いたしました。この方針の下に、宝石販売を行うSFDとSFD Antwerpを設立し、種結晶販売と宝石製作管理を行うSFD Indiaを設立いたしました。 しかし、SFD Indiaは種結晶等を日本から輸入するためのライセンスの取得が遅れ、その販売に着手できず、加工用原石の輸入も同様の状況にあるため、実質的に業務ができない状況にありました。SFD Antwerpは事務所の設立に長期間を要し、EC(Electronic Commerce:電子商取引)や宝飾品企業等への宝石の販売が所期のレベルに達しませんでした。両社は固有の問題が当連結会計年度に発生し、これらについて個別の対策が必要となっております。 このため、当連結会計年度の売上は前期を下回り、それに伴い営業活動によるキャッシュ・フローが継続して多額のマイナスとなるなど、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。 2026年1月頃に、インドの種結晶大口ユーザーからの長期的な受注を獲得し、他のインドの複数のユーザーからも継続的に受注しておりますので、同年3月に輸出許可が得られ、出荷を開始しております。しかし、輸出貿易管理令の改正が2025年5月28日に行われ、当社がインドへ輸出する種結晶等は経済産業省の本庁の許可が必要となり、許可に2か月以上を要する状況になっております。このため、納期が長期化し、営業活動上の制約となっておりますが、SFD Indiaが立地するSurat市には多数のラボグローンダイヤモンド関連企業があり、当社種結晶の品質が高いことは周知されていることから、営業体制の確立によって今後は積極的な販売を進められる見込みであります。 宝石の販売については、国内において宝飾品企業や百貨店等との商談が始まっており、2026年1月に開催された東京国際宝飾展に出品したことで、さらに多くのユーザーとの商談が始まっております。SFD Antwerpの活動については、2026年3月26日開催の当社取締役会において、同社を一時的に休眠状態とし、その間に新たな事業体制の検討を行う旨の方針を決議いたしました。2026年3月31日付のSFDの当社への吸収合併による事業効率化を進めて国内販売を軌道に乗せることで、今後さらなる営業損失の発生にはつながらないものと見込んでおります。 一方、ダイヤモンドデバイスの開発は世界各国で活発化しており、開発する具体的なデバイスが明確になりつつあります。これらに係る多岐にわたる基板、ウエハ及びエピタキシャル基板の引き合いが来ております。ダイヤモンドデバイス向けの2インチのモザイクウエハの開発は、当連結会計年度中に目標とする品質・サイズを満たすモザイク結晶の作製には至らなかったものの、技術的課題の把握が進みました。2インチウエハは、既に各ユーザーからの引き合いが始まっており、開発が完了すれば多数の受注を受けることとなると見込まれます。 日本にはダイヤモンドデバイス開発を手掛ける有力な企業が複数あり、これらの企業から各種のウエハ、基板、エピタキシャル基板の開発要請を受けております。海外でもパワーデバイスや量子センサー等の開発が活発化しており、受注は増加傾向にあります。今後は、各ユーザーの開発状況を精査し、有力なユーザーとは共同開発等を行うことを含めて連携関係を強化し、将来のダイヤモンド素材市場(ウエハ、エピ基板等)の確立に向けて、社内外の体制を整えてまいります。 このように各種の製品売上が増加する体制が整いつつありますが、これに加えて赤字体質からの脱却を目指して緊急経営改革を進めております。受注状況に鑑みて不急の生産設備の停止や外注加工の縮小を行い、人件費、外注費や電力費の削減を実施しております。また、一時的には現預金残高が減少しましたが、2024年9月に発行した第17回新株予約権は、当連結会計年度の末日においてすべて行使が完了し、所要の資金調達ができましたことから、当連結会計年度末において手元資金は十分に確保できております。 さらに、今後のウエハの開発に必要な資金の調達等を目的に、2026年5月27日に第三者割当による新株式及び第18回新株予約権の発行による資金調達を行うことを公表し、2026年6月16日に第三者割当による新株式及び第18回新株予約権の発行による払込が完了しております。また、NEDO等の公的な支援についても採択されるような提案を検討すると共に、共同研究等を進める連携企業とも協力して公的資金の獲得を進めてまいります。既に複数のテーマについて検討を開始しており、案件によっては国際的な枠組みの検討も進める所存です。 上述のとおり、受注状況の改善や資金調達が実施できたこともあり、今後の資金繰りについても安定して推移することが見込まれ、重要な懸念はないものと判断しております。以上より、当社グループにおいては、今後の継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
経営成績の分析 (MD&A)10,666字を開く

業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績等の状況の概要 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 ①経営成績の状況 当連結会計年度における世界経済は、ウクライナ情勢の長期化や中東地域における紛争の継続に加え、米国及びイスラエルとイランの対立激化等を背景として、地政学リスクの高い状況が続きました。パレスチナ情勢については、イスラエルとハマスの停戦合意が成立しましたが、レバノンやヨルダン川西岸地区における緊張が継続し、中東地域全体の不安定さが残りました。 また、2025年6月には米国とイスラエルが、イランの核関連施設等への攻撃を契機として軍事的緊張が高まり、2026年2月末以降はイラン指導部等を標的とした空爆やその後の報復措置等により、米国及びイスラエルとイランの対立が一段と深刻化しました。2026年3月にはホルムズ海峡における航行制限・封鎖により、原油・天然ガスの海上輸送に支障が生じ、エネルギー価格、物流、金融市場を通じて世界経済に大きな影響を及ぼす可能性が高まりました。 また、2025年5月にはインド・パキスタンの紛争、2026年1月には米国がベネズエラの大統領を拘束するといったベネズエラへの軍事行動の発生等もあり、当連結会計年度においては、複数の地域における地政学リスクが重なり、世界経済の先行きは不透明な状況で推移しました。 米国が2025年4月に発動した相互関税措置により、国・地域ごとに異なる追加関税率が設定され、世界的な通商環境の不確実性が高まりました。これにより、貿易取引の停滞や米国における輸入品価格の上昇等を通じた景気悪化が懸念され、また中国によるレアメタル等の輸出管理強化という対抗措置もあって、世界経済全体への影響が懸念されましたが、各国と米国との関税交渉による軽減もあって、世界経済への影響は限定的なものにとどまりました。また、この関税政策は、米国の司法判断により、大統領令による関税の運用政策決定が違憲と判断され、この方針の見直しと超過課税の返還の動きがみられました。 日本経済については、米国の関税政策や各国との通商政策変更による影響が懸念されたものの、雇用・所得環境の改善や企業業績の底堅さ等を背景に、総じて緩やかな回復基調で推移しました。政治面では、2025年7月の参議院選挙、2026年2月の衆議院選挙と、国政選挙が続きましたが、石破内閣の退陣及び高市内閣の発足など、政治情勢は大きく動きました。株式市場では、米国株式の上昇や政策期待や企業業績の改善等を背景に株価が上昇し、日経平均株価は5万円台を突破しました。物価上昇は当連結会計年度において継続するなか、金融政策面ではゼロ金利政策からの脱却が進んだものの、金利上昇は限定的なものにとどまりました。 当社グループ製品の主要なビジネス分野であるダイヤモンドデバイス関係の開発状況と、ラボラトリーグローンダイヤモンド(人工ダイヤモンド。以下、「ラボグローンダイヤモンド」という。)市場は、順調に推移していると見られます。 ダイヤモンドのデバイス応用では、パワーデバイスや量子デバイスの実用化への期待が高まっており、世界各国がその開発支援を本格化しております。また、関連技術の研究開発や事業化を担うベンチャー企業は資金調達を進めており、工場の新設や新たなデバイス開発へ投資を行っております。各国政府による支援策の整備が進むなか、大学や国立研究機関に加え、関連技術の研究開発や事業化を担う企業への支援も広がりつつあります。 パワーデバイス分野では、米国のEV(電気自動車)への支援策の見直し等を背景に、EV向け開発需要の先行きに不透明感が生じております。2025年3月に公表された国立研究開発法人産業技術総合研究所及び株式会社本田技術研究所(以下、「本田技術研究所」という。)による共著論文で、電気自動車に適用することを想定したデバイスで、大電流動作が実現する可能性が示されたこともあり、日本や米国でこの分野の開発が進んでおります。また、ダイヤモンドは高周波デバイスへの応用も期待され、レーダー等に用いられる高周波の大電力デバイスへの応用可能性も注目され、応用の可能性が広がっております。 さらに、量子デバイスとしての応用展開についても、多数の研究機関や企業において検討が進められております。オーストラリアのQuantum Brilliance社は、ダイヤモンドを用いた量子アクセレレーターを米国の国立研究所に納入したと公表しました。常温で動作し、スーパーコンピュータを補完する演算での活用が期待されております。また、弱磁場を検知する手段としてダイヤモンドの量子センサーが優れた特性を有することについても、多数の公表が行われており、このセンサーによって地磁気によるGPSが開発できる可能性等のほか、心磁場や血流の検出を可能とする医療機器への応用可能性も示されております。 当社は既に公表した30x30mm単結晶を用いて、1インチ(直径25mm)ウエハを2025年4月に発売しました。これまでにないサイズの単結晶ウエハであり、デバイス開発への起爆剤となると考えております。一方、2024年11月公表のダイヤモンドウエハに関する当社開発ロードマップで示しました2インチ(直径50mm)のモザイクウエハの開発は、計画しておりました2025年12月までに完了しませんでした。これまで作製してきた最大サイズである38x38mmのモザイク結晶に対し、約2倍の面積を有する2インチモザイク結晶の作製に取り組みましたが、接合時に発生する応力の影響等により、当連結会計年度中に目標とする品質・サイズを満たすモザイク結晶の作製には至らなかったものの、技術的課題の把握は進展しました。 2026年5月27日に、検討してきました2インチモザイクウエハ作製用の53x53mmのモザイク結晶の開発に成功し、これを公表しました。このモザイク結晶を親結晶として、2インチウエハを製作する計画です。2インチウエハは各ユーザーから発売を強く要請されており、2027年3月期下期から販売を開始することを計画しております。 ダイヤモンドデバイス関連企業との継続的な情報交換を通じて、将来の実用化に向けた各企業のダイヤモンド素材に関するニーズを把握し、当社の開発計画に反映してまいりました。その中で、2026年3月26日に公表しましたとおり、本田技術研究所とは、ダイヤモンドデバイス用材料の共同研究を実施することに合意し、2026年3月19日付で共同研究を実施するための意向確認書を締結しました。 ラボグローンダイヤモンド市場は当連結会計年度においても引き続き規模が拡大しております。米国ではラボグローンダイヤモンドのダイヤモンド宝石市場におけるシェアが50%を大幅に超え(出典:Fortune Business Insight;Lab Grown Diamonds Global Market Report 2026)、世界での市場規模が3兆円を超えたとの推定もされています。このことが原因ともなって、天然ダイヤモンドは大幅な販売の下落が生じているとの報道がされているなど、ダイヤモンド宝石市場でラボグローンダイヤモンドが主要な製品となりつつあります。 ラボグローンダイヤモンド関連企業は、この1年の価格下落の影響を受けて、経営破綻や事業活動の休止等が発生しております。デビアス社のラボグローンダイヤモンドブランドであるLIGHTBOX向けにラボグローンダイヤモンドを供給していたElement Six社のオレゴンの工場も、事業活動の休止に追い込まれたとの情報が広く知られています。インドでも大規模な企業の経営破綻もありました。一方で、インドでは経営破綻に追い込まれた企業から設備を購入し、事業拡大を進めた企業もありましたので、ラボグローンダイヤモンド関連企業全体としての活動規模が縮小したということではないと考えられます。 種結晶の市場では、インド国内や中国で大型の種結晶を販売する企業があるため、ラボグローンダイヤモンドの効率的な生産が可能となるために、大型種結晶を使用する企業が増加しております。当社はこれまで15x15mmまでの種結晶を供給してまいりましたが、それ以上のサイズの種結晶へのニーズの増加に伴い、当社も15x15mm以上の面積を持つ種結晶の発売を準備してまいりました。 当社はインドSurat市にSFD India Private Limited(以下、「SFD India」という。)を設立し、ラボグローンダイヤモンド関連企業が集積するこの地で当社種結晶を販売することを目指してきました。当社からSFD Indiaに種結晶を輸出するには、SFD Indiaが輸入ライセンスを取得することが必要です。2025年3月に現地事務所を決定し、輸入ライセンス取得に必要な様々な手続きを行ってきました。必要な手続きが完了するまで8ヶ月以上の期間を要し、申請後に許可が出るまでにさらに2ヶ月を要しましたが、SFD Indiaで2026年2月に輸入ライセンスを取得いたしました。 SFD Indiaでの種結晶の販売については、インドSurat市現地で種結晶在庫を保有し、現地ユーザーへの直接販売又は営業担当者による訪問販売を行う形態を計画しておりました。しかし、日本からSFD Indiaへの輸出許可申請に関し、経済産業省の担当部署より、安全保障上の観点から当該販売形態による許可取得は困難であるとの見解が示されたことから、SFD Indiaにおける販売方法については、当社からユーザーであるインド企業への直接販売を前提とした取引形態へ見直しております。 SFD Indiaによる現地での在庫による販売はできませんでしたが、インドのユーザーに対する営業活動を当社で継続してまいりました。当連結会計年度第3四半期までは、受注実績はスポット的で限定的なものにとどまりました。しかしながら、2026年1月~3月において複数のユーザーから、長期的な受注を獲得いたしました。受注の一部は2027年3月期第1~第2四半期の受注分の予約も含まれておりました。それら受注に係る輸出許可については、一部を2026年3月までに取得できましたので、同許可に基づき出荷を開始いたしました。2027年3月期第2四半期連結会計期間まで出荷予約分などを含め、継続的な出荷が出来るよう輸出申請を進めております。 また、エス・エフ・ディー株式会社(以下、「SFD」という。)の国内ユーザー向け宝石販売については、販売体制の構築を進めてまいりましたが、当連結会計年度においては本格的な販売拡大には至らず、販売実績は限定的なものにとどまりました。当社が製造した原石を使って作製した宝石を、Japan Made Diamondとして販売するコンセプトは、国内の宝飾品業界から一定の賛同を得られているものの、サプライチェーンの整備はなお途上にあります。また、SFD Antwerp BV(以下、「SFD Antwerp」という。)においては、EC(Electronic Commerce:電子商取引)を通じて販売を当連結会計年度半ばから行ってまいりましたが、営業体制及び経理体制の整備に課題があり、本格的な販売拡大には至りませんでした。このような状況を踏まえ、2026年3月31日付でSFDを当社に吸収合併し、従来重複していた間接部門の一体化による業務効率の向上及び意思決定の迅速化を図っております。さらにSFD Antwerpにつきましても、当連結会計年度末より今後の事業運営方針の見直しを行っております。 以上のようにインドにおける種結晶販売及び宝石の販売については、本格的な拡大には至らず、当連結会計年度において純損失が膨らみました。また、第17回新株予約権による資金調達は一部進展したものの、営業活動等による資金流出が継続したことから、手元流動性の確保が重要な経営課題となっておりました。当社グループでは、こうした状況を踏まえ、当連結会計年度の途中より費用削減を進め、種結晶受注の減少に応じて製造ラインの一部稼働を制限するなど電力費を含む固定費の削減に取り組みました。 その後、2026年1月末以降、第17回新株予約権の行使が進展し、翌月には残存する第17回新株予約権の行使が完了したことにより、合計で約6億円の資金を調達しました。これにより、手元流動性は改善し、当面の事業運営に必要な資金を確保しております。 しかし、当連結会計年度の業績動向を踏まえ、当社グループが保有する固定資産について将来の回収可能性を検討した結果、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当連結会計年度において1,066,796千円の減損損失を計上しました。これら会計上の損失計上により、当連結会計年度の連結損益計算書においては多額の損失を計上しました。 以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は516,552千円(前期比42.8%減)、営業損失は1,360,496千円(前期は976,294千円の営業損失)、経常損失は1,341,129千円(前期は989,231千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は2,415,745千円(前期は2,306,367千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。 また、当連結会計年度の製品種類別売上高は、種結晶が117,197千円(前期比78.0%減)、基板及びウエハは349,489千円(前期比6.0%増)、光学部品及びヒートシンクは17,333千円(前期比18.0%増)、工具素材は10,088千円(前期比61.4%減)、原石は367千円(前期はなし)、宝石は22,075千円(前期は355千円)となりました。 なお、当社グループはダイヤモンド単結晶の製造、販売、開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 ②財政状態の状況 (資産) 当連結会計年度末における流動資産は1,924,417千円となり、前連結会計年度と比べ797,472千円減少しました。その主な要因は、現金及び預金が616,584千円、商品及び製品が83,098千円、仕掛品が60,316千円減少したことであります。固定資産は585,948千円となり、前連結会計年度と比べ1,069,928千円減少しました。その主な要因は、有形固定資産が1,014,162千円減少したことであります。 この結果、総資産は2,510,365千円となり、前連結会計年度と比べ1,867,400千円減少しました。 (負債) 当連結会計年度末における流動負債は321,526千円となり、前連結会計年度と比べ32,474千円減少しました。その主な要因は、1年内返済予定の長期借入金が19,960千円、その他流動負債が26,700千円減少したことであります。固定負債は479,136千円となり、前連結会計年度と比べ125,759千円減少しました。その主な要因は、長期借入金が135,740千円減少したことであります。 この結果、負債合計は800,663千円となり、前連結会計年度と比べ158,234千円減少しました。 (純資産) 当連結会計年度末における純資産合計は1,709,702千円となり、前連結会計年度と比べ1,709,166千円減少しました。その主な要因は、資本金が358,727千円、資本剰余金が358,727千円増加したものの、利益剰余金が2,415,745千円減少したことであります。 ③キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は825,326千円となり、前連結会計年度と比べ616,584千円減少しました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります (営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における営業活動の結果使用した資金は968,711千円(前期は516,715千円の使用)となりました。主な獲得要因として減価償却費が202,023千円、減損損失が1,066,796千円あったものの、主な使用要因として税金等調整前当期純損失が2,408,556千円あったこと等によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は225,849千円(前期は77,962千円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が201,666千円、無形固定資産の取得による支出が23,235千円あったこと等によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における財務活動の結果獲得した資金は542,043千円(前期は1,249,065千円の獲得)となりました。これは主に新株予約権の行使による株式の発行による収入が703,080千円あったものの、長期借入金の返済による支出が155,700千円あったこと等によるものであります。 ④生産、受注及び販売の実績 a.生産実績 当社グループはダイヤモンド単結晶の製造、販売、開発事業の単一セグメントであります。当連結会計年度における生産実績は以下のとおりであります。 生産高   当連結会計年度 (自2025年4月1日 至2026年3月31日)   前年同期比(%) 生産高合計(千円)   934,635   109.1% (注)1.金額は製造原価によっております。 2.当社グループの売上高及び生産高は、ダイヤモンド単結晶の製造のための設備の規模(生産能力)に依存します。なお、最近2連結会計年度の当社の生産能力(カラットベース)は、以下のとおりであります。 前連結会計年度 (自2024年4月1日 至2025年3月31日)   当連結会計年度 (自2025年4月1日 至2026年3月31日) (カラット)   (カラット) 生産能力   210,000   210,000 b.受注実績 当社グループはダイヤモンド単結晶の製造、販売、開発事業の単一セグメントであります。当連結会計年度における製品種類別の受注実績は以下のとおりであります。 製品種類   当連結会計年度 (自2025年4月1日至2026年3月31日) 受注高(千円)   前年同期比(%)   受注残高(千円)   前年同期比(%) 種結晶   386,512   74.8   280,029   3,326.8 基板及びウエハ   361,558   116.6   17,279   246.7 光学部品及びヒートシンク   16,682   170.5   1,440   230.4 工具素材   41,374   153.8   274   22.6 宝石   3,546   997.9   -   - 原石   367   -   -   - 合計   810,041   93.8   299,023   1,732.7 c.販売実績 当社グループはダイヤモンド単結晶の製造、販売、開発事業の単一セグメントであります。当連結会計年度における製品種類別の販売実績は、以下のとおりであります。 製品種類   当連結会計年度 (自2025年4月1日 至2026年3月31日)   前年同期比(%) 種結晶(千円)(注)2.   117,197   22.0 基板及びウエハ(千円)   349,489   106.0 光学部品及びヒートシンク(千円)   17,333   118.0 工具素材(千円)   10,088   38.6 原石(千円)   367   - 宝石(千円)   22,075   6,211.9 合計(千円)   516,552   57.2 (注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。 相手先   前連結会計年度 (自2024年4月1日 至2025年3月31日)   当連結会計年度 (自2025年4月1日 至2026年3月31日) 金額(千円)   割合(%)   金額(千円)   割合(%) 本田技研工業   113,197   12.5   140,904   27.3 FUTURE DIAMONDS(Greenlab)   -   -   56,091   10.9 2.当社グループは、大型のダイヤモンド単結晶を大量に製造することができますが、当社グループの主要な製品である種結晶について、人工宝石市場における種結晶の大型化のニーズが増大しております。なお、最近2連結会計年度におけるサイズ別の種結晶の出荷割合(出荷個数ベース)は以下のとおりであります。 種結晶サイズ   前連結会計年度 (自2024年4月1日  至2025年3月31日)   当連結会計年度 (自2025年4月1日 至2026年3月31日) 割合(%)   割合(%) 7x7mm以下   0.4   47.6 8x8~9x9mm   26.3   4.9 10x10mm~11x11mm   38.2   - 12x12mm   8.6   10.7 13x13mm   10.1   10.2 14x14mm   10.3   9.8 15x15mm   6.1   16.8 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 ①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。 また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 ②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。 a.経営成績に重要な影響を与える要因 当社グループの事業に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2 事業の状況3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 b.資本の財源及び資金の流動性 当社グループの資金需要のうち主なものは、ダイヤモンド単結晶の製造のための設備投資、研究開発費、人件費等の営業費用であります。 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。 当社グループは、日常の運転資金については自己資金で賄い、自己資金では賄えない設備投資資金等については金融機関からの長期借入で賄うとともに、資本での調達を検討することとしております。 なお、当連結会計年度末における借入金の残高は470,180千円であり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は825,326千円であります。 c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための成長性を判断する客観的な指標として、①売上高成長率、②経常利益率、③ROE、④自己資本比率を重視しております。 ①当連結会計年度における売上高成長率は、△42.7%となっております。 売上高成長率は、当社グループの成長性や事業進捗のペースを表す指標として、重視しております。 当社グループの事業進捗において、設備投資及び研究開発活動が重要ですが、設備投資及び研究開発活動の結果が売上高に結びつくことが必要であるため、売上高成長率の確保に努めてまいります。 ②当連結会計年度における経常利益率は、△259.6%となっております。 経常利益率は、当社グループの売上高に対する収益性を表す指標として、重視しております。 当社グループの事業進捗及び競争優位性の確保にとって、設備投資及び研究開発活動が重要ですが、そのための長期的な資金として自己資金を継続的に確保することが必要であるため、一定の経常利益率の確保に努めてまいります。 ③当連結会計年度におけるROEは、△94.3%となっております。 ROEは、当社グループの投下資本に対する収益性を表す指標として、重視しております。 また、研究開発活動により、ダイヤモンド単結晶の新たな用途を開拓することにより事業領域の拡大を図ってまいります。具体的には、大型単結晶の開発、ダイヤモンド半導体デバイス開発に必要な素材の開発や光学部品として必要な高品質結晶の開発を推進してまいります。 ④当連結会計年度の自己資本比率は、68.1%となっております。 当社グループの事業進捗にとって設備投資は重要ですが、財務の健全性を保つためには、自己資本比率を50%以上に保ちたいと考えております。過度な借入を行うことがないよう、キャッシュ・フローにも注意を払っております。

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開示資料

出典

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