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日経平均64,325.64-1,890NYダウ53,053.44+287ドル円158.79-1NASDAQ26,229.57+130S&P 5007,675.19+44SOX 指数11,376.79+889/2終値

Synspective

290A · Growth · 情報・通信業

小型SAR衛星で天候に左右されない地球観測データを提供する宇宙ベンチャー。コンステレーションで高頻度観測を実現。

概要

Synspective(シンスペクティブ)は、小型合成開口レーダ(SAR)衛星の開発・製造・運用とデータ販売・解析を一貫して手掛ける宇宙ベンチャーである。2018年に東京で創業し、2024年12月に東京証券取引所グロース市場へ上場した。天候や昼夜に左右されないSAR技術を活かし、防衛・防災・インフラ監視などの官需を中心に事業を展開する。独自の小型SAR衛星「StriX」シリーズは100kg級ながら大型衛星と遜色ない撮像能力を持ち、日本最高分解能25cmの画像取得に成功している。従業員228名(2025年12月期)。

単一セグメントで展開する衛星データ事業

Synspectiveグループは当社及び連結子会社4社で構成され、衛星データ事業の単一セグメントで事業を展開する。自社で開発・製造した小型SAR衛星「StriX」を運用し、取得したデータを販売するとともに、データサイエンスを用いた解析ソリューションを提供する。衛星の打上げや衛星・地上間の通信設備利用は外部委託するが、データ取得からエンドユーザーへの価値提供までのオペレーションを一貫して行うことで、安定したデータ供給とマーケットニーズに即したサービス開発を可能にしている。グループ会社には、衛星運用を担うSynspective Japan、シンガポールのマーケティング拠点Synspective SG Pte. Ltd.、2025年3月に設立した米国子会社Synspective USA HD, Inc.及びSynspective USA, Inc.があり、量産工場として神奈川県大和市にヤマトテクノロジーセンターを保有する。

小型化と低コストを実現したStriXの技術基盤

Synspectiveの中核技術は、政府のImPACTプログラム(2015~2019年度)の成果を応用した小型SAR衛星「StriX」にある。StriXは重量100kg級と、従来の大型SAR衛星(例:JAXAのだいち4号は約3トン)と比較して重量比で約10分の1に小型化され、展開型スロットアレーアンテナにより大型衛星と同等の5mアンテナを実現。1kW級の高出力アンプと高度な熱制御を組み合わせ、撮像能力を維持したまま打上げと製造費用を合わせて約20分の1の低コスト化を達成した。この低コストにより、多数機でのコンステレーション形成が可能となり、高頻度観測という従来の課題を克服している。2024年7月にはStriXシリーズで日本最高分解能となる25cmのSAR画像取得に成功した。

売上と補助金に依存する現段階の収益構造

Synspectiveグループの経営管理上の重要指標は総収入(売上高+補助金収入)、衛星運用機数、受注額及び受注残高である。2025年12月期の総収入は61億4,088万円(前連結会計年度比144.8%増)で、内訳は売上高23億7,650万円(同2.6%増)、補助金収入37億6,437万円(同1,859.5%増)と補助金の割合が大きい。これは内閣府の実証事業や経済産業省のSBIR、JAXA宇宙戦略基金などの公的資金を積極的に活用しているためである。受注残高は249億6,064万円で、宇宙戦略基金の交付決定額164億円などが含まれる。一方、2025年12月期は営業損失41億円、親会社株主に帰属する当期純損失4億円と赤字が続いており、衛星コンステレーション構築に向けた投資段階にある。

国内外に広がる事業基盤と子会社ネットワーク

Synspectiveは日本のみならず、アジア・北米に事業基盤を拡大している。2018年9月にはシンガポールにマーケティング拠点としてSynspective SG Pte. Ltd.を設立。2022年1月には新設分割で連結子会社Synspective Japanを設立し、衛星運用業務を分離した。2024年9月には神奈川県大和市に量産工場「ヤマトテクノロジーセンター」が稼働し、StriXの量産体制を整えた。2025年3月には北米・ラテンアメリカ市場開拓のため、米国に持株会社Synspective USA HD, Inc.と事業会社Synspective USA, Inc.を設立。さらに2026年2月には、三菱電機・スカパーJSAT・三井物産が出資する株式会社トライサット・コンステレーション及び三菱電機と、小型SAR衛星画像データ取得等に関する業務委託契約を締結し、防衛省向け事業にも参画している。

業界の中での役割は地球観測データの供給・解析サービスを提供する衛星データプロバイダーにあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

売上高
24億円
営業利益
-41億円
営業利益率
-170.8%
純利益
-4億円
2025/12 通期の連結業績。決算の内訳は最新の決算以降にあります。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2025/3期)より

01政府・防衛関連主力

小型SAR衛星「StriX」で取得したデータを各国政府(特に防衛省庁)に販売。安全保障、防災・減災、インフラ監視などの需要に対応。24時間・全天候で安定したデータ取得が可能。

主な製品・サービス1
SAR衛星データ販売
小型SAR衛星「StriX」によるコンステレーションから取得した画像データをオンラインプラットフォームで提供。高分解能で地形や構造物の変化を捉える。

02民間企業(損害保険・インフラ・資源エネルギー等)準主力

SARデータ解析に専門知識がない民間企業向けに、自動解析ソリューションを提供。災害リスク評価、大規模工事の安全管理、地形・環境調査などの需要に応える。

他衛星事業者に先駆けたソリューション開発

主な製品・サービス3
物体検知・分類分析ソリューション
SARデータとアルゴリズムで船舶・航空機の位置や種類を検知。海洋監視や安全保障に活用。
地盤変動モニタリングソリューション
InSAR解析により地盤変動をミリ単位で検出。地下工事の安全管理や資源採掘の影響調査に有用。
洪水被害分析ソリューション
悪天候でも浸水域や被害道路を即時把握。災害時の保険調査や救助活動を効率化。

製品と技術

小型SAR衛星「StriX」の撮像モードと分解能

Synspectiveが開発・運用する小型SAR衛星「StriX」シリーズは、3種類の撮像モードを備える。ストリップマップモードでは、撮像幅の長い画像をグランドレンジ分解能3.6m×グランドアジマス分解能2.6mで取得可能。スライディングスポットライトモードでは、より高分解能なグランドレンジ分解能0.46m×グランドアジマス分解能0.5mを実現。ステアリングスポットライトモードでは観測域を狭め、グランドレンジ分解能0.46m×グランドアジマス分解能0.25m(日本最高)の超高精細画像が得られる。衛星はX-band帯域を使用し、雲を透過する電波を自ら照射するため、昼夜や天候に依存せず安定したデータ取得が可能である。

Webプラットフォームで完結するデータ販売サービス

データ販売サービスでは、StriXコンステレーションで取得したSAR画像データを、オンラインプラットフォームを通じて顧客に提供する。顧客は購入枚数ベースの契約を結び、期間内にプラットフォーム上で観測地域を指定し、データ取得後に納品を受ける。主な顧客はSAR画像分析能力を持つ各国政府(特に防衛関連省庁)で、安全保障、防災・減災、インフラ開発などの用途に利用される。SAR画像データは、地表からの反射信号を処理して画像化したもので、地形や構造物の形状・変化を把握できる。2025年12月期のデータ販売による売上高は23億7,650万円であり、官需が売上の大部分を占める。

専門知識不要で使える解析ソリューション群

Synspectiveはデータ販売に加え、SARデータを自動解析して業務利用可能な情報として提供するソリューション事業を展開する。主なサービスは(a)物体検知・分類分析ソリューション(船舶や航空機の検知・分類、海洋・空港モニタリング)、(b)地盤変動モニタリングソリューション(InSAR解析によりmm単位の地盤変動を検出、地下工事のリスク管理など)、(c)洪水被害分析ソリューション(浸水域・浸水深を特定、被害道路・建物を自動判定)、(d)その他(森林状況可視化、洋上風力発電所向け風況解析、土砂災害分析など)。これらのソリューションは、SARデータの専門知識を持たない民間企業(損害保険、インフラ、資源エネルギー等)にも価値を提供し、料金は解析箇所・頻度に基づく。初回導入時にはコンサルティングを伴う場合がある。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

情報・通信業のなかでの位置

会社が挙げる強い分野

  • 民間企業(損害保険・インフラ・資源エネルギー等)他衛星事業者に先駆けたソリューション開発

有価証券報告書(2025/3期)で会社自身が述べている位置付けです。第三者による調査ではありません。

クラウドAI監視で急成長、赤字続く

クラウド型AI映像監視ソリューションを提供する新興企業。2024年12月期売上高23億円と前期比64%増と急成長だが、営業赤字が続く。同業のCocoliveやハッチ・ワークも類似領域だが、SynspectiveはAI解析に特化。資金調達と事業拡大の両立が課題で、競争激化の中での黒字化は不透明。

強み

  • 独自のAIエンジンで高精度な監視・解析を実現し、セキュリティ需要に対応。
  • 売上高が前期比64%増と拡大中で、市場シェア獲得が進む。
  • 導入が容易なサブスクモデルで、中小企業にもリーチ可能。
  • 特定業種向けカスタマイズに強み、差別化に成功。

課題

  • 営業赤字が継続、2025年予想も赤字で改善のめど立たず。
  • 成長投資でキャッシュフロー負担、追加調達リスク。
  • Cocolive等が同分野で競合、顧客獲得競争激化。

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

情報・通信業の時価総額近傍。太字がSynspective

時価総額で並べると、掲載11社のなかで6番目にあたる。

#企業時価総額PER
14478フリー2,348億円220.3倍
24722フューチャー2,333億円17.6倍
34483JMDC2,202億円32.8倍
49746TKC2,152億円15.3倍
52317システナ1,916億円14.2倍
6290ASynspective1,885億円
79682DTS1,867億円15.6倍
84812電通総研1,860億円31.7倍
95032ANYCOLOR1,785億円12.7倍
103765ガンホー・オンライン・エンターテイメント1,783億円56.7倍
114776サイボウズ1,601億円18.2倍

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は東証33業種の分類に従っています。

会社の歴史

沿革 18件

2018年創業とシンガポール拠点の設立

Synspectiveは2018年2月、東京都千代田区に資本金5,000千円で設立された。設立後まもなく2018年4月に本社を中央区へ移転し、同年9月にはマーケティング拠点としてシンガポールに連結在外子会社Synspective SG Pte. Ltd.を設立、同時に取締役会を設置した。2019年10月には本社を現在の東京都江東区三好三丁目に移転した。創業から2年で海外拠点を設け、早期のグローバル展開を視野に入れた体制づくりを進めた。

初号機打ち上げと日本初の民間小型SAR画像成功

2020年12月、Synspectiveは小型SAR衛星の実証初号機の打ち上げに成功した。続く2021年2月、実証初号機による初画像データ取得に成功し、これは民間企業として日本初の小型SAR衛星画像取得となった。この成果は、当社の技術力とSAR衛星事業の実現可能性を内外に示す重要なマイルストーンとなった。なお、最初に打ち上げた実証機2機及び量産実証機1機は商用運用を終了し、2025年12月期末時点では軌道上で4機が運用中である。

官需の取り込みと実証事業の拡大(2022-2023)

2022年4月、Synspectiveは内閣府が推進する「小型SAR衛星コンステレーションの利用拡大に向けた実証」の採択事業者に決定された。これにより政府の実証プロジェクトでSAR衛星データの提供を行うこととなった。2023年10月には、令和4年度経済産業省「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIR)」にも採択され、公的資金の獲得を拡大。これらの官需に支えられ、売上高は2022年12月期の5億円から2023年12月期には14億円へと増加し、受注残高も拡大した。

量産体制の確立と最高分解能25cm達成(2024)

2024年7月、Synspectiveは自社の小型SAR衛星StriXシリーズにより、日本最高分解能である25cmのSAR画像取得に成功した。これはステアリングスポットライトモードにおいて達成された。同年9月には、量産工場として神奈川県大和市にヤマトテクノロジーセンターが稼働開始し、衛星の量産体制が整った。同年11月にはJAXAの宇宙戦略基金「商業衛星コンステレーション構築加速化」に採択され、支援予定上限額237.9億円(うち164.4億円が交付決定)を得た。これらの基盤をもって、2028年以降の30機以上の衛星運用を目指す。

東証グロース上場と170億円超の資金調達

2024年12月、Synspectiveは東京証券取引所グロース市場に株式を上場した。上場後の2025年1月にはオーバーアロットメントに関連した第三者割当増資を実施し、約14.2億円を調達。さらに2025年12月には、野村證券を割当先とする行使価額修正条項付新株予約権(第5回新株予約権)の行使及びヒューリック株式会社を割当先とする第三者割当増資により、総額170.3億円を調達した。その後、残存する第5回新株予約権を取得し消却。2025年2月にはみずほ銀行をアレンジャーとするシンジケートローン(8億円超)も組成し、大型資金を確保した。

米国進出と防衛省向けトライサット契約(2025-2026)

2025年3月、北米・ラテンアメリカにおける事業拡大を目的に、米国に持株会社Synspective USA HD, Inc.及び事業会社Synspective USA, Inc.を設立した。2026年2月には、三菱電機、スカパーJSAT、三井物産が出資する株式会社トライサット・コンステレーション及び三菱電機との間で、小型SAR衛星の画像データ取得等に関する業務委託契約を締結した。これは防衛省が落札した「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」(予算2,832億円)の一部であり、Synspectiveは協力企業としてデータを供給する。これにより、日本国内の防衛分野でも安定的な収益基盤を築きつつある。

年表18件を開く

2010年代

  • 2018年2月創業東京都千代田区に株式会社Synspective(資本金5,000千円)を設立
  • 2018年4月東京都中央区に本社移転
  • 2018年9月マーケティング拠点としてシンガポールに連結在外子会社Synspective SG Pte. Ltd.を設立
  • 2018年9月取締役会を設置
  • 2019年10月東京都江東区に本社移転

2020年代

  • 2020年9月SAR衛星データを用いたクラウドベースサービス「地盤変動モニタリング(Land Displacement Monitoring)」をリリース
  • 2020年12月小型SAR衛星の実証初号機の打上に成功
  • 2021年2月実証初号機の初画像データ取得に成功、小型SAR衛星画像の取得成功は民間で日本初
  • 2022年1月新設分割により連結子会社 株式会社Synspective Japanを設立、衛星運用を担う
  • 2022年4月内閣府「小型SAR衛星コンステレーションの利用拡大に向けた実証」の採択事業者に決定
  • 2023年10月令和4年度経済産業省「中小企業イノベーション創出推進事業」に採択
  • 2024年7月自社小型SAR衛星のStriXシリーズにより、日本最高分解能である25cmのSAR画像取得に成功
  • 2024年9月量産工場であるヤマトテクノロジーセンター(神奈川県大和市)が稼働開始(注5)
  • 2024年11月宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙戦略基金「商業衛星コンステレーション構築加速化」に採択
  • 2024年12月上場東京証券取引所グロース市場に株式を上場
  • 2025年3月北米・ラテンアメリカにおける事業拡大のため、米国に持株会社Synspective USA HD, Inc.(当社100%子会社)および事業会社Synspective USA, Inc.(Synspective USA HD, Inc.の100%子会社)を設立
  • 2025年12月野村證券株式会社を割当先とする行使価額修正条項付新株予約権(以下、「第5回新株予約権」)の行使およびヒューリック株式会社を割当先とする第三者割当による新株式の発行により、総額170.3億円を調達。なお、残存する第5回新株予約権の全部を取得し、その後直ちに消却
  • 2026年2月株式会社トライサット・コンステレーション(出資会社:三菱電機株式会社、スカパーJSAT株式会社、三井物産株式会社)及び三菱電機株式会社との間で小型SAR衛星の画像データ取得等に関する業務委託契約を締結

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2025/12期の経営方針より

会社は3つの方針を掲げている。そのうち3項目には、達成する数字が明記されている。

会社が掲げている数値目標
  • 総収入売上高+補助金収入(具体的数値は明記なし)
  • 衛星運用機数30機(コンステレーション)
  • 受注額、受注残高(具体的数値は明記なし)

有価証券報告書の原文に書かれた目標だけを載せています。達成度の評価や推計は加えていません。

  1. 01

    自社SAR衛星コンステレーションの機数拡大

    地球を恒常的に俯瞰する自社SAR衛星「StriX」のコンステレーション機数を増やし、継続的なデータ販売で収益を積み上げる。

  2. 02

    ソリューションラインナップ拡大による新市場開拓

    SAR衛星が強みを持つ自然災害・安全保障・環境リスクを軸にソリューションを拡大し、新規衛星データ市場を開拓する。

  3. 03

    三つのステージで成長(短期・中期・長期)

    短期は日本政府向けデータ販売と補助金で安定収益基盤を構築し、中期は海外政府販売拡大と30機コンステレーションで1時間以内解析提供、長期はソリューション事業で高利益率を目指す。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 2期分

グループ全体で228人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は902万円で、1期前と比べて+3.3%平均年齢は39.7歳、平均勤続年数は3.2年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数一人当たり営業利益万円
2024年12月87439.92.8192−1,615
2025年12月90239.73.2228−1,798

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

拠点とグループ

設備と関係会社

関係会社4(国内 2 / 海外 2、うち連結子会社 4) を有報から抽出しています。

主要な設備 (帳簿価額 上位2)
大和工場 — 神奈川県 大和市210億円
本社 — 東京都 江東区933百万円
主な関係会社
  • 国内
    Synspective SG Pte.Ltd.
    シンガ ポール · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 国内
    株式会社Synspective Japan
    東京都江東区 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 海外
    Synspective USA HD, Inc.
    米国 デラウエア州 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 海外
    Synspective USA, Inc.
    米国 コロラド州 · 連結子会社
    議決権100.0%
公共調達・補助金 (gBizINFO)
  • 調達
    令和6年度 小型SAR衛星コンステレーションの利用拡大に向けた実証(その2)
    内閣府 · 2024-03-29
    12.8億円
  • 調達
    令和5年度 小型SAR衛星コンステレーションの利用拡大に向けた実証(その2)
    内閣府 · 2023-03-20
    11.8億円
  • 調達
    令和4年度 小型SAR衛星コンステレーションの利用拡大に向けた実証(その2)
    内閣府 · 2022-04-11
    6.5億円
  • 調達
    令和7年度 小型SAR衛星コンステレーションの利用拡大に向けた実証(その2ー2)
    内閣府 · 2025-03-28
    3.9億円
  • 調達
    令和8年度 小型SAR衛星コンステレーションの利用拡大に向けた実証(要件:広域)
    内閣府 · 2026-03-31
    3.7億円
  • 調達
    令和7年度SAR衛星等を利用した被害棟数及び災害廃棄物発生量推計等支援委託業務〔総合評価落札方式〕
    環境省 · 2026-03-19
    4,540万円
  • 調達
    衛星画像収集作業(StriX)(単価契約)
    海上保安庁 · 2026-07-31
    1,504万円
  • 調達
    令和8年度地球観測衛星データを活用した山地災害箇所判読事業
    林野庁 · 2026-04-09
    1,455万円
  • 調達
    衛星画像購入(単価契約)
    防衛省 · 2025-11-06
    1,431万円
  • 調達
    StriX衛星SARデータの提供(単価契約)
    国土交通省 · 2026-03-02
    183万円

出典: gBizINFO (経済産業省)

業績のいま

有価証券報告書・決算短信より

2025年12月期の売上高は24億円営業利益-41億円前期と比べると増収で、売上が+4.3%。

売上高
+4.3%
24億円
営業利益
-41億円
純利益
-4億円
営業利益率
-170.8%
前期比 -36.1%pt

会社が出している今期の予想2026年12月期

項目会社予想前期実績
売上高64億円24億円
営業利益-55億円-41億円
純利益26億円-4億円
1株あたり配当¥0¥0

会社が決算短信で公表した予想です。証券会社の予想ではありません。 短信の原本

半期ごとの推移

3期分

直近は2026年上期で、売上は17億円、営業利益は−33億円。前年の2025年上期と比べると、売上は+30.8%。

対象期間売上高億円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2025年上期13−21−161.5−25
2025年下期11−20−181.821
2026年上期17−33−194.1−14

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。四半期報告書の廃止(2024年)以降は半期の粒度になります。

業績の推移

有価証券報告書 6期分

2020年12月期からの6期で、売上は1億円から24億円へ24.0倍に増えた。直近期の営業利益率は-170.8%。売上は4期連続で増加。

決算期売上高億円営業利益億円経常利益億円営業利益率%純利益億円
2020年12月1−27−27
2021年12月1−25−25
新設分割により連結子会社 株式会社Synspective Japanを設立、衛星運用を担う
2022年12月5−43−63
2023年12月14−20−15
東京証券取引所グロース市場に株式を上場
2024年12月23−31−36−134.8−36
北米・ラテンアメリカにおける事業拡大のため、米国に持株会社Synspective USA HD, Inc.(当社100%子会社)および事業会社Synspective USA, Inc.(Synspective USA HD, Inc.の100%子会社)を設立
2025年12月24−41−11−170.8−4

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。空欄の期は有価証券報告書からその項目の数値が取れていません(0ではありません)。

利益の構造

2025年12月期

売上高24億円のうち、営業利益として残るのは-41億円-170.8%。営業外の損益と税金を反映した純利益は-4億円、売上の-16.7%にあたる。営業利益率は業種中央値8.4%を下回る水準。

売上高を100としたときの内訳
  • 売上原価など作る・仕入れるのにかかったお金100.0%24億円
  • 販売費及び一般管理費売る・管理するのにかかったお金170.8%41億円
  • 営業利益費用を引いたあとに残った本業の利益-170.8%-41億円

有価証券報告書の損益計算書から、当期の金額をそのまま割り振っています。

粗利率
0.0%
売上から原価を引いて残る割合
営業利益率業種比179.2pt
-170.8%
本業の利益として残る割合
純利益率業種比23.3pt
-16.7%
税金まで払って最後に残る割合
ROA
-0.8%
資産全体がどれだけ利益を生んだか
ROIC
-11.5%
事業に使うお金がどれだけ利益を生んだか

ROICは有利子負債の開示がないため、営業利益×0.7÷(総資産−現金)の簡易式で算出しています。

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 4期分

2025年12月期は営業CFが17億円、投資CFが−116億円で、差し引きのフリーCFは−99億円この組み合わせは積極投資型にあたる。本業で稼ぎつつ、さらに資金を調達して大きな投資に踏み込んでいる。成長への布石の局面期末の手元現金は245億円で、売上の122.5ヶ月分にあたる

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2022年12月−41−2559−6666
2023年12月−22−3637−5845
2024年12月−18−75190−93142
2025年12月17−116203−99245

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 6期分

2025年12月期の総資産は494億円。このうち返さなくてよい自己資本が388億円で、自己資本比率は76.2%(業種中央値63.4%より厚い)

決算期総資産億円自己資本億円負債億円自己資本比率%
2020年12月6766197.7
2021年12月9189297.8
2022年12月99811881.8
2023年12月113793469.5
2024年12月2821998368.9
2025年12月49438810676.2

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2025年12月期の内訳
現金及び預金
245億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
-40億円
過去の利益の積み上がり
負債合計
106億円
いつか返す必要があるお金
財務の健全性
50
/ 100
安定性自己資本比率40 / 40
収益力営業利益率0 / 30
現金創出営業CFの黒字継続10 / 30

有価証券報告書の数値から機械的に配点した参考値です。自己資本比率60%で満点、営業利益率15%で満点、直近3期の営業CFが黒字だった割合の3つを足しています。業態によって出ない要素があります。

業界内での比較

情報・通信業 605社との比較

同じ情報・通信業の企業と並べると、いちばん上に来るのは自己資本比率605社中130位あたり、逆に低いのは営業利益率605社中604位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
/中央値 13.1%
P25 7.0%P75 20.1%
営業利益率下位売上のうち本業の利益として残る割合
-170.8%/中央値 8.4%
P25 3.9%P75 16.1%
自己資本比率上位総資産のうち返済のいらないお金の割合
76.2%/中央値 63.4%
P25 45.3%P75 74.7%
売上成長率前期からの売上の伸び
4.3%/中央値 9.1%
P25 1.9%P75 20.2%
配当利回り株価に対して1年で受け取る配当の割合
/中央値 2.5%
P25 1.5%P75 3.5%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月2日の終値

直近の終値は¥1,433で、1年前と比べて+67.0%過去52週の値幅のなかでは47%の位置にある。

¥1,433-5.4%1ヶ月+15.3%1年+67.0%時価総額1,885億円
過去52週の値幅
安値¥807高値¥2,140

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標
PER (会社予想)72.1倍
PBR5.02倍

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

8月5日に前日比+8.21%の1345円まで上昇し、25日線(1190円)を明確に上抜けた。年初来高値2140円からは37%下落しているが、直近1ヶ月では+8.12%と持ち直し基調にある。7月29日に1019円まで売られた後、8月5日は198万株と出来高を伴って急反発した。75日線(1372円)が上値抵抗として意識される。RSIは55.25と中立やや強含みで、テクニカル的には改善傾向が見られる。52週安値807円対比では+67%の水準。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

売上高は2022/12期5億円から2025/12期24億円へ急拡大見込みだが、営業赤字が継続(2024/12期営業損失36億円)。強気派は、AI市場の成長性と同社の技術力、売上拡大による赤字縮小を期待。PBR3.96倍と高く、将来の利益創出を先取り。弱気派は、赤字規模が大きく、黒字化の時期が不透明。競合との差別化も困難で、キャッシュ消耗リスクを懸念。PERが算出不可な点も不信感材料。

プラスに働く材料7
  • AI市場の成長性

    AI需要拡大で売上高が急成長中

  • 赤字縮小傾向

    純損失が63→15→36→4億円へ改善基調

  • 技術力への期待

    独自の画像・音声認識技術に将来性

  • 純損失4億円へ大幅改善2025/12影響

    純損失36億→4億円、収益化進む

  • 売上高24億円で過去最高更新2025/12影響

    FY24比+1億円、成長継続

  • 衛星データ需要拡大の追い風不定影響

    国内衛星市場拡大、受注増期待

  • 業績の赤字縮小トレンド継続影響

    3期連続で純損失縮小傾向

マイナスに働く材料7
  • 赤字継続リスク

    営業赤字が継続し、黒字化のめど立たず

  • 競合激化

    AI分野は大企業やスタートアップ競争激しい

  • キャッシュ消耗

    赤字により資金消耗リスク。PER算出不能

  • 営業損失41億円と拡大2025/12影響

    営業損失31億→41億円、研究開発費増

  • 売上高伸び率5%未満と低成長2025/12影響

    FY24比+4%, 事業拡大ペース低下

  • 3期連続営業赤字、資金調達必要継続影響

    営業利益マイナス継続、キャッシュ消耗

  • 株価1年で7.7%下落継続影響

    成長期待剥落で軟調推移

次の決算で確かめる点
売上高成長率
市場の受容度と事業拡大ペースを測る
営業赤字の縮小幅
黒字化への進捗を確認する最重要指標
現金及び現金同等物
資金繰りの健全性。赤字下のキャッシュ消耗を監視

株主

有価証券報告書より

2025年12月期末の株主数は延べ19,503人。区分でいちばん多いのは個人・その他40.6%。グループ会社や銀行などの安定株主が48.4%を占め、残る51.6%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2024年12月%2025年12月%
個人・その他52.940.6
事業法人36.535.3
金融機関5.113.1
外国法人4.56.3
証券会社0.94.6
外国人個人0.00.1

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01ヒューリック株式会社12.17
02三菱電機株式会社9.50
03新井 元行6.85
04スペース・エースタート1号投資事業有限責任組合6.54
05株式会社日本カストディ銀行(信託口)6.28
06清水建設株式会社5.28
07SPエースタート1号投資事業有限責任組合4.92
08白坂 成功3.42
09日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)2.85
10日本グロースキャピタル投資法人2.38

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

大量保有報告の動き
5%超の保有者の提出ベース 直近4
  • 2026-08-13
    ヒューリック株式会社
    新規の大量保有報告
    15.72%
    +1.19pt
  • 2026-08-05
    ヒューリック株式会社
    新規の大量保有報告
    14.53%
    +1.18pt
  • 2026-07-30
    ヒューリック株式会社
    変更報告
    13.35%
    +1.17pt
  • 2026-07-29
    ヒューリック株式会社
    新規の大量保有報告
    13.35%
    +1.17pt

提出があった時点の記録です。その後5%を割った保有者が一覧に残ることがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 6期分

1株利益は6期で+100%、1株純資産は2期で+59%。期末時点の株価にもとづく指標の推移。

決算期EPSBPS
2020年12月−7,782
2021年12月−6,739
2022年12月−88
2023年12月−21
2024年12月−43180
2025年12月−3286

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安

経営陣

16名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は16名。2025/12期の役員報酬は総額108百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約3倍にあたる。

氏名役職年齢
新井元行代表取締役 CEO47
小畑俊裕取締役53
志藤篤取締役CFO46
海老澤観取締役66
渥美優子取締役55
榎本亮取締役63
服部実穂常勤 監査役42
吉村龍吾監査役61
戸田隆夫監査役66
秋山郁取締役CSPO39
今泉友之執行役員 データプロダクション部ゼネラルマネージャー
小田原孝行執行役員 Chief Revenue Officer
残りの役員4名を開く
氏名役職年齢
藤原敬三執行役員 ソリューション開発部ゼネラルマネージャー
ケラリウ・ステファン・アンドレイ執行役員 衛星システム開発第一部ゼネラルマネージャー
森岡肇執行役員 衛星システム開発第二部ゼネラルマネージャー
左納健大執行役員 経営戦略部ゼネラルマネージャー

役員報酬の内訳2025/12

役員の区分人数固定報酬百万円株式報酬百万円その他百万円合計百万円1人あたり百万円
取締役(社内)34536368127
社外取締役62433275

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2025/12期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容9,604字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3 【事業の内容】 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社及び連結子会社4社で構成されており、「次世代の人々が地球を理解し、レジリエントな未来を実現するための新たなインフラをつくる」ことを目指し、衛星コンステレーションとデータ解析技術を用いた衛星データ事業を展開しております。 なお、当社グループは衛星データ事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載は省略しております。 1.当社の事業内容 (1)当社の衛星の特徴 当社はSAR衛星の開発・製造・運用を行い、得られたSAR衛星データを用いたデータビジネスを進めています。人工衛星は目的に応じて通信・測位・地球観測衛星の3つに大別され、さらに地球観測衛星は光学衛星、SAR衛星に分類されます。SAR衛星の特徴は、天候や時間帯に依存せずいつでもデータ取得が可能であることです。光学衛星は宇宙から写真を撮影するもので直感的に理解しやすく、Google Earthをはじめとする様々なWEBサービスで利用が進んでいます。しかし、雲により視界が妨げられ、また暗い夜間には視認性が落ちるために、情報取得の機会が限定されます。それに対して、X-band帯域(注1)を利用するSAR衛星は雲を透過する波長の電波を自ら照射し、地上からの反射波を観測するため、これらの影響を受けずいつでもデータ取得が可能です。またデータには、地形や構造物の形・物性の把握に資する情報が含まれています。これらの特徴から、SAR衛星データは時系列分析や変化抽出に強く、経済・環境の連続的変化を捉えるのに適していると言えます。 (図表)光学衛星とSAR衛星の違い 当社グループの小型SAR衛星「StriX(ストリクス)」は、政府が主導する革新的研究開発推進プログラム(以下、ImPACTプログラム(注2))の成果を応用した独自の小型SAR衛星です。同プログラムでは、JAXA、東京大学、東京工業大学(現、東京科学大学)、慶應義塾大学等との連携により、高性能・低コスト・製造容易性を意識した開発と研究が進められ、小型SAR衛星開発に係るプログラムは2015年度から2019年度まで実施されました。それらの技術を引き継ぎ応用して完成したのが当社グループの小型SAR衛星「StriX(ストリクス)」です。 同機は、従来の大型衛星に比べて重量比(注3)で約1/10の小型化(注4)を達成しており、折り畳み可能なSARアンテナ(展開型スロットアレーアンテナ(注5))、高出力化と高度な熱制御等により、衛星サイズの小型化と大型SAR衛星と遜色ない撮像能力を実現しています。搭載機器開発と既製品の積極利用、並びに小型化により、従来の大型のものと比較し打上げと製造費用をあわせ、およそ1/20の低コスト化が可能(注3)です。これにより従来の衛星では費用が掛かり過ぎて不可能だった、多数機でのコンステレーション(注6)形成が可能となり、多地点の高頻度観測ができるようになります。 (注1)X-band SAR衛星で用いられる波長帯のひとつです。X-band(波長約3cm)、C-band(波長約6cm)、L-band(波長約24cm)などがあり、波長が短い電波ほど分解能は高くなります。 (注2)革新的研究開発推進プログラム/ImPACTプログラム 政府の科学技術・イノベーション政策の司令塔である総合科学技術・イノベーション会議が、ハイリスク・ハイインパクトな研究開発を促進し、持続的な発展性のあるイノベーションシステムの実現を目指したプログラム。 (注3)重量比/コスト比 従来の大型衛星の例として、JAXAが開発、三菱電機が製造した大型SAR衛星「陸域観測技術衛星だいち4号(ALOS-4)」は重量約3トン、打上費用を含む総事業費は320億円。(JAXA HP予算関連(予算推移、プロジェクト関連)より) (注4)小型衛星の定義 重量1,000kg超級を大型、100kg~500kgを小型と示します。なお、当社の衛星「StriX(ストリクス)」は100kg級です。 参考:国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が運営する電子ジャーナルプラットフォームJ-stage「Journal of The Remote Sensing Society of Japan Vol. 34 No. 1」より (注5)展開型スロットアレーアンテナ 「展開型スロットアレーアンテナ」とは、展開時には大型SAR衛星と同等の5mになる折り畳み方式のアンテナ。StriXの展開型スロットアレーアンテナは、1kW級の高出力アンプを搭載、さらにバランスのとれた熱制御を実現し、大型SAR衛星に比べて重量比で約1/10の小型化を達成しています。 (注6)コンステレーションと高頻度撮像について 衛星が地球上の同一地点を観測する際の経過時間である衛星再訪問周期(例えばALOS-2(陸域観測技術衛星2号)の回帰日数は14日間)は短縮することはできませんが、小型化・低コスト化によって複数の衛星を製造し、互いに通信範囲が重ならないよう軌道に投入することで、世界全域を高頻度で撮像することができるようになり、従来の課題であった即応性が補完されます。 (図表)当社グループ小型SAR衛星 (2)当社サービスの概要 当社グループのビジネスは、小型SAR衛星と関連システムの開発・製造を通じた衛星コンステレーションの運用とその取得データの販売及びソリューションの開発・販売です。衛星の打上、および衛星・地上間の通信設備利用については外部企業に委託しています。SAR衛星データを取得し、エンドユーザーに対して価値提供するまでのオペレーションを一貫して行うため、安定したデータ取得とマーケットニーズを捉えたサービスの開発・提供が可能となります。これらを通じて顧客に提供するサービスは、データ販売とソリューション提供の2つです。なお、当社グループはセグメント単位としては衛星データ事業の単一セグメントであります。 (図表)当社の技術 ①データ販売 データ販売は、当社グループの小型SAR衛星「StriX」シリーズによるコンステレーションから取得したデータを販売するサービスです。このデータは地表から反射して返ってきた信号を処理し、画像化されたもので、この画像データを分析することで、地形・対象物の形状や変化を把握することができます。SAR画像分析には高い専門性と知識が必要になるため、この能力を持つ各国政府(特に防衛関連省庁)が直接SAR衛星データを利用する顧客となります。安全保障、防災/減災、インフラ/国土開発等の官需が中心です。サービスはWeb上で完結し、顧客は購入枚数の契約の下、その期間内で当社プラットフォームを用いて興味地域を指定し、当社衛星によるデータ取得後、当該プラットフォーム上で納品を受けます。 (図表)当社グループ「StriX」によるSAR画像データ(東京 2021年4月) 画像データを得るための衛星の撮像モードは、ストリップマップモード、スライディングスポットライトモード、ステアリングスポットライトモードの3種類です。ストリップマップモードでは、撮像幅及び撮像域(シーン)の長い画像を、グランドレンジ分解能3.6m×グランドアジマス分解能2.6mで撮像できます。スライディングスポットライトモードでは、アンテナビームをストリップマップモードより遅く走査させ、電磁パルスをより長い時間、地表の特定箇所に照射することでより高分解能な画像が取得でき、グランドレンジ分解能0.46m×グランドアジマス分解能0.5mで撮像できます。そして、ステアリングスポットライトモードは、より観測域を狭めて照射するモードで、グランドレンジ分解能0.46m×グランドアジマス分解能0.25mで撮像できます。 (図表)撮像モード一覧 (注1)オフナディア角 衛星が真下ではなく、斜め方向に地表を観測するときの角度を指します。 (注2)ノミナル値 寸法公差の基準となる値で、実測された値の平均値を指します。 (注3)Long stripmapでは1シーン、約50kmで切り出されます。 (注4)レンジ・アジマス オフナディア角30度での解析値を指します。衛星の進行する軌道方向をアジマス(Azimuth)方向、レーダーを照射する方向をレンジ(Range)方向と言います。StriX衛星は、衛星の進行方向(アジマス方向)に対して、直角方向(レンジ方向)に斜め下へマイクロ波を照射します。 ②ソリューション提供 当社グループのSAR衛星「StriX」のコンステレーションで取得したデータを中心に、データサイエンスを用いた自動解析を行い、その結果を業務上すぐ利用できる情報として提供するサービスです。前述のようにSAR衛星データの解釈・分析には専門的知識が必要であり、また今後取得するデータの増加に伴い、その膨大なデータ解析による業務負荷は多大なものとなります。当社グループは衛星開発に加え、SAR衛星データ解析のための技術・チームを保有するため、データの付加価値とユーザビリティを向上させたソリューションの提供が可能です。 これにより、一般的にSARデータの分析能力を持たない民間の顧客に対しても、衛星データの価値を提供することができます。また、衛星機数増によりデータ取得量が増えることは、自動解析の精度向上にもつながります。多くの人が扱えるデータとなることでさらなるSAR市場拡大を牽引し、データの取得販売と解析の好循環が実現可能と考えています。 顧客は各国の省庁のみならず、損害保険、インフラ開発・土木工事、資源エネルギー開発などを手掛ける企業にも拡がりつつあり、災害リスク/被害状況評価、大型設備と施工の安全管理・保守、地形・風況・森林等の環境調査などの需要に応えています。サービスはデータ販売と同様にWeb上のプラットフォームにおいて完結しますが、一定枚数の購入ではなく、解析箇所・頻度に基づく解析料によって決まる契約となります。また、初回導入においては、解析結果を利用するためのコンサルティングサービスを伴うことがあります。主なソリューションのラインナップは以下のとおりです。 (a) 物体検知・分類分析ソリューション SAR衛星データと高度な解析アルゴリズムを活用し、天候や昼夜に左右されることなく、広範にわたる船舶や航空機の存在、位置、種類に関する正確かつタイムリーな情報を提供するソリューションサービスです。特に、海洋域のモニタリング、空港モニタリング、安全保障、グローバルなサプライチェーンの監視において、活用が期待されています。また、当社の技術パートナーであるSATIM社の実績のあるアルゴリズムをODC Solutionへ統合したことにより、ターゲットオブジェクトの高い検知と分類を実現することができました。当ソリューションは、以下のようなサービスを提供します。 ・多額のコストと制約が生じる海上・地上領域の、全天候下・昼夜を問わない広域かつ継続的な監視 ・広範にわたる船舶や航空機の存在、位置、種類に関する正確かつタイムリーな情報の提供 ・海洋域のモニタリング、空港モニタリング、安全保障、グローバルなサプライチェーンの監視 (b)地盤変動モニタリングソリューション SAR衛星データを用いて広域の地盤変動を解析し、その結果を提供するソリューションサービスです。当社グループ独自のInSAR解析技術(注1)により、広域な地表面の変動量をmm単位で検出し時系列で表示します。また、地下工事等によって発生する陥没事故の領域予測機能が追加実装されております。当ソリューションにより、以下のような課題を解決できるようになります。 ・1日停滞すると多大なコストが生じる大規模地下工事のリスク管理 ・多額の測量コストがかかる地下資源/エネルギー採掘の地表への影響調査 ・脆弱な地盤や海上に建設した発電プラント、港湾のメンテナンス管理 ・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などの移動制約下での遠隔地/広域の地滑りリスク調査 (注1)InSAR解析 Interferometric SARの略で日本語では干渉SARと呼ばれ、SARデータに含まれる反射波の位相情報を用いて地盤や構造物の変動を解析するSARデータ特有の処理技術の1つの手法です。位相にはSAR衛星から地表までの距離の情報が含まれるため、同じ軌道上にあるSAR衛星から同一地点を2回観測すれば、その観測結果を重ねて(干渉させて)差をとることによって、地表のわずかな変動を数mm単位で捉えることができます。 (c)洪水被害分析ソリューション SAR衛星データを用いて、浸水被害(浸水域、浸水深、被害道路、被害建物)の分析結果を提供するソリューションサービスです。台風などにより洪水被害が発生した際、従来の光学衛星や飛行機・ドローンでは天候が一定程度回復した後にしか状況把握ができませんでしたが、悪天候に強いSAR衛星を用いれば天候に左右されず広域の浸水状況を観測可能です。さらに、データサイエンスや機械学習を利用して即時に自動データ解析を行い、道路・建物などの施設への影響範囲を特定します。以下のような課題を解決できます。 ・大規模災害で大きなコスト・リードタイムのかかる損害保険調査 ・新興国/途上国において迅速な復興支援が必要な国際機関の現地ニーズアセスメント ・迅速な人命救助活動が求められる政府や自治体の初動計画 (d)その他のソリューションサービス例 その他に、森林の状況(林相やバイオマス)を可視化することで、計画外伐採の特定やカーボンクレジット取得を目指した森林資源量の把握に繋がるサービスや、洋上風力発電所付近の風速・風向を解析することで発電所設置の際の選定や保守運用の効率化に資する結果を提供するサービス、さらに土砂災害や家屋の倒壊などの災害時に被害箇所の特定を迅速に行うためのサービスなど、様々なソリューションサービスを開発し提供しています。 これらは国内外の顧客との実証実験契約やサービス契約等を通じてソリューションとして汎用化可能だと判断した衛星データの新たなニーズであり、当社グループが他の衛星事業者に先駆けてサービスの開発および提供が進んでいる分野と言えます。これらは国内のみならず、欧州圏でのサステナビリティへの貢献を目指す多くの企業や、アジア圏で定期的な土砂被害や地震などの災害に困窮している地域の行政への販売が進むものと考えております。 (図表)ソリューションラインナップ一覧 当社グループが提供する上述のソリューションには、SAR、リモートセンシング(注1)、データサイエンス(注2)の3つの技術領域にまたがる高いレベルのエンジニアリングが要求され、当社グループのエンジニアが日々、最新の技術成果の調査・開発を進めています。これら広範なエンジニアリングの要求により、ソリューションを顧客が内部化することが難しく、当社グループの技術が必要とされる理由となっております。 (注1)リモートセンシング(Remote sensing) 「離れた位置から物を触らずに調べる」技術で、主に人工衛星や航空機に専用の測定器(センサ)を載せ、光学的に、あるいは電磁波等を用いて地球の表面を観測する技術を指すことが多いです。 (注2)データサイエンス(Data science) データを用いて新たな科学的および社会に有益な知見を引き出そうとするアプローチを指します。応用性を重視し、データを扱う手法である情報工学、統計学、データマイニング、機械学習、その他アルゴリズム等を横断的に扱います。 (3)ビジネスモデル 当社グループのビジネスモデルは、小型SAR衛星「StriX」によるコンステレーションから取得したデータを顧客に販売、並びに自動解析を通じたソリューションとして提供することで収益を上げるものです。前述のように、SAR衛星は24時間365日、全天候下において観測可能であることが特長であるため、興味対象地域の安定的な定点観測が可能であり、そのデータを用いた時系列分析や変化抽出に強みを発揮します。したがって、データ販売の主要顧客である防衛需要においては複数箇所の定点観測を、その他民間需要においても複数箇所の時系列変化の分析結果提供を通じたリカーリング収益が期待できます。 (図表)当社グループビジネスモデルの概観 (注)解析単価は1撮像にかかる解析料金を示す。 この2つのサービスの組み合わせは当社を特徴付けるビジネスモデルであり、相乗効果をもたらすものです。特に、自社で保有するコンステレーションから取得されるSAR衛星データを、旧来のデータ販売への利用のみならず、新たにソリューション提供にも用いることは、当社のビジネスモデル上の強みを形成します。これは、以下に概説する拡大する民間市場への入口、余剰データ活用での高収益化、長期視点でのデータ値崩れリスクへのヘッジ、グローバル展開におけるパートナーシップ形成、の4つの重要性から構成されます。 ①拡大する民間市場への入口 前述のように、視認性に優れないSAR衛星データの解釈・分析には専門的知識が必要であり、また今後取得するデータの増加に伴い、その膨大なデータ解析の手間はたいへんな負担となります。そのため、一般的にSARデータの分析能力を持たない民間企業は、これまでSAR衛星データを使った業務上のリスク管理や生産性向上などの恩恵を享受することは限定的であったと認識しております。これらの新興市場は、2030年までにリスク管理用途で1.2兆円、生産性向上用途で3.6兆円の規模が期待されており(注)、当社の自動解析を通じたソリューション提供により、これら新興市場の顧客開拓が可能となると考えております。 (注)Amplifying the Global Value of Earth Observation INSIGHT REPORT MAY 2024。出所に記載がある市場規模元データを1ドル=150.0円として換算。データの対象となる「EO」には、光学衛星およびレーダ衛星のデータの他に実地でのIoTセンサーにより収集される「In situ」データも含まれる。また対象とする分野は農業、電力・公益事業、政府、公共・緊急サービス、保険・金融サービス、鉱業、石油・ガス、サプライチェーン・輸送である。記載内容は当該市場予想が合理的な根拠に基づくものと当社内で適切な検討を経たものであるが、本データは2030年まで世界レベルで地球観測技術の導入が増加することを前提としており、その達成を保証するものでない。 ②余剰データ活用での高収益化 SAR衛星は軌道上で充電と撮像を繰り返しながら観測を行いますが、実際に販売可能なデータ取得ができるのは、撮像タイミングと顧客の興味地域が一致するときのみです。したがってコンステレーションの設計上のすべての撮像キャパシティ(注)を、興味地域が似通いがちな防衛需要を主体とするデータ販売で消費することはできません。衛星数が増えるにしたがってこの制約は緩和されていきますが、海外政府を含む契約数を増やしていったとしても、一定の利用率が限度となることが予想されます。そこで、興味地域分布が大きく異なると想定される民間企業の需要に対応することで、当該キャパシティの利用率を上げることができると考えております。これにより、撮像キャパシティの拡大から生み出される撮像余力分を無駄なく使い、利益最大化が可能となると考えております。 また、競争優位上、重要な副次的効果も期待されます。現在、SAR衛星データはそのほとんどの供給量が特に防衛関連の官需に対して使われており、結果として民間市場向けにはデータ供給がされ難い状況です。これは、解析専門の事業者にとって、時系列分析や機械学習のサンプルデータ不足によって分析精度が限定的なものとなり、市場拡大のボトルネックとなってきたためです。今後、衛星コンステレーション形成が進み、データ総量増大に併せて変化していくことが期待されています。当社は自社でコンステレーションを保有することとなれば、その供給先を決めることができるため、この新興市場形成において重要な役割を果たすとともに、解析事業の競合に対しても大きく先行することができる、と認識しています。 (注)軌道上で運用中の衛星の総撮像能力(画像データ量)。実際には撮像していない画像データの枚数分も含む。 ③データ値崩れリスクのヘッジ 伝統的にSARデータを使っている安全保障領域においては、現在は大型の衛星から得られる少数のデータを、各国政府の専門家や分析官が一つ一つ手作業で分析してきましたが、今後、コンステレーション構築に伴う大量のデータ供給によって、データの分析作業が膨大なものになると予想されます。そこで、当社の自動解析技術によって大量のデータを分析し提供することで、分析官は変化箇所の抽出・特定、物体検出、物体分類、物体分割、パターン検出、広域検索、エリア監視、特徴マッピングなどの標準的な分析処理・作業を実施することなく、結果の分析のみに注力することができるようになると考えております。 一方で、このような大量のデータ供給ができる衛星コンステレーションは、同時にデータ供給量増加に伴う単価下落リスクを内包しています。ここで、ソリューション提供における、自動解析による大量のデータ分析はより高い付加価値を生み出すため、当該リスクに対するヘッジの役割も持ちます。つまり、データの販売単価による契約ロジックが、より多くのデータ利用を伴う高付加価値の解析単価へと移行していくことになります。 これらの変化は、米国の「LUNO」プロジェクト、日本の防衛省の「AI活用推進基本方針」等によっても確認できますが、依然中長期的な視点での動向であり、当面は大きな防衛需要に対するデータ販売が売上の源泉となります。 ④グローバル展開におけるパートナーシップの形成 ソリューションは、海外展開においても重要なビジネスモデル形成要素となります。前述のように、当面の主力サービスはデータ販売であり、これは日本のみならず海外政府の防衛・防災需要に対して展開していく方針ですが、中には専門家を持たない海外政府もあります。民間企業を含め、このような顧客拡大に対しては、ソリューションが必須となります。しかし、多様な分析技術が含まれ、また顧客の業務的な理解が必要なソリューション営業には、多大な労力と販売網が要求されます。 当社は特定の産業/地域に強いパートナー企業と組み、共同でソリューションの開発・提供を実施することで、効率的に営業活動を進めています。例えば、現地建設コンサルティングの会社と提携し、当社の解析プラットフォームを操作してもらい、先方の顧客へサービス提供を行います。数回のサービス提供を通じて、パートナー企業自らが弊社プラットフォームを利用してサービス提供ができるようになっていくことで、当社は大規模なマーケティングチームを持つことなく、グローバル展開していくことが期待できます。
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経営陣が考える方向性と課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 1.会社の経営の基本方針 当社グループは「次世代の人々が地球を理解し、レジリエントな未来を実現するための新たなインフラをつくる」ことを目指し、衛星コンステレーションとデータ解析技術を用いた衛星データ事業を展開しております。人々の生活とそれを支える経済は、地球規模での災害や紛争、気候変動などの、さまざまなリスクに脅かされており、当社グループは人類が自然環境や次世代を思いやりながら安心して生きていくには、それらリスクを定量的に可視化し、理解することが重要だと考えます。それには、地球規模での均質性、定常性、広域性、公正性を備えたデータを、高頻度で取得する必要があります。 当社グループはこのミッションを実現するため、地球を恒常的に俯瞰する自社SAR衛星「StriX」のコンステレーションの衛星機数を増やし、継続的なデータ販売で堅実に収益を積み上げつつ、SAR衛星が強みを持ち、かつ社会的関心度も高い自然災害・安全保障・環境リスクを軸にソリューションのラインナップを拡大し、新規衛星データ市場を開拓してまいります。 2.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは、以下を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として定めています。 ・総収入 売上高の成長に加えて、中期的には補助金収入がグループ全体の収入に占める割合が一定程度あるため、売上高と補助金収入を合算した総収入を当面は重要な指標として管理することとしています。 ・衛星運用機数 防衛領域を中心に拡大する世界の需要に対し、供給側のプレイヤー数が不足しており、SAR衛星データの希少性が高いにも関わらず供給力が限定的であることがSAR衛星事業の市場の特徴であり、売上拡大には供給力が重要となります。そのため、当社グループのSAR衛星データの供給力を決定する衛星運用機数を重要な指標として管理することとしています。 ・受注額、受注残高 現在、官公庁を中心に主に1年から最大で5年の契約を獲得しています。将来の売上を予測するうえで受注額、受注残高は重要な情報であり、重要な指標として管理することとしています。 3.経営環境及び中長期的な会社の経営戦略 (1)防衛・宇宙需要が牽引するSAR衛星データ市場 ①防衛・宇宙市場の世界的な拡大 世界のSAR市場は需要の増加や技術の進歩により成長しており、2023年時点の市場規模が9,280億円、2030年までに推定1.89兆円規模になると見込まれています(注1)。これはSAR衛星だけでなく、航空機、UAVなどの市場も含むものですが、基本的に全天候で広範囲の撮像が可能なSARは情報収集・警戒監視・偵察などの防衛用途に広く使用されており、SAR技術の進化に伴い、防衛・情報機関のSAR利用は今後も継続的に拡大し続けることが予想されています。また、従来の防衛・政府利用にとどまらず、環境モニタリングや災害対応、農業、林業、インフラ管理など、さまざまな商業分野での需要の高まりがSAR市場の成長を後押しすると予想されます。 広く防衛領域における需要が見込めるSAR市場ですが、特に宇宙領域における伸びは著しいものです。世界の防衛領域における宇宙予算は、2023年は8.8兆円と推定され、2022年比で21%増という顕著な成長を示し、過去5年間で継続的に増加しています(注2)。これは、昨今の地政学リスクの高まりや国際情勢の複雑化に伴って安全保障を目的とした衛星データを始めとする宇宙技術活用の重要度が増していることが背景としてあり、今後も各国の防衛領域における宇宙予算は増加することが見込まれています。 日本の防衛省も『我が国の防衛と予算(2020-2022)』『防衛力抜本的強化の進捗と予算(2023・2024)』にて示される通り、衛星データ活用に関する予算を過去5年間で約2.5倍と大きく増加させています。また、「スタンド・オフ防衛能力に必要な目標の探知・追尾能力の獲得」のため、防衛省が衛星コンステレーションから画像データを購入する「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」(予算2,832億円)を他6社とともに落札(注3)し、2026年2月に事業契約を締結しており、今後より一層SAR衛星データ活用に関する予算の増加が期待できると想定されます。 他方で、2024年3月に内閣府、総務省、文部科学省、経済産業省により、民間企業等による宇宙分野の技術開発を複数年度にわたって強力に支援するため、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)に『宇宙戦略基金』が設置されました。本基金では10年間で合計1兆円の支援が想定されており、同年3月に内閣府より公開された『宇宙技術戦略』にて示された日本として注力すべき宇宙技術に沿った事業に対して補助または委託という形で支援されることとなっています。2024年には第1期として、1兆円のうち約3,000億円の予算が総務省、文部科学省、経済産業省によって確保されており、そのうち公募テーマ「商業衛星コンステレーション構築加速化」(予算総額950億円で4社が採択済み)」にて支援予定上限額237.9億円、うち164.4億円が交付決定されています。続く第2期が2025年度からスタートし、採択結果が順次公表されているなど、当社としては、今後各省庁へと配賦されるであろう残りの予算も含めて、今後の事業戦略を実現するための手段として申請検討してまいります。 (注1)Global Market Insights, “Synthetic Aperture Radar (SAR) Market Report, 2024-2032” (2023年5月)。出所に記載がある市場規模元データを1ドル=150.0円として換算。市場規模には衛星、航空機、UAVの市場規模を含む。但し、記載内容は当該市場予想が合理的な根拠に基づくものと当社グループ内で適切な検討を経たものであるが、その予測統計モデルは、複数の予測手法と重要性による加重を組み合わせて設計されており、その達成を保証するものでない。 (注2)Euroconsult, “Government Space Programs, 23rd edition”。出所に記載があるデータを1ドル=150.0円として換算。但し、記載内容は当該市場予想が合理的な根拠に基づくものと当社グループ内で適切な検討を経たものであるが、各国の宇宙予算を算出・推計するために、政府公式発表に加え専門誌やマスメディアの情報、推計も含まれており、その達成を保証するものでない。 (注3)三菱電機株式会社、スカパーJSAT株式会社、三井物産株式会社、株式会社QPS研究所、株式会社アクセルスペース、三井物産エアロスペース株式会社 (2)競争環境と優位性 防衛領域を中心に拡大する世界の需要に対し、供給側のプレイヤー数が不足しており、SAR衛星データの希少性が高いにも関わらず供給力が限定的であることがSAR衛星事業の市場の特徴です。現在、小型SAR衛星を商業運用している事業者は当社グループを含めて世界に5社ですが、SAR衛星の小型化の技術的難易度の高さ、エンジニアの希少性、衛星開発に係る資本と時間などが障壁となり、新規プレイヤーが参入することは難しいため、当面の間は限定的な競争環境が継続することが想定されます。以下では、この5社間での競争環境と当社グループの優位性について、技術的側面と事業的側面から記載します。 ①技術的な競争優位性 SAR衛星の性能を特徴付ける要素として分解能と広域性の二軸があります。つまり詳細分析と広域分析の実行性、という二軸となりますが、これは観測時の消費エネルギー制約によりトレードオフの関係にあります。昨今は防衛需要へ応える性能向上が各社主流となっており、分解能を高める競争が進んでいますが、当社グループの小型SAR衛星「StriX」では、ステアリングスポットライトモードにより0.25mの分解能を実現しています。また、広域性の観点では、ストリップマップモードにより、1,400平方キロメートルの撮像域を実現しています。このように、当社グループ「StriX」では同一衛星での撮像モード切替により、分解能と広域性を両立させており、これによって種々のニーズを広くカバーできることが強みとなっています。 特に広域性の確保ができることは、長い国境線監視や海洋監視などの防衛データ需要に応え得るだけでなく、自動解析を伴うソリューション利用を前提とした価値提供にもつながります。例えば、大規模災害による被災時には、まず広域撮像により災害直後の被災全域を撮像し、ただちに解析することで救命活動等の初動優先度をつけることができます。続いて、選択された特定エリアを対象に、高分解能撮像と解析によって具体的な計画に資する情報提供が可能となります。これらの撮像モード切替と自動解析により、従来ではできなかった被災時の迅速な状況把握と現場対応をはじめとするリスク管理・生産性向上が実現しますが、これは自社内でソリューション開発をする能力とチームを持つ当社グループ独自の強みと言えます。 ②事業的な競争優位性 前述のように、全世界的に防衛市場が宇宙産業にとって最大顧客でありますが、各国政府の国防所管省庁の情報管理や優先権要求により、その地域のローカル企業への発注が現在の主流となっております。当社グループを含む小型SAR衛星事業者5社のうち、2社は日本、2社は米国、1社はヨーロッパに本社が所在していますが、上記理由により各所在地域での防衛需要に対するデータ販売が中心となることが予想されます。現状では、各社供給力よりも世界の防衛需要が大きく競合状況には至っておりませんが、特に日本における防衛市場の規模と成長を鑑みれば、日本に本社を構える企業は当該市場に対して優位に事業展開を進められることが想定できます。 実際に、防衛省「衛星コンステレーションの整備・運用等事業」についてはその入札公告「業務要求水準書」にて、“日本国法人が主として日本国内で設計・開発、製造及び所有し並びに管理する”国産衛星でコンステレーションを構築する旨が明記され、2025年12月には三菱電機株式会社、スカパーJSAT株式会社、三井物産株式会社、株式会社QPS研究所、株式会社アクセルスペース、三井物産エアロスペース株式会社の6社とともに落札しました。なお2026年2月には特別目的会社である株式会社トライサット・コンステレーション(出資会社:三菱電機株式会社、スカパーJSAT株式会社、三井物産株式会社)が防衛省と事業契約を締結し、当社は株式会社トライサット・コンステレーションと三菱電機株式会社との間で小型SAR衛星の画像データ取得等に関する業務委託契約を締結しております。 (3)中長期の成長戦略 当面の堅実な日本政府のデータ需要を起点に、衛星数を増やしていくとともに、その運用における安定性と生産性を高めて海外展開を進め、さらにはソリューション展開を進めて高収益化を目指していきます。これは、前章(3)ビジネスモデルで述べたデータ販売とソリューション提供の相乗効果によってもたらされる4つのポイント、すなわち、拡大する民間市場への参入、余剰データ活用での高収益化、長期視点でのデータ値崩れリスクへのヘッジ、グローバル展開におけるパートナーシップ形成を活かした成長戦略となります。当成長戦略は大きく3つのステージから成り、日本政府へのデータ販売を中心とする短期、海外政府へのデータ販売拡大が進む中期、そして民間市場でのソリューション提供が拡大する長期です。 まず短期では、「衛星コンステレーションの構築・運営等事業」など防衛需要を軸とする日本政府へのデータ販売、並びに政府補助金収入を活かし、安定した収益基盤の構築を目指します。この先のステージで必要となる、海外展開、ソリューション開発についても並行して投資していく方針です。当社は設立当初より、グローバル市場において優位性のある事業展開をすべく、設立後早期にシンガポールにビジネス拠点を開設し、アジアを中心としたビジネス開発を推進してきました。2025年3月には米国・中南米地域事業の拠点として米国子会社を設立し、2026年2月にはヨーロッパ・中東・アフリカをカバーするヨーロッパ子会社の設立を決定しております。これにより、2028年以降の海外売上拡大期に向けた各拠点展開が完了、今後は各地域の重要パートナーとの提携などにより体制構築を推進していきます。 続く中期では、パートナー提携を活用して、海外政府へのデータ販売を拡大していくとともに、30機のコンステレーションにより1時間以内にデータと解析結果を提供できるデータ・ソリューションの販売体制を整えていきます。一度に多くの場所のデータや複数の解析結果を提供する事により、この頃から民間事業向けのソリューションビジネスを立ち上げることを目指しております。 その後は、増強されるコンステレーションの膨大な撮像キャパシティから生まれる余剰データを、ソリューション提供に有効活用することで高い利益率を目指す、長期として位置づけられます。ここでは、種々の自動解析技術を広く横展開することを目指しており、民間市場として起点となるインフラ開発・保守や資源エネルギーから、金融・保険やユーティリティといった顧客を主なターゲットとして販売先を広げることを目指しています。 (図表)成長戦略 (注)数値は2026年時点での予測値。「既契約データ販売」は受注済みおよび契約確度の高い案件を含む。 4.成長戦略を支える製造・開発方針 (a)衛星製造・開発体制 前述の成長戦略を実現するための衛星製造・開発にあたっては、国内外の多数のパートナー企業と連携しながら進めています。衛星の通信や姿勢制御などの汎用的機能を司るバス部の部材に関しては、軌道上での稼働実績のあるメーカーより仕入れを行い、SARなど独自機能を含むペイロード部については特注で仕入れています。その後、当社と組立パートナーであるセーレン株式会社(2021年より量産を目的としたパートナーシップ締結)、東京計器株式会社(2022年より量産を目的としたパートナーシップ締結)と協力しながら、衛星の構体およびアンテナの組み立てを行い、各種試験(振動試験、熱真空試験、電気試験等)を経て打上に向けて出荷を行います。打上場所はロケット会社により異なり、当社がこれまで打上に使用したRocket lab社(本社:アメリカ合衆国カリフォルニア州、CEO:Sir Peter Beck)のElectronはニュージーランドより打上を行っています。 さらに、汎用部材等については仕入れの複線化を図り、サプライチェーンの脆弱性を無くすことに努めています。一方で、当社の開発優位性にもあたるImPACT時代の研究成果に関わる部材については特定のパートナーからの仕入れに依存するものの、将来的な製造計画を複数ヶ年に渡って共有し十分な製造ラインを確保することを標準的な対応としています。 また2023年、神奈川県大和市に量産のための工場を賃貸契約し(賃貸部分面積:8,594.52㎡)、製造工程の汎用化や再現性の高い作業のための治具開発、そして検査器具等の設備投資を行い、2024年9月より本格的に稼働を開始しました。これにより、前述のパートナー企業とともに分業体制を構築し、拠点間を物流網で結ぶことで、2026年12月期には年産12機まで、より効率的で大規模な製造を拡大できる見込みです。また、量産体制の構築と並行してより高スペックの衛星や量産に向いた構造の設計等、継続的な開発を検討しており、国際的に競争力のある衛星を製造してまいります。 (b)衛星製造・打上計画 これまでに確立した前述のサプライチェーンをパートナー企業とともに強化し、コンステレーション形成と成長戦略実現に向けて製造・打上を進めてまいります。当社設立以来、これまで「StriX」を8回打上げてきましたが、既に実証機2機「StriX-α」「StriX-β」と量産試作機「StriX-1」は商用運用は終了しており、有価証券報告書提出日現在は軌道上で4機が商用運用、1機は打上げ直後のため機能検証を実施しています。今後は、順次機数を増やし、2026年末には軌道上10機、2027年末には21機前後となることを計画しています。なお、有価証券報告書提出日現在、米Rocket Lab社と19機、米SpaceX社と7機、合計26機分の打上げ機会を確保しております。これらの過程で、特定地域の観測頻度が週次から数時間毎に向上する見込みで、加えて、より多くの撮像キャパシティを持つ第3世代「StriX」が主力機としてコンステレーションを構成する予定です。 2028年以降には30機以上のコンステレーション形成に加えて、衛星間通信などの追加機能開発や当社自動解析と併せ、1時間以内に顧客に解析結果を届けることを目指しています。これは大規模災害時の生存率向上に加え、多くの民間企業におけるリスク管理・生産性向上に寄与することが期待できます。 (図表)衛星の製造及び打上計画 (注1)実際の製造機数は顧客からの需要およびビジネス状況に応じて上下しうる。また、製造能力が増強したのちにも、製造期間が一定程度かかるため、すぐに製造能力分の機数打ち上げとはならない。また、実際の打上数及び時期は、打上事業者のキャパシティ、天候その他の要因によって決まる。撮像枚数はスペックから試算される理論キャパシティであり、運用年数によって上下する可能性がある。 (注2)部品・資材の調達、製造の開始を行うことができる機数のキャパシティを指す。製造開始から完成までは約2年を要する。 (注3)将来見通しに関する記述は、当社の管理外にある事業、経済、規制、競争に関する不確実性および偶発事象によって大きく影響を受ける可能性がある。これらの記述は、当社の将来の戦略や方針に関する特定の仮定に基づいているが、それらは変更されることがある。 (注4)衛星の性能向上については当社の想定であり、開発の進捗状況によっては当初想定通りには性能向上が達成できない可能性がある。将来的な実際の数字は、様々な要因により目標から逸れる可能性があり、その差異は大きい可能性がある。この文書の内容は、これらの目標が達成されることを示すものではなく、状況が変化した際にこれらの目標を更新する義務を当社が負うものではない。 5.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ①量産体制の構築 「3.経営環境及び中長期的な会社の経営戦略」に記載のとおり、SAR衛星データ市場は、安全保障や防災に関わる世界需要の大きさに対して、供給量に制約があり寡占傾向が強いことが特徴と認識しています。この世界的な需要に応えるために、早期の衛星の量産体制の構築・運用機数の増加が当面の重要課題となります。 当社グループは、これまで衛星8機の製造・打上げを行ってきましたが、基本的には年間1機から2機ずつの製造を行ってまいりました。現在多数機のコンステレーションを構築するため、小型SAR衛星を年間最大12機程度同時に生産できる量産体制構築の準備を行っており、今後段階的に量産体制による製造を拡大する予定です。量産を実現するために、必要な人員の採用・教育、製造体制の整備、パートナー企業との連携を進めてまいります。 ②衛星の製造・打上げ資金の資金確保 当社グループは、小型SAR衛星の年間最大12機程度の量産製造に向けた製造を開始しています。衛星の製造・打上げの支払いは売上に先行して発生するため、その先行資金の確保が課題となります。 上場による信頼性の向上を背景に、間接金融の積極的な活用による調達手段の多様化を推進し、キャッシュ・フローの最適化を図りながら、持続的な成長投資を支える安定的な資金調達基盤を整備してまいります。 ③組織戦略 当社グループの事業はハード・ソフトの両面にわたり、SARシステムや衛星開発など極めて高い専門性が求められます。このため、日本国内に留まらず、世界各地での直接採用や多様な雇用形態を積極的に導入し、グローバルに最適な体制を構築しています。 私たちは今、日本発のスタートアップから、世界中の才能が結集する「グローバルカンパニー」へと変貌を遂げつつあります。不確実性の高い宇宙ビジネスにおいて、専門家同士が自由に議論し、試行錯誤を組織の知恵に変える「自律型学習組織」の構築に注力しております。 国際的な発信を通じてグローバルでのプレゼンスを高め、世界中の優れた人材を惹きつける好循環を創出することで、組織力のさらなる強化を図ってまいります。 ④営業戦略 データ販売における顧客基盤確立のため、主要顧客となる政府機関の要求仕様を満たす衛星データ/サービス品質の確保が必要です。当社グループでは、現在は国内官公庁向けにデータ販売を実行しながら、各国政府とのチャネル構築、対話とサンプルデータの提供を通じて、サービス内容や購入予算額、要求されるデータ品質等についてのコミュニケーションを継続しております。 一方で、ソリューションでは、中期での戦略的視点と短期での収益確保のバランスをとりながら営業活動を進める必要があります。当社グループでは、現状の製品版ソリューション展開を軸に、国内の長期プロジェクト確保に有効な公共事業やODA案件をパートナー企業とともに進めつつ、事業環境の異なる海外での展開にも取り組んでおります。 ⑤規制への対応 後述の「第2 事業の状況 3 事業等のリスク(3)主要な事業活動の前提となる法的規制①人工衛星に関連する法令について」に記載の3つの関連規制のうち、当社グループの業務遂行において特に衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律、電波法への対応に多くの工数/時間を要します。最新の技術動向に照らしてより効率的な申請プロセスとなるよう、関連省庁との情報連携を進めてまいります。 ⑥内部管理体制の強化 機微な衛星データを扱う当社グループは、コーポレート・ガバナンス、内部統制、情報管理・セキュリティについて常に高い意識を持ち、継続的な強化を進めていく必要があると認識しております。引き続き、積極的に最新技術動向や重要懸案の情報収集を進め、対応を強化してまいります。
事業等のリスク16,165字を開く

会社が自認するリスクの一覧

3 【事業等のリスク】 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても投資家の投資判断、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項について、投資家に対する積極的な開示の観点から以下に開示しております。 当社グループは、これらのリスクの発生可能性を記載した上で、発生回避及び発生した場合の対応に努めております。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1)事業環境に関するリスク ①継続的な先行投資と赤字計上について 発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:高 当社グループの提供するSAR衛星のデータ販売及びソリューションについては、市場の立ち上げ期であり、現在のところ大きなシェアを獲得できているプレーヤーは存在しておらず、競合事業者に早期の市場シェア獲得が重要と考えております。市場シェア獲得のためには、複数の衛星機システムの早期構築によるSAR衛星データの供給量の確保、継続的な開発や営業活動の実施によるソリューションサービス拡大を実現する必要があり、継続的に先行投資を実施する方針としています。また、今後一定期間については、黒字化よりも売上高成長率を重視して経営していく方針です。 経営環境の急激な変化、その他本「事業等のリスク」に記載のリスクの顕在化等により、これらの先行投資が想定どおりの成果に繋がらなかった場合、黒字化しない可能性があります。当社グループでは、継続的な顧客開拓、衛星製造コストの削減努力等を実施することにより、先行投資が将来の黒字化や収益性向上につながるように努力していきますが、それらが達成できない場合は、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 ②社歴、業歴が浅いことによる業績の不確実性について 発生可能性:低、発生可能性のある時期:数年以内、影響度:中 当社グループは、2025年12月期まで赤字決算であり、過年度の業績のみでは期間比較を行う充分な材料とはならず、今後の業績については当社グループにおいて合理的と考えられる方法により予測、算定したものでありますが、判断指標が不十分であり、当社グループの業績予測と実績に乖離が生じる可能性があります。 なお、防衛省の「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」の契約受注により、当該業績の不確実性は一定程度低減したと認識しております。 ③必要なタイミングで資金を確保できなかった場合の資金繰りについて 発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:高 当社グループは、(1)①に記載のとおり、継続的に先行投資を実施する方針としており、過年度は増資や借入による資金調達を実施し事業活動に必要な資金に充当してきました。2025年12月期は営業活動によるキャッシュ・フローはプラスであるものの、今後も一定期間は投資活動によるキャッシュ・フローのマイナスが営業活動によるキャッシュ・フローのプラスを上回る見込みです。 当社グループでは必要な資金を確保するために継続的に財務活動を行なっていく方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合、資金繰りに窮する可能性があります。 ④衛星データ関連市場について 発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中 SAR衛星データは国防に関わる世界の需要の大きさに対して、もともと供給量に制約があり、寡占傾向が強く先行者利益を獲得しやすい市場と当社グループは認識しています。これは市場に参入するための資金的及び技術的ハードルが高いことや、SAR衛星がデータを取得する際に電波照射に多くの電力を使うためSAR衛星以外の観測衛星と比べデータ取得量が限定的であることが理由です。仮に当社グループ以外の競合事業者が各社の計画通りにSAR衛星を打ち上げた場合でも、供給量が飽和することはなく、今後数年程度は供給者優位の市場が保たれると認識しています。 一方で、光学衛星などの他の地球観測データの代替、現在は市場草創期であり将来の市場規模拡大には不確実性が伴うこと、防衛予算の増減・安全保障政策の変更などの各国の方針変更を要因として、想定通りの需要を獲得することができず成長が阻害される場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤競争状況について 発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中 当社グループのターゲットとなるSAR衛星データの市場分野においては、資金的及び技術的な参入障壁が高いため、現在安定して市場にSAR衛星データを供給できている企業は世界で数社程度であり、寡占状態となっていると当社グループは認識しております。 当社グループは、SAR衛星データの取得からデータ販売、ソリューションの提供までをワンストップで行うことにより、競合事業者と差別化したサービス展開をし、継続的な事業成長に努めております。ただし、既存の競合事業者の競争力の向上や、市場の急激な拡大に伴って大型のSAR衛星を製造している大資本の企業などの参入により競争環境の変化が生じ、当社グループや当社グループのサービス等に対する評価を維持することができず、又はその優位性が失われる場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥衛星打上の失敗のリスクについて 発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中 当社グループは自社で衛星を開発・製造し、外部のロケット事業者による衛星打ち上げサービスを利用して衛星の打上を行っています。近年衛星に係る打上の成功率は向上しているものの一定程度失敗のリスクが存在します。当社グループでは、打上の失敗に係る損害を回避するため、人工衛星保険の打上げ危険担保保険(以下、ロケット保険)に加入しています。なお、当社グループが加入している保険は、打上げの点火がされた時に始まり打上ロケットと衛星の分離が完了するまでがてん補対象であり、打上ロケットとの分離後の通信の不具合等をカバーするものではありません。 ロケット保険により、打上ロケットと当社グループ衛星の分離が完了するまでの完全な打上失敗の際の金額的な補償は得ることができるものの、計画していたSAR衛星データの取得はできなくなるため、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑦固定資産の減損リスクについて 発生可能性:中、発生可能性のある時期:数年以内、影響度:中 当社グループは、人工衛星、その製造設備及び本社設備の有形固定資産を保有しています。投資実行に際しては規程に基づいて、事業計画、収益率、その他のリスク等を検討して実施の判断を行っており、その後は継続して各資産の収益性に関して管理を行っています。 規程で定めた対策を講じても、市場や競争環境の変化により完全に減損を防止することは不可能であり、減損の兆候が認められ、減損損失の認識をすべきであると判定された固定資産について減損損失を計上する場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ソリューション事業におけるデータの安定確保のリスクについて 発生可能性:中、発生可能性のある時期:数年以内、影響度:中 当社グループのソリューション事業では、衛星データに限らず様々なデータの解析結果を提供する情報提供サービスを行なっています。現在、当社グループの衛星の機数が少なく他社データも併用しており、必要なデータを十分に入手できないこと等により、顧客の要求する品質を充たせずに案件を獲得・継続ができないリスクがあります。当社グループでは、衛星データの購買先の多様化・当社グループの衛星の機数の早期の増加により、データの安定確保を図ってまいります。 上記の対策を講じても、とりわけSAR衛星データによる定期観測の需要が高いため、自社衛星の打上げ計画が想定より遅延し安定したデータの確保が遅延することで収益化が遅延するリスクがあります。 ⑨景気変動に関するリスクについて 発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低 当社グループは、クライアントの分散、多様化を図っておりますので景気変動リスクに対し一定の耐性を備えておりますが、国内外の景気動向や外国為替相場の変動により、当社グループの主要クライアントが事業投資等を抑制した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑩為替リスクについて 発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低 当社グループは、衛星部品の購入の一部を海外から行っており、衛星の打上サービスは海外事業者を利用しています。また、一定程度の海外売上があり今後増加する見込みです。長期の外貨建の債権債務は存在しないものの、急激な為替変動によって価格の変動が生じ為替リスクとなることがあり、当社グループの業績に間接的に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑪衛星の打上機会の確保について 発生可能性:中、発生可能性のある時期:数年以内、影響度:高 昨今の宇宙産業においては、世界的な衛星コンステレーション計画の拡大に伴い衛星事業者が急増する一方、新興のロケットの開発遅延や運用頻度の限界により、打上げ機会の逼迫が継続しています。また、ロシア・ウクライナ情勢による一部供給手段の喪失も重なり、短期的には打上げ機会の確保難易度が高まっています。一方、当社グループでは既に26機の打上げ機会を確保しており、中長期的にはより複数のロケット事業者による打上げの検討を進めています。 しかしながら、新興のロケット事業者の商業化が遅れるなど想定通りにロケット事業者のサービスを利用することができない場合、計画したスケジュールからの打上げ遅延や打上費用の上昇などの影響が発生し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 (2)事業体制に関するリスク ①研究開発に係るリスクについて 発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中 当社グループの属する衛星データ関連の業界は、衛星のハードウェア開発及びソリューションのソフトウェア開発共に技術的な進歩が急速であるため、当社グループでは常に技術革新に対応できる最先端の技術開発に努めております。当社グループの衛星のハードウェア開発においては、SARデータ取得のためのSARアンテナの最先端技術の採用のための研究開発等を進めていきます。また、当社グループのソリューションのソフトウェア開発においても、地表面予測に関する自社独自技術を搭載したソリューションサービスを展開するなど、多数のサービスを引き続き展開していきます。 しかしながら、当社グループが顧客又は市場のニーズにマッチした製品をタイムリーに提供できない場合、もしくは競合事業者が先んじてサービスを開発した場合には、当社グループのサービスの競争力が低下し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 ②衛星の運用に関するリスクについて 発生可能性:中、発生可能性のある時期:数年以内、影響度:中 当社グループが保有する小型SAR衛星は5年程度と比較的長期にわたって使用されますが、運用期間中に製造上の瑕疵、デブリ(使用不能になった人工衛星やロケットの破片や部品等のうち軌道上に残っているもの)や隕石等との衝突、衛星管制上又は運用上の不具合その他の要因による衛星の機能不全又は運用能力低下の可能性があります。上記リスクへの対策として、複数機を定期的に打上げ続けることによりSAR衛星データの取得における1機当たりの依存度の低減を図っています。当社グループは現在、毎年複数機の打上げを計画しており、運用中の衛星に不具合が生じた場合にも可能な限り事業上の影響を小さくする体制をとっています。 このような事態が生じた場合、撮像能力を維持できないことによる顧客の流出などに伴う収益の低下で、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 ③開発・製造・打ち上げ等の事業計画の進捗に関するリスクについて 発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中 衛星の開発・製造・打ち上げの進捗については毎月の取締役会等で継続的に状況を確認・管理をしており、事業計画に沿ったスケジュールの確保に向けて取り組んでおります。しかし、当初の計画通りに衛星の開発・製造・打ち上げが進まなかった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 ④特定の販売先への取引依存について 発生可能性:中、発生可能性のある時期:数年以内、影響度:高 当社グループの主要販売先のうち、官公庁への販売実績が連結売上高に占める割合は、2024年12月期及び2025年12月期で約9割を占める状況にあります。 現時点において、上記の取引先との関係は良好であり、当社グループは今後も友好的関係を維持し、安定的な取引関係を継続する方針で国内の民間顧客のさらなる獲得、海外政府・民間顧客の獲得も強化しており、特定の取引先への取引依存度は順次低減させる方針ですが、当面は引き続き官公庁への販売比率が高い状況が引き続き想定され、何らかの理由により継続できない場合や、入札条件の変更等が生じた場合には、今後の事業運営や経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ⑤海外展開に関するリスクについて 発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中 当社グループは、収益機会の拡大に向けて海外でも衛星データ販売、ソリューションの提供を展開しており、今後とも海外展開の強化を図っていく予定であります。 なお、海外展開にあたっては、人件費等の投資を今後も相当規模で行う可能性があります。また、言語、地理的要因、法制・税制を含む各種規制、経済的・政治的不安、文化・商慣習の違い、為替変動等の様々な潜在的リスク、事業展開に必要な人材の確保の困難性、及び展開国において競争力を有する競合他社との競争リスクが存在する可能性があります。当社グループがこのようなリスクに対処できない場合、当社グループの海外展開に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥協力会社(外注先)への外部委託に関するリスクについて 発生可能性:低、発生可能性のある時期:数年以内、影響度:中 当社グループの小型人工衛星開発においては、多額の開発費と時間を要するだけでなく、一部は協力会社への外部委託品及び協力会社からの購入品を使用しているため、一部の協力会社からの購入品についても、別協力会社からの購入の検討及び内製化を進めており、安定的な衛星開発を実現し、当社グループの衛星データ販売事業及び業績への影響をできる限り低減していきます。しかしながら、協力会社からの納入遅れ、協力会社の喪失、購入品の供給不足や価格上昇により、当社グループの衛星データ販売事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑦パートナーシップ先への衛星製造の委託に関するリスクについて 発生可能性:低、発生可能性のある時期:数年以内、影響度:低 当社グループでは、今後の衛星の量産体制を構築するうえで、複数拠点で並行して製造を行うことで、安定的に製造を行うことを実現することを指向しております。現在当該パートナーシップにより安定した生産体制を構築できておりますが、衛星組立に必要な製品・部品の調達の遅れや、各種自然災害の発生等によりパートナー側での製造に遅延等の影響が出た場合、当社グループの衛星データ販売事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑧人材獲得及び育成に関するリスクについて 発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中 SAR衛星システムの開発のコア技術であるSARアンテナや信号発生器などのコンポーネントに携わるレーダ技術者、また、データ販売やソリューションサービス提供に関わる画像処理、アルゴリズム開発に携わるレーダ信号処理技術者は、労働市場での絶対数が少なく、また専門性の高い領域で育成も容易ではありません。人材獲得の観点では中途採用をメインとして経験のある候補人材へのアプローチ施策を強化しております。人材育成の観点ではノウハウを社内資料に蓄積し、従業員同士での技術向上に繋がる活動を推進してまいりますが、当社グループが想定どおりの人材獲得及び育成ができない場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑨特定人物への依存リスクについて 発生可能性:小、発生可能性のある時期:数年以内、影響度:中 当社グループの経営陣が果たす役割は大きなものであり、特に代表取締役CEOである新井元行は、ミッション、企業理念、会社文化、経営方針・戦略の立案・実行等に大きな役割を負っています。人材育成の強化や人材獲得により経営陣・組織の強化を行ってまいりますが、経営陣の不測の事態や辞任が発生した場合、また、代行体制が十分に機能しない場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑩特定施設の利用に関するリスクについて 発生可能性:低、発生可能性のある時期:数年以内、影響度:低 衛星の製造工程において、部品の組み立て後に、設計通りの機能や耐久性が備わっているかなどの確認のために各種試験を行う必要があります。当社グループは現在、一部の大規模施設を要する試験については国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の施設を利用しており、当該施設や試験設備を利用できない場合に衛星の開発や製造が遅延する可能性があります。 ⑪衛星の製造体制が想定通りに構築されないリスクについて 発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:高 量産体制の構築に伴って年間製造機数の増加を見込んでおり、将来的には年間12機まで製造能力を強化していくことを見込んでいます。現時点では必要な製造体制は構築過程にあり、本格稼働に向けて準備を進めています。当該製造体制の構築が想定通りに進捗せずに、想定した機数を打ち上げられない場合には当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑫想定したシーン数が提供できないリスクについて 発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:高 衛星1機あたりが提供するシーン数について、第3世代商用機は従来のものと比較して提供できるシーン数が多くなると見込んでいます。これは、衛星の設計上のキャパシティの改良などから増加することができると見込んでいるためです。当社グループの事業計画は提供シーン数が増えていくことを前提に策定されているため、想定したシーン数を計画通りに提供できない場合には当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 (3)主要な事業活動の前提となる法的規制 ①人工衛星に関連する法令について 発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:高 当社は人工衛星の打ち上げに関しては、人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律(以下、宇宙活動法)、電波法及び衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律(以下、リモセン法)により、人工衛星の運用等で規制を受けております。当社グループは、社内の管理体制の構築等により、当該法律および関連府・省令を遵守する体制を整備しておりますが、国際法及び各国の国内法ともに整備途上であり、法規制の変更があった場合、当社グループが当該法令に抵触すること等により何らかの行政処分を受けた場合や、社会情勢の変化等により当社グループの事業展開を阻害する規制の強化等が行われた場合には、今後の事業運営や経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、重要法令の概要は以下の通りです。 ・宇宙活動法について 日本国内から人工衛星の位置、姿勢及び状態を把握し制御する場合、事前に内閣総理大臣の許可を受けるため、内閣府宇宙開発戦略推進事務局へ許可申請を行う必要があります。人工衛星1機ごとに衛星管理許可を取得しなければならず、許可を受けるためには、人工衛星の利用目的及び方法が宇宙活動法の基本理念や宇宙諸条約に則したものであること、人工衛星に機器や部品の飛散を防ぐ仕組みが講じられていること、宇宙空間に有害な汚染をもたらさないための措置に講ずることが管理計画に含まれていること等の措置が適切に講じられていることなどが求められております。 ・電波法について 人工衛星を運用するために、無線局(以下、地上局)を使用するにあたり、総務省へ免許申請を行い、許可を得る必要があります。電波法には外資規制がありますが、上場後は外国人による議決権比率をコントロールできないため、規制に該当してしまい免許停止となる可能性があります。そのため、当社が100%の株式を保有する完全子会社の株式会社Synspective Japanにより免許を取得し、免許要件を満たしております。電波法は電波の公平かつ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的としておりますので、免許申請前に既存免許人と干渉調整をし、同意を得る必要があります。また、免許取得後、登録された地上局は検査を受けることが義務づけられております。 ・リモセン法について リモセン法で規定する衛星リモセン装置の対象物判別精度(いわゆる「地上分解能」)が内閣府令で定める生データの基準(SARセンサーでは3m以下)を超える場合、当該装置の使用につき事前に内閣総理大臣の許可を得る必要があります。許可を得るためには、外部からの不正アクセスを防止する措置や、衛星リモセン記録の漏洩、滅失、損傷を防ぐための安全管理措置が講じられていることなどが求められており、許可後も実効性を担保するため、使用者にデータの暗号化の義務や、許可を受けた送受信設備以外を使用しない義務などが課されています。 ②現在適用されている許認可、免許及び登録などの状況について 当社グループの宇宙活動法の許認可 (取得者名:株式会社Synspective Japan、所管官庁等:内閣府宇宙開発戦略推進事務局) 許可番号及び許認可等の内容   ①許認可の根拠となる法律名②許認可の要件③許認可後の義務 許可番号:衛星23-014-2人工衛星「StriX-3」の管理の許可有効期間:2023年12月1日~有効期限なし   ①人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律第20条第1項の規定による許可②使用者が所定の犯罪により処罰された者でないこと等(21条)人工衛星の利用目的及び方法が宇宙活動法の基本理念や宇宙諸条約に則したものであること(22条)人工衛星に機器や部品の飛散を防ぐ仕組みが講じられていること(22条)宇宙空間に有害な汚染をもたらさないための措置を講ずることが管理計画に含まれていること(22条)人工衛星の管理終了にともなう措置が適切に講じられていることなど(22条)③管理計画の遵守義務(24条)事故の届出義務(25条) 許可番号:衛星24-012-1人工衛星「StriX-4」の管理の許可有効期間:2024年6月14日~有効期限なし 許可番号:衛星24-022-1人工衛星「StriX-2」の管理の許可有効期間:2024年11月19日~有効期限なし 許可番号:衛星25-016人工衛星「StriX-5」の管理の許可有効期間:2025年9月8日~有効期限なし 許可番号:衛星25-023人工衛星「StriX-6」の管理の許可有効期間:2025年12月1日~有効期限なし 当社グループの衛星リモートセンシング法の許認可 (取得者名:株式会社Synspective Japan、所管官庁等:内閣府宇宙開発戦略推進事務局) 許可番号及び許認可等の内容   ①許認可の根拠となる法律名②許認可の要件③許認可後の義務 許可番号:RU-23-0005衛星リモートセンシング装置「StriX-3 SARセンサー」の使用の許可有効期間:2023年10月25日~有効期限なし   ①衛星リモートセンシング記録の適正な取り扱いの確保に関する法律第4条第1項の規定による許可②使用者が所定の犯罪により処罰された者でないこと等(5条)外部からの不正アクセスを防止する措置及び衛星リモセン記録の漏洩、滅失、損傷を防ぐための安全管理措置が講じられていなければならないこと(6条)③装置及び観測データに対して許可を受けた者以外の者がアクセスしないために暗号化などの措置を講じる義務(8条)許可を受けた軌道を外れたときは衛星リモセン装置を停止する義務(9条)許可を受けた送受信設備以外を使用しない義務(10条)衛星リモセン装置に対する信号の送信や観測データの受信、リモセン記録の他社への提供など衛星リモセン装置の使用状況について記録し、保存する義務(12条、施行規則13条) 許可番号:RU-24-0004衛星リモートセンシング装置「StriX-4 SARセンサー」の使用の許可有効期間:2024年5月31日~有効期限なし 許可番号:RU-24-0005衛星リモートセンシング装置「StriX-2 SARセンサー」の使用の許可有効期間:2024年11月20日~有効期限なし 許可番号:RU-25-0004衛星リモートセンシング装置「StriX-5 SARセンサー」の使用の許可有効期間:2025年9月18日~有効期限なし 許可番号:RU-25-0005衛星リモートセンシング装置「StriX-6 SARセンサー」の使用の許可有効期間:2025年9月18日~有効期限なし 当社グループの電波法の許認可 (取得者名:株式会社Synspective Japan、所管官庁等:総務省) 許可番号及び許認可等の内容   ①許認可の根拠となる法律名②許認可の要件③許認可後の義務 StriX-2無線局の種類:人工衛星局免許番号:関宇第616号有効期間:2025年1月30日~2027年11月30日   ①電波法による無線局免許取得②日本国籍の者(5条1項)電波法又は放送法に規定する罪を犯し罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わった日から二年を経過した者若しくは、電波法第75条第1項、第76条第4項から第6項、第27条の16第1項又は第6項の規定により免許、登録又は認定の取り消しを受け、その取り消し日から2年経過した者(5条3項)③自己若しくは他人に利益を与える、又は他人に損害を加える目的で虚偽の通信をしない(106条)他の無線設備の機能に障害を与えて無線通信を妨害しない(108条の2)免許がないのに無線局を開設し、又は運営しない(110条)必要な報告を怠り又は虚偽の報告を行い、検査を拒み、妨げ又は忌避しない(111条)規定に沿って届け出をし、又は虚偽の報告をしない(112、113条)行為者を罰するほか、その法人に対して電波法第114条各号に定める罰金刑を課されない(114条) StriX-3無線局の種類:人工衛星局免許番号:関宇第617号有効期間:2024年5月1日~2027年11月30日 StriX-4無線局の種類:人工衛星局免許番号:関宇第625号有効期間:2024年9月27日~2027年11月30日 StriX-5無線局の種類:人工衛星局免許番号:予備免許のため無し有効期間:予備免許のため期間の記載無し StriX-6無線局の種類:人工衛星局免許番号:予備免許のため無し有効期間:予備免許のため期間の記載無し StriX-6じっけん無線局の種類:実験試験局免許番号:予備免許のため無し有効期間:予備免許のため期間の記載無し Synspectiveとうきょうインマルサットかはんちきゅうじっけん1無線局の種類:実験試験局免許番号:予備免許のため無し有効期間:予備免許のため期間の記載無し ③知的財産権について 発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:高 当社グループでは随時他者の保有する特許調査を行っており、その調査範囲において解決すべき他者特許への侵害は当社グループから抽出されておりません。当社グループで創出した発明・独自技術について権利化を進め、他社の使用等を抑止しています。また、当社グループでは、知的財産権の管理、特に第三者の知的財産権への侵害等を回避することは事業活動に不可欠なものと認識しており、特許公報の調査などを強化することにより当該リスクの低減に努めてまいります。 しかし、第三者との間で、無効、模倣、侵害等の知的財産権の問題が生じた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (2025年12月31日現在) 特許権   実用新案権   商標権   意匠権 取得済件数   1   -   12   - 出願中件数   13   -   5   - 合計   14   -   17   - 主な特許権 特許権の名称(取得済又は出願中の別)   出願年月日出願番号   登録年月日登録番号   存続期間満了日   内容・特徴 解析装置、解析方法及び解析プログラム(取得済み)   2020年3月11日特願2022-507096(日本出願)   2024年2月1日特許第7430008号   2040年3月11日   熱赤外帯域及び熱赤外帯域以外の衛星データ解析により、対象物の変化による工場や公共施設の稼働状況を把握し、その稼働率の検知が可能となります。 (4)重要情報の流出や取扱い及びサイバーセキュリティに関するリスク 発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:高 当社グループのデータ販売の主要な販売先は各国の防衛機能を担う省庁となるため、安全保障上重要な情報を取り扱っており、当社グループは、事業活動を正常かつ円滑に行う上で、法令の遵守、顧客要求の達成をはじめとする情報セキュリティの確保は重要課題のひとつであると考え、顧客の機密情報や個人情報及び当社グループの情報資産を保護する指針として、情報セキュリティ基本方針を策定し、以下の通り実施し推進しております。 ①本基本方針は、当社グループが事業の中で取り扱う「情報資産」ならびにすべての役職員及び協力会社社員を対象とします。情報資産とは、当社グループが預託、保有、運用管理する情報、データ及び情報システム、ネットワーク、設備とします。 ②情報セキュリティに関するリモートセンシングに関連する法令をはじめとする、規則、顧客および外部利害関係者と締結した契約等のセキュリティ要求事項を遵守します。 ③情報を取り扱う上で事業に影響を及ぼすリスクを識別し、その発生の可能性や影響度を把握することで情報の適正な管理に努めるとともに、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)が経営に寄与することを確実なものとするために、情報セキュリティ目的を設定し、その達成に向けた活動を推進します。 ④適用範囲内すべての役職員及び関係会社社員に対し、本方針の重要性と情報の適正な管理について啓発させます。 ⑤ISO/IEC 27001(ISMSに関する国際規格)に準拠した情報セキュリティマネジメントシステムを確立した上で、推進体制を確立して運用し、運用状況を監督すると共に本システムを継続的に維持・改善します。 ⑥情報セキュリティに関連する事故及び事件を予防し、事故及び事件が発生した場合は、内容の報告および必要に応じた緊急措置を迅速に対応し、原因分析の上で適切な再発防止策を講じます。 上記取組みの一つの実績として、国際標準であるISO/IEC 27001に関する認証審査、及び初回認証登録を2021年5月18日に完了いたしました(認証登録番号: IS 745935)。また、複雑化し変化の速いサイバーセキュリティ攻撃に対応するため、2021年3月に米国Space ISACに加入いたしました。Space ISACにて共有される、宇宙業界に関係する脆弱性、インシデント事例、脅威動向の情報を当社グループの情報セキュリティ対策に活用してまいります。 しかしながら、これら情報セキュリティ管理にも関わらず、当社グループが情報資産の情報セキュリティ侵害又はその他法令違反を起こした場合には、損害賠償責任又は刑罰を負う可能性があるほか、当社グループが社会的信用を喪失し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 (5)その他のリスク ①システム障害に関するリスクについて 発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中 当社グループで扱うシステムには、顧客へ提供しているクラウドベースサービス、当社グループ衛星運用のための地上システム、及び業務システムがあります。これらのシステムにおいて、ソフトウェアの不具合、人為的ミス、又はサプライヤーや災害等に起因するシステム障害が発生した場合、リスクに応じて予め計画していた冗長化やバックアップを用いた迅速な復旧を試みます。しかし、これら対応にも関わらず障害が深刻・長期化した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 ②調達資金の使途について 発生可能性:低、発生可能性のある時期:数年以内、影響度:低 当社グループが実施した調達資金については、主に事業の拡大に係る衛星の開発・製造及び関連する設備投資、人件費、研修採用費、研究開発費、業務委託費及び事業発展に伴うシステム利用料の運転資金に充当する予定であります。しかしながら、当社グループが属する業界においては変化が著しく、環境変化に柔軟に対応するため、調達資金を現時点における資金使途計画以外の使途へ充当する可能性があります。また、当初の計画に沿って調達資金を使用した場合でも、想定していた投資効果を上げられない可能性もあります。このような場合、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③財務制限条項に関するリスクについて 発生可能性:低、発生可能性のある時期:数年以内、影響度:高 金融機関からの借入金には、コベナンツ(財務制限条項)が付されていることがあり、当社グループでは、財務制限条項に抵触しないよう、取締役会や経営会議において事業計画をモニタリングするとともに、財務制限条項に抵触する可能性のある取引の実行は、取締役会の事前の承認があることを条件としています。これらの対応策にもかかわらず、財務制限条項を遵守することができない場合、当社グループは期限の利益を失い、借入金の一部又は全額の返済を求められる可能性があります。 ④ストック・オプションの行使による株主価値の希薄化について 発生可能性:高、発生可能性のある時期:数年以内、影響度:低 当社グループは、当社グループ従業員及び社外協力者に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブとしてストック・オプションを付与しているほか、今後も優秀な人材確保のためストック・オプションを発行する可能性があります。これらのストック・オプションが権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する1株当たりの株式価値を希薄化させる可能性があります。 ⑤税務上の繰越欠損金についてのリスクについて 発生可能性:低、発生可能性のある時期:数年以内、影響度:中 当社は税務上の繰越欠損金を有しております。当社の業績が計画通りに推移することにより、期限内にこれら繰越欠損金の繰越控除を受けることが予想されます。しかしながら、繰越期限の失効する繰越欠損金が発生した場合には、繰越控除が受けられなくなり、通常の税率に基づく法人税等が計上されることになり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥無配の実績を踏まえた配当政策についてのリスクについて 発生可能性:低、発生可能性のある時期:数年以内、影響度:低 当社は、創業以来繰越利益剰余金がマイナスとなっており配当可能利益がなく、現在まで配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元を重要な課題として認識しております。しかしながら、当社は成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り将来の事業成長のための投資等に充当することが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。将来的には、配当による利益還元を検討していきますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定です。 ⑦ベンチャーキャピタル等の株式保有比率についてのリスクについて 発生可能性:高、発生可能性のある時期:数年以内、影響度:中 当連結会計年度末における、当社発行済株式総数131,573,900株のうち、計29,234,800株は、株式公開時のロックアップ対象のベンチャーキャピタル、ベンチャーキャピタルが組成した投資事業有限責任組合及びベンチャーキャピタル又は投資事業有限責任組合が株式事務を委託した代行機関、金融商品取引業者(以下「VC等」という。)が所有しており、VC等が保有する当社株式の割合は22.2%となっております。 2025年6月16日に株式公開時のロックアップが解除されており、VC等が所有する当社株式の一部又は全部を売却することが予想され、当社株価形成に影響を与える可能性があります。 ⑧継続企業の前提に関する重要事象等について 発生可能性:低、発生可能性のある時期:数年以内、影響度:低 当社グループは、継続的な営業損失を計上している状況にあり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況が存在しているものと認識しております。 この主たる要因は、衛星の製造及び打上げに伴う大規模な先行投資が必要であり、投資回収までに期間を要するためであります。 このような事象又は状況を解消すべく、当社グループの主要事業である衛星データ事業において、収益増加のドライバーとなる衛星機数を早期に増加させるとともに、市場環境や顧客ニーズの変化を踏まえた継続的な戦略の見直しを行い、グローバル市場における事業展開及びソリューション提供の拡充を推進してまいります。 具体的には、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 5.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおり、当該重要事象等を解消するための対応策を実施しております。 また、当連結会計年度末において、24,542,232千円の現金及び預金を保有しており、加えて、既存の借入枠、今後見込まれる「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な後発事象 (重要な契約の締結)」に記載の防衛省との契約及び補助金収入を踏まえると、当連結会計年度末から少なくとも1年間の資金繰りについて重要な懸念は認められないと判断しております。 以上により、継続企業の前提に重要な不確実性は認められないと判断しております。
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業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 経営成績等の状況の概要 当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ①財政状態の状況 (資産) 当連結会計年度末の流動資産合計は26,541,200千円となり、前連結会計年度末に比べ10,287,972千円の増加となりました。主な要因は、小型SAR衛星部品の購入・小型SAR衛星打上げ費用の前払い等により減少したものの、新株予約権の行使による増資、第三者割当による新株式の発行及び借入の実行等により現金及び預金が10,302,370千円増加したことによるものであります。 当連結会計年度末の固定資産合計は22,832,444千円となり、前連結会計年度末に比べ10,890,336千円の増加となりました。主な要因は、小型SAR衛星の製造等により建設仮勘定が7,597,869千円増加したことによるものであります。 (負債) 当連結会計年度末の流動負債合計は5,270,746千円となり、前連結会計年度末に比べ3,041,351千円の増加となりました。主な要因は、借入の実行等より短期借入金が1,790,000千円、1年内返済予定の長期借入金が1,088,500千円増加したことによるものであります。 当連結会計年度末の固定負債合計は5,309,500千円となり、前連結会計年度末に比べ783,500千円の減少となりました。これは、借入の実行をしたものの、「1年内返済予定の長期借入金」(流動負債)への振替により長期借入金が783,500千円減少したことによるものであります。 (純資産) 当連結会計年度末の純資産合計は38,793,398千円となり、前連結会計年度末に比べて18,920,457千円の増加となりました。主な要因は、新株予約権の行使による増資、第三者割当による新株式の発行により資本金と資本剰余金がそれぞれ9,272,622千円、新株予約権が746,796千円増加したものの、親会社株主に帰属する当期純損失を371,162千円計上したことによるものであります。 ②経営成績の状況 当連結会計年度における我が国の経済は、地政学的リスクや海外の主要な政策動向の不透明感による景気の下振れリスクはあるものの、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加等により緩やかな回復基調が続くものと見込まれています。 宇宙業界においては、10年で1兆円という長期かつ大規模な支援となる「宇宙戦略基金」が国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)に設置され、2024年度からスタートした第1期では、当社は公募テーマ「商業衛星コンステレーション構築加速化(予算総額950億円で4社が採択済み)」に採択され、続く第2期が2025年度からスタートし、採択結果が順次公表されております。加えて、防衛省の「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」について、三菱電機株式会社、スカパーJSAT株式会社、三井物産株式会社が設立した株式会社トライサット・コンステレーション(以下、トライサット)が、防衛省と事業契約を締結し、協力企業の1社である当社は、トライサットと三菱電機株式会社との間で、小型SAR衛星の画像データ取得に関する業務委託契約を締結するなど、宇宙産業を日本経済における成長産業とするための政府の継続的な支援が加速している状況です。 このような状況の下、当社グループは、「次世代の人々が地球を理解し、レジリエントな未来を実現するための新たなインフラをつくる」ことを目指して、地球を恒常的に俯瞰する自社SAR衛星「StriX」と関連システムの開発・製造・打上を通じた衛星コンステレーションの構築と、その取得データの継続的な販売及び社会的関心度も高い自然災害・安全保障・環境リスクを軸にソリューションのラインナップの拡大に向けて、衛星データ市場の開拓に取り組んでいます。 経営管理上の重要な指標の状況 当社グループは、以下を経営管理上の重要な指標として定めています。 ・総収入(売上高+補助金収入)、受注残高 総収入は6,140,883千円(前連結会計年度比144.8%増)となりました。その主な要因は、内閣府宇宙開発戦略推進事務局が推進する「小型SAR衛星コンステレーションの利用拡大に向けた実証」の令和6年度分の納入完了及び令和7年度分の一部を売上に計上したことに加えて、防衛省が推進する安全保障用途に適した小型合成開口レーダ(SAR)衛星の宇宙実証の納入完了により、売上高が増加したことによるものです。加えて、経済産業省の実施する「中小企業イノベーション創出推進事業」(以下、経産省SBIR)及び国土交通省の「中小企業イノベーション創出推進事業」(国交省SBIR)、並びに宇宙戦略基金による補助金収入を計上したことによるものです。結果として、売上高は2,376,506千円(前連結会計年度比2.6%増)、補助金収入は3,764,376千円(前連結会計年度比1,859.5%増)となりました。 受注残高は24,960,649千円となりました。その主な要因は、経産省SBIR(交付決定額4,100,000千円)、宇宙戦略基金「商業衛星コンステレーション構築加速化」(補助事業期間の支援予定上限額:23,790,000千円、うち16,464,008,666円円が交付決定済)、内閣府宇宙開発戦略推進事務局「令和7年度小型SAR衛星コンステレーションの利用拡大に向けた実証」(落札金額1,067,166千円)等によるものです。なお、当該指標においては、採択された補助金収入を含めて受注残高として算出しております。 ・衛星運用機数 2028年以降に30機以上の運用に向けて、設立以来、当連結会計年度末現在までに「StriX」を7機打ち上げてまいりましたが、既に最初の実証機2機及び量産実証機1機は商用運用が終了し、当連結会計年度末現在は軌道上で4機の運用を行っております。 衛星の打上げにつきましては、当連結会計年度末現在、Rocket Lab社(本社:米国)と20機の衛星打上げ契約を、SpaceX社(本社:米国)とは5機の衛星のライドシェアローンチ契約を残しており、合計で25機分の将来打上げの契約を確保しております。なお、Exolaunch社(本社:ドイツ)とは10機のSAR衛星の打上げのマルチローンチアグリーメントを締結しており、打上げ契約の代理店機能を担う同社を経由して、先述のSpaceX社の5機のうち3機の契約を確保しています。 財務面の状況 財務面においては、2025年度に実施した主な資金調達は以下です。 ・オーバーアロットメントに関連した第三者割当増資 東京証券取引所グロースへの上場に伴う公募による募集株式発行に関連して、2025年1月17日を払込期日とする第三者割当増資を実施し、1,418,846千円を資金調達しました。 ・シンジケートローンの締結 2025年2月20日にみずほ銀行をアレンジャー、静岡銀行をコ・アレンジャーとするシンジケートローン(コミットメント期間付タームローン、8,100,000千円)を新たに締結しました。 ・新株予約権及び第三者割当増資 2025年7月28日開催の取締役会において発行決議を行いました、第三者割当による第5回新株予約権(行使価額修正条項付)について、その一部の行使により12,527,980千円を資金調達したのち、2025年12月1日付で残存する第5回新株予約権の全部を取得し、直ちに消却しました。加えて、2025年12月1日を払込期日、割当先をヒューリック株式会社とする第三者割当増資を消却した新株予約権と同株式数実施し、4,509,468千円を資金調達しました。 その他の状況 2025年3月には、世界最大の宇宙関連市場である北米・中南米地域での事業の拠点として、米国子会社を設立しました。これにより従来の日本・アジア地域での事業展開に加えて、北米・中南米地域においても現地ニーズに応じた迅速な事業活動を展開することで、当社グループの成長をより加速してまいります。 この結果、当連結会計年度における売上高は、2,376,506千円(前連結会計年度比2.6%増)、営業損失は4,137,638千円(前連結会計年度は3,070,206千円の損失)、経常損失は1,074,946千円(前連結会計年度は3,594,948千円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は371,162千円(前連結会計年度は3,592,954千円の損失)となっております。 なお、当社グループは衛星データ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の業績記載を省略しております。 ③キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ10,302,370千円増加し、24,542,232千円(前連結会計年度末は14,239,861千円)となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度において営業活動に得られた資金は1,656,601千円(前連結会計年度は1,798,097千円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失1,064,529千円(前年同期は税金等調整前当期純損失3,586,493千円)となった一方で、減価償却費1,609,881千円(前年同期は減価償却費1,097,476千円)、株式報酬費用754,524千円(前年同期は株式報酬費用437,930千円)等を計上したことによるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度において投資活動に使用した資金は11,629,478千円(前連結会計年度は7,464,995千円の使用)となりました。これは主に、衛星製造部品等購入による有形固定資産の取得による支出10,907,909千円(前年同期は有形固定資産の取得による支出7,336,512千円)等によるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度において財務活動から得られた資金は20,270,814千円(前連結会計年度は19,032,705千円の獲得)となりました。これは主に、株式の発行による収入5,928,314千円(前年同期は株式の発行による収入15,159,304千円)、新株予約権の行使による株式の発行による収入12,531,824千円(前年同期は新株予約権の行使による株式の発行による収入はなし)等によるものです。 ④生産、受注及び販売の実績 a.生産実績 当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。 b.受注実績 当社グループは、衛星データ事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の受注実績は次のとおりであります。 セグメントの名称   受注高(千円)   前期比(%)   受注残高(千円)   前期比(%) 衛星データ事業   25,739,276   971.9   24,960,649   465.5 (注)第8期連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。その主な要因は、経産省SBIR(交付決定額4,100,000千円)、宇宙戦略基金「商業衛星コンステレーション構築加速化」(補助事業期間の支援予定上限額:23,790,000千円)、内閣府宇宙開発戦略推進事務局「令和7年度小型SAR衛星コンステレーションの利用拡大に向けた実証」(落札金額1,067,166千円)等によるものです。 c.販売実績 当社グループは、衛星データ事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における販売実績は、次の通りであります。 セグメントの名称   金額(千円)   前期比(%) 衛星データ事業   2,376,506   102.6 (注) 1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次の通りであります。 相手先   第7期連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)   第8期連結会計年度(自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) 金額(千円)   割合(%)   金額(千円)   割合(%) 内閣府   1,294,986   55.9   1,377,405   58.0 防衛省   844,342   36.4   647,627   27.3 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。 ①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成において適用する会計基準等につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記事項(重要な会計上の見積り)」、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表注記事項(重要な会計方針)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りです。 ②財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 a.財政状態 主な増減内容については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。 b.経営成績 主な当該内容については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。 (売上高) 売上高は、前連結会計年度に比べて59,857千円(2.6%)増加し、2,376,506千円となりました。これは主に、官公庁向けの売上が増加したことによるものであります。 (売上原価、売上総利益) 売上原価は、前連結会計年度に比べて266,607千円(12.7%)増加し、2,368,740千円となりました。これは主に、観測衛星の減価償却費の増加や、内閣府実証及びSAR衛星の宇宙実証の直接原価などによるものであります。この結果、売上総利益は7,766千円(前連結会計年度は214,517千円)となりました。 (販売費及び一般管理費、営業損失) 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べて860,681千円(26.2%)増加し、4,145,405千円となりました。これは主に、事業拡大のため人員採用を積極的に行ったことにより給料及び手当が127,461千円、株式報酬費用が151,342千円、販売体制拡大等により業務委託費が132,383千円、外形標準課税対象法人になったことにより租税公課が113,446千円増加したこと等によるものであります。この結果、営業損失は4,137,638千円(前連結会計年度は3,070,206千円の営業損失)となりました。 (営業外収益、営業外費用、経常損失) 営業外収益は、前連結会計年度に比べて3,591,033千円(1,839.2%)増加し、3,786,278千円となりました。これは主に、経産省SBIR及び国交省SBIR並びに宇宙戦略基金による補助金収入が3,764,376千円発生したこと等によるものであります。営業外費用は、前連結会計年度に比べて3,597千円(0.5%)増加し、723,586千円となりました。これは主に借入金による支払利息が157,777千円、支払手数料が203,373千円が増加したものの、上場関連費用が383,478千円減少したこと等によるものであります。この結果、経常損失は1,074,946千円(前連結会計年度は3,594,948千円の経常損失)となりました。 (特別利益、特別損失、税金等調整前当期純損失) 特別利益は、16,076千円となりました。これは、新株予約権戻入益16,076千円を計上したことによるものであります。特別損失は、5,659千円となりました。これは、固定資産売却損1,058千円、固定資産除却損4,601千円を計上したことによるものであります。この結果、税金等調整前当期純損失は1,064,529千円(前連結会計年度は3,586,493千円の税金等調整前当期純損失)となりました。 (親会社株主に帰属する当期純損失) 法人税、住民税及び事業税9,255千円、法人税等調整額△702,621千円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は371,162千円(前連結会計年度は3,592,954千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。 ③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 キャッシュ・フローの状況につきましては「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当社グループの資金需要は主に運転資金需要と設備資金需要があります。運転資金需要は企画から製造に必要な運転資金(研究開発費、人件費、諸経費)、販売費及び一般管理費等の営業活動および広告宣伝等費用によるものです。設備資金需要につきましては、衛星製造設備投資であります。 財務政策につきましては、当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、必要に応じて内部資金の活用及び第三者割当増資により資金調達を行っております。 ④経営成績に重要な影響を与える要因について 当社グループは、「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおり、衛星の開発・製造・打ち上げ等の事業計画の進捗、衛星の製造体制、衛星の運用及び法規制等の様々なリスクの顕在化により業績に影響を受ける可能性があるものと認識しております。 したがって、内外の経営環境及び事業環境に影響を及ぼす要因に留意しつつ、適時に情報を収集・分析する体制を整備し、特に衛星の製造や運用に関するリスクに対応可能な体制を構築するとともに必要な経営上の施策を実行することにより業績に影響を与えるリスク要因の分散及び低減を図ってまいります。 ⑤経営者の問題意識と今後の方針について 経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

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出典

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