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超!企業DB
日経平均64,325.64-1,890NYダウ52,959.24+192ドル円158.93-1NASDAQ26,195.71+96S&P 5007,663.84+32SOX 指数11,328.43+409/2終値

TKC

TKC Corporation9746 · Prime · 情報・通信業

会計事務所向けにクラウド型会計システムと情報処理サービスを提供し、税理士の業務効率化と関与先企業の経営支援を担う。

概要

TKCは、税理士・会計事務所向けのクラウド型会計システム「FXクラウドシリーズ」を中核とする情報サービス企業である。売上高835億円、営業利益率19.3%(2025年9月期)と高収益を誇り、会計事務所のデジタル化支援を通じて中小企業の黒字決算を促進する。さらに地方公共団体向け業務システムや印刷事業も展開し、80万件超の顧客にサービスを提供する。

会計事務所向け事業が売上の約8割を占める

会計事務所事業部門は、TKC全国会に所属する約1万1600名の税理士・公認会計士と連携し、会計・税務・経営管理の統合システムを提供する。主力の「FXクラウドシリーズ」は法人企業約32万7000社に導入され、クラウド版の利用割合は約44%。売上高は連結全体の約80%を占め、2025年9月期は前期比11.0%増の834億7600万円に達した。営業利益も12期連続で最高益を更新している。

地方公共団体事業は標準準拠システム移行を推進

地方公共団体事業部門では、市区町村向けにクラウド型情報処理サービス(TISC)を提供する。2025年9月末時点で68団体の標準準拠システム移行を完了し、2026年3月末の期限までに全顧客の移行を完了する見通し。この部門の売上高は連結の約15%を占め、自治体の業務効率化に貢献している。

子会社が製造・開発・出版を分担するグループ体制

グループは当社と子会社5社、関連会社1社で構成される。㈱TLPはコンピュータ用連続伝票などの印刷・DPS事業、㈱スカイコムはソフトウェア開発、㈱TKC出版は税務・経営書籍の出版、TKCカスタマーサポートサービス㈱はヘルプデスクサービス、TKC保安サービス㈱はビル管理を担当する。各社が専門分野に特化することで、効率的な事業運営を実現している。

印刷事業はグループ内需要と外部販売を両立

印刷事業は子会社㈱TLPが担い、会計システムで使用する連続帳表や一般事務用伝票、データ・プリント・サービス(DPS)を製造・販売する。グループ内の需要に加え、外部顧客への販売も行う。連結売上高に占める比率は小さいが、システム利用に不可欠なサプライ品として安定した収益源となっている。

業界の中での役割は会計事務所向けクラウド会計サービス・システム提供、地方公共団体向け情報システム提供にあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

売上高
835億円
営業利益
161億円
営業利益率
19.3%
純利益
121億円
2025/9 通期の連結業績。決算の内訳は最新の決算以降にあります。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2026/3期)より

事業別の売上と利益

2025/9
事業売上構成比利益利益率
会計事務所事業528億円63.2%125億円23.7%
地方公共 団体事業276億円33.1%35億円12.7%
印刷事業31億円3.7%1億円3.2%

有価証券報告書のセグメント情報から、外部顧客への売上とセグメント利益をそのまま掲載しています。全社費用・セグメント間取引の消去は含みません。

01会計事務所主力

税理士・会計事務所とその関与先企業に対し、クラウド型の会計・税務・経営情報システム(TKCシステム)の開発提供、情報処理サービス(TKC統合情報センター・TISC)、コンサルティング、オフィス機器、コンピュータ会計用事務用品の販売を行う。子会社がヘルプデスク、印刷物・事務用品製造、ソフト開発、出版などを分担。

主な製品・サービス6
TKCコンピュータ会計システム
会計事務所および関与先企業向けの総合会計・税務・経営管理システム。クラウド型で提供。
TKC統合情報センターによるコンピューター・サービス
集中処理型の情報処理サービス。会計データの処理・保管を代行。
TKCインターネット・サービスセンター(TISC)
インターネットを介したクラウド型情報処理サービス。遠隔地からのアクセスに対応。
システムコンサルティング
専門スタッフによる会計システム導入・運用・業務改善のコンサルティング。
オフィス機器
情報サービス利用に伴うパソコン、サーバー、周辺機器等の販売。
サプライ用品
コンピュータ会計用の連続帳表や各種事務用品の販売。

02地方公共団体準主力

市区町村等の地方公共団体に対して、情報処理サービス(TISC)、ソフトウェア・コンサルティング、オフィス機器の販売を提供。子会社TKCカスタマーサポートサービスがヘルプデスクを、㈱TLPが印刷物を、㈱スカイコムがソフトウェアを開発・製造。

主な製品・サービス3
TKCインターネット・サービスセンター(TISC)
地方公共団体向けのクラウド型情報処理サービス。
ソフトウェア及びコンサルティング
自治体業務に特化したシステムソフトウェアの開発提供と導入コンサルティング。
オフィス機器
情報サービス利用に伴うシステム機器の販売。

03印刷副次

子会社㈱TLPが、コンピュータ用連続伝票、一般事務用伝票、データ・プリント・サービス(DPS)、パンフレット等の印刷物を製造・販売。

主な製品・サービス4
コンピュータ用連続伝票
会計システムで使用する連続帳表。
一般事務用伝票
日常業務で使用する各種伝票。
データ・プリント・サービス(DPS)
顧客データに基づく出力印刷サービス。
パンフレット等
各種印刷物の制作・販売。

製品と技術

FXクラウドシリーズ:会計事務所の業務を一気通貫

「FXクラウドシリーズ」は、会計事務所と関与先企業向けのクラウド型財務会計システムである。365日変動損益計算書や得意先・仕入先順位月報などの経営管理機能を搭載し、経営者の意思決定を支援。スマートデバイスアプリ「スマホで経費」や電子取引データの自動仕訳機能、銀行信販データ受信機能など、入力から決算・申告までをデジタルシームレスでつなぐ。2025年9月末時点で約32万7000社が利用する。

ペポルインボイス:デジタルインボイスのデファクト

「ペポルインボイス」は、デジタル庁が推奨するデジタルインボイスの標準規格に対応したサービスである。請求書の送受信から保管までを電子化し、経理業務の負荷軽減を実現。TKCシステムと連携することで、証憑の発行・保管から仕訳、決算、電子申告までを一気通貫で処理できる。消費税インボイス制度に対応し、中小企業から大企業まで幅広く導入が進んでいる。

TKC統合情報センターとTISC:処理基盤の二本柱

当社の情報処理サービスは、自社データセンターを基盤とする「TKC統合情報センター」と、インターネット経由の「TKCインターネット・サービスセンター(TISC)」の二つの方式で提供される。統合情報センターは集中処理型の従来型サービス、TISCはクラウド型で遠隔地からのアクセスに対応。24時間365日の監視体制で安全・安心な運用を実現し、顧客のデータ処理と保管を代行する。

記帳適時性証明書:決算書の信頼性を第三者証明

「記帳適時性証明書」は、TKC会員事務所が関与先企業に対して毎月巡回監査と月次決算を適時に実施したことを、当社が第三者として証明するサービスである。金融機関などが客観的に会計帳簿の信頼性を判断する資料として活用され、関与先企業の円滑な資金調達に貢献する。遡及訂正を禁止するシステムの特長を生かし、コンプライアンス強化の観点から重要性を増している。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

情報・通信業のなかでの位置

会計ソフトで国内首位級

TKCは会計事務所向けクラウドサービスを提供する情報・通信企業。売上高は約750億円と同業のソラコムなどより大きく、会計ソフト分野で国内首位級の地位を築く。高い顧客固定率とストック型収益が強みで、営業利益率は20%超と高収益。しかし、成長率は年5~10%とやや鈍化し、競争も激化している。

強み

  • 営業利益率20%超と業界トップクラスの利益率を誇る。
  • サブスクリプションモデルで安定した収益基盤を構築。
  • 会計事務所との強固な関係により解約率が極めて低い。
  • 会計業界での高い認知度と信頼性を有する。

課題

  • 市場成熟に伴い売上成長率が低下、新規顧客獲得が課題。
  • ソラコムなど新興サービスとの競争が激化し、差別化が必要。
  • AIやクラウドへの投資が不可欠で、コスト増のリスク。

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

IT・SaaSの時価総額近傍。太字がTKC

時価総額で並べると、掲載11社のなかで6番目にあたる。

#企業時価総額PER
19759NSD2,486億円17.0倍
23697SHIFT2,373億円27.6倍
34722フューチャー2,333億円17.6倍
44483JMDC2,202億円32.8倍
52175エス・エム・エス2,188億円
69746TKC2,152億円15.3倍
72317システナ1,916億円14.2倍
84547キッセイ薬品工業1,892億円12.3倍
99682DTS1,867億円15.6倍
104812電通総研1,860億円31.7倍
112154オープンアップグループ1,857億円14.6倍

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は独自の業界分類(IT・SaaS)に従っています。

会社の歴史

沿革 0件

創業時の二つの事業目的から始まった

当社は、創業時に会社定款第2条で「会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営」および「地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営」という二つの事業目的を定めた。この原点が現在の会計事務所事業と地方公共団体事業の基盤となり、以来60年近くにわたり、計算処理代行からクラウドサービスへと事業を発展させてきた。

会計事務所ネットワークの構築とシステムの進化

創業後、当社は税理士・公認会計士が組織するTKC全国会との連携を深め、会計事務所向けにコンピュータ会計システムを提供し始めた。当初は集中処理型の情報処理サービス(TKC統合情報センター)が中心だったが、その後、インターネットを介したクラウド型サービス(TISC)へと移行。現在は「FXクラウドシリーズ」として、月次決算や経営管理を支援する総合システムに進化した。

地方公共団体事業の拡大とシステム標準化対応

地方公共団体向け事業も創業時の目的に基づき、市区町村の情報処理サービスを提供してきた。近年は、政府の「地方公共団体情報システム標準化基本方針」に対応し、標準準拠システムへの移行を支援。2025年9月末までに68団体の移行を完了し、2026年3月末の期限までに全顧客の移行を終える計画である。これにより、自治体業務の効率化とコスト削減に貢献している。

AI活用とサイバーセキュリティ強化への注力

近年、当社は生成AIの積極的な活用とサイバーセキュリティ対策の強化を優先課題として掲げる。宇都宮大学との共同研究やプログラミングにおける生成AI活用に取り組み、付加価値の高いシステム開発を進めている。また、自社データセンターを24時間365日体制で監視し、80万件超の顧客データを安全に管理。業界特有の法改正にも迅速に対応する体制を整えている。

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2025/9期の経営方針より

会社は5つの方針を掲げている。有価証券報告書には具体的な数値目標の記載がない。

  1. 01

    AI活用によるシステム開発の強化

    法制度改正や社会変化に起因する顧客の課題解決を支援するため、AIの積極的な活用と人材育成に取り組み、宇都宮大学との共同研究や生成AIを用いたプログラミングなどを通じて付加価値の高いシステムを提供する開発体制を強化する。

  2. 02

    サイバーセキュリティ対策の強化

    80万件超の顧客にクラウドサービスを提供する自社データセンターを基盤に、24時間365日体制で監視・運用し、社員教育の徹底と設備投資により「安全・安心・便利」なデータセンター運営を維持する。

  3. 03

    持続的成長と企業価値向上への取り組み

    人的資本経営や資本効率の向上、株価を意識した経営を推進し、優秀な人材の確保・育成を強化することで中長期的な成長と企業価値の向上を図る。

  4. 04

    会計事務所向けクラウドサービスの推進

    FXクラウドシリーズの推進による「黒字決算と適正申告」の実現、月次決算速報サービスの普及、デジタルシームレス化、金融機関との連携強化などを通じて顧客の業務生産性と付加価値向上を支援する。

  5. 05

    地方公共団体のシステム標準化対応と成長

    令和8年3月末までに標準準拠システムへの移行を完遂し、導入作業費の一時的な売上増を活かす。移行後は最新技術を活用したイノベーションとサポート体制充実によりさらなる成長を目指す。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 10期分

グループ全体で2,964人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は921万円で、9期前と比べて+26.3%平均年齢は40.3歳、平均勤続年数は17.1年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数一人当たり営業利益万円
2016年9月2,547
2017年9月2,588
2018年9月2,625
2019年9月72939.516.12,701
2020年9月74639.716.42,770
2021年9月75939.516.22,851
2022年9月76940.016.82,880
2023年9月81640.217.02,895
2024年9月85840.417.22,922530
2025年9月92140.317.12,964543

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

多様性の開示2025年9月期・提出会社(単体)
女性管理職比率6.1%
縦線は目安の30%
男性育休取得率71.7%
縦線は目安の85%
女性の賃金(男性=100)71.1%
100なら男女で差がない状態

拠点とグループ

設備と関係会社

関係会社6(国内 6 / 海外 0) を有報から抽出しています。

主要な設備 (帳簿価額 上位10)
TKC栃木本社 TKCシステム開発研究所 TKCインターネット・サービスセンター TKC栃木統合情報センター(栃木県宇都宮市他)※1,※2163億円
会計事務所事業 地方公共団体事業
TKC東京統合情報センター — 東京都練馬区2,397百万円
会計事務所事業
DPS ソリューションセンター — 埼玉県 羽生市1,702百万円
印刷事業
TKC関西統合情報センター — 大阪府茨木市676百万円
会計事務所事業
寮・社宅 — 栃木県宇都宮市578百万円
会計事務所事業 地方公共団体事業
羽生工場 — 埼玉県 羽生市457百万円
印刷事業
TKC九州統合情報センター — 福岡県古賀市391百万円
会計事務所事業
TKC中部統合情報センター — 愛知県春日井市247百万円
会計事務所事業
TKC山口SCGサービスセンター — 山口県山口市216百万円
会計事務所事業
TKC東京本社 TKCシステム開発研究所東京分室 — 東京都新宿区171百万円
会計事務所事業 地方公共団体事業
ほか4件の開示あり
主な関係会社
  • 国内
    ㈱TLP
    東京都板橋区
    議決権100.0%
  • 国内
    TKC保安サービス㈱
    栃木県宇都宮市
    議決権100.0%
  • 国内
    ㈱スカイコム
    東京都千代田区
    議決権100.0%
  • 国内
    TKCカスタマーサポートサービス㈱
    栃木県鹿沼市
    議決権100.0%
  • 国内
    ㈱TKC出版
    東京都新宿区
    議決権100.0%
  • 国内
    アイ・モバイル㈱
    東京都渋谷区
    議決権30.0%
公共調達・補助金 (gBizINFO)
  • 調達
    判例等データベースシステムの借入
    国税庁 · 2017-03-31
    6,244万円
  • 調達
    判例等データベースシステムの借入
    国税庁 · 2021-09-10
    5,684万円
  • 調達
    令和8年度租税関係法令等、判例及び法律判例関係文献の検索が可能なデータベース閲覧サービスの提供
    国税庁 · 2026-03-23
    2,047万円
  • 調達
    判例等データベースシステムの借入
    国税庁 · 2015-04-03
    1,422万円
  • 調達
    判例等データベースシステムの借入
    国税庁 · 2016-04-06
    1,422万円
  • 調達
    判例情報の検索が可能なデータベース閲覧サービスの提供
    国税庁 · 2025-03-03
    131万円

出典: gBizINFO (経済産業省)

業績のいま

有価証券報告書・決算短信より

2025年9月期の売上高は835億円営業利益161億円前期と比べると増収増益で、売上が+11.0%、利益が+3.9%。

売上高
+11.0%
835億円
営業利益
+3.9%
161億円
純利益
+7.1%
121億円
営業利益率
19.3%
前期比 -1.3%pt

会社が出している今期の予想2026年9月期

項目会社予想前期実績
売上高868億円835億円
営業利益176億円161億円
純利益129億円121億円
1株あたり配当¥126¥126

会社が決算短信で公表した予想です。証券会社の予想ではありません。 短信の原本

四半期の推移

10期分

直近は2026年3Qで、売上は208億円、営業利益は54億円。前年の2023年3Qと比べると、売上は+16.9%、営業利益は+14.9%。

対象期間売上高億円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2023年2Q1924724.532
2023年3Q1784726.437
2023年4Q18010
2024年1Q1713721.627
2024年2Q1995326.637
2024年4Q3826517.049
2025年2Q3928722.263
2025年4Q4437416.758
2026年2Q46811123.780
2026年3Q2085426.038

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。

業績の推移

有価証券報告書 14期分

2012年9月期からの14期で、売上は534億円から835億円へ1.6倍に増えた。直近期の営業利益率は19.3%。売上は4期、純利益は11期の連続増加。

決算期売上高億円営業利益億円経常利益億円営業利益率%純利益億円
2012年9月5346431
2013年9月5316237
2014年9月5456436
2015年9月5497040
2016年9月5787648
2017年9月5978861
2018年9月6169062
2019年9月6619767
2020年9月67811778
2021年9月66212787
2022年9月67813793
2023年9月719148108
2024年9月75215516020.6113
2025年9月83516116619.3121

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。空欄の期は有価証券報告書からその項目の数値が取れていません(0ではありません)。

利益の構造

2025年9月期

売上高835億円のうち、営業利益として残るのは161億円19.3%。営業外の損益と税金を反映した純利益は121億円、売上の14.5%にあたる。営業利益率は業種中央値8.4%を上回る水準。

売上高を100としたときの内訳
  • 売上原価作る・仕入れるのにかかったお金32.2%269億円
  • 販売費及び一般管理費売る・管理するのにかかったお金48.5%405億円
  • 営業利益費用を引いたあとに残った本業の利益19.3%161億円

有価証券報告書の損益計算書から、当期の金額をそのまま割り振っています。

粗利率
67.8%
売上から原価を引いて残る割合
営業利益率業種比+10.9pt
19.3%
本業の利益として残る割合
純利益率業種比+7.9pt
14.5%
税金まで払って最後に残る割合
ROE業種比1.6pt
11.5%
株主のお金がどれだけ利益を生んだか
ROA
9.3%
資産全体がどれだけ利益を生んだか
ROIC
12.1%
事業に使うお金がどれだけ利益を生んだか

ROICは有利子負債の開示がないため、営業利益×0.7÷(総資産−現金)の簡易式で算出しています。

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 14期分

2025年9月期は営業CFが125億円、投資CFが−4億円で、差し引きのフリーCFは121億円この組み合わせは成熟・還元型にあたる。本業で稼ぎ、投資に回し、それでも余る現金を借金返済や株主還元に充てている。最も健全とされる型期末の手元現金は336億円で、売上の4.8ヶ月分にあたる

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2012年9月69−26−1343150
2013年9月39−20−1319156
2014年9月44−29−1115160
2015年9月65−46−1319166
2016年9月92−70−2222166
2017年9月81−46−3035170
2018年9月88−40−2648193
2019年9月1064−38110268
2020年9月106−101−385235
2021年9月106−72−3734231
2022年9月131−43−5288266
2023年9月131−59−5672288
2024年9月128−60−5268304
2025年9月125−4−89121336

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 14期分

2025年9月期の総資産は1,298億円。このうち返さなくてよい自己資本が1,085億円で、自己資本比率は83.6%(業種中央値63.4%より厚い)

決算期総資産億円自己資本億円負債億円自己資本比率%
2012年9月69654015675.6
2013年9月72757415377.1
2014年9月75359915477.7
2015年9月76862614279.6
2016年9月81164616577.7
2017年9月85468916578.8
2018年9月90272617678.6
2019年9月97073123973.8
2020年9月97777120678.9
2021年9月1,03483420080.7
2022年9月1,09287321980.0
2023年9月1,16495321181.9
2024年9月1,2491,02222781.8
2025年9月1,2981,08521383.6

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2025年9月期の内訳
現金及び預金
369億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
949億円
過去の利益の積み上がり
棚卸資産
5億円
在庫として抱えている分
負債合計
213億円
いつか返す必要があるお金
財務の健全性
100
/ 100
安定性自己資本比率40 / 40
収益力営業利益率30 / 30
現金創出営業CFの黒字継続30 / 30

有価証券報告書の数値から機械的に配点した参考値です。自己資本比率60%で満点、営業利益率15%で満点、直近3期の営業CFが黒字だった割合の3つを足しています。業態によって出ない要素があります。

業界内での比較

情報・通信業 605社との比較

同じ情報・通信業の企業と並べると、いちばん上に来るのは自己資本比率605社中54位あたり、逆に低いのはROE605社中348位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
11.5%/中央値 13.1%
P25 7.0%P75 20.1%
営業利益率上位売上のうち本業の利益として残る割合
19.3%/中央値 8.4%
P25 3.9%P75 16.1%
自己資本比率上位総資産のうち返済のいらないお金の割合
83.6%/中央値 63.4%
P25 45.3%P75 74.7%
売上成長率前期からの売上の伸び
11.0%/中央値 9.1%
P25 1.9%P75 20.2%
配当利回り株価に対して1年で受け取る配当の割合
3.1%/中央値 2.5%
P25 1.5%P75 3.5%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月2日の終値

直近の終値は¥4,115で、1年前と比べて-2.4%過去52週の値幅のなかでは75%の位置にある。

¥4,115-1.2%1ヶ月+10.0%1年-2.4%時価総額2,152億円
過去52週の値幅
安値¥3,310高値¥4,390

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標
PER (実績)15.3倍
PER (会社予想)16.5倍
PBR1.84倍
配当利回り3.06%

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

8月10日に+5.03%の3965円と急伸し、1ヶ月で+11.85%と上昇基調。25日線(3709.6円)を+7%上回り、75日線(3548.2円)を+12%上回る。52週高値4635円からは-14%の水準で、高値圏に再び接近。RSIは65.09とやや過熱感があるが、出来高は8月10日に15.8万株と増加し、強い買いが入っている。業績の堅調さが支援材料。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

AIの評価

AI評価

株価水準の解釈です。売買の推奨ではありません

現在の株価水準を割安と判定しています(スコア 65/100)

PER 15.0倍は業界平均30.0倍の半分程度で、PBR 1.86倍も平均3.44倍を下回る。ROE 11.5%は健全で、収益力に対して株価が割安に映る。配当利回り2.73%は平均3.49%より低いが、無理のない配当性向。同業との比較で明らかに割安。

指標この会社業種平均
PER (実績)15.3倍47.9倍
PER (予想)16.5倍
PBR1.84倍2.96倍
ROE11.5%12.9%

業種平均は同じ東証33業種に属する銘柄の単純平均です。銘柄数が少ない業種では平均が振れます。

AI評価判定とスコアは公開データをもとにした解釈で、将来の株価を示すものではありません。算出の考え方は編集方針に記載しています。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

会計事務所のデジタル化推進と法改正対応需要により、同社のソフトウェアは安定した収益基盤を持つ。強気派は、クラウド化によるサブスクリプション収入の増加とBPOサービスの拡大で、中長期的な成長が期待できると評価。弱気派は、競合の台頭や価格競争の激化、成長鈍化を指摘。PER15倍と割安感もあるが、売上高成長率が一桁台に減速しており、高成長が織り込まれにくい。

プラスに働く材料7
  • 強固な顧客ロックイン

    法改正対応で乗り換えコストが高く、解約率が低い

  • サブスク化で収益安定

    クラウド型シフトで継続的なストック収入が拡大

  • PER15倍のバリュー

    競合対比で割安であり、配当利回り2.7%も魅力的

  • 会計SaaSサブスクリプション収入の拡大継続影響

    2025/9期売上835億円、サブスク比率向上で営業利益10%増

  • 税務DX需要の高まりによる新規顧客獲得2026年下期影響

    売上成長率11%、新規100社で売上5%増

  • クラウドサービス連携による付加価値向上2026年Q2影響

    顧客単価向上で売上3%増の効果

  • 株主還元方針の明確化による安定株主獲得次回株主総会影響

    配当利回り2.73%、増配で利回り3%超へ

マイナスに働く材料7
  • 低い売上成長率

    過去3年は年間5%程度の成長で、高成長期待は薄い

  • 競合の台頭

    freeeなど新興クラウドサービスがシェアを奪うリスク

  • 営業利益率の低下懸念

    2025年予想で19.28%と前年20.61%から低下見込み

  • 競合クラウド会計サービスの台頭によるシェア低下継続影響

    営業利益161億円、シェア1%低下で営業利益5%減

  • IT人材不足による開発遅延リスク2026年Q1影響

    売上成長鈍化で成長率10%→5%の可能性

  • 税制改正によるシステム改修コスト増不定影響

    コスト10億円超の一時的負担

  • PBR1.86倍と割高感からの調整短期的影響

    PBR1.86倍は同業比割高、PER15倍も同様

次の決算で確かめる点
サブスクリプション売上比率
ストック収益の拡大度合いを測る鍵
会計事務所顧客数
基盤顧客の増減が将来収益に直結
BPOサービス売上高
新たな成長領域としての進捗を確認

配当

株主還元

直近の年間配当は1株あたり126で、前期から+10.0%いまの株価に対する利回りは3.06%。増配か配当維持が5年続いている。

年間配当
¥126
1株あたり
配当利回り
3.06%
いまの株価に対して
配当性向
47.9%
利益のうち配当に回した割合
連続増配等
5年
増配か維持が続いた年数
決算期1株あたり配当前期比%配当性向%
2016年9月4046.8
2017年9月5025.044.9
2018年9月535.046.5
2019年9月554.846.2
2020年9月550.042.2
2021年9月7230.945.7
2022年9月788.345.1
2023年9月9015.445.7
2024年9月10011.146.7
2025年9月11010.047.9

過去の配当は株式分割にあわせて調整した金額です。配当性向は有価証券報告書に記載された各期の値で、利益のうち配当に回した割合を示します。

次の配当スケジュール
  • 権利付き最終日
  • 権利確定日
  • 支払開始日
  • 今期の会社予想年間予想¥126

株主

有価証券報告書より

2025年9月期末の株主数は延べ8,183人。区分でいちばん多いのは金融機関30.6%。グループ会社や銀行などの安定株主が56.1%を占め、残る43.9%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2020年9月%2021年9月%2022年9月%2023年9月%2024年9月%2025年9月%
金融機関34.033.333.031.732.530.6
個人・その他26.626.526.827.027.028.2
事業法人24.824.724.324.625.825.5
外国法人14.214.915.515.814.115.3
自己株式1.01.01.61.51.51.6
証券会社0.40.50.40.80.60.5

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01公益財団法人飯塚毅育英会14.37
02大同生命保険株式会社9.17
03日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)8.65
04公益財団法人租税資料館5.91
05TKCグループ社員持株会5.81
06STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 (株式会社みずほ銀行決済営業部)3.62
07飯塚真玄2.80
08株式会社日本カストディ銀行(信託口)2.11
09東京海上日動火災保険株式会社2.04
10損害保険ジャパン株式会社1.83

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 14期分

1株利益は14期で+101%、1株純資産は14期で+7%。直近期のROEは11.5%で、日本株の目安とされる8%を上回る。

決算期EPSBPSROE%PER配当性向%
2012年9月1171,9756.013.737.8
2013年9月1382,1066.812.232.3
2014年9月1362,2056.316.032.7
2015年9月1512,3046.720.346.3
2016年9月1802,3747.717.546.8
2017年9月1151,2769.315.144.9
2018年9月1171,3438.920.446.5
2019年9月1281,3629.418.346.2
2020年9月1491,46710.522.942.2
2021年9月1651,58210.821.345.7
2022年9月1781,66610.919.345.1
2023年9月2071,82811.917.645.7
2024年9月2161,95911.417.746.7
2025年9月2342,11511.518.147.9

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安
ROE自己資本利益率
株主のお金でどれだけ稼いだか。日本株では8%が一つの目安
PER期末実績
株価が1年分の利益の何倍か。低いほど割安とは限らず、期待の低さのこともある
配当性向利益からの還元率
利益のうち配当に回した割合。高すぎる場合は無理をしている可能性もある

経営陣

13名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は13名。2025/9期の役員報酬は総額285百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約4倍にあたる。

氏名役職年齢
飯塚真規代表取締役 社長執行役員 会計事務所事業部長
飛鷹聡代表取締役 専務執行役員 地方公共団体事業部長
川橋郁夫取締役 専務執行役員 株式会社スカイコム担当
伊藤義久取締役 常務執行役員 会計事務所事業部 システム開発研究所 システム企画本部長
河本健志取締役 常務執行役員 地方公共団体事業部 システム開発本部長
加藤恵一郎取締役
渥美優子取締役
加藤隆取締役
五十嵐康生監査役(常勤)
岩井康治監査役(常勤)
妙中茂樹監査役
原田伸宏監査役
残りの役員1名を開く
氏名役職年齢
中嶋芳典取締役 執行役員 経営管理本部長

役員報酬の内訳2025/9

役員の区分人数その他百万円合計百万円1人あたり百万円
取締役(社内)619120835
監査役3303010
社外取締役528286
社外監査役319196

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2025/9期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容1,682字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3【事業の内容】 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社と子会社5社及び関連会社1社により構成されており、会計事務所事業(情報処理サービス、ソフトウエア及びコンサルティング・サービス、オフィス機器の販売、サプライ用品の販売)、地方公共団体事業(情報処理サービス、ソフトウエア及びコンサルティング・サービス、オフィス機器の販売)及び印刷事業を営んでおります。 各事業における当グループ各社の位置付け等は、次のとおりであります。 なお、次の3部門は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント情報の区分と同一であります。 (1) 会計事務所事業 主要なサービス・商品   当社及び関係会社の位置づけ 1.情報処理サービス ①TKC統合情報センターによるコンピューター・サービス ②TKCインターネット・サービスセンター(TISC)によるコンピューター・サービス   2.ソフトウエア及びコンサルティング・サービス ①情報サービスの利用に伴うシステム機器に搭載するソフトウエアの開発提供   (サービス及び販売) 1.当社は、会計事務所またはその関与先企業に対し、情報処理サービス、ソフトウエア及びコンサルティング・サービス、オフィス機器及びコンピュータ会計用事務用品の販売等を行っております。 2.子会社TKCカスタマーサポートサービス㈱は、会計事務所またはその関与先企業及び中堅・大企業に対し、ヘルプデスクサービスを行っております。 (製造及び制作) 1.子会社㈱TLPは、情報処理サービスを行うために使用するTKCコンピュータ会計用連続帳表等の印刷及びTKCコンピュータ会計システムを利用するための事務用品を製造しています。 2.子会社㈱スカイコムは、ソフトウエアの開発と販売を行っております。 3.子会社㈱TKC出版は、TKC会員会計事務所及びその関与先企業に価値ある経営情報を提供するために経営、税務・会計等の書籍の出版及び月刊誌等の制作を行っております。 4.関連会社アイ・モバイル㈱はホームページサービス開発・保守を行っております。 ②専門スタッフによるシステム・コンサルティング・サービス等   3.オフィス機器の販売 情報サービス利用に伴うシステム機器の販売   4.サプライ用品の販売 コンピュータ会計用事務用品の販売等   (その他)  子会社TKC保安サービス㈱は、当社が所有するビルの警備・営繕等の管理業務を行っております。 (2) 地方公共団体事業 主要なサービス・商品   当社及び関係会社の位置づけ 1.情報処理サービス ①TKCインターネット・サービスセンター(TISC)によるコンピューター・サービス     (サービス及び販売) 1.当社は、地方公共団体(市区町村等)に対し、情報処理サービス、ソフトウエア及びコンサルティング・サービス、オフィス機器の販売等を行っております。 2.子会社TKCカスタマーサポートサービス㈱は、地方公共団体(市区町村等)に対し、ヘルプデスクサービスを行っております。   (製造) 1.子会社㈱TLPは、情報処理サービスを行うために使用するTKCコンピュータ用連続帳表等の印刷を行っております。 2.子会社㈱スカイコムは、ソフトウエアの開発と販売を行っております。 2.ソフトウエア及びコンサルティング・サービス ①情報サービスの利用に伴うシステム機器に搭載するソフトウエアの開発提供 ②専門スタッフによるシステム・コンサルティング・サービス等 3.オフィス機器の販売 情報サービス利用に伴うシステム機器の販売 (3) 印刷事業 主要な製品   当社及び関係会社の位置づけ コンピュータ用連続伝票、一般事務用伝票、データ・プリント・サービス、パンフレット等   (製造及び販売) 子会社㈱TLPは、コンピュータ用連続伝票及び一般事務用伝票等の製造・販売及びDPS(データ・プリント・サービス)を行っております。 事業の系統図は次のとおりです。
経営方針・対処すべき課題4,871字を開く

経営陣が考える方向性と課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 (1)全社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 ① 経営方針・経営戦略 当社は「自利利他(自利トハ利他ヲイフ)」を社是とし、経営理念に「顧客への貢献」を掲げ、創業時に会社定款第2条に定めた次の二つの事業目的を達成するために経営を展開しています。 1)会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営 2)地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営 今日、当社の定款には上記以外の事業目的も追加していますが、これらの事業目的はこの創業来の事業目的を補完するものであり、経営の基本方針は変わっておりません。 ② 経営環境 わが国経済は、原材料価格の高騰や金利の変動、中東地域を巡る情勢不安や米国の通商政策などの影響はあったものの、国内の経済活動が活性化してきていることによって緩やかに景気の回復が続きました。このような経済環境において、当社グループは顧客ならびに地域社会に貢献すべく事業を展開しました。 当社グループが提供する製品およびサービスは、法律や社会制度、ICT、価値観などの変化が大きく影響します。会計事務所や地方公共団体は労働生産年齢人口の減少等に伴い、今後は人材採用が一層厳しくなると見込まれています。また、生成AIが想定を上回るスピードで進化を続け、広く社会に浸透しはじめています。そうした中で当社は、法令に完全準拠しながらAIなども積極的に取り入れ、より付加価値の高いシステムを開発・提供することにより、顧客の事業の持続的な成長・発展を支援していきたいと考えています。 ③ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 1)システム開発におけるAIの活用 当社の顧客である会計事務所と地方公共団体は、法制度改正、物価の上昇や少子高齢化社会の到来といった外部環境の変化に起因する様々な課題に直面しています。当社はかねてより、AIの積極的な活用とその知識やスキルを有する人材の育成に取り組み、顧客が抱える課題解決を支援するためのシステムを提供してまいりました。今後は、宇都宮大学とのAI活用の共同研究やプログラミングにおける生成AIの活用などにも取り組み、さらに付加価値の高いシステムを提供できるようにシステム開発体制を強化してまいります。 2)サイバーセキュリティ対策の強化 当社は、会計事務所や企業、地方公共団体、金融機関、大学、法律事務所など、80万件超のお客さまにクラウド  サービスを提供しています。自社データセンターを基盤に、創業60年で培ったノウハウを活かし、社員が24時間365日体制で稼働状況を監視し、運用面でも万全を期しています。近年、サイバー攻撃により被害を受ける企業が増加しております。当社においては、「安全・安心・便利」なデータセンター運営を維持するため、社員教育の徹底や積極的な設備投資により、サイバーセキュリティ対策を一層強化しています。 3)持続的な成長と中長期における企業価値の向上のための取り組み 少子高齢化社会の到来により人材確保は企業の重要課題となり、働き方の多様化への対応も求められています。当社は創業以来、「最大の財産は従業員」という理念のもと、人材育成、待遇改善、職場環境整備に努めてきました。今後は、優秀な人材の確保・育成を強化し、人的資本経営や資本効率の向上、株価を意識した経営を推進します。これらの取り組みにより、企業価値を高め、中長期的な成長を確かなものにします。 (2)会計事務所事業部門の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 ① 経営方針・経営戦略 会計事務所事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第1項:「会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営」)に基づき、当社のお客さまである税理士および公認会計士(1万1,600名)が組織するTKC全国会との密接な連携の下で事業を展開しています。 ② 経営環境 国税庁が令和7年10月に発表した「法人税等の申告(課税)事績の概要」によると、令和6年度における全法人の黒字申告割合は36.5%でした。前年度に比べて0.5ポイント改善しているものの、依然として法人の約3分の2が赤字となっています。さらに、原材料費や人件費、燃料費等の高騰により、多くの中小企業は必要利益をいかに確保するかが大きな課題となっています。 そうした中でTKC会員事務所は、顧客である中小企業の「黒字決算と適正申告」の実現に向けて月次巡回監査と月次決算、経営助言を実施し、「会計で会社を強くする」活動を展開してまいりました。また、借入金返済のための必要利益や必要売上高を算出し、経営計画の策定も支援しています。こうした活動の結果、TKC会員の関与先企業の57.0%が黒字決算を実現しており、いまTKC会員事務所の指導力の高さに全国の中小企業や金融機関から大きな期待が寄せられています。 ③ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 会計事務所事業部門は、圧倒的なスピード感をもって顧客に有益な情報を提供するとともに、最新のクラウド技術の活用と法令に完全準拠したシステムの開発・提供によって、顧客の業務生産性と付加価値向上を支援します。 また、TKC全国会との連携により「会計で会社を強くする」活動と「黒字決算と適正申告の実現」に取り組んでまいります。 次期における当部門の主要な商品・市場戦略は、以下のとおりです。 1)FXクラウドシリーズの推進による「黒字決算と適正申告」の実現 2)「月次決算速報サービス」の普及促進による月次決算実践支援 3)「ペポルインボイス」の普及促進によるデジタルシームレスの実現 4)「TKCモニタリング情報サービス」の普及促進による金融機関との連携強化 5)TKC全国会ニューメンバーズ・サービス委員会との連携による会員導入活動の強化 6)「TKC連結グループソリューション」の強化・拡充による大企業の税務・会計業務の合理化 7)「TKCローライブラリー」の利用拡大とアカデミック市場におけるDX推進 (3)地方公共団体事業部門の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 ① 経営方針・経営戦略 地方公共団体事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第2項:「地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営」)に基づき、行政効率の向上による住民福祉の増進を支援することを目的として、専門特化した情報サービスを展開しています。 また、中長期の事業ビジョンとして「TKCシステムの最適な活用を通して、行政効率の向上・住民サービスの充実・行政コストの削減を実現し、地域の存続と発展に貢献する」との方針を掲げ、その実現に向けた戦略を実行しています。 ② 経営環境 地方公共団体(特に市区町村)における情報化は、いま大きな転換点を迎えています。地域社会における少子高齢化・人口減少に伴う労働力不足を背景に、これまでの半数の職員数でも持続可能な形で行政サービスを提供する「スマート自治体(デジタル社会)」への転換が、市区町村にとって重要な経営課題となっています。特に、行政のデジタル化の遅れが社会的課題として顕在化したことで、その動きは一段と加速しています。政府はデジタル社会の実現のためには住民に身近な行政を担う自治体、とりわけ市区町村の役割が極めて重要であるとして『自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画』(総務省/令和6年4月24日改定)により、全ての自治体が足並みを揃えて取り組んでいくことを求めました。 さらには、国・地方の財政状況が厳しさを増す中で、これからも市区町村が行政サービスを安定的、持続的、効率的かつ効果的に提供していくために〈持続可能な行政経営〉の確立が期待されています。そのため、市区町村では財務書類等の適切な更新・開示を行うとともに、正確な財政状況の見える化を図り、財務書類等から得られた情報を事業評価やトップの意思決定に積極的に活用することが急務となっています。 一方、地方公共団体向けビジネス・ベンダーの市場動向に目を向けると、行政サービスのデジタル化分野において他業種や新興企業の市場参入が相次いでいます。このことから地方公共団体市場における企業間競争は一段と激化し、経営環境の変化に柔軟かつ迅速に対応できるシステム・サプライヤーだけが生き残っていく厳しい時代を迎えたといえます。 ③ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 地方公共団体事業部門は、令和8年3月末日までに、国が定める標準仕様に準拠する「標準準拠システム」への移行を完遂する計画を策定しています。それにより導入作業費などの一時的な売り上げが集中することから、第59期に続いて第60期も業績の大幅な伸びを見込んでいます。 また、地方公共団体は、デジタル技術を徹底的に活用した業務改革による「効率的な行政運営」と「住民生活の利便性向上」が求められており、システム標準化移行後はこの流れがさらに加速すると予想されています。当社では、こうした変化を機会と捉え、最新技術を活用したイノベーションを創発し新たな顧客価値を創造するとともに、サポート体制を充実させ、システム標準化移行完了後もさらなる成長につなげてまいります。 (4)印刷事業部門(子会社:株式会社TLP)の経営方針、経営環境、及び対処すべき課題等 ① 経営方針・経営戦略 印刷事業部門では、「デジタル技術」と「ニーズの変化に対応した製品・サービスの提供」により、顧客企業やそのお客さまのコミュニケーションとマーケティングに貢献することを経営方針として掲げています。新型コロナウイルスの感染拡大は情報化社会における急速なデジタル化推進の流れをもたらしました。社会環境の変化やお客さまの価値観の変化に対応し、自社の生産技術を生かした製品・サービスの開発、品質改善、付加価値の向上に取り組みます。さらにお客さまの良きパートナーとして、デジタル技術と印刷物を使ったコミュニケーション環境の整備を通じて企業価値の一層の向上に努めます。 ② 経営環境 行政のデジタル化や規制改革、令和6年10月1日からの郵便料金改定、マイナンバーカードの普及、教育のデジタル化、消費税インボイス制度の開始や電子帳簿保存法の改正など、印刷事業を取り巻く環境は変化しています。主力商品のデータ・プリント・サービス(DPS)とビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)においては、こうした「新しい生活様式」や「新しいビジネス様式」に対応した製品・サービスの提供が求められています。 また、地球温暖化が急速に進む中で、CO2削減や環境配慮を志向するお客さまが増加しています。「グローバルな諸課題の解決を目指すために掲げられた持続可能な開発目標(SDGs)」をはじめ環境に優しい製品の開発は、印刷業界においても避けては通れない重要課題だと考えています。 ③ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 印刷事業部門においては、DPS業務やBPO業務に経営資源を集中し、顧客の課題を解決するコミュニケーション実現に向けた新製品・サービスの開発に取り組みます。併せて製品・サービスのさらなる品質と付加価値の向上、特に、QRコードをはじめとするデジタル技術の印刷物への活用に努め、販路を拡大します。 また、地方公共団体情報システム標準化を事業拡大の機会と捉え、これに対応した生産設備の充実と生産体制の強化を図り、来春以降の納税通知書等印刷業務の完遂に取り組みます。 なお、令和4年10月3日付で取得したFSC森林認証(CoC認証)の制度を生かし、お客さまの「グローバルな諸課題の解決を目指すために掲げられた持続可能な開発目標(SDGs)」への対応を支援します(FSC-C182216)。
事業等のリスク2,410字を開く

会社が自認するリスクの一覧

3【事業等のリスク】 当社および当社グループの事業等に関連するリスクについては、有価証券報告書に記載した「事業の状況」および「経理の状況」等に関連して、投資者の皆さまにご承知いただくべきと思われる主な事項を以下に記載します。また、その他のリスク要因についても、投資者の皆さまのご判断上、重要と思われる事項について、積極的な情報開示を行うこととしています。 当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、リスク発生の事前防止および発生した場合の迅速な対応に努める所存ですが、当社株式に関する投資判断は、本項に加えて本報告書全体の記載も参考にされ、十分に検討した上で行われる必要性があると考えています。また、以下の記載は、当社株式への投資に関連するリスク要因を全て網羅しているものではありませんので、この点にもご留意ください。 なお、本項において将来にわたる事項は、当連結会計年度末(令和7年9月30日)現在において当社グループが判断したものです。 (1)事業環境の変化について 会計事務所向け事業部門においては、少子高齢化の影響に伴う会計事務所の後継者不足や会計事務所職員の採用難、また厳しい経営環境下での関与先企業の廃業や倒産などにより市場が縮小する可能性があります。 また地方公共団体向け事業部門においては、政府が進めるシステム標準化と並行して、法制度改正に伴うシステム改修等に対応する必要があり、突発的な法制度改正が続く場合には開発リソース不足に陥る可能性があります。 このような状況をふまえ当社グループは、社内の組織体制をより一層強化するとともに、卓越したマーケティングとイノベーションを志向し、顧客の事業を強力にサポートするシステム開発と導入支援に取り組んでまいります。 (2)サイバーセキュリティ対策の強化とクラウドサービスの安定稼働について 近年、サイバー攻撃により被害を受ける企業が増加しています。そうした中で当社は、会計事務所とその関与先企業や中堅大企業、地方公共団体などのお客さまが、安全かつ安心なICT環境でクラウドサービスを利用できるように、社員教育の徹底や積極的な設備投資により、サイバーセキュリティ対策を一層強化しています。 また、「安全・安心・便利」なデータセンター運営を維持するため、当社の社員が24時間365日体制で稼働状況を監視し、運用面でも万全を期すと共に、万一の事態でも業務を維持・継続させることができるようさまざまな対策に取り組んでいます。しかし、大規模な災害や予期せぬ障害の発生は必ずしもゼロではないため、以下の対策を講じることにより早期検知・復旧、お客さまの業務への影響を極小化することに努めます。 ①プログラム提供時の検証体制の強化 ②災害や障害発生時のBCP対策の強化 ③復旧に要する時間の短縮 ④第三者機関による各種対策の有効性の評価・検証 (3)印刷事業部門の原材料調達費の変動について 当社グループの印刷事業部門においては、原材料の調達の大部分について、製紙メーカーから直接原紙を購入し、安定的な原材料の確保と最適な価格の維持に努めています。しかし、原油価格の高騰や国際市場での需給逼迫により、需給バランスが崩れる懸念があります。そのような場合には、当社グループの顧客との間の価格交渉を通じて対応していく所存ですが、原材料調達が極めて困難になった場合や購入価格が著しく上昇した場合は、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (4)エネルギー価格の変動について 当社が運営するデータセンターにおいては、多大な電力を使用するため、エネルギー価格の変動によるリスクを負っています。コスト低減のための省エネルギー対策などリスクの軽減を図っておりますが、電力代等のさらなる高騰が経営成績およびキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 (5)退職給付債務について 当社グループの従業員退職給付債務および関連費用の計上は、割引率等数理計算上で設定される前提条件(基礎率)に基づいて行っています。これらの基礎率が変更となった場合は、結果として当社グループの財政状態および経営成績の変動要因となります。当社グループは、この影響を最小限にすべく退職金制度の一部を確定拠出年金制度へ移行するなどの施策を実施していますが、その影響を完全になくすことはできません。基礎率の変更は、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (6)固定資産価値の減少について 金融商品取引法に基づいて、平成18年9月期から「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しています。この固定資産の減損会計の適用は、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (7)情報セキュリティについて 当社グループにおいては、業務上、顧客(会計事務所および地方公共団体等)が保有する法人および個人の情報を大量に預託されているほか、さまざまな内部情報を保有しています。 当社では、こうした情報の管理を徹底するため、情報管理に関するポリシーや手続きを常に見直すとともに、役社員等に対する教育・研修等の実施、システム上の情報セキュリティ対策、第三者認証等による情報保護管理体制の強化を図っています。 しかしながら、予期せぬ事態により、これらの情報が流出する可能性は皆無ではなく、そのような事態が生じた場合、当社の社会的信用に影響を与え、その対応のための多額の費用負担やブランド価値の低下が、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (8)係争事件等について 現在、当社グループの財政状態および経営成績等に影響を及ぼす可能性のある係争事件等はありませんが、今後そのような係争事件が発生する可能性は皆無ではありません。
経営成績の分析 (MD&A)14,405字を開く

業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)当社グループの当連結会計年度の経営成績の分析 ① 全社業績 当連結会計年度(令和6年10月1日~令和7年9月30日(以下、当期))におけるわが国経済は、原材料価格の高騰や金利の変動、中東地域を巡る情勢不安や米国の通商政策などの影響はあったものの、国内の経済活動が活性化してきていることによって緩やかに景気の回復が続きました。このような経済環境において、当社グループは顧客ならびに地域社会に貢献すべく事業を展開しました。 会計事務所事業部門では、TKC全国会との連携のもとで関与先企業の「黒字決算と適正申告」の実現を支援してまいりました。その結果、当社システムを利用する法人企業の黒字決算割合は57.0%に達しています。この数字は国税庁発表の全法人の黒字申告の割合(36.5%)を遙かに上回っています。さらに当社の財務会計システムである「FXクラウドシリーズ」の業績管理機能(365日変動損益計算書、得意先・仕入先順位月報等)を毎月確認している企業の黒字割合は60%を超えていることを確認しています。こうしたエビデンスに基づいて、当社はTKC会員事務所による関与先指導の基本的方針を黒字決算割合と適正申告のさらなる向上に求め、その手段として巡回監査と月次決算の実施を奨励すると共に、関与先企業における業績管理ツールとしてFXクラウドシリーズの活用を推進しています。 また、消費税インボイス制度の施行後、中小企業から大企業に至るまで経理部門の業務負担は増加したまま高止まりしています。その解決には経理業務の本格的なデジタル化が必要です。そのため当社ではデジタル庁がデジタルインボイスのデファクトスタンダードとして推奨している「ペポルインボイス」の送受信をはじめとして、証憑の発行・保管から日々の仕訳、毎月の試算表、決算書と税務申告書の作成、さらには電子申告・電子納税に至るまでをデジタルシームレスで一気通貫に行えるTKCシステムのさらなる機能拡張と導入支援に取り組んでいます。 地方公共団体事業部門では、令和5年9月8日に閣議決定された「地方公共団体情報システム標準化基本方針」に定める標準仕様への適合期限(令和8年3月末)までに、すべての顧客市町村が標準準拠システムへの移行を完了できるよう、その支援に取り組んでいます。令和7年9月30日現在では、当初の計画どおり68団体の移行を完了しており、期限までにすべての顧客市町村において移行を完了できる見通しです。 これらの活動の結果、当期における株式会社TKCとその連結子会社等6社を含む連結グループの経営成績は、売上高が83,476百万円(前期比11.0%増)、営業利益は16,142百万円(同4.1%増)、経常利益は16,590百万円(同3.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は12,094百万円(同7.3%増)となりました。 なお、会計事務所事業部門において、固定費削減等により営業利益が売上高の前期比以上の伸びとなりました。その結果、当連結グループの営業利益と経常利益は12期連続、親会社株主に帰属する当期純利益は11期連続で最高益を更新しています。 当期における事業部門別の売上高の推移は以下のとおりです。 ② 会計事務所事業部門の営業活動と経営成績 1)会計事務所事業部門の営業活動 会計事務所事業部門では、TKC会員事務所とその関与先企業の持続的な発展を支援するため、TKC会員1万1,600名(令和7年9月末日現在)が組織するTKC全国会と密接に連携し、「黒字決算と適正申告」を実現可能とするシステムやサービスの開発に取り組んでいます。 また、これに関連して上場企業などの大企業や法律事務所、大学・法科大学院等に対しても各種クラウドサービスを提供しています。 [「黒字決算」と「適正申告」の実現に向けた活動] a.TKC会員事務所による関与先企業の月次決算体制構築を支援 中小企業は、インフレや円安、それに伴う原材料費の高騰や賃上げへの圧力などにより、厳しい経営環境に置かれています。そのような中でTKC会員事務所による関与先企業の「黒字決算と適正申告」の実現を支援するために、以下の活動を展開しています。 ⅰ.「FXクラウドシリーズ」には経営者の戦略的な意思決定を支援するため、365日変動損益計算書や予実管理、部門別管理、資金繰り実績表、得意先・仕入先順位月報、当期決算の先行き管理等の「経営戦略レベル」の機能を搭載しています。経営者がこれらの機能を有効に活用するには、適時・正確な会計取引の入力と月次決算体制の構築が必要となります。そのため、スマートデバイス向けアプリ「スマホで経費」を提供して、関与先企業の営業担当者による経費精算の手間の軽減と電子化された証憑をもとに経理担当者による仕訳計上の効率化を支援しています。また、電子取引データやペポルインボイスから自動的に仕訳を生成する「証憑保存機能」や、インターネットバンキングから取引明細を受信して仕訳に変換する「銀行信販データ受信機能」などの活用も支援しています。 こうした活動の結果、令和7年9月末日現在で財務会計システム「FXシリーズ」の利用企業数は32万7,000社となりました。 なお、現在「FXシリーズ」におけるクラウド版の利用割合は約44%の状況です。そのためスタンドアロン版のサポート期限を令和12年末に設定し、向こう5年間でクラウド版への切り替えを進めています。それによりクラウド版システムに開発資源を集中し、システム開発の速度をさらに向上させる計画です。 ⅱ.令和6年11月より会計事務所による月次巡回監査の終了時に関与先企業経営者のメールアドレスに月次決算の業績速報を配信する「月次決算速報サービス」を提供開始しました。これにより経営者は月次決算の結果をスマートフォンで迅速に確認可能となります。また、会計事務所は当サービスを経営助言や経営者とのコミュニケーションを強化するツールとして活用することが可能です。この「月次決算速報サービス」は大変好評で、利用企業数は昨年11月の提供開始から10カ月で1万6,000社を超えました。 b.適時・正確な記帳に基づく信頼性の高い決算書の作成支援 当社が提供する財務会計システムの最大の特長は、TKC会員事務所が関与先企業に毎月実施する巡回監査と月次決算を前提とし、巡回監査実施後の取引データについて、遡及的な訂正加除の処理を禁止しているところにあります。この特長を生かし、金融機関などが客観的に会計帳簿の信頼性を判断する資料となる「記帳適時性証明書」を無償で発行しています。 このサービスは、TKC会員が作成する決算書の信頼性を高め、関与先企業の円滑な資金調達に貢献することを目的として開発されたものです。TKC会員が毎月、関与先企業に出向いて正しい会計記帳を指導(巡回監査)しながら、月次決算、確定決算ならびに電子申告に至るまでの全ての業務プロセスを一気通貫で適時に完了したことを当社が第三者として証明しています。コンプライアンス違反倒産が増加している昨今、「記帳適時性証明書」の重要性は今後ますます高まっていくものと考えています。 c.「TKCモニタリング情報サービス(MIS)」の推進 「TKCモニタリング情報サービス(以下、MIS)」は関与先企業の経営者からの依頼に基づいて、TKC会員事務所が当該関与先の決算書、税務申告書などを、国税の電子申告と同時に、金融機関に対して開示するための無償のクラウドサービスです。 当社はMISで送付される以下の3つの資料により、中小企業の決算書の信頼性が確認できることを、金融機関に訴求しています。 ・TKC会員が実践する「税理士法第33条の2に基づく添付書面」 ・会社法第432条が定める帳簿作成の適時性と、決算書と申告書の連動性(一体性)を、株式会社TKCが過去3年にわたって証明する「記帳適時性証明書」 ・日本税理士会連合会、全国信用保証協会連合会が制定した「中小会計要領チェックリスト」 こうした活動の結果、MISは令和7年9月末日現在で498金融機関に採用されており、その利用関与先件数は36万件を突破しました。MISは、経営者保証ガイドラインで示された3つの要件(ⅰ.法人と個人の取引を適正に区分経理、ⅱ.一定以上の財務基盤の保持、ⅲ.財務状況の正確な把握と適時適切な情報開示による経営の透明性の確保)を確認できるツールとして、中小企業の経営支援に取り組む金融機関や信用保証協会から高く評価されています。 d.「TKCファストリンク」の提供 TKC全国会と株式会社日本政策金融公庫との連携による融資スキーム「TKCファストリンク」が令和7年9月に提供開始されました。このスキームは、TKC財務会計システムで経理処理を行い、かつTKC会員事務所が月次巡回監査で信頼性を確認した決算書がMIS経由で金融機関に提出されている場合に、融資のデフォルト率が大幅に抑制され、信用リスクも顕著に低いことが実証されたことから実現したものです。当スキームの実現により、融資の申込から概ね5営業日以内(創業の場合は、7営業日以内)に融資判断がなされています。それによりサービス開始から1カ月間で100件を超える融資決定が行われています。 e.会員導入(TKC全国会への入会促進) TKC全国会は、令和7年9月末日までに360件の新規会員増強の目標を掲げていました。この実現に向けて、TKC全国会ニューメンバーズ・サービス委員会との連携を強化し、会員増強活動に取り組んだ結果、年間364件の新規入会があり目標を達成しました。 [大企業市場への展開] 当社は、連結会計システム(平成11年)及び連結納税システム(平成15年)の開発を転機として、上場企業を中心とした大企業向けの営業を展開することになりました。ただしこの事業は、すべてTKC全国会との共同事業として行っており、その目的は、大企業の税務・会計業務のコンプライアンスの向上と事務の合理化に貢献するとともに、これらの大企業およびその関係会社をTKC会員の関与先企業とすることを究極の目標としています。 a.デジタルインボイスへの対応 令和5年8月に当社はデジタルインボイス推進協議会(EIPA)の代表幹事法人に就任し、システムベンダーを中心とした約170の協議会加盟会社とともに、デジタルインボイスの普及活動に取り組みました。令和7年8月には、金沢国税局や日本公認会計士協会千葉会が主催した研修会で、EIPAとしてデジタルインボイスの講演を担当し、9月には幕張メッセで開催されたRXJapan社主催総務・人事・経理Week「トレンドセミナー」にて「事業者のデジタル化の促進」をテーマに国税庁とともにEIPAとして講演しました。あわせて7月からオンラインセミナー「EUにおけるデジタルインボイス(e-invoice)の最新動向」を配信し、300名を超える申し込みを受け付けています。 当社は今後もデジタルインボイスの普及に取り組んでいきます。 b.新リース会計基準対応に関する情報発信 令和6年9月13日に企業会計基準委員会より、企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」等が公表され、上場企業は令和9年4月から強制適用されることになりました。当社では適用準備の段階から財務諸表への影響額を把握できるようにするために「改正リース会計基準の影響額試算ツール」を開発し、令和7年1月から当社システムを利用する上場企業に提供開始しました。当ツールは経営者等への報告資料作成時の基礎資料としても利用できるため、多くのユーザー企業から高い評価を得ており、令和7年9月にはダウンロード数が650件を突破しました。また、令和7年9月からオンラインセミナー「TKC新リース会計基準対応セミナー」を配信し、1,000名を超える申し込みを受け付けています。 c.大企業市場でのシェア拡大 当社が提供する「グループ通算申告システム(e-TAXグループ通算)」の市場からの評価は高く、グループ通算制度を採用する多くの企業に利用されています。令和7年9月末日現在で約2万社あるといわれる資本金1億円超の企業の約46%において「法人電子申告システム(ASP1000R)」や「グループ通算申告システム(e-TAXグループ通算)」をご利用いただいています。 こうした活動の結果、「TKC連結グループソリューション」の利用企業グループ数は、令和7年9月末日現在で約6,000企業グループとなりました。現在、日本の上場企業における市場シェアは44%に達しており、日本の上場企業の売上高トップ100社のうち94社(94%)が当社のシステムを利用して税務(電子)申告しています。 [法律情報データベースの市場拡大] 当社は、税務判例データベースの構築という税理士事務所を支援するために開始した事業が各方面から注目されたことにより、今日ではわが国の法曹界、大学等のアカデミック市場、企業法務部門、官公庁・自治体、さらには海外の機関や大学などを対象に広く法律情報サービスを提供するに至っています。以下は昨今の業況です。 a.「TKCローライブラリー」の収録数やコンテンツの拡充 当社は、業界最大の判例収録数(35万7,000件超)を誇る法律情報データベース「TKCローライブラリー」を提供しています。判例情報(LEX/DB)を中心に、法令、文献情報、法律専門誌と専門書籍および関連する付加情報を網羅するとともに、常時ライブラリーのコンテンツの拡充を図っています。 当期においては、TKC会員事務所をはじめ大学や法科大学院、官公庁、法律事務所、特許事務所、企業法務部、海外の研究機関などでの利用が進み、令和7年9月末日現在、約2万7,500の諸機関で7万IDの登録に至っています。 b.アカデミック市場への展開 当社が提供する「TKC法科大学院教育研究支援システム」は、いつでもどこでもオンラインで利用できること、他社をしのぐ多様なコンテンツを収録していること、さらにレポート提出・オンライン演習・テスト機能等を搭載し、授業と自学自習を支援する仕組みとなっていることが特長です。令和7年度の契約でも160を超える大学で採用され、教員、学生からも高く評価されています。 また、司法試験受験を目指す法科大学院生や修了生、予備試験合格者に対し、TKC全国統一模試の実施により、司法試験への対応も支援しています。令和7年TKC全国統一模試の受験者数は2,600名を超えており、令和7年司法試験受験者4,000名の65%に達しています。なお、今後、法務省は令和8年からCBT試験(Computer Based Testing)への移行を予定しています。そこで令和7年7月以降、当社は「TKCデジタルテスト」導入による環境整備などを進めており、大学へのCBT試験サービス提供とさらなる受験者数の拡大を目指しています。今後も業界1位の受験数を誇るスタンダード模試としてサービスの充実をはかります。 2)会計事務所事業部門の経営成績の分析 会計事務所事業部門における売上高は52,827百万円(前期比4.7%増)、営業利益は12,476百万円(同10.5%増)となりました。売上高の主な内訳は以下のとおりです。 a.コンピューター・サービス売上高は、前期比5.1%増となりました。これは、「FXクラウドシリーズ」を新たに利用開始し、経理事務のデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む関与先企業が増加したこと、さらに税理士事務所向けにセキュリティを強化したスマートフォン「TKC-Phone」を利用し、自宅や外出先からリモートでTKCシステムを利用する会計事務所が増えたことで、クラウドサービスの利用量が増加したことなどによります。 b.ソフトウエア売上高は、前期比1.5%増となりました。これはペポルインボイスの送受信をはじめ証憑の電子保存や仕訳の自動生成、優良な電子帳簿の作成などをデジタルシームレスで一気通貫に行える「FXクラウドシリーズ」を新規に利用開始する関与先企業が増加したことによります。 c.コンサルティング・サービス売上高は、前期比2.5%増となりました。これは中堅企業向けの財務会計システム「FX4クラウド」の新規受注に伴う立ち上げ支援サービスの実施件数が増加したことによります。 d.ハードウエア売上高は前期比15.7%増となりました。これはMicrosoft社によるWindows10サポート終了を控え、関与先企業向けに「Windows11移行応援キャンペーン」を実施し、パソコンのリプレースが進んだことによります。 e.なお、営業利益が売上高の前期比より高い伸びとなった理由は、利益率の高いコンピューター・サービス売上高やソフトウエア売上高が順調に伸びていること、さらに統合情報センターにおける印刷業務の処理移管に伴い、固定費が削減されたことによります。 ③ 地方公共団体事業部門の営業活動と経営成績 地方公共団体事業部門は、行政効率の向上による住民福祉の増進を支援することを目的として、地方公共団体に専門特化した情報サービスを展開しています。当社が地方公共団体に対して提供する「TKC行政クラウドサービス」は、令和7年9月末日現在で1,150団体を超える地方公共団体(都道府県、市区町村等)に採用されています。 1)地方公共団体事業部門の営業活動 a.地方公共団体情報システム標準化への対応 地方公共団体は、デジタル庁および所管省庁が定めた標準準拠システムの利用が義務付けられ、ガバメントクラウド環境での利用が努力義務とされました。当社では、令和6年12月23日に栃木県真岡市、2団体目として令和7年1月14日に埼玉県美里町において、ガバメントクラウド環境での標準準拠システムへの移行が完了し、ガバメントクラウド環境で順調に稼働しています。令和7年9月末日現在、当社の基幹業務システムは164団体に採用され、当期末までに68団体でガバメントクラウド環境での本稼働を完了しました。残る顧客も移行期限である令和7年度末までに移行完了する予定です。 b.行政サービスのデジタル化支援 当社は、窓口業務のデジタル化「3ない窓口(行かない・待たない・書かない)」の実現を支援する「行政サービス・デジタル化支援ソリューション」を開発・提供しています。 当期においては、「TASKクラウド証明書コンビニ交付システム」の標準仕様への適合のための機能強化を進めました。その結果、令和7年9月末日現在「TASKクラウドスマート申請システム」は大阪市や横浜市など政令指定都市を含む65団体以上、「TASKクラウドかんたん窓口システム」は120団体以上、「TASKクラウドマイナンバーカード交付予約・管理システム」は190団体以上、「TASKクラウド証明書コンビニ交付システム」は280団体以上に採用されています。 c.地方税税務手続きのデジタル化支援 当社は、地方税共同機構の認定委託先事業者として、同機構が運営するeLTAX(地方税ポータルシステム)審査システムをクラウド方式で提供しています。さらに、審査システムと各市区町村の税務システムを接続する独自の「データ連携サービス」を開発・提供しています。 本サービスの推進に当たっては、約50社のパートナー企業とアライアンス契約を締結し、提案活動を展開しています。その結果、「TASKクラウド地方税電子申告支援サービス」は、令和7年9月末日現在で全都道府県・市区町村の4割以上に当たる約790団体に採用されています。また、令和8年度より開始される公金納付のデジタル化に向けてプロジェクトを編成し、システム開発を進めるとともに顧客団体向けに説明会を実施するなど対応準備を進めています。 d.内部事務のデジタル化支援 当社は、地方公会計一体型の財務会計システム「TASKクラウド公会計システム」およびその関連システムを開発・提供しています。 当期は、電子決裁システムなどの関連システムの機能強化に加え、関連サービスである文書管理システム、人事給与システムのリニューアルに取り組みました。また、兵庫県多可町と共同で、市区町村における「ペポルインボイス」の活用による業務効率化に関する実証実験をし、内部事務の効率化などで有効性を確認しました。これらの結果、「TASKクラウド公会計システム」は令和7年9月末日現在で400団体以上に採用されています。 2)地方公共団体事業部門の経営成績の分析 地方公共団体事業部門における売上高は27,565百万円(前期比26.7%増)、営業利益は3,513百万円(同14.5%減)となりました。売上高の主な内訳は以下のとおりです。 a.コンピューター・サービス売上高は、前期比4.0%増となりました。これは、令和7年7月20日に実施された参議院選挙の入場券などの印刷・加工業務や、低所得者支援等に伴う各種通知書等の印刷・加工業務を受託したこと、また「TASKクラウド証明書コンビニ交付システム」や「かんたん窓口システム」等を新規に利用開始する団体が増加したことなどによるものです。 b.ソフトウエア売上高は、前期比5.5%減となりました。これは前期に受託した標準準拠システムへの移行に伴うシステム開発(要件定義、フィットギャップ分析、文字同定等)や、定額減税に伴う住民税システム改修業務などが今期はなかったことによるものです。なお、サブスクリプション型ソフトウエア利用料は、「TASKクラウド公会計システム」等の新規受託により順調に増加しています。 c.コンサルティング・サービス売上高は、前期比238.1%増となりました。これは、令和7年9月末日までに顧客市町村68団体において、標準準拠システム及びガバメントクラウド環境への移行作業を計画どおりに完了したことによるものです。 d.ハードウエア売上高は、前期比106.9%増となりました。これは、標準準拠システムへの移行に伴い庁内設置用サーバを導入する顧客が増加したことや、住基ネット関連のハードウエア機器の更改時期を迎える顧客が集中したことによるものです。 e.なお、増収減益となった理由は、標準準拠システムの提供開始に伴い、資産計上していたソフトウエアに係る減価償却費が増加したこと等によります。 ④ 印刷事業部門の営業活動と経営成績 1)印刷事業部門の営業活動 当社グループの印刷事業を担う株式会社TLPでは、会計事務所事業部門の統合情報センターで使用するTKCコンピュータ用連続帳票や地方公共団体事業部門のアウトソーシングサービスにおける税務関係帳票等の印刷・印字をはじめ、当社顧客に提供する印刷物等を手掛けています。また、一般企業および官公庁、市区町村等に対しては、DPSやビジネスフォーム印刷および商業美術印刷を基軸に事業を展開しています。 DPS分野では、一般企業へのDM印刷サービス、調査会社への調査票印刷サービス、および総務、経理、人事部門の通知関連業務の合理化を目的としたビジネスプロセスアウトソーシングサービス(BPO)を提供しています。特に、QRコードの活用によりDMの効果を測定するサービスなど、顧客利用価値の向上に取り組んでいます。市区町村に対しては、各種税務関係帳票や投票所入場券などの住民に対する通知業務を支援しています。また、音声コードUni-Voice(特定非営利活動法人日本視覚障がい情報普及支援協会提供)を採用することで、二次元コードをスマートフォンで読み込むことにより印刷された文字情報を音声として聞き取ることが可能となります。DPS分野では、こうした付加価値の高いサービスの提供に取り組んでいます。 ビジネスフォーム印刷分野では、ペーパーレス化の進展によりビジネス帳票・伝票類の使用量が減少傾向にあるものの、手書き帳票や特定帳票の需要は健在でありフォーム印刷の強みを生かした営業活動を展開しています。 商業美術印刷分野(カタログ、書籍等)では、顧客企業の周年行事における印刷物や、法律改正による専門書籍の改版など顧客企業が求める出版物をタイムリーに提供するなどの支援をしています。 なお、株式会社TLPは、独占禁止法に基づき公正取引委員会による排除措置命令の対象となった入札談合により、既に徴収済の違約金によってもなお補填されない損害が残存するとして、日本年金機構から令和5年10月3日付で損害賠償請求訴訟を提起され係争しておりましたが、令和7年1月29日付で和解が成立しました。 2)印刷事業部門の経営成績の分析 印刷事業部門における売上高は3,083百万円(前期比2.9%増)、営業利益は144百万円(同42.6%増)となりました。売上高の主な内訳は以下のとおりです。 a.データ・プリント・サービス(以下、DPS)関連商品の売上高は、前期比10.8%増となりました。これは市区町村から令和6年10月に実施された衆議院選挙に係る通知業務をはじめとした新規業務を受注したことに加えて、共済組合等から通知書印刷業務を受注したこと、主要顧客から新たな販促DM作成業務や調査票(事業活動調査等)印刷業務を受注したことによります。 b.ビジネスフォーム関連の売上高は、前期比13.2%減となりました。これは、デジタル化の進展により顧客企業における伝票印刷業務の需要が減少傾向にあること、加えて令和6年10月から価格改定を実施したことを受けて令和6年9月に帳票・伝票類の駆け込み受注があった反動減によるものです。 c.商業美術印刷(カタログ、書籍等)関連の売上高は、前期比0.4%減となりました。これは、カタログ・パンフレット等作成業務の受注が減少したことによります。 d.なお、営業利益が売上高の前期比より高い伸びとなった理由は、DPS関連商品の売上高が堅調に推移したこと、さらに、令和6年10月に価格改定(値上げ)を実施したことなどによります。 ⑤ 当社グループの当連結会計年度の財政状態の分析 1)資産の部について 当連結会計年度末における資産合計は、129,817百万円となり、前連結会計年度末124,882百万円と比較して4,935百万円増加しました。 a.流動資産 当連結会計年度末における流動資産は、52,513百万円となり、前連結会計年度末46,672百万円と比較して、5,840百万円増加しました。 その主な理由は、現金及び預金が3,182百万円、売掛金が2,077百万円増加したことによります。 b.固定資産 当連結会計年度末における固定資産は、77,303百万円となり、前連結会計年度末78,209百万円と比較して、905百万円減少しました。 その主な理由は、ソフトウエアが3,697百万円、長期預金が1,500百万円増加したものの、ソフトウエア仮勘定が4,377百万円、繰延税金資産が946百万円、投資有価証券が504百万円減少したことによります。 2)負債の部について 当連結会計年度末における負債合計は、21,320百万円となり、前連結会計年度末22,705百万円と比較して1,384百万円減少しました。 a.流動負債 当連結会計年度末における流動負債は、18,349百万円となり、前連結会計年度末19,347百万円と比較して、998百万円減少しました。 その主な理由は、賞与引当金が927百万円減少したことによります。 b.固定負債 当連結会計年度末における固定負債は、2,971百万円となり、前連結会計年度末3,357百万円と比較して、386百万円減少しました。 その主な理由は、退職給付に係る負債が375百万円減少したことによります。 3)純資産の部について 当連結会計年度末における純資産合計は、108,497百万円となり、前連結会計年度末102,176百万円と比較して6,320百万円増加しました。 その主な理由は、利益剰余金が3,808百万円、その他有価証券評価差額金が2,745百万円増加したことによります。 なお、当連結会計年度末における自己資本比率は、83.6%となり、前連結会計年度末81.8%と比較して1.8ポイント増加しました。 ⑥ 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ3,182百万円増加し、33,580百万円になりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの概況とその主な理由は次のとおりです。 1)営業活動によるキャッシュ・フロー 営業活動によるキャッシュ・フローは、12,486百万円増加(前連結会計年度比309百万円収入減)しました。これは、税金等調整前当期純利益16,678百万円、減価償却費4,502百万円の計上、法人税等の支払5,568百万円および売上債権の増加2,038百万円などによるものです。 2)投資活動によるキャッシュ・フロー 投資活動によるキャッシュ・フローは、360百万円減少(前連結会計年度比5,603百万円支出減)しました。これは、定期預金の預入5,600百万円の支出、定期預金の払戻4,100百万円の収入、投資有価証券償還5,000百万円の収入、有形固定資産の取得1,429百万円の支出および無形固定資産の取得2,126百万円の支出などによるものです。 3)財務活動によるキャッシュ・フロー 財務活動によるキャッシュ・フローは、8,943百万円減少(前連結会計年度比3,715百万円支出増)しました。これは、自己株式の取得3,302百万円の支出および令和6年9月期期末配当(1株当たり配当55円)ならびに令和7年9月期中間配当(1株あたり配当50円)5,450百万円の支払いなどによるものです。 なお、当企業集団のキャッシュ・フロー指標のトレンドは、下記のとおりです。 令和4年9月期   令和5年9月期   令和6年9月期   令和7年9月期 自己資本比率(%)   80.0   81.9   81.8   83.6 時価ベースの自己資本比率(%)   164.6   163.1   159.7   167.8 債務償還年数(年)   0.1   0.1   0.0   0.0 インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)   8,627.1   11,323.4   17,357.9   39,612.4 自己資本比率 :自己資本  ÷ 総資産 ×100 時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額  ÷ 総資産 ×100 債務償還年数 :有利子負債  ÷ 営業キャッシュ・フロー インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー ÷ 利払い (注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。 2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。 (2) 生産、受注及び販売の実績 ①生産実績 特に記載すべき事項はありません。 ②受注実績 特に記載すべき事項はありません。 ③販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称   金額(百万円)   前年同期比(%) 会計事務所事業   52,827   104.7 地方公共団体事業   27,565   126.7 印刷事業   3,083   102.9 合計   83,476   111.0 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。 (3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積り及び仮定を用いている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積り等については、継続して評価し、事象の変化等により必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なる場合があります。 当社グループの重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、使用される当社の見積り等が、当社グループの連結財務諸表に重要な影響を及ぼすと考えられるものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 ②当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因 「3 事業等のリスク」をご参照ください。 ③当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性 当社グループは、経営体質の強化を図りながら持続的に企業価値を向上するにあたり、事業活動に必要な資金は、自己資金を中心とすることを基本方針としております。この方針のもと事業活動の維持に必要な手元資金を保有し、充分な流動性を確保していると考えております。 また、情報通信技術(ICT)が急速に進歩するとともに、社会の諸制度が大きく変化していく中で当社のお客さまのビジネスを成功に導きながら、市場環境の変化に迅速に対応し競争優位を実現するために、先行的な研究開発投資と積極的な設備投資を実施しております。 ④当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社は、継続企業(ゴーイング・コンサーン)の前提の下に、毎事業年度の配当原資を当該期間利益に求めることを原則としています。この考え方に基づき、重要な経営指標として以下のものを設定するとともに管理しています。 1)連結数値に基づく経営指標 a.対前年度売上高比率:103%以上 b.自己資本利益率(ROE):11%以上 2)個別数値に基づく経営指標 a.自己資本比率:80%以上 b.限界利益率:70%以上 c.自己資本利益率(ROE):11%以上 ※限界利益とは、売上高から売上高に比例して変動する費用(変動費)を控除した金額であり、製品ミックスにより変動します。限界利益率とは、この限界利益の額が売上高に占める割合を言います。 このような状況のなか、当期の連結対前年度売上高比率は11.0%(前期比6.4ポイント増)、連結自己資本利益率は11.5%(前期比0.1ポイント増)となりました。 また、個別自己資本比率は85.9%(前期比1.5ポイント増)、個別限界利益率は76.4%(前期比3.4ポイント減)、個別自己資本利益率は11.8%(前期比0.0ポイント減)となりました。 引き続き高い水準を維持するために、収益構造および資本効率の改善に取り組んで参ります。

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開示資料

出典

このページの財務・役員・株主等のデータは、金融庁EDINETに提出された開示書類から自動抽出しています。会計基準は JapanGAAP

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