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日経平均64,325.64-1,890NYダウ53,085.45+319ドル円158.62-2NASDAQ26,241.86+142S&P 5007,680.46+49SOX 指数11,350.08+619/2終値

新晃工業

SINKO INDUSTRIES LTD.6458 · Prime · 機械

空調機器専業メーカーとして日本と中国に拠点を持ち、ビル管理事業も展開。

概要

新晃工業は1950年に設立された業務用空調機器メーカーである。大阪市北区に本社を置き、1985年に大阪証券取引所に上場。連結従業員数1,701名で、2025年3月期の売上高は570億円、営業利益100億円(営業利益率17.5%)と高収益を誇る。ビルや工場向けの換気システム・空調機で国内シェア約30%を占める。

空調機器製造販売とビル管理の3セグメント

当社グループは日本セグメント、アジアセグメント、ビル管理事業で構成される。日本セグメントは空気調和機、ファンコイルユニット等の製造販売と空調工事で、2025年3月期に513億円の売上を計上。アジアセグメントは中国子会社・上海新晃空調設備股份有限公司を通じて現地生産・販売を行い、80億円の売上だが価格競争により営業損失を計上している。ビル管理事業は千代田ビル管財㈱が建物設備の総合管理と清掃サービスを提供する。連結子会社7社と持分法適用関連会社2社でグループを形成する。

ROE10%以上を目標とする資本コスト経営

2025年3月期の連結売上高は570億円、営業利益100億円、純利益78億円。営業利益率は17.5%に達する。2026年3月期には売上高593億円、営業利益94億円と予想する。中期経営計画「move.2027」ではROE10%以上、PBR1倍以上を目標に掲げ、2026年3月期のROEは11.0%、PBRは1.3倍と達成した。自己株式の取得や転換社債型新株予約権付社債の発行により資本構成の見直しを進めている。

セントラル空調用AHUに強み

当社は業務用空調の中でもセントラル空調方式に強みを持つ。主力製品は空気調和機(AHU)とファンコイルユニット(FCU)で、大規模ビルの空調システムに不可欠である。国内シェアは約30%と推定される。AHUは冷温水を用いて熱交換するため、高GWP冷媒の使用を抑制でき、カーボンニュートラル対応に貢献する。個別空調用のヒートポンプAHUも手掛け、セントラル空調で培ったノウハウを活用している。

業界の中での役割は空調機器メーカー・ビル管理事業者にあたる。

この章の文章は、有価証券報告書と会社の開示をもとにAIが編纂しています。数値は開示のままで、AIには生成させていません。

売上高
593億円
営業利益
94億円
営業利益率
15.9%
純利益
68億円
2026/3 通期の連結業績。決算の内訳は最新の決算以降にあります。

何をしている会社か

有価証券報告書「事業の内容」(2026/3期)より

事業別の売上と利益

2026/3
事業売上構成比利益利益率
日本513億円86.5%95億円18.5%
アジア80億円13.5%-1億円-1.3%

有価証券報告書のセグメント情報から、外部顧客への売上とセグメント利益をそのまま掲載しています。全社費用・セグメント間取引の消去は含みません。

01日本空調関連主力

空気調和機、ファンコイルユニット等の空調機器の製造・販売、空調工事の請負施工、建築用資材の製造販売を自社および子会社を通じて提供。

主な製品・サービス3
空気調和機
ビルや工場用の大型空調機。冷暖房・換気機能を備える。
ファンコイルユニット
室内に設置する小型空調端末。冷温水とファンで温度調節。
空調工事
空調設備の設計・施工・保守サービス。

02アジア空調関連準主力

中国連結子会社(上海新晃空調設備股份有限公司)を通じて、中国市場向けに空調機器の製作・販売を行う。

主な製品・サービス1
空調機器(中国向け)
現地生産による空調機、ファンコイルユニット等。

03ビル管理事業副次

子会社(千代田ビル管財㈱)が建物設備の総合管理、各種清掃サービスを提供。

主な製品・サービス2
ビル設備管理
空調・電気・衛生設備等の点検・保守・運転管理。
清掃サービス
ビル内外の日常清掃・定期清掃。

製品と技術

セントラル空調の要となる空気調和機(AHU)

空気調和機(AHU)は、セントラル空調方式における二次側機器として、熱源で作られた冷温水を用いて空気の温度・湿度・清浄度を調整する。大規模ビルや工場、病院などで採用され、建物全体の換気と空調を担う。当社のAHUは特注品が多く、個別の要求仕様に合わせて設計・製造される。冷温水を使用するため高GWP冷媒の使用量を削減でき、環境規制への対応に優れる。国内の大型再開発やデータセンター需要を取り込み、安定した受注を確保している。

室内空調を担うファンコイルユニット

ファンコイルユニット(FCU)は、各部屋に設置する小型の空調端末である。冷温水と内蔵ファンにより室内の温度調節を行う。AHUと組み合わせてセントラル空調システムを構成し、フロアごときめ細かな空調制御を実現する。当社は1951年に日本初のFCUを開発したパイオニアであり、以来高い信頼性と省エネ性能を追求してきた。製品ラインナップは天井埋込型、壁掛型など多様で、オフィスビル、ホテル、商業施設など幅広い用途に対応する。

技術開発の歴史と品質管理体制

当社の技術基盤は、1951年のクロスフィンコイルの国産化に始まる。1971年には寝屋川市に技術研究所を設置し、空調機器の性能向上と省エネ技術の開発を推進。2009年には秦野市にSINKOテクニカルセンターを新設し、研究開発と技術情報発信の拠点とした。品質面では、1998年に上海新晃空調設備がISO9001認証を取得し、国内グループ各社も同年に共同認証を取得。2006年にはISO14001認証も取得し、環境マネジメントを統合している。これらの取り組みにより、製品の信頼性と環境性能を継続的に向上させている。

有価証券報告書の事業の記述をもとにAIが編纂しています。

業界での位置づけ

機械のなかでの位置

産業用空調で中堅、高収益

新晃工業は産業用空調機器メーカーで、売上高は約570億円。同業の三浦工業や日本製鋼所と比較すると規模は小さいが、空調機器に特化し高い収益性を誇る。営業利益率は15%超で業界トップクラス。空調需要の拡大を背景に安定した成長を遂げているが、海外展開は限定的。

強み

  • 営業利益率15%超と業界最高水準の収益力を実現。
  • 産業用空調に特化し、高いシェアとブランド力を確立。
  • 省エネ・高効率な製品開発で競合と差別化。
  • 工場やデータセンター向け需要が堅調で、景気影響を受けにくい。

課題

  • 海外売上比率が低く、成長は国内市場に依存。
  • 三浦工業など同業との競争が激しく、価格競争のリスク。
  • 売上成長率が5%未満と緩やかで、新市場開拓が急務。

強みと課題は、開示資料をもとにAIがまとめた見立てです。

同業の企業

専用機・建機・農機の時価総額近傍。太字が新晃工業

時価総額で並べると、掲載11社のなかで6番目にあたる。

#企業時価総額PER
16287サトー943億円17.9倍
26143ソディック936億円13.3倍
36345アイチ コーポレーション934億円14.4倍
47226極東開発工業925億円24.0倍
56859エスペック912億円14.2倍
66458新晃工業897億円12.4倍
76237イワキポンプ883億円18.0倍
86517デンヨー881億円14.6倍
95851リョービ881億円8.3倍
103302帝国繊維840億円16.5倍
116454マックス839億円23.5倍

時価総額は直近の終値ベース。同業の範囲は独自の業界分類(専用機・建機・農機)に従っています。

会社の歴史

沿革 28件

クロスフィンコイルとファンコイルユニットの国産化に成功した1951年

1950年6月に業務用冷暖房機器の製造販売を目的として会社を設立。翌1951年4月には、日本で初めてとなるクロスフィンコイル及びファンコイルユニットを完成させ、製造販売を開始した。これが同社の技術的な出発点となり、後の空気調和機開発の基盤となった。1957年8月には空気調和機の製造販売も開始し、業務用空調市場への本格参入を果たした。

東日本・西日本の生産拠点を整備した1965年〜1981年

1965年8月、東日本の生産拠点として神奈川県秦野市に新晃空調工業株式会社(現・神奈川工場)を設立。続いて1981年3月には西日本の拠点として岡山県津山市に岡山新晃工業株式会社(現・岡山工場)を設立し、全国的な生産体制を構築した。1971年には大阪府寝屋川市に技術研究所を設置し、研究開発機能も強化した。1985年8月には大阪証券取引所市場第二部に上場し、資金調達力を高めた。

上海に合弁会社を設立した1987年

1987年5月、中国上海市に合弁会社「上海新晃空調設備有限公司」を設立。中国市場向けに空調機器の現地生産を開始した。1995年には上海新晃制冷機械有限公司にも資本参加し、中国での事業基盤を拡大した。1982年には香港のSINKO AIR CONDITIONING (HONG KONG) LTD.に資本参加するなど、アジア地域への展開を積極的に進めた。その後、上海新晃空調設備は2005年に股份有限公司に組織変更し、連結子会社として位置づけられている。

ISO認証取得と子会社統合による経営効率化

1998年1月、上海新晃空調設備有限公司がISO9002(現ISO9001)認証を取得。同年3月には当社、新晃空調工業、岡山新晃工業が共同でISO9001認証を取得し、品質管理体制を国際基準に適合させた。2006年にはISO14001認証も取得し、環境マネジメントを強化。2009年3月には岡山新晃工業が新晃空調工業を吸収合併し、生産子会社を一本化した。同年7月には神奈川県秦野市にSINKOテクニカルセンターを新設し、研究開発と技術情報発信の拠点とした。

ビル管理事業への進出とさらなる統合

2013年4月、千代田ビル管財株式会社の全株式を取得し、ビル管理事業に参入。これにより空調機器販売に加え、建物設備の総合管理や清掃サービスを提供する体制を整えた。2020年4月には新晃空調工業と三井鉄工を吸収合併し、生産子会社を完全に統合。2021年4月には新晃アトモスが新晃空調サービスを吸収合併し、サービス事業の効率化を図った。一連の統合によりグループ経営の効率化が進んだ。

プライム市場への移行と資本コスト経営への転換

2012年12月に大阪証券取引所市場第一部銘柄に指定され、2013年7月の市場統合に伴い東京証券取引所市場第一部に上場。2022年4月には市場区分見直しによりプライム市場へ移行した。2016年にはタイのSINKO AIR CONDITIONING (THAILAND)が第三者割当増資により持分法適用関連会社に移行(2026年3月には持分法適用から除外)。2023年には中期経営計画「move.2027」を策定し、ROE10%以上・PBR1倍以上を目標とする資本コスト経営を推進している。

年表28件を開く

1950年代

  • 1950年6月創業業務用冷暖房機器の製造販売を目的として会社を設立。
  • 1951年4月わが国最初のクロスフィンコイル及びファンコイルユニットを完成し、製造販売を開始。
  • 1957年8月空気調和機の製造販売を開始。

1960年代

  • 1965年8月東日本の生産拠点として、神奈川県秦野市に新晃空調工業㈱(現 当社 神奈川工場)を設立。

1970年代

  • 1971年3月大阪府寝屋川市に技術研究所を設置。
  • 1976年1月新晃空調サービス㈱(現 新晃アトモス㈱(連結子会社))を設立。
  • 1976年12月日本ビー・エー・シー㈱(連結子会社)を設立。

1980年代

  • 1981年3月西日本の生産拠点として、岡山県津山市に岡山新晃工業㈱(現 当社 岡山工場)を設立。
  • 1982年4月SINKO AIR CONDITIONING(HONG KONG)LTD.に資本参加。
  • 1985年8月上場大阪証券取引所市場第二部に上場。
  • 1987年5月合弁会社上海新晃空調設備有限公司(現 上海新晃空調設備股 份 有限公司(連結子会社))を設立。
  • 1988年7月VC(ベーパークリスタル)事業による工事業への進出。

1990年代

  • 1992年1月TAIWAN SINKO KOGYO CO.,LTD.に資本参加。
  • 1995年11月上海新晃制冷機械有限公司(連結子会社)に資本参加。
  • 1998年1月上海新晃空調設備有限公司が、ISO9002(現 ISO9001)認証を取得。
  • 1998年3月当社、新晃空調工業㈱、岡山新晃工業㈱が、共同でISO9001認証を取得。

2000年代

  • 2003年12月M&ASINKO SALES(THAILAND)CO.,LTD.(1991年3月資本参加)を完全子会社とする(現 SINKO AIR CONDITIONING(THAILAND)CO.,LTD.(2016年6月 持分法適用関連会社、2026年3月 持分法適用関連会社から除外))。
  • 2005年10月商号変更上海新晃空調設備有限公司は組織変更に伴い、上海新晃空調設備股 份 有限公司に商号変更。
  • 2006年1月当社(本社・東京支社・大阪支社・名古屋支社)、新晃空調工業㈱、岡山新晃工業㈱が、共同でISO14001認証を取得(2006年4月技術本部を認証範囲に拡大)。
  • 2009年3月M&A岡山新晃工業㈱は、新晃空調工業㈱を吸収合併。商号を新晃空調工業㈱へ変更。
  • 2009年7月研究開発及び技術情報の発信の拠点として、神奈川県秦野市にSINKOテクニカルセンターを新設。

2010年代

  • 2012年12月大阪証券取引所市場第一部銘柄に指定。
  • 2013年4月M&A千代田ビル管財㈱(連結子会社)の全株式を取得し、子会社化。
  • 2013年7月上場東京証券取引所と大阪証券取引所の現物市場統合に伴い、東京証券取引所市場第一部に上場。
  • 2016年6月SINKO AIR CONDITIONING(THAILAND)CO.,LTD.は、第三者割当増資により当社の持分比率が低下したため、持分法適用関連会社へ移行(2026年3月 持分法適用関連会社から除外)。

2020年代

  • 2020年4月M&A新晃空調工業㈱及び三井鉄工㈱を吸収合併。
  • 2021年4月M&A新晃アトモス㈱が新晃空調サービス㈱を吸収合併。
  • 2022年4月東京証券取引所の市場区分の見直しにより、市場第一部からプライム市場へ移行。

有価証券報告書の沿革をもとにAIが通史として編纂しています。年表は沿革の記載そのままです。

これからの方針

有価証券報告書 2026/3期の経営方針より

会社は3つの方針を掲げている。そのうち4項目には、達成する数字が明記されている。

会社が掲げている数値目標
  • 連結売上高2028年3月期まで630億円
  • 連結営業利益2028年3月期まで100億円
  • ROE2028年3月期まで10%以上
  • PBR2028年3月期まで1倍以上

有価証券報告書の原文に書かれた目標だけを載せています。達成度の評価や推計は加えていません。

  1. 01

    マテリアリティ特定と持続可能な社会への貢献

    長期ビジョン「VISION2030」と中期経営計画に基づき、4つのマテリアリティ(脱炭素推進、DX、人財育成、ガバナンス)を特定し、製品・サービスの環境価値向上や新市場開拓などの施策を実行する。

  2. 02

    DXによる生産・販売プロセス革新

    「SIMA」プロジェクトで3D-CAD設計システムを導入、2026年度から新生産システムを運用開始。データ集約による属人化脱却、リードタイム短縮、品質向上を図り、労働集約型からの転換を進める。

  3. 03

    コア技術の深耕と競争力強化

    「SSA」プロジェクトで送風機・熱交換器の高効率化や低環境負荷化を推進。デジタル解析と実機試作を組み合わせ、AHUなど主力製品の省エネ性・環境性能を向上させる。

有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、AIが項目ごとに整理しています。数値目標は原文に書かれたものだけです。

社員と組織

有価証券報告書 10期分

グループ全体で1,701人が働いている。提出会社(単体)の平均年収は678万円で、9期前と比べて5.3%平均年齢は41.0歳、平均勤続年数は15.0年。

決算期平均年収万円平均年齢平均勤続連結従業員数一人当たり営業利益万円
2017年3月1,560
2018年3月1,493
2019年3月71640.015.01,437
2020年3月72740.016.01,430
2021年3月65340.015.01,442
2022年3月65441.015.01,461
2023年3月64841.015.01,509
2024年3月67141.015.01,616
2025年3月68541.015.01,684594
2026年3月67841.015.01,701553

平均年収・平均年齢・平均勤続は有価証券報告書に記載された提出会社(単体)の値、従業員数はグループ全体の値です。一人当たり営業利益は連結営業利益を連結従業員数で割ったもので、給与などの費用を払ったあとに一人あたりいくら残るかの目安になります。

多様性の開示2026年3月期・提出会社(単体)
女性管理職比率1.3%
縦線は目安の30%
男性育休取得率86.7%
縦線は目安の85%
女性の賃金(男性=100)61.4%
100なら男女で差がない状態

拠点とグループ

設備と関係会社

関係会社6(国内 3 / 海外 3、うち連結子会社 4) を有報から抽出しています。

主要な設備 (帳簿価額 上位6)
神奈川工場・ SINKOテクニカルセンター — 神奈川県秦野市131億円
日本
岡山工場 — 岡山県津山市2,942百万円
SINKO AIR DESIGN STUDIO — 大阪府寝屋川市1,604百万円
東京社屋 — 東京都中央区899百万円
上海工場 — 中国上海市654百万円
アジア
大阪社屋 — 大阪市北区495百万円
主な関係会社
  • 国内
    新晃アトモス㈱
    東京都江東区 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 国内
    千代田ビル管財㈱
    東京都中央区 · 連結子会社
    議決権100.0%
  • 国内
    日本ビー・エー・シー㈱
    東京都世田谷区 · 連結子会社
    議決権75.0%
  • 海外
    上海新晃空調設備 股份有限公司
    中国 上海市 · 連結子会社
    議決権50.0%
  • 海外
    SINKO AIR CONDITIONING (HONG KONG)LTD.
    中国 香港 · 持分法適用会社
    議決権49.5%
  • 海外
    TAIWAN SINKO KOGYO CO.,LTD.
    台湾 桃園市 · 持分法適用会社
    議決権25.1%

業績のいま

有価証券報告書・決算短信より

2026年3月期の売上高は593億円営業利益94億円前期と比べると増収減益で、売上が+4.0%、利益が-6.0%。

売上高
+4.0%
593億円
営業利益
-6.0%
94億円
純利益
-12.8%
68億円
営業利益率
15.9%
前期比 -1.7%pt

会社が出している今期の予想2027年3月期

項目会社予想前期実績
売上高630億円593億円
営業利益100億円94億円
純利益72億円68億円
1株あたり配当¥50¥50

会社が決算短信で公表した予想です。証券会社の予想ではありません。 短信の原本

四半期の推移

10期分

直近は2027年1Qで、売上は114億円、営業利益は12億円。前年の2024年1Qと比べると、売上は+15.2%、営業利益は+33.3%。

対象期間売上高億円営業利益億円営業利益率%純利益億円
2023年4Q14220
2024年1Q9999.18
2024年2Q1241612.913
2024年3Q1402920.721
2024年4Q15624
2025年2Q2423614.931
2025年4Q3286419.547
2026年2Q2593613.926
2026年4Q3345817.442
2027年1Q1141210.511

期ごとの単独の業績で、期首からの累計ではありません。

業績の推移

有価証券報告書 14期分

2013年3月期からの14期で、売上は320億円から593億円へ1.9倍に増えた。直近期の営業利益率は15.9%。売上は5期連続で増加。

決算期売上高億円営業利益億円経常利益億円営業利益率%純利益億円
東京証券取引所と大阪証券取引所の現物市場統合に伴い、東京証券取引所市場第一部に上場。
2013年3月3204632
2014年3月3573922
2015年3月3924626
2016年3月4156442
2017年3月3865740
2018年3月4045739
2019年3月4105842
新晃空調工業㈱及び三井鉄工㈱を吸収合併。
2020年3月4439560
新晃アトモス㈱が新晃空調サービス㈱を吸収合併。
2021年3月3927050
2022年3月4206041
2023年3月4486545
2024年3月5199166
2025年3月57010010617.578
2026年3月5939410115.968

金額は有価証券報告書の連結値をそのまま掲載しています。帯の長さは列ごとの最大値との比です。空欄の期は有価証券報告書からその項目の数値が取れていません(0ではありません)。

利益の構造

2026年3月期

売上高593億円のうち、営業利益として残るのは94億円15.9%。営業外の損益と税金を反映した純利益は68億円、売上の11.5%にあたる。営業利益率は業種中央値8.6%を上回る水準。

売上高を100としたときの内訳
  • 売上原価作る・仕入れるのにかかったお金61.9%367億円
  • 販売費及び一般管理費売る・管理するのにかかったお金22.3%132億円
  • 営業利益費用を引いたあとに残った本業の利益15.9%94億円

有価証券報告書の損益計算書から、当期の金額をそのまま割り振っています。

粗利率
38.1%
売上から原価を引いて残る割合
営業利益率業種比+7.2pt
15.9%
本業の利益として残る割合
純利益率業種比+4.5pt
11.5%
税金まで払って最後に残る割合
ROE業種比+3.3pt
11.0%
株主のお金がどれだけ利益を生んだか
ROA
7.3%
資産全体がどれだけ利益を生んだか
ROIC
8.7%
事業に使うお金がどれだけ利益を生んだか

ROICは有利子負債の開示がないため、営業利益×0.7÷(総資産−現金)の簡易式で算出しています。

お金の流れ

キャッシュフロー計算書 14期分

2026年3月期は営業CFが80億円、投資CFが−38億円で、差し引きのフリーCFは42億円この組み合わせは成熟・還元型にあたる。本業で稼ぎ、投資に回し、それでも余る現金を借金返済や株主還元に充てている。最も健全とされる型期末の手元現金は174億円で、売上の3.5ヶ月分にあたる

決算期営業CF億円投資CF億円財務CF億円フリーCF億円現金残高億円
2013年3月24−5−111968
2014年3月43−402375
2015年3月44−8−1136100
2016年3月41−9−1832113
2017年3月52−12−2240125
2018年3月58−29−1729137
2019年3月36−11−1025152
2020年3月72−36−1536173
2021年3月56−933−37140
2022年3月36−12−2324141
2023年3月41−17−2324143
2024年3月89−22−3467177
2025年3月573−8260156
2026年3月80−38−2542174

本業で稼いだ現金が営業CF、設備や事業への投資が投資CF、借入と返済・配当が財務CF。営業・投資・財務の3列は縦線が0で、右がプラス、左がマイナスです。健全な会社の基本形は営業CFがプラスで投資CFがマイナス。フリーCFは営業CFと投資CFの合計で、手元に残る現金を表します。

資産と負債

貸借対照表 14期分

2026年3月期の総資産は933億円。このうち返さなくてよい自己資本が668億円で、自己資本比率は67.9%(業種中央値65.3%より厚い)

決算期総資産億円自己資本億円負債億円自己資本比率%
2013年3月41723418350.8
2014年3月46126819351.8
2015年3月51431719755.7
2016年3月54434020457.3
2017年3月53036116962.9
2018年3月59139719462.4
2019年3月62242319963.9
2020年3月65146318867.9
2021年3月69051018070.9
2022年3月72054018071.6
2023年3月77557719871.1
2024年3月88063924169.4
2025年3月85064320771.7
2026年3月93366826467.9

自己資本比率は総資産のうち返済のいらないお金の割合で、高いほど借入への依存が小さいことを示します。負債は総資産から自己資本を引いた額です。

2026年3月期の内訳
現金及び預金
174億円
すぐ使えるお金
利益剰余金
519億円
過去の利益の積み上がり
棚卸資産
9億円
在庫として抱えている分
負債合計
264億円
いつか返す必要があるお金
財務の健全性
100
/ 100
安定性自己資本比率40 / 40
収益力営業利益率30 / 30
現金創出営業CFの黒字継続30 / 30

有価証券報告書の数値から機械的に配点した参考値です。自己資本比率60%で満点、営業利益率15%で満点、直近3期の営業CFが黒字だった割合の3つを足しています。業態によって出ない要素があります。

業界内での比較

機械 209社との比較

同じ機械の企業と並べると、いちばん上に来るのは営業利益率209社中32位あたり、逆に低いのは売上成長率209社中103位あたり帯は左端が業種の最下位、右端が最上位で、縦線が真ん中にあたる。

ROE株主の出したお金でどれだけ利益を生んだか
11.0%/中央値 7.7%
P25 4.7%P75 11.1%
営業利益率上位売上のうち本業の利益として残る割合
15.8%/中央値 8.6%
P25 4.8%P75 12.6%
自己資本比率総資産のうち返済のいらないお金の割合
67.9%/中央値 65.3%
P25 51.4%P75 75.3%
売上成長率前期からの売上の伸び
4.0%/中央値 3.9%
P25 -1.7%P75 9.4%
配当利回り上位株価に対して1年で受け取る配当の割合
4.0%/中央値 2.9%
P25 1.8%P75 3.6%

有価証券報告書の最新期の数値をもとに、同じ業種の企業の中での順位を毎日計算しています。P25は下から4分の1、P75は上から4分の1の位置にある企業の値です。

株価

9月2日の終値

直近の終値は¥1,236で、1年前と比べて-0.2%過去52週の値幅のなかでは15%の位置にある。

¥1,236-2.1%1ヶ月-0.2%1年-0.2%時価総額897億円
過去52週の値幅
安値¥1,166高値¥1,621

チャートの金額は株式分割と配当を反映して調整した終値で、上に出している直近の終値とは一致しないことがあります。

指標
PER (実績)12.4倍
PER (会社予想)11.5倍
PBR1.27倍
配当利回り4.05%

実績値は直近の決算、予想値は会社予想にもとづきます。株価は終値ベースです。

値動きの背景

直近1ヶ月で-1.1%とやや軟調。週足では25日線(1253円)を下回り、75日線(1240円)付近での揉み合い。52週高値(1621円)からは約23.6%下落した水準にあり、高値圏からの調整が続く。出来高は直近で20万株超とやや活発化している。

値動きの背景は、株価と出来高の推移をもとにAIがまとめた見立てです。

AIの評価

AI評価

株価水準の解釈です。売買の推奨ではありません

現在の株価水準を割安と判定しています(スコア 75/100)

PERが12.4倍と業界平均22.8倍を大幅に下回り、PBRも1.31倍で平均1.47倍を下回っている。配当利回りは4.04%と業界平均2.80%を上回り、株主還元は積極的。ROEは11%とまずまずだが、売上・営業利益は増加傾向で収益性は安定。割安ながら配当性向60.8%とやや高めで、今後の成長鈍化リスクに注意。

指標この会社業種平均
PER (実績)12.4倍22.7倍
PER (予想)11.5倍
PBR1.27倍1.50倍
ROE11.0%7.0%

業種平均は同じ東証33業種に属する銘柄の単純平均です。銘柄数が少ない業種では平均が振れます。

AI評価判定とスコアは公開データをもとにした解釈で、将来の株価を示すものではありません。算出の考え方は編集方針に記載しています。

評価が分かれる点

AI分析

投資家の見方

高い収益性(営業利益率17.5%)と安定需要が評価される一方、2026年3月期は減益予想で成長鈍化が懸念される。建設投資の先行き不透明感も論点。

プラスに働く材料7
  • 高い収益性とシェア

    営業利益率17.5%、国内シェア30%で安定収益基盤

  • 省エネ需要の拡大

    環境規制強化で高効率換気設備の需要増加

  • 安定配当と株主還元

    配当利回り4.04%と高水準、安定株主還元

  • 増収基調継続、売上高593億円2026/3期影響

    3期連続増収、成長力示す

  • 高い営業利益率15%超継続影響

    営業利益率16%前後、収益性高い

  • 配当利回り4.04%安定継続影響

    増収ながら配当維持、株主還元

  • PER12倍の割安感不定影響

    成長考慮すれば同業比割安

マイナスに働く材料7
  • 減益予想と成長鈍化

    2026/3期は純利益68億円と前期比13%減予想

  • 建設投資の不透明感

    国内建設投資はピークアウト懸念あり

  • 成熟市場での限界

    国内シェア30%以上で大幅拡大は難しい

  • 減益トレンド顕在化2026/3期影響

    営業利益100→94億、純利益78→68億

  • 建設市場減速リスク2027年以降影響

    需要ピークアウトで受注減少の懸念

  • 競合激化によるシェア低下中期影響

    価格競争で利益率低下の可能性

  • 外国人保有比率18%、売り圧不透明影響

    リスクオフ時に売られる可能性

次の決算で確かめる点
受注高・受注残高
建設投資動向と将来収益の先行指標
営業利益率
高収益維持の確認に必須
国内売上高成長率
成熟市場でのシェア維持・拡大を測る

配当

株主還元

直近の年間配当は1株あたり50で、前期から+0.0%いまの株価に対する利回りは4.05%。

年間配当
¥50
1株あたり
配当利回り
4.05%
いまの株価に対して
配当性向
60.8%
利益のうち配当に回した割合
連続増配等
0年
増配か維持が続いた年数
決算期1株あたり配当前期比%配当性向%
2017年3月1231.7
2018年3月1311.128.4
2019年3月147.524.9
2020年3月1934.924.0
2021年3月15−22.418.7
2022年3月1711.133.8
2023年3月1914.033.4
2024年3月3584.246.8
2025年3月5042.954.2
2026年3月500.060.8

過去の配当は株式分割にあわせて調整した金額です。配当性向は有価証券報告書に記載された各期の値で、利益のうち配当に回した割合を示します。

次の配当スケジュール
  • 権利付き最終日
  • 権利確定日
  • 支払開始日
  • 今期の会社予想年間予想¥50

株主

有価証券報告書より

2026年3月期末の株主数は延べ17,246人。区分でいちばん多いのは個人・その他28.7%。グループ会社や銀行などの安定株主が52.3%を占め、残る47.7%が市場で売買されうる浮動株にあたる。

所有者の区分ごとの比率

所有者の区分2021年3月%2022年3月%2023年3月%2024年3月%2025年3月%2026年3月%
個人・その他25.026.128.526.829.728.7
事業法人27.126.125.825.427.128.5
金融機関23.322.121.721.420.523.8
外国法人23.324.722.825.619.317.9
自己株式4.65.56.48.27.76.1
証券会社1.31.11.20.93.41.0
外国人個人0.00.00.00.00.00.1

発行済株式に対する持ち株比率です。単元未満株の扱いにより、合計が100%にならない期があります。

大株主上位10

順位株主持ち株比率 %
01株式会社明晃18.64
02日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)10.71
03ダイキン工業株式会社5.58
04STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505025(常任代理人 株式会社みずほ銀行 決済営業部)4.58
05株式会社三菱UFJ銀行3.08
06株式会社日本カストディ銀行(信託口)2.94
07日本生命保険相互会社2.57
08新晃持株会1.58
09エフホールディングス株式会社1.24
10NORTHERN TRUST CO.(AVFC) RE UKAI AIF CLIENTS NON LENDING 10PCT TREATY ACCOUNT(常任代理人 香港上海銀行東京支店)1.24

有価証券報告書の大株主の状況から、上位10者を掲載しています。信託銀行の名義は、実際の保有者ではなく運用を預かる先を指すことがあります。

大量保有報告の動き
5%超の保有者の提出ベース 直近3
  • 2026-05-21
    野村證券株式会社
    新規の大量保有報告
    4.50%
    -0.06pt
  • 2026-05-14
    株式会社明晃
    新規の大量保有報告
    18.64%
    +1.17pt
  • 2026-04-20
    野村證券株式会社
    新規の大量保有報告
    4.56%
    +1.18pt

提出があった時点の記録です。その後5%を割った保有者が一覧に残ることがあります。

株価指標の推移

有価証券報告書 14期分

1株利益は14期で−21%、1株純資産は14期で+14%。直近期のROEは11.0%で、日本株の目安とされる8%を上回る。

決算期EPSBPSROE%PER配当性向%
2013年3月12583016.57.021.4
2014年3月869349.811.332.1
2015年3月991,05310.013.025.7
2016年3月1561,16414.010.527.8
2017年3月1501,27712.310.731.7
2018年3月1491,41611.111.228.4
2019年3月1601,52410.99.424.9
2020年3月2301,69614.36.124.0
2021年3月6563110.811.218.7
2022年3月536728.110.933.8
2023年3月607298.59.333.4
2024年3月8882311.314.646.8
2025年3月10886212.811.254.2
2026年3月10094311.012.060.8

有価証券報告書に記載された各期の値です。PERは期末時点の株価にもとづく実績値で、いまの株価から計算した値とは異なります。

EPS1株利益
1株が1年で稼いだ純利益。伸びていれば株の稼ぐ力が育っている
BPS1株純資産
1株あたりの持ち分。会社に積み上がった蓄えの目安
ROE自己資本利益率
株主のお金でどれだけ稼いだか。日本株では8%が一つの目安
PER期末実績
株価が1年分の利益の何倍か。低いほど割安とは限らず、期待の低さのこともある
配当性向利益からの還元率
利益のうち配当に回した割合。高すぎる場合は無理をしている可能性もある

経営陣

16名 有価証券報告書の提出日現在

有価証券報告書に載っている役員は16名。2026/3期の役員報酬は総額254百万円。社内取締役1人あたりの報酬は、従業員の平均年収の約6倍にあたる。

氏名役職年齢保有株数
末永聡代表取締役社長 兼社長執行役員6446,100
青田徳治代表取締役副社長 兼副社長執行役員 管理本部長6426,400
谷口武則取締役 兼専務執行役員 生産本部長6443,600
藤井智明取締役 兼専務執行役員 経営企画室長5198,778
道端徳昭取締役 兼常務執行役員6121,667
安達美奈子取締役69
平野伸一取締役70
福田伊津子取締役64
佐野雅一取締役(常勤監査等委員)6846,900
北殿寿生取締役(常勤監査等委員)6519,500
水村健一郎取締役(監査等委員)70
中川善雄取締役(監査等委員)7033,900
残りの役員4名を開く
氏名役職年齢保有株数
生越栄美子取締役(監査等委員)66
岡尾竜平47
酒井芳明取締役 兼常務執行役員 営業本部長 兼DC事業部長5913,400
永來英男取締役(監査等委員)65

役員報酬の内訳2026/3

役員の区分人数固定報酬百万円業績連動百万円その他百万円合計百万円1人あたり百万円
取締役(社内)511174619138
社外取締役643437
取締役(社内)2202010

有価証券報告書の役員報酬等の総額から、区分ごとの内訳を載せています。人数は当期中に在任した延べ人数のため、期末の人数と一致しない期があります。

有価証券報告書

有価証券報告書 2026/3期

会社自身が書いた有価証券報告書の本文を、章ごとにそのまま収録しています (要約ではありません)。

事業の内容502字を開く

何をしている会社か、会社自身の説明

3 【事業の内容】 当社グループは、当社と連結子会社7社、持分法適用関連会社2社で構成されており、空気調和機、ファンコイルユニット等の製造販売及び関連工事等の空調機器製造販売事業並びにビル管理事業等を営んでおります。これらが営む主な事業の内容と当該事業における位置付け及びセグメントとの関連は次のとおりであります。 なお、セグメントについては、製造・販売体制を基礎とした地域別の区分によっており、当該区分ごとの主要な関係会社の名称は、以下のとおりであります。 〔日本〕 当社   …… 空調機器の製作、販売、空調工事の請負施工及び建築用資材の製造、販売 新晃アトモス㈱   …… 空調用設備及び消火設備の設計、施工、関連機器の販売、保守点検及び整備(連結子会社) 日本ビー・エー・シー㈱   …… 氷蓄熱装置、冷却塔等の販売(連結子会社) 千代田ビル管財㈱   …… 建物設備全般の総合管理及び各種清掃(連結子会社) 〔アジア〕 上海新晃空調設備股份有限公司   …… 中国における空調機器の製作、販売(連結子会社) 当社グループの概要は、次のとおりであります。(矢印は販売経路等を示しています。)
経営方針・対処すべき課題14,143字を開く

経営陣が考える方向性と課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針 当社グループは「豊かな創造力と誇れる品質」を経営理念とし、顧客をはじめ社会や社員に対し「信頼と満足」を普遍的に提供することを経営の基本方針としております。また事業領域を「快適環境の創造」と定義し、業務用空調機器を中核にしながら、建物に関わる各種事業へ業容拡大を目指しております。 (2) 目標とする経営指標 当社グループは、2023年11月に公表した中期経営計画「move.2027」より、資本コスト経営を事業運営の軸としていくことを明示し、目標とする経営指標をROE10%以上・PBR1倍以上と設定したうえで、資本コストと資本収益性を意識した経営を進めることとしております。 (3) 経営環境 ① 当社の主力事業領域 空調システムは、大きく家庭用と業務用に分けることができます。業務用は、事務所、工場、病院、ホテル、商業施設などを指し、建物の規模によって空調方式を使い分けます。 大規模な建物で採用されるセントラル空調は、建物を一体のシステムと捉える空調方式です。熱源機器を集中設置してまとめて熱を作り、建物全体に循環させて空調します。それに対し中小規模の建物で採用される個別空調は、各部屋に室外機、室内機をセットで設置して、個々で熱を作って空調します。当社は両空調方式において、居室の温度、湿度、気流、清浄度をコントロールする業務用の空調機器のメーカーです。 ② 各方式の特徴と動向 空調方式は、建物の規模や運用によって最適なものが選択されます。熱源機器を大型化して効率を上げ、システムを一括で制御するセントラル空調は、建物全体の管理や省エネルギーに適しています。一方、熱源機器を集中しても効率化されない規模の建物では、個々に制御でき、システムが簡易で利便性が高いと言われる個別空調が採用されます。 1) セントラル空調(大規模建物) 大規模建物においては、エネルギー効率の面から古くよりセントラル空調が採用されてきました。近年、その簡易性から個別空調の採用が増加していましたが、「2050年カーボンニュートラル」に代表される地球環境の面から、セントラル空調が改めて注目されております。その大きなメリットの一つは、熱源からAHU(※)内までの熱の搬送に高GWP(地球温暖化係数)冷媒(主にHFC)を使っていないという点にあります。AHUは自然冷媒である冷温水を使用して熱交換するため、気候変動関連で規制が強化されている高GWP冷媒の使用量を削減することができ「カーボンニュートラル」に貢献いたします。 空調分野において、熱の移動を媒介する冷媒ガス(以下、冷媒)には、古くはアンモニアや二酸化硫黄、20世紀半ば頃からは高効率かつ不燃性で毒性もないフロンが利用されておりました。ところが、フロンによるオゾン層破壊問題がクローズアップされ、1987年のモントリオール議定書によって特定フロンが規制されると、オゾン層を破壊しない代替フロンへの転換が始まりました。その後さらに、地球温暖化問題が顕在化し、1997年の京都議定書では先進国が、2015年のパリ協定では発展途上国を含む全ての国が温室効果ガスの削減に取り組むこととなり、温暖化係数の高い代替フロンに対する規制が全世界で進んでおります。 冷温水を用いるセントラル空調には、その他にも、大風量の空調に対応できる、冷媒にはできない精緻な温度・湿度制御ができる、上質な空気質を作ることができ、熱源をまとめて大型化するためエネルギー効率の高い運転ができ、機器がまとまって設置されているため保守性がよいなど、多くのメリットがあります。 ※ AHU…「Air Handling Unit」(エアハンドリングユニット)の略称。AHUは、セントラル空調方式の二次側機器として、熱源機器(一次側)で作られた冷温水を用いて空気の温度調整をするほか、湿度・清浄度・音・省エネ性・振動・気流などをコントロールし、建物に最適な空気を提供する製品です。 2) 個別空調(中小規模建物) 中小規模の建物においては、簡易性、利便性に加え、エネルギーの効率からも個別空調が採用されており、今後も続くものと思われます。 個別空調で使用される機器についても高効率化は進んでおり、今後は地球温暖化係数のより低い冷媒への転換が進むことで、従来の利便性に加え製品の環境性も向上していく見込みです。 ③ 当社製品の役割 当社の主力製品は、セントラル空調で使用されるAHU、ファンコイルユニット(FCU)です。大型のAHUはフロア全体の換気・空調を、小型のFCUは各部屋の空調を行います。セントラル空調は建物用途に合わせて個々に設計されるため、そこで採用される製品もその要求仕様に合わせて最適な形で設計・製造されますが、当社は特にAHUに強みを持っております。 また個別空調で使用されるヒートポンプAHUも主力製品の一部です。セントラル空調と比べると簡易的なシステムが構築されるため、採用される製品も汎用品が多くなりますが、建物の換気・空調を行うヒートポンプAHUには固有の要求仕様が多く、当社がセントラル空調分野で蓄積してきたノウハウを存分に活かすことができます。 ④ 業界構造 一定以上の規模の業務用建物の工事において、空調機器は建築工程に合わせて納入、設置されます。発注主としてディベロッパーなどの施主、建物の設計をする設計事務所、建築工事として全体を束ねるゼネコン、設備工事を請けるサブコンを中心に多くの企業が関わり、工事が進められます。サブコンにはそれぞれの専門分野があり、熱源、空調、計装の各メーカーは、空調設備工事を担当するサブコンに対して製品を納入します。 従いまして当社の事業は、主にサブコンから発注を受け、製造した空調機器を建物の工期に合わせて建築現場に納入するという流れで進められます。 ⑤ 建設業・物流業における働き方改革の推進と人手不足 2024年4月から建設業および物流業に適用された労働基準法の改正により、建設業界における働き方改革が進みました。当社の主な得意先である管工事のサブコンのほかゼネコンを含む建設業全体で、より持続的な働き方への対応が実施されました。これら法改正への対応により、従来の長時間労働を前提とした工事計画の見直しや工事単価の引き上げなど、業界に一定の影響が生じている環境にあると認識しております。物流業においても、トラックドライバーの減少や労働時間上限規制を背景に、当社製品を含む建設資材の輸送能力不足・物流コスト上昇などが生じており、製品の安定的な輸送体系の構築が重要となっております。また、国内の人口減少と少子高齢化は想定よりも早いペースで進んでおり、人財への投資や業務の効率化など長期的にますますの対処が必要な事業環境と捉えております。 (4) 中長期的な会社の経営戦略 当社グループは、少子高齢化に伴う労働者不足や気候変動問題への対応など、ESG経営・SDGsへの取り組みを通じて、持続的に発展できる企業グループとして更なる成長を遂げるため中期経営計画を策定しております。資本コスト経営を採用し、2027年3月期では連結売上高630億円・連結営業利益100億円ならびにROE10%以上・PBR1倍以上の達成を目標と定め以下の経営戦略を進めております。 ① 長期ビジョン実現に向けたマテリアリティの特定と見直し 当社グループは、長期ビジョン「VISION2030:空気で未来を拓く」および中期経営計画「move.2027」を踏まえ、その実現に向けたマテリアリティ(重要課題)を特定しております。当社グループのマテリアリティは以下の4項目です。 1) 持続可能な社会の実現に向けた空調インフラの提供 2) デジタル技術革新(DX)による新しい価値の創造 3) 多様な人財が活躍できる環境整備と制度の構築 4)透明性の高いガバナンス体制の構築 マテリアリティ   テーマ   関連する主な項目 持続可能な社会の実現に向けた空調インフラの提供・脱炭素推進による製品・ サービスの環境価値向上・バリューチェーン施策での グループ力を活かした事業強化・社会・産業全体のレジリエンスに 貢献する価値提供   製品価値の向上   ・ライフサイクルカーボンの削減・環境に配慮した製品開発・国内唯一の認定企業 (AMCA・AHRI認証)・自社の知的財産獲得と保護 既存事業の深耕、新市場開拓   ・大型基準階・産業空調市場の強化・DC事業・蓄熱事業強化・モノ売りからコト売りへの転換 カーボンニュートラルの実現   ・製造・輸送に関わる環境負荷低減・製品部品の再利用比率の向上 デジタル技術革新(DX)による新しい価値の創造・業務プロセスの効率化と生産性 向上の仕組み構築・製品の安全性と信頼性の追求   生産能力・生産効率の向上   ・工場最適化、新規設備導入・製品リードタイム(LT)短縮 総合品質の向上   ・製造検査体制と検査効率向上・品質データの連携 多様な人財が活躍できる環境整備と制度の構築・資本コスト経営の浸透と ワクワクの創造・誰もが幸せに働ける環境づくり・多様な人財の活躍推進   挑戦を促す企業文化の定着   ・人財育成プログラム、技術伝承・国家資格取得の推奨 働きやすさの向上   ・就業環境整備・福利厚生制度の充実・労働安全衛生活動の推進 人権の尊重、多様性を活かした持続的成長   ・ダイバーシティ推進計画 透明性の高いガバナンス体制の構築・取締役会の機能発揮と多様性の 確保・ステークホルダーとの対話の推進・リスク管理体制の強化   ステークホルダーとの対話・共生   ・投資家との対話・地域社会への貢献 企業ガバナンス体制強化   ・業務執行の監督機能の強化・透明性の高い情報開示 リスクマネジメント強化   ・情報セキュリティの啓蒙 コンプライアンス遵守   ・社内コンプライアンス教育・コンプライアンス相談窓口の充実 各項目は、事業特性・事業環境等を考慮して課題を抽出し、社会・環境への影響度と当社グループ事業への重要度を分析して重要性を評価しております。重要性が高い課題は、取締役会での審議・承認を経てマテリアリティとして特定し、事業戦略に組み込んで具体的な施策として実行しております。 ② 当社グループが提供する価値と強み 1) 高い環境価値 空調は建物のなかで多くの電力を消費する機能であり、その効率向上は建物の環境性向上に貢献します。主力製品である冷温水を用いるAHUは、高GWP冷媒の使用量が少ないシステムであり、温室効果ガスの低減に貢献します。ファン効率やコイルの熱交換効率がもたらす省エネ性の追求のほか、外板のノンフロン発泡、溶接レス、塗装レスなど製品の作り方も見直し、より良い環境性の提供を目指して研究開発を強化しております。 2) 空調による建物の価値向上 空調は建物の重要な機能の一つです。居住空間では温度や湿度のコントロールを間違えると、快適性が損なわれ建物自体の価値を低下させます。工場では空気の清浄度や温湿度管理によって生産能力や製品の品質が左右されます。データセンターでは24時間の安定稼働が求められます。様々な建物で要求される空気条件を満たし、空調を通じ、建物の価値向上に貢献することが当社グループの提供する価値です。 3) 信頼性の高い稼働と充実したサービスによるお客様体験 AHUをはじめ当社グループの製品が納まる建物には、工場や研究所、オフィスや商業施設などがあります。これらは収益や重要な機能を生み出すインフラであり、竣工に向けて厳格な工期管理が求められます。定められた工期ですべての設備を納めるためには、AHUの品質はもとより、施工過程で生じる技術的要求への対応力や様々な調整力が必要とされます。当社は、過去国内の代表的な建物に製品を納めてきたなかで、お客様とともに数々の挑戦とトラブル対応を含めた現場経験を共有してまいりました。高度な要求に応えなければならないお客様に対して、豊富な現場経験を経て高められた製品の品質と高水準のサポートやメンテナンスサービスを提供することで、信頼と満足を感じるお客様体験が当社グループの提供する価値です。 事業運営のなかでこれらの強みを磨き、お客様や社会に提供する価値を高めることが当社グループの事業基盤を形成しております。 ③ デジタル技術革新を軸にした新しい製品開発と製販体制 国内の人口減少に伴う人財不足に対応するため、基幹業務の効率化を狙ったDX投資を進めております。労働集約的な生産体制の脱却を目指す「SIMA(SINKO Innovative Manufacturing of AHU)」プロジェクトは、新たな空調機設計システムである3D-CADの段階的な実装と運用を2024年度からスタートさせ、製造・販売プロセスで必要となる製品のデータ化を進めております。また設計システムに次ぐデジタル化の第2フェーズとして、製品リードタイム短縮と品質向上を目指す新しい生産システムを構築し、2026年4月から一部の製品で運用を開始しました。製品の設計情報や製造上の指示などをデジタルデータに集約することで、属人的な生産体制の脱却を進めるとともに、長期の需要予測・生産計画立案や製造工程の平準化といった製販業務の最適化を進めてまいります。また組立工程において「ライン生産方式」と「セル生産方式」を併用し、製品の構造や仕様に応じた効率的な生産体制を構築しているほか、事業継続プランを準備し、大規模地震などの災害が起こった場合の調達過程等の不確実性に備えております。さらに、物流業の労働時間上限規制に伴う輸送能力不足への対応として、生産計画と連動した製品保管・出荷計画の立案や全国の中継拠点の整備など、新しい物流システムの構築に取り組んでおります。 研究開発においては、当社が長年培ってきた研究開発の実績・ノウハウとデジタル解析技術を組み合わせ、コアビジネスの競争力強化を目指すプロジェクト「SSA(SINKO Scalable Architecture)」を2023年度に立ち上げ、取り組みを進めております。実機試作と解析・シミュレーション技術を併用したコア技術深耕により、当社製品の基幹部品である送風機および熱交換器の高効率化・コンパクト化を実現し、環境負荷低減・CO₂削減・省エネルギー化のニーズに応えてまいります。また施工現場、生産現場での人手不足に対応するため、分割搬入・現地組立が可能な製品の設計や現場省力化の技術開発に努めてまいります。これらの取り組みを通じて、企業成長とカーボンニュートラルなどの社会貢献の2つの軸でNo.1を追求できる基幹部品の開発を推進してまいります。 さらに2026年度からは、豊富な納入実績とノウハウを含むデジタル資産を活用し、事業機会そのものの拡大を実現する新たなDX構想「SWA(SINKO Web Architecture)」をスタートさせてまいります。グループ内の連携を強化し、マーケティングおよびアフターサービスにおける業務変革に取り組むことで、グループシナジー創出・グループ全体の運営効率化を目指す計画です。 SIMAからSSA、SWAへの段階的拡張のなかで、当社のDX戦略は、基幹業務の効率化にとどまらず社内外の様々な側面での価値創造にまで対象領域を広げております。こうした取り組みの具体例として、AI技術を活用し運用を開始した生産予約システムや当社独自の製品データベースをお客様ご自身で検索できるサービス「SINKOダイレクト」、製品本体の二次元コードからインターネット上のメンテナンス情報にアクセスできる「SINKOかざしてメンテ」、画像認識技術を活用した社内図面検索システムの稼働、生成AI技術を用いた未利用技術データ検索システムのリリースなど、当社の業務プロセス全体において新しい変革が生まれております。これらによって当社グループの価値を総合的に引き上げ、中長期的に事業の発展性・収益性を高めてまいります。 ④ ターゲット市場と成長戦略 国内市場 当社ではAHU市場を5つの重点分野に分け、それぞれのターゲットに合った販売戦略を立てております。5つの重点分野とは、大型ビル空調、産業空調、データセンター、更新案件、個別空調をいいます。それぞれのターゲットは固有の市場特性があり求められる技術要件も異なりますが、当社が培ってまいりましたノウハウをもって5つの分野にオールラウンドでアプローチしてまいります。そのなかでも、 (A)データセンター、(B)個別空調、(C)空調設備工事・メンテナンス、(D)再エネ蓄熱を成長領域のターゲットとして定めております。各ターゲットと想定する市場規模および経営戦略は以下のとおりです。 1) データセンター 近年のAI技術の大幅な進化、サービスのクラウド化、5Gから6Gへの切り替えに伴う通信量の増大を背景として、国内市場においてデータセンターの建築需要が高まっています。特に、生成AIの登場を機にハイパースケーラーのデータセンターは、グローバルな大手テック企業を含め、積極的な投資を計画しており、今後も中長期的に増加する見込みです。 当社の主力製品であるAHUが有する大風量で大きな熱負荷を処理できる能力は、データセンターのサーバー冷却に適しております。また、当社のグループ会社である日本ビー・エー・シー株式会社が取り扱っている大型冷却塔も、同様にサーバー冷却のための熱源として採用されております。データセンターのサーバーの冷却方式は、空冷から液冷に一定程度変わっていくと予測しておりますが、大型冷却塔はサーバーの冷却方式に関わらず必要な設備であり重要な事業と位置付けております。また、24時間安定稼働する品質と迅速な国内サービス体制など当社グループのバリューチェーンを活かした信頼性という価値提供を通じて、多くのハイパースケーラーのデータセンターで採用が進んでおります。それに合わせてデータセンター事業への人財増強を進めるとともに、神奈川工場内に、国内有数の規模でデータセンター向け空調機の試験ができる総合実験棟「SINKO AIR DEVELOPMENT LAB」及び同じくデータセンター向け大型冷却塔の実機の展示施設「BAC BASE」を開設いたしました。本ターゲットにおいては、2027年3月期で55億円としていた売上高目標に対し、2026年3月期において50億円を達成しております。 2) 個別空調 ヒートポンプAHUは、熱源と一体で提供されるため設計の容易さや設置工事の簡便さにおいて高い価値を有しており、中小規模の建物の空調やスポットでの空調に適しております。高GWP冷媒を用いるヒートポンプAHUは環境規制にさらされているものの、今後は環境性の高い新冷媒への切り替えが進むことで、従来のメリットを保持しながらその価値を高めていくと考えております。ヒートポンプAHUは、中小建物向け市場を開拓する戦略製品であり製品開発と販売強化に挑戦してまいります。本ターゲットにおいては、2027年3月期の目標としていた売上高33億円を前倒しで達成するなど好調に推移しており、2026年3月期においては売上高35億円を達成しております。 3) 空調設備工事・メンテナンス 空調設備工事は、AHUやヒートポンプAHUなどの製品の据付工事や整備工事及びメンテナンス工事等を示しております。この市場では、当社グループ会社で空調工事を専門とする新晃アトモス株式会社が、当社製品のほか他社のAHU関連製品も扱う専門の工事会社として事業を続けてまいりました。大型の建物で使われるAHUの整備工事は、建物の重要な要素である空調の機能を左右するため、製品知識、工事技術、安全管理など高度なノウハウと現場経験が求められます。建築市場の拡大や更新需要の高まりを背景に、空調設備工事市場の規模は増大しており人手が常に不足している状態にあります。この分野での人財採用と育成が課題ですが、一方で収益性の高い成長が見込める市場と捉えております。働き方改革や社員の支援を強化し、従業員エンゲージメントを高めることで人財の確保と育成を進め、収益拡大を目指してまいります。本ターゲットにおいては、2026年3月期の売上高が146億円となり、2027年3月期で126億円としていた売上高目標を前倒しかつ大幅に上回って達成いたしました。 4) 再エネ蓄熱 太陽光・風力・地熱・中小水力・バイオマスといった再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず、エネルギー安全保障にも寄与できる重要な国産エネルギー源です。これらは高い環境価値がある一方で、発電時間や発電量が安定しないという側面があります。日本ビー・エー・シー株式会社の製品である氷蓄熱は、余剰電力を冷熱として維持できることから、再生可能エネルギーを利用した発電を安定させる機能を有しています。今後拡大が見込まれる再生可能エネルギー市場に対して蓄熱機器の販売を強化し新しい市場の獲得に挑戦してまいります。 本ターゲットは、2027年3月期で7億円としていた売上高目標に対し、2026年3月期において0.6億円となりましたが、長期的な視点で引き続き可能性を探ってまいります。 5) 更新需要 東京オリンピックを境に控えられた建設投資は2021年度以降回復しており、産業空調並びに東京大阪を中心とした大型再開発などで新築物件が見込まれます。今後は納入後20~30年が経過したAHUの更新需要を中心としたストックビジネスへの移行が予測されます。 更新物件については、高度経済成長期に建設された高層ビルの建て替えや1990~2000年代に建てられた施設の設備更新の時期がきております。例えば建設後50年が経過し、3度目の大規模更新を迎えた日本初の超高層ビルとして知られる霞が関ビル、1990年前後にオープンしたランドマークタワーや東京ドームなどは当社が継続的にAHU更新を行ってきた大規模建物の一例になります。また既設機器の保守サービスについて、これまでは都市圏での引合いが中心でしたが、需要は地方にも広がっております。その中には、過去に撤退した大手電機メーカー製AHUも多く含まれており、これまで以上に個々の現場に合わせた柔軟性と技術力が求められる状況になっております。これら更新案件で特別に求められる工事対応も多く、スピードや信頼性を強みとして更新案件の獲得を強化してまいります。 アジア市場 アジア最大の市場である中国では、通商問題の深刻化や不動産市場の停滞を抱えつつも、インフラ整備による生産性向上や技術革新を重視する政策に支えられ、中長期的には製造業を中心とした内需拡大を予測しております。一方で、価格競争の厳しい市場であることから収益性は低迷しておりその向上が課題です。現地の市場における地産地消を進めるべく、日本側からの技術支援やノウハウ提供を行い販売面・製造面での差別化を訴求するほか、空調工事を含めた総合サービスを提示することで販売価格の引き上げと原価低減を実現し収益性の向上を目指してまいります。 ⑤ 投資戦略 中期経営計画における業容拡大を実現するため生産能力の引き上げが必要です。購入した当社神奈川工場の隣接地に生産設備等の投資を行い、生産能力を引き上げ中期経営計画の実現を目指してまいります。また引き続き事業のデジタル化に対する投資を行い、強みの一層の向上と弱みの克服を行い、当社グループが市場に提供できる価値を高めてまいります。2025年3月期から2027年3月期までに135億円の投資を計画しており主な内訳は生産能力の増強とシステム投資です。 ⑥ ESG経営の推進 環境面において、塗装や溶接の削減など生産工程での環境負荷低減を進めるほか、現場の省力化や省エネルギーを可能にする製品開発を進め、予測される気候変動リスクを緩和し事業機会の獲得を進めてまいります。また社会面においては人的資本経営を掲げ、挑戦を促す企業文化の定着を目指した人財育成、多様性を活かす安全で生き活きとした職場づくりの維持と発展に努めてまいります。ガバナンス面においては、取締役会の多様性確保、透明性の高い情報開示と投資家との健全な対話を通じて企業価値を向上してまいります。さらに、内部統制システムの整備やリスク管理とコンプライアンスの徹底を通じて、強い事業基盤をつくってまいります。 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社グループは優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題を以下のとおり認識しております。 対処すべき課題 ① 中期経営計画「move.2027」の実現 ~資本コスト経営の浸透とワクワクの創造~ 当社グループは2023年11月に公表した中期経営計画「move.2027」において、ROE10%以上・PBR1倍以上を経営指標として掲げ、事業の軸として資本コスト経営を採用することといたしました。その目標達成のためには、空調機器の販売・製造を基盤事業として磨きつつ、新しいマーケットに挑戦するマインドと能力を持つ幹部人財の育成がカギとなります。気候変動やデジタルなどの環境変化のなかに機会を見いだし、持てる専門性を活かして挑戦を続ける幹部人財の育成に注力してまいります。前向きさのなかから生まれる従来の延長線を超えた発想と知恵で成功例を積み重ね、ワクワクしながら未来の自分達に向かって挑戦しているグループを目指してまいります。 ② 気候変動対応としてのセントラル空調及び個別空調 気候変動問題は顧客の購買行動に大きな変化をもたらします。当社の主力製品であるAHUは、熱源からAHU内の熱の搬送に高GWP冷媒を使用せず、自然冷媒である冷温水を用いております。顧客要求に応えるAHUを提案し、温室効果ガスの使用量が少なく環境性の高いセントラル空調採用の建築物を増やしていくことに貢献してまいります。一方、個別空調ではこれまでHFC等の冷媒が広く使用されてきましたが、気候変動関連の規制強化を受け、今後はGWPの低い冷媒への転換が進展する見込みです。当社は、設計や施工の簡便性に優れる個別空調に対して、環境価値を高める低GWP冷媒技術を組み合わせることで、製品価値の更なる向上を図ってまいります。 ③ 5つの重点ターゲットとDX戦略 当社ではAHU市場を5つの重点分野に分け、それぞれのターゲットに合った販売戦略を立てております。5つの重点分野とは、大型ビル空調、産業空調、データセンター、更新案件、個別空調をいいます。それぞれのターゲットは、固有の市場特性があり、求められる技術要件も異なりますが、当社が培ってまいりましたノウハウをもって5つの分野にオールラウンドでアプローチしてまいります。成長領域の攻略については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 中長期的な会社の経営戦略 ④ ターゲット市場と成長戦略」に記載のとおりであり、経営資源を重点的に投入し業績向上を図ってまいります。 当社は、これらの重点分野において事業を拡大させていくため、DXへの投資を進め、将来の人口減少に伴う人財不足の克服および事業全般のプロセス変革に取り組んでおります。デジタルデータ化された製品情報に基づく設計・製造プロセスの効率化、新しい生産予約システムによる生産の平準化、当社製品データの検索サービス「SINKOダイレクト」を通じたデジタルマーケティングの実現、製品にある二次元コードからインターネット上のメンテナンス情報にアクセスできる「SINKOかざしてメンテ」、AI技術を用いた積算の自動化、画像認識技術を応用した社内技術情報検索など、設計・積算・製造・生産管理・マーケティング・アフターサービスなど多様な側面で社内外への新しい価値提供が始まっております。今後もDX戦略による事業の益々の進化を狙ってまいります。 ④ 生産方式の進化 1) 生産能力の引き上げと事業のデジタル化 中期経営計画実現のため、神奈川工場の生産能力の段階的な引き上げを計画しております。購入した同工場の隣接地に新しい生産設備等を導入し中期経営計画に沿った生産体制構築のための投資を実行いたします。 労働者の不足・労務費の上昇は技術・製造分野で顕著になっております。また近年の生産現場は外国人労働者が増加し、伝統的な阿吽の呼吸によるものづくりは限界を迎えております。当社が強みとする個々の現場への対応力をさらに高めるには、個人の習熟度合いに左右されない業務体制の確立が急務であり、そのためには顧客要望やそれに伴う設計・製造指示、カスタマイズに必要な各種ノウハウなどのデジタル化による業務プロセスのイノベーションが必須になります。デジタル技術革新に基づいた業務体系の変革を確実に推進し、需要予測の精度向上、設計工程の見直し、造り方改革、生産工程を効率化するAI開発などを通して、労働集約型工場からの脱却を進めてまいります。 2) 総合品質の向上 お客様に提供する価値を高めるため、国際的な基準として認められたAMCA認定やAHRI認証の取得に加え、日本産業規格(JIS)に基づく性能評価などを行い、高い信頼性と透明性に基づく製品品質を追求しております。また、製品の品質だけでなく、部門間の連携でお客様の多種多様な要望に対応する組織力や、過去の実績・経験に基づきお客様への提案を行う技術力を掛け合わせた総合品質を、当社の強みとして磨いております。納入先の建物ごとに最適な製品を提供する設計・生産、建築現場の要望に沿った納期対応、納品後の充実した保守サービスなどの競争力を高めるために積極的にデジタル投資を行い、グループを挙げて総合的な品質を向上させ、お客様に対しより大きな安心を提供できるよう努めてまいります。 ⑤ 需要予測と納期管理サービス 多品種少量生産の枠組で製造されるAHUは、それぞれに異なる建物の空調ニーズに応じた能力が求められる製品です。部材手配からラインの組み替えまで、生産現場が柔軟に対応する必要があり、量産メーカーにとっては高い障壁となります。より困難なことは、月によって出荷のバラつきが大きく、生産量を安定させられない点にあります。 当社は、建物の計画段階から設計を手伝う業界最大の上流営業部門を構え、早期に案件情報を獲得し、共有された情報による需要予測を行っております。新築案件、納入実績からの更新案件、短納期が多い小口案件などの生産要求を適切に調整するため、SIMAプロジェクトの一環として生産予約システムを2024年4月に稼働させました。生産量を安定させるとともに、お客様に納期情報提供できる仕組みを構築しております。 ⑥ 海外事業の安定化 アジア市場において、中国現地法人では採算性を重視した販売戦略への切り替えや原価管理の強化によって、収益の改善を進めております。継続的に利益を確保できる体制構築を進めるため、国内事業で蓄積してきたノウハウを現地ニーズに合致・深化させ、製品改良や現地法人の技術者の育成など、事業基盤の安定に注力してまいります。 ⑦ 人的資本経営と従業員エンゲージメントの向上 資本コスト経営実現のため、挑戦を促す企業文化の定着が必要と考えております。また、社員の成長が企業価値の向上につながるとの考えのもと、新入社員研修、社内技術講習、AI/DX講習、幹部向け経営セミナーなどの教育機会を充実させております。また、多様な人財が活躍できる組織をつくるため、ダイバーシティ推進委員会を設立し、国籍・性別・世代の異なる社員の意見を取り入れ社内の制度改定に反映しております。特に、女性や外国人社員の活躍推進を通じて、経営層・幹部層の多様化と意思決定力の強化を図り、組織の活性化につなげてまいります。定期的にストレスチェック診断および従業員エンゲージメント調査を行い組織の問題点を洗い出し、分析結果を職場環境等の改善に活かし従業員エンゲージメントを向上させてまいります。このような施策によって社員の能力と品格を引き上げ、人的資本の質を高めることで企業価値向上を目指してまいります。 ⑧ 次世代の成長市場の探索と新しい事業機会への投資 資本収益性を高めるためには、事業から生まれる利益を新しい成長分野に再投資し続けることが必要です。新たに事業戦略立案を専門的に担う部署を立ち上げたほか、次期中期経営計画立案プロジェクトにおいて優れた戦略・戦術の創出を目指すなど、事業のレベルを引き上げてまいります。長期的に拡大する市場や新技術の探索・分析を継続的に行い、新しい市場への挑戦と新事業の創造に取り組んでまいります。また、新規ターゲットへの挑戦においては、共通の価値創造を目指すパートナーとの協業・提携の可能性を積極的に取り込んでまいります。 財務上の課題 ① 株主還元の強化と負債・資本のリバランス 2023年11月に公表した中期経営計画「move.2027」にて、2025年3月期からの配当性向の目安を50%に引き上げ、かつ、業績悪化のタイミングにおいてもDOE3.5%を下回らないことを配当政策といたしました。また、2025年3月期から約5年間で100億円を上限とする自己株式の取得を行うこととしておりました。100億円の自己株式取得は前倒しで進捗しており、2026年3月末時点で93億円取得済であります。なお、2025年4月には2030年満期ユーロ円建取得条項付転換社債型新株予約権付社債を発行し、調達した60億円分の全額を当該自己株式取得の原資として充てるなど、負債と資本のバランスの適正化も進めてまいりました。 ② 政策保有株の売却 当社グループは、政策保有株の保有継続について、資本業務提携や強い取引関係の存在など、保有することにビジネス上の合理的な理由がある場合を除き、売却を進める方針としており、これまでも保有株の売却を進めてまいりました。今後も、政策保有株の保有については、継続的に協議を行い適正に判断・対処してまいります。
事業等のリスク5,765字を開く

会社が自認するリスクの一覧

3 【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 特に重要なリスク ① 経済・景気に係るリスク 当社グループの営業収入は、大規模の事務所、工場、病院、ホテル、商業施設等の建築設備投資に依存しており、国内の経済情勢、特に民間企業及び公的機関による建設投資需要の影響を受けます。海外事業としては中国における収益が主な割合を占めており、同国の経済情勢等の影響を受けます。 当社グループでは、各国の経済動向を注視し、直接的に景気の影響を受けやすい民間の新築物件に依存せず、官民の更新比率を高めるほか、中小規模の建物向けの市場展開を進めることでリスク対策を講じておりますが、景気後退及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ② 経営戦略に係るリスク 市場競争の激化 当社グループは、国内事業が売上の約85%を占めております。主要市場であるAHU市場は、大手を含め複数の企業が競合しております。また海外企業が参入してくる可能性もあり、今後とも激しい競争が予想されます。 当リスクは随時発生する可能性があるため、当社グループは、個々の現場ごとへの対応力という市場要求に応える最適な組織運営を行うほか、SIMAプロジェクトを推進し、設計・生産の対応力を更に強化することで圧倒的な競争力の確保を目指しておりますが、これらの取り組みが予測通りの成果をあげられない可能性や、価格競争の激化等で当社グループの売上高の成長が鈍化する可能性があり、これらが当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 製品需要の変化 市場において競争優位を保持するためには、社会の需要に即した製品開発が不可欠です。当社グループは、事務所、工場等の空調機器を製造・販売する事業を行っているため、例えば省エネルギー関連法令等の改正など大規模建物に係る環境規制による市場要求等の変化に大きな影響を受けます。 当リスクは随時発生する可能性があるため、当社グループは、新たに事業戦略立案を専門的に担う部門を立ち上げ、優れた戦略・戦術の立案機能を強化し、将来の社会需要及び動向を予測して研究開発を進めるほか、パートナーとの共同開発によって、外部の技術も活用することで製品開発を加速させておりますが、予測を超える需要の変化があった場合は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 原材料の価格変動 製品を構成する主要原材料は、国際的な経済情勢等の影響を受けるため、当社製品に使用される銅、アルミニウムは常に価格変動リスクを抱えております。 当社グループは、主要な原材料について先物取引を分散して行うことで、急激な価格変動など不確実性の低減に努めておりますが、恒久的な価格高騰や当該コストの製品価格への適切な反映など有効な対応ができない場合は、当社グループの収益性を圧迫し、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 部品の納期遅延 世界的な半導体不足を背景に当社製品に組み込む制御機器やモーター等の納期が長期化しております。サプライヤーとの情報連携を密にして在庫の確保に努めるほか、一部製品はモジュール化を進めることで調達部品点数を減らし部品調達難への対応を進めております。この他、顧客における部品調達難が工期に影響する可能性があり現場の情報収集と納期調整に努めております。しかしながらこれら対応が有効でない場合は、売上計上時期のずれ込みや仕掛の増加に伴う生産効率の低下が想定され、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 気候変動に係るリスク 当社グループは、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言へ賛同を表明しております。1.5℃/2℃シナリオと4℃シナリオに分けて気候変動によるリスクと機会を分析し、その対応とともに当社ホームページにてTCFD提言に基づく気候関連の情報開示を行っております。気候変動がもたらす機会への対応としては、主に温室効果ガス使用量の少ないセントラル空調方式やエネルギー効率の高いヒートポンプ空調方式の拡販を推進し、リスクへの対応としては、主に炭素税導入等による原材料価格上昇に対し各種生産性向上策を進めております。当社グループは、これらの取り組みに加え、各種生産性向上策等を通じた原価低減にも努めておりますが、状況の変化等により対応が不十分となる可能性があります。これらの対応が不十分な場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 労働力不足 国内の生産年齢人口は減少を続けており、労働者の不足・労務費の上昇は技術・製造分野で顕著になっております。またそうした背景を受け、近年の生産現場は外国人労働者が増加し、伝統的な阿吽の呼吸によるものづくりが転換期を迎えるなど、人手不足による各種影響の長期化が見込まれます。 当社グループは、SSAを核にした業務プロセスのイノベーションを通じて、生産性向上と各工程の省力化を進めるとともに、海外人財の活用を含めた人員体制の強化を図るなど対策に努めておりますが、人手不足による人件費の上昇または当該コストの製品価格への適切な反映など有効な対応ができない場合は、当社グループの収益性を圧迫し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 品質クレーム 当社グループは、品質管理体制を整え、厳格な品質基準に基づいて製品を製造しておりますが、当リスクは随時発生する可能性があり、全ての製品について欠陥がなく、クレームによる費用が発生しないという保証はありません。 当社グループは、製販の連携を深め品質管理体制を強固にすることに加え、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、大規模なクレームが発生した場合には、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 国際情勢等 当社グループの海外事業は中国を中心にアジア地域で営業展開し、売上の約15%を占めております。今後、アジア地域で国際紛争、テロ事件、政情不安や大規模デモ、感染症などが発生した場合や、それらの影響による社会的混乱の拡大から従業員の活動が制限され、現地の生産もしくは工事が大幅に遅れるなど経済活動に波及する場合は、当社グループの戦略遂行に影響を与え、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③ コンプライアンスに係るリスク 当社グループは企業倫理の確立による健全な事業活動を遂行するため、内部統制システムを整備するとともにコンプライアンス室を設置し、コンプライアンス体制の構築・維持に努めております。また法令・定款及び社会規範に違反する行為の発生または発生する恐れを発見した際の相談窓口を設置し、役員・従業員への啓発活動を実施するなど、企業倫理の向上及び法令順守の強化に努めております。 しかしながら、コンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの社会的信用に重大な影響を与え、その対応費用を含め当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの事業活動に関連するサプライチェーン上での不正等が発生した場合にも、当社グループの社会的信用に影響を与える可能性があります。 ④ 情報セキュリティに係るリスク 当社グループは、事業活動を通して、顧客や取引先の営業上・技術上の機密情報を有しています。当社グループでは、情報セキュリティ管理室を設置し、これら情報の取り扱いに関する規程類の整備や従業員への周知徹底を図るなど、情報セキュリティを強化しております。 しかしながら、情報セキュリティ上のリスクを完全には回避できるものではなく、コンピュータウィルスの感染や不正アクセス、その他不測の事態により、これら情報が流失した場合や重要データの破壊、改ざん、システム停止などが生じた場合には、当社グループの社会的信用に重大な影響を与え、その対応費用を含め当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 大規模災害や重大な伝染病等に係るリスク 当社グループは、国内にAHUの製造拠点を2拠点保有しており、大規模な自然災害に際し復旧が可能となる業務体制としております。また、伝染病等への対策については、部門をチームに分け勤務エリアを分散する、出社が困難な時には遠隔操作ツールを活用して在宅勤務をするなど、事業継続計画を策定しております。 しかしながら、当リスクの発生可能性を合理的に見積もることは困難であり、想定を超える規模の災害や重大な伝染病等が発生した場合、出社が制限される可能性があるほか、サプライチェーンが途絶し外部から調達している原材料などの入手ができず生産が停滞する、建築現場が閉所され製品の出荷が滞るなど製品供給に重大な影響を与え、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2)重要なリスク ① 為替変動に係るリスク 当社グループの事業には、中国等アジア地域における製品の販売が含まれております。各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されております。これらの項目は、換算時の為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、為替動向が事業に与える影響を低減するため、国際的な政治経済動向を含む市場動向を継続的にモニタリングし、適時適切な対応に努めておりますが、為替変動の影響を完全に回避できるものではありません。 ② 固定資産評価に係るリスク 当社グループの保有する資産又は資産グループについて、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損損失を認識すべきであると判定した場合にはそれぞれの固定資産について回収可能性を測定し、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合その差額は減損損失として当該期の損失とすることとなり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、保有資産の収益性・回収可能性を継続的に検証するとともに、企業価値向上に資さない資産については売却等を含めた見直しを行うなど、資産効率の向上に努めておりますが、経営環境の変化等により減損損失を計上する可能性があります。 ③ 有価証券の時価変動に係るリスク 当社グループは、主に営業上、財務上の取引関係等の円滑化や提携関係の維持による事業基盤の強化のため、有価証券を保有しております。 株式市況の急激な悪化や取引先の経営破綻等が発生した場合、当該期の損失とすることとなり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、政策保有株式を含む保有有価証券について、取締役会にて継続保有の合理性を定期的に検証するなど、保有意義の確認および縮減を含めた適切な管理に努めておりますが、株式市況の急激な悪化等により損失が発生する可能性があります。 ④ 企業買収に係るリスク 当社グループは、事業基盤の強化及び成長維持のために、企業買収を実施しております。企業買収においては、法令の変更、業界動向の不確実性、商慣習の違いなど、買収後の事業統合リスクに直面する可能性があり、その結果、当初想定した買収効果や利益が実現されない場合は、のれんの減損などの発生によって、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、企業買収の実施に際して、出資意思決定時にデューデリジェンスを実施し、買収後はPMI(統合プロセス)を通じて事業の早期立ち上げおよび管理体制の整備に努めておりますが、想定した相乗効果や利益が実現されない可能性があります。 ⑤ 環境規制に係るリスク 当社グループは、研究開発及び製造過程で発生する有害物質、廃棄物等について、さまざまな環境保護に係る法的規制を受けております。当社グループは、主に国内製造拠点及び研究開発拠点においてISO14001認証を取得し、製造過程等における環境負荷の低減と環境汚染の予防に努めております。 しかしながら、環境規制は一般的に強化傾向にあり、今後環境等に関する新たな国内外の法的規制が制定される可能性があります。そのような場合は、当社グループにおいて費用負担や事業活動の制限等が発生することとなり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ その他の公的規制に係るリスク 当社グループの事業は、日本をはじめとし事業展開する各国において、事業・投資の許可または輸出入に関する規制のほか、独占禁止、特許、租税、社会保険、為替管制など様々な規制の適用を受けており、それらの法令順守に努めております。法令・規制を順守できなかった場合は、当社グループの活動が制限される可能性があり、また費用の増加につながる可能性があります。したがいまして、これらの規制は当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、法令・規制の遵守の重要性について役員・従業員への周知徹底および啓発を継続するとともに、事業に影響を与え得る法令・規制等に関する情報収集を行い、必要に応じて適時適切な対応を実施するなど、法令・規制の遵守に努めておりますが、これらを完全に回避できる保証はありません。
経営成績の分析 (MD&A)4,705字を開く

業績がなぜこうなったかの経営陣の説明

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 経営成績の状況 当連結会計年度におけるわが国経済は、物価高への対応や危機管理投資・成長投資等による強い経済の実現を目指すなか、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方、国際的な通商政策の動向や中東情勢が国内産業に及ぼす影響を注視する必要があり、依然として先行き不透明な状態が続いております。 当業界におきましては、大型再開発を含むビル空調や国内製造拠点等に納める産業空調、データセンター投資などの堅調な需要を受け、管工事設備工事会社の受注高は高水準で推移しており良好な事業環境が続きました。一方で、建設業・物流業における働き方改革や建設費の高騰、国際的な通商政策の動向を受け、国内の建設市場では工事案件の長工期化や投資計画見直しといった影響が現れ始めており、今後の市場動向は慎重な見極めが必要と考えております。 こうした状況下、当社グループは、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画「move.2027」を前期からスタートさせ、資本コストと株価を意識した経営に取り組んでおります。本中計では、目標とする経営指標として従来の連結売上高・連結営業利益に加えROE・PBR等を新たに設定し、資本コスト経営を事業運営の軸としていくことを明示しております。こうしたなか、生産プロセスのDX化・効率化による生産能力増強の取り組みのほか、中計ターゲット市場の攻略のための販売施策についても強化を進めてまいりました。 セグメントの業績は、次のとおりであります。 <日  本> セントラル空調市場における機器出荷台数の減少を受け、空調機器の販売量が低下した一方、空調設備工事・メンテナンスの旺盛な需要獲得に努めた結果、売上高は51,332百万円(前連結会計年度比3.1%増)となりました。利益面におきましては、機器販売の減収に伴う減益のほか、人件費・物流費等の増加により、セグメント利益(営業利益)は9,535百万円(前連結会計年度比6.8%減)となりました。 <アジア> 中国では、景況感の悪化や不動産市場の停滞に伴う影響を受けるなか、事業環境の厳しさと不透明感が増しております。こうした状況下、当連結会計年度におきましては、空調機器販売ならびに工事案件の増加により、売上高は8,092百万円(前連結会計年度比10.9%増)となりました。利益面におきましては、工事案件の利益計上が進んだものの、機器販売において厳しい価格競争が続いた結果、セグメント損失(営業損失)は116百万円(前連結会計年度はセグメント損失283百万円)となりました。 この結果、当社グループの売上高は59,339百万円(前連結会計年度比4.1%増)となりました。利益面におきましては、営業利益は9,444百万円(前連結会計年度比5.4%減)、経常利益は10,061百万円(前連結会計年度比5.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,826百万円(前連結会計年度比12.8%減)となりました。 また当社グループは、中期経営計画「move.2027」における資本コスト経営の指標として、ROE(自己資本利益率)を10%以上、PBR(株価純資産倍率)を1倍以上とする目標を採用しております。当連結会計年度で、合計4,892百万円の自己株式の取得を行ったほか、自己株式の取得資金の調達手段として転換社債型新株予約権付社債を2025年4月に発行するなど、負債活用による大胆な資本構成の見直しを実行し、資本収益性の向上に取り組んでまいりました。 以上のとおり、資本コストと株価を意識した経営に取り組んでまいりました結果、当社グループの当連結会計年度におけるROEは11.0%(前連結会計年度比1.8ポイント減)となりました。また、2026年3月末におけるPBRは1.3倍となりました。 (2) 財政状態の状況 当連結会計年度末の総資産は93,288百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,290百万円増加となりました。これは主に、現金及び預金の増加1,756百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の増加1,514百万円、有価証券の減少2,999百万円、建物及び構築物の増加2,254百万円および投資有価証券の増加5,424百万円等によるものであります。 負債は26,441百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,724百万円増加となりました。これは主に、電子記録債務の減少541百万円、未払法人税等の減少866百万円、転換社債型新株予約権付社債の増加6,000百万円および繰延税金負債の増加1,755百万円等によるものであります。 純資産は66,847百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,566百万円増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上6,826百万円、剰余金の配当3,673百万円、自己株式の取得4,892百万円およびその他有価証券評価差額金の増加3,707百万円等によるものであります。 (3) キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,762百万円増加し、当連結会計年度末には17,401百万円(前連結会計年度比11.3%増)となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は、次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における営業活動による資金の増加は8,010百万円(前連結会計年度比2,270百万円収入の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益9,981百万円、減価償却費1,838百万円、法人税等の支払3,878百万円等によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における投資活動による資金の減少は3,772百万円(前連結会計年度は261百万円の収入)となりました。これは主に、有価証券の償還による収入3,000百万円、有形固定資産の取得による支出6,240百万円等によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における財務活動による資金の減少は2,496百万円(前連結会計年度比5,654百万円支出の減少)となりました。これは主に、転換社債型新株予約権付社債の発行による収入5,885百万円、自己株式の取得による支出4,927百万円、配当金の支払い3,670百万円等によるものであります。 (4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動による資金の増加が投資活動による資金の減少を4,238百万円上回った一方、自己株式の取得による支出を主因に財務活動による資金の減少が2,496百万円となり、為替換算差額を含めると、前連結会計年度末に比べ1,762百万円増加し、当連結会計年度末の残高は17,401百万円となりました。この結果、正味運転資金(流動資産から流動負債を控除した金額)は33,028百万円となりました。 (キャッシュ・フロー指標のトレンド) 回次   第73期   第74期   第75期   第76期   第77期 決算年月   2022年3月   2023年3月   2024年3月   2025年3月   2026年3月 自己資本比率(%)   71.6   71.1   69.4   71.7   67.9 時価ベースの 自己資本比率(%)   61.4   53.8   108.8   100.2   86.3 キャッシュ・フロー 対有利子負債比率(年)   1.0   0.8   0.3   0.4   0.3 インタレスト・ カバレッジ・レシオ   126.0   157.4   411.9   200.3   191.4 自己資本比率:自己資本 / 総資産 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額 / 総資産 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債 / キャッシュ・フロー インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー / 利払い (注) 1 各指標は、いずれも連結ベースでの財務数値により算出しております。 2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。 3 キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。 翌連結会計年度の重要な資本的支出として、国内における工場及び生産設備への投資を予定しております。また、資金の調達源としては、自己資金を予定しております。 (5) 生産、受注及び販売の状況 ① 生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称   金額(百万円)   前年同期比(%) 日本   44,214   △1.2 アジア   7,889   6.2 合計   52,103   △0.2 (注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。 2  上記のほか建物設備全般の総合管理等を行っている連結子会社があります。 3  金額は販売価格によっております。 ② 受注実績 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称   受注高(百万円)   前年同期比(%)   受注残高(百万円)   前年同期比(%) 日本   36,661   21.7   23,974   36.9 アジア   1,807   △22.9   1,753   △31.6 合計   38,469   18.5   25,728   28.2 (注) 1  受注予測に基づく見込生産については、上記受注実績には含めておりません。 2  上記のほか建物設備全般の総合管理等を行っている連結子会社があります。 ③ 販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称   金額(百万円)   前年同期比(%) 日本   51,332   3.1 アジア   8,006   10.6 合計   59,339   4.1 (注)  セグメント間取引については、相殺消去しております。 (6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。その作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。これらの見積り及び仮定は、過去の実績等を勘案し合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

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開示資料

出典

このページの財務・役員・株主等のデータは、金融庁EDINETに提出された開示書類から自動抽出しています。会計基準は JapanGAAP

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